説明

シリコーンゴム材料で作られた製品の表面を消毒処理するための方法

本発明は、分子量2・10〜6・10の有機ケイ素ゴムで作られた製品の表面を消毒処理するための方法に関するものであり、前記方法は、前記製品の表面における消毒被膜の2段階形成にあり:(a)第1段階では、低温酸素プラズマ中、高周波数電磁放射での処理によって、前記表面を改質し;(b)第2段階では、銀又は/及び銅イオンが挿入されたベントナイトナノ分散粉末である殺生物剤;フルオロアルキルエーテル混合物中に溶解しているフルオロアクリルポリマー結合剤を含有する消毒調製物を改質した表面に塗布して該表面を処理する。上記方法は、フットコレクター、靴の中敷き、かかと用パッド等の小さな矯正装置の表面に適用される場合に特に効果的な消毒及び作業特性を有する被膜の形成を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒被膜組成物及びポリマー材料で作られた対象の表面を消毒処理するためのそれらの用途の分野に関し;特に、本発明は、ポリマー材料で作られた医療機器、より具体的には小規模矯正装置の表面を消毒処理するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品表面の処理に適用されるべき消毒手段の選択における主な要因は、その病原微生物に関する効率、毒性の程度、作用持続時間及び有用性である。
【0003】
医療機器の表面処理は、消毒水又はヒドロアルコール溶液中で行われるのが好ましい。
【0004】
グアニジン化合物は、医療行為において、ポリマー材料で作られたものを含めた医療機器の表面処理用消毒成分として伝統的に適用されている。
【0005】
グアニジン化合物の殺生物活性は、負の電荷を持つ細菌性細胞と相互作用するグアニジン陽イオンによって行われる。その陽イオンは、細胞表面に吸着され、細菌破壊に至らせ、それらの呼吸、栄養摂取及び細胞壁を通る代謝産物の輸送を阻止する。
【0006】
最先端の知識によれば、表面処理のため、低分子(クロルヘキシジン)と高分子グアニジン化合物(ポリヘキサメチレングアニジン(PHMG))の両方を適用する。
【0007】
しかしながら、所定の調製物は、有毒である;微生物に対するそれらの作用の効率は、様々である。
【0008】
現在、殺菌作用を持つ金属:Ag、Au、Pt、Pd、Cu及びZnに基づいた消毒調製物の獲得に、大きな関心が寄せられている(非特許文献1及び2参照)。それ故、金属含有成分を有し、それがナノメートル領域の粒子である調製物、基本的には銀を含有する超分散殺生物剤が、最も期待できる[非特許文献3参照]。
【0009】
特許RU N.2330673/2008は、本発明に最も近い先行技術であると考えられるが、それは、ポリマー結合剤の溶液中における銀又は/及び銅イオンが挿入したベントナイトナノ分散粉末の形態としての殺生物剤で構成される組成物を装置の表面に塗布することによって、該装置の表面が消毒処理されることを記載している。ベントナイト粒子の大きさは、150ナノメートル以下である。
【0010】
上記の既知消毒被膜は、有機ポリマー材料で作られた装置の表面に対して効果的であるが、小規模整形外科製品(フットコレクター、靴の中敷き、かかと用パッド等)の製造に使用される分子量2・10〜6・10の有機ケイ素(ポリジメチルシロキサン)ゴムで作られた装置の表面に被膜として適用する場合には効果がない。
【0011】
有機ケイ素ゴムに対して効果がないことは、以下のように説明できる:
・炭化水素ラジカルの特徴的な表面配向によって、有機ケイ素(ポリジメチルシロキサン)ゴム表面の疎水性が著しい。それは、前述の材料の接着力の低下をもたらす;
・小規模矯正装置の作業面に適用する場合、使用中に生じる負荷に対して、消毒被膜の抵抗が低い。
【0012】
その使用に効果的な消毒処理が求められる矯正装置を製造するためには、分子量2・10〜6・10の有機ケイ素ゴムが、その密度、弾性及び硬度を参照して最適であるということを考慮すると、小規模整形外科製品に用いられるような有機ケイ素ゴムで作られた装置の表面処理のために信頼できる消毒被膜を作ることが極めて必要であることは明らかである。
【0013】
これら目的のため、特許RU N.2330673から知られる消毒調製物を適用することは、生存組織との相互作用時に形成被膜の作業特性が低いので、効果がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許RU N.2330673/2008
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】H.E. Morton, Pseudomonas in Disinfection, Sterilisation and Preservation, ed. S.S. Block, Lea and Febider 1977
【非特許文献2】N. Grier, Silver and Its Compounds in Disinfection, Sterilisation and Preservation, ed. S.S. Block, Lea and Febiger, 1977
【非特許文献3】Blagitko E.M., etc. <<Silver in medicine>>, Novosibirsk: the Science-center, 2004, 256 p.
【発明の概要】
【0016】
本発明の課題は、ポリマー材料で作られた製品の表面を消毒処理するための方法を提供することにあり、それは、次の技術的結果を持つ:
・分子量2・10〜6・10の有機ケイ素(ポリジメチルシロキサン)ゴムに基づいたポリマー材料から製造される製品の表面に被膜が得られ、それは、効果的な消毒及び作業特性を備える;
・これら材料の機能特性を製品操作時に維持する。
【0017】
分子量2・10〜6・10の上記ゴムについての化学的、熱的安定性及び高疎水性を考慮して、本発明者は、製品の作業面を改質するためのプラズマ化学処理によって上述の課題を解決した。この処理は、医療を含めた、ポリマー材料の表面を改質するための技術の諸分野において広く適用される。しかしながら、プラズマ化学処理は、例えば、表層の金属化を伴う。有機ケイ素ゴムからの製品であり、その使用にそれらの機能特性(密度、弾性、硬度)の維持が必要とされるものに対して、それは不適当である。
【0018】
本発明は、分子量2・10〜6・10の有機ケイ素ゴムで作られた製品の表面を消毒処理するための方法によって上述の課題を解決するものであり、前記方法は、前記製品の表面における消毒被膜の2段階形成にあり:
(a)第1段階では、酸素(O)装填量0.8〜7l/h、作業圧力(70〜135)±5Paの低温酸素プラズマ中、周波数13.56MHz及び容量20〜40Wtの高周波数電磁放射での、(2〜3)±1分間の処理によって、前記表面を改質し;
(b)第2段階では、
・殺生物剤であって、銀又は/及び銅イオンが挿入され、粒度が150ナノメートル以下であるベントナイトナノ分散粉末である殺生物剤と;
・フルオロアクリルポリマー結合剤であって、ペルフルオロアルキルエーテルの混合物中に溶解している結合剤と
を含有する消毒調製物を、改質した表面に塗布して、該表面を処理する。
【0019】
上記方法によれば、効果的な消毒特性と適切な作業特性を備えた被膜が、分子量2・10〜6・10の有機ケイ素(ポリジメチルシロキサン)ゴムで作られた製品の表面に得られた。ポリジメチルシロキサンは、矯正装置の製造に好適に使用される材料であり、上記消毒処理後、該ゴムの機能特性は、維持された。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好ましくは、前述のポリマー結合剤が、溶媒中におけるフルオロアクリルポリマーであり、ここで、前述の溶媒は、ペルフルオロイソブチルメチルエーテル、ペルフルオロブチルメチルエーテル等のフルオロアルキルエーテル、及びそれらの混合物の中から選択される。好ましくは、上記ポリマー結合剤が、前述の溶媒と共に、以下に示すwt%比で混合される:
フルオロアクリルポリマー 1〜3
ペルフルオロイソブチルメチルエーテル 20〜80
ペルフルオロブチルメチルエーテル 20〜80
【0021】
上記消毒調製物は、殺生物剤:溶媒中におけるポリマー結合剤が1:(50〜100)重量部である成分比を有する。
【0022】
本発明の好適な実施態様によれば、銀イオン及び銅イオンが挿入されたベントナイトナノ分散粉末の混合物が、消毒調製物中における殺生物剤として、銀イオンが挿入されたベントナイト:銅イオンが挿入されたベントナイトが1:(0.5〜1)重量部という比で適用された。
【0023】
本発明の方法の有効性を次のように説明することができる:
・2工程プロセスの設計である。ここで、消毒処理されるべき製品表面を改質するためのプラズマ化学処理の適用は、低温酸素処理を受けてシラノール(Si−OH)及びシロキサン(Si−O−Si)基が形成されるため、親水性になる表面をもたらす;
・上記プロセスの第2工程では、処理されるべき表面に、鉱物性殺生物剤分散体、フルオロアクリルポリマーであるポリマー結合剤、及びフルオロアルキルエーテル溶媒(即ち、ペルフルオロイソブチルメチルエーテル及びペルフルオロブチルメチルエーテル)を含有する消毒調製物の適用である。所定の消毒調製物の適用は、改質表面との効果的な接着相互作用を提供する。
【0024】
その結果、消毒効果を備える新規な被膜であり、ゴム材料の物理化学的特徴を変えず、人間の皮膚に刺激性のある影響を生じさせない被膜が得られる。
【0025】
出願人の知る限り、本発明の方法や同様の結果の達成を可能にし得る他の方法について記載する先行技術の開示は存在しない。
【0026】
本発明は、既知の技術的装置並びに本発明の実現に適した製品及び材料の適用によって産業上実現できる。以下、本発明の実施態様の説明によって、更に理解し得る。
【実施例】
【0027】
材料及び装置
本発明の方法の実現のため、以下に示す材料を用いる:
【0028】
・殺生物剤、即ち、銀(Ag)又は/及び亜鉛(Zn2+)イオンが挿入されたベントナイトナノ分散粉末である。所定の殺生物剤は、特許RU N.2330673に従って製造される。Na型ベントナイト(モンモリロナイト)、塩化ナトリウム(NaCl)、硝酸銀(AgNO3)、硫酸銅(Cu2SO4)は、先に引用したロシア国特許出願に従って殺生物剤を製造するために適用される。殺生物剤の分散粉末の製造方法は、2段階で行われる。第1段階では、ナトリウムイオンで活性化したベントナイトの半仕上げ品が得られ、第2段階で、銀又は銅イオンへのナトリウムのイオン交換反応によって、該半仕上げ品に、銀又は銅イオンが挿入される;
【0029】
・銀イオンが挿入されたベントナイトナノ分散粉末、又は銀及び銅イオンが挿入されたベントナイト粉末の混合物の適用が、本発明の実現には好ましく、費用の低減のため、1:1(重量部)の比である。
【0030】
・市販の製品EGC−1700、商標Novecであり、その製造業者は、3M社(US)である。所定の製品は、フルオロアクリルポリマー、及びペルフルオロイソブチルメチルエーテルとペルフルオロブチルメチルエーテル両方に基づいて作られる。また、ペルフルオロイソブチルメチルエーテル及びペルフルオロブチルメチルエーテルである溶媒を用いたフルオロアクリルポリマーに基づく製品は、医療目的の製品上での被膜の形成にも適用される。それは、生物学的適合性を有する。その製品は、毒性がなく、また、ケイ素ゴムで作られたコンタクトレンズ上での被膜の形成にも適用される;
【0031】
・製品のプラズマ化学処理を目的とする実験室研究設備である。上記設備は、作業室を含み、製品の負荷及び除荷システム、該室内における酸素の排出及び供給システム、作業周波数−13.56MHz及び最高で1kWまでの電力での高周波数電磁放射発生器、並びに制御システムを備える;
【0032】
・分子量3・10の有機ケイ素ゴムのサンプルである。該サンプルの表面積は、5cmである。特定した種類の有機ケイ素ゴムは、小規模整形外科製品、例えばフットコレクターの製造に適用される。
【0033】
分子量2・10〜6・10の有機ケイ素(ポリジメチルシロキサン)ゴムで作られた装置表面に消毒被膜を形成する本発明の技術的方法は、上述の材料、製品及び装置を用いて行われる。消毒処理のために選択された種類の材料は、その機能的特徴(密度およそ1.5〜1.6gr/cm)のため、医療目的の製品、特には小規模整形外科製品の製造に最適である。
【0034】
特定した技術的操作、様式、本発明の実現のために適用された材料及び製品の適用は、持続性作用を有し、生存組織と生物学的に適合した消毒被膜を製品の作業面に得ることを提供する。その上、それは、それらとの相互作用中に効果的な作業特性を有する。
【0035】
特定した条件、様式及び材料からの変化は、都合のよいことはなく、結果の悪化や全プロセス実現費用の増加、又は装置材料の物理化学的特性の変化へとつながることになる。特に、装置材料の物理化学的特性は、高周波数電磁放射を増加させると壊され、該高周波数電磁放射を減少させても表面の効果的な改質を提供しない。
【0036】
本発明の実現は、以下に示す具体例によって説明される:
【0037】
例1
分子量3・10の有機ケイ素ゴムで作られたサンプル表面に消毒被膜を形成した。消毒被膜を形成するための方法は、2段階で行われた。
【0038】
段階(a)−サンプル表面の改質。
適切な実験室研究設備チャンバー中にサンプルを装填した。該チャンバーに133Paの真空を作った。該チャンバー中に酸素(O)を0.8l/時間の速度で供給した。高周波数電磁放射−30Wt及び周波数−13.56MHzによって、該サンプルを2分間照射した。それ故、サンプルの表面が改質され、該表面は、上述の特定条件で且つ低温酸素プラズマ環境中でのプラズマ化学処理の結果、疎水性になった。
【0039】
段階(b)−消毒組成物を用いた改質表面の被覆。
以下のものを混合することによって消毒組成物を調製する:
・銀イオン(Ag)が挿入されたベントナイトナノ分散粉末の形態としての殺生物剤であって、その粉末の粒子寸法が、100ナノメートル以下のものである。上記ベントナイトナノ分散粉末は、特許RU N.2330673に従って得られる;
・残りは、ペルフルオロイソブチルメチルエーテル及びペルフルオロブチルメチルエーテルの2%溶液の形態としてのポリマー結合剤である(3MからEGC−1700として市販されている)。
【0040】
上記消毒混合物は、殺生物剤/製品EGC−1700をそれぞれが1:50(重量部)の量で含有する。
【0041】
上述のように得た消毒組成物は、ゴムサンプルの改質表面に適用される。
【0042】
例2
例1のものと同一の表面サンプルを上述のように段階1に従い改質し、次いで、殺生物剤が例1のものと異なる消毒組成物を用いて被覆した。この場合、殺生物剤は、銀及び銅イオンが挿入されたベントナイトナノ分散粉末が1:1(重量部)の比にある混合物で構成されている。
【0043】
例3(対照)
例1のものと同一の表面サンプルを上述のように段階1に従い改質し、次いで、以下のものを含有する消毒組成物を用いて被覆した:
・銀イオン(Ag)が挿入されたベントナイトナノ分散粉末の形態としての殺生物剤であって、その粉末の粒子寸法が、100ナノメートル以下のものである。上記ベントナイトナノ分散粉末は、特許RU N.2330673に従って得られる;
・ポリジメチルシロキサンとポリウレタンのブロック共重合体の0.75%w/wアルコール溶液の形態としてのポリマー結合剤であって、特許RU N.2330673に従うものである(Penta−1009として市販されている)。
【0044】
前述の消毒組成物は、殺生物剤:ポリマー結合剤溶液をそれぞれが1:100(重量部)の量で含有する。
【0045】
例1〜3に従う被覆サンプルを、以下のように試験し特徴付けた:
・湿潤接触角の決定である。このパラメータは、表面又は作業面に塗布した塗膜の質を決定するのに最も感度が高い。例1〜3に従うサンプル表面への液体の実験的滴下に関し、湿潤接触角を決定した;
・抗菌性の生物試験である。例1〜3に従うサンプルの指定された特性は、所定の試験方法の実行時における製品作業工程のモデル化にて予測された。
【0046】
例4(接触角の決定)
サンプル表面に堆積した脱イオン水滴の接触角(θ、θ、θ、θ、θ及びθ)は、以下のような結果となった:
・有機ケイ素ゴム(分子量3・10)で作られた初期サンプル表面に関し、低温酸素プラズマを用いた処理である段階1の前では、接触角(θ)が108°であった;
・低温プラズマでの改質後のサンプル(例1)表面では、接触角(θ)が73°であった;
・第2段階処理後のサンプル(例2)表面では、接触角(θ)が95°であった;
・第2段階処理後のサンプル(例3)表面では、接触角(θ)が85°であった;
・第2段階処理後に、室温にてサンプルを24時間保存したサンプル(従って、例1及び3)の表面では、接触角(θ)(例1によるサンプル)が92°であって;湿潤接触角(θ)(例3によるサンプル)が80°であった。
【0047】
上記結果を以下のように要約することができる:
・低温酸素プラズマによるゴム表面の処理は、該表面の接着力を増大させた;
・酸素プラズマ処理後に塗布された消毒被膜は、開始ゴム表面に対して接着力が増大する結果となった。
【0048】
例5(インビトロでの抗菌性分析)
得られた上記サンプル(例1〜3)をそれらの抗菌性について試験した。
【0049】
抗菌性の推定は、スタフィロコッカス・アウレウス培養物の適用による標準的技術によって行われた。その培養物は、牛肉エキス寒天(BEA)の環境中、37℃にて24時間以内に得られた。次いで、脱イオン水中における細胞の均質懸濁液を調製した。調製された構造物を、懸濁液1mlの量で、乾燥BEA環境のペトリ皿に運び、濃密菌叢による培養物の発芽のため、無菌スパチュラによって、環境表面に均一に割り当てた。次いで、例1〜3に従って得られたサンプル薄片(1×1)(cm)を、無菌ピンセットによって、寒天表面に密に適用した。サンプル薄片は、互いから2cmの距離で且つ皿の中心から約2.5cmの距離に置かれた。サンプルが蒔かれた皿をサーモスタットで37℃に制御した。各サンプル薄片の抗菌性は、試験培養物の増殖の濃密菌叢バックグランドに正確に割り当てられた微生物菌株の増殖阻害領域の形成によって決定された。試験サンプルが水による洗浄(5回)を受けて、抗菌性の決定を行った。これら洗浄は、整形外科製品の操作条件のシミュレーションとして選択された。
【0050】
スタフィロコッカス・アウレウスの増殖は、5回の洗浄後の例1〜2に従うサンプルについて、例3に従うサンプルのものと比べて30%低いという結果となった。
【0051】
また、例1及び2の抗菌性の推定は、例1によって得られた消毒被膜の抗菌性が、例2によって得られた被膜の同様な特性と比較して効果的であることを示した。これは、抗菌活性の広域スペクトルを持つ銀含有調製物についての既知データを裏付ける。同時に、所定の製品の製造費用は、不適当なものを大幅に増加させる。
【0052】
それ故に、実施した研究は、全体として、分子量2・10〜6・10の有機ケイ素ゴムで作られた製品の表面を消毒処理するための本発明の方法の効率を証明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子量2・10〜6・10の有機ケイ素ゴムで作られた製品の表面を消毒処理するための方法であって、前記方法が、前記製品の表面における消毒被膜の2段階形成にあり:
(a)第1段階では、酸素(O)装填量0.8〜7l/h、作業圧力(70〜135)±5Paの低温酸素プラズマ中、周波数13.56MHz及び容量20〜40Wtの高周波数電磁放射での、(2〜3)±1分間の処理によって、前記表面を改質し;
(b)第2段階では、
・殺生物剤であって、銀又は/及び銅イオンが挿入され、粒度が150ナノメートル以下であるベントナイトナノ分散粉末である殺生物剤と;
・フルオロアクリルポリマー結合剤であって、ペルフルオロアルキルエーテルの混合物中に溶解している結合剤と
を含有する消毒調製物を、改質した表面に塗布して、該表面を処理することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ペルフルオロアルキルエーテルが、ペルフルオロイソブチルメチルエーテル及びペルフルオロブチルメチルエーテルの中から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結合剤が、wt%部で表された以下に示す成分を含有する溶液である、請求項1に記載の方法。
フルオロアクリルポリマー 1〜3
ペルフルオロイソブチルメチルエーテル 20〜80
ペルフルオロブチルメチルエーテル 20〜80
【請求項4】
前記消毒調製物は、殺生物剤:溶媒中におけるポリマー結合剤が1:(50〜100)重量部である成分比を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記殺生物剤が、銀及び銅イオンが挿入されたベントナイトナノ分散粉末の混合物であり、銀イオンが挿入されたベントナイト:銅イオンが挿入されたベントナイトの比が1:(0.5〜1)重量部である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2013−513644(P2013−513644A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543685(P2012−543685)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069632
【国際公開番号】WO2011/073193
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(511275005)クローズド ストック カンパニー“インスティテュート オブ アプライド ナノテクノロジー” (4)
【出願人】(512075268)
【出願人】(511275027)シブ ラボラトリーズ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】