説明

シリコーンゴム製品を製造する方法、及びその方法によって得られる製品

本発明は、シリコーンゴム製品を製造する方法に関する。同方法は、i)射出成形を用いたシリコーンゴム製品の成形、及びii)射出成形品の冷却、の段階を含み、ここで冷却は、射出成形品を反応装置中に挿入すること、及び10バール(10×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間の圧力で二酸化炭素含有溶媒を用いて、射出成形品に抽出処理を施すことを含み、ここで、その製品は抽出段階において60℃より低い初期温度を有し、抽出時間の少なくとも一部分において、その製品は二酸化炭素が液状であるように25℃より低い温度及び圧力を有する。反応装置は、冷却の間、回転させることが好ましい。同方法は、低温及び低圧条件下においてシリコーン製品の高効率的かつ迅速な冷却方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンゴム製品、例えば高品質が重要である医療製品またはその他のシリコーン製品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
シリコーンゴムは、生理的不活性(無毒性)や耐候性、耐久性、放出特性、及び耐熱性を含めたその優れた特性のために、医療機器や、建築材料、電気・電子部品、自動車部品、及びビジネス機器部品等の多様な分野において使用されてきた。
【0003】
近年、シリコーンゴム製品は、多種の出発材料及び硬化システムを用いる多くの方法で製造され得る。特許文献1の明細書は、ヒドロシリル化を経て硬化するシリコーンゴム組成物を開示している。この反応型は付加的硬化型として知られている。特許文献2の明細書は、液状シリコーンゴム組成物の製品を開示している。特許文献3の明細書及び特許文献4の明細書は、熱のみによって容易に硬化し、その結果きわめて高い生成収率に繋がる単一組成のシリコーンゴム混合物(RTV1)を開示している。また、2成分シリコーンゴムもきわめてよく知られている。
【0004】
通常、シリコーンゴム製品を製造する方法は、熱を用いる必要があるかあるいは熱を用いて促進される最も多用される工程である組成物の硬化段階を含む。
多くの用途によって、硬化段階が終了した後、望ましくないかつしばしば悪臭を伴う残渣を除去するために、熱を用いて硬化されたシリコーンゴム製品を処理する必要があることが見出された。この熱処理工程は、数時間に至るまでかなりの時間を消費することがしばしばあり得、かつ大きな生成空間及び加熱室を必要とする。
【0005】
特にLSRシリコーンゴム製品においては、医学的用途において使用されており、シリコーンオイルの残渣量を減少させるために、その製品を後熱処理あるいは後硬化処理とも言われる後加硫処理を施すことが不可欠であることが見出された。従って、LSR製品は、空気流または酸素流の下、例えば200℃で2時間またはさらにそれ以上の数時間の熱処理を施されている。
(本発明の要旨)
本発明の目的は、シリコーン製品を製造する改良された方法を提供することにあり、この方法において、後熱処理が低減されるかあるいは削除され得る。
【0006】
本発明によって提供された方法は、先行技術の方法よりはるかに早く、そしてさらにほとんどの条件下において必要とする作業空間が小さくなる。
また、先行技術の方法を用いて製造されたシリコーン製品と比べて、望ましくない残渣量がきわめて少なくなるシリコーン製品が本発明による方法によって製造される。
【0007】
従って、本発明の発明者は、シリコーンゴム製品を冷却し、二酸化炭素含有溶媒を用いてシリコーン材料を抽出することよりも、より一層効果的かつ早いシリコーンゴム製品の製造方法が提供され得ることを見出した。
【0008】
本発明による方法は、特許請求の範囲において定義されている。また、本発明は、その方法を用いて入手可能なシリコーンゴム製品を含む。
【特許文献1】米国特許第5519082号明細書
【特許文献2】米国特許第5973030号明細書
【特許文献3】欧州特許第384609号明細書
【特許文献4】米国特許第6020449号明細書
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
用語「シリコーンゴム製品」は、少なくともあるシリコーン材料を有する全ての製品を含むことを意図されている。従ってまた、シリコーンゴム製品は、その組成物材料の一つが、シリコーンゴム材料、例えば、米国特許第6800372号または米国特許第6613440号において記載されているようなシリコーンゴムに完全に結合された熱可塑性樹脂の組成物を含む。しかし、この明細書及び特許請求の範囲の記載において使用されるシリコーンゴム製品の重量は、その組成物材料のシリコーンゴム部分の重量しか含んでいない。
【0010】
本発明によれば、シリコーンゴム製品は少なくとも一つの非塗装表面を有することが好ましい。このことは、シリコーンゴムの少なくとも一つの表面領域が、その表面に直接結合された(使用中に除去されるべき梱包材料を含まない)塗料またはその他の材料で塗装されていないことを意味している。
【0011】
一実施形態において、シリコーンゴム製品は少なくとも冷却の間に、少なくとも一つの非塗装表面を有する。冷却後、この非塗装表面は被覆されるかまたは塗装される。一実施形態において、この非塗装表面は潜在的な梱包材料を除いて非塗装のままである。従って、本発明によって製造されたシリコーン製品の表面は極めて清潔であり、そしてシリコーン製品が体内に対して、例えば皮膚あるいは粘膜に対して使用された場合、体内に炎症を引き起こす残渣オイルを発散させないことが見出されている。
【0012】
原則として、シリコーン製品は、任意の型の製品、例えば、チューブ、カテーテル、ケーブル絶縁、キーパッド、ガスケット、乳児のケア及び授乳(おしゃぶり、瓶の栓)のための部品、自動車、電気通信及び医療分野において使用されるための部品、フィルム、コンタクトレンズ等である。特に、本発明による方法は、高品質が要求されるシリコーンゴム製品、例えば、FDA(米食品医薬品局)、UBA(ドイツ連邦環境庁)、日本薬局方等の政府規制並びに医学的用途、インプラント用途、直接及び間接食品接触用途、及び使い捨て用途のために設計されたシリコーン製品のための資材要求事項に関するその他の関連規則において承認されるような製品を製造するために有用である。
【0013】
さらに、本発明の方法は、例えば、コンタクトレンズ及び同様の製品等の薄壁の材料のような脆弱な形状のために、これまで鋳造によってのみ製造されていたシリコーン製品の製造において有用であることが見出された。冷却がそのような低温で効果的に行われるので、脆弱な形状を有する製品は、形状を変えることなく抽出処理に耐えることができる。
【0014】
本発明による方法は、
i)射出成形によるシリコーンゴム製品の成型、及び
ii)射出成形品の冷却
の段階を含み、
ここで、冷却は、射出成形品を反応装置中に送入すること、及び10バール(10×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間の圧力で二酸化炭素含有溶媒を用いて、射出成形品に抽出処理を施すことを含み、ここで、その製品は抽出段階において60℃より低い初期温度を有し、そして抽出時間の少なくとも一部分において、その製品は二酸化炭素が液状であるように25℃より低い温度及び10バール(10×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間の圧力を有する。
【0015】
一実施形態において、初期温度は30℃またはそれより低い温度である。
射出成形に加えて、成型の段階は、他の操作段階を含む。一実施形態において、成型の段階は、その製品に、その製品の材料から少なくとも部分的に延出するスリットまたは孔を提供することを含む。好ましくは、このスリットまたは孔は、射出成形段階において提供されるかあるいは一実施形態において、例えば切削工具等を用いて射出成形段階後に提供される。
【0016】
その製品が例えば乳児の授乳道具におけるスリットまたは孔等のスリットまたは孔を有する製品である場合、このスリットまたは孔が壊れたり閉じたりしない低温でシリコーン製品が処理されるような条件下で冷却が行われるために、本発明の方法は、このスリットまたは孔が冷却の前に提供され得るという付加的な利点を有する。
【0017】
温度は、60℃より低い温度、例えば50度より低い温度、例えば25℃より低い温度、例えば5℃と22℃との間の温度、例えば8℃と20℃との間の温度に維持されることが好ましい。一実施形態において、冷却中の温度は、冷却時間の大部分の間8℃と15℃との間である。
【0018】
特に、温度が約25℃より低く維持されることが望ましく、これによって最適な抽出が行われ、そしてさらに、製品が中間冷却の必要がなく抽出直後に梱包され得る。このことは、本明細書中において後述されるように、製造時間に関してのみならず製品の品質に関しても有用である。
【0019】
一実施形態において、冷却段階は比較的高温で開始され、製品は射出成形機から冷却反応装置まで直接移される。初期温度は60℃までである。製品が冷却反応装置に移された後、温度は25℃より低い温度で冷却段階を終了するように、冷却段階の間降下させられる。温度降下は、能動冷却によってあるいは受動冷却によって提供される。
【0020】
一実施形態において、冷却段階は50℃より高い温度、例えば60℃付近の温度で開始される。
一実施形態において、温度は冷却段階中、50℃まで、例えば25℃まで、例えば1℃と50℃との間、例えば5℃と25℃との間に降下する。
【0021】
一実施形態において、二酸化炭素含有溶媒は、冷却中に気体から液状まで変化する。
一実施形態において、冷却は、5バール(5×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間の圧力下、及び0℃と60℃の間の温度下で、圧力反応装置中で二酸化炭素含有溶媒を用いた抽出処理を、シリコーンゴム製品に施すことを含む。
【0022】
本発明の一つの好ましい形態において、抽出処理は、シリコーンゴム製品に、液状の二酸化炭素含有溶媒を用いた抽出処理を施すことを含む。このように、液状の二酸化炭素含有溶媒を用いた抽出処理を行うことは、圧力が比較的低く維持されている場合でも、極めて有効であることが見出されたことは驚くべきことである。従って、本発明によれば、抽出処理は5バール(5×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間の圧力、例えば10バール(10×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間、好ましくは20バール(20×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間、例えば25バール(25×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間、より好ましくは30バール(30×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間の圧力で行われることが好ましい。この比較的低圧力を用いることによって、オイル残渣の抽出が、他の抽出方法、例えば超臨界溶媒を用いる方法に比べて、きわめて効果的かつきわめて早いこと、そして同時に、装置及び特に圧力反応装置に対する要求が、超臨界抽出のための圧力反応装置に関連したコストに比べて大いに低減されていることが見出されたことは驚くべきことである。
【0023】
一実施形態において、圧力は45バール(45×10Pa)付近またはそれより低い圧力に維持されており、実際に、特に温度が抽出時間のほとんどにおいて8℃〜15℃の間に維持されている場合に、早くて効果的な抽出にとって十分な圧力であることが示された。
【0024】
従って、一実施形態において、冷却段階の全体に渡って圧力が45バール(45×10Pa)より低く維持されること、好ましくは30バール〜35バール(30×10Pa〜35×10Pa)付近で維持されることが好ましい。
【0025】
一実施形態において、圧力は45バール(45×10Pa)プラスマイナス5バール(5×10Pa)付近で維持されている。
圧力は、例えば印加された圧力が10バール(10×10Pa)、例えば5バール(5×10Pa)まで、例えば2バール(2×10Pa)までの印加の変化を有するように、抽出の間に印加される。
【0026】
加圧は抽出を促進させる。しかし、これによってシリコーンゴム材料内部の損傷が生じるため、材料の損傷を避けるために、加圧は早すぎるべきではない。
一実施形態において、印加された圧力は、1分間当たり10パルス、例えば1分間当たり2パルスの周波数を有することが好ましく、ここで、1パルスは一つの最大圧力(高圧力ピーク)から一つの最小圧力(低圧力ピーク)までの減少そして一つの最大圧力までの復帰を含む。
【0027】
抽出処理は、少なくとも0.5分間、例えば少なくとも1分間、例えば少なくとも2分間、例えば少なくとも4分間、例えば少なくとも10分間行われることが好ましい。
最適抽出処理時間は、その製造方法を含めてシリコーンゴムの型式に依存する。しかし、最適抽出処理時間は、シリコーンゴム材料の形状及び厚さにより一層依存する。
【0028】
異なる形状のシリコーンゴム製品に関して行われた試験によって、製品の最適抽出処理時間は、ミリメータで表わした表面への最大最短距離(MSDS)当たり少なくとも0.1分間、二酸化炭素含有溶媒を用いた処理を、シリコーンゴム製品に施すことである。この関係において、用語「MSDS」は、製品の材料の任意の点に対する表面点までの最大最短距離を意味する。抽出処理は、MSDS当たり少なくとも0.3分間、例えば少なくとも1.0分間、例えば少なくとも1.5分間、例えば少なくとも2分間、液状の二酸化炭素含有溶媒を用いた処理を、製品に施すことを含むことが好ましい。
【0029】
一実施形態において、本発明の方法は、冷却中に製品を移動させる段階を含む。この移動は、例えば加熱室内部で機械的攪拌システムを用いることによってあるいは加熱室自体(タンブラー)を回転させることによって行われる。
【0030】
一実施形態において、タンブラーとして形成された反応室は、1〜50Hz(1Hzは2.4rpm)の割合で、例えば抽出中1〜10Hzの割合で、回転させられる。
一実施形態において、タンブラー効果を改良するために、タンブラーの内側は壁に取付けられた「翼」とも言われている突出部を含む。そのような翼によって、製品にその液体を混合することに起因して抽出の効果がより一層改良される。
【0031】
本発明の一つの好ましい形態において、製造物は梱包されている。すなわち、この方法は、
i)シリコーンゴム製品の成形
ii)射出成形品の冷却、及び
iii)梱包材料への射出成形品の梱包
の段階を含む。
【0032】
通常、梱包材料は、シリコーンオイル残渣に対するバリアを提供する。換言すれば、シリコーンオイルは梱包されていなければそれほど早く梱包材料の表面から遊離することができない。通常、先行技術のシリコーンゴム材料に対して、シリコーンゴム材料が梱包されていない場合、特にシリコーンゴム材料が本発明のように十分に熱処理されていないかまたは冷却されていない場合、シリコーンオイルのいくらかはシリコーンゴム材料を介して移動して、製造後数ヵ月後、例えば12ヶ月またはそれ以上の後、環境に向けて遊離する。このシリコーンゴム材料からの緩やかな移動/蒸発は、シリコーンゴム材料に不愉快な臭いをもたらし、さらに、シリコーンゴム材料が人体と接触して使用される場合、この緩やかな移動/蒸発は、炎症、湿疹、悪臭または同様の不愉快な効果を生じる。
【0033】
従って、本発明による方法は、梱包されているシリコーンゴム製品の製造にとって特に有用である。
一実施形態において、梱包段階において使用される梱包材料は、24時間当たり10g/m、例えば24時間当たり5g/m、例えば24時間当たり1g/m、例えば24時間当たり0.1g/mのシリコーンオイルヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)の浸透性を有する。幾つかの製品については、梱包材料は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)に対して不浸透性であることが望ましい。
【0034】
一実施形態において、本発明の方法は、24時間当たり100g/m、例えば24時間当たり50g/m、例えば24時間当たり25g/m、例えば24時間当たり10g/mの水蒸気浸透率(DIN53122)を有する梱包材料中にシリコーンゴム製品を梱包することを含む。幾つかのシリコーンゴム製品にとっては、湿度レベルが低く維持されかつその製品が使用前に湿気に対して保護されることが望ましい。そのような状況において、梱包材料がはるかに低い水蒸気浸透率、例えば24時間当たり1g/mより低い水蒸気浸透率、例えば24時間当たり1mg/mより低い水蒸気浸透率を有することが望ましい。
【0035】
一実施形態において、本発明の方法は、細菌及びウイルスに対してできる限り不浸透性である梱包材料中にシリコーンゴム製品を梱包することを含む。特に、この方法は、医学的用途、例えばカテーテル、コンタクトレンズ及び育児(おしゃぶり、瓶の栓、試験、おしゃぶり)及び人体に接触させて使用する同様の製品に用いるシリコーンゴム製品にとって好ましい。
【0036】
一実施形態において、梱包段階は、封入梱包材料中にその製品を梱包することを含み、ここで梱包材料は、空気のフリーフローに対してバリアを提供する。医学的用途で用いるシリコーンゴム製品にとって、封入梱包材料は気密性の梱包を提供することが好ましい。
【0037】
原則として、梱包段階は、冷却段階の終了後いつ行われても良い。しかし、ほとんどの製品にとって、梱包段階は、必要以上の製造空間及び中間の貯蔵用空間に対する必要性を低下させるために、冷却後比較的すぐに行われることが望ましい。
【0038】
従って、一実施形態において、梱包段階は、冷却段階の終了から60分以内、好ましくは40分以内、例えば20分以内、例えば10分以内、より好ましくは5分以内に行われることが望ましい。
【0039】
冷却段階が高温、例えば40℃より高い温度で終了された場合、シリコーンゴム製品は、梱包前に冷まされる必要がある。しかし、冷却段階が約40℃または40℃より低い温度で行われるかまたは終了された場合、梱包前にシリコーンゴム製品を冷ます必要がない。さらに、このことは、シリコーンゴム製品が、梱包段階まできわめて清潔に維持されるかまたはできるだけ無菌状態に維持されるという有用な効果を有し、そして梱包段階が十分に清潔な状況下で行われた場合、梱包された製品は、きわめて清潔である。医学的用途で用いられる製品にとって、このことはきわめて有用な効果である。幾つかの製品、例えば先行技術の方法を用いて製造されたカテーテル及びコンタクトレンズは、梱包後さらに滅菌されなければならない。本発明の方法を用いて製造された同様の製品にとって、特に梱包が冷却段階の終了後直ちに行われた場合、この滅菌は回避することが可能である。
【0040】
従って、一実施形態において、シリコーンゴム製品が、さらに中間処理を伴わずに、特に追加の表面処理を伴わずに、冷却後に梱包されることが好ましい。
一実施形態において、成形されたシリコーンゴム製品は、その他の部品に取付けられ、例えば乳状突起がその他のポリマーの基盤に取付けられる。一実施形態において、この取付けは、冷却段階の前に行われるが、これは冷却された製品が冷却段階の終了後直接に梱包されることを意味する。
【0041】
その他の実施形態において、その他の部品の取り付けは、冷却段階後に行われる。
冷却段階の間、二酸化炭素はシリコーンゴム材料中に浸透する。一実施形態において、梱包段階は、その製品が放出可能な二酸化炭素をまだ含むように、冷却段階後十分すぐに行われることが望ましい。その後、その二酸化炭素は梱包材料内部に放出される。梱包材料が封印された後初めの1時間以内のその製品の重量に対する二酸化炭素の重量の少なくとも0.01重量%、例えば少なくとも0.1重量%、あるいは少なくとも0.5重量%を製品が放出するように、梱包段階は、例えばその製品が十分な二酸化炭素をまだ含むよう冷却段階後十分すぐに行われ得る。
【0042】
シリコーンゴム製品が冷却段階の前に部分的にしか硬化されない状況において、冷却段階中に行われた抽出によって、除去されたシリコーンオイル残渣から生じるその材料内部の気泡が目に見えるようになる。いくつかの製品によってはこのことは望ましい。他の製品にとってはこのことは望ましくなく、従って、硬化レベルが十分に高いかどうか、例えば目に見える気泡の量及び大きさが望ましいレベルより低いかまたは全く存在しないかどうか、可視化試験によって示すことができる。
【0043】
原則として、シリコーンゴム製品のためのシリコーンゴム材料は、任意の型のシリコーンゴム、特にケイ素原子及び酸素原子の交互配置からなる骨格を有するポリオルガノシロキサンである。
【0044】
シリコーンゴムはシリコーン溶液から製造される。シリコーン溶液は、側鎖が2乃至1000をはるかに上回るシリコーン原子を含む線状重合体であり、その各々は酸素原子によって順番に結合されている。鉱油と異なり、シリコーン溶液は、広い温度範囲に渡って粘性がほとんど変化しない。
【0045】
一実施形態において、シリコーンゴムは、1つまたはそれ以上のシリコーン組成物を含む前駆体シリコーン混合物から製造される。シリコーン前駆体混合物は、ジアルキルシリコーン弾性体、ここでアルキルとは、メチル基、エチル基、ヘキシル基、及びオオクチル基等の1〜12の炭素原子からなる炭化水素側基を意味し、ビニルシリコーン弾性体、フェニルシリコーン弾性体、ニトリルシリコーン弾性体、フルオロシリコーン弾性体、室温加硫(RTV)シリコーン弾性体、液状シリコーン弾性体(LSR)、ホウ化シリコーン弾性体からなる群より選択された1つまたはそれ以上のシリコーン組成物を含むことが好ましく、前駆体シリコーン混合物は、ジメチルシリコーン弾性体を含むことが好ましい。
【0046】
一実施形態において、前駆体混合物のための構成成分は、長鎖ポリシロキサン、触媒、架橋剤、及びヒュームドシリカ(HDK)、石英、白亜及び陶土等の各種賦形剤、並びに色素、接着促進剤等の他の添加剤を含む。
【0047】
有用な加硫の型(架橋剤及び温度)及び基本高分子の粘性に応じて、シリコーンゴムは次のように分類される;
RTV−1シリコーンゴムは1成分であり、そのまま使用でき、室温加硫システムである。それらは、ポリジメチルシロキサン、架橋剤、賦形剤、及び助剤を含む。成形後、大気中水分との接触によって、架橋が開始され、副生成物の除去を伴って進行する。
【0048】
RTV−2シリコーンゴムは2成分であり、架橋剤を添加することで高度に柔軟なシリコーン加硫物まで硬化する、注いだり、広げたりあるいは練ったりすることが可能な組成物である。
【0049】
一実施形態において、シリコーンゴム材料は、高温加硫(HTV)液状シリコーンゴム2成分系から製造される。名前から分かるように、HTVシリコーンゴムは、高温、例えば有機過酸化物硬化剤の存在下、射出成形によって加硫される。
【0050】
一実施形態において、前駆体混合物は、1つまたはそれ以上の熱可塑性物質、ポリウレタン、ポリアミド及びポリオレフィンからなる群より選択された1つまたはそれ以上の熱可塑性物質を含むことが好ましい。
【0051】
一実施形態において、前駆体混合物は1つまたはそれ以上の触媒、例えば金属触媒(白金触媒等)、及び/またはジベンゾイル、ジクミル及び2,3−過酸化ブチル過酸化物等の有機過酸化物を含む。
【0052】
シリコーン前駆体混合物は、1つまたはそれ以上の賦形剤材料、例えば以下に示す群より選択された賦形剤材料を含み、賦形剤材料としては、アルミニウム、スズ、鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム,ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及び亜鉛等の金属、アルミナ三水和物、アルミニウム酸化物、スズ、鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、アンチモン、及び亜鉛等の金属酸化物/水酸化物、リン酸塩、硫化物、及び硫酸等の金属塩、リシア輝石、雲母、モンモリロナイト、高陵石、ベントナイト、ヘクトライト、ベイデライト、アタパルジャイト、クリソライト、金剛石、サポナイト、及びヘルシナイト等の無機化合物、シリカ水和物または無水シリカ、シリカ、ケイ酸塩ガラス、石英、ケイ酸カルシウム、ケイ酸カルシウムマグネシウム、ケイ酸バリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸カルシウムナトリウム等の窯業製品、ハロイサイト、ナトリウムベントナイト及びマグネシウムベントナイトを含むモンモリロナイト等の粘土(ケイ酸アルミニウム)、合成または天然ゼオライト、及び合成または天然滑石(ケイ酸マグネシウム)、及びカーボンブラック等の有機物質、黒鉛、粒状または粉末状の熱可塑性プラスチックあるいは再生または未使用のポリマー樹脂またはゴム等の熱硬化性物質、リグニン、リグノ硫酸、クラフトリグニン、セルロース、及びそれらの混合物等の木材由来の材料が挙げられる。
【0053】
原則として、賦形剤材料は、例えば粒状または繊維状あるいはそれらの混合物の形態において任意の形状及び大きさを有する。賦形剤材料は固形、中空または多孔性であり得る。有用な賦形剤は、例えば米国特許第4,740,538号、米国特許第5,332,429号、米国特許第5,968,652号、米国特許出願公開2001/00366617号、米国特許第5,861,445号、及び米国特許第4,740,538号において記載されている。
【0054】
一実施形態において、その製品は射出成形を用いて成形されることが好ましい。射出成形機内の温度及び滞留時間は、射出成形品の材質及び形状に依存して変化する。通常、より厚い製品がより長い滞留時間を要する。
【0055】
一実施形態において、射出成形は150℃〜200℃で10秒〜50秒の射出成形機内の滞留時間とともに行われる。
一実施形態において、射出成形は80℃と150℃との間の温度で30秒〜90秒の射出成形機内の滞留時間とともに行われる。
【0056】
一実施形態において、射出成形は80℃より低い温度で60秒以上の射出成形機内の滞留時間とともに行われる。
一実施形態において、射出成形されたシリコーンゴム製品には、射出成形段階から直接冷却段階を施される。
【0057】
冷却段階は例えば回分式で行われる。一実施形態において、冷却段階は回分式で行われ、この冷却段階は成形機から物理的に独立して行われる。本実施形態において、成形されたシリコーンゴム製品は、成形機から圧力反応装置に、例えばシリコーンゴム製品の形状に適するラック内に移されて、冷却段階において処理されることが望ましい。ラックは、そのラックによってまだ支持されている間、シリコーンゴム製品の表面の大部分、例えば、好ましくは60%より多い、例えば75%より多いまたは85%よりはるかに多い部分が接触しないように、シリコーンゴム製品に適用される。
【0058】
二酸化炭素含有溶媒は、二酸化炭素の少なくとも80重量%、例えば少なくとも85重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%含むことが好ましい。
【0059】
一実施形態において、溶媒のほとんど全ては二酸化炭素含有溶媒によって構成されている。一実施形態において、二酸化炭素含有溶媒は、少なくとも1%、例えば少なくとも5重量%の界面活性剤等のその他の組成物を含む。
【0060】
一実施形態において、溶媒は、過ハロゲン化された界面活性剤及び完全にまたは部分的にフッ素化された界面活性剤、例えばCF(CF)aCHCHC(O)OX,a=1〜30、ポリプロピレングリコール界面活性剤、必要に応じて75重量%のポリエチレングリコール群、例えばHO(CHCH(CH)O)(CHCHO)R,i=1〜20、ここでRはメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル、あるいはテトラデシルまたはヘキサデシル等の6〜20の炭素原子を含むアルキル、CF(CFCFO)(CHCHO)H,r=1〜30及びt=1〜40等のペルハロエーテル界面活性剤、ソルビタンエステル、炭酸モノエステル及び炭酸ポリエステル、並びにポリジメチルシロキサン界面活性剤からなる群より選択された少なくとも一つの界面活性剤を含む。
【0061】
一実施形態において、溶媒は、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオオクチル アクリレート)−b−(ポリ)スチレン、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−b−スチレン)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−b−メチルメタクリル酸塩)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−b−酢酸ビニル)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−b−ビニルアルコール)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル メタクリル酸塩−b−スチレン)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−コ−スチレン)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−コ−ビニルピロリドン)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−コ−2−エチルヘキシルアクリレート)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−コ−2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−コ−ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(スチレン−g−ジメチルシロキサン)、ポリ(メチル アクリレート−g−1,1‘−ジハイドロペルフルオロオクチル メタクリル酸塩)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−g−スチレン)、ペルフルオロオクタン酸、及びペルフルオロ(2−プロポキシプロパン)酸からなる群より選択された少なくとも一つの界面活性剤を含む。
【0062】
二酸化炭素含有溶媒中の界面活性剤の量は、1つまたはそれ以上の界面活性剤の0.001重量%と30重量%との間、例えば0.01重量%と20重量%との間、例えば0.1重量%と5重量%との間であることが好ましい。
【0063】
一実施形態において、二酸化炭素含有溶媒は、例えばメタン、エタン、プロパン、アンモニアブタン、n−ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、キシレン、塩化フッ化メタン、トリクロロフルオロメタン、ペルフルオロプロパン、クロロジフルオロメタン、六フッ化硫黄、亜酸化窒素、N−メチルピロリドン、アセトン、炭酸エステル、有機シリコーン、テルペン、パラフィン、及びそれらの混合物からなる群より選択された共溶媒を含む。共溶媒の量は、例えば二酸化炭素含有溶媒の約20重量%、例えば約15重量%、例えば約10重量%、例えば約5重量%である。
【0064】
抽出段階において、シリコーンゴム製品内のシリコーンオイル残渣の少なくとも一部が抽出される。特に、それがこれらの低分子量シリコーンオイル残渣、例えばD3,D4,D5を初めとする約70から3000及びそれ以上の範囲の分子量を有する化合物、及び他の環状シクロキサンまたは非環状シクロキサンである場合、シリコーンゴム製品から低分子量シリコーンオイル残渣を抽出することが望ましく、これらの低分子量シリコーンオイル残渣は、使用中にシリコーンゴム材料から移動してシリコーンゴム製品に望ましくない化合物の臭いを生じさせるか及び/または発散させる。
【0065】
一実施形態において、冷却はその製品に抽出処理を施し、それによって3000より小さい分子量を有する抽出可能な残渣シリコーンオイルの少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%を除去することを含む。
【0066】
3000より小さい分子量を有する抽出可能な残渣シリコーンオイルは、熱を用いて抽出可能な3000より小さい分子量を有する残渣シリコーンオイルとして定義されている。本明細書中において使用されているように、抽出可能な残渣シリコーンオイルは、処理の前に100gのシリコーンゴム製品当たり1L容積の反応装置中で200℃、4時間にわたって残渣シリコーンオイルに熱処理を施し、1L容積の反応装置中当たり1L/minの空気流を反応装置中に送ることによって、シリコーンゴム製品から抽出されるオイルである。
【0067】
本発明の一実施形態において、冷却はその製品に抽出処理を施し、それによって1000より小さい分子量を有する抽出可能な残渣シリコーンオイルの少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%を除去することを含み、ここで1000より小さい分子量を有する抽出可能な残渣シリコーンオイルは、上述のように熱を用いて抽出可能な1000より小さい分子量を有する残渣シリコーンオイルとして定義されている。
【0068】
本発明の一実施形態において、冷却はその製品に抽出処理を施し、それによって500より小さい分子量を有する抽出可能な残渣シリコーンオイルの少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%を除去することを含み、ここで500より小さい分子量を有する抽出可能な残渣シリコーンオイルは、上述のように熱を用いて抽出可能な500より小さい分子量を有する残渣シリコーンオイルとして定義されている。
【0069】
本発明の一実施形態において、冷却はその製品に抽出処理を施し、それによって200より小さい分子量を有する抽出可能な残渣シリコーンオイルの少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%を除去することを含み、ここで200より小さい分子量を有する抽出可能な残渣シリコーンオイルは、上述のように熱を用いて抽出可能な200より小さい分子量を有する残渣シリコーンオイルとして定義されている。
【0070】
本発明の一実施形態において、冷却はその製品に抽出処理を施し、それによって分子量に関係なく、それらの残渣シリコーンオイルの重量の少なくとも10重量%、例えば少なくとも25重量%、例えば少なくとも40重量%、例えば少なくとも60重量%を除去することを含み、この残渣シリコーンオイルは、アセトンを用いて非抽出のシリコーン製品をSoxleth抽出を用いて抽出され得る。
【0071】
Soxleth抽出は、1gシリコーンゴム当たり少なくとも10mlのアセトンを用いて行われるべきである。シリコーンゴムは、1cm未満の小片にされるべきである。抽出時間は2時間に設定され、次に20分の洗浄サイクル及び短時間の蒸留段階が行われる。その後、抽出物は固定重量まで50℃で乾燥される。抽出されたシリコーンオイルはさらに分析される。
【0072】
一実施形態において、冷却はその製品に抽出処理を施し、それによって製品全体の重量の少なくとも0.05重量%のシリコーンオイル含有残渣、例えば0.1重量%のシリコーンオイル含有残渣、例えば少なくとも0.2重量%のシリコーンオイル含有残渣、例えば少なくとも0.5重量%のシリコーンオイル含有残渣を除去することを含む。また、シリコーンオイル含有残渣は少量の水を含む。
【0073】
シリコーンオイルだけが抽出される場合、シリコーンゴム製品は50℃で2時間の乾燥段階を受ける。
一実施形態において、冷却はその製品に抽出処理を施し、それによって製品全体の重量に対して3000より小さい分子量を有するシリコーンオイルの少なくとも0.005重量%、例えば3000より小さい分子量を有するシリコーンオイルの0.01重量%、例えば3000より小さい分子量を有するシリコーンオイルの少なくとも0.02重量%を除去することを含む。抽出されたオイルは冷却トラップを用いて集められる。
【0074】
一実施形態において、冷却はその製品に抽出処理を施し、それによって製品全体の重量に対して1000より小さい分子量を有するシリコーンオイルの少なくとも0.001重量%、例えば1000より小さい分子量を有するシリコーンオイルの0.005重量%、例えば1000より小さい分子量を有するシリコーンオイルの少なくとも0.01重量%を除去することを含む。
【0075】
一実施形態において、冷却はその製品に抽出処理を施し、それによって製品全体の重量に対して500より小さい分子量を有するシリコーンオイルの少なくとも0.0005重量%、例えば500より小さい分子量を有するシリコーンオイルの0.001重量%、例えば500より小さい分子量を有するシリコーンオイルの少なくとも0.002重量%を除去することを含む。
【0076】
一実施形態において、冷却はその製品に抽出処理を施し、それによって製品全体の重量に対して200より小さい分子量を有するシリコーンオイルの少なくとも0.0001重量%、例えば200より小さい分子量を有するシリコーンオイルの0.0005重量%、例えば200より小さい分子量を有するシリコーンオイルの少なくとも0.001重量%を除去することを含む。
【0077】
カテーテル、コンタクトレンズ及び育児(おしゃぶり、瓶の栓、試験、おしゃぶり(dummies))及び人体に接触させて使用する同様の製品を含む医学的用途のためのシリコーンゴム製品にとって、冷却はその製品に抽出処理を施し、それによってFDA、UBA、日本薬局方の政府規制並びに医学的用途、インプラント用途、直接及び間接食品接触用途、及び使い捨て用途用に設計されたシリコーン製品のための資材要求事項に関するその他の関連規則等を満たすように、十分な量の低分子量残渣を除去することを含むことが望ましい。特に、冷却はその製品に抽出処理を施し、それによって2004年4月1日現在FDA規制21 CFR 177.2600を満たすように、十分な量の低分子量残渣を除去することを含むことが望ましい。
【0078】
一実施形態において、冷却の間に、例えば不活性のあるいは活性のある予備気体を導入することによって、抽出時間が減少されることが見出された。従って、一実施形態において、冷却は、気体が抽出処理の間に反応装置中に導入される抽出処理をその製品に施すことを含み、そこでは気体が製品のバルクから周りの溶媒に圧力勾配を産出し、それによって製品から溶媒への溶質の流れを産出するために放出されることが望ましい。気体は、例えば窒素、酸素またはヘリウムであり得る。気体の量は、1Lの反応装置容積当たり少なくとも0.1モル、例えば少なくとも0.5モル、例えば1モルの気体であることが好ましい。
【0079】
さらに、抽出処理中の抽出効果は、例えば攪拌することによって、またはより好ましくは圧力反応装置を回転及び/または振とうさせることによって、反応装置内部に乱流を提供することで増加する。
【0080】
また、冷却を行う場合、冷却が粉塵及び二酸化シリコーン等の粒子の除去、及び冷却の工程と相まって押出しまたは成形または整形の間に使用される任意の成形放出剤及び潤滑物質の除去を含むように、冷却中の圧力及び温度が制御されていることが観察されてきた。
【0081】
一実施形態において、冷却は、シリコーンゴム製品内部の沈殿及び必要に応じた架橋材料及び架橋物質、例えば色素及び染料、並びに有機単量体及び適切な架橋剤並びにエチレン及びプロピレン及びブタジエン等のオレフィン等のラジカル開始剤、酢酸ビニル、ビニルピロリジノン、スチレン、アクリル化合物等のビニル化合物、酸化プロピレン及びジグリシジルエーテル等のエポキシド、グリコール及びジイソシアン酸エステル等のウレタン前駆物質の群より選択された材料及び物質を含む。
【0082】
シリコーンゴム製品のシリコーン材料内部の沈殿及び必要に応じた架橋剤に関する詳しい情報は、国際公開 03068846号パンフレット及び国際特許出願第PCT/DK04/000476号において見出され得る。
【0083】
一実施形態において、冷却段階は、有機過酸化物、有機過酸化物の分解産物、白金触媒または白金触媒のリガンド、無反応シラン、架橋剤及び3000より小さい分子量のシラノールからなる群より選択された1つまたはそれ以上の化合物の部分的除去あるいは化学誘導体化を含む。化学誘導体化は、化学基の付加として理解されており、換言すれば、1つまたはそれ以上の化学基が、有機過酸化物、有機過酸化物の分解産物、白金触媒または白金触媒のリガンド、無反応シラン、架橋剤及び3000より小さい分子量のシラノールからなる群より選択された1つまたはそれ以上の化合物と結合される。一般的に、1つまたはそれ以上の化学基は、シリコーンゴム材料内部の1つまたはそれ以上の化合物からの分解産物である。
【0084】
また、本発明は、本発明の方法によって入手可能なシリコーンゴム製品に関する。特に、本発明は押出し製品としてのチューブ、カテーテル、ケーブル絶縁、射出成形品としてのキーパッド、ガスケット、乳児のケア及び授乳(おしゃぶり、瓶の栓)のための部品、自動車、電気通信及び医療分野において使用されるための部品、フィルム並びにコンタクトレンズからなる群より選択されたシリコーンゴム製品に関する。
(実施例)
実施例1
厚さ1,2及び3mmの射出成形されたシリコーンゴムプレート(他の寸法では15cm×4cm)が、冷却段階実験における基準として使用された。原料は、例えば商標名Elastosilの下、Wackerから入手可能な2成分(A及びB)LSR(液状シリコーンゴム)であり、さらに過酸化加硫シリコーンゴムが解析された。
【0085】
全てのゴムの硬度は、ショアA90、ショアA70、ショアA50、ショアA20及びショアA10の範囲で解析された。
抽出パラメータは以下の通りである。製品が10リットル反応装置中に置かれ、液体二酸化炭素が添加され、二酸化炭素を攪拌するか、ゴム製品が置かれた保持装置を回転させるか、あるいは反応装置全体を回転させて、8〜15℃及び30〜45バール(30〜45×10Pa)の圧力で5,10,15または40分間、抽出が行われた。圧力は、窒素、酸素またヘリウム等の他の気体の添加によって抽出の間、変化させられた。抽出は、その液体を反応装置から蒸留タンクまたは大気中に移すことによって終了させられた。残圧は、例えば1分当たり40バール(40×10Pa)または1分当たり2バール(2×10Pa)までの変動率で減少させられた。
【0086】
観察結果:
減圧率は、ショアA40Aより低い硬度を有するゴムの機械的完全性にとって、かつ、特にショアA10〜20より低い硬度を有するゴムにとって重要であることが見出された。おそらく二酸化炭素がバルクポリマー内部の間隙容量を膨張させるために、全てのゴム製品(一般的に不透明または透明である)は、少なくとも部分的に白色である。一般的に数分の減退時間を伴って、製品が元の色を取り戻し、重量減少(ポリマーの重量の1〜3%程度の)、例えばポリマーからの大気中への気体移動との明らかな相関が見出される。ほとんどのポリマー製品は、より硬いゴムから完全に消失するがショアA20より柔軟なゴムの場合にとどまる白色の「泡」(約1mmの大きさ)に加えて現れる。さらに、柔軟なゴムにおいて、特により厚い部品において、そして特に減圧率が1分当たり10バール(10×10Pa)より早い場合に、機械的剥離が生じる。
【0087】
平衡下(例えば気体蒸発後の重量一定)において、ゴム製品は0.2〜1.8%の重量を失い、その重量損失は抽出時間及びポリマーの厚さに明らかに相関する。重量損失は、溶媒としてのアセトンまたはメチルエチルケトン(MEK)を用いるゴムのSoxleth抽出による対照実験において測定され得るシリコーンオイルの絶対量に相関する。一般的に、Soxleth抽出によって測定されるオイルの絶対量の75%が、液体二酸化炭素を用いた抽出の20分以内に抽出される。さらに、回転速度、圧力印加、界面活性剤の添加、二酸化炭素サイクル(除去、蒸留、置換)等が、抽出率に影響する。
【0088】
一般的に、機械的特性は、抽出によってほんのわずかに影響される。破断点伸び、抗張力,弾性率、圧縮永久ひずみ、伸張中の永久ひずみ等は、実験誤差内で変化しなかった。酸素透過性における3〜10%の増加が、非抽出のシリコーンに対する抽出されたシリコーンで見出された。
【0089】
実施例2
実施例1において使用され過酸化加硫シリコーンから作製されたプレートが、上述の手順に従って抽出され、そして同時にビクトリアBまたはフタロシアニン系色素等の青色素を用いて浸透させられた。本実施例の目的は、黄色を直接生じさせかつ時間経過に伴って黄色の割合を増加させる化合物を部分的に抽出することであった。結果として黄色の強度が直接抽出によって減少され、時間経過による黄色化が減速され、そして青色素の浸透が黄色を補うために有用であることが見出される。色素添加による重量増加は低すぎて測定不可能である。
【0090】
実施例3
アセトン抽出(soxleth)による二酸化炭素抽出後のシリコーンゴムサンプルの解析
二酸化炭素抽出において、抽出された低分子シリコーンオイルを集めることは容易ではないが、サンプルの重量を測定することによって除去された残渣量を算出することはより容易である。より特異的な値を得るために、我々は、ビュッチ汎用抽出ユニットB811(Buechi Universal Extraction Unit B811)におけるアセトン中の二酸化炭素硬化サンプルを抽出し、抽出物の重量から抽出可能なシリコーンオイルの量を算出した。
【0091】
一つのサンプル当たり150mlのアセトン(Fischer Chemicals社製、0.042%の水含有)が使用された。サンプルは小片にされ、解析のために1.5〜6gのサンプルが使用された。反復実験が行われた。抽出時間は約2時間であり、次に20分の洗浄サイクル及び短期の蒸留段階が行われた。その後、抽出物は50℃で2時間乾燥されて重量を測定された。二酸化炭素抽出されたシリコーンオイルの量は、未処理サンプルから抽出されたシリコーンオイルの量と、処理されたサンプルから抽出されたシリコーンオイルの量との差から算出される。
【0092】
解析されたのは以下のサンプルであった:
【0093】
【表1】

液体二酸化炭素抽出において低分子残渣の絶対量の80%が除去される。
【0094】
実施例4
大型のおしゃぶり及び小型のおしゃぶりが、冷却工程において以下の条件下で抽出された:
全てのおしゃぶりが、冷却前に開口部を有することを確認された。
【0095】
20〜25kgのおしゃぶりがバッグ中に満たされ(ナイロン製、各バッグに5kg)、バッグが抽出室/タンブラー中に満たされた。抽出室が閉じられて42〜50バール(42〜50×10Pa)に加圧され、温度は8〜15℃まで下げられた。タンブラーは3Hz(7.2r.p.m)で回転された。15〜25分後、液体二酸化炭素は抽出室から送り出され、蒸留及び減圧され抽出室に戻され、42〜50バール(42〜50×10Pa)まで再び加圧された。さらに25分回転させた後、液体二酸化炭素が抽出室から再び除去され減圧された後、抽出室が開けられてサンプルが取り出された。
【0096】
結果:
液体二酸化炭素中における処理工程の後、開口部の100%がまだ開いていた。
大きなおしゃぶり及び小さなおしゃぶりが規格EN 14350/2に準じて調べられた。
【0097】
この基準によって、大きなおしゃぶり及び小さなおしゃぶり中の揮発物が、0.5%の量の下でなければならないことが理解できる。
【0098】
【表2】

また、バッチ時間を短くするために、1サイクル後に抽出室を減圧しないで液体二酸化炭素を除去することも可能である。サイクル時間の変更は、例えば1サイクル10分、2サイクル20分及びその逆であることが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴム製品を製造する方法であって、前記方法は、
i)射出成形によるシリコーンゴム製品の成形、及び
ii)射出成形品の冷却
の段階を含み、
前記冷却は、射出成形品を反応装置中へ挿入すること、及び10バール(10×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間の圧力下で二酸化炭素含有溶媒を用いた抽出処理を前記射出成形品に施すことを含み、前記製品は抽出段階において60℃より低い初期温度を有し、抽出時間の少なくとも一部分において、二酸化炭素が液状であるように前記製品は25℃より低い温度を有する方法。
【請求項2】
前記シリコーンゴム製品は、少なくとも前記冷却の間少なくとも一つの非塗装表面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成形段階は、前記製品に前記製品の材料を少なくとも部分的に貫通して延出するスリットまたは孔を提供することを含み、好ましくは、前記スリットまたは孔は、射出成形段階において、あるいは例えば切削工具等を用いて射出成形段階後に提供される、請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記抽出処理は、少なくとも0.5分間、例えば少なくとも2分間、例えば少なくとも4分間、例えば少なくとも10分間、前記製品に液状の二酸化炭素含有溶媒を用いた処理を施すことを含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記抽出処理は、ミリメータで表した表面への最大最短距離(MSDS)当たり少なくとも0.1分間にわたって液状の二酸化炭素含有溶媒を用いた処理を前記製品に施すことを含み、前記MSDSは、前記製品の前記材料の任意の点に対する表面点までの最短距離を意味し、好ましくは、前記抽出処理は、MSDS当たり少なくとも0.3分間、例えば少なくとも1.0分間、例えば少なくとも1.5分間、例えば少なくとも2分間にわたって液状の二酸化炭素含有溶媒を用いた処理を、前記製品に施すことを含む、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、
i)前記シリコーンゴム製品の成形
ii)前記射出成形品の冷却、及び
iii)シリコーンオイル残渣に対するバリアを提供する梱包材料への前記製品の梱包
の段階を含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記梱包材料は、24時間当たり100g/m、例えば24時間当たり50g/m、例えば24時間当たり25g/m、例えば24時間当たり10g/mの水蒸気浸透率(DIN53122)を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記梱包材料は、24時間当たり10g/m、例えば24時間当たり5g/m、例えば24時間当たり1g/m、例えば24時間当たり0.1g/mのシリコーンオイルヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)の浸透性を有する、請求項6及び請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記梱包材料は、細菌やウイルスに対してできる実質的に限り不浸透性である、請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記梱包段階は、前記封印梱包材料中への前記製品の梱包を含み、それにより前記梱包材料は、空気のフリーフローに対してバリアを提供し、好ましくは、前記封入梱包材料は、気密性の梱包を提供する、請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記梱包段階は、冷却段階の終了から60分以内、好ましくは40分以内、例えば20分以内、例えば10分以内、より好ましくは5分以内に行われ、最も好ましくは、前記梱包段階は、冷却段階の終了後直ちに行われる、請求項6乃至請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記梱包段階は、前記製品が前記梱包材料内部に放出される放出可能な前記二酸化炭素をまだ含むように、前記冷却段階の直後に十分に行われ、好ましくは、前記製品は、前記梱包材料が封入された後初めの1時間以内の前記製品の重量に対する前記二酸化炭素の重量の少なくとも0.01重量%、例えば少なくとも0.1重量%、あるいは少なくとも0.5重量%を放出する、請求項6乃至請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記シリコーンゴム製品は、1つまたはそれ以上のシリコーン組成物を含む前駆体シリコーン混合物から製造されており、好ましくは、前記前駆体シリコーン混合物は、ジアルキルシリコーン弾性体、ここでアルキルとは、メチル基、エチル基、ヘキシル基、及びオオクチル基等の1〜12の炭素原子からなる炭化水素側基を意味し、ビニルシリコーン弾性体、フェニルシリコーン弾性体、ニトリルシリコーン弾性体、フルオロシリコーン弾性体、室温加硫(RTV)シリコーン弾性体、液状シリコーン弾性体(LSR)、ホウ化シリコーン弾性体からなる群より選択された1つまたはそれ以上のシリコーン組成物を含み、好ましくは、前記前駆体シリコーン混合物は、ジメチルシリコーン弾性体を含む、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記前駆体シリコーン混合物は、1つまたはそれ以上の熱可塑性物質、好ましくは、ポリウレタン、ポリアミド及びポリオレフィンからなる群より選択された1つまたはそれ以上の熱可塑性物質である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記前駆体シリコーン混合物は、1つまたはそれ以上の触媒、例えば金属触媒(白金触媒等)、及び/またはジベンゾイル、ジクミル及び2,3−過酸化ブチル過酸化物等の有機過酸化物を含む、請求項11及び請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記射出成形は、150℃〜200℃で10秒〜50秒、あるいは80℃と150℃との間の温度で30秒〜90秒、あるいは80℃より低い温度で60秒以上の射出成形機内の滞留時間とともに行われる、請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記冷却段階は回分式で行われ、好ましくは、前記冷却段階は成形機から物理的に独立して行われる、請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記二酸化炭素含有溶媒は、少なくとも80重量%、例えば少なくとも85重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%の二酸化炭素を含む、請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記二酸化炭素含有溶媒は、過ハロゲン化された界面活性剤及び完全にまたは部分的にフッ素化された界面活性剤、例えばCF(CFCHCHC(O)OX,a=1〜30、ポリプロピレングリコール界面活性剤、必要に応じて75重量%のポリエチレングリコール群、例えばHO(CHCH(CH)O)(CHCHO)R,i=1〜20ここでRはメチル基、エチル基、プロピ基ル、ブチル基等のアルキル、あるいはテトラデシルまたはヘキサデシル等の6〜20の炭素原子を含むアルキル、CF(CFCFO)(CHCHO)H,r=1〜30及びt=1〜40等のペルハロエーテル界面活性剤、ソルビタンエステル、炭酸モノエステル及び炭酸ポリエステル、並びにポリジメチルシロキサン界面活性剤からなる群より選択された少なくとも一つの界面活性剤を含む、請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記二酸化炭素含有溶媒は、好ましくは、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート)−b−(ポリ)スチレン、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−b−スチレン)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−b−メチルメタクリル酸塩)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−b−酢酸ビニル)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−b−ビニルアルコール)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル メタクリル酸塩−b−スチレン)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−コ−スチレン)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−コ−ビニルピロリドン)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−コ−2−エチルヘキシルアクリレート)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−コ−2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−コ−ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(スチレン−g−ジメチルシロキサン)、ポリ(メチル アクリレート−g−1,1‘−ジハイドロペルフルオロオクチル メタクリル酸塩)、ポリ(1,1’−ジハイドロペルフルオロオクチル アクリレート−g−スチレン)、ペルフルオロオクタン酸、及びペルフルオロ(2−プロポキシプロパン)酸からなる群より選択された界面活性剤を含む、請求項6乃至請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記二酸化炭素含有溶媒は、0.001重量%から30重量%まで、例えば0.01重量%と20重量%との間、例えば0.1重量%と5重量%との間の1つまたはそれ以上の界面活性剤を含む、請求項1乃至請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記二酸化炭素含有溶媒は、好ましくは、例えばメタン、エタン、プロパン、アンモニアブタン、n−ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、キシレン、塩化フッ化メタン、トリクロロフルオロメタン、ペルフルオロプロパン、クロロジフルオロメタン、六フッ化硫黄、ヘキサフルオライド、亜酸化窒素、N−メチルピロリドン、アセトン、炭酸エステル、有機シリコーン、テルペン、パラフィン、及びそれらの混合物からなる群より選択された共溶媒を含む、請求項1乃至請求項21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記冷却段階は、10バール(10×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間の圧力下、及び0℃と60℃との間の温度下で、圧力反応装置内の前記二酸化炭素含有溶媒を用いて、前記製品に前記抽出処理を施すことを含み、好ましくは、前記冷却段階は、前記抽出時間の大部分の間、8℃〜15℃及び42バール〜50バール(42〜50×10Pa)で、前記二酸化炭素含有溶媒を用いた抽出を含む、請求項1乃至請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記冷却段階は、10バール(10×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間の圧力下、及び0℃と25℃との間の温度下で、前記圧力反応装置内の前記二酸化炭素含有溶媒を用いて、前記製品に前記抽出処理を施すことを含む、請求項1乃至請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記冷却段階は、10バール(10×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間の圧力下、例えば20バール(20×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間、好ましくは25バール(25×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間、例えば30バール(30×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間、及び40バール(40×10Pa)と50バール(50×10Pa)との間の圧力下で、前記圧力反応装置内の前記二酸化炭素含有溶媒を用いて、前記製品に前記抽出処理を施すことを含む、請求項1乃至請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記冷却段階は、圧力が印加される前記圧力反応装置内の前記二酸化炭素含有溶媒を用いて、前記製品に前記抽出処理を施すことを含み、好ましくは、印加された前記圧力が、10バール(10×10Pa)、例えば5バール(5×10Pa)、例えば2バール(2×10Pa)の印加の変化を有することを含む、請求項6乃至請求項25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記冷却段階は、前記圧力が変化させられるかまたは印加される前記圧力反応装置内の前記二酸化炭素含有溶媒を用いて、前記製品に前記抽出処理を施すことを含み、好ましくは、前記印加された圧力が、1分当たり10パルス、例えば1分当たり2パルスの周波数を有することを含む、請求項1乃至請求項26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記冷却段階は、25℃より低い温度、好ましくは22℃より低い温度、より好ましくは5℃と20℃との間の温度、好ましくは8℃と15℃との間の温度で、前記圧力反応装置内の前記二酸化炭素含有溶媒を用いて、前記製品に前記抽出処理を施すことを含む、請求項1乃至請求項27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施し、それによって3000より小さい分子量を有する抽出可能な残渣シリコーンオイルの少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%を除去することを含み、ここで3000より小さい分子量を有する抽出可能な前記残渣シリコーンオイルは、抽出可能な3000より小さい分子量を有する残渣シリコーンオイルとして定義されている、請求項1乃至請求項28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施し、それによって1000より小さい分子量を有する抽出可能な残渣シリコーンオイルの少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%を除去することを含み、ここで1000より小さい分子量を有する抽出可能な前記残渣シリコーンオイルは、抽出可能な1000より小さい分子量を有する残渣シリコーンオイルとして定義されている、請求項1乃至請求項29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施し、それによって500より小さい分子量を有する抽出可能な残渣シリコーンオイルの少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%を除去することを含み、ここで500より小さい分子量を有する抽出可能な前記残渣シリコーンオイルは、抽出可能な500より小さい分子量を有する残渣シリコーンオイルとして定義されている、請求項1乃至請求項30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施し、それによって200より小さい分子量を有する抽出可能な残渣シリコーンオイルの少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも99重量%を除去することを含み、ここで200より小さい分子量を有する抽出可能な前記残渣シリコーンオイルは、抽出可能な200より小さい分子量を有する残渣シリコーンオイルとして定義されている、請求項1乃至請求項31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施し、それによって分子量に関係なく、それらの前記残渣シリコーンオイルの重量の少なくとも10重量%、例えば少なくとも25重量%、例えば少なくとも40重量%、例えば少なくとも60重量%を除去することを含み、前記残渣シリコーンオイルは、アセトンを用いた非抽出のシリコーン製品のSoxleth抽出を用いて抽出され得る、請求項1乃至請求項32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施し、それによって製品全体の少なくとも0.05重量%の前記残渣シリコーンオイル、例えば0.1重量%の前記残渣シリコーンオイル、例えば少なくとも0.2重量%、例えば少なくとも0.5重量%の前記残渣シリコーンオイルを除去することを含む、請求項1乃至請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施し、それによって製品全体の重量に対して3000より小さい分子量を有する前記残渣シリコーンオイルの少なくとも0.005重量%、例えば0.01重量%の前記残渣シリコーンオイル、例えば3000より小さい分子量を有する前記残渣シリコーンオイルの少なくとも0.02重量%を除去することを含む、請求項1乃至請求項34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施し、それによって製品全体の重量に対して1000より小さい分子量を有する前記残渣シリコーンオイルの少なくとも0.001重量%、例えば0.005重量%の前記残渣シリコーンオイル、例えば1000より小さい分子量を有する前記残渣シリコーンオイルの少なくとも0.01重量%を除去することを含む、請求項1乃至請求項35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施し、それによって製品全体の重量に対して500より小さい分子量を有する前記残渣シリコーンオイルの少なくとも0.0005重量%、例えば0.001重量%の前記残渣シリコーンオイル、例えば500より小さい分子量を有する前記残渣シリコーンオイルの少なくとも0.002重量%を除去することを含む、請求項1乃至請求項36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施し、それによって製品全体の重量に対して200より小さい分子量を有する前記残渣シリコーンオイルの少なくとも0.0001重量%、例えば0.0005重量%の前記残渣シリコーンオイル、例えば200より小さい分子量を有する前記残渣シリコーンオイルの少なくとも0.001重量%を除去することを含む、請求項1乃至請求項37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施し、それによって2004年4月1日付けのFDA規制21 CFR 177.2600、2004年8月の現在欧州規格EN14350/2、及び2002年9月の欧州規格EN1400−1を満たすように、十分な量の低分子量残渣を除去することを含む、請求項1乃至請求項38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施すことを含み、前記抽出処理は、少なくとも1分間、例えば少なくとも2分間、例えば少なくとも5分間、例えば少なくとも10分間行われる、請求項6乃至請求項39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記冷却段階は、前記製品に前記抽出処理を施すことを含み、前記抽出処理は、ミリメータで表わした表面への最大最短距離(MSDS)当たり少なくとも0.1分間行われ、ここで前記MSDSは、前記製品の前記材料の任意の点に対する表面点までの最短距離であり、好ましくは、前記抽出処理は、前記MSDS当たり少なくとも0.3分間、例えば少なくとも1.0分間、例えば少なくとも1.5分間、例えば少なくとも2分間、前記液状の二酸化炭素含有溶媒を用いた処理を、前記製品に施すことを含む、請求項1乃至請求項40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記冷却段階は、気体が前記抽出処理の間、前記反応装置中に導入される前記抽出処理を前記製品に施すことを含み、前記気体が前記製品のバルクから周りの溶媒への圧力勾配を生成し、それによって前記製品から前記溶媒への溶質の流れを生成するために放出され、好ましくは、前記気体は、窒素、酸素またはヘリウムである、請求項6乃至請求項41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記冷却段階は、粉塵及び二酸化シリコーン等の粒子の除去、及び押出しまたは成形または整形の間に使用される少なくとも幾つかの成形放出剤及び潤滑物質の除去を含む、請求項1乃至請求項42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記冷却段階は、前記シリコーンゴム製品内部の材料及び物質、例えば色素及び染料、並びに有機単量体及び適切な架橋剤、及びエチレン及びプロピレン及びブタジエン等のオレフィン等のラジカル開始剤、酢酸ビニル、ビニルピロリジノン、スチレン、アクリル化合物等のビニル化合物、酸化プロピレン及びジグリシジルエーテル等のエポキシド、グリコール及びジイソシアン酸エステル等のウレタン前駆物質の群より選択された材料及び物質の沈殿及び必要に応じた架橋を含む、請求項1乃至請求項43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記冷却段階は、有機過酸化物、前記有機過酸化物の分解産物、白金触媒または前記白金触媒のリガンド、無反応シラン、架橋剤、及び3000より小さい分子量のシラノールからなる群より選択された1つまたはそれ以上の化合物の部分的除去あるいは化学誘導体化を含み、前記化学誘導体化は、化学基の付加として理解されている、請求項1乃至請求項44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
請求項1乃至請求項45のいずれか1項に記載の方法によって入手可能なシリコーンゴム製品。
【請求項47】
前記製品は、押出し製品としてのチューブ、カテーテル、ケーブル絶縁、射出成形品としてのキーパッド、ガスケット、乳児のケア及び授乳(おしゃぶり、瓶の栓)のための部品、自動車、電気通信及び医療分野において使用されるための部品、フィルム、コンタクトレンズからなる群より選択される、請求項46に記載のシリコーンゴム製品。
【請求項48】
前記製品は、人体または動物の体に接触するようにした少なくとも一つの非塗装表面を有し、好ましくは、前記製品は、カテーテル、乳児のケア及び授乳(おしゃぶり、瓶の栓)のための部品、及びコンタクトレンズからなる群より選択される、請求項46及び請求項47に記載のシリコーンゴム製品。

【公表番号】特表2008−517796(P2008−517796A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537119(P2007−537119)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【国際出願番号】PCT/DK2005/050006
【国際公開番号】WO2006/045320
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(504424959)ナノン アクティーゼルスカブ (4)
【氏名又は名称原語表記】NANON A/S
【Fターム(参考)】