説明

シラン及びそれらの誘導体を生産するためのプラズマ法

発明は、一般に、式Sixy,ここでx及びyは≧1の整数である、を有する、シランのような、一またはそれ以上の分子を生成するための方法に関連し、方法は、シリコン含有材料を供する工程、シリコン含有材料はシリコン含有材料の総重量を基準として少なくとも20重量パーセントのシリコン原子を含む;シリコン原子を気化可能か、シリコン原子をスパッタリング可能か、あるいはその両者が可能なプラズマを、プラズマ発生装置を用いて発生させる工程;雰囲気中の原子の総モル数を基準にして少なくとも約0.5モルパーセントの水素原子を含む雰囲気を持つチャンバー内でシリコン含有材料にプラズマを接触させる工程;を含み、それにより、式Sixy(例えばシラン)が生成される。方法は、清浄なSixy(例えばシラン)を形成するため、Sixy(例えばシラン)から一またはそれ以上の不純物を除去する工程を好ましくは含む。方法は、電子機器グレード金属シリコン、光起電グレード金属シリコンあるいはその双方のような高純度シリコン含有材料を生成するため、Sixy(例えばシラン)を反応させる工程を含んでいても良い。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
優先権主張
この出願は、参照することによりここにその全てが組み入れられる、2008年8月6日に提出したNo.61/086,546の米国仮出願の出願日の利益を主張する。
【0002】
連邦政府後援の研究又は開発に関する陳述
発明は、米国立科学財団賞No.IIP−0740871及び米国エネルギー省契約No.DE−FG36−08GO18009のもとで米国政府支援を受けて作られた。政府は、発明に対してある一定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本発明は、シラン生産のための改良された方法と、シラン生産のための改良された方法を用いる、光起電グレードシリコンあるいは電子機器グレードシリコンのような、高純度のシリコン含有材料の形成方法と関連する。
【0004】
発明の背景
エネルギー独立性は、地球温暖化に由来する予想された気候変化と、輸入された炭化水素加工エネルギー源への絶えず増加する依存との双方により、現代、優先的に推進されている。再生可能で、きれいで、豊富なエネルギー源の必要性は、リストの上位である、太陽エネルギーなど、特にシリコン太陽電池(PVs)から明白である。シリコンPVsのより迅速な採用を妨げる要因は、部分的には、単結晶または多結晶のウエハを製造するために使用される光起電グレードシリコン(すなわち、“Sipv”)の制限された供給による、それらの現在の高いコストでの運転である。
【0005】
シリコンは、地球の表面において2番目に最も豊富な元素であるにも拘らず、その製造に現在用いられているのが、エネルギー集約的で、複雑で、かつ高価な方法であるため、PVセルを作るのに必要とされる高純度シリコンは高価である。必要とされる大きな資本費用は、Sipvの生産を増産するのに長年かかることを意味する。2006年に、Sipvの需要は、体積で、半導体もしくは電子機器のグレードシリコン(すなわち、“Sieg”)の需要をはじめて超えた。Sipvを製造している少数の会社は、現在、増大する顧客の要求を満たすことができず、それにより太陽エネルギーの急速な成長の可能性が減じられる。
【0006】
多数のSipv及びSiegの製造業者は、シーメンス(Siemens)Si精製法(すなわち、ケイ石精製法)及びそれらを修正した方法として知られているものを頼みにする。この方法は、金属冶金グレードSi(すなわち、“Simg”)を生産するため、ケイ石及び炭素源から開始する多数の工程を含む。Simgは、SiegまたはSipvを生産するために数種の高エネルギー工程がその後に施される、腐食性で、毒性で、かつ潜在的に汚染性のクロロシランを生産するため、さらに処理される。
【0007】
プラズマは、様々な材料を生産するため、様々な材料の表面を調整するため、そして様々な試験法用に使用されている。これらの例は、1)F.Kail,A.Fontcuberta I Morral,A. Hadjadj,P.Roca I Cbarrocas,and A.Beorchia,“Hydrogen-plasma etching of hydrogenated amorphous silicon): a study by a combination of spectroscopic ellipsometry and trap-limited diffusion model”, Phil. Mag., Vol. 84, No. 6, 595-609, 21 February, 2004; 2) Q. Wang, C. Z. Gu, J. J. Li, Z. L. Wang, C. Y. Shi, P. Xu, K. Zhu, and Y. L. Liu, “Enhanced photoluminescence from porous silicon by hydrogen-plasma etching”, J. App. Phys., 97, 093501, 2005; 3) M. Dhamrin, N.H. Ghazali, M.S. Jeon, T. Saitoh, and K. Kamisako, “Hydrogen Plasma Etching Technique for Mono- and Multi-crystalline Silicon Wafers”, 2006 IEEE World Conference on Photovoltaic Energy Conversion, Waikoloa, HA, May 2006; 及び4) S. K. Singh, B. C. Mohanty, and S. Basu, “Synthesis of SiC from rice husk in a plasma reactor”, Bull. Mater. Sci. Vol 25, No. 6, pp 561-563, November, 2002;に記述され、これらの全ては参照することによってここに組み入れられる。
【0008】
それにもかかわらず、光起電グレードシリコン金属及び電子機器グレードシリコン金属のような高純度シリコン材料と、それらの前駆体を生産するための代替方法用の技術の必要性は残る。例えば、高純度シリコン金属を生産するための方法、その方法は、より単純で(例えば、より少数の加熱工程のようなより少数の工程を必要とする、比較的速い一つあるいはそれ以上の工程を使用する;比較的低い処理温度を使用する、あるいはそれらのあらゆる組み合わせ)、より環境に配慮し、よりエネルギー効率の良い(例えば、少なくとも20%エネルギー効率がより良い)、あるいはそれらのあらゆる組み合わせとして特徴付けられている、そのような方法の必要性がある。
【0009】
発明の要旨
発明の一つの態様は、式Sixy,ここでx及びyは≧1の整数である(例えばシラン)、を有する分子を生成するのための方法であり、シリコン含有材料を供する工程、そこにおいてシリコン含有材料はシリコン含有材料の総重量を基準にして少なくとも20重量パーセントシリコン原子を含む;シリコン原子を気化可能か、シリコン原子をスパッタリング可能か、あるいはその両者が可能なプラズマを、プラズマ発生装置を用いて発生させる工程;雰囲気中の原子の総モル数を基準にして少なくとも約0.5モルパーセントの水素原子を含む雰囲気を持つチャンバー中でシリコン含有材料にプラズマを接触させる工程を含み、これにより、式Sixyを有する分子が生じる。式Sixyを有する分子は、シラン(例えばSiH4)を好ましくは含む。方法は、清浄なSixy(例えば、清浄なシラン)を形成するため、例えば、Sixy分子が少なくとも一つの他のガスから分離されるようにSixy分子を凝縮することによるか、少なくとも一つの他のガスがSixy分子から分離されるようにSixy分子を凝縮することによるか、あるいはその両者によって、一つあるいはそれ以上の不純物からSixy(例えばSiH4)を分離する工程を好ましくは含む。
【0010】
発明の他の態様は、高純度シリコンを生産するための方法であって、非晶質シリカ、炭素及び不純物を有する農業廃棄物を供する工程と;農業廃棄物から不純物の量を抽出する工程と;シリカに対する炭素の比を変更し、それにより約2:1から約10:1の範囲にあるシリカに対する炭素の比を有する清浄な農業廃棄物(AWPcl)を形成する工程と;光起電性シリコンを形成するためにシリカを減少させる工程とを含み;減少工程において、シランを形成するため、AWPclは水素プラズマにさらされる。
【0011】
さらに、発明の他の態様は、式Sixy,ここでx及びyは≧1の整数である(例えばシラン)、を有する分子を生成するのための方法であり、シリコン含有材料を供する工程と、そこにおいてシリコン含有材料は金属シリコン又は農業廃棄物を含み;式Sixyを有する分子(例えば、シラン)を生じさせるため、水素プラズマを含むプラズマをシリコン含有材料に接触させる工程とを含み;そこにおいて、プラズマはシリコン原子を気化可能か、シリコン原子をスパッタリング可能か、あるいはその両者が可能である。
【0012】
発明のさらなる態様は、高純度シリコンを生産するための方法であって、非晶質シリカ、炭素及び不純物を有する農業廃棄物を供する工程と;農業廃棄物から不純物の量を抽出する工程と;シリカに対する炭素の比を変更し、それにより約2:1から約10:1の範囲にあるシリカに対する炭素の比を有する清浄な農業廃棄物(AWPcl)を形成する工程と;光起電性シリコンを形成するためにシリカを減少させる工程とを含み;減少工程において、シランを形成するため、AWPclは水素プラズマにさらされる。
【0013】
これらのプラズマ法は、簡単で、より少ない資本を必要とし、より少ないエネルギーを必要とし、より少ない廃棄物を生じさせ、あるいはそれらのあらゆる組み合わせからなる方法を用いてシランガスを発生させるために有利に使用されても良い。発明は、水素原子を含むプラズマが、シラン含有材料からシランを生じさせるために使用しても良いという予期せぬ発見に部分的に基づいている。水素プラズマを含むプラズマを用いたシランの発生は、著しく有効であり、幅広い種類のシリコン含有材料と、幅広い範囲のプラズマ用水素含有ガスと、幅広い範囲のプラズマ発生用装置とを使用しても良いということが、驚くことに見出された。
【0014】
発明の詳細な説明
定義
ここで使用するとき、別な方法で定義されていない限り、次の用語は下記に列挙された定義を有する。
【0015】
Simgは、約98重量パーセントよりも大きなシリコン濃度(例えば、約98重量パーセントから約99.9重量パーセント)を有する冶金グレードシリコンを意味する。向上されたSimgは、約99.9重量パーセントよりも大きなシリコン濃度(例えば、約99.9重量パーセントから約99.999重量パーセント)を有する、向上された冶金グレードシリコンを意味する。Sipvは、約99.999重量パーセントよりも大きなシリコン濃度(例えば、約99.999重量パーセントから約99.99999重量パーセント)を有する光起電グレードシリコンを意味する。Siegは、約99.99999重量パーセントよりも大きなシリコン濃度(例えば、約99.9999999重量パーセント)を有する電子機器グレードシリコンを意味する。高純度シリコンは、約98重量パーセントより大きく、約99.9重量パーセントよりも好ましくは大きく、約99.99重量パーセントよりもさらに好ましくは大きく、約99.999重量パーセントよりもさらに一層好ましくは大きく、約99.9999重量パーセントよりも最も好ましいシリコン濃度を有するシリコンである。高純度シランは、約98重量パーセントより大きく、約99.9重量パーセントよりも好ましくは大きく、約99.99重量パーセントよりもさらに好ましくは大きく、約99.999重量パーセントよりもさらに一層好ましくは大きく、最も好ましくは約99.9999重量パーセントよりも大きいSiH4濃度を有するシランである。
【0016】
発明は、様々な態様において、一般式Sixy,ここでx及びyは≧1の整数である(例えばシラン)、を有する一分子又は複数分子のような高純度シリコン材料と、それらから誘導され得る材料(例えば、光起電グレードシリコン、電子機器グレードシリコン、あるいはその両方)を製造するための改良された方法の必要性を扱う。使用されたガス及びシリコン含有材料によっては、方法は一またはそれ以上の反応物を分離する様々な工程を含んでいても良い。
【0017】
図1に説明されるように、方法は、金属シリコン11のようなシリコン源か、もみ殻のような農業廃棄物12か、あるいはそれらの組み合わせを提供する工程を含んでいても良い。農業廃棄物が使用される場合、方法は、農業廃棄物製品から不純物13を除去する一もしくはそれ以上の工程を含んでいても良い。シリコン含有材料は、その後、プラズマ14にさらされ、不純物シラン15(すなわち、プラズマからの残留ガス分子か、シリコン含有材料がプラズマにさらされるチャンバー中に存在する他のガス分子か、他の反応物か、あるいはそれらのあらゆる組み合わせのような、シランと他の化合物との混合物)が生成する。方法は、シランから不純物16(すなわち、他の化合物)を除去する一又はそれ以上の工程を含んでいても良く、それにより、清浄なシラン17(すなわち、不純物シランに比してより高い濃度のシランを有する、シラン含有液体もしくは気体;清浄なシランは高純度シランであって良い)が得られ得る。任意的に、方法は、シランを、電子機器グレード又は光起電グレードのシリコンのような高純度シリコン金属18に変換する工程を含んでいても良い。任意的に、方法は、シルセスキオキサン又はそれらの誘導体のようなシリコン含有化合物にシランを変換する工程を含んでいても良い。
【0018】
シリコン含有材料
発明の様々な態様は、そこから高純度製品が生産されるシリコン含有材料を使用することができる。シリコン含有材料は、有意な量のシリコン原子を含むあらゆる材料であって良い。シリコン含有材料中のシリコン原子の濃度は、シリコン含有材料中の総原子数を基準にし、好ましくは約10モルパーセントより大きく、より好ましくは約20モルパーセント大きく、さらに好ましくは約40モルパーセント大きく、最も好ましくは約60モルパーセント大きい。
【0019】
シリコン含有材料中のシリコンは、シリコン金属か、シリコンを含むあらゆる化学的な化合物か、あるいはその両方として提供され得る。無制限に、本発明で使用され得る典型的なシリコン含有材料は、シリカ(すなわち、SiO2)、シリコン金属、シリコン原子を含む金属合金(好ましくは、少なくとも20重量パーセントのシリコン原子か、少なくとも20モルパーセントのシリコン原子か、あるいはその両方を含む)、珪酸塩、炭化珪素、シリコンポリマー等か、あるいはそれらのあらゆる組み合わせを含む材料を含む。シリコン含有材料の例は、石英と、シリカと、砂と、もみ殻のような様々な農業廃棄物とを含む。シリコン金属は、一般に、少なくとも90重量パーセントのシリコン、より好ましくは少なくとも95重量パーセントのシリコン、最も好ましくは少なくとも98重量パーセントのシリコンを含む。しかしながら、低濃度のシリコン原子を含むシリコン金属も使用され得る。シリコンを含む金属合金は、少なくとも約50モルパーセントシリコン原子を有し、好ましくは少なくとも約70モルパーセントシリコン原子を有し、さらに好ましくは少なくとも約90モルパーセントシリコン原子を有し、さらに一層好ましくは少なくとも約95モルパーセントシリコン原子を有し、最も好ましくは少なくとも約99モルパーセントシリコン原子を有する。
【0020】
比較的高純度シリコン(例えば、99.9重量パーセントよりも多いシリコンを含む)が本発明において使用されて良いにも拘らず、比較的純度の低いシリコン(例えば、99.9重量パーセント未満のシリコンを含み、好ましくは約99.5重量パーセント未満のシリコンを含み、最も好ましくは約99重量パーセント未満のシリコンを含む)で開始した場合に効果がより明らかである。
【0021】
トウモロコシの苞葉及びもみ殻のような、実質的な量のシリカを含む様々な農業材料も使用され得る。これらの材料中のシリカ濃度は、これらの材料を焼くもしくはコークス化することにより増加され得る。従ってそのように、シリコン含有材料が、未処理の農業廃棄物(トウモロコシの苞葉及びもみ殻のような)か、シリカを含む未処理の農業廃棄物を焼いた灰(例えば、トウモロコシの苞葉の灰及びもみ殻の灰)か、シリカを含む他の未処理の農業廃棄物をコークスにした生成物(例えば、トウモロコシの苞葉をコークスにしたもの及びもみ殻をコークスにしたもの)を含んでも良いことを企図している。使用され得る農業廃棄物の例は、参照することによりここに組み入れられる、2009年8月6日に出願されたPCT特許出願No.PCT/US09/52965(代理人事件番号1392−002WO、名称“高純度シリコン及びそれらの誘導体への低コストルート”Laine,Marchal,McColm及びKrugによる)に記載されたものを包含するものが使用されて良いことを企図している。そのような材料は、非晶質シリカ、炭素及び不純物を一般的に含む。農業廃棄物製品は、もみ殻の灰か、または、参照することによりここに組み入れられる、2009年8月6日に出願されたPCT特許出願No.PCT/US09/52965(代理人事件番号1392−002WO、名称“高純度シリコン及びそれらの誘導体への低コストルート”Laine,Marchal,McColm及びKrugによる)に記載された、不純物除去の一もしくはそれ以上の工程;シリカを抽出(例えば部分的な抽出)する一もしくはそれ以上の工程;沸騰水中で洗浄する一もしくはそれ以上の工程;シリカ、清浄な炭素、結着剤またはそれらのあらゆる組み合わせと結合する一もしくはそれ以上の工程;材料を圧縮する一もしくはそれ以上の工程;あるいはそれらのあらゆる組み合わせのような、一もしくはそれ以上の工程を経た他の農業廃棄物製品の灰であっても良い。もみ殻の灰のような農業廃棄物製品が使用される場合、x及びyは≧1の整数であるSixy化合物(例えばシラン)に加え、炭化水素のような炭素含有化合物(例えばメタン)か、メチルシラン(例えばCSiH6)あるいは両者が生成しても良いことが正しく認識されるであろう。例えば、方法は、農業廃棄物製品を酸洗浄(例えば、約3から約36重量パーセントの酸を含む酸水溶液を使用する)し、それにより農業廃棄物製品中の金属不純物を含む不純物が減少したり、消失したりするような農業廃棄物製品中の不純物濃度を少なくする工程;水酸化アンモニウムを含む溶液を用いて農業廃棄物製品からシリカを部分的に抽出する工程(例えば、約100m2/gよりも大きなBET比表面積を有する多孔質材料のような清浄な農業廃棄物製品を生じさせる)を用い、シリカに対する炭素の比を変化させる工程;沸騰水中で農業廃棄物製品を洗浄する工程;農業廃棄物製品を圧縮する工程(例えば、それによりかさ密度は約0.9g/cm3よりも大きい);あるいはそれらのあらゆる組み合わせ;を含んでいても良い。プラズマにさらされた時、農業廃棄物製品中のシリカが減少しても良い(例えばシランガスを生産する)。もし使用される場合、シリカに対する炭素の比としての農業廃棄物製品は、好ましくは約0.2:1よりも大きく、より好ましくは0:5:1よりも大きく、そして最も好ましくは2:1よりも大きいことである。適切な農業廃棄物製品は、高濃度のシリコンを好ましくは含む。そういうものであるから、農業廃棄物製品中のシリカに対する炭素の比は、好ましくは約10:1未満で、より好ましくは約5:1未満で、最も好ましくは約3:1未満である。
【0022】
シリコン含有材料に対するプラズマの接触
方法は、プラズマ(水素プラズマ、不活性ガスプラズマあるいは両者を含むプラズマのような)をシリコン含有材料に接触させ、それにより化学的構造Sixy,ここでx及びyは≧1の整数である、を有する分子を生じさせる工程を含む。Sixy分子の生成は、シリカ含有材料からシリコン原子を除去する第1の工程と、少なくとも水素一原子か、少なくとも水素一分子か、少なくとも一水素イオンか、あるいはそれらのあらゆる組み合わせに珪素原子を接触させ、それによりSixy分子が生成する第2の工程とを含む反応で起こると考えて良い。しかしながら、他のメカニズムでも良いし、発明の範囲内である。
【0023】
理論と結びつけることなしに、シリコン含有材料(例えばシリコン含有材料の表面から)からシリコン原子を除去する工程は、シリコン原子をスパッタリングする工程か、シリコン原子を気化する工程か、あるいはその両方を含むことが確信される。プラズマは、十分なエネルギー(運動エネルギー、位置エネルギー、熱エネルギー、化学エネルギーあるいはその他のもの)を有する少なくとも一成分(例えば少なくとも一イオン)を好ましくは含むので、シリコン含有材料からシリコン原子の除去を達成し得る。除去されたシリコン原子は、好ましくは、シリコンイオンか、単原子シリコンガスか、あるいはその双方の形態である。
【0024】
もし使用される場合、シリコン原子をスパッタリングする工程は、イオンでシリコン原子をスパッタリングする工程を含んでいても良い。スパッタリングに使用されるイオンは、一般的に、シリコン原子のスパッタリングを達成するのに十分な運動エネルギーを有する。プラズマにおいて、より高い質量を持つイオンがより高い運動エネルギーを一般的に持つであろうことは、正しく認識されるであろう。従ってそのようなことで、シリコン原子をスパッタリングするのに使用されるいくらか又は全てのイオンでも、約9原子質量単位よりも大きな原子質量を好ましくは有する。
【0025】
プラズマ発生装置
上述の反応用のプラズマは、水素プラズマを含むプラズマを生じることが可能なあらゆるプラズマ発生装置(例えば、気体、液体もしくは固体をプラズマに変換する)を用いて生成されることができ、そしてシリコン含有材料からシリコン原子を除去するのに十分なエネルギーを有する水素含有プラズマを、好ましくは生成させることが可能である。制限なしに、プラズマ発生装置は、誘導結合プラズマ装置(例えば、マグネトロンプラズマ、誘導結合プラズマトーチ、ソレノイドコイルプラズマ装置、プレーナーコイルプラズマ装置、螺旋状共振器、あるいはそれらの組み合わせ)、容量結合プラズマ装置(例えば、単周波容量結合プラズマ又は二周波容量結合プラズマ)、無電極プラズマ励起装置(例えば、マイクロ波プラズマ装置、誘電体バリア放電装置、あるいはレーザ)、あるいはそれらのあらゆる組み合わせのような、RFプラズマ装置であって良い。使用しても良い他のプラズマ発生装置は、熱的なアーク装置、非熱的なアーク装置、静磁気放電装置、静電放電装置あるいはそれらのあらゆる組み合わせのような、直流(DC)プラズマ装置を含む。プラズマ発生装置は、RFプラズマ発生装置とDCプラズマ発生装置の双方を含んでいても良い。例えば、プラズマ発生装置は、第2の(すなわち、主な)プラズマ発生装置(例えば、DC熱的アーク装置)を起動するための先導として作用する第1のRFプラズマ装置を含んでいても良い。他のプラズマ発生装置も使用され得ることは、正しく認識されるであろう。特に好ましいプラズマ発生装置は、プラズマトーチを含むものである。
【0026】
図2は、シラン20を生成するための方法で使用され得る様々な工程を説明する。方法は、水素原子を含むガス(すなわち、水素含有ガス)をプラズマ発生装置22に供給する工程21を含む。以下にさらに記載するように、ガスは、一もしくはそれ以上の他の原子(例えば、アルゴンのような不活性ガスの原子か、メタンのような水素を含む多原子ガスの原子)を付加的に含んでいても良い。使用され得る典型的なプラズマ発生装置は、プラズマトーチ22’と、マグネトロンプラズマ装置22’’と、誘電体バリア放電装置22’’’と、ヘリコンプラズマ装置22’’’’とを含む。プラズマ発生装置は、プラズマ23がチャンバー内に位置したシリコン含有材料24の表面に誘導されることを可能にするため、チャンバー25内にあっても良く、あるいはチャンバーへの流体接続を有していても良い。上述したように、プラズマはシランを生成するためにシリコン含有材料と反応する。シリコン含有材料の化学的性質とガスによっては、一又はそれ以上の付加的な製品が生成するかもしれない。例えば、シリコン含有材料がシリカを含む場合、方法は付加的に水を生成するかもしれない。従ってそれゆえに、方法は、水26のような他のガスを凝縮し、それによりそれがガスの流れから除去され得る一もしくはそれ以上の工程を任意に含み得る。方法は、比較的純粋な液体を生成するために、シラン27を凝縮する工程を一般に含むであろう。方法は、残留水素含有ガスを再循環及び/または回収する一又はそれ以上の工程28を任意的に含んでいても良い。
【0027】
発明の一つの態様において、プラズマ発生装置は、図3Aに説明される装置のようなマグネトロンプラズマ発生装置を含んでいても良い。マグネトロンプラズマ装置30は、チャンバー内に位置し、一つ、二つあるいはそれ以上の隔離絶縁体35により分離された、アノード31及びカソード32を含んでいても良い。マグネトロンプラズマ装置は、軸方向の磁場を生成し、一般的に平行であって良く、かつアノードとカソードの間に位置する磁気リング34を含む。シリコン含有材料33は、アノードとカソードの間(例えば、磁気リングとアノードの間)に位置していても良い。チャンバーは、ここにプラズマ投入ガスとして記載された水素原子含有ガスのような、酸素、窒素または両者が実質的にないガスで満たされていても良い。電位はアノードとカソードに加えられ、それによりプラズマが形成され、シリコン含有材料の表面に導かれる。
【0028】
プラズマガス
方法は、水素含有ガスのようなプラズマ投入ガスを供給する(例えば、プラズマ発生装置に、プラズマ発生装置を含むチャンバーに、あるいはその両方に)工程を含んでいても良い。先に記載したように、方法は、水素原子を含み得るガスからプラズマを形成する工程を含む。もし使用される場合、水素含有ガスは、ガス中の原子の総モル数に基づき、好ましくは0.5モルパーセントより多く、より好ましくは約1モルパーセントより多く、さらに好ましくは約1.5モル%より多い水素原子、さらに好ましくは約2モル%より多い水素原子、最も好ましくは2.5モルパーセントより多い濃度で水素原子を含む。制限なしで、水素含有ガスは、分子の水素、一またはそれ以上の炭化水素(例えば、1〜20の炭素原子を有するか、約20℃未満の沸点を有するか、あるいは両者を有する一又はそれ以上の炭化水素)、あるいはそれらのあらゆる組み合わせを含んでいても良い。使用され得る(分子の水素に加えてか、あるいは代用として)典型的な炭化水素は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、スチレン、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ベンゼン、メチルスチレン、キシレン、あるいはそれらのあらゆる組み合わせを含む。
【0029】
発明の一つの態様において、プラズマ投入ガスは、水素分子を含むか、水素分子から実質的になるか、あるいは水素分子から完全になる。例えば、水素含有ガスは、好ましくは少なくとも約90モルパーセントの水素原子、より好ましくは少なくとも約95モルパーセントの水素原子、さらに好ましくは少なくとも約98モルパーセントの水素原子、最も好ましくは少なくとも約99モルパーセントの水素原子を含む。
【0030】
プラズマ投入ガスは、一つあるいはそれ以上の不活性ガスを含むか、あるいは本質的になっていても良い。もし使用する場合、不活性ガスの濃度は、プラズマ投入ガス中の原子の総濃度を基準にし、少なくとも約0.01モルパーセント、好ましくは少なくとも約0.1モルパーセント、より好ましくは少なくとも約0.5モルパーセント、もっとも好ましくは少なくとも約1モルパーセントであって良い。シリコン含有材料からシリコン原子の除去を達成し得るあらゆる不活性ガスを使用しても良い。制限なしに、不活性ガス分子は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンあるいはそれらのあらゆる組み合わせを好ましくは含む。プラズマ投入ガスは、分子の水素と、一またはそれ以上の不活性ガスとの双方を含んでいても良い。分子の水素と不活性ガスとの総濃度(原子のモルパーセント)は、約90モルパーセントよりも大きく、より好ましくは約95モルパーセントより大きく、さらに好ましくは約99モルパーセントより大きく、最も好ましくは約99.9モルパーセントより大きい。例えば、プラズマ投入ガスは、分子の水素と、一またはそれ以上の不活性ガスとから本質的になる水素含有ガスであっても良い。
【0031】
プラズマ投入ガスは、水素(例えば、H2(g),H(g),H+(g))と反応し得る他の分子、酸素、窒素あるいはそれらのあらゆる組み合わせが、好ましくは、実質的にないか(例えば、分子基準で、5モルパーセント未満、1モルパーセント未満、あるいは0.1モルパーセント未満含む)、あるいは全くない。
【0032】
プラズマ投入ガスは、水素原子を好ましくは含む。プラズマ投入ガスが水素原子を含まない場合、方法は、チャンバーに水素原子を投入する手段(例えば、以下に記載するようなバックグラウンド投入ガスを用いる)を一般的に含むものである。
【0033】
方法は、チャンバーにバックグラウンド投入ガスを投入する工程をも含んでいても良く、それによりバックグラウンド投入ガスはプラズマ発生装置に直接供給されず、また、プラズマ発生装置を通して供給されることもない。プラズマ投入ガスとしてここに記載されたあらゆるガスは、バックグラウンド投入ガスにも使用され得る。
【0034】
説明の目的のため、バックグラウンドの使用例は、次に記載される。方法は、プラズマ投入ガスが本質的に不活性ガスからなる場合にプラズマトーチに直接供給されるプラズマ投入ガスと、シリコン含有材料を含むチャンバー内に直接存在する、トーチからのプラズマとを含んでいて良い。この例では、方法は、チャンバーにバックグラウンド投入ガス(例えば、入口を通して)を付加的に供給する工程を含んでいても良い。ここで、バックグラウンドガスは、一又はそれ以上の水素含有分子を含んでいても、あるいは一又はそれ以上の水素含有分子から完全になっていても良く、それにより、チャンバー中の雰囲気は、水素原子(例えば、少なくとも0.5モルパーセントの水素原子)を含むことができる。従ってそれゆえに、プラズマは不活性ガスを主として含んでいても良い。しかしながら、水素含有分子のいくらかがプラズマと相互に作用することができ、それによりプラズマが水素プラズマを含むであろうことは、正しく認識されるものである。
【0035】
圧力
プラズマ発生装置は、シラン分子が生成し得るあらゆる圧力(すなわち、絶対圧力)で作動され得る。好ましくは、プラズマ発生装置は、比較的高い圧力で作動され、それによりシランを生成するために比較的高濃度の水素原子がシリコンガスとの接触用として存在する。圧力が非常に高いとき、プラズマは、シリコン含有材料と接触することができる前に、バックグラウンド分子と相互に作用しても良い。従ってそれゆえに、方法のための最適な圧力(例えば、最大比率のシラン生成をもたらす圧力)か、方法が好ましい比率でシランガスを生成することのできる圧力範囲があり得る。最適な圧力、圧力範囲、あるいはその両者は、プラズマ発生方法、操作条件、水素含有ガスの組成、シリコン含有材料とプラズマ発生装置との距離等に依存し得る。シラン生成のためにシリコン含有材料に水素プラズマを含むプラズマを接触させる工程は、約0.001kPaよりも大きく、より好ましくは約0.2kPaよりも大きく、さらに好ましくは約10kPaよりも大きく、さらに好ましくは約50kPaよりも大きく、さらに一層好ましくは約100kPaよりも大きく、最も好ましくは約150kPaよりも大きな絶対圧力で好ましくは生じる。シラン生成のためにシリコン含有材料に水素プラズマを含むプラズマを接触させる工程は、好ましくは約10MPa未満で、より好ましくは約6MPa未満で、最も好ましくは約3MPa未満の絶対圧力で生じる。より高い圧力も使用され得る。
【0036】
雰囲気
シラン含有材料(例えばSixyが生成する場合)を含むチャンバー内の雰囲気は、好ましくは、制御された雰囲気である。例えば、チャンバーは、約20重量パーセント未満の酸素、好ましくは約10重量パーセント未満の酸素、最も好ましくは約8重量パーセント未満の酸素を有する雰囲気を含んでいて良い。
【0037】
シリコン含有材料がプラズマと接する(例えばシラン生成のため)チャンバーは、比較的低濃度の窒素ガスを含む雰囲気を好ましくは有する。例えば、チャンバー内の窒素濃度は、チャンバー内のガスの総重量を基準にし、好ましくは約60重量パーセント未満、より好ましくは約30重量パーセント未満である。
【0038】
チャンバー内の雰囲気は、不活性ガスを好ましくは含む。不活性ガスは、もし存在する場合、チャンバーの雰囲気の原子の総モル数を基準にし、約0.01モルパーセントより多い濃度、より好ましくは約0.1モルパーセントより多い濃度、最も好ましくは約0.3モルパーセントより多い濃度を有していても良い。
【0039】
チャンバー内の雰囲気は、水素原子を含む一又はそれ以上の分子を好ましくは含む。水素原子は、もし存在する場合、チャンバーの雰囲気の原子の総モル数を基準にし、約1モルパーセントより多い濃度、より好ましくは約0.1モルパーセントより多い濃度、最も好ましくは約5モルパーセントより多い濃度を有していても良い。
【0040】
チャンバー内の雰囲気は、約0.001kPaよりも大きな(好ましくは約0.2kPaよりも大きい、より好ましくは約10kPaよりも大きい、さらに好ましくは約50kPaよりも大きい、さらに一層好ましくは約100kPよりも大きい、最も好ましくは約150kPaよりも大きい)分圧(すなわち、絶対分圧)を有する分子水素を含んでいても良い。チャンバーは、約10MPa未満(好ましくは約6MPa未満で、より好ましくは約3MPa未満)の分子水素の分圧を有する雰囲気を含んでいても良い。
【0041】
プラズマ発生装置とシラン生成方法は、広い範囲のチャンバー温度で操作され得る。チャンバー温度は、約−200℃よりも高く、より好ましくは0℃より高く、最も好ましくは約20℃よりも高いものである。チャンバー温度は、好ましくは約1200℃未満で、より好ましくは約1000℃未満で、最も好ましくは約600℃未満である。
【0042】
ここに開示された方法は、好ましくは99重量パーセントより大きく、より好ましくは約99.9重量パーセントより大きく、さらに好ましくは約99.99重量パーセントより大きく、最も好ましくは約99.999重量パーセントより大きい純度を有するシランのような清浄なシランを生成するために使用されて良い。
【0043】
前述のように、方法は、シランガスを高純度シリコン(例えば、約99.9重量パーセントよりも大きな、好ましくは約99.99重量パーセントよりも大きな、さらに好ましくは約99.999重量パーセントよりも大きな、より好ましくは約99.9999重量パーセントよりも大きな、最も好ましくは約99.99999重量パーセントよりも大きなシリコン原子の濃度を有するシリコン)に変換する工程をさらに含んでいても良い。高純度シリコンは、非晶質、結晶質(例えば、単結晶又は多結晶)、あるいはその両者であっても良い。
【0044】
図4に示すように、方法は、シリコン含有材料からのシリコン原子45を、不活性ガス(たとえばアルゴンイオン)及び水素原子を含むプラズマ44でスパッタリングする工程を含んでいても良い。理論にとらわれることなく、不活性ガスはシリコン含有材料中のシリコン原子と接触し得、エネルギーをシリコン原子に運び、それが固体から除かれたもの39を生じさせ、それにより除かれたシリコンは気体状態になる(すなわち、Si(g))45’。方法は、シラン48を形成するため、水素(例えば、単原子水素46、水素分子47あるいはその両方)とシリコンガスを接触させる工程42をさらに含んでいても良いことが確信される。接触工程は、一又はそれ以上のシリコン原子(例えば一つのシリコン原子)と一又はそれ以上(例えば2)の水素原子とからなる一またはそれ以上の分子を形成するためにシリコンガスを反応させる工程のような一もしくはそれ以上の中間工程を含んでいても良い。方法は、系の他の化合物(例えば他の気体から)からシラン43を凝縮49あるいはその他の分離をする方法も含んでいても良い。
【0045】
図5に示すように、方法は、水素原子源(例えば、H2のような、水素原子を含むガス)を含むもののようなプラズマ投入ガスをプラズマトーチ22’に供給する工程21を含んでいても良い。水素原子源をプラズマトーチに供給するのに加え、方法は、シリコン含有材料の粒子のようなシリコン原子源をプラズマトーチ(図示しない)に供給することを任意に含んでいても良く、プラズマトーチは、粉末を輸送することの可能な当業者に知られているあらゆるプラズマトーチであって良い。図5に示すように、プラズマトーチは、単原子水素46及び水素分子47を含むプラズマ44’を発生させるための、ニつ又はそれ以上の電極51を有していても良い。方法は、シリコン含有材料からシリコン原子39を除去する(例えば、シリコンの気化によって)工程を含んでいても良い。気化の工程は、最初に水素分子57を形成するために二つの水素原子を結合し(例えば、400kJ/moleを超える熱エネルギーを放出する工程)、その後、水素分子からシリコン原子45に熱エネルギー(例えば、二つの水素原子の再結合の工程からの熱エネルギー)を伝達することにより、達成されても良い。伝達されたエネルギーは、シリコン原子に気化を生じさせ得、それによりそれはSi(g)45’である。理論にとらわれることなしに、発明のこの態様は、次に示す工程;励起されたSiH2分子53を形成するために、Si(g)を水素分子47と反応させる工程52;励起されたSiH2分子中のいくらかのエネルギーをバックグラウンド分子(M)59に伝達し54、それによりSiH2分子はもはや励起状態55にないので、励起されたシラン分子48’を形成するために基底状態のSiH2分子を第2の水素分子と反応させる工程56;または、励起された分子58から他のバックグラウンド分子59にエネルギーを伝達し、それにより基底状態のシラン分子が生成される48の第2の工程のうちの一つまたはあらゆる組み合わせによって特徴付けられても良いことが、確信される。上述したように、方法は、一つ又はそれ以上のシリコン原子と一つ又はそれ以上の水素原子からそれぞれなる一つ又はそれ以上の異なる分子を形成するために、水素プラズマを含むプラズマをシリコンガスと接触及び/または反応させる工程を含んでいても良い。
【0046】
ガスを分離すること
方法は、チャンバーからガスを除去する一又はそれ以上の工程と、プラズマ法により生成した一つ又はそれ以上の製品を分離する一又はそれ以上の工程と、あるいは両者の工程とを含んでいても良く、それによりいくらか又は全ての不純物が分離された製品から除去される。例えば、方法は、シランを分離する工程、メタンを分離する工程、水を分離する工程、一又はそれ以上の他の分子を分離する工程、あるいはそれらのあらゆる組み合わせを含んでいても良い。好ましくは、方法は、方法または両者によって生成された、プラズマ含有装置の雰囲気中の一又はそれ以上の他のガスから、シランを分離する工程を含み、それによりシラン濃度が増加される。分離工程は、気体、液体、固体またはそれらのあらゆる組み合わせを分離するための、当業者に知られたあらゆる方法を使用してよい。制限なしに、分離工程は、凝縮工程、反応工程、膜を通過する工程、蒸留工程、あるいはそれらのあらゆる組み合わせを含んでいても良い。図6に示すように、方法は、シランを凝縮する工程を含むシラン分離工程を含んでいても良い。従ってそれゆえに、シランはガスとして出発し、凝縮は、温度を減少させること、圧力を増加させること、あるいはその両方によって達成されても良く、それによりシランは液体になる。図7に示すように、方法は、メタンを凝縮する工程を含むメタン分離工程を含んでいても良い。従ってそれゆえに、メタンはガスとして出発し、温度を減少させること、圧力を増加させること、あるいはその両方によってメタンは液体になっても良い。分離時、シランは、少なくとも約重量パーセント、より好ましくは少なくとも約99.9重量パーセント、より一層好ましくは少なくとも約重量パーセント、最も好ましくは少なくとも約99.999重量パーセントのシラン純度を好ましくは有する。
【0047】
方法は、水素含有ガスの成分(水素含有分子、不活性ガス、あるいはその両者のような)のうち一つあるいはそれ以上又は全てを回収する工程を含んでいても良く、好ましくはそれによりそれがプラズマを生じさせるために再循環及び/または再使用されても良い。図2に示すように、方法は、シランガスを回収する工程の前に、ガス(水蒸気のような)を回収する工程を含んでいても良い。
【0048】
方法の性能
方法は、シランガスが生成する雰囲気でのシランガス分子の濃度と、チャンバーに供給される水素含有ガス中のシランガス分子の濃度との差が、それぞれのガス中の分子の総数を基準とし、約0.01モルパーセントよりも大きく、好ましくは約0.05モルパーセントよりも大きく、より好ましくは約0.1モルパーセントよりも大きく、さらに好ましくは約0.2モルパーセントよりも大きく、最も好ましくは約0.5モルパーセントよりも大きくなるように、比較的高い速度でシランガスを生成しても良い。方法は、チャンバーの雰囲気中でのシランガスの濃度を、チャンバーの雰囲気中の総原子数を基準にし(例えば、チャンバーの初期圧力と比較する、プラズマ投入ガスとバックグラウンド投入ガスとを比較する、もし使用される場合、その両方)、好ましくは少なくとも0.01モルパーセント、より好ましくは少なくとも約0.1モルパーセント、最も好ましくは少なくとも約0.2モルパーセントに増加させる方法として特徴付けられても良い。
【0049】
付加的な特徴
プラズマ発生装置(例えば、プラズマトーチ)を通して水素含有ガスを流すのに加えてか、あるいは代わりに、方法は、シリコン含有材料の粒子をプラズマ発生装置に供給する工程、プラズマ発生装置内に凝縮状態(例えば、液体もしくは固体)の炭化水素材料を供給する工程、あるいはその両方を含んでいても良い。炭化水素材料は、水素プラズマを含むプラズマを発生することが可能か、シリコン含有材料を被覆することが可能か、あるいはその両方が可能なあらゆる炭化水素であって良い。制限なしで、炭化水素材料は、水素と炭素を含むか、実質的になるか(例えば、少なくとも約90重量パーセントの濃度で、好ましくは少なくとも約95重量パーセントの濃度)、あるいは全てがなるオリゴマー(例えば蝋)またはポリマーであっても良い。使用されて良い典型的なポリマーは、ポリオレフィンを含む。例えば、方法は、0.1ml未満、好ましくは約0.001ml未満、より好ましくは約0.00001ml未満の平均体積を有する粒子(被覆された粒子のような)を供給する工程を含んでいても良い。
【0050】
上述の方法は、シラン(すなわち、SiH4)の生成に関連しているにも拘らず、方法が一般に、一般式Sixy,ここでx及びyは双方が≧1の整数である、を有する一つ、二つもしくはそれ以上の分子、好ましくは一般式Six2x+2,ここでxが≧1の整数である、を有する一つ、二つもしくはそれ以上の分子を生成するのに使用されても良いことが正しく認識されるものである。制限なしに、方法は、シラン、ジシラン、トリシランまたはそれらのあらゆる組み合わせを生成しても良い。
【0051】
実施例
実施例を介して、一般式Sixy,ここでx及びyは双方が≧1の整数である(例えばシラン)、を有する分子と、それらからの誘導体の様々な経路が明らかにされる。以下の実施例は、説明の目的のためのもので、限定として考慮されるべきではない。
【0052】
実施例1
金属シリカの試料は、排気されたチャンバー内にあるマグネトロンプラズマ発生装置(例えば、図3に説明された装置と類似のもの)に配置される。マグネトロン発生器は、アノードの上方に位置し、かつアノードから分離されたRFチャックを有する。約60パーセントのアルゴンと約40パーセントのH2(すなわち、H2に対するArのモル比が約6:4)から本質的になるガスの流れは、チャンバーに加えられる。チャンバー中の圧力は、約150mTorr(ミリトール)(すなわち、約20Pa)に維持される。
【0053】
目標板(例えば、銅の試料)は、後の評価用の雰囲気中にあり得る原子を採取するため、チャンバー内にマグネトロンから離れて位置される。
【0054】
スタンフォードリサーチシステムズ(Stanford Research Systems)RGA−100残留ガス分析計(Residual Gas Analyzer)(RGA)は、チャンバー中の気体残留物を直接採取するのに使用される。RGAは、ガスをイオン化し、その後、四重極質量分析計を通してイオンを加速することにより機能する高真空装置である。四重極質量分析計は、ある一定の、電荷/質量比でイオンのみを検出器に到達させるのを許容するフィルターとして作用する。収集電流対電荷/質量比のスペクトルからなるRGAの出力信号は、公知のガスサインと比較される。チャンバー中の圧力は、RGAの最大作動圧力を超えるので、RGAは、約2.3×10-5トール(Torr)(すなわち、約0.0031Pa)の一定圧力に耐えるために調整されたニードル弁を通して差動排気される。RGAは、1から100原子質量単位までを含めて連続的に走査する構成になっている。
【0055】
プラズマを生じさせるため、約200Wの電気容量は、容量RFチャックに利用され、そして約200Wのインダクタンスは誘導RFチャックに利用される。シランの分圧を含む、チャンバー内の雰囲気の組成は、RGAを用いて測定される。プラズマが少なくとも約1分間維持される時、SiH4用一次信号(すなわち、約31原子質量単位)によって測定されたシランの分圧は、バックグラウンド信号に比べ、少なくとも約5×10-8トール(Torr)(すなわち、少なくとも約6.7×10-6Pa)増加されている。図8は、時間(単位は秒)を関数とした一次信号により測定されたシランの分圧(単位トール(Torr))を説明する。プラズマが81から開始された時、シランの分圧が増加し、プラズマが82で停止した時、シランの分圧は減少し始める。プラズマが発生している時、チャンバー内のシランガスの濃度は、チャンバー内の気体の総モル数を基準とし、約0.25モル%に到達するか、絶対値基準に基づいて約0.25モル%増加するか、あるいはその両者である。
【0056】
実験後、目標板は除去され、エネルギー分散型X線分析(EDS)を用いて評価される。
【0057】
EDSスペクトルは図9に示され、そこにおいて強度はX線エネルギーに対してプロットされる。目標板は、シリコン金属に対応するピークを明らかに示し、Si(g)はプラズマ法により生成されることが説明される。
【0058】
実施例2
実施例2は、水素含有ガスが約10モルパーセントのアルゴンと約90モルパーセントのH2分子(すなわち、H2に対するArの分子比が約1:9)から本質的になること以外は、実施例1と同様な方法を用いて用意される。プラズマが発生したとき、チャンバー内のシランガスの濃度は、チャンバー内の気体の総モル数を基準とし、約0.89モル%に到達する。シランガスは、シランの液体−気体転移温度(図6に説明されているような)よりも下方にガスを冷却することにより、図2に説明されたもののような凝縮器を用いて除去され、それにより、“清浄なシラン”液体は、生成したシランガスよりも少ない不純物を有するものとして生産される。
【0059】
実施例3−9
実施例3−9は、インダクタンスが約250W;電気容量が約250W;RGA中の圧力が約8×10-5トール(Torr)(例えば、約0.011Pa);実施例3,4,5,6,7,8及び9の水素含有ガスが、それぞれ、アルゴンとH2から約1:9、約2:8、約3:7、約4:6、約5:5、約5:4、約7:3のモル比で本質的になること以外は、実施例1と同様な方法を用いて用意される。プラズマが生じた時のチャンバーの雰囲気のシランガスの分圧変化は、図10に説明される。図10は、これらの条件で、H2に対するArの比が7:3から1:1に減少するときの、シランの分圧が一般に増加し、約1:1の比で最大になることを説明している。
【0060】
実施例10
実施例10は、かさ密度が約1g/cm3に圧縮されたもみ殻灰を金属シリコンの代わりに使用されること以外は、実施例1と同様な方法を用いて用意される。プラズマが向けられた時、シランとメタンガスは生成する。アルゴンとH2から異なる比で本質的になる水素含有ガスを用いての更なる研究は、これらの条件で、約60モルパーセントのアルゴンと約40モルパーセントのH2を含むガス(ガス中の分子総数を基準とする)が、高い割合のシラン生成を生ずることを示している。
【0061】
実施例11
実施例11は、マグネトロンプラズマ発生器の代わりにプラズマトーチを用いて用意される。最初に、金属シリコンの試料がチャンバー内に配置される。チャンバー内の初期雰囲気は、約10モルパーセントのアルゴンと約90モルパーセントのH2分子(ガス中の分子総数を基準とする)から本質的になる。チャンバー内の圧力は、約200kPaに維持される。約10モルパーセントのArと約90モルパーセントのH2分子(ガス中の分子総数を基準とする)から本質的になる水素含有ガスは、プラズマトーチに供給される。誘導放電は、プラズマを生成するため、トーチ内で開始される。シランガスは、この方法で生成されると期待される。チャンバー内の雰囲気と、水素含有ガス中の雰囲気は、分子水素ガス(すなわち、H2ガス)から本質的になる雰囲気に共に変化される時、方法はシランを含む分子を生成することが期待される。金属シリコンの代わりにもみ殻灰が使用される時、方法は、水とシラン、任意的にメタンガス、メチルシランガスあるいは双方を含む分子を生成することが期待される。シリコン含有材料の粒子が水素含有ガスと共にプラズマトーチに供給される時、方法は、シランを含む分子を生成することが期待される。固体の炭化水素で被覆された、シリコン含有材料の粒子が、水素含有ガスと共にプラズマトーチを通して供給される時、方法は、シランを含む分子を生成することが期待される。
【0062】
本発明の範囲から逸脱することなしに、様々な成分あるいは工程が上述の方法から置換され、加えられ、あるいは除去されても良いことが、理解されるべきである。さらに、上述の成分の重量パーセントと、挙げられた特性が、挙げられた値の±5パーセント、±10パーセント、±25パーセント、あるいは±50パーセントまで変化されるか、あるいは大きくなっても良いことは、検討される。例えば、10±10パーセントの値は9〜11の範囲を生ずる。
【0063】
複数の成分又は工程の機能又は構造は、単一の成分又は工程と結合されても良いか、一つの工程又は成分の機能又は構造は、複数の工程又は成分に分割されても良いことが、さらに正しく認識されるであろう。本発明は、これらの全ての組み合わせを企図している。その他言及していなくても、ここに叙述された様々な構造の寸法と幾何学的外形は、発明の限定を意図するものではなく、他の寸法又は幾何学的外形が可能である。複数の構造的な成分又は工程は、単一の一体化された構造又は工程によって供されることが可能である。また、単一の一体化された構造又は工程は、分離された複数の成分又は工程に分割され手も良い。加えて、本発明の特徴は、説明された実施形態の一つのみに関連して記載されている一方で、そのような特徴は、あらゆる与えられた出願のため、他の実施形態の一又はそれ以上の他の特徴と結合されてもよい。ここでの特有な構造の作製及びそれらの操作も本発明に従った方法を構成することが、上述から正しく認識されるであろう。本発明は、ここでの方法の実施から生じた中間及び最終の製品を包含をもする。 “含む(comprising)”あるいは“含む(including)”の使用は、列挙された特徴が“本質的になる(consist essentially of)”又は“からなる(consist of)”実施形態をも企図する。
【0064】
ここにある説明及び図解は、発明、その原理及びその実際の出願での他の当業者に知らせることを意図したものである。それらの当業者は、特別な使用の要求に最も適したような、その多数の形態で発明を適用し、利用しても良い。従って、先に述べた本発明の特定の実施形態は、網羅的あるいは発明の限定を意図していない。発明の範囲は、それゆえ、上述の記述を参照されずに決定されるもので、しかしその代わりに、権利の与えられたそのような請求項と等価な全ての範囲に従って、添付された請求項を参照して決定されるべきである。特許の出願及び公開を含む、全ての事柄及び参照の開示は、全ての目的のために参照することによりここに組み入れられる。
【0065】
前述の参照された態様及び実施例は、ここに示され、かつ記載されているように、本発明の範囲内に存在する他のものとして限定されない。例えば、発明の上述されたあらゆる態様又は特徴は、ここに記載されているように、図面又はその他に説明された他の特有の配置を形成するために結合されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、高純度材料を生産するための方法を説明するフローチャートである。
【図2】図2は、プラズマを用いたシラン発生のための方法の様々な態様を説明する概略図である。
【図3】図3は、プラズマ発生装置の様々な態様を説明する概略図である。
【図4】図4は、シランを生じさせるために使用され得る様々な化学的及び物理的反応を説明している。
【図5】図5は、実例となるプラズマ発生装置と、シランを発生させるために使用され得る様々な化学的及び物理的反応との概略図である。
【図6】図6は、シランの液体−気体転移温度を説明した図である。
【図7】図7は、メタンの液体−気体転移温度を説明した図である。
【図8】図8は、時間を関数としたチャンバー中のシラン濃度を説明した図である。
【図9】図9は、目標板上のシリコンの存在を説明したX線分光法図である。
【図10】図10は、アルゴン濃度を関数としたチャンバー中のシラン濃度を説明した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Sixy,ここでx及びyは≧1の整数である、を有する一またはそれ以上の分子を生成するための方法は、
i)シリコン含有材料を供する工程、前記シリコン含有材料は前記シリコン含有材料の総重量を基準として少なくとも20重量パーセントのシリコン原子を含む;
ii)シリコン原子を気化可能か、シリコン原子をスパッタリング可能か、あるいはその両者が可能なプラズマを、プラズマ発生装置を用いて発生させる工程;
iii)雰囲気中の原子の総モル数を基準にして少なくとも約0.5モルパーセントの水素原子を含む雰囲気を持つチャンバー内で前記シリコン含有材料に前記プラズマを接触させる工程;を含み、
それにより、式Sixyを有する分子が生成される。
【請求項2】
前記式Sixyを有する分子がシラン(すなわち、SiH4)を含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記プラズマを発生させるためにプラズマ発生装置を通してプラズマ投入ガスを流す工程をさらに含み、前記プラズマは水素プラズマを含み、前記プラズマ投入ガスは、前記プラズマ投入ガス中の原子の総数を基準とし、少なくとも約0.5パーセントの水素原子を含む水素含有ガスである、請求項1または2の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記チャンバーからシランを含む産出ガスを除去し、一またはそれ以上の不純物からシランを分離する工程をさらに含み、それにより清浄なシランが生成される、請求項2または3の方法。
【請求項5】
前記プラズマは水素プラズマを含み、前記シリコン含有材料に前記プラズマを接触させる工程は、
シリコンガスを生成するために前記水素プラズマを前記シリコン含有材料に接触させる工程と、
一またはそれ以上のシリコン原子と一またはそれ以上の水素原子とからなる一またはそれ以上の分子を形成するため、少なくとも一つの水素原子、少なくとも一つの水素分子、少なくとも一つの水素イオンあるいはそれらのあらゆる組み合わせを、前記シリコンガスと反応させる工程とを含む、請求項1〜4のいずれか1項の方法。
【請求項6】
前記シリコン含有材料は、少なくとも約50モルパーセントのシリコン原子を含む金属を含み、前記チャンバー内の前記雰囲気は、少なくとも約1モルパーセントの水素原子を含む、請求項1〜5のいずれか1項の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記チャンバーにバックグラウンドガスを供給する付加的な工程を含み、前記バックグラウンドガスは、前記バックグラウンドガス中の原子の総数を基準として少なくとも0.5モルパーセントの水素原子を含む、請求項1〜6のいずれか1項の方法。
【請求項8】
前記プラズマ投入ガスは、少なくとも約90モルパーセントの水素原子を含む、請求項3〜7のいずれか1項の方法。
【請求項9】
前記プラズマ投入ガスは、分子水素、一又はそれ以上の炭化水素、あるいはそれらのあらゆる組み合わせを含む、請求項3〜8のいずれか1項の方法。
【請求項10】
前記プラズマ投入ガスは、分子水素を含む、請求項3〜9のいずれか1項の方法。
【請求項11】
前記チャンバー内の前記雰囲気は、約20重量パーセント未満の酸素を含む、請求項1〜10のいずれか1項の方法。
【請求項12】
前記チャンバー内の前記雰囲気は、約0.001kPaよりも大きな、分子水素の絶対分圧を有する、請求項1〜11のいずれか1項の方法。
【請求項13】
前記チャンバー内の前記雰囲気は、約0.001kPa〜約10MPaの絶対圧力を有する、請求項1〜12のいずれか1項の方法。
【請求項14】
前記一またはそれ以上の不純物からシランを分離する工程は、前記シランを凝縮する工程を含み、前記一またはそれ以上の不純物は分子水素を含み、前記方法は、前記プラズマ発生装置か、前記バックグラウンドガスか、あるいはその両方に前記分子水素を循環させる工程を含む、請求項4〜13のいずれか1項の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記シランを高純度シリコンに変換する工程をさらに含む、請求項2〜14のいずれか1項の方法。
【請求項16】
前記方法は、前記チャンバーの前記雰囲気中のシランガスの濃度を、前記チャンバー内の前記雰囲気中の原子の総数を基準として少なくとも0.01モル%増加させる、請求項1〜15のいずれか1項の方法。
【請求項17】
前記チャンバーは、約60重量パーセント未満の窒素を含む雰囲気を有する、請求項1〜16のいずれか1項の方法。
【請求項18】
前記プラズマ投入ガスは、前記プラズマ投入ガス中の原子の総濃度を基準にして少なくとも約0.01モルパーセントの濃度で存在する不活性ガスを含み、前記不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノンからなる群から選択される一又はそれ以上の原子を含む、請求項3〜17のいずれか1項の方法。
【請求項19】
前記チャンバーは、少なくとも約0.01パーセントの不活性ガス原子を含む雰囲気を有する、請求項1〜18のいずれか1項の方法。
【請求項20】
前記プラズマ投入ガスは、約90モルパーセントよりも大きな、水素原子及び不活性ガス原子の総濃度を有する、請求項3〜29のいずれか1項の方法。
【請求項21】
前記シリコン含有材料を供する工程は、プラズマトーチにシリコン含有材料の粒子を供給する工程を含み、前記粒子は約0.1ml未満の平均体積を有する、請求項1〜20のいずれか1項の方法。
【請求項22】
前記シリコン含有材料は、炭化水素をさらに含む、請求項21の方法。
【請求項23】
前記方法は、凝縮状態の炭化水素材料をプラズマトーチに供給する工程をさらに含む、請求項1〜22のいずれか1項の方法。
【請求項24】
前記炭化水素材料は0.1ml未満の平均粒子体積を有する、請求項23の方法。
【請求項25】
高純度シリコンを生産するための方法は、
非晶質シリカ、炭素及び不純物を有する農業廃棄物を供する工程;
前記農業廃棄物から前記不純物の量を抽出する工程;
シリカに対する炭素の比を変更し、それにより約2:1から約10:1の範囲にあるシリカに対する炭素の比を有する洗浄された農業廃棄物(AWPcl)を形成する工程;及び
光起電性シリコンを形成するために前記シリカを減少させる工程;を含み、
前記減少工程において、シランを形成するため、前記AWPclは水素プラズマにさらされる。
【請求項26】
式Sixy,ここでx及びyは≧1の整数である、を有する分子(例えばシラン)を生成するための方法は、
i)シリコン含有材料を供する工程、前記シリコン含有材料は金属シリコン、農業廃棄物または他のシリコン含有材料を含む;及び
ii)式Sixyを有する分子を生成するための相当な水素含有量を持つ環境において、水素プラズマを含むプラズマを、前記シリコン含有材料に接触させる工程;を含み、
前記プラズマは、シリコン原子を気化可能か、シリコン原子をスパッタリング可能か、あるいはその両者が可能である。
【請求項27】
シランを生成するための方法は、
i)水素プラズマを含むプラズマを発生させるため、プラズマ発生装置を通して水素原子を含むガスを流す工程;
ii)シリコンガスを生成するために前記プラズマをシリコン含有材料に接触させる工程;及び
iii)少なくとも一つのシリコン原子と少なくとも一つの水素原子とからなる一またはそれ以上の分子を形成するため、少なくとも一つの水素原子、少なくとも一つの水素分子、少なくとも一つの水素イオンあるいはそれらのあらゆる組み合わせを、前記シリコンガスと反応させる工程;を含む、
前記水素原子を含むガスは、前記ガス中の原子の総数を基準として少なくとも0.5パーセントの水素原子を有するガスである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−530473(P2011−530473A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522244(P2011−522244)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/052981
【国際公開番号】WO2010/017373
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(511033117)エレクトロダイナミック・アプリケーションズ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】