説明

シリコン構造体

本発明は、金属成分とシリコン成分を含み、金属成分とシリコン成分は、シリコン成分の少なくとも一部が金属成分の少なくとも一部と電気的に接触するように配置されたシリコン構造体であって、シリコン成分はナノ構造シリコンを含み、金属成分はナノ構造金属を含むことを特徴とするシリコン構造体に関する。このシリコン構造体は医療用途に使用されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン成分と金属成分とを含むシリコン構造体に関する。より具体的には、本発明は、生体材料として使用するための、シリコン成分と金属成分とを含むシリコン構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
生体材料は、生きている人間または動物の身体の中または表面上に使用するために適した非生物材料である。対象の中または上に導入されると、生体材料は生物学的環境と相互作用する。例えば、生体材料は生物組織におけるこれらの挙動に応じて生体不活性、生体活性、または再吸収性になり得る。
【0003】
多孔性および多結晶シリコンは各々生体材料特性を示す。通常はメソ細孔性シリコンは再吸収性、ミクロ細孔性シリコンは生体活性、マクロ細孔性シリコンは生体不活性である。バルク型結晶シリコンもまた比較的生体不活性であり、多くの医療インプラントにおいて電子構成部品の形で存在する。これは侵食されないので、バルク型結晶シリコンインプラントの移植が外科手術を伴った場合には、治療がいったんその経過をたどってしまうとインプラントを除去するために、さらなる外科手術が必要とされる。
【0004】
シリコンは、医療装置における使用のためにその価値に貢献するいくつかのその他の性質を有する。例えば繊維や膜を細孔性シリコンから製造することもでき、これらはさまざまな度合いの機械的可とう性を有することが示されている。細孔性シリコンは概してバルク型結晶シリコンよりも可とう性である。しかしシリコンは、細孔性シリコンも含めて比較的もろく、多くの用途に必要とされる延性が欠ける。これらの機械的性質は医療装置の製造に関して特に関連性がある。そのわけは、人間および動物の身体が、可とう性で延性である多くの繊維、膜、および組織を含むからである。
【0005】
シリコンは概してもろい材料と考えられているが、増加する塑性流に関連する500℃〜1000℃においてシリコンについて脆性/延性相転移が報告されている(Properties of Crystalline Silicon EMIS Data Review No.20 Inspec 1999)。金属「βスズ」構造への相変化を誘導するため(Yin & Cohen Phys Rev Lett 45、12 1004頁(1980))、および実験的に室温においてナノインデンテーション中に延性挙動を誘導するために(Gogotsi他のSemicond.Sci.Tech.14、936−44頁(1999)、Domnich他のAppl.Phys.Lett 76、2214(2000))、理論的に十分な圧力が示されている。このような相変化は、ダイヤモンドアンビルセル加圧装置と圧縮媒体としてメタノール/エタノールとを使用して、流体静力学的に圧縮された細孔性シリコンにおいて観察されている(Deb他のNature 414、528(2001))。
【0006】
再吸収性の非シリコンを含む合金が、ステント用途のために開発されている。例えば、マグネシウム合金が現在臨床的に評価されている。しかし、マグネシウムの延性は低く、この使用は、血液流の中に放出されることが可能な破片を形成するという結果になることもある。
【0007】
以下の特許文献は本発明に関連する背景情報を提供するもので、すなわち米国特許公開第20040098108号明細書は、医療適用のためのマグネシウム合金の使用を記載しており、米国特許第6287332号明細書は、医療適用のための金属のさまざまな組合せの使用を記載しており、米国特許公開第20030221307号明細書は薄壁の管状マグネシウムインプラントを実現するための方法を記載しており、米国特許公開第20020183829号明細書は、ステント材料を記載しており、米国特許公開第20040002752号明細書は、ガルバーニ電流効果を利用して他の部分に費用を当ててステントの部分の侵食を最小限に抑える電気防食用アノードステントシステムを記載しており、米国特許第5855599号明細書は、ステントとしてばねロード式らせん翼を有するミクロ機械加工された単結晶ディスクの使用を記載しており、米国特許公開第20030187496号明細書は、ステント用の拡張可能コーティングとしてのナノ複合物層状のダイヤモンドの使用を記載しており、国際公開第9706101号パンフレットは生体活性で再吸収性の形のシリコンを記載しており、国際公開第03055534号パンフレットはシリコンファイバとファブリックを記載しており、米国特許公開第US20040161369号明細書は金属を含浸させた細孔性基板を記載している。
【0008】
次の特許文献、米国特許第5837030号明細書、米国特許公開第2004/0129112号明細書、米国特許第5964965号明細書、米国特許第5147449号明細書、カナダ特許第2441578号明細書、および独国特許第19708402号明細書もまた本発明に関連するものである。米国特許公開第2004/0129112号明細書は金属を含むナノ結晶材料に関する。米国特許第5837030号明細書はナノ結晶粉体を準備するための方法を記載している。米国特許第5964965号明細書は気相水素化のための材料を記載している。米国特許第5147449号明細書は金属基質を含む粉体を製造するための方法を記載している。独国特許第19708402号明細書はエンジンにおいて使用するためのナノ結晶材料を記載している。カナダ特許第2441578号明細書は金属粒子とセラミック粒子とを含む材料を記載している。
【0009】
関連する背景情報を提供する従来の技術のさらなる項目には、Proc 39th Intern.Reliability Physics Symp.Florida USA IEEE 112−119頁(2001)に記載されたStark他のシリコンガラスミクロ実装、材料のミクロ構造的研究を記載するJournal of Alloys and Compounds 264(1998)285−292頁、ナノ複合物のミクロ構造を記載するThin Solid Film 320(1998)184−191頁、熱活性化反応によるナノ凝集体の調製を記載するMaterials Science and Engineering B100(2003)27−34頁、高温燃焼触媒のための安定した支持物の開発を記載するCatalysis Today 26(1995)247−254頁、および複合物における熱膨張と熱的ミスマッチ応力を記載するComposite Science and Technology 64(2004)1895−1898頁が含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述の問題点の少なくとも一部を少なくとも部分的に解決することである。本発明の別の目的は、改善された機械的特性を有するシリコン構造体を提供することである。本発明のさらに別の態様は、改善された再吸収特性を有するシリコン構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様によれば、本発明は、シリコン成分と金属成分とを含み、シリコン成分と金属成分が、シリコン成分の少なくとも一部と金属成分の少なくとも一部との間に電気的接触が存在するように配置されている、シリコン構造体を提供する。
【0012】
シリコン構造体の生理電解質との接触は、シリコン成分と金属成分との間に電位差を確立させることができる。電解質の金属およびシリコンとの電気化学的相互作用の結果として生じる電位差は、電解質においてシリコン成分と金属成分との侵食に作用することがある。
【0013】
シリコン成分は、バルク型結晶シリコン、細孔性シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、ナノ粒子シリコン、ミクロ粒子シリコン、ナノ柱状晶シリコン、ミクロ柱状晶シリコン、四面体結合構造を有するシリコン、およびβスズ結晶構造を有するシリコンのうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0014】
本明細書の目的のために、ナノ粒子材料とは複数の材料ナノ粒子を含む材料であり、各材料ナノ粒子は10nmより小さな最大寸法を有する材料を含み、ナノ柱状材料は複数の材料ナノ柱状晶を含んだ材料であり、各材料ナノ柱状晶は10nmより小さな平均柱直径を有する材料を含み、ナノ構造材料はナノ粒子および/またはナノ柱状晶を含む材料であり、ナノ複合物は2種類またはそれ以上のナノ構造材料を含む複合物である。
【0015】
本明細書の目的のために、ミクロ粒子材料とは複数の材料ミクロ粒子を含む材料であり、各材料ミクロ粒子は10マイクロメートルより小さな最大寸法を有する材料を含み、ミクロ柱状材料は複数の材料ミクロ柱状晶を含む材料であり、各材料ミクロ柱状晶は10マイクロメートルより小さな平均柱直径を有する材料を含み、ミクロ構造材料はミクロ粒子および/またはミクロ柱状晶を含む材料であり、ミクロ複合物は2種類またはそれ以上のミクロ構造材料を含む複合物である。
【0016】
シリコン構造体は単一体を含んでもよい。シリコン構造体は単一体の一部を形成してもよい。
【0017】
本明細書の目的のために、単一体は、単一体のいずれの部分も単一体の他のうちの1つまたは複数の部分と一体化しているような構造と組成を有する。
【0018】
金属成分の少なくとも一部は、シリコン成分の少なくとも一部と一体化されてもよい。
【0019】
シリコン成分は複数の結合シリコン粒子を含んでもよく、各結合シリコン粒子は別の結合シリコン粒子の1つまたはそれ以上と結合している。
【0020】
シリコン成分は複数の共有結合シリコン粒子を含んでもよく、各共有結合シリコン粒子は、他の共有結合シリコン粒子のうちの1つまたは複数と共有結合している。
【0021】
金属成分は複数の結合金属粒子を含んでもよく、各結合金属粒子は、他の結合金属粒子のうちの1つまたは複数と結合している。
【0022】
シリコン構造体は複数の結合粒子を含んでもよく、各結合粒子は、他の結合粒子の少なくとも1つと結合されている。
【0023】
シリコン成分は半導体シリコンを含んでもよい。シリコン成分は半導体細孔性シリコンを含んでもよい。シリコン成分は半導体ナノ粒子および/またはナノ柱状晶シリコンを含んでもよい。シリコン成分は半導体バルク型結晶シリコンを含んでもよい。
【0024】
シリコン成分は元素シリコンを含んでもよい。シリコン成分は元素細孔性シリコンを含んでもよい。シリコン成分は元素ナノ粒子シリコンおよび/または元素ナノ柱状晶シリコンを含んでもよい。シリコン成分は元素バルク型結晶シリコンを含んでもよい。
【0025】
シリコン成分は1つまたは複数のマクロ細孔性シリコン、メソ細孔性シリコン、およびミクロ細孔性シリコンを含んでもよい。
【0026】
ミクロ細孔性シリコンは20Aより小さな直径を有する細孔を含み、メソ細孔性シリコンは20A〜500Aの範囲にある直径を有する細孔を含み、マクロ細孔性シリコンは500Aを超える直径を有する細孔を含む。
【0027】
シリコン成分は細孔性シリコンを含んでもよく、金属成分の少なくとも一部が、細孔性シリコンの細孔の少なくともいくつかの中に位置する。
【0028】
シリコン成分はβスズ構造を有する細孔性シリコンを含んでもよく、金属成分の少なくとも一部が、細孔性シリコンの細孔の少なくともいくつかの中に位置する。
【0029】
シリコン成分は四面体結合構造を有する細孔性シリコンを含んでもよい。シリコン成分は、四面体結合構造を有するバルク型結晶シリコンを含んでもよい。
【0030】
金属成分は、シリコンよりも貴である金属を含んでもよい。金属成分は、金、白金、銀、パラジウム、セレン、銅、ビスマス、タングステン、モリブデン、ニッケル、および鉄のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0031】
金属成分は、シリコンよりも卑である金属を含んでもよい。金属成分は、アルミニウム、チタン、マンガン、カルシウム、およびマグネシウムのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0032】
金属成分は、生理液体の中で再吸収性である金属を含んでもよい。金属成分は、鉄、マグネシウム、および亜鉛のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0033】
金属成分は、コバルト、クロム、およびバナジウムのうちの1つまたは複数から選択されてもよい。
【0034】
金属成分は複数の金属ワイヤを含んでもよい。金属成分は複数の金属繊維を含んでもよい。金属成分は金属メッシュを含んでもよい。金属成分は複数の金属粒子を含んでもよい。金属成分は、シリコン成分の中にわたって実質的に均一に分布されてもよい。
【0035】
金属成分は、10〜1018個の間の金属粒子を含んでもよい。
【0036】
金属成分は、10〜1016個の間の金属粒子を含んでもよい。
【0037】
金属成分は、10〜1014個の間の金属粒子を含んでもよい。
【0038】
金属成分は、ナノ粒子金属および/またはナノ柱状晶金属を含んでもよい。
【0039】
金属成分は細孔性金属を含んでもよく、シリコン成分の少なくとも一部は、細孔性金属の細孔の少なくともいくつかの中に位置する。
【0040】
金属成分は細孔性金属を含んでもよく、シリコン成分はβスズ構造を有するシリコンを含んでもよく、シリコン成分の少なくとも一部は、細孔性金属の細孔の少なくともいくつかの中に位置する。
【0041】
金属成分はシリコン構造体の30原子パーセントより上を形成してもよい。
【0042】
金属成分はシリコン構造体の50原子パーセントより上を形成してもよい。
【0043】
金属成分はシリコン構造体の70原子パーセントより上を形成してもよい。
【0044】
シリコン成分がシリコン構造体の70原子パーセント未満を形成してもよい。
【0045】
シリコン成分はシリコン構造体の50原子パーセント未満を形成してもよい。
【0046】
シリコン成分はシリコン構造体の30原子パーセント未満を形成してもよい。
【0047】
シリコン成分はシリコン構造体の70原子パーセントより上を形成してもよい。
【0048】
シリコン成分はシリコン構造体の50原子パーセントより上を形成してもよい。
【0049】
シリコン成分はシリコン構造体の30原子パーセントより上を形成してもよい。
【0050】
金属成分はナノ構造金属を含んでもよく、シリコン成分はナノ構造シリコンを含んでもよく、ナノ構造シリコンの少なくとも一部は、ナノ構造金属の少なくとも一部と電気的に接触している。
【0051】
有利な生物学的性質を有するある一定の形の細孔性多結晶シリコンは、ナノ構造を呈する。ナノ構造シリコンの存在は、シリコン構造体に対して生体活性および/または再吸収性を与えることができる。ナノ構造金属の存在は、シリコン構造体に延性を与えることができ、これによって、シリコン構造体を機能の面で延性を必要とする医療装置の製造に採用されることを可能にする。
【0052】
シリコン構造体が5%を超える破断までの全永久ひずみを示すように、シリコン構造体は組成を有してもよく、シリコン成分が各々配置されてもよい。
【0053】
シリコン構造体が10%を超える破断までの全永久ひずみを示すような量で、金属成分とシリコン成分は各々配置され存在してもよい。
【0054】
シリコン構造体が延性であるような量で、金属成分とシリコン成分は各々配置され存在してもよい。
【0055】
シリコン構造体は、5%を超える破断までの全永久ひずみを示してもよい。
【0056】
シリコン構造体は、5%を超える破断までの全永久ひずみを示す単一体を含んでもよい。
【0057】
シリコン構造体は延性であってもよい。シリコン構造体は延性である単一体を含んでもよい。
【0058】
疑いなく、本明細書で使用される用語「延性である」は、用語「展性である」と同一の意味を有すると考えられるべきであり、本明細書の目的のために、延性材料は3%を超える破断までの全永久ひずみを示す材料として定義される。
【0059】
金属成分とシリコン成分との間の電気的接触によって、シリコン構造体は、これが生理学的環境の中に置かれると完全に再吸収可能にする。この事例は、金属成分が、人間または動物の対象によって移植されるか摂取されるときに、シリコン成分との電気的接触がない場合に通常再吸収しない場合でもあり得る。
【0060】
シリコン構造体は、動物または人間の対象に投与される場合、医療的価値があるように完全に再吸収する必要はない。例えば、これがナノ複合物を含む場合には、シリコンは再吸収して金属のナノ粒子を残すこともある。金属が非毒性であることを条件に、ナノ粒子は対象の身体によって安全に排出される。
【0061】
金属成分は非毒性ナノ粒子を含むこともあり、非毒性ナノ粒子の各々は鉄、銀、および金のうちの1つまたは複数を含む。
【0062】
シリコン構造体は金属シリコン合金を含んでもよく、シリコン成分は合金の一部を形成し、金属成分は合金の一部を形成する。
【0063】
シリコン成分は1つのシリコン基板を含んでもよく、金属成分は1つまたは複数の金属層を含んでもよく、金属層の少なくとも一部または1つはシリコン基板の表面の少なくとも一部の上にある。
【0064】
シリコン成分は1つのシリコン繊維を含んでもよく、金属成分は1つまたは複数の金属層を含んでもよく、金属層の少なくとも一部または1つはシリコン繊維の表面の少なくとも一部の上にある。
【0065】
シリコン成分は1つのシリコンチューブを含んでもよく、金属成分は1つまたは複数の金属層を含んでもよく、金属層の少なくとも一部または1つはシリコンチューブの表面の少なくとも一部の上にある。
【0066】
シリコン構造体の組成とシリコン成分および金属成分両方の配置は、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が1と1000との間にあるようにしてもよい。
【0067】
本明細書の目的のために、シリコン成分の外側シリコン表面とは、シリコン構造体が純水の中に完全に浸されて、水とのあらゆる反応が防止されているとした場合に、平衡状態にあるときに水と接触しているシリコン成分の表面である。金属成分の外側金属表面とは、シリコン構造体が純水の中に完全に浸されて、水とのあらゆる反応が防止されているとした場合に、平衡状態にあるときに水と接触している金属成分の表面である。
【0068】
シリコン構造体の組成とシリコン成分および金属成分両方の配置は、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が2と1000との間にあるようにしてもよい。
【0069】
シリコン構造体の組成とシリコン成分および金属成分両方の配置は、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が10と1000との間にあるようにしてもよい。
【0070】
シリコン構造体の組成とシリコン成分および金属成分両方の配置は、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が1と100との間にあるようにしてもよい。
【0071】
シリコン構造体の組成とシリコン成分および金属成分両方の配置は、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が10と100との間にあるようにしてもよい。
【0072】
シリコン構造体の組成とシリコン成分および金属成分両方の配置は、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が20と100との間にあるようにしてもよい。
【0073】
シリコン構造体の組成とシリコン成分および金属成分両方の配置は、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が0.001と1との間にあるようにしてもよい。
【0074】
シリコン構造体の組成とシリコン成分および金属成分両方の配置は、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が0.001と0.5との間にあるようにしてもよい。
【0075】
シリコン構造体の組成とシリコン成分および金属成分両方の配置は、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が0.001と0.1との間にあるようにしてもよい。
【0076】
シリコン構造体の組成とシリコン成分および金属成分両方の配置は、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が0.01と1との間にあるようにしてもよい。
【0077】
シリコン構造体の組成とシリコン成分および金属成分両方の配置は、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が0.01と0.5との間にあるようにしてもよい。
【0078】
シリコン構造体の組成とシリコン成分および金属成分両方の配置は、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が0.01と0.2との間にあるようにしてもよい。
【0079】
シリコン成分の外側表面積の金属成分の外側表面積に対する比は、外側シリコン表面と外側金属表面における電流密度に影響し、次にこれはあらゆる侵食の速度に影響することもある。
【0080】
シリコン構造体は円筒状壁の少なくとも一部を形成してもよい。シリコン構造体は、これが円筒状壁を形成するように形状化され配置されてもよい。
【0081】
シリコン構造体はステントの一部を形成してもよい。シリコン構造体はカテーテルの一部を形成してもよい。
【0082】
シリコン構造体は、実質的にシリコン成分と金属成分からなってもよい。シリコン構造体はシリコン成分と金属成分からなってもよい。
【0083】
シリコン構造体は薬剤を含んでもよい。シリコン構造体は薬剤溶出性ステントの一部を形成してもよい。シリコン構造体は細孔性シリコンと薬剤を含んでもよく、薬剤は細孔性シリコンの少なくともいくつかの細孔の中に位置する。
【0084】
本明細書の目的のために、生体活性材料とは、生きている人間または動物の対象の中に移植されると生きた組織と共に結合を形成することができる材料であり、再吸収可能材料とは、生きている人間または動物の対象の生理流体の中に置かれると侵食することができる材料である。本明細書の目的のために、生理電解質とは、生きている動物または人間の身体の中に見られ得る電解質である。
【0085】
別の態様では、本発明は、金属成分とシリコン成分を含むシリコン構造体を製造するための方法であって、
(a)シリコン試料を融解するステップと、
(b)シリコン試料の融点を超える融点を有する細孔性金属の細孔の少なくともいくつかの中に、融解したシリコンの少なくともいくらかが流入できるようにする、および/または流入させるステップと、
(c)シリコンおよび細孔性金属の両方を、シリコン試料の融点より低い温度Tに到達できるようにする、および/または到達させ、それによってシリコン構造体を生成するステップと
を含む方法を提供する。
【0086】
細孔性金属は、クロム、モリブデン、タンタル、チタン、およびタングステンのうちの1つまたは複数からなってもよい。
【0087】
金属の熱膨張係数とシリコンの熱膨張係数との間に確実に十分な差が存在することによって、細孔性金属の細孔の中にあるシリコンに圧力が加えられて、βスズ結晶構成を有するシリコンを形成させることもできる。細孔性金属は、バルク型結晶シリコンのヤング率より大きなヤング率を有してもよい。金属が確実に十分に高いヤング率を有することによって、シリコン構造体の冷却によって発生する圧力はシリコン成分の中で集中され得る。細孔性金属は鉄および/またはニッケルであってもよい。
【0088】
この方法は、細孔性金属を温度Tに加熱するステップ(d)を含んでもよい。ステップ(d)はステップ(a)の前または後に行われてもよい。ステップ(b)とステップ(d)は同時であってもよい。ステップ(b)は細孔性金属の温度を上昇させることができる。
【0089】
ステップ(a)、(b)、(c)、および(d)は、シリコン構造体がβスズ結晶構造を有するシリコンを含むように実施されてもよい。
【0090】
ステップ(a)、(b)、(c)、および(d)は各々、還元雰囲気で実施されてもよい。
【0091】
は1412〜2355℃の間にあってよい。Tは1420〜2000℃の間にあってもよい。Tは1450〜2000℃の間にあってよい。Tは1600〜2100℃の間にあってもよい。Tは1700〜2000℃の間にあってもよい。Tは1500〜1800℃の間にあってもよい。
【0092】
は0℃〜100℃の間にあってもよい。
【0093】
細孔性金属は、30秒〜2分の間にある時間間隔にわたって温度T〜Tの間で冷却されてよい。
【0094】
細孔性金属は、1分〜10分の間にある時間間隔にわたって温度T〜Tの間で冷却されてもよい。
【0095】
細孔性金属は、1分〜60分の間にある時間間隔にわたって温度T〜Tの間で冷却されてもよい。
【0096】
細孔性金属は、1時間〜10時間の間にある時間間隔にわたって温度T〜Tの間で冷却されてもよい。
【0097】
さらに別の態様によれば、本発明は、金属成分とシリコン成分を含むシリコン構造体を製造するための方法であって、
(a)四面体結合構造を有する細孔性シリコン試料を温度Tに加熱するステップと、
(b)金属を細孔性シリコンの細孔の中に導入するステップと、
(c)シリコン構造体を生成するために細孔性シリコンを温度Tまで冷却できるようにする、および/または冷却させるステップと
を含む方法を提供する。
【0098】
ステップ(b)は、(bi)細孔性シリコン試料よりも低い融解温度を有する金属を融解するステップと、(bii)細孔性シリコンの細孔の少なくともいくつかの中に、融解した金属が流入できるようにする、および/または流入させるステップとを含んでもよい。
【0099】
ステップ(b)は、(biii)金属の化合物を融解するステップと、(biv)細孔性シリコンの細孔の少なくとも一部分の中に、金属化合物が流入できるようにする、および/または流入させるステップと、(bv)金属化合物を分解して温度Tにおいて金属を生成するステップとを含んでもよい。
【0100】
金属化合物は、硝酸塩、アルコキシド、βジケトン、および混合アルコキシド/βジケトンのうちの1つまたは複数であってもよい。
【0101】
金属は、アルミニウム、バリウム、ビスマス、カルシウム、ガリウム、金、インジウム、マグネシウム、銀、スズ、および亜鉛のうちの1つまたは複数であってもよい。
【0102】
金属の熱膨張係数とシリコンの熱膨張係数との間に確実に十分な差が存在することによって、シリコンに圧力が加えられて、βスズ結晶構成を有するシリコンを形成させることもできる。細孔性金属は、バルク型結晶シリコンのヤング率より大きなヤング率を有してもよい。金属が確実に十分に高いヤング率を有することによって、シリコン構造体の冷却によって発生する圧力はシリコン成分の中で集中され得る。細孔性金属はマンガンおよび/または銅であってもよい。
【0103】
ステップ(a)、(b)、および(c)は、シリコン構造体がβスズ結晶構造を有するシリコンを含むように実施されてもよい。
【0104】
ステップ(a)、(b)、および(c)は各々、還元雰囲気で実施されてもよい。
【0105】
は30℃〜1414℃の間にあってもよい。Tは155℃〜1300℃の間にあってもよい。
【0106】
は200℃〜1000℃の間にあってもよい。Tは400℃〜1200℃の間にあってもよい。
【0107】
は500℃〜1400℃の間にあってもよい。Tは500℃〜900℃の間にあってもよい。
【0108】
細孔性シリコンは、ミクロ細孔性シリコン、メソ細孔性シリコン、およびマクロ細孔性シリコンのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0109】
細孔性シリコンは、4%〜90%の間の孔隙率を有してもよい。
【0110】
細孔性シリコンは、30%〜90%の間の孔隙率を有してもよい。
【0111】
細孔性シリコンは、30%〜70%の間の孔隙率を有してもよい。
【0112】
は0℃〜100℃の間にあってもよい。
【0113】
ステップ(a)はステップ(b)に先行してもよい。ステップ(b)はステップ(a)に先行してもよい。ステップ(a)および(b)は同時に実施されてもよい。
【0114】
細孔性シリコンは、30秒〜2分の間にある時間間隔にわたって温度T〜Tの間で冷却されてもよい。
【0115】
細孔性シリコンは、1分〜10分の間にある時間間隔にわたって温度T〜Tの間で冷却されてもよい。
【0116】
細孔性シリコンは、1分〜60分の間にある時間間隔にわたって温度T〜Tの間で冷却されてもよい。
【0117】
細孔性シリコンは、1時間〜10時間の間にある時間間隔にわたって温度T〜Tの間で冷却されてもよい。
【0118】
さらに別の態様によれば、本発明は、薬物として使用するための上述の態様のいずれかに定義されたようなシリコン構造体を提供する。
【0119】
さらに別の態様によれば、本発明は、生体材料として使用するための上述の態様のいずれかに定義されたようなシリコン構造体を提供する。
【0120】
さらに別の態様によれば、本発明は、生体活性材料として使用するための上述の態様のいずれかに定義されたようなシリコン構造体を提供する。
【0121】
さらに別の態様によれば、本発明は、再吸収性材料として使用するための上述の態様のいずれかに定義されたようなシリコン構造体を提供する。
【0122】
さらに別の態様によれば、本発明は、再吸収性生体材料として使用するための上述の態様のいずれかに定義されたようなシリコン構造体を提供する。
【0123】
さらに別の態様によれば、本発明は、ステントとして使用するための上述の態様のいずれかに定義されたようなシリコン構造体を提供する。
【0124】
さらに別の態様によれば、本発明は、上述の態様のいずれかに定義されたようなシリコン構造体を含むステントを提供する。
【0125】
さらに別の態様によれば、本発明は、上述の態様のいずれかに定義されたようなシリコン構造体を含む膜を提供する。
【0126】
さらに別の態様によれば、本発明は、上述の態様のいずれかに定義されたようなシリコン構造体を含む繊維を提供する。
【0127】
本発明を、添付の図面を参照して例示としてのみ次に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0128】
図1は、金属成分とシリコン成分のナノ複合物を含む、全体的に11で示されたシリコン構造体の一部の概略図を示す。金属成分は、シリコンよりも貴である金属を含む。金属成分は多数の金属ナノ粒子12を含み、シリコン成分は多数のシリコンナノ粒子13を含む。図1では、金属ナノ粒子12とシリコンナノ粒子13との間に電気的接触部14が形成されている。金属ナノ粒子12とシリコンナノ粒子13との間の電気化学的性質の相違のため、シリコン構造体11が生理液体の中に浸されると、シリコンナノ粒子13と金属ナノ粒子12との間に電位差が確立され、この電位差はシリコンナノ粒子13の侵食速度を加速させる。
【0129】
金属成分とシリコン成分を含む本発明によるシリコン構造体は、次の標準的方法、すなわち液体金属浸透法、溶湯鋳造法、撹拌鋳造法、熱間等静圧圧縮成形法(HIP)、冷間等静圧圧縮成形法(CIP)、金属プレフォーム内の化学気相成長、およびシリコンプレフォームの液体有機金属含浸法とこれに続く熱分解法のうちの1つまたは複数によって製造されることができる。
【0130】
液体金属浸透法は、適当な炉の中に入れた融解した金属の中に細孔性シリコンプレフォームを浸すステップを含んでもよい。金属による細孔性シリコンの濡れを改善するために10〜1000気圧の間の静水圧が加えられてもよい。一般的技法は、参照によって本明細書に組み込まれているJ.Appl.Phys.64(11)6588−6590頁(1988)に記載されている。
【0131】
熱間等静圧圧縮成形法は、シリコン粒子と金属粒子とを熱間等静圧プレスの中に装填するステップを含んでもよく、プレスは水冷オートクレーブの中に囲まれた炉の中に設置されてもよく、炉は金属粒子とシリコン粒子の混合物を加熱するために使用され、加熱された粒子にアルゴンまたはヘリウムガスによって圧力が加えられる。一般技術は米国特許第5919321号明細書およびJ.Mater.Sci.31、4985−4990頁(1996)に記載され、両方とも参照によって本明細書に組み込まれている。
【0132】
冷間圧縮成形法(CP)は、ステンレス鋼シリンダの中にシリコン粒子および金属粒子を装荷するステップを含んでもよく、次いで、ステンレス鋼ピストンによって1000〜5000psiの間の一軸圧力が加えられてもよく、シリコン粒子および金属粒子の温度は約20℃に維持される。所望の複合物を得るために、HIPの前に粒子生成物を圧密するためのCPの使用が実施されてもよい。
【0133】
マグネトロンスパッタリング法は、多層ナノ複合物構造を発生させるためにシリコン成分と金属成分の物理蒸気堆積ステップを含んでもよい。一般技術は、参照によって本明細書に組み込まれているSPIE Vol.3331、42−51頁(1998)に記載されている。
【0134】
シラン分解法は、細孔性シリコンプレフォームから複合物を発生させるための金属成分の化学気相成長ステップを含んでもよい。堆積温度は通常550℃〜650℃の間にあり、堆積は低圧(0.2〜1.0トル)反応器の中で起る。この技術はS.M.SzeによるVLSI Technology、McGraw Hill 1998に記載されている。
【0135】
金属成分とシリコン成分を含むナノ複合物を製造できるさらに別の標準的技法には、ミリング法(J.Alloys and Compounds Vol.264、285−292頁(1998)に記載され、これは参照によって本明細書に組み込まれている)、コスパッタリング法(Thin Solid Films 320、184−191頁(1998)に記載され、これは参照によって本明細書に組み込まれている)、熱誘導相分離(Materials Science end Engn.Vol.B100、27−34頁、2003に記載され、これは参照によって本明細書に組み込まれている)、および液相から細孔性プレフォームへの電着(J.Appl.Phys.Vol.76、6671−2頁、1994に記載され、これは参照によって本明細書に組み込まれている)がある。
【0136】
図2は、金属成分22とシリコン成分23を含む全体的に21で示されるシリコン構造体の概略図を示す。外側の金属表面積は外側のシリコン表面積よりも大きい。その理由は、金属電極22は波形表面を有するがシリコン基板23の表面は平坦であるからである。金属電極は、波形がシリコン基板の非外側表面24の中に形成されるように、シリコン基板を最初にミクロ機械加工することによって形成されることができる。次いで、金属層が非外側表面24の上に付着されて、波形金属電極22を形成する。
【0137】
金属の外側表面積のシリコンの外側表面積に対する比を変える能力は、シリコン構造体が生理電解質などの電解質の中に置かれる場合、シリコンのエッチングまたは侵食の速度を制御する上で大きな価値がある。金属電極22の表面積が大きいほど、金属電極22とシリコン基板23との間の電位差から結果的に得られる電流密度は大きく、エッチングまたは侵食の進度は大きくなる。
【0138】
図3は、細孔性金属成分32とβスズ構造を有するシリコン成分33を含み、シリコン33が金属の細孔の中に位置する、全体的に31で示されるシリコン構造体の一部の概略図を示す。
【0139】
金属成分とβスズ結晶構造を有するシリコン成分を含むシリコン構造体は、細孔性金属プレフォームを取って、プレフォームの細孔の中に融解したシリコンを導入することによって製造されてもよい。プレフォームは金属粉体の部分的圧密によって製造されてもよい。10〜50%の間にある空隙率を達成するために焼結が行われる。シリコンは水素の還元雰囲気の下の炉内で1450〜1550℃の間にある温度に加熱され、金属プレフォームは融解したシリコンの中に浸される。融解したシリコンが細孔性金属の細孔の中に入ると、構造体は炉から取り出されて冷却される。細孔性金属の収縮によって加えられる圧力が原因で、細孔の中に閉じ込められたシリコンはβスズ結晶構造を形成する。複合物に追加圧力を加えるために熱間圧縮成形または熱間等静圧圧縮成形が利用されてもよい。この方法は、クロム、鉄、モリブデン、ニッケル、タンタル、チタン、およびタングステンを含むシリコン構造体を製造するために適している。
【0140】
金属成分とβスズ結晶構造を有するシリコン成分を含むシリコン構造体は、四面体結合構造を有する50〜90%空隙率のメソ細孔性シリコンの試料を取って、本明細書に参照によって組み込まれている国際公開第99/53898号パンフレットに記載されている方法により、細孔性シリコンの細孔の中に融解した金属塩を溶け込ませることによって製造されてもよい。金属への分解は、800〜1200℃間で水素の還元雰囲気の中で実施される。金属の冷却は圧力をシリコンに加え、シリコンの構造をβスズの形に変えさせる。この方法は、次の金属、すなわちアルミニウム、バリウム、ビスマス、カルシウム、銅、ガリウム、金、インジウム、マグネシウム、マンガン、銀、スズ、および亜鉛のうちの1つまたは複数を含むシリコン構造体の製造に適している。この方法で使用される金属塩は、硝酸塩、アルコキシド、βジケトン、および混合アルコキシド/βジケトンのうちの1つまたは複数から選択されることができる。
【0141】
さらに別の実施例では、本発明によるシリコン構造体は、市販の微粉化されたバルク型シリコン粉体RG98粉を取って、これをHFとエタノールの1:1溶液で処理することによって製造されることができる。この粉体は、大気への露出によって生じた表面酸化物を除去するために溶液の中に5〜15分間放置されてもよい。ハイブリッド表面形成が完成した指示として、ガス放出の停止が取られてもよい。シリコン粉体の抽出は、バックナー容器ろ過とこれに続くろ過紙上での空気乾燥によって行われてもよい。次に、同じ重量の金属粉体(例えばFe粉体、W粉体、Mo粉体、またはNi粉体)とシリコン粉体が、60分間28rpmで動作するPharmatech LtdのLC005ブレンダを使用して混合されることができる。次に、ブレンドされた粉体のいくつかは、冷間圧縮成形のために準備済みの除去可能なペレットダイの中に装荷する前に正確に計量されることができる。次に試料は、シリコン構造体を製造するためにさまざまな圧力範囲でRondalの10トン液圧プレスで冷間圧縮成形されることができる。
【0142】
さらに別の実施例では、本発明によるシリコン構造体は、金属とシリコン両方の微粉化された粉体を取って、ボールミリングを介してこれらを粉砕にかけることによって製造されることができる。金属成分とシリコン成分の両方がスラリーの一部を含んでもよい。成分を徹底的に混合するために、1〜200ミクロンの直径を有する酸化ジルコニウムミクロスフェアが使用されてもよい。この仕事を行うために、Netzsch Zeta II LMZ10サーキュレートリーミルが採用されてもよい。次に混合されたシリコン成分と金属成分は、上述のようにRondal液圧プレスにおいて冷間圧縮成形され、シリコン構造体を作り出す。
【0143】
本発明によるシリコン構造体は、参照によって本明細書に組み込まれている、Advanced Powder Technology、Vol 14 No.4、(2003)471−493頁におけるJ Yang、J Wang、R N Dave、R Pfefferによる「Mixing of Nanoparticles by rapid expansion of high pressure suspensions」に記載されているように、市販の金属およびシリコンのナノ粒子を取って、これらを臨界超過COと混合することによっても製造されることができる。
【0144】
上記の技法のうちの1つまたは複数によって製造されたシリコン構造体は、標準的な外科技法によって動物または人間の対象に移植されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】金属成分とシリコン成分のナノ複合物を含む、本発明によるシリコン構造体の一部の概略図である。
【図2】外側シリコン表面積より大きな外側金属表面積を有するシリコン構造体の概略図である。
【図3】シリコンが金属の細孔の中に存在する、βスズ構造を有する細孔性金属およびシリコンを含むシリコン構造体の一部の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属成分とシリコン成分を含む再吸収性生体材料として使用するためのシリコン構造体であって、金属成分とシリコン成分が、シリコン成分の少なくとも一部が金属成分の少なくとも一部と電気的に接触するように配置され、シリコン成分がミクロ粒子シリコンを含み、金属成分がシリコンより貴であるミクロ粒子金属を含む、シリコン構造体。
【請求項2】
シリコン構造体の組成、ならびに金属成分とシリコン成分の配置が、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が1と1000との間にあるようになされたことを特徴とする、請求項1に記載のシリコン構造体。
【請求項3】
シリコン構造体の組成、ならびに金属成分とシリコン成分の配置が、外側シリコン表面積の外側金属表面積に対する比が1と0.001との間にあるようになされたことを特徴とする、請求項1に記載のシリコン構造体。
【請求項4】
金属成分が、金、白金、銀、パラジウム、セレン、銅、ビスマス、タングステン、モリブデン、ニッケル、および鉄のうちの1つまたは複数であることを特徴とする、請求項1に記載のシリコン構造体。
【請求項5】
シリコン構造体が延性であるように金属成分とシリコン成分が配置されるような組成を有することを特徴とする、請求項1に記載のシリコン構造体。
【請求項6】
シリコン成分がナノ構造シリコンを含み、金属成分がナノ構造金属を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシリコン構造体。
【請求項7】
シリコン成分の少なくとも一部および/または金属成分の少なくとも一部を含む単一体を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシリコン構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−517161(P2008−517161A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537376(P2007−537376)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004027
【国際公開番号】WO2006/043056
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(504235883)サイメデイカ リミテツド (16)
【Fターム(参考)】