説明

ショーケース

【課題】複数種類の商品が陳列されている場合に、個々の商品に関する情報の音声を、当該商品に近い音声発生装置から発するショーケースを提供する。
【解決手段】複数種類の商品20〜22を隣接して陳列するショーケース1であって、商品20〜22が陳列される各領域A1〜A3毎に音声発生装置4a〜4cを設け、個々の音声発生装置4a〜4cは、当該音声発生装置4a〜4cが設けられた領域に陳列された商品20〜22に関する情報の音声を発し、人が接近したことを検出するセンサ6a〜6cを前記各領域A1〜A3に設け、いずれかのセンサが人の接近を検出すると、当該センサが設けられた領域に陳列されている音声発生装置4a〜4cが音声を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の商品を陳列するショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
客がショーケースの前に立った際に、ショーケース内の商品の内容が音声で説明されると、客は商品の説明書きを読まなくても商品の内容を認識することができる。このようなショーケースが特許文献1や特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−180711号公報
【特許文献2】特開昭63−206792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているショーケースは、人が接近するとスピーカから音声を発っして商品の内容を説明するように構成されている。よって、客がショーケースに近付くと、自動的に商品の説明が音声によって開始されるので、客は商品の説明書きを読まなくても商品の内容を知ることができる。ところが、ショーケースにはスピーカが一つしかないために、ショーケース内に複数種類の商品が陳列される場合には、客はどの商品が音声で説明されているのか把握しにくいという問題がある。
【0005】
また、特許文献2に開示されている商品陳列台では、商品陳列台毎に遠赤外線センサとスピーカとを備えているが、商品陳列台には一つ(一種類)の商品を陳列することを想定しており、複数種類の商品を同一の商品陳列台に陳列することは想定されていない。よって、仮に複数種類の商品を同一の商品陳列台に陳列すると、当該商品陳列台に陳列されているいずれの商品に係る説明の音声であるのかがわかりにくい。
【0006】
さらに、複数の人が隣接する陳列台に接近すると、異なる商品の音声による説明が時間的に重複して実施されてしまい、音声が交錯して聞き取りにくくなるという事態を生じてしまう。
【0007】
そこで本発明は、複数種類の商品が陳列されている場合に、個々の商品に関する情報の音声を、当該商品に近い音声発生装置から発するショーケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、複数種類の商品を隣接して陳列するショーケースであって、商品が陳列される各領域毎に音声発生装置を設け、個々の音声発生装置は、当該音声発生装置が設けられた領域に陳列された商品に関する情報の音声を発し、人が接近したことを検出するセンサを前記各領域毎に設け、いずれかのセンサが人の接近を検出すると、当該センサが設けられた領域に陳列されている音声発生装置が音声を発することを特徴とするショーケースである。
【0009】
請求項1の発明では、商品が陳列される各領域毎に音声発生装置を設け、個々の音声発生装置は、当該音声発生装置が設けられた領域に陳列された商品に関する情報の音声を発する。すなわち、各音声発生装置は、各領域に陳列された商品に関する情報の音声のみを発生する。また、各領域毎に、人が接近したことを検出するセンサを設け、いずれかのセンサが人の接近を検出すると、当該センサが設けられた領域に陳列されている音声発生装置が音声を発するので、客が近付いた商品に関する情報の音声が、商品が陳列された領域に設けられた音声発生装置から発せられる。その結果、商品に接近した人は、当該商品に関する情報の音声を商品の近くで聞くことができる。よって、音声発生装置が発する音声に対応する商品が明確になる。
【0010】
音声発生装置としては、例えば薄型のスピーカを採用することができる。また、ショーケースの商品の後ろ側に配置される薄板(背板)を振動させてスピーカ代わりとすることもできる。
【0011】
請求項2の発明は、各領域には所定の順序が設定されており、複数のセンサが人の接近を検出すると、各センサに対応する領域の音声発生装置が、所定の順に音声を発することを特徴とする請求項1に記載のショーケースである。
【0012】
請求項2の発明では、各領域には所定の順序が設定されており、複数のセンサが人の接近を検出すると、各センサに対応する領域の音声発生装置が、所定の順に音声を発するので、複数の音声発生装置が同時に音声を発して、複数の音声が交錯して聞き辛くなる事態を回避することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のショーケースでは、複数種類の商品が領域毎に陳列されていても、そのうちの特定の領域に人が接近すると、当該領域に陳列された商品に関する情報の音声のみが発せられる。よって、接近した人は、目の前の商品に関する情報の音声のみを聞くことができる。また、音声発生装置が、商品と同じ領域に設けられているので、音声発生装置が発する商品の説明の音声が商品の近くで発せられ、客が商品の内容を理解し易い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のショーケースを示しており、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。
【図2】図1とは別の本発明のショーケースの正面図である。
【図3】複数のショーケースを併設した際の各ショーケースの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【0016】
図1(a)、図1(b)に示すように、ショーケース1は、筐体11と、筐体11内に設置された商品陳列台3とを有している。筐体11における、商品陳列台3の前方には前方板2が設けてあり、後方には後方板5が設けてある。
【0017】
商品陳列台3は板状の部材であり、陳列する商品20、21、22を安定して載置できるように筐体11に支持されている。また、前方板2は、商品陳列台3上に陳列(載置)された商品20、21、22を、ショーケース1の前方から視認できるように、透明なガラスで構成されている。
【0018】
図1(b)に示すようにショーケース1内には、3つの領域A1、A2、A3が設定されている。商品陳列台3の各領域A1、A2、A3内には、各々センサ6a、6b、6cが設置されている。また、後方板2の各領域A1、A2、A3内には、各々スピーカ4a、4b、4c(音声発生装置)が設けられている。スピーカ4a、4b、4cは、各々薄型のパネルスピーカであり、後方板2に埋め込み、表面が完全に防水シートで覆われ、性能が水滴の付着や温度変化に左右されにくい。そして商品陳列台3の各領域A1、A2、A3には、各々商品20、21、22が陳列(載置)される。商品20、21、22は、異なる種類の商品である。
【0019】
また、筐体11の上部フレーム部11aには、スイッチ部7とデータ部8が設けてある。スイッチ部7は、個々のスピーカ4a、4b、4cのON・OFFを司る。また、データ部8は、領域A1、A2、A3に陳列される商品20、21、22に関する情報の音声データ(すなわち、商品の内容を説明する音声データ)を記録する機能を有する。音声データとしては、音楽CDに記録される形式や、WAV形式、mp3形式等を採用することができる。
【0020】
すなわち、データ部8は、商品の情報(音声データ)を記録する媒体(メディア)と、この媒体を読み込む読み込み装置(ドライブ)とで構成されている。データ部8は、図示しない信号線でスピーカ4a、4b、4cと接続されている。そして、データ部8は、読み込み装置によって記録メディアに記録されている情報(音声データ)を読み込み、スピーカ4a等に送信する機能を有している。
【0021】
商品の情報を記録する媒体としては、領域A1、A2、A3に陳列される商品20、21、22が入れ替わった際に対応し易いように、リムーバブルであって、小型で安価で書き換えが可能な記録メディア(例えば、USBフラッシュメモリや各種メモリーカード)を採用するのが好ましい。読み込み装置から取り外しが可能なリムーバブル形式の記録メディアを採用すると、非常に利便性がよい。すなわち、図示しないパーソナルコンピュータ等で商品の音声データを作成し、作成した音声データを記録メディアに記録し、この記録メディアをショーケース1の読み込み装置に装填して使用することができる。陳列する商品が変更されても、その都度記録メディアに記録されている音声データを更新(又は蓄積)することができるので、記録メディアは単一のものを繰り返し利用することができる。
【0022】
次に、センサ6a、6b、6cは、人が接近したことを検出する機能を有している。センサ6a、6b、6cとしては、例えば周知の赤外線センサや焦電センサ等を採用することができる。これらのセンサ6a、6b、6cは、図示しない信号線でデータ部8と接続されている。よって、各センサ6a、6b、6cで検出された信号は、図示しない信号線を介してデータ部8に送信することができる。なお、各センサ6a、6b、6cとデータ部8の信号の送受信は、無線によって実施しても差し支えない。
【0023】
次に、ショーケース1の動作を説明する。
【0024】
ショーケース1の領域A1、A2、A3には、各々商品20、21、22が陳列されている。そして、スイッチ部7は、領域A1、A2、A3に配置されたスピーカ4a、4b、4cの電源をON状態にする。その結果、スピーカ4a、4b、4cは、音を発することができる状態となる。ショーケース1がこのような待機状態となっており、人(客)が商品20、21、22のうち、興味をもったいずれかの商品に接近すると、この商品が陳列されている領域に設置されたセンサが人の接近を検出する。
【0025】
例えば、センサ6aが人の接近を検出すると、センサ6aの検出信号がデータ部8に送信される。データ部8は、いずれのセンサ6a〜6cで検出された信号であるかを識別する機能を有している。そして、検出信号を受信したデータ部8は、センサ部6aが配置された領域A1に陳列されている商品20の情報の音声データを再生し、領域A1に配置されたスピーカ4aを介して出力する。
【0026】
その結果、商品20に接近した人は、商品20の後方に配置されたスピーカ4aから発せられる商品20に関する音声データ(商品の内容説明)を聞くことができる。そして商品20を紹介する音声データを聞いた人は、説明書きを見ることなく商品に関する情報を得ることができる。
【0027】
次に、ショーケース1に陳列する商品を入れ替える場合を説明する。
【0028】
商品を入れ替える場合には、データ部8の読み込み装置(図示せず)に装填されている記録メディアを、一旦取り外して、図示しないデータ書き込み装置(パーソナルコンピュータ等)によって記録メディアに記録されている音声データを更新する。例えば、領域A1に陳列されている商品20が、別の商品Bに入れ替えられる際には、商品Bに係る情報の音声データで記録メディアに記録されているデータを更新し、更新された記録メディアをデータ部8の読み込み装置に装填する。これにより、センサ6aが人の接近を検出すると、スピーカ4aから商品Bを紹介する音声データが出力される。
【0029】
記録メディアを再利用せず、別に用意された商品Bの情報の音声データを記録した記録メディアと交換してもよい。予め商品B用の記録メディアが用意されていると、記録メディアのデータを更新する時間を省くことができ、ショーケース1に陳列されている商品を交換する際の時間を短縮することができる。
【0030】
次に、複数の人が同時にショーケースに接近した場合を、図2を参照しながら説明する。図2に示すショーケース15は、内部に24個の領域が設けられている。各領域にはそれぞれ一つの商品を配置することができる。すなわち、ショーケース15では、24個の商品を同時に陳列することができる。各領域には、図1(b)に示すショーケース1と同様に、センサとスピーカとが配置されている。
【0031】
また、図示していないが、ショーケース15にもショーケース1と同様に各スピーカの電源のON・OFFを切り替えるスイッチ部と、商品の情報の音声データを記録するデータ部とが設けてある。図2に示す例では、24個の領域のうち、左側の9つの領域A1〜A9に商品が陳列されている(商品の描写は省略)。すなわち、ショーケース15の右半分の12個の領域には商品が陳列されておらず、そのため、これらの領域のスピーカの電源はOFF状態となっている。
【0032】
ショーケース15の左側の領域のうち、領域A1〜A9にのみ商品が陳列される。そのため、領域A1〜A9に配置されているスピーカ4a〜4iの電源は、図示しないスイッチ部によってON状態に切り替えられている。
【0033】
ここで、ショーケース15の前に人集りができると、各領域A1〜A9に配置されたセンサ6a〜6iがこれを検出し、図示しないデータ部に検出信号を送信する。その結果、領域A1〜A9に陳列されている各商品の情報の音声データが再生される。ところで、ショーケース15には、次の仕組みが施されている。
【0034】
すなわち、ショーケース15には、予め各領域に優先順位が設定されており、この設定は図示しないメモリに記憶されている。ショーケース15においては、上側ほど優先順位が高く、また左側ほど優先順位が高い。よって、左上の領域の優先順位が最も高くなり、右下の領域の優先順位が最も低くなる。その結果、図2に示すショーケース15では、商品が陳列された領域のうち、領域A1が最も上側であって且つ左側であるので、最も優先順位が高い。逆に、領域A9が最も下側であって且つ右側であるので、最も優先順位が低い。
【0035】
この規則により領域A1〜A9の優先順位は、付された番号の小さい順に高くなる。よって、図2に示す矢印に沿った順に各領域に配置されている商品の情報の音声データが各スピーカから発せられる。
【0036】
すなわち、ショーケース15の前に人集りができると、それらの人達は、領域A1に陳列されている商品の説明を最初に聞き、その後順に領域A2、A3・・・、A8、そして最後に領域A9の商品の説明を聞く。よって、複数のスピーカが同時に音声を発することがなく、複数の音声が交錯して聞き辛くなるという事態は生じない。
【0037】
次に、複数のショーケースが併設されている場合について図3を参照しながら説明する。図3に示す例では、4つのショーケース16〜19が併設されている。各ショーケース16〜19は各々複数の領域を有している。そして、各領域毎にセンサが配置されているが、図3では代表的に各ショーケース16〜19における、各一つの領域に設けられたセンサ16a〜19aのみを描写している。
【0038】
図3に示すようにショーケース17と18が背中合わせに配置されており、ショーケース16とショーケース17とが対向しており、同様にショーケース18とショーケース19とが対向している。その結果、ショーケース16とショーケース17の間に通路が形成され、ショーケース18とショーケース19の間にも通路が形成されている。
【0039】
ショーケース16のセンサ16aの検出範囲は、距離R1までの範囲である。すなわち、人(客)がショーケース16から距離R1の範囲内に入ると、センサ16aは人の接近を検出する。また、センサ16aと同様に、ショーケース17のセンサ17aも人がショーケース17から距離R2までの範囲に入ると、人の接近を検出する。すなわち、図3で示す範囲E1内に人がいる場合には、センサ16a及び17aは、共に人を検出しない。
【0040】
ショーケース16及び17に陳列されている商品に興味がない人は、通常、両ショーケースに接近することはなく、ショーケース16、17から距離R1、R2までの範囲内に入ることはなく、速やかにショーケース16、17の間の通路(範囲E1内)を通過する。その結果、通行者はセンサ16a、17aに検出されることはない。
【0041】
ショーケース16に陳列されている商品に興味がある人は、ショーケース16に近付き、ショーケース16から距離R1までの範囲内に入り、センサ16aによって検出される。そしてショーケース16に陳列されている商品を説明する音声データがスピーカから発せられ、ショーケース16に近付いた人は商品の内容を把握することができる。
【0042】
ここで、前述のように、ショーケース16の複数の領域に商品が陳列されている場合には、予め設定された優先順位にしたがって商品の情報の音声データが各スピーカから順に発せられる。
【0043】
また、ショーケース17に陳列されている商品に興味がある人は、ショーケース17から距離R2までの範囲内に入り、センサ17aによって検出される。そして、該当する領域に配置されたスピーカから商品の情報の音声データが発せられる。
【0044】
ここで、仮に同時にショーケース16に接近する人とショーケース17に接近する人がいても、ショーケース16側及び17側の各スピーカからは該当する商品の情報の音声データが同時に発せられる。ところが、ショーケース16、17の間は、相当に離れており、ショーケース16側のスピーカが発する音とショーケース17側のスピーカが発する音とが交錯することはない。
【0045】
ショーケース18とショーケース19についても同様である。すなわち、両ショーケース間の範囲E2内を通行する人が、仮にショーケース18に陳列されている商品に興味を持てば、ショーケース18に接近し、ショーケース18から距離R3以内の範囲に入る。その結果、センサ18aが接近した人を検出し、検出信号をデータ部(図示せず)に送信し、該当する領域に配置されたスピーカから商品の情報の音声データが発せられる。逆に、範囲E2内を通行する人が、ショーケース19に陳列されている商品に興味を持てば、その人はショーケース19に接近し、ショーケース19から距離R4以内の範囲に入る。その結果、センサ19aが接近した人を検出し、検出信号をデータ部(図示せず)に送信し、商品の情報の音声データが該当する領域のスピーカから発せられる。
【0046】
ショーケースの各領域に設ける音声発生装置は、例えばショーケースに陳列した商品よりも後方を仕切る後方板を振動させることにより、スピーカの代用とすることもできる。このように音声発生装置を構成すると、比較的小さい音が発生するが、商品の前に立つ人には明瞭に聞こえる。また、後方板をスピーカの代用とすると、ショーケースにスピーカを設置せずに済み、ショーケース内の省スペース化を図ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ショーケース
3 商品陳列台
4a〜4i スピーカ(音声発生装置)
6a〜6c センサ
7 スイッチ部
8 データ部
11 筐体
20〜22 商品
A1〜A3 領域(ショーケース内の領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の商品を隣接して陳列するショーケースであって、
商品が陳列される各領域毎に音声発生装置を設け、
個々の音声発生装置は、当該音声発生装置が設けられた領域に陳列された商品に関する情報の音声を発し、
人が接近したことを検出するセンサを前記各領域毎に設け、
いずれかのセンサが人の接近を検出すると、当該センサが設けられた領域に陳列されている音声発生装置が音声を発することを特徴とするショーケース。
【請求項2】
各領域には所定の順序が設定されており、
複数のセンサが人の接近を検出すると、
各センサに対応する領域の音声発生装置が、所定の順に音声を発する
ことを特徴とする請求項1に記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−45069(P2012−45069A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187978(P2010−187978)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】