説明

シラン系化合物およびこれを含む感光性樹脂組成物

【課題】本発明は、基板との接着力が増加し、感光性樹脂組成物の現像性を向上させることができる新規のシラン系化合物、これを含む感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光材、およびこれを利用して製造された電子素子を提供する。
【解決手段】本発明のシラン系化合物は下記化学式(1)で表示される;下記化学式(1)において、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはそれぞれ独立的にハロゲン基または−C(Rであり、Rはハロゲン基であり、aは1〜5である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年8月4日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2011−0077769号の出願日の利益を主張し、その内容すべては本明細書に含まれる。
【0002】
本出願は、新規のシラン系化合物、これを含む感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光材、およびこれを利用して製造された電子素子に関する。
【背景技術】
【0003】
感光性樹脂組成物は基板上に塗布されて塗膜を形成し、この塗膜の特定部分にフォトマスクなどを利用して光照射による露光を実施した後、非露光部を現像処理して除去することによってパターンを形成するのに使用される。
【0004】
このような感光性樹脂組成物は、光を照射して硬化させることが可能であるため、光硬化性インク、感光性印刷板、各種フォトレジスト、LCD用カラーフィルタフォトレジスト、樹脂ブラックマトリクス用フォトレジスト、または透明感光材などに利用されている。
【0005】
感光性樹脂組成物は、通常、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和結合を持つ重合性化合物、光重合開始剤、および溶媒を含む。
【0006】
感光性樹脂組成物において、現像時間を短縮させたり感度を改善するなどの現像性改善は、生産効率の向上などにおいて重要な問題である。
【0007】
従来には、バインダ樹脂の製造時に過量の酸基モノマを投入することにより、バインダ樹脂内の酸基モノマの割合を高める方法が用いられていた。しかし、高い酸価を持つバインダ樹脂は、光重合性官能基の導入時に常用の溶媒に対する溶解度が低くて重合途中に沈澱が生じ、所望する分子量を得ることができないなどの問題がある。さらに、バインダ樹脂の製造時に酸基モノマの割合を高くする場合、他の特性を付与するモノマの割合が相対的に低くなり、他の特性を害するようになる。
したがって、当技術分野では、感光性樹脂組成物における現像性改善のための多様な研究が必要な実情にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願が解決しようとする課題は、基板との接着力が増加し、感光性樹脂組成物の現像性を向上させることができる新規のシラン系化合物、これを含む感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光材、およびこれを利用して製造された電子素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の一実施形態は、下記化学式(1)で表示されるシラン系化合物を提供する。
【化1】

前記化学式(1)において、
は炭素数1〜5のアルキル基であり、
はそれぞれ独立的にハロゲン基または−C(Rであり、
はハロゲン基であり、
aは1〜5である。
【0010】
本出願の一実施形態は、前記化学式(1)で表示されるシラン系化合物、バインダ樹脂、エチレン性不飽和結合を含む重合性化合物、光活性化合物、および溶媒を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0011】
本出願の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を利用して製造された感光材を提供する。
【0012】
本出願の一実施形態は、前記感光材を含むカラーフィルタを提供する。
【0013】
本出願の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を基板に塗布するステップ、および前記塗布された感光性樹脂組成物を露光および現像するステップを含む感光材の製造方法を提供する。
【0014】
本出願の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を利用して製造された電子素子を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本出願の一実施形態に係る化学式(1)で表示されるシラン系化合物を含む感光性樹脂組成物は、基板との接着力が増加して現像性が優れるだけでなく、以後の工程における表面の染みや欠陥がないという特徴がある。したがって、前記感光性樹脂組成物を利用することにより、感光材やカラーフィルタなどを優れた品質で生産することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本出願をより詳細に説明する。
本出願の一実施形態に係るシラン系化合物は、下記化学式(1)で表示されることを特徴とする。
【化1】

前記化学式(1)において、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、具体的にメチル基またはエチル基であることができる。
前記Rはそれぞれ独立的にハロゲン基、または−C(Rであることができ、Rはハロゲン基であることができる。具体的に、RはFまたはCF3であることができる。
前記aは1〜5であることができ、具体的に1または2であることができる。
【0017】
本出願の一実施形態に係るシラン系化合物において、前記化学式(1)の置換基をより具体的に説明すれば下記のとおりである。
【0018】
前記アルキル基は、直鎖または分枝鎖であることができ、具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などがあるが、これらにのみ限定されることはない。
【0019】
前記ハロゲン基としては、F、Cl、Br、またはIであることがある。
【0020】
前記化学式(1)のシラン系化合物は、より好ましくは下記表1の化学式(2)〜化学式(9)のうちのいずれか1つで表示される化合物であることができる。
【0021】
【表1】

【0022】
本出願の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、化学式(1)で表示されるシラン系化合物、バインダ樹脂、エチレン性不飽和結合を含む重合性化合物、光活性化合物、および溶媒を含む。
【0023】
本出願の一実施形態に係る感光性樹脂組成物において、前記化学式(1)で表示されるシラン系化合物は、基板との接着力を向上させる接着促進剤の役割をする。
【0024】
前記感光性樹脂組成物内の接着促進剤として、従来では下記構造式のシラン系化合物を主に使用した。

【0025】
しかし、本出願の一実施形態では、感光性樹脂組成物内の接着促進剤として前記化学式(1)で表示されるシラン系化合物を含むことにより、基板との接着力が増加して現像性が優れるだけでなく、以後の工程における表面の染みや欠陥がないという特徴がある。したがって、前記感光性樹脂組成物を利用することにより、感光材やカラーフィルタなどを優れた品質で生産することができる。
【0026】
前記化学式(1)で表示されるシラン系化合物の含量は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として0.01〜5重量%であることが好ましい。
【0027】
本出願の一実施形態に係る感光性樹脂組成物において、前記化学式(1)で表示されるシラン系化合物以外の他の構成成分に対する具体的な内容は下記のとおりである。
【0028】
本出願の一実施形態に係る感光性樹脂組成物において、前記バインダ樹脂はアルカリ可溶性樹脂であって、機械的強度を付与するモノマとアルカリ溶解性を付与するモノマの共重合樹脂を利用することができる。
【0029】
前記膜の機械的強度に寄与することができるモノマとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アシルオクチルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1、1、1、3、3、3−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルメタアクリレート、ジシクロペンテニルメタアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イソボルニルメタアクリレート、アダマンチルメタアクリレート、メチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα−ヒドロキシメチルアクリレート、およびブチルα−ヒドロキシメチルアクリレートからなる基より選択された1種以上の不飽和カルボキシ酸エステル類、
スチレン、α−メチルスチレン、(o、m、p)−ビニルトルエン、(o、m、p)−メトキシスチレン、および(o、m、p)−クロロスチレンからなる基より選択された芳香族ビニル類、
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、およびアリルグリシジルエーテルからなる基より選択された不飽和エーテル類、
N−フェニルマレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、およびN−シクロヘキシルマレイミドからなる基より選択された不飽和イミド類、および
無水マレイン酸または無水メチルマレイン酸のような無水マレイン酸類からなる群より選択される1種、好ましくは2種以上を使用することができるが、これらにのみ限定されることはない。
【0030】
また、アルカリ溶解性を付与するモノマとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、5−ノボネン−2−カルボキシル酸、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルフタレート、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、およびω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上を使用することが好ましいが、これらにのみ限定されることはない。
【0031】
また、前記モノマ以外にも、下記化学式(10)で表現されるバインダ樹脂を使用することもできる。
【化10】

前記化学式(10)において、Rxは五員環のカルボン酸無水物またはジイソシアネートが付加反応して結合を形成する構造であり、Ryは水素、アクリロイル、およびメタアクリロイルより選択されたものであり、nは3〜8である。
【0032】
前記Rxを構成するカルボン酸無水物の具体化合物の例としては、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2、2−ジメチルコハク酸無水物、イソブテニルコハク酸無水物、1、2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、イタコン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノボネン−2、3−ジカルボン酸無水物、メタル−5−ノボネン−2、3−ジカルボン酸無水物、1、2、3、4−シクロブタンテトラカルボン酸ジ無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2、3−ジメチルマルレインサン無水物、1−シクロペンテン−1、2−ジカルボン酸二無水物、3、4、5、6−テトラヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、ビスフタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3、6−ジクロロフタル酸無水物、3−ヒドロフタル酸無水物、1、2、4−ベンゼントリカルボン酸無水物、4−ニトロフタル酸無水物、およびジエチレングリコール−1、2−ビストリメリック酸無水物からなる基より選択された1種以上であるが、これらにのみ限定されることはない。
【0033】
前記Rxを構成するジイソシアネートの具体的な例を挙げれば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1、2−プロピレンジイソシアネート、2、3−ブチレンジイソシアネート、1、3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2、4、4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、w、w'−ジイソシアネート1、3−ジメチルベンゼン、w、w'−ジイソシアネート−1、4−ジメチルベンゼン、w、w'−ジイソシアネート−1、3−ジエチルベンゼン、1、4−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1、3−テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1、3−シクロペンタンジイソシアネート、1、3−シクロヘキサンジイソシアネート、1、4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2、4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2、6−シクロヘキサンジイソシアネート、4、4'−メチレンビスイソシアネートメチルシクロヘキサン、2、5−イソシアネートメチルビシクロ[2、2、2]ヘプタン、および2、6−イソシアネートメチルビシクロ[2、2、1]ヘプタンからなる基より選択された1種以上であるが、これに限定されることはない。
【0034】
前記バインダ樹脂の重量平均分子量は1、000〜50、000g/mol、好ましくは2、000〜30、000g/molであることができる。前記バインダ樹脂の重量平均分子量が1、000以上の場合は、耐熱性および耐化学性が好ましく、50、000以下の場合は、現像液に対する溶解度が低くなって現像が行われなかったり、溶液の粘度が過度に増加して均一な塗布が困難になるなどの問題を防ぐことができる。
【0035】
前記バインダ樹脂の酸価は30〜300KOHmg/g、好ましくは約50〜150KOHmg/gであることができる。酸価が30KOHmg/g以上の場合は、現像が適切に行われて綺麗なパターンを得ることができ、300KOHmg/g以下の場合は、ウォッシュアウト特性が過度に向上してパターンが剥がれ落ちるという問題を防ぐことができる。
【0036】
本出願の一実施形態において、前記バインダ樹脂の含量は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として1〜20重量%であることが好ましいが、これにのみ限定されることはない。バインダ樹脂の含量が1重量%以上であれば、アルカリ水溶液を利用したパターニングが適切に行われるという効果があり、現像液に対する可溶性が現われず、パターン形成が困難になるという問題を防ぐことができ、20重量%以下であれば、現像工程時にパターンの流失が発生することを防ぎ、全体溶液の粘度が過度に高くなってコーティングに困難が生じるという問題を防ぐことができる効果がある。
【0037】
本出願の一実施形態に係る感光性樹脂組成物において、前記エチレン性不飽和結合を含む重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を持つものであって、具体的には、分子内に少なくとも1つ以上の付加重合が可能な不飽和基を持ち、沸点が100℃以上である化合物またはカプロラクトンを導入した官能性モノマを使用することができる。
【0038】
前記分子内に少なくとも1つ以上の付加重合が可能な不飽和基を持つ沸点が100℃以上の化合物としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、およびフェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる基より選択された1種以上の単官能性モノマ、またはポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、およびジペンタエリトリトールヘクサアクリレートからなる基より選択された1種以上の多官能性モノマを使用することができる。
【0039】
また、前記カプロラクトンを導入した多官能性モノマとしては、ジペンタエリトリトールに導入したKAYARAD DPCA−20、30、60、120、テトラヒドロフリルアクリレートに導入したKAYARAD TC−110S、およびネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートに導入したKAYARAD HX−220、KAYARAD HK−620などを使用することができる。
【0040】
前記モノマ以外にも、ビスフェノールA誘導体のエポキシアクリレート、ノボラック−エポキシアクリレート、ウレタン系の多官能性アクリレートであるU−324A、U15HA、U−4HAなどを使用することができ、前記エチレン性不飽和二重結合を持つ官能性モノマは、単独または2種以上を混合して使用することもできる。
【0041】
本出願の一実施形態において、前記エチレン性不飽和結合を含む重合性化合物は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として1〜30重量%(樹脂組成物の固形粉基準5〜50重量%となるように含む)で含まれることが好ましく、その含量が1重量%以上であれば、光による仮橋反応の進行に好ましくて光感度やコーティングフィルムの強度が低下せず、30重量%以下であれば、アルカリに対する可溶性が低下してパターン形成が困難になるという問題を防ぐことができ、感光性樹脂層の粘着性が過剰してフィルムの強度が十分でないという問題を防ぐことができる。
【0042】
本出願の一実施形態に係る感光性樹脂組成物において、前記光活性化合物は、光によってラジカルを発生させて仮橋を触発する材料であって、光開始剤とも呼ばれ、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、およびオキシム系化合物からなる群より1種以上選択される化合物を混合して使用することが好ましい。
【0043】
前記光活性化合物として使用可能なアセトフェノン系化合物としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル(4−メチルチオ)フェニル−2−モルホリノ−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(4−ブロモ−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、および2−メチル1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンからなる基より選択されたものであり、
ビイミダゾール系化合物としては、2、2−ビス(2−クロロフェニル)−4、4'、5、5'−テトラフェニルビイミダゾール、2、2'−ビス(o−クロロフェニル)−4、4'、5、5'−テトラキス(3、4、5−トリメトキシフェニル)−1、2'−ビイミダゾール、2、2'−ビス(2、3−ジクロロフェニル)−4、4'、5、5'−テトラフェニルビイミダゾール、および2、2'−ビス(o−クロロフェニル)−4、4、5、5'−テトラフェニル−1、2'−ビイミダゾールからなる基より選択されたものであり、
トリアジン系化合物としては、3−{4−[2、4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオネート、1、1、1、3、3、3−ヘキサフルオロイソプロピル−3−{4−[2、4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオネート、エチル−2−{4−[2、4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}アセテート、2−エポキシエチル−2−{4−[2、4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}アセテート、シクロヘキシル−2−{4−[2、4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}アセテート、ベンジル−2−{4−[2、4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}アセテート、3−{クロロ−4−[2、4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオネート、3−{4−[2、4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオンアミド、2、4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリルs−トリアジン、2、4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル)−1、3、−ブタジエニル−s−トリアジン、および2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジンからなる基より選択されたものであり、
オキシム系化合物としては、1、2−オクタジオン−1−(4−フェニルチオ)フェニル−2−(o−ベンゾイルオキシム)(チバガイギー社、CGI 124)、およびエタノン−1−(9−エチル)−6−(2−メチルベンゾイル−3−イル)−1−(o−アセチルオキシム)(CGI 242)などがある。
【0044】
本出願の一実施形態において、前記光活性化合物の含量は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として0.1〜5重量%であることが好ましいが、これにのみ限定されることはない。前記含量が0.1重量%以上であれば、十分な感度を出すことができ、5重量%以下であれば、極めて高いUV吸収によってUV光が底まで伝わらないという問題を防ぐことができる。
【0045】
また、前記光活性化合物は補助成分であって、前記光活性化合物100重量部に対してラジカルの発生を促進させる光架橋増減剤0.01〜10重量部、または硬化を促進させる硬化促進剤0.01〜10重量部を追加で含むことができる。
【0046】
前記光架橋増減剤は、ベンゾフェノン、4、4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2、4、6−トリメチルアミノベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、3、3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3、3、4、4−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノンなどのフルオレノン系化合物;チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルオキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;キサントン、2−メチルキサントンなどのキサントン系化合物;アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、2、6−ジクロロ−9、10−アントラキノンなどのアントラキノン系化合物;9−フェニルアクリジン、1、7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1、5−ビス(9−アクリジニルペンタン)、1、3−ビス(9−アクリジニル)プロパンなどのアクリジン系化合物;ベンジル、1、7、7−トリメチルビシクロ[2、2、1]ヘプタン−2、3−ジオン、9、10−ペンアントレンキノンなどのジカルボニル化合物;2、4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド系化合物;メチル4−(ジメチルアミノ−)ベンゾエートエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートなどのベンゾフェノン系化合物;2、5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2、6−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘクサノン、2、6−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロペンタノンなどのアミノシナジズト;3、3−カルボニルビニル−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾール)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−ベンゾイル−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、10、10−カルボニルビス[1、1、7、7−テトラメチル−2、3、6、7−テトラヒドロ−1H、5H、11H−C1]−ベンゾピラノ−[6、7、8−ij]−キノリジン−11−オンなどのクマリン系化合物;4−ジエチルアミノカルコン、4−アジドベンザルアセトフェノンなどのカルコン化合物;2−ベンゾイルメチレン、または3−メチルb−ナフトチアゾリンなどを使用することができる。
【0047】
また、前記硬化促進剤としては、2−メカプトベンゾイミダゾール、2−メカプトベンゾチアゾール、2−メカプトベンゾオキサゾール、2、5−ジメカプト−1、3、4−チアジアゾール、2−メカプト−4、6−ジメチルアミノピリジン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メカプトアセテート)、ペンタエリスリトールトリス(2−メカプトアセテート)、トリメチロールプロパン−トリス(2−メカプトアセテート)、およびトリメチロールプロパン−トリス(3−メカプトプロピオネート)からなる基より選択された1種以上を使用することができる。
【0048】
本出願の一実施形態に係る感光性樹脂組成物において、前記溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、1、2−ジクロロエタン、1、1、1−トリクロロエタン、1、1、2−トリクロロエタン、1、1、2−トリクロロエテン、ヘクサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノールエチルアルコール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、t−ブタノール、2−エトキシプロパノール、2−メトキシプロパノール、3−メトキシブタノール、シクロヘクサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロペルレングリコールエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、およびブチルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどからなる群より選択される1種以上を使用することが好ましいが、これらにのみ限定されることはなく、当技術分野に知られている溶媒を使用することもできる。
【0049】
本出願の一実施形態において、前記溶媒の含量は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として40〜95重量%であることが好ましいが、これにのみ限定されることはない。
【0050】
また、本出願の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、用途に応じて着色剤、熱重合抑制剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤、または界面活性剤などの添加剤を1つまたは2つ以上追加で含むことができる。
【0051】
前記着色剤としては、1種以上の顔料、染料、またはこれらの混合物を使用することができる。具体的に例示すれば、黒色顔料としては、カーボンブラック、黒煙、チタンブラックなどのような金属酸化物などを使用することができる。カーボンブラックの例としては、シスト 5HIISAF−HS、シスト KH、シスト 3HHAF−HS、シスト NH、シスト 3M、シスト 300HAF−LS、シスト 116HMMAF−HS、シスト 116MAF、シスト FMFEF−HS、シスト SOFEF、シスト VGPF、シスト SVHSRF−HS、およびシスト SSRF(東海カーボン(株))、ダイヤグラムブラック II、ダイヤグラムブラック N339、ダイヤグラムブラック SH、ダイヤグラムブラック H、ダイヤグラム LH、ダイヤグラム HA、ダイヤグラム SF、ダイヤグラム N550M、ダイヤグラム M、ダイヤグラム E、ダイヤグラム G、ダイヤグラム R、ダイヤグラム N760M、ダイヤグラム LR、#2700、#2600、#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#900、MCF88、#52、#50、#47、#45、#45L、#25、#CF9、#95、#3030、#3050、MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA40、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30BおよびOIL31B(三菱化学(株))、PRINTEX−U、PRINTEX−V、PRINTEX−140U、PRINTEX−140V、PRINTEX−95、PRINTEX−85、PRINTEX−75、PRINTEX−55、PRINTEX−45、PRINTEX−300、PRINTEX−35、PRINTEX−25、PRINTEX−200、PRINTEX−40、PRINTEX−30、PRINTEX−3、PRINTEX−A、SPECIALBLACK−550、SPECIALBLACK−350、SPECIALBLACK−250、SPECIALBLACK−100、およびLAMPBLACK−101(テグ社(株))、RAVEN−1100ULTRA、RAVEN−1080ULTRA、RAVEN−1060ULTRA、RAVEN−1040、RAVEN−1035、RAVEN−1020、RAVEN−1000、RAVEN−890H、RAVEN−890、RAVEN−880ULTRA、RAVEN−860ULTRA、RAVEN−850、RAVEN−820、RAVEN−790ULTRA、RAVEN−780ULTRA、RAVEN−760ULTRA、RAVEN−520、RAVEN−500、RAVEN−460、RAVEN−450、RAVEN−430ULTRA、RAVEN−420、RAVEN−410、RAVEN−2500ULTRA、RAVEN−2000、RAVEN−1500、RAVEN−1255、RAVEN−1250、RAVEN−1200、RAVEN−1190ULTRA、RAVEN−1170(コロンビアカーボン(株))、またはこれらの混合物などがある。また、色を帯びる着色剤の例としては、カミン 6B(C.I.12490)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、フェリレンブラック(BASF K0084.K0086)、シアニンブラック、リノールイエロー(C.I.21090)、リノールイエローGRO(C.I.21090)、ベンジジンイエロー4T−564D、ビクトリアピュアブルー(C.I.42595)、C.I.PIGMENT RED3、23、97、108、122、139、140、141、142、143、144、149、166、168、175、177、180、185、189、190、192、202、214、215、220、221、224、230、235、242、254、255、260、262、264、272、C.I.PIGMENT GREEN7、36、C.I.PIGMENT blue15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、28、36、60、64、C.I.PIGMENT yellow13、14、35、53、83、93、95、110、120、138、139、150、151、154、175、180、181、185、194、213、C.I.PIGMENT VIOLET15、19、23、29、32、37などがあり、この他にも白色顔料、蛍光顔料などを利用することもできる。顔料として使用されるフタロシアニン系錯化化合物としては、銅の他に亜鉛を中心金属とする物質も使用可能である。
【0052】
前記接着促進剤は、前記化学式(1)で表示される化合物の他に、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)−シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ−プロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ−プロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノ−プロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3、4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、および3−メカプトプロピルトリメトキシシルランからなる基より選択された1種以上を追加で使用することができる。
【0053】
前記酸化防止剤は、2、2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、または2、6−g、t−ブチルフェノールなどを使用することができ、前記紫外線吸収剤は、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、またはアルコキシベンゾフェノンなどを使用することができる。
【0054】
また、前記熱重合抑制剤としては、例えば、p−アニソル、ヒドロキノン、ピロカテコール(pyrocatechol)、t−ブチルカテコール(t−butylcatechol)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロカロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4、4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2、2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メカプトイミダゾール、およびフェノチアジン(phenothiazine)からなる群より選択された1種以上を含むことができるが、これらにのみ限定されることはなく、当技術分野に一般的に知られているものなどを含むことができる。
【0055】
前記分散剤としては、高分子形、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性分散剤を使用することができる。このような分散剤の非制限的な例としては、ポリアルキレングリコールおよびこのエステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール、エステルアルキレンオキサイド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、ソルホン酸塩、カルボキシル酸エステル、カルボキシル酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを含むことができ、これらのうちから選択された1種または2種以上の混合物を使用することができるが、これらにのみ限定されることはない。
【0056】
前記界面活性剤としては、MCF 350SF、F−475、F−488、F−552(以下、DIC社)などを含むことができるが、これらにのみ限定されることはない。
【0057】
その他のレベリング剤、光増減剤、可塑剤、または充填剤なども、従来の感光性樹脂組成物に含まれるすべての化合物が使用されることができる。
【0058】
その他に、本出願の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、機能性を持つ樹脂バインダ、多官能性モノマ、減放射線性化合物、およびその他の添加剤からなる群より1種以上選択される二次添加剤を追加で含むことができる。
【0059】
本出願の一実施形態において、前記着色剤の含量は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として1〜20重量%であることが好ましく、その他の残りの添加剤の含量は、それぞれ独立的に感光性樹脂組成物の総重量を基準として0.01〜5重量%であることが好ましい。
【0060】
また、本出願の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を含む感光材を提供する。前記感光材は感光性樹脂組成物を含む。
【0061】
本出願の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、カラーフィルタ製造用顔料分散型感光材、例えば、TFT LCDカラーフィルタ製造用顔料分散型感光材、ブラックマトリクス形成用感光材、例えば、TFT LCDあるいは有機発光ダイオードのブラックマトリクス形成用感光材、オーバーコート層形成用感光材、カラムスペーサ感光材に使用されることが好ましいが、光硬化性塗料、光硬化性インク、光硬化性接着促進剤、印刷板、印刷配線板用感光材、その他の透明感光材、PDP製造などにも使用することができ、その用途に特に制限はおかない。特に、本出願の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、カラーフィルタ用感光材またはブラックマトリクス用感光材に使用されることが好ましい。
【0062】
また、本出願の一実施形態に係る感光材の製造方法は、前記感光性樹脂組成物を基板に塗布するステップ、および前記塗布された感光性樹脂組成物を露光および現像するステップを含む。
【0063】
本出願の一実施形態に係る感光材の製造方法において、前記感光性樹脂組成物を基板に塗布するステップは、例えば、基板上に当技術分野に知られた方法を利用して塗布することができる。より具体的に、前記感光性樹脂組成物を塗布する方法は、スプレー(spray)法、ロール(roll)コーティング法、回転(spin)コーティング法、バー(bar)コーティング法、スリット(slit)コーティング法などを利用することができるが、これらにのみ限定されることはない。
【0064】
このとき、前記基板は、金属、紙、ガラス、プラスチック、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどを使用することができ、これらの基板は目的に応じてシランカップリング剤による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの適切な前処理を実施することができる。また、前記基板は、選択的に駆動用薄膜トランジスタが置かれていることがあり、窒化したケイ素膜がスパッタリングされていることがある。
【0065】
本出願の一実施形態に係る感光材の製造方法において、前記塗布された感光性樹脂組成物を露光および現像するステップをより具体的に説明すれば、プリベークされた塗布膜を所定のパターンマスクを通じて紫外線を照射し、アルカリ水溶液によって現像して不必要な部分を除去してパターンを形成することができる。このとき、現像方法としては、ディッピング(dipping)法、シャワー(shower)法などを制限なく適用することができる。現像時間は、通常は約30〜180秒である。前記現像液としてはアルカリ水溶液であって、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ類;エチルアミン、N−プロピルアミンなどの1級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミンなどの3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエチルアルコールアミンなどの3級アルコールアミン類;ピロール、ピペリジン、n−メチルピペリジン、n−メチルピロリジン、1、8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1、5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネンなどの環状3級アミン類;ピリジン、コリジン、ルチジン、キロリンなどの芳香族3級アミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩の水溶液などを使用することができる。
【0066】
現像後、流水洗浄を約30〜90秒間に渡って実行し、空気または窒素で乾燥させることによってパターンを形成することができる。このパターンをホットプレート(hot plate)やオーブン(oven)などの加熱装置を利用してポストベーク(post−bake)を通じて完成した感光材パターンを得ることができる。このとき、ポストベークの条件は、150〜250℃で約10〜90分間に渡って加熱することが好ましい。
【0067】
前記感光性樹脂組成物を硬化させるための光源としては、例えば、波長が250〜450nmの光を発散する水銀蒸気アーク(arc)、炭素アーク、Xeアークなどがあるが、必ずしもこれに限定されることはない。
【0068】
また、本出願の一実施形態は、前記感光材を含むカラーフィルタを提供する。前記カラーフィルタは、本出願の一実施形態に係る感光材を含むことを除いては、当技術分野に知られた通常の方法によって製造されることができる。
【0069】
本出願の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を利用して製造された電子素子を提供する。
【0070】
以下、本出願の理解を助けるために、好ましい実施例を提示する。しかし、後述する実施例は本出願を例示するためのものに過ぎず、これによって本出願の範囲が限定されることはない。また、以下の実施例では、本出願の一実施形態に係る一部の例のみを示しているが、実質的にはこれらの等価物を使用する場合にも、本出願と同じ効果を示すことができることは当業者によって自明である。
【0071】
[合成例1:化合物1の製造]

4−フルオロアニリン44.73g(0.40mol)と3−クロロプロピルトリメトキシシラン20.0g(0.10mol)を250mlの丸底フラスコに入れて130℃で加熱して15時間に渡って還流撹拌させた後、常温で冷却した。トルエン32.4gを投入した後、沈殿物をフィルタで除去した後、余液から真空によって溶媒を除去した。この後、減圧蒸留を進行して約120℃で先に出た残留4−フルオロアニリンを除去した後、約125℃で出る化学式(2)の化合物1を得た(11.3g、収率:41%)。前記化合物1のH−NMRを利用した測定結果は次のとおりである。
1H NMR(500MHz、CDCl、ppm):6.86(2H、t、ArH)、6.52(2H、dd、ArH)、3.57(9H、t、OCH)、3.07(2H、t、CH)、1.80−1.68(2H、m、CH)、0.71(2H、t、CH)。
【0072】
[合成例2:化合物2の製造]

2−フルオロアニリン44.73g(0.40mol)と3−クロロプロピルトリメトキシシラン20.0g(0.10mol)を250mlの丸底フラスコに入れて130℃で加熱して15時間に渡って還流撹拌させた後、常温で冷却した。トルエン32.4gを投入した後、沈殿物をフィルタで除去した後、余液から真空によって溶媒を除去した。この後、減圧蒸留を進行して約120℃で先に出た残留2−フルオロアニリンを除去した後、約125℃で出る化学式(3)の化合物2を得た(10.2g、収率:37%)。前記化合物2のH−NMRを利用した測定結果は次のとおりである。
1H NMR(500MHz、CDCl、ppm):6.98−6.88(2H、t、ArH)、6.68−6.63(2H、m、ArH)、6.58−6.53(1H、m、ArH)、4.02(1H、s、NH)、3.57(9H、t、OCH)、3.15−3.09(2H、m、CH)、1.76−1.68(2H、m、CH)、0.71(2H、t、CH)。
【0073】
[合成例3:化合物3の製造]

3−(トリフルオロメチル)アニリン48.65g(0.30mol)と3−クロロプロピルトリメトキシシラン15.0g(0.0755mol)を250mlの丸底フラスコに入れて130℃で加熱して15時間に渡って還流撹拌させた後、常温で冷却した。エチルアセテート31.8gを投入した後、沈殿物をフィルタで除去した後、余液から真空によって溶媒を除去した。この後、減圧蒸留を進行して約100℃で先に出た残留3−(トリフルオロメチル)アニリンを除去した後、約140℃で出る化学式(4)の化合物3を得た(6.0g、収率:24%)。前記化合物3のH−NMRを利用した測定結果は次のとおりである。
1H NMR(500MHz、CDCl、ppm):7.22(1H、t、ArH)、6.89(1H、d、ArH)、6.78(2H、s、ArH)、6.70(1H、d、ArH)、4.02(1H、s、NH)、3.57(9H、t、OCH)、3.15(2H、t、CH)、1.76−1.70(2H、m、CH)、0.73(2H、t、CH)。
【0074】
[実施例1:感光性樹脂組成物の製造]
ベンジルメタクリレート/メタアクリル酸(BzMA/MAA)(モル比:70/30、Mw:10、000、酸価115 KOH mg/g)の共重合体であるアルカリ可溶性バインダ樹脂10g、エチレン性不飽和結合を持つ重合性化合物であるジペンタエリスリトールヘクサアクリレート14g、界面活性剤であるBYK−3310.06g、接着促進剤として下記表2に表示された前記合成例1で製造された化合物(1)0.3gと、有機溶媒であるPGMEA 72.04gをシェーカを利用して3時間に渡って混合させて感光性樹脂組成物溶液を得た。
【0075】
[実施例2:感光性樹脂組成物の製造]
接着促進剤として下記表2に表示された前記合成例2で製造された化合物(2)0.3gを使用したことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって感光性樹脂組成物を製造した。
【0076】
[実施例3:感光性樹脂組成物の製造]
接着促進剤として下記表2に表示された前記合成例3で製造された化合物(3)0.3gを使用したことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって感光性樹脂組成物を製造した。
【0077】
[比較例1:感光性樹脂組成物の製造]
接着促進剤として下記表2に表示された比較化合物(1)0.3gを使用したことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって感光性樹脂組成物を製造した。
【0078】
[比較例2:感光性樹脂組成物の製造]
接着促進剤として下記表2に表示された比較化合物(2)0.3gを使用したことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって感光性樹脂組成物を製造した。
【0079】
【表2】

【0080】
[実験例1:接着力の測定]
前記実施例1〜3および比較例1〜2で製造した感光性樹脂組成物をガラスにスピンコーティングした後、約110℃で70秒間に渡って熱処理し、厚さが約3.7μmである均等なフィルムを形成した。
【0081】
前記フィルムを直径7μmの円形独立パターン(Isolated Pattern)型フォトマスクを利用して高圧水銀ランプ下で40mJ/cmの露光量によって露光させた後、パターンをpH11.3〜11.9のKOHアルカリ水溶液で現像して脱イオン水で洗浄し、その結果を下記表3に示した。表3において、Oは現像時にパターンの接着力が優れてパターンが残っている場合を意味し、Xはパターンの接着力が低くて現像時にパターン脱落によってすべて流失してパターンが残っていない場合を意味する。
【0082】
[実験例2:保存安全性の測定]
前記実施例1〜3および比較例1〜2の感光性樹脂組成物を製造した直後、毛細管粘度計によって粘度を測定して常温で1ヶ月間に渡って保管した後、同じ毛細管粘度計によって粘度を再測定して粘度変化を観察した。その結果を下記表3に示した。Oは1ヶ月後の粘度が初期粘度と大きな変化なく3%以内の変化を示した場合を意味し、Xは粘度が上昇して粘度が3%以上の変化を示した場合を意味する。
【0083】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表示されるシラン系化合物。
【化1】

前記化学式(1)において、
は炭素数1〜5のアルキル基であり、
はそれぞれ独立的にハロゲン基または−C(Rであり、
はハロゲン基であり、
aは1〜5である。
【請求項2】
前記Rはメチル基またはエチル基であり、
はFまたはCFであり、
aは1または2であることを特徴とする、請求項1に記載のシラン系化合物。
【請求項3】
前記化学式(1)は、下記化学式(2)〜化学式(9)のうちのいずれか1つで表示されることを特徴とする、請求項1に記載のシラン系化合物。
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のシラン系化合物;バインダ樹脂;エチレン性不飽和結合を含む重合性化合物;光活性化合物;および溶媒を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記シラン系化合物の含量は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として0.01〜5重量%であることを特徴とする、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記バインダ樹脂の含量は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として1〜20重量%であることを特徴とする、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記エチレン性不飽和結合を含む重合性化合物の含量は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として1〜30重量%であることを特徴とする、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記光活性化合物の含量は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として0.1〜5重量%であることを特徴とする、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記溶媒の含量は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として40〜95重量%であることを特徴とする、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記感光性樹脂組成物は、着色剤をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記着色剤は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として1〜20重量%で含まれることを特徴とする、請求項10に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記感光性樹脂組成物は、硬化促進剤、熱重合抑制剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、光増減剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤、および界面活性剤からなる群より選択される1つまたは2つ以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記添加剤は、感光性樹脂組成物の総重量を基準としてそれぞれ0.01〜5重量%含まれることを特徴とする、請求項12に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
請求項4に記載の感光性樹脂組成物を利用して製造された、感光材。
【請求項15】
前記感光材は、カラーフィルタ製造用顔料分散型感光材、ブラックマトリクス形成用感光材、オーバーコート層形成用感光材、カラムスペーサ感光材、および印刷配線板用感光材からなる群より選択されることを特徴とする、請求項14に記載の感光材。
【請求項16】
請求項14に記載の感光材を含む、カラーフィルタ。
【請求項17】
請求項4に記載の感光性樹脂組成物を基板に塗布するステップ、および
前記塗布された感光性樹脂組成物を露光および現像するステップを含む、感光材の製造方法。
【請求項18】
請求項4に記載の感光性樹脂組成物を利用して製造された、電子素子。

【公開番号】特開2013−35838(P2013−35838A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173489(P2012−173489)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】