説明

ショートトラック競技用耐切創アンダーウェアまたは競技用耐切創ウェア

【課題】 競技者の重大事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部、わきの下、股の付け根部、掌や甲部、腕先部、膝の裏表並びに膝下の脛、脹ら脛をリスクエリアとし、該リスクエリアの全部、又はそのうち、グローブで防護される掌や甲部を除き、それぞれのリスクエリアを防護するための防護カバーをリスクエリア素材で構成し、該リスクエリア素材が吸汗発散機能のある非リスクエリア素材と一体化されて、運動機能性、生理的快適性を追求し、より安全性の高い競技用耐切創アンダーウェアを提供する。
【解決手段】 ショートトラック競技用耐切創アンダーウェアの素材は、リスクエリアをカバーするリスクエリア素材と非リスクエリア素材とから構成され、該リスクエリア素材はストレッチ性を有しており刃物で切断されない高強力合成繊維の交編した素材で構成され、また前記非リスクエリア素材はストレッチ性を有しており通気性があり、且つ吸汗発散機能のある合成繊維を交編した素材で構成されている。
【選択図面】 図2

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主にショートトラック・スケート競技用の耐切創アンダーウェアまたは競技用耐切創ウェアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ショートトラック・スケート競技は、スピード・スケート競技と異なり、狭いトラック内で一度に大勢の競技者が滑りタイムを競うのではなく、順位を競う競技である。従って、順位争いに起因する衝突、転倒、追突による切創事故が多く発生し、国際スケート連盟(ISU)では、2004年7月25日からの耐切創ウェアの着用義務化を決定している。
【0003】
然しながら、国際スケート連盟の該ウェアに対する設定基準は、リスクエリア、即ち、この部分で出血すると重大な死亡事故になる危険性の高い身体の部位、首部、わきの下部、股の付け根部、掌や甲部、腕先部、膝の裏表部をカバーし、定められた試験方法であるEN388による基準、即ち該試験によるレベル2、をクリアーし、実際には刃物で切れない等の機能を有すること、という極めて高度な耐切創ウェアの着用を義務付けるものである。
【0004】
尚、実際には、2003年度は、上記レベル2より厳しい条件たるレベル3の基準を、どのメーカーもクリアー且つ運動機能性がある、という耐切創ウェアが開発できなかったために、本年(2004年)は該EN388試験基準のレベルがレベル3からレベル2に下がった、という経緯を附言しておく。
【0005】
また、従来技術としての一般的な耐切創素材としては、パラ系アラミド繊維、高強力ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維等が知られていた。
【0006】
しかし乍ら、スケート用として使用されているものは、2004年4月現在では、オランダ製で、高強力ポリエチレン繊維のダイニーマ(日本では東洋紡の商標)を使用したフェンシング用素材をスケート用にアレンジしたものであるに過ぎず、身体全体をダイニーマ素材で覆ってしまうため伸縮性に乏しく、また、重量も重く、スケート用の運動機能性には乏しかったため着用されていなかった、というのが現実であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
而して、本発明が解決しようとする課題は、スケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアにおいて、競技者の死亡事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部、わきの下、股の付け根部、掌や甲部、腕先部、膝の裏表並びに膝下の脛、脹ら脛をリスクエリアとして設定し、該リスクエリア全部を、又は、該リスクエリアのうち、グローブで防護される掌及び甲部を除き、それぞれのリスクエリアを防護するための防護カバーをリスクエリア素材で構成し、該リスクエリア素材が運動機能性、生理的快適性を追求して、より安全性の高いショートトラック用耐切創アンダーウェアを提供するものである。
【0008】
また、本発明が解決しようとする課題は、競技者の死亡事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部、わきの下、股の付け根部、掌や甲部、腕先部、膝の裏表並びに膝下の脛、脹ら脛をリスクエリアとして設定し、該リスクエリア全部、又は該リスクエリアのうちグローブで防護される掌及び甲部を除き、それぞれのリスクエリアを防護するための防護カバーをストレッチ性を有しており刃物で切断されない高強力合成繊維を交編したリスクエリア素材で構成し、国際スケート連盟が認定しているEN388という試験方法での、レベル2という高い基準をクリアーできるショートトラック用耐切創アンダーウェアを提供するものである。
【0009】
また、本発明が解決しようとする課題は、スケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアにおいて、該アンダーウェアの素材はリスクエリアをカバーするリスクエリア素材と非リスクエリア素材から構成されていること、また、該非リスクエリア素材はストレッチ性を有し通気性があり、且つ吸汗発散機能のある合成繊維を交編した素材で構成されており、該リスクエリア素材並びに非リスクエリア素材が運動機能性、生理的快適性を追求して、より安全性の高いショートトラック用耐切創アンダーウェアを提供するものである。
【0010】
更にまた、本発明が解決しようとする課題は、スケートのショートトラック競技に用いる競技用のウェアにおいて、適宜素材から成る表生地内側にリスクエリアをカバーして防護するためのリスクエリア素材からなる防護カバーを一体的に縫製することによりアンダーウェアを組み込んだ形状で一体化したレーシング用耐切創ウェアを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
国際スケート連盟(ISU)では、ショートトラック競技における切創事故に対して2004年7月25日から耐切創ウェアの着用義務を決定している。本発明の耐切創アンダーウェア等もこの決定に基づいてなされたものであるが、本発明は、従来非常に難しいとされてきたEN388という試験方法でレベル2の基準をクリアーしたものである。
【0012】
また、国際スケート連盟が設定しているリスクエリアとは、この部分で出血すると重大事故、即ち、死亡事故になる危険性が高い身体の部位を示し、該部位は図4(a)、図4(b)、図4(c)、図4(d)に示す人体図により明らかなように首部50、わきの下部51、股の付け根部52、掌53や甲部54、腕先部55、膝の裏表56からなる。
【0013】
而して、本発明は、スケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアにおいて、競技者の死亡事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部50、わきの下部51、股の付け根部52、掌53や甲部54、腕先部55、膝の裏表56等、国際スケート連盟が設定した危険性の高い身体の部位の防護みならず、運動性を阻害せずに安全性を更にアップするための施策として、膝下の脛57、並びに脹ら脛58をもリスクエリアとし加えたものである。
【0014】
そして本発明は、上記リスクエリア全部、又は該リスクエリアのうちグローブで防護する掌53及び甲部54を除き、それぞれのリスクエリアを防護するための防護カバーをリスクエリア素材と非リスクエリア素材で構成した新規なショートトラック競技用耐切創アンダーウェアである。
【0015】
尚、前記防護カバーは、素材の切り替し、又は、素材に素材を積層する(非リスクエリア素材の上にリスク素材を重ねるか、リスク素材の上に非リスクエリア素材を重ねる)、等適宜手法にて作成されうること勿論である。
【0016】
本発明は、スケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアにおいて、競技者の死亡事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部、わきの下部、股の付け根部、掌や甲部、腕先部、膝の裏表、並びに膝下の脛、脹ら脛をリスクエリアとして設定して、該リスクエリアの全部、又はそのうちグローブで防護される掌及び甲部を除き、それぞれのリスクエリアを防護するためのものであり、該防護のために設けられる防護カバーは、ストレッチ性を有しており刃物で切断されない高強力合成繊維を交編したリスクエリア素材で構成されているショートトラック競技用耐切創アンダーウェアである。
【0017】
本発明は、スケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアで、該アンダーウェアは、リスクエリアをカバーするリスクエリア素材と非リスクエリア素材とから構成され、該非リスクエリア素材はストレッチ性を有し通気性があり、且つ吸汗発散機能のある合成繊維を交編した素材で構成されているショートトラック競技用耐切創アンダーウェアである。
【0018】
また、本発明は、スケートのショートトラック競技に用いる競技用のウェアにおいて適宜素材から成る表生地内側にリスクエリアをカバーするリスクエリア素材からなる防護カバーと吸汗発散機能のある非リスクエリア素材を一体的に縫製した形状のショートトラック競技用耐切創ウェアである。
【0019】
尚、該ウェアに於いて、該防護カバーを構成するリスクエリア素材も、ストレッチ性を有し且つ刃物で切断されない高強力合成繊にを交編したものである。
【0020】
本発明の前記アンダーウェア又はウェアは、リスクエリアと非リスクエリアをカバーして上下が一体化されたワンピース形状に構成されていること、または、前記アンダーウェア又はウェアがウェスト部分で分割されたツーピース形状の構成されており、装着することによりリスクエリアと非リスクエリアをカバーするように構成されている。
【0021】
斯くして、本発明の前記リスクエリア素材としてパラ系アラミド繊維を交編した生地を用いたり、前記リスクエリア素材として高強力ポリエチレン繊維を交編した生地を用いたり、また、前記リスクエリア素材としてポリアクリレート繊維を交編した生地を用いたり、更には、前記リスクエリア素材としてポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維を交編した生地を用いたりすることが可能である。
【0022】
そして本発明においては、上記リスクエリア素材を全て交編した生地として用いることにより運動機能性、生理的快適性を追求してより安全性の高い国際スケート連盟の基準たるレベル2の基準を達成できた。
【0023】
更に本発明は、具体的には、前記リスクエリア素材のパラ系アラミド繊維がケブラーED(東レデュポンの商標)や、トワロン(帝人の商標)、あるいはテクノーラ(帝人の商標)であるショートトラック競技用耐切創アンダーウェアまたは競技用耐切創ウェア提供している。
【0024】
また、本発明は、前記リスクエリア素材がパラ系アラミド繊維でケブラーED(東レデュポンの商標)を交編した生地の場合、該生地の成分比率はケプラー/ポリウレタン 94%/6%であることを一例として提案している。
【0025】
また、本発明は、前記リスクエリア素材の高強力ポリエチレン繊維がダイニーマ(東洋紡の商標)や、スペクトラ(ハネウェルの商標)であることを提案している。
【0026】
更に、本発明は、前記リスクエリア素材のポリアクリレート繊維がベクトラン(クラレの商標)であることを提案している。
【0027】
更にまた、本発明は、前記リスクエリア素材のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維がザイロン(東洋紡の商標)であることをも提案している。
【0028】
更には本発明の前記非リスクエリア素材をテクノファイン(旭化成の商標)からなる2ウェイメッシュとすることで、通気性があり且つ吸汗発散機能を持たせうるので極めて有効な手段となる。
【発明の効果】
【0029】
而して、本発明は、スケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアにおいて、競技者の死亡事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部、わきの下、股の付け根部、掌や甲部、腕先部、膝の裏表、並びに膝下の脛、脹ら脛をリスクエリアとして設定し、該リスクエリア全部、又はそのうちグローブで防護される掌及び甲部を除いた、それぞれのリスクエリアを防護するために設けた防護カバーをリスクエリア素材で構成し、該リスクエリア素材が運動機能性、生理的快適性を追求して、より安全性の高いショートトラック用耐切創アンダーウェアを提供することができた。
【0030】
また、本発明によれば、競技者の死亡事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部、わきの下、股の付け根部、掌や甲部、腕先部、膝の裏表並びに膝下の脛、脹ら脛をリスクエリアとして設定し、該リスクエリア全部、又はそのうち掌や甲部を除き、それぞれのリスクエリアを防護するために設けた防護カバーは、ストレッチ性を有しており刃物で切断されない高強力合成繊維の交編素材でリスクエリア素材を構成することによって、国際スケート連盟が認定しているEN388という試験方法で、レベル2の試験基準をクリアーした性能を有するショートトラック用耐切創アンダーウェアを提供することができた。
【0031】
また、本発明は、スケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアであり、該アンダーウェアの素材はリスクエリアをカバーするリスクエリア素材と非リスクエリア素材とから構成され、該非リスクエリア素材はストレッチ性を有し通気性があり且つ吸汗発散機能のある合成繊維を交編した素材で構成されており、該リスクエリア素材並びに非リスクエリア素材は運動機能性、生理的快適性を追求し、より安全性の高いショートトラック用耐切創アンダーウェアを提供することができた。
【0032】
更に本発明は、スケートのショートトラック競技に用いる競技用ウェアで、適宜素材から成る表生地内側にリスクエリアをカバーするリスクエリア素材からなる防護カバーと吸汗発散機能のある非リスクエリア素材とを一体的に縫製することによりアンダーウェアを組み込んで一体化した形状のレーシング用耐切創ウェアを提供することもできた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
斯くして、本発明は、スケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアにおいて、競技者の死亡事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部、わきの下部、股の付け根部、掌や甲部、腕先部、膝の裏表に加えて、膝下の脛、脹ら脛をもリスクエリアとして付加し、該リスクエリア全部、又はそのうちグローブで防護される掌や甲部を除き、該リスクエリアをそれぞれ防護するための防護カバーをリスクエリア素材で構成したことをその要旨とするショートトラック競技用耐切創アンダーウェアであるといえる。
【0034】
尚、本発明は、ショートトラック・スケート競技のみならずスピードスケート等のロングトラック競技用のアンダーウェア並びにレーシングウェアとしても利用できることは勿論である。
【0035】
また、本発明はスケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアにおいて、競技者の死亡事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部、わきの下部、股の付け根部、掌や甲部、腕先部、膝の裏表並びに膝下の脛、脹ら脛をリスクエリアとして設定し、該リスクエリア全部、又はそのうちグローブで防護される掌や甲部を除き、それぞれのリスクエリアを防護するための防護カバーを、ストレッチ性を有しており且つ刃物で切断されない高強力合成繊維を交編した素材で構成することを要旨とするショートトラック競技用耐切創アンダーウェアである。
【0036】
また、本発明はスケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアであり、該アンダーウェアの素材はリスクエリアをカバーするリスクエリア素材と非リスクエリア素材とから構成され、該非リスクエリア素材はストレッチ性を有し通気性があり、且つ吸汗発散機能のある合成繊維を交編した素材で構成されていることを要旨とするショートトラック競技用耐切創アンダーウェアである。
【0037】
また、本発明はスケートのショートトラック競技に用いる競技用のウェアでもあり、適宜素材から成る表生地内側にリスクエリアをカバーするリスクエリア素材からなる防護カバーを一体的に縫製したことを要旨とする。
【0038】
更に、本発明のアンダーウェア又はウェアは、リスクエリアと非リスクエリアとをカバーして上下が一体化されたワンピース形状に構成されていることが好ましい。
しかし、前記アンダーウェア又はウェアは、ウエスト部分で分割されたツーピース形状に構成され、装着することによりリスクエリアと非リスクエリアをカバーするように構成されるものでも良い。
【0039】
而して本発明は、前記リスクエリア素材としてパラ系アラミド繊維を交編した生地を用いることが好ましい。
【0040】
また本発明は、前記リスクエリア素材として高強力ポリエチレン繊維を交編した生地を用いることが好ましい。
【0041】
また本発明は、前記リスクエリア素材としてポリアクリレート繊維を交編した生地を用いることが好ましい。
【0042】
更に、本発明は、前記リスクエリア素材としてポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維を交編した生地を用いることが好ましい。
【0043】
そして、本発明は、前記リスクエリア素材のパラ系アラミド繊維がケブラーED(東レデュポンの商標)や、トワロン(帝人の商標)、あるいはテクノーラ(帝人の商標)であることが好ましい。
【0044】
また、本発明は、前記リスクエリア素材の高強力ポリエチレン繊維がダイニーマ(東洋紡の商標)や、スペクトラ(ハネウェルの商標)であることが好ましい。
【0045】
また、本発明は、前記リスクエリア素材のポリアクリレート繊維がベクトラン(クラレの商標)であることが好ましい。
【0046】
また、本発明は、前記リスクエリア素材のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維がザイロン(東洋紡の商標)であることが好ましい。
【0047】
更にまた、本発明における前記非リスクエリア素材は、テクノファイン(旭化成の商標)からなる2ウェイメッシュであることが好ましい。
【実施例1】
【0048】
図1、図2は、本発明の第一実施例を示す説明図であり、図1(a)は人体の外観を示す正面図、図1(b)は右側面図、図1(c)は左側面図、図1(d)は背面図であり、該人体の外観には本発明用に設定されたリスクエリアが表示されている。また、図2は本発明のショートトラック競技用耐切創アンダーウェアを示す説明図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は背面図を示している。
【0049】
而して、図1(a)乃至図1(d)において、1は競技者、2は首部、3はわきの下部、4は股の付け根部、5は腕先部、6は膝の表部、7は膝下の脛、8は膝の裏部、9は脹ら脛を示している。
【0050】
本実施例においては、国際スケート連盟(ISU)がリスクエリアとして設定した身体の部位のうちグローブにて防護される掌及び甲部を除き、該それぞれのリスクエリアを防護し、また、防護みならず、運動性を阻害せずに安全性を更にアップするための施策として、膝下の脛7、並びに脹ら脛9をも新たにリスクエリアとして付加した。そして、膝下の脛7は前記膝の表部6に一体化されており、脹ら脛9は前記膝の裏部8と一体化された形状で機能性を重視した新たなリスクエリアを構成している。
【0051】
斯くして、図2(a)、図2(b)は、図1乃至図1(d)にて設定した本発明用のリスクエリアを防御するショートトラック競技用耐切創アンダーウェア10を示しており、該ショートトラック競技用耐切創アンダーウェア10は、防護カバーAを構成するリスクエリア素材11と吸汗発散機能とを持つ非リスクエリア素材12とにより構成されている。
【0052】
また、前記リスクエリア素材11部分は、首部11a、わきの下部11b、腕先部11c、股の付け根部11d、膝の表部と脛部11e、膝の裏部と脹ら脛部11fからなる。
【0053】
而して、本実施例においては、防護カバーAを構成するリスクエリア素材11は、ショートトラック競技用のアンダーウェアにおいて、競技者の死亡事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部11a、わきの下部11b、股の付け根部11d、掌や甲部(図示せず)、腕先部11c、膝の表と脛部11e、並びに、膝の裏部と脹ら脛11fをリスクエリアとし、該リスクエリアのうち掌や甲部を除き(本例では手袋で防護されるため除いてある)、それぞれのリスクエリア素材11からなる防護カバーAで防護されており、該リスクエリア素材はストレッチ性を有しており刃物で切断されない高強力合成繊維を交編した素材で構成されている。
【0054】
また、本実施例においては、前記ショートトラック競技用耐切創アンダーウェア10の素材はリスクエリアをカバーする前記リスクエリア素材11と、非リスクエリア素材12とから構成され、該非リスクエリア素材12はストレッチ性を有し通気性があり且つ吸汗発散機能のある合成繊維を交編した素材で構成されている。
【0055】
また、本実施例では前記防護カバーAを構成するリスクエリア素材11としてパラ系アラミド繊維を交編した生地を用いている。
また、前記リスクエリア素材11は、他の実施例として、高強力ポリエチレン繊維を交編した生地を用いること、並びに、ポリアクリレート繊維を交編した生地を用いること、更には、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維を交編した生地を用いることもできる。
【0056】
そして、本実施例においては、更に具体的に、前記リスクエリア素材11のパラ系アラミド繊維をケブラーED(東レデュポンの商標)や、トワロン(帝人の商標)、あるいはテクノーラ(帝人の商標)とすることが好ましい。
【0057】
更にまた、本実施例においては、前記リスクエリア素材11の高強力ポリエチレン繊維がダイニーマ(東洋紡の商標)や、スペクトラ(ハネウェルの商標)とすることが好ましい。
【0058】
また、前記リスクエリア素材11がポリアクリレート繊維でベクトラン(クラレの商標)とすることが好ましい。
【0059】
更には、前記リスクエリア素材11がポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維でザイロン(東洋紡の商標)とすることも好ましい実施例である。
【0060】
そして前記非リスクエリア素材12はテクノファイン(旭化成の商標)からなる2ウェイメッシュとすることで、運動機能性、生理的快適性を追求し、より安全性の高いショートトラック競技用耐切創アンダーウェアまたは競技用耐切創ウェアを提供することができた。
【実施例2】
【0061】
図3は、本発明の第二の実施例を示す説明図であって、図3(a)は正面図、図3(b)は背面図を示している。図3(a)、図3(b)は、図1乃至図1(d)にて設定した本発明用のリスクエリアを防御するショートトラック競技用耐切創ウェア13を示しており、該ショートトラック競技用耐切創ウェア13は、防護カバーAを構成するリスクエリア素材11と、吸汗発散機能を有する非リスクエリア素材12とを、適宜素材から成る表生地14内側に設置している。
【0062】
また、表生地14内側に設置される、前記リスクエリア素材11部分は、首部11a、わきの下部11b、腕先部11c、股の付け根部11d、膝の表部と脛部11e、膝の裏部と脹ら脛部11fからなる。尚、本例でも掌及び甲部は、グローブで防護されるため除いてある。
【0063】
斯くして、実施例2では、ショートトラック競技に用いる競技用のウェアであって、適宜素材から成る表生地14内側にリスクエリアを防護するリスクエリア素材11からなる防護カバーAと、吸汗発散機能のある非リスクエリア素材12とを一体的に縫製したショートトラック競技用耐切創ウェア、即ち、耐切創レーシングウェアを提供することができた。
【実施例3】
【0064】
また、本発明の前記ショートトラック競技用耐切創アンダーウェア、並びに耐切創レーシングウェアは、リスクエリアと非リスクエリアをカバーして上下が一体化されたワンピース形状に構成されている形状として説明してきたが、本発明の第三の実施例としては、前記アンダーウェア、並びに耐切創レーシングウェアは、ウエスト部分で分割されたツーピース形状で構成され、装着することによりリスクエリアと非リスクエリアとをカバーするように構成されている(図示せず)。
【0065】
尚、本発明は、ショートトラック・スケート競技のみならず、所謂ロングトラック乃至スピードスケート等のトラック競技用のアンダーウェア並びに耐切創レーシングウェアとして利用できるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
斯くして本発明は、スケートのショートトラック競技に用いる競技用の耐切創アンダーウェア並びに耐切創レーシングウェアであって、競技者の死亡事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部、わきの下、股の付け根部、腕先部、膝の裏表、掌及び甲部、並びに膝下の脛、脹ら脛をリスクエリアとし、該アンダーウェア等をそれぞれのリスクエリアを防護するための防護カバーからなるリスクエリア素材で構成し、また、吸汗発散機能のある非リスクエリア素材とで構成した。従って、リスクエリア素材と非リスクエリア素材とは運動機能性、生理的快適性を追求して、より安全性の高いショートトラック用耐切創アンダーウェアを提供するもので、その利用価値はスポーツ界において多大なものがある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1の説明図であり、本発明におけるリスクエリアを示している。
【図2】実施例1の説明図であり、ショートトラック用耐切創アンダーウェアの一例を示している。
【図3】実施例2の説明図であり、耐切創レーシングウェアの一例をしめしている。
【図4】国際スケート連盟(ISU)が公表しているショートトラック競技のリスクエリア説明図である。
【符号の説明】
【0068】
A 防護カバー
1 競技者
2 首部
3 わきの下部
4 股の付け根部
5 腕先部
6 膝の表面
7 膝の脛
8 膝の裏部
9 脹ら脛
10 ショートトラック競技用耐切創アンダーウェア
11 防護カバーを構成するリスクエリア素材
11a リスクエリア素材首部
11b リスクエリア素材わきの下部
11c リスクエリア素材腕先部
11d リスクエリア素材股の付け根部
11e リスクエリア素材膝の表部と脛部
11f リスクエリア素材膝の裏部と脹ら脛部
12 吸汗発散機能のある非リスクエリア素材
13 ショートトラック競技用耐切創ウェア
14 表生地
50 首部
51 わきの下部
52 股の付け根部
53 掌
54 甲部
55 腕先部
56 膝の裏表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアにおいて、競技者の死亡事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部、わきの下、股の付け根部、掌や甲部、腕先部、膝の裏表並びに膝下の脛、脹ら脛をリスクエリアとし、該リスクエリア全部、又は該リスクエリアのうち掌及び甲部を除いた部分を防護するための防護カバーをリスクエリア素材で構成したこと、
を特徴とするショートトラック競技用耐切創アンダーウェア。
【請求項2】
スケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアにおいて、競技者の死亡事故につながる危険性の高い身体の部位とされる首部、わきの下、股の付け根部、掌や甲部、腕先部、膝の裏表並びに膝下の脛、脹ら脛をリスクエリアとし、該リスクエリア全部、又は該リスクエリアのうち掌及び甲部を除いた部分を防護するための防護カバーをストレッチ性を有しており刃物で切断されない高強力合成繊維を交編した素材で構成したこと、
を特徴とするショートトラック競技用耐切創アンダーウェア。
【請求項3】
スケートのショートトラック競技に用いる競技用のアンダーウェアにおいて、該アンダーウェアの素材はリスクエリアをカバーするリスクエリア素材と非リスクエリア素材とから構成され、該非リスクエリア素材はストレッチ性を有し通気性があり且つ吸汗発散機能のある合成繊維を交編した素材で構成されていること、
を特徴とするショートトラック競技用耐切創アンダーウェア。
【請求項4】
スケートのショートトラック競技に用いる競技用のウェアにおいて適宜素材から成る表生地内側にリスクエリアを防護するリスクエリア素材から成る防護カバーを一体的に縫製したこと、
を特徴とするショートトラック競技用耐切創ウェア。
【請求項5】
前記防護カバーを構成するリスクエリア素材は、ストレッチ性を有し且つ刃物で切断されない高強力合成繊維、を交編したものであること、
を特徴とする請求項4記載のショートトラック競技用耐切創ウェア。
【請求項6】
前記アンダーウェア又はウェアはリスクエリアと非リスクエリアをカバーして上下が一体化されたワンピース形状に構成されていること、又は、前記アンダーウェア又はウェアはウエスト部分で分割されたツーピース形状に構成されており、装着することによりリスクエリアと非リスクエリアをカバーするように構成されていること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のショートトラック競技用耐切創アンダーウェア又はショートトラック競技用耐切創ウェア。
【請求項7】
前記リスクエリア素材としてパラ系アラミド繊維を交編した生地を用いたこと、
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のショートトラック競技用耐切創アンダーウェアまたは競技用耐切創ウェア。
【請求項8】
前記リスクエリア素材として高強力ポリエチレン繊維を交編した生地を用いたこと、
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のショートトラック競技用耐切創アンダーウェアまたは競技用耐切創ウェア。
【請求項9】
前記リスクエリア素材としてポリアクリレート繊維を交編した生地を用いたこと、
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のショートトラック競技用耐切創アンダーウェアまたは競技用耐切創ウェア。
【請求項10】
前記リスクエリア素材としてポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維を交編した生地を用いたこと、
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のショートトラック競技用耐切創アンダーウェアまたは競技用耐切創ウェア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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