説明

シラップ組成物、シラップ配合組成物および積層体

【課題】基材の表面に鋼材が露出している場合でも、該表面に対して充分な接着性を有する塗膜が得られるシラップ組成物、および該シラップ組成物を用いて得られる積層体の提供。
【解決手段】カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)と、前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)を除く、1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(b)と、前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)を除く、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(c)と、ガラス転移温度が20〜155℃である樹脂(d)と、多価金属石鹸(f)と、を含むシラップ組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル系のシラップ組成物、該シラップ組成物を用いて得られるシラップ配合組成物および積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物や構造物を構成するコンクリートやアスファルト(床面、壁面、道路の舗装面等)への被覆材料に用いられる樹脂として、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、アクリル系樹脂等が知られている。
上記のうち、不飽和ポリエステル系樹脂は、耐溶剤に優れるものの、耐候性に劣り、硬化時の収縮が大きく、低温施工性が悪い。エポキシ系樹脂は、耐アルカリ性に優れ、下地との密着性に優れるものの、耐候性に劣り、硬化時間が長く、低温での硬化性に劣る。ポリウレタン系樹脂は、弾力性、柔軟性に優れるものの、耐薬品性、耐候性に劣る。そこで最近では、低温硬化性、耐候性、耐薬品性に優れるビニルエステル系樹脂またはアクリル系樹脂、特にアクリル系樹脂がよく用いられるようになっている。
アクリル系樹脂を用いた被覆材料としては、単量体として特定の(メタ)アクリレートを含み、これに硬化剤、硬化促進剤、樹脂、ワックス等を配合したシラップ組成物が提案されている(特許文献1〜3)。かかるシラップ組成物は、硬化速度が速く、適度な可使時間を有し、低温硬化性と空気硬化性に優れることで、施工期間を短縮できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−154297号公報
【特許文献2】特開2002−234921号公報
【特許文献3】特許第3927992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1〜3に記載されるようなシラップ組成物は、構造物などの表面に鋼材が露出しているときに、該シラップ組成物を塗布、硬化させて得られる塗膜の該表面への接着性が不充分となる問題がある。そのため、シラップ組成物を塗布する前に、表面に露出している鋼材の表面に対しブラスト処理等の目粗処理をして物理的に接着させる等の処理を行う必要があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、基材の表面に鋼材が露出している場合でも、該表面に対して充分な接着性を有する塗膜が得られるシラップ組成物、該シラップ組成物を用いて得られるシラップ配合組成物および積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明の第一の態様は、カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)と、
前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)を除く、1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(b)と、
前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)を除く、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(c)と、
ガラス転移温度が20〜155℃であるエポキシ系樹脂以外の樹脂(d)と、
多価金属石鹸(f)と、
を含むシラップ組成物である。
本発明の第二の態様は、土木建築用の基材に対して、前記第一の態様のシラップ組成物を塗工し、該シラップ組成物が硬化する前に無機基材を貼り付けて一体硬化させてなる積層体である。
本発明の第三の態様は、前記第一の態様のシラップ組成物に骨材(j)を配合して得られるシラップ配合組成物である。
本発明の第四の態様は、土木建築用の基材に対して、前記第三の態様のシラップ配合組成物を塗工し、該シラップ配合組成物が硬化する前に無機基材を貼り付けて一体硬化させてなる積層体である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、基材の表面に鋼材が露出している場合でも、該表面に対して充分な接着性を有する塗膜が得られるシラップ組成物、該シラップ組成物を用いて得られるシラップ配合組成物および積層体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称である。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称である。「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基の総称であり、一般式CH=C(R)−C(=O)−[Rは水素原子またはメチル基を示す。]で表される。
「シラップ」は、アクリル系樹脂と(メタ)アクリレート単量体とを含む組成物を示す。
【0008】
<シラップ組成物>
本発明のシラップ組成物は、カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)と、前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)を除く、1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(b)と、前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)を除く、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(c)と、ガラス転移温度が20〜155℃であるエポキシ系樹脂以外の樹脂(d)と、多価金属石鹸(f)と、を含む。
本発明のシラップ組成物は、前記単量体(b)として、水酸基と1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(b1)と、前記単量体(b1)を除く、1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(b2)と、を含むことが好ましい。
本発明のシラップ組成物は、さらに、三級アミン(g)を含むことが好ましい。
本発明のシラップ組成物は、さらに、必要に応じて、上記以外の他の成分を含んでもよい。該他の成分としては、特に限定されないが、好ましいものとして、有機過酸化物(e)、リン酸エステル系単量体(h)、エポキシ系樹脂(i)、ワックス(k)等が挙げられる。
以下、各成分について説明する。
【0009】
[カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)]
カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)(以下、単量体(a)ということがある。)は、1個の(メタ)アクリロイル基、および少なくとも1個のカルボキシ基を有する(メタ)アクリレートである。
単量体(a)は、下地に対する接着性を付与する成分である。
【0010】
単量体(a)としては、例えば、酸無水物と水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させて得られるものが挙げられる。
前記酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラプロペニル無水コハク酸、オクテニルコハク酸等の脂肪族酸無水物;無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の脂環式酸無水物;などが挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2価アルコール、3価アルコール等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら酸無水物と水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応は、公知の方法によって実施出来る。
【0011】
単量体(a)としては、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等が挙げられる。
単量体(a)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0012】
単量体(a)の含有量は、(a)、(b)、(c)、(d)、(h)および(i)の合計100質量%、1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。単量体(a)の含有量が1質量%以上であれば、下地に対する接着性を向上させることが出来る。一方、単量体(a)の含有量が20質量%以下であれば、硬化時間が早くなり過ぎず、適度な作業時間を得ることが出来る。
【0013】
[単量体(b)]
単量体(b)は、単量体(a)を除く、1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体である。
【0014】
(単量体(b1))
単量体(b1)は、単量体(b)の中で、水酸基を有する単量体である。
単量体(b1)は、下地に対する接着性を付与する成分である。
単量体(b1)としては、例えば、1個の(メタ)アクリロイル基、およびヒドロキシアルキル基を有する、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単量体(b1)としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
単量体(b1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
単量体(b1)の含有量は、(a)、(b)、(c)、(d)、(h)および(i)の合計100質量%中、1〜40質量%が好ましい。単量体(b1)の含有量が1質量%以上であれば、塗膜に充分な接着性を付与できる。加えて、親水性をも付与できるので、湿潤状態の基材中の水分との親水性が向上する。従って、乾燥基材はもちろんのこと、湿潤状態の基材に対しても接着性に優れた塗膜を形成できる。特に、複雑な表面状態の基材や、表面に亀裂を有する基材であっても、シラップ組成物が基材に浸透しやすくなるので、基材と塗膜との密着性が向上する。一方、単量体(b1)の含有量が40質量%以下であれば、塗膜の耐水性が良好となる。
【0016】
(単量体(b2))
単量体(b2)は、単量体(b)の中で、単量体(b1)を除く単量体である。
単量体(b2)は、シラップ組成物の粘度、塗膜の機械的強度等の特性を調整する成分である。
【0017】
単量体(b2)としては、分子量が130以上のものが好ましい。分子量が130以上の単量体(b2)としては、以下の(b2−1)〜(b2−9)等が挙げられる。これらの中でも、(b2−1)、(b2−2)、(b2−3)、(b2−4)、(b2−7)、(b2−8)から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
(b2−1):分子量が130未満であり、かつ1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体。
(b2−2):分子量が130〜300であり、かつ1個の(メタ)アクリロイル基およびヘテロ環を有する単量体。
(b2−3):分子量が130〜300であり、かつ1個の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエチレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート。
(b2−4):分子量が130〜300であり、炭素数4〜15の長鎖アルキル基を有し、かつ1個の(メタ)アクリロイル基を有するアルキル(メタ)アクリレート。
(b2−5):分子量が130〜300であるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート。
(b2−6):分子量が130〜300であるフッ素原子含有(メタ)アクリレート。
(b2−7):分子量が130〜300である炭化水素環含有(メタ)アクリレート。
(b2−8):分子量が130〜300であり、かつ1個の(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤。
(b2−9):分子量が300を超え、かつ1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体。
【0018】
前記(b2−1)の分子量が130未満であり、かつ1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
前記(b2−2)の分子量が130〜300であり、かつ1個の(メタ)アクリロイル基およびヘテロ環を有する単量体としては、フラン環、ヒドロフラン環、ピラン環およびヒドロピラン環からなる群より選ばれるヘテロ環を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
フラン環を有する(メタ)アクリレートとしては、フリル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロフラン環を有する(メタ)アクリレートとしては、テトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ピラン環を有する(メタ)アクリレートとしては、ピラニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロピラン環を有する(メタ)アクリレートとしては、ジヒドロピラニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、ジメチルジヒドロピラニル(メタ)アクリレート、ジメチルテトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルジヒドロピラニルメタクリレート、ジメチルテトラヒドロピラニルメタクリレートが特に好ましい。
【0020】
前記(b2−3)の分子量が130〜300であり、かつ1個の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエチレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールモノメチルエーテルメタアクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、2−エトキシレーテッド2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
前記(b2−4)の分子量が130〜300であり、炭素数4〜15の長鎖アルキル基を有し、かつ1個の(メタ)アクリロイル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0022】
前記(b2−5)の分子量が130〜300であるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(エチレングリコールの繰り返し数が4以下)、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(ポリプロピレングリコールの繰り返し数が2以下)等が挙げられる。
前記(b2−6)の分子量が130〜300であるフッ素原子含有(メタ)アクリレートとしては、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
前記(b2−7)の分子量が130〜300である炭化水素環含有(メタ)アクリレートとしては、ジメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のジまたはトリアルキルシクロヘキシル基含有(メタ)アクリレート;ジメチルフェニル(メタ)アクリレート、トリメチルフェニル(メタ)アクリレート等のジまたはトリアルキルフェニル基含有(メタ)アクリレート;ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)クリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
前記(b2−8)の分子量が130〜300であり、かつ1個の(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、1個のビニル基を有するシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0025】
前記(b2−9)の分子量が300を超え、かつ1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、ステアリル(メタ)アクリレート、セチルメタクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(エチレングリコールの繰り返し数が5以上)、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(ポリプロピレングリコールの繰り返し数が3以上)等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート(エチレングリコールの繰り返し数が5以上)等のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
床面、壁面、道路の舗装面等へ積層する際に、臭気が問題になる際には、単量体(b2)として分子量が130以上の単量体を使用することで、シラップ組成物の反応性を損なうことなく、臭気を低減化させることが出来る。
臭気を低減化させるときに使用する単量体としては、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルジヒドロピラニルメタクリレート、ジメチルテトラヒドロピラニルメタクリレートが特に好ましい。
【0027】
単量体(b2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(b2)の含有量は、(a)、(b)、(c)、(d)、(h)および(i)の合計100質量%中、40〜70質量%が好ましい。単量体(b2)の含有量が40質量%以上であれば、シラップ組成物の表面硬化性、塗膜の強度が向上できる。一方、単量体(b2)の含有量が70質量%以下であれば、塗膜が硬くてもろくなることを防止できる。
【0028】
[単量体(c)]
単量体(c)は、単量体(a)を除く、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能単量体である。
単量体(c)は、塗膜の機械的強度、耐摩耗性、耐薬品性等を向上させる。
【0029】
単量体(c)としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロプレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
単量体(c)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体(c)の含有量は、(a)、(b)、(c)、(d)、(h)および(i)の合計100質量%のうち、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。単量体(c)の含有量を20質量%以下とすることによって、硬化するまでの時間が短くなりすぎず、作業性が良好となる。該含有量の下限は特に限定されず、0質量%超であればよい。塗膜の機械的強度、耐摩耗性、耐薬品性等の向上効果の点では0.5質量%以上が好ましい。
【0031】
[樹脂(d)]
樹脂(d)は、ガラス転移温度(以下、「Tg」と記す。)が20〜155℃であるエポキシ系樹脂以外の樹脂である。
樹脂(d)は、シラップ組成物の粘度、硬化性を向上させる。
【0032】
樹脂(d)のTgは、20〜155℃であり、20〜105℃が好ましい。樹脂(d)Tgを20℃以上にすることによって、シラップ組成物の表面硬化性が良好となる。Tgを155℃以下にすることによって、シラップ組成物を製造する際、単量体(a)、(b)、(c)への溶解性が良好となる。
樹脂(d)のTgは、示差走査熱量計(DSC)の測定により求めたものである。
【0033】
樹脂(d)の種類は、Tgが上記範囲内であれば特に限定されないが、例えば、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体または共重合体、セルロースアセテートブチレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
樹脂(d)としては、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体または共重合体、セルロースアセテートブチレート樹脂が好ましい。
【0034】
アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体または共重合体を構成する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0035】
樹脂(d)の質量平均分子量(以下、「Mw」と記す。)は、5,000〜200,000が好ましく、10,000〜180,000がより好ましい。Mwを5,000以上にすることによって、シラップ組成物の塗膜強度を向上させることができる。Mwを200,000以下にすることによって、シラップ組成物を製造する際、単量体(a)(b1)(b2)への溶解性が良好となる。
樹脂(d)のMwは、樹脂を溶剤(テトラヒドロフラン)に溶解し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」と記す。)により測定した分子量をポリスチレン換算したものである。
【0036】
樹脂(d)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(d)の含有量は、(a)、(b)、(c)、(d)、(h)および(i)の合計100質量%のうち、5〜30質量%が好ましい。樹脂(d)の含有量が高すぎると、硬化時間を短縮できるが、シラップ組成物の可使時間(組成物が流動性を有し、塗装作業可能な時間)が短くなり、作業性が悪くなる。樹脂(d)の含有量が低すぎると、シラップ組成物の粘度バランスが崩れ、また、その硬化性が悪くなる。
【0037】
樹脂(d)の含有量は、(a)、(b)、(c)、(d)および(h)、(i)の合計100質量%に対する質量部が、上記の範囲内(5〜30質量%)で、かつ下式の関係を満足する範囲内であることが好ましい。下式の関係を満足しない場合、シラップ組成物の粘度が高くなりすぎ、作業性が悪くなるおそれがある。
樹脂(d)のMw×樹脂(d)の質量部<2,000,000
樹脂(d)が、樹脂(d1)、(d2)・・・の混合物である場合は、下式を用いる。
{樹脂(d1)のMw×樹脂(d1)の質量部}+{樹脂(d2)のMw×樹脂(d2)の質量部}+・・・<2,000,000
【0038】
[有機過酸化物(e)]
有機過酸化物(e)は重合開始剤の役割を果たす。
有機過酸化物(e)としては、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール;1,1,3,3,−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル;などが挙げられる。
有機過酸化物(e)としては、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステルが好ましい。
【0039】
有機過酸化物(e)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シラップ組成物中の有機過酸化物(e)の含有量は、シラップ組成物の可使時間が10〜90分となるように適宜調整することが好ましい。該範囲で有機過酸化物(e)をシラップ組成物に添加すれば、添加後すみやかに重合反応が開始され、シラップ組成物の硬化が進行する。
【0040】
有機過酸化物(e)の含有量は、(a)、(b)、(c)、(d)および(h)、(i)の合計100質量部に対して、0.25〜5質量部が好ましく、0.25〜4質量部がより好ましい。有機過酸化物(e)の含有量が0.25質量部以上であれば、硬化性が良好となる傾向にある。有機過酸化物(e)の含有量が5質量部以下であれば、シラップ組成物の塗工作業性、得られる塗膜の各種物性が向上する傾向にある。
【0041】
[多価金属石鹸(f)]
多価金属石鹸(f)は、硬化反応を促進させる重合促進剤である。
多価金属石鹸(f)としては、脂肪酸の多価金属塩が挙げられる。該多価金属塩としては、脂肪酸のコバルト、マンガン、ニッケル等の金属塩が挙げられる。具体的には、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、アセトアセチル酸コバルト、ナフテン酸マンガン、オクチル酸ニッケル等が挙げられる。
多価金属石鹸(f)としては、適度な可使時間および良好な硬化性を得ることが出来るなどの観点から、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトが好ましい。
多価金属石鹸(f)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
シラップ組成物中の多価金属石鹸(f)の含有量は、(a)、(b)、(c)、(d)、(h)および(i)の合計100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.03質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上がさらに好ましい。多価金属石鹸(f)の含有量が0.01質量部以上であれば、良好な硬化性を得ることが出来る。ただし、多価金属石鹸(f)の含有量が多すぎると、多価金属石鹸を分散溶解している溶剤量が多くなることから硬化性が低下したり、硬化塗膜の強度が低下したりする傾向にある。従って、多価金属石鹸(f)の含有量は、(a)、(b)、(c)、(d)、(h)および(i)の合計100質量部に対して、0.5質量部以下が好ましく、0.4質量部以下がより好ましい。
なお、本発明において、「多価金属石鹸(f)の含有量」とは、多価金属石鹸(f)に由来する多価金属の含有量のことである。
【0043】
[三級アミン(g)]
三級アミン(g)は、硬化反応を促進させる硬化促進剤である。
三級アミン(g)としては、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N−置換アニリン、N,N−置換−p−トルイジン、4−(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0044】
三級アミン(g)としては、芳香族三級アミンが好ましい。芳香族三級アミンとしては、少なくとも1個の芳香族残基が窒素原子に直接結合しているものが好ましい。該芳香族三級アミンとしては、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N−(2−ヒドロキシエチル)N−メチル−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン;N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジンまたはN,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジンのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。また、p(パラ)体に限定されず、o(オルト)体、m(メタ)体でもよい。
芳香族三級アミンとしては、シラップ組成物の反応性、硬化性の点から、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジンが好ましい。
【0045】
三級アミン(g)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
三級アミン(g)の含有量は、硬化性とポットライフ(作業性)とのバランス等の点から、(a)、(b)、(c)、(d)および(h)、(i)の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、0.2〜8質量部がより好ましく、0.3〜5質量部が特に好ましい。三級アミン(g)の含有量が0.2質量部以上であることによって、表面硬化性が良好となる。三級アミン(g)の含有量が8質量部以下であることによって適切な可使時間となる。
【0046】
[リン酸エステル系単量体(h)]
リン酸エステル系単量体(h)は、無機基材との接着性を向上させる成分である。従って、シラップ組成物がリン酸エステル系単量体(h)を含有すれば、コンクリートやアスファルト舗装に使用されている砕石等への接着を良好にできる。
【0047】
リン酸エステル系単量体(h)としては、(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましく、例えば2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、3−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、ジブチル2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、ジオクチル2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジフェニル2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルポリエチレングリコールアシッドフォスフェート等が挙げられる。
リン酸エステル系単量体(h)としては、密着性や耐水性の観点から、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートが好ましい。
【0048】
リン酸エステル系単量体(h)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
リン酸エステル系単量体(h)の含有量は、(a)、(b)、(c)、(d)、(h)および(i)の合計100質量%中、0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。リン酸エステル系単量体(h)の含有量が0.01質量%以上であれば、無機基材への接着性が向上する。一方、リン酸エステル系単量体(h)の含有量が10質量%以下であれば、塗膜を硬化させたときに良好な硬化性を得ることが出来る。
【0049】
[エポキシ系樹脂(i)]
エポキシ系樹脂(i)は、無機基材との接着性を向上させる成分である。従って、シラップ組成物がエポキシ系樹脂(i)を含有すれば、コンクリートやアスファルト舗装に使用されている砕石等への接着を良好にできる。
【0050】
エポキシ系樹脂(i)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ系樹脂(i)としては、無機基材との接着性および硬化性の観点から、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂が好ましい。
【0051】
エポキシ系樹脂(i)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ系樹脂(i)の含有量は、(a)、(b)、(c)、(d)、(h)および(i)の合計100質量%中、5〜20質量%が好ましい。エポキシ系樹脂(i)の含有量が5質量%以上であれば、シラップ組成物の粘度バランスが良好となるとともに、硬化性が向上し、硬化時間を短縮できる。一方、エポキシ系樹脂(i)の含有量が20質量%以下であれば、シラップ組成物の可使時間を充分に確保しつつ、硬化時間を短縮でき、作業性が良好となる。
【0052】
[ワックス(k)]
ワックス(k)は、空気遮断作用を利用した表面硬化性向上等の作用を奏する。
ワックス(k)としては、固形ワックス類が挙げられる。固形ワックス類としては、パラフィン類、ポリエチレン類、高級脂肪酸類等が挙げられる。高級脂肪酸類としては、ステアリン酸等の炭素数10以上の脂肪酸が好ましい。
ワックス(k)としては、パラフィンワックスが好ましい。
パラフィンワックスの融点は、40〜80℃が好ましい。融点が40℃以上であることによって、シラップ組成物を塗装硬化させた際に充分な空気遮断作用が得られ、表面硬化性が良好となる。融点が80℃以下であることによって、シラップ組成物を製造する際、単量体(a)、(b)、(c)への溶解性が良好となる。
パラフィンワックスは、融点の異なる2種以上を併用することが好ましい。融点の異なる2種以上のパラフィンワックスを併用することによって、シラップ組成物を塗装硬化させるときに、下地温度が変わったときであっても、充分な空気遮断作用が得られ、表面硬化性が良好となる。併用する際には、融点の差が5℃〜20℃程度のものを併用することが好ましい。
【0053】
ワックス(k)としては、表面硬化性を向上させる点で、有機溶剤に分散したワックスが好ましい。ワックスが有機溶剤に分散状態にあり、微粒子化されていることにより、空気遮断作用が効果的に発現する。分散状態のワックス(k)は、市販されており、該ワックスをそのまま添加することにより、本発明のシラップ組成物を調製できる。この場合、本発明のシラップ組成物は有機溶剤も含有することになる。
分散状態のワックス(k)は、有機溶剤を全く含有せずに、単量体(a)、(b1)、(b2)、(c)の何れかにワックス(k)が分散しているものであってもよい。
【0054】
ワックス(k)の含有量は、空気硬化性と塗膜の物性とのバランス等の点から、(a)、(b)、(c)、(d)、(h)および(i)の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。ワックス(k)の添加量を0.1質量部以上にすることによって、シラップ組成物を塗装硬化させた際に充分な空気遮断作用が得られ、表面硬化性が良好となる。ワックス(k)の添加量を5質量部以下にすることによって、シラップ組成物の貯蔵安定性、シラップ組成物を塗装硬化させた際の耐汚染性が良好となる。
【0055】
[可塑剤]
本発明のシラップ組成物には、塗膜の柔軟化および硬化時の収縮の低減を図るために、可塑剤を添加してもよい。
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のセバシン酸エステル類、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、オクチルアゼレート等のアゼラインエステル類等の2塩基性脂肪酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類(ただし前記ワックス(k)を除く)が挙げられる。
【0056】
可塑剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
可塑剤の添加量は、(a)、(b)、(c)、(d)および(h)、(i)の合計100質量部に対して、20質量部以下が好ましい。可塑剤の添加量を20質量部以下にすると、シラップ組成物の硬化性が良好となり、また、塗膜の表面に可塑剤が滲出することもない。
【0057】
[シランカップリング剤]
本発明のシラップ組成物には、基材に対する接着性の安定化、接着強度の耐久性を付与する目的で、シランカップリング剤(ただし前記単量体(b2)を除く)を添加してもよい。
シランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等の分子内にエポキシ基を有するシランカップリング剤、分子内にアミノを有するシランカップリング剤、分子内にウレイド有するシランカップリング剤、分子内にメルカプト有するシランカップリング剤、分子内にスルフィド有するシランカップリング剤、分子内にイソシアネート有するシランカップリング剤等が挙げられる。
【0058】
シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の添加量は、(a)、(b)、(c)、(d)、(h)および(i)の合計100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、硬化性、コストの点から、5質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の添加量を10質量部以下にすることによって、シラップ組成物の基材への接着性の安定化を保持しつつ、表面硬化性が良好となる。
【0059】
[重合禁止剤]
本発明のシラップ組成物には、貯蔵安定性の向上、重合反応の調整の目的で、重合禁止剤を添加してもよい。
重合禁止剤としては、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ジターシャリーブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、フェノチアジン、ターシャリーブチルカテコール等が挙げられる。
【0060】
[オリゴマー]
本発明のシラップ組成物には、表面硬化性の向上を図るために、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーを添加してもよい。
該オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0061】
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有(メタ)アクリレートと、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、1分子中に2個以上の水酸基を有するポリオールとを公知の方法で反応させて得られるものが挙げられる。
【0062】
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、多塩基酸無水物と、水酸基含有(メタ)アクリレートの部分エステル化物と、2官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、不飽和一塩基酸とを公知の方法で反応させて得られるものが挙げられる。2官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとを反応させた汎用のエポキシ樹脂である。
【0063】
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸等の多塩基酸またはその無水物と、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール化合物と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものが挙げられる。
【0064】
[他の添加剤]
本発明のシラップ組成物には、必要に応じて、ベンゾトリアゾール誘導体等の紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、アエロジル等のチクソトロピック性付与剤、炭酸カルシウム等の耐湿顔料、酸化クロム、ベンガラ等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料を添加してもよい。
【0065】
消泡剤としては、公知の消泡剤が利用できる。消泡剤としては、特殊アクリル系重合物を溶剤に溶解させたアクリル系消泡剤、特殊ビニル系重合物を溶剤に溶解させたビニル系消泡剤等が好ましく、楠本化成株式会社から市販されているディスパロンシリーズ(製品名:OX−880EF、OX−881、OX−883、OX−77EF、OX−710、OX−8040、1922、1927、1950、P−410EF、P−420、P−425、PD−7、1970、230、230HF、LF−1980、LF−1982、LF−1983、LF−1984、LF−1985等。)等がより好ましく、ディスパロンシリーズのうち、230、230EF、LF−1980、LF−1985がさらに好ましい。
【0066】
本発明のシラップ組成物は、上記の各成分を混合することにより調製できる。各成分の混合手順は特に限定されず、公知の方法と同様であってよいが、下記のA剤とB剤とを混合する方法が好ましい。すなわち本発明のシラップ組成物は、下記のA剤とB剤とを混合して得られたものであることが好ましい。三級アミン(g)と、単量体(a)、単量体(b1)および多価金属石鹸(f)とを分けておき、基材に塗布し硬化させる直前に混合することで、各種添加剤の配合を簡略化することができ、作業性が向上する。
A剤:少なくとも三級アミン(g)を含む液。
B剤:少なくとも単量体(a)、単量体(b1)および多価金属石鹸(f)を含む液。
ただし、単量体(b2)、単量体(c)および樹脂(d)はそれぞれ、前記A剤および前記B剤のいずれか一方または両方に含まれる。
【0067】
単量体(a)、単量体(b1)および多価金属石鹸(f)は、保存安定性を確保するために、B剤のみに添加し、A剤には添加しないことが好ましい。また、三級アミン(g)は、A剤のみに添加し、B剤には添加しないことが好ましい。
単量体(b2)は、A剤、B剤のいずれに添加してもよく、樹脂(d)を溶解または分散させる点で、少なくともB剤に添加することが好ましい。
単量体(c)は、A剤、B剤のいずれに添加してもよい。
樹脂(d)は、A剤、B剤のいずれに添加してもよく、作業性や混合性の点で、少なくともB剤に添加することが好ましい。
本発明のシラップ組成物が有機過酸化物(e)を含む場合、有機過酸化物(e)は、多価金属石鹸(f)により、分解してラジカルが発生し、単量体(a)、(b1)、(b2)、(c)が重合反応を起こすので、有機過酸化物(e)はA剤のみに添加し、B剤には添加しないことが好ましい。
【0068】
A剤としては、少なくとも単量体(b2)、単量体(d)、有機過酸化物(e)、三級アミン(g)を含むものが好ましい。
B剤としては、少なくとも単量体(a)、単量体(b1)、樹脂(d)、多価金属石鹸(f)を含むものが好ましい。
【0069】
A剤とB剤の質量比は、A剤/B剤=(0.1〜10)/1の範囲が好ましく、(0.5〜2)/1の範囲が特に好ましい。この比が0.1/1より小さい場合、又は10/1より大きい場合には、A剤とB剤を均一に混合することが困難になり、樹脂組成物の硬化反応が悪くなり、所望する物性の硬化体が得られずに、接着性能が確保できなくなる場合もある。
又、A剤とB剤に例えばトルエンやアセトンなどの溶剤が多く含まれると、硬化物が柔らかくなったり、溶剤が抜けた後の硬化物が脆くなったりすることがある。添加剤等に由来する少量の溶剤が含まれることは問題ないが、粘度調整等の目的で多量の溶剤を配合することは好ましくない。
【0070】
以上説明した本発明のシラップ組成物は、(a)、(b)、(c)、(d)、(f)を組み合わせている為、低温硬化性に優れる。例えば−10〜5℃の低温条件下で放置することにより硬化させることができる。
また、(a)を含むことにより、構造物などの表面に鋼材が露出している場合でも、鋼材を含めた表面に該シラップ組成物を積層するときに充分な接着性が得られる。そのため、鋼材の表面をブラスト処理等の目粗処理無しに積層させることが出来る。該効果は、さらに(h)および/または(i)を含む場合に特に優れている。
【0071】
本発明のシラップ組成物は、骨材(j)を配合してシラップ配合組成物とすることができる。
【0072】
[骨材(j)]
骨材(j)は、本発明のシラップ組成物に配合してシラップ配合組成物を得るための成分である。骨材(j)としては、平均粒子径が1μm以上であり、吸油量が25ccアマニ油/100g以下のものが好ましい。該骨材としては、結晶シリカ粉、溶融シリカ粉、球状シリカ粉およびヒュームドシリカ等のシリカ粉、珪砂、カーボンブラック、フォラストナイト、クレー、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、ベントナイト、マイカ、ニッケルスラグ、水酸化アルミニウム、球状のものを含むアルミナ粉、ステンレス粉、炭化珪素粉、窒化珪素粉、窒化硼素粉、タルク粉、炭酸カルシウム粉、ガラスビーズ、シラスバルーン、アルミニウム粉、並びに、チタン粉、石英砂、これらを着色または焼成したもの、石英粉等の岩石粉;セラミックを焼成、粉砕したもの;炭酸カルシウム、アルミナ、ガラスビーズ等の無機充填材等が挙げられる。骨材は、塗工作業性、セルフレベリング性の点から、粒子径の異なる骨材を組み合わせたものが好ましい。
骨材(j)の配合量は、他の成分との混合性、塗工性、硬化性、塗膜の物性等の点から、シラップ組成物100質量部に対して、30〜700質量部が好ましい。
骨材(j)は、シラップ組成物の調製時に配合してもよく、調製後に配合してもよい。
【0073】
<被覆方法>
本発明のシラップ組成物および該シラップ組成物に骨材(j)を配合したシラップ配合組成物は、それぞれ、建築物や構造物を構成する土木建築用の基材の表面(床面、壁面、道路の舗装面等)への被覆材として用いることができる。
土木建築用の基材の材質としては、コンクリート、アスファルト、鋼材、既設の樹脂系塗り床材等が挙げられる。本発明のシラップ組成物は、該土木建築用の基材がコンクリートおよび/または鋼材から構成されるものである場合に特に有用である。
【0074】
本発明のシラップ組成物又はシラップ配合組成物を土木建築用の基材の表面(以下、施工面ということがある。)に被覆する方法としては、施工面に、本発明のシラップ組成物又はシラップ配合組成物を塗工して塗膜を形成する方法が挙げられる。
塗工方法としては、ローラー、金ゴテ、刷毛、自在ボウキ、塗装機(スプレー塗装機等)等を用いる公知の塗工方法が挙げられる。
【0075】
施工面に形成する塗膜は1層であっても2層以上であってもよい。2層以上の塗膜を形成する場合、各層の形成に用いるシラップ組成物又はシラップ配合組成物は1種でも2種以上でもよい。
例えば床面、壁面、道路の舗装面等の施工面に、シラップ組成物を塗工して上塗り層(トップコート)を形成することができる。施工面に下塗り層と上塗り層(トップコート)とを形成する場合、少なくとも一方の層としてシラップ組成物を塗工することができる。下塗り層にはシラップ組成物に骨材(j)を配合したシラップ配合組成物を塗工することもできる。施工面に下塗り層、中塗り層および上塗り層(トップコート)を形成する場合、少なくとも一つの層としてシラップ組成物を塗工することができる。中塗り層にはシラップ組成物に骨材(j)を配合したシラップ配合組成物を塗工することもできる。
【0076】
施工面への被覆方法としては、例えば床面、壁面、道路の舗装面等の施工面にシラップ組成物を塗工して下塗り層を形成し、該下塗り層上にシラップ組成物に骨材(j)を配合したシラップ配合組成物を塗工して中塗り層を形成し、該中塗り層上にシラップ組成物を塗工して上塗り層(トップコート)を形成する方法が最も好ましい。
下塗り層と中塗り層との間、中塗り層と上塗り層との間には、他の層が設けられていてもよい。
【0077】
<積層体>
本発明の積層体は、土木建築用の基材に対して、本発明のシラップ組成物又はシラップ配合組成物を塗工し、該シラップ組成物又は該シラップ配合組成物が硬化する前に無機基材を貼り付けて一体硬化させてなるものである。
土木建築用の基材としては、前記使用方法の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
無機基材としては、コンクリート、モルタル等が挙げられる。
本発明の積層体においては、本発明のシラップ組成物およびシラップ配合組成物の接着性が優れることから、土木建築用の基材がコンクリートおよび/または鋼材から構成されるものであり、貼り付ける無機基材がコンクリート成型品であることが好ましい。
【0078】
シラップ組成物またはシラップ配合組成物の塗工方法としては、前記使用方法の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
無機基材を貼り付けるタイミングは、シラップ組成物またはシラップ配合組成物を塗工した後、完全に硬化するまでの間であればよいが、流動性を有している間が好ましい。
【実施例】
【0079】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例中の「部」はすべて「質量部」を、湿度以外の「%」はすべて「質量%」を示す。
【0080】
[組成物(S)の調製]
<組成物(S−1)の調製>
攪拌機、温度計、冷却管付きの1Lフラスコに、単量体(a)としてコハク酸2−アクリロイルオキシエチル(新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルA−SA)(以下「NKエステルA−SA」と略す)5部と、単量体(b1)として2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下「2−HEMA」と略す)20.0部と、単量体(b2)としてテトラヒドロフルフリルメタクリレート(以下「THFMA」と略す)44.0部と、2−エチルヘキシルアクリレート(以下「2−EHA」と略す)10.0部と、単量体(c)としてBPE−4(製品名ニューフロンティアBPE−4、第一工業製薬社製、以下「BPE−4」と略す。)10.0部と、重合禁止剤としてメチルヒドロキノン(以下「MHQ」と略す)0.014部と、ワックス(k)としてパラフィン−115(日本精鑞株式会社製、パラフィンワックス(以下「パラフィン−115」と略す))0.4部、パラフィン−130(日本精鑞株式会社製、パラフィンワックス(以下「パラフィン−130」と略す))0.3部、およびパラフィン−150(日本精鑞株式会社製、パラフィンワックス(以下「パラフィン−150」と略す))0.2部と、消泡剤(楠本化成株式会社製、商品名:ディスパロン230EF(以下「230EF」と略す))1.0部と、三級アミン(g)としてN,N−ジメチル−p−トルイジン(以下「DMPT」と略す)1.0部を投入した後、攪拌しながら、樹脂(d)としてメチルメタクリレート(以下「MMA」と略す)/n−ブチルメタクリレート(以下「n−BMA」と略す)=40/60(質量比)の共重合体(Tg=49℃、Mw=60,000、以下「ポリマー1」と略す)11.0部、を投入した。引き続き、60℃で2時間加熱して、溶解した。溶解を確認後、30℃以下に冷却し、ナフテン酸コバルト溶液(日本化学産業株式会社製、商品名:ナフテン酸コバルト(6%)、以下「ナフテン酸コバルト溶液」と略す)4.12部を加え、1時間撹拌した後に組成物(S−1)を得た。
得られた組成物(S−1)の配合組成を表1に示す。
【0081】
<組成物(S−2)〜(S−10)の調製>
表1に記載の配合組成にすること以外は、組成物(S−1)の調製と同様にして組成物(S−2)〜(S−10)を得た。
上記のうち、組成物(S−5)の調製において、リン酸エステル系単量体(h)は、単量体(a)、(b1)、(b2)、(c)と同じタイミングでフラスコに投入した。
また、組成物(S−6)の調製において、エポキシ系樹脂(i)は、樹脂(d)と同じタイミングでフラスコに投入した。
なお、表1中、多価金属石鹸(f)の配合量(部)は、ナフテン酸コバルト溶液としての量である。
【0082】
【表1】

【0083】
表1中の記号はそれぞれ以下のものを示す。
・NKエステルA−SA:コハク酸2−アクリロイルオキシエチル(新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステル A−SA)。
・アクリエステルHH:ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチル(三菱レイヨン株式会社製、商品名:アクリエステルHH)。
・2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート。
・2−HPMA:2−ヒドロキシプロピルメタクリレート。
・THFMA:テトラヒドロフルフリルメタクリレート。
・2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(三菱化学株式会社製)。
・アロニックスM−120:2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート(東亞合成製、商品名:アロニックスM−120)。
・SLMA:アルキル基の炭素数12〜13のアルキルメタクリレート(三菱レイヨン株式会社製、商品名:アクリエステルSL)。
・PME−100:ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(日油製、商品名:ブレンマーPME−100)。
・MMA:メチルメタクリレート。
・KBM−503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM−503)。
・3ED:トリエチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン株式会社製、商品名:アクリエステル3ED)。
・BD:1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン株式会社製、商品名:アクリエステルBD)。
・BPE−4:ビスフェノール型ジアクリレート(第一工業製薬株式会社製、商品名;ニューフロンティアBPE−4)。
【0084】
・ポリマー1:MMA/n−BMA=40/60の共重合体(Tg=49℃、Mw=60,000)。
・ポリマー2:MMA/n−BMA=80/20の共重合体(Tg=82℃、Mw=80,000)。
・ポリマー3:MMA=100の重合体(Tg=105℃、Mw=40,000)。
・ポリマー4:MMA/n−BMA=60/40の共重合体(Tg=64℃、Mw=40,000)。
・JPA−514:2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(城北化学工業株式会社製、商品名:JPA−514)。
・フレップ60:ポリサルファイド変性エポキシ樹脂(東レ・ファインケミカル株式会社製、商品名:フレップ60)。
・P−115:パラフィンワックス(日本精鑞株式会社製、商品名:パラフィン115)。
・P−130:パラフィンワックス(日本精鑞株式会社製、商品名:パラフィン130)。
・P−150:パラフィンワックス(日本精鑞株式会社製、商品名:パラフィン150)。
・ナフテン酸コバルト溶液:ナフテン酸コバルトのミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名:ナフテン酸コバルト(6%))、ナフテン酸コバルトに由来するコバルトの含有量:6%。
・DMPT:N,N−ジメチル−p−トルイジン。
・DIPT:N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン。
・LF−1985:消泡剤(楠本化成株式会社製、商品名:ディスパロンLF−1985)。
・ディスパロン230EF:消泡剤(楠本化成株式会社製、商品名:ディスパロン230EF)。
・KBM−403:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM−403)。
・BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフエノール。
・MHQ:メチルヒドロキノン。
・HQ:ヒドロキノン。
【0085】
[シラップ配合組成物(T)の調製]
<シラップ配合組成物(T−1)の調製>
ポリプロピレン製の1Lの容器に、表1に記載の組成物(S−3)100部を投入し、撹拌しながら骨材として硅砂8号(株式会社菱晃製、商品名:KZ−008(以下「KZ−008」と略す。)50部を投入した。引き続き、室温23℃の部屋でホモディスパーを使用して、毎分1,000回転で5分間撹拌し、珪砂8号が均一に分散した事を確認し、シラップ配合組成物(T−1)を得た。
得られたシラップ配合組成物組成(T−1)の配合組成を表2に示す。
【0086】
<シラップ配合組成物(T−2)〜(T−4)の調製>
表2に記載のシラップ配合組成物にする以外は、シラップ配合組成物(T−1)の調製と同様にしてシラップ配合組成物(T−2)〜(T−4)を得た。
【0087】
【表2】

【0088】
表2中の記号はそれぞれ以下のものを示す。
・KZ−008:平均粒径75μmの硅砂((株)菱晃製、商品名:KZ−008)。
・SL−700:平均粒径4.5μmの炭酸カルシウム(竹原化学工業(株)製、商品名:重質炭酸カルシウムSL−700)。
・G−100:平均粒径65μmの炭酸カルシウム(三共精粉(株)製、砂状炭カルG−100)。
【0089】
[実施例1]
組成物(S−1)を用いて以下のようにしてシラップ組成物を製造し、以下の測定、評価を行った。結果を表3に示す。
なお、粘度の測定においては、シラップ組成物の製造に用いた組成物(S−1)の粘度を測定し、これをシラップ組成物の粘度とした。
【0090】
(粘度の測定)
組成物(S−1)を23℃の恒温水槽中で2時間放置した後、JIS K 6901に記載のブルックフィールド型粘度計における、タイプ1のBM型粘度計を用いて、組成物(S−1)の粘度を測定した。
【0091】
(硬化時間の測定)
組成物(S−1)を23℃の恒温水槽中にて2時間放置した後、組成物(S−1)の100部に対して、有機過酸化物(e)としてクメンハイドロパーオキサイド(化薬アクゾ株式会社製、商品名:カヤクメンH(以下「カヤクメンH」と略す))を2部加え、十分に撹拌してシラップ組成物を得た。
得られたシラップ組成物を内径10mmの試験管(長さ12cm)の下部より7cmの位置まで投入した。ついで、再度、23℃の恒温水槽中に試験管を投入し、その中心部に熱電対を投入し、重合発熱による温度変化を記録した。このとき、有機過酸化物を加えてから最大発熱温度に到達するまでに要した時間を硬化時間(分)とした。
【0092】
(臭気性の評価)
組成物(S−1)の100部に対して、有機過酸化物(e)としてカヤクメンHを2部加えてシラップ組成物を得た。
得られたシラップ組成物と、基材(JISモルタル板、30cm×30cm×厚さ6cm)とを、温度23℃、相対湿度50%の環境可変室(3m×7m×高さ3m)内に4時間以上放置して環境可変室の温度に慣らした。その後、該環境可変室内にて基材の表面に、シラップ組成物を約1kg/mの塗布量で塗装し、この塗装作業中に5名の人間が立ち会い、塗膜表面から50cm離れた位置での臭気を確認し、その結果を下記評価基準に基づき評価した。
○:5人とも臭わなかった。
△:1〜4人が臭った
×:5人とも臭った。
【0093】
(硬化性の評価)
JISコンクリート板(JIS−A5371(プレキャスト無筋コンクリート製品)に規定、30cm×30cm×厚さ6cm)の表面をJIS−R6252「研磨紙」に規定される150番研磨紙により充分に研磨し、これを基材とした。
ついで、組成物(S−1)の100部に対して、有機過酸化物(e)としてカヤクメンHを2部加えて、撹拌、混合し、シラップ組成物を得た。
得られたシラップ組成物を塗膜の厚さが1mmになるように、上記基材上にヘラで塗装して塗膜を形成した。得られた塗膜の表面の硬化性を指触にて確認し、下記評価基準に基づき評価した。
○:23℃の条件下において経過時間2時間未満でタックなし。
△:23℃の条件下において経過時間2〜4時間でタックなし。
×:23℃の条件下において4時間経過してもタックあり。
【0094】
(接着性の評価)
JISコンクリート板をSS−400鋼板(JIS−G3101(一般構造用圧延鋼材)、30cm×30cm×厚さ3mm)に変更した以外は前記硬化性の評価と同様にして、基材上にシラップ組成物を塗装して、基材上に塗膜が形成された試験片を得た。
得られた試験片を23℃の環境下で7日間放置した。その後、塗り床材の付着強さ試験方法(日本塗り床工業会試験方法、NNK−005(2006)、塗り床ハンドブック掲載)に基づき、試験片の塗膜表面に、付着面が40mm×40mmの正方形の鋼製治具を、接着剤を用いて貼り付け、塗り床材の付着強さ試験方法に基づき23℃にて試験を実施し接着性の評価を行った。接着剤としてはアロンアルファEXTRA2020(商品名、東亞合成(株)製)を用いた。接着性の評価は下記基準に基づいて行った。
cn:コンクリートの凝集破壊。
s−k:鋼板とシラップ組成物硬化物(シラップ配合組成物硬化物)の層間破壊。
s:シラップ組成物硬化物(シラップ配合組成物硬化物)の凝集破壊。
接着性は、「cn:コンクリートの凝集破壊」や「s:シラップ組成物硬化物(シラップ配合組成物硬化物)の凝集破壊」が良好で、「s−k:鋼板とシラップ組成物硬化物(シラップ配合組成物硬化物)の層間破壊」を不良とした。
【0095】
[実施例2〜8、比較例1〜2]
組成物(S−1)を組成物(S−2)〜(S−10)に変更し、有機過酸化物(e)の種類および配合量を表2に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にしてシラップ組成物を製造し、各種測定、評価を行った。結果を表3に示す。
【0096】
【表3】

【0097】
表3中の記号はそれぞれ以下のものを示す。
・カヤクメンH:クメンハイドロパーオキサイド(化薬アクゾ株式会社製、商品名:カヤクメンH)。
・パーカドックスCH−50L:ベンゾイルパーオキサイド50%品(化薬アクゾ株式会社製、商品名:パーカドックスCH−50L)。
【0098】
表3から明らかなように、実施例1〜8のシラップ組成物は、いずれも硬化性が良好であった。また、各シラップ組成物から形成された塗膜は、コンクリートおよび鋼板基材に対して優れた接着性を有していた。
一方、単量体(a)を含まない比較例1のシラップ組成物や多価金属石鹸(f)を含まない比較例2のシラップ組成物から形成された塗膜は、鋼板基材に対する接着性が悪かった。
【0099】
[実施例9〜12]
組成物(S−1)をシラップ配合組成物(T−1)〜(T−4)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシラップ組成物を調製し、各種測定、評価を行った。結果を表4に示す。
【0100】
【表4】

【0101】
表4から明らかなように、実施例9〜12のシラップ配合組成物は、いずれも硬化性が良好であった。また、各シラップ配合組成物から形成された塗膜は、コンクリートおよび鋼板基材に対して優れた接着性を有していた。
【0102】
[組成物(S)(A剤、B剤)の調製]
<組成物(S−11A、S−11B)の調製>
組成物(S−11A)と組成物(S−11B)を以下の手順で調製した。これらの組成物は、組成物(S−11A)52部と組成物(S−11B)52部の2つの組成物を配合して1液にしたときに、組成物(S−1)100部に対して、有機過酸化物(e)を4部加えた配合になるように、組成物の配合組成を変更したものである。
【0103】
攪拌機、温度計、冷却管付きの1Lフラスコに、単量体(b2)としてTHFMAを79.6部と、単量体(c)としてBPE−4を10.2部と、重合禁止剤としてMHQを0.0286部と、ワックス(k)としてパラフィン115を0.82部、パラフィン130を0.61部、およびパラフィン150を0.41部と、消泡剤として230EFを1.02部と、三級アミン(g)としてDMPTを2.04部投入した後、攪拌しながら、樹脂(d)としてポリマー1を11.0部投入した。引き続き、60℃で2時間加熱して、溶解した。溶解を確認後、30℃以下に冷却し、有機過酸化物(e)としてカヤクメンHを8.36部加え、1時間撹拌した後に組成物(S−11A)を得た。得られた組成物(S−11A)の配合組成を表5に示す。
【0104】
攪拌機、温度計、冷却管付きの1Lフラスコに、単量体(a)としてNKエステルA−SAを9.8部と、単量体(b1)として2−HEMAを39.2部と、単量体(b2)としてTHFMAを9.8部と、2−EHAを19.6部と、単量体(c)としてBPE−4を9.8部と、消泡剤230EFを0.98部投入した後、攪拌しながら、樹脂(d)としてポリマー1を11.8部、を投入した。引き続き、60℃で2時間加熱して、溶解した。溶解を確認後、30℃以下に冷却し、ナフテン酸コバルト溶液(日本化学産業株式会社製、商品名:ナフテン酸コバルト(6%)、以下「ナフテン酸コバルト溶液」と略す)4.02部を加え、1時間撹拌した後に組成物(S−11B)を得た。得られた組成物(S−11B)の配合組成を表5に示す。
【0105】
<組成物(S−12A)、(S−12B)の調製>
表5に記載の配合組成にすること以外は、組成物(S−11A)および組成物(S−11B)の調製と同様にして組成物(S−12A)と組成物(S−12B)を得た。
【0106】
【表5】

【0107】
[シラップ配合組成物(T)(A剤、B剤)の調製]
<シラップ配合組成物(T−5A)の調整>
ポリプロピレン製の1Lの容器に、表5に記載の組成物(S−11A)を100部投入し、撹拌しながらG−100を50部投入した。引き続き、室温23℃の部屋でホモディスパーを使用して、毎分1,000回転で5分間撹拌し、G−100が均一に分散した事を確認し、シラップ配合組成物(T−5A)を得た。得られたシラップ配合組成物(T−5A)の配合組成を表6に示す。
【0108】
<シラップ配合組成物(T−5B)、(T−6A)、(T−6B)の調整>
組成物(S−11A)を組成物(S−11B)、(S−12A)または(S−12B)に変更した以外は、シラップ配合組成物(T−5A)の調整と同様にしてシラップ配合組成物(T−5B)、(T−6A)、(T−6B)を得た。各シラップ配合組成物の配合組成を表6に示す。
【0109】
【表6】

【0110】
[実施例13〜16]
表7に示す種類と配合量のA剤とB剤を混合してシラップ組成物を調製した。得られたシラップ組成物について、実施例1と同様に、各種測定、評価を行った。結果を表7に示す。
【0111】
【表7】

【0112】
[実施例17]
組成物(S−11A)および組成物(S−11B)を用い、以下の手順でシラップ組成物の調製、測定、評価を行った。配合比率および結果を表8に示す。
【0113】
(硬化時間の測定)
組成物(S−11A)50部と組成物(S−11B)50部を雰囲気温度5℃の恒温槽中にて2時間放置した後、混合し、得られた組成物100部に対して、有機過酸化物(e)としてパーカドックスCH−50Lを1部加え、十分に撹拌してシラップ組成物を得た。
得られたシラップ組成物を内径10mmの試験管(長さ12cm)の下部より7cmの位置まで投入した。ついで、再度、雰囲気温度5℃の恒温槽中に試験管を投入し、その中心部に熱電対を投入し、重合発熱による温度変化を記録した。このとき、有機過酸化物(e)を加えてから最大発熱温度に到達するまでに要した時間を硬化時間(分)とした。
【0114】
(硬化性の評価)
JISコンクリート板(JIS−A5371(プレキャスト無筋コンクリート製品)に規定、30cm×30cm×厚さ6cm)の表面をJIS−R6252「研磨紙」に規定される150番研磨紙により充分に研磨し、これを基材とした。この基材と、組成物(S−11A)50部と組成物(S−11B)50部を予め、雰囲気温度5℃の恒温槽中にて24時間放置した。
ついで、組成物(S−11A)50部と組成物(S−11B)50部を混合し、得られた組成物100部に対して、有機過酸化物(e)としてパーカドックスCH−50Lを1部加え、十分に撹拌してシラップ組成物を得た。
得られたシラップ組成物を塗膜の厚さが1mmになるように、上記基材上にヘラで塗装して塗膜を形成した。得られた塗膜の表面の硬化性を指触にて確認し、下記評価基準に基づき評価した。
○:経過時間2時間未満でタックなし。
△:経過時間2〜4時間でタックなし。
×:4時間経過してもタックあり。
【0115】
(接着性の評価)
JISコンクリート板をSS−400鋼板(JIS−G3101(一般構造用圧延鋼材)、30cm×30cm×厚さ3mm)に変更した以外は前記硬化性の評価と同様にして、基材上にシラップ組成物を塗装して、基材上に塗膜が形成された試験片を得た。
得られた試験片を23℃の環境下で7日間放置した。その後、塗り床材の付着強さ試験方法(日本塗り床工業会試験方法、NNK−005(2006)、塗り床ハンドブック掲載)に基づき、試験片の塗膜表面に、付着面が40mm×40mmの正方形の鋼製治具を、接着剤を用いて貼り付け、塗り床材の付着強さ試験方法に基づき23℃にて試験を実施し接着性の評価を行った。接着剤としてはアロンアルファEXTRA2020(商品名、東亞合成(株)製)を用いた。接着性の評価は下記基準に基づいて行った。
cn:コンクリートの凝集破壊。
s−k:鋼板とシラップ組成物硬化物(シラップ配合組成物硬化物)の層間破壊。
s:シラップ組成物硬化物(シラップ配合組成物硬化物)の凝集破壊。
接着性は、「cn:コンクリートの凝集破壊」や「s:シラップ組成物硬化物(シラップ配合組成物の硬化物)の凝集破壊」が良好で、「s−k:鋼板とシラップ組成物硬化物(シラップ配合組成物の硬化物)の層間破壊」を不良とした。
【0116】
[実施例18]
組成物(S−11A)と組成物(S−11B)を、組成物(T−5A)と組成物(T−5B)に変更し、配合量を表8に示す量に変更した以外は、実施例17と同様にしてシラップ配合組成物を製造し、各種測定、評価を行った。結果を表8に示す。
【0117】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)と、
前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)を除く、1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(b)と、
前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレート(a)を除く、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(c)と、
ガラス転移温度が20〜155℃であるエポキシ系樹脂以外の樹脂(d)と、
多価金属石鹸(f)と、
を含むシラップ組成物。
【請求項2】
前記単量体(b)として、
水酸基と1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(b1)と、
前記単量体(b1)を除く、1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(b2)と、
を含む請求項1記載のシラップ組成物。
【請求項3】
さらに、三級アミン(g)を含む請求項1又は2記載のシラップ組成物。
【請求項4】
下記のA剤とB剤とを混合して得られたものである、請求項3記載のシラップ組成物。
A剤:少なくとも前記三級アミン(g)を含む液。
B剤:少なくとも前記カルボン酸含有(メタ)アクリレート(a)、前記単量体(b1)および前記多価金属石鹸(f)を含む液。
ただし、前記単量体(b2)、前記単量体(c)および前記樹脂(d)はそれぞれ、前記A剤および前記B剤のいずれか一方または両方に含まれる。
【請求項5】
さらに有機過酸化物(e)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシラップ組成物。
【請求項6】
前記A剤がさらに有機過酸化物(e)を含む、請求項4記載のシラップ組成物。
【請求項7】
さらにリン酸エステル系単量体(h)を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシラップ組成物。
【請求項8】
さらにエポキシ系樹脂(i)を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシラップ組成物。
【請求項9】
土木建築用の基材に対して、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシラップ組成物を塗工し、該シラップ組成物が硬化する前に無機基材を貼り付けて一体硬化させてなる積層体。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のシラップ組成物に骨材(j)を配合して得られるシラップ配合組成物。
【請求項11】
土木建築用の基材に対して、請求項10に記載のシラップ配合組成物を塗工し、該シラップ配合組成物が硬化する前に無機基材を貼り付けて一体硬化させてなる積層体。
【請求項12】
前記土木建築用の基材がコンクリートおよび/または鋼材から構成されるものであり、前記無機基材がコンクリート成型品である、請求項9または11に記載の積層体。

【公開番号】特開2013−10882(P2013−10882A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145097(P2011−145097)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】