説明

シリアルプリンター装置

【目的】単一のセンサで印字シートのサイズを検知し、そのサイズに合わせて画像をプリントアウトできるようにしたシリアルプリンター装置を提供する。
【構成】プリントヘッド6を搭載したキャリッジ7上に印字シート4のサイズを検出するシート検出手段5と、そのシート検出手段5によって検出されたシートサイズとプリントすべき画像のサイズとを比較するシートサイズ比較手段10と、そのシートサイズ比較手段10からの信号に基づいて、印字可能領域にのみ画像をプリントさせる印字可能領域プリント手段20と画像サイズをシートサイズに縮小してプリントさせる画像サイズ縮小手段14とを設けている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシリアルプリンター装置に係り、詳しくは印字用のシートのサイズを検知してそのサイズに合わせてプリントをおこなうようにしたシリアルプリンター装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プラテンローラによって搬送される印字シートに対してプリントヘッドが左右に走査して印字をおこなうようにしたシリアルプリンター装置では、従来、シートフィーダまたはシートの搬送路上の左右方向に複数のセンサを設けることにより印字シートのサイズを検知していた。つまり、各印字サイズ毎にセンサを配置していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のシリアルプリンター装置では、印字サイズに対応した個数だけセンサを配置していたので、部品点数が多くなり装置が複雑化する上に、規定外のサイズは検出することができなかった。また、印字すべき画像データが印字シートのサイズよりも大きい場合にはプリントすることができず、その都度印字シートを取り替えなければならなかった。
【0004】本発明はこのような実情を考慮してなされ、単一のセンサで印字シートのサイズを検知してそのサイズに合わせて画像をプリントアウトできるようにしたシリアルプリンター装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のシリアルプリンター装置は、上記課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、プリントヘッドを搭載したキャリッジ上に設けられて印字シートのサイズを検出するシート検出手段と、そのシート検出手段から送出される信号を受け、そのシートサイズとプリントすべき画像のサイズとを比較するシートサイズ比較手段と、そのシートサイズ比較手段からの信号に基づいて、印字可能領域にのみ画像をプリントさせる印字可能領域プリント手段と画像サイズをシートサイズに縮小してプリントさせる画像サイズ縮小手段とを具備したことを特徴としている。
【0006】
【作用】キャリッジ上に設けられたシート検出手段が、そのキャリッジとともに印字シート上を左右に移動することにより、その印字シートのサイズを検知することができる。シートサイズ比較手段は、そのシート検出手段からの信号を受け、その印字シートのサイズとプリントすべき画像のサイズとを比較し、その比較値に基づき、その印字シートのサイズに合わせた印字モードでプリントがおこなわれる。すなわち、印字可能領域プリント手段により印字可能領域にのみ画像がプリントされるか、あるいは画像サイズ縮小手段により印字シートのサイズに画像が縮小されてプリントされる。
【0007】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図4はシリアル走査式のインクジェットプリンター装置1のヘッド部2の構成を示し、プラテンローラ3によって送られる印字シート4のサイズを検出するための単一のシート検出手段5が、プリントヘッド6を搭載したキャリッジ7上に設けられている。そのシート検出手段5からの検出信号が、図1に示すように、コントローラ8内の入力処理回路9を経てシートサイズ比較手段10に入力され、ホストコンピュータ11(図2参照)から受信した画像サイズと比較される。
【0008】そして、その比較信号が印字モード調整部12に入力され、自動縮小のモードを設定するためのモード設定スイッチ13がオンされていると、その印字モード調整部12内に設けられている画像サイズ縮小手段14によって画像サイズが印字シート4のサイズに縮小されてプリントアウトされるべく、印字ヘッド駆動回路15(図2参照)、メカ機構駆動回路16が駆動され、出力処理回路17からプリントヘッド6、プラテンモータ18、キャリッジモータ19に制御出力が送出される。
【0009】上述のモード設定スイッチ13がオンされていない場合には、予め設定記憶させた制御プログラム22(図2参照)に従って印字可能領域プリント手段20が作動し、その印字シート4の印字可能領域にのみ画像をプリントアウトさせるようにしている。例えばA4判の画像をB5判の印字シート4にプリントする場合には各行の文字をB5判に収まる文字数に減じて逐次次の行に移行させるようにする。なお、印字シート4のサイズが画像サイズと同一もしくはそれより大きい場合には、そのまま通常の画像データの展開がおこなわれる。
【0010】このように、本装置では、シート検出手段5をキャリッジ7上に設けて印字シート4上を左右に移動走査させることによって、いかなる印字シート4のサイズをも検出することができ、かつ上述したように、そのシート検出手段5によって検出した印字シート4のサイズをプリントすべき画像データのサイズと比較し、印字シート4のサイズの方が小さい場合には印字可能領域にのみプリントさせるか、あるいは画像データを縮小してプリントするようにして印字シート4を取り替えることなく印字できるようにしている。
【0011】より詳しく説明すると、印字シート4のサイズを検知するためのシート検出手段5は、例えば発光素子と受光素子を有する反射型の光センサを採用して印字シート4とプラテンローラ3の光の吸収率の差に基づいて印字シート4を検知し、キャリッジ7とともに紙幅方向に移動走査されることによりそのサイズを検知し、たとえ規定外のサイズであっても正確に検知できるものである。
【0012】そのキャリッジ7は装置本体1aの紙幅方向に張架されたガイドバー24に跨乗してキャリッジモータ25によって移動され、図示は省略するが、左端のホームポジションを基点として右方向に移動走査して走査端から左側に折り返す動作を繰り返しおこなえるように構成されている。すなわち、装置本体1aの両側には、左右一対のプーリ26,27が配置され、両プーリ26,27間に回巻張設されたワイヤ28にキャリッジ7が固定されるとともに、一方のプーリ27をキャリッジモータ25のシャフト25aに固定している。
【0013】そのキャリッジ7に固定された印字ヘッド6は、図示は省略するが、フレキシブルなチューブを介してインクカートリッジと接続され、そのインクカートリッジから供給されるインクを噴射ノズルから印字シート4上に噴射させて画像をプリントする。上述のホームポジションには吐出回復装置が設けられ、インクカートリッジを交換する際等には、その吐出回復装置に取り付けたキャップに印字ヘッド6を対応させて吐出圧を回復できるようになっている。
【0014】一方、印字シート4を供給するためのプラテンローラ3は、その支軸3aの両端が支持部材29,29によって回動自在に支持され、その一端に固定された平歯車30が、プラテンモータ18のシャフト18aに固定された駆動歯車31と噛み合い、給紙方向(矢印)に回転駆動されるようになっている。
【0015】上述のプリントヘッド6、プラテンモータ18およびキャリッジモータ19は、それぞれコントローラ5(図2参照)からの指令によって制御駆動され、予め設定記憶させた制御プログラム22に従い、そのときに検知された印字シート4のサイズに合わせたプリントのための動作がおこなわれる。
【0016】コントローラ5は、各種演算をおこなうCPU21と、そのCPU21を作動させるための制御プログラム22、随時記憶・呼出可能な格納メモリ23、字体の設定をおこなうフォントメモリ32、ホストコンピュータ11に接続するためのホストインターフェース34等により制御系を構成し、前述したように、ホストコンピュータ11から受信した画像サイズとシート検出手段5によって検出された印字シート4のサイズとを比較するシートサイズ比較手段10(図1参照)と、その比較信号に基づいて印字モードの調整をおこなう印字モード調整部12を備えている。
【0017】その印字モード調整部12は、印字シート4が画像サイズよりも小さい場合に制御パネル37に設けたモード設定スイッチ13のオンによって作動する画像サイズ縮小手段14と、モード設定スイッチ13がオンされていないときに作動する印字可能領域プリント手段20、および印字シート4が画像サイズと同等もしくはそれ以上の場合に作動して通常のデータ展開によるプリントをおこなう通常プリント手段(図示省略)を具備し、後述するように、印字シート4のサイズに応じて三つの印字モードのうち一つのモードを選択して駆動系に制御指令をおこなう。
【0018】駆動系は、プリントヘッド6を駆動させるプリントヘッド駆動回路15と、プラテンモータ18とキャリッジモータ19とを駆動させるメカ機構駆動回路16とよりなり、それぞれ出力処理回路17を介して制御出力を送出する。
【0019】以上のように構成されるインクジェットプリンター装置1によっておこなわれる好ましい制御動作の一例を図3に示すフローチャートに基づいて説明すると、まず、プラテンローラ3に印字シート4を供給セットさせた(ステップ1、以下S1等という)後、プリントヘッド6をシート幅方向に移動走査させることによりシート幅の検出をおこない(S2)、その検出値をホストコンピュータ11から受けた画像サイズと比較し(S3)、印字シート4が画像サイズよりも大きければ、通常のデータ展開がおこなわれ(S7)、そのままプリントがおこなわれる(S8)。
【0020】ステップ3にて、画像サイズが印字シート4よりも大きい場合には、モード設定スイッチ13がオンであるかが問われ(S4)、オンであると画像データを印字シート4のサイズに縮小した(S5)後、プリントがおこなわれる(S8)。もし、モード設定スイッチ13がオンされていない場合には、印字可能な領域にのみデータ展開がなされ、その印字シート4に合わせてプリントがおこなわれる(S8)。
【0021】このように、本装置1によれば、キャリッジ7上に設けた単一のシート検出手段5を紙幅方向に移動走査させることによって、給紙可能ないかなる印字シート4のサイズをも正確に検知することができ、かつそのサイズに合わせてプリントがおこなわれるので、シートサイズが異なる場合にも印字シート4の取り替えを要することなく、そのままプリントをおこなうことができる利点がある。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のシリアルプリンター装置は、プリントヘッドを搭載したキャリッジ上にシート検出手段を設けたことにより、そのキャリッジを移動させて印字位置にセットされているいかなる印字シートのサイズをも正確に検知することができる。そして、そのシート検出手段からの信号を受けてそのシートサイズと印字すべき画像のサイズとを比較するシートサイズ比較手段を設けるとともに、そのシートサイズ比較手段からの信号に基づいて、印字可能領域にのみ画像をプリントさせる印字可能領域プリント手段と、画像サイズをシートサイズに縮小してプリントさせる画像サイズ縮小手段とを具備しているので、印字シートのサイズに合わせたプリントをおこなうことができ、印字シートのサイズが画像サイズと合わない場合でも、印字シートの取り替えを要することなくプリントアウトすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリアルプリンター装置の一実施例における制御系統ブロック図である。
【図2】装置全体のブロック構成図である。
【図3】印字モードの調整動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】装置のヘッド部の模式的な構成概略図である。
【符号の説明】
4…印字シート、5…シート検出手段、6…プリントヘッド、7…キャリッジ、10…シートサイズ比較手段、14…画像サイズ縮小手段、20…印字可能領域プリント手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プリントヘッドを搭載したキャリッジ上に設けられて印字シートのサイズを検出するシート検出手段と、そのシート検出手段から送出される信号を受け、そのシートサイズとプリントすべき画像のサイズとを比較するシートサイズ比較手段と、そのシートサイズ比較手段からの信号に基づいて、印字可能領域にのみ画像をプリントさせる印字可能領域プリント手段と画像サイズをシートサイズに縮小してプリントさせる画像サイズ縮小手段とを具備したことを特徴とするシリアルプリンター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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