説明

シリコンウェハーのテクスチャ形成用の組成物及び方法

【課題】低反射率をもたらす、シリコンウェハー表面でのピラミッドの均一かつ密な分布を与える。
【解決手段】1種以上の界面活性剤を有する、シリコンウェハーをテクスチャ形成するためのテクスチャ形成前処理組成物。1種以上の界面活性剤を有するテクスチャ形成前処理組成物でシリコンウェハーを濡らす工程に続いて、テクスチャ形成工程を有する、シリコンウェハーのテクスチャ形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電ウェハーの表面のテクスチャ形成に関する。
【背景技術】
【0002】
光エネルギーの電気への変換効率を向上させるために、非常に低反射のシリコン表面が望ましい。例えば、単結晶シリコンに関しては、これを、テクスチャ形成と呼ばれる工程において、(100)Siウェハーを異方性エッチングして、表面にピラミッド構造を形成することによって達成する。従来技術の文献としては、特許文献1〜14及び非特許文献1〜3を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2009120631A2号
【特許文献2】中国公開特許CN101634026A号
【特許文献3】中国公開特許CN101634027A号
【特許文献4】ドイツ国公開特許DE102007058829A1号
【特許文献5】国際公開WO2009119995A2号
【特許文献6】米国特許第4137123A号
【特許文献7】中国公開特許CN101217173A号
【特許文献8】中国公開特許CN1983644A号
【特許文献9】中国公開特許CN1983645A号
【特許文献10】特開2009123811号
【特許文献11】欧州特許出願公開EP944114A2号
【特許文献12】欧州特許出願公開EP1890338A2号
【特許文献13】国際公開WO2009071333号
【特許文献14】国際公開WO2008022671号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Basu, P.K. Et al, Solar Energy Materials & Solar Cells (2010), 94(6), 1049−1054
【非特許文献2】Basu P.K. et al, Renewable Energy (2009), 34(12), 2571−2576
【非特許文献3】Gangopadhyay U. et al., Solar Energy Materials & Solar Cells (2006), 90(18−19), 3094−3101
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリコンウェハー表面でのピラミッドの均一かつ密な分布が、低い反射率を達成するのに望ましい。ピラミッドの高さが10μm未満で、かつサイズが均一であるのが望ましい。比較的小さく、かつ均一なピラミッド構造は、テクスチャ形成した表面の上部に堆積させて効率の低下をさらに防ぐパッシベーション層の良好な被覆を、確実にする。また、比較的小さく、かつ均一なピラミッド構造は、シリコン表面に印刷される金属接触配線を比較的狭くすることを確保し、これは比較的多くの光を、光電変換のためにシリコン表面に通すことを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、界面活性剤を含む、シリコン表面のテクスチャ形成法で用いるためのテクスチャ形成前処理組成物を与える。また、本発明は、1種以上のカチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物を含むテクスチャ形成前処理組成物を与える。本発明は、1種以上のシリコーン界面活性剤を含む又はさらに含む、シリコン表面のテクスチャ形成法で用いるためのテクスチャ形成前処理組成物をさらに与える。本発明は、1種以上の界面活性剤及び水、又は一種以上の界面活性剤、水及び酸からなる又はこれらから本質的になる、テクスチャ形成前処理組成物をさらに与える。本発明は、1種以上のカチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤、及び水、並びに/又は1種以上のシリコーン界面活性剤及び水;又は1種以上のカチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤、水及び酸、並びに/又は1種以上のシリコーン界面活性剤、水及び酸を含む、又はこれらからなる、若しくはこれらから本質的になる、テクスチャ形成法で用いるためのテクスチャ形成前処理組成物をさらに与える。上述のあらゆる組成物が、1種以上の酸及び/若しくは塩基、及び/若しくは1種以上の泡消剤、並びに/又は1種以上の他の添加剤をさらに含むことができ、又はこれらから本質的になることができ、若しくはこれらからなることができる。
【0007】
本発明は、1種以上の界面活性剤を含有する1種以上の本発明のテクスチャ形成前処理組成物で、ウェハーを濡らす工程を含む、シリコンウェハーにテクスチャを形成する方法をさらに与える。また、本発明は、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤、並びに/又はシリコーン界面活性剤を含有するテクスチャ形成前処理組成物で、ウェハーを濡らす工程を含む、シリコンウェハーにテクスチャを形成する方法をさらに与える。また、本発明は、界面活性剤を含有するテクスチャ形成前処理組成物でウェハーを濡らす工程、及びそのウェハーをエッチング組成物で濡らす工程を含む、シリコンウェハーにテクスチャを形成する方法をさらに与える。上述のあらゆるテクスチャ形成前処理組成物を、本発明の方法で用いることができる。
【0008】
本発明のテクスチャ形成プロセスにおいて、本発明の組成物を用いて、シリコンウェハー若しくはシリコン基材、又は異なる種類の基材に堆積させたシリコン薄膜を処理することができる(用語「基材」又は「ウェハー」を、本明細書及び請求項で相互に交換可能に用いてこれら全てに言及するであろう)。本発明によって処理したシリコンウェハーを用いて、光起電セルを作製することができる。本発明の組成物及び/又は方法で処理されたウェハーは、テクスチャ形成の均一性において改良を示すことができ、またこの処理にさらされていないウェハーに比べて低い反射性を示すことができる。本発明の方法及び/又は組成物で達成されうるさらなる利点は、次の1つ以上を含む場合がある:(1)高い密集度を有し、かつ10μm未満、8μm未満、5μm未満又は4μm未満の平均高さを有する、ウェハー表面のピラミッド構造の生成(本発明による処理がない場合に、ピラミッドの平均高さは10μmを超えることがある);(2)テクスチャ形成した表面の反射率の低下;(3)ピラミッドを形成するのに必要な時間、及び/又は低反射率を有するテクスチャ化表面を形成するのに必要な時間の短縮;(4)テクスチャ形成プロセスにおけるイソプロピルアルコール濃度に対するテクスチャ形成品質の比較的低い影響、また、いくつかの実施態様では、1種以上のテクスチャ形成組成物中に、テクスチャ形成を促進するのに必要なイソプロピルアルコール又は他の添加剤を全く含まずに、テクスチャ形成を行うことができる;(5)テクスチャ形成前処理組成物及びテクスチャ形成前処理工程をテクスチャ形成プロセスで用いる場合、テクスチャ形成の品質及びスループットを向上させるテクスチャ形成(エッチング)組成物又は溶液中の添加剤の必要性を、低下させることができ、又は除くことができる;(6)テクスチャ形成工程においてエッチングされるシリコンの合計量の減少;(7)テクスチャ形成溶液又はエッチング溶液とも呼ばれるテクスチャ形成組成物の向上した浴寿命(bath life);(8)パッシベーション層の被覆の向上;(9)ウェハーの前面に印刷された、比較的狭い金属接触配線;(10)テクスチャ形成前のシリコン表面の濡れ性の向上;及び(11)最終の太陽電池の電気試験パラメーターにおける向上。電気試験パラメーターとしては、例えば、短絡電流、開回路電圧、及び光電変換効率を挙げることができる。いくつかの実施態様に関して、本発明におけるテクスチャ形成法で用いられる組成物又は配合物(これらの用語を本明細書で相互に交換可能に用いるだろう)を用いてテクスチャ形成の前処理をすることは、通常の従来技術のテクスチャ形成プロセスと比較した場合に、30分以下、20分以下、10分以下、又は5分以下にテクスチャ形成の時間を短縮する。これは、いくつかの実施態様に関して、短いプロセス時間をもたらし、そしてそれゆえウェハーのプロセスに関して向上したスループットをもたらす。いくつかの実施態様では、テクスチャ形成前処理組成物又は配合物を本発明の方法で用いる場合、ピラミッドのサイズ及び密集度、並びにウェハーの反射率は、時間と共にほとんど変化せず、又は1以上のテクスチャ形成浴における1種以上のテクスチャ形成組成物の濃度に対して、テクスチャ形成プロセス中に影響をほとんど示さず、そうしてこのプロセスのロバスト性の向上をもたらし;それゆえ、プロセスに混乱が生じた場合に、光起電機器の性能に不利益を与えることなく、比較的長い又は比較的短いテクスチャ形成時間を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、シリコン基材上で本発明の1つの実施態様に従って実行される、表面テクスチャ形成プロセスのプロセスフローダイアグラムを表している。
【図2】図2A〜2Bは、図1のプロセスの様々な段階に対応する、基材の一部の断面表示を表している。
【図3】図3A〜3Cは、それぞれ例1に記載されたようなプロセスA、B及びCに従って処理した、第一供給源からの単結晶Siウェハーの走査電子顕微鏡写真である。
【図4】図4A〜4Cは、それぞれ例1に記載されたようなプロセスA、B及びCに従って処理した、第二供給源からの単結晶Siウェハーの走査電子顕微鏡写真である。
【図5】図5A〜5Dは、例3に記載されたような様々なエッチング時間(それぞれ5分、10分、15分及び20分)を用いてプロセスAに従って処理した、第二供給源からの単結晶Siウェハーの走査電子顕微鏡写真である。
【図6】図6A〜6Dは、例3に記載されたような様々なエッチング時間(それぞれ5分、10分、15分及び20分)を用いて本発明のプロセスBに従って処理した、第二供給源からの単結晶Siウェハーの走査電子顕微鏡写真である。
【図7】図7A〜7Dは、例3に記載されたような様々なエッチング時間(それぞれ5分、10分、15分及び20分)を用いて本発明のプロセスCに従って処理した、第二供給源からの単結晶Siウェハーの走査電子顕微鏡写真である。
【図8】例3に記載された異なる3つのテクスチャ形成プロセスを用いて処理したウェハーに関する、テクスチャ形成(エッチング)時間に対する反射率%のグラフである。
【図9】例5に記載された発明のプロセスに従って処理したシリコンウェハーの表面のトップダウンの走査電子顕微鏡写真である。
【図10】テクスチャ形成前処理組成物での処理がある場合及びない場合の、テクスチャ形成(エッチング)組成物のIPA濃度に対する反射率%のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を促進するために、可能な箇所で同一の参照番号を用いて、複数の図に共通している同一の要素を指定した。添付の図面は、本発明の典型的な実施態様のみについて説明しており、それゆえ特許請求の範囲を限定することを考慮していない。本発明は、他の同等に効果的な実施態様を許容することができる。
【0011】
光起電性の単結晶シリコンウェハーのプロセスは、あらゆる汚染物質を除去するための洗浄、及び通常は高濃度の塩基性溶液中での(インゴットから)切断したウェハーのソーダメージ(saw damage)の除去の第一の工程又は第一の複数工程を、通常は伴う。続いて、希薄な塩基性溶液でテクスチャ形成して、ピラミッドテクスチャを表面に生成する工程を伴う。これは、表面の反射率を低下させ、そしてより多くの光を電気に変換して、それによりウェハーの効率を高める。多結晶シリコンウェハーのプロセスは、あらゆる汚染物質を除去するための洗浄の第一の工程又は第一の複数工程の直後に、テクスチャ形成の工程を伴う。できる限り低い反射率を与えることが望ましい。我々の発明は、ウェハーの表面のテクスチャ形成を改良するための組成物及び方法を与える。我々の発明は、ウェハー表面を、1種以上の界面活性剤、又は1種以上の界面活性剤及び1種以上の溶媒(これは水とすることができる)を溶液中に含有するテクスチャ形成前処理組成物で、処理することを伴う。この組成物は、ウェハー表面を変性させ、そして単結晶シリコンウェハーのテクスチャ形成の場合にはピラミッドの高い核生成密度をもたらし、これは小さいピラミッドの所望の均一な分布をもたらす。多結晶シリコンウェハーに関しては、表面変性は、テクスチャ形成した表面の均一性を改良し、そして比較的低い表面反射率をもたらすことができる。
【0012】
本発明の組成物を、単結晶基材(例えば、Si<100>又はSi<111>)、微晶質シリコン基材、多結晶シリコン基材、ストレインドシリコン基材、アモルファスシリコン基材、ドープ化若しくは非ドープ化ポリシリコン基材、ガラス、サファイア、又はあらゆる種類のシリコン含有基材であってよいウェハーにテクスチャを形成する、複数工程の方法における少なくとも1つのテクスチャ形成前処理工程で、用いることができる。この基材を、異なる種類の基材、例えば金属、ガラス、ポリマーに堆積させたシリコンの薄膜とすることもできる。テクスチャ形成工程に先立つテクスチャ形成前処理工程は、界面活性剤又は1種超の界面活性剤の混合物を溶液中に含有する本発明の組成物の使用を伴う前処理工程である。1種以上の界面活性剤を含有する組成物は、テクスチャ形成前処理工程及びテクスチャ形成工程の間、又はその後に、ウェハーの反射率を改良(低下)させると考えられる。テクスチャ形成前処理工程は、界面活性剤を含有する本発明の組成物を用いるであろう。また、テクスチャ形成工程は、一般にウェットエッチング液とも呼ばれる、既知の任意のエッチング組成物又はエッチング溶液を用いる、標準的な任意のテクスチャ形成工程又はエッチング工程とすることができる。例えば、テクスチャ形成工程は、標準的なテクスチャ形成浴で標準的なテクスチャ形成溶液を用いることができる。
【0013】
テクスチャ形成前処理工程で用いられる本発明のテクスチャ形成前処理組成物は、シリコン表面を洗浄する、さらなる利益を与える。テクスチャ形成プロセスが完了した後で、テクスチャ形成品質が改良され、単結晶シリコンの場合には、高い密集度、かつ小さなピラミッドを与え、また多結晶シリコンの場合には、比較的均一なテクスチャ化した表面を与え、比較的低い反射率をもたらす。述べたような、本発明のテクスチャ形成前処理組成物は、一種以上の界面活性剤を含む。あらゆる種類の界面活性剤、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、又はこれらの組合せを用いることができる。いくつかの実施態様では、本発明の組成物で用いられる界面活性剤は、表面張力を低下させる界面活性剤である。本発明のテクスチャ形成前処理組成物で有用な界面活性剤は、大きな又は長い炭素原子鎖(5超の炭素原子を有する鎖)を有する分子を含み、かつその分子に極性基及び非極性基を含む。
【0014】
テクスチャ形成前処理組成物は、1種以上の界面活性剤を含むことができ、その少なくとも1種は、限定されないが、次の非イオン界面活性剤から選択することできる:アルキルフェノールエトキシレート、アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化メルカプタン、長鎖カルボン酸エステル(ここで、「長鎖」の使用は、鎖中に炭素が5超であることを意味し、例えば多くの実施態様において、長鎖は、5〜20000の炭素を含むことができる)、天然脂肪酸のグリセリンエステル及びポリグリセリンエステル、プロピレングリコールエステル、ソルビトールエステル、ポリオキシエチレン化ソルビトールエステル、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪酸、アルカノールアミド、アセチレングリコール、ポリオキシエチレン化シリコーン、n−アルキルピロリドン、アルキルポリグリコシド、シリコーン界面活性剤及びフルオロケミカル界面活性剤、又はこれらの物質及び本明細書で開示されるあらゆる界面活性剤の混合物。シリコーン界面活性剤は、重合シロキサン又はポリシロキサンと呼ばれる場合があり、化学式[RSiO](ここで、Rは有機基、例えばメチル、エチル、又はフェニルであり、かつnは1より大きい)を有する無機−有機混成ポリマーである。シリコーン界面活性剤を、テクスチャ形成前処理組成物に対して0.001〜10wt%の濃度で加えることができる。より好ましい範囲は、0.001〜1wt%である。市販のシリコーン界面活性剤の例は、DOW Antifoam 1430である。
【0015】
テクスチャ形成前処理組成物は、1種以上の界面活性剤を含むことができ、その少なくとも1種は、プロセス組成物で用いるための非イオン界面活性剤を含むことができる。非イオン界面活性剤としては、限定されないが、アルキルフェノールエトキシレート、例えばTRITON(商標)X−100、X−705、X−114、X−102、X−45、X−15、Tergitol(商標)NP−9、NP−30(Dow Chemicalsから入手可能);アルコールエトキシレート、例えばTergitol(商標)15−S−7、15−S−30、TMN−6、TMN−10(Dow Chemicalsから入手可能);ポリエチレングリコール(100から1000000の範囲の分子量);及びアセチレンジオール、又はこれらの組合せ若しくはこれらと本明細書で開示している任意の界面活性剤との組合せが挙げられる。アセチレンジオール界面活性剤の例としては、Air Products and Chemicals, Incによって製造される、Surfynol(商標)485、465及び2502及びDynol(商標)604が挙げられる。テクスチャ形成前処理組成物は、1種以上の界面活性剤を含むことができ、その少なくとも1種は、アニオン性界面活性剤、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホナート(LAS)、直鎖脂肪酸及び/若しくはこれらの塩、ココナツオイル脂肪酸誘導体、トールオイル酸誘導体、サルコシド、アセチル化ポリペプチド(aceylated polypeptides)、第二級アリルベンゼンスルホナート、リグニンスルホナート、N−アシル−n−アルキルタウレート、高級アルコールスルファート(FAS:fatty alcohol sulfate)、石油スルホナート、第二級アルカンスルホナート(SAS)、パラフィンスルホナート、高級アルコールエーテルスルファート(FAES)、α−オレフィンスルホナート、スルホコハク酸エステル、アルキルナフタレンスルホナート、イセチオナート、硫酸エステル、硫酸直鎖第一級アルコール、硫酸ポリオキシエチレン化直鎖アルコール、硫酸トリグリセリドオイル、リン酸エステル、ポリリン酸エステル、及び過フッ素化アニオン性界面活性剤、及びこれらの混合物並びにこれらと本明細書で開示されている任意の界面活性剤との混合物を含むことができる。テクスチャ形成組成物は、次の構造を有するα−オレフィンスルホナートを含むことができる:
【化1】

(ここで、Rはアルキル基、例えば10〜18の炭素を有する直鎖アルキル基である)。
【0016】
テクスチャ形成前処理組成物は、1種以上の界面活性剤を含むことができ、その少なくとも1種は、カチオン性界面活性剤を含むことができる。カチオン性界面活性剤としては、長鎖アミン及びそれらの塩、ジアミン及びポリアミン並びにそれらの塩、四級アンモニウム塩、ポリオキシエチレン化長鎖アミン、四級化ポリオキシエチレン化(POE)長鎖アミン及びアミンオキシド、これらの混合物並びに本明細書で開示されている任意の界面活性剤とこれらとの混合物が挙げられる。カチオン性界面活性剤の例は、Air Products and Chemicals, Incによって製造されるTomadyne 102である。テクスチャ形成前処理組成物は、1種以上の界面活性剤を含むことができ、その少なくとも1種は、双性イオン性界面活性剤を含むことができる。双性イオン性界面活性剤としては、単純なアミノ酸のN−アルキル誘導体、例えばグリシン、ベタイン、アミノプロピオン酸、イミダゾリン、スルホベタイン、アミンオキシド、及びこれらの混合物並びに本明細書で開示されている任意の界面活性剤とこれらとの混合物が挙げられる。本発明のこのテクスチャ形成組成物で有用な市販の界面活性剤としては、次のものが挙げられる:Clariant Corporationにより製造されているHostapur(商標)SAS 第二級アルカン硫酸ナトリウム塩;Pilot Chemical Companyにより製造されているCalfax(商標)DBA70 C12(分岐)ジフェニルオキサイドジスルホン酸;Pilot Chemical Companyにより製造されているCalfoam(商標)ES−302(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム);Calfoam(商標)ALS−30(ラウリル硫酸ナトリウム);CYTEC CANADA,Inc.により製造されているAEROSOL(商標)NPES−3030Pエーテルスルファート;及びThermPhosからのDequest(商標)スルホン化アクリルコポリマー。
【0017】
本発明の組成物が含む、さらに典型的な界面活性剤としてはアセチレンジオール型界面活性剤、(第一級及び第二級)アルコールエトキシレート、フェニルエトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミド、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)、又は次の文献で与えられている他の界面活性剤が挙げられる:McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents, North American Edition for the Year 2000 published by Manufacturers Confectioners Publishing Co. of Glen Rock, N.J.。あらゆる界面活性剤又は界面活性剤の混合物を、あらゆる量で、又は0.01wt%〜30wt%、2〜30wt%、6wt%〜30wt%、0.1wt%〜20wt%、0.5wt%〜20wt%、1〜20wt%、2〜20wt%、1〜15wt%、5超から30wt%、1.5〜20wt%、若しくは0.5〜10wt%の濃度で本発明のテクスチャ形成前処理組成物に用いることができる。あるいは、界面活性剤を0.01wt%超で、1wt%超で、1.5wt%超で、5wt%超で、6wt%超で、又は10wt%超の量で含む界面活性剤溶液は、テクスチャ形成前処理組成物に有用となる場合がある。多くの実施態様では、テクスチャ形成前処理組成物は水溶液である。重量パーセント(wt%)は、本明細書の全てのwt%と同様に、テクスチャ形成前処理の、テクスチャ形成の又は他の溶液、組成物若しくは配合物の合計重量に基づいている。本明細書で定義されるあらゆる体積%は、述べられているテクスチャ形成前処理又は他の溶液、組成物若しくは配合物の全体積に基づいている。有用な界面活性剤を、適切な技術で純化して、金属の不純物を除去することができる。界面活性剤を純化することは、本発明のテクスチャ形成前処理組成物を調製するときに実行する第一の工程の1つとすることができる。1つの有用な純化技術は、界面活性剤のイオン交換を行うことである。多くの実施態様では、適切な容器(これは浴とすることができる)で全ての原料を組み合わせて、そして攪拌又はそうでない場合にはこの組成物を混合することによって、テクスチャ形成前処理配合物を作製する。必要な場合には、この組成物を、混合の間に加熱して、溶液の形成を促進させることができる。
【0018】
さらに本発明のテクスチャ形成前処理組成物で用いられる界面活性剤を、アニオン性界面活性剤、硫酸官能基若しくはスルホン酸官能基を有する界面活性剤、第二級アルカンスルホナート界面活性剤、アルキルスルファート界面活性剤、又はこれらの混合物の1種以上とすることができる。その界面活性剤を、遊離酸の形態及び塩の形態で用いることができる。スルホン酸基を有する界面活性剤は、次の構造を有する場合がある:
【化2】

(R及びRは、独立して直鎖アルキル基若しくは環状アルキル基、フェニル基、又はこれらの組合せであり、通常1〜20の炭素を有し、かつXは、Na、K、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリエタノールアミン、若しくはアンモニウムを含む任意のカチオン又は水素である)。
いくつかの実施態様では、スルホン酸系界面活性剤は、直鎖アルキル基を含む。
【0019】
その界面活性剤の例は、Clariantから市販されているHostapur(商標)SAS界面活性剤であり、次の構造を有する分子を含む:
【化3】

(m+n=10〜14;スルホン酸基は、多くの場合置換される第二級の炭素原子となるように、炭素鎖にわたって分布する)。
【0020】
さらに、本発明のテクスチャ形成前処理組成物で用いられる界面活性剤は高級アルコールスルファートとすることができ、これは原子数8〜22の範囲の炭素鎖長を有する高級アルコールのスルホン化から生成される。本発明のテクスチャ形成前処理組成物で有用な界面活性剤の例は、分子式C1225O(C4OSONaを有するラウリル硫酸ナトリウムである。炭素鎖長は、10〜18の炭素原子のこの種類の市販の界面活性剤に対して変化する場合がある。この界面活性剤は、様々な分布の炭素鎖長の界面活性剤を含有することもある。
【0021】
本発明のテクスチャ形成前処理組成物で用いることができる界面活性剤の他の1つの例としては、次の構造を有するラウレス硫酸ナトリウムが挙げられる:
【化4】

(ここで、「n」は、界面活性剤の鎖中のエトキシレート基の数であり、1〜5になることができる)。
炭素鎖長は、10〜18の炭素原子のこの種類の市販の界面活性剤によって変化する場合があるこの界面活性剤は、様々な分布の炭素鎖長の界面活性剤を含有することもある。
【0022】
本発明のテクスチャ形成前処理組成物は、n−アルキルベタイン界面活性剤を含有することができる。これらの界面活性剤は、事実上、双性イオン性であり、酸性pHでアニオン性の特徴を、塩基性pHでカチオン性の特徴を示すことができる。テクスチャ形成前処理組成物で有用な界面活性剤の他の1つの例は、Sigma Aldrich ChemicalsからEmpigen(商標)BBの商標の下で販売されている、直鎖の分子式CH(CH8〜14CH(CHCHCOO−Naを有するN,N−ジメチル−N−ドデシルグリシンベタインである。他の1つ例は、直鎖の分子式CH(CH8〜14CH(CHCHCOO−Naを有するN,N−ジメチル−N−ドデシルグリシンベタインである。炭素鎖長は、この種類の市販の界面活性剤によって、炭素原子数10〜18である場合がある。この界面活性剤は、様々な分布の炭素鎖長の界面活性剤を含有することもある。アルキルベタイン界面活性剤の他の例としては、ミリスチルベタイン、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン及びオレイルベタインが挙げられる。
【0023】
テクスチャ形成前処理組成物は、上記の界面活性剤から選択される1種以上の界面活性剤を含有することができる。1つの実施態様では、シリコーン含有界面活性剤を、第一の界面活性剤又は界面活性剤の混合物を含有するテクスチャ形成前処理組成物に加えて、テクスチャ形成性能を向上させることができる。上記第一の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の他のあらゆる種類のものとすることができる。いくつかの実施態様において、第一の界面活性剤を、アルキルスルファート、アルキルスルホナート、第二級アルカンスルホナート、高級アルコールスルファート、アルコールエステルスルファート、α−オレフィンスルホナート及びアルキルベタインを含む界面活性剤の群より選択することができる。シリコーン含有界面活性剤の例は、Dow Antifoam 1430である。第二の界面活性剤として用いる場合に、シリコーン含有界面活性剤の濃度は、0.001wt%〜2wt%の範囲とすることができ、第一の界面活性剤又は界面活性剤の混合体の濃度は、0.1wt%〜10wt%の範囲とすることができる。他の1つの実施態様では、1種の界面活性剤を用いて、溶解性の低い疎水性の界面活性剤分子を可溶化することができる。随意の溶媒性界面活性剤(solvosurfactant)分子を用いて、難溶解性界面活性剤、例えばアセチレンジオール界面活性剤の溶解度を向上させることができる。1種以上の界面活性剤の選択は、ウェハー表面を変性してピラミッドの核生成をし、また表面を洗浄するその又はそれらの性能に依存することがある。
【0024】
界面活性剤を含むテクスチャ形成前処理組成物は、ウェハー表面の洗浄及び/又はテクスチャ形成(エッチング)を促進させる、1種以上の添加剤も含有することができる。洗浄添加剤は、例えば存在する場合、ソーダメージ除去工程後にもなお表面に残留している残渣を除去するのを促進するであろう。随意に、本発明のテクスチャ形成前処理組成物は、無機酸若しくは有機酸、塩基、キレート剤、分散剤及び消泡剤又はこれらの混合物等の1種以上の追加の成分を含むことができる。酸及び塩基並びに他の添加剤を、テクスチャ形成前処理組成物に添加して、例えばその洗浄性能を向上させることができる。
【0025】
有機酸は、微量の金属、有機残渣及び無機残渣の除去を改良するように機能する。有機酸を、幅広い酸から選択することができ、例えば、限定されないが、シュウ酸、クエン酸、マイレン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルコン酸、グルタル酸、アスコルビン酸、ギ酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリシン、アラニン、シスチン、スルホン酸、スルホン酸の様々な誘導体等又はこれらの混合物が挙げられる。これらの酸の塩を用いることもできる、これらの酸/塩の混合体も用いることができる。
【0026】
テクスチャ形成前処理組成物は、無機酸及び/又はそれらの塩をさらに含有することができる。無機酸及び/又はそれらの塩を、他の有機酸及び/又はそれらの塩と組み合わせて用いることができる。無機酸の例としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、スルファミン酸等が挙げられる。これらの酸/塩の混合体も用いることができる。
【0027】
本発明のテクスチャ形成前処理組成物は、あらゆる量の酸及び/又はそれらの塩(酸/塩)を含むことができ、又は0〜30wt%若しくは0.001〜30wt%の酸/塩を含むことができる。酸は、あらゆる量で存在することができ、又は0.1〜10wt%若しくは0.1〜5wt%の範囲で存在することができる。酸及び塩の組合せを用いて、所望のpHレベルでこの溶液を緩衝化させることもできる。酸/塩をテクスチャ形成前処理組成物に加える場合に、通常、それらを、テクスチャ形成前処理組成物の合計量に基づいて、0.25〜10wt%又は0.5〜5wt%の量で用いる。酸/塩を、エッチング/テクスチャ形成組成物に加えることもできる。酸/塩をエッチング組成物に加える場合に、通常、それらを、エッチング組成物の合計量に基づいて、0〜10wt%又は0〜5wt%の量で用いる。ある実施態様において、テクスチャ形成前処理及び/又はテクスチャ形成組成物には、酸及び/若しくは酸の混合体、並びに/又はそれらの塩が存在しない、又は実質的に存在しない(「実質的に存在しない」とは、明細書中で他に定義される場合を除いて、用いられる箇所で、0.001wt%未満を意味する)。
【0028】
本発明の方法で用いられるテクスチャ形成前処理組成物は、さらに1種以上の塩基を含むことができる。この塩基は、様々な範囲の化学物質から選択され、例えば、限定されないが、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化第四級アンモニウム、アミン、炭酸グアニジン及び有機塩基を挙げられる。この塩基を、単独で、又は他の塩基と組み合わせて用いることができる。適切な有機塩基の例としては、限定されないが、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グリセロール、有機アミン(例えば、第一級、第二級又は第三級の脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン及び複素環式アミン)、アンモニア水及び水酸化第四級アンモニウムを挙げることができる。ヒドロキシルアミンの特定の例としては、ヒドロキシルアミン(NHOH)、N−メチルヒドロキシルアミン、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン及びN,N−ジエチルヒドロキシルアミンが挙げられる。脂肪族第一級アミンの特定の例としては、モノエタノールアミン、エチレンジアミン及び2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールが挙げられる。脂肪族第二級アミンの特定の例としては、ジエタノールアミン、N−メチルアミノエタノール、ジプロピルアミン及び2−エチルアミノエタノールが挙げられる。脂肪族第三級アミンの特定の例としては、ジメチルアミノエタノール、エチルジエタノールアミンが挙げられる。脂環式アミンの特定の例としては、シクロへキシルアミン及びジシクロへキシルアミンを挙げることができる。芳香族アミンの特定の例としては、ベンジルアミン、ジベンジルアミン及びN−メチルベンジルアミンが挙げられる。複素環式アミンの特定の例としては、ピロール、ピロリジン、ピロリドン、ピリジン、モルホリン、ピラジン、ピペリジン、N−ヒドロキシエチルピペリジン、オキサゾール及びチアゾールが挙げられる。第四級アンモニウム塩の特定の例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド及び(1−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。この配合物は、あらゆる量で、又は0〜20wt%若しくは0〜5wt%の量で、塩基を含有することができる。
【0029】
塩基をテクスチャ形成前処理組成物に加える場合に、それらを通常テクスチャ形成前処理組成物の合計重量に基づいて、0〜10wt%又は0〜5wt%の量で用いることができる。テクスチャ形成前処理組成物は、0.1〜15wt%、0.5〜10wt%又は1〜5wt%の量の塩基を含むことができる。いくつかの実施態様において、テクスチャ形成前処理組成物には塩基が存在しない、又は実質的に存在しない。
【0030】
テクスチャ形成前処理組成物のpHは、酸及び塩基の濃度を調整することによって制御することが出来る。pHは、基材表面への界面活性剤の吸着を制御し、それによって後のテクスチャ形成工程において生成するテクスチャの品質を制御する因子となることができる。
【0031】
本発明のテクスチャ形成前処理組成物は、1種以上のキレート剤をさらに含有することができる。そのキレート剤は、限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(NHEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、エタノールジグリシナート、クエン酸、グルコン酸、シュウ酸、リン酸、酒石酸、メチルジホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、エチリデン−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ジホスホン酸、エチルアミノビスメチレンホスホン酸、ドデシルアミノビスメチレンホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ヘキサジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸及び1,2−プロパンジアミンテトラメチレンホスホン酸又はアンモニウム塩、有機アミン塩、マロン酸、コハク酸、ジメルカプトコハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フタル酸、フマル酸、多価カルボン酸(例えば、トリカルバリル酸、プロパン−1,1,2,3−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ピロメリト酸)、オキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ピルビン酸、ジグリコール酸、サリチル酸、没食子酸)、多価フェノール(例えば、カテコール、ピロガロール)、リン酸(例えば、ピロリン酸、ポリリン酸)、複素環式化合物(例えば、8−オキシキノリン)及びジケトン(例えば、α−ジピリジルアセチルアセトン)からなる群より選択することが出来る。本発明のテクスチャ形成前処理組成物は、あらゆる量で、又は0〜10wt%若しくは0.01〜10wt%の範囲の濃度で、キレート剤を含有することができる。いくつかの実施態様において、テクスチャ形成前処理組成物には、キレート剤が存在しない又は実質的に存在しない。
【0032】
本発明のテクスチャ形成前処理組成物は、1種以上の消泡剤/泡止め剤を、さらに含有することができる。消泡剤を、限定されないが、シリコーン、有機ホスホナート、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーを含有する酸化エチレン/酸化プロピレン(EO/PO)系消泡剤、アルコール、ホワイトオイル、植物油、及び長鎖脂肪族アルコール、脂肪酸石鹸又は脂肪酸エステルであるワックスからなる群より選択することが出来る。この配合物は、あらゆる量で、又は0.0001wt%〜5wt%若しくは0.001〜5wt%の範囲の量で、消泡剤を含有することができる。いくつかの組成物、例えばいくつかのシリコーン界面活性剤は、消泡剤と界面活性剤との両方として機能することが出来る。シリコーン泡止め剤の例は、DOW Antifoam 1430である。いくつかの実施態様において、テクスチャ形成前処理組成物には、消泡剤が存在しない又は実質的に存在しない。
【0033】
本発明のテクスチャ形成前処理組成物は、さらに1種以上の分散剤を含有することができる。分散剤を、限定されないが、アニオン性分散剤、非イオン性分散剤、カチオン性分散剤及び両性分散剤、並びに共重合組成物としてアクリル酸塩を含むポリマー分散剤から選択することが出来る。水溶性のアニオン性分散剤の例としては、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、アクリルアミド−メチル−プロパンスルホナート類(例えばアクリル酸−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸コポリマー)及びこれらの混合物並びに多価カルボン酸型ポリマー分散剤が挙げられる。水溶性の非イオン性分散剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びアルキルアルカノールアミドが挙げられる。水溶性のカチオン性分散剤の例としては、ポリビニルピロリドン、ココナツアミンアセテート(coconutamine acetate)、及びステアリルアミンアセテートが挙げられる。水溶性の両性分散剤の例としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド及び2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインが挙げられる。本発明の組成物は、あらゆる量で、又は0〜5wt%若しくは0〜3wt%の範囲の量で、分散剤を含有することができる。いくつかの実施態様において、テクスチャ形成前処理組成物には、分散剤が存在しない又は実質的に存在しない。
【0034】
このテクスチャ形成前処理組成物は、他の添加剤、例えば糖類又は糖アルコール(キシリトール、マンノース、グルコース等)を含有することができる。このテクスチャ形成前処理組成物は、あらゆる量で、又は0〜50wt%若しくは0〜10wt%の範囲の量で、これらの添加剤を含有することができる。いくつかの実施態様において、テクスチャ形成前処理組成物には、添加剤が存在しない又は実質的に存在しない。
【0035】
このテクスチャ形成前処理組成物は、酸化剤、例えば硝酸、過酸化物及び次亜塩素酸を0〜50wt%又は0〜10wt%の範囲の濃度で含有することができる。いくつかの実施態様において、テクスチャ形成前処理組成物には、酸化剤が存在しない又は実質的に存在しない。
【0036】
このテクスチャ形成前処理組成物は、生産装置の材料をテクスチャ形成前処理組成物の曝露から生じる腐食から保護するための、防食剤を含有することもできる。典型的な防食剤は、化合物、例えば1,2,4トリアゾール、アミノトリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾールを含むことが出来る。このテクスチャ形成組成物は、実際には化学的に還元性である防食剤、例えばアスコルビン酸を含む場合もある。いくつかの実施態様において、テクスチャ形成前処理組成物には、防食剤が存在しない又は実質的に存在しない。
【0037】
テクスチャ形成前処理組成物は、通常は水系組成物であり、溶媒、例えば水、脱イオン水又は精製水として水を含むが、水の代わりに、又は水に追加して通常の溶媒、例えば当業者に知られているようなアルコール、グリコール、アセトン等を用いることも可能である。テクスチャ形成前処理組成物は、この組成物の全重量に基づいて、1wt%超、30wt%超、50wt%超若しくは70wt%超又は1〜99.9wt%、50〜95wt%若しくは80〜99wt%の水を典型的には有する。テクスチャ形成前処理組成物は、1種以上の界面活性剤及び水(脱イオン水)、又は1種以上の界面活性剤、及び/若しくは酸、及び/若しくは塩基、及び/若しくは消泡剤、及び/若しくは他の添加剤並びに残部の水(脱イオン水)を含む、又はこれらからなる、若しくはこれらから本質的になる。テクスチャ形成前処理組成物は、1種以上の界面活性剤及び水(脱イオン水)、又は1種以上の界面活性剤、及び/若しくは酸、及び/若しくは塩基、及び/若しくは消泡剤、及び/若しくは他の添加剤並びに残部の水(脱イオン水)を、含む、又はこれらからなる、若しくはこれらから本質的になる。1つの実施態様の本発明のテクスチャ形成前処理組成物は、1種以上の界面活性剤(例えば、0.5〜5wt%(界面活性剤及び他の成分の有用なwt%は上述している)、1種以上の有機酸(例えば、0.01〜5wt%)、1種以上の随意の塩基(例えば、0〜5wt%)、1種以上の随意の泡止め剤(例えば、0〜0.5wt%)及び1種以上の随意の防食剤(例えば、0〜2wt%)を含有し、かつ残部が水(最大99wt%)である。
【0038】
いくつかの実施態様において、本発明のテクスチャ形成前処理組成物及び/又は本発明の方法で用いられるあらゆるエッチング組成物には、イソプロピルアルコール(IPA)が存在しない又は実質的に存在しない。いくつかの実施態様において、本発明で用いられるテクスチャ形成前処理組成物及び/又はテクスチャ形成組成物には、二価アルコール及び多価アルコールが存在しない又は実質的に存在しない。いくつかの実施態様において、本発明で用いられるテクスチャ形成前処理組成物及び/又はテクスチャ形成組成物には、アルコールが存在しない又は実質的に存在しない。いくつかの実施態様において、本発明で用いられるテクスチャ形成前処理組成物及び/又はテクスチャ形成組成物には、フッ素含有界面活性剤が存在しない又は実質的に存在しない。
【0039】
本発明のテクスチャ形成前処理組成物及びテクスチャ形成組成物によって、ウェハーを濡らす。このウェハーを、フラッディング(flooding)、スプレー、浸漬又は他の方法で濡らすことができる。いくつかの場合では、テクスチャ形成前処理組成物及び/又はテクスチャ形成組成物の攪拌を必要とし、この組成物がテクスチャ形成プロセスの間に常に基材の表面と緊密に接触することを確保する。
【0040】
本発明のテクスチャ形成プロセスは、多段工程のテクスチャ形成プロセスとすることができ、少なくともテクスチャ形成前処理工程とそれに続くテクスチャ形成工程を含むことができる。多段工程のテクスチャ形成プロセスは、1種以上のリンス工程、1種以上の洗浄工程、1種以上の随意のソーダメージ除去工程及び/又は他の工程も含むことができる。ソーダメージ除去工程の前か、テクスチャ形成(エッチング)工程の前か、ソーダメージ除去工程及びテクスチャ形成工程の両方の前かのいずれかで、ウェハーを、本発明のテクスチャ形成前処理組成物で濡らすことができる。ある種の場合では、ウェハーは、プロセス手順においてあらゆるソーダメージ除去工程を受けないで、本発明のテクスチャ形成前処理工程の後に、テクスチャ形成を受ける。現在、テクスチャ形成工程の直前(前の工程)としてテクスチャ形成前処理を、それらの間にリンス工程を伴って行うことが、ウェハーに対するテクスチャ形成工程の品質及びスピードを改良する点でより効率的となると考えられている。テクスチャ形成前処理に関して本発明の組成物を用いることは、表面に完全なテクスチャ形成を達成するのに必要な時間を短縮することもできる。
【0041】
ウェハーを、テクスチャ形成前処理工程及び/又はテクスチャ形成工程の前後の別個のリンス工程で、リンスすることができる。テクスチャ形成プロセスのあらゆる工程に関して、湿潤化を、室温又は高温で、例えば0〜110℃、又は10〜90℃で行うことが出来る。本発明のテクスチャ形成前処理組成物をウェハーに適用する方法に基づいて変わることができる時間で、本発明のテクスチャ形成前処理組成物を用いて、ウェハーを濡らすことができる。テクスチャ形成プロセスを経るコンベアベルト上の単一ウェハー処理は、バッチスケールの浸漬テクスチャ形成プロセスと比較して、短い処理時間を有する。テクスチャ形成前処理工程及び/又はテクスチャ形成工程は、それぞれ1秒〜1時間の範囲とすることができる。好ましいテクスチャ形成前処理工程又はテクスチャ形成工程の時間は、20秒〜30分となる場合がある。テクスチャ形成前処理及び/又はテクスチャ形成工程に関する時間を、これらの工程のそれぞれで用いられるテクスチャ形成浴の温度を上げることによって、短縮することができる。
【0042】
基材を粗面化する又はエッチングするのに用いられる、そのような標準のテクスチャ形成組成物(エッチング組成物)の例は、従来技術で開示されており、当業者に知られている。既知のテクスチャ形成組成物のいくつかの例は、以下に記載されるであろう。本発明のテクスチャ形成工程で用いられる標準的なテクスチャ形成組成物には、実質的に界面活性剤が存在しない場合がある。界面活性剤が実質的に存在しないとは、0.0001wt%未満の界面活性剤を意味する。テクスチャ形成組成物は、配合する時に界面活性剤がない場合があるが、本発明のテクスチャ形成前処理工程からの残留の界面活性剤を有するウェハーをテクスチャ形成組成物で濡らすときに、一定の量の界面活性剤が、ウェハーからテクスチャ形成浴に導入される場合がある。
【0043】
エッチング組成物を、ウェハーの1つ以上の表面に所望の反射率を与えるあらゆる組成物とすることができる。そのエッチング組成物は、塩基性又は酸性のエッチング組成物とすることができる。通常は、塩基性のエッチング組成物を単結晶ウェハーに関して用いて、酸性のエッチング組成物を多結晶ウェハーに関して用いる。酸性のエッチング組成物は溶媒に1種以上の酸を含有し、次の1種以上を含有することができる:HF、HNO、及びHPO、カルボン酸(例えば、酢酸)、及びテクスチャ形成前処理組成物で有用であるとして上述した他の酸又は酸の混合物。多結晶シリコン用の従来のテクスチャ形成溶液は、HF及びHNOからなる群より選択される1種以上の酸を含む酸混合物を含む等方性エッチングである。あるいは又はそれに加えて、テクスチャ形成組成物は、任意の無機酸若しくは有機酸、及び/又は本発明のテクスチャ形成前処理組成物で有用として上述した酸化剤を含有することができる。本発明の方法の1つの実施態様では、塩基性又は酸性のリンスが、テクスチャ形成組成物を用いるテクスチャ形成工程に続く。通常、酸性エッチング溶液は、溶媒に、例えば脱イオン水(DI)又は水に、約5wt%〜70wt%の濃度の酸又は酸の混合物を有することができる。エッチング組成物又はテクスチャ形成(エッチング)組成物は、塩基性のエッチング組成物となることができる。塩基性のエッチング組成物の例としては、溶媒に1種以上の水酸化物を含む組成物が挙げられる。1種以上の水酸化物を、溶液中の、通常は水中の水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、アンモニア(NHOH)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH;又は(CHNOH)又は他の類似の塩基性成分からなる群より選択することが出来る。あるいは又はそれに加えて、塩基性のエッチング組成物は、テクスチャ形成前処理組成物において有用として述べた塩基を含むことができる。塩基性溶液は、脱イオン水(DI)中に約0.1wt%〜約15wt%の濃度のKOH又は他の水酸化物を有することができる。塩基性又は酸性のエッチング溶液は、1種以上の添加剤、例えばキレート剤、消泡剤、分散剤を含有して、シリコン表面のテクスチャ形成を改良することが出来る。テクスチャ形成を改良することが知られている添加剤のリストとしては、アルコール(例えば、イソプロピルアルコール(IPA))、及びポリエーテル(例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)のコポリマー、テトラエチレングリコール)、ポリ(4−ビニルフェノール)(PVP)、臭素化ポリ(4−ビニルフェノール)、ポリスチレンスルホン酸(PSSA)、Joncryleポリマー(実験式C)、フェノール(COH)、オルトクレゾール(o−クレゾール)、メタ−クレゾール(m−クレゾール)、及びパラ−クレゾール(p−クレゾール)、ポリ(クレゾール)、親水コロイド(例えば、でんぷん、セルロース、ペクチン、ゼラチン及びキサンタンガム)が挙げられる。この添加剤の濃度は、テクスチャ形成溶液の0〜25wt%で変化することが出来る。
【0044】
本発明は、このエッチング組成物によって限定されず、あらゆる既知のエッチング組成物を、本発明のテクスチャ形成前処理工程の後のテクスチャ形成工程で用いることができる。
【0045】
リンス工程に関して、過剰のリンスは、テクスチャ形成プロセスにおける後のテクスチャ形成(エッチング)工程において、(単結晶ウェハーに関する)ピラミッド密集度の向上、及び(多結晶ウェハーに関する)テクスチャ形成の品質向上についての、本発明のテクスチャ形成前処理組成物の有効性を低下させる場合がある。一方で、不十分なリンスは、表面に厚みのある化学的残渣を残し、かつ/又はテクスチャ形成浴に化学的な相互汚染を残す。これは、テクスチャ形成の間のシリコン表面の化学反応を阻害し、質の低いテクスチャ形成をもたらす。リンス条件を、特定の組成物、プロセスツール及びプロセス条件に関して最適化させて、良好な結果を達成する必要がある場合がある。様々な種類のリンス技術を使用して、ウェハーを濡らすことができる。例としては、ウェハー表面にリンス組成物をスプレーすること、リンス用のオーバーフロータンク(overflow rinse tank)に浸漬すること、及びウェットベンチツールに存在することがあるリンスタンクで、クイック−ダンプ−リンス(QDR)サイクルをおこなうことが挙げられる。
【0046】
図1は、シリコン基材に行うのに適切な表面テクスチャ形成プロセス順序100の1つの実施態様のフローダイアグラムを示す。このプロセス順序100は、太陽電池製造プロセスに関して説明されているが、このプロセス順序100を有利に利用して、他の構造及び用途に適切なテクスチャ化した表面を形成することが出来る。1つの実施態様では、以下で論じるプロセス順序100は、ロボット機器を有する自動化した製造ラインで実行される。そのロボット機器は、処理される各基材を、以下で論じる全てのプロセス工程を行うのに適合している一連の処理浴に移送するのに適合している。図1に示されていないが、プロセス順序100の別の実施態様は、追加の工程を含む場合、例えば、以下で論じる各処理工程の間に乾燥工程及び/又は追加のリンス工程を含む場合がある。追加のリンス工程は、各工程の間にプロセス用の化学物質への過剰な曝露を防ぎ、また例えば、隣接する処理浴間での化学物質の持ち越しによる相互汚染の可能性を低下させる。図1に示される実施態様では、テクスチャ形成プロセスは、テクスチャ形成前処理工程104A、テクスチャ形成工程104E及び他の追加の工程を含む。以下に記載される本発明の工程は、各工程で用いられる組成物を攪拌する手段を含む場合がある。
【0047】
プロセス順序100は、図2Aに示されるような上部表面204及び下部表面206を有するシリコン基材200を与えることによって、工程102で開始する。基材200は、約100〜約400μmの厚み202を有する場合がある。1つの実施態様では、基材200は、単結晶基材(例えば、Si<100>又はSi<111>)、微晶質シリコン基材、多結晶シリコン基材、ストレインドシリコン基材、アモルファスシリコン基材、ドープ化若しくは非ドープ化ポリシリコン基材、ガラス、サファイア、又はあらゆる種類のシリコン含有基材となることができる。基材200がn型結晶性シリコン基材になるのが望ましい実施態様では、ドナー型の原子を、基材形成プロセスの間に結晶性シリコン基材内にドーピングする。ドナー原子の適切な例としては、限定されないが、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)である。あるいは、p型結晶性シリコン基材が望ましい1つの実施態様では、アクセプタ型の原子を、基材形成プロセスの間に結晶性シリコン基材内にドーピングすることができる。
【0048】
工程103A及び103Bでは、基材200は、テクスチャ形成プロセス(例えば、104A〜F)を行う前に、随意に事前に洗浄され、かつ/又は随意にソーダメージ除去のために処理される。工程103Bを、103Aの前に行うことができ、また工程103Aを、103Bの前に行うことができ、あるいは単一の工程(図示されてない)を用いて洗浄することができ、そしてソーダメージを除去することができる。別の実施態様では(図示されてない)、前洗浄プロセスは、多段工程のプロセスであり、これは不要な汚染物質、表面ダメージ及び/又は後の処理工程に影響を及ぼす場合がある他の物質を除去する。1つの実施態様では、工程103Aにおいて、基材を酸性溶液及び/又は溶媒で濡らして、表面粒子、固有の酸化物又は他の汚染物質を基材から除去することによって、前洗浄プロセスを行うことができる。前洗浄溶液は、約0.1:100〜約4:100の割合でのフッ化水素と脱イオン水の混合物を有するフッ化水素(HF)水溶液とすることができる。本明細書で示される1つの実施態様では、前洗浄溶液は、約0.1wt%〜約4wt%の濃度を有するフッ化水素(HF)水溶液、例えば約1wt%〜約2wt%のHFと、残部である脱イオン水(例えば、最大で99.9wt%)とを有するフッ化水素(HF)水溶液とすることができる。洗浄溶液は、約1ppm〜30ppmのオゾンがDI水に含まれている、オゾン処理されたDI水を含有することができる。前洗浄プロセスを、約5秒〜約600秒、例えば約30秒〜約240秒、例えば120秒で、基材に実行することができる。前洗浄溶液は、標準洗浄溶液1(SC1)とすることもでき、標準洗浄溶液2(SC2)又は他の適切かつコスト有利な洗浄溶液を用いてシリコン含有基材を洗浄することができる(SC1は、NHOH(28wt%)、H(30wt%)及び脱イオン水からなり、典型的な配合は1:1:5であり、通常は70℃で用いられるが、より高い比率で水を含む場合がある。SC2は、HCl(73wt%)、H(30wt%)及び脱イオン水からなり、本来は1:1:5の比率で開発されており、通常は70℃で用いられるが、より高い比率で水を含む場合がある。)。1つの例では、前洗浄プロセスは、約1〜3分の間の時間に室温で、2体積%でフッ化水素酸(HF)を含有する水溶液に基材を浸漬することを含む。他の1つの例では、前洗浄プロセスは、3体積%の硝酸(HNO)及び5体積%のフッ化水素酸(HF)並びに残部としてDI水を含有するHN型溶液に、約2〜約10分の時間に室温で基材を浸漬することを含む。1つの例では、HN溶液を用いる10分の洗浄プロセス及びソーダメージ除去プロセスを用いて、テクスチャ形成プロセス(工程104A〜F)を行う前に、全てのウェハー切断汚染物を除去する。HN洗浄プロセスの使用は、切断され、そして水でリンスされた基材と比較して、Cr、Cu、Fe及びNiの汚染物質を減少させる(WO2009/120631A2を参照)。HN洗浄プロセスを行った後で、基材を、0.5%のイソプロピルアルコール(IPA)とDI水との混合物で、リンスすることができる(リンス工程は示されていない)。
【0049】
1つの実施態様では、ソーダメージ除去プロセス(工程103B)を行って、前の切断プロセスで生まれたあらゆる物理的ダメージを除去する。1つの実施態様では、ソーダメージ除去プロセス工程103Bを、酸エッチング工程103Aを行った後、例えば上述したHN洗浄プロセスを行った後、かつ工程104A〜Fを行う前に、実行する。1つの実施態様では、ソーダメージ除去プロセスは、約5〜45体積%の水酸化カリウム(KOH)及び残部としてDI水を有するソーダメージ除去浴で、基材をエッチングすることを含むことができる。1つの例では、ソーダメージ除去プロセスは、脱イオン水中の20vol%のKOHからなり、70℃で維持されているソーダメージ除去浴で、約22分間、基材をエッチングすることを含むことができる。他の1つの例では、ソーダメージ除去プロセスは、脱イオン水中の20vol%のKOHからなり、80℃で維持されているソーダメージ除去浴で、約10分間、基材をエッチングすることを含む。ソーダメージ除去プロセスを行った後で、この基材を、通常、温かいDI水で、例えば3分間リンスする(この工程は図1に示されていない)。他の1つの例では、ソーダメージ除去プロセスは、脱イオン水中に45vol%のKOHを含む、65℃で維持されているソーダメージ除去浴で、約45秒間、基材を濡らすことを含むことができる。
【0050】
テクスチャ形成プロセスの第一の工程である工程104Aで、基材200を、テクスチャ形成前処理工程において界面活性剤を含む本発明のテクスチャ形成前処理組成物で濡らす。基材200を、フラッディング、スプレー、浸漬又は他の適切な方法で濡らすことができる。この湿潤化を、浴中で行うことができる。適切なテクスチャ形成前処理組成物の例は、上述しており、以下の例で開示されているものを含む。湿潤化を、室温又は高温で、例えば0〜150℃、10〜120℃、又は30〜110℃で行うことができる。湿潤化の時間は、様々な方法によって様々となり、テクスチャ形成前処理浴の場合は、バッチスケールの浸漬方法とは対照的に、単一のウェハーに対して変わる場合がある。処理時間を、1秒〜1時間の範囲とすることができる。テクスチャ形成前処理工程に関して好ましい処理時間は、20秒〜30分、又は1分〜15分とすることができる。
【0051】
テクスチャ形成前処理工程の後のウェハーの表面は、通常、テクスチャ形成前処理組成物によって変化しない。テクスチャ形成前処理組成物で濡らされる前からウェハーが実質的に滑らかな表面を有している場合には、テクスチャ形成前処理工程の後に、テクスチャに実質的な変化がない状態で、ウェハーは実質的に滑らかな表面を有することになる。例えば、通常、ウェハーがテクスチャ形成(エッチング)組成物で濡れるまでは、テクスチャ形成前処理工程に起因する反射率の実質的な変化はないであろう。実質的に滑らかな表面とは、基材の表面の10%未満、5%未満、又は2%未満が、粗面化され、又はピラミッドで覆われていることを意味する。テクスチャ形成前工程104Aの後は、随意のリンス工程104Bである。リンス工程は、通常、基材を水又はDI水で濡らすことを含むが、リンス組成物は、上述した少量の添加物(例えば、酸、塩基、キレート剤、消泡剤、防食剤等)を含有することもできる。リンス工程を用いて、テクスチャ形成前処理浴からこのプロセスの後の工程への、化学物質の持ち越しを防ぐ。リンス工程は、通常、10分以下で又は5分以下で、水又はDI水の浴中に基材を浸漬させることを含む。リンス工程に関して必要なもの及びリンス工程に関する時間は、テクスチャ形成前処理工程及びリンス工程104Aに続く又は続かない場合がある工程に関連する、複数の要因に依存するであろう。テクスチャ形成前処理工程に関して、テクスチャ形成前処理組成物中の界面活性剤の重量パーセントが高ければ高いほど、かつ基材とテクスチャ形成前処理組成物との接触時間が長ければ長いほど、又はテクスチャ形成前処理工程の間の温度が高ければ高いほど、リンス工程の必要性が高くなる。さらに、リンス工程に関して必要な時間は、リンス浴の攪拌及び/又はリンス組成物への洗浄剤等の添加等の要因に依存して、より長くなる場合があり、又はより短くなる場合がある。1以上の随意の前洗浄工程及び/又はソーダメージ除去工程、104C及び/又は104Dが、テクスチャ形成工程104Aに続く場合には、いくつかの実施態様では、リンス工程104Bを、このプロセスから除外することができる。1以上の随意の前洗浄工程及び/又はソーダメージ除去工程、104C及び/又は104Dは、あらゆる化学物質の持ち越しの除去をもたらすであろう。
【0052】
別個の前洗浄工程104C及び/又はソーダメージ除去工程104Dを有さない、いくつかの実施態様では、テクスチャ形成前処理工程104Aは、これらの追加の機能の1以上を果たすことができ、かつテクスチャ形成前処理組成物で、基材の表面を濡らすことができる。そして、後のテクスチャ形成工程で表面を粗面化(テクスチャ形成)する目的で、テクスチャ形成組成物で基材の表面を濡らすことができる。工程104Aで用いられるテクスチャ形成組成物の配合は、そのままで、又は洗浄、ソーダメージ除去及び/若しくはテクスチャ形成前処理工程におけるテクスチャ形成前処理を改良できる配合を与えるように調整して、用いることができる。
【0053】
いくつかの実施態様では、テクスチャ形成プロセスは、テクスチャ形成プロセス(例えば、工程104A〜F)を行う前に、随意の前洗浄工程及び/又は随意のソーダメージ除去工程を含むことができる。1以上の工程104C及び104Dを、テクスチャ形成前処理工程の前に行うことができる1以上の工程103A及び103Bに追加、又は代替することができる。工程103A及び103Bに関して上述したように、工程104Dを、工程104Cの前に行うことができ、工程104Cを、工程104Dの前に行うことができ、又は単一の工程(示されていない)を用いて洗浄し、かつソーダメージを除去することができる。工程103A及び103Bに関して述べた全てを、ここで繰り返して記載するかのように、工程104C及び工程104Dにそれぞれ適用する。
【0054】
任意の実施態様において、追加のテクスチャ形成前処理工程(示されていない)を、工程104C及び/又は104Dに続けることができる(工程104C及び104Dの両方がこのテクスチャ形成プロセスに存在する場合には、工程104Cは、工程104Dに続ける又は先立つことができる)。1つの実施態様では、テクスチャ形成プロセスは、基材をテクスチャ形成前処理組成物で濡らす工程、基材をソーダメージ除去組成物で濡らす工程、及び基材をテクスチャ形成(エッチング)組成物で濡らす工程を含む場合がある。その実施態様は、基材をリンス組成物でリンスする1以上の工程を、さらに含む場合がある。リンス工程は、1以上の工程又は全ての工程の前及び/又は後に、存在する場合がある。その実施態様は、テクスチャ形成前処理工程の前に基材を前洗浄組成物で濡らす、追加の工程も含む場合がある。
【0055】
工程104Eで、基材200を、テクスチャ形成(エッチング)組成物で濡らす。そのエッチング組成物は、任意のエッチング組成物であり、標準的なエッチング組成物、又はそうでない場合には既知のエッチング組成物とすることができる。そのエッチング組成物又はテクスチャ形成(エッチング)組成物を用いて、基材の少なくとも1つの表面を粗面化、エッチング又はテクスチャ化する。基材200を、フラッディング、スプレー、浸漬又は他の適切な方法で濡らすことができる。いくつかの場合には、テクスチャ形成組成物がテクスチャ形成プロセスの間に常に基材の表面と緊密に接触することを確保するために、テクスチャ形成組成物の攪拌が必要となる。単結晶ウェハーの場合には、テクスチャ形成組成物は、基材200を異方性エッチングし、それにより基材200に、図2Bに示されるようなテクスチャ化した表面212を与える。結果として、基材200をエッチングして、テクスチャ化した表面212にピラミッド214を形成する。テクスチャ形成(エッチング)組成物は、基材200の上部表面204及び下部表面206をエッチングできることに留意すべきである。テクスチャ化した表面を、基材の1つの面又は両面に形成することができる。テクスチャ化した表面212の粗面度を、テクスチャ化した表面212に形成したピラミッド214の形状、高さ、寸法及び深さで決めることができる。一般的に、平均の高さは、基材表面の場所又は領域にわたって測定されるピーク210と谷213との平均の差として定義される。一般的に、平均の高さは、機械式のプロフィルメーター若しくは光学式のプロフィルメーター、又は光学式の検査技術(例えば、共焦点顕微鏡観察、3D−SEM画像)を用いることによって、基材表面の場所又は領域にわたって測定されるピーク210と谷213との平均の差として定義される。比較の値である名目上の高さを各例に関して測定した。2D断面SEM画像を用いることによって、名目上の高さを測定した。目視検査によって、断面の大部分のピラミッドによって表されるピラミッド高さを用いて、名目上のピラミッド高さを測定した。いくつかの実施態様では、ピラミッドの平均高さ208は、約0.5μm〜約10μm、例えば約1μm〜約8μm、又は約1μm〜約5μmであった。他の例では、ピラミッドの平均高さ208は、ピラミッドの頂点又はピーク210から、その谷213まで、約0.5μm〜約3μmであった。多結晶シリコンに関して、表面粗度は上昇し、そして反射率は低下するであろう。
【0056】
エッチング組成物又はテクスチャ形成(エッチング)組成物は、基材表面にテクスチャ形成する際に効果的であるあらゆる組成物、例えば大部分の実施態様において水溶液である、あらゆる既知のテクスチャ形成溶液となることができる。1つの実施態様では、テクスチャ形成組成物は、1種以上の添加剤を含有することができる塩基性溶液であり、かつ約50〜約95℃の温度で維持される。他の1つの実施態様では、シリコン基材をエッチングするための塩基性溶液は、水酸化カリウム水溶液(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、アンモニア水(NHOH)、テトラアンモニウムヒドロキシド(TMAH;又は(CHNOH)若しくはこれらの混合物、又は他の同様な塩基性水溶液を含むことができる。塩基性溶液は、DI水中にKOH若しくは他の水酸化物、又は水酸化物の混合体を、約1wt%〜約15wt%の濃度で有することができる。大部分の塩基性テクスチャ形成溶液は、50%超の水、50〜99%の水、又は70〜98wt%の水を含有する。
【0057】
テクスチャ形成(エッチング)組成物は、酸、例えばHF及び酸化剤を含有することができる。これらの種類の溶液は、多結晶シリコン表面にテクスチャ形成するために非常に効果的であることが知られている。最も一般的な酸化剤は、硝酸である。また、テクスチャ形成溶液は、他の添加剤、例えばカルボン酸、鉱酸、水及びその他の添加剤を含有することができる。最も一般的な添加剤としては、酢酸、リン酸、硫酸が挙げられる。最も酸性であるテクスチャ形成溶液は、1〜70wt%の水、又は5〜50wt%の水を含む。例のテクスチャ形成配合物は、5wt%〜70wt%の水、5wt%〜60wt%のフッ化水素酸、及び2wt%〜60wt%の硝酸(又は他の適切な酸化剤)並びに0〜50wt%の1種以上の添加剤を含有することができる。テクスチャ形成を、0〜40℃の温度でエッチング溶液に、10秒〜10分間、多結晶シリコン片を曝露することによって、行うことができる。温度を低くすることによって、より良好な結果が得られることが知られている。
【0058】
他の実施態様では、テクスチャ形成(エッチング)組成物は、そこに添加される添加剤を含有することができる。他の添加剤としては、アルコール(IPA)、及びポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)のコポリマー、テトラエチレングリコールを含むポリエーテル、並びにこれらの組合せ、これらの誘導体等の材料からなる群より選択することができる湿潤剤が挙げられる。テクスチャ形成組成物の組成を、高い沸点/引火点及び高い溶解性を有するように選択して、それによりプロセスの間に湿潤剤が発火すること、揮発すること又は沈殿することから防ぐことができる。
【0059】
テクスチャ形成(エッチング)組成物の1つの実施態様では、テクスチャ形成組成物に添加されている1種以上の表面変性剤は、湿潤剤及びエッチング添加剤を含む。一般的に、この添加剤は、基材の表面のテクスチャ形成プロセスを変えるように選択され、例えば、エッチング速度を基材の表面にわたって高くし又は低くして、エッチング速度の局所的な変動を最小化し、そして形成されるテクスチャの均一性を向上させるように選択される。湿潤剤は、基材表面からエッチングされた溶解した成分が、基材表面に再付着することも防ぐ。1つの実施態様では、エッチング添加剤は、フェノール系材料である。1つの例では、エッチング添加剤は、例えばポリ(4−ビニルフェノール)(PVP)、臭素化ポリ(4−ビニルフェノール)、ポリスチレンスルホン酸(PSSA)、Joncryleポリマー(実験式C)、フェノール(COH)、オルトクレゾール(o−クレゾール)、メタ−クレゾール(m−クレゾール)、及びパラ−クレゾール(p−クレゾール)、ポリ(クレゾール)、これらの組合せ、これらの誘導体等の材料である。
【0060】
テクスチャ形成(エッチング)組成物のテクスチャ形成性能を向上するために、この組成物が含有することができる追加の添加剤としては、親水コロイド、例えばでんぷん、セルロース、ペクチン、ゼラチン及びキサンタンガムが挙げられる。さらに、又はあるいは、テクスチャ形成組成物は、いくつかの実施態様に関して、テクスチャ形成前処理組成物に対して上述した量で、本発明のテクスチャ形成前処理組成物に対して上述した酸及び/又は塩基、並びにそれらの塩、防食剤、酸化剤、消泡剤、キレート剤、及び他の添加剤を含有することができる。
【0061】
テクスチャ形成(エッチング)組成物の例は、PEG化合物を含有する水酸化カリウム水溶液を含む。約20ppm〜約50,000ppmの間の量で、PEGを塩基性溶液に添加する。
【0062】
単結晶シリコンのエッチング用のテクスチャ形成組成物又はエッチング組成物は、エッチング中に、約50℃〜約95度の間に、又は約75℃〜約85度の間に、例えば約80℃の温度に、通常は加熱される。多結晶シリコン用のテクスチャ形成又はエッチング組成物は、0〜40℃で通常用いられる。テクスチャ形成前処理工程、及びテクスチャ形成(エッチング)組成物を用いるテクスチャ形成工程を含み、またリンス工程、洗浄工程、及び/若しくはソーダメージ除去工程、並びに/又は他の工程を随意に含むテクスチャ形成プロセスは、約1〜約90分間、例えば約15〜約60分間、例えば約30〜約40分間で行うことができる。上述のテクスチャ形成前処理工程は、1秒〜1時間、又は20秒〜30分の範囲とすることができる。テクスチャ形成工程は、5分〜30分又は10分〜30分の範囲とすることができる。テクスチャ形成プロセスの一部である追加の工程、例えばテクスチャ形成前処理工程及びテクスチャ形成工程の前及び/又は後の1以上のリンス工程は、各々15秒〜10分又は1分〜5分とすることができる。テクスチャ形成プロセスの一部となる場合がある追加の洗浄工程又はソーダメージ除去工程は、各々1分〜15分又は5分〜10分とすることができる。1つの実施態様では、テクスチャ形成前処理工程を、(界面活性剤を含有する)本発明のテクスチャ形成前処理組成物を用いて実行した後に、テクスチャ形成前処理工程で用いた界面活性剤、本明細書に記載した本発明のあらゆる組成物で用いる界面活性剤、又はあらゆる界面活性剤が存在しない又は実質的に存在しないエッチング組成物を用いて、テクスチャ形成工程を実行する。いくつかの実施態様において、エッチング組成物には、湿潤剤及び/又は添加物が存在しない又は実質的に存在しない。
【0063】
1つの例では、4wt%の水酸化カリウム(KOH)及び2wt%のイソプロピルアルコール、残部として水を含むテクスチャ形成組成物において、80℃で、5〜30分、基材をエッチングする。他のテクスチャ形成組成物は、約2〜5体積%の水酸化カリウム(KOH)及び残部として水を含有し、約79〜80℃の温度に約30分間維持される。これは添加剤を含む場合があり、又は含まない場合がある。
【0064】
表面テクスチャの均一性及び表面粗度の結果は、太陽電池の電気的性能に大きな影響を与えるので、このプロセスの結果及び基材表面にわたる均一性の制御及び最適化は、太陽電池デバイスの形成について重要な因子である。ここに記載した発明の実施態様は、揮発性の添加剤、例えばイソプロピルアルコールが存在しない又は実質的に存在しないテクスチャ形成プロセスを用いて、プロセスのコストを低下させ、プロセスの結果を改良し、プロセスの変動を小さくし、またアルコールの使用に関連する火の懸念及び安全性の懸念を減らすことができる。あるいは、このテクスチャ形成プロセスは、アルコールを用いない又は実質的に用いないが、これはテクスチャ形成工程で用いられる組成物が、1wt%未満又は0.5wt%未満のアルコール、例えばIPAを含むことを意味する。このテクスチャ形成前処理工程(工程104A)を用いることは、テクスチャ形成工程(104E)のアルコールの必要性を低下させることができ、かつ/又はテクスチャ形成工程に関して必要な処理時間を短くすることができる。いくつかの場合には、本発明のテクスチャ形成前処理工程を使用しない通常のプロセスより、約50%以上短くすることができる。
【0065】
単結晶シリコン基材に適用する場合に、本発明のテクスチャ形成前処理組成物、及び/又はここに記載したテクスチャ形成前処理工程を含むテクスチャ形成プロセスは、通常、単結晶ソーラー基材の単位面積あたりに、より多数の、より小さく乱雑なピラミッドを与えるであろう。これは、基材の表面にわたって均一に広がっており、従来のテクスチャ化した基材に比べて、反射率の改良した結果を与える。数の増えた、比較的小さく形成されたピラミッドは、ピラミッドのサイズの変動及びピラミッドの密集度の変動が、従来の形成されたテクスチャよりも小さくなるので、有利である。テクスチャ形成前処理組成物及びテクスチャ形成前処理工程は、一般的にテクスチャ形成プロセスの一様な開始を促進し、それにより基材表面にわたって比較的均一なテクスチャを与えるテクスチャ形成組成物を与えると考えられる。
【0066】
テクスチャ形成工程104Eが完了した後で、随意のリンス工程104F、例えば上述したような水リンス工程を行うことができ、かつ/又は乾燥工程(図示されていない)を行って、一定の、大部分の、又は実質的に全ての104Eからのテクスチャ形成(エッチング)組成物及びあらゆる他の残留化学物質を、基材表面から除去することができる。乾燥プロセスは、窒素ガスの流れ、又は清浄な乾燥空気の流れを用いて基材を乾燥させることを含むことができる。
【0067】
テクスチャ形成プロセス(工程104)を基材表面に行った後、基材の反射率は、約40〜60%以上低下する。
【0068】
次の実施例は、本発明のテクスチャ形成前処理組成物及び方法を例証する。
【実施例】
【0069】
次の例1〜4に関する処理を、単結晶ウェハー片に行った。各辺3〜5cmの範囲のサイズの矩形片を、攪拌子を用いて600RPMの攪拌で、600mlのガラスビーカーで処理した。4つの試験片を各処理に対して用いた。報告したデータは、この4つの試験片の平均である。試験片を、ビーカーのふたを覆うのにも用いられる治具を用いてビーカーに垂直に固定した。他に示さない限り、リンスを、おおよそ100ml/分の流量のDI水を用いて、オーバーフローリンスにより行った。工程で温度が特定されていない場合、温度は室温であった。組成物の一部のみが特定されている場合、残部はDI水であった。
【0070】
例1
切断したままのソーラーグレードの単結晶ウェハーを、2つの供給源から得た。これらのウェハーを、様々なプロセス順序で処理して、表面へのテクスチャ形成を達成した。
【0071】
この例のプロセスのいくつかでは、4wt%のシュウ酸及び1.5wt%のHostapure SAS(イオン交換により精製されている)並びに残部のDI水からなる配合物1とここで呼ばれる溶液で、ウェハーを処理した。
【0072】
3つのテクスチャ形成プロセスを用いて、ウェハー片を処理した。3つの異なるプロセス(A、B及びC)は次のとおりであり、これらのプロセス工程は、それらを行った順番で名前付けした(i、ii及びiii等)。
【0073】
プロセスA:(i)20wt%のKOH溶液(残部はDI水)における、10分、80℃でのソーダメージ除去;(ii)3分のDI水リンス;(iii)4wt%のKOH及び2wt%のイソプロパノール(IPA)を含む溶液(残部はDI水)での、20分、80℃でのテクスチャ形成;及び(iv)3分のDI水リンス。
【0074】
プロセスB:配合物1における、5分、50℃での浸漬;(ii)3分のDI水リンス;(iii)20wt%のKOH溶液における、10分、80℃でのソーダメージ除去;(iv)3分のDI水リンス;(v)4wt%のKOH及び2wt%のイソプロパノール(IPA)を含む溶液(残部はDI水)での、20分、80℃でのテクスチャ形成;及び(vi)3分のDI水リンス。
【0075】
プロセスC:(i)20wt%のKOH溶液における、10分、80℃でのソーダメージ除去;(ii)3分のDI水リンス;(iii)配合物1における、5分、50℃での浸漬;(iv)3分のDI水リンス;(v)4wt%のKOH及び2wt%のイソプロパノール(IPA)を含む溶液(残部はDI水)での、20分、80℃でのテクスチャ形成;及び(vi)3分のDI水リンス。
【0076】
テクスチャ形成プロセスの後で、反射率を、積分球ツール(Perkin−Elmer Lambda 900)を用いて、各ウェハーについて測定した。加重平均(Average−weighted)反射率を、300〜830nmの波長範囲で計算した。加重平均した反射率の計算のためのスペクトルの輝度データ(Spectral irradiance data)を、次の文献から得た:R. Hulstrom, R. Bird, and C. Riordan, “Spectral solar irradiance data sets for selected terrestrial conditions,” Solar Cells, vol. 15, pp. 365〜391。表1は、プロセスA、B又はCで処理した後の、2つの供給源からのウェハーに関する反射率データを要約している。各ウェハーの断面のSEMに基づいて、名目上のピラミッド高さを、断面に存在しているピラミッドの最も代表的な高さを用いて測定した。
【0077】
【表1】

【0078】
プロセスA、B及びCにより作製されたテクスチャ化したウェハーの走査電子顕微鏡写真(SEM)を、65°の傾斜角で撮った。プロセスA、B及びCを用いて処理した、第一の供給源からのウェハーを、図3A、B及びCにそれぞれ示す。プロセスA、B及びCを用いて処理した、第二の供給源からのウェハーを、図4A、B及びCにそれぞれ示す。
【0079】
配合物1を用いて処理したウェハーが、比較的低い反射率及び比較的低いピラミッド高さをもたらすことは、この表及びSEM写真から明らかである。この表及び顕微鏡写真は、上記の行った試験に関して、配合物1を用いての処理をテクスチャ形成工程の直前に行った場合に、最も良好な結果が得られたことを示している。
【0080】
例2
第三の供給源から得た切断したままの単結晶ウェハーを、例1で記載したプロセスCを用いて処理した。ただし、例1の配合物1を、表2の様々なテクスチャ形成前処理配合物で置き換えた(例1からの配合物1は、表2にも含まれている)。
【0081】
【表2】

【0082】
表3は、例2からのウェハーの平均反射率%及び名目上のピラミッド高さを要約しており、また例1からの配合物1に関するデータも含めている。
【0083】
【表3】

【0084】
この例は、テクスチャ形成前処理組成物中の界面活性剤の存在が、反射率及びピラミッド高さを低下させること、及びテクスチャ形成前処理組成物中への0.15wt%超の界面活性剤が、いくつかの実施態様に関してより好ましい場合があることを示している。
【0085】
例3
ピラミッド構造に対するテクスチャ形成時間の影響について調査するために、第二の供給源からのウェハーを、プロセスA、B及びCを用いて処理したが、ウェハーに対して、処理時間を変えた。用いたテクスチャ形成時間は、それぞれに対して5分、10分、15分及び20分だった。各プロセスでのそれぞれのテクスチャ形成時間で処理した代表的なウェハーの、65°の傾斜角でのSEMを撮った。5分のテクスチャ形成工程を用いた、プロセスAを用いて処理したウェハーに対するSEMを、図5Aに示す。10分のテクスチャ形成工程を用いた、プロセスAを用いて処理したウェハーに対するSEMを、図5Bに示す。15分のテクスチャ形成工程を用いた、プロセスAを用いて処理したウェハーに対するSEMを、図5Cに示す。20分のテクスチャ形成工程を用いた、プロセスAを用いて処理したウェハーに対するSEMを、図5Dに示す。5分のテクスチャ形成工程を用いた、プロセスBを用いて処理したウェハーに対するSEMを、図6Aに示す。10分のテクスチャ形成工程を用いた、プロセスBを用いて処理したウェハーに対するSEMを、図6Bに示す。15分のテクスチャ形成工程を用いた、プロセスBを用いて処理したウェハーに対するSEMを、図6Cに示す。20分のテクスチャ形成工程を用いた、プロセスBを用いて処理したウェハーに対するSEMを、図6Dに示す。5分のテクスチャ形成工程を用いた、プロセスCを用いて処理したウェハーに対するSEMを、図7Aに示す。10分のテクスチャ形成工程を用いた、プロセスCを用いて処理したウェハーに対するSEMを、図7Bに示す。15分のテクスチャ形成工程を用いた、プロセスCを用いて処理したウェハーに対するSEMを、図7Cに示す。20分のテクスチャ形成工程を用いた、プロセスCを用いて処理したウェハーに対するSEMを、図7Dに示す。
【0086】
図8は、この例のプロセスA、B及びCを用いて処理したウェハーに関する、反射率%に対するテクスチャ形成時間のグラフを示す。
【0087】
顕微鏡写真及びグラフは、本発明のテクスチャ形成前処理組成物(例えば、配合物1)への曝露がない場合に、低反射率表面を得るためのテクスチャ形成時間が長くなることを示している。プロセスBかプロセスCかいずれかでの配合物1への曝露は、より素早く反射率%を低下させる。SEM写真は、プロセスAについて(図5A〜D)、全表面にわたってピラミッドの核生成するための時間が比較的長くなることを示している。他方で図6A〜D及び図7A〜Dに示される、配合物1に曝露したウェハー片は、比較的短いテクスチャ形成時間で全表面を覆うピラミッドを示す。いまのところ、テクスチャ形成前処理組成物中の界面活性剤は、ウェハーの表面を変性し、これがテクスチャ形成プロセスの間のピラミッドの核生成を促進すると考えられる。
【0088】
例4
本発明のテクスチャ形成前処理組成物に、多数の界面活性剤を用いた。この例では、プロセスDを用いた:(i)切断したままの単結晶ウェハー片を、20%のKOH溶液において、10分、80℃でエッチングした;(ii)3分間リンスした;(iii)これらの試験片を、図4に示す界面活性剤をそれぞれ1.5wt%含有する(配合物として表4に特定した)様々なテクスチャ形成前処理組成物で、5分間、室温で浸漬した;(iv)オーバーフローリンスを用いて、試験片をDI水で3分間リンスした;及び(v)試験片を、4%のKOH溶液を用いて、80℃で処理した。平均反射率を測定した。反射率が低ければ低いほど、テクスチャ形成が良好である。
【0089】
【表4】

【0090】
より低い平均反射率(%)は、浸漬テクスチャ形成前処理の後で、より大きな表面の試験片が、ピラミッドで覆われていることを示している。テクスチャ形成(エッチング)工程でIPAが用いられておらず、かつテクスチャ形成時間が限られている、この実施態様では、本発明の多くのテクスチャ形成前処理組成物を用いて、ピラミッドを核生成し、そして35%未満の反射率を達成することが、なおも可能であった。
【0091】
例5
塩基性のテクスチャ形成前処理組成物を、イソプロピルアルコールがない場合のシリコンウェハーへのテクスチャ形成に与える影響について評価した。配合物28は、1wt%のKOH及び3wt%のHostapur SAS Surfactant(精製した酸の形態)、並びに残部の水からなる。切断したままの単結晶ウェハー試験片を、まず65℃で5分間、20%のKOH溶液で処理して、表面からソーダメージを除去し、3分のDI水リンスを行った。この工程の後で、ウェハーを配合物28に80℃で15分間曝露し、そしてウェットベンチでのDI水を用いた1サイクルのクイック−ダンプ−リンス(QDR)を行った。次の工程は、4%のKOHと残部のDI水からなる浴での、80℃、40分間のテクスチャ形成であった。IPAの添加は行わなかった。試験片の反射率を測定した。300〜830nmの波長範囲での加重平均の反射率は、17.8%であることが分かった。図9は、例5に記載した処理によって作製されたウェハーのトップダウンSEM写真であり、表面にわたってピラミッドの被覆が均一であることを示している。
【0092】
例6
IPA濃度の反射率への影響を、配合物1を用いたテクスチャ形成前処理の有無で評価した。ウェハーを、次の条件の下で処理した:
プロセスE:(i)20wt%のKOH溶液を用いた、10分、65℃でのソーダメージ除去;(ii)室温での3分のDI水を用いたオーバーフローリンス;(iii)DI水中での4wt%のKOH、及び0.25wt%、0.5wt%、1wt%又は2wt%のイソプロパノール、残部のDI水を用いたテクスチャ形成;及び(iv)室温での3分のDI水を用いたオーバーフローリンス。
プロセスF:(i)20wt%のKOH溶液を用いた、10分、65℃でのソーダメージ除去;(ii)室温での3分のDI水を用いたオーバーフローリンス;(iii)10分、80℃での配合物1への浸漬;(iv)ウェットベンチでのDI水を用いた1サイクルのクイック−ダンプ−リンス(QDR);(v)DI水中での4wt%のKOH、及び0.25wt%、0.5wt%、1wt%又は2wt%のイソプロパノール、残部のDI水を用いたテクスチャ形成;(v)室温での3分のDI水を用いたオーバーフローリンス。
【0093】
図10は、テクスチャ形成の前に配合物1を用いた場合に、プロセスFが、プロセスEよりイソプロパノールの濃度に対して、ずっと小さな影響しか受けないことを示している。
【0094】
例7
単結晶シリコンウェハーの試験片(3cm×5cm)を、次のプロセス順序のそれぞれで、別々に処理した。
プロセスG:(i)20%のKOH溶液における、5分、80℃でのソーダメージ除去、それに続く6分のDI水リンス;(ii)4%のKOH及び2%のイソプロパノール(IPA)を含有する溶液における、80℃、様々な時間でのテクスチャ形成、それに続く6分のDI水リンス(入替え速度は約0.66容器体積/分)。
プロセスH:(i)5分、80℃での配合物1への浸漬、それに続く6分のDI水リンス(入替え速度は約0.66容器体積/分);(ii)20%のKOH溶液における、5分、80でのソーダメージ除去、それに続く6分のDI水リンス;(iii)4%のKOH及び2%のイソプロパノール(IPA)を含有する溶液における、80℃、様々な時間でのテクスチャ形成、それに続く6分のDI水リンス。
【0095】
上記の例で用いたDI水のオーバーフローリンスの流量は、入替え速度が0.66容器体積/分に相当する、約6リットル/分であった。
【0096】
テクスチャ形成工程の直前及び直後のウェハー試験片の重量変化を測定し、そしてエッチングしたシリコン層の全厚みを、シリコンの密度として2.33を用いて計算することによって、テクスチャ形成工程におけるシリコンロスを測定した。ウェハーの反射率測定を、Perkin−Elmer Lambda 900 UV/VIS/NIR Spectrometerで行った。この装置は、積分球を有しており、反射した放射光を捉える。
【0097】
表5は、シリコンのエッチング速度のデータ、及び300〜830nmの範囲の加重平均した反射率%を与える。
【0098】
【表5】

【0099】
配合物1へのシリコンウェハー試験片の曝露は、テクスチャ形成工程の間にシリコンロスの低下をもたらしながら、同時にテクスチャ形成工程の後で反射率を低下させた。テクスチャ形成溶液でシリコンをエッチングすることによるテクスチャ形成溶液へのシリコンの蓄積(build−up)は、テクスチャ形成溶液の浴寿命を短くすることが知られている。この開示での配合物を用いたプリテクスチャ処理を用いることによって、テクスチャ形成でのシリコンロス速度は低下し、テクスチャに必要な時間も短くなる。結果として、テクスチャ形成浴で一群のシリコンウェハーを処理した後のシリコンの蓄積を、テクスチャ形成工程の前にこのような処理を用いない場合に比較して、減少させることができる。シリコンの蓄積の比較的低い速度の結果として、本発明のテクスチャ形成前処理組成物をテクスチャ形成工程の前に用いる場合、多数のウェハーバッチを、同じバッチのテクスチャ形成溶液を用いて、テクスチャ形成することができる。
【0100】
例8
表6は、泡止め剤又は泡止めとも呼ばれる消泡剤Dow Antifoam 1430を含有する、配合物29〜33の組成を与える。Dow Antifoam 1430は、Dow Chemicalsによって製造されている商標で守られたシリコーンエマルション(シリコーン界面活性剤)である。泡止め化合物を添加して、配合物中に発泡性の界面活性剤を用いるプロセスで生成される泡の体積を減らす。泡の大きな体積は、泡がプロセスタンクから溢れる場合があり、プロセス溶液の処分で問題を生じる場合があるので、望ましくない場合がある。主に泡の制御のためにシリコーン泡止め剤(シリコーン界面活性剤)を使うが、これは予期せず、ピラミッドのサイズを小さくすることについて利益を与える。
【0101】
【表6】

(Dow Antifoam 1430を、解析データの検証がない場合には足し算の計算のために純粋な化合物であると想定する)
【0102】
単結晶ウェハー試験片を、次のプロセス順序で処理した:
(i)配合物1及び29〜33の1つへの、5分間、80℃でのテクスチャ形成前浸漬、それに続く6分のDI水のオーバーフローリンス;及び(ii)3%のKOH及び4%のIPA溶液における、15分間、80℃でのテクスチャ形成。
【0103】
テクスチャ形成前浸漬を全く行わない比較のテクスチャ形成の調査も行った。テクスチャ形成を、15分間、80℃で、ウェハー試験片の、3%のKOH及び4%のIPA溶液への浸漬によって行った。
【0104】
測定は、(1)テクスチャ形成前後のシリコン表面上へのDI水の水滴の、接触角の測定;(2)例7に記載された方法の通りのテクスチャ形成によるSiロスの測定;(3)上の例1に記載したような反射率測定;及び(4)上の例1に記載したような平均ピラミッドサイズの測定からなる。接触角の測定は、Rame Hartゴニオメーターを用いて行った。接触角の測定は、ウェハーの表面に水滴を置いた後、約10秒行った。
【0105】
【表7】

【0106】
Dow Antifoam 1430を含有する本発明の組成物は、小さいピラミッドサイズを示した。小さなピラミッドサイズ(ピラミッド高さ)は、テクスチャ化した表面の粗度を低下させるために望ましく、これはこの表面に後に堆積させるパッシベーション層のコンフォーマル性を改良するのに、またこの表面にスクリーン印刷させる接触配線の幅を小さくするのに有益となる場合がある。この結果は、プリテクスチャ浸漬が、シリコン表面の接触角を低下させ、これはピラミッドの核生成に有益となる場合があるということも示している。
【0107】
表8は、Ross Miles起泡試験装置を用いて生成させた泡立ちのデータを与えている。泡高さを、泡を生成させた後、0分及び5分で測定した。
【0108】
【表8】

【0109】
おおよそ0.005%の添加、又は少なくとも0.005%の添加は、配合物の起泡を抑制するのに十分である。
【0110】
例9
単結晶シリコンウェハーの試験片(3cm×5cm)を、次のプロセス順序で処理した:
(i)20wt%のKOH溶液における、5分、80℃でのソーダメージ除去、それに続く6分のDI水リンス;(2)配合物34〜36への、5分間、80℃での浸漬、それに続く6分のDI水リンス(入替え速度は約0.66容器体積/分);(3)4wt%のKOH及び2wt%のイソプロパノール(IPA)を含有する溶液における、5分間、80℃でのテクスチャ形成、それに続く6分のDI水リンス。
【0111】
配合物34は、2wt%のドデシル硫酸ナトリウム(Sigma Aldrich Corporation)及び98wt%の水であった。
配合物35は、2wt%のラウレス硫酸ナトリウム(2エトキシレート基)(Rhodapex(商標) ES−2、Rhodia Corporation製)であった。
配合物36は、2wt%のN,N−ジメチル−N−ドデシルグリシンベタイン、N−(アルキルC10〜C16)−N,N−ジメチルグリシンベタイン(Empigen(商標) BB洗剤、Sigma Aldrich Corporation)であった。
配合物37は、2wt%のオレイン酸スルホナート(Oleic Sulfonate)(Calfoam(商標)OS−45S、Pilot Chemicals)であった。
【0112】
上述したテクスチャ形成の後で、反射率を、ウェハー試験片について測定した。
【0113】
【表9】

【0114】
本発明のテクスチャ形成前処理を用いて、短いテクスチャ形成時間で、低い反射率を達成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の界面活性剤を含む、シリコンウェハーをテクスチャ形成するためのテクスチャ形成前処理組成物。
【請求項2】
一種以上のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び双性イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載のテクスチャ形成前処理組成物。
【請求項3】
前記1種以上の界面活性剤が、アルキルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化メルカプタン、長鎖カルボン酸エステル、天然脂肪酸のグリセリンエステル及びポリグリセリンエステル、プロピレングリコールエステル、ソルビトールエステル、ポリオキシエチレン化ソルビトールエステル、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪酸、アルカノールアミド、アセチレングリコール、ポリオキシエチレン化シリコーン、n−アルキルピロリドン、アルキルポリグリコシド、シリコーン界面活性剤及びフルオロケミカル界面活性剤、オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アセチレンジオール型界面活性剤、アルコールエトキシレート、フェニルエトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミド、ポリエチレングリコール、及びポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載のテクスチャ形成前処理組成物。
【請求項4】
前記1種以上の界面活性剤が、直鎖脂肪酸及び/若しくはこれらの塩、ココナツオイル脂肪酸誘導体、トールオイル酸誘導体、サルコシド、アセチル化ポリペプチド、リグニンスルホン酸、N−アシル−n−アルキルタウリナート、石油スルホナート、パラフィンスルホナート、スルホコハク酸エステル、アルキルナフタレンスルホナート、イセチオナート、硫酸エステル、硫酸直鎖第一級アルコール、硫酸ポリオキシエチレン化直鎖アルコール、硫酸トリグリセリドオイル、リン酸エステル、ポリリン酸エステル、及び過フッ素化アニオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載のテクスチャ形成前処理組成物。
【請求項5】
前記1種以上の界面活性剤が、長鎖アミン及びそれらの塩、ジアミン及びポリアミン並びにそれらの塩、四級アンモニウム塩、ポリオキシエチレン化長鎖アミン、四級化ポリオキシエチレン化(POE)長鎖アミン及びアミンオキシド、単純なアミノ酸のN−アルキル誘導体、グリシン、ベタイン、アミノプロピオン酸、イミダゾリン、及びスルホベタインからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載のテクスチャ形成前処理組成物。
【請求項6】
前記1種以上の界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホナート(LAS)、第二級アリルベンゼンスルホナート、高級アルコールスルファート(FAS)、第二級アルカンスルホナート(SAS)、高級アルコールエーテルスルファート(FAES)、α−オレフィンスルホナート、アルキルベタイン界面活性剤、及びシリコーン界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む、請求項1に記載のテクスチャ形成前処理組成物。
【請求項7】
前記1種以上の界面活性剤が、第二級アルカンスルファート、ラウリルスルファート、ラウリルエーテルスルファート及びN−(アルキルC10〜C16)−N,N−ジメチルグリシンベタインからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載のテクスチャ形成前処理組成物。
【請求項8】
1種以上の有機酸、1種以上の随意の塩基、1種以上の随意の泡止め剤及び1種以上の随意の防食剤をさらに含む、請求項7に記載のテクスチャ形成前処理組成物。
【請求項9】
前記1種以上の界面活性剤が、次の構造を有する界面活性剤を含む、請求項1に記載のテクスチャ形成前処理組成物:
【化1】

(R及びRは、独立して、1〜20の炭素を有するアルキル基又はフェニル基であり、かつXは、Na、K、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリエタノールアミン、及びアンモニウムからなる群より選択されるカチオン、又は水素である)。
【請求項10】
シリコーン界面活性剤をさらに含む、請求項9に記載のテクスチャ形成前処理組成物。
【請求項11】
前記界面活性剤が、1種以上の第二級アルカンスルホナート界面活性剤を含む、請求項1に記載のテクスチャ形成前処理組成物。
【請求項12】
前記1種以上の界面活性剤が、前記組成物の全重量の0.01wt%〜30wt%で前記組成物中に存在し、かつ前記組成物がさらに水を含有している、請求項1に記載のテクスチャ形成前処理組成物。
【請求項13】
次の工程を含む、シリコンウェハーのテクスチャ形成方法:
前記ウェハーを、1種以上の界面活性剤を含むテクスチャ形成前処理組成物で濡らす工程。
【請求項14】
次の工程を含む、シリコンウェハーをテクスチャ形成法:
前記ウェハーを、一種以上のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び双性イオン性界面活性剤又はこれらの混合物を含むテクスチャ形成前処理組成物で濡らす工程。
【請求項15】
前記1種以上の界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホナート(LAS)、第二級アルキルベンゼンスルホナート、高級アルコールスルファート(FAS)、第二級アルカンスルホナート(SAS)、高級アルコールエーテルスルファート(FAES)、α−オレフィンスルホナート、アルキルベタイン界面活性剤、及びシリコーン界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、又はこれらの混合物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
さらに次の工程を含む、請求項14に記載の方法:
前記ウェハーをテクスチャ形成前処理組成物で濡らす前記工程の後で、前記ウェハーをエッチング組成物で濡らす工程。
【請求項17】
前記ウェハーをリンス溶液でリンスする工程を、2つの前記濡らす工程の間にさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ウェハーを、ソーダメージ除去組成物又は前洗浄組成物で濡らす工程を、いずれかの濡らす工程の前にさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記エッチング組成物に、界面活性剤が実質的に存在しない、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図8】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−114449(P2012−114449A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−271710(P2011−271710)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】