シリコンに対する誘電材料の選択エッチング方法及びシステム
【課題】 本発明はドライプラズマエッチングを用いた基板のエッチング方法に関する。
【解決手段】 ドライプラズマエッチングシステム内で誘電体層をシリコン及びポリシリコンに対して選択的な均一エッチングを行う方法及びシステムが記載されている。エッチング用化学は、たとえばCH2F2やCHF3のようなフルオロハイドロカーボンを有する。高いエッチング選択性及び受容可能な均一性は、CH2F2の流速やドライプラズマエッチングシステムと結合する出力を含むプロセス条件を選択することによって実現されて良い。それにより、エッチングプラズマ中での活性エッチングラジカルとポリマー生成ラジカルとの適切なバランスがとられる。
【解決手段】 ドライプラズマエッチングシステム内で誘電体層をシリコン及びポリシリコンに対して選択的な均一エッチングを行う方法及びシステムが記載されている。エッチング用化学は、たとえばCH2F2やCHF3のようなフルオロハイドロカーボンを有する。高いエッチング選択性及び受容可能な均一性は、CH2F2の流速やドライプラズマエッチングシステムと結合する出力を含むプロセス条件を選択することによって実現されて良い。それにより、エッチングプラズマ中での活性エッチングラジカルとポリマー生成ラジカルとの適切なバランスがとられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘電材料の選択エッチング方法及びシステムに関する。より具体的には本発明は、トリフルオロメタン(CHF3)及びジフルオロメタン(CH2F2)を含むプロセス用化学物質を用いることによって、シリコン酸化物(SiOx)又はシリコン窒化物(SiyNz)を、シリコンに対して高い選択性で、均一にエッチングする方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には集積回路(IC)の製造中、半導体製造装置は、(ドライ)プラズマエッチングプロセスを利用して、半導体基板上にパターニングされた微細線に沿って材料を除去すなわちエッチングするか、又は半導体基板上にパターニングされたビア若しくはコンタクト内の材料をエッチングする。プラズマエッチングプロセスを成功させるには、一の材料の選択エッチングに適している一方で他の材料をほとんどエッチングしない化学反応物質を含むエッチング化学処理が必要となる。たとえば半導体基板上では、保護層内に形成されたパターンは、プラズマエッチング処理を用いることによって、選択された材料からなる下地層へ転写することができる。保護層は、リソグラフィプロセスを用いて形成されるパターンを有する、たとえばフォトレジスト層のような感光性層を有して良い。一旦パターンが形成されると、半導体基板はプラズマ処理チャンバ内に設けられ、かつ下地層を選択的エッチングする一方で保護層を最小にしかエッチングしないエッチング用化学物質が生成される。このエッチング用化学物質は、下地層と反応する一方で保護層とは最小にしか反応しない分子成分を含む親分子を有する電離可能で分解可能な気体混合物を導入することによって生成される。エッチング用化学物質の生成は、気体混合物の導入、及び、存在する気体種の一部と活性な電子との衝突によってイオン化されることによるプラズマの生成を含む。しかも加熱された電子は、気体混合物のうちの一部の気体種を分解し、かつ(親分子の)化学成分からなる反応性混合物を生成する。その後イオン化された気体種及び、化学成分の反応性混合物は、基板の曝露領域内の様々な特徴部位(たとえば溝、ビア、コンタクト等)のエッチングを補助する。そのようなエッチングの必要な基板材料にはたとえば、二酸化シリコン(SiO2)、ポリシリコン、及びシリコン窒化物が含まれる。
【特許文献1】米国特許第5888337号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/226452号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はドライプラズマエッチングを用いた基板のエッチング方法に関する。具体的には本発明は、基板上のシリコンの特徴部位に対して、シリコン酸化物層、若しくはシリコン窒化物層、又はその両方を選択エッチングする方法に関する。それに加えて本発明は、シリコン酸化物層又はシリコン窒化物層をエッチングする際に、たとえばエッチング選択性若しくはエッチング均一性又はその両方のようなエッチング特性の最適化に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一の実施例によると、スペーサエッチングプロセスにおいて凹部を減少させる、方法及びコンピュータによる読み取り可能な媒体が記載されている。当該方法及びコンピュータによる読み取り可能な媒体は、ドライプラズマエッチングシステム内の基板ホルダ上に、ポリシリコンの特徴部位の上に存在するスペーサ誘電体層を有するシリコン基板を設ける手順、前記スペーサ誘電体層と前記シリコン基板とのエッチング選択性が約5:1以上の比を有するようなプロセス条件を選択する手順を有する。前記のプロセス条件を選択する手順は、前記ドライプラズマエッチングシステム内の圧力を設定する手順、第1流速の希ガス、第2流速のCHF3、及び第3流速のCH2F2を有するプロセスガスを導入する手順、前記ドライプラズマエッチングシステム内の電極と結合するように出力を設定することで前記プロセスガスからプラズマを生成する手順を有する。当該方法及びコンピュータによる読み取り可能な媒体は、前記プロセス条件を前記ドライプラズマエッチングシステムに適用する手順、並びに前記基板を前記プロセス条件に曝露する手順、をさらに有する。
【0005】
一の実施例によると、ドライプラズマエッチングシステム内に設けられた基板上のシリコンに対してシリコン酸化物を均一にエッチングする、方法及びコンピュータによる読み取り可能な媒体が記載されている。当該方法及びコンピュータによる読み取り可能な媒体は、前記ドライプラズマエッチングシステム内の基板ホルダ上に、シリコン酸化物(SiOx)膜を有する前記基板を設ける手順、前記ドライプラズマエッチングシステム内のプロセス空間へCHF3及びCH2F2を含む反応性プロセスガスを導入する手順、前記ドライプラズマエッチングシステム内の電極に20MHzよりも高い周波数を有する第1高周波(RF)信号を印加する手順、前記CH2F2の流速と前記電極に結合するRF出力との比を実質的に0.0071sccm/Watt以下に選択する手順、並びに前記シリコン酸化物膜をエッチングする手順、を有する。
【0006】
他の実施例によると、ドライプラズマエッチングシステムが記載されている。当該ドライプラズマエッチングシステムは、プロセス空間を画定するように備えられたプロセスチャンバ、前記プロセスチャンバと結合して前記プロセス空間内の基板を支持するように備えられた基板ホルダ、前記プロセスチャンバと結合して前記ドライプラズマエッチングシステム内のプロセス空間へCHF3及びCH2F2を含む反応性プロセスガスを導入するように備えられたプロセスガス供給システム、前記プロセスチャンバと結合して前記プロセス空間を排気するように備えられた真空処理システム、前記プロセス空間内でプラズマを生成するため、前記プロセスチャンバ内の電極と結合して高周波(RF)出力を前記プロセスガスと結合させるように備えられた出力システム、並びに前記プロセスガス供給システム及び前記出力システムと結合して前記CH2F2の流速と前記電極に結合するRF出力との比を実質的に0.0071sccm/Watt以下に設定するように備えられた制御装置を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以降の記載では、本発明の全体的な理解を助けるため、及び限定ではなく説明を目的として、特定の詳細について説明がなされる。特定の詳細とはたとえば、エッチングプロセスを実行するように備えられたドライプラズマエッチングシステムの具体的な幾何学形状、及びシステム構成部品の様々な記載といったようなものである。しかし本発明は、これら特定の詳細から逸脱した他の実施例でも実施可能であることに留意して欲しい。
【0008】
材料の処理方法においては、ドライプラズマエッチングは、一の材料をエッチングする一方で他の材料を実質的にエッチングしない化学反応物を有するプラズマ化学を利用する。一例では、絶縁(誘電)材料層が、多結晶シリコン(ポリシリコン)の特徴部位を有するゲート積層体にわたって堆積される(図1Aを参照のこと)。たとえば絶縁層には、二酸化シリコン(SiO2)、若しくはシリコン窒化物(たとえばSi2N3)、又はこれら両方が含まれる。続いて絶縁層にはエッチング処理がなされる。それによりその絶縁層は、ゲート積層体の側壁に沿った部分を除く全ての部分で除去される(図1Bを参照のこと)。残された絶縁材料は半導体素子の作製過程においてスペーサとして機能する。素子の動作及び/又は信頼性にとっては、ポリシリコンゲート材料を実質的に減少させることなく、かつシリコン基板内に形成された凹部(図1B)を最小にして、スペーサが形成されることが重要である。凹部は2.7nm未満にまで減少させることが好ましく、1nm未満にまで減少させることがより好ましい。よってエッチング用化学物質は、ポリシリコンのエッチングを最小限にするだけはなく下地の(単結晶)シリコン基板のエッチングも最小限しながら、絶縁材料をエッチングするものを選択することが好ましい。さらに製造歩留まりにとっては、たとえばスペーサのエッチングプロセスの結果は基板の範囲にわたって均一であることが重要である。
【0009】
従って一の実施例では、ドライプラズマエッチングシステム内でシリコン酸化物(SiOx)又はシリコン窒化物(SiyNz)をシリコン及びポリシリコンに対して選択的かつ均一にエッチングする方法及びシステムが記載されている。エッチング用化学には、たとえばCH2F2やCHF3のようなフルオロハイドロカーボンの使用が含まれる。高いエッチング選択性及び受容可能な均一性は、CH2F2の流速やドライプラズマエッチングシステムと結合する出力を含むプロセス条件を選択することによって実現可能である。それにより、エッチングプラズマ中での活性エッチングラジカルとポリマー生成ラジカルとの適切なバランスがとられる。
【0010】
たとえばエッチング用化学物質にフルオロハイドロカーボンが用いられることで、ポリシリコン及びシリコン表面上に吸着し、かつエッチングプロセス中これらの表面を保護する一方でシリコン酸化物とシリコン窒化物表面のエッチングを可能にするエッチング用プラズマが存在する中での炭化水素及びフルオロカーボン分子の形成が促進される、と発明者らは考えた。たとえCH2F2とCHF3の両方とも、(シリコン及びポリシリコン表面を保護する)ポリマーを形成する気体と考えられるとしても、特定のプロセス条件下では、後述するように、CHF3は活性なエッチング用分子又は原子を生成しがちで、かつCH2F2はポリマーを形成する分子を生成しがちである。
【0011】
一の実施例によると、エッチング用化学物質は、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、及び希ガス(たとえばアルゴン、クリプトン、キセノン等)のような不活性ガスを含む。それに加えてエッチング用化学物質は酸素含有気体をさらに有して良い。酸素含有気体は、酸素(O2)、NO、N2O、NO2、CO、若しくはCO2、又はこれらの混合気体を含んで良い。たとえばシリコン酸化物又はシリコン窒化物を、シリコンに対して高い選択性で均一にエッチングするための1つのプロセスレシピは、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、及び希ガス(Ar)を含む。
【0012】
他の実施例によると、ドライプラズマエッチングシステム1が図2に記載されている。当該ドライプラズマエッチングシステムは、プラズマ処理チャンバ10、該プラズマ処理チャンバ10と結合する診断システム12、並びに前記診断システム12及びプラズマ処理チャンバ10と結合する制御装置14を有する。前記制御装置14は、シリコンに対してシリコン酸化物又はシリコン窒化物を選択的かつ均一にエッチングするために、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、及び不活性ガスを含むプロセスレシピを実行するように備えられている。あるいはその代わりに前記制御装置14は、シリコン及びポリシリコンに対してシリコン酸化物又はシリコン窒化物を選択的にエッチングするために、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、及び不活性ガスを含むプロセスレシピを実行するように備えられている。一の実施例では、プロセスレシピは、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、及びアルゴン(Ar)を含む。他の実施例では、プロセスレシピは、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、酸素(O2)、及びアルゴン(Ar)を含む。それに加えて制御装置14は、プロセスの終点を判断するため、診断システム12から少なくとも1つの終点信号を受け取り、かつ前記少なくとも1つの終点信号を後処理するように備えられている。図示された実施例では、ドライプラズマエッチングシステム1は、図2に図示されているように、材料を処理するのにプラズマを利用する。
【0013】
図3に図示された実施例によると、ドライプラズマエッチングシステム1aは、プラズマ処理チャンバ10、被処理基板25が固定される基板ホルダ20、及び真空排気システム30を有して良い。基板25はたとえは、半導体基板、ウエハ、又は液晶ディスプレイであって良い。プラズマ処理チャンバ10はたとえば、基板25の表面に隣接する処理領域15内でのプラズマの生成を促進させるように備えられて良い。電離可能気体又は気体混合物が、気体注入システム(図示されていない)を介して導入され、プロセス圧力が調節される。たとえば制御機構(図示されていない)は、真空排気システム30を締めるのに用いられて良い。プラズマは、所定の材料プロセスに特有な材料の生成、及び/又は基板25の曝露された表面からの材料の除去の補助に利用されて良い。ドライプラズマエッチングシステム1aは、200mm基板、300mm基板、又はそれ以上の大きさの基板を処理するように備えられて良い。
【0014】
基板25はたとえば、静電固定システムによって基板ホルダ20に固定されて良い。さらに基板ホルダ20はたとえば冷却システムをさらに有して良い。その冷却システムは再循環冷却流を含み、その再循環冷却流は、基板ホルダ20から熱を受け取り、熱を熱交換システム(図示されていない)へ移送し、又は加熱の際には熱交換システムから熱を移送する。しかも気体はたとえば、背面気体システムによって、基板25の背面へ供給されることで、基板25と基板ホルダ20との間の気体ギャップ熱伝導を改善して良い。係るシステムは、昇温又は降温に基板の温度制御が必要なときに利用されて良い。たとえば背面気体システムは、2領域気体分配システムを有して良い。このシステムでは、ヘリウムガス圧を基板25の中心部分と端部との間で独立して変化させることができる。他の実施例では、たとえば抵抗加熱素子又は熱電ヒーター/クーラーのような加熱/冷却素子は、プラズマ処理チャンバ10のチャンバ壁やドライプラズマエッチングシステム1a内部の他の部品内だけではなく、基板ホルダ20内に含まれても良い。
【0015】
図3に示された実施例では、基板ホルダ20は電極を有し、その電極を介してRF出力がプロセス空間15内の処理プラズマと結合して良い。たとえば基板ホルダ20は、RF発生装置40からインピーダンス整合ネットワーク50を介して基板ホルダ20へRF出力を伝送することにより、RF電圧で電気的に印加されて良い。RFバイアスは、プラズマを形成して維持する熱電子を供給することができる。この構成では、システムは、反応性イオンエッチング(RIE)反応装置として動作して良い。この装置では、チャンバ及び上部気体注入電極は接地電極として機能する。RFバイアスの典型的な周波数は、約0.1MHzから約100MHzの範囲であって良い。プラズマ処理用のRFシステムは当業者には周知である。
【0016】
あるいはその代わりに、RF出力は複数の周波数で基板ホルダの電極に印加される。さらにインピーダンス整合ネットワーク50は、反射出力を減少させることによって、プラズマ処理チャンバ10内のプラズマへのRF出力の移送を改善するように機能する。整合ネットワークの接続状態(たとえばL型、π型、T型等)及び自動制御法は、当業者には周知である。
【0017】
真空排気システム30はたとえば、最大で5000l/sec(以上)の排気速度での排気が可能なターボ分子真空ポンプ(TMP)及びチャンバ圧力をしぼるゲートバルブを有して良い。ドライプラズマエッチングに用いられる従来のプラズマ処理装置では、1000〜3000l/secのTMPが一般に用いられている。TMPは、典型的には50mTorr未満の低圧処理にとって有用である。高圧(約50mTorrよりも高い圧力)での処理については、メカニカルブースターポンプ及びドライ粗引きポンプが用いられて良い。さらにチャンバ圧力の監視装置(図示されていない)が、プラズマ処理チャンバ10と結合して良い。圧力を測定する装置はたとえば、MKSインスツルメンツによって市販されている628B型のバラトロン絶対キャパシタンスマノメータであって良い。
【0018】
制御装置14は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びデジタルI/Oポートを有する。デジタルI/Oポートは、ドライプラズマエッチングシステム1aからの出力を監視するのみならず、ドライプラズマエッチングシステム1aの入力をやり取りし、かつ活性化させるのに十分な制御電圧を発生させる能力を有する。しかも制御装置14は、背面気体供給システム(図示されていない)、基板/基板ホルダ温度計測システム(図示されていない)、及び/又は静電固定システム(図示されていない)だけでなくRF発生装置40、インピーダンス整合ネットワーク50、気体注入システム(図示されていない)、真空排気システム30と結合して情報のやり取りをすることができる。シリコン酸化物又はシリコン窒化物のエッチングを実行するためのプロセスレシピに従って、メモリ内に記憶されたプログラムは、プラズマ処理システム1aの上述の構成部品への入力を起こすのに利用されて良い。制御装置14の一例はデルコーポレーションから販売されているDELL PRECISION WORKSTATION610(商標)である。
【0019】
しかし制御装置14は、汎用コンピュータシステムとして実装されても良い。その汎用コンピュータシステムは、基板処理装置に、メモリ内に格納されている1以上の命令に係る1以上のシーケンスを実行するプロセッサに応答して、本発明に係る処理工程の一部又は全部を実行する。係る命令は、たとえばハードディスクや取り外し可能な媒体ドライブのような他のコンピュータによる読み取り可能な媒体から制御装置のメモリへ読み取られて良い。多重処理装置内の1つ以上のプロセッサが、主メモリ内に含まれる命令のシーケンスを実行する制御装置のマイクロプロセッサとして用いられても良い。代替実施例では、ハードワイヤ回路が、ソフトウエア命令の代わりに用いられて良いし、又はソフトウエア命令と併用されても良い。よって実施例は、ハードウエア回路及びソフトウエアについての特定の組合せには限定されない。
【0020】
制御装置14は、たとえば制御装置のメモリのようなコンピュータによる読み取りが可能な媒体又はメモリを少なくとも1つ有する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体又はメモリは、本発明の教示に従ってプログラミングされた命令を保持し、かつ本明細書に記載されたデータ構造、テーブル、レコード又は他のデータを有する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体の例には、コンパクトディスク(たとえばCD-ROM)若しくは他の光学式媒体、ハードディスク、フロッピーディスク、テープ、磁気光学ディスク、PROMs(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM若しくは他の磁気媒体、パンチカード、紙テープ若しくは穴のパターンを有する他の物理媒体、又は搬送波(後述)若しくはコンピュータによる読み取りが可能な他の媒体がある。
【0021】
コンピュータによる読み取りが可能な媒体のいずれか1つ又はそれらの結合に保存されることで、本発明は、制御装置14を制御し、本発明を実施する(複数の)装置を駆動し、及び/又は制御装置が人間であるユーザーと相互作用できるようにするソフトウエアを有する。係るソフトウエアには、装置のドライバ、OS、開発ツール、及びアプリケーションが含まれて良いが、これらに限定されるわけではない。係るコンピュータによる読み取りが可能な媒体はさらに、上述の処理の一部(プロセスが分配される場合)又は全部を実行するコンピュータプログラム製品をも含む。
【0022】
本発明のコンピュータコード装置は、如何なる解釈可能又は実行可能なコード機構であって良い。コンピュータコード装置には、解釈可能なプログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLLs)、Javaクラス、及び完全に実行可能なプログラムが含まれるが、これらに限定されるわけではない。しかも本発明の処理の一部は、性能、信頼性、及び/又はコストを向上するために分配されて良い。
【0023】
本明細書で用いられている“コンピュータによる読み取りが可能な媒体”という語は、実行するための制御装置14のプロセッサへ命令を供することに関与する媒体を意味する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体は如何なる形式を取っても良い。コンピュータによる読み取りが可能な媒体には、不揮発性媒体及び透過性媒体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。不揮発性媒体にはたとえば、ハードディスクや取り外し可能な媒体ドライブのような、光学ディスク、磁気ディスク、及び磁気光学ディスクが含まれる。揮発性媒体には主メモリのようなダイナミックメモリが含まれる。しかも、実行用の制御装置のプロセッサへ1つ以上の命令を含む1つ以上のシーケンスを実行する際には、様々な形式のコンピュータによる読み取りが可能な媒体が含まれて良い。たとえば命令は最初離れた位置にあるコンピュータの磁気ディスク上で実行されて良い。その離れた位置にあるコンピュータは、本発明の一部又は全部を実施するための命令を離れた場所から読み取ってダイナミックメモリへ送り、ネットワークを介して命令を制御装置14へ送る。
【0024】
制御装置14は、ドライプラズマエッチングシステム1aに対して局所的に設置されても良いし、又はインターネット又はイントラネットを介してドライプラズマエッチングシステム1aに対して離れた場所に設置されても良い。よって制御装置14は、直接接続、イントラネット、インターネット及びワイヤレス接続のうちの少なくとも1を用いることによって処理システム1とのデータのやり取りをして良い。制御装置14は、たとえば顧客側(つまりデバイスメーカー等)のイントラネットと結合して良いし、又はたとえば売り手側(つまり装置製造者等)のイントラネットと結合しても良い。さらに別なコンピュータ(つまり制御装置、サーバー等)が、たとえば制御装置とアクセスすることで、直接接続、イントラネット及びインターネットのうちの少なくとも1つを介してデータのやり取りをして良い。
【0025】
診断システム12は、光診断サブシステム(図示されていない)を有して良い。その光診断サブシステムは、プラズマから放出される光強度を測定する(シリコン)フォトダイオード又は光電子増倍管(PMT)を有して良い。診断システム12は、たとえば狭帯域干渉フィルタのような光フィルタをさらに有して良い。代替実施例では、診断システム12は、ラインCCD(電荷結合素子)、CID(電荷注入素子)アレイ、及びたとえば回折格子やプリズムのような光分配素子のうちの少なくとも1つを有して良い。それに加えて診断システム12は、所与の波長で光を測定するモノクロメータ(たとえば回折格子/検出器システム)、又は特許文献1に記載されている素子のような光スペクトルを測定する(たとえば回転回折格子を有する)スペクトロメータを有して良い。
【0026】
診断システム12は、たとえばピークセンサシステムズ(Peak Sensor Systems)社又はベリティインスツルメンツ(Verity Instruments)社から販売されているような高分解能発光分析(OES)センサを有して良い。そのようなOESセンサは、紫外(UV)、可視(VIS)、及び近赤外(NIR)光スペクトルにまで及ぶ広いスペクトルを有する。分解能は約1.4Åである。つまりそのセンサは、240nmから1000nmまでで5550の波長を収集することができる。たとえばOESセンサには、高感度の小型ファイバ光学系UV-VIS-NIRスペクトロメータが備えられている。そのUV-VIS-NIRスペクトロメータには、2048画素の1次元CCDアレイが集積されている。
【0027】
スペクトロメータは、単一かつ束ねられた光ファイバを介して伝送される光を受け取る。光ファイバからの光は、固定された回折格子を用いることによって、1次元CCDアレイにわたって分配される。上述の構成と同様に、光学真空窓を介して放出される光は、凸の球面レンズによって、光ファイバの入力終端部上で集光される。各々が所与のスペクトル範囲(UV、VIS、及びNIR)で個別的に調節される3つのスペクトロメータは、プロセスチャンバ用のセンサを形成する。各スペクトロメータは独立したA/D変換器を有する。そして最後にセンサの用途に依存して、全発光スペクトルが、0.1〜1.0秒ごとに記録されて良い。
【0028】
図4に示された実施例では、ドライプラズマエッチングシステム1bはたとえば、図2及び図3の実施例と相似して良い。図2及び図3を参照した際に説明したそれらの構成部品に加えて、ドライプラズマエッチングシステム1bは、プラズマ密度の潜在的増大、及び/又はプラズマ処理の均一性の潜在的改善のため、静的な、又は機械的若しくは電磁的に回転する磁場システム60をさらに有して良い。しかも制御装置14は、回転速度及び磁場強度を制御するため、磁場システム60と結合して良い。回転磁場の設計及び実装は当業者には周知である。
【0029】
図5に示された実施例では、ドライプラズマエッチングシステム1cはたとえば、図2及び図3の実施例と相似して良い。またドライプラズマエッチングシステム1cは、RF発生装置72からインピーダンス整合ネットワーク74を介してRF出力が結合可能な上部電極70をさらに有して良い。上部電極へRF出力を印加するための典型的な周波数は約0.1MHzから約200MHzの範囲であって良い。それに加えて下部電極へRF出力を印加するための典型的な周波数は約0.1MHzから約100MHzの範囲であって良い。しかも制御装置14は、上部電極70へのRF出力の印加を制御するため、RF発生装置72及びインピーダンス整合ネットワーク74と結合する。上部電極の設計及び実装は当業者には周知である。
【0030】
図6に示された実施例では、ドライプラズマエッチングシステム1dはたとえば、図2及び図3の実施例と相似して良い。またドライプラズマエッチングシステム1dは、インピーダンス整合ネットワーク84を介したRF発生装置82によってRF出力が結合可能となる誘導コイル80をさらに有して良い。RF出力は、誘導コイル80から誘電体窓(図示されていない)を介してプラズマ処理領域15へ誘導結合する。誘導コイル80へRF出力を印加するための典型的な周波数は約10MHzから約100MHzの範囲であって良い。同様に掴むための電極へRF出力を印加するための典型的な周波数は約0.1MHzから約100MHzの範囲であって良い。それに加えて細長い隙間を有するファラデーシールド(図示されていない)が、誘導コイル80とプラズマとの間の容量性結合を減少させるのに用いられて良い。しかも制御装置14は、誘導コイル80への出力の印加を制御するため、RF発生装置82及びインピーダンス整合ネットワーク84と結合する。代替実施例では、誘導コイル80は、変成器結合プラズマ(TCP)反応装置内でのように、上からプラズマ処理領域15とやり取りする“螺旋コイル”又は“ホットケーキ”コイルであって良い。誘導結合プラズマ(ICP)源又は変成器結合プラズマ(TCP)源の設計及び実装は当業者には周知である。
【0031】
あるいはその代わりに、プラズマは電子サイクロトロン共鳴(ECR)を用いて生成されて良い。他の実施例では、プラズマはヘリコン波を放射から生成される。さらに他の実施例では、プラズマは伝播する表面波から生成される。上述した各プラズマ源は当業者には周知である。
【0032】
以降の議論においては、ドライプラズマエッチングシステムを利用して基板上の誘電体層をエッチングする方法が与えられる。たとえばドライプラズマエッチングシステムは、たとえば図2から図6に記載されたような様々な素子及びそれらの結合を有して良い。
【0033】
一の実施例では、シリコン酸化物(SiOx)若しくはシリコン窒化物(SiyNz)又はこれら両方をシリコン及びポリシリコンに対して選択的にエッチングする方法は、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、アルゴン(Ar)や任意である酸素(O2)のような酸素含有ガスを有するプロセス用化学物質を含む。たとえばプロセスパラメータ空間は、約5〜約1000mTorrのチャンバ圧力、約1〜約1000sccmのCHF3プロセスガス流速、約1〜約1000sccmのCH2F2プロセスガス流速、約1〜約1000sccmの任意であるO2プロセスガス流速、約1〜約2000sccmのArプロセスガス流速、約1〜約2000Wの上部電極(たとえば図5の素子70)のRFバイアス、及び約1〜約1000Wの下部電極(たとえば図5の素子20)のRFバイアスを有して良い。また上部電極バイアス周波数は、約0.1MHz〜約200MHzの範囲で、たとえば60MHzであって良い。それに加えて、下部電極バイアス周波数は、約0.1MHz〜約100MHzの範囲で、たとえば2MHzであって良い。
【0034】
それに加えてたとえばプロセスパラメータ空間は、約40〜約100mTorrのチャンバ圧力、約5〜約100sccmのCHF3プロセスガス流速、約1〜約10sccmのCH2F2プロセスガス流速、約0〜約10sccmの任意であるO2プロセスガス流速、約0〜約500sccmのArプロセスガス流速、約100〜約1000Wの上部電極(たとえば図5の素子70)のRFバイアス、及び約50〜約950Wの下部電極(たとえば図5の素子20)のRFバイアスを有して良い。また上部電極バイアス周波数は、約0.1MHz〜約200MHzの範囲で、たとえば60MHzであって良い。それに加えて、下部電極バイアス周波数は、約0.1MHz〜約100MHzの範囲で、たとえば2MHzであって良い。
【0035】
前述したように、フルオロハイドロカーボンベースのエッチング用化学物質、具体的にはCHF3やCH2F2、を用いることで、シリコンやポリシリコン表面を保護する一方でシリコン酸化物又はシリコン窒化物表面のエッチングを許す炭化水素及びフルオロカーボン分子の生成が促進される。たとえば発明者らは、特定の条件下では、CHF3は相対的により活発的にエッチングする分子又は原子を生成しがちであり、かつCH2F2は相対的によりポリマー生成分子を生成しがちである。
【0036】
一例では、たとえば図5に記載されているようなドライプラズマエッチングシステムを利用して、シリコン及びポリシリコンに対して、シリコン酸化物を選択的にエッチングする方法が与えられる。しかし述べた方法はこの典型例によって限定されるわけではない。
【0037】
上述のように、スペーサのエッチングプロセスは、ポリシリコンのゲート材料やシリコン基板のエッチングを最小限にしながら誘電材料をエッチングするエッチング用化学物質を用いることが好ましい。特許文献2はエッチングプロセスにCH2F2を用いることで、ポリシリコンに対する酸化物のエッチング選択性が改善できることについて開示している。しかし本願発明者らは、特許文献2に開示されたプロセスは、結晶シリコンに対する酸化物の選択性、これも望ましいことである、を相対的に改善させることはできないと判断した。具体的には表1は、CHF3及びArを利用する第1プロセスレシピ(プロセスA)とCHF3、CH2F2、O2、及びArを利用する第2プロセスレシピ(プロセスB)を含む2つのプロセスレシピを与えている。
【0038】
【表1】
表1では、pはプロセスチャンバ内のガス圧(ミリトール、mTorr)を表し、Gapは上部電極(たとえば図5の素子70)と下部電極(たとえば図5の素子20)との間の間隔(ミリメータ、mm)を表し、UEL Pは上部電極(たとえば図5の素子70)と結合する高周波(RF)出力(W、ワット)を表し、LEL Pは下部電極(たとえば図5の素子20)と結合するRF出力(W、ワット)を表し、CHF3はCHF3のガス流速(標準状態でのcm3/min、sccm)を表し、ArはArのガス流速(sccm)を表し、CH2F2はCH2F2のガス流速(sccm)を表し、かつO2はO2のガス流速(sccm)を表す。
【0039】
各プロセス条件、及び以降のプロセス条件においては、基板は静電固定を用いて基板ホルダに固定される。ここで基板ホルダは2領域背面ヘリウム供給システムを有する。その2領域背面ヘリウム供給システムは、基板中心部で15Torrの背面ヘリウム圧力をかけ、かつ基板端部で25Torrの背面ヘリウム圧力をかけるように備えられている。それに加えて、上部電極(たとえば図5の素子70)の温度は約80℃に設定され、ドライプラズマエッチングシステムの壁の温度は60℃に設定され、かつ下部電極(たとえば図5の素子20)又は基板ホルダの温度は約30℃に設定される。このプロセスのさらなる詳細は、特許文献2に与えられている。
【0040】
表2は、ポリシリコンに対するシリコン酸化物のエッチング選択性(酸化物/ポリシリコン、ポリシリコンのエッチング速度(E/R)に対するシリコン酸化物のエッチング速度の比)、シリコンに対するシリコン酸化物のエッチング選択性(酸化物/シリコン、シリコンのエッチング速度(E/R)に対するシリコン酸化物のエッチング速度の比)、シリコン酸化物のエッチング速度(Å/min)、及びスペーサ誘電体のエッチングが完了した後のシリコン凹部の程度(nm)を与えている。図2について検討した結果、CH2F2の導入を含む第2プロセスレシピを利用するときには、ポリシリコンに対する酸化物のエッチング選択性が大きく増大することが示唆された。しかし本願発明者らは、第2プロセスレシピを利用したときの、シリコンに対する酸化物の選択性の増大はわずかしか観測されなかったと判断した。従ってエッチング用化学物質に対する(単結晶)シリコンの感受性は、エッチング用化学物質に対するポリシリコンの感受性とはかなり異なる。このことは本発明以前には十分に理解されていなかった。
【0041】
【表2】
上記認識、及びたとえば図1A及び1Bのスペーサエッチングプロセスのようなプロセスへの上記認識の重要性に基づき、本願発明者らは、シリコン酸化物及びシリコンのエッチングの際、表1に示された様々なプロセスパラメータ(つまり圧力、アルゴン流速、CH2F2流速、CHF3流速、O2流速、出力等)の重要性を特定するために、大規模な研究及び試験を行った。そのような研究及び試験を行ったことで、発明者らは、(1)高シリコン酸化物エッチング速度、(2)低シリコンエッチング速度、(3)受容可能なプロセス均一性、及び(4)シリコン上での少ない正味の堆積量、を有するプロセス条件が望ましいということを特定した。
【0042】
表3は、研究及び試験において実行されたプロセス条件の組を与えている。表1に列挙されたプロセスパラメータに加えて、表3は、シリコン酸化物表面全体で測定されたシリコン酸化物のエッチング速度(nm/min)、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて単結晶シリコン基板上で測定されたシリコンのエッチング速度(nm/min)、及びシリコン酸化物とシリコンとの間のエッチング選択性(つまりシリコンのエッチング速度に対するシリコン酸化物のエッチング速度の比)をも供する。(エッチング速度を計算するための)厚さ変化の測定は、増加(正味の堆積量)又は減少(正味のエッチング量)のいずれについても、約±3nmの誤差で実行される。場合によっては、データが得られなかったために、“No data”と書かれている。また別な場合では、エッチング速度が負の値であるが、この負の値は、シリコン酸化物及びシリコン表面上での正味の材料の堆積量((ポリマー)-(酸化物/シリコン))、又はシリコン表面上での正味の材料の堆積量((ポリマー)-(シリコン))を示している。
【0043】
最初の16のプロセス条件では、エッチング用化学物質にはCH2F2が加えられなかった。圧力、出力、アルゴン流速、及びO2流速のみを変化させた。
【0044】
表3を検討すると、シリコン酸化物とシリコンとの間のエッチング選択性は、全ての場合について4:1未満である。それに加えて場合によっては、たとえばアルゴンが導入されず、かつ出力が低いとき(プロセス番号12を参照のこと)には、シリコン酸化物表面上とシリコン表面上のいずれでも正味の堆積量が存在する。発明者は、(1)アルゴン流速が増大することでシリコンのエッチング速度が上昇する傾向にある、(2)O2流速が増大することでシリコンのエッチング速度が上昇する傾向にある、(3)出力が増大することでシリコンのエッチング速度が上昇する傾向にある、及び(4)圧力が増大することでシリコンのエッチング速度が減少する傾向にある、ことを観測した。
【0045】
プロセス番号17〜31ではCH2F2が導入された。プロセス番号17〜31では、圧力、出力、アルゴン流速、及びCH2F2流速を変化させた。前述したように、側壁表面を保護する(つまり異方性エッチング)にはポリマーの生成が必要だが、出力はエッチング表面でのポリマーを取り払うのに十分な大きさでなければならないので、発明者は出力とCH2F2流速との間でバランスをとることを考える。発明者はさらに、プラズマが存在する中でのポリマー形成材料の生成は、たとえば親分子中でのフッ素含有量が減少するため、CH2F2流速に対してより敏感であり、かつCHF3流速に対してより敏感でなくなると考えている。このことはさらに、O2の増大(典型的にはエッチング速度を増大させる)がCH2F2の導入によって相殺されたという発明者の観察によって支持される。
【0046】
【表3】
図7は、表3で実行された試験の結果を与えている。また図7は、複数のパラメータの変化に対するシリコン酸化物エッチング速度(SiO2エッチング速度、nm/min)とシリコンのエッチング速度(Siエッチング速度、nm/min)の影響を表している。複数のパラメータには、アルゴン流速、O2流速、出力、圧力、及びCH2F2流速が含まれる。具体的には図7は、出力とCH2F2流速の変化に対してシリコン酸化物とシリコンのエッチング速度がより影響を受けることを示唆している。本願発明者は、これらのパラメータが、プロセス要件を満たすように選択性を調節する上で特に有効であると特定した。発明者は、出力の変化は、ポリマー形成親分子(CH2F2)の解離レベルを調節することにより、ポリマー形成材料の生成に影響を及ぼし(たとえば出力が減少することで解離は起こりにくくなり、かつ出力が増大することで解離は進む)、かつCH2F2流速の変化は、ポリマー形成親分子(CH2F2)の量を調節することにより、ポリマー形成材料の生成に影響を及ぼす、と考えた。
【0047】
表3についてさらに検討した結果、たとえば以下のような結果が示唆された。(A)21番のプロセス条件では、シリコン酸化物のエッチング速度はわずかな値(14.6nm/min)であり、シリコン上には正味の堆積物が存在する(35nm/min)、(B)22番のプロセス条件では、8:1を超えるエッチング選択性が得られ、かつシリコンのエッチング速度は低く(4nm/min)、シリコン上には正味の堆積物が存在しない、(C)25番のプロセス条件では、高いシリコン酸化物エッチング速度(46.1nm/min)が得られ、及び(D)26番のプロセス条件では、高いシリコン酸化物エッチング速度(56.3nm/min)が得られ、シリコン上での正味の堆積量は最小となる(4.5nm/min)。
【0048】
しかし図8Aから図8Dを参照すると、シリコン酸化物のエッチング均一性は、これらの4種類のプロセス条件で大きく変化する。図8A及び図8Bは、シリコン表面上に余剰(25番のプロセス条件の場合では余剰の恐れのある)シリコンが堆積される一方で均一性は不十分であることを示している。図8C及び図8Dは、良好な均一性を示していて、シリコン酸化物のエッチング速度は高くて、かつシリコンのエッチング速度は低いか又はシリコン上の正味の堆積量は小さい。
【0049】
ここで表4及び図9を参照すると、CH2F2流速(sccm)と出力(W)の比に対するシリコン酸化物のエッチング均一性(%)の依存性が示されている。約0.0071以下の比では、エッチング均一性は約2.5%未満である。しかし約0.0071よりも大きな比では、均一性は顕著に悪化する。発明者は、ポリマー形成分子の過剰生成、つまり余剰量のポリマー形成親分子(CH2F2)、若しくは低出力(たとえば低解離)、又はこれら両方の結果、均一性が不十分になると考えた。従って本願発明者は、酸化物エッチングの均一性は重要なプロセス因子である場合には、出力とCH2F2流速との比を、プロセス要件を満たすように調節できることをさらに発見した。
【0050】
図10は、本発明の実施例による、プラズマ処理システム内での、基板上のシリコンに対する、たとえばシリコン酸化物及び/又はシリコン窒化物のような誘電体の選択エッチング方法に係るフローチャートを与える。方法400は410で開始される。410では、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、及び希ガス(たとえばアルゴン)のような不活性ガスを含むプロセスガスがドライプラズマエッチングシステムに導入される。あるいはその代わりにプロセスガスは、酸素含有ガスをさらに含んで良い。
【0051】
【表4】
420では、たとえば図2〜図6に記載されたシステム又はこれらの結合システムを用いることにより、ドライプラズマエッチングシステム内でプロセスガスからプラズマが生成される。
【0052】
430では、シリコンに対する高いエッチング選択性でシリコン酸化物及び/又はシリコン窒化物をエッチングするため、420で生成されたプラズマに基板が曝露される。
【0053】
図11は、スペーサのエッチングプロセスにおいて凹部を減少させる方法に係るフローチャートを与える。フローチャート500は、ドライプラズマエッチングシステム内で、ポリシリコンの特徴部位の上にスペーサ誘電体層を有するシリコン基板を基板ホルダ上に設ける510で開始される。当該ドライプラズマエッチングシステムはたとえば、たとえば図2〜図6に記載されたシステムのいずれか又はこれらの結合システムであって良い。スペーサ誘電体層は、シリコン酸化物(SiOx)、若しくはシリコン窒化物(SiyNz)、又は、たとえばシリコン酸窒化膜のような混合物の膜を有して良い。
【0054】
520では、スペーサ誘電体層とシリコン基板とのエッチング選択性が5:1以上となるようにプロセス条件が選ばれる。CH2F2流速、若しくはCHF3流速、若しくは圧力、若しくはドライプラズマエッチングシステム内の電極と結合する出力(たとえば上部電極70と結合するRF出力)、又はこれら2つ以上の組合せのうちの少なくとも1つを、シリコンに対するスペーサ誘電体層のエッチング選択性を5:1以上で、望ましくは7:1以上にするように変化させる。
【0055】
530では、選択されたプロセス条件がドライプラズマエッチングシステムに適用される。540では、そのプロセス条件に基板が曝露される。プロセス条件の一例には、約60mTorrのチャンバ圧力、約25sccmのCHF3プロセスガス流速、約1.6sccmのCH2F2プロセスガス流速、約450sccmのArプロセスガス流速、約275Wの上部電極(たとえば図5の素子70)のRFバイアス、及び約225Wの下部電極(たとえば図5の素子20)のRFバイアスが含まれて良い。また上部電極バイアス周波数は、約0.1MHz〜約200MHzの範囲で、たとえば60MHzであって良い。それに加えて、下部電極バイアス周波数は、約0.1MHz〜約100MHzの範囲で、たとえば2MHzであって良い。
【0056】
図12は、ドライプラズマエッチングシステム内において、基板上でのシリコンに対して誘電体層を均一にエッチングする方法に係るフローチャートを与える。フローチャート600は、ドライプラズマエッチングシステム内において、たとえばシリコン酸化物(SiOx)又はシリコン窒化物(SiyNz)のような誘電体層を有する基板を基板ホルダ上に設ける610で開始される。シリコン酸化物(SiOx)又はシリコン窒化物(SiyNz)の膜は、基板上のポリシリコンの特徴部位の上にスペーサ誘電体層を有して良い。当該ドライプラズマエッチングシステムはたとえば、たとえば図2〜図6に記載されたシステムのいずれか又はこれらの結合システムであって良い。
【0057】
620では、CHF3及びCH2F2を含むプロセスガスがドライプラズマエッチングシステムへ導入される。そのプロセスガスは、たとえば希ガス(たとえばアルゴン)のような不活性ガスをさらに有して良い。それに加えてそのプロセスガスは酸素含有気体を有して良い。酸素含有気体とはたとえば、酸素(O2)、NO、N2O、NO2、CO、若しくはCO2、又はこれらの混合気体である。
【0058】
630では、プロセスガスからプラズマを生成するため、第1高周波(RF)信号がドライプラズマエッチングシステム内の電極に印加される。第1RF信号は第1RF周波数であって良い。その第1RF周波数は20MHz以上であって良い。さらに第2RF信号が、ドライプラズマエッチングシステム内の同一電極又は他の電極へ印加されても良い。たとえばその第2RF信号は、上に基板が存在する基板ホルダへ印加されても良い。第2RF信号は第2RF周波数であって良い。その第2RF周波数は20MHz以下であって良い。
【0059】
640では、CH2F2の流速と、ドライプラズマエッチングシステム内の電極に結合するRF出力との比が実質的に0.0071sccm/Watt以下に選択される。
【0060】
たとえ本発明のある典型的実施例のみが詳細に説明されたとしても、当業者は、本発明の新規な教示及び利点からほとんど逸脱することなく、多くの修正型が可能であることをすぐに理解する。従って多くの係る修正型は、本発明の技術的範囲内に含まれるものと解される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】A及びBはシリコン基板上に形成された構造を概略的に図示している。
【図2】本発明の実施例によるドライプラズマエッチングシステムの概略を図示している。
【図3】本発明の他の実施例によるドライプラズマエッチングシステムの概略を図示している。
【図4】本発明の他の実施例によるドライプラズマエッチングシステムの概略を図示している。
【図5】本発明の他の実施例によるドライプラズマエッチングシステムの概略を図示している。
【図6】本発明の他の実施例によるドライプラズマエッチングシステムの概略を図示している。
【図7】シリコン酸化物及びシリコンのエッチング速度の複数のプロセスパラメータに対する典型的な依存性を表している。
【図8】A-Dは、エッチング均一性についての典型的なデータを表している。
【図9】ドライプラズマエッチングについての典型的なデータを表している。
【図10】本発明の一の実施例による誘電体層のエッチング方法を表している。
【図11】本発明の他の実施例による誘電体層のエッチング方法を表している。
【図12】本発明の他の実施例による基板上の凹部を減少させる方法を表している。
【技術分野】
【0001】
本発明は誘電材料の選択エッチング方法及びシステムに関する。より具体的には本発明は、トリフルオロメタン(CHF3)及びジフルオロメタン(CH2F2)を含むプロセス用化学物質を用いることによって、シリコン酸化物(SiOx)又はシリコン窒化物(SiyNz)を、シリコンに対して高い選択性で、均一にエッチングする方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には集積回路(IC)の製造中、半導体製造装置は、(ドライ)プラズマエッチングプロセスを利用して、半導体基板上にパターニングされた微細線に沿って材料を除去すなわちエッチングするか、又は半導体基板上にパターニングされたビア若しくはコンタクト内の材料をエッチングする。プラズマエッチングプロセスを成功させるには、一の材料の選択エッチングに適している一方で他の材料をほとんどエッチングしない化学反応物質を含むエッチング化学処理が必要となる。たとえば半導体基板上では、保護層内に形成されたパターンは、プラズマエッチング処理を用いることによって、選択された材料からなる下地層へ転写することができる。保護層は、リソグラフィプロセスを用いて形成されるパターンを有する、たとえばフォトレジスト層のような感光性層を有して良い。一旦パターンが形成されると、半導体基板はプラズマ処理チャンバ内に設けられ、かつ下地層を選択的エッチングする一方で保護層を最小にしかエッチングしないエッチング用化学物質が生成される。このエッチング用化学物質は、下地層と反応する一方で保護層とは最小にしか反応しない分子成分を含む親分子を有する電離可能で分解可能な気体混合物を導入することによって生成される。エッチング用化学物質の生成は、気体混合物の導入、及び、存在する気体種の一部と活性な電子との衝突によってイオン化されることによるプラズマの生成を含む。しかも加熱された電子は、気体混合物のうちの一部の気体種を分解し、かつ(親分子の)化学成分からなる反応性混合物を生成する。その後イオン化された気体種及び、化学成分の反応性混合物は、基板の曝露領域内の様々な特徴部位(たとえば溝、ビア、コンタクト等)のエッチングを補助する。そのようなエッチングの必要な基板材料にはたとえば、二酸化シリコン(SiO2)、ポリシリコン、及びシリコン窒化物が含まれる。
【特許文献1】米国特許第5888337号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/226452号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はドライプラズマエッチングを用いた基板のエッチング方法に関する。具体的には本発明は、基板上のシリコンの特徴部位に対して、シリコン酸化物層、若しくはシリコン窒化物層、又はその両方を選択エッチングする方法に関する。それに加えて本発明は、シリコン酸化物層又はシリコン窒化物層をエッチングする際に、たとえばエッチング選択性若しくはエッチング均一性又はその両方のようなエッチング特性の最適化に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一の実施例によると、スペーサエッチングプロセスにおいて凹部を減少させる、方法及びコンピュータによる読み取り可能な媒体が記載されている。当該方法及びコンピュータによる読み取り可能な媒体は、ドライプラズマエッチングシステム内の基板ホルダ上に、ポリシリコンの特徴部位の上に存在するスペーサ誘電体層を有するシリコン基板を設ける手順、前記スペーサ誘電体層と前記シリコン基板とのエッチング選択性が約5:1以上の比を有するようなプロセス条件を選択する手順を有する。前記のプロセス条件を選択する手順は、前記ドライプラズマエッチングシステム内の圧力を設定する手順、第1流速の希ガス、第2流速のCHF3、及び第3流速のCH2F2を有するプロセスガスを導入する手順、前記ドライプラズマエッチングシステム内の電極と結合するように出力を設定することで前記プロセスガスからプラズマを生成する手順を有する。当該方法及びコンピュータによる読み取り可能な媒体は、前記プロセス条件を前記ドライプラズマエッチングシステムに適用する手順、並びに前記基板を前記プロセス条件に曝露する手順、をさらに有する。
【0005】
一の実施例によると、ドライプラズマエッチングシステム内に設けられた基板上のシリコンに対してシリコン酸化物を均一にエッチングする、方法及びコンピュータによる読み取り可能な媒体が記載されている。当該方法及びコンピュータによる読み取り可能な媒体は、前記ドライプラズマエッチングシステム内の基板ホルダ上に、シリコン酸化物(SiOx)膜を有する前記基板を設ける手順、前記ドライプラズマエッチングシステム内のプロセス空間へCHF3及びCH2F2を含む反応性プロセスガスを導入する手順、前記ドライプラズマエッチングシステム内の電極に20MHzよりも高い周波数を有する第1高周波(RF)信号を印加する手順、前記CH2F2の流速と前記電極に結合するRF出力との比を実質的に0.0071sccm/Watt以下に選択する手順、並びに前記シリコン酸化物膜をエッチングする手順、を有する。
【0006】
他の実施例によると、ドライプラズマエッチングシステムが記載されている。当該ドライプラズマエッチングシステムは、プロセス空間を画定するように備えられたプロセスチャンバ、前記プロセスチャンバと結合して前記プロセス空間内の基板を支持するように備えられた基板ホルダ、前記プロセスチャンバと結合して前記ドライプラズマエッチングシステム内のプロセス空間へCHF3及びCH2F2を含む反応性プロセスガスを導入するように備えられたプロセスガス供給システム、前記プロセスチャンバと結合して前記プロセス空間を排気するように備えられた真空処理システム、前記プロセス空間内でプラズマを生成するため、前記プロセスチャンバ内の電極と結合して高周波(RF)出力を前記プロセスガスと結合させるように備えられた出力システム、並びに前記プロセスガス供給システム及び前記出力システムと結合して前記CH2F2の流速と前記電極に結合するRF出力との比を実質的に0.0071sccm/Watt以下に設定するように備えられた制御装置を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以降の記載では、本発明の全体的な理解を助けるため、及び限定ではなく説明を目的として、特定の詳細について説明がなされる。特定の詳細とはたとえば、エッチングプロセスを実行するように備えられたドライプラズマエッチングシステムの具体的な幾何学形状、及びシステム構成部品の様々な記載といったようなものである。しかし本発明は、これら特定の詳細から逸脱した他の実施例でも実施可能であることに留意して欲しい。
【0008】
材料の処理方法においては、ドライプラズマエッチングは、一の材料をエッチングする一方で他の材料を実質的にエッチングしない化学反応物を有するプラズマ化学を利用する。一例では、絶縁(誘電)材料層が、多結晶シリコン(ポリシリコン)の特徴部位を有するゲート積層体にわたって堆積される(図1Aを参照のこと)。たとえば絶縁層には、二酸化シリコン(SiO2)、若しくはシリコン窒化物(たとえばSi2N3)、又はこれら両方が含まれる。続いて絶縁層にはエッチング処理がなされる。それによりその絶縁層は、ゲート積層体の側壁に沿った部分を除く全ての部分で除去される(図1Bを参照のこと)。残された絶縁材料は半導体素子の作製過程においてスペーサとして機能する。素子の動作及び/又は信頼性にとっては、ポリシリコンゲート材料を実質的に減少させることなく、かつシリコン基板内に形成された凹部(図1B)を最小にして、スペーサが形成されることが重要である。凹部は2.7nm未満にまで減少させることが好ましく、1nm未満にまで減少させることがより好ましい。よってエッチング用化学物質は、ポリシリコンのエッチングを最小限にするだけはなく下地の(単結晶)シリコン基板のエッチングも最小限しながら、絶縁材料をエッチングするものを選択することが好ましい。さらに製造歩留まりにとっては、たとえばスペーサのエッチングプロセスの結果は基板の範囲にわたって均一であることが重要である。
【0009】
従って一の実施例では、ドライプラズマエッチングシステム内でシリコン酸化物(SiOx)又はシリコン窒化物(SiyNz)をシリコン及びポリシリコンに対して選択的かつ均一にエッチングする方法及びシステムが記載されている。エッチング用化学には、たとえばCH2F2やCHF3のようなフルオロハイドロカーボンの使用が含まれる。高いエッチング選択性及び受容可能な均一性は、CH2F2の流速やドライプラズマエッチングシステムと結合する出力を含むプロセス条件を選択することによって実現可能である。それにより、エッチングプラズマ中での活性エッチングラジカルとポリマー生成ラジカルとの適切なバランスがとられる。
【0010】
たとえばエッチング用化学物質にフルオロハイドロカーボンが用いられることで、ポリシリコン及びシリコン表面上に吸着し、かつエッチングプロセス中これらの表面を保護する一方でシリコン酸化物とシリコン窒化物表面のエッチングを可能にするエッチング用プラズマが存在する中での炭化水素及びフルオロカーボン分子の形成が促進される、と発明者らは考えた。たとえCH2F2とCHF3の両方とも、(シリコン及びポリシリコン表面を保護する)ポリマーを形成する気体と考えられるとしても、特定のプロセス条件下では、後述するように、CHF3は活性なエッチング用分子又は原子を生成しがちで、かつCH2F2はポリマーを形成する分子を生成しがちである。
【0011】
一の実施例によると、エッチング用化学物質は、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、及び希ガス(たとえばアルゴン、クリプトン、キセノン等)のような不活性ガスを含む。それに加えてエッチング用化学物質は酸素含有気体をさらに有して良い。酸素含有気体は、酸素(O2)、NO、N2O、NO2、CO、若しくはCO2、又はこれらの混合気体を含んで良い。たとえばシリコン酸化物又はシリコン窒化物を、シリコンに対して高い選択性で均一にエッチングするための1つのプロセスレシピは、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、及び希ガス(Ar)を含む。
【0012】
他の実施例によると、ドライプラズマエッチングシステム1が図2に記載されている。当該ドライプラズマエッチングシステムは、プラズマ処理チャンバ10、該プラズマ処理チャンバ10と結合する診断システム12、並びに前記診断システム12及びプラズマ処理チャンバ10と結合する制御装置14を有する。前記制御装置14は、シリコンに対してシリコン酸化物又はシリコン窒化物を選択的かつ均一にエッチングするために、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、及び不活性ガスを含むプロセスレシピを実行するように備えられている。あるいはその代わりに前記制御装置14は、シリコン及びポリシリコンに対してシリコン酸化物又はシリコン窒化物を選択的にエッチングするために、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、及び不活性ガスを含むプロセスレシピを実行するように備えられている。一の実施例では、プロセスレシピは、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、及びアルゴン(Ar)を含む。他の実施例では、プロセスレシピは、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、酸素(O2)、及びアルゴン(Ar)を含む。それに加えて制御装置14は、プロセスの終点を判断するため、診断システム12から少なくとも1つの終点信号を受け取り、かつ前記少なくとも1つの終点信号を後処理するように備えられている。図示された実施例では、ドライプラズマエッチングシステム1は、図2に図示されているように、材料を処理するのにプラズマを利用する。
【0013】
図3に図示された実施例によると、ドライプラズマエッチングシステム1aは、プラズマ処理チャンバ10、被処理基板25が固定される基板ホルダ20、及び真空排気システム30を有して良い。基板25はたとえは、半導体基板、ウエハ、又は液晶ディスプレイであって良い。プラズマ処理チャンバ10はたとえば、基板25の表面に隣接する処理領域15内でのプラズマの生成を促進させるように備えられて良い。電離可能気体又は気体混合物が、気体注入システム(図示されていない)を介して導入され、プロセス圧力が調節される。たとえば制御機構(図示されていない)は、真空排気システム30を締めるのに用いられて良い。プラズマは、所定の材料プロセスに特有な材料の生成、及び/又は基板25の曝露された表面からの材料の除去の補助に利用されて良い。ドライプラズマエッチングシステム1aは、200mm基板、300mm基板、又はそれ以上の大きさの基板を処理するように備えられて良い。
【0014】
基板25はたとえば、静電固定システムによって基板ホルダ20に固定されて良い。さらに基板ホルダ20はたとえば冷却システムをさらに有して良い。その冷却システムは再循環冷却流を含み、その再循環冷却流は、基板ホルダ20から熱を受け取り、熱を熱交換システム(図示されていない)へ移送し、又は加熱の際には熱交換システムから熱を移送する。しかも気体はたとえば、背面気体システムによって、基板25の背面へ供給されることで、基板25と基板ホルダ20との間の気体ギャップ熱伝導を改善して良い。係るシステムは、昇温又は降温に基板の温度制御が必要なときに利用されて良い。たとえば背面気体システムは、2領域気体分配システムを有して良い。このシステムでは、ヘリウムガス圧を基板25の中心部分と端部との間で独立して変化させることができる。他の実施例では、たとえば抵抗加熱素子又は熱電ヒーター/クーラーのような加熱/冷却素子は、プラズマ処理チャンバ10のチャンバ壁やドライプラズマエッチングシステム1a内部の他の部品内だけではなく、基板ホルダ20内に含まれても良い。
【0015】
図3に示された実施例では、基板ホルダ20は電極を有し、その電極を介してRF出力がプロセス空間15内の処理プラズマと結合して良い。たとえば基板ホルダ20は、RF発生装置40からインピーダンス整合ネットワーク50を介して基板ホルダ20へRF出力を伝送することにより、RF電圧で電気的に印加されて良い。RFバイアスは、プラズマを形成して維持する熱電子を供給することができる。この構成では、システムは、反応性イオンエッチング(RIE)反応装置として動作して良い。この装置では、チャンバ及び上部気体注入電極は接地電極として機能する。RFバイアスの典型的な周波数は、約0.1MHzから約100MHzの範囲であって良い。プラズマ処理用のRFシステムは当業者には周知である。
【0016】
あるいはその代わりに、RF出力は複数の周波数で基板ホルダの電極に印加される。さらにインピーダンス整合ネットワーク50は、反射出力を減少させることによって、プラズマ処理チャンバ10内のプラズマへのRF出力の移送を改善するように機能する。整合ネットワークの接続状態(たとえばL型、π型、T型等)及び自動制御法は、当業者には周知である。
【0017】
真空排気システム30はたとえば、最大で5000l/sec(以上)の排気速度での排気が可能なターボ分子真空ポンプ(TMP)及びチャンバ圧力をしぼるゲートバルブを有して良い。ドライプラズマエッチングに用いられる従来のプラズマ処理装置では、1000〜3000l/secのTMPが一般に用いられている。TMPは、典型的には50mTorr未満の低圧処理にとって有用である。高圧(約50mTorrよりも高い圧力)での処理については、メカニカルブースターポンプ及びドライ粗引きポンプが用いられて良い。さらにチャンバ圧力の監視装置(図示されていない)が、プラズマ処理チャンバ10と結合して良い。圧力を測定する装置はたとえば、MKSインスツルメンツによって市販されている628B型のバラトロン絶対キャパシタンスマノメータであって良い。
【0018】
制御装置14は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びデジタルI/Oポートを有する。デジタルI/Oポートは、ドライプラズマエッチングシステム1aからの出力を監視するのみならず、ドライプラズマエッチングシステム1aの入力をやり取りし、かつ活性化させるのに十分な制御電圧を発生させる能力を有する。しかも制御装置14は、背面気体供給システム(図示されていない)、基板/基板ホルダ温度計測システム(図示されていない)、及び/又は静電固定システム(図示されていない)だけでなくRF発生装置40、インピーダンス整合ネットワーク50、気体注入システム(図示されていない)、真空排気システム30と結合して情報のやり取りをすることができる。シリコン酸化物又はシリコン窒化物のエッチングを実行するためのプロセスレシピに従って、メモリ内に記憶されたプログラムは、プラズマ処理システム1aの上述の構成部品への入力を起こすのに利用されて良い。制御装置14の一例はデルコーポレーションから販売されているDELL PRECISION WORKSTATION610(商標)である。
【0019】
しかし制御装置14は、汎用コンピュータシステムとして実装されても良い。その汎用コンピュータシステムは、基板処理装置に、メモリ内に格納されている1以上の命令に係る1以上のシーケンスを実行するプロセッサに応答して、本発明に係る処理工程の一部又は全部を実行する。係る命令は、たとえばハードディスクや取り外し可能な媒体ドライブのような他のコンピュータによる読み取り可能な媒体から制御装置のメモリへ読み取られて良い。多重処理装置内の1つ以上のプロセッサが、主メモリ内に含まれる命令のシーケンスを実行する制御装置のマイクロプロセッサとして用いられても良い。代替実施例では、ハードワイヤ回路が、ソフトウエア命令の代わりに用いられて良いし、又はソフトウエア命令と併用されても良い。よって実施例は、ハードウエア回路及びソフトウエアについての特定の組合せには限定されない。
【0020】
制御装置14は、たとえば制御装置のメモリのようなコンピュータによる読み取りが可能な媒体又はメモリを少なくとも1つ有する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体又はメモリは、本発明の教示に従ってプログラミングされた命令を保持し、かつ本明細書に記載されたデータ構造、テーブル、レコード又は他のデータを有する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体の例には、コンパクトディスク(たとえばCD-ROM)若しくは他の光学式媒体、ハードディスク、フロッピーディスク、テープ、磁気光学ディスク、PROMs(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM若しくは他の磁気媒体、パンチカード、紙テープ若しくは穴のパターンを有する他の物理媒体、又は搬送波(後述)若しくはコンピュータによる読み取りが可能な他の媒体がある。
【0021】
コンピュータによる読み取りが可能な媒体のいずれか1つ又はそれらの結合に保存されることで、本発明は、制御装置14を制御し、本発明を実施する(複数の)装置を駆動し、及び/又は制御装置が人間であるユーザーと相互作用できるようにするソフトウエアを有する。係るソフトウエアには、装置のドライバ、OS、開発ツール、及びアプリケーションが含まれて良いが、これらに限定されるわけではない。係るコンピュータによる読み取りが可能な媒体はさらに、上述の処理の一部(プロセスが分配される場合)又は全部を実行するコンピュータプログラム製品をも含む。
【0022】
本発明のコンピュータコード装置は、如何なる解釈可能又は実行可能なコード機構であって良い。コンピュータコード装置には、解釈可能なプログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLLs)、Javaクラス、及び完全に実行可能なプログラムが含まれるが、これらに限定されるわけではない。しかも本発明の処理の一部は、性能、信頼性、及び/又はコストを向上するために分配されて良い。
【0023】
本明細書で用いられている“コンピュータによる読み取りが可能な媒体”という語は、実行するための制御装置14のプロセッサへ命令を供することに関与する媒体を意味する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体は如何なる形式を取っても良い。コンピュータによる読み取りが可能な媒体には、不揮発性媒体及び透過性媒体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。不揮発性媒体にはたとえば、ハードディスクや取り外し可能な媒体ドライブのような、光学ディスク、磁気ディスク、及び磁気光学ディスクが含まれる。揮発性媒体には主メモリのようなダイナミックメモリが含まれる。しかも、実行用の制御装置のプロセッサへ1つ以上の命令を含む1つ以上のシーケンスを実行する際には、様々な形式のコンピュータによる読み取りが可能な媒体が含まれて良い。たとえば命令は最初離れた位置にあるコンピュータの磁気ディスク上で実行されて良い。その離れた位置にあるコンピュータは、本発明の一部又は全部を実施するための命令を離れた場所から読み取ってダイナミックメモリへ送り、ネットワークを介して命令を制御装置14へ送る。
【0024】
制御装置14は、ドライプラズマエッチングシステム1aに対して局所的に設置されても良いし、又はインターネット又はイントラネットを介してドライプラズマエッチングシステム1aに対して離れた場所に設置されても良い。よって制御装置14は、直接接続、イントラネット、インターネット及びワイヤレス接続のうちの少なくとも1を用いることによって処理システム1とのデータのやり取りをして良い。制御装置14は、たとえば顧客側(つまりデバイスメーカー等)のイントラネットと結合して良いし、又はたとえば売り手側(つまり装置製造者等)のイントラネットと結合しても良い。さらに別なコンピュータ(つまり制御装置、サーバー等)が、たとえば制御装置とアクセスすることで、直接接続、イントラネット及びインターネットのうちの少なくとも1つを介してデータのやり取りをして良い。
【0025】
診断システム12は、光診断サブシステム(図示されていない)を有して良い。その光診断サブシステムは、プラズマから放出される光強度を測定する(シリコン)フォトダイオード又は光電子増倍管(PMT)を有して良い。診断システム12は、たとえば狭帯域干渉フィルタのような光フィルタをさらに有して良い。代替実施例では、診断システム12は、ラインCCD(電荷結合素子)、CID(電荷注入素子)アレイ、及びたとえば回折格子やプリズムのような光分配素子のうちの少なくとも1つを有して良い。それに加えて診断システム12は、所与の波長で光を測定するモノクロメータ(たとえば回折格子/検出器システム)、又は特許文献1に記載されている素子のような光スペクトルを測定する(たとえば回転回折格子を有する)スペクトロメータを有して良い。
【0026】
診断システム12は、たとえばピークセンサシステムズ(Peak Sensor Systems)社又はベリティインスツルメンツ(Verity Instruments)社から販売されているような高分解能発光分析(OES)センサを有して良い。そのようなOESセンサは、紫外(UV)、可視(VIS)、及び近赤外(NIR)光スペクトルにまで及ぶ広いスペクトルを有する。分解能は約1.4Åである。つまりそのセンサは、240nmから1000nmまでで5550の波長を収集することができる。たとえばOESセンサには、高感度の小型ファイバ光学系UV-VIS-NIRスペクトロメータが備えられている。そのUV-VIS-NIRスペクトロメータには、2048画素の1次元CCDアレイが集積されている。
【0027】
スペクトロメータは、単一かつ束ねられた光ファイバを介して伝送される光を受け取る。光ファイバからの光は、固定された回折格子を用いることによって、1次元CCDアレイにわたって分配される。上述の構成と同様に、光学真空窓を介して放出される光は、凸の球面レンズによって、光ファイバの入力終端部上で集光される。各々が所与のスペクトル範囲(UV、VIS、及びNIR)で個別的に調節される3つのスペクトロメータは、プロセスチャンバ用のセンサを形成する。各スペクトロメータは独立したA/D変換器を有する。そして最後にセンサの用途に依存して、全発光スペクトルが、0.1〜1.0秒ごとに記録されて良い。
【0028】
図4に示された実施例では、ドライプラズマエッチングシステム1bはたとえば、図2及び図3の実施例と相似して良い。図2及び図3を参照した際に説明したそれらの構成部品に加えて、ドライプラズマエッチングシステム1bは、プラズマ密度の潜在的増大、及び/又はプラズマ処理の均一性の潜在的改善のため、静的な、又は機械的若しくは電磁的に回転する磁場システム60をさらに有して良い。しかも制御装置14は、回転速度及び磁場強度を制御するため、磁場システム60と結合して良い。回転磁場の設計及び実装は当業者には周知である。
【0029】
図5に示された実施例では、ドライプラズマエッチングシステム1cはたとえば、図2及び図3の実施例と相似して良い。またドライプラズマエッチングシステム1cは、RF発生装置72からインピーダンス整合ネットワーク74を介してRF出力が結合可能な上部電極70をさらに有して良い。上部電極へRF出力を印加するための典型的な周波数は約0.1MHzから約200MHzの範囲であって良い。それに加えて下部電極へRF出力を印加するための典型的な周波数は約0.1MHzから約100MHzの範囲であって良い。しかも制御装置14は、上部電極70へのRF出力の印加を制御するため、RF発生装置72及びインピーダンス整合ネットワーク74と結合する。上部電極の設計及び実装は当業者には周知である。
【0030】
図6に示された実施例では、ドライプラズマエッチングシステム1dはたとえば、図2及び図3の実施例と相似して良い。またドライプラズマエッチングシステム1dは、インピーダンス整合ネットワーク84を介したRF発生装置82によってRF出力が結合可能となる誘導コイル80をさらに有して良い。RF出力は、誘導コイル80から誘電体窓(図示されていない)を介してプラズマ処理領域15へ誘導結合する。誘導コイル80へRF出力を印加するための典型的な周波数は約10MHzから約100MHzの範囲であって良い。同様に掴むための電極へRF出力を印加するための典型的な周波数は約0.1MHzから約100MHzの範囲であって良い。それに加えて細長い隙間を有するファラデーシールド(図示されていない)が、誘導コイル80とプラズマとの間の容量性結合を減少させるのに用いられて良い。しかも制御装置14は、誘導コイル80への出力の印加を制御するため、RF発生装置82及びインピーダンス整合ネットワーク84と結合する。代替実施例では、誘導コイル80は、変成器結合プラズマ(TCP)反応装置内でのように、上からプラズマ処理領域15とやり取りする“螺旋コイル”又は“ホットケーキ”コイルであって良い。誘導結合プラズマ(ICP)源又は変成器結合プラズマ(TCP)源の設計及び実装は当業者には周知である。
【0031】
あるいはその代わりに、プラズマは電子サイクロトロン共鳴(ECR)を用いて生成されて良い。他の実施例では、プラズマはヘリコン波を放射から生成される。さらに他の実施例では、プラズマは伝播する表面波から生成される。上述した各プラズマ源は当業者には周知である。
【0032】
以降の議論においては、ドライプラズマエッチングシステムを利用して基板上の誘電体層をエッチングする方法が与えられる。たとえばドライプラズマエッチングシステムは、たとえば図2から図6に記載されたような様々な素子及びそれらの結合を有して良い。
【0033】
一の実施例では、シリコン酸化物(SiOx)若しくはシリコン窒化物(SiyNz)又はこれら両方をシリコン及びポリシリコンに対して選択的にエッチングする方法は、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、アルゴン(Ar)や任意である酸素(O2)のような酸素含有ガスを有するプロセス用化学物質を含む。たとえばプロセスパラメータ空間は、約5〜約1000mTorrのチャンバ圧力、約1〜約1000sccmのCHF3プロセスガス流速、約1〜約1000sccmのCH2F2プロセスガス流速、約1〜約1000sccmの任意であるO2プロセスガス流速、約1〜約2000sccmのArプロセスガス流速、約1〜約2000Wの上部電極(たとえば図5の素子70)のRFバイアス、及び約1〜約1000Wの下部電極(たとえば図5の素子20)のRFバイアスを有して良い。また上部電極バイアス周波数は、約0.1MHz〜約200MHzの範囲で、たとえば60MHzであって良い。それに加えて、下部電極バイアス周波数は、約0.1MHz〜約100MHzの範囲で、たとえば2MHzであって良い。
【0034】
それに加えてたとえばプロセスパラメータ空間は、約40〜約100mTorrのチャンバ圧力、約5〜約100sccmのCHF3プロセスガス流速、約1〜約10sccmのCH2F2プロセスガス流速、約0〜約10sccmの任意であるO2プロセスガス流速、約0〜約500sccmのArプロセスガス流速、約100〜約1000Wの上部電極(たとえば図5の素子70)のRFバイアス、及び約50〜約950Wの下部電極(たとえば図5の素子20)のRFバイアスを有して良い。また上部電極バイアス周波数は、約0.1MHz〜約200MHzの範囲で、たとえば60MHzであって良い。それに加えて、下部電極バイアス周波数は、約0.1MHz〜約100MHzの範囲で、たとえば2MHzであって良い。
【0035】
前述したように、フルオロハイドロカーボンベースのエッチング用化学物質、具体的にはCHF3やCH2F2、を用いることで、シリコンやポリシリコン表面を保護する一方でシリコン酸化物又はシリコン窒化物表面のエッチングを許す炭化水素及びフルオロカーボン分子の生成が促進される。たとえば発明者らは、特定の条件下では、CHF3は相対的により活発的にエッチングする分子又は原子を生成しがちであり、かつCH2F2は相対的によりポリマー生成分子を生成しがちである。
【0036】
一例では、たとえば図5に記載されているようなドライプラズマエッチングシステムを利用して、シリコン及びポリシリコンに対して、シリコン酸化物を選択的にエッチングする方法が与えられる。しかし述べた方法はこの典型例によって限定されるわけではない。
【0037】
上述のように、スペーサのエッチングプロセスは、ポリシリコンのゲート材料やシリコン基板のエッチングを最小限にしながら誘電材料をエッチングするエッチング用化学物質を用いることが好ましい。特許文献2はエッチングプロセスにCH2F2を用いることで、ポリシリコンに対する酸化物のエッチング選択性が改善できることについて開示している。しかし本願発明者らは、特許文献2に開示されたプロセスは、結晶シリコンに対する酸化物の選択性、これも望ましいことである、を相対的に改善させることはできないと判断した。具体的には表1は、CHF3及びArを利用する第1プロセスレシピ(プロセスA)とCHF3、CH2F2、O2、及びArを利用する第2プロセスレシピ(プロセスB)を含む2つのプロセスレシピを与えている。
【0038】
【表1】
表1では、pはプロセスチャンバ内のガス圧(ミリトール、mTorr)を表し、Gapは上部電極(たとえば図5の素子70)と下部電極(たとえば図5の素子20)との間の間隔(ミリメータ、mm)を表し、UEL Pは上部電極(たとえば図5の素子70)と結合する高周波(RF)出力(W、ワット)を表し、LEL Pは下部電極(たとえば図5の素子20)と結合するRF出力(W、ワット)を表し、CHF3はCHF3のガス流速(標準状態でのcm3/min、sccm)を表し、ArはArのガス流速(sccm)を表し、CH2F2はCH2F2のガス流速(sccm)を表し、かつO2はO2のガス流速(sccm)を表す。
【0039】
各プロセス条件、及び以降のプロセス条件においては、基板は静電固定を用いて基板ホルダに固定される。ここで基板ホルダは2領域背面ヘリウム供給システムを有する。その2領域背面ヘリウム供給システムは、基板中心部で15Torrの背面ヘリウム圧力をかけ、かつ基板端部で25Torrの背面ヘリウム圧力をかけるように備えられている。それに加えて、上部電極(たとえば図5の素子70)の温度は約80℃に設定され、ドライプラズマエッチングシステムの壁の温度は60℃に設定され、かつ下部電極(たとえば図5の素子20)又は基板ホルダの温度は約30℃に設定される。このプロセスのさらなる詳細は、特許文献2に与えられている。
【0040】
表2は、ポリシリコンに対するシリコン酸化物のエッチング選択性(酸化物/ポリシリコン、ポリシリコンのエッチング速度(E/R)に対するシリコン酸化物のエッチング速度の比)、シリコンに対するシリコン酸化物のエッチング選択性(酸化物/シリコン、シリコンのエッチング速度(E/R)に対するシリコン酸化物のエッチング速度の比)、シリコン酸化物のエッチング速度(Å/min)、及びスペーサ誘電体のエッチングが完了した後のシリコン凹部の程度(nm)を与えている。図2について検討した結果、CH2F2の導入を含む第2プロセスレシピを利用するときには、ポリシリコンに対する酸化物のエッチング選択性が大きく増大することが示唆された。しかし本願発明者らは、第2プロセスレシピを利用したときの、シリコンに対する酸化物の選択性の増大はわずかしか観測されなかったと判断した。従ってエッチング用化学物質に対する(単結晶)シリコンの感受性は、エッチング用化学物質に対するポリシリコンの感受性とはかなり異なる。このことは本発明以前には十分に理解されていなかった。
【0041】
【表2】
上記認識、及びたとえば図1A及び1Bのスペーサエッチングプロセスのようなプロセスへの上記認識の重要性に基づき、本願発明者らは、シリコン酸化物及びシリコンのエッチングの際、表1に示された様々なプロセスパラメータ(つまり圧力、アルゴン流速、CH2F2流速、CHF3流速、O2流速、出力等)の重要性を特定するために、大規模な研究及び試験を行った。そのような研究及び試験を行ったことで、発明者らは、(1)高シリコン酸化物エッチング速度、(2)低シリコンエッチング速度、(3)受容可能なプロセス均一性、及び(4)シリコン上での少ない正味の堆積量、を有するプロセス条件が望ましいということを特定した。
【0042】
表3は、研究及び試験において実行されたプロセス条件の組を与えている。表1に列挙されたプロセスパラメータに加えて、表3は、シリコン酸化物表面全体で測定されたシリコン酸化物のエッチング速度(nm/min)、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて単結晶シリコン基板上で測定されたシリコンのエッチング速度(nm/min)、及びシリコン酸化物とシリコンとの間のエッチング選択性(つまりシリコンのエッチング速度に対するシリコン酸化物のエッチング速度の比)をも供する。(エッチング速度を計算するための)厚さ変化の測定は、増加(正味の堆積量)又は減少(正味のエッチング量)のいずれについても、約±3nmの誤差で実行される。場合によっては、データが得られなかったために、“No data”と書かれている。また別な場合では、エッチング速度が負の値であるが、この負の値は、シリコン酸化物及びシリコン表面上での正味の材料の堆積量((ポリマー)-(酸化物/シリコン))、又はシリコン表面上での正味の材料の堆積量((ポリマー)-(シリコン))を示している。
【0043】
最初の16のプロセス条件では、エッチング用化学物質にはCH2F2が加えられなかった。圧力、出力、アルゴン流速、及びO2流速のみを変化させた。
【0044】
表3を検討すると、シリコン酸化物とシリコンとの間のエッチング選択性は、全ての場合について4:1未満である。それに加えて場合によっては、たとえばアルゴンが導入されず、かつ出力が低いとき(プロセス番号12を参照のこと)には、シリコン酸化物表面上とシリコン表面上のいずれでも正味の堆積量が存在する。発明者は、(1)アルゴン流速が増大することでシリコンのエッチング速度が上昇する傾向にある、(2)O2流速が増大することでシリコンのエッチング速度が上昇する傾向にある、(3)出力が増大することでシリコンのエッチング速度が上昇する傾向にある、及び(4)圧力が増大することでシリコンのエッチング速度が減少する傾向にある、ことを観測した。
【0045】
プロセス番号17〜31ではCH2F2が導入された。プロセス番号17〜31では、圧力、出力、アルゴン流速、及びCH2F2流速を変化させた。前述したように、側壁表面を保護する(つまり異方性エッチング)にはポリマーの生成が必要だが、出力はエッチング表面でのポリマーを取り払うのに十分な大きさでなければならないので、発明者は出力とCH2F2流速との間でバランスをとることを考える。発明者はさらに、プラズマが存在する中でのポリマー形成材料の生成は、たとえば親分子中でのフッ素含有量が減少するため、CH2F2流速に対してより敏感であり、かつCHF3流速に対してより敏感でなくなると考えている。このことはさらに、O2の増大(典型的にはエッチング速度を増大させる)がCH2F2の導入によって相殺されたという発明者の観察によって支持される。
【0046】
【表3】
図7は、表3で実行された試験の結果を与えている。また図7は、複数のパラメータの変化に対するシリコン酸化物エッチング速度(SiO2エッチング速度、nm/min)とシリコンのエッチング速度(Siエッチング速度、nm/min)の影響を表している。複数のパラメータには、アルゴン流速、O2流速、出力、圧力、及びCH2F2流速が含まれる。具体的には図7は、出力とCH2F2流速の変化に対してシリコン酸化物とシリコンのエッチング速度がより影響を受けることを示唆している。本願発明者は、これらのパラメータが、プロセス要件を満たすように選択性を調節する上で特に有効であると特定した。発明者は、出力の変化は、ポリマー形成親分子(CH2F2)の解離レベルを調節することにより、ポリマー形成材料の生成に影響を及ぼし(たとえば出力が減少することで解離は起こりにくくなり、かつ出力が増大することで解離は進む)、かつCH2F2流速の変化は、ポリマー形成親分子(CH2F2)の量を調節することにより、ポリマー形成材料の生成に影響を及ぼす、と考えた。
【0047】
表3についてさらに検討した結果、たとえば以下のような結果が示唆された。(A)21番のプロセス条件では、シリコン酸化物のエッチング速度はわずかな値(14.6nm/min)であり、シリコン上には正味の堆積物が存在する(35nm/min)、(B)22番のプロセス条件では、8:1を超えるエッチング選択性が得られ、かつシリコンのエッチング速度は低く(4nm/min)、シリコン上には正味の堆積物が存在しない、(C)25番のプロセス条件では、高いシリコン酸化物エッチング速度(46.1nm/min)が得られ、及び(D)26番のプロセス条件では、高いシリコン酸化物エッチング速度(56.3nm/min)が得られ、シリコン上での正味の堆積量は最小となる(4.5nm/min)。
【0048】
しかし図8Aから図8Dを参照すると、シリコン酸化物のエッチング均一性は、これらの4種類のプロセス条件で大きく変化する。図8A及び図8Bは、シリコン表面上に余剰(25番のプロセス条件の場合では余剰の恐れのある)シリコンが堆積される一方で均一性は不十分であることを示している。図8C及び図8Dは、良好な均一性を示していて、シリコン酸化物のエッチング速度は高くて、かつシリコンのエッチング速度は低いか又はシリコン上の正味の堆積量は小さい。
【0049】
ここで表4及び図9を参照すると、CH2F2流速(sccm)と出力(W)の比に対するシリコン酸化物のエッチング均一性(%)の依存性が示されている。約0.0071以下の比では、エッチング均一性は約2.5%未満である。しかし約0.0071よりも大きな比では、均一性は顕著に悪化する。発明者は、ポリマー形成分子の過剰生成、つまり余剰量のポリマー形成親分子(CH2F2)、若しくは低出力(たとえば低解離)、又はこれら両方の結果、均一性が不十分になると考えた。従って本願発明者は、酸化物エッチングの均一性は重要なプロセス因子である場合には、出力とCH2F2流速との比を、プロセス要件を満たすように調節できることをさらに発見した。
【0050】
図10は、本発明の実施例による、プラズマ処理システム内での、基板上のシリコンに対する、たとえばシリコン酸化物及び/又はシリコン窒化物のような誘電体の選択エッチング方法に係るフローチャートを与える。方法400は410で開始される。410では、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、及び希ガス(たとえばアルゴン)のような不活性ガスを含むプロセスガスがドライプラズマエッチングシステムに導入される。あるいはその代わりにプロセスガスは、酸素含有ガスをさらに含んで良い。
【0051】
【表4】
420では、たとえば図2〜図6に記載されたシステム又はこれらの結合システムを用いることにより、ドライプラズマエッチングシステム内でプロセスガスからプラズマが生成される。
【0052】
430では、シリコンに対する高いエッチング選択性でシリコン酸化物及び/又はシリコン窒化物をエッチングするため、420で生成されたプラズマに基板が曝露される。
【0053】
図11は、スペーサのエッチングプロセスにおいて凹部を減少させる方法に係るフローチャートを与える。フローチャート500は、ドライプラズマエッチングシステム内で、ポリシリコンの特徴部位の上にスペーサ誘電体層を有するシリコン基板を基板ホルダ上に設ける510で開始される。当該ドライプラズマエッチングシステムはたとえば、たとえば図2〜図6に記載されたシステムのいずれか又はこれらの結合システムであって良い。スペーサ誘電体層は、シリコン酸化物(SiOx)、若しくはシリコン窒化物(SiyNz)、又は、たとえばシリコン酸窒化膜のような混合物の膜を有して良い。
【0054】
520では、スペーサ誘電体層とシリコン基板とのエッチング選択性が5:1以上となるようにプロセス条件が選ばれる。CH2F2流速、若しくはCHF3流速、若しくは圧力、若しくはドライプラズマエッチングシステム内の電極と結合する出力(たとえば上部電極70と結合するRF出力)、又はこれら2つ以上の組合せのうちの少なくとも1つを、シリコンに対するスペーサ誘電体層のエッチング選択性を5:1以上で、望ましくは7:1以上にするように変化させる。
【0055】
530では、選択されたプロセス条件がドライプラズマエッチングシステムに適用される。540では、そのプロセス条件に基板が曝露される。プロセス条件の一例には、約60mTorrのチャンバ圧力、約25sccmのCHF3プロセスガス流速、約1.6sccmのCH2F2プロセスガス流速、約450sccmのArプロセスガス流速、約275Wの上部電極(たとえば図5の素子70)のRFバイアス、及び約225Wの下部電極(たとえば図5の素子20)のRFバイアスが含まれて良い。また上部電極バイアス周波数は、約0.1MHz〜約200MHzの範囲で、たとえば60MHzであって良い。それに加えて、下部電極バイアス周波数は、約0.1MHz〜約100MHzの範囲で、たとえば2MHzであって良い。
【0056】
図12は、ドライプラズマエッチングシステム内において、基板上でのシリコンに対して誘電体層を均一にエッチングする方法に係るフローチャートを与える。フローチャート600は、ドライプラズマエッチングシステム内において、たとえばシリコン酸化物(SiOx)又はシリコン窒化物(SiyNz)のような誘電体層を有する基板を基板ホルダ上に設ける610で開始される。シリコン酸化物(SiOx)又はシリコン窒化物(SiyNz)の膜は、基板上のポリシリコンの特徴部位の上にスペーサ誘電体層を有して良い。当該ドライプラズマエッチングシステムはたとえば、たとえば図2〜図6に記載されたシステムのいずれか又はこれらの結合システムであって良い。
【0057】
620では、CHF3及びCH2F2を含むプロセスガスがドライプラズマエッチングシステムへ導入される。そのプロセスガスは、たとえば希ガス(たとえばアルゴン)のような不活性ガスをさらに有して良い。それに加えてそのプロセスガスは酸素含有気体を有して良い。酸素含有気体とはたとえば、酸素(O2)、NO、N2O、NO2、CO、若しくはCO2、又はこれらの混合気体である。
【0058】
630では、プロセスガスからプラズマを生成するため、第1高周波(RF)信号がドライプラズマエッチングシステム内の電極に印加される。第1RF信号は第1RF周波数であって良い。その第1RF周波数は20MHz以上であって良い。さらに第2RF信号が、ドライプラズマエッチングシステム内の同一電極又は他の電極へ印加されても良い。たとえばその第2RF信号は、上に基板が存在する基板ホルダへ印加されても良い。第2RF信号は第2RF周波数であって良い。その第2RF周波数は20MHz以下であって良い。
【0059】
640では、CH2F2の流速と、ドライプラズマエッチングシステム内の電極に結合するRF出力との比が実質的に0.0071sccm/Watt以下に選択される。
【0060】
たとえ本発明のある典型的実施例のみが詳細に説明されたとしても、当業者は、本発明の新規な教示及び利点からほとんど逸脱することなく、多くの修正型が可能であることをすぐに理解する。従って多くの係る修正型は、本発明の技術的範囲内に含まれるものと解される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】A及びBはシリコン基板上に形成された構造を概略的に図示している。
【図2】本発明の実施例によるドライプラズマエッチングシステムの概略を図示している。
【図3】本発明の他の実施例によるドライプラズマエッチングシステムの概略を図示している。
【図4】本発明の他の実施例によるドライプラズマエッチングシステムの概略を図示している。
【図5】本発明の他の実施例によるドライプラズマエッチングシステムの概略を図示している。
【図6】本発明の他の実施例によるドライプラズマエッチングシステムの概略を図示している。
【図7】シリコン酸化物及びシリコンのエッチング速度の複数のプロセスパラメータに対する典型的な依存性を表している。
【図8】A-Dは、エッチング均一性についての典型的なデータを表している。
【図9】ドライプラズマエッチングについての典型的なデータを表している。
【図10】本発明の一の実施例による誘電体層のエッチング方法を表している。
【図11】本発明の他の実施例による誘電体層のエッチング方法を表している。
【図12】本発明の他の実施例による基板上の凹部を減少させる方法を表している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライプラズマエッチングシステム内に設けられた基板上のシリコンに対してシリコン酸化物を均一にエッチングする方法であって:
前記ドライプラズマエッチングシステム内の基板ホルダ上に、シリコン酸化物(SiOx)膜を有する前記基板を設ける手順;
前記ドライプラズマエッチングシステム内のプロセス空間へCHF3及びCH2F2を含む反応性プロセスガスを導入する手順;
前記ドライプラズマエッチングシステム内の電極に20MHzよりも高い周波数を有する第1高周波(RF)信号を印加する手順;
前記CH2F2の流速と前記電極に結合するRF出力との比を実質的に0.0071sccm/Watt以下に選択する手順;並びに
前記シリコン酸化物膜をエッチングする手順;
を有する方法。
【請求項2】
前記基板ホルダへ20MHz未満の周波数を有する第2RF信号を印加する手順をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記のドライプラズマエッチングシステム内のプロセス空間へ希ガスを導入する手順をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電極が、前記基板ホルダ上の前記基板に対向する上部電極を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電極が前記基板ホルダを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
酸素(O2)、CO、若しくはCO2、又はこれらの混合ガスを含む酸素含有ガスを導入する手順をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコン酸化物の膜又はポリシリコンの特徴部位の上に存在する前記膜が、トランジスタ用のポリシリコンゲートを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリシリコンの特徴部位がポリシリコンゲートを有し、かつ
前記シリコン酸化物層が、前記ポリシリコンゲート用の絶縁スペーサを有する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータシステム上で実行するためのプログラム命令を有するコンピュータによる読み取り可能な媒体であって:
前記ドライプラズマエッチングシステム内の基板ホルダ上に、シリコン酸化物(SiOx)膜を有する前記基板を設ける手順;
前記ドライプラズマエッチングシステム内のプロセス空間へCHF3及びCH2F2を含む反応性プロセスガスを導入する手順;
前記ドライプラズマエッチングシステム内の電極に20MHzよりも高い周波数を有する第1高周波(RF)信号を印加する手順;
前記CH2F2の流速と前記電極に結合するRF出力との比を実質的に0.0071sccm/Watt以下に選択する手順;並びに
前記シリコン酸化物膜をエッチングする手順;
を、前記コンピュータシステムによって実行されるときに、前記コンピュータに実行させる、コンピュータによる読み取り可能な媒体。
【請求項10】
ドライプラズマエッチングシステムであって:
プロセス空間を画定するように備えられたプロセスチャンバ;
前記プロセスチャンバと結合して前記プロセス空間内の基板を支持するように備えられた基板ホルダ;
前記プロセスチャンバと結合して当該ドライプラズマエッチングシステム内のプロセス空間へCHF3及びCH2F2を含む反応性プロセスガスを導入するように備えられたプロセスガス供給システム;
前記プロセスチャンバと結合して前記プロセス空間を排気するように備えられた真空処理システム;
前記プロセス空間内でプラズマを生成するため、前記プロセスチャンバ内の電極と結合して高周波(RF)出力を前記プロセスガスと結合させるように備えられた出力システム;並びに
前記プロセスガス供給システム及び前記出力システムと結合して前記CH2F2の流速と前記電極に結合するRF出力との比を実質的に0.0071sccm/Watt以下に設定するように備えられた制御装置;
を有するドライプラズマエッチングシステム。
【請求項1】
ドライプラズマエッチングシステム内に設けられた基板上のシリコンに対してシリコン酸化物を均一にエッチングする方法であって:
前記ドライプラズマエッチングシステム内の基板ホルダ上に、シリコン酸化物(SiOx)膜を有する前記基板を設ける手順;
前記ドライプラズマエッチングシステム内のプロセス空間へCHF3及びCH2F2を含む反応性プロセスガスを導入する手順;
前記ドライプラズマエッチングシステム内の電極に20MHzよりも高い周波数を有する第1高周波(RF)信号を印加する手順;
前記CH2F2の流速と前記電極に結合するRF出力との比を実質的に0.0071sccm/Watt以下に選択する手順;並びに
前記シリコン酸化物膜をエッチングする手順;
を有する方法。
【請求項2】
前記基板ホルダへ20MHz未満の周波数を有する第2RF信号を印加する手順をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記のドライプラズマエッチングシステム内のプロセス空間へ希ガスを導入する手順をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電極が、前記基板ホルダ上の前記基板に対向する上部電極を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電極が前記基板ホルダを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
酸素(O2)、CO、若しくはCO2、又はこれらの混合ガスを含む酸素含有ガスを導入する手順をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコン酸化物の膜又はポリシリコンの特徴部位の上に存在する前記膜が、トランジスタ用のポリシリコンゲートを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリシリコンの特徴部位がポリシリコンゲートを有し、かつ
前記シリコン酸化物層が、前記ポリシリコンゲート用の絶縁スペーサを有する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータシステム上で実行するためのプログラム命令を有するコンピュータによる読み取り可能な媒体であって:
前記ドライプラズマエッチングシステム内の基板ホルダ上に、シリコン酸化物(SiOx)膜を有する前記基板を設ける手順;
前記ドライプラズマエッチングシステム内のプロセス空間へCHF3及びCH2F2を含む反応性プロセスガスを導入する手順;
前記ドライプラズマエッチングシステム内の電極に20MHzよりも高い周波数を有する第1高周波(RF)信号を印加する手順;
前記CH2F2の流速と前記電極に結合するRF出力との比を実質的に0.0071sccm/Watt以下に選択する手順;並びに
前記シリコン酸化物膜をエッチングする手順;
を、前記コンピュータシステムによって実行されるときに、前記コンピュータに実行させる、コンピュータによる読み取り可能な媒体。
【請求項10】
ドライプラズマエッチングシステムであって:
プロセス空間を画定するように備えられたプロセスチャンバ;
前記プロセスチャンバと結合して前記プロセス空間内の基板を支持するように備えられた基板ホルダ;
前記プロセスチャンバと結合して当該ドライプラズマエッチングシステム内のプロセス空間へCHF3及びCH2F2を含む反応性プロセスガスを導入するように備えられたプロセスガス供給システム;
前記プロセスチャンバと結合して前記プロセス空間を排気するように備えられた真空処理システム;
前記プロセス空間内でプラズマを生成するため、前記プロセスチャンバ内の電極と結合して高周波(RF)出力を前記プロセスガスと結合させるように備えられた出力システム;並びに
前記プロセスガス供給システム及び前記出力システムと結合して前記CH2F2の流速と前記電極に結合するRF出力との比を実質的に0.0071sccm/Watt以下に設定するように備えられた制御装置;
を有するドライプラズマエッチングシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−256907(P2012−256907A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167024(P2012−167024)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2008−554230(P2008−554230)の分割
【原出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.JAVA
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2008−554230(P2008−554230)の分割
【原出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.JAVA
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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