説明

シラン処理され且つ粉砕されたフュームドシリカ

本発明は、シラン処理の結果として表面上に固定されたオクチルシリル基を有するフュームドシリカを粉砕することによって得られる疎水性のフュームドシリカ、その製造方法、およびこのシリカを含む被覆配合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は疎水性の粉砕されたフュームドシリカ、その製造方法、およびその使用に関する。本発明はさらに、本発明のシリカを含む被覆配合物に関する。
【0002】
フュームドシリカはUllmanns、Enzyklopaedie der technischen Chemie、volume 21、464ページ (1982)から公知である。該フュームドシリカは蒸発可能なケイ素化合物、例えば、四塩化ケイ素などを水素と酸素との混合物中で燃焼させることによって製造される。
【0003】
物質の粒体(50〜500μm)、粉体(5〜50μm)およびより高い微細度(5μm未満)への粉砕は、当該技術分野で一般的な方法である。全ての粉砕作業のために、個々の作業の特性に合致した、多くの技術的な装置が供給され、そして稼働している。粉砕の問題および様々な機械の優れた概説が、Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie、第3版、volume 1、616〜638ページ内に提供されている。
【0004】
フュームドシリカにおける平均一次粒径は、機械的な粉砕によって得られるものよりも著しく小さい(5〜50nm)。表面積200m2/gを有するフュームドシリカの一次粒子およびアグリゲートを電子顕微鏡で見ることができる。
【0005】
フュームドシリカの一次粒子およびアグリゲートは、結合してより大きな複合物、凝集物を形成する。一般に、粒径が小さいほど、あるいは比表面積が大きいほど、および高く圧縮されているヒュームドシリカほど、凝集物は大きい。
【0006】
それらの凝集物が一緒になっている結合力は比較的弱い。それにもかかわらず、一次粒子およびアグリゲートまたは低凝集粒子の均質な分布を目的とする液体系中でのそれらの凝集物の混合および溶解では、剪断エネルギーの一定の消費が必要とされる。分散のために、用途の分野によって、幅広い種類の混合ユニットが使用され、その選択のために決定的な要素は、系の粘度および極性と、凝集度および望まれる均質性との両方である。
【0007】
単純な攪拌システム、例えばパドル攪拌機では、少量のシリカの直接混合を、特に低粘度系が混合されている場合、通常は充分に実施できない。しかしながら、被膜および塗料、さらには加工装置の製造業者は、シリカの性能の観点から、最適な分布の実現に興味を持っており、前記のシリカは非常に単純な装置および最低限の所要時間およびエネルギー消費を用いて、大部分が増粘剤およびチキソトロープ剤として使用されている。
【0008】
パドル攪拌分散液の場合、粗いシリカ凝集物が充分に粉砕されず、従って粘度およびチキソトロピーを上げるためにわずかしか寄与し得ない。この情報は、分散剤としてのUP樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)に基づいている。
【0009】
液体系の外での、即ち実質的には空気中での分散による、または従来の意味の粉砕による凝集物サイズの低減は、先行技術においては限定された範囲でのみ可能であった。なぜなら、特定の凝集傾向の材料の場合、元の凝集状態が粉砕後すぐに復旧するからである。この影響は、機械的な介入によって非常に緩くなっている材料の再圧縮の直後に起き、そしてこの形態では輸送または貯蔵できない。貯蔵時間もまた、凝集物が再度大きくなること(reenlargement)に関して影響がある。
【0010】
分散可能なシリカの分布状態のために用いられる、塊の数(mass number)および評価パラメータ、および分散液の最大凝集径(粒度)が、DIN53203によるいわゆるグラインドメーター値である。
【0011】
フュームドシリカを疎水化し、ピン付きミル内で粉砕し、そしてその後、分級できることは公知である(US 2004/0110077号A1)。この公知のシリカを、トナー混合物中の外添剤として使用できる。
【0012】
BET比表面積200m2/gを有する疎水性のフュームドシリカは、DIN法によってUP樹脂(BASF製のLudopal P6不飽和ポリエステル樹脂、2%分散液)内で測定されるグラインドメーター値50〜60μmを有している。
【0013】
このフュームドシリカを追加的により高度に圧縮する場合(100〜120g/l)、グラインドメーター値も著しく大きく、特に100μmより大きく、その結果、増粘剤およびチキソトロープ剤として、追加的に少なくないエネルギー消費が必要とされる。
【0014】
表面積約300m2/gを有する高分散度のシリカをピン付きミル内で粉砕できることは公知である。
【0015】
得られるグラインドメーター値は、未圧縮のシリカに関して初めは25μmである。
【0016】
このシリカが50g/lに圧縮される場合、そのグラインドメーター値は30μmに上がり、且つ、さらに75g/lへの圧縮の場合には、約40μmにまで上がる。
【0017】
3ヶ月にわたる貯蔵の間に、50g/lに圧縮された粉砕された未改質のシリカはグラインドメーター値50〜60μmを有する。
【0018】
先行技術によれば、再凝集は親水性シリカを3質量%の疎水性シリカと混合し、そしてこの混合物をエアジェットミルまたはピン付きミルを用いて粉砕する場合にのみ防がれる(EP0076377号B1)。
【0019】
BET比表面積200m2/gを有するフュームドシリカに関しては、73g/lまたは107g/lへの圧縮の後でさえも、グラインドメーター値35μmが達成される。
【0020】
BET比表面積300m2/gを有するフュームドシリカの場合、粉砕前に疎水性シリカを添加した結果として、突き固め密度28g/lで10μmのグラインドメーター値、および突き固め密度50g/lで15〜20μmのグラインドメーター値が得られる。
【0021】
公知のフュームドシリカは、それらが比較的高いグラインドメーター値を有したままであり、従って粘度およびチキソトロピーの上昇に対するそれらの貢献は最適ではなく、且つ前記の値が長期の貯蔵の間に悪化するという欠点を有している。
【0022】
従って、その技術的課題は、改善した流動特性および同時に低いグラインドメーター値を有する、シラン処理されたフュームドシリカを提供することであった。
【0023】
前記の技術的課題は、シラン処理の結果として表面上に固定されたオクチルシリル基を有するフュームドシリカを粉砕することによって得られる疎水性のフュームドシリカによって解決される。
【0024】
好ましくは、粉砕をピン付きミルまたはエアジェットミルを用いて実施する。これは、使用される未粉砕の出発材料、即ち未粉砕のシリカよりも低いグラインドメーター値を有するシリカを提供する。従って本発明の粉砕されたシリカは、例えば被覆配合物内でより良く且つ素早く分散できる。
【0025】
さらには、得られるシリカが、配合物中でヘイズ値16未満、好ましくは15またはそれ未満をもたらすことが好ましい(入射角20゜での測定)。
【0026】
好ましい実施態様において、本発明のシリカは突き固め密度10〜100g/l、好ましくは15〜65g/lを有する。
【0027】
フュームドシリカはWinnacker−Kuechler Chemische Technologie[科学技術]、Volume 3 (1983) 第4版、77ページ、およびUllmanns Enzyklopadie der technischen Chemie、第4版 (1982)、Volume 21、462ページから公知である。
【0028】
特に、フュームドシリカは蒸発可能なケイ素化合物、例えばSiCl4、または有機ケイ素化合物、例えばトリクロロメチルシランの水素−酸素ガス火炎中での火炎加水分解によって製造される。
【0029】
本発明の文脈におけるシリカは、表面が少なくとも1つの有機成分によって改質されているフュームドシリカである。従って、それらは表面改質シリカとして示される。改質されたフュームドシリカ(フュームドシリカから製造されたシリカ)は、DE2414478号によるフュームドシリカに基づいて製造されるシリカを意味すると理解される。表面改質は、シリカ粒子表面への有機成分の化学的および/または物理的な取り付けを意味すると理解される。言い換えれば、表面改質シリカの場合、少なくともいくつかのシリカ粒子の少なくとも部分的な表面を表面改質剤で覆う。本件の場合、フュームドシリカと、トリメトキシオクチルシランまたはトリエトキシオクチルシランとを公知の方法で反応させることによってフュームドシリカをシラン処理し、オクチルシリル基がフュームドシリカの表面に固定される。
【0030】
本発明のシリカは再凝集する傾向がない。本発明のシリカのグラインドメーター値は、出発材料のものよりも低く、分散時間30分の場合には12μm未満であり、通常、10μm未満ですらある一方、未粉砕のシリカのグラインドメーター値は12μmである。分散時間60分の場合、本発明のシリカのグランドメーター値は常に10μm未満である。
【0031】
さらに好ましい実施態様において、本発明のシリカはBET比表面積100〜250m2/g、好ましくは120〜200m2/g、より好ましくは130〜170m2/gを有する。
【0032】
本発明のシリカが、シーラスによる平均粒径5.0〜20.0μmを有することもまた好ましい。さらに好ましい実施態様において、本発明によるシリカはpH範囲5.0〜6.0を有する。
【0033】
本発明はさらには、本発明のシリカの製造方法において、シラン処理の結果として表面上に固定されたオクチルシリル基を有するフュームドシリカを粉砕する工程によって特徴付けられる方法を提供する。
【0034】
好ましい方法において、使用されるシリカはBET比表面積100〜250m2/g、好ましくは100〜200m2/g、より好ましくは120〜180m2/g、および突き固め密度10〜100g/l、好ましくは15〜65g/l、およびより好ましくは約50〜60g/lを有する。
【0035】
本発明による製造方法のさらに好ましい実施態様において、使用されるシリカは下記の物理化学的特性のデータを有する:
BET比表面積 m2/g: 125〜175
一次粒子の平均粒径 nm: 12
pH: 3.5〜5.5
炭素含有率 質量%: 0.1〜10、好ましくは5.0〜7.0。
【0036】
さらに好ましい製造方法において、使用されるシリカは下記の物理化学的特性のデータもまた有する:
【表1】

【0037】
本発明のシリカは、他の用途の中で、増粘剤あるいはチキソトロープ剤として被覆配合物中で使用される。
【0038】
従って本発明は、シラン処理の結果として表面上に固定されたオクチルシリル基を有するフュームドシリカを粉砕することによって得られる疎水性のフュームドシリカを含む被覆配合物もまた提供する。被覆配合物中に存在する粉砕されたシリカは、未粉砕のシリカより低いグラインドメーター値を有し、従ってより良く、且つより素早く分散可能である。
【0039】
好ましい実施態様において、被覆配合物は(被膜として)、ヘイズ値16未満、好ましくは15またはそれ未満を有する(反射率計を用いて入射角20゜で測定)。
【0040】
好ましい実施態様において、シリカの突き固め密度は10〜100g/l、好ましくは15〜65g/lである。
【0041】
本発明の文脈において、被覆配合物は、少なくとも1つのポリマー成分、および/または複数の物理的または化学的な架橋性ポリマー成分の混合物、少なくとも1つの溶剤、および少なくとも1つの表面改質されたシリカを含む被覆配合物である。本発明の被覆配合物は、好ましくは一成分被膜、二成分被膜、およびUV被膜、特にポリウレタン被膜、および最も好ましくはクリアコートおよびつや消し被覆配合物である。
【0042】
本発明の意味において、クリアコートは基材上に適用され、保護、装飾または特定の技術的特性を有する透明被膜を形成する被膜材料である。被膜系において、クリアコートは一番上の層として、それより下の層を機械的損傷および風化の影響から保護する。クリアコートはいかなる顔料も含まない。特にクリアコートの場合、被膜の透過性、即ち、乾燥後に、クリアコートで被覆された材料表面がその被膜を通して、どれだけクリアで且つ歪まずに見えるかという視覚的な印象が、被膜の品質の尺度である。クリアコートを光沢のある黒い背景の上に適用した場合、その黒色値(blackness value)Myをこの被膜の透過性の尺度として用いることができる。
【0043】
好ましい実施態様において、被覆配合物は(被膜として)、少なくとも280、好ましくは少なくとも285の黒色値Myを有する。
【0044】
被覆配合物が0.5〜15質量%のシリカを含むことも好ましい。
【0045】
上述の成分に加えて、本発明の被覆配合物はさらに、被膜において一般的に使用されるさらなる助剤および添加剤、例えば可塑剤、安定剤、相媒介物(phase mediator)、顔料、界面活性剤、乾燥剤、触媒、開始剤、光増感剤、阻害剤、光安定剤および保存剤を含んでもよい。
【0046】
本発明の被覆配合物は、例えば"Lackharze,Chemie,Eigenschaften und Anwendungen (被膜樹脂、化学、特性および応用),Eds.D.Stoye,W.Freitag,Hanser Verlag,Munich,Vienna 1996"内に記載されるように、被膜技術において慣例の樹脂を結合剤として含んでもよい。ここで、この出版物の内容を本願の記載の内容として開示するものとする。例は、(メタ)アクリル酸、および随意にさらなる官能基を有するそのエステルのポリマー、およびそれらとさらなるオレフィン性不飽和化合物、例えばスチレンとのコポリマー; ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、およびエポキシ樹脂、およびそれらのポリマーの任意の所望の混合物、およびUllmann,第3版,volume 11,334ページ以下に記載されるように重縮合によって製造される脂肪酸改質"アルキド樹脂"を含む。ここで、この出版物の内容を本願の記載の内容として開示するものとする。
【0047】
ポリマー成分として、ヒドロキシル基を有する有機化合物、例えばポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、およびヒドロキシ官能性エポキシ樹脂、およびそれらのポリマーの任意の混合物を使用することが好ましい。特に好ましく使用されるポリマーの有機化合物は、水性または溶剤含有、または無溶剤のポリアクリレートポリオールおよびポリエステルポリオール、およびそれらの任意の混合物である。
【0048】
適したポリアクリレートポリオールは、とりわけ、ヒドロキシル基を有するモノマーと、他のオレフィン性不飽和モノマー、例えば(メタ)アクリル酸のエステル、スチレン、[アルファ]−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエステル、マレイン酸およびフマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、[アルファ]−オレフィン、およびさらなる不飽和オリゴマーおよびポリマーとのコポリマーである。
【0049】
さらに好ましい実施態様において、被覆配合物は、5.0〜99.5質量%の固体のポリマー成分あるいは2つまたはそれより多くの物理的または化学的な架橋性ポリマー成分の混合物、および/または0〜99.5質量%の溶剤として機能する低分子量成分あるいは前記の低分子量成分の混合物を含む。
【0050】
被覆配合物が、(メタ)アクリル酸、および随意にさらなる官能基を有するそれらのエステルのポリマー、およびそれらとさらなるオレフィン性不飽和化合物、例えばスチレンとのコポリマー; ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシ樹脂、および重縮合によって製造される脂肪酸改質アルキド樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの結合剤を含むこともまた好ましい。
【0051】
本発明のシリカは再凝集する傾向がない。グラインドメーター値は12μm未満、好ましくは10μm未満である。
【0052】
本発明を下記の実施例を参照して説明するが、しかしながら該実施例は保護の範囲を制限するわけではない。
【0053】
実施例
1. 粉砕
発明の実施例を製造するために、市販のAEROSIL(登録商標) R805(袋詰め製品)を、計量天秤を用いて計量し、使用するミルに入れて、そして粉砕した。
【0054】
AEROSIL(登録商標)R805は、オクチルシランで後処理されたAEROSIL200フュームドシリカである。
【0055】
使用されたシリカ(ここではAEROSIL(登録商標)R805)の物理化学的特性のデータを表1に示す。
【0056】
表1: 使用されたフュームドシリカ
【表2】

【0057】
試験のために、ピン付きミル(アルパイン(Alpine)160Z、ローター直径160mm)またはエアジェットミル(粉砕チャンバー直径:240mm、粉砕チャンバー高さ:35mm)を使用した。粉砕された製品を袋濾過器(フィルター面積:3.6m2、フィルター材料:ナイロン織物)を用いて単離した。さらなる試験において、得られる粉砕された製品を市販の袋詰め機を用いて市販の袋の中に詰めた。さらなる試験において、粉砕された製品を詰めた袋を、この目的に適した技術的に慣例の方法によって平らにした後、パレットに載せた。商業上の慣例通り、平らにされた袋をパレットに載せ、そして次に5週間貯蔵した。本製造方法のパラメータを表2に示す。
【0058】
【表3】

【0059】
2. 粉砕されたシリカの物理化学的特性データの測定
2.1 BET比表面積
BET比表面積をDIN ISO 9277に従って測定する。
【0060】
2.2 突き固め密度
突き固め密度をDIN EN ISO 787−11に従って測定した。予めふるいにかけられていない規定量の試料を、目盛り付きのガラス製シリンダー内に充填し、そして突き固め容積計による、決められた回数の突き固め操作に供する。突き固めの間、該試料を圧縮する。実施された分析の結果として、突き固め密度が得られる。
【0061】
突き固め密度測定の原理:
突き固め密度(以前の突き固め容積)は、質量と、突き固め容積計内で決められた条件下で突き固めた後の粉末の容積との商に等しい。DIN ISO 787/XIによれば、突き固め密度はg/cm3で報告される。しかしながら、酸化物の非常に低い突き固め密度ゆえに、ここでは前記の値をg/lで報告する。さらには、乾燥およびふるい分けおよび突き固め操作の繰り返しを省略する。
【0062】
突き固め密度測定用器具:
突き固め容積計
メスシリンダー
ラボ用天秤 (読取り精度 0.01g)。
【0063】
突き固め密度測定の作業:
200±10mlの酸化物を、突き固め容積計のメスシリンダー内に、空隙を残さず且つ表面が水平になるように充填する。導入された試料の質量を0.01gの精度で測定する。該試料が入ったメスシリンダーを、突き固め容積計のメスシリンダーホルダ内に設置し、そして1250回突き固める。突き固められた酸化物の容積を1mlの精度で読み取る。
【0064】
突き固め密度測定の評価:
【数1】

【0065】
2.3 pH
pH測定のための試薬:
蒸留水または脱塩水、 pH>5.5
メタノール、分析用(p.a.)
緩衝液 pH7.00、pH4.66。
【0066】
pH測定用器具:
ラボ用天秤 (精度 0.1g)
ビーカー、250ml
磁気攪拌器
攪拌棒、長さ4cm
複合pH電極
pH測定器
ディスペンサー(Dispensette)、100ml。
【0067】
pH測定手順:
該測定をDIN EN ISO 787−9に従って実施する。
【0068】
キャリブレーション:pH測定の前に、測定装置を緩衝液でキャリブレーションする。複数の測定を連続して行う場合、一回のキャリブレーションで充分である。
【0069】
酸化物4gを、250mlのビーカー内でメタノール48g(61ml)を用いてペーストに変換し、そしてその懸濁液を水48g(48ml)で希釈し、そして磁気攪拌器で、浸漬させたpH電極の存在下で攪拌する(回転速度約1000分-1)。
【0070】
攪拌器のスイッチを切った後、1分間の待ち時間の後、pHを読み取る。結果は小数点第一位で示される。
【0071】
表3に本発明のシリカおよび比較例の物理化学的データをまとめる。
【0072】
表3: 本発明のシリカの物理化学的データ
【表4】

【0073】
3. 性能試験
3.1 試験手順
実施例に記載されるパターンで、アクリレート/イソシアネートに基づく2K PUクリアコート中にて、未粉砕の出発材料と比較した性能を試験した。使用された原材料は下記の通りである:
Macrynal SM 510n CH: 130010625 (Surface Specialties)、Desmodur N 75 MPA (Bayer)。
【0074】
表4に本発明の粉砕されたシリカを含む2K PUクリアコートの配合を示す。
【0075】
表4: 2K PUクリアコートの配合
【表5】

【0076】
該被覆配合物の固体含有率は50%であった。アクリレート−ポリオール:イソシアネートの固体比率は68:32であった。固体含有率に対するAerosil(登録商標)の濃度は1.4%であり、且つ被膜中のAerosil(登録商標)の濃度は0.7%であった。
【0077】
表5に2K PUクリアコートの製造および試験の工程を示す。
【0078】
表5: 2K PUクリアコートの製造および試験
【表6−1】

【0079】
【表6−2】

【0080】
3.2 グラインドメーター値
3.2.1 原理
分散度合いがAerosilで増粘された液体の性能特性を決定する。グラインドメーター値の測定は、分散度合いを評価するために役立つ。前記のグラインドメーター値は、それ未満では存在する斑点または凝集物が露出した試料の表面上で可視になる境界の層厚を意味するとして理解される。
【0081】
該試料を、深さが片端では最大のAerosil粒子の直径の2倍大きく、且つ一定に減少して他端では0である溝の中でスクレーパーを用いて露出させる。溝の深さを示す目盛り上で、それ未満では比較的多くの数のAerosil粒子が結合系(binder system)の表面上の斑点または擦り傷の結果として可視になる深さの値を、マイクロメートルで読み取る。読み取られた値が、該当の系のグラインドメーター値である。
【0082】
3.2.2 グラインドメーター値の測定作業
グラインドメーターのブロックを水平で滑らない表面に置き、そして試験の直前に拭いて綺麗にする。Aerosilの分散液は無気泡でなければならず、該分散液が溝の端を超えてわずかに流れ去るように溝の最も低い点に適用する。その後、スクレーパーを両手で掴み、そしてグラインドメーターのブロックに対して垂直、且つその縦方向の端に対して直角に、該分散液が存在する溝の端の上にわずかな圧力で置く。その後、ブロックの上でスクレーパーをゆっくりと均一に引いて、溝内で分散液を露出させる。遅くとも、分散液の露出の3秒後に、グラインドメーター値を読み取る。
【0083】
測定において、露出された分散液の表面(溝に対して直角で)を、(表面に対して)20〜30゜の角度で斜め上から見る。露出された分散液の表面構造がすぐに識別可能であるように、ブロックに光を当てる。
【0084】
目盛り上で読み取ったグラインドメーター値は、それ未満では比較的多くの数のAerosil粒子が表面上の斑点または擦り傷として可視になるマイクロメートルでの値である。偶然現れる個々の斑点または擦り傷は考慮に入れない。
【0085】
粒度を少なくとも2回、新しく露出した分散液についてはそれぞれの場合、評価する。
【0086】
3.2.3 評価
前記の測定を使用して算術平均を出す。マイクロメートルでのグラインドメーターの値と、目的の系に基づくHegmann単位とFSTP単位との間には下記の関係が存在する:
B=8−0.079A
C=10−0.098 A=1.25B
前記の式において:
A=マイクロメートルでのグラインドメーター値
B=Hegmann単位でのグラインドメーター値
C=FSTP単位でのグラインドメーター値。
【0087】
3.3 光学的特性
3.3.1 黒色値Myとしての透過性の測定
黒色値Myを、黒い塗料を噴霧された金属板に塗布された被膜上で、Gretag Macbeth製のD19C濃度計を使用して測定する。前記の値Myは、クリアコートの色の深みと透過性とを表す。この値が高いほど、被膜の透過性が高い。同時に、色の深みが増加する。
【0088】
表6に上述のグラインドメーター値に関する本発明のシリカの分散性を示し、且つ本発明のシリカを含む2K PUクリアコートの光学的特性の結果をまとめる。
【0089】
【表7】

【0090】
表6から、本発明のシリカのグラインドメーター値が12μm未満である一方、未粉砕のシリカは12μmのグラインドメーター値を有していることが明らかである。従って、粉砕された製品は、出発材料と比較して改善された分散性を示す。いくつかの試料では、グラインドメーター値は30分の分散時間の後でさえも10μm未満であった。従って、それをさらに30分間、分散させる必要はなかった。驚くべきことに、粉砕された製品を再度、袋詰め、平坦化、および貯蔵する場合、即ち、出発材料に匹敵すると考えられていた場合、例えば高価な自動車用トップコートと関連するヘイズ値および流動特性において優位性を示す。希望通り、さらなる光学特性、例えば黒色値または粘度は、粉砕によって悪影響を受けていない。本発明のシリカを含む被膜上で実施された測定によって、品質判断基準が被覆配合物中で同時に改善されたシリカの分散性によって満たされたことが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラン処理の結果として表面上に固定されたオクチルシリル基を有するフュームドシリカを粉砕することによって得られる疎水性のフュームドシリカ。
【請求項2】
請求項1に記載のシリカにおいて、粉砕をピン付きミルまたはエアジェットミルを用いて実施することを特徴とするシリカ。
【請求項3】
請求項1あるいは2に記載のシリカにおいて、得られるシリカが未粉砕のシリカよりも低いグラインドメーター値を有することを特徴とするシリカ。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載のシリカにおいて、得られるシリカが被覆配合物中でヘイズ値16未満、好ましくは15またはそれ未満をもたらすことを特徴とするシリカ。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のシリカにおいて、得られるシリカが突き固め密度10〜100g/l、好ましくは15〜65g/lを有することを特徴とするシリカ。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載のシリカにおいて、得られるシリカがBET比表面積100〜250m2/g、好ましくは120〜200m2/g、より好ましくは130〜170m2/gを有することを特徴とするシリカ。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載のシリカにおいて、得られるシリカがシーラスによる平均粒径5.0〜20.0を有することを特徴とするシリカ。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載のシリカにおいて、得られるシリカがpH範囲5.0〜6.0を有することを特徴とするシリカ。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載のシラン処理されたフュームドシリカの製造方法において、シラン処理の結果として表面上に固定されたオクチルシリル基を有する、シラン処理されたフュームドシリカを粉砕する工程を特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、粉砕に使用されるシリカが、BET比表面積100〜250m2/g、好ましくは100〜200m2/g、より好ましくは120〜180m2/g、および突き固め密度10〜100g/l、好ましくは15〜65g/l、およびより好ましくは約60g/lを有することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の、あるいは請求項9または10に記載の方法によって得られるシラン処理されたフュームドシリカを、被覆配合物中の増粘剤またはチキソトロープ剤として用いる使用。
【請求項12】
シラン処理の結果として表面上に固定されたオクチルシリル基を有するフュームドシリカを粉砕することによって得られる疎水性のフュームドシリカを含むことを特徴とする被覆配合物。
【請求項13】
請求項12に記載の被覆配合物において、ヘイズ値16未満、好ましくは15またはそれ未満を有することを特徴とする被覆配合物。
【請求項14】
請求項12または13に記載の被覆配合物において、存在する粉砕されたシリカが、未粉砕のシリカよりも低いグラインドメーター値を有することを特徴とする被覆配合物。
【請求項15】
請求項12から14までのいずれか一項に記載の被覆配合物において、シリカの突き固め密度が10〜100g/l、好ましくは15〜65g/lであることを特徴とする被覆配合物。
【請求項16】
請求項12から15までのいずれか一項に記載の被覆配合物において、請求項1から7までのいずれか一項に記載のシリカを含むことを特徴とする被覆配合物。
【請求項17】
請求項12から16までのいずれか一項に記載の被覆配合物において、少なくとも280、好ましくは少なくとも285の黒色値Myを有することを特徴とする被覆配合物。
【請求項18】
請求項12から17までのいずれか一項に記載の被覆配合物において、シリカを0.5〜15質量%含有することを特徴とする被覆配合物。
【請求項19】
請求項12から18までのいずれか一項に記載の被覆配合物において、5.0〜99.5質量%の固体のポリマー成分あるいは2つまたはそれより多くの物理的または化学的な架橋性ポリマー成分の混合物、および/または0〜99.5質量%の溶剤として機能する低分子量成分あるいは前記の低分子量成分の混合物を含むことを特徴とする被覆配合物。
【請求項20】
請求項12から19までのいずれか一項に記載の被覆配合物において、(メタ)アクリル酸、および随意にさらなる官能基を有するそれらのエステルのポリマー、およびそれらとさらなるオレフィン性不飽和化合物、例えばスチレンとのコポリマー; ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシ樹脂、および重縮合によって製造される脂肪酸改質アルキド樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの結合剤を含むことを特徴とする被覆配合物。

【公表番号】特表2010−528135(P2010−528135A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508781(P2010−508781)
【出願日】平成20年5月6日(2008.5.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055572
【国際公開番号】WO2008/141930
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】