説明

シリアル伝送システム及びそれに用いるに適したスレーブユニット

【課題】省配線化を達成し得るコピー装置及びプリンタ装置等に用いるシリアル伝送システムを提供する。
【解決手段】シリアル伝送システム1は、複数の動作指示手段を格納したスレーブIC群、当該スレーブIC群のうち少なくとも第一及び第二のスレーブICを制御するに要するマスターIC21、当該第一及び第二のスレーブIC内、または、近接して配置され、当該マスターICが出力発信した情報が自己に宛てられたものであるどうかを判断する判断手段40、当該マスターICに接続され、当該第一及び第二のスレーブICにシリアル的に情報を伝達する主バス配線10、当該主バス配線から第一の電子コンポーネントを動作させる為の情報を第一のスレーブICにシリアル的に伝送するに要する受動的な第一分岐手段51、及び当該主バス配線から第二の電子コンポーネントを動作させる為の情報を第二のスレーブICにシリアル的に伝送するに要する受動的な第二分岐手段52とを備える情報のシリアル伝送システムとして構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリアル伝送システムに関し、より詳しくは、コピー装置及びプリンタ装置等においてシリアル的に情報を伝達する主バス配線に複数の分岐手段を設けたシリアル伝送システム及びそれに用いるスレーブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コピー機等においては、制御回路部に対してセンサーユニットやドライバユニットなどの各種の機器がそれぞれパラレルに接続されている。この為、ケーブル配線の総量が多くなり、基板としてもある程度大きなものが必要となり、装置内のスペースの利用や配線の効率がよくない。
【0003】
一方、データ信号伝送をシリアルにして行うことによりスペース・配線効率の向上を図る伝送システムが提案されている。
【0004】
特許文献1には、シリアル伝送システムについて、「データ信号をシリアルに伝達するに供するシリアルバスを有するシリアルバスシステムであって、複数の前記データ信号を順次シリアルに出力する親局としての制御回路部と、モーターやセンサーなどの各種のエレメントが接続された複数の子局としてのユニットが、前記シリアルバスを介して、順次直列に接続された直列ユニット群であって、この直列ユニット群の初段のユニットが前記シリアルバスを介して前記制御回路部に接続された、直列ユニット群と、を備え、前記制御回路部は、前記データ信号を目的とするユニットに対応させたアドレス部を有するものとして出力し、前記各ユニットは、受け取った前記データ信号の前記アドレス部からそのデータ信号が自己に宛てられたものかどうかを判断し、自己に宛てられたものであると判断したときにはそのデータ信号を取り込む動作を行い、自己に宛てられたものでないと判断したときには次段のユニットにそのデータ信号をそのまま送出するものとして構成されている」ものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−272607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プリンタ装置等の内部配線を省配線化するために、パラレル伝送からシリアル伝送にする試みは、上述のように以前から行われてきた。しかし、それらの省配線効果は低かった。具体的には、特開平11−272607号公報に開示されたシリアル伝送システムでは、以下の課題を有していた。
1)装置内に設置された一枚の基板に、制御用IC以外にセンサーやモーターと繋がるコネクター、バス配線分岐コネクター、及びバス配線を搭載する必要があり、該基板の面積が大きくならざるを得なかった。2)この基板は、その大きさのため筐体内での搭載位置が限定されていた。3)この基板からのセンサー/モーター等の各種電子コンポーネントへのケーブル配線が長くなり、省配線効果が少なかった。
【0007】
よって、本発明の課題は、上記問題を解決し得るシリアル伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一態様のシリアル伝送システム1は、複数の動作指示手段を格納したスレーブIC群、当該スレーブIC群のうち少なくとも第一及び第二のスレーブICを制御するに要するマスターIC21、当該第一及び第二のスレーブIC内、または、近接して配列され、当該マスターICが出力発信した情報が自己に宛てられたものであるどうかを判断する判断手段40、当該マスターICに接続され、当該第一及び第二のスレーブICにシリアル的に情報を伝達する主バス配線10、当該主バス配線から第一の電子コンポーネントを動作させる為の情報を第一のスレーブICにシリアル的に伝送するに要する受動的な第一分岐手段51、及び当該主バス配線から第二の電子コンポーネントを動作させる為の情報を第二のスレーブICにシリアル的に伝送するに要する受動的な第二分岐手段52とを含む情報のシリアル伝送システムとして構成される。ここに、受動的な(パッシブな)分岐手段とは、分岐コネクターや分岐基板を用いて主バス配線を分岐することをいい、データ信号を、独自に発信する分岐手段を言わない。
この構成により、特にケーブルの省配線が達成できる。
【0009】
(2)本発明の他の態様のシリアル伝送システムは、スレーブIC群において、各スレーブIC31が同一基板上ではなく相互に異なる基板上に配列されたものを含む、上記(1)に記載のシリアル伝送システムとして構成される。この構成により、特に、コピー機等の装置において、設置場所の選択に窮する大型基板の使用を避けることができる。
【0010】
(3)本発明の他の態様のシリアル伝送システムは、スレーブICが略同一形態の基板上に配列され、該スレーブIC 31と該基板とを有して構成されるスレーブユニットが、モジュール構造を有する上記(2)に記載のシリアル伝送システムとして構成される。ここに、モジュール構造とは、複数の部品を組み合わせて、所定の機能を実現する部品の構造をいう。この構成により、特に、用いる基板の種類の数を低減できる。
【0011】
(4)本発明の他の態様のシリアル伝送システムは、少なくとも前記所定の分岐手段50の一つが、分岐コネクター60である、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のシステムとして構成される。この構成により、特に、バス配線の分岐を容易に行うことができる。
【0012】
(5)本発明の他の態様のシリアル伝送システムは、判断手段40の少なくとも一つが、スレーブICに近接して配置されたディップスイッチ41である(1)ないし(4)のいずれか一つに記載のシリアル伝送システムとして構成される。この構成により、特に、従来実績のある判断手段を用いることを可能とする。
【0013】
(6)本発明の他の態様は、情報のシリアル伝送システムにおける分岐手段と電子コンポーネントとの間に設けられるスレーブユニット30であって、複数の動作指示を格納したスレーブIC31と、該スレーブIC内、または、近接して、マスターICが出力発信した情報が自己に宛てられたものであるどうかを判断する判断手段40、とを搭載された第一基板であって、該分岐手段側の分岐バス配線15と第一コネクター35によって連結された第一基板32、該第一コネクターと反対側で第一基板と連結された中継コネクター34、及び一方端において該中継コネクターを介して第一基板と連結され、他方端において電子コンポーネント側の分岐バス配線と第二のコネクター36にて連結された第二基板33、とを有するスレーブユニットとして構成される。この構成により、特に複雑な動作指示を行うスレーブユニットをモジュール構造とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
上記のように(1)〜(6)の発明毎に個別的な効果を有するとともに一連の本発明は、総合的な効果として、コピー装置及びプリンタ装置等に適応する情報伝送システムの軽薄短小化がはかることができ、これら、装置等の軽量化、装置の外形寸法の縮小化、及び使用基板の種類数の低減化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態におけるシリアル伝送システムのケーブル配線の全体構成を示す配線図である。
【図2】図2は、図1の一部を示す部分構成を示す配線図である。
【図3】図3は、図1、図2のシステム回路で適用されている分岐コネクターを用いたバス配線の分岐部分を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明に用いるに適した分岐コネクターの接触子におけるバス配線の装着状態を示す図であって、X−X線(図2)で切断したときの断面図である。
【図5】図5は、図1のシステムで用いる主なユニットの内、第一のスレーブユニットの全体構成の外観斜視図である。
【図6】図6は、図5で第一のスレーブユニットの全体構成のコネクターのボデイ、カバーを透視した図であって、(a)は、側面図、(b)は、斜視図である。
【図7】図7は、第二のスレーブユニットの全体構成の外観斜視図である。
【図8】図8は、図7で第二のスレーブユニットの全体構成のコネクターのボデイ、カバーを透視した図であって、(a)は、側面図、(b)は、斜視図である。
【図9】図9(a、b−1、b−2、b−3、c)は、本発明のスレーブユニットの構成の例を示す全体構成の外観斜視図である。
【図10】図10は、本発明のシリアル伝送システムで伝送される動作指示信号により可能な動作パターンの例を示す図である。(a)は、簡単な動作パターンを示す図、(b)は、複雑な動作パターンを示す図である。
【図11】図11は、本発明の一態様におけるシステムの動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明にかかる伝送システムを採用した装置のシステムのケーブル配線1の全体構成図の一例を示す。図2はその全体構成図から一部を取り出した部分構成図である。
これらの図からわかるように、マスターIC21を有した制御回路部とモータ等の各種電子コンポーネントの接続において、複数本のケーブルからなる主バス配線10、分岐バス配線15を用いている。
【0017】
つまり、マスターICを有するマスターユニット(ここで、該マスターユニットは、親局としての制御回路部としての働きをする。)20を起点端末として有する主バス配線10において、ドライバーユニット、センサーユニット等の各種スレーブユニット(すなわち、子局)30、30−1、30−2が、分岐手段50等を介して直列に接続されている。さらに、それらのユニットに対してモーター102やソレノイド103等の各種電子コンポーネントが分岐バス配線を介して接続されている。
【0018】
ここで、マスターIC21とは、制御回路部としてのマスターユニット20に配置され、各スレーブIC31を有するスレーブユニット30へ情報を出力発信する役目を持つICである。マスターICから発信される情報は、アドレス部を有するデータ信号として構成されている。
【0019】
一方、スレーブIC31とは、スレーブユニット30に配置され、マスターユニット20による管理の下、一つの機能としてマスターIC21からの情報を入力受信する機能を有するICである。
【0020】
すなわち、スレーブIC31は、受け取った情報、すなわちデータ信号のアドレス部から、スレーブIC内に設けた判断手段40、もしくは、スレーブICに近接して設けた判断手段により、前記情報が自己に宛てられたものかをどうかを判断し、自己に宛てられたものであると判断したときは、前記データ信号の全てを取り込む動作を行い、自己に宛てられたものでないと判断したときにはデータ信号の全てを取り込む動作を行わないものとして構成されている。
【0021】
また、本発明で用いるに適したスレーブIC31は、複数のデータ信号に対応して複数の動作指示を格納したものである。この場合、スレーブICは、情報のアドレス部がスレーブICのアドレスに適合したとき、適合した一つの動作指示を選択することになる。
【0022】
このようなスレーブIC31を用いれば、同一装置内に配置したスレーブユニット30に用いるスレーブIC31の内、少なくとも一部を同一仕様のものとすることができ、この場合、これらのスレーブICを搭載する各基板は、略同一形態の仕様のものとすることができる。この様にすることで基板の共通化をはかることができ伝送システムに設けたドライバーユニット、センサーユニット等の各種ユニットをモジュール構成とすることができる。
【0023】
図3は、本発明に用いるに適した分岐手段として、分岐コネクター60を用いた場合の分岐部分を示す斜視図である。この分岐コネクターは、分岐コネクターボディ62、分岐コネクターカバー61、及びバス配線(ケーブル)と接続される接触部を上下に有する接触子63より構成されている。
分岐コネクターボディ62に配置された接触子63は、通常、千鳥配列状に複数配列されている。分岐コネクター60は、装置内において、主バス配線10から各ユニット向けの分岐配線15を得るのに用いられる。
【0024】
図4は、本発明に用いるに適した分岐コネクターの装着状態を示す縦断面図である。
接触子63の両端部には、配線(ケーブル)との接触部64が形成され、中央部には分岐コネクターボディ62との係合部が形成されている。分岐コネクターボディ62には、挿入孔が形成されており、その挿入孔には接触子63が圧入されている。分岐コネクターボディの両面には、コネクターカバー61が装着されており、これにより主バス配線10、分岐バス配線15がカバーの配線(ケーブル)受け部に押し圧されて接触子に圧接される。このとき、接触子の接触部の一部は、カバーの内面に形成された溝部に進入する。
また、分岐コネクターの他の例として、特開2001−35554号公報に開示されている「複数の接触子とこれらの接触子が装着されたハウジングとからなる略同一構成を有する対のコネクターを有する電気接続用の接続装置」を用いることができる。
【0025】
図5、図6は、第一のスレーブユニット30−1の構成を示したものである。第一のスレーブユニットは、以下述べる簡単な動作に対応するものである。当該ユニット(すなわち、第一の子局)30−1は、第一基板32、ディップスイッチ41、スレーブIC31、及び電解コンデンサ38等から構成されている。このユニットにおいて、ディップスイッチ41は、スレーブICに近接して同じ基板(第一基板32)上に配置されている。ここで、ディップスイッチ41は、判断手段40として、スレーブIC31が受信した情報(データ信号)のアドレス部から、その情報が自己に宛てられたものであるかどうかを判断する。その後、この判断に基づき、スレーブIC31に格納した複数の動作指示のなかから、適合する動作指示を選拓する場合(例えば図10aに示すような簡単な動作に対応)、このスレーブユニットは、例えばセンサー類(フォトセンサー含む)108、クラッチ、ソレノイド103、モーター類(DCモーター102)等の電子コンポーネントを制御する機能を有する。尚、図10は、モーターの回転特性を図示したもので、縦軸は、回転数N(rpm)、横軸は、経過時間t(sec)を示す。この場合、図10(a)は、「簡単な動作」の例で前半一定の立ち上がりで回転数を増した後、後半定常回転数となる動作を示す。一方、図10(b)は、「複雑な動作」の例で前半一定の立ち上がりで回転数を増した後、後半急激に回転数を立ち下がる動作を示す。
【0026】
図7、図8は、第二のスレーブユニット30−2の構成を示したものである。第二のスレーブユニットは、上述した複雑な動作に対応するものである。第二のスレーブユニット(すなわち、第二の子局)は、第一のスレーブユニット30−1の構成に中継コネクター34を介して、例えば、ステッピングモーター用ドライバーIC37等を搭載した基板(第二基板33)を加えたものとして構成されている。この第二のスレーブユニットは、上述の第一のスレーブユニットと同様に、前段の第一基板32上に設けた判断手段40(例えば、ディップスイッチ41)により、情報が自己に宛てられたものであるかどうかを判断し、その後、その判断に基づき、スレーブIC31に格納した複数の動作指示(図10)のなかから、適合する動作指示を選択する。この場合、選択した動作指示が、複雑な動作に対応するものであるから、すなわち、動作指示が、「ONもしくはOFF」にかかる簡単な動作指示といったものでなく、図10bに示したような動作を行うものであるから、その動作の精度を高めるべく、後段の第二基板に搭載されたドライバーIC37には、複雑な動作に適合するプログラムが書き込まれている。このような構成により、第二のスレーブユニット30−2は、ステッピングモーター105、ACサーボモーター等の電子コンポーネントを制御する機能を有する。
【0027】
上記第二のスレーブユニット30−2は、モジュール構造を有するが、この点を以下、説明する。図9は、本発明に係るスレーブユニットに関し第一基板、中継コネクター、及び第二基板等からなるいくつかの組み合わせを示したものである。いずれのスレーブユニットにおいても、複数の動作指示を格納した同一のスレーブICが、略同一形態(寸法)の第一基板32上に配列されている。簡単な動作のみ(例えば、「ONもしくはOFF」)を実行する場合には、該スレーブユニット(第一のスレーブユニット30−1)の基板の構成は、図中(a)に示した第一基板32のみの構成からなる。一方、複雑な動作を実行する場合には、該スレーブユニット(第二のスレーブユニット30−2)の基板の構成は、例えば、おのおの図中(b−1)〜(b−3)に示したように第一基板及び第二基板からなる構成となる。この場合、前段の第一基板32の構成は、略(a)と同じものである。(b−1)〜(b−3)中、中継コネクターは略同一なものを用い、第二基板33は、おのおのの動作に応じて異なるものを用いる。第二基板に搭載するドライバーICと他の電子部品は、各電子コンポーネントに対応する動作の内容に従って選択したものを用いている。さらに、必要に応じて、図中(c)に示すように、別の中継コネクターを介して、必要な動作指示を実行すべく、第3の新たな基板33’を追加して別のスレーブユニット(第三のスレーブユニット30−3)を構成することもできる。
【0028】
さて、図1及び図2に示したシステムの動作は図11のフローチャートに示される。この動作について説明すれば以下の通りである。
【0029】
マスターICを有するマスターユニットが中央演算回路(CPU)からの複数のデータ信号を情報として受け取る(図11ステップS1)。
【0030】
マスターユニットが、第一の情報を「アドレス部+動作信号部」のデータ信号としてシリアルに接続した複数のスレーブユニットに送る(図11ステップS2)。
【0031】
各スレーブユニットは自己の受けとった情報のアドレス部が自己のアドレスと一致するかについて判断する(図11ステップS3)。
【0032】
自己のものでない場合には、そのスレーブユニットはその情報になんら反応しない。すなわち、そのスレーブユニットが、その情報を無視する(図11ステップS4)ので、次段のスレーブユニットに情報を送出することとなる(図11S4’)。この次段のスレーブユニットにおいてステップS3の動作が繰り返される。
【0033】
ステップS3で、自己のものと判断されたときには、そのスレーブユニット(目的子局)は情報を取り込む(S5)。その情報に基づき、電子コンポーネントは、動作することになる(S6)。
【0034】
最初の情報処理が終了した後、マスターICは、第二のデータ信号を連続的に連結されたスレーブICを有した複数のスレーブユニットに発信する(ステップS7)。
各スレーブユニットは、受信したデータ信号のアドレス部が自己のアドレスと一致するかについて判断する(ステップS8)。
【0035】
データ信号が、自己にあてられたものでない場合、スレーブユニットは、その信号にまったく返答しない。すなわち、そのスレーブユニットは、そのシグナルを無視するし(S9)、それに伴って、その信号は、次のステージのスレーブユニットに向けて伝送される(ステップS9’)。次のステージのスレーブユニットは、ステップS8の動作を繰り返す。別の選択として、スレーブユニットは、マスターユニットに不調の状況についての情報を送る(ステップS10)。
【0036】
ステップS11で、データ信号が自己に宛てられたものと判断したとき、指定スレーブユニットは、データ信号を受信する(ステップS11)。それにより、電子コンポーネントは、動作することになる(ステップS12)。
【0037】
全ての情報処理終了後、スレーブユニットは、その他の新しい情報をデータ信号としてCPU(ステップS1)から受信する。その後、S2からS13のステップが同じようにして繰り返される。
【0038】
以上の説明に加えてさらに本発明のシステムを説明すると次の通りである。
【0039】
マスターICを有する制御部に対してセンサーユニット(子局A)、ドライバーユニット(子局B)がクロック信号・データ信号等とで直列に接続される。各センサーユニットに保持されたセンサーのデータは、例えば、制御部から供給されるクロック信号に同期してシフトされマスターICを有する制御部に転送される。マスターICを有する制御部から出力されるドライバー用のデータはクロックに同期してドライバーユニットにシフトされ供給される。
【0040】
通信は、制御部が、能動的動作部になり、センサーユニット(子局A)およびドライバユニット(子局B)は、受動的動作部として機能する。マスターICを有した制御部が通信をコントロールすることにより、スレーブICを有したセンサーユニット(子局A)およびドライバユニット(子局B)は回路を小さくでき、システムを小型化できる。
【0041】
各センサーユニット(子局A)、ドライバユニット(子局B)にアドレスをつけることにより、希望するスレーブユニット(子局)とのみ情報を通信でき、通信の応答性を上げることが可能になる。
【0042】
またこのアドレスがあると、シリアルに接続するユニット(子局)の数を自由に変更することができ、拡張性に優れたシステムを提供することが可能になる。
【0043】
連続して受信もしくは送信を実行して、同じ情報のときのみ情報が正しいとすることにより、通信の信頼性をあげることが可能にもなる。
【0044】
この発明によれば、装置の小型、軽量化が可能である。
【0045】
本発明では、スレーブICに複数の動作指示機能を格納すると同時に、アドレス設定をすることにより、親局としての制御回路部が希望するスレーブユニットとのみ通信が可能となり、且つ通信の応答性を高くすることができ、さらに、スレーブICを有した基板を共通化することで、中継コネクターを介して、別の基板を追加することだけで、基板センサーIC、ドライバーICの自由な組み合わせが可能となる。
【0046】
さらに、本発明によれば、次のような波及的効果が期待できる。
1.ワイヤーハーネスの総量を削減できる。
2.使用する各基板の面積を縮小できる。
3.制御IC(I/O)を削減できる。
4.エラーチェック機能により通信の信頼性を向上できる。
5.ステッピングモータの制御が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 ケーブル配線
10 主バス配線
15 分岐バス配線
20 マスターユニット
21 マスターIC
22 マスターIC接続用コネクター
30 スレーブユニット
30−1 第一のスレーブユニット
30−2 第二のスレーブユニット
30−3 第三のスレーブユニット
31 スレーブIC
32 第一基板
33 第二基板
33’ 第三基板
34 中継コネクター
35 第一コネクター
36 第二コネクター
37 モータードライブIC38 電解コンデンサ
40 判断手段
41 ディップスイッチ
50 分岐手段
51 第一分岐手段
52 第二分岐手段
60 分岐コネクター
61 分岐コネクターカバー
62 分岐コネクターボディ
63 接触子
64 接触部
101 ステップモーター
102 DCモーター
103 ソレノイド
108 センサー類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の動作指示手段を格納したスレーブIC群、
前記スレーブIC群のうち少なくとも第一及び第二のスレーブICを制御するに要するマスターIC、
前記第一及び第二のスレーブIC内に、または、近接して配置され、前記マスターICが出力発信した情報が自己に宛てられたものであるどうかを判断する判断手段、
前記マスターICに接続され、前記第一及び第二のスレーブICにシリアル的に情報を伝達する主バス配線、
前記主バス配線から第一の電子コンポーネントを動作させる為の情報を前記第一のスレーブICにシリアル的に伝送するに要する受動的な第一分岐手段、及び
前記主バス配線から第二の電子コンポーネントを動作させる為の情報を前記第二のスレーブICにシリアル的に伝送するに要する受動的な第二分岐手段、
を含むシリアル伝送システム。
【請求項2】
前記スレーブIC群は、各スレーブICが同一基板上ではなく相互に異なる基板上に配列されたものを含む、請求項1に記載のシリアル伝送システム。
【請求項3】
前記スレーブICは略同一形態の基板上に配列され、該スレーブIC と該基板を有して構成されるスレーブユニットは、モジュール構造を有する、請求項2に記載のシリアル伝送システム。
【請求項4】
少なくとも前記所定の分岐手段の一つは、分岐コネクターである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシリアル伝送システム。
【請求項5】
前記判断手段の少なくとも一つが、前記スレーブICに近接して配置されたディップスイッチである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシリアル伝送システム。
【請求項6】
情報のシリアル伝送システムにおける分岐手段と電子コンポーネントとの間に設けられるスレーブユニットであって、
複数の動作指示を格納したスレーブICと、該スレーブIC内に、または、近接して配置され、マスターICが出力発信した情報が自己に宛てられたものであるどうかを判断する判断手段、とを搭載された第一基板であって、前記分岐手段側の分岐バス配線と第一コネクターによって連結された第一基板、
該第一コネクターと反対側で第一基板と連結された中継コネクター、及び
一方端において該中継コネクターを介して第一基板と連結され、他方端において前記電子コンポーネント側の分岐バス配線と第二コネクターを介して連結された第二基板、とを有するスレーブユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−141736(P2012−141736A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293442(P2010−293442)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】