説明

シリコーンゴム組成物

【課題】高誘電性を示し、耐候性、絶縁抵抗(1012Ω・cm以上)に優れると共に、低比重かつ引張り強度などの物性に優れるシリコーンゴム組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリオルガノシロキサン100重量部
(B)シリカ被覆処理60%以上且つその被覆処理によるシリカ含有量が25重量%以上の導電性カーボンブラック5〜100重量部、
及び
(C)硬化剤;硬化必要量
を含有するシリコーンゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力、通信機器などに使用されるシリコーンゴム組成物に係り、比誘電率が5〜100かつ誘電正接は0.1以下である高誘電率で低誘電損失の絶縁性シリコーンゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高誘電性を示す材料は電力用途や通信機器用途などに使われている。例えば、電力用途では、電力ケーブル接続部や終端部の電界緩和材として高誘電性を示す材料が使われている。また、通信機器用途では集積回路におけるデータエラーの原因として、電気的ノイズの問題があり、この電気的ノイズの影響を抑えるために、プリント配線板に容量の大きなキャパシタを設けて電気的ノイズを取り除く方法が知られているが、高誘電性を示す材料をキャパシタの素材とすることで、電子部品の小型化、高機能化を実現している。
【0003】
これら用途に用られるベース材料は、EPDMなどに代表される有機ゴムやエポキシ樹脂に代表される熱硬化性樹脂であることが知られている。また、シリコーンゴムベースに高誘電性物質を配合した高誘電性シリコーンゴムも開発されている。
【0004】
シリコーンゴムを高誘電化するために配合される高誘電性物質としては金属酸化物、チタン酸バリウムをはじめとした誘電性セラミックス、カーボンブラックなどが知られており、従来より、以下のような特許が公開されている。前者としては、導電性酸化亜鉛にアルミをドープしたものをはじめとする複酸化物(特許文献1;特開2003−331653号公報)、チタン酸バリウムをはじめとした誘電性セラミックスを配合したもの(特許文献2;特開2001−266680号公報)などである。しかし、これらの高誘電性物質は高充填しなければ高誘電を達成できないため、そのゴム組成物が高比重となり製品重量が著しく重く扱いにくいこと、高誘電率化に伴う誘電正接の上昇により発生する電界ストレス由来の信頼性低下、さらに高誘電性物質が高価であることから商用には向かないなどゴム材料として課題がある。
【0005】
また、カーボンブラックを配合した高誘電性ゴム材料もある(特許文献3;特開平8−22716号公報)が、高誘電率達成のためにはある程度の高い充填量が必要となり、このためその電気的性質は十分な絶縁性を維持できず、導電性または半導電性となってしまう欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−331653号公報
【特許文献2】特開2001−266680号公報
【特許文献3】特開平8−22716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
導電性酸化亜鉛にアルミをドープしたものをはじめとする複酸化物を用いた特開2003−331653号公報(特許文献1)の手法によれば、耐候性は改善できるものの、高比重であり、引張り強度などの機械特性が低下する欠点がある。
【0008】
チタン酸バリウムをはじめとした誘電性セラミックスを配合した特開2001−266680号公報(特許文献2)の手法によれば、高比重であり、コスト面、物性面で欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、高誘電性、低誘電正接を示し、耐候性、絶縁性(1012Ω・cm以上)に優れると共に、低比重かつ引張り強度などの物性に優れるシリコーンゴム組成物の提供を目的とする。
【0010】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、シリカ被覆処理60%以上且つその被覆処理によるシリカ含有量が25重量%以上の導電性カーボンブラックを配合することにより、上記目的の達成された組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明1は、
(A)ポリオルガノシロキサン100重量部
(B)シリカ被覆処理60%以上且つその被覆処理によるシリカ含有量が25重量%以上の導電性カーボンブラック5〜100重量部、
及び
(C)硬化剤;硬化必要量
を含有するシリコーンゴム組成物である。
また、本発明3は、電力機器用または通信機器用である上記シリコーンゴム組成物、本発明4は、成形、硬化によりゴム硬化物(ゴムストレスコーン)とする上記シリコーンゴム組成物、または本発明6は、成形、硬化によりキャパシタ材料とする上記シリコーンゴム組成物である。
【0012】
本発明の好ましい態様5は、ゴム硬化物(ゴムストレスコーン)が電力ケーブル部材用である上記シリコーンゴム組成物であり、本発明の好ましい態様7は、キャパシタ材料が電子部品用である上記シリコーンゴム組成物であり、本発明の好ましい態様8は、高誘電性を示し、耐候性、絶縁抵抗(1012Ω・cm以上)に優れ、低比重かつ引張り強度に優れる上記シリコーンゴム組成物であり、または、本発明の好ましい態様9は、比誘電率5〜100かつ誘電損失0.1以下である高誘電率で低誘電損失である上記シリコーンゴム組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の(A)成分は、平均単位式:RaSiO(4-a)/2(式中、R は置換または非置換の一価の炭化水素基を、aは1.98〜2.02の範囲の数を示す)で示されるポリオルガノシロキサンである。主として直鎖状のものが用いられるが、その一部が分岐鎖状、三次元構造を形成していてもよく、また単独重合体、共重合体またはそれらの混合物であってもよい。このポリオルガノシロキサンのケイ素原子に結合する置換または非置換の一価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基のようなアルキル基;ビニル基、アリル基、ブタジエニル基のようなアルケニル基;フェニル基、キセニル基、ナフチル基のようなアリール基;シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基;シクロヘキセニル基のようなシクロアルヤニル基;ベンジル基のようなアラルキル基;トリル基、キシリル基のようなアルキルアリール基等が例示される。これらのケイ素原子に結合する一価の炭化水素基としては、主にメチル基が用いられるが、例えばビニル基ならば機械的強度と架橋性の点から、有機基の全数に対して0〜5%程度含有していてもよく、特に0.05〜3%の範囲が好ましい。なお、ポリオルガノシロキサンの分子鎖末端としては、水酸基、アルコキシ基またはトリオルガノシリル基が例示され、トリオルガノシリル基がより好ましい。このトリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、メチルフェニルビニルシリル基、メチルジフェニルシリル基等が例示される。上記(A)成分の平均重合度は特に制限されないが、一般的に100〜20000程度の範囲である。好ましくは4000〜20000程度の範囲である。
【0014】
また、本発明では、(A)成分としてフルオロアルキル基含有ポリオルガノシロキサンを用いることも好ましい。フルオロシリコーンの組成については、3・3・3−トリフルオロプロピル基を全有機基の5〜50モル%含み、また、架橋を有効に行うためにビニル基を0.01〜2モル%含んでいる。3・3・3−トリフルオロプロピル基の割合がこの範囲に限られるのは、これより少ないと、フルオロシリコーン組成物の目的である、ジメチルシリコーンゴムに比べ優れた誘電特性が得られず、これより多いと作業性が低下し、さらに、シリコーンゴム特有の他の性質、すなわち耐熱性、耐候性などが低下するからである。また、ビニル基が0.01モル%未満では良好な加硫が行われず、2モル%より多いと熱安定性が得られない。これらの2種以外のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、クロロフェニル基などの置換炭化水素基などが例示されるが、合成の容易さ、組成物の作業性、耐熱性からメチル基が好ましい。このような有機基の量はケイ素原子1個あたり1.98〜2.02個でなければならない。これは、これより少ないと良好なゴム状弾性体が得られないからである。若干の分岐が含まれてもさしつかえないが、一般には(A)として直鎖状のポリオルガノシロキサンが用いられる。分子鎖末端はトリオルガノシリル基、シラノール基のいずれで封鎖されていてもよい。重合度は100以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、2000〜10000の範囲が特に好ましい。
【0015】
本発明で使用する(B)成分は、シリカ被覆処理60%以上且つその被覆処理によるシリカ含有量が25重量%以上の導電性カーボンブラックである。
このようなシリカ被覆処理導電性カーボンブラックは、カーボンブラックの表面にシリカが化学吸着等により固定されたものであり、カーボンブラックとシリカの2相体構造である。
【0016】
このようなシリカ被覆処理導電性カーボンブラックは、WO 96/37547に示される気相中での方法により製造することができる。また特開昭63−63755では水中において作用させることによりカーボンブラックの表面にシリカを沈積する方法が提案されている。これら気相、液相における種々の方法により、シリカ被覆カーボンブラックを製造することができる。
【0017】
使用される導電性カーボンブラックは、特に制限されるものではなく、例えば、アセチレンブラック、コンダクティブファーネスブラック、コンダクティブチャンネルブラックなど、この種の組成物に一般に使用されるものの中から任意に選択されてよい。アセチレンブラックとしては、デンカブラック(電気化学工業(株)製 商品名)、シャウニガンアセチレンブラック(シャウニガンケミカル社製 商品名)などが例示される。コンダクティブファーネスブラックとしては、コンチネックスCF,コンチネックスSCF(以上、コンチネンタルカーボン社製 商品名)、バルカンC、バルカンSC、バルカンP、バルカンXC−72(以上、キャボット社製 商品名)、旭HS-500(旭カーボン(株)社製 商品名)などが例示される。コンダクティブチャンネルブラックとしては、コウラックスL(デグッサ社製 商品名)などが例示される。また、ファーネスブラックの一種であるケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC-600JD(以上、ケッチェンブラックインターナショナル社製 商品名)を使用することもできる。
【0018】
その他、キャボット社などより市販されているシリカ被覆カーボンを使用することもできる。
【0019】
上記シリコーンゴム組成物に配合されるシリカ被覆処理導電性カーボンブラック中のシリカ(SiO)被覆処理の比率は、60%以上であることが、本目的を達成するためには必要である。
【0020】
尚、今回提案するシリカ被覆処理の比率は次の方法で計算することができる。
【0021】
被覆処理した導電性カーボンブラックの粒子全体の比表面積をSTSA法(JIS6217-7)により求める。さらにヨウ素吸着量(JIS K6217-2)から導電性カーボンブラックがシリカに被覆されていない比表面積を求め、その差よりシリカ被覆処理の比率を計算できる。つまりは導電性カーボンブラックのシリカ被覆処理の比率={(全体の比表面積)−(導電性カーボンブラック露出比表面積)}/(全体の比表面積)でシリカ被覆処理した導電性カーボンブラックの比率を求めることができる。
【0022】
また、そのシリカ被覆処理の比率は60%以上であり、好ましくは60〜95%である。60%未満であるとその絶縁性が保てなくなり、また、95%を超えると誘電特性が低下する。
【0023】
シリカ被覆処理導電性カーボンブラックにおけるシリカ含有量はシリカ被覆処理カーボンの25〜50重量%が好ましい。25重量%未満であるとシリカ被覆率を60%以上に保つこと難しく、50重量%を超えるとシリカ被覆処理の比率が95%以下であることが困難である。
【0024】
また(B)成分のシリカ被覆処理導電性カーボンブラックの配合量は、本組成物からなる硬化物の比誘電率が5〜100となる範囲ならよいが、好ましくは(A)成分100重量部に対して5〜100重量部であり、特に好ましくは10〜80重量部である。(B)成分が過少であると目的としている高誘電率特性が得られず、また過剰に配合量すると、組成物を硬化して得られる硬化ゴムのゴム強度やゴム弾性が低下する。
ここで、シリカ被覆処理カーボンブラックをゴムに充填した例としては、タイヤ用ゴムの充填剤としての使用(WO96/37547)などがある。しかし、シリカ処理カーボンブラックによるゴム物理特性や動的ヒステリシスと耐摩耗性の改善などが目的であり、また、カーボンブラックのシリカ被覆処理の比率や配合量なども限定的であり、本発明の目的である高誘電率、低誘電正接で且つ絶縁性に優れるなどの記述は一切されていない。
また、導電性ロール(特開2001−263333号公報)では、シリカ被覆処理カーボンブラックと導電性カーボンブラックを併用した液状シリコーンゴムからなる導電性ロールが提案されているものの、導電性に関する内容であるため、本発明の目的である高誘電率、低誘電正接で且つ絶縁性に優れることとは内容が全く異なる。
【0025】
(C)成分の硬化剤としては(A)成分を硬化させ得るものであれば、特に限定されないが、一般的にシリコーンゴムの硬化剤として公知の有機過酸化物触媒、ならびに白金系触媒とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの組合せが好ましい。それぞれ、硬化に有効な適切な量で用いられる。
【0026】
有機過酸化物触媒としては、例えばベンゾイルパ−オキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパ−オキサイド、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパ−オキサイド、2,4−ジクミルパ−オキサイド、2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパ−オキサイド、t−ブチルパ−ベンゾエ−トなどが挙げられる。有機過酸化物触媒の添加量は一般的に(A)成分100重量部に対して0.1〜5重量部とすればよい。
【0027】
硬化剤として白金系触媒とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの組合せを使用する場合には、(A)成分のオルガノポリシロキサンはけい素原子に結合した脂肪族不飽和結合、特にビニル基、アリル基等のアルケニル基を分子中に少なくとも2個有する必要がある。
【0028】
白金系触媒としては公知のものが使用でき、具体的には白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコ−ル化合物、アルデヒド化合物、エ−テル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックスなどが例示される。白金系触媒の添加は有効量であり、具体的には、(A)成分のオルガノポリシロキサンに対し一般的には、白金原子として1〜2,000ppmの範囲とすることが望ましい。
【0029】
オルガノハイドロジエンポリシロキサンは直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよいが重合度が300以下のものが好ましく、ジメチルハイドロジエンシリル基で末端が封鎖されたジオルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位と、メチルハイドロジエンシロキサン単位と、末端を停止するトリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジエンシロキサン単位(H(CHSiO0.5単位)とSiO単位とからなる低粘度流体である共重合体、1,3,5,7−テトラハイドロジエン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジエン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジエン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示される。
【0030】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加も有効量であり、具体的には、(A)成分のオルガノポリシロキサンが有するアルケニル基1個当たり、水素原子数が 0.5〜4個、特に1〜3個となるような量で使用することが好ましい。
【0031】
本発明の組成物には、上記必須成分に加え、他の成分を本発明の効果を妨げない範囲で、補強性シリカ微粉末等の充填剤、着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤、反応制御剤、離型剤、充填剤用分散剤などを添加することもできる。この充填剤用分散剤として使用されるジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子シロキサンなどは本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
【0032】
本発明のシリコ−ンゴム組成物は、金型加圧成形、押し出し成形などの種々の成形法によって電力ケーブル接続部用ゴム部材、即ち、ゴムストレスコーンに成型、硬化することことができる。こうして得られたゴム硬化物(ゴムストレスコーン)、即ち、電力ケーブル接続部用ゴム部材を使用して電力ケーブルの接続を行う。具体的には、該ゴムストレスコーンは電力ケーブルの中間接続部や端末接続部において、例えば接続治具に電界緩和層として用いられる。
また、成型品をキャパシタ材料として用いると高誘電材料として電子部品の小型化、高機能化を実現できる。
【実施例】
【0033】
次に本発明の実施例について説明するが、本発明は、下記実施例に制限されるものではない。また、例中における部は、重量部を表す。
(調製例)
コンパウンドA-1
メチルビニルシロキサン単位を0.13モル%含有するポリジメチルシロキサン(重合度約5500)100部、分散剤としてシラノール基含有ジメチルポリシロキサン(重合度n=25)2部、シラノール基含有ジメチルポリシロキサン(重合度n=10)3部、シリカ被覆処理65%(シリカ含有量35重量%)カーボン((株)キャボット社製TPX1169)63部を、ニーダーを用いて均一に混練した後、これを150℃の温度で2時間処理した。
コンパウンドA-2
シリカ被覆カーボンとしてシリカ被覆処理85%(シリカ含有量48重%)カーボン((株)キャボット社製TPX1181)を用いた以外はコンパウンドA-1と同様にしてコンパウンドA-2を得た。
コンパウンドA-3
シリカ被覆カーボンとしてシリカ被覆処理55%(シリカ含有量22重%)カーボン((株)キャボット社製TPX1144)を用いた以外はコンパウンドA-1と同様にしてコンパウンドA-3を得た。
コンパウンドA-4
両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキシ単位99.5モル%、メチルビニルシロキシ単位 0.5モル%からなり、重合度が3000であるポリオルガノシロキサン 100部、分散剤として粘度30cSt のα,ω−ジヒドロキシ(γ−トリフルオロプロピル)メチルシロキサンオリゴマー2部用いた以外はコンパウンドA-1と同様にしてコンパウンドA-4を得た。
コンパウンドB
メチルビニルシロキサン単位を0.13モル%含有するポリジメチルシロキサン(重合度約5500)100部、分散剤としてシラノール基含有ジメチルポリシロキサン(重合度n=25)2.5部、及びシリカ(Aerosil 200 、日本アエロジル(株)製)33部を、ニーダーを用いて均一に混練した後、これを150℃の温度で2時間処理した。
コンパウンドC
メチルビニルシロキサン単位を0.13モル%含有するポリジメチルシロキサン(重合度約5500)100部、分散剤としてシラノール基含有ジメチルポリシロキサン(重合度n=25)1部、シラノール基含有ジメチルポリシロキサン(重合度n=10)1部、シリカ(Aerosil 200 、日本アエロジル(株)製)15部及びチタン酸バリウム(日本化学工業(株)社製 パルセラムBT-UP2 )315部を、ニーダーを用いて均一に混練した後、これを150℃の温度で2時間処理した。
コンパウンドD
メチルビニルシロキサン単位を0.13モル%含有するポリジメチルシロキサン(重合度約5500)100部、分散剤としてシラノール基含有ジメチルポリシロキサン(重合度n=25)2部、シラノール基含有ジメチルポリシロキサン(重合度n=10)3部、導電カーボン(デンカブラックHS-100、電気化学工業(株)製)35部及びシリカ(Aerosil 200 、日本アエロジル(株)製)28部を、ニーダーを用いて均一に混練した後、これを150℃の温度で2時間処理した。
【0034】
実施例1
調製例で調製したコンパウンドA-1 90部にコンパウンドB10部、硬化剤として2,5−ジメチル−2,5 −ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン2部を混練りして組成物を得、これを用いて130mm角、2mm厚、1mm厚それぞれのシート状弾性体に加熱、加圧下で成型した。成型は170℃で10分間、成型圧力は10 MPaであった。その後、2次架橋(ポストキュアー)を200℃で4時間行ない、物理特性用、電気特性用にそれぞれサンプルを作成した。
実施例2〜5、比較例1〜3
表1に示す種類及び量のコンパウンドを用いた以外は実施例1と同様にして物理特性用、電気特性用にそれぞれサンプルを作製した。
比較例4
一般的なシリコーンゴムの電気特性を確認する目的で、コンパウンドBを用いた以外は実施例1と同様にして電気特性用のサンプルを作製した。比誘電率は2.8、誘電正接は0.003、体積抵抗率は1E+16Ω・cmであった。
【0035】
これらのサンプルについての各評価を行った。評価方法は以下の通りである。結果を表1に示す。
<物性>
硬さはJIS K 6249に準拠して測定した。
【0036】
引張強さはJIS K 6249に準拠して測定した。
【0037】
切断時伸びはJIS K 6249に準拠して測定した。
<体積抵抗率>
(株)アドバンテスト製「デジタル超高抵抗/微少電流計 R8340」を用いてJIS K 6249に従い、測定を行った。
<比誘電率の測定>
上記の実施例及び比較例で得られた比誘電率測定用サンプルについて、安藤電気(株)製誘電体損自動測定装置(機器名 TR-1100)を使用して比誘電率を測定した。電極は、主電極18mmφ、ガード電極39mmφを使用し周波数60Hzで測定を行なった。
【0038】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオルガノシロキサン100重量部
(B)シリカ被覆処理60%以上且つその被覆処理によるシリカ含有量が25重量%以上の導電性カーボンブラック5〜100重量部、
及び
(C)硬化剤;硬化必要量
を含有するシリコーンゴム組成物。
【請求項2】
(A)ポリオルガノシロキサンがフルオロアルキル基含有ポリオルガノシロキサンである請求項1記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項3】
電力機器用または通信機器用である請求項1記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項4】
成形、硬化によりゴム硬化物(ゴムストレスコーン)とする請求項1記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項5】
ゴム硬化物(ゴムストレスコーン)が電力ケーブル部材用である請求項4記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項6】
成形、硬化によりキャパシタ材料とする請求項1記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項7】
キャパシタ材料が電子部品用である請求項6記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項8】
高誘電性を示し、耐候性、絶縁抵抗(1012Ω・cm以上)に優れ、低比重かつ引張り強度に優れる請求項3から7のいずれに記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項9】
比誘電率5〜100かつ誘電損失0.1以下である高誘電率で低誘電損失である請求項3から7のいずれに記載のシリコーンゴム組成物。

【公開番号】特開2011−116955(P2011−116955A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238267(P2010−238267)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000221111)モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社 (257)
【Fターム(参考)】