説明

シラン架橋を有する硬化接着剤

本発明は、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する、少なくとも1つの流動性ポリオキシアルキレンまたはポリアクリレートプレポリマー、40〜150℃の軟化点を有する、炭化水素樹脂、ポリエステル、またはポリアミドから選択される室温で固体の少なくとも1つの不活性な添加剤、ならびに補助物質および添加剤を含む一成分系湿分硬化型接着剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を接着により結合させるための湿分架橋型接着剤およびシーラントとして適当な、熱可塑性バインダーと共にシラン官能化プレポリマーに基づく、室温において固体であって、加熱に際し流動により適用可能な、一成分系接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
湿分硬化型の弾性接着剤およびシーラントは産業で広く用いられている。ここで、プライマーを用いて、あるいはコロナ処理またはプラズマ処理といった、物理的方法を用いて行わねばならない前処理なしに、前記接着剤の結合を、種々の基材で行えることが望ましい。反応性ポリウレタンプレポリマーに基づく、そのような接着剤およびシーラントが知られている。これらは、その製造に起因する、少ない割合のモノマーイソシアネートをなお含有する。しかしながら、それは、特に加工の間、健康に有害である。加えて、PU系接着剤は、光および通常の天候にさらされたUV安定性または耐候性に関する要件に適合しないことが示されている。
【0003】
異なる組成のポリマーに基づいたポリマー骨格を含むシーラント組成物が知られており、それは、湿分架橋型シラン基をさらに含有する。例えば、米国特許第4,222,925号には、ポリウレタンプレポリマーの混合物を含有するシーリング組成物が記載されており、それは、鎖中にアルコキシラン基を含有し、そして、少ない割合のγ−アミノプロピルトリメトキシシランを含有する。充填剤および他の添加剤がさらに含まれていてもよい。
【0004】
独国特許出願公開第10237271号には、アルコキシシラン末端ポリマーを含有するポリマー組成物が記載されている。酸、塩基、有機金属化合物または有機アミノ化合物が、さらに触媒として含まれていてもよい。このポリマー組成物は、さらに可塑剤または充填剤を含有してもよい。
【0005】
欧州特許出願公開第1303569号には、ポリマー骨格に少なくとも2つのSi(OR)基を有するポリマーが記載されている。バインダーは、接着剤、塗料またはフォーム前駆体で使用され得る。接着剤はそれほど詳細には記載されていない。
【0006】
さらに、独国特許出願公開第102006059473号が既知である。それには、シラン官能性ポリオキシアルキレンプレポリマーおよびシラン官能性ポリオレフィンからなる、一成分系接着剤およびシーラント組成物が記載されている。この組成物には種々の添加剤、例えば、非極性可塑剤や既知の粘着付与樹脂が添加される。
【0007】
独国特許出願公開第102008003743号には、架橋性シラン基を含有するポリマーの混合物が記載されている。種々の添加剤が記載されている。調製物は、80,000mPa・s未満の粘度を有することが意図されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,222,925号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10237271号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1303569号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102006059473号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102008003743号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
既知の先行技術による接着剤は、その機械的特性が不適切であることが多いという欠点を有する。特にシーラントの高架橋密度が得られる場合、弾性はしばしば良好でない。架橋密度がより低い場合、過度に柔軟であるか、または加熱に際してクリープを生じる材料がしばしば得られる。さらに、そのようなシーラントは、室温において容易に適用できるが、基材間の安定な結合を得るための化学的架橋の前に、さらなる保持デバイスが必要であるという特徴を有する。得られる初期強度は、さらなる加工に対する十分な機械的安定性をもたらさない。
【0010】
したがって、本発明の目的は、わずかな高温で容易に適用でき、室温まで冷却した後に、2つの基材間で一時的に機械的に安定した結合をもたらす接着剤を提供することである。次いで。その基材を、基材が滑ったり分離したりすることなく、さらに加工または輸送することができる。さらに、架橋後に、これらの接着剤は、基材間の堅固な接着、弾性的結合をもたらすことが意図されている。本発明のさらなる目的は、これらの接着剤およびシーラントが、プライマーなくして種々の基材に適用でき、良好な接着をもたらすことである。構成成分の滲出および基材/接着剤結合の弱化を防ぐことが意図されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本目的は、補助物質および添加剤と共に、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つの流動性ポリオキシアルキレンおよび/またはポリアクリレートプレポリマー、40〜150℃の軟化点を有する、炭化水素樹脂、ポリエステルまたはポリアミドから選択される室温で固体の少なくとも1つの不活性な添加剤を含有する一成分系湿分硬化型接着剤によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的のための、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するポリオキシアルキレンプレポリマーは、加水分解性シラン基を含むポリエーテルに基づくプレポリマーである。ポリエーテルに基づくこれらのシラン含有プレポリマーを、原則として、種々の方法で製造してよい。
【0013】
ポリマー骨格を、ポリオキシアルキレン鎖に基づいて合成する。その鎖は、鎖末端に官能基を有してもよく、次いで、さらなる反応によりシラン基に変換する。ポリエーテルポリオールは、例えば、出発ポリマーとして適当である。
【0014】
ポリオキシアルキレンポリオールを、本発明の組成物のためのポリオールとして用いる。これらは、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドまたはポリTHFに基づく既知のポリエーテルポリオールであってよく、異なるビルディングブロックを有する混合物を用いることもできる。ポリプロピレングリコールに基づく二官能性または三官能性ポリエーテルポリオールが特に適当である。そのようなポリオ−ルは、当業者に既知である。
【0015】
本発明によると、種々の分子量を有する複数のポリエーテルポリオールの混合物を、同様に用いてもよい。そのようなポリオールを、次いでシラン基で官能化してもよい。
【0016】
例えば、ヒドロキシ官能性ポリエーテルを、不飽和塩素化合物と、例えば、塩化アリルと、エーテル合成によって反応させて、末端オレフィン性二重結合を有するポリエーテルを得て、これを、次に例えば、第8族遷移金属化合物の触媒的影響下でヒドロシリル化反応において、例えば、HSi(OCH)のような加水分解性基を有するヒドロシラン化合物と反応させて、シラン末端化ポリエーテルを生じる。
【0017】
別の方法において、オレフィン性不飽和基を含有するポリエーテルを、例えば、3−メルカプトプロピルトリアルコキシシランのようなメルカプトシランと反応させる。
【0018】
さらなる方法において、まず、OH含有ポリエーテルを過剰のジイソシアネートまたはポリイソシアネートと反応させ、次いでこれをアミノ官能性シラン、ヒドロキシ官能性シランまたはメルカプト官能性シランと反応させて、シラン末端化プレポリマーを得る。適当なイソシアネートは、特に、既知の脂肪族または芳香族ジイソシアネートであり、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートまたは4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびその異性体混合物である。その量は、NCO末端化プレポリマーが得られるように選択される。次いで、これらの反応生成物を、さらに、加水分解性基およびNCO基と反応する基を含むシランと反応させる。
【0019】
さらなる選択肢としては、ヒドロキシ官能性ポリエーテルをイソシアナト官能性シランと反応させることである。シランの選択、方法および反応条件は当業者に既知である。
【0020】
少なくとも1つのシラン基は加水分解性残基を含有するものである。そのような残基の例としては、-Cl、-O-C(=O)R、-ORであり、式中、Rは1〜20の炭素原子を有する炭化水素残基を示す。C〜Cアルコール残基またはCおよびCカルボン酸残基が好ましい。これらの残基を、個々にまたは混合してのいずれかで、ケイ素原子上に存在させてよい。これらの残基の数は1〜3つ、特に2つまたは3つである。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基を有するトリアルコキシシラン基またはジアルコキシシラン基が適当である。さらに、0、1つまたは2つのアルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基もケイ素原子上に存在させてよい。さらに、OH基またはNCO基と反応するさらなる基が存在しなければならない。このさらなる官能基は、脂肪族アルキル残基によって、例えば、C〜Cアルキルによって、反応によりシランに結合される。この場合、官能基は、例えば、アルキル基に対して末端側であってよく、あるいは後者はシランに対してα位である。求核性置換基を含有するシランの例としては、エトキシシランまたはプロポキシシランに対応する、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランまたはN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、および類似のアルキルジアルコキシシラン、例えば、メチルアルコキシシラン、エチルアルコキシシラン、またはブチルアルコキシシランである。NCO基を含有するシランの例としては、トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、トリメトキシシリルペンチルイソシアネート、トリメトキシシリルブチルイソシアネートおよび対応するエトキシシランもしくはプロポキシシラン、または類似のメチルジアルコキシ置換シランである。混合アルコキシ基を有するシランも適当である。
【0021】
シラン基の数は、1分子当たり少なくとも1つでなければならないが、特に2〜4つの基が存在する。1つの特別な態様において、シラン基はポリエーテル鎖に対して末端側である。
【0022】
十分な数のシラン基を含む、本発明に適当なポリエーテルは、異なる分子量または鎖構造を有するものとして市販されている。
【0023】
反応性ポリオキシアルキレンプレポリマーは、通常、室温(25℃)においてかなり粘性であり、その粘度は、(Brookfield, EN ISO 2555により測定して)5000〜100,000mPa・sであり得る。
【0024】
本発明の組成物の別の態様では、同様に、ポリマー鎖中に少なくとも1つの加水分解性シラン基を含むポリアクリレートベースプレポリマーを用いる。ポリアクリレートポリマーは、本発明の目的では、メタクリレートポリマーおよびコポリマーも含むと理解されたい。同様に、ポリエーテルおよびポリアクリレートの混合ブロックコポリマーを用いることも可能である。
【0025】
本発明に適当なポリ(メタ)アクリレートは、アルコール残基中に1〜12の炭素原子を有する1以上のアルキル(メタ)アクリレートエステルの重合生成物である。少ない割合の(メタ)アクリル酸または他の共重合性モノマー、例えば、スチレン、ビニルエステルまたはアクリルアミドが、任意に存在してもよい。C〜C(メタ)アクリレートエステルが特に適当である。そのようなポリマーは当業者に既知であり、種々の方法で製造され得る。それらは、同様に、種々の化学組成にて市販されている。
【0026】
本発明に適当なアクリレートコポリマーは、少なくとも1つ、好ましくは2つ、特に2〜5つの加水分解性シラン基を含む。これらのシラン基には、上記加水分解性残基を有するシラン基が含まれる。この場合もまた、C〜Cアルコキシ基を有するジアルコキシシラン基またはトリアルコキシシラン基が特に好ましい。
【0027】
シランは、種々の製造方法を用いて、ポリマーの親構造に結合させることができる。例えば、重合によって、不飽和残基および加水分解性基を含有するシランを取り込むことが可能である。この場合、シラン基は、次いでポリマー鎖上にランダムに分布する。
【0028】
操作の別の態様において、不飽和基を有するアクリレートポリマーが製造され、不飽和二重結合は、次いでシランと反応する。この場合、そのような不飽和基および、かくして、アクリレートコポリマー上の末端側のシラン基を得るのも可能である。
【0029】
操作のさらなる態様において、OH基を含有するアクリレートポリマーが製造される。これを、次いでイソシアナトシランと直接反応させてよく、あるいは、それを過剰のジイソシアネートと反応させ、未反応イソシアネート基を、続いてさらに求核性基を含有するシランと反応させる。適当なシランは既に上記にて挙げられている。
【0030】
本発明の別の態様では、同様に、加水分解性シラン基を含むアクリレートブロックコポリマーを用いる。そのようなポリマーは、例えば独国特許出願公開第102008002016号に記載されている。
【0031】
1つ以上の反応性シラン基を有するポリ(メタ)アクリレートコポリマーも市販されている。
【0032】
本発明の組成物の好ましい態様において、アクリレートまたはポリエーテルポリマーの分子量(GPCによって決定可能な数平均分子量、MN)は1500〜75,000g/molの間となる。さらに特に好ましい分子量の範囲は2000〜50,000g/molであり、3000〜30,000g/molが特に好ましい。これらの分子量が特に有利である。と言うのは、これらの分子量を持つ組成物は良好な加工性を可能とする粘度を呈するからである。特に非常に好ましく用いられるポリマーは、2未満、好ましくは1.5未満、特に1.2未満の(MW/MNとして測定された)多分散度Dを示すものである。
【0033】
また、より高い分子量を有するポリマーを用いるのも可能である。例えば、高い分子量または強い内部結合力のために、本発明の組成物の粘度が望むよりも高い場合、加工粘度を、反応性希釈剤または可塑剤を加えることによって調整してもよく、かくして、所望の特徴を呈する調製物が製造される。
【0034】
ポリエーテルまたはポリアクリレートに基づくシラン含有ポリマーを、個々に、あるいは異なる組成または分子量の混合物として用いることが可能である。この場合、ポリマーの相溶性も考慮しなければならない。相溶性は、ポリマーそれ自体によって影響され得るが、例えば、モノマー構成成分として、より長い鎖のアクリル酸アルキルの含有量を有するアクリレートは、非極性特徴をより強く示す。
【0035】
(DIN ISO 4625により測定された)40〜150℃の軟化点を有する少なくとも1つの不活性な添加剤を、本発明に必要なさらなる成分として存在させる。この成分は室温において固体である。それは融解させてもよく、その後、冷却に際して再度迅速に固まる。この成分は、ポリマーまたはオリゴマーとして存在させてもよい、固体ポリエステル、固体ポリアミドおよび/または固体炭化水素樹脂からなるものであってよい。この添加剤は、官能基を含有するのも可能であるが、ポリマーのシラン基と反応する基を含まない、特にシラン基を含まない不活性なポリマーを選択する。
【0036】
本発明の添加剤の例としては、約500g/mol〜約10,000g/molの分子量を有するポリエステルおよびポリエステルポリオールである。この場合、低分子量のアルコール、特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセロールまたはトリメチロールプロパンをカプロラクトンと反応させることによって得られるポリエステルを用いてもよい。また、ポリエステルを製造するための多官能性アルコールとして適当なのは1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2,4-ブタントリオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコールである。
【0037】
適当なポリエステルは重縮合によって製造され得る。二官能性および/三官能性アルコールを、適宜、少量のジカルボン酸および/もしくはトリカルボン酸またはその反応性誘導体と縮合させて、ポリエステルポリオールを形成してもよい。適当なジカルボン酸は、例えば、コハク酸、および16までの炭素原子を有するより高級の同族体、さらに不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸またはフマル酸、および芳香族ジカルボン酸、特に、異性体フタル酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、またはテレフタル酸である。クエン酸またはトリメリット酸は、例えば、トリカルボン酸として適当である。特に適当なアルコールは、ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはネオペンチルグリコール、またはその2種類以上の混合物である。特に適当な酸はイソフタル酸またはアジピン酸またはその混合物である。
【0038】
ポリエステルは末端位置にOH基を含んでよく、またカルボキシル基を含有してもよい。ポリエステルは直鎖状であってよいが、分枝状ポリエステルを用いることもできる。唯一のポリマーがあってもよく、あるいは組成または分子量が異なるポリマーの混合物を用いてもよい。軟化温度は構成成分の選択によって影響され得る。芳香族の割合は、適宜、軟化温度を上昇させ、他方、分枝状の構成成分または脂肪族の構成成分は軟化点を低下させる。結晶性ポリエステルが好ましい。
【0039】
本発明に適当な、室温で固体の別の種類の添加剤は、炭化水素樹脂である。これは天然ポリマー、任意に修飾されたポリマー、または合成ポリマーである。合成樹脂は、一般に、重合または重縮合によって得られ、他方、天然樹脂は天然産物から単離して製造され得る。ここで、樹脂は、化学反応によってその物理的形態が修飾されていてもよい。そのようなバインダーの例としては、ペンタジエン、テルペン、クマロン/インデン、フラン樹脂、脂肪族または脂環式石油炭化水素樹脂および水素化誘導体、スチレンコポリマー樹脂または機能性炭化水素樹脂に基づく樹脂である。これらを、単独でまたは混合物として用いてよい。
【0040】
さらに、ポリアミドを固体添加剤として用いてもよい。そのようなポリアミドは、例えば、第一級ジアミンとジカルボン酸とを反応させることによって製造され得る。この場合、ジカルボン酸は、カルボキシル末端化ポリアミドが得られるように、好ましくは、ジアミンに対して10%までの化学量論過剰で用いられる。
【0041】
適当なジカルボン酸は、例えば、C〜C14ジカルボン酸または、まさに、ダイマー脂肪酸またはポリマー脂肪酸であり、これは、天然原料から得られた不飽和長鎖脂肪酸の二量体化による既知の方法で製造され得り、次いで、さらに、蒸留によって精製され得る。ジカルボン酸の例は、特に、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸またはドデカン二酸、あるいは芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、ならびに上記したジカルボン酸の混合物である。しかしながら、少なくとも50%を超えるダイマー脂肪酸からなる、特にダイマー脂肪酸のみからなる、ポリアミドが特に適当である。
【0042】
アミン成分は、実質的に、好ましくは偶数個の炭素原子を有する、1つ以上の脂肪族ジアミンからなり、アミノ基は炭素鎖の末端にある。脂肪族ジアミンは2〜20個の炭素原子を含有してよく、脂肪族鎖は、可能な限り直鎖状またはわずかに分枝状であり得る。アミン成分は、環状ジアミンまたはポリオキシアルキレンジアミン、例えば、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロプンジアミンまたはビス−(ジ−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフランを、さらに含有してもよい。
【0043】
ポリアミドの硬度および融点は、アミン成分の選択によって影響され得る。そのようなポリアミドは当業者に既知であり、市販されている。それらは、例えば、特に脂肪酸に基づく、200℃未満の温度で融解可能なアミドであり;ポリアミドワックスまたは微粒子化ポリアミドも選択してもよい。添加剤の軟化点は(ASTM E2867, ring & ballで測定して)40〜150℃である。特に、軟化点は60〜150℃、特に好ましくは70℃を超えるものである。上記の添加剤はポリマーであるため、後者は、一般に、異なる分子量を有する構成成分を含有する。このため、実際には、軟化点は一点の値として示されず、むしろ軟化範囲として示される。したがって、成分の軟化および融解がこの値の範囲内で見られうる。添加剤の軟化範囲は狭い必要があることが明らかになっており、すなわち、添加剤は狭い温度範囲内で融解する。この点において、軟化範囲は+/−15℃未満、特に、+/−7℃未満、特に+/−3℃未満である。軟化範囲が広すぎる場合、組成物は硬化し、迅速に固化し、このことは十分な初期強度が得られないことを意味する。
【0044】
固体添加剤の量は、接着剤に対して、0.1〜20重量%、特に、0.5〜10重量%である。個々の添加剤を用いてもよく、あるいは混合物を用いてもよい。添加剤が接着剤に微細に分散しているのが有利である。
【0045】
本発明の接着剤は、さらに任意に、補助物質および添加剤を含有してもよい。これらは、例えば、可塑剤、安定化剤、抗酸化剤、充填剤、希釈剤または反応性希釈剤、乾燥剤、カップリング剤およびUV安定化剤、殺菌剤、難燃剤、触媒、顔料、レオロジー補助剤、着色顔料または着色ペーストであり得る。
【0046】
適当な液状可塑剤の例としては白油、ナフテン系鉱油、ポリプロピレン、ポリブテンまたはポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンオリゴマー、ベンゾエートエステル、フタレート、アジペート、植物または動物油およびその誘導体である。水素化可塑剤は、例えば、パラフィン系炭化水素油の群から選択される。ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコールは、ポリメチレングリコールがそうであるように、適当である。エステルも、任意に可塑剤として用いられ、例えば、液状ポリエステルおよびグリコールエステル、または芳香族ジカルボン酸エステルに基づく可塑剤である。好ましくは8〜36個の炭素原子を有する、アルキルモノアミンおよび脂肪酸も適当であり得る。
【0047】
可塑剤の例としてはアジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、安息香酸エステル、酪酸エステル、酢酸エステル、高級脂肪酸のエステル、OH基を有する脂肪酸またはエポキシ化脂肪酸のエステル、脂肪酸エステルおよび脂肪、グリコール酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、1〜12個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状アルコール、プロピオン酸エステル、セバシン酸エステル、スルホン酸エステル、チオ酪酸エステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステルおよびニトロセルロース系エステルおよびポリ酢酸ビニル系エステル、ならびにその2種類以上の混合物である。
【0048】
適当なフタル酸エステルの例は、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソウンデシル(DIUP)またはフタル酸ブチルベンジル(BBP)であり、他方、適当なアジペートの例は、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソデシル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチルまたはオレイン酸ブチルである。末端基終端ポリエチレングリコール、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールジ-C1−4-アルキルエーテル、特に、ジエチレングリコールまたはジプロピレングリコールのジメチルエーテルまたはジエチルエーテルおよびその2種類以上の混合物も可塑剤として適当である。
【0049】
好ましく用いることができる、さらなる種類の可塑剤はスルホン酸エステルまたはアミドに基づくものである。これらは芳香族スルホン酸のようなアルキル化スルホン酸のエステルを含んでもよい。
【0050】
接着剤中の可塑剤の含有量は、0〜40であってよく、特に、可塑剤なしであってもよく、または全組成に対して0.5〜20重量%であってもよい。好ましい可塑剤は、エステル基、ヒドロキシ基、アミド基またはエチレングリコール基のような極性基を含むものである。適当な可塑剤は当業者に既知であり、市販されている。
【0051】
「安定化剤」は、本発明の目的では、抗酸化剤、UV安定化剤または加水分解安定化剤を意味すると理解されたい。これらの例としては、慣用的な市販の立体障害フェノールおよび/またはチオエーテルおよび/または置換ベンゾトリアゾールおよび/または「HALS」(ヒンダードアミン光安定化剤)型のアミンである。本発明の目的では、シリル基を有し、架橋または硬化の間に最終生成物に組み込まれる、UV安定化剤を用いるのが好ましい。ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾエート、シアノアクリレート、アクリレート、立体障害フェノール、リンおよび/または硫黄も、さらに添加してよい。本発明の調製物は、約3重量%、好ましくは約2重量%までの安定化剤を含有してよい。
【0052】
シラン基の加水分解性基の加水分解による切断、およびSi-OH基の続く縮合を触媒して、シロキサン基を与えることができる(架橋反応またはカップリング機能)、全ての既知化合物を触媒として用いてもよい。例としては、チタネート、例えばチタン酸テトラブチルチタネートまたはチタニウムテトラアセチルアセトネート;ビスマス化合物、例えば、ビスマストリス-2-エチルヘキサノエート;スズカルボキシレート、例えばジブチルスズジラウレート(DBTL)、ジブチルスズジアセテートまたはジブチルスズジエチルヘキサノエート;スズ酸化物、例えばジブチルスズオキシドおよびジオクチルスズオキシド;有機アルミニウム化合物、例えばアルミニウムトリスアセチルアセトネート;キレート化合物、例えばジルコニウムテトラアセチルアセトネート;アミン化合物またはそのカルボン酸塩、例えばオクチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、モルホリン、N-メチルモルホリンおよび1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7(DBU)、アミノ基を有するシランカップリング剤である。1つの態様は金属触媒なしで進行し、別の態様は、合計重量に対して0.01〜約5重量%の量の触媒、好ましくは、数種類の触媒混合物を使用する。0.1〜4重量%の量が好ましく、0.4〜3重量%未満の触媒が特に好ましい。
【0053】
本発明の接着剤は、カップリング剤を含有してもよい。これは、基材表面と反応を起こすことができる反応性物質であってよく、または基材上の粘着性を増加させる物質であってよい。
【0054】
有機官能性シラン、例えば、ヒドロキシ官能性シラン、(メタ)アクリルオキシ官能性シラン、メルカプト官能性シラン、アミノ官能性シラン、またはエポキシ官能性シランがカップリング剤として好ましく用いられる。これらは、任意にポリマーネットワークに組み込まれ得る。メルカプト官能性シランの例は、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランまたは3-メルカプトプロピルトリメトキシシランである。(メタ)アクリルオキシ官能性シランの例は、3-アクリルオキシプロピルトリアルコキシシランまたは3-メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシランである。エポキシ官能性シランの例は、3-グリシジルオキシメチルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシメチルトリエトキシシランまたは2-グリシドキシエチルトリメトキシシランである。アミノ官能性シランの例は、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノ−プロピルトリメトキシシラン(DAMO)、N,N-ジ-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-N’-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス-(トリエトキシシリルプロピル)-アミン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランまたはその混合物である。類似のエトキシまたはプロポキシ誘導体、ならびにアルキルジアルコキシ誘導体または各プロピル基の代わりに他のアルキル基によって置換された誘導体も、同様に適当な化合物である。さらに、上記のアミノシランの縮合生成物も、カップリング剤成分として用いてよい。このようなカップリング剤は文献において知られている。
【0055】
上記カップリング剤は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは1〜4重量%の間の量で、バインダー組成物に用いるのが好ましい。
【0056】
修飾されている、または修飾されていない樹脂酸またはエステル、ポリアミン、ポリアミノアミド、無水物および無水物含有コポリマーまたはポリエポキシド樹脂などの、粘着付与樹脂も、カップリング剤として、少量で適当である。樹脂酸誘導体などの典型的な粘着付与樹脂(粘着剤)を、5〜20重量%の濃度で使用し、他方、ポリアミン、ポリアミノアミドまたはレゾルシノール誘導体などの典型的なカップリング剤を、0.1〜10重量%の範囲で使用する。
【0057】
特に適当な乾燥剤は、加水分解性シラン化合物である。その例は、カルバマトプロピルトリメトキシシラン、アルキルトリメトキシシラン、アルキルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシランまたはイソオクチルトリメトキシシランである。それらは、接着剤がより高い架橋密度を示すという、さらなる効果を有する。これにより、架橋後により高いモジュラスまたはより高い硬度を有する生成物がもたらされる。したがって、これらの特徴は、使用量によって意図的に影響され得る。
【0058】
可能な充填剤または顔料は複数の材料から選択してよい。その例としては、白亜、粉末化白亜、沈降性および/または焼性シリカ、ゼオライト、ベントナイト、炭酸マグネシウム、珪藻土、アルミナ、クレー、タルク、バライト、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、砂、石英、フリント、雲母、アルミニウム粉末、ガラス粉末および他の粉砕された鉱物である。有機充填剤、特に、カーボンブラック、グラファイト、木質繊維、木質粉、木質削屑、木質パルプ、綿、またはガラス繊維のような短繊維、ガラスフィラメント、ポリアクリロニトリル、炭素繊維、ケブラー繊維、またはポリエチレン繊維も用いてもよい。充填剤の少なくともいくつかを、任意に、例えばステアリン酸で、表面を前処理するのが有利であり得る。これにより、バインダーとの相溶性がより高くなり、または、水分安定性が改善され得る。他の適当な充填剤は、鉱物シェルまたはプラスチックシェルを有する中空球、例えば中空ガラス球である。これらは、500μm以下の粒子サイズを有するのが好ましい。処方中の顔料および充填剤の合計割合は、5〜65重量%、特に20〜60重量%で変化してよい。
【0059】
本発明の組成物のレオロジーを、充填剤の選択およびプレポリマーの量の比率を通じて、所望の範囲とすることもできるが、慣用的なレオロジー補助剤、例えば、焼性シリカ、ベントン、フィブリル化短繊維もしくはパルプ短繊維または水添ヒマシ油誘導体を、任意に、0.1〜7重量%、好ましくは1〜3重量%の範囲で添加してよい。
【0060】
本発明の接着剤の好ましい態様は:
5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の、少なくとも1つのシラン基、特に2〜4つのシラン基を有する、1つ以上のポリオキシアルキレンポリマーおよび/またはポリ(メタ)アクリレートポリマー、
0.1〜20重量%、特に0.5〜10重量%の、シラン基と架橋可能な基を含有しない、室温において固体の少なくとも1つの添加剤、
5〜65重量%、好ましくは20〜60重量%の顔料および充填剤、ならびに0.01〜25重量%の補助物質および添加剤、特に、触媒、カップリング剤;安定化剤および/または可塑剤
を含有してよい。
全ての構成成分は、合計して100重量%となる。
【0061】
本発明の接着剤は、構成成分を混合することによって製造することができる。この場合、高温で混合することが、より容易に流動性の組成物が混合されるため、有利である。また、組成物を押出機で連続的に製造することも可能である。添加および混合の順序は、個々の構成成分の粘度、粘稠性および量による。固体は、液状構成成分に均一に分散すべきである。個々の構成成分が分離し得ないように、良好な混合が必要である。個々の構成成分を乾燥することが、良好な貯蔵安定性を確保されるため、便利であり得る。製造方法は原則として既知であり、原料の選択に応じて、当業者は容易に決定できる。
【0062】
本発明の架橋されていない接着剤は、室温(23℃)で固体である。本発明では、室温で固体であるとは、架橋されていない接着剤が、300Pa・sよりも大きな粘度を有することを意味すると理解されたい。接着剤のこの高い粘度は、物理的方法、プレート−プレート測定ヘッド、D=10sec−1で測定する。本発明の接着剤は、実施において安定である。これに関し、適用した接着剤(フイルム厚み1cm/垂直方向に位置)は、自発的に流れるものではない。本発明の接着剤を、例えば100℃までの温度で、加熱により軟化させてよい。接着剤組成物は、無溶媒であるのが便利である。これに関し、適用に良好な粘度は、適用温度で、例えば40〜100℃の温度で、5〜200Pa・sである。適用温度での粘度は、好ましくは20〜100Pa・sである。適用粘度は適用温度に影響される。成分の選択を通じて、室温で固体の接着剤が得られ、それは適用温度で低粘度であり、適用後冷却され、次いで、迅速に高い初期強度がもたらされる。
【0063】
本発明の接着剤は、優れた初期強度を示すことがわかった。他の高粘度接着剤を適用することは知られており、これらは化学反応によって基材に接着する。しかしながら、これらは、冷却しても、室温で固体にはならず、むしろ流動性のままである。その結果、共に接合させたパーツを、架橋が起こるまで、相互に離したままにしておくことができる。本発明の接着剤は、室温まで冷却後に、優れた初期強度を示す。初期強度は、単純な試験方法で測定され、2つの基材を、接着により互いに結合し、垂直方向に固定する。錘を1つの固定されていない基材に載せ、第二の基材が第一の基材から滑って離れるまでの時間を測定する。既知の流動性接着剤は、負荷の下、15秒未満で互いに対し滑るが、本発明の接着剤では、滑りは見られない。初期強度は、顕著に改良されている。
【0064】
本発明の接着剤は、ほんのわずかな高温で、良好な適用粘度を示す。異なる化学的基準で製造された、既知のホットメルト接着剤とは対照的に、本発明の接着剤は100℃を超えて加熱する必要はない。そのため、厚い層を有する場合でさえ、迅速な冷却が見られ、さらに、接着剤および基材の熱負荷は、より低い。40〜100℃、特に50〜90℃の温度で、基材に適用することができる。
【0065】
本発明の接着剤を、種々の結合に用いることができる。例えば、本発明の接着剤を加熱し、低粘度の塊として適用する。該接着剤を、ビーズの形態で適用してもよい。次いで、固体基材を正しく組み立てる。冷却に際し、接着剤組成物は再び固体となり、迅速に良好な初期強度(未硬化強度)を生じる。次いで、結合したパーツを次に搬送し、貯蔵し、またはさらに加工してもよい。接着強度は、慣習の加工操作の間に、結合したパーツが滑るのを妨げるのに十分である。
【0066】
別の態様は、予め形成させたギャップ、溝または接合への、本発明の接着剤の適用を含む。次いで、高い初期強度が冷却によって生じる。
【0067】
別の可能な適用は、接着により軟質基材を結合するための接着剤の使用である。例えば、接着剤を硬質基材または軟質基材に、広範に適合することが可能である。第二の平坦な基材、例えば、軟質フィルムを次いで適用する。その後、2つの基材を共にプレスする。基材は滑り止め方法で、共に迅速に接合される。慣用の雰囲気条件下で貯蔵する場合、雰囲気中の水分と化学的に反応することにより接着剤は確実に架橋し、したがって、硬度、接着性および弾性が高まる。
【0068】
本発明の接着剤は、接着により種々の基材を結合するのに用いることができる。例えば、ガラス、アルミニウム、金属、セラミック、プラスチック材料または木質基材のような硬質基材および、任意に、塗装された表面または他の被覆表面も、接着により共に結合できる。さらに、プラスチックフイルムまたは金属ホイルのような軟質基材もまた、接着により互いに、または固体基材と結合させることもできる。全表面結合を生じさせることもできるが、同様に、本発明の接着剤のストリップを、固体基材の端に適用することもできるため、このストリップを、限定領域で別の基材に結合させる。次いで、接着剤を15mmまでのより厚い層に用いることもできる。
【0069】
本発明より接着結合させた基材は、高温安定性、光安定性、および耐候性を示す。永続的なUV照射下においてさえ、例えば光起電性設備またはその構成部分においてさえ、接着剤のポリマーの分解は見られない。基材への接着も安定している。さらなる利点は接着剤の高い柔軟性である。結合させた基材を、屋外の天候にさらすと、接着剤はまた、高温で弾性のままである。相互に対する基材の生じうる熱膨張による、接着結合の破壊は起こらない。
【0070】
本発明の原料の選択を通じ、シラン基による架橋可能な接着剤が得られ、これは低い適用温度を示し、同時に高い初期強度を生じさせるため、より迅速な加工が可能になる。選択した架橋系の結果、既知のNCO硬化系よりも職業衛生的な観点から問題が少なく、かつ良好な特性プロフィールを有する接着剤が得られる。
【0071】
本発明により結合させた部品を、種々の分野で用いることができる。例えば、それらを、プラント部品用の構造接着剤、または固体基材へ軟質フイルムを接着結合するための構造接着剤として、ビルディングセクターで用いることができる。
【実施例】
【0072】
【表1】

【表2】

1)x=測定不能
2)=滑りなし
3)=ゆっくりと滑る(>5分)
4)=即時に滑る
【0073】
初期強度(ポジションタック)の測定方法
接着剤を硬質基材(層厚み約2mm)に適用する。次いで、これをわずかな圧力下で、第二の基材に直ちに結合させる。結合させた領域は、100×15mmである。5分待機後、組立部品を1つの基材部品で垂直に吊るす。錘を他の基材パーツに固定し、滑りまでの時間を測定する。
【0074】
300gの錘:
液状/粘性の比較接着剤の場合、第二の基材は滑り落ちる。
【0075】
本発明の実施例を用いた接着結合では、結合表面の滑りは10分間の後に見られない。
【0076】
1000gの錘: 実施例3の組成物を用いる接着結合では、滑りは認められない。実施例1および2では、結合のゆっくりとした滑りが、5分にわたり見られ得る。
【0077】
原料:
可塑剤:Mesamoll
光安定化剤:Tinuvin
乾燥剤:Silane VTMO
カップリング剤:Silane AMMO
固体接着剤1: Arkon P125
固体接着剤2: Dynacoll 7490
プレポリマー1: MSポリマーS303
プレポリマー2: Geniosil STP-E10

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する、少なくとも1つの流動性ポリオキシアルキレンまたはポリアクリレートプレポリマー、
b)40〜150℃の軟化点を有する、炭化水素樹脂、ポリエステルまたはポリアミドから選択される、室温で固体の少なくとも1つの不活性な添加剤、ならびに
c)補助物質および添加剤
を含有する、一成分系湿分硬化型固体接着剤。
【請求項2】
接着剤が50〜100℃において5〜200Pa・sの粘度を示す、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
接着剤が23℃において安定であって、300Pa・sよりも大きな粘度を示す、請求項1または2に記載の接着剤。
【請求項4】
プレポリマーが少なくとも2つ、特に2〜4つの加水分解性シラン基を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤。
【請求項5】
特にC〜Cアルカノールの、トリアルコキシシラン基またはアルキルジアルコキシシラン基が加水分解性シラン基として存在する、請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤。
【請求項6】
固体添加剤が0.1〜20重量%の量で存在する、請求項1〜6のいずれかに記載の接着剤。
【請求項7】
固体添加剤が+/−15℃の軟化範囲、特に+/−8℃の軟化範囲を示す、請求項1〜6のいずれかに記載の接着剤。
【請求項8】
固体添加剤が微粉砕された形態で存在する、請求項1〜7のいずれかに記載の接着剤。
【請求項9】
固体添加剤がシラン基と反応する基を含有しない、特にシラン基を含有しない、請求項1〜8のいずれかに記載の接着剤。
【請求項10】
触媒、カップリング剤、顔料、安定化剤および/または可塑剤が補助物質および添加剤として存在する、請求項1〜9のいずれかに記載の接着剤。
【請求項11】
可塑剤が存在しないか、またはエステル、アミド、OHまたは(CO)基のような極性基を含む少なくとも1つの可塑剤が存在するかのいずれである、請求項10に記載の接着剤。
【請求項12】
− 5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の、少なくとも1つのシラン基、特に2〜4つのシラン基を有する1つ以上のプレポリマー、
− 0.1〜20重量%、特に0.5〜10重量%の、室温で固体の少なくとも1つの添加剤、
− 5〜65重量%、好ましくは20〜60重量%の顔料および充填剤、ならびに
− 0.01〜25重量%の補助物質および添加剤、特に触媒、カップリング剤および/または可塑剤
が存在し、合計が100%となることが意図される、請求項1〜11のいずれかに記載の接着剤。
【請求項13】
ガラス、金属、セラミック、木および/またはプラスチックの基材を接着結合するための、請求項1〜12のいずれかに記載の接着剤の使用。
【請求項14】
硬質基材または軟質基材を接着結合するための接着剤およびシーラントとしての請求項13に記載の使用。

【公表番号】特表2012−521451(P2012−521451A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501201(P2012−501201)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051096
【国際公開番号】WO2010/108716
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】