説明

シラン末端基を有するプレポリマーを連続的に製造する方法

層状の流動範囲内で5kW/(m3・K)を上廻る熱導出性能を可能にする少なくとも1つの反応器(R)中で連続的に実施される、イソシアネート基(−N=C=O)と少なくとも1個のイソシアネート反応性基との少なくとも1つの反応を含む連続的方法によって、プレポリマー(A)を製造することにより、一般式(1)(R1a(R23-aSi−X−A−で示される末端基を有するプレポリマー(A)を連続的に製造する方法であって、この場合、末端基(1)は、同一でも異なっていてもよく、Aは、−(R3)N−CO−NH−、−HN−CO−N(R3)−、−O−CO−HN−、−HN−CO−O−、−S−CO−HN−、−HN−CO−S−から選択された2価の結合基を表わし、Xは、1〜10個の炭素原子を有する、場合によってはハロゲン原子で置換された、2価の直鎖状または分枝鎖状アルキル基を表わし、R1は、ハロゲン置換されていてよい、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表わし、R2は、アルコキシ基−OR3、アセトキシ−O−CO−R3、オキシム基−O−N=C(R32またはアミン基−NHR3または−NR32を表わし、R3は、水素、1〜18個の炭素原子を有する、ヘテロ原子で置換されていてよい直鎖状、環状または分枝鎖状の基を表わし、R4は、直鎖状、分枝鎖状のポリマー基または架橋されたポリマー基を表わし、aは、0、1または2を表わし、およびnは、少なくとも1の整数を表わす、一般式(1)の末端基を有するプレポリマー(A)を連続的に製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短鎖状ポリオール、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートならびにイソシアネート基および/またはイソシアネート反応性基を有するアルコキシシランを基礎とする湿潤架橋性のシラン末端基を有するプレポリマーを連続的に製造する方法、および湿潤硬化性取付けフォーム中での該プレポリマーの使用に関する。
【0002】
シラン末端基を有するプレポリマーは、種々の接着剤およびシール材にとって重要な結合剤であり、刊行物中に多岐に亘って記載されている。シラン末端基を有するポリマーの多種多様な群に対して化学構造およびそれから生じる特性プロフィールの点でシラン末端基は、ウレタン単位および/または尿素単位を介してポリマー骨格に結合しているので、シラン末端基を有するポリマーは、最も重要なものの中の1つである。このポリマーは、典型的には明らかに5000g/molを上廻る、多くの場合にはむしろ10000g/molを上廻るモル質量を有する、極めて長鎖状のポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール)またはOH官能性ポリウレタンを、アルコキシシリル官能性イソシアナト−アルキルシランと反応させることにより、典型的に製造される。
【0003】
このポリマーの製造は、なかんずくWO 2006/136261A1の記載と同様に連続的に製造されてよく、この場合2つの反応体は、最初に混合ユニット中で互いに混合され、引続き反応器中で互いに反応される。この反応器は、典型的には加熱可能な管であり、この管を通じて、反応混合物は、場合によってはさらに混合しながら所定の温度で互いに反応する。
【0004】
更に、シラン末端基を有するポリマーを製造するための方法は、ポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール)をジイソシアネートまたはポリイソシアネートと反応させることであり、この場合ポリオール成分は、過剰量で使用され、過剰量のOH官能基は、アルコキシシリル官能性イソシアナトアルコキシシランと反応される。勿論、この場合、反応工程の順序は、原理的に交換可能である。2つの反応工程を同時に実施することも考えられる。
【0005】
シラン官能性ポリマーを製造するための第3の方法は、ポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール)をジイソシアネートまたはポリイソシアネートと反応させることであり、この場合ポリオール成分は、過剰量で使用され、過剰量のNCO基は、少なくとも1個のNCO反応性基を有するアルコキシシリル官能性シラン(例えば、第1アミノ基および/または第2アミノ基を有するシラン)と反応される。勿論、この場合も、反応工程の順序は、原理的に交換可能である。同様に、この場合も2つの反応工程を同時に実施することが可能である。
【0006】
また、2つの最後に挙げたシラン官能性プレポリマー型は、使用されるポリオールが比較的長い鎖長を有する限り、原理的に、なかんずくWO 2006/136261の記載と同様に、溶剤不含で連続的プロセスで、例えば管状反応器中で製造されてよい。
【0007】
硬化された精製物が高い硬度またはむしろ極めて高い硬度を有しなければならないような数多くの用途に、長鎖状ポリオールを基礎とする、シラン末端基を有するプレポリマーが不適当であることは、欠点である。これは、殊に噴霧可能な取付けフォームのための基本材料として適している、シラン末端基を有するポリマーの製造に当てはまる。即ち、長鎖状ポリオールを基礎とする、殊に長鎖状ポリエーテルポリオールを基礎とするシラン末端基を有するプレポリマーは、相応して生じる長い、一般に軟化作用を有するポリエーテルセグメントのために、実際に高弾性であるが、しかし、噴霧可能な取付けフォームにおける用途にはかなり軟質すぎる。噴霧可能な取付けフォームにおける用途に適している、極めて短鎖状のポリオールを基礎とするシラン末端基を有するプレポリマーは、例えばWO 02/066532Aに記載されている。
【0008】
従って、この種の硬化性材料またはむしろ極めて硬化性の材料に硬化するプレポリマーの製造のために、明らかに少ないモル質量、例えば特に1000以下のモル質量、有利に500未満のモル質量を有するポリオールから出発することは、回避することができない。しかし、これは、相応するプレポリマーの合成の際に反応混合物中に反応性基に対して本質的に高い密度が存在することを生じる。それというのも、この密度は、もはやポリオール骨格の長い、非反応性鎖によって"薄く"ならないからである。NCO基とNCO反応性基との反応は、著しく発熱性であるので、相応する反応は、極めて強い発熱を生じる。十分に断熱的な反応実施の場合には、反応質量の加熱は、使用されるポリオールの鎖長に応じて簡単に150℃を上廻ることができ、場合によってはむしろ200℃を上廻ることができる。
【0009】
しかし、一般に比較的狭い温度窓での反応の実施を回避することはできない。即ち、高い反応温度のために、受け入れることができない、副生成物の形成が結果として生じ、他方、低い温度のために、反応速度は、反応が完全に"眠り込む(Einschlafen)"までに減少する。ウレタンおよび/または尿素橋の形成に適した反応温度は、典型的には50〜140℃の範囲内、有利に70〜110℃の間にある。この場合、一定の製品品質を維持するために、むしろしばしば、数度を含むにすぎない温度範囲内で反応を実施することが必要とされる。典型的には、反応生成物の加熱は、特に10℃未満であるべきである。
【0010】
従って、反応をこのように狭い温度窓内で実施するために、最短の時間(相応する反応は、多くの場合に数分間で80%を超えて進行する)で反応質量1キログラム当たり膨大なエネルギー量を導出することは、どうしても必要である。
【0011】
これは、WO 2006/136261A1に記載された連続的方法では不可能である。従って、これは、さらにWO 2006/136261A1に記載された、前接続された混合ユニットを有する管状反応器の全てのセグメントが冷却されなければならなかったので、殊に重要である。それというのも、反応時間、ひいては熱の発生は、反応時間が増加し、それと共に混合ユニットからの除去量が増大すると急激に減少するからである。反応器の終端部では、むしろ反応質量を望ましい温度に維持するために、恐らく簡単な加熱が必要とされると思われる。この場合、正確な冷却能力および加熱能力は、使用される材料に高度に依存するが、しかし、滞留時間、ひいては処理量にも依存する。従って、生産の全ての再編成、処理量の全ての変化、生産プロセスのなおも小さな全ての障害は、反応器中で制御不可能な温度挙動をまねくであろう。このような反応の運転形式は、実地において全く実施不可能である。
【0012】
従って、上記欠点が回避され、殊に短鎖状ポリオールまたはむしろ極めて短鎖状のポリオールを基礎とするシラン末端基を有するポリマーを連続的に製造するのに適した、シラン末端基を有するポリマーを製造するための連続的方法を提供するという課題が課された。更に、シラン末端基を有するポリマーの硬化の際に高い網状組織密度、ひいては高い硬度を達成し、なかんずくシラン架橋性取付けフォームの製造に適している、シラン末端基を有するポリマーを提供するという課題が課された。この課題は、本発明によって解決される。
【0013】
本発明の対象は、
層状の流動範囲内で5kW/(m3・K)を上廻る熱導出性能を可能にする反応器(R)中で実施される、イソシアネート基(−N=C=O)と少なくとも1個のイソシアネート反応性基との少なくとも1つの反応を含む連続的方法によって、ポリマー(A)を製造することにより、
一般式(1)
(R1a(R23-aSi−X−A− (1)
で示される末端基を有するプレポリマー(A)を連続的に製造するための方法であり、
この場合、末端基(1)は、同一でも異なっていてもよく、
Aは、−(R3)N−CO−NH−、−HN−CO−N(R3)−、−O−CO−HN−、−HN−CO−O−、−S−CO−HN−、−HN−CO−S−から選択された2価の結合基を表わし、
Xは、1〜10個の炭素原子を有する、ハロゲン原子で置換されていてよい、2価の直鎖状または分枝鎖状アルキル基を表わし、
1は、ハロゲン置換されていてよい、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表わし、
2は、アルコキシ基−OR3、アセトキシ−O−CO−R3、オキシム基−O−N=C(R32またはアミン基−NHR3または−NR32を表わし、
3は、水素、1〜18個の炭素原子を有する、ヘテロ原子で置換されていてよい直鎖状、環状または分枝鎖状の基、特に炭素鎖が場合によっては酸素原子で中断されていてよいアルキル基またはアルケニル基、または1〜18個の炭素原子を有する置換されていてよいアリール基を表わし、
4は、直鎖状、分枝鎖状のポリマー基または架橋されたポリマー基を表わし、
aは、0、1または2を表わし、および
nは、少なくとも1の整数を表わす。
【0014】
本発明による方法を用いると、短鎖状ポリオールまたはむしろ極めて短鎖状のポリオールを基礎とするシラン末端基を有するプレポリマーは、連続的なプロセスで製造することもできる。それというのも、このプロセスは、次の明らかな利点を有するからである:
不変の製品品質、即ち副反応の減少、出発材料および生成物の短い熱負荷、反応の高められた選択性、
高い空時収量、即ち同時に僅かな反応器のホールドアップの際の高い量の生産能力。それによって、連続的プロセスは、安全技術的視点ならびに毒物学的視点に関してもバッチプロセスを凌駕する。
溶剤の最少化または省略による廃棄物の最少化、ひいては製造費の最少化、
高粘稠な生成物の混合が連続的混合装置中でよりいっそう良好であること。
【0015】
更に、連続的方法の利点は、インライン式分析において、得られた生成物の品質を連続的な生産プロセス中に反応パラメーター、例えば使用される成分の滞留時間、温度プロフィール、化学量論等への適合によって制御することができることにあること。その上、この方法は、簡単に最適化されることができ、それによって効果的な原料の使用が可能になる。
【0016】
本発明による方法において使用される反応器(R)は、100を下廻るレイノルズ数の場合でも少なくとも5kW/(m3・K)の熱導出出力を保証しなければならない。この場合、少なくとも10kW/(m3・K)の比導出出力(spezifischen Leistungsabfuhr)を有する基本設計は、好ましい。特に好ましいのは、20〜100kW/(m3・K)の範囲である。
【0017】
この種の熱交換性能は、例えばWO 2006/136261A1に記載されているような従来の反応器では達成することができなかった。従って、本発明による反応器(R)は、特に滞留時間区間内に内在する冷却−および滞留時間要素を有し、この要素は、対流的に反応媒体によって溢流される。特に好ましいのは、滞留時間区間内に内在する冷却−および滞留時間要素を有する管状反応器である。
【0018】
内在する冷却要素によって、冷却媒体と反応混合物との熱交換のための極めて大きな面積が発生され、それによって高い熱交換性能を達成することができるだけではない。更に、この冷却要素は、適当な実施の際に同時に反応混合物の十分な混合を保証または改善することができる。それによって、同時の混合および熱導出は、冷却媒体と反応混合物との僅かな温度差で高い熱導出量を可能にする。他方で、これは、連続的な反応を正確な処理量とは無関係に狭い温度窓内に維持するための基本的な前提である。
【0019】
従って、特に、反応混合物が反応温度で5Pa・sを上廻る粘度を有する場合でも、反応器(R)は、同様に狭い温度制御、即ち10℃未満、特に有利に5℃未満の反応中の温度の上昇を可能にする。
【0020】
本発明による方法の場合、特に、3個を上廻る、有利に10個を上廻る炉底ブロック数を有する狭い滞留時間分布を達成しようと努力される。
【0021】
上記の高い熱導出性能を有する本発明による反応器(R)を構成するために適した反応器技術は、これまでシラン架橋性系のための(プレ)ポリマーの製造に使用されていない。特に好ましい反応器タイプは、例えばSulzer社(例えば、SMR反応器)によって販売されているような内在する冷却−および滞留時間要素を有する管状反応器である。
【0022】
本発明による方法は、本発明による特に粘稠なポリマー(A)を本発明による方法により、バッチプロセスの品質と同等である品質で製造することができるという利点を有する。これは、殊に噴霧可能な取付けフォームのための発泡性混合物(M)中のポリマー(A)の好ましい使用に当てはまる。これは、その限りにおいて意外なことである。それというのも、強い発熱性反応の反応温度は、例えばWO 02/066532Aに記載されているようなバッチプロセスにおいて、反応成分の計量供給速度に対して制御されるからである。この制御方法は、連続的プロセスにおいては不用である。
【0023】
既述したように、例えばWO 2006/136261Aの記載から公知であるような連続的プロセスと比較して決定的な改善は、本発明による反応器(R)が反応器(R)中での反応温度を僅かに下廻る冷却媒体を用いても効果的な冷却を達成することを可能にするという事実にある。
【0024】
従って、紹介された反応器の概念は、WO 2006/136261中に記載された連続的方法の革新的な解決策にあり、それというのも、本発明による反応器は、特に最大20℃の反応媒体と冷却媒体との温度差で熱導出を可能にするからである。特に、本発明による反応器における熱導出は、最大10℃の反応媒体と冷却媒体との温度差で行なわれる。
【0025】
この僅かな温度差は、WO 2006/136261Aに記載の反応の実施の際に予想されるような粘度の相違、ひいては反応媒体中での不均一性を阻止する。
【0026】
1は、特にメチル基、エチル基またはフェニル基、特に有利にメチル基である。
【0027】
2は、有利にエトキシ基またはメトキシ基である。
【0028】
Aは、特にウレタン基−O−CONH−または−NH−COO−であるか、または尿素単位−NH−CO−NR3−または−NR3−CO−NH−であり、この場合R3は、特に1〜10個の炭素原子、特に有利に1〜6個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基であるか、または6〜10個の炭素原子を有するアリール基、特に有利にフェニル基である。
【0029】
Xは、特に直鎖状の2価のプロピレン基および特に有利に−CH2−基である。
【0030】
プレポリマー(A)は、特に(a)
式−N(R3)H、−OHまたは−SHの群から選択されたイソシアネート反応性基を有するポリマー(P)、有利にOH基を有するポリマー(P)を、
モノイソシアネート、ジイソシアネートおよびポリイソシアネート、およびこれらの混合物から選択されたイソシアネート成分(I)および
イソシアネート反応性基を有しかつ一般式(2)
(R1a(R23-aSi−X−B1 (2)
〔式中、B1は、式−N(R3)H、−OHまたは−SHであり、R1、R2、Xおよびaは、上記に記載の意味を有する〕に相当するシラン(S1)と反応させることによって製造され、但し、
(i)ポリマー(P)は、最初にイソシアネート成分(I)と反応され、次にシラン(Si)と反応されるか、または
(ii)イソシアネート成分(I)は、最初にシラン(S1)と反応され、次にポリマー(P)と反応されるか、または
(iii)ポリマー(P)とイソシアネート成分(P)とシラン(S1)とは、同時に反応される。
【0031】
この場合には、2つの反応工程、即ちポリマー(P)、特にポリオール(P)とイソシアネート成分(I)との反応ならびにシラン成分(S1)との反応を本発明による反応器中で実施することが可能である。同様に、1つの処理工程だけ、特にポリマー(P)とイソシアネート成分(I)との反応を本発明による反応器中で実施することが可能である。
【0032】
また、プレポリマー(A)は、(b)
式−N(R3)H、−OHまたは−SHの群から選択されたイソシアネート反応性基を有するポリマー(P)、有利にOH基を有するポリマー(P)を、
モノイソシアネート、ジイソシアネートおよびポリイソシアネート、およびこれらの混合物から選択されたイソシアネート成分(I)および
イソシアネート反応性基を有しかつ一般式(3)
(R1a(R23-aSi−X−B2 (3)
〔式中、B2は、式−N=C=Oで示される基であり、R1、R2、Xおよびaは、上記に記載の意味を有する〕に相当するシラン(S2)と反応させることによって製造され、但し、
(i)ポリマー(P)は、最初にイソシアネート成分(I)と反応され、次にシラン(S2)と反応されるか、または
(ii)ポリマー(P)は、最初にシラン(S2)と反応され、次にイソシアネート成分(I)と反応されるか、または
(iii)ポリマー(P)とイソシアネート成分(P)とシラン(S2)とは、同時に反応される。
【0033】
この場合には、2つの反応工程、即ちポリマー(P)、特にポリオール(P)とイソシアネート成分(I)との反応ならびにシラン成分(Si)との反応を本発明による反応器中で実施することが可能である。同様に、1つの処理工程だけ、特にポリマー(P)とイソシアネート成分(I)との反応を本発明による反応器中で実施することが可能である。
【0034】
また、プレポリマー(A)は、(c)
式−N(R3)H、−OHまたは−SHの群から選択されたイソシアネート反応性基を有するポリマー(P)、有利にOH基を有するポリマー(P)を、専ら
一般式
(R1a(R23-aSi−X−B2 (3)
〔式中、B2は、式−N=C=Oで示される基であり、R1、R2、Xおよびaは、上記に記載の意味を有する〕相当するイソシアネート基を有するシラン(S2)と反応させることによって製造されてもよい。
【0035】
全部で3つの上記変法の場合、反応成分の化学量論は、特に、生成物がイソシアネート不含であり、全部のイソシアネート反応性基の80%超、有利に90%超、特に有利に95%超が反応するように選択される。しかし、イソシアネート不含の生成物を得るために、イソシアネート反応性成分は、必然的に等モル量で使用する必要はないし、過剰量で使用する必要はない。イソシアネート基は、反応中に副反応、例えばビウレタンの形成を生じるので、僅かなイソシアネート過剰量を使用する場合でもイソシアネート不含の生成物を得ることができる。
【0036】
別の好ましい方法の場合、イソシアネート反応性成分は、実際に不足量で使用されるが、しかし、そのために本発明による反応工程の終結後になおもう1つのイソシアネート反応性化合物がいわゆる不活性化剤として添加される。この不活性化剤は、多数の化合物から選択されてよい。唯一の前提条件は、前記化合物の官能基が過剰量のイソシアネート基と簡単な反応で反応しうることである。典型的な不活性化剤は、アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールまたは高級アルコール、さらにアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、ブチルアミンまたはジブチルアミンである。
【0037】
上記方法に挙げられたポリオール成分(P)は、原理的に全てのヒドロキシル基含有のポリマー、オリゴマーおよび/またはモノマーを含有することができ、この場合には、勿論、種々のポリマー型、オリゴマー型および/またはモノマー型の混合物が使用されてもよい。好ましくは、ポリオール成分は、ポリシロキサン、ポリシロキサン−尿素/ウレタンコポリマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリビニルエステルまたはポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリブタジエン、エチレン−オレフィンコポリマーまたはスチレン−ブタジエンコポリマーを含む。しかし、特に好ましくは、ポリマー成分(P)は、刊行物中にしばしば記載されているような芳香族ポリエステルポリオール、脂肪族ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールを含む。また、ポリハロゲン化またはオリゴハロゲン化されたポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオール、例えばIXOL M 125(登録商標)(Solvay社の臭素化ポリオール)は、特に有利に使用される。この場合、ポリオール成分(P)は、1、2個のヒドロキシル基を有する分子を含有することもできるし、数個のヒドロキシル基を有する分子を含有することもできる。ポリオール成分の平均官能価は、特に1〜5であり、即ちこの平均官能価は、特に1〜5個のヒドロキシル基、有利に平均で1.5〜3.5個、殊に1.7〜2.5個のヒドロキシル基を含む。
【0038】
ポリオール成分(P)中に含まれている全ての分子の平均分子量Mn(数平均)は、特に最大2000、有利に最大1100、殊に最大600である。
【0039】
この場合、上記方法に挙げられたイソシアネート(I)は、原理的に全体でモノ官能性、ジ官能性またはオリゴ官能性のイソシアネートを含むことができる。しかし、特にこのイソシアネート(I)は、なかんずくジ官能性または多官能性のイソシアネートを含むことができる。常用のジイソシアネートの例は、ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)であり、これは粗製MDIまたは工業用MDIの形ならびに純粋な4,4’−異性体もしくは2,4’−異性体またはこれらの混合物の形の双方であり、種々の位置異性体の形のトリレンジイソシアネート(TDI)、ジイソシアナトナフタリン(NDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)または更にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である。ポリイソシアネートの例は、ポリマーのMDI(P−MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、または上記ジイソシアネートのビウレット三量体またはイソシアナヌレート三量体である。
【0040】
式(2)のイソシアネート反応性基を有するシラン(S1)の例は、N−フェニル−アミノメチル−メチルジ(メトキシ)エトキシシラン、N−フェニル−アミノメチル−トリ(メトキシ)エトキシシラン、N−シクロヘキシル−アミノメチル−メチルジ(メトキシ)エトキシシラン、N−シクロヘキシル−アミノメチル−トリ(メトキシ)エトキシシラン、N−アルキル−アミノメチル−メチルジ(メトキシ)エトキシシラン、N−アルキル−アミノメチル−トリ(メトキシ)エトキシシランであり、この場合アルキルは、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第三ブチル、さらにペンチル、ヘキシル、ヘプチルの種々の位置異性体ならびになお長鎖状アルカンを表すことができ、ならびにまた、N−フェニル−アミノプロピル−メチルジ(メトキシ)エトキシシラン、N−フェニル−アミノプロピル−トリ(メトキシ)エトキシシラン、N−シクロヘキシル−アミノプロピル−メチルジ(メトキシ)エトキシシラン、N−シクロヘキシル−アミノプロピル−トリ(メトキシ)エトキシシラン、N−アルキル−アミノプロピル−メチルジ(メトキシ)エトキシシラン、N−アルキル−アミノプロピル−トリ(メトキシ)エトキシを表わし、この場合アルキルは、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第三ブチル、さらにペンチル、ヘキシル、ヘプチルの種々の位置異性体ならびにまた長鎖状アルカンを表わすことができる。
【0041】
式(3)のイソシアネート基を有するシラン(S2)の例は、イソシアナト−メチル−ジメチル(メトキシ)エトキシシラン、イソシアナト−プロピル−ジメチル(メトキシ)エトキシシラン、イソシアナト−メチル−メチルジ(メトキシ)エトキシシラン、イソシアナト−プロピル−メチルジ(メトキシ)エトキシシラン、イソシアナト−メチル−トリ(メトキシ)エトキシシランおよびイソシアナト−プロピル−トリ(メトキシ)エトキシシランである。
【0042】
場合によっては、反応混合物になお触媒を添加することは、有用であるかまたは必要である。この場合、触媒は、固体で、液状で、または溶剤に溶解して供給されてよい。使用される触媒は、反応タイプにより左右される。通常、これは、ポリウレタン製造に使用される酸性または塩基性の化合物または触媒、例えばジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトネート、ジブチル錫ジアセテートまたはジブチル錫ジオクトエート等、さらにチタン酸塩、例えばチタン(IV)イソプロピラート、鉄(III)化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネート、亜鉛化合物、例えば亜鉛アセチルアセトネート、亜鉛−2−エチルヘキサノエート、亜鉛−ネオデカノエート、またはビスマス化合物ビスマス−(2−エチルヘキサノエート)、ビスマス−ネオデカノエート、ビスマス−テトラメチルヘプタンジオネートならびにビスマス/錫触媒、例えばBorch(登録商標)触媒である。更に、有機酸、例えば酢酸、フタル酸、安息香酸、酸クロリド、例えば塩化ベンゾイル、燐酸およびその半エステル、例えばブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、プロピルホスフェート等、ホスホン酸ならびにこれの半エステル、または無機酸も適している。適当な塩基性触媒は、例えばアミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エン、N,N−ビス−(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)−メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチル−フェニルアミン、N−エチルモルホリン等である。
【0043】
添加すべき触媒量は、使用される触媒系により左右され、10質量ppm〜1質量%の範囲内、有利に10質量ppm〜0.1質量%の範囲内、特に有利に10質量ppm〜200質量ppmの範囲内にある。
【0044】
更に、ポリマー製造のための助剤は、レオロジーを調整するための添加剤であることができる。この場合には、反応に影響を及ぼしえないかまたはそれ自体一緒に反応しうる限り、多種多様の溶剤または可塑剤が考えられる。更に、完成した最終製品を何らかの方法で安定化する添加剤も考えられる。この場合、典型的な物質は、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、殺真菌剤であるが、しかし、反応性シランモノマーを使用する際の水捕捉剤および反応性希釈剤でもある。この場合、同様に前記物質が触媒反応にもポリマーの製造にも不利な影響を及ぼさなかったことは、重要である。助剤は、方法の異なる位置で添加することができる。
【0045】
本発明によるプレポリマー(A)は、特に50℃で少なくとも5Pa.s、有利に50℃で少なくとも10Pa.sの粘度を有する。本発明によるプレポリマー(A)は、特に50℃で最大100Pa.s、有利に50℃で最大25Pa.sの粘度を有する。
【0046】
粘度は、室温(25℃)で特に少なくとも50Pa.s、特に有利に100Pa.s、殊に少なくとも500Pa.sである。粘度は、室温(25℃)で特に最大1500Pa.s、有利に最大1000Pa.sである。
【0047】
この高い粘度は、殊に噴霧可能な取付けフォームの製造のためにプレポリマー(A)を使用する場合に必要であり、ポリマー混合物の発泡後に安定したフォームが得られる。
【0048】
出発物質は、ポンプ、圧力管路または吸込管路により連続的に必要な量比で計量供給されることができる。この場合、反応体は、完全に反応器中に計量供給されうるか、または適当な計量供給概念により幾何学的形状の反応器に分配されうる。この場合、量の検出は、質量流量測定、体積流測定またはスケールにより行なうことができる。この場合、出発物質は、−20℃〜200℃の温度を有することができる。シラン(S1)または(S2)は、特に−20〜120℃の温度範囲内、有利に20〜80℃で使用される。ポリオール成分(P)は、特に−20〜120℃の温度範囲内、有利に20〜80℃の温度範囲内で使用される。イソシアネート成分(I)は、特に20〜120℃の温度範囲内、有利に20〜80℃の温度範囲内で使用される。この場合、温度調節は、例えば貯蔵容器中で行なうことができるか、または加熱された計量供給導管(熱水、蒸気過熱、電気的加熱等)によって行なうことができる。
【0049】
圧力導管およびポンプを使用する場合には、それぞれの質量流は、ポンプ、導管圧力または調節弁で制御されることができる。滞留時間は、計量供給の量につき望ましい化学量論的量を遵守しながら調節されることができる。
【0050】
本発明による方法は、少なくとも1つの反応工程を本発明による反応器(R)中で実施することによって特徴付けられる。特に、ポリオール成分(P)とイソシアネート成分(I)との反応は、本発明による反応器(R)中で実施される。これは、特に第1の反応工程である。この場合には、特にポリオール成分(P)は、最大2000、有利に最大1100、特に有利に最大600の平均分子量Mn(数平均)を有する分子を含有する。この反応は、特に、反応混合物が断熱的な反応実施の際に100℃を上廻って、多くの場合には150℃を上廻って加熱されるように高い発熱量を有する。本発明による反応の実施の場合、反応混合物の実際の温度上昇は、特に10℃未満、特に有利に5℃未満である。
【0051】
次の工程、第1の工程で得られた、シラン(S1)またはシラン(S2)を有する中間生成物の反応は、同様に本発明による反応器(R)中で実施されてよい。
【0052】
反応体は、連続的に反応器(R)中に計量供給される。
【0053】
よりいっそう良好な反応制御および温度制御のために、反応体の計量供給は、全体の反応器の幾何学的形状により分け与えられる。反応体の計量供給の分与は、1つ以上の反応体に対して行なうことができる。
【0054】
反応器(R)の入口後方で、出発物質は、他の出発物質または反応器内容物と特に強力に混合することができる。混合時間は、反応器の滞留時間の影響下になければならない。この場合、混合は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されているような静的混合装置または動的混合装置により行なうことができる(UEIC 2008/A−Z/M/Mixing of Highly Viscous Media−DOI:10.1002/14356007.b02_26;またはUEIC 2008/A−Z/C/Continuous Mixing of Fluids DOI:10.1002/14356007.b04_561)。
【0055】
混合装置中での温度ならびにそれに続く滞留時間区間中での温度は、特に20〜120℃、有利に40〜110℃、特に有利に70〜100℃である。望ましい温度窓は、反応体温度の選択、反応体の計量供給概念または熱導出によって維持されることができる。
【0056】
特に、本発明による方法は、周囲雰囲気の圧力で実施されるが、しかし、よりいっそう高いかまたはよりいっそう低い圧力で実施されてもよい。
【0057】
後接続された連続的反応装置における混合装置は、それぞれ反応の完結のための滞留時間区間である。十分な滞留時間と共に、狭い滞留時間分布および僅かな逆混合を顧慮すべきである。その後の滞留時間区間は、さらなる混合に利用されてよい。他方、この場合には、静的混合装置または動的混合装置が使用されてよい。
【0058】
反応の顕著な発熱量のために、十分な温度制御の達成に努力すべきである。この場合、熱交換は、特に連続的に、反応器(R)中に実現されている熱交換要素により行なわれる。他の選択的な方法の場合には、この種の熱交換器は、温度制御のために順次に反応装置中に組み込まれていてもよい。
【0059】
反応装置を実現させる場合には、反応体の十分な混合、十分な滞留時間および十分な温度制御に留意すべきである。内在する冷却要素を備えた静的混合装置の場合のように、前記処理工程を一つにまとめる構造形式は、特に好ましい。この実施態様は、図1に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】平行な混合区間、温度管理および反応管理を有する好ましい方法の操作を示す略図。
【図2】他の選択可能ではあるが好ましくない、連続的方法の実施態様に関連して、ポリオール成分(P)とイソシアネート成分(I)との反応の例につき反応原理を説明するための略図。
【0061】
図1は、平行な混合区間、温度管理および反応管理を有する好ましい方法の操作を示す。ポリオール成分は、貯蔵容器(2)から計量供給ポンプ(5)を用いて貯蔵容器(3)からのイソシアネート成分と一緒に混合区間(7)中に供給される。第2の混合区間(9)中に供給されるポリオール成分の部分流により、滞留時間区間内の温度は、熱交換器(8)および(10)でなお狭く制御されることができる。引続き、シラン末端基を有するプレポリマーの製造のために、シラン成分は、ポンプ(6)を用いて貯蔵容器(1)から混合区間(11)内に計量供給される。生成物(14)は、滞留時間区間−および熱導出区間(12)ならびに吐出し冷却器(Austragskuehler)(13)に続いて連続的反応装置を離れる。
【0062】
他の選択可能ではあるが好ましくない、連続的方法の実施態様は、ポリオール成分(P)とイソシアネート成分(I)との反応の例につき反応原理を説明するために図2に図示されている。
【0063】
この実施態様において、滞留時間区間と熱導出区間とは交互に実現されている。イソシアネート成分は、貯蔵容器(1)からポンプ(3)を用いて混合区間(5)中にポンプ輸送される。そこで、イソシアネート成分は、ポリオール成分と衝突し、このポリオール成分は、ポリオール貯蔵容器(2)からポンプ(4)によって混合区間(5)内に計量供給される。この混合区間に引き続いて、温度制御は、熱交換器(6)および(8)ならびに滞留時間区間(7)および(9)の連続した配置により行なわれる。この交互の滞留時間区間と熱交換器に引き続いて、生成物(10)は、装置を離れる。
【0064】
例えば、200℃の断熱的な反応温度上昇の減少は、反応媒体中での10℃の達成しようと努力される温度上昇の際に20個のセグメントへの区分を結果として生じ、これらのセグメントの滞留時間は、それぞれの反応進行の際の反応速度に適合されていなければならない。
【0065】
本発明によるプロセスを実施した際の製品品質は、特に出発材料、中間生成物および必要だとすれば反応生成物の品質を連続的にインライン式に監視することにより行なわれる。この場合には、異なるパラメーターを試験することができるか、または測定することができる。適当な測定方法は、十分に短時間で原料品質および/または反応の変換率を検出することができる全ての方法である。これは、例えば分光法、例えばNIR分光法、FT−IR分光法、ラマン−FT分光法等である。特に、反応の変換率が制御される。例えば、一般式(3)のシランモノマーの残留含量を測定することができる。同様に、特にIR分光法により残留イソシアネート含量を測定することができる。
【0066】
本発明によるプレポリマー(A)は、特に発泡剤(T)および噴霧可能な取付けフォームとしての添加剤との混合物(M)で使用される。本発明による方法により製造された、プレポリマー(A)および発泡剤(T)を含有する混合物(M)は、同様に本発明の対象である。
【0067】
適当な発泡剤は、原理的に室温でガス状の全ての化合物であり、特に40バール未満、有利に20バール未満の圧力で液化させることができ、例えばプロパン、ブタン、イソブタン、プロパン−ブタン混合物、ジメチルエーテル、1,1,1,3−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタンである。
【実施例】
【0068】
実施例1:
図1に記載の連続的方法によるシラン末端基を有するポリエーテルの製造
ポリオール成分の連続的な計量供給ならびに同時の温度管理および滞留時間区間を有する実施の変法
計量供給量:
a)イソシアネート成分27.6kg/h
組成:
トルエンジイソシアネート27.6kg/h
b)ポリオール成分2.2kg/h
組成:
Pluriol P400
(BASF AG社のモル質量400を有するポリプロピレングリコール)31.4kg/h
セチルアルコール5.24kg/h
ビニルトリメトキシシラン(Genosil(登録商標)、Wacker Chemie AG)5.44kg/h
燐酸0.07kg/h
ポリオール成分を図1に相応して2つの同じ大きさの部分流に分割する。
c)シラン成分30.3kg/h
組成:
N−フェニルアミノメチルメチルジメトキシシラン30.2kg/h
(Wacker Chemie AG社のGeniosil(登録商標)XL972)
2,2’−ジモルホリニルジエチルエーテル0.10kg/h
(DMDEE)
【0069】
図1における反応器は、静的混合装置および5kW/m3Kを上廻る熱導出性能を有する、内在する冷却蛇管を備えた管状反応器であり、十分な熱導出が保証される。混合区間内での温度は、50℃であり、滞留時間区間内での温度は、80℃である。反応媒体と冷却媒体との温度差は、最大10℃である。反応媒体中での温度は、反応中に最大5℃である。ポリオール成分は、貯蔵容器(2)から計量供給ポンプ(5)を用いて貯蔵容器(3)からのイソシアネート成分と一緒に混合区間(7)内に供給される。第2の混合区間(9)内に供給される、ポリオール成分の部分流により、熱交換器(8)および(10)を備えた滞留時間区間内での温度は、なお狭く制御されることができる。引続き、シラン末端基を有するプレポリマーの製造のために、シラン成分は、ポンプ(6)を用いて貯蔵容器(1)から混合区間(11)内に計量供給される。生成物(14)は、滞留時間−および熱導出区間(12)ならびに吐出し冷却器(13)に引き続いて連続的反応装置を離れる。
【0070】
反応生成物は、50℃で約13Pa.sの粘度を有する。
【0071】
公知技術水準との比較:実施例1に記載された反応は、例えばWO 2006/136261A1に記載されているような従来の管状反応器中では実施不可能である。即ち、この反応は、断熱的な反応管理の際に200℃を上廻る加熱を生じるであろう発熱量を示す。本明細書において管状反応器中で十分な冷却を達成するために、この管状反応器は、一面で大きな面積対容積比を有しなければならず、同様に小さな直径を有しなければならず、このことは、高い生成物粘度を考慮に入れると莫大なポンプ出力を必要とするであろう。
【0072】
その上、冷却媒体は、十分に一定の温度で壁面効果のために実際には、反応管理が不可能であろうように低い温度を有しなければならなかった。しかし、この狭い温度管理は、成功した反応経過のための前提条件である。それというのも、副反応および分解反応は、高い反応温度を惹起し、これとは異なり、低すぎる温度は、突然の粘度上昇を生じる。その上、壁面効果(反応器壁面での低い温度、反応器中央部での高い温度)は、反応器中で極めて不統一な滞留時間が結果として生じるであろう。
【0073】
実施例2:
発泡性混合物の製造
実施例1からのプレポリマー50gを、弁を備えた圧力ガラス容器中に注入し、フォーム安定剤B8443(登録商標)1.2g(Goldschmidt社)および触媒としてのブチルホスフェート0.3mlを添加する。引続き、この混合物にプロパン−ブタン混合物18ml(2:1のプロパン/ブタン比を有する)およびジメチルエーテル1mlを添加する。前記弁上にねじこまれたプラスチック小管(長さ約20cm、直径約6mm)を通じて問題なく発泡させることができる乳濁液が得られ、この場合このプラスチック小管を通してフォームは、狭い継目でも簡潔で簡単に取り出すことができる。この場合には、安定したフォームが得られ、このフォームは、その硬化後に高い硬度を示し、良好な細孔構造を有し、かつ脆性ではない。
【符号の説明】
【0074】
図1: 1 シラン貯蔵容器、 2 ポリオール貯蔵容器、 3 イソシアネート貯蔵容器、 5 計量供給ポンプ、 6 ポンプ、 7、11 混合区間、 8、10 熱交換器、 9 第2の混合区間、 12 滞留時間区間−および熱導出区間、 13 吐出し冷却器、 14 生成物
図2: 1 イソシアネート貯蔵容器、 2 ポリオール貯蔵容器、 3、4 ポンプ、 5 混合区間、 6、8 熱交換器、 7、9 滞留時間区間、 10 生成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状の流動範囲内で5kW/(m3・K)を上廻る熱導出性能を可能にする少なくとも1つの反応器(R)中で連続的に実施される、イソシアネート基(−N=C=O)と少なくとも1個のイソシアネート反応性基との少なくとも1つの反応を含む連続的方法によって、プレポリマー(A)を製造することにより、一般式(1)
(R1a(R23-aSi−X−A− (1)
で示される末端基を有するプレポリマー(A)を連続的に製造する方法であって、
この場合、末端基(1)は、同一でも異なっていてもよく、
Aは、−(R3)N−CO−NH−、−HN−CO−N(R3)−、−O−CO−HN−、−HN−CO−O−、−S−CO−HN−、−HN−CO−S−から選択された2価の結合基を表わし、
Xは、1〜10個の炭素原子を有する、場合によってはハロゲン原子で置換された、2価の直鎖状または分枝鎖状アルキル基を表わし、
1は、ハロゲン置換されていてよい、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表わし、
2は、アルコキシ基−OR3、アセトキシ−O−CO−R3、オキシム基−O−N=C(R32またはアミン基−NHR3または−NR32を表わし、
3は、水素、1〜18個の炭素原子を有する、ヘテロ原子で置換されていてよい直鎖状、環状または分枝鎖状の基、特に炭素鎖が場合によっては酸素原子で中断されていてよいアルキル基またはアルケニル基、または1〜18個の炭素原子を有する置換されていてよいアリール基を表わし、
4は、直鎖状、分枝鎖状のポリマー基または架橋されたポリマー基を表わし、
aは、0、1または2を表わし、および
nは、少なくとも1の整数を表わす、一般式(1)の末端基を有するプレポリマー(A)を連続的に製造する方法。
【請求項2】
反応器は、熱導出のために内在する冷却要素、殊に内在する冷却蛇管を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
反応媒体と冷却媒体との温度差は、最大20℃、特に最大10℃である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
反応器(R)中での反応中の温度は、10℃を上廻らないように上昇する、請求項1、2または3記載の方法。
【請求項5】
反応器(R)は、使用される反応体を連続的に混合する混合装置と、反応を連続的に実施しかつ同時に熱導出を行なう後接続された滞留時間区間とを含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
使用される反応体を反応前に20〜110℃の温度で混合する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
反応を反応器(R)中で40〜110℃の温度で実施する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
(a)
式−N(R3)H、−OHまたは−SHの群から選択されたイソシアネート反応性基を有するポリマー(P)、有利にOH基を有するポリマー(P)を、
モノイソシアネート、ジイソシアネートおよびポリイソシアネート、およびこれらの混合物から選択されたイソシアネート成分および
イソシアネート反応性基を有しかつ一般式
(R1a(R23-aSi−X−B1 (2)
〔式中、B1は、式−N(R3)H、−OHまたは−SHであり、R1、R2、Xおよびaは、請求項1においてそのために記載された意味を有する〕に相当するシラン(S1)と反応させることによってプレポリマー(A)を製造し、但し、
(i)ポリマー(P)は、最初にイソシアネート成分(I)と反応され、次にシラン(S1)と反応されるか、または
(ii)イソシアネート成分(I)は、最初にシラン(S1)と反応され、次にポリマー(P)と反応されるか、または
(iii)ポリマー(P)とイソシアネート成分(P)とシラン(S2)とは、同時に反応される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
(b)
式−N(R3)H、−OHまたは−SHの群から選択されたイソシアネート反応性基を有するポリマー(P)、有利にOH基を有するポリマー(P)を、
モノイソシアネート、ジイソシアネートおよびポリイソシアネート、およびこれらの混合物から選択されたイソシアネート成分および
イソシアネート反応性基を有しかつ一般式(3)
(R1a(R23-aSi−X−B2 (3)
〔式中、B2は、式−N=C=Oで示される基であり、
1、R2、Xおよびaは、請求項1においてそのために記載された意味を有する〕に相当するシラン(S2)と反応させることによってプレポリマー(A)を製造し、但し、
(i)ポリマー(P)は、最初にイソシアネート成分(I)と反応され、次にシラン(S2)と反応されるか、または
(ii)ポリマー(P)は、最初にシラン(S2)と反応され、次にイソシアネート成分(I)と反応されるか、または
(iii)ポリマー(P)とイソシアネート成分(P)とシラン(S2)とは、同時に反応される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
(c)
式−N(R3)H、−OHまたは−SHの群から選択されたイソシアネート反応性基を有するポリマー(P)、有利にOH基を有するポリマー(P)を、
一般式
(R1a(R23-aSi−X−B2 (3)
〔式中、B2は、式−N=C=Oで示される基であり、
1、R2、Xおよびaは、請求項1においてそのために記載された意味を有する〕に相当するイソシアネート基を有するシラン(S2)と反応させることによってプレポリマー(A)を製造する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
使用されるポリマー(P)は、最大2000の平均分子量Mn(数平均)を有する、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
第1の工程においてポリマー(P)をイソシアネート成分(I)と少なくとも1つの反応器(R)中で請求項1から7までのいずれか1項の記載により連続的に反応させる、請求項8から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
第2の工程において第1の工程から得られた、ポリマー(P)とイソシアネート成分(I)とからの中間生成物を、少なくとも1つの他の反応器(R)中で請求項1から7までのいずれか1項の記載によりシラン(S1)または(S2)と反応させる、請求項8から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項の記載により製造されたプレポリマー(A)および発泡剤(T)を含有する混合物(M)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−520360(P2012−520360A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553389(P2011−553389)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052522
【国際公開番号】WO2010/102916
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】