説明

シラノール化合物の製造方法

【課題】経済的なアリールシラノール化合物の製法の提供。
【解決手段】式(1)化合物に酸化剤を反応させてシラノール化合物(2)を製造する。




〔Rは置換基を有していてもよいアリール基等、R、Rはアルキル基、Xはハロゲン等を示し、nは1〜3である〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアリールシラノール化合物、及び芳香族複素環シラノール化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々のビアリール化合物は、医薬品、農薬及び電子材料などの機能性材料に広く使用されているが、その主たる製造方法のひとつとして、パラジウム触媒存在下に、アリールシラノール化合物又は芳香族複素環シラノール化合物と、芳香族臭化物又は芳香族ヨウ化物とのクロス−カップリング反応(炭素−炭素結合反応)が知られている(例えば、非特許文献1)。そこで、目的のビアリール化合物を得るための製造原料として、所望のアリールシラノール化合物、又は芳香族複素環シラノール化合物を、経済的かつ安全で、効率的に得ることは重要な課題のひとつとなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
非特許文献2には、芳香族臭化物にn−ブチルリチウムを反応させた(金属−ハロゲン交換反応)後、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを反応させて芳香族シラノール化合物を得る反応例が記載されている。しかしこの反応では金属−ハロゲン交換反応の際、ハロゲン原子、低級アルキル基で保護されたカルボキシル基等の置換基を含む基質では該置換基との副反応が生じるため、反応に適用できる基質に限界がある。即ち低級アルキル基、低級アルコキシ基等の置換基に限られる。
【0004】
一方、非特許文献3には芳香族臭化物にパラジウム触媒、ホスフィンリガンド、塩基存在下1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシランを反応させた後、得られたシリルエチルエーテル体を加水分解させて芳香族シラノール化合物を得る反応例が記載されている。この反応においては、高価な1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシランや、触媒量ではあるが高価な(2−ビフェニル)ジtert−ブチルホスフィンを使用すること、またシリルエチルエーテルを加水分解させる際に、基質によってはシラノール2量体が副生することなど、工業的に有利な製法とは言い難い。
【0005】
【非特許文献1】ChemFiles、6巻、5号、2007年、アルドリッチ社
【非特許文献2】Bull.Chem.Soc.Jpn.、73巻、p.1409−1417、2000年
【非特許文献3】Org.Lett.、5巻、p.3483−3486、2003年
【0006】
本発明の課題は高価な試薬を必要とせず、経済的かつ安全で効率的に式(2)で表されるアリールシラノール化合物及び芳香族複素環シラノール化合物を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は式(1)で表されるシリル化合物に酸化剤を反応させることを特徴とする、式(2)で表されるシラノール化合物の製造方法に係る。
【0008】
【化1】

〔式中Rは置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を、R、Rは同一又は相異なって低級アルキル基を、Xは水酸基、又はハロゲン原子を示し、nは1〜3である〕
【0009】
【化2】

〔式中R〜R、及びnは上記に同じ〕
【0010】
本発明者らは、アリールシリル化合物及び芳香族複素環シリル化合物に酸化剤を反応させることにより、アリールシラノール化合物及び芳香族複素環シラノール化合物を与えることを見出し、本発明の新規反応に到達した。
【発明の効果】
【0011】
本発明は高価な試薬を必要とせず、経済的かつ安全で、効率的に式(2)で表されるアリールシラノール化合物及び芳香族複素環シラノール化合物を製造する方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
式(1)中、Rで示される「置換基を有していてもよいアリール基」の「アリール基」とは、炭素数6〜14のアリール基を示し、フェニル基、ナフチル基が例示され、好ましくはフェニル基である。
【0013】
式(1)中、Rで示される「置換基を有していてもよい芳香族複素環基」の「芳香族複素環基」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる原子を1〜3個含む、5〜6員の単環性又は2環性の芳香族複素環基を示し、フラニル基、チオフェニル基、ピロリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基等の5員環基、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基等の6員環基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キノリル基、イソキノリル基等の2環性基が例示され、好ましくはフラニル基、チオフェニル基である。
【0014】
式(1)中、R、Rで示される「低級アルキル基」とは、炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状アルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基等が例示され、好ましくはメチル基である。
【0015】
式(1)中、Xで示される「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示され、好ましくは塩素原子、臭素原子である。
式(1)中、R、R、Rで示される「低級アルキル基」としては、上記のアルキル基が例示され、好ましくはメチル基である。
【0016】
式(1)中、Rで示される「置換基を有していてもよいアリール基」の「置換基」としては、保護基で保護されていてもよい水酸基、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フェノキシ基、低級アルキル基で保護されていてもよいカルボキシル基、シアノ基が例示され、好ましくは、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルキル基で保護されていてもよいカルボキシル基であり、より好ましくは臭素原子、塩素原子、メトキシ基、メトキシカルボニル基、カルボキシル基である。該置換基の個数は1〜3個であり、好ましくは1個である。
【0017】
式(1)中、Rで示される「置換基を有していてもよい芳香族複素環基」の「置換基」としては、上記の置換基が例示される。置換基の個数は1又は2個である。
【0018】
式(1)中、Rが置換基としても有していてもよい「置換基を有していてもよいフェニルアミノカルボニル基」の「置換基」としては、上記の置換基が例示され、好ましくは低級アルキル基で保護されていてもよいカルボキシル基であり、より好ましくは、メチル基又はエチル基で保護されていてもよいカルボキシル基であり、特に好ましくはカルボキシル基である。該置換基の個数は1又は2個であり、好ましくは1個である。
【0019】
式(1)中、R、R、Rで示される「置換基を有していてもよい低級アルキル基」の「置換基」としては、上記の置換基が例示され、好ましくはハロゲン原子、保護基で保護されていてもよい水酸基であり、より好ましくは、テトラヒドロピラニル基により保護されていてもよい水酸基である。該置換基の個数は1又は2個であり、好ましくは1個である。
式(1)中、Rが置換基として有していてもよい「保護基により保護されていてもよい水酸基」の「保護基」としては、通常水酸基の保護基として用いられる保護基であれば特に制限はないが、アセチル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、テトラヒドロピラニル基、ベンジル基等が例示される。
式(1)中、nは1〜3であり、好ましくは1又は2である。
【0020】
本発明の製造方法を、以下の反応式を参照して説明する。
【0021】
【化3】

【0022】
式(1)で表されるアリールシリル化合物及び芳香族複素環シリル化合物は市販されているものを入手するか、或いは公知の方法により製造することができる。例えば、アリールシリルメタノール化合物、芳香族複素環シリルメタノール化合物は特願2007−154746号記載の方法により得られるハロゲノメチル(ジ低級アルキル)シリル化合物のハロゲンを、通常公知の方法によりアセトキシ化後、通常公知の方法で加水分解することにより、製造することができる。
式(1)の化合物としては、3−ヒドロキシメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル、4−ヒドロキシメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル、3−ブロモ−5−ヒドロキシメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル、4−(3−ヒドロキシメチルジメチルシリル−5−トリメチルシリルベンズアミド)安息香酸、4−(3,5−ジ−ヒドロキシメチルジメチルシリルベンズアミド)安息香酸、4−(3−ヒドロキシメチルジメチルシリル−5−テトラヒドロピラノキシメチルジメチルシリルベンズアミド)安息香酸、4−ヒドロキシメチルジメチルシリルアニソール、4−ヒドロキシメチルジメチルシリル−クロロベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチルジメチルシリル)ベンゼン、2−ヒドロキシメチルジメチルシリルチオフェン、3−ヒドロキシメチルジメチルシリルフラン、4−クロロメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル、4−ブロモメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル、4−クロロメチルジメチルシリルアニソール、4−ブロモメチルジメチルシリルアニソール、4−クロロメチルジメチルシリル−クロロベンゼン、4−ブロモメチルジメチルシリル−クロロベンゼン、3−クロロメチルジメチルシリルフラン、3−ブロモメチルジメチルシリルフラン等が例示される。
【0023】
式(1)で表されるアリールシリル化合物及び芳香族複素環シリル化合物に、必要により溶媒中で、酸化剤を作用させることにより、式(2)で表されるアリールシラノール化合物及び芳香族複素環シラノール化合物を得ることが出来る。
【0024】
酸化剤は、一般的にアルコール類をアルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類に酸化する酸化剤が使用できるが、三酸化硫黄ピリジン錯体;N,N−ジメチルスルホキシド(DMSO)/オキザリクロライド/トリエチルアミン;次亜塩素酸ナトリウム/2,2,6,6―テトラメチルピペリジン−N−オキシド(TEMPO);クロロクロム酸ピリジニウム;二クロム酸ピリジニウム;トリメチルアミンN−オキシド(TMANO)、モルフォリンN−オキシド等のアミンN−オキシドが例示される。Xが水酸基の場合には、好ましくは次亜塩素酸ナトリウム/TEMPO、三酸化硫黄ピリジン錯体であり、より好ましくはコスト、環境への配慮から次亜塩素酸ナトリウム/TEMPOである。Xがハロゲン原子の場合には、TMANO、モルフォリンN−オキシド等のアミンN−オキシドであり、より好ましくはコスト、環境への配慮からTMANOである。酸化剤の等量数は0.8等量〜10等量であり、好ましくは1.0等量〜4.0等量である。反応溶媒は、反応に影響を及ぼさず、通常用いられる溶媒であれば特に制限はないが、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウム/TEMPOを用いる場合にはアセトン、塩化メチレンが例示され、好ましくはアセトンである。酸化剤としてトリメチルアミンN−オキシド、モルフォリンN−オキシド等のアミンN−オキシドを用いる場合にはジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が例示され、好ましくはジメチルスルホキシドである。反応時間は5分〜24時間であり、好ましくは10分〜18時間である。反応温度は0℃〜70℃であり、好ましくは5℃〜60℃である。反応後の後処理としては通常知られた方法で行うが、例えば、濃縮後、酢酸エチル、ジクロルメタン等の有機溶媒で抽出し、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等で乾燥後、濃縮して目的物の式(2)で表されるアリールシラノール化合物及び芳香族複素環シラノール化合物が得られる。得られた化合物は必要に応じて通常の方法で精製してもよく、精製方法としては再結晶、カラムクロマトグラフィーが例示される。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1
3−クロロメチルジメチルシリル安息香酸(1a)の合成
アルゴン気流下、3−ブロモ安息香酸5.0g(24.9mmol)を乾燥テトラヒドロフラン250mLに溶解し、−15℃で1mol/Lのジブチルマグネシウムヘプタン溶液13.7mLを滴下した。同温で20分撹拌後、−30℃で1.58mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液17.3mLを徐々に滴下し、同温で30分撹拌後、クロロメチルジメチルシリルクロリド3.93mLを滴下した。−30℃で30分撹拌後、室温で終夜撹拌した。次に氷冷下に飽和塩化アンモニウム水溶液10mLでクエンチし反応液を濃縮した。残渣に水300mLを加え、2N塩酸で水層のpHを2〜3とした後、酢酸エチル(300mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物を7.18g得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=20:80で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物1.19g(収率:21%)を得た。融点:99〜100℃
1H−NMR(CDCl、δppm):
10.71(1H、brs)、8.29(1H、s)、8.15(1H、d、J=7.7Hz)、7.80(1H、d、J=7.2Hz)、7.50(1H、dd、J=7.7Hz、J=7.2Hz)、2.98(2H、s)、0.47(6H、s)
FABMS:227(M−H)
【0027】
3−クロロメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル(1b)の合成
化合物(1a)973mgをメタノール10mL、トルエン40mLに溶解し、室温で2mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタンヘキサン溶液3.19mLを加え15分撹拌した。次に反応系の色が消失するまで酢酸を加え、溶媒を留去し粗生成物を1.12g得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=10:90で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物948mg(収率:92%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.20(1H、s)、8.07(1H、d、J=7.7Hz)、7.74(1H、d、J=7.2Hz)、7.46(1H、dd、J=7.7Hz、J=7.2Hz)、3.93(3H、s)、2.97(2H、s)、0.45(6H、s)
FABMS:243(M+H)
【0028】
3−アセトキシメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル(1c)の合成
化合物(1b)882mgをジメチルホルムアミド18mLに溶解し、酢酸カリウム1.43gを加え70℃で4時間撹拌した。次に水60mLを加え、酢酸エチル:ヘキサン=1:2混合溶媒(60mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物934mgを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=10:90で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物798mg(収率:82%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.21(1H、s)、8.06(1H、d、J=7.7Hz)、7.72(1H、d、J=7.2Hz)、7.45(1H、dd、J=7.7Hz、J=7.2Hz)、3.97(3H、s)、3.93(2H、s)、0.39(6H、s)
FABMS:267(M+H)
【0029】
3−ヒドロキシメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル(1d)の合成
化合物(1c)774mgをメタノール14mLに溶解し、炭酸カリウム402mgを加え室温で3時間撹拌した。次に水50mLを加え、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物を638mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=16:84で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物553mg(収率:85%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.23(1H、s)、8.05(1H、d、J=7.7Hz)、7.76(1H、d、J=7.2Hz)、7.45(1H、dd、J=7.7Hz、J=7.2Hz)、3.92(3H、s)、3.61(2H、s)、1.10(1H、brs)、0.39(6H、s)
FABMS:225(M+H)
【0030】
3−ヒドロキシジメチルシリル安息香酸メチルエステル(1)の合成
化合物(1d)364mgをアセトン10.8mLに溶解し、氷冷下2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド(以下TEMPOと略す)25.3mg、臭化カリウム19.3mgを加え、5%次亜塩素酸ナトリウム4.82gを0.5mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液10.8mLに溶解した溶液を順次加え室温で1時間撹拌した。次に飽和塩化アンモニウム水溶液10.8mLを加え、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物を366mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物300mg(収率:88%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.24(1H、s)、8.03(1H、d、J=7.7Hz)、7.77(1H、d、J=7.4Hz)、7.43(1H、dd、J=7.7Hz、J=7.4Hz)、3.91(3H、s)、2.63(1H、brs)、0.42(6H、s)
FABMS:211(M+H)
【0031】
実施例2
4−クロロメチルジメチルシリル安息香酸(2a)の合成
4−ブロモ安息香酸5.0gを用いて化合物(1a)と同様の方法でリチウム化後、クロロメチルジメチルシリルクロリド7.54mLを反応させ、同様の処理により無色油状の表題化合物4.92g(収率:86%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.10(2H、d、J=7.9Hz)、7.67(2H、d、J=7.9Hz)、2.97(2H、s)、0.48(6H、s)
FABMS:227(M−H)
【0032】
4−クロロメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル(2b)の合成
化合物(2a)1.94gを用いて化合物(1b)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物1.33g(収率:65%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.02(2H、d、J=7.9Hz)、7.62(2H、d、J=7.9Hz)、3.92(3H、s)、2.96(2H、s)、0.44(6H、s)
FABMS:243(M+H)
【0033】
4−アセトキシメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル(2c)の合成
化合物(2b)1.24gを用いて化合物(1c)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物1.20g(収率:88%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.01(2H、d、J=8.1Hz)、7.61(2H、d、J=7.1Hz)、3.97(2H、s)、3.92(3H、s)、2.02(3H、s)、0.38(6H、s)
FABMS:265(M−H)
【0034】
4−ヒドロキシメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル(2d)の合成
化合物(2c)1.06gを用いて化合物(1d)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物746mg(収率:84%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.01(2H、d、J=7.9Hz)、7.64(2H、d、J=7.9Hz)、3.91(3H、s)、3.59(2H、s)、1.35(1H、brs)、0.37(6H、s)
FABMS:225(M+H)
【0035】
4−ヒドロキシジメチルシリル安息香酸メチルエステル(2)の合成
化合物(2d)300mgを用いて化合物(1)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物232mg(収率:82%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.96(2H、d、J=7.9Hz)、7.63(2H、d、J=7.9Hz)、3.89(3H、s)、3.00(1H、brs)、0.39(6H、s)
FABMS:211(M+H)
【0036】
実施例3
3−ブロモ−5−クロロメチルジメチルシリル安息香酸(3a)の合成
アルゴン気流下、3,5−ジブロモ安息香酸21.3gを乾燥テトラヒドロフラン300mLに溶解し、−15℃で1mol/Lのジブチルマグネシウムヘプタン溶液41.8mLを滴下した。同温で40分撹拌後、−30℃で1.58mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液53mLを徐々に滴下し、同温で1時間撹拌後、クロロメチルジメチルシリルクロリド23mLを滴下した。−30℃で30分撹拌後、室温で4時間撹拌した。次に氷冷下に飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチ後、反応液を濃縮した。残渣に飽和塩化アンモニウム水溶液800mLを加え酢酸エチル(1000mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物33.49gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=16:84で溶出)で精製し、表題化合物12.1g(収率:51%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.26(1H、dd、J=1.7Hz J=1.7Hz)、8.18(1H、dd、J=1.7Hz J=1.7Hz)、7.88(1H、m)、2.97(2H、s)、0.47(6H、s)
【0037】
3−ブロモ−5−クロロメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル(3b)の合成
化合物(3a)8.90gをメタノール30mL、トルエン120mLに溶解し、氷冷下に2mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタンヘキサン溶液25mLを加え、同温で30分、室温で30分撹拌した。次に反応系の色が消失するまで酢酸を加え溶媒を留去し粗生成物8.61gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:20で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物7.46g(収率:80%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.19(1H、s)、8.10(1H、s)、7.81(1H、s)、3.94(3H、s)、2.96(2H、s)、0.46(6H、s)
【0038】
3−ブロモ−5−アセトキシメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル(3c)の合成
化合物(3b)7.44gをジメチルホルムアミド120mLに溶解し、酢酸カリウム9.08g)を加え、90℃で3時間撹拌した。次に水120mLを加え、酢酸エチル:ヘキサン=1:2混合溶媒(150mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物7.32gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:8で溶出)で精製し、淡黄色油状の表題化合物4.68g(収率:59%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.18(1H、s)、8.10(1H、s)、7.80(1H、s)、3.95(2H、s)、3.93(3H、s)、2.04(3H、s)、0.39(6H、s)
【0039】
3−ブロモ−5−ヒドロキシメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル(3d)の合成
化合物(3c)4.66gをメタノール90mLに溶解し、炭酸カリウム2.05gを加え、室温で3.5時間撹拌した。次に水150mLを加え、酢酸エチル(150mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物3.30gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:8で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物2.09g(収率:51%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.17(1H、s)、8.13(1H、s)、7.85(1H、s)、3.93(3H、s)、3.62(2H、d、J=4.6Hz)0.97(1H、t、J=4.3Hz)、0.38(6H、s)
【0040】
3−ブロモ−5−ヒドロキシジメチルシリル安息香酸メチルエステル(3)の合成
化合物(3d)302mgをアセトン6.6mLに溶解し、氷冷下TEMPO15.6mg、臭化カリウム11.9mgを加え、5%次亜塩素酸ナトリウム2.97gを0.5mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液6.6mLに溶解した溶液を順次加え、室温で1時間撹拌した。次に飽和塩化アンモニウム水溶液6.6mLを加え、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物259mgを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:4で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物212mg(収率:74%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.17(1H、s)、8.15(1H、s)、7.87(1H、s)、3.93(3H、s)、2.13(1H、brs)、0.43(6H、s)
【0041】
実施例4
3―クロロメチルジメチルシリル−5−トリメチルシリル安息香酸(4a)の合成
アルゴン気流下、化合物(3a)12.1gを乾燥テトラヒドロフラン20mLに溶解し、−15℃で1mol/Lのジブチルマグネシウムヘプタン溶液21.6mLを滴下した。同温で40分撹拌後、−30℃で1.58mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液27.4mLを徐々に滴下し、同温で1時間撹拌後、トリメチルシリルブロミド11.9mLを滴下した。同温で30分撹拌後、室温で終夜撹拌した。次に氷冷下に飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチ後反応液を濃縮した。残渣に飽和塩化アンモニウム水溶液340mLを加え酢酸エチル(800mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し表題化合物10.2g(収率:86%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.28(1H、dd、J=1.6Hz J=1.6Hz)、8.24(1H、dd、J=1.6Hz、J=1.6Hz)、7.91(1H、dd、J=1.6Hz、J=1.6Hz)、2.99(2H、s)、0.47(6H、s)、0.32(9H、s)
【0042】
4−(3−クロロメチルジメチルシリル−5−トリメチルシリルベンズアミド)安息香酸エチルエステル(4b)の合成
化合物(4a)10.2gをアセトニトリル170mLに溶解し、p−アミノ安息香酸エチルエステル6.72g、ピリジン2.73mL、オキシ塩化リン1.63mLを加えて2時間還流した。冷後、水300mLを加え酢酸エチル(300mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:9で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物5.89g(収率:39%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.06(2H、d、J=8.7Hz)、7.99―8.00(3H、m)7.86(1H、dd、J=1.0Hz、J=1.0Hz)、7.75(2H、d、J=8.7Hz)、4.38(2H、q、J=7.3Hz)、2.99(2H、s)、1.40(3H、t、J=7.3Hz)0.47(6H、s)、0.32(9H、s)
【0043】
4−(3−アセトキシメチルジメチルシリル−5−トリメチルシリルベンズアミド)安息香酸エチルエステル(4c)の合成
化合物(4b)5.86gをジメチルホルムアミド200mLに溶解し、酢酸カリウム5.13gを加えて、70℃で5時間撹拌した。冷後、水300mLを加え、酢酸エチル:ヘキサン=1:2(300mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=2:8で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物4.82g(収率:78%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.13(1H、brs)、8.08(2H、d、J=8.6Hz)、8.00―8.02(2H、m)、7.84(1H、dd、J=1.2Hz、J=1.2Hz)、7.80(2H、d、J=8.6Hz)、4.38(2H、q、J=7.1Hz)、4.09(2H、s)、2.00(3H、s)、1.41(3H、t、J=7.1Hz)、0.41(6H、s)、0.32(9H、s)
【0044】
4−(3−ヒドロキシメチルジメチルシリル−5−トリメチルシリルベンズアミド)安息香酸(4d)の合成
化合物(4c)4.82gをメタノール200mLと水50mLの混液に溶解し、2N水酸化ナトリウム溶液17.9mLを加えて、50℃で3時間撹拌した。冷後、メタノールを留去し後、2N塩酸17.9mLで中和し析出物を濾取した。メタノール/水から再結晶し白色固体の表題化合物2.54g(収率:62%)を得た。融点:217〜218℃
1H−NMR(DMSOd、δppm):
12.77(1H、brs)、10.51(1H、s)、7.88―8.04(7H、m)、4.19(1H、brs)、3.40(2H、s)、0.32(15H、s)
LC−MS:m/z=400(ネガチブ)
【0045】
4−(3−ヒドロキシジメチルシリル−5−トリメチルシリルベンズアミド)安息香酸(4)の合成
化合物(4d)200mgをジメチルスルホキシド3mLに溶解し、トリエチルアミン0.45mL、三酸化硫黄ピリジン錯体238mgを加えて、室温で30分撹拌した。水40mLを加え、更に2N塩酸で反応液のpHを1〜2に調整後、酢酸エチル(40mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=4:6で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物52.5mg(収率:26%)を得た。融点:110〜111℃
1H−NMR(DMSOd6、δppm):
12.75(1H、brs)10.53(1H、s)、7.85―8.08(7H、m)、6.05(1H、brs)、0.31(15H、s)
LC−MS:m/z=386(ネガチブ)
【0046】
実施例5
4−(3−ヒドロキシジメチルシリル−5−トリメチルシリルベンズアミド)安息香酸(4)の合成
化合物(4d)300mgをアセトン5mLに溶解し、氷冷下TEMPO11.7mg、臭化カリウム8.9mg、5%次亜塩素酸2.22g/0.5mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液5mLの混液を加えて、室温で1時間撹拌した。水40mLを加え更に2N塩酸で反応液のpHを4〜5に調整後、酢酸エチル(40mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1で溶出)で精製し、表題化合物288mg(収率:99%)を得た。なお、物性値(1H−NMR、LC−MS、融点)は実施例4に一致した。
【0047】
実施例6
3,5−ジクロロメチルジメチルシリル安息香酸(6a)の合成
アルゴン気流下、化合物(3a)3.3gを乾燥テトラヒドロフラン60mLに溶解し、−10℃で1mol/Lのジブチルマグネシウムヘプタン溶液5.58mLを滴下した。40分撹拌後、−20℃で1.58mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液8.14mLを徐々に滴下し、同温で1時間撹拌後、クロロメチルジメチルシリルクロリド3.24mLを滴下した。−15℃で30分撹拌後、室温で終夜撹拌した。次に氷冷下に飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチ後、反応液を濃縮した。希塩酸で酸性とした後、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し表題化合物4.53gを得た。精製する事なく次の反応に使用した。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.92(2H、s)、7.96(1H、s)、2.98(4H、s)、0.47(12H、s)
【0048】
4−(3,5−ジクロロメチルジメチルシリルベンズアミド)安息香酸エチルエステル(6b)の合成
化合物(6a)6.72g、p−アミノ安息香酸エチルエステル3.25g、ピリジン1.44mL、アセトニトリル120mLの混液にオキシ塩化リン0.86mLを加えて1時間還流した。冷後、水50mLを加え酢酸エチル(70mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=16:84で溶出)で精製し、アモルファスの表題化合物2.09g(収率:22%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.09(2H、d、J=8.4Hz)、8.03(2H、s)、7.91(1H、s)、7.88(1H、s)、7.74(2H、d、J=8.6Hz)、4.39(2H、q、J=7.3Hz)、3.00(4H、s)、1.41(3H、t、J=7.1Hz)、0.48(12H、s)
【0049】
4−(3,5−ジアセトキシメチルジメチルシリルベンズアミド)安息香酸エチルエステル(6c)の合成
化合物(6b)2.08gをジメチルホルムアミド100mLに溶解し、酢酸カリウム2.96gを加えて、100℃で2.5時間撹拌した。冷後、水200mLを加え酢酸エチル:ヘキサン=1:2(100mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=17:83で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物2.23g(収率:98%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.33(1H、s)、8.00−8.02(4H、m)、7.82−7.86(3H、m)、4.38(2H、q、J=7.1Hz)、2.01(4H、s)、1.41(3H、t、J=7.1Hz)、0.41(6H、s)、0.41(12H、s)
【0050】
4−(3,5−ジヒドロキシメチルジメチルシリルベンズアミド)安息香酸(6d)の合成
化合物(6c)2.23gをメタノール55mLに溶解し、1N水酸化ナトリウム溶液21mLを加えて、室温で6時間撹拌した。更に1N水酸化ナトリウム溶液12.6mLを加えて5時間、室温で撹拌した。メタノールを留去した後、氷冷下に1N塩酸33.6mLで中和し析出物を濾取した。メタノール/水から再結晶後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=91:9で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物706mg(収率:40%)を得た。融点:217〜220℃
1H−NMR(CDCl、δppm):
12.71(1H、brs)、10.50(1H、s)、8.05(2H、s)、7.86−7.96(5H、m)、4.18(2H、s)、3.40(4H、s)、0.31(12H、s)
LC−MS:m/z=418(ポジティブ)
【0051】
4−(3,5―ジヒドロキシジメチルシリルベンズアミド)安息香酸(6)の合成
化合物(6d)55mgをアセトン1.5mLに溶解し、氷冷下TEMPO2.06mg、臭化カリウム1.57mg、5%次亜塩素酸786mg/0.5mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液1.5mLの混液を加えて、室温で2時間撹拌した。水10mLを加え更に1N塩酸で反応液のpHを4〜5に調整後、酢酸エチル(8mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1で溶出)で精製し、表題化合物38.6mg(収率:75%)を得た。融点:156〜157℃
1H−NMR(DMSOd、δppm):
10.54(1H、brs)、8.14―8.05(2H、m)、8.00―7.85(5H、m)、6.04(2H、brs)、0.31(12H、s)
【0052】
実施例7
4−(3−アセトキシメチルジメチルシリル−5−ヒドロシメチルジメチルシリルベンズアミド)安息香酸エチルエステル(7a)の合成
化合物(6c)2.38gをエタノール56mLに溶解し、炭酸カリウム621mgを加えて、室温で1.5時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム25mLを加えてエタノールを留去し後、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物1.05g(収率:48%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.27(1H、s)、8.01−8.12(4H、m)、7.89(1H、s)、7.80(2H、d、J=8.6Hz)、4.34(2H、q、J=7.1Hz)、4.08(2H、s)、3.63(2H、s)、2.00(3H,s)、1.41(3H、t、J=7.1Hz)、1.23(1H、brs)、0.41(6H,s)、0.39(6H、s)
【0053】
4−(3−アセトキシメチルジメチルシリル−5−テトラヒドロピラノキシメチルジメチルシリルベンズアミド)安息香酸エチルエステル(7b)の合成
化合物(7a)1.0g、ジヒドロピラン204μL、p−トルエンスルホン酸・1水和物39mgを塩化メチレン25mL中、室温で1.0時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mLを加えて塩化メチレン(100mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し淡黄色油状の表題化合物1.18g(収率:100%)を得た。精製することなく次の反応に用いた。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.02−8.21(5H、m)、7.91(1H、s)、7.80(2H、d、J=8.4Hz)、4.49(1H、m)、4.38(2H、q、J=7.1Hz)、4.07(2H、s)、3.75(1H、d、J=13.1Hz)、3.68−3.79(1H、m)、3.42―3.53(1H、m)、3.21(1H、d、J=13.1Hz)、2.01(3H、s)、1.40−1.87(6H、m)、1.41(3H、t、J=7.1Hz)、0.41(6H、s)、0.39(6H、s)
【0054】
4−(3−ヒドロキシメチルジメチルシリル−5−テトラヒドロピラノキシメチルジメチルシリルベンズアミド)安息香酸(7c)の合成
化合物(7b)1.12gをメタノール20mL、水5mLに溶解し、2N水酸化ナトリウム溶液3.43mLを加えて、50℃で1.5時間撹拌した。次に氷冷下に2N塩酸3.43mLで中和し酢酸エチル(70mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し淡黄色油状の表題化合物998mg(収率:100%)を得た。精製することなく次の反応に用いた。
1H−NMR(DMSOd、δppm):
12.61(1H、brs)、10.53(1H、s)、7.85―8.11(7H、m)、4.45(1H、m)、4.20(1H、brs)、3.64(1H、d、J=13.0Hz)、3.58−3.68(1H、m)、3.40(2H、s)、3.33(1H、m)、3.17(2H、d、J=13.2Hz)、1.30−1.77(6H、m)、0.36(6H、s)、0.31(6H、s)
【0055】
4−(3−ヒドロキシジメチルシリル−5−テトラヒドロピラノキシメチルジメチルシリルベンズアミド)安息香酸(7d)の合成
化合物(7c)77.2mgをジメチルスルホキシド2mLに溶解し、トリエチルアミン0.14mL、三酸化硫黄ピリジン錯体73.5mgを加えて、室温で15分撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液1mLを加え更に2N塩酸で反応液のpHを2〜3に調整後、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し淡黄色油状の表題化合物84.3mg(収率:100%)を得た。精製することなく次の反応に用いた。
1H−NMR(DMSOd、δppm):
12.69(1H、brs)、10.55(1H、s)、7.87―8.09(7H、m)、6.05(1H、s)、4.45(1H、m)、3.64(1H、d、J=12.8Hz)、3.57−3.67(1H、m)、3.36(1H、m)、3.17(1H、d、J=13.0Hz)、1.30−1.75(6H、m)、0.36(6H、s)、0.31(6H、s)
【0056】
4−(3−ヒドロキシジメチルシリル−5−ヒドロキシメチルジメチルシリルベンズアミド)安息香酸(7)の合成
化合物(7d)823mgをメタノール30mLに溶解し、p−トルエンスルホン酸・1水和物32mgを加えて、室温で3.5時間攪拌後、更に35℃で2.5時間撹拌した。水40mLを加え、酢酸エチル(40mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=75:25で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物194mg(収率:28%)を得た。融点:171〜172℃
1H−NMR(DMSOd、δppm):
12.70(1H、brs)、10.53(1H、s)、7.86―8.07(7H、m)、6.04(1H、brs)、4.19(1H、brs)、3.40(2H、s)、0.31(12H、s)
LC−MS:m/z=402(ネガチブ)
【0057】
実施例8
4−クロロメチルジメチルシリルアニソール(8a)の合成
アルゴン気流下、4−ブロモアニソール5.0gを乾燥テトラヒドロフラン120mLに溶解し、−50℃で1.58mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液18.6mLを徐々に滴下し、同温で30分撹拌後、クロロメチルジメチルシリルクロリド4.22mLを滴下した。−30℃で30分撹拌後、室温に戻した。次に氷冷下に飽和塩化アンモニウム水溶液10mLでクエンチし反応液を濃縮した。残渣に水300mLを加え、酢酸エチル(300mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物6.47gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=4:96で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物5.52g(収率:96%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.47(2H、d、J=8.4Hz)、6.93(2H、d、J=8.4Hz)、3.81(3H、s)、2.92(2H、s)、0.39(6H、s)
【0058】
4−アセトキシメチルジメチルシリルアニソール(8b)の合成
化合物(8a)5.22gをジメチルホルムアミド80mLに溶解し、酢酸カリウム2.86gを加え、90℃で3時間撹拌した。次に水200mLを加え、酢酸エチル:ヘキサン=1:2混合溶媒(200mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物5.83gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=10:90で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物5.20g(収率:90%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.46(2H、d、J=8.4Hz)、6.92(2H、d、J=8.4Hz)、3.93(2H、s)、3.82(3H、s)、2.02(3H、s)、0.33(6H、s)
FABMS:277(M+K)KI添加
【0059】
4−ヒドロキシメチルジメチルシリルアニソール(8c)の合成
化合物(8b)4.85gをメタノール80mLに溶解し、炭酸カリウム2.81gを加え、室温で2.5時間撹拌した。次に水150mLを加え、酢酸エチル(150mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物3.91gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=20:80で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物3.16g(収率:79%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.50(2H、d、J=8.4Hz)、6.94(2H、d、J=8.4Hz)、3.82(3H、s)、3.55(2H、s)、1.11(1H、brs)、0.34(6H、s)
FABMS:235(M+K)KI添加
【0060】
4−ヒドロキシジメチルシリルアニソール(8)の合成
化合物(8c)93.6mgをアセトン2.0mLに溶解し、氷冷下TEMPO 7.5mg、臭化カリウム5.7mgを加え、5%次亜塩素酸ナトリウム852mgを0.5mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液2.0mLに溶解した溶液を順次加え、室温で3時間撹拌した。次に飽和塩化アンモニウム水溶液2.0mLを加え、酢酸エチル(15mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物96.3mgを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:4で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物71.3mg(収率:82%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.52(2H、d、J=8.4Hz)、6.92(2H、d、J=8.4Hz)、3.82(3H、s)、1.92(1H、brs)、0.38(6H、s)
FABMS:181(M−H)
【0061】
実施例9
4−クロロメチルジメチルシリル−クロロベンゼン(9a)の合成
4−ブロモ−クロロベンゼン4.91gを用いて化合物(8a)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物4.81g(収率:74%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.47(2H、d、J=8.1Hz)、7.35(2H、d、J=8.1Hz)、2.93(2H、s)、0.41(6H、s)
【0062】
4−アセトキシメチルジメチルシリル−クロロベンゼン(9b)の合成
化合物(9a)3.57gを用いて化合物(8b)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物3.81g(収率:96%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.46(2H、d、J=8.1Hz)、7.35(2H、d、J=8.1Hz)、3.94(2H、s)、2.02(3H、s)、0.35(6H、s)
FABMS:281(M+K)KI添加
【0063】
4−ヒドロキシメチルジメチルシリル−クロロベンゼン(9c)の合成
化合物(9b)3.37gを用いて化合物(8c)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物2.44g(収率:87%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.49(2H、d、J=8.1Hz)、7.35(2H、d、J=8.1Hz)、3.57(2H、s)、0.99(1H、s)、0.34(6H、s)
FABMS:199(M−H)
【0064】
4−ヒドロキシジメチルシリル−クロロベンゼン(9)の合成
化合物(9c)363mgを用いて化合物(8)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物268mg(収率:79%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.49(2H、d、J=8.1Hz)、7.34(2H、d、J=8.1Hz)、2.28(1H、s)、0.37(6H、s)
【0065】
実施例10
1,4−ビス(クロロメチルジメチルシリル)ベンゼン(10a)の合成
アルゴン気流下、1,4―ジブロモベンゼン4.62gを乾燥テトラヒドロフラン138mLに溶解し、−78℃で1.58mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液27.3mLを徐々に滴下し、同温で30分撹拌後、クロロメチルジメチルシリルクロリド6.19mLを滴下した。−78℃で30分撹拌後、室温に戻した。次に氷冷下に飽和塩化アンモニウム水溶液10mLでクエンチし反応液を濃縮した。残渣に水300mLを加え、酢酸エチル(300mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物7.02gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=4:96で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物4.38g(収率:77%)を得た。融点:57〜58℃
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.57(4H、s)、2.96(4H、s)、0.43(12H、s)
【0066】
1,4−ビス(アセトキシメチルジメチルシリル)ベンゼン(10b)の合成
化合物(10a)3.80gをジメチルホルムアミド65mLに溶解し、酢酸カリウム3.57gを加え、90℃で3時間撹拌した。次に水200mLを加え、酢酸エチル:ヘキサン=1:2混合溶媒(200mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物4.42gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=10:90で溶出)で精製し、無色固体の表題化合物4.07g(収率:92%)を得た。融点:40〜42℃
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.54(4H、s)、3.96(4H、s)、2.03(6H、s)、0.36(12H、s)
FABMS:399(M+H)
【0067】
1,4−ビス(ヒドロキシメチルジメチルシリル)ベンゼン(10c)の合成
化合物(10b)3.58gをメタノール50mLに溶解し、炭酸カリウム2.93gを加え、室温で2時間撹拌した。次に水150mLを加え、酢酸エチル(150mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物2.67gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール:クロロホルム=5:95で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物1.94g(収率:72%)を得た。融点:136〜138℃
1H−NMR(CDCl,δppm):
7.58(4H、s)、3.59(4H、d、J=4.6Hz)、0.89(2H、t、J=4.6Hz)、0.35(12H、s)
FABMS:293(M+K)KI添加
【0068】
1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン(10)の合成
化合物(10c)362mgをアセトン9.5mLに溶解し、氷冷下TEMPO 22.2mg、臭化カリウム16.9mgを加え、5%次亜塩素酸ナトリウム8.46gを0.5mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液9.5mLに溶解した溶液を順次加え、室温で1時間撹拌した。次に飽和塩化アンモニウム水溶液9.5mLを加え、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物340mgを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物269mg(収率:84%)を得た。融点:136〜137℃
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.53(4H、s)、5.87(2H、s)、0.24(12H、s)
FABMS:199(M−H)
【0069】
実施例11
2−クロロメチルジメチルシリルチオフェン(11a)の合成
アルゴン気流下、2−ブロモチオフェン4.01gを乾燥テトラヒドロフラン125mLに溶解し、−78℃で1.58mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液17.1mLを徐々に滴下し、同温で30分撹拌後、クロロメチルジメチルシリルクロリド3.89mLを滴下した。同温で30分撹拌後、室温に戻した。次に氷冷下に飽和塩化アンモニウム水溶液10mLでクエンチし反応液を濃縮した。残渣に水300mLを加え、酢酸エチル(300mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物4.87gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=10:90で溶出)で精製し、白色油状の表題化合物3.54g(収率:75%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.65(1H、d、J=4.5Hz)、7.35(1H、d、J=3.0Hz)、7.22(1H、dd、J=4.5、J=3.0Hz)、2.95(2H、s)、0.47(6H、s)
【0070】
2−アセトキシメチルジメチルシリルチオフェン(11b)の合成
化合物(11a)2.99gを用いて化合物(8b)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物2.17g(収率:64%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.64(1H、d、J=4.5Hz)、7.33(1H、d、J=2.9Hz)、7.21(1H、dd、J=4.5、J=2.9Hz)、3.95(2H、s)、2.05(3H、s)、0.41(6H、s)
【0071】
2−ヒドロキシメチルジメチルシリルチオフェン(11c)の合成
化合物(11b)1.70gを用いて化合物(8c)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物311mg(収率:23%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.65(1H、d、J=4.5Hz)、7.35(1H、d、J=3.0Hz)、7.23(1H、dd、J=4.5、J=3.0Hz)、3.57(2H、s)、0.98(1H、brs)、0.40(6H、s)
【0072】
2−ヒドロキシジメチルシリルチオフェン(11)の合成
化合物(11c)162mgを用いて化合物(8)と同様の反応を実施し、淡黄色油状の表題化合物111mg(収率:74%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.64(1H、d、J=4.5Hz)、7.37(1H、d、J=3.0Hz)、7.21(1H、dd、J=4.5、J=3.0Hz)、1.99(1H、brs)、0.47(6H、s)
【0073】
実施例12
3−クロロメチルジメチルシリルフラン(12a)の合成
アルゴン気流下、3−ブロモフラン5.32gを乾燥ジエチルエーテル150mLに溶解し、化合物(10a)と同様の反応を行い、粗生成物7.22gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=10:90で溶出)で精製し、白色油状の表題化合物5.00g(収率:79%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.52(1H、dd、J=1.6、J=1.3Hz)、7.45(1H、dd、J=1.3、J=0.8Hz)、6.42(1H、dd、J=1.6、J=0.8Hz)、2.89(2H、s)、0.35(6H、s)
【0074】
3−アセトキシメチルジメチルシリルフラン(12b)の合成
化合物(12a)4.95gを用いて化合物(8b)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物5.33g(収率:95%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.51(1H、dd、J=1.6、J=1.3Hz)、7.42(1H、dd、J=1.3、J=0.8Hz)、6.40(1H、dd、J=1.6、J=0.8Hz)、3.90(2H、s)、2.04(3H、s)、0.30(6H、s)
【0075】
3−ヒドロキシメチルジメチルシリルフラン(12c)の合成
化合物(12b)4.35gを用いて化合物(8c)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物2.82g(収率:83%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.52(1H、dd、J=1.6、J=1.5Hz)、7.44(1H、dd、J=1.5、J=0.8Hz)、6.42(1H、dd、J=1.6、J=0.8Hz)、3.51(2H、s)、1.06(1H、s)、0.29(6H、s)
【0076】
3−ヒドロキシジメチルシリルフラン(12)の合成
化合物(12c)301mgを用いて化合物(8)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物73.6mg(収率:27%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.51(1H、dd、J=1.6、J=1.3Hz)、7.46(1H、dd、J=1.3、J=0.8Hz)、6.44(1H、dd、J=1.6、J=0.8Hz)、2.08(1H、brs)、0.36(6H、s)
【0077】
実施例13
3−ブロモメチルジメチルシリル安息香酸(13a)の合成
アルゴン気流下、3−ブロモ安息香酸3.00g(14.9mmol)を乾燥テトラヒドロフラン75mLに溶解し、−15℃で1mol/Lのジブチルマグネシウムヘプタン溶液8.21mLを滴下した。同温で20分撹拌後、−30℃で1.65mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液9.95mLを徐々に滴下し、同温で30分撹拌後、ブロモメチルジメチルシリルクロリド4.63mLを滴下した。−30℃で30分撹拌後、室温で終夜撹拌した。次に氷冷下に飽和塩化アンモニウム水溶液20mLでクエンチし反応液を濃縮した。残渣に水200mLを加え、2N塩酸で水層のpHを2〜3とした後、酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物を8.50g得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=33:67で溶出)で精製し、白色固体の表題化合物3.07g(収率:75%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.29(1H、s)、8.15(1H、ddd、J=7.9Hz、J=1.3Hz、J=1.3Hz)、7.80(1H、ddd、J=7.4Hz、J=1.3Hz、J=1.3Hz)、7.50(1H、dd、J=7.9Hz、J=7.4Hz)、2.66(2H、s)、0.49(6H、s)
【0078】
3−ブロモメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル(13b)の合成
化合物(13a)2.09gをメタノール10mL、トルエン40mLに溶解し、室温で2mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタンヘキサン溶液5.70mLを加え15分撹拌した。次に反応系の色が消失するまで酢酸を加え、溶媒を留去し粗生成物を2.19g得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=5:95で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物1.37g(収率:62%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.20(1H、m)、8.06(1H、ddd、J=7.7Hz、J=1.6Hz、J=1.3Hz)、7.73(1H、ddd、J=7.4Hz、J=1.3Hz、J=1.3Hz)、7.43(1H、dd、J=7.7Hz、J=7.4Hz)、3.93(3H、s)、2.65(2H、s)、0.47(6H、s)
【0079】
3−ヒドロキシジメチルシリル安息香酸メチルエステル(13)の合成
化合物(13b)183mgをジメチルスルホキシド(以下DMSOと略す)3mLに溶解し、室温にてトリメチルアミンN−オキシド(以下TMANOと略す)191mgを加え室温で終夜撹拌した。次に水20mLを加え、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物を136mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物35mg(収率:26%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.24(1H、s)、8.03(1H、d、J=7.7Hz)、7.77(1H、d、J=7.4Hz)、7.43(1H、dd、J=7.7Hz、J=7.4Hz)、3.91(3H、s)、2.63(1H、brs)、0.42(6H、s)
【0080】
実施例14
4−ブロモメチルジメチルシリル安息香酸(14a)の合成
4−ブロモ安息香酸3.01gを用いて化合物(13a)と同様の方法でリチウム化後、ブロモメチルジメチルシリルクロリド4.59mLを反応させ、同様の処理により白色固体の表題化合物687mg(収率:17%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.10(2H、d、J=8.2Hz)、7.66(2H、d、J=8.2Hz)、2.65(2H、s)、0.48(6H、s)
【0081】
4−ブロモメチルジメチルシリル安息香酸メチルエステル(14b)の合成
化合物(14a)685mgを用いて化合物(13b)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物470mg(収率:65%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
8.02(2H、d、J=8.2Hz)、7.62(2H、d、J=8.2Hz)、3.92(3H、s)、2.64(2H、s)、0.46(6H、s)
【0082】
4−ヒドロキシジメチルシリル安息香酸メチルエステル(14)の合成
化合物(14b)161mgを用いて化合物(13)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物80mg(収率:67%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.96(2H、d、J=7.9Hz)、7.63(2H、d、J=7.9Hz)、3.89(3H、s)、3.00(1H、brs)、0.39(6H、s)
【0083】
実施例15
4−ブロモメチルジメチルシリルアニソール(15a)の合成
アルゴン気流下、4−ブロモアニソール1.0gを乾燥テトラヒドロフラン24mLに溶解し、−78℃で1.65mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液3.56mLを徐々に滴下し、同温で30分撹拌後、ブロモメチルジメチルシリルクロリド0.87mLを滴下した。0℃で30分撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液10mLでクエンチし反応液を濃縮した。残渣に水50mLを加え、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物1.52gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=5:95で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物536mg(収率:39%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.48(2H、d、J=8.7Hz)、6.94(2H、d、J=8.7Hz)、3.82(3H、s)、2.62(2H、s)、0.42(6H、s)
【0084】
4−ヒドロキシジメチルシリルアニソール(15)の合成
化合物(15a)154mgをDMSO3.0mLに溶解し、室温にてTMANO178mgを加え、室温で終夜撹拌した。次に水20mLを加え、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物を111mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物69mg(収率:64%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.52(2H、d、J=8.4Hz)、6.92(2H、d、J=8.4Hz)、3.82(3H、s)、1.92(1H、brs)、0.38(6H、s)
【0085】
実施例16
4−クロロメチルジメチルシリル−クロロベンゼン(16a)の合成
4−ブロモ−クロロベンゼン4.91gを用いて化合物(15a)と同様に、ブロモメチルジメチルシリルクロリドの代わりにクロロメチルジメチルシリルクロリドを用いて反応を実施することにより、無色油状の表題化合物4.18g(収率:74%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.47(2H、d、J=8.1Hz)、7.35(2H、d、J=8.1Hz)、2.93(2H、s)、0.41(6H、s)
4−ヒドロキシジメチルシリル−クロロベンゼン(16)の合成
化合物(16a)219mgをDMSO5.0mLに溶解し、室温にてN−メチルモルホリンN−オキシド469mgを加え、60℃で32時間撹拌した。次に室温まで冷却後、水20mLを加え、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し粗生成物を203mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:4で溶出)で精製し、無色油状の表題化合物131mg(収率:70%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.49(2H、d、J=8.1Hz)、7.34(2H、d、J=8.1Hz)、2.28(1H、s)、0.37(6H、s)
【0086】
実施例17
3−ブロモメチルジメチルシリルフラン(17a)の合成
アルゴン気流下、3−ブロモフラン1.79gを乾燥ジエチルエーテル40mLに溶解し、化合物(16a)と同様の反応を行い、粗生成物3.01gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=10:90で溶出)で精製し、白色油状の表題化合物2.17g(収率:81%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.52(1H、dd、J=1.6、J=1.3Hz)、7.45(1H、dd、J=1.3、J=0.8Hz)、6.43(1H、dd、J=1.6、J=0.8Hz)、2.58(2H、s)、0.37(6H、s)
【0087】
2−ヒドロキシジメチルシリルフラン(17)の合成
化合物(17a)219mgを用いて化合物(15)と同様の反応を実施し、無色油状の表題化合物100mg(収率:70%)を得た。
1H−NMR(CDCl、δppm):
7.51(1H、dd、J=1.6、J=1.3Hz)、7.46(1H、dd、J=1.3、J=0.8Hz)、6.44(1H、dd、J=1.6、J=0.8Hz)、2.08(1H、brs)、0.36(6H、s)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるシリル化合物に酸化剤を反応させることを特徴とする、式(2)で表されるシラノール化合物の製造方法。
【化1】

〔式中Rは置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を、R、Rは同一又は相異なって低級アルキル基、Xは水酸基、又はハロゲン原子を示し、nは1〜3である〕
【化2】

〔式中R〜R、及びnは上記に同じ〕
【請求項2】
はフェニル基又は芳香族複素環基を示し、該フェニル基又は該芳香族複素環基は、置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルキル基で保護されていてもよいカルボキシル基、置換基を有していてもよいフェニルアミノカルボニル基、又は−Si(R)(R)(R)のいずれかを有していてもよく、R、Rはメチル基を、R、R、Rは同一又は相異なって、置換基を有していてもよい低級アルキル基を示し、Xは水酸基、塩素原子、又は臭素原子を示し、nは1又は2である請求項1記載のシラノール化合物の製造方法。
【請求項3】
はフェニル基、フラニル基、又はチオフェニル基を示し、該フェニル基は、置換基として臭素原子、塩素原子、メトキシ基、メチル基で保護されていてもよいカルボキシル基、又は低級アルキルで保護されていてもよいカルボキシル基を有するフェニルアミノカルボニル基のいずれかを1又は2個有していてもよく、R、Rはメチル基を、R、Rはメチル基を、Rは、置換基としてハロゲン原子、又は保護基により保護されていてもよい水酸基のいずれかを有するメチル基を示し、Xは水酸基、塩素原子、又は臭素原子を示し、nは1又は2である請求項1〜2のいずれかに記載のシラノール化合物の製造方法。
【請求項4】
酸化剤が三酸化硫黄ピリジン錯体、ジメチルスルホキシド/オキザリクロライド/トリエチルアミン、次亜塩素酸ナトリウム/2,2,6,6―テトラメチルピペリジン−N−オキシド、クロロクロム酸ピリジニウム、二クロム酸ピリジニウム、アミンN−オキシドのいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載のシラノール化合物の製造方法。

【公開番号】特開2009−40763(P2009−40763A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161259(P2008−161259)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000207827)大鵬薬品工業株式会社 (52)
【Fターム(参考)】