説明

シリコーンコートされた繊維性サポートの粘着結合プロセス

コート又は含浸により得られるシリコーン被膜を含有する繊維性材料の粘着結合に関し、サポート間の重複領域に挿入されたシリコーン粘着材で粘着結合するサポートの粘着結合プロセスであり、室温で液体で、ブルックフィールド粘度η≧100(25℃、Pa・s);押出成形速度Er≦50(g/分)の強化型シリコーンエラストマー(PSE)又は液体シリコーンゴム(LSR)のシリコーン粘着材(例えばシリコーンMOHDMOH処理したシリカで充填されたMDDViM)を過酸化物でラジカル架橋熱処理するものであり:重なった領域内のサポート上に粘着材を直接形成・展開するステップ;サポートを重なった領域内で密着させるように保持して境界面での空気のトラップを防止するステップ;及び密着を保持しながら加熱して粘着材の架橋によりサポートを粘着結合させるステップを含むプロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維性材料、特に織り編みサポート又は不織サポート等の可撓性サポートの粘着結合に関し、少なくとも1のシリコーン組成物を使用した、少なくとも1のそれらの面へのコート又はその含浸の適用により得られる少なくとも1のシリコーンコーティングを含有し、その組成物はこの操作の時に液体であり(特にRTV2又はLSR若しくはHCEの希釈物等)架橋されてエラストマーを生じることができる。ワニス(シリコーン又はコポリマー)は、これらコーティングに適用できる。
【背景技術】
【0002】
本発明の可撓性サポートは、任意でシリコーンエラストマー層、任意でシリコーンエラストマー層へ適用される汚染防止ワニスでコートされた、テキスタイル布から特に選ばれる。これら布は(1)建物用テキスタイル(テキスタイル建造物の構成物)又は(2)建物用テキスタイル以外のその他の可撓性サポートの製造に応用できる。
【0003】
応用分野(1)として、本発明の記載及び内容を通して、用語「建物用テキスタイル」は織編物又は不織布及び更に一般的にコーティング後に下記を製造するための繊維性サポートを意味する:
退避小屋、可動式構造体、テキスタイル構築物、仕切り、可撓性扉、防水シート、テント、スタンド又はひさし(天幕);
家具、外装材、広告用展示物、防風設備又はフィルターパネル;
日光遮蔽装置、天井及びブラインド。
【0004】
応用分野(2)として、これら建物用テキスタイル以外の可撓性サポートとして例えば下記を製造するためのものも挙げられる:
乗り物乗務員保護用に使用されるエアバッグ;
ガラスブレード(電線の熱性及び絶縁性保護用織り編みガラス鞘);
コンベアベルト、防火障壁布又は断熱布;
布;
コンペンセイター(配管用可撓性シーリングスリーブ)。
【0005】
シリコーンコートの適用は、架橋可能な液体シリコーン組成物を使用する繊維性サポート、特にテキスタイルへコートを適用する行為として定義され、次にそれはサポートへ適用されるフィルムの架橋を生じ、その結果、特にそれを保護し、それに特定の品質を付与し、例えばそれに疎水性/粗油性又は不浸透性の性質を付与するか、それに改良された物理的性質を付与するか、又はその外観さえ変性できることを意図とするコーティングを製造する。
この場合、「含浸」は架橋可能なシリコーンベースの真の(very)流体液体繊維のサポート内部への侵入(中心部への侵入)を生じる作用として定義され、次にシリコーンの架橋を生じて、上記種類の性質をサポートへ付与する。
【0006】
実際には、テキスタイルサポートへのシリコーンエラストマーのコート又は含浸の適用により得られた複合材料は、シリコーンの固有の性質、即ち、特に、優れた可撓性、優れた機械的強度及び火に対する改良された性質に関する数多くの長所を示す。更に、従来のエラストマーと異なり、シリコーンは、とりわけその疎水性及びそれらの化学製品、熱及び風雨による劣化への優れた耐性による適切な保護及び長い寿命をそれらに与える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし上記コンポジット用の重要な販路を構成するテキスタイル建造物分野では、主要な使用者は他の、特に下記要求も求める場合がある:汚染物質への抵抗性;外観、特に着色及び光沢に関する優れた性質;コンポジットを二個ずつ容易に組み立て可能とする粘着結合能力;コンポジットを取り扱うために好ましく低い摩擦係数(sliding coefficient);優れたコンポジットの粘着性。
【0008】
これらの性質は、適切な表面コーティング、好ましくはワニス(例えばシリコーンワニス)により導入でき:非シリコーン層(例えばポリ塩化ビニル、ポリウレタン又はポリアミド)であっても容易にシリコーン層全体に広がることができ;完全にこのシリコーン又は非シリコーン層へ付着し;更に工業的に使用するために一般的に容易であり経済的である。
【0009】
テキスタイル建造物用のこれらのシリコーンコンポジットのコーティング及びワニス問題とは別に、それらを局部的に強化(補強)するため、又はそれらの表面積を増加させる目的又は最終製品の製造を実施する目的で互いに部材を結びつけるため、これらのコンポジットの様々な部分又は成分を一緒に組み合わせることがしばしば必要となる。
この操作はしばしば縫製により行われるが、それは適切な複合製品を製造するが同時にある種の不利な結果も生じる。その理由は、コンポジット中に多くの針穴があり、そのためにその漏れ密封性及び化学製品、熱及び風雨による劣化への耐性を損なうためである。そのため対応する最終設計もまた限られる。
【0010】
他の実施法は、粘着結合である。しかし、求められた性能を達成するために充分に強固な粘着材を発見することは難しい。
ここで、欧州特許B0219075号及びその対応する米国特許B−4889576号は、シリコーンコートされたテキスタイルは熱硬化性エラストマー(HCE)等のシリコーンゴムストリップを使用して、一緒に組み合わせされるコンポジットの2個の部材の間に配置して使用し、それらを粘着結合できることを示した。それらは、室温で可塑性(非流体)(ウィリアムス可塑性170〜600、例えば280)である粘着材のストリップである。この形態のシリコーン粘着材の提示は、ある程度適用された圧力及び温度の両方が高い圧縮加熱段階中特に粘着剤の硬化の必要性に不充分なプロセスの問題を生じる。更に、この提示は費用が廉価ではないという問題を含む。
【0011】
粘着材として使用されるHCEゴムは、例えば下記シロキシユニットの定義を有するMViDDViVi種であり、M:(CH33SiO1/2、MVi:(CH32ViSiO1/2、D:(CH32SiO2/2、DVi:(CH3)ViSiO2/2、Vi=ビニルである。このゴム組成物は又、硬化/架橋用ラジカル触媒、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、及びヘキサメチルジシラザンで処理されたシリカフィラーを含有する。この架橋可能なゴムは、モールディング及び切断により粘着材のストリップを製造するために使用される。これらのストリップは、次に一緒に組み合わされるコンポジット部材の重なった領域中に配置されなければならない。加圧(2kg/5cm)及び加熱(180℃/10分)が、次に適用される。これらの全ての操作は、工業的経費の最適化には不都合なことは明らかである。これらの特許の過酸化物HCEの複合製品で測定される引張限界強度は、200N/3cmのオーダーである。
【0012】
シロキシユニットを定義するために本発明で使用される用語法は下記の通りである:
M:(R°)3SiO1/2
Vi:(R°)2(Vi)SiO1/2
D:(R°)2SiO2/2
Vi:(R°)(Vi)SiO2/2
':(R°)2(H)SiO1/2、
D’:(R°)(H)SiO2/2、
OH:(R°)2(OH)SiO1/2、
OH:(R°)(OH)SiO2/2、
T:(R°)SiO3/2
Q:SiO4/2。
R°は;任意で少なくとも1のハロゲン原子(例えば3,3,3−トリフルオロプロピル)により置換されてもよい1〜8炭素構成原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル及びn−ヘキシル);アリール基(例えばフェニル);及びC2−C4アルケニル基(例えばビニル)から選ばれる。
Vi=ビニル;このアルケニルは、適切なアルケニル基により置き換えられてもよい。
【0013】
この従来技術において、本発明の本質的な目的の一つは、シリコーンエラストマーを使用して繊維/シリコーンコンポジット部材を一緒に組み合わす改良されたプロセスを提供し、そのプロセスは実施するのが経済的であり比較的廉価でなければならない。
本発明の他の本質的な目的は、シリコーン、例えばシリコーンエラストマーをコート及び/又は含浸されたテキスタイル又は不織生地を一緒に組み合わす改良されたプロセスを提供し、そのプロセスは、好ましくは引張応力耐性、例えば80N/5cm以上の剥離強度を有する耐性である複合製品を生じる。
他の本発明の本質的な目的は、繊維/シリコーンコンポジット部材と一緒に組み合わすことのできる新規で高性能のシリコーン粘着材を提供することである。
【0014】
これらの目的は、全く驚くべきことに思いがけず発見した本発明者により達成された。本発明の、シリコーンエラストマーでコートされた及び/又は含浸された、テキスタイル又は不織生地用の粘着剤として、過酸化物を使用してラジカル経路により加熱条件下で架橋でき、液体性(非可塑性)を有するこの粘着材は、組み合わされる複合材上に適切に配置され、これは展開された粘着レベルをより良く調整するために充分で均一な厚みにより達成されるようなレオロジーを有する、別のシリコーンエラストマーを、完全に適切に選択する。従って、この粘着材は直接に「適切な位置に」配置され、熱的に硬化され、容易に経済的に高性能の複合製品を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って本発明は、第一に、少なくとも1のシリコーンコーティングを含有する織編又は不織繊維性の複数のサポートの粘着結合用プロセスに関し、上記プロセスは複数のサポートが粘着的に結合されて互いに重なり合い、シリコーン−ベースの粘着材は重なった領域の少なくとも一部を覆うサポート間に挿入される種類のものであり;
本質的に下記ステップを含むプロセスに関する;
室温で液体(流体ペースト)形態で存在し、下記流動学的特性を有する液体シリコーンゴム(LSR)の種類又は強化型シリコーンエラストマー(PSE)の種類の少なくとも1の架橋可能なシリコーン粘着材を使用するステップ;
流動性限界=ブルックフィールド粘度(25℃、単位Pa・s)η≧100、好ましくはη≧200;押し出し成形速度=押し出し成形速度(Er、単位g/分、下記試験Etで測定)Er≦50、好ましくはEr≦20;その重なった領域内で粘着的に結合される少なくとも1のサポート上にこの液体粘着材を直接形成し展開するステップ;
粘着材コートされたサポートをその重なった領域内で密着させるように保持して、境界面での空気のトラップを防止するステップ;
並びに次にサポート間に位置する粘着材を加熱し、密着を保持して粘着材の架橋によりサポートの粘着結合を可能とするステップ。
【0016】
本発明では、押し出し成形試験Etは、200ml容積のカートリッジを配設可能に設計された押し出し成形ガンを使用して行われる。試験用に、カートリッジは100〜150gの完全に脱気された押し出し用製品を含有する。カートリッジは直径0.3mmを有する中空の押し出し成形ニードルを装備される。適用される押し出し成形圧力は、25℃で6.2barである。6秒間押し出された量が測定される。それぞれのサンプルについて3回の測定を行い平均を取る。結果はg/分で表す。
【0017】
このプロセスは、単純で経済的に実施でき、室温で液体であり、特に粘着結合されるサポート上に直接に形成され展開できる特性を有するシリコーン粘着材に関する。
本発明のシリコーンは、中でも:
金属触媒(好ましくは白金触媒)の存在下で、≡SiH/≡Si−アルケニルユニットの重付加により架橋され(又は架橋可能な)熱処理された液体シリコーンゴム(LSR)種のシリコーンエラストマーの一又は二成分(好ましくは二成分)種であり、これらのLSRのブルックフィールド粘度(25℃、単位Pa・s)は好ましくは100〜500、更に好ましくは200〜500である;
少なくとも1の過酸化物を使用した≡Si−アルケニルユニットを含有するラジカル架橋により熱処理された強化型シリコーンエラストマー(PSE)の単一成分型が挙げられ;
上記PSEが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
好ましくは、上記選ばれたシリコーン粘着材は下記組成を有する:
(a)1分子当たり、ケイ素に結合された少なくとも2個のアルケニル基、好ましくはC2〜C6アルケニル基を含む少なくとも1のポリオルガノシロキサン(POS);
(b)補強用無機的フィラー、
(c)上記組成物が下記POS架橋剤(e)を欠く場合に少なくとも1の有機的過酸化物有機的過酸化物ベースであるか;上記組成物が少なくとも1の下記POS架橋剤(e)を含む場合に、少なくとも1の金属化合物ベース、好ましくは白金化合物ベースであり、設定調節剤と組み合わせてもよい;触媒的有効量の少なくとも1の触媒;
(d)任意で追加的フィラー;
(e)任意で、1分子当たり、ケイ素に結合された少なくとも3個の水素原子を含む少なくとも1のポリオルガノシロキサン架橋剤;
(f)任意で、ケイ素原子数の少なくとも50%がそれぞれ少なくとも1の水素原子へ直接結合している、少なくとも1のポリオルガノシロキサン添加剤;
(g)任意で少なくとも1の粘着促進剤;
(h)任意で、少なくとも1のポリオルガノシロキサン樹脂;
(i)及び任意で特定の性質を与える機能性添加剤。
本発明のプロセスの態様を限定するものではないが、室温で液体である好ましいシリコーン粘着材は、少なくとも1の過酸化物を使用したラジカル架橋による少なくとも1の強化型シリコーンエラストマー(PSE)熱処理により形成される。
【0019】
粘着材の主成分POS、即ちポリオルガノシロキサン(a)は下式のユニットを含む:
abSiO(4-(a+b))/2 (a.1)
但し:Wはアルケニル基であり、
Zは触媒活性へ悪影響を及ぼさない一価の炭化水素基であり、任意で少なくとも1のハロゲン原子で置換されてもよい1〜8炭素構成原子を有するアルキル基及びアリール基から選ばれ、
aは1又は2であり、bは0、1又は2であり、a+bは1〜3であり;
少なくともユニット(a.1)の一部はMユニット(a+b=3)であり、残りのユニットの少なくとも一部は下記平均式のユニットである:
cSiO(4-c)/2 (a.2)
但し、Zは上記と同意であり、cは0〜3の値である。
【0020】
これらのポリオルガノシロキサンポリマー(a)は、好ましくは直鎖状ポリマー、本質的に式Z2SiO(Dシロキシユニット)のユニットから構成されるジオルガノポリシロキサン鎖である。この鎖は、式Z3Si0.5(Mシロキシユニット)のユニット及び/又は式OZ’の基によりそれぞれの末端をブロックされている。これらの式中:Z記号は同一又は異なり、アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、オクチル、オクタデシル基)等の一価の炭化水素基;例えばフェニル、トリル、キシリル等のアリール基;ベンジル、フェニルエチル等のアラルキル基;シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロヘキセニル基等のシクロアルキル及びシクロアルケニル基;ビニル又はアリル基等のアルケニル基;アルカリル基;シアノエチル基等のシアノアルキル基;クロロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、クロロフェニル、ジブロモフェニル若しくはトリフルオロメチルフェニル基等のハロアルキル、ハロアルケニル及びハロアリール基;を表す。
R’記号は水素原子、1〜4炭素原子を有するアルキル基又はβ−メトキシエチル基を表す。
【0021】
好ましくは、少なくとも60%のZ基はメチル基を表す。しかし、ジオルガノポリシロキサン鎖と共に、例えば式ZSiO1.5(Tシロキシユニット)及び/又はSiO2(Qシロキシユニット)のユニット等の少量のZ2SiO以外のユニットの存在は、しかし最大2%(これらのパーセンテージは、100ケイ素原子に対するT及び/又はQユニットの数を示す)の範囲内なら除外されない。
【0022】
式Z2SiO及びZ3SiO0.5のユニット及び式OZ’の基の具体例として、下式のものが挙げられる:(CH32SiO、CH3(CH2=CH)SiO、CH3(C65)SiO、(C652SiO、CH3(C25)SiO、(CH3CH2CH2)CH3SiO、CH3(n−C37)SiO:
(CH33SiO0.5、(CH32(CH2=CH)SiO0.5、CH3(C652SiO0.5、CH3(C65)(CH2=CH)SiO0.5
−OH、−OCH3、−OC25、−O−n−C37、−O−iso−C37、−O−n−C49、−OCH2CH2OCH3
これらのPOSオイルは、シリコーン製造者から販売されるか、既に公知の技術を使用して製造できる。
補強用フィラーb)は、シリカ及び/又はアルミナ、好ましくはシリカから選ばれる。
【0023】
使用できるシリカとしてのターゲットは、しばしば0.1μm以下の微細粒子径で、重量に対する高い比表面積が、一般的に約50平方メートル/gから300平方メートル/gを超えるまでの範囲内である特徴を有するフィラーである。この種のシリカは市場から入手できる製品であり、シリコーンゴム製造分野では公知である。これらのシリカはコロイド状シリカでもよく、それは高熱経路により(「フュームド」シリカ)若しくは湿式プロセス(沈殿シリカ)により製造されたシリカ、又はこれらのシリカの混合物である。
フィラー(b)を形成できるこれらのシリカの化学的性質及び製造用プロセスは本発明の目的では重要ではないが、シリカは最終エラストマー粘着材中での補強効果を発揮できるように提供される。もちろん、異なるシリカのブレンドも使用できる。
これらのシリカ粉は、一般的に0.1μm未満の範囲の平均粒子径を示し、BET比表面積は50m2/gを超え、好ましくは50〜400m2/g、特に好ましくは150〜350m2/gである。
【0024】
これらのシリカは任意で少なくとも下記2個の基準を満足する分子の群から選ばれた少なくとも1の相溶化剤を使用して予備処理され:
(ア−1)それ自身と、及び周囲のシリコーンオイルとの水素結合のレベルで、シリカと強固な相互作用を示し;
(ア−2)それ自身又はその分解生成物は、真空下又はガス流下で加熱されることにより最終混合物から容易に分離排出され、従って低分子量の化合物が好ましい;
並びに/又は、(イ−1)特に少なくとも1の未処理シリカを使用して、及び/若しくは、(イ−2)追加的に、上記で定義されたように予備処理中に使用されることができるものと性質上同等である少なくとも1の相溶化剤を使用して、
in situで処理される。
【0025】
用語「シリカ質フィラーのin situ処理」とは、フィラー及び相溶化剤を、上記主成分POSシリコーンポリマー(a)の少なくとも一部の存在下で一緒にすることを意味する。好ましくは、これは本質的に相溶化剤(CA)を製造媒体中へ2ステップで導入する段階から構成される:
第一に、使用されたシリコーンオイルの少なくとも一部を使用されたシリカ質フィラーの少なくとも一部と接触させる操作前及び/又は実質的に同時に、CA(第一成分)の導入ステップを同時に又は数回のロットで行い、全フィラーに対する乾燥重量で8%以下、好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下の割合であり;
第二に(第二成分)、この操作の後にシリコーンオイル及びフィラーを接触させる。
【0026】
特に、上記方法は下記をステップを含有してもよい:
100重量部のシリコーンオイル、0〜5重量部の水、20〜80重量部の、シリカからなるフィラー、1〜20重量部の相溶化剤、を混合するステップ、
好ましくは攪拌しながら反応させるステップ、
得られた混合物を加熱するステップ、但し圧力/温度組み合わせは水及び揮発成分の少なくとも一部を液化するように選ばれる、
必要な場合混合物を冷却するステップ。
混合操作は標準温度・標準圧力で、好ましくは不活性雰囲気(N2)下で行われる。更に、シリコーンオイル及び水用のこれらの条件下では、相溶化剤も又液体状態であることが混合促進のために好ましい。
【0027】
相溶化剤は処理方法(予備処理又はin situ)に応じて選択され、例えば下記群から選ばれてもよい:
クロロシラン;
ポリオルガノシクロシロキサン、オクタメチルシクロシロキサン(D4)等;
シラザン、好ましくはジシラザン、又はその混合物、好ましいシラザンであり、ジビニルテトラメチルジシラザンと組み合わせて使用することができるヘキサメチルジシラザン(HMDZ);
1分子当たり、ケイ素に結合された1以上の水酸基を含有するポリオルガノシロキサン;
アンモニア又はジエチルアミン等の低分子量のアルキルアミン等のアミン;
ギ酸又は酢酸等の低分子量の有機酸;
及びその混合物。
in situ処理の場合、相溶化剤は好ましくは水の存在下で使用される.
これに関して更に詳細には、例えばフランス特許B−2764894号を資料として使用できる。
【0028】
又別の態様では、シラザンでの早期処理(例えばフランス特許FR−A−2320324号)又は後処理(例えば欧州特許A−462032号)を提供する従来技術の相溶化方法が使用できる。しかし、使用したシリカに応じて、それらの使用は本発明に従い二段階処理で得られた機械的性質、特に延び性に関する最も良い結果を得ることは一般的に不可能であることは公知である。
好ましくは、フィラー(b)として使用できる補強用アルミナとして、公知の方法で浸漬され又は浸漬されない高分散性アルミナが使用できる。もちろん、異なるアルミナのブレンドも又使用できる。これらアルミナを限定するものではない例として、Baikowski社製アルミナA125、CR125及びD65CRが使用できる。好ましくは、使用される補強用フィラーは、単体又はアルミナとの混合物としてのフュームドシリカである。
担持に関しては、組成物の組み合わせた構成要素に関して5〜30重量%、好ましくは7〜20重量%の補強用フィラー(b)量を使用することが好ましい。
【0029】
追加的フィラー(d)、好ましくは非補強用フィラーの使用は、本発明の範囲内である。
特に下記群から選ばれる非補強用追加的フィラー(d)が挙げられる:コロイド状シリカ、フュームド及び沈殿シリカ粉、珪藻土、破砕石英、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、膨潤性バーミキュライト、ジルコニア、ジルコン酸塩、非膨潤性バーミキュライト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、マイカ、タルク、酸化鉄、バリウム硫酸塩、消石灰及びその混合物。
これらの追加的フィラー(d)は、一般的に0.1〜300μmの粒子径及び100m2/g未満のBET表面積を有する。
【0030】
粘着材が少なくとも1のPSEを含有する場合、触媒(c)はシリコーンエラストマーを形成する組成物に関する硬化剤として働くものになれる有機的過酸化物である。従ってそれは、シリコーンエラストマーと共に採用することが知られているパーオキシド又はパーエステルのいずれかでもよく、例えばジ(tert−ブチル)パーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーアセテート、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジパーベンゾエート及び2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンが挙げられる。
本発明の粘着結合の場合、好ましくは、加圧なしに活性な過酸化物、例えばモノクロロベンゾイルパーオキシド又は2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシドを使用できる。
【0031】
LSRが本発明のプロセスの粘着材中に存在する別の態様は、当業者に公知の重付加反応の基礎となる。好ましい触媒(c)は特に白金及びロジウム化合物から選ばれる。特に米国特許A−3159601、A−3159602及びA−3220972号、及び欧州特許A−0057459、EP−A−0188978及びEP−A−0190530号に開示された白金錯体及び有機的製品が使用でき、並びに米国特許US−A−3419593、A−3715334、A−3377432及びA−3814730号に開示された白金錯体及びビニル化オルガノシランの複合体が挙げられる。一般的に好ましい触媒は白金である。この場合、触媒(c)の重量は、白金金属重量で表すとポリオルガノシロキサン(a):≡Si−アルケニル(好ましくは≡Si−ビニル)及び(e)及び/又は(f):≡SiH、の合計重量を基準として一般的に2〜400ppm、好ましくは5〜100ppmである。
【0032】
特に任意のポリオルガノシロキサン(e)又は(f)に関して、好ましくは下式のシロキシルユニットを含有する:
deSiO(4-(g+h))/2 (ef.1)
但し:Lは触媒活性へ悪影響を及ぼさない一価の炭化水素基であり、任意で少なくとも1のハロゲン原子で置換されてもよい1〜8炭素構成原子を有するアルキル基(好ましくはメチル、エチル、プロピル及び3,3,3−トリフルオロプロピル基)並びにアリール基(好ましくはキシリル、トリル及びフェニル基)から選ばれ、
dは1又は2であり、gは0、1又は2であり、g+hは1〜3であり;
残りのユニットの少なくとも一部は任意で下記平均式のユニットである:
gSiO(4-i)/2 (ef.2)
但し、Lは上記と同意であり、iは0〜3の値である。
(e)に関する条件は更に、1分子当たり少なくとも3≡SiHユニット;(e)〜(f)ユニット数の少なくとも50%である。
【0033】
このポリオルガノシロキサン(e)又は(f)の動的粘度は、少なくとも10mPa・sであり、好ましくは20〜1000mPa・sである。
ポリオルガノシロキサン(e)又は(f)は、式(ef.1)のユニット単独から構成され、又は追加的に式(ef.2)のユニットを含有してもよい。
ポリオルガノシロキサン(e)又は(f)は、直鎖状、分岐状、環状又は網目状構造を示すことが出来る。
Lグループは、上記Zグループと同じ意味を有する。
【0034】
式(ef.1)のユニットの例は:
H(CH32SiO1/2、HCH3SiO2/2、H(C65)SiO2/2である。
式SiO4/2のユニットのDシロキシルの例は:ジメチルシロキシル、メチルフェニルシロキシル、ジフェニルシロキシル、メチルシロキシル及びフェニルシロキシルである。
【0035】
ポリオルガノシロキサン(e)の例は、下記直鎖状及び環状化合物である:
ハイドロジメチルシリル末端を有するジメチルポリシロキサン、
トリメチルシリル末端を有する(ジメチル)(ハイドロメチル)ポリシロキサンユニットのコポリマー、
ハイドロジメチルシリル末端を有する(ジメチル)(ハイドロメチル)ポリシロキサンユニットを有するコポリマー、
トリメチルシリル末端を有するハイドロメチルポリシロキサン、
環状ハイドロメチルポリシロキサン。
【0036】
LSR中の金属触媒(例えば白金)と組み合わせて一般的に使用される設定調節剤は、付加反応(架橋阻害剤)用反応遅延剤として公知である。それらは通常下記化合物から選ばれる:
ポリオルガノシロキサン、好ましくは少なくとも1のアルケニルで置換された環状ポリオルガノポリシロキサン、特に好ましくはテトラメチルビニルテトラシロキサン;
ピリジン;
有機的ホスフィン及びホスファイト;
不飽和アミド;
アルキル化マレエート;
及びアセチレン性アルコール。
【0037】
これらのアセチレン性アルコール(参照、フランス特許B−1528464及びA−2372874号)は、好ましいハイドロシリレーション反応用熱的ブロッカーであり、下式を有する:
R−(R’)C(OH)−C≡CH
但し、式中:
Rは直鎖状又は分岐状アルキル基又はフェニル基であり;
R’はH又は直鎖状又は分岐状アルキル基又はフェニル基であり;
R及びR’基及び三重結合のα位の炭素原子は任意で環を形成でき;
R及びR’中に存在する炭素原子の合計数は少なくとも5、好ましくは9〜20である。
【0038】
上記アルコールは好ましくは250℃を超える沸点を有するものから選ばれる。例示として:
1−エチニル−1−シクロヘキサノール;
3−メチル−1−ドデシン−3−オール;
3,7,11−トリメチル−1−ドデシン−3−オール;
1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オール;
3−エチル−6−エチル−1−ノニン−3−オール;
3−メチル−1−ペンタデシン−3−オールが挙げられる。
これらα−アセチレン性アルコールは市場で入手できる。
これら調節剤は、オルガノポリシロキサン(a)及び(e)、実際は(f)を含む合計量に関して多くとも3000ppm、好ましくは100〜2000ppmの割合で存在できる。
【0039】
本発明のプロセスで好ましい態様では、粘着促進剤(g)が使用できる。この粘着促進剤(g)は、例えば下記を含有できる:
(g.1)下記一般式に対応する少なくとも1のアルコキシル化オルガノシラン:
【化1】

但し:R1、R2、R3は水素又は炭化水素基であり、同一又は互いに異なり、水素、直鎖状又は分岐状C1〜C4アルキル若しくは任意で少なくとも1のC1〜C3アルキルで置換されたフェニルを表し;
Aは直鎖状又は分岐状C1−C4アルキレンであり;
Gは原子価結合であり;
4及びR5は同一又は異なる基であり、直鎖状又は分岐状C1−C4アルキルを表し;
x’は0又は1であり、
xは0〜2である。
上記化合物(g.1)は好ましくはビニルトリメトキシシラン(VTMS)であり;
(g.2)少なくとも1のエポキシ基を含有する少なくとも1のオルガノシリコン化合物であり、上記化合物(g.2)は好ましくは3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)であり;
(g.3)少なくとも1の金属Mキレート及び/又は一般式M(OJ)nの1の金属アルコキシド(但しn=Mの原子価でありJ=直鎖状又は分岐状C1〜C8アルキルであり、MはTi、Zr、Ge、Li、Mn、Fe、Al及びMgの群から選ばれる)であり、上記化合物(g.3)は好ましくはtert−ブチルチタナートである。
【0040】
(g.1)、(g.2)及び(g.3)の割合は、3種の合計量の重量%として表して、好ましくは下記の通りである:
(g.1)≧10、
(g.2)≧10、
(g.3)≦80。
更に、この粘着促進剤(g)は、組成物の組み合わせた構成要素に関して好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜25重量%の割合で存在する。
【0041】
別の態様で、組成物のシリコーン相は少なくとも1のポリオルガノシロキサン樹脂(h)を含有し、それは任意でその構造中に少なくとも1のアルケニル残基を含有し、この樹脂は0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%のアルケニル基の重量含有量を示す。
これらの樹脂は公知であり、市場で入手可能な分岐状オルガノポリシロキサンオリゴマー又はポリマーである。それらは好ましくはシロキサン溶液の形で提供される。それらはその構造中に、M、D、T及びQユニットから選ばれた少なくとも2個の異なるユニットを含有し、これらのユニットの少なくとも1はT又はQユニットである
好ましくは、これらの樹脂はアルケニル化(ビニル化)されている。分岐状オルガノポリシロキサンオリゴマー又はポリマーの例として、M、D及び/又はTユニットにより担持されるアルケニル官能基に適切なMQ樹脂、MDQ樹脂、TD樹脂及びMDT樹脂が挙げられる。好ましく適切な樹脂の例として、0.2〜10重量%のビニル基含有量を有し、これらのビニル基はM及び/又はDユニットにより担持されるビニル化MQ又はMDQ樹脂が挙げられる。
この構成樹脂は、組成物中の組み合わせた構成要素に関して、好ましくは10〜70重量%、更に好ましくは30〜60重量%、最も好ましくは40〜60重量%の濃度で存在する。
【0042】
熱硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の分野で通常使用され、従って使用できる機能性添加剤(i)として、特に下記が挙げられる:
少なくとも1の「非主要構成(antistructuring)」製品(i1);
及び/又は少なくとも1のポリシロキサン樹脂(i2);
及び/又は少なくとも1の安定剤(i3);
及び/又は少なくとも1のカップリング剤(i4);
及び/又は少なくとも1の例えば顔料/染料又は安定剤等のカバー材製品(i5);
及び/又は少なくとも1のボロン−ベース化合物(i6).
【0043】
本発明のプロセスの好ましい態様では、その重なった領域内で粘着的に結合される少なくとも1のサポート上での、液体粘着材の直接形成及び展開は、本質的には任意で少なくとも1の手段を使用して行われる手動操作であり、好ましくは押し出し成形手段、更に好ましくは適切なノズルを有するカートリッジ付き手動押し出し成形ガンから構成される種類のものである。
上記粘着材コートされたサポートがその重なった領域内で密着され加熱される操作は、例えば、クランプ、バー及びローラから構成される群から選ばれた少なくとも1の手段を使用して実施され、上記手段には少なくとも1の加熱装置、1以上の電気抵抗要素等、が設けられている。
【0044】
本発明で特に使用される繊維性サポートは、ガラス、シリカ、金属、セラミック、シリコンカーバイド、炭素、ボロン;綿、羊毛、麻又は亜麻等の天然繊維;ビスコース、セルロース繊維及び人工繊維(好ましくはポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル系、塩素系ポリマー、ポリオレフィン、合成的ゴム、ポリ(ビニルアルコール)、アラミド、フッ素系ポリマー又はフェノール性ポリマー)等の合成繊維)から構成される材料の群から選ばれる。
【0045】
粘着的に結合される繊維性サポート上へコートを適用するための組成物は、好ましくは下記室温(RTV)で硬化できるものである:
(1)1分子当たり、ケイ素に結合された少なくとも2個のC2〜C6アルケニル基を有する少なくとも1のポリオルガノシロキサン。
(2)1分子当たり、ケイ素に結合された少なくとも2個の水素原子を有する少なくとも1のポリオルガノシロキサン。
(3)白金グループに属する少なくとも1の金属から構成された、触媒的有効量の少なくとも1の触媒。
(4)下記から構成される三元(ternary)粘着促進剤:
(4.1)1分子当たり、少なくとも1のC3〜C6アルケニル基を含有する少なくとも1のアルコキシル化オルガノシラン。
(4.2)少なくとも1のエポキシ基を含有する少なくとも1のオルガノシリコン化合物。
(4.3)下記一般式の、少なくとも1の金属Mキレート及び/又は1の金属アルコキシド:M(OJ)n
但し、n=Mの原子価、及びJ=直鎖状又は分岐状C1〜C8アルキルであり、
MはTi、Zr、Ge、Li、Mn、Fe、Al及びMgの群から選ばれる。
(5)ポリオルガノシロキサン(1)の存在下で相溶化剤とin situで処理された補強用シリカ質フィラー。
(6)増量剤として示され、水酸基を有する末端シロキシルユニットを有するポリオルガノシロキサン。
(7)任意で中和剤。
(8)任意で架橋阻害剤及び/又はこの種の組成物中で使用される他の添加剤。
(9)並びに任意で膨潤性又は膨潤可能な中空の無機性ミクロスフィアフィラー。
【0046】
本発明の粘着材コートされた繊維性サポートへ適用できるワニスとしては、シリコーンワニスでもよく、例えば国際公開WO00/59992号中に記載されたものの様なカチオン系及び/若しくはラジカル経路により架橋できるもの、又は本質的に不飽和シランの混合物ベースのシランワニスが挙げられる。
【0047】
別の態様では、本発明は室温で液体であり、下記流動学的特性を有するシリコーンから選ばれる新規な粘着材に関する。
流動性限界=ブルックフィールド粘度(25℃、単位Pa・s)η≧100、好ましくはη≧200、
押し出し成形速度=押し出し成形速度(Er、単位g/分、明細書に記載した試験Etで測定)Er≦50、好ましくはEr≦20; 上記粘着材は下記組成を有する:
(a)1分子当たり、ケイ素に結合された少なくとも2個のアルケニル基、好ましくはC2〜C6アルケニル基を含む少なくとも1のポリオルガノシロキサン(POS);
(b)補強用無機的フィラー、
(c)上記組成物が下記POS架橋剤(e)を欠く場合に少なくとも1の有機的過酸化物ベースであるか、
上記組成物が少なくとも1の下記POS架橋剤(e)を含む場合に、少なくとも1の金属化合物ベース、好ましくは白金化合物ベースであり、設定調節剤と組み合わせてもよい;
触媒的有効量の少なくとも1の触媒;
(d)任意で追加的フィラー;
(e)任意で、1分子当たり、ケイ素に結合された少なくとも3個の水素原子を含む少なくとも1のポリオルガノシロキサン架橋剤;
(f)任意で、ケイ素原子数の少なくとも50%がそれぞれ少なくとも1の水素原子へ直接結合している、少なくとも1のポリオルガノシロキサン添加剤;
(g)任意で少なくとも1の粘着促進剤;
(h)任意で、少なくとも1のポリオルガノシロキサン樹脂;
(i)及び任意で特定の性質を与える機能性添加剤。
【0048】
上記粘着剤は、好ましくは少なくとも1の過酸化物を使用したラジカル架橋により熱処理された強化型シリコーンエラストマー(PSE)から、単独又は別のものとの混合物として選ばれる。
この粘着剤は、シリコーンでコート及び/又は含浸されたテキスタイル又は不織生地の粘着結合用に使用することを目的とする。
下記実施例は、本発明のプロセスにより、シリコーンのコートを有する生地及び使用された粘着性組成物の粘着結合の試験の記載を通して本発明の更なる理解を可能とする。
【実施例】
【0049】
1−粘着材の製造
粘着材は、今日市場で通常入手可能な強化型シリコーンエラストマー(PSE)又はLSR(液体シリコーンゴム)エラストマー種の熱硬化性シリコーンエラストマーである。LSRは、その架橋法及びその粘度によりPSEとは区別される。
PSEは熱硬化性エラストマーのそれと類似する組成物を有するがかなり低いコンシステンシーを有するエラストマーである;それにも拘わらず、後者と同様に、それらは過酸化物経路による架橋可能性を保持する。
【0050】
これら組成物の例は下記のとおりである:
1.1−比較HCEの記載
下記成分は実験室アームミキサー中で混合される:
100重量部のMDDViMシリコーンコポリマーゴム(a1)、但しランダムにシリコーン鎖に沿って分散されたビニル基重量の測定値700ppm;
7重量部のMDDViMシリコーンコポリマーゴム(a2)、但しランダムにシリコーン鎖に沿って分散されたビニル基重量の測定値2.2重量%;
0.1重量部のメタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン(粘着促進剤(f));
0.9重量部のポリジメチルシロキサン、但しジメチルヒドロキシ末端を有し、粘度50mPa・s(シリカ(b)用相溶化剤);
30重量部のフュームドシリカ(b)、但し比表面積200m2/g、シロキサンと処理。
高度に均一な混合物は、次にロールミル上に巻き取られるがその触媒作用を目的としたその配合組成は下記の通り:
100重量部の上記混合物;
1.2部の2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン(触媒(c))。
【0051】
1.2−本発明の粘着結合中に使用されたPSEの製造の概要
本発明の粘着結合中に使用されるPSEの製造のベースは、ローディアシリコーン社から購入したLSRI(≡SiH/≡SiVi付加により架橋可能な標準組成物)である。
それは使用時に組み合わす2成分A及びBとして提供される。
得られたエラストマーの性質は、一般的に下記の通り:ショアA硬度=50、引っ張り強度=8.5MPa、破断伸び=550%、引き裂き強度=40kN/m。
分離されている場合、これら2成分は、付加反応に必要な全成分が存在しないために架橋できない。一方、それらへ過酸化物を添加することも可能である;それらの成分はその場合過酸化物エラストマーとして働き;それらの流動性からそれらは強化型シリコーンエラストマーの範囲に分類される。
下記混合物は遠心分離ミキサーを使用して通常どおり調製される:
硬度50を有するLSRI.A/B:100部のLSRI.A(Aが単独使用された場合不活性であるPt触媒を含有するがSiHを含有しない):100部のLSRI.B(SiH架橋剤を含有する);
PSE1:100部のLSRIA、0.6部の2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン;
PSE2:100部のLSRIB、0.6部の2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン;
PSE3:100部のLSRIB、1.2部の2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド。
【0052】
2−使用
本発明のPSEは、扁平リボンの形状で押し出し成形により所定の場所に配置される。シリコーンで第二コートされたテキスタイルウェッブは、次に粘着材上に第一コートを被覆される。
比較用に、比較例HCEをカレンダー加工によりストリップへ成形し、次にシートを切断して形成した。次に粘着材のリボンを粘着結合される2枚のテキスタイルウェッブ間に挿入した。
テキスタイル間に挟まれた粘着材層は、次にそれらの架橋がなされるために充分なレベル及び時間の間その温度を上昇できるシステム中に配置される。
上記加熱システムは、粘着結合のレベルで複合製品を加熱し加圧することを可能とするクランプである。
適用される圧力は粘着材層のコンシステンシーに応じて調節される。例えば、HCEの場合の適用圧力は100N/cm2である。
【0053】
その結果、製造された試験試料は、シリコーンエラストマーコートを有するテキスタイルウェッブの第一ストリップ/粘着材層/シリコーンエラストマーコートを有するテキスタイルウェッブの第二ストリップ、から構成される。
粘着材は、複合体長さの半分のみへ適用される。
下記試験中、コートされたテキスタイルからなるコートの適用により形成された試験サポートは、ドクターブレードを使用して下記記載のシリコーンエラストマーSE(灰色/含浸なし)でコートされたポリエステルウェッブである。次に約200g/m2に調節されたエラストマー層は、10分間150℃で架橋される。
【0054】
SEの調製
40kgのα,ω−ジビニル化シリコーンオイル(粘度1.5Pa・s、0.1meqのビニル(Vi)/オイルg測定値)、0.24kgの飲料水及び0.24kgのヘキサメチルジシラザンを、100Lアームミキサー中へ導入する。均一化後、13.9kgのフュームドシリカ(比表面積200m2/g)を約2時間かけて分割投入する。約1時間混合後、2.27kgのヘキサメチルジシラザンを約1時間かけて投入する。2時間後、加熱段階を開始し、その間混合物を窒素流(30m3/h)下に置き;加熱を温度が約140℃に達するまで継続し、その定常温度は組成物から揮発成分を排出するために2時間維持される。次に懸濁液を放置冷却する。
この懸濁液を出発材料として、成分A’及び成分B’は適切な反応器中で配合される。
成分A’は下記を含有する:320gの上記懸濁液、111gのα,ω−ジビニル化オイル(粘度100Pa・s、0.03meqのVi/オイルg測定値)、35gの破砕石英(平均粒子径(d50)約2.5μm)、12gのポリハイドロオイル(粘度0.3Pa・s、1.6meqのSiH/オイルg測定値)、12gのα、ω−ジハイドロオイル(1.9meqのSiH/オイルg測定値)、5gのγ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、5gのγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、0.7gのエチニルシクロヘキサノール。
成分B’は下記を含有する:480gの上記懸濁液、20gのブチルオルソチタナート、1.1gのカールシュテット触媒(白金含有量10%)。
成分A’及びB’は、100〜10の割合で混合され除泡される。
【0055】
3−操作条件
第一ステップ中、複合製品とHCEで使用される標準操作条件が適用される(P=1〜1.5T/t=3分/T=180℃)。
第二ステップ中、架橋時間を変化させ、パーオキシド2,4−DCB用に、架橋温度を変化させる。
全ての複合製品を横方向(粘着結合に最も好ましくない方向)で試験する。製造した複合製品は「180°ピール」配置で試験する。
上記試験試料は幅5cmで測定する。
互いに対面する複合体のそれぞれの末端を引っ張り試験装置の挟み部中に置き、剥離強度を測定する。引張りは50mm/分で行われる。
この種類の生地では、横方向及び縦方向間の剥離強度の相違は減少する(HCE粘着材でのLAF試験参照:横方向F=150Nに対し縦方向F=185N).
【0056】
結果を下記表1に示す。
【表1】

【0057】
議論
比較例HCEとの比較において、PSE及びLSRはその使用が明らかに容易でありそれらの性能は同等であることが認められる。
PSE2は最も効果的である。
優れた粘着結合も又、パーオキシド2,4−DCB:PSE3の場合、比較的低温(120℃)で得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のシリコーンコーティングを含有する織編又は不織繊維性の複数のサポートの粘着結合用プロセスであり、上記プロセスは複数のサポートが粘着的に結合されて互いに重なり合い、シリコーン−ベースの粘着材は重なった領域の少なくとも一部を覆うサポート間に挿入される種類のものであり;
本質的に下記ステップを含むプロセス;
室温で液体(流体ペースト)形態で存在し、下記流動学的特性を有する液体シリコーンゴム(LSR)の種類又は強化型(Pumpable)シリコーンエラストマー(PSE)の種類の少なくとも1の架橋可能なシリコーン粘着材を使用するステップ;
流動性限界=ブルックフィールド粘度(25℃、単位Pa・s)η≧100、好ましくはη≧200;押し出し成形速度=押し出し成形速度(Er、単位g/分、明細書に記載した試験Etで測定)Er≦50、好ましくはEr≦20;その重なった領域内で粘着的に結合される少なくとも1のサポート上にこの液体粘着材を直接形成し展開するステップ;
粘着材コートされたサポートをその重なった領域内で密着させるように保持して、境界面での空気のトラップを防止するステップ;
並びに次にサポート間に位置する粘着材を加熱し、密着を保持して粘着材の架橋によりサポートの粘着結合を可能とするステップ。
【請求項2】
上記室温で液体であるシリコーン粘着材は下記組成を有する請求項1のプロセス:
(a)1分子当たり、ケイ素に結合された少なくとも2個のアルケニル基、好ましくはC2〜C6アルケニル基を含む少なくとも1のポリオルガノシロキサン(POS);
(b)補強用無機的フィラー、
(c)上記組成物が下記POS架橋剤(e)を欠く場合に少なくとも1の有機的過酸化物有機的過酸化物ベースであるか;上記組成物が少なくとも1の下記POS架橋剤(e)を含む場合に、少なくとも1の金属化合物ベース、好ましくは白金化合物ベースであり、設定調節剤(setting regulator)と組み合わせてもよい;触媒的有効量の少なくとも1の触媒;
(d)任意で追加的フィラー;
(e)任意で、1分子当たり、ケイ素に結合された少なくとも3個の水素原子を含む少なくとも1のポリオルガノシロキサン架橋剤;
(f)任意で、ケイ素原子数の少なくとも50%がそれぞれ少なくとも1の水素原子へ直接結合している、少なくとも1のポリオルガノシロキサン添加剤;
(g)任意で少なくとも1の粘着促進剤;
(h)任意で、少なくとも1のポリオルガノシロキサン樹脂;
(i)及び任意で特定の性質を与える機能性添加剤。
【請求項3】
上記室温で液体であるシリコーン粘着材は少なくとも1の過酸化物を使用したラジカル架橋により、少なくとも1の強化型シリコーンエラストマー(PSE)熱処理により形成される請求項1又は2のプロセス。
【請求項4】
上記選択されたポリオルガノシロキサン(a)は下式のユニットを含む請求項2のプロセス:
abSiO(4-(a+b))/2 (a.1)
但し:Wはアルケニル基であり、
Zは触媒活性へ悪影響を及ぼさない一価の炭化水素基であり、任意で少なくとも1のハロゲン原子で置換されてもよい1〜8炭素構成原子を有するアルキル基及びアリール基から選ばれ、
aは1又は2であり、bは0、1又は2であり、a+bは1〜3であり;
少なくともユニット(a.1)の一部はMユニット(a+b=3)であり、残りのユニットの少なくとも一部は下記平均式のユニットである:
cSiO(4-c)/2 (a.2)
但し、Zは上記と同意であり、cは0〜3の値である。
【請求項5】
上記フィラー(b)は比表面積100〜300m2/gを有するシリカから選ばれる請求項2のプロセスであり、上記シリカは任意で少なくとも下記2個の基準を満足する分子の群から選ばれた少なくとも一の相溶化剤を使用して予備処理され:
(ア−1)それ自身と、及び周囲のシリコーンオイルとの水素結合のレベルで、シリカと強固な相互作用を示し;
(ア−2)それ自身又はその分解生成物は、真空下又はガス流下で加熱されることにより最終混合物から容易に分離排出され、従って低分子量の化合物が好ましい;
並びに/又は、(イ−1)特に少なくとも1の未処理シリカを使用して、及び/若しくは、(イ−2)追加的に、上記で定義されたように予備処理中に使用されることができるものと性質上同等である少なくとも1の相溶化剤を使用して、
in situで処理される。
【請求項6】
上記追加的フィラー(d)は:コロイド状シリカ、フュームド及び沈殿シリカ粉、珪藻土、破砕石英、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、膨潤性バーミキュライト、ジルコニア、ジルコン酸塩、非膨潤性バーミキュライト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、マイカ、タルク、酸化鉄、バリウム硫酸塩、消石灰及びその混合物の群から選ばれる請求項2のプロセス。
【請求項7】
上記ポリオルガノシロキサン架橋剤(e)又はポリオルガノシロキサン添加剤(f)は、下式のシロキシルユニットを含有する請求項2のプロセス:
deSiO(4-(g+h))/2 (ef.1)
但し:Lは触媒活性へ悪影響を及ぼさない一価の炭化水素基であり、任意で少なくとも1のハロゲン原子で置換されてもよい1〜8炭素構成原子を有するアルキル基(好ましくはメチル、エチル、プロピル及び3,3,3−トリフルオロプロピル基)並びにアリール基(好ましくはキシリル、トリル及びフェニル基)から選ばれ、
dは1又は2であり、gは0、1又は2であり、g+hは1〜3であり;
残りのユニットの少なくとも一部は任意で下記平均式のユニットである:
gSiO(4-i)/2 (ef.2)
但し、Lは上記と同意であり、iは0〜3の値であり;
(e)に関する条件は更に、1分子当たり少なくとも3≡SiHユニット;(e)〜(f)ユニット数の少なくとも50%である。
【請求項8】
上記無機的フィラー(d)は、好ましくはコロイド状シリカ、フュームド及び沈殿シリカ粉、珪藻土、破砕石英、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、膨潤性バーミキュライト、ジルコニア、ジルコン酸塩、非膨潤性バーミキュライト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、マイカ、タルク、酸化鉄、バリウム硫酸塩、消石灰及びその混合物の群から選ばれる補強用又は半補強用シリカ質(又は非シリカ質)材料から選ばれる請求項2のプロセス。
【請求項9】
上記液体粘着材の形成は、その重なった領域内で粘着的に結合される少なくとも1のサポート上にこの液体粘着材を直接に配置gして、任意で少なくとも1の手段、好ましくは押し出し成形手段、更に好ましくは適切なノズルを有するカートリッジ付き手動押し出し成形ガンから構成される種類を使用して実施される本質的な手動操作である請求項1のプロセス。
【請求項10】
上記粘着材コートされたサポートがその重なった領域内で密着され加熱される上記操作は、クランプ、バー及びローラから構成される群から選ばれた少なくとも1の手段を使用して実施され、上記手段には少なくとも1の加熱装置が設けられている請求項1のプロセス。
【請求項11】
上記繊維性サポートは、ガラス、シリカ、金属、セラミック、シリコンカーバイド、炭素、ボロン;綿、羊毛、麻又は亜麻等の天然繊維;ビスコース、セルロース繊維及び人工繊維(好ましくはポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル系、塩素系ポリマー、ポリオレフィン、合成的ゴム、ポリ(ビニルアルコール)、アラミド、フッ素系ポリマー又はフェノール性ポリマー)等の合成繊維)から構成される材料の群から選ばれる請求項1〜10いずれか1項記載のプロセス。
【請求項12】
室温で液体であり、下記流動学的特性を有するシリコーンから選ばれる粘着材であり:
流動性限界=ブルックフィールド粘度(25℃、単位Pa・s)η≧100、好ましくはη≧200、
押し出し成形速度=押し出し成形速度(Er、単位g/分、明細書に記載した試験Etで測定)Er≦50、好ましくはEr≦20;下記組成物を有する粘着材:
(a)1分子当たり、ケイ素に結合された少なくとも2個のアルケニル基、好ましくはC2〜C6アルケニル基を含む少なくとも1のポリオルガノシロキサン(POS);
(b)補強用無機的フィラー、
(c)上記組成物が下記POS架橋剤(e)を欠く場合に少なくとも1の有機的過酸化物ベースであるか、
上記組成物が少なくとも1の下記POS架橋剤(e)を含む場合に、少なくとも1の金属化合物ベース、好ましくは白金化合物ベースであり、設定調節剤と組み合わせてもよい;
触媒的有効量の少なくとも1の触媒;
(d)任意で追加的フィラー;
(e)任意で、1分子当たり、ケイ素に結合された少なくとも3個の水素原子を含む少なくとも1のポリオルガノシロキサン架橋剤;
(f)任意で、ケイ素原子数の少なくとも50%がそれぞれ少なくとも1の水素原子へ直接結合している、少なくとも1のポリオルガノシロキサン添加剤;
(g)任意で少なくとも1の粘着促進剤;
(h)任意で、少なくとも1のポリオルガノシロキサン樹脂;
(i)及び任意で特定の性質を与える機能性添加剤。

【公表番号】特表2007−515560(P2007−515560A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515294(P2006−515294)
【出願日】平成16年5月5日(2004.5.5)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001075
【国際公開番号】WO2004/101696
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】