説明

シラン−スルフィドにより鎖末端修飾されたエラストマーポリマー

リビングアニオンエラストマーポリマー及びシラン−スルフィド修飾剤の反応生成物を含む鎖末端修飾ポリマー。好ましいクラスの修飾剤には、(RO)x(R)ySi−R’−S−SiR3の式によって表される化合物が含まれる(式中、Siはケイ素である;Sはイオウである;Oは酸素である;xは、1、2及び3から選択される整数である;yは、0、1及び2から選択される整数である;x+y=3;Rは同じ又は異なり、(C1−C16)アルキルである;R’は、アリール、アルキルアリール又は(C1−C16)アルキルである)。本発明はさらに、そのような鎖末端修飾ポリマーを作製するための方法、加硫エラストマーポリマー組成物の調製におけるその使用、及びそのような組成物から作製される物品(これには、空気入りタイヤ、タイヤトレッド及びベルトなどが含まれる)を含む。本発明の組成物は、良好な加工特性を維持しながら、60℃でのより低いTanδ値を示し、また、様々な物理的特性(これらには、耐摩耗性、引張り強さ、弾性率及び破断点伸びが含まれる)の良好なバランスを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行出願に対する参照
本出願は仮出願第60/728,174号(2005年10月19日出願)(これは参照により本明細書に組み込まれる)の利益を主張する。
【0002】
発明の背景
本発明は、一般には、官能基化又は「鎖末端修飾」("chain end modified")されたエラストマーポリマー、エラストマー組成物の調製におけるその使用、及びそのようなエラストマー組成物から作製される物品に関する。具体的には、本発明は、いわゆる「スルファニルシラン」を「リビング」("living")アニオンエラストマーポリマーのための鎖末端修飾剤として使用することに関する。そのようなポリマー「エンドキャップ(end cap)」は、エラストマーポリマー骨格の不飽和部分と、及び/又は、エラストマー組成物に存在するフィラーもしくは他の成分と反応し得る。これらの修飾されたエラストマーポリマーは、比較的低いヒステリシス損失を有する加硫されたエラストマー組成物の調製において有用である。そのような組成物は、低い転がり抵抗を他の所望の物理的特性及び化学的特性(例えば、ウェットスキッド特性、耐摩耗性、引張り強さ及び加工性)の良好なバランスと一緒に有するタイヤトレッドを含む、多くの物品において有用である。
【0003】
加硫されたエラストマーポリマーにおけるヒステリシスの主要な起源は、自由なポリマー鎖末端、すなわち、エラストマーポリマー鎖の、最後の架橋とポリマー鎖の末端との間の部分のためであると考えられている。ポリマーのこの自由な末端はいかなる効率的な弾性的に回復可能なプロセスにも関与せず、その結果として、ポリマーのこの部分に伝わったいかなるエネルギーも失われる。この消散したエネルギーは顕著なヒステリシスを動的変形のもとで生じさせる。エラストマーポリマー組成物のヒステリシス損失は、60℃でのそのtanδ値に関連づけられる。一般に、60℃での比較的小さいtanδ値を有する加硫エラストマーポリマー組成物は、より低いヒステリシス損失を有するとして好ましい。タイヤでは、このことは、結果としてより低い転がり抵抗及びより良好な燃費となる。
【0004】
ヒステリシス損失を低下させるための1つの一般に受け入れられている方法は、エラストマーポリマーの自由な鎖末端の数を少なくすることである。様々な技術が、ポリマー鎖の末端を官能基化し、ポリマー骨格の不飽和部分及び/又はエラストマー組成物における他の構成成分(例えば、フィラーなど)と反応することができる「カップリング剤」(例えば、四塩化スズなど)の使用を含む、公開された文献に記載される。そのような技術の例、ならびに注目される他の文書には、米国特許第3,281,383号、同第3,244,664号及び同第3,692,874号(例えば、テトラクロロシラン);米国特許第3,978,103号;米国特許第4,048,206号;米国特許第4,474,908号;米国特許第6,777,569号(ブロック化されたメルカプトシラン系化合物)及び米国特許第3,078,254号(多ハロゲン置換炭化水素、例えば、1,3,5−トリ(ブロモメチル)ベンゼンなど);米国特許第4,616,069号(スズ化合物及び有機アミノ化合物又は有機アミン化合物);及び米国特許出願公開第2005/0124740号が含まれる。
【0005】
「Synthesis of end-functionalized polymer by means of living anionic polymerization」, Journal of Macromolecular Chemistry and Physics,197, (1996), 3135-3148は、リビングポリマーを、シリルエーテル官能基及びシリルチオエーテル官能基を含有するハロアルカンと反応することによって得られる、ヒドロキシ(−OH)官能基エンドキャップ及びメルカプト(−SH)官能基エンドキャップを有するリビングポリマーを含有するポリスチレン及びポリイソプレンの合成を記載する。第三級ブチルジメチルシリル(TBDMS)基が、停止反応における−OH官能基及び−SH官能基のための保護基として好ましい。これは、対応するシリルエーテル及びチオエーテルがともに、安定であり、また、アニオンリビングポリマーとの適合性を有するからである。
【0006】
米国特許第6,579,949号は、類似するクラスのイオウ化合物(これには、tert−ブチルジメチルシリル−3−クロロ−1−プロピルスルフィド(Cl−(CH2)3−S−Si−(CH32C(CH33)が含まれる)を、低いヒステリシス損失を有するゴム物品を製造するために使用することを記載する。より具体的には、主題であるそのようなイオウ化合物は、アニオンにより開始されたリビングポリマーと反応して、鎖末端修飾されたポリマーを生成させ、この鎖末端修飾ポリマーは続いて、低いヒステリシス損失を有するタイヤを製造するために、フィラー、加硫剤、促進剤、エクステンダー油及び他の様々な添加物と混合される。第三級ブチルジメチルシリルプロピルスルフィドのエンドキャップは標準的な重合条件のもとでは容易に外れないが、この保護的なtert−ジメチルシリル基は、加硫前又は加硫期間中に、H+、F-又は亜鉛化合物を含有する添加物との反応によって切断され、従って、これにより、メルカプト(「チオール」)基が、他のエラストマーポリマーの骨格の不飽和セグメントと(少なくとも20パーセント)反応するために残る。残念ながら、この鎖末端修飾反応は塩化リチウムを生成させる。反応において存在する塩化物イオンは加工設備における腐食を強く促進させる。
【0007】
米国特許第6,229,036号は、メルカプトシラン系化合物をクロロシラン系化合物と反応させることによって調製される幅広いクラスのスルファニルシラン、及び低い転がり抵抗及び良好なウェットグリップ性を有するタイヤトレッドを製造するためのゴム混合物におけるカップリング剤としてのその使用を開示する。多くのスルファニルシラン化合物が記載され、これらには、(EtO)3−Si−(CH23−S−Si−(CH33及び(MeO)3−Si−(CH23−S−Si−(C253が含まれる。この参考文献によれば、エラストマーポリマーは従来技術によって調製及び停止され、続いて、酸化物フィラー及び0.1重量パーセント〜15重量パーセント(フィラーに対して)のスルファニルシランカップリング剤と混合され、その後、ゴム製品を形成するために加硫される。従って、米国特許第6,579,949号に記載される方法とは異なり、このスルファニルシランカップリング剤はリビングポリマーに対する鎖末端修飾剤として使用されず、停止後のエラストマーポリマーと配合時に一緒にされるにすぎない。この方法は、カップリング剤を配合時にゴム混合物全体に分布させることが困難であるために不利である。すなわち、ほとんどのアニオン重合に伴う典型的な低粘度の、溶媒に基づく環境とは異なり、このゴム配合環境は典型的には非常に粘性であり、溶媒が存在せず、従って、このために、組成物全体にわたるカップリング剤のより不均一な分布がもたらされる。結果として、官能基化されたポリマーと、フィラー物質及び/又はポリマー骨格の不飽和セグメントとの相互作用がより不完全である。修飾剤化合物が、停止されたポリマー鎖のみを排他的に含むポリマーに加えられるならば、修飾剤化合物を使用することによってこのポリマーの鎖末端を他のポリマー鎖と、又はフィラーと効率的に結合(又は反応)させることが不可能である。加えて、ポリマーをフィラー又は他のポリマー鎖に効率的に結合又は連結することが不可能である。
【0008】
発明の概要
本発明は、
i)リビングアニオンエラストマーポリマー(a living anionic elastomeric polymer)、及び
ii)下記の式によって表されるシラン−スルフィド修飾剤、
(RO)x(R)ySi−R’−S−SiR3
(式中、
Siはケイ素である;Sはイオウである;Oは酸素である;
xは、1、2及び3から選択される整数である;
yは、0、1及び2から選択される整数である;x+y=3;
Rは同じ又は異なり、(C1−C16)アルキルである;R’は、アリール、アルキルアリール又は(C1−C16)アルキルである)
の反応生成物を含む鎖末端修飾エラストマーポリマー(chain end modified elastomeric polymer)を提供する。
【0009】
別の態様において、本発明はまた、
1)フィラー(a filler);
2)加硫剤(a vulcanization agent);及び
3)鎖末端修飾エラストマーポリマー
の反応生成物を含み、
前記鎖末端修飾エラストマーポリマーが、
i)リビングアニオンエラストマーポリマー、及び
ii)下記の式によって表されるシラン−スルフィド修飾剤、
(RO)x(R)ySi−R’−S−SiR3
(式中、
Siはケイ素である;Sはイオウである;Oは酸素である;
xは、1、2及び3から選択される整数である;
yは、0、1及び2から選択される整数である;x+y=3;
Rは同じ又は異なり、(C1−C16)アルキルである;
R’は、アリール、アルキルアリール又は(C1−C16)アルキルである)
の反応生成物である、加硫エラストマーポリマー組成物(a vulcanized elastomeric polymer composition)を提供する。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、下記の構成成分、
1)フィラー;
2)加硫剤;及び
3)下記の反応生成物である鎖末端修飾エラストマーポリマー、
i)リビングアニオンエラストマーポリマー、及び
ii)下記の式によって表されるシラン−スルフィド修飾剤、
(RO)x(R)ySi−R’−S−SiR3
(式中、
Siはケイ素である;Sはイオウである;Oは酸素である;
xは、1、2及び3から選択される整数である;
yは、0、1及び2から選択される整数である;x+y=3;
Rは同じ又は異なり、(C1−C16)アルキルである;
R’は、アリール、アルキルアリール又は(C1−C16)アルキルである)
を組み合わせることを含む、加硫エラストマーポリマー組成物を作製するための方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、
i)リビングアニオンエラストマーポリマー、及び
ii)下記の式によって表されるシラン−スルフィド修飾剤、
GJMSi−A−S−SiTXZ
(式中、
Siはケイ素である;Sはイオウである;Gは(C1−C16)アルコキシである;
J及びMは同じ又は異なり、それぞれが独立して、水素(H)、(C1−C16)アルキル、(C1−C16)アルコキシ、(C7−C16)アリール、(C7−C16)アルキルアリール及び−A−S−SiTXZ(式中、A、T、X及びZは下記で定義される)からなる群より選択される;
Aは、アリール、アルキルアリール、(C7−C16)アルキルアリール又は(C1−C16)アルキルであり、これらは、直鎖又は分枝状、飽和又は不飽和であってもよく、また、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、(C7−C16)アリール、(C7−C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO2、チオアルキル、−A−S−SiTXZ(式中、A、T、X及びZは下記で定義される)により置換されてもよい;及び
T基、X基及びZ基は同じ又は異なり、それぞれが独立して、水素(H)、(C1−C16)アルキル、(C1−C16)アルコキシ、(C7−C16)アリール、(C7−C16)アラルキル及び−S−A−SiMJG(式中、A、M、J及びGは本明細書中で定義される)からなる群より選択される)
の反応生成物を含む鎖末端修飾エラストマーポリマーを提供する。本発明はまた、この鎖末端修飾エラストマーポリマーを含む加硫エラストマーポリマー組成物、及びそのような加硫エラストマーポリマー組成物を調製するための方法を提供する。
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、リビングアニオンエラストマーポリマーと、式1によって表されるシラン−スルフィド修飾剤、より好ましくは、式2によって表されるシラン−スルフィド修飾剤(それぞれが下記に示される通りである)との反応生成物を含む鎖末端修飾ポリマーを含む。本発明はさらに、そのような鎖末端修飾ポリマーを作製するための方法、加硫されたエラストマーポリマー組成物の調製におけるその使用、及びそのような組成物から作製される物品(例えば、空気式タイヤ(pneumatic tires)、タイヤトレッド(tire treads)、ベルト及び履き物(footwear)など)を含む。
【0013】
本発明の組成物は、良好な加工特性を維持しながら、60℃でのより低いtanδ値を示し、また、下記特性の1又はそれ以上を含む様々な物理的特性の良好なバランスを示す。耐摩耗性、引張り強さ、弾性率(modulus)及び破断時伸び。本発明の組成物は、良好なウェットグリップ特性を維持しながら、より低い転がり抵抗を有するタイヤトレッドを調製することにおいて有用である。本発明の組成物は、フィラー(例えば、カーボンブラック、シリカ、及びカーボン−シリカの二相フィラーなど)を含むタイヤを調製することにおいて特に有用である。
【0014】
用語「エラストマーポリマー」は、架橋されたとき、加硫された天然ゴム(cis−1,4−ポリイソプレン)に類似する性質を有するエラストマー又はゴム(架橋可能なポリマーを含む)、例えば、引張られているときに伸び、解放されたときにはほぼその元の長さに比較的迅速に縮むエラストマー又はゴムを意味することが意図される。
【0015】
共役ジエンモノマー、トリエンモノマー、ならびにモノビニルの脂肪族モノマー及び芳香族モノマーを重合するためにリチウム開始剤を使用することは周知のことである。これらの重合は、求核的な開始によるモノマーの反応によりポリマー構造が形成および拡大する、アニオン重合機構に従って進行する。重合期間中を通して、そのポリマー構造はイオン性又は「リビング状態」である。従って、そのポリマー構造は少なくとも1つの反応性末端又は「リビング」末端を有する。このことが、主題であるエラストマーポリマーを記述するために本明細書中で使用される用語「リビング」の背景である。
【0016】
従って、上記で議論されたように、本明細書中で使用される用語「リビングアニオンエラストマーポリマー」は、ポリマー鎖の「少なくとも1つの末端」に位置する反応性のアニオン末端基をそれぞれの鎖が含有する、複数のポリマー鎖を含むポリマーを示す。この用語は当分野では公知である。
【0017】
本明細書中で議論されるように、用語「鎖末端修飾エラストマーポリマー」、用語「鎖末端修飾ポリマー」、用語「鎖末端修飾エラストマー」及び類似した用語は、本明細書中で使用される場合、「リビングアニオンエラストマーポリマー」と、下記の式1又は式2に示されるようなシラン−スルフィド修飾剤との反応生成物を示す。1つ又は2つ以上のポリマー鎖が1つのシラン−スルフィド修飾剤と反応し得る(式5もまた参照のこと)。
【0018】
1つの実施形態において、リビングアニオンエラストマーポリマーは、イソプレンのホモポリマー、ブタジエンのホモポリマー、スチレンとのブタジエンのコポリマー、スチレンとのイソプレンのコポリマー、イソプレン及びスチレンとのブタジエンのターポリマー、ならびにそれらの組合せからなる群より選択される。別の実施形態において、リビングアニオンエラストマーポリマーは、ブタジエンのホモポリマー、及びスチレンとのブタジエンのコポリマーからなる群より選択される。
【0019】
本発明のエラストマーポリマーの調製において有用なモノマーには、共役オレフィンが含まれ、また、α−オレフィン、内部オレフィン、環状オレフィン、極性オレフィン及び非共役ジオレフィンからなる群より選ばれるオレフィンが含まれる。好適な共役不飽和モノマーは、好ましくは、共役ジエンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−アルキル−1,3−ブタジエン(好ましくは、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン))、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、2−メチル−2,4−ペンタジエン、シクロペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエンなどである。好ましいオレフィンはC2-20のα−オレフィンであり、これには、長鎖の高分子α−オレフィン、より具体的には、芳香族ビニル化合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましい芳香族ビニル化合物は、C1-4アルキル置換スチレンを含めたスチレン、例えば、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチルスチレン及びスチルベン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニルピリジン、ならびにそれらの混合物である。好適な極性オレフィンには、アクリニトリル(acrynitrile)、メタクリラート、メチルメタクリラートが含まれる。好適な非共役オレフィンには、C4-20ジオレフィン、特に、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、4−ビニルシクロヘキセン、ジビニルベンゼン(これには、1,2−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニルベンゼン及び1,4−ジビニルベンゼンが含まれる)、及びそれらの混合物が含まれる。好ましい共役ジエンには、ブタジエン、イソプレン及びシクロペンタジエンが含まれ、好ましい芳香族α−オレフィンには、スチレン及び4−メチルスチレンが含まれる。
【0020】
適用可能なエラストマーポリマーの例には、共役ジエン(特に、ブタジエン又はイソプレン)のホモポリマー、及び少なくとも1つの共役ジエン(特に、ブタジエン又はイソプレン)と、少なくとも1つの芳香族α−オレフィン(特に、スチレン及び4−メチルスチレン)、芳香族ジオレフィン(特に、ジビニルベンゼン)とのランダム型又はブロック型のコポリマー又はターポリマーが含まれる。特に好ましいものが、少なくとも1つの共役ジエンと、少なくとも1つ芳香族α−オレフィン、及び場合により、少なくとも1つの芳香族ジオレフィン又は脂肪族ジオレフィンとのランダム共重合、場合により、ランダム三元重合であり、とりわけ、ブタジエン又はイソプレンと、スチレン、4−メチルスチレン及び/又はジビニルベンゼンとのランダム共重合、場合により、ランダム三元重合である。
【0021】
好ましい修飾エラストマーポリマー(又は修飾ポリマー)には、修飾されたポリブタジエン、修飾されたポリイソプレン、修飾されたスチレン−ブタジエンコポリマー、修飾されたスチレン−イソプレンコポリマー、修飾されたブタジエン−イソプレンコポリマー、及び修飾されたイソプレン−スチレンコポリマーが含まれる。より好ましいエラストマー(又はポリマー)には、修飾されたポリブタジエン、及び修飾されたスチレン−ブタジエンコポリマーが含まれる。用語「修飾エラストマーポリマー」及び用語「修飾ポリマー」は、上記で議論されたような「鎖末端修飾ポリマー」を示す。
【0022】
1つの実施形態において、修飾エラストマーポリマーは、イソプレンの修飾ホモポリマー、ブタジエンの修飾ホモポリマー、スチレンとのブタジエンの修飾コポリマー、スチレンとのイソプレンの修飾コポリマー、イソプレン及びスチレンとのブタジエンの修飾ターポリマー、ならびにそれらの組合せからなる群より選択される。別の実施形態において、修飾エラストマーポリマーは、ブタジエンの修飾ホモポリマー、及びスチレンとのブタジエンの修飾コポリマーからなる群より選択される。
【0023】
一般に、ジエンモノマー(the diene monomer(s))の重合、又はα−オレフィンモノマー(the α-olefin monomer(s))とのジエンモノマー(the diene monomer(s))の共重合は、アニオンリビング型の重合反応について当分野で周知の条件(例えば、−50℃〜250℃(好ましくは0℃〜120℃)の温度など)で達成することができる。反応温度は重合開始温度と同じであってもよい。重合を、大気圧で、又は減圧した圧力で、又は500MPaまでの加圧した圧力で、もしくは500MPaを越える加圧した圧力でさえ、連続的又は断続的に行うことができる。好ましくは、重合は、0.01MPa〜500MPaの圧力で、最も好ましくは0.01MPa〜10MPaの圧力で、特に0.1MPa〜2MPaの圧力で行われる。より高い圧力を加えることができる。そのような高圧プロセスにおいて、本発明による開始剤はまた、良好な結果を伴って使用することができる。溶液重合は、通常の場合にはより低い圧力で行われ、好ましくは10MPa未満で行われる。重合を液体反応媒体の場合と同様に気相において行うことができる。重合は一般には、回分(batch)、連続又は半連続の重合条件のもとで行われる。重合プロセスは、(例えば、流動床反応装置又は撹拌床反応装置において)気相重合として、又は形成されたポリマーが反応混合物において実質的に可溶性である溶液重合として、又は形成されたポリマーが反応媒体において実質的に不溶性である懸濁/スラリー重合として、又は重合されるモノマーの過剰量が反応媒体として使用されるいわゆる塊状重合(bulk polymerization)プロセスとして行うことができる。
【0024】
上記モノマーの重合は典型的には、アニオン性の開始剤により、例えば、少なくとも1個のリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子又はマグネシウム原子を有する、1個〜約20個の炭素原子を含有する有機金属化合物(これに限定されない)などにより開始される。好ましくは、有機金属化合物は少なくとも1個のリチウム原子を有する。例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム、ヘキシルリチウム、1,4−ジリチオ−n−ブタン、1,3−ジ(2−リチオ−2−ヘキシル)ベンゼンなど、好ましくはn−ブチルリチウム及びsec−ブチルリチウム。これらの有機リチウム開始剤は単独で使用することができ、又は2つ以上の異なる種類の混合物としての組合せで使用することができる。使用される有機リチウム開始剤の量は、重合されているモノマー、及び生成するポリマーの目標分子量に基づいて変化する。しかしながら、その量は、100グラムのモノマー(重合可能なモノマーの全体)について、典型的には0.1mmol〜5mmolであり、好ましくは0.3mmol〜3mmolである。
【0025】
極性の調整剤(polar coordinator)化合物を、「ジオレフィン型のホモポリマー、コポリマー又はターポリマー」の共役ジオレフィン部分の微細構造(ビニル結合の含有量)を調節するために、あるいは、「共役ジエンモノマーを含有するコポリマー又はターポリマー」における芳香族ビニル化合物の組成物分布を調節するために、また、従って、例えば、ランダマイザー(randomizer)成分として役立たせるために重合混合物に場合により加えることができる。極性の調整剤化合物は、例えば、エーテル化合物、例えば、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、アルキルテトラヒドロホリルエーテル(alkyltetrahydroforylethers)(例えば、メチルテトラヒドロフリルエーテル、エチルテトラヒドロフリルエーテル、プロピルテトラヒドロフリルエーテル、ブチルテトラヒドロフリルエーテル、ヘキシルテトラヒドロフリルエーテル、オクチルテトラヒドロフリルエーテルなど)、テトラヒドロフラン、2,2−(ビステトラヒドロフルフリル)プロパン、ビステトラヒドロフルフリルホルマール、テトラヒドロフルフリルアルコールのメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのブチルエーテル、α−メトキシテトラヒドロフラン、ジメトキシベンゼン、及びジメトキシエタン、及び/又は、第三級アミン化合物(例えば、トリエチルアミンのブチルエーテル、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、N,N−ジエチルエタノールアミンのメチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのエチルエーテル、及びN,N−ジエチルエタノールアミンなど)であり、しかし、これらに限定されない。極性の調整剤化合物は典型的には、約0.012:1〜約5:1の範囲、しかし、典型的には約0.1:1〜約4:1の範囲、好ましくは約0.25:1〜約3:1の範囲、より好ましくは約0.5:1〜約3:2の範囲に含まれる極性の調整剤化合物対リチウム開始剤のモル比で加えられる。
【0026】
重合は場合により、オリゴマー状のオキソラニルアルカンを極性の調整剤化合物として利用して行うことができる。そのような化合物の例が、米国特許第6,790,921号及び同第6,664,328号(それぞれが参照により本明細書に組み込まれる)に提供される。
【0027】
重合は場合により、開始剤の反応性を増大させるために、又はポリマーに導入される芳香族ビニル化合物をランダムに配置させるために、又は芳香族ビニル化合物の単一鎖を提供するために、促進剤を含むことができる。従って、このことが本発明の「共役ジエンを含有する修飾コポリマー又は修飾ターポリマー」における芳香族ビニル化合物の組成物分布に影響を及ぼし得る。適用可能な促進剤の例には、ナトリウムアルコキシド及びカリウムアルコキシド又はカリウムフェノキシド(例えば、カリウムイソプロポキシド、カリウムt−ブトキシド、カリウムt−アミルオキシド、カリウムn−ヘプタオキシド、カリウムベンジルオキシド、カリウムフェノキシドなど);カルボン酸(例えば、イソバレリアン酸、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸、安息香酸、フタル酸又は2−エチルヘキサン酸など)のカリウム塩;有機スルホン酸(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸又はオクタデシルベンゼンスルホン酸など)のカリウム塩;及び、有機亜リン酸のカリウム塩(例えば、ジエチルホスフィト、ジイソプロピルホスフィト、ジフェニルホスフィト、ジブチルホスフィト及びジラウリルホスフィトなど)が含まれる。これらのカリウム化合物はリチウム開始剤の1.0グラム原子当量について0.005mol〜0.5molの量で加えることができる。0.005mol未満が加えられるならば、十分な効果が通常は達成されない。他方で、そのようなカリウム化合物の量が約0.5molを越えるならば、生産性及び鎖末端修飾反応の効率が著しく低下する。
【0028】
アルカリ金属アルコキシド化合物もまた、重合の反応性を増大させるために、重合開始剤と一緒に加えることができる。アルカリ金属アルコキシド化合物は、アルコール及び有機アルカリ金属化合物を反応させることによって調製することができる。この反応は、モノマー(好ましくは、共役ジオレフィンモノマー及び芳香族ビニル化合物モノマー)の存在下、これらのモノマーの共重合の前に炭化水素溶媒において行うことができる。アルカリ金属アルコキシド化合物は、例示的には、テトラヒドロフルフリルアルコール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン又は1−ピペラジンエタノールアミンなどの金属アルコキシドによって表される。有機アルカリ金属化合物は、好ましくは、有機リチウム化合物である場合があり、アルカリ金属アルコキシドを調製するためにアルコール化合物のための反応物として使用することができる。例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム及びヘキシルリチウム、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。これらの中で、n−ブチルリチウム及びsec−ブチルリチウムが好ましい。アルコール化合物及び有機リチウム化合物のモル比は1:0.7〜1:5.0(好ましくは1:0.8〜1:2.0、より好ましくは1:0.9〜1:1.2)でなければならない。有機リチウム化合物のアルコール化合物に対するモル比が5.0を越えるならば、引張り強さ、耐摩耗性及びヒステリシスの改善に対する効果が損なわれる。他方で、0.8よりも小さい有機リチウム化合物のモル比は重合速度を遅らせ、また、鎖末端修飾反応の低い効率をもたらして生産性を著しく低下させる。
【0029】
ポリマーの分子量及びポリマーの特性をさらに制御するために、カップリング剤又は連結剤を用いることができる。例えば、ハロゲン化スズ、ハロゲン化ケイ素、スズアルコキシド、ケイ素アルコキシド、又は上記化合物の混合物を、非対称なカップリングが所望される場合には重合期間中に連続して加えることができる。この連続した添加は通常、重合の大部分が行われている(the bulk of the polymerization is occuring)領域から離れた反応域において行われる。カップリング剤は、分布及び反応のための好適な混合とともに、炭化水素の溶液(例えば、シクロヘキサン)において重合混合物に加えることができる。カップリング剤は、典型的には、高い度合いの転換率が既に得られた後でのみ加えられる。例えば、カップリング剤は通常、約85%を越えるモノマー転換率が実現された後でのみ加えられる。モノマーの転換率は、カップリング剤が加えられる前に少なくとも約90パーセントに達することが典型的には好ましい。一般的なハロゲン化物カップリング剤には、四塩化スズ、四臭化スズ、四フッ化スズ、四ヨウ化スズ、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四フッ化ケイ素、四ヨウ化ケイ素が含まれ、また、三ハロゲン化スズ及び三ハロゲン化ケイ素、又は二ハロゲン化スズ及び二ハロゲン化ケイ素もまた使用することができる。四ハロゲン化スズまたは四ハロゲン化ケイ素によりカップリングされたポリマーは最大で4つのアーム(又は4つのカップリングされたポリマー鎖)を有し、三ハロゲン化スズ及び三ハロゲン化ケイ素は最大で3つのアームを有し、二ハロゲン化スズ及び二ハロゲン化ケイ素は最大で2つのアームを有する。ヘキサハロジシラン又はヘキサハロジシロキサンもまた、カップリング剤として使用することができ、最大で6つのアームを有するポリマーをもたらす。有用なハロゲン化スズカップリング剤及びハロゲン化ケイ素カップリング剤には、SnCl4、(R13SnCl、(R12SnCl2、R1SnCl3、SiCl4、(R13SiCl、(R12SiCl2、R1SiCl3、Cl3Si−SiCl3、Cl3Si−O−SiCl3、Cl3Sn−SnCl3、Cl3Sn−O−SnCl3が含まれる。スズアルコキシド及びケイ素アルコキシドのカップリング剤の例には、Sn(OMe)4、Si(OMe)4、Sn(OEt)4又はSi(OEt)4が含まれる。最も好ましいカップリング剤は、SnCl4、SiCl4、Sn(OMe)4及びSi(OMe)4である。
【0030】
1つの実施形態において、鎖末端修飾エラストマーポリマーはさらに、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素及びケイ素アルコキシドからなる群より選択される少なくとも1つのカップリング剤を含む。
【0031】
スズ化合物又はケイ素化合物の組合せは、場合により、以前に記載されたように、ポリマーをカップリングするために使用することができる。スズカップリング剤及びケイ素カップリング剤のそのような組合せを使用することによって、タイヤゴムのための改善された特性(例えば、より低いヒステリシスなど)を得ることができる。スズカップリング剤及びケイ素カップリング剤の組合せを、シリカ及びカーボンブラックの両方を含有するタイヤトレッド用配合物において利用することが特に望ましい。そのような場合において、エラストマーポリマーをカップリングする際に用いられるスズ化合物対ケイ素化合物のモル比は通常的には20:80〜95:5の範囲内であり、より典型的には40:60〜90:10の範囲内であり、好ましくは60:40〜85:15の範囲内である。最も典型的には、約0.01ミリ当量〜4.5ミリ当量の範囲のカップリング剤(スズ化合物及びケイ素化合物)が100グラムのエラストマーポリマーあたりに用いられる。所望のムーニー粘度を得るために100グラムのポリマーあたり約0.01ミリ当量〜約1.5ミリ当量のカップリング剤を利用することが通常、好ましい。より大きな量は、末端反応性の基を含有するポリマー、又は不十分なカップリングを生じさせる傾向がある。1当量のリチウム開始剤あたりゼロ当量〜1当量未満のスズカップリング剤及び/又はケイ素カップリング剤が、残存するリビングポリマー画分のその後の官能基化を可能にするために使用される。例えば、四塩化スズ又は四塩化ケイ素あるいはこれらの化合物の混合物がカップリング剤として使用されならば、0〜1.0mol未満(好ましくは0〜0.8mol、より好ましくは0〜0.6mol)のカップリング剤が4.0モルのリビングリチウムポリマー鎖末端毎に用いられる。カップリング剤は、分布及び反応のための好適な混合とともに、炭化水素の溶液(例えば、シクロヘキサン)において反応装置内の重合混合物に加えることができる。
【0032】
溶液に基づく重合プロセスについては、重合が、好適な溶媒、分散剤又は希釈剤において行われる。非配位性の不活性な液体が好ましく、これには、直鎖及び分枝鎖の炭化水素(例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、環状及び脂環族の炭化水素(例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタンなど)、芳香族化合物及びアルキル置換された芳香族化合物(例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレンなど)、及び前記の異性体、及びそれらの混合物、ならびにペンタメチルヘプタン又は鉱油留分(例えば、軽質ペトロール又はレギュラーペトロール、ナフサ、ケロシン又はガス油など)が含まれるが、これらに限定されない。フッ素化された炭化水素液体(例えば、過フッ素化C4-10アルカンなど)もまた好適である。さらに、好適な溶媒には、重合プロセスにおいてモノマー又はコノモマーとして作用し得る液状オレフィンが含まれ、これには、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、シクロペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1−オクテン、1−デセン、スチレン、ジビニルベンゼン、エチリデンノルボルネン、アリルベンゼン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−ビニルシクロヘキセン及びビニルシクロヘキサンが含まれる。このような溶媒の混合物もまた好適である。芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン及びトルエン)もまた使用することができる。
【0033】
用語「鎖末端修飾剤」("chain end modifier")、用語「エンドキャップ修飾剤」("end cap modifier")、用語「修飾用薬剤」("modifying agent")、用語「修飾用化合物」("modifying compound")及び単に用語「修飾剤」("modifier")はすべて、下記の式1及び式2を参照して本明細書中に記載される主題であるシラン−スルフィド化合物を意味することが意図される。用語「鎖末端修飾エラストマーポリマー」及び用語「修飾エラストマーポリマー」はともに、リビングエラストマーポリマーと、主題である鎖末端修飾剤との反応生成物を意味することが意図される。
【0034】
主題である修飾剤には、下記の式1による化合物が含まれる。
GJMSi−A−S−SiTXZ (式1)
式中、
Siはケイ素である;Sはイオウである;Gは(C1−C16)アルコキシであり、好ましくは(C1−C10)アルコキシであり、より好ましくは(C1−C6)アルコキシであり、一層より好ましくは(C1−C4)アルコキシである;及び
J及びMは同じ又は異なり、それぞれが独立して、水素(H)、(C1−C16)アルキル、(C1−C16)アルコキシ、(C7−C16)アリール、(C7−C16)アルキルアリール及び−A−S−SiTXZ(式中、A、T、X及びZは下記で定義される)からなる群より選択され、しかし、好ましくは、独立して、(C1−C5)アルキル及び(C1−C5)アルコキシから選択される。
【0035】
Aは、アリール、アルキルアリール、(C7−C16)アルキルアリール又は(C1−C16)アルキルであり、これらは、直鎖又は分枝状、飽和又は不飽和であってもよく、また、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、(C7−C16)アリール、(C7−C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO2、チオアルキル、−A−S−SiTXZ(式中、A、T、X及びZは本明細書中で定義される)により置換されてもよく、しかし、好ましくは、直鎖又は分枝状の(C1−C5)アルキルである。
【0036】
好ましい実施形態において、Aは(C1−C16)アルキルであり、より好ましくは(C1−C12)アルキルであり、一層より好ましくは(C1−C8)アルキルであり、最も好ましくは(C1−C5)アルキルである。別の実施形態において、Aは(C7−C16)アルキルアリールであり、より好ましくは(C7−C12)アルキルアリールであり、最も好ましくは(C7−C10)アルキルアリールである。本明細書中で使用される(C1−Cn)又は(C7−Cn)の表示(nは炭素の上限である)は、「A」基に含まれる炭素原子の総数を示す。
【0037】
別の実施形態において、Aは、好ましくは、ヘテロ原子(例えば、O、N、P又はSなど)を含有しない(C1−C16)アルキルであり、より好ましくは、ヘテロ原子(例えば、O、N、P又はSなど)を含有しない(C1−C12)アルキルであり、一層より好ましくは、ヘテロ原子(例えば、O、N、P又はSなど)を含有しない(C1−C8)アルキルであり、最も好ましくは、ヘテロ原子(例えば、O、N、P又はSなど)を含有しない(C1−C5)アルキルである。別の実施形態において、Aは、ヘテロ原子(例えば、O、N、P又はSなど)を含有しない(C7−C16)アルキルアリールであり、より好ましくは、ヘテロ原子(例えば、O、N、P又はSなど)を含有しない(C7−C12)アルキルアリールであり、最も好ましくは、ヘテロ原子(例えば、O、N、P又はSなど)を含有しない(C7−C10)アルキルアリールである。上記で議論されたように、本明細書中で使用される(C1−Cn)又は(C7−Cn)の表示(nは炭素の上限である)は、「A」基に含まれる炭素原子の総数を示す。
【0038】
好ましい実施形態において、A基は、アルキルであるとき、3個〜5個の炭素原子を含有する。
【0039】
(C7−C8)アルキルアリールに基づくA基の例には、下記の構造が含まれる。
【化1】

【0040】
T基、X基及びZ基は同じ又は異なり、それぞれが独立して、水素(H)、(C1−C16)アルキル、(C1−C16)アルコキシ、(C7−C16)アリール、(C7−C16)アラルキル及び−S−A−SiMJG(式中、A、M、J及びGは、本明細書中に記載されるように定義される)からなる群より選択され、しかし、好ましくは、T、X及びZは独立して、(C1−C5)アルキル及び(C1−C5)アルコキシから選択され、より好ましくは、T、X及びZはそれぞれが(C1−C5)アルキル基である。別の実施形態において、T、X及びZはそれぞれが独立して(C1−C16)アルキルであり、より好ましくは(C1−C12)アルキルであり、一層より好ましくは(C1−C8)アルキルであり、最も好ましくは(C1−C5)アルキルである。
【0041】
式1には示されないが、主題であるそのような化合物にはまた、その対応するルイス塩基付加物(Lewis base adducts)(例えば、ケイ素原子と配位した溶媒分子(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン)とのルイス塩基付加物)が含まれ得ることが理解される。
【0042】
本発明の好ましい実施形態において、式1(上記参照)及び式2(下記参照)に示されるような修飾剤はハロゲン化物部分を含有せず、より好ましくは、腐食性の副産物を潜在的に形成し得るクロリドを含有しない。
【0043】
用語「アルキル」は、直鎖の炭化水素(例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル(Pr)、n−ブチル(Bu)、n−ペンチル、n−ヘキシルなど)、分枝状の炭化水素基(例えば、イソプロピル、tert−ブチルなど)の両方、及び炭化水素に基づく非芳香族環を含むことが理解される。これらの炭化水素基は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル又は他のヘテロ原子(例えば、窒素、イオウ及びリンなど)で場合により置換されてもよく、しかし、好ましくは、ヘテロ原子含有置換基を含有しない。
【0044】
用語「アルコキシ」は、メトキシ(MeO)、エトキシ(EtO)、プロポキシ(PrO)、ブトキシ(BuO)、イソプロポキシ、イソブトキシ及びペントキシなどを含むことが理解される。
【0045】
用語「アリール」は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル又は他のヘテロ原子(例えば、窒素、イオウ及びリンなど)で場合により置換される種々のフェニル、種々のビフェニル、及び他のベンゼノイド化合物を含むことが理解される。式1において定義されるようなアリール基は、好ましくは、ヘテロ原子置換基を含有せず、一層より好ましくは、1つだけの芳香族環を含有し、最も好ましくは、6炭素の芳香族環を含有する。
【0046】
用語「アルキルアリール」は、アルキル基に結合したアリール基を意味することが理解される。(C7−C16)の表示及び類似した表示は、この基に含まれる炭素原子の総数を意味することが意図される。式1において定義されるようなアルキルアリール基は、好ましくは、ヘテロ原子置換基を含有せず、一層より好ましくは、1つだけの芳香族環を含有し、最も好ましくは、6炭素の芳香族環を含有する。
【0047】
より好ましくは、主題である修飾剤は、下記の式2によって定義されるクラスから選択される。
(RO)x(R)ySi−R’−S−SiR3 (式2)
式中、
Oは酸素である;xは、1、2及び3から選択される整数である;yは、0、1及び2から選択される整数である;及び、x+y=3である。
【0048】
Rは同じ又は異なり、(C1−C16)アルキルであり、好ましくは(C1−C8)アルキルであり、より好ましくは(C1−C5)アルキル(特に、Me、Et、Pr及びBuを含む)である;R’は(C1−C16)アルキルであり、好ましくは(C1−C5)アルキルである。
【0049】
R’は「A」基に等しく、従って、上記で議論されたようにそれに従って定義される。
【0050】
好ましい実施形態において、それぞれのR基は同じ又は異なり、それぞれが独立して(C1−C5)アルキルであり、R’は(C1−C5)アルキルである。
【0051】
式2には示されないが、主題であるそのような化合物には、その対応するルイス塩基付加物(例えば、ケイ素原子と配位した溶媒分子(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン)とのルイス塩基付加物)が含まれることが理解される。主題である修飾剤の具体的な好ましい化学種には、下記の式によって表される化合物(及びその対応するルイス塩基付加物(これは示されない))が含まれる。(MeO)3Si−(CH23−S−SiMe3、(EtO)3Si−(CH23−S−SiMe3、(PrO)3Si−(CH23−S−SiMe3、(BuO)3Si−(CH23−S−SiMe3、(MeO)3Si−(CH22−S−SiMe3、(EtO)3Si−(CH22−S−SiMe3、(PrO)3Si−(CH22−S−SiMe3、(BuO)3Si−(CH22−S−SiMe3、(MeO)3Si−CH2−S−SiMe3
(EtO)3Si−CH2−S−SiMe3、(PrO)3Si−CH2−S−SiMe3、(BuO)3Si−CH2−S−SiMe3、(MeO)3Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe3、(EtO)3Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe3、(PrO)3Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe3、(BuO)3Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe3、((MeO)3Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe3、(EtO)3Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe3、(PrO)3Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe3、(BuO)3Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe3、(MeO)2(Me)Si−(CH23−S−SiMe3、(EtO)2(Me)Si−(CH23−S−SiMe3、(PrO)2(Me)Si−(CH23−S−SiMe3、(BuO)2(Me)Si−(CH23−S−SiMe3、(MeO)2(Me)Si−(CH22−S−SiMe3、(EtO)2(Me)Si−(CH22−S−SiMe3、(PrO)2(Me)Si−(CH22−S−SiMe3、(BuO)2(Me)Si−(CH22−S−SiMe3、(MeO)2(Me)Si−CH2−S−SiMe3、(EtO)2(Me)Si−CH2−S−SiMe3、(PrO)2(Me)Si−CH2−S−SiMe3、(BuO)2(Me)Si−CH2−S−SiMe3、(MeO)2(Me)Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe3、(EtO)2(Me)Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe3、(PrO)2(Me)Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe3、(BuO)2(Me)Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe3、((MeO)2(Me)Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe3、(EtO)2(Me)Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe3、(PrO)2(Me)Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe3、(BuO)2(Me)Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe3、(MeO)(Me)2Si−(CH23−S−SiMe3、(EtO)(Me)2Si−(CH23−S−SiMe3、(PrO)(Me)2Si−(CH23−S−SiMe3、(BuO)(Me)2Si−(CH23−S−SiMe3、(MeO)(Me)2Si−(CH22−S−SiMe3、(EtO)(Me)2Si−(CH22−S−SiMe3、(PrO)(Me)2Si−(CH22−S−SiMe3、(BuO)(Me)2Si−(CH22−S−SiMe3、(MeO)(Me)2Si−CH2−S−SiMe3、(EtO)(Me)2Si−CH2−S−SiMe3、(PrO)(Me)2Si−CH2−S−SiMe3、(BuO)(Me)2Si−CH2−S−SiMe3、(MeO)(Me)2Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe3、(EtO)(Me)2Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe3、(PrO)(Me)2Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe3、(BuO)(Me)2Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe3、((MeO)(Me)2Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe3、(EtO)(Me)2Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe3、(PrO)(Me)2Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe3、(BuO)(Me)2Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe3、(MeO)3Si−(CH23−S−SiEt3、(EtO)3Si−(CH23−S−SiEt3、(PrO)3Si−(CH23−S−SiEt3、(BuO)3Si−(CH23−S−SiEt3、(MeO)3Si−(CH22−S−SiEt3、(EtO)3Si−(CH22−S−SiEt3、(PrO)3Si−(CH22−S−SiEt3、(BuO)3Si−(CH22−S−SiEt3、(MeO)3Si−CH2−S−SiEt3、(EtO)3Si−CH2−S−SiEt3、(PrO)3Si−CH2−S−SiEt3、(BuO)3Si−CH2−S−SiEt3、(MeO)3Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiEt3、(EtO)3Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiEt3、(PrO)3Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiEt3、(BuO)3Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiEt3、((MeO)3Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiEt3、(EtO)3Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiEt3、(PrO)3Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiEt3、(BuO)3Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiEt3、(MeO)2(Me)Si−(CH23−S−SiEt3、(EtO)2(Me)Si−(CH23−S−SiEt3、(PrO)2(Me)Si−(CH23−S−SiEt3、(BuO)2(Me)Si−(CH23−S−SiEt3、(MeO)2(Me)Si−(CH22−S−SiEt3、(EtO)2(Me)Si−(CH22−S−SiEt3、(PrO)2(Me)Si−(CH22−S−SiEt3、(BuO)2(Me)Si−(CH22−S−SiEt3、(MeO)2(Me)Si−CH2−S−SiEt3、(EtO)2(Me)Si−CH2−S−SiEt3、(PrO)2(Me)Si−CH2−S−SiEt3、(BuO)2(Me)Si−CH2−S−SiEt3、(MeO)2(Me)Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiEt3、(EtO)2(Me)Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiEt3、(PrO)2(Me)Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiEt3、(BuO)2(Me)Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiEt3、((MeO)2(Me)Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiEt3、(EtO)2(Me)Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiEt3、(PrO)2(Me)Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiEt3、(BuO)2(Me)Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiEt3、(MeO)(Me)2Si−(CH23−S−SiEt3、(EtO)(Me)2Si−(CH23−S−SiEt3、(PrO)(Me)2Si−(CH23−S−SiEt3、(BuO)(Me)2Si−(CH23−S−SiEt3、(MeO)(Me)2Si−(CH22−S−SiEt3、(EtO)(Me)2Si−(CH22−S−SiEt3、(PrO)(Me)2Si−(CH22−S−SiEt3、(BuO)(Me)2Si−(CH22−S−SiEt3、(MeO)(Me)2Si−CH2−S−SiEt3、(EtO)(Me)2Si−CH2−S−SiEt3、(PrO)(Me)2Si−CH2−S−SiEt3、(BuO)(Me)2Si−CH2−S−SiEt3、(MeO)(Me)2Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiEt3、(EtO)(Me)2Si−CH2−CMe2−CH
2−S−SiEt3、(PrO)(Me)2Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiEt3、(BuO)(Me)2Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiEt3、((MeO)(Me)2Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiEt3、(EtO)(Me)2Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiEt3、(PrO)(Me)2Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiEt3、及び(BuO)(Me)2Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiEt3、(MeO)3Si−(CH23−S−SiMe2tBu、(EtO)3Si−(CH23−S−SiMe2tBu、(PrO)3Si−(CH23−S−SiMetBu、(BuO)3Si−(CH23−S−SiMe2tBu、(MeO)3Si−(CH22−S−SiMe2tBu、(EtO)3Si−(CH22−S−SiMe2tBu、(PrO)3Si−(CH22−S−SiMe2tBu、(BuO)3Si−(CH22−S−SiMe2tBu、(MeO)3Si−CH2−S−SiMe2tBu、(EtO)3Si−CH2−S−SiMe2tBu、(PrO)3Si−CH2−S−SiMe2tBu、(BuO)3Si−CH2−S−SiMe2tBu、(MeO)3Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe2tBu、(EtO)3Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe2tBu、(PrO)3Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe2tBu、(BuO)3Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe2tBu、((MeO)3Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe2tBu、(EtO)3Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe2tBu、(PrO)3Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe2tBu、(BuO)3Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe2tBu、(MeO)2(Me)Si−(CH23−S−SiMe2tBu、(EtO)2(Me)Si−(CH23−S−SiMe2tBu、(PrO)2(Me)Si−(CH23−S−SiMe2tBu、(BuO)2(Me)Si−(CH23−S−SiMe2tBu、(MeO)2(Me)Si−(CH22−S−SiMe2tBu、(EtO)2(Me)Si−(CH22−S−SiMe2tBu、(PrO)2(Me)Si−(CH22−S−SiMe2tBu、(BuO)2(Me)Si−(CH22−S−SiMe2tBu、(MeO)2(Me)Si−CH2−S−SiMe2tBu、(EtO)2(Me)Si−CH2−S−SiMe2tBu、(PrO)2(Me)Si−CH2−S−SiMe2tBu、(BuO)2(Me)Si−CH2−S−SiMe2tBu、(MeO)2(Me)Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe2tBu、(EtO)2(Me)Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe2tBu、(PrO)2(Me)Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe2tBu、(BuO)2(Me)Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe2tBu、((MeO)2(Me)Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe2tBu3、(EtO)2(Me)Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe2tBu、(PrO)2(Me)Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe2tBu、(BuO)2(Me)Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe2tBu、(MeO)(Me)2Si−(CH23−S−SiMe2tBu、(EtO)(Me)2Si−(CH23−S−SiMe2tBu、(PrO)(Me)2Si−(CH23−S−SiMe2tBu、(BuO)(Me)2Si−(CH23−S−SiMe2tBu、(MeO)(Me)2Si−(CH22−S−SiMe2tBu、(EtO)(Me)2Si−(CH22−S−SiMe2tBu、(PrO)(Me)2Si−(CH22−S−SiMe2tBu、(BuO)(Me)2Si−(CH22−S−SiMe2tBu、(MeO)(Me)2Si−CH2−S−SiMe2tBu、(EtO)(Me)2Si−CH2−S−SiMe2tBu、(PrO)(Me)2Si−CH2−S−SiMe2tBu、(BuO)(Me)2Si−CH2−S−SiMe2tBu、(MeO)(Me)2Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe2tBu、(EtO)(Me)2Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe2tBu、(PrO)(Me)2Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe2tBu、(BuO)(Me)2Si−CH2−CMe2−CH2−S−SiMe2tBu、((MeO)(Me)2Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe2tBu、(EtO)(Me)2Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe2tBu、(PrO)(Me)2Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe2tBu、及び(BuO)(Me)2Si−CH2−C(H)Me−CH2−S−SiMe2tBu。
【0052】
本発明の修飾剤は、下記の式3によるイオウ含有化合物、
(RO)x(R)ySi−R’−S−H (式3)
(式中、記号は、式2に関して定義されたのと同じ意味を有する)
を、下記の式4による化合物、
QSiR3 (式4)
(式中、Qは、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子である)
と反応させることによって調製することができる。
【0053】
主題である修飾剤には、米国特許第6,229,036号(これは、法によって許される最大限の範囲で、スルファニルシラン化合物を調製するための方法を含めて、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるスルファニルシラン化合物が含まれる。開示されたスルファニルシラン化合物の中で、ハロゲンを有しないスルファニルシラン化合物が好ましい。
【0054】
修飾剤は、重合期間中、間断的に(すなわち、定期的な間隔又は不定期の間隔で)、又は連続して加えることができ、しかし、好ましくは、80%を越える重合転換率で加えられ、より好ましくは、90%を越える重合転換率で加えられる。好ましくは、ポリマー鎖末端の実質的な量が修飾剤との反応の前に停止されない。すなわち、リビングポリマー鎖末端が存在し、ポリマー鎖末端修飾反応において修飾剤と反応することができる。修飾反応は、(カップリング剤が使用されるならば)カップリング剤の添加前、添加後又は添加期間中であってもよい。好ましくは、修飾反応は、(カップリング剤が使用されるならば)カップリング剤が添加された後で完了させられる。いくつかの実施形態では、ポリマー鎖末端の1/3超が、修飾剤が添加される前にカップリング剤と反応させられる。いくつかの実施形態では、カップリング剤が使用されず、リビングポリマー鎖が修飾剤と反応させられる。修飾反応の経過において、1つ又は2つ以上のポリマー鎖が修飾剤と反応することができる。結果として、1つ又は2つ以上のポリマー鎖が、修飾剤化合物に由来する官能基に連結される。修飾剤は、希釈することなく、ポリマー溶液に直接に加えることができる。しかしながら、修飾剤の添加を溶液(例えば、不活性な溶媒(例えば、シクロヘキサン)など)において提供することは有益であり得る。重合に加えられる修飾剤の量は、モノマーの化学種、修飾剤の化学種、反応条件、及び所望される末端性質に依存して変化し、しかし、一般には、重合のための開始剤として要求される有機アルカリ金属化合物におけるアルカリ金属の1モル当量あたり0.05モル当量〜5モル当量であり、好ましくは0.1モル当量〜2.0モル当量であり、最も好ましくは0.2モル当量〜1.5モル当量である。修飾反応は、0℃〜150℃の温度範囲で、好ましくは15℃〜100℃の温度範囲で、一層より好ましくは25℃〜80℃の温度範囲で行うことができる。官能基化反応の継続期間については何ら制限はなく、しかしながら、経済的な重合プロセスに関しては、修飾反応は通常、修飾剤が加えられた後の約10分〜60分で停止される。
【0055】
鎖末端修飾反応は、下記の式5によって表される鎖末端修飾エラストマーポリマーをもたらすとが考えられる。
(D)z(RO)x(R)ySi−R’−S−SiR3 (式5)
式中、Dはエラストマーポリマーである;xは、0、1及び2から選択される整数である;yは、0、1及び2から選択される整数である;zは、1、2及び3から選択される整数であり、x+y+z=3であり、すべての他の記号は、式2に関して以前に定義された通りである。式5には示されないが、主題であるそのような化合物にはまた、その対応するルイス塩基付加物が含まれることが理解される。いくつかの好ましい実施形態において、鎖末端修飾ポリマーは、上記のカップリング剤との反応により部分的にカップリングされることがある。
【0056】
理論によって拘束されることを望まないが、式5のトリアルキルシリル(−SiR3)基は、意図されないその後の反応を防止する保護基として機能すると考えられる。この「保護的な」トリアルキルシリル(−SiR3)は、−OH基を含有する化合物(例えば、水、アルコール、アニオン酸又は有機酸(例えば、塩酸、硫酸又はカルボン酸)など)にさらすことによって除くことができ、従って、これにより、「非保護の」チオール(−SH)基を形成する。そのような条件が典型的には加硫時に存在する。ポリマー「仕上げ」条件に依存して、非保護及び/又は保護の両方の修飾エラストマーポリマーが存在する場合がある。例えば、式5に従った修飾ポリマーを含有するポリマー溶液のスチームストリッピングでは、ある割合の保護しているトリアルキルシリル基が除かれ、これにより、チオール(−SH)基が露出したその非保護形態がもたらされる。あるいは、水を含まない仕上げ処理では、式5に従った修飾ポリマーの調製が可能になり得る。
【0057】
理論によって拘束されることを望まないが、修飾エラストマーポリマーの非保護のチオール(−SH)基は、ポリマー骨格の不飽和部分及び存在するフィラー(例えば、シリカ及び/又はカーボンブラックなど)の両方と反応し得ることが考えられる。この相互作用は、結合の形成を生じさせるか、又は一部のフィラーの場合には、エラストマーポリマー組成物におけるフィラーのより均一な分布をもたらす静電的相互作用を生じさせることが考えられる。
【0058】
得られた修飾エラストマーポリマーは、好ましくは、スルフィド基(例えば、チオール)を、1グラムのエラストマーポリマーについて0.0010mmol〜0.20mmol又は0.0020mmol〜0.20mmolの量で、好ましくは、1グラムのポリマーについて0.0010mmol〜0.10mmolの量で、より好ましくは、1グラムのポリマーについて0.0025mmol〜0.1mmolの量で、一層より好ましくは、1グラムのポリマーについて0.0025mmol〜0.05mmol又は0.0030mmol〜0.05mmolの量で含む。別の実施形態において、スルフィド基は、1グラムのエラストマーポリマーについて0.20mmol以下の量で、好ましくは0.10mmol/グラム以下の量で、より好ましくは0.05mmol/グラム以下の量で存在する。別の実施形態において、スルフィド基は、1グラムのエラストマーポリマーについて0.0010mmol以上の量で、好ましくは0.0020mmol/グラム以上の量で、より好ましくは0.0030mmol/グラム以上の量で存在する。
【0059】
ほとんどの適用について、修飾ポリマーは、好ましくは、共役ジオレフィンに由来するホモポリマー、芳香族ビニルモノマーとの共役ジオレフィンモノマーに由来するコポリマー、及び/あるいは、1つ又は2つのタイプの芳香族ビニル化合物との1つ又は2つのタイプの共役ジオレフィンのターポリマーである。より好ましくは、修飾ポリマーは、芳香族ビニルモノマーとの共役ジオレフィンモノマーのコポリマーであり、例えば、スルフィド基(例えば、チオール)が少なくともいくつかのポリマー鎖末端に結合した、スチレンとのブタジエンのコポリマーである。
【0060】
好ましい鎖末端修飾ポリマー(又は修飾エラストマーポリマー)には、鎖末端修飾されたポリブタジエン、鎖末端修飾されたポリイソプレン、鎖末端修飾されたブタジエン−スチレンコポリマー、鎖末端修飾されたブタジエン−イソプレンコポリマー、鎖末端修飾されたイソプレン−スチレンコポリマー、及び鎖末端修飾されたブタジエン−イソプレン−スチレンターポリマーが含まれるが、これらに限定されない。上記ポリマー(又はエラストマーポリマー)のうち、鎖末端修飾されたポリブタジエン及び鎖末端修飾されたブタジエン−スチレンコポリマーが特に好ましい。
【0061】
エラストマーポリマーの共役ジオレフィン部分の1,2−結合及び/又は3,4−結合(これらは本明細書中以降、「ビニル結合」と呼ばれる)の含有量に関する特定の制限は何らないが、ほとんどの適用について、ビニル結合の含有量は好ましくは10重量パーセント〜90重量パーセントであり、特に好ましくは15重量パーセント〜80重量パーセントである。エラストマーポリマーにおけるビニル結合の含有量が10重量パーセント未満であるならば、得られた製造物は、劣ったウェットスキッド抵抗を有する場合がある。エラストマーポリマーにおけるビニル含有量が90重量パーセントのビニル結合を越えるならば、製造物は、損なわれた引張り強さ及び耐摩耗性、ならびに比較的大きいヒステリシスを示す場合がある。
【0062】
主題である修飾エラストマーポリマーにおいて使用される芳香族ビニルモノマーの量に関する特定の制限は何らないが、ほとんどの適用において、芳香族ビニルモノマーは総モノマー含有量の5重量パーセント〜60重量パーセントを構成し、より好ましくは10重量パーセント〜50重量パーセントを構成する。5重量パーセント未満の値は、低下したウェットスキッド特性、耐摩耗性及び引張り強さをもたらし得るし、これに対して、60重量パーセントを越える値は、増大したヒステリシス損失をもたらす。修飾エラストマーポリマーはブロックコポリマー又はランダムコポリマーであってもよく、しかし、好ましくは、40重量パーセント以上の芳香族ビニル化合物ユニットが1つずつ連結され、10重量パーセント以下が、8個以上の芳香族ビニル化合物が連続して連結される「ブロック」となっている。連続して連結される芳香族ビニルユニットの長さは、Tanaka他(Polymer, Vol. 22, Pages 1721-1723 (1981))によって開発されたオゾン分解−ゲル浸透クロマトグラフィー法によって測定することができる。
【0063】
特定のポリマー及び所望される最終使用適用に依存するが、本発明の修飾ポリマーは、最終的な塊状ポリマー反応生成物として、ゴム配合プロセス及び加硫プロセスの前において、Monsanto MV2000装置を使用したとき、20〜150(好ましくは30〜100)の範囲でのムーニー粘度値(ML 1+4、100℃、ASTM D 1646(2004)に従って測定されたとき)を有する。修飾ポリマーは、場合により、フィラー及び/又はオイル及び/又は他のポリマーを含むことができる。ムーニー粘度(ML 1+4、100℃)が20未満であるならば、耐摩耗性及びヒステリシス損失の特性が損なわれる。そのうえ、エラストマーポリマーの粘着及び低温流動(cold flow)が増大し、このことは、困難な取り扱い、不良な加硫前強度(poor green strength)及び不良な貯蔵安定性をもたらす。ポリマーのムーニー粘度(ML 1+4、100℃)が150を越えるならば、加工性(中間ミキサーにおけるフィラー取り込み及び発熱、ロールミルでのバンド形成、押し出し速度、押し出し物の寸法安定性、滑らかさなど)が損なわれ、加工費用が増大する。
【0064】
本発明の1つの実施形態において、修飾ポリマーは、最終的な塊状ポリマー反応生成物として、ゴム配合プロセス及び加硫プロセスの前において、オイルを含有し、20〜150(好ましくは30〜100)の範囲でのムーニー粘度(ML 1+4、100℃、上記で議論されたようにASTM D 1646(2004)に従って測定されたとき)を有する。別の実施形態において、修飾ポリマーは、最終的な塊状ポリマー反応生成物として、ゴム配合プロセス及び加硫プロセスの前において、フィラー又はオイルを含有せず、20〜150(好ましくは30〜100)の範囲でのムーニー粘度(ML 1+4、100℃、上記で議論されたようにASTM D 1646(2004)に従って測定されたとき)を有する。
【0065】
主題である修飾ポリマーの好ましい分子量分布は、最終的な塊状ポリマー反応生成物として、ゴム配合プロセス及び加硫プロセスの前において、かつ、オイル、フィラー又は別のエラストマーポリマー源の添加前において、重量平均分子量対数平均分子量の比(Mw/Mn)によって表されるとき、好ましくは1.3から3.0に及ぶ。Mw/Mnが1.3未満であるならば、ポリマーの加工性が損なわれる。不良な加工性は製造コストを増大させるだけでなく、成分の混合特性をも損ない(例えば、フィラー及び他の添加物の不十分な分散など)、これにより、不良な物理的特性がもたらされ得る。Mw/Mnが3.0を越えるならば、低分子量成分の含有量が増大し、ヒステリシス損失が大きくなる。
【0066】
本発明の修飾ポリマー(又は修飾エラストマーポリマー)は、本明細書中に記載されるような2つ以上の特徴又は実施形態の組合せを含有することができる。上記のために、特に好ましい修飾ポリマーは下記の通りである。
1)ムーニー範囲が30〜80であり、ビニル結合含有量が、上記で議論されたように修飾エラストマーポリマーの共役ジオレフィン部分に基づいて5重量パーセント〜30重量パーセントの範囲にある、修飾されたポリブタジエン、
2)ムーニー範囲が30〜80であり、ビニル結合含有量が、上記で議論されたように修飾エラストマーポリマーの共役ジオレフィン部分に基づいて45重量パーセント〜80重量パーセントの範囲にある、修飾されたポリブタジエン、
3)ムーニー範囲が45〜80であり、ビニル結合含有量が、上記で定義されたように修飾エラストマーポリマーの共役ジオレフィン部分に基づいて50重量パーセント〜80重量パーセントの範囲にあり、スチレン含有量が(コポリマーにおいて)15重量パーセント〜30重量パーセントであり、スチレンユニットの50重量パーセント以上が1つずつ連結され、10重量パーセント以下が8個以上のスチレンユニットからなる「ブロック」に連結される、修飾されたブタジエン−スチレンコポリマー、及び
4)ムーニー範囲が45〜80であり、ビニル結合含有量が、上記で議論されたように修飾エラストマーポリマーの共役ジオレフィン部分に基づいて5重量パーセント〜50重量パーセントの範囲にあり、スチレン含有量が(コポリマーにおいて)30重量パーセント〜55重量パーセントであり、スチレンユニットの40重量パーセント以上が1つずつ連結され、10重量パーセント以下が8個以上のスチレンユニットからなる「ブロック」に連結される、修飾されたブタジエン−スチレンコポリマー。
ムーニー粘度は、上記で議論されたように測定される。
【0067】
エクステンション油を、粘度又はムーニー値を低下させるために、主題であるエラストマーポリマーとの組合せで使用することができる。本発明は、鎖末端修飾エラストマーポリマー及びオイルを含む組成物を提供する。適用可能なエクステンダー油には、芳香族タイプのオイル、脂環族タイプのオイル及び脂肪族タイプのオイルの混合物である鉱油が含まれ、これらは、芳香族タイプのエクステンダー油、脂環族タイプのエクステンダー油、又は脂肪族タイプのエクステンダー油として分類される。これらの中で、0.900〜1.049の粘度比重定数(V.G.G.値)を有する芳香族タイプの鉱油(芳香族オイル)、及び0.850〜0.899のV.G.G.値を有する脂環族タイプの鉱油(ナフテン系オイル)が、優れたウェットスキッド抵抗をもたらす最適な低温ヒステリシス損失の特性を確実にするために特に好ましい。エクステンダー油による本発明の修飾ポリマーのそのような油展(extension)は、ポリマーにおけるフィラー(例えば、カーボンブラック及びシリカなど)の均一な分散を確実にし、加硫された製造物の加工性及び様々な性質を改善する。本発明において使用されるエクステンダー油の量は、ゴム配合プロセス及び加硫プロセスの前において、最終的な塊状ポリマー反応生成物としての100重郎部の修飾エラストマーポリマーについて、0重量部〜100重量部であり、好ましくは0重量部〜80重量部であり、より好ましくは0重量部〜70重量部である。エクステンダー油がポリマー溶液に加えられるとき、添加時期はポリマーの修飾又は重合の停止の後にすべきであり、例えば、修飾剤又は重合停止剤の添加の後にすべきである。エクステンダー油を加えた後、ポリマーを直接乾燥法又はスチームストリッピングにより溶媒から分離し、ゴムを真空乾燥機、熱風乾燥機又はローラーなどを使用して乾燥することによって、油展ポリマーが得られる。例として、米国特許出願公開第2005/0159513号(2005年7月31日公開)には、ケイ素カプリング剤又はスズカプリング剤によりカップリングされた溶液重合によるエラストマーポリマーと、低多環芳香族オイルとを含む油展ゴム組成物が開示される。
【0068】
本発明の重要な実施形態において、主題である修飾ポリマーは、フィラー及び加硫剤、ならびに場合により、さらなる構成成分(これには、促進剤、カップリング剤、及び非修飾のエラストマーポリマー(すなわち、主題である修飾剤と反応していないが、当分野では通常であるように調製及び停止されている従来のエラストマーポリマー)が含まれるが、これらに限定されない)と一緒にされ、反応させられる。用語「エラストマーポリマー組成物」は、この組合せから生じる反応生成物を表すことが意図される。得られたエラストマーポリマー組成物は、典型的には、所望される形態に成形され、加硫されてエラストマー品(例えば、タイヤなど)になる。
【0069】
主題である修飾エラストマーポリマー(the subject modified elastomeric polymer or polymers)(これには、油展された実施形態が含まれる)は、好ましくは、存在するエラストマーポリマー全体の少なくとも30重量パーセントを構成し、より好ましくは、少なくとも50重量パーセントを構成する。エラストマーポリマーの残り部分は非修飾のエラストマーポリマーである。好ましい非修飾のエラストマーポリマーには、cis−1,4−イソプレンポリマー、天然ゴム、3,4−イソプレンポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマーポリマー、スチレン/イソプレン/ブタジエンターポリマー、cis−1,4−ブタジエンポリマー、trans−1,4−ブタジエンポリマー、低ビニル〜高ビニルのブタジエンポリマー(ビニル含有量が10パーセント〜90パーセントである)、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、及びクロロプレンポリマーが含まれる。これらの中で、スチレン−ブタジエンコポリマー、天然ゴム、ポリイソプレン及びポリブタジエンが好ましい。そのような非修飾ポリマーは、(上記で議論されたようにASTM D 1646(2004)に従って測定される)ムーニー粘度(ML 1+4、100℃)を20〜200(好ましくは、25〜150)の範囲に有することが望ましい。非修飾ポリマーの上記範囲での添加により、本発明のエラストマー組成物を、その特性を実質的に損なうことなく低コストで製造することが保証される。
【0070】
主題であるエラストマー組成物は、好ましくは、強化剤として役立つフィラーを含む。カーボンブラック、シリカ、カーボン−シリカの二相フィラー、粘土、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムなどが例として挙げられる。これらの中で、カーボンブラック及びシリカの混合使用、カーボン−シリカの二相フィラーの単独での使用、又はカーボン−シリカの二相フィラー及びカーボンブラック及び/又はシリカの混合使用が好ましい。カーボンブラックはファーネス法(a furnace method)によって製造され、50m2/g〜200m2/gの窒素吸着比表面積及び80ml/100グラム〜200ml/100グラムのDBPオイル吸収を有し、例えば、FEFクラス;HAFクラス、ISAFクラス又はSAFクラスのカーボンブラックが好ましい。高凝集タイプのカーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックは、典型的には、エラストマーポリマー全体の100重量部について2重量部〜100重量部(好ましくは5重量部〜100重量部、より好ましくは10重量部〜100重量部、一層より好ましくは10重量部〜95重量部)の量で加えられる。
【0071】
シリカフィラーの例には、湿式プロセスによるシリカ、乾式プロセスによるシリカ、及び合成ケイ酸塩タイプのシリカが含まれる。小さい粒子直径を有するシリカが高い強化効果を示す。直径が小さい高凝集タイプのシリカ(すなわち、広い表面積及び高いオイル吸収性を有するもの)が、エラストマーポリマー組成物における優れた分散性(これは所望の特性を表す)及び優れた加工性を示す。シリカの平均粒子直径は、一次粒子直径に関して、好ましくは5μm〜60μmであり、より好ましくは10μm〜35μmである。そのうえ、シリカ粒子の比表面積(これはBET法によって測定される)は、好ましくは、45m2/g〜280m2/gである。シリカは、エラストマーポリマー全体の100重量部について10重量部〜100重量部(好ましくは30重量部〜100重量部、一層より好ましくは30重量部〜95重量部)の量で加えられる。
【0072】
カーボンブラック及びシリカは一緒に加えることができ、そのような場合、加えられるカーボンブラック及びシリカの総量はエラストマーポリマー全体の100重量部について30重量部〜100重量部であり、好ましくは30重量部〜95重量部である。そのようなフィラーがエラストマー組成物において均一に分散される限り、(上記の示された範囲での)量が増加すると、優れた転がり及び押し出し加工性を有する組成物がもたらされ、また、好都合なヒステリシス損失特性、転がり抵抗、改善されたウェットスキッド抵抗、耐摩耗性及び引張り強さを示す加硫された製造物がもたらされる。
【0073】
カーボン−シリカの二相フィラーを、本発明において、独立して、あるいは、カーボンブラック及び/又はシリカとの組合せでのいずれかであっても使用することができる。カーボン−シリカの二相フィラーは、これが単独で加えられる場合でさえ、カーボンブラック及びシリカの混合使用によって得られる効果と同じ効果を示すことができる。カーボン−シリカの二相フィラーは、カーボンブラックの表面を覆ってシリカをコーティングすることによって作製される、いわゆるシリカ被覆カーボンブラックであり、CRX2000、CRX2002又はCRX2006の商標で市販されている(Cabot Co.の製造物)。カーボン−シリカの二相フィラーは、シリカに関して以前に記載されたのと同じ量で加えられる。カーボン−シリカの二相フィラーは、他のフィラー(例えば、カーボンブラック、シリカ、粘土、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム)との組合せで使用することができる。これらのフィラーの中で、カーボンブラック及びシリカの使用が、個々又は組合せでのいずれかであっても、好ましい。
【0074】
シリカ又はカーボン−シリカの二相フィラーが使用されるとき、シランカップリング剤をポリマー組成物に加えることが好ましい。加えられるシランカップリング剤の典型的な量は、シリカ及び/又はカーボン−シリカの二相フィラーの総量の100重量部について約1重量部〜約20重量部であり、好ましくは5重量部〜15重量部である。シランカップリング剤は、シリカ表面と反応し得る官能基(例えば、アルコキシシリル基など、しかし、これに限定されない)、及びポリマーの炭素−炭素の二重結合と反応し得る官能基(例えば、ポリスフィド基、メルカプト基又はエポキシ基など)の両方を分子に有するものが好ましく、これには、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(NXTシラン、著作権 Crompton Corporation)が含まれる。さらなる例が、米国特許出願公開第2006/0041063号A(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。そのようなシランカップリング剤の使用は、カーボンブラック及び/又はシリカの混合使用、あるいは、カーボン−シリカの二相フィラーの使用によってもたらされる強化効果を増大させる。
【0075】
本発明の1つの実施形態において、修飾ポリマー(又は修飾エラストマーポリマー)は加硫剤及び/又は加硫促進剤を含有する。イオウを含有する化合物及びペルオキシドが、最も一般的な加硫剤である。スルフェンアミドタイプ、グアニジンタイプ又はチウラムタイプの加硫促進剤を、要求に応じて、加硫剤と一緒に使用することができる。他の添加物(例えば、亜鉛華、加硫補助剤、老化防止剤(aging preventives)及び加工補助剤など)を場合により加えることができる。加硫剤は、典型的には、エラストマーポリマー全体の100重量部について0.5重量部〜10重量部(好ましくは1重量部〜6重量部)の量でポリマー組成物に加えられる。加硫剤に関するさらなる情報を、Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical technology 3rd, Ed, Wiley Interscience, N.Y., 1982, volume 20, pp.365-468、具体的には、「Vulcanizing Agents and Auxiliary Materials」 pp.390-402に見出すことができる。
【0076】
1つの実施形態において、本発明の加硫エラストマーポリマー組成物は10重量部〜100重量部のフィラー及び0.5重量部〜10重量部の加硫剤を含む(ともに、組成物におけるエラストマーポリマー全体の100重量部に基づく)。
【0077】
別の実施形態において、本発明は、本発明の加硫エラストマーポリマー組成物を含むタイヤトレッド、又は本発明の加硫エラストマーポリマー組成物から形成されるタイヤトレッドを提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、本発明の加硫エラストマーポリマー組成物から形成された少なくとも1つの成分を含むタイヤを提供する。
【0078】
本発明のエラストマーポリマー組成物は、上記で記載された修飾エラストマーポリマー(油展品種を含む)、非修飾のエラストマーポリマー(油展品種を含む)、フィラー(カーボンブラック、シリカ、カーボン−シリカの二相フィラーなど)、シランカップリング剤及び他の添加物をニーダーにおいて140℃〜180℃で混練することによって調製することができる。冷却後、加硫剤(例えば、イオウなど)及び加硫促進剤などが加えられ、得られた混合物が、バンバリーミキサー(a Banbury mixer)又は開放型ロールミルを使用して混合され、所望の形状に成形され、140℃〜180℃で加硫され、それにより、加硫されたエラストマー製造物を得る。
【0079】
本発明の加硫されたエラストマーポリマー組成物は、低い転がり抵抗、低い動的発熱及び優れたウェットスキッド性能を示すので、本発明のエラストマーポリマー組成物は、タイヤ、タイヤのトレッド、サイドウォール(side walls)及びカーカス(carcasses)、ならびに他の工業製品(例えば、ベルト、ホース、防振ゴム(vibration-proof rubber)及び履き物など)の調製における使用に十分に適する。
【0080】
本発明が実施例によってより詳しく説明され、実施例は、本発明の限定であることが意図されない。
【実施例】
【0081】
下記の実施例は、本発明をさらに例示するために提供され、限定であるとして解釈してはならない。実施例には、比較例の修飾剤と併せて、主題である修飾剤の調製、修飾エラストマーポリマーの調製及び試験、ならびにエラストマーポリマー組成物の調製及び試験が含まれる。別途述べられない限り、すべての部及び百分率は、重量に基づいて表される。用語「一晩」はおよそ16時間〜18時間の時間を示し、「室温」は約20℃〜25℃の温度を示す。重合を、窒素雰囲気中、水分及び酸素の非存在下で行った。様々な方法を使用して、実施例を試験及び測定した。これらの技術の簡単な記述が提供される。
【0082】
ブタジエンポリマー又はイソプレンポリマーの1,4−cis−ポリジエン含有量、1,4−trans−ポリジエン含有量及び1,2−ポリジエン含有量の比率を、IR、1H−NMR分光法及び13C−NMR分光法によって求めた(NMR(Bruker Analytic GmbHのAvance400装置(1H=400MHz;13C=100MHz))。加えて、共役ジオレフィン部分におけるビニル含有量をIR吸収スペクトルによって求めた(Morello法、Bruker Analytic GmbHのIFS66 FT−IR分光計)。IRサンプルを、CS2を膨潤剤として使用して調製した。
【0083】
結合スチレン含有量:検量線をIR吸収スペクトルによって作成した(IR(Bruker Analytic GmbHのIFS 66 FT−IR分光計)。IRサンプルを、CS2を膨潤剤として使用して調製した)。あるいは、スチレン含有量をNMR技術によって求めた(NMR(Bruker Analytic GmbHのAvance400装置(1H=400MHz;13C=100MHz)))。
【0084】
1個だけの鎖の芳香族ビニル化合物ユニット(芳香族ビニル化合物が1つだけ連結されたユニット)及び長鎖の芳香族ビニル化合物ユニット(8個以上の芳香族ビニル化合物が連結されるユニット)をNMR技術によって求めた(NMR(Bruker Analytic GmbHのAvance400装置(1H=400MHz;13C=100MHz)))。具体的には、総スチレンブロック含有量を、3個を越えるスチレンユニット(n≧3)を有するすべてのスチレンブロックを反映する6.2ppm〜6.9ppmの領域におけるシグナルの1H−NMR分析によって求めた。n=3〜5のスチレンミクロブロックは6.7ppm〜6.9ppmの領域におけるシグナルに対応し、n>6及びn=6の長いブロックは6.2ppm〜6.7ppmのシグナルに対応する。
【0085】
分子量分布(Mw/Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフ(室温におけるTHF中での粘度検出(汎用校正)によるSEC)によって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の比率から求めた。Mp1及びMp2は、離れた分子量画分のGPC曲線の第1及び第2の最大ピークにおいてそれぞれ測定された分子量に対応する。
【0086】
ガラス転移(Tg)温度をDSC測定によって求めた。DSC(示差走査熱量測定法)を、TA InstrumentsのDSC2920を使用して測定した。
【0087】
ムーニー粘度を、100℃の温度で、1分の予熱時間及び4分のローター操作時間を伴うASTM D 1646(2004)に従って測定した[ML1+4(100℃)]。
【0088】
スルファニルシランによる修飾効率をNMR技術によって(−SiMe3)基及び(−Si−OMe)基の濃度により求めた(NMR(Bruker Analytic GmbHのAvance400装置(1H=400MHz;13C=100MHz))。3.3ppm〜3.5ppmにおける(−Si−OMe)のシグナル及び0.1ppm〜0.2ppmにおける(−SiMe3)シグナル。アルコキシ基含有スルファニルシラン化合物による修飾効率をパーセント単位で求めるために、値を、GPCにより測定された数平均分子量(Mn)によって除した。測定値が単位重量あたりのSi−C結合の量であるからである。
【0089】
スルファニルシランによる修飾効率はまた、スルファートとしてのイオウ含有量により求めた。この手法では、サンプルを自動式オーブン(GAMBA社(ドイツ、Bad Durrenberg)のCombustor02)において燃焼し、その後、煙道ガスを、0.1%の水酸化ヒドラジニウムを含む水に吸収させ、続いて、スルファートの濃度をイオンクロマトグラフィー(Metrohm、カラム:Dionex InoPac AS12A)により求めることが必要であった。
【0090】
引張り強さ、破断時伸び、及び300%の伸びでの弾性率(modulus)(弾性率300(Modulus 300))を、ASTM D 412に従ってZwick Z010で測定した。
【0091】
発熱を、ASTM D 623の方法Aに従ってDoli‘Goodrich’−Flexometerで測定した。
【0092】
Tanδ(60℃)を、0.2%の圧縮動的ひずみを60℃において2Hzの振動数で加えて、Gabo Qualimeter Testanlagen GmbH(ドイツ)により製造された動力学的分光計Eplexor150Nを使用して測定した。指数が小さいほど、転がり抵抗が低くなる(より低い=より良好)。Tanδ(0℃)を、同じ装置及び負荷条件を0℃で使用して測定した。指数が大きいほど、ウェットスキッド抵抗が良好である(より大きい=より良好)。
【0093】
DIN摩耗をDIN 53516に従って測定した。指数が大きいほど、耐摩耗性が低くなる(より低い=より良好)。
【0094】
スコーチ時間(TS)及び硬化時間(TC)を測定するためにローターレス剪断レオメーター(MDR2000E)を使用する、ASTM D 5289に従った非加硫時のレオロジー学的特性の測定。「TC50」及び「TC90」は、加硫反応の50パーセント及び90パーセントの転換率を達成するために要するそれぞれの時間である。「TS1」及び「TS2」は、トルクを加硫時においてそれぞれのトルク最小値(ML)よりも1dNm及び2dNm増大させるために要するそれぞれの時間である。
【0095】
一般に、破断時伸び、引張り強さ、弾性率300(Modulus 300)及び0℃でのTanδについての値は大きいほど、良好であり、これに対して、60℃でのTanδ、発熱及び摩耗は低いほど、良好である。好ましくは、TS1は1.5分を越え、TS2は2.5分を越え、TC50は3分〜8分であり、TC90は8分〜19分である。
【0096】
修飾剤の調製:4つの修飾剤を実施例では使用した。構造式及び調製方法(又は入手源)が下記に示される。修飾剤1及び修飾剤2は本発明の修飾剤を表し、これに対して、修飾剤3及び修飾剤4は比較目的のためのものである。
【0097】
修飾剤1は下記の式M1によって表され、下記のように調製された。
【化2】

【0098】
250mLのシュレンクフラスコに、100gのシクロヘキサン、8.6g(85mmol)のトリエチルアミン及び13.12g(80mmol)のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン[Silquest A−189](Cromton GmbHから得られる)を装入した。17.9g(165mmol)のトリメチルクロロシランを50gのシクロヘキサンにより希釈した。その後、得られた溶液をシュレンクフラスコに滴下して加える。直ちに、白色のトリエチルアンモニウムクロリドが沈殿した。この懸濁物を室温で約24時間撹拌し、60℃でさらに3時間撹拌した。続いて、白色の沈殿物をろ過によって分離した。得られた無色の溶液を真空中で蒸留して、16g(67.7mmol)の修飾剤1を得た。
【0099】
修飾剤2は下記の式M2によって表され、下記のように調製された。
【化3】

【0100】
250mLのシュレンクフラスコに、100gのシクロヘキサン、8.6g(85mmol)のトリエチルアミン及び14.4g(79.8mmol)のγ−メルカプトプロピル(メチル)ジメトキシシラン(ABCR GmbHから得られる)を装入した。17.4g(160mmol)のトリメチルクロロシランを50gのシクロヘキサンにより希釈した。その後、得られた溶液をシュレンクフラスコに滴下して加える。直ちに、白色のトリエチルアンモニウムクロリドが沈殿した。この懸濁物を室温で約24時間物撹拌し、60℃でさらに3時間撹拌した。続いて、白色の沈殿物をろ過によって分離した。得られた無色の溶液を真空中で蒸留して、17.2g(68.1mmol)の修飾剤2を得た。
【0101】
修飾剤3は下記の式M2によって表され、下記のように調製された。
【化4】

【0102】
250mLのシュレンクフラスコに、100gのシクロヘキサン、8.6g(85mmol)のトリエチルアミン及び8.85g(80.0mmol)のγ−メルカプトプロピルクロリド(Aldrich GmbHから得られる)を装入した。17.4g(160mmol)のトリメチルクロロシランを50gのシクロヘキサンにより希釈した。その後、得られた溶液をシュレンクフラスコに滴下して加える。直ちに、白色のトリエチルアンモニウムクロリドが沈殿した。この懸濁物を室温で約24時間物撹拌し、60℃でさらに3時間撹拌した。続いて、白色の沈殿物をろ過によって分離した。得られた無色の溶液を真空中で蒸留して、11.9g(65.3mmol)の修飾剤3を得た。
【0103】
修飾剤4は下記の式M4によって表され、下記のように調製された。
【化5】

Cromton GmbHから得られるγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4[Silquest A−189]。
【0104】
あるいは、上記の式M1によって表される修飾剤1を下記のように調製した。
100mLのシュレンクフラスコに、25mlのテトラヒドロフラン(THF)、79.5mg(10mmol)の水素化リチウムを装入し、続いて、1.80g(10mmol)のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン[Silquest A−189](Cromton GmbHから得られる)を装入した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、50℃でさらに2時間撹拌した。その後、1.09g(10mmol)のトリメチルクロロシランを10gのTHFにより希釈した。その後、得られた溶液をシュレンクフラスコに滴下して加える。塩化リチウムが沈殿した。この懸濁物を室温で約24時間撹拌し、50℃でさらに2時間撹拌した。THF溶媒を真空中で除いた。その後、30mlのシクロヘキサンを加える。続いて、白色の沈殿物をろ過によって分離した。シクロヘキサン溶媒を真空中(減圧下)で除いた。得られた無色の液体溶液はGCにより99パーセント純粋であることが判明し、従って、さらなる精製は何ら必要なかった。
2.2g(9.2mmol)の修飾剤1が得られた。
【0105】
あるいは、上記の式M1によって表される修飾剤1を下記のように調製した。
100mLのシュレンクフラスコに、1.80g(10mmol)のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン[Silquest A−189](Cromton GmbHから得られる)、25mlのテトラヒドロフラン(THF)を装入し、続いて、10mlのTHFに溶解された0.594g(11mmol)のナトリウムメタノラート(NaOMe)を装入した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。その後、1.09g(10mmol)のトリメチルクロロシランを10gのTHFにより希釈した。その後、得られた溶液をシュレンクフラスコに滴下して加える。塩化ナトリウムが沈殿した。この懸濁物を室温で約24時間撹拌し、50℃でさらに2時間撹拌した。THF溶媒を真空中で除いた。その後、30mlのシクロヘキサンを加える。続いて、白色の沈殿物をろ過によって分離した。シクロヘキサン溶媒を真空中(減圧下)で除いた。得られた無色の液体溶液はGCにより89パーセント純粋であることが判明した。さらなる精製は分別蒸留(a fractionated distillation)であった。
1.7g(7.2mmol)の修飾剤1。
【0106】
1,3−ブタジエンのホモ重合(実施例1/1a及び実施例2/2a):
実施例1/1a及び実施例2/2aについての重合を二重壁の2リットルのスチール製反応器において行い、反応器には、有機溶媒、モノマー、極性の調節剤化合物、開始剤化合物又は他の成分が加えられる前に窒素をパージした。重合反応器は、別途述べられない限り、50℃に調節された。その後、下記の成分を下記の順で加えた。シクロヘキサン溶媒(500グラム);極性の調節剤化合物としてのテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(45.0mmol)、ブタジエンモノマー。混合物を1時間撹拌した。N−ブチルリチウム(50.0mmol)を加えて、重合反応を開始させた。重合を50℃でおよそ2時間行い、その後、ポリマー溶液の一部を反応器から取り出し、下記に記載されるように別個に処理した。続いて、修飾剤(1又は2)を加えた。実施例1a及び実施例2aについては、修飾剤を加えなかった。重合プロセスを停止させるために、ポリマー溶液を1時間後に、50mLのメタノール、及びポリマーのための安定剤としてのIrganox 1520の入った別の二重壁スチール製反応器に移した(1リットルのメタノールが2グラムのIrganoxを含有した)。この混合物を15分間撹拌した。その後、重合溶媒及び他の揮発物を真空により除いた。
【0107】
実施例1及び実施例1a:重合反応を、54.1g(1.00mol)のブタジエンを使用して行った。ポリマー溶液の66.6%を取り出した後、5.91グラム(25.0mmol)の修飾剤1を重合反応器に加えた。修飾剤が加えられなかったことを除いて、同じ調製を実施例1aについて使用した。
【0108】
実施例2及び実施例2a:重合反応を、10.0g(0.185mol)のブタジエンを使用して行った。ポリマー溶液の50%を取り出した後、12.5mmolの修飾剤2を重合反応器に加えた。修飾剤が加えられなかったことを除いて、同じ調製を実施例2aについて使用した。
【表1】

【0109】
実施例2のGC−MS調査により、13.17分、13.25分及び22.04分の保持時間で3つの異なるポリマー画分において例示されるトリメチルシリル基(−SiMe3)(m/e=73)の存在が確認された。(−SiMe3)フラグメントがポリマー分画物の大部分に見出された。このことは、少なくとも1つの(−SiMe3)基がポリマー鎖の大部分に存在することを示している。
【0110】
別の研究として、(−SiMe3)保護基の効果的な除去が、最初にヘキサデシル−トリメチルシリル−スルフィドを調製し、その後、(−SiMe3)基をHClにより除くことによって実証された。より具体的には、5.1g(20mmol)のヘキサデシルチオールを25mLのシクロヘキサンに溶解した。その後、2.15g(21.25mmol)のトリエチルアミンを加え、その後、25mLのシクロヘキサン中の4.47g(41.25mmol)のクロロ−トリメチル−シランを加えた。得られた反応混合物を24時間撹拌し、その後、60℃で3時間加熱した。得られた溶液をろ過し、シクロヘキサン溶媒を真空により除いた。ヘキサデシル−トリメチルシリル−スルフィドが形成された(収量:6.6g(20.0mmol))。(−SiMe3)基がNMR分光法により確認された(シグナルが1H−NMRスペクトルでは0.23ppmにおいて現れた)。1グラム(mmol)のヘキサデシル−トリメチルシリル−スルフィドを15mLのシクロヘキサンに溶解し、10mLのエタノール中の2グラムの塩酸(36%)を加え、室温で15時間撹拌した。有機層を相分離及び抽出により除いた後、有機相を、硫酸マグネシウムを使用して乾燥し、ろ過した。有機溶媒及びほとんどの形成されたヘキサクロロジシロキサン副生成物を真空により除くことにより、ヘキサデシルチオールの単離がもたらされた。予想されたように、0.23ppmでの1H−NMRスペクトルにおける(−SiMe3)シグナルが消失し、0.13ppmにおける非常に低い強度の新しい(−SiMe3)シグナルが現れた。このことはヘキサクロロジシロキサン副生成物の存在を示している。
【0111】
スチレンとの1,3−ブタジエンの共重合(実施例3〜実施例18)
共重合を二重壁の20リットルのスチール製反応器において行い、反応器には、有機溶媒、モノマー、極性の調節剤化合物、開始剤化合物又は他の成分が加えられる前に窒素をパージした。重合反応器は、別途述べられない限り、40℃に調節された。その後、下記の成分を下記の順で加えた。シクロヘキサン溶媒(9000グラム);ブタジエンモノマー、スチレンモノマー、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)。混合物を1時間撹拌し、その後、n−ブチルリチウムにより滴定して、微量の水分又は他の不純物を除いた。さらなるn−ブチルリチウムを加えて、重合反応を開始させた。重合を、重合温度が60℃を越えることがないように80分間行った。その後、別途示されない限り、総ブタジエンモノマー量の0.5%を加え、その後、四塩化スズを加えた。混合物を20分間撹拌した。続いて、別途示されない限り、総ブタジエンモノマー量の1.8%を加え、その後、修飾剤(1、2、3又は4)を加えた。重合プロセスを停止させるために、ポリマー溶液を45分後に、100mLのエタノール及び1.4gの濃HCl(36%の濃度)、ならびにポリマーのための安定剤としての5gのIrganox 1520が入った別の二重壁スチール製反応器に移した。この混合物を15分間撹拌した。その後、得られたポリマー溶液を1時間スチームストリッピングして、溶媒及び他の揮発物を除き、オーブンにおいて70℃で30分間乾燥し、室温でさらに1日間〜3日間乾燥した。
【0112】
得られたポリマー組成及びいくつかの属性が下記の表2及び表3にまとめられる。別途述べられない限り、量はmmol単位で表される。同一の重合条件のもとで(同じ操作者により同じ日に同じ重合反応器で)調製された実施例が実施例番号の隣りの同一の文字により示される(例えば、3A、4A)。
【0113】
下記の表におけるダッシュ「−」の使用は、構成成分が添加されなかったことを示す。略号「N.M.」は、測定が行われなかったこと、又は対応するデータが得られなかったことを意味することが意図される。
【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【0116】
実施例12〜実施例18についての総スチレンブロック含有量割合が≦1%であり、総ロングブロック含有量(5個以上の反復スチレンユニット)が≦5%であり、残りがミクロブロック含有量(2個〜4個の反復スチレンユニット)であった。
【0117】
ポリマー組成物を、下記の表4に示される構成成分を350ccのバンバリーミキサーにおいて一緒にし、配合することによって調製し、160℃で20分間加硫した。それぞれのエラストマー組成物例についての加硫プロセスデータ及び物理的特性が表5及び表6に示される。
【0118】
【表4】

【0119】
【表5】

【0120】
【表6】

【0121】
さらなるポリマー組成物を、下記の表7に示される構成成分を350ccのバンバリーミキサーにおいて一緒にし、配合することによって調製し、160℃で20分間加硫した。それぞれのエラストマー組成物例についての加硫プロセスデータ及び物理的特性が表8及び表9に示される。
【0122】
【表7】

【0123】
【表8】

【0124】
【表9】

【0125】
本発明の1つの重要な適用は、60℃でのより低いTanδ値を有するエラストマーポリマー組成物を、他の物理的特性及び加工性(特に、0℃でのTanδ値)に負の影響を及ぼすことなく製造することである。60℃でのより低いTanδ値を有するエラストマーポリマー組成物から作製されたタイヤトレッドは、対応するより低い転がり抵抗を有し、一方で、0℃でのより大きいTanδ値を有するそのようなタイヤトレッドは、対応するより良好なウェットスキッド特性を有する。
【0126】
本発明を例示する手段として、リビング低分子量ポリブタジエンが相対的に単純なモデルポリマーとして使用された。表1に示されるように、実施例1a及び実施例2aのポリブタジエンは2,350g/mol及び520g/molの分子量(Mn)をそれぞれ有した。これらのポリマーは修飾ポリマー鎖を含有しなかった。すなわち、トリメチルシリル(−SiMe3)基又はメトキシ(−OMe)基のいずれもが存在しなかった。類似したポリマー(実施例1及び実施例2)を調製し、本発明に従った修飾剤1及び修飾剤2により修飾した。この修飾により、平均分子量(Mw)が2倍になり、修飾剤のメトキシ−シリル基によるポリマー鎖の修飾が確認された。予想されたように、メトキシ基が1H−NMRスペクトルにおいてほとんど検出されなかった。GC−MS分析による実施例2の調査及び熱分解MS分析による実施例1の調査ではともに、トリメチルシリル(−SiMe3)基の特定がm/e=73.2での質量スペクトルにおけるフラグメントとしてもたらされた。これらの実施例のそれぞれにおけるイオウ基及びトリメチルシリル基のモル濃度は同じ範囲にある(すなわち、修飾剤1の約26パーセントが実施例1ではポリマー鎖末端に結合し、一方、修飾剤2の約34パーセントが実施例2のポリマー鎖末端に結合した)。
【0127】
トリメチルシリルスルフィド基修飾ポリマーからのトリメチルシリル基の可能な効果的な除去を実証するために、ヘキサデシル−トリメチルシリル−スルフィドをモデル化合物として選択した。上記で実証されたように、ヘキサデシル−トリメチルシリル−スルフィドは、塩酸に室温でさらされた後、定量的にヘキサデシルチオールに転換された。トリメチルシリル基の存在が実質的な量のリビングポリマー鎖末端の不活性化を反応中一時的に防止する(すなわち、保護する)ことが考えられる。
【0128】
前記で述べられたように、主題である修飾エラストマーポリマーについての1つの重要な適用は、60℃での比較的低いtanδ値を有する組成物によって表されるような低い転がり抵抗を有する、そのような修飾エラストマーポリマーから作製されるエラストマーポリマー組成物(具体的には、タイヤトレッド)を、0℃でのtanδによって表されるようなウェットスキッド特性の著しい悪化を伴うことなく調製することにおけるその使用である。表6において例示されるように、本発明(すなわち、修飾剤1又は修飾剤2)に従って修飾されたエラストマーポリマーから調製されたポリマー組成物は、そのような修飾を伴うことなく調製されたそれらの対応物例(これは同じ文字(例えば、5A及び6A)によって示される)と比較して、60℃での比較的より低いδ値、及び0℃での比較的より大きいtanδ値を有した。加えて、修飾された実施例の引張り強さ、弾性率300(Modulus 300)及び破断時伸びが一般には改善されたか、又は少なくとも、著しくは悪化しなかった。
【0129】
実施例18F及び実施例19Fによって示されるように、主題であるリビングエラストマーポリマーが、エラストマーポリマーが調製及び停止された後における配合工程の期間中に修飾剤をエラストマー組成物に単に加えるよりも、むしろ、主題である修飾剤により修飾されることは重要である。より具体的には、表9におけるデータによって示されるように、修飾剤1を(米国特許第6,229,036号に記載されるように)鎖末端修飾のために使用されるのと同程度の濃度でポリマー停止後のエラストマー組成物に添加することは、60℃又は0℃でのtanδの値に影響をほとんど及ぼさなかった。
【0130】
表6において示されるように、加硫期間中の発熱が、主題である修飾エラストマーポリマーの使用によって低下する。この低下は、得られた組成物の耐久性を改善し、また、全体的な弾性を増大させると考えられる。同様に、引張り強さ及び弾性率300(Modulus 300)が改善される。このことは、機械的応力のもとでのより大きい抵抗性を有する安定なポリマー網状構造の形成を示唆する。破断時伸びの値がわずかに低下するが、その値は、改善された引張り強さ及びTanδ値を考慮すると、依然として非常に許容可能である。
【0131】
表5及び表8は、スコーチ時間(TS)及び硬化時間(TC)が非修飾ポリマーと同程度であり、また、良好な加工性を有することを示す。
【0132】
上記の様々な利点が、一般に、カーボンブラック含有ポリマー組成物ならびにシリカ含有ポリマー組成物の両方に関して見出されたことは特に好都合である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)リビングアニオンエラストマーポリマー、及び
ii)下記の式によって表されるシラン−スルフィド修飾剤、
(RO)x(R)ySi−R’−S−SiR3
(式中、
Siはケイ素である;Sはイオウである;Oは酸素である;xは、1、2及び3から選択される整数である;
yは、0、1及び2から選択される整数である;x+y=3;
Rは同じ又は異なり、(C1−C16)アルキルである;R’はアリール及びアルキルアリール又は(C1−C16)アルキルである)
の反応生成物を含む鎖末端修飾エラストマーポリマー。
【請求項2】
R’が(C1−C16)アルキルである、請求項1に記載の鎖末端修飾エラストマーポリマー。
【請求項3】
それぞれのR基が同じ又は異なり、それぞれが独立して(C1−C5)アルキルであり、かつ、R’が(C1−C5)アルキルである、請求項1に記載の鎖末端修飾エラストマーポリマー。
【請求項4】
前記反応生成物が、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素及びケイ素アルコキシドからなる群より選択される少なくとも1つカップリング剤をさらに含む、請求項1に記載の鎖末端修飾エラストマーポリマー。
【請求項5】
イソプレンの修飾ホモポリマー、ブタジエンの修飾ホモポリマー、スチレンとのブタジエンの修飾コポリマー、スチレンとのイソプレンの修飾コポリマー、イソプレン及びスチレンとのブタジエンの修飾ターポリマー、ならびにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の鎖末端修飾エラストマーポリマー。
【請求項6】
1)フィラー;
2)加硫剤;及び
3)鎖末端修飾エラストマーポリマー
の反応生成物を含み、
前記鎖末端修飾エラストマーポリマーが、
i)リビングアニオンエラストマーポリマー、及び
ii)下記の式によって表されるシラン−スルフィド修飾剤、
(RO)x(R)ySi−R’−S−SiR3
(式中、
Siはケイ素である;Sはイオウである;Oは酸素である;
xは、1、2及び3から選択される整数である;
yは、0、1及び2から選択される整数である;x+y=3;
Rは同じ又は異なり、(C1−C16)アルキルである;
R’はアリール、アルキルアリール又は(C1−C16)アルキルである)
の反応生成物である、加硫エラストマーポリマー組成物。
【請求項7】
R’が(C1−C16)アルキルである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
オイルをさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
それぞれのR基が同じ又は異なり、それぞれが(C1−C5)アルキルであり、かつ、R’が(C1−C5)アルキルである、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記反応生成物が、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素及びケイ素アルコキシドからなる群より選択される少なくとも1つカップリング剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
前記フィラーがシリカを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
前記フィラーがカーボンブラックを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
前記鎖末端修飾エラストマーポリマーが、イソプレンの修飾ホモポリマー、ブタジエンの修飾ホモポリマー、スチレンとのブタジエンの修飾コポリマー、スチレンとのイソプレンの修飾コポリマー、イソプレン及びスチレンとのブタジエンの修飾ターポリマー、ならびにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項14】
10重量部〜100重量部のフィラー及び0.5重量部〜10重量部の加硫剤(これらはともにエラストマーポリマー全体の100重量部に基づく)を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項15】
請求項6に記載の加硫エラストマーポリマー組成物を含むタイヤトレッド。
【請求項16】
少なくとも、下記の構成成分、
1)フィラー;
2)加硫剤;及び
3)i)リビングアニオンエラストマーポリマー、及び
ii)下記の式によって表されるシラン−スルフィド修飾剤、
(RO)x(R)ySi−R’−S−SiR3
(式中、
Siはケイ素である;Sはイオウである;Oは酸素である;
xは、1、2及び3から選択される整数である;
yは、0、1及び2から選択される整数である;x+y=3;
Rは同じ又は異なり、(C1−C16)アルキルである;
R’は、アリール、アルキルアリール又は(C1−C16)アルキルである)
の反応生成物である鎖末端修飾エラストマーポリマー
を組み合わせることを含む、加硫エラストマーポリマー組成物を作製するための方法。
【請求項17】
R’が(C1−C16)アルキルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物がオイルをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
(a)請求項1に記載の鎖末端修飾エラストマーポリマーと、(b)オイルとを含む組成物。
【請求項20】
ブタジエンの修飾ホモポリマー、及びスチレンとのブタジエンの修飾コポリマーからなる群より選択される、請求項1に記載の鎖末端修飾エラストマーポリマー。
【請求項21】
前記鎖末端修飾エラストマーポリマーが、ブタジエンの修飾ホモポリマー、及びスチレンとのブタジエンの修飾コポリマーからなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項22】
前記リビングアニオンエラストマーポリマーが、イソプレンのホモポリマー、ブタジエンのホモポリマー、スチレンとのブタジエンのコポリマー、スチレンとのイソプレンのコポリマー、イソプレン及びスチレンとのブタジエンのターポリマー、ならびにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の鎖末端修飾エラストマーポリマー。
【請求項23】
前記リビングアニオンエラストマーポリマーが、イソプレンのホモポリマー、ブタジエンのホモポリマー、スチレンとのブタジエンのコポリマー、スチレンとのイソプレンのコポリマー、イソプレン及びスチレンとのブタジエンのターポリマー、ならびにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−512762(P2009−512762A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536830(P2008−536830)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/041072
【国際公開番号】WO2007/047943
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】