説明

シラン又はシラン処理の充填剤を用いる粉末の塗料

【課題】 硬化剤を必要としない粉末の塗料組成物を提供すること。
【解決手段】粉末の塗料組成物は、以下の式(I)[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Zは、直接的結合又は二価の有機連結基である;Xはm価の有機基又はHである;及び、mは1−20の整数である]のシラン、又はその加水分解物もしくは縮合物を成分として含有する。同シランは、架橋剤、性質改善剤、及び/又は接着促進剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機シラン化合物、又はそれらの加水分解物もしくは縮合物を、架橋剤及び/又は接着促進剤として用いる粉末の塗料組成物及び接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末の塗料は環境に優しいシステムである。このシステムにより、粉末の塗料は、通常の溶媒型塗料システムに対する望ましい代替システムとなる。全体的には、操作費と原料費において、粉末塗料は溶媒型市場及び水型市場に好ましくも匹敵する。
【0003】
粉末塗料は溶媒型システムと比較して、全市場のほんの一部ではあるが、その技術はかなりの利点を有する。非常に明白であるが、粉末塗料では溶媒が必要ではないので、関係するVOC問題はない。更に、生じる廃棄物は少ないので、粉末塗料技術は環境に影響を与えるのが小さい。
【0004】
粉末塗料は数工程を含む。その内、最重要の工程は、成分の前混合である。最初の工程の間、結合剤は他の添加剤と一緒に、装置中で徹底的に混合される。第1工程での不十分な前混合により、塗料の非均一な組成物が得られえ、最終産物の機械的性質の悪化又は表面の欠陥になりうる。次いで、得られた前混合物は押出し機に供給される。押出し機から生成された融解物質は冷却され、圧搾されて、容易にこわれやすい小片にされる。次いで、小片は、特定の粒子サイズ範囲にまで粉末にされることになる。
【0005】
粉末塗料の適用の最も普通の方法は、静電気噴霧によるものである。この方法の基本的原理は、圧縮空気により噴霧銃を通し粉末を推進させることである。
噴霧銃において、粉末は静電気的に荷電されるようになる。銃は、粉末に荷電を与える他に、給粉機によって供給される粉末を沈殿させるのにも役立つ。電場が除去されると、荷電粒子は表面上にまだ保たれ、基体上に荷電によって引付けられる。過剰噴霧における非荷電粉末は集められ、再使用される。
【0006】
粉末塗料の別の普通に用いられる方法は、摩擦電気噴霧である。この方法は静電気噴霧と同様であるが、粒子は正電気に荷電されることが異なる(静電気的に荷電された粒子は負電荷を有する)。平らな表面用に開発されている新規技術では、電磁ブラシ技術を用いる。電磁ブラシ技術により、リサイクル無しで、非常に薄い層の効率的な高速度適用が可能となる。
【0007】
熱硬化性粉末塗料システムの欠点には、低分子量であり、そのために剪断条件下に容易に流動できる成分から丈夫なフィルムを作ることが困難であることがある。粉末塗料の適用には過剰噴霧があるので、特殊な回収装置も未使用の粉末を回収するために必要である。基体はまた粉末塗料硬化温度に耐えられる必要がある。粉末塗料硬化温度は典型的には150−190℃の範囲である。
【0008】
本発明のシランは、熱可塑性粉末塗料の物理的化学的性質を改良するために使用されることができる。これらの粉末塗料組成物は硬化剤を必要とせず、上記の静電気又は摩擦電気噴霧技術により適用されることができる。しかし、大部分の熱可塑性粉末は、加熱された基体を流動床を通過させることによって適用される。
【0009】
シランが液体塗料として有用であることは公知である。例えば、特許文献1では、液体塗料組成物中にフィルム形成性の反応性シリル基含有化合物と不溶性ポリマー微粒子を含有する噴霧型液体塗料組成物が記載されている。
【特許文献1】国際出願公開第WO96/39468号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、熱可塑性粉末塗料の物理的化学的性質を改良するために使用可能であり、かつ硬化剤を必要とせず、上記の静電気又は摩擦電気噴霧技術により適用することのできる、粉末の塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を解決するために、請求項1に記載の発明は、(A)式I
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Zは、直接的結合又は二価の有機連結基である;Xはm価の有機基又はHである;及びmは1−20の整数である]を有するシラン又はその加水分解物もしくは縮合物の少なくとも一つと、(B)ブロックされたポリイソシアネートとポリオールに基づくポリウレタンシステム;エポキシ官能性硬化剤によって硬化した酸官能性ポリマー;無水物/エポキシシステム;エポキシ/ポリオールシステム;ポリエステルシステム;及び、ヒドロキシアルキルアミドと酸官能性ポリマーに基づくシステム;からなる群から選択される少なくとも一つの有機樹脂成分と、を含有し、同シランは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランと、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール;シス−1,2−シクロヘキサンジオール;エステルジオール204;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;エチレングリコール;ポリプロピレングリコール1000;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;2,3−ブタンジオール(メソ型);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びシス−1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるポリオールと、の付加物である、粉末の塗料組成物を提供する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粉末の塗料組成物において、シランは、式
【0015】
【化2】

【0016】
[式中、A及びBは独立にNH又はOである]
を有することをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、式II
【0017】
【化3】

【0018】
[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Xはm価の有機基である;mは2−20の整数である;及び、AとBの一つはNHであり、他方はOである]を有するシランカルバメート又はその加水分解物もしくは縮合物を含有し、同シランは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランと、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール;シス−1,2−シクロヘキサンジオール;エステルジオール204;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;エチレングリコール;ポリプロピレングリコール1000;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;2,3−ブタンジオール(メソ型);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びシス−1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるポリオールと、の付加物である、粉末の塗料組成物、を提供する。
【0019】
請求項4に記載の発明は、式II
【0020】
【化4】

【0021】
[式中、Rは、炭化水素基又はアシル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Xはm価の有機基である;mは2−6の整数である;及び、AとBの一つはNHであり、他方はOである]を有するシランカルバメートであって、同シランカルバメートは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランと、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール;シス−1,2−シクロヘキサンジオール;エステルジオール204;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;エチレングリコール;ポリプロピレングリコール1000;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;2,3−ブタンジオール(メソ型);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びシス−1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるポリオールと、の付加物であり、かつ同シランは、外界温度で固体であり、融点が30℃〜170℃の範囲である、シランカルバメート、を提供する。
【0022】
請求項5に記載の発明は、複数の−OR基及び少なくとも一つのアルキル、エポキシ、ポリエーテル、アミン、ヒドロキシアルキル基を有するシラン、及び
式II
【0023】
【化5】

【0024】
[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Xはm価の有機基である;AとBの一つはNHであり、他方はOである;及び、mは2−20の整数である;]を有するシラン、及び同シランの加水分解物又は縮合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物で処理された充填剤又は顔料を有する粉末の塗料組成物であって、同シランは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランと、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール;シス−1,2−シクロヘキサンジオール;エステルジオール204;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;エチレングリコール;ポリプロピレングリコール1000;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;2,3−ブタンジオール(メソ型);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びシス−1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるポリオールと、の付加物である、粉末の塗料組成物、を提供する。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の粉末の塗料組成物において、顔料又は充填剤は二酸化チタンであることをその要旨とする。
請求項7に記載の発明は、式II
【0026】
【化6】

【0027】
[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Xはm価の有機基である;AとBの一つはNHであり、他方はOである;及び、mは2−20の整数である]を有するシランであって、同シランは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランと、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール;シス−1,2−シクロヘキサンジオール;エステルジオール204;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;エチレングリコール;ポリプロピレングリコール1000;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;2,3−ブタンジオール(メソ型);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びシス−1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるポリオールと、の付加物である、シラン、又は同シランの加水分解物もしくは縮合物の少なくとも一つで処理された二酸化チタン充填剤、を提供する。
【0028】
請求項8に記載の発明は、請求項1または2に記載の粉末の塗料組成物において、Rは、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、アシル、トリアルキルシリル、アリールアルキルジアルキルシリル、トリアルコキシシリル、ジアルコキシアルキルシリル、又はアルコキシジアルキルシリルであり;Rは、アリール、アルケニル、又はアルキルであり;Rは、C−C12直鎖状、分枝状、又は環状アルキレンであることをその要旨とする。
【0029】
請求項9に記載の発明は、請求項1または2に記載の粉末の塗料組成物において、Rは、直鎖状、分枝状、もしくは環状C−Cアルキル基、又はアセチル基であり;Rは、炭素原子1−4個からなるアルキル基であり;RはC−Cアルキレンであることをその要旨とする。
【0030】
請求項10に記載の発明は、請求項1または2に記載の粉末の塗料組成物において、Rはメチル又はエチルであることをその要旨とする。
請求項11に記載の発明は、請求項3、5及び6のいずれか1項に記載の粉末の塗料組成物において、組成物は、ブロックされたポリイソシアネートとポリオールに基づくポリウレタンシステム;エポキシ官能性硬化剤によって硬化した酸官能性ポリマー;無水物/エポキシシステム;エポキシ/ポリオールシステム;ポリエステルシステム;及び、ヒドロキシアルキルアミドと酸官能性ポリマーに基づくシステム;からなる群から選択される有機樹脂成分を含有することをその要旨とする。
【0031】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜3及び5〜6のいずれか1項に記載の粉末の塗料組成物において、組成物は、ポリジメチルシロキサンを含有することをその要旨とする。
【0032】
請求項13に記載の発明は、請求項1〜3及び5〜6のいずれか1項に記載の粉末の塗料組成物において、組成物は、ナイロン、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、又はポリビニルクロリドからなる群から選択される熱可塑性ポリマーを含有することをその要旨とする。
【0033】
請求項14に記載の発明は、式II
【0034】
【化7】

【0035】
[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Xはm価の有機基である;AとBの一つはNHであり、他方はOである;及び、mは2−20の整数である]のシランであって、同シランは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランと、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール;シス−1,2−シクロヘキサンジオール;エステルジオール204;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;エチレングリコール;ポリプロピレングリコール1000;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;2,3−ブタンジオール(メソ型);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びシス−1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるポリオールと、の付加物であるシラン、又は同シランの加水分解物もしくは縮合物で処理された充填剤又は顔料を含む、粉末の塗料組成物、を提供する。
【0036】
請求項15に記載の発明は、式II
【0037】
【化8】

【0038】
[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレン、又は1個以上のエーテル酸素原子によって中断されるアルキレン;aは0又は1である;Xはm価の有機基又はHである;mは1−20の整数である;及びAとBはNHである]を有するシランであって、同シランは、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(イソシアナトフェニル)メタン、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又はビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなるイソシアナトアルキルアルコキシシランと、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−シクロヘキサン−ビス−メチルアミン、1,4−ジアミノブタン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン又は3−アミノプロピルメチルジエトキシシランからなるポリアミドと、の付加物であるシラン、を含む粉末の塗料組成物、を提供する。
【0039】
請求項16に記載の発明は、式II
【0040】
【化9】

【0041】
[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレン、又は1個以上のエーテル酸素原子によって中断されるアルキレン;aは0又は1である;Xはm価の有機基又はHである;mは1−20の整数である;及びAはNH若しくはOであり、BはNHである]を有するシランであって、同シランは、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(イソシアナトフェニル)メタン、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又はビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなるポリイソシアネートと、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−シクロヘキサン−ビス−メチルアミン、1,4−ジアミノブタン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン又は3−アミノプロピルメチルジエトキシシランからなるアルコキシシリルアルカノールあるいはアルコキシシリルアルキルアミンと、の付加物であるシラン、を含む粉末の塗料組成物、を提供する。
【0042】
請求項17に記載の発明は、式II
【0043】
【化10】

【0044】
[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレン、又は1個以上のエーテル酸素原子によって中断されるアルキレン;aは0又は1である;Xはm価の有機基又はHである;mは1−20の整数である;及びAとBはNHである]を有するシラン化合物であって、同シランは、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(イソシアナトフェニル)メタン、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又はビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなるイソシアナトアルキルアルコキシシランと、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−シクロヘキサン−ビス−メチルアミン、1,4−ジアミノブタン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン又は3−アミノプロピルメチルジエトキシシランからなるポリアミドと、の付加物であるシラン化合物、を提供する。
【0045】
請求項18に記載の発明は、式II
【0046】
【化11】

【0047】
[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレン、又は1個以上のエーテル酸素原子によって中断されるアルキレン;aは0又は1である;Xはm価の有機基又はHである;mは1−20の整数である;及びA及びBはNHである]を有するシラン化合物であって、同シランは、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(イソシアナトフェニル)メタン、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又はビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなるポリイソシアネートと、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−シクロヘキサン−ビス−メチルアミン、1,4−ジアミノブタン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン又は3−アミノプロピルメチルジエトキシシランからなるアルコキシシリルアルキルアミンと、の付加物であるシラン化合物、を提供する。
【0048】
本発明の一態様は、(A)式I
【0049】
【化12】

【0050】
[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Zは、直接的結合又は二価の有機連結基である;Xはm価の有機基である;及び、mは1−20の整数である]
を有するシラン又はこのようなシランの加水分解物もしくは縮合物の少なくとも一つ;及び
(B)少なくとも一つの有機樹脂成分;
を成分として含有する粉末の塗料組成物又は接着剤組成物である。
【0051】
本発明の一つの実施の形態は、シランは式
【0052】
【化13】

【0053】
[式中、AとBは独立にNH又はOであり、R、R、R、a、及びmは上記定義の通りである]
を有することを特徴とする上記粉末の塗料組成物又は接着剤組成物である。ある種の実施の形態では、シランは式IIのカルバメート化合物である、即ちAとBの一つはNHであり、他方はOである。
【0054】
約30℃〜約170℃の範囲の融点を有する式IIのシランカルバメート化合物は本発明の更なる態様である。
本発明で有用なシランは、多数の合成経路により製造されることができる。例えば、末端不飽和有機化合物をヒドロシリル化しシランを得ることができる。有機官能基を有するシランに更なる化学反応を行うことができる。本発明で有用なシリルカルバメートは、ポリオール化合物とイソシアナトポリアルコキシシランとの反応によって製造されることができる。本発明で有用な他のカルバメートは、ポリイソシアナートとヒドロキシアルキルポリアルコキシシランとの反応によって製造されることができる。このようなシリルカルバメートはまた、ポリイソシアネートと末端不飽和アルコールとの反応、次いで、その反応生成物のヒドロシリル化によって製造されることができる。シリルイソシアネートはオリゴマー重合して、ウレトジノン、アロファネート、ビウレット、イソシアヌレートを生成できる。シリルアミンは無水物と反応してアミドを生成し、イソシアネートと反応してウレアを生成できる。
【0055】
本発明の粉末の塗料又は接着剤は、通常の樹脂システムに基づくことができる。このような塗料において、式Iのシラン化合物は、性質改善添加剤及び/又は架橋添加剤として機能する。mが2以上、特にXがポリマーである式Iのシラン化合物は、塗料組成物におけるベースとなる架橋樹脂として使用されることができる。
【0056】
本発明のシランは充填剤又は顔料と結合されうる。このことは、シラン化合物が実際に充填剤又は顔料と反応する加水分解又は縮合という反応機構によって行われる。このように処理された充填剤又は顔料を用いる粉末塗料は、本発明の更に別の態様である。好適なこのような充填剤又は顔料は、シランがアルキル基、エポキシ基、アクリレート基、メタクリレート基、酸無水物基、ポリエーテル基、ヒドロキシアルキル基、もしくはアミン(特に、第1級又は第2級)基を有する充填剤又は顔料、又はシランが式IIのシランである充填剤又は顔料である。式II又は式III
Q−R−Si(OR3−a III
[式中、Qは、少なくとも一つのエポキシド、アミン、メタクリル、アクリル、酸無水物、又はヒドロキシアルキル官能基を有する一価の有機基であり、R、R、Rは上記の通りである]
を有するシランで処理された新規なTiO充填剤は上記のように本発明の更に別の態様である。
【発明の効果】
【0057】
以上、本発明によれば、熱可塑性粉末塗料の物理的化学的性質を改良するために使用可能であり、かつ硬化剤を必要とせず、上記の静電気又は摩擦電気噴霧技術により適用することのできる、粉末の塗料組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
粉末塗料システムは、熱可塑性材料や熱硬化性材料を含む有機樹脂システムに基づくことができる。“樹脂”という用語は、硬化できる材料をさすために当業界では用いられる。熱可塑性ポリマーは融解形態から硬化できるので、それは“樹脂”である。熱硬化性材料は一般的に、ポリマー、プレポリマー、又はモノマーとしての状態を無視して樹脂と通常いわれる。本明細書では、“樹脂”という用語は、熱可塑性ポリマーと熱硬化性材料の両方を含む。
【0059】
粉末塗料システムは、幾つかの熱硬化化学に基づくことができる。周知の粉末塗料システムは、ブロックされたポリイソシアネートとポリオール、特にポリエステルポリオールもしくはポリアクリレート(メタクリレート)ポリオールに基づくポリウレタンシステム;エポキシ官能性硬化剤によって硬化した酸官能性アクリルポリマーもしくは他の酸官能性ポリマー;無水物/エポキシシステム;エポキシ/ポリオールシステム;エポキシ樹脂と、カルボキシル基とヒドロキシル基の両方の官能基を有するポリエステルを用いるハイブリッドシステム;ヒドロキシアルキルアミドと酸官能性ポリマーに基づくシステム;などである。適切なエポキシ樹脂の例には、ビスフェノールAタイプポリエポキシド、グリシジルメタクリレートコポリマー、及びエポキシ−ノバラック樹脂がある。典型的には、前記システムは、単一加熱工程において融解流動し、同時に硬化するように設計される。もっとも、場合によっては、フィルム形成融解流動段階を硬化段階から分離するために、UV硬化システムを用いることはできる。
【0060】
本発明の化合物が有用である特別の粉末塗料システムには、ポリエステル−ウレタン粉末塗料がある。ポリエステル−ウレタン粉末塗料では、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂がポリイソシアネートによって硬化する。ポリイソシアネートは内部的にブロックされるか、又はブロック剤でブロックされる。主要なブロック剤はe−カプロラクタムである。粉末で塗布された部分が加熱されると、e−カプロラクタムが揮発し、イソシアネート基のブロックが解除され、イソシアネート基が遊離し、ポリエステル樹脂のヒドロキシル官能基と反応する。最も普通のブロックされたイソシアネートは、カプロラクタムによってブロックされたIPDI(イソホロンジイソシアネート)、例えば、Huels Vestagon B1530である。ポリイソシアネートは、自己縮合プロセスによって内部的にブロックされ、ウレトジオンが形成されることができる。市販のこのようなウレトジオン化合物の一つは、Huels Vestagon B1540(IPDIウレトジオン)である。
【0061】
ポリエステル−ポリウレタンシステムで使用される典型的なヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂は、グリコール、ジカルボン酸及びポリオール(モノマー当たり3個以上のヒドロキシル基)の縮合重合から得られる。しばしば使用されるグリコールは、トリメチルペンタンジオールとネオペンチルグリコールである。ポリオールはトリメチロールプロパンやトリエチロールエタンを含む。二塩基性酸はイソフタル酸やテレフタル酸を含む。ポリウレタン粉末塗料のためのヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂の製造の標準的方法は反応の詳細を含めて、OlderingとHaywardの書物[Oldering,P.及びHayward,G.,in Resins for Surface Coatings,Vol.II,SITA Technology,London,1987,p.137]に記載されている。別々の特許が、酸価、ヒドロキシル価、樹脂の官能性、及び原料の選択に関し小さな変化を伴なう、ポリウレタン粉末塗料のためのヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂の製造法を記載している。粉末塗料のためのヒドロキシル官能性ポリエステルは、酸数10未満、分子量2800−3200、ヒドロキシル数84個、及び軟化点95−100℃を有しうる。
【0062】
典型的なIPDI架橋粉末塗料組成物は次のようである。52−53%ヒドロキシルポリエステル、12−13%IPDI架橋剤、34%顔料充填剤、1%流動改善剤、及び少量の他の成分。
【0063】
本発明のシラン化合物が有用である他の粉末塗料システムは、アクリル−ウレタン粉末塗料である。このようなシステムでは、ヒドロキシル官能性アクリル樹脂を用い、ポリエステル−ウレタンと本質的に類似している方法でアクリル−ウレタン粉末を製造する。ヒドロキシル官能性アクリル樹脂は、メチルアクリレート、スチレン、アクリレートエステル、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びアクリル酸のコポリマーとして製造されることができる。典型的には、ヒドロキシル価40の樹脂を得るために約9−10%のヒドロキシエチルメタクリルレート、及び酸価16を得るために約2%のアクリル酸が必要である。メチルメタクリレートとスチレンのコポリマーは高Tg(例えば、95℃−105℃)を与え、メチルメタクリレートとスチレンのコポリマーは、ブチル、エチル、又は2−エチルヘキシルなどのより長鎖のアクリレート又はメタクリレートによって通常は柔軟化される。ブチルアクリレートがアクリルコモノマーとしてしばしば好適である。というのは、良好なUV耐性と高柔軟性を共に有するからである。アクリルコポリマーの分子量は、通常5,000−20,000である。
【0064】
アクリル−ウレタン粉末塗料の組成物は、ポリエステル樹脂の代わりにアクリル樹脂を用いるという点を除いて、ポリエステル−ウレタン組成物と同様である。
本発明のシラン化合物を使用できる更に別の粉末塗料組成物は、グリシジル官能性アクリル樹脂(特に、グリシジルメタクリレートコポリマー)と、ドデカン二酸などの2個以上のカルボン酸基を有する化合物に基づく。典型的なグリシジルメタクリレートコポリマーは、グリシジルメタクリレート15−35重量%、ブチルメタクリレート5−15重量%、及び残りの重量%のスチレン及び/又はメチルメタクリレートから製造され、数平均分子量2,500未満を有し、Tg約80℃を有し、融解粘度40パスカル秒(400ポイズ)未満(150℃)を有する。
【0065】
本発明のシラン化合物はまた、TGIC/ポリエステル粉末塗料システムで使用することができる。このようなシステムでは、カルボキシル官能性ポリエステル樹脂はTGIC(トリグリシジルイソシアヌレート)によって硬化する。組成物中でTGICによる粉末塗料の製造に適したポリエステル樹脂は、DSM樹脂BVの特許[DSM Resins BV,ベルギー特許第898099号,1982]に記載されている。該樹脂は、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、テレフタル酸及びアジピン酸の融合エステル化によって得られる。平均分子量4,500−12,500、酸価10−26mg KOH/g、及びTg40−85℃の生成物が得られ、それは、TGIC1.4−5.3重量%含有粉末塗料の製造に適する。本発明のシランはまた、ヒドロキシアルキルアミドによって硬化する同様のカルボキシル基官能性ポリエステルによっても使用されることができる。
【0066】
本発明の粉末塗料組成物はまた、ナイロン、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンやポリエチレン)、ポリフェニレンスルフィド、又はポリビニルクロリドなどの熱可塑性ポリマーにも基づきうる。
【0067】
粉末塗料組成物のベース成分の軟化点は、本発明の塗料組成物を製造するのに必要な添加剤が温度約80℃〜140℃で働くことができ、次いで、押出され、かつ約20−120μmサイズの自由流動性細粉まで粉にされることができる組成物をまだ製造できるような温度である。融解し、組成物と適合性のある固体添加剤が好適である。しかし、適合性のある液体を、マスター−バッチにより、又は不活性担体上で使用できる。
【0068】
本発明の一態様で、粉末の塗料組成物又は接着剤組成物は、式I
【0069】
【化14】

【0070】
[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Zは、直接的結合又は二価の有機連結基である;Xはm価の有機基又はHである;及び、mは1−20の整数である]
を有するシラン化合物又はこのようなシラン化合物の加水分解物もしくは縮合物を含有する。mは好ましくは2−6の整数であり、最適には2である。
【0071】
基は、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、又はアシル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、フェニル、ベンジル、トリル、ベンゾイル、又はアセチルでありうる。Rはまた、アルキルシリル基、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、もしくはトリイソプロピルシリルのようなトリアルキルシリル基、又はベンジルジメチルシリルもしくはトリルジメチルシリルなどのアリールアルキルジアルキルシリル基でもありうる。Rはまた、アルコキシシリル基、例えば、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、及びトリプロポキシシリルなどのトリアルコキシシリル;メチルジメトキシシリル、メチルジエトキシシリル、エチルジメトキシシリル、エチルジエトキシシリル、メチルジプロポキシシリル、及びエチルジプロポキシシリルなどのアルキルジアルコキシシリル;又は、ジメチルメトキシシリル、ジメチルエトキシシリル、ジメチルプロポキシシリル、ジエチルメトキシシリル、ジエチルエトキシシリル、及びジエチルプロポキシシリルなどのジアルキルアルコキシシリルでもありうる。好ましくはRは、直鎖状、分枝状、もしくは環状C−Cアルキル基、又はアセチル基である。最適にはRはエチル又はメチルである。適切なR炭化水素基は、アリール、アルケニル、又はアルキル基であり、直鎖状、分枝状、もしくは環状の、特に低級(C−C)アルキル基、例えばメチルもしくはエチルでありうる。Rは適切にはC−C12直鎖状、分枝状、又は環状アルキレン、好ましくはC−Cアルキレンである。典型的なR基は、プロピレン、エチルシクロヘキシレン、3,3−ジメチルブチレン、エチレン及びメチレンである。
【0072】
Zは、直接的結合又は二価の有機連結基である。適切な二価の連結基には、エステル、アミド、ウレア、ウレトジオン、カルバメート、カーボネート、芳香族環、ヘテロ環、アロファネート、ビウレット、アミン、エーテル及びチオエーテルなどがある。Z基は同一であるか、又は異なりうる。
【0073】
m価有機基Xは典型的には、公知の方法で反応し結合Zを形成した1個以上のカルボン酸、ハライド、アルコール、イソシアネート、アミン、エポキシ、チオール、又は他のペンダントもしくは末端の官能基を有する有機化合物の残基である。残基Xは重合体、例えば、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、及びそれらの組み合わせでありうる。好ましくは、X基は、脂肪族、脂環式、又は芳香族の炭化水素基、好ましくはC−C24炭化水素基、特に飽和の直鎖状、分枝状、又は環状の脂肪族炭化水素基である。典型的なX基は、2,3−ブチレン、1,6−ヘキシレン;1,4−シクロヘキサンジメチレン;1,4−シクロヘキシレン;1,7−ヘプチレン;1,8−オクチレン;1,12−ドデシレン;1.10−デシレン;1,9−ノニレン;4,4’−イソプロピリデンジフェニレン;4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキシレン;1,4−ブチレン;フェニレン;メチルフェニレン、1,3−(α,α,α’,α’−テトラメチル)キシリレンなどである。
【0074】
m=1ならば、好ましくはZは直接的結合であり、好ましくはXはアルキル又はエポキシド、メタクリレート、アクリレート、もしくはアミン官能基を有する基である。アルキルは直鎖状又は分枝状でありうる。アルキルならば、アルキルはC−C18、より好ましくはC−C12、最適にはCであるべきである。
【0075】
本発明の組成物で有用な好適なシランは、式II
【0076】
【化15】

【0077】
[式中、R、R、R、a、m及びXは上記定義の通りであり、A及びBは独立に−NH−又は−O−である]
又はこのような式の加水分解物もしくは縮合物によって特徴づけられることができる。
【0078】
A=NHで、B=Oである式IIのシリルカルバメートは、ポリオール化合物とイソシアナトアルキルアルコキシシランとの反応によって製造されることができる。このようにして得られる新規シランカルバメートには、ポリオール化合物が炭化水素ジオールである上記のように製造されたカルバメートがある。1,4−シクロヘキサンジオール、4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキサノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの直鎖状対称的ジオールはまた、本発明の好適なシランカルバメートを生成させる。この型のシリルカルバメートはまた、シリルイソシアネートとポリマーのポリオール、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール又はポリアクリレートポリオールなどとの反応によっても製造されることができる。
【0079】
適切なイソシアナトアルキルアルコキシシランの例は、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジイソプロポキシシラン、イソシアナトネオヘキシルトリメトキシシラン、イソシアナトネオヘキシルジメトキシシラン、イソシアナトネオヘキシルジエトキシシラン、イソシアナトネオヘキシルトリエトキシシラン、イソシアナトネオヘキシルトリイソプロポキシシラン、イソシアナトネオヘキシルジソプロポキシシラン、イソシアナトイソアミルトリメトキシシラン、イソシアナトイソアミルジメトキシシラン、イソシアナトイソアミルメチルジエトキシシラン、イソシアナトイソアミルトリエトキシシラン、イソシアナトイソアミルトリイソプロポキシシラン、イソシアナトイソアミルメチルジイソプロポキシシランである。
【0080】
イソシアナトアルキルアルコキシシランと共に、固体のシリルカルバメートを産生する適切なポリオール化合物の例は、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA(即ち、4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキサノール);及び1,4−ブタンジオールなどである。
【0081】
ポリオールとイソシアナトプロピルトリアルコキシシランの反応生成物は、室温で種々の粘度の液体又は固体である。融点が約30℃〜約170℃の範囲である固体は、粉末の塗料用添加剤として特に適切である。というのは、その固体は、融解挙動をほぼ変えずに通常の組成物に直接添加されることができるからである。
【0082】
好ましくは、イソシアナトプロピルアルコキシシランは、高純度、即ち約95%超の純度を有し、好ましくは、副反応を促進できるトランスエステル化反応触媒などの不純物及び/又は添加剤を含まない。非所望のトランスエステル化反応触媒の例は、酸、塩基、及び有機金属化合物である。イソシアナトプロピルトリメトキシシランの場合、純度は95%以上が好適である。このことは、市販のイソシアナトプロピルトリメトキシシラン、即ちWitco CorporationからSILQUEST(登録商標)Y−5187として市販のものを蒸留し、(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルカルバメートなどの不純物、並びに阻害剤、触媒、他の添加剤を除去して達成されうる。
【0083】
好適なグリコールは、対照的グリコール、例えば、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどである。1,4−ブタンジオールとイソシアナトプロピルトリエトキシシランの反応生成物は室温で固体であり、1,2−ブタンジオール又は1,3−ブタンジオールとイソシアナトプロピルトリエトキシシランの反応生成物は室温で液体である。同様に、1,4−シクロヘキサンジオールとイソシアナトプロピルトリエトキシシランの反応生成物は室温で固体であるが、1,2−シクロヘキサンジオールとイソシアナトプロピルトリエトキシシランの反応生成物は室温で液体である。ジオールからシランカルバメート化合物を産生させる例示的な反応を下に図示する。
【0084】
【化16】

【0085】
[式中、R及びXは上記定義の通りである]
反応はスズ触媒、例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTDL);ジブチルスズオキシド;ジブチルスズジクロリド;ジブチルスズジアセテート;ジブチルスズジマレエート;ジブチルスズジオクトエート;ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート);酢酸スズ;スズオクトエート;エチルヘキサン酸スズ;ラウリン酸スズ;などによって触媒される。その他のウレタン触媒は、K−KAT(登録商標)(ジルコニウム、アルミニウム、又はビスマス化合物);ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO);N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCA);1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデク−7−エン(DBU);1,5−ジアザビシクロ[2,3,0]ノン−5−エン(DBU)などである。反応は典型的には発熱性であり、最終生成物の色を最小にするように温度を制御すべきである。過剰の発熱によってまた、副反応による不純物が生成する。反応混合物の温度が150℃を超えないように、より好ましくは、約110℃以下になるように発熱を制御することが望ましい。
【0086】
同様に、トリオール、テトロール、ペントール、ヘキソールは、当量のイソシアナトアルキルトリエトキシシランと反応できる。このような物質は、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、イノシトール、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、フコース、グルコースなどである。
【0087】
本発明の好適なシランは、2モルのイソシアナトプロピルトリエトキシシランと1モルの1,4−シクロヘキサンジメタノールから製造される付加化合物である。
これらのカルバメートの例は、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−1,4−シクロヘキサンジメチルジカルバメート、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,4−シクロヘキサンジメチルジカルバメート;ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]−1,4−シクロヘキサンジメチルジカルバメート;ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−1,2−シクロヘキサンジメチルジカルバメート;ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]−1,2−シクロヘキサンジメチルジカルバメート;ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−1,4−ブタンジカルバメート;ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]−1,4−ブタンジカルバメート;ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−2,3−ブタンジカルバメート;ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−1,10−デカンジカルバメート;ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,10−デカンジカルバメート、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,6−ヘキサンジカルバメート、トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,2,3−プロパントリカルバメート、トリス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−1,2,3−プロパントリカルバメート、トリス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]−1,2,3−プロパントリカルバメートなどである。
【0088】
A=O、B=NHである式IIの他のシリルカルバメートは、アルコキシシリルアルコールとポリイソシアネートとの反応によって製造できる。このようなシリルカルバメートはまた、ポリイソシアネートと末端不飽和アルコールとの反応と、次のヒドロシリル化によっても製造できる。
【0089】
ジイソシアネートとアルコキシシリルアルコールからシリルカルバメートを産生する例示的な反応を下に図示する。
【0090】
【化17】

【0091】
[式中、R及びXは上記定義の通りである]
この反応は上記触媒によって触媒されることができ、同じ推奨が適用される。好適な化合物X(N=C=O)は、ジイソシアネートとポリオールから得られるポリイソシアネートプレポリマーである。同様に、トリイソシアネート、例えば、IPDIイソシアヌレートやHDIイソシアヌレートは、当量のアルコキシシリルアルコールと反応できる。アルコキシシリル ポリオールは、この反応で当量のポリイソシアネートと反応できる。
【0092】
適切なアルコキシシリルアルコールの例は、N(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシ−1−プロピル カルバメート;N(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−1−ヒドロキシ−1−プロピル カルバメート;N(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシ−1−プロピル カルバメート;N(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−ヒドロキシ−1−プロピル カルバメート;N(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミドなどである。他の例は米国特許第5,587,502号に記載されており、その教示は、引用により本明細書に含まれるものとする。適切なポリイソシアネートは、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI);イソホロンジイソシアネート(IPDI);2,4−トルエンジイソシアネート;2,6−トルエンジイソシアネート;2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI);ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート(MDI);ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI);1,3−(α,α,α’,α’−テトラメチル)キシレン ジイソシアネート(TXMDI);α,α−ジメチルメタイソプロピルベンジルイソシアネート(m−TMI);及び、このようなポリイソシアネートのダイマー、トライマー、ビウレット、アロファネート、他のオリゴマー;であるがこれらに限定されない。ポリイソシアネートはまた、ポリマーのポリウレタンの“プレポリマー”、例えば、上記ポリイソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、又はポリアクリレートポリオールとの反応から得られるポリマーのポリウレタンの“プレポリマー”でありうる。
【0093】
あるいは、本発明で有用なカルバメートは、末端不飽和アルコールとポリイソシアネートの反応、及び適切な触媒の存在下、末端不飽和ポリウレタン中間体のヒドロシリル化によって製造できる。アリルアルコールと白金触媒を用いるこの反応系列の例を以下に図示する。
【0094】
【化18】

【0095】
[式中、R及びRは上記定義の通りであり、Xは有機残基であり、nは1−10である]
例えばイソシアネートOCN−X−(NCO)は、HDI、IPDI、H12MDI、TDI、MDI、TMXDI、TMI、又はそれらのダイマー、トライマー、アロファネート、もしくはオリゴマーのプレポリマーでありうる。末端不飽和ポリマー性アルコールも、アリルアルコールの代わりに上記系列で使用できる。米国特許第5,298,572号及び第5,227,434号(及びこれらの特許内の参考文献)の上記とその他の教示は引用により本明細書に含まれるものとする。同様に、末端不飽和イソシアネートはポリオールと反応して、末端不飽和カルバメートを与え、末端不飽和カルバメートは、同様に、ヒドロシリル化されることができる:
【0096】
【化19】

【0097】
シランウレア化合物はまた、本発明の組成物で使用できる。このような化合物は、AとBの両方がNHである式IIに対応する。それらは、アルコキシシリルアルキルアミンと有機イソシアネートとの反応、又は有機アミンとアルコキシシリルアルキルイソシアネートとの反応によって適切に製造される。この反応は、イソシアネートとアルコールとの反応と類似しているが、典型的には触媒は必要ではない。
【0098】
アルコキシシリルアルキルアミンの例は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−1100);3−アミノプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)A−1110);3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST(登録商標)Y−9669);N,N−ビス(3−プロピルトリメトキシシリル)アミン(SILQUEST(登録商標)A−1170);3−アミノプロピル(メチルジエトキシシラン);3−アミノプロピル(メチルジメトキシシラン);アミノヘキシルトリエトキシシラン(SILQUEST(登録商標)Y−11637)などである。
【0099】
有機(ポリ)アミンの例は、n−オクチルアミン、n−ヘキシルアミン、エチレンジアミン;プロピレンジアミン;1,4−ジアミノブタン;1,6−ジアミノヘキサン;IPDA;TDA;MDA;H12MDAなどである。有機アミンはポリマー、例えば、Jeffamines(登録商標)(ポリエーテルポリアミン)でありうる。
【0100】
上記合成法の全てにおいて、トリアルコキシシラン出発化合物を対応するジアルコキシアルキルシラン、トリアシルオキシシラン、又はジアシルオキシアルキルシランで置き換えるならば、式Iの他の化合物が産生されることが理解されよう。
【0101】
更に、他の通常の添加剤も使用できる。好適な方法では、シロキサン滑動剤が押出しの間に使用される。
本発明の塗料組成物に含まれうる通常の塗料用添加剤の例は、加速触媒、顔料、平滑化剤、流動改善剤、光安定化剤、抗酸化剤、充填剤などであるが、全ては当業界で周知である。これらの成分は、本発明の組成物中で通常の量が使用されうる。
【0102】
適切な流動改善剤の例は、アクリル樹脂(通常、シリカ上にある)、フルオロ脂肪族ポリマー性エステル、及びポリジメチルシロキサン(固体か高粘度のゲルが好ましい)であるが、それらに限定されない。流動改善剤は一般的に、組成物総重量の0.5−2.0%が使用される。
【0103】
触媒、典型的にはチタン化合物、ジルコニウム化合物、又はスズ化合物は通常、組成物総重量の0.05−1.5%、好ましくは0.1−0.5%が使用される。これらの触媒の例は、ジブチルスズジラウレート;ジブチルスズジアセテート;ジブチルスズ二スズ ジオキシド;ジブチルスズジオクトエート;スズオクトエート;チタンイソプロポキシド;アルミニウムチタネート;キレート化チタネート;ジルコニウムエトキシドなどである。種々の第3級アミンと酸は単独又は組み合わせて、シラン硬化を触媒するために使用できる。他のシラン触媒は、米国特許第4923945号に開示されているが、該特許は引用により本明細書に含まれるものとする。
【0104】
充填剤と着色剤は、大量、しばしば組成物総重量の50%以上、ときには60%以上添加できる。透明塗料組成物は充填剤と顔料を完全に含まないこともありうる。
上記シラン化合物は、架橋剤、接着促進剤、及び/又は環境耐性やキズ耐性のようなフィルム性質の改善剤として有用である。粉末塗料を硬化させるために使用される高温では、分子のカルバメート基が存在すれば、それは、イソシアネート基と反応してアロファネートとビウレットを生成でき、及び/又はSiOR基は、交換反応で塗料中のポリオールと反応できる。
【0105】
式Iのシランは、単独で、又は通常の架橋剤と組み合わせて使用できる。式Iのシランは、主要な架橋網を提供するために使用できるか、又は通常の架橋網を強化できる。Xがポリマーで、化合物が融解可能な固体である場合、式Iのシランは、塗料システムのベース樹脂として使用できる。
【0106】
上記方法の他に、本発明のポリマーシランは、シランモノマーと非シランモノマーを共重合することによって合成できる。例えば、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、即ちSILQUEST(登録商標)A−174は、アルキルアクリレート(メタクリレート)モノマー、例えば、メチルメタクリレート(及び/又は置換アクリレート(置換メタクリレート);例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、又はグリシジルメタクリレート)に加え、共重合させ、シラン官能性ポリアクリレート(メタクリレート)(又は、グリシジルメタクリレートが含まれる場合、シラン官能性GMA樹脂)が得られる。
【0107】
本発明の組成物で使用される好適なシラン化合物は、その融解性を実質的に変えずに通常の粉末塗料組成物中に含有させるのに特に適した融解可能な固体である。融点は望ましくは約30℃〜約170℃の範囲、好ましくは約40℃〜約120℃、より好ましくは約50℃〜約110℃である。
【0108】
本発明のシラン化合物の分子量は好ましくは約8000ダルトン以下、より好ましくは約5000ダルトン以下である。
固体が本発明の好適な実施形態であるが、液体又はワックス形態のシランも通常の粉末塗料樹脂システムでの添加剤として使用できる。
【0109】
固体ではないシランを加える好適な方法は、不活性担体、例えばシリカ、カーボンブラックや多孔性ポリマーを介してである。液体は、“マスター−バッチ”として固体溶液の形態でも加えることができるし、又はカプセルに包むこともできる。本発明のシランは、顔料又は充填剤中/上に含ませて、粉末塗料組成物に加えることができる。二酸化チタンはこれらのシランの好適な担体である。これらの形態のシランは、固体シランと同様に粉末塗料組成物に加えることができる。
【0110】
典型的な粉末塗料組成物中で、シラン添加物の有用量は、組成物の約0.5〜約30重量%の範囲、より好ましくは約2〜約10重量%である。しかし、組成物によっては、より多量又はより少量も有益でありうる。更に、上記のように、Xがポリマーである式Iのシラン化合物はベース樹脂として使用できる。従って、本発明の粉末塗料組成物は、上記の量の範囲に限定されていると考えるべきではない。
【0111】
UV/放射線反応性基を有するシラン、例えばメタクリレート(例えば、Silquest(登録商標)A−174)は好ましくも、UV/放射線硬化粉末塗料システム、例えば、米国特許第5,703,198号に開示されたものと共に使用できる。エポキシ官能性シラン(例えばSilquest(登録商標)A−187)も、米国特許第5,789,039号に開示されたもののようなUV/放射線硬化粉末塗料システムと共に使用できる。
【0112】
粉末接着剤も同様に製造できる。このような接着剤は、粉末塗料と同様に連結される基体の一方又は両方に適用できる。例えば、静電気噴霧、摩擦電気噴霧、電磁ブラシ、又は流動床によって行う。塗料を融解するために基体は加熱によって連結され、十分には硬化しなくとも硬化させる。冷却すると、連結アッセンブリが形成される。このような粉末接着剤のサイズ分布は、50重量%以上が79目/cm(200メッシュ)篩を通過するようなものである。
【0113】
本発明のシランの更なる態様として、Xがアルキル、エポキシ、アクリレート、メタクリレート、酸無水物、ポリエーテル、ヒドロキシアルキル、もしくはアミン(特に第1級もしくは第2級アミン)基を含む式Iのシラン、又はその加水分解物もしくは縮合物、あるいは式IIのシラン、又はその加水分解物もしくは縮合物は、充填剤又は顔料、例えば二酸化チタンと結合する。このような充填剤の場合、式Iのmは適切には1である。このようなシランの混合物、特にアルキルシランとの混合物も使用できる。その生成物は、粉末の塗料用又は粉末の接着用の添加剤として有用である。
【0114】
式II又は式
Q−R−Si(OR3−a III
[式中、Qは、少なくとも一つのエポキシド、アミン、メタクリル、アクリル、酸無水物、又はヒドロキシアルキル官能基を有する一価の有機基であり、R、R、Rは上記定義の通りである]
のシランで処理されたシラン処理TiO充填剤又は顔料は、本発明の更なる面を構成する。アミンは第1級、第2級、又は第3級であり、第2級又は第3級アミン基の場合、アルキル側鎖は場合によっては、例えばアミノ又はヒドロキシル基で置換されてもよい。Q−R−基の例は、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル;HN−(CH−;HN−(CH−NH−(CH−;アクリルオキシプロピル;メタクリルオキシプロピルなどである。好ましくはQはエポキシド基を含む。
【0115】
シランは典型的には、加水分解反応又は縮合反応により充填剤又は顔料と結合する。シランによる充填剤/顔料処理の典型的方法は、米国特許第4,061,503号、第4,151,154号、第5,057,151号、第5,562,990号、及びそれらの中の特定の参考文献に記載されている。シランで処理できる充填剤/顔料の広範なリストは、上記特許に記載されており、上記特許の全ては引用により本明細書に含まれるものとする。シランは、担体の性質により1〜60%が種々の担体に縮合されることができる。二酸化チタンはシランを約20%荷うことができ、依然として細粉のままでありうる。例えば、適切な二酸化チタンは、エポキシ官能性トリアルコキシシラン溶液によって、高剪断混合器中で、場合によっては共溶媒と水(酸性pH約2〜5で)と共に処理できる。適切な溶媒は、THF;ジオキサン;メタノール;エタノール;DMF;DMSOであるがそれらに限定されない。溶液中のエポキシ官能性トリアルコキシシランの濃度は重要ではない。しかし、溶媒除去を最小化するために、濃溶液(60−90%)の使用が効率的である。揮発性物質を揮発させた後、処理された二酸化チタンを粉末塗料組成物に加えることができる。
【0116】
種々のシランの組み合わせを用いると、相乗効果が生じうる。上記担体上のシランは別々に、又は混合物として組成物に加えうる。混合物は混合工程で、又は押出しの間に製造できる。これらの相乗効果のシラン混合物は、TGIC又はPrimid(登録商標)XL−552などの通常の架橋システムの代わりに使用できる。多くの型の二酸化チタンがシランの担体として使用できる。これらは、Tiona(登録商標)RCI−9、RCI−535;Kronos(登録商標)2020;Ti−Pure(登録商標)R−100シリーズ;R−700,R−900などであるが、それらに限定されない。適切なシリカ担体は、Hubersorb(登録商標);Hi−Sil(登録商標)ABS;Zeosil(登録商標)1165MPであるが、それらに限定されない。
【0117】
ある場合には、本発明の粉末塗料を、水分によって更に及び/又はより速く硬化させることができる。通常、外界湿度は結局完全にシランを硬化させるが、焼き工程の間には、特に触媒システムで硬化しなかったかもしれない。しかし、高湿度処理、熱水、又は蒸気を用いて、有利にも完全な硬化がより急速に得られる。それによって、熱感受性基体上への粉末塗料の適用のために、本発明の実施形態が使用できる。噴霧適用後、塗布された基体は、適切な流動と平滑化を得るために十分に高い温度まで加熱される。この低温では架橋はずっと少なく、粘度は比較的低くとどまり、流動/平滑化の改善が起りうる。第2の工程で、水分を用いて、システムを硬化させうる。低温水分硬化は、上記のシラン硬化触媒の一つ以上の添加によって容易になりうる。
【0118】
以下の非限定実施例によって、本発明を更に説明する。
【実施例1】
【0119】
シランカルバメート化合物は、イソシアナトプロピルトリメトキシシランと表1に列挙したポリオールとの反応によって製造された。イソシアナトプロピルトリエトキシシラン:ジオールの2:1.05モル比を用い、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)触媒300−500ppmを加えて、総スケール約30gで反応を行わせた。100mLの丸底3首フラスコに磁気攪拌棒を入れた。一側面に温度計を配置した。恒温器を備えた加熱マントルをセットアップ物に設けた。TEFRON(登録商標)潤滑剤を接続部に用いた。300−500ppmDBTDLの触媒を含む成分をフラスコに移した。N下、フラスコをゆっくりと加熱すると、発熱が起った。最終生成物の着色を減少させるために、最高温度を約100℃に保った。NCOの消失に基づくIRを用い、反応完了を見るために反応をモニターした。生成物の出現と粘度を記録した。生成物が固体の場合、DSC(ピーク温度)によって融点も測定した。固体生成物の生成物形態と融点を表1に示す。
【0120】
【表1】


【実施例2】
【0121】
ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−1,4−シクロヘキサンジメチルジカルバメートの製造
窒素ブランケット下の、磁気攪拌器、温度計、還流コンデンサ、別の漏斗を備えた2L3首フラスコに、融解シクロヘキサンジメタノール(Aldrichから)199.4g、SILQUEST(登録商標)A−1310(3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、Witco Corp.から)685.6g、及びDBTDL0.44gを加えた。良く混合し、少し加熱すると、フラスコ内容物は発熱し、146℃になった。反応混合物の温度を90−110℃に3時間維持した。反応混合物の赤外線スペクトルを間隔をおいてとり、反応の進行を追跡した。2272cm−1のイソシアネート吸収が本質的に無くなったとき、反応は完了したと考えた。冷却して、白色固体を得た。この物質の融解をDSC(示差走査熱量計)によって82.6℃と測定した。生成物の13Cと29Si NMR解析により、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−1,4−シクロヘキサンジメチルジカルバメートの生成を確認した。
【実施例3】
【0122】
ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,4−シクロヘキサンジメチルジカルバメート固体形の製造
市販のSILQUEST(登録商標)Y−5187(3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、Witco Corp.から)を蒸留し、GCの判定で純度98.5%のものを得た。融解シクロヘキサンジメタノール(21.9g)とDBTDL(10mL,0.0101g)を、窒素ブランケット下の、磁気攪拌器、温度計、還流コンデンサ、別の漏斗を備えた100mL3首フラスコに加えた。内容物を50℃まで加熱した。蒸留したY−5187(3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン)を良く攪拌しながら滴下添加した。添加を始めると直ぐに発熱が起り、反応温度は100℃に上がった。熱源を取り外し、内部温度が100℃未満に保たれるような速度でY−5187の添加を続けた。添加終了後、反応混合液を85℃に1時間保った。赤外線分析でイソシアネートは存在しなかった。室温に冷却すると、生成物はワックス状固体であった。
【実施例4】
【0123】
ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,4−シクロヘキサンジメチルジカルバメート液体形の製造
窒素ブランケット下の、磁気攪拌器、温度計、還流コンデンサ、別の漏斗を備えた2L3首フラスコに、融解シクロヘキサンジメタノール(Aldrichから)350.6g、及びDBTDL1.3gを加えた。良く攪拌しながら、内部温度が70−90℃に維持されるような速度でSILQUEST(登録商標)Y−5187シラン(純度95.3%のものを953.7g)を滴下添加した。添加が終了するのに3.5時間かかった。添加終了後、反応混合物を85℃に1時間保ち、混合物を外界温度で17時間攪拌した。赤外線分光法で反応の完了を確認した。反応生成物は粘稠な液体であり、Gardner Holt 粘度X+1/2(15.3×10−4・s−1(15.3ストークス))を有した。
【実施例5】
【0124】
ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−1,2−シクロヘキサンジメチルジカルバメートの製造
窒素ブランケット下の、磁気攪拌器、温度計、還流コンデンサ、別の漏斗を備えた100mL3首フラスコに、シス−1,2−シクロヘキサンジメタノール(Acrosから)2.13g、SILQUEST(登録商標)A−1310(3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、Witco Corp.から)7.50g及びDBTDL(ジブチルスズジラウレート)0.0119gを加えた。反応混合物を100℃で2時間攪拌した。反応の終了は、赤外線分光法によってモニターし、確認した。反応生成物は粘稠な液体であった。
【実施例6】
【0125】
カルボキシル官能性ポリエステル樹脂サンプル二つ、DSM生成物P−5500とP−3900を得た。該ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)に対する固体シランの効果を、DSCを用いて試験した。固体シランは、実施例2からのイソシアナトプロピルトリエトキシシランと1,4−シクロヘキサンジメタノールの付加物であった。
【0126】
2回のランで、P−5500のTgは、それぞれ57.5℃と58.2℃と測定された。該シランを5重量%加えた後、混合物のTgは59.4℃と測定された。
P−3900のTgは59.2℃と測定された。該シランを5重量%加えた後、混合物のTgは58.7℃と測定された。
【0127】
これらの結果によると、粉末適用において使用された典型的樹脂のTgは、本発明のシラン成分の添加によって有害な影響はほぼ受けなかった。
【実施例7】
【0128】
粉末塗料組成物7Aと7Bを、表IIに記載した成分から製造した。表IIで、数値は重量部である。成分は、Prism Pilot3高速度ミキサーによって乾燥混合された。次いで、混合物を、Werner and Pfleiderer ZSK−30押出し機で、約100℃で押出した。冷却した押出し物を、Retsch/Brinkman ZM−100グラインダーで粉にした。粉末は、79目/cm(200メッシュ)篩の篩にかけた。
【0129】
【表2】

【0130】
第3の組成物7Cは、組成物7Bの一部に、触媒レベルが0.053重量%になるために十分量のジブチルスズジラウレート触媒の溶媒溶液を加えることによって製造した。溶媒を蒸発させた。
【0131】
3種の粉末塗料組成物を、76mm×152mm×0.8mm(3インチ×6インチ×0.032インチ)スチールQパネル上に静電気的に噴霧した(Nordson Versa−Spray II銃を用いて)。塗布されたプレートを180℃で18分間焼いた。塗布されたパネルに対し行った物理的性質は以下のようであった。
【0132】
【表3】

【0133】
上記結果によると、本発明のシランを含有する組成物のキズ耐性及び溶媒耐性は、試験した他の性質の劣化なく改良された。
塗布プレートを上記のように作製し、180℃で15分間だけ硬化させたとき、組成物7B、7C、及び7Aと7Bの1:1(重量)混合物は全て鉛筆硬度結果5Hを有し、本発明のシラン化合物を全く含有しない組成物7Aは鉛筆硬度結果3Hを有した。
【実施例8】
【0134】
粉末塗料組成物8Aと8Bを表IVに記載の成分から製造した。表IVの数値は重量部である。市販のSIQUEST(登録商標)Y−11570(1,3,6−トリス[プロピルトリメトキシシリル]イソシアヌレート、Witco Corp.)を用いた。成分をPrism Pilot 3高速度ミキサーで乾燥混合した。次いで、Werner and Pfleider ZSK−30押出し機で約100℃で混合物を押出した。冷却した押出し物をRetsch/Brinkmanグラインダーで粉にした。粉末を55目/cm(140メッシュ)篩の篩にかけ、上記のようにスチール基体に噴霧した。
【0135】
【表4】

【0136】
塗布されたパネルで行った物理的性質測定値は以下のようであった。
【0137】
【表5】

【実施例9】
【0138】
粉末塗料組成物9Aと9Bを表VIに記載の成分から製造した。表VIの数値は重量部である。成分をローラーミルで乾燥混合した。次いで、混合物をBraebenderミキサーで約110℃で融解混合した。冷却した押出し物をRetsch/Brinkman ZM−100グラインダーで粉にした。粉末を55目/cm(140メッシュ)篩の篩にかけた。
【0139】
【表6】

【0140】
粉末塗料組成物を、76mm×152mm×0.8mm(3インチ×5インチ×0.032インチ)スチールQパネル上に静電気的に噴霧した(Nordson Versa−SprayII銃を用いて)。塗布されたプレートを180℃で18分間焼いた。
【0141】
上記の塗料のキズ特性は、上記実施例のようにAATCCクロックメータ試験を用いて評価した。結果によると、実施例2のシランは、比較組成物の場合の光沢の保持50.5%に対し光沢の保持66.7%を有した。このことは、本発明のシランによって与えられるキズ耐性の改良を示す。
【実施例10】
【0142】
粉末塗料添加剤として有用なシランウレア化合物を、表VII記載のイソシアネートとアミン化合物との反応によって製造した。反応は、イソシアネート:アミンの1:1.03当量比を用い、総スケール約30gで行われた。触媒は反応で用いなかった。記載されていない反応条件は実施例1の通りであった。
【0143】
【表7】

【実施例11】
【0144】
酢酸でpHを3.0に調整したテトラヒドロフラン4.7gと水0.3gの溶液に、アルキルトリエトキシシラン(Silquest(登録商標)A−137、Witco Corp.から入手)1.0gを加えた。これを20分間攪拌し、次いで、二酸化チタン(Tiona RCl−9、Millenium Inorganic Chemicalsから入手)100gに、高剪断下、Warringブレンダー中で加えた。オーブン中、150℃で乾燥後、処理された二酸化チタンを、ポリエステル/TGIC粉末塗料組成物中に加えた(11B)。
【0145】
メタノール1.0g、水0.85g、酢酸0.2gの溶液に、トリメトシシエポキシアルキルシラン(Silquest(登録商標)A−187、Witco Corp.から入手)11.2gを加えた。これを30分間攪拌し、次いで、高剪断下Warringブレンダー中で二酸化チタン100gに加えた。オーブン中160℃で乾燥後、処理された二酸化チタンをポリエステル粉末塗料組成物中に加えた(11C)。
【0146】
粉末塗料組成物11A、11B、11Cを、表VIII記載の成分から製造した。表VIIIの数値は重量部である。成分を、Prism Pilot 3高速度ミキサーで乾燥混合した。次いで、混合物を、Werner and Pfleider ZSK−30ツウィンスクリュー押出し機で約100℃で押出した。組成物を順次押出した。即ち、最初に11A、次いで11B、次いで11Cを押出した。
【0147】
冷却された押出し物をRetsch/Brinkman ZM−100グラインダーで粉にした。粉末を55目/cm(140メッシュ)篩の篩にかけた。
【0148】
【表8】

【0149】
粉末塗料組成物を、76mm×152mm×0.8mm(3インチ×6インチ×0.032インチ)スチールQパネル上に静電気的に噴霧した(Nordson Versa−Spray II銃を用いて)。塗布されたプレートを180℃で18分間焼いた。
【0150】
塗布されたパネル上の組成物2種、即ち、比較組成物11A(通常のTGIC/ポリエステル粉末塗料組成物)と本発明の組成物(組成物11C、TGICの一部が除去されている)を表IXに記載する。
【0151】
【表9】

【0152】
結果によると、本発明のシラン処理充填剤又は顔料で、TGICの幾分かを置き換えることによって、塗料の溶媒耐性が改良された。
【実施例12】
【0153】
メタノール2.0g、水1.5g、酢酸0.4gの溶液に、Silquest(登録商標)A−187トリメトシシエポキシアルキルシラン20.0gを加えた。これを30分間攪拌し、次いで、高剪断下Warringブレンダー中で二酸化チタン100gに加えた。オーブン中165℃で乾燥後、処理された二酸化チタンをポリエステル粉末塗料組成物中に加えた(12A)。
【0154】
粉末塗料組成物12Aを、表X記載の成分から製造した。表Xの数値は重量部である。二酸化チタンを上段落に記載のように処理した。成分を、Prism Pilot 3高速度ミキサーで乾燥混合した。次いで、混合物を、Werner and Pfleider ZSK−30ツウィンスクリュー押出し機で約100℃で押出した。実施例11のように、11Aの組成物、次いで11Bの組成物、最後に12Aを押出した。
【0155】
冷却された押出し物をRetsch/Brinkman ZM−100グラインダーで粉にした。粉末を55目/cm(140メッシュ)篩の篩にかけた。
【0156】
【表10】

【0157】
粉末塗料組成物を、76mm×152mm×0.8mm(3インチ×6インチ×0.032インチ)スチールQパネル上に静電気的に噴霧した(Nordson Versa−Spray II銃を用いて)。塗布されたプレートを180℃で18分間焼いた。
【0158】
以下の物理的性質測定値を、塗布されたパネルについて得た。
【0159】
【表11】

【0160】
結果によると、本発明のシラン処理充填剤又は顔料を含有する組成物の溶媒耐性が改良された。
【実施例13】
【0161】
メタノール2.0g、水1.5g、酢酸0.4gの溶液に、Silquest(登録商標)A−187トリメトシシエポキシアルキルシラン20.0gを加えた。これを30分間攪拌し、次いで、高剪断下Warringブレンダー中で二酸化チタン100gに加えた。オーブン中165℃で乾燥後、処理された二酸化チタンをポリエステル粉末塗料組成物中に加えた(13A)。
【0162】
粉末塗料組成物13Aを、表XII記載の成分から製造した。表XIIの数値は重量部である。二酸化チタンを上記段落に記載のように処理した。成分を、Prism Pilot 3高速度ミキサーで乾燥混合した。次いで、混合物を、Werner and Pfleider ZSK−30ツウィンスクリュー押出し機で約100℃で押出した。実施例11のように、11Aの組成物、次いで11Bの組成物、最後に13Aの組成物を押出した。
【0163】
冷却された押出し物をRetsch/Brinkman ZM−100グラインダーで粉にした。粉末を55目/cm(140メッシュ)篩の篩にかけた。
【0164】
【表12】

【0165】
粉末塗料組成物を、76mm×152mm×0.8mm(3インチ×6インチ×0.032インチ)スチールQパネル上に静電気的に噴霧した(Nordson Versa−Spray II銃を用いて)。塗布されたプレートを180℃で18分間焼いた。
【0166】
以下の物理的性質測定値を、塗布されたパネルについて得た。
【0167】
【表13】

【0168】
結果によると、本発明のシラン処理充填剤及び顔料は、TGICに置き換わることができる。
【実施例14】
【0169】
アミノ−ビス−(プロピルトリメトキシシラン)(Silquest(登録商標)A−1170、Witco Corp.から入手)12.5gとメタノール2.0gの溶液を、二酸化チタン100gに加えた。Warringブレンダーで混合後、処理された二酸化チタンを一晩空気乾燥した。
【0170】
粉末塗料組成物14A(標準的TGIC/ポリエステル組成物)と本発明の組成物14Bを、表XIV記載の成分から製造した。表XIVの数値は重量部である。処理された二酸化チタンを上記段落に記載のように製造した。成分を、Prism Pilot 3高速度ミキサーで乾燥混合した。次いで、混合物を順次、Braebender PL−2000 シングルスクリュー押出し機で約105℃で押出した。組成物14A、次いで組成物14Bを押出した。
【0171】
冷却された押出し物をRetsch/Brinkman ZM−100グラインダーで粉にした。粉末を55目/cm(140メッシュ)篩の篩にかけた。
【0172】
【表14】

【0173】
塗布されるスチールQパネルは噴霧され、上記実施例のように焼いた。塗布されたパネルについて以下の物理的性質測定値を得た。
【0174】
【表15】

【0175】
結果によると、本発明のシラン処理充填剤によるTGICの完全な置き換えは容易である。
【実施例15】
【0176】
酢酸でpHを3.0に調整したテトラヒドロフラン4.7gと水0.3gの溶液に、トリエトキシアルキルシラン(Silquest(登録商標)A−137、Witco Corp.から入手)1.0gを加えた。これを20分間攪拌し、次いで、二酸化チタン100gに、高剪断下、Warring ブレンダー中で加えた。オーブン中、150℃で乾燥後、処理された二酸化チタンを、ポリエステル/TGIC粉末塗料組成物中に加えた(15Bと15C)。
【0177】
粉末塗料組成物15A、15B、15Cを、表XVI記載の成分から製造した。表XVIの数値は重量部である。成分を、Prism Pilot 3高速度ミキサーで乾燥混合した。次いで、混合物を、Werner and Pfleider ZSK−30ツウィンスクリュー押出し機で100℃で押出した。組成物15Aを最初に、次いで組成物15B、次いで組成物15Cを押出した。
【0178】
冷却された押出し物をRetsch/Brinkman ZM−100グラインダーで粉にした。粉末を55目/cm(140メッシュ)篩の篩にかけた。対照である組成物15Aは標準的TGIC/ポリエステル組成物である。組成物15Bと15Cは、アルキルトリアルコキシシランを用いるシラン処理の効果を示す比較例である。
【0179】
【表16】

【0180】
塗布されるスチールQパネルは噴霧され、上記実施例のように焼いた。塗布されたパネルについて以下の物理的性質測定値を得た。
【0181】
【表17】

【0182】
対照に対してMEKこすりへの耐性の損失は、比較のシラン処理充填剤は、対照組成物のTGIC含量の幾分かをも置き換えることはできないことを示す。
上記実施例及び開示は例示のためであり、あますところのないものではない。上記実施例及び開示は、当業者に多数の改変や代替を示唆しよう。これらの改変や代替の全ては請求の範囲に含まれるものとする。例えば、本発明のシラン含有粉末塗料組成物の製造は、活性水素化合物とイソシアネートの反応によって製造されるシランについて主に例示されたが、上記式Iの定義内の他のシラン化合物は、容易に製造され、本発明の組成物中で使用されることができることが理解されよう。同様に、請求の範囲内の他のシラン処理充填剤は、上記で例示の方法と類似の方法で製造されることができる。当業者は、請求の範囲に包含される他の均等物が、本明細書記載の特定の実施の形態であることを認識しえよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式I
【化1】

[式中、
は、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Zは、直接的結合又は二価の有機連結基である;Xはm価の有機基又はHである;及びmは1−20の整数である]
を有するシラン又はその加水分解物もしくは縮合物の少なくとも一つと、
(B)ブロックされたポリイソシアネートとポリオールに基づくポリウレタンシステム;エポキシ官能性硬化剤によって硬化した酸官能性ポリマー;無水物/エポキシシステム;エポキシ/ポリオールシステム;ポリエステルシステム;及び、ヒドロキシアルキルアミドと酸官能性ポリマーに基づくシステム;からなる群から選択される少なくとも一つの有機樹脂成分と、
を含有し、
前記シランは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランと、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール;シス−1,2−シクロヘキサンジオール;エステルジオール204;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;エチレングリコール;ポリプロピレングリコール1000;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;2,3−ブタンジオール(メソ型);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びシス−1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるポリオールと、の付加物である、粉末の塗料組成物。
【請求項2】
シランは、式
【化2】

[式中、A及びBは独立にNH又はOである]
を有することを特徴とする請求項1に記載の粉末の塗料組成物。
【請求項3】
式II
【化3】

[式中、
は、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Xはm価の有機基である;mは2−20の整数である;及び、AとBの一つはNHであり、他方はOである]
を有するシランカルバメート又はその加水分解物もしくは縮合物を含有し、
前記シランは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランと、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール;シス−1,2−シクロヘキサンジオール;エステルジオール204;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;エチレングリコール;ポリプロピレングリコール1000;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;2,3−ブタンジオール(メソ型);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びシス−1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるポリオールと、の付加物である、
粉末の塗料組成物。
【請求項4】
式II
【化4】

[式中、
は、炭化水素基又はアシル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Xはm価の有機基である;mは2−6の整数である;及び、AとBの一つはNHであり、他方はOである]
を有するシランカルバメートであって、
前記シランカルバメートは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランと、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール;シス−1,2−シクロヘキサンジオール;エステルジオール204;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;エチレングリコール;ポリプロピレングリコール1000;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;2,3−ブタンジオール(メソ型);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びシス−1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるポリオールと、の付加物であり、かつ
前記シランは、外界温度で固体であり、融点が30℃〜170℃の範囲である、シランカルバメート。
【請求項5】
複数の−OR基及び少なくとも一つのアルキル、エポキシ、ポリエーテル、アミン、ヒドロキシアルキル基を有するシラン、及び
式II
【化5】

[式中、Rは、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Xはm価の有機基である;AとBの一つはNHであり、他方はOである;及び、mは2−20の整数である;]
を有するシラン、及び前記シランの加水分解物又は縮合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物で処理された充填剤又は顔料を有する粉末の塗料組成物であって、
前記シランは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランと、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール;シス−1,2−シクロヘキサンジオール;エステルジオール204;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;エチレングリコール;ポリプロピレングリコール1000;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;2,3−ブタンジオール(メソ型);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びシス−1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるポリオールと、の付加物である、
粉末の塗料組成物。
【請求項6】
前記顔料又は充填剤は二酸化チタンである、請求項5に記載の粉末の塗料組成物。
【請求項7】
式II
【化6】

[式中、
は、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Xはm価の有機基である;AとBの一つはNHであり、他方はOである;及び、mは2−20の整数である]
を有するシランであって、前記シランは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランと、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール;シス−1,2−シクロヘキサンジオール;エステルジオール204;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;エチレングリコール;ポリプロピレングリコール1000;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;2,3−ブタンジオール(メソ型);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びシス−1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるポリオールと、の付加物である、シラン、又は前記シランの加水分解物もしくは縮合物の少なくとも一つで処理された二酸化チタン充填剤。
【請求項8】
は、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、アシル、トリアルキルシリル、アリールアルキルジアルキルシリル、トリアルコキシシリル、ジアルコキシアルキルシリル、又はアルコキシジアルキルシリルであり;Rは、アリール、アルケニル、又はアルキルであり;Rは、C−C12直鎖状、分枝状、又は環状アルキレンであることを特徴とする請求項1または2に記載の粉末の塗料組成物。
【請求項9】
は、直鎖状、分枝状、もしくは環状C−Cアルキル基、又はアセチル基であり;Rは、炭素原子1−4個からなるアルキル基であり;RはC−Cアルキレンであることを特徴とする請求項1または2に記載の粉末の塗料組成物。
【請求項10】
はメチル又はエチルであることを特徴とする請求項1または2に記載の粉末の塗料組成物。
【請求項11】
前記組成物は、ブロックされたポリイソシアネートとポリオールに基づくポリウレタンシステム;エポキシ官能性硬化剤によって硬化した酸官能性ポリマー;無水物/エポキシシステム;エポキシ/ポリオールシステム;ポリエステルシステム;及び、ヒドロキシアルキルアミドと酸官能性ポリマーに基づくシステム;からなる群から選択される有機樹脂成分を含有することを特徴とする請求項3、5及び6のいずれか1項に記載の粉末の塗料組成物。
【請求項12】
前記組成物は、ポリジメチルシロキサンを含有することを特徴とする請求項1〜3及び5〜6のいずれか1項に記載の粉末の塗料組成物。
【請求項13】
前記組成物は、ナイロン、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、又はポリビニルクロリドからなる群から選択される熱可塑性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜3及び5〜6のいずれか1項に記載の粉末の塗料組成物。
【請求項14】
式II
【化7】

[式中、
は、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレンであり、場合によっては、1個以上のエーテル酸素原子によって中断される;aは0又は1である;Xはm価の有機基である;AとBの一つはNHであり、他方はOである;及び、mは2−20の整数である]
のシランであって、前記シランは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランと、2,3−ブタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,7−ヘプタンジオール;1,8−オクタンジオール;ペンタエリトリトール;1,12−ドデカンジオール;1,10−デカンジオール;3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール;1,9−ノナンジオール;ビスフェノールA;水素化ビスフェノールA;1,4−ブタンジオール;1,2−オクタンジオール;1,2−ブタンジオール;1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール;シス−1,2−シクロヘキサンジオール;エステルジオール204;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;エチレングリコール;ポリプロピレングリコール1000;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;2,3−ブタンジオール(メソ型);2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及びシス−1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるポリオールと、の付加物であるシラン、又は前記シランの加水分解物もしくは縮合物で処理された充填剤又は顔料を含む、粉末の塗料組成物。
【請求項15】
式II
【化8】

[式中、
は、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレン、又は1個以上のエーテル酸素原子によって中断されるアルキレン;aは0又は1である;Xはm価の有機基又はHである;mは1−20の整数である;及びAとBはNHである]
を有するシランであって、前記シランは、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(イソシアナトフェニル)メタン、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又はビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなるイソシアナトアルキルアルコキシシランと、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−シクロヘキサン−ビス−メチルアミン、1,4−ジアミノブタン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン又は3−アミノプロピルメチルジエトキシシランからなるポリアミドと、の付加物であるシラン、を含む粉末の塗料組成物。
【請求項16】
式II
【化9】

[式中、
は、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレン、又は1個以上のエーテル酸素原子によって中断されるアルキレン;aは0又は1である;Xはm価の有機基又はHである;mは1−20の整数である;及びAはNH若しくはOであり、BはNHである]
を有するシランであって、前記シランは、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(イソシアナトフェニル)メタン、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又はビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなるポリイソシアネートと、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−シクロヘキサン−ビス−メチルアミン、1,4−ジアミノブタン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン又は3−アミノプロピルメチルジエトキシシランからなるアルコキシシリルアルカノールあるいはアルコキシシリルアルキルアミンと、の付加物であるシラン、を含む粉末の塗料組成物。
【請求項17】
式II
【化10】

[式中、
は、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレン、又は1個以上のエーテル酸素原子によって中断されるアルキレン;aは0又は1である;Xはm価の有機基又はHである;mは1−20の整数である;及びAとBはNHである]
を有するシラン化合物であって、前記シランは、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(イソシアナトフェニル)メタン、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又はビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなるイソシアナトアルキルアルコキシシランと、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−シクロヘキサン−ビス−メチルアミン、1,4−ジアミノブタン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン又は3−アミノプロピルメチルジエトキシシランからなるポリアミドと、の付加物であるシラン化合物。
【請求項18】
式II
【化11】

[式中、
は、炭化水素基、アシル基、アルキルシリル基、もしくはアルコキシシリル基である;Rは、一価の炭化水素基である;Rはアルキレン、又は1個以上のエーテル酸素原子によって中断されるアルキレン;aは0又は1である;Xはm価の有機基又はHである;mは1−20の整数である;及びA及びBはNHである]
を有するシラン化合物であって、前記シランは、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(イソシアナトフェニル)メタン、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又はビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなるポリイソシアネートと、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−シクロヘキサン−ビス−メチルアミン、1,4−ジアミノブタン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン又は3−アミノプロピルメチルジエトキシシランからなるアルコキシシリルアルキルアミンと、の付加物であるシラン化合物。

【公開番号】特開2009−68017(P2009−68017A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284753(P2008−284753)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【分割の表示】特願平11−554286の分割
【原出願日】平成11年4月21日(1999.4.21)
【出願人】(508330087)ゼネラル エレクトリック カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】General Electric Company
【Fターム(参考)】