説明

シリコン及び/又はゲルマニウムナノワイヤの組立方法

【課題】非常に高い温度に耐えられない分野で使用可能であり、その実施に関する熱負荷の低下にも寄与し、450℃未満の温度で行なわれ、触媒の構成元素のためにナノワイヤの不純物をもたらさず、結晶性に関して組織され、欠陥をほとんど有しないシリコン及び/又はゲルマニウムナノワイヤを組み立てる方法を提供する。
【解決手段】生じるナノワイヤの成長によって基板上にシリコン及び/又はゲルマニウムのナノワイヤを組み立てる方法であって、シリコンを含む前駆体とゲルマニウムを含む前駆体とを、前記基板に存在する酸化銅を含む化合物と接触させることを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン及び/又はゲルマニウムナノワイヤの組立方法に関する。
【0002】
この方法は、特に、例えばCMOS(CMOSは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”を表す)集積回路などの集積回路の製造に使用されるものであるキャパシタまたはトランジスタの設計における受動又は能動部品の製造にその用途を有することが、この方法が、このタイプの回路と適合し、これらの回路に存在する相互接続材料に加えて下部レベルに集積された装置の完全性を保つことを可能にする温度範囲において動作することを可能にする限りにおいて言える。
【0003】
本方法はまた、光学、太陽電池製造、エネルギー貯蔵または化学的及び生物学的検出の分野にその用途を有し得る。
【0004】
本発明の分野は、特にシリコンナノワイヤであるナノワイヤを用意する分野であると考えられ得る。
【背景技術】
【0005】
通常、ナノワイヤは、金属元素によって触媒された前駆体ガスの化学的溶解からもたらされる成長によって基板に製造される。
【0006】
これは、非特許文献1に記載されるような、金属の金の触媒と、気−液−固のメカニズム(VLSメカニズムとも称される)に従うシリコンベースのガス状の前駆体とから用意されるシリコンナノワイヤの場合である。
【0007】
より正確には、シリコンナノワイヤの組立は、以下の方法で行われている:
−成長チャンバー内において所定の結晶配向(<111>)を有するシリコン基板上に金属の金の層を堆積する段階;
−金の層と基板との表面エネルギー及び相互作用を最小化することによって、固体金属の金の粒子の形態で前記層のディウェッティングを引き起こすために、前記基板を加熱する段階;
−水素の存在下において成長チャンバーにガス状のシリコンベースの前駆体SiClを導入する段階;
−Au/Si系の共晶温度より高い温度まで前記チャンバーを加熱する段階。
【0008】
基本的に、金属の金の触媒を用いたシリコンナノワイヤの成長は、添付の図1に表されるAu/Si相図に基づいて説明され得る(縦座標は温度T(℃)を示し、横座標はシリコン含有量(at%)を示す。)。
【0009】
共晶温度(図1における点A;共晶温度は、点Eによって表される)より高い温度において、上述のガス状の前駆体は、金属の金の粒子との接触をもたず、従って前記粒子へのシリコン原子の漸進的な含有に寄与しない。この現象は、点Aからの水平線に沿ったシフトによる相図に明示されており、シリコンを用いた金属の金の粒子の富化を表す。含有されるシリコンの量が十分に大きい場合、その粒子は、液体状態に入る(図の点Bから出発して)。それらのシリコン含有量が増加し続ける場合、図の点Cに対応するシリコン含有量から開始する新たな熱力学平衡が生成され、この新たな平衡は、基板に形成された滴(ドロップ)の底部における固体のシリコン粒子の析出によって明示される。点Cによって示される含有量を超えて、例えば点Cにおいて、ナノワイヤの成長は、シリコンの供給が停止されない限り起こる。ディウェッティングと析出との間の期間は、通常、潜伏期と称される。
【0010】
従って、金は、高品質のシリコンナノワイヤの成長において有利な触媒を構成し得る。
【0011】
しかしながら、ナノワイヤが“IC上”の部分に属する装置などの装置に集積されるためのものである場合、この触媒は、それが不純物元素であると見なされ、従って製造者によって規定されるので、もはや使用することができない。さらに、それは、シリコンの深い再結合中心の生成を引き起こし、従ってその電気的特性を大幅に損なう。
【0012】
従って、この触媒の使用は、産業上のクリーンルーム、特にいわゆる“CMOS"電子デバイスが開発されるクリーンルームにおいて現在不可能である(CMOSは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”を表す)。
【0013】
この障害を克服するために、本発明者は、非特許文献2に記載されるようなアルミニウムまたは非特許文献3に記載されるような金属銅などの他の金属触媒の使用に彼らの研究の焦点を合わせている。
【0014】
しかしながら、これらの金属は、高温においてナノワイヤの合成(金属を湿らす段階と潜伏段階との両方と、次いで言ってみれば成長段階とを含む)を可能にし、それは、これらの触媒が、このような高温に耐えられない用途において使用することを困難にする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Applied Physics Letters,Vol.4,No.5,p.89-90
【非特許文献2】Nature Technology,Vol.1,December 2006,p.186-189
【非特許文献3】Material Letters,61(2007),p.177-181
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、現在、上記の欠点を克服し、以下の利点を有する、シリコン及び/又はゲルマニウムナノワイヤを組み立てる方法に対する純粋な必要性がある:
−この方法の適用の範囲を、非常に高い温度に耐えられない分野に広げることを可能にし、その実施に関する熱負荷の低下にも寄与する、450℃未満の温度で行なわれ得る方法;
−触媒の構成元素のためにナノワイヤの不純物をもたらさない方法;
−結晶性に関して組織され、欠陥をほとんど有しないナノワイヤを得ることを可能にする方法。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明者は、驚いたことに、特定の化合物を用いることによって上記の欠点の全てを解消することができることを見出した。
【0018】
従って、本発明は、生じるナノワイヤの成長によって基板上にシリコン及び/又はゲルマニウムのナノワイヤを組み立てる方法であって、シリコンを含む前駆体とゲルマニウムを含む前駆体とを、前記基板に存在する酸化銅を含む化合物と接触させることを含む方法に関する。
【0019】
シリコン及び/又はゲルマニウムナノワイヤが、シリコンナノワイヤ、ゲルマニウムナノワイヤ、又は、シリコン及びゲルマニウムの両方を含むナノワイヤを意味するものであることに留意すべきである。
【0020】
このように操作することによって、すなわちシリコン及び/又はゲルマニウムを含む前駆体を、酸化銅を含む化合物と接触させることによって、発明者は、アルミニウムを確認することができているので、ナノワイヤの成長が、酸化物化合物の存在下で行われ得ないという一般に受け入れられる概念に従わない。
【0021】
さらに、発明者は、酸化銅を含む化合物の使用が、ナノワイヤの成長温度を、従来文献で提案された実施形態と比較して大幅に低減することを可能にしている。
【0022】
さらに、酸化銅を含む化合物は、電子デバイスが組み立てられるクリーンルームで許容される。
【0023】
本方法が行われる基板は、前記化合物に存在する銅の拡散に対する障壁層で任意に被覆されたシリコン基板であり得る。この障壁層は、タンタルなどの金属、窒化タンタルまたは窒化チタンなどの金属窒化物、及び、任意に、TaN/Ta混合物などの、金属と金属窒化物との両方の混合物から作られる。
【0024】
前記接触段階前に、酸化銅を含む化合物を前記基板上に組み立てる段階をさらに含み得る。
【0025】
この段階は、様々な変形例に従って行われ得る。
【0026】
第1の変形例によれば、それは、電気化学または反応性スパッタリングによって、酸化銅を含む前記化合物を前記基板の直上に堆積することからなり得る。
【0027】
第2の変形例によれば、それは、第1に物理気相堆積、化学気相堆積及び電気化学堆積などの一般的な堆積技術によって基板に金属銅(すなわち酸化状態がゼロである銅)を堆積し、次いで、第2に金属銅を完全に又は部分的に酸化して酸化銅を形成することからなり得る。特定の堆積形状を得るために、上記のような堆積技術をリソグラフィ技術と組み合わせることが考えられる。
【0028】
この酸化段階は、一般的に、前記基板上に堆積された前記金属銅上に酸素の流れを通過させることからなり得、それが通過される酸素圧及び時間は、所望のレベルの酸化を得るために制御される。この段階はまた、金属銅に酸素プラズマを適用することからなり得る。
【0029】
例えば、酸素圧は、0.1Torrから100Torrに及び得、通過時間は、5秒から数十分に及ぶ。
【0030】
酸化が行われると、酸化銅を含む化合物をその表面上に有する基板は、シリコンベースの前駆体及び/又はゲルマニウムベースの前駆体との接触をもたらされる。
【0031】
酸化銅を含むこの化合物は、有利には、互いに分離される粒子の形態である。酸化銅を含む化合物は、酸化銅のみからなり、又は、金属銅及び酸化銅の混合物からなり得る。
【0032】
シリコンを含む前記前駆体は、シランSiH、ジシラン(Si)またはトリシラン(Si)であり得る。
【0033】
前記前駆体はまた、ハロシランSiXであり得、Xがハロゲン原子であり、例えば塩素原子である。
【0034】
ゲルマニウムを含む前記前駆体は、ゲルマン(GeH)、ジゲルマン(Ge)またはトリゲルマン(Ge)であり得る。
【0035】
前記前駆体は、窒素N、アルゴンArまたはヘリウムHeなどの中性キャリアガスで希釈され得る。
【0036】
前記前駆体はまた、還元ガスHまたはNHで希釈され得る。
【0037】
前記シリコン及び/又はゲルマニウムナノワイヤが前述の前駆体と接触する他に、少なくとも1つのドーピング要素を含み、前記接触段階はまた、ジボランまたはホスフィンなどのドープ剤との接触を含み得る。
【0038】
具体的には、本発明の接触段階は、任意にプラズマの形態である、シリコンを含む前駆体及び/又はゲルマニウムを含む前駆体の流れ、及び、任意にキャリアガス及び/又は還元ガス及び/又はドーパントを、シリコン及び/又はゲルマニウムに基づくナノワイヤの成長を得るために効果的である流量及び時間で、酸化銅を含む化合物上に通過させることからなり得る。これは、化学気相堆積技術(CVD)に相当する。この堆積はまた、プラズマによって補助され得る(例えば、“プラズマ化学気相成長法”に相当するPECVD技術によって)。
【0039】
例えば、前駆体の流量は、1から5000sccmに及び得、通過時間は、10秒から数時間に及び得る。
【0040】
この接触段階は、特にこの方法がマイクロエレクトロニクス分野で行われるためのものである場合、450℃未満の温度、例えば400℃未満の温度で通常行われる。必要であれば、それはまた、より高い温度で行われ得る。
【0041】
上記の段階に加えて、それが金属銅の酸化による酸化銅を含む化合物を用意する段階を含む場合、本発明は、以下の段階を含み得る:
−酸化段階前に、基板の表面上に存在する金属銅を還元剤に接触させる段階;
−任意に、上記の接触段階後であって酸化段階前に、還元剤を除去するためのポンピング段階;
−酸化段階の未反応の酸素を除去するために、シリコンを含む前駆体及び/又はゲルマニウムを含む前駆体との接触の段階前におけるポンピング段階。
【0042】
還元剤との接触の段階は、具体的には、銅に存在し得る酸化物のあらゆる痕跡を除去するために、金属銅上に、任意にプラズマの形態である還元剤の流れを通過させることかなり得る。この段階の目的は、銅の酸化を制御することを可能にするためのものであり、それを上述の酸化段階にのみ限定する。還元剤は、アンモニアNHまたは水素Hであり得る。
【0043】
ポンピング段階は、通常、本発明の方法が行われるチャンバーを、その区域(コンパートメント)に存在するあらゆるガスを抽出するための真空ポンプに接続することからなる。
【0044】
この段階が反応性ガスの存在を排除するためのものである場合、これは、この試剤と銅の酸化段階を可能にするものとの間における後続の接触を避けることを可能にする。
【0045】
この段階が銅の酸化段階中に使用される酸素の存在を排除するものである場合、これは、酸素と、SiHなどのシリコンを含む前駆体との間の後続の接触を避けることを可能にし、この接触は、所定の割合の爆発性の混合物を生じる。
【0046】
この方法は、シリコンナノワイヤを組み立てる方法であり得る。
【0047】
特定の実施形態によれば、本発明の方法は、以下の段階を含む:
−酸化銅を含む化合物が得られる方法で、酸素の流れを通過させることによって基板に存在する金属銅を酸化させる段階;
−シリコンナノワイヤの成長を得るために有効である時間にわたって任意にプラズマ形態であるSiHの流れに前記化合物を接触させる段階。
【0048】
代替案の実施形態によれば、本発明の方法は、以下の段階を含む:
−酸化銅を含む化合物を基板上に堆積する段階;
−シリコンナノワイヤの成長を得るために有効である時間にわたって任意にプラズマ形態であるSiHの流れに前記化合物を接触させる段階。
【0049】
本発明の方法は、数個の結晶欠陥を有する又は結晶欠陥を有しない結晶シリコンナノワイヤなどのシリコンベースのナノワイヤを得ることを可能にし、それは、それらを電気電導においてより適切にする。
【0050】
本発明に従う方法によって得られたナノワイヤは、有利には、5nmから500nmに及ぶ直径、及び、10nmから数マイクロメートルまたは数十マイクロメートルに及ぶ長さを有する。
【0051】
本発明の方法は、以下に言及され得るもののなかの多くの分野に用途を見出し得る:
−特に集積回路上(この場合は、“IC上の”部品を製造すると称される)のキャパシタなどの受動部品の製造。この方法を行うための温度は、下層の集積回路の如何なる劣化も生じない;
−太陽電池の製造;
−リチウムを用いて動作する電池などの、電池の電極の製造;
−化学的及び生物学的検出用のセンサの製造。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】Au/Si系における相図を表す。
【図2】以下の実施例1において説明される実施形態に従って得られたナノワイヤの走査型電子顕微鏡によって得られた画像である。
【図3】以下の実施例2において説明されるものに従って、酸化段階なしに行われた試みの後に走査型電子顕微鏡によって得られた基板の画像(上部からの図)である。
【図4】以下の実施例2において説明される実施形態に従って得られたナノワイヤの走査型電子顕微鏡によって得られた画像(断面における図)を示す。
【図5】以下の実施例2において説明される実施形態に従って得られたナノワイヤの走査型電子顕微鏡によって得られた画像(上部からの図)を示す。
【図6】以下に記載される実施例2に従って得られた20から30nmの直径を有するシリコンナノワイヤの透過型電子顕微鏡によって得られた高解像度の画像を表す。
【図7】以下に記載される実施例2に従って得られた20から30nmの直径を有するシリコンナノワイヤの透過型電子顕微鏡によって得られた高解像度の画像を表す。
【図8】以下に記載される実施例2に従って得られたナノワイヤ(曲線b)のエネルギー分散X線分光解析(横座標は、keVにおけるエネルギーEを示す)によって得られたスペクトルを表す。
【図9】実施例3において説明される実施形態に従って得られたナノワイヤの走査型電子顕微鏡写真によって得られた画像である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、例示として与えられ、限定を暗に示さずに与えられる以下の実施例を参照して以下に記載される。
【0054】
図1は、Au/Si系における相図を表す。図2は、以下の実施例1において説明される実施形態に従って得られたナノワイヤの走査型電子顕微鏡によって得られた画像である。図3は、以下の実施例2において説明されるものに従って、酸化段階なしに行われた試みの後に走査型電子顕微鏡によって得られた基板の画像(上部からの図)である。図4及び図5は、以下の実施例2において説明される実施形態に従って得られたナノワイヤの走査型電子顕微鏡によって得られた画像(それぞれ、断面における図及び上部からの図)を示す。図6及び図7は、以下に記載される実施例2に従って得られた20から30nmの直径を有するシリコンナノワイヤの透過型電子顕微鏡によって得られた高解像度の画像を表す。図8は、以下に記載される実施例2に従って得られたナノワイヤ(曲線b)のエネルギー分散X線分光解析(横座標は、keVにおけるエネルギーEを示す)によって得られたスペクトルを表す。図9は、実施例3において説明される実施形態に従って得られたナノワイヤの走査型電子顕微鏡写真によって得られた画像である。
【0055】
(実施例1)
この実施例において、シリコンナノワイヤは、本発明の方法に従う特定の実施形態によって製造される。この実施例は、200mmの基板を受容するCENTURA5200タイプの産業上の堆積設備を用いて行われた。
【0056】
使用される基板は、(100)結晶配向を有するシリコン基板であり、ナノワイヤの製造用の支持体として機能するためのその表面が、10nmのTaN/Ta障壁層で覆われる。
【0057】
20nmの厚さを有する銅の層は、物理気相堆積によって障壁層上に堆積される。
【0058】
次いで、この基板は、堆積された銅を部分的に酸化させるために酸素の流れにさらされる。
【0059】
この酸化段階中に反応していない酸素を除去するために、この基板は、ポンピング段階にさらされ、これは、その後に酸素とシリコン前駆体SiHとの間のあらゆる接触を避けるためのものであり、その混合物は、爆発性であることが分かり得る。
【0060】
最後に、この基板は、ナノワイヤの成長を起こすために十分である圧力において、シリコン前駆体であるシランSiHと接触する段階にさらされる。
【0061】
上記の様々な段階の特定の特徴は、以下の表に記載される。
【0062】
【表1】

【0063】
全ての段階は、400℃を超えない温度で行われた。
【0064】
図2に与えられる、この実施例に従って得られた基板の画像(上部からの図)は、基板の表面全体におけるナノワイヤの効果的な成長を立証する走査型電子顕微鏡(SEM)によって得られた。
【0065】
(実施例2)
この実施例において、シリコンナノワイヤは、本発明の方法に従う特定の実施形態によって製造される。この実施例は、200mmの基板を受容するCENTURA5200タイプの産業上の堆積設備を用いて行われた。
【0066】
使用される基板は、(100)結晶配向を有するシリコン基板であり、ナノワイヤの製造用の支持体として機能するためのその表面が、10nmのTaN/Ta障壁層で覆われる。
【0067】
20nmの厚さを有する銅の層は、物理気相堆積によって障壁層上に堆積される。
【0068】
次いで、この基板は、銅の表面に存在し得る酸化物の痕跡を除去するために、アンモニアの流れの第1の通過にさらされ、次いでNHプラズマの形態の第2の通過にさらされる。この段階は、二酸素の流れの後続の通過による酸化物の選択された形成のみに銅の酸化の基礎を置くことによって銅の酸化を制御することを可能にするためのものである。
【0069】
NHのあらゆる痕跡を除去するために、このように処理された基板は、酸化段階にさらされる前にポンピング段階にさらされる。
【0070】
次いで、この基板は、触媒を部分的に酸化させるために酸素を通過させる段階にさらされる。
【0071】
酸化段階中に反応しなかった酸素を除去するために、基板は、再びポンピング段階にさらされ、これは、酸素とシリコン前駆体SiHとの間のあらゆる接触を後に避けるためのものであり、その混合物は、爆発性であることが分かり得る。
【0072】
最後に、この基板は、ナノワイヤの成長を起こすために十分である圧力において、シリコン前駆体であるシランSiHと接触する段階にさらされる。
【0073】
上記の様々な段階の特定の特徴は、以下の表に記載される。
【0074】
【表2】

【0075】
全ての段階は、400℃を超えない温度で行われた。
【0076】
この実施例(図5に与えられる)に従って得られる基板の画像(上部からの図)は、基板の表面全体におけるナノワイヤの効果的な成長を立証する走査型電子顕微鏡(SEM)によって得られた。図4は、同様に、断面において同一の試みの図を与えることによって真っ直ぐなナノワイヤの存在を立証する。
【0077】
他の全てのことが同一であり、他の試みは、酸化段階中に適用される酸素圧を調整すること、すなわち酸素圧をゼロとすること(言い換えると、酸化段階なし)によって行われた。
【0078】
この実施形態に従って得られた基板の画像が生成され、実施例は、酸化段階なしの試みにおいて図3(上部からの図)に与えられる。
【0079】
図3は、ナノワイヤの不存在を立証し、本発明の必要性及び有効性も確認する。
【0080】
図4及び5に与えられるナノワイヤの構造的な品質を具体的に究明するために、透過型電子顕微鏡(TEM)及びエネルギー分散X線分光法によっても分析が行われた。
【0081】
図6及び図7は、図7の拡大図を用いて、20から30nmの直径を有するシリコンナノワイヤの高解像度の画像を示し、ナノワイヤの結晶配向及び結晶欠陥の実質上の不存在を完全に立証する。ここで繰り返しになるが、良好な導電特性が、得られたナノワイヤにおいて予期され得る。
【0082】
図8は、酸化銅を含む化合物(曲線a)と比較するとナノワイヤの本体(曲線b)に銅の不存在を示すX線スペクトルを表し、それによって、本発明の方法によって得られ、図6及び図7に示されるナノワイヤの良好な品質を証明する。
【0083】
(実施例3)
この実施例において、シリコンナノワイヤは、本発明の方法に従う特定の実施形態によって製造される。この実施例は、200mmの基板を受容するCENTURA5200タイプの産業上の堆積設備を用いて行われた。
【0084】
使用される基板は、(100)結晶配向を有するシリコン基板であり、ナノワイヤの製造用の支持体として機能するためのその表面が、障壁層、ここでは10nmのTaNで覆われる。20nmの厚さを有する酸化銅の層は、反応性スパッタリングによって障壁層に堆積される。
【0085】
次いで、この基板は、ナノワイヤの成長を起こすために十分である圧力において、シリコン前駆体であるシランSiHと接触する段階にさらされる。酸化銅が直接堆積されるので、酸化段階がない。
【0086】
上記の様々な段階の特定の特徴は、以下の表に記載される。
【0087】
【表3】

【0088】
全ての段階は、400℃を超えない温度で行われた。
【0089】
この実施例(図9に与えられる)に従って得られる基板の画像(上部からの図)は、基板の表面全体におけるナノワイヤの効果的な成長を立証する走査型電子顕微鏡(SEM)によって得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生じるナノワイヤの成長によって基板上にシリコン及び/又はゲルマニウムのナノワイヤを組み立てる方法であって、シリコンを含む前駆体とゲルマニウムを含む前駆体とを、前記基板に存在する酸化銅を含む化合物と接触させることを含む方法。
【請求項2】
前記基板が、前記化合物に存在する銅の拡散に対する障壁層で任意に被覆されたシリコン基板である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記障壁層が、金属、金属窒化物またはそれらの混合物で作られる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記障壁層が、タンタル、窒化タンタル、窒化チタンまたはそれらの混合物で作られる、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
酸化銅を含む前記化合物が、互いに分離した粒子の形態である、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
酸化銅を含む前記化合物が、それ自体酸化銅からなり、又は、金属銅及び酸化銅の混合物からなる、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記接触段階前に、酸化銅を含む前記化合物を前記基板上に組み立てる段階をさらに含む、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記組立段階が、酸化銅を含む前記化合物を前記基板の直上に堆積することからなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組立段階が、第1に前記基板上に金属銅(すなわち酸化状態がゼロである銅)を堆積し、第2に前記金属銅を完全に又は部分的に酸化して酸化銅を形成することからなる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化段階が、前記基板上に堆積された前記金属銅上に酸素の流れを通過させることからなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
シリコンを含む前記前駆体が、シランSiH、ジシランSi、トリシランSiまたはハロシランSiXであり、Xがハロゲン原子である、請求項1から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
ゲルマニウムを含む前記前駆体が、ゲルマンGeH、ジゲルマンGeまたはトリゲルマンGeである、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
シリコンを含む前記前駆体及び/又はゲルマニウムを含む前記前駆体が、中性キャリアガス及び/又は還元ガスで希釈される、請求項1から12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記接触段階中に、ドープ剤が、シリコンを含む前記前駆体及び/又はゲルマニウムを含む前記前駆体と接触をもたらされる、請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記接触段階が、酸化銅を含む前記化合物の上に、シリコン及び/又はゲルマニウムに基づくナノワイヤの成長を得るために効果的である流量及び時間で、シリコンを含む前駆体及び/又はゲルマニウムを含む前駆体の流れを通過させることからなる、請求項1から14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
シリコンを含む前駆体及び/又はゲルマニウムを含む前駆体の前記流れが、プラズマの形態である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記接触段階が、450℃未満の温度で行われる、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−260170(P2010−260170A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−98806(P2010−98806)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】