説明

シリコーンポリマーで構造化されたケアおよび/またはメーキャップ用化粧品組成物

500から500000の範囲の重量平均分子量を有する少なくとも1つの構造化ポリマーにより構造化されている液体連続脂肪相を含む、メーキャップ用化粧品組成物であって、前記ポリマーが少なくとも1つの部分を含み、前記部分が、・前記部分の鎖中にまたはグラフトの形態で、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基を含み、・該ポリマーが、室温で固体であり、該液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であり、 前記液体脂肪相が、該構造化ポリマーの溶融のエンタルピーを低下させることが可能な少なくとも1つの化合物を含み、前記組成物が、少なくとも1つの顔料を含み、さらに、前記液体脂肪相、前記構造化ポリマーおよび前記構造化ポリマーの溶融のエンタルピーを低下させることが可能な該化合物が、生理的に許容できる媒体を成す、組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリマーを用いて構造化された少なくとも1つのオイルを含む液体脂肪相を含有し、塗布が容易であり、十分であって、特に着色されていて光沢があり、かつにじまない付着をもたらす口紅等の特にメーキャップ用のスティックまたはドーム形のものとしての成型メーキャップ製品の形態で特に提供されるヒトの毛髪および/または唇を含む皮膚のためのケアおよび/またはメーキャップ用化粧品組成物に関する。
【0002】
ケア用化粧品組成物は、例えば、しわの治療のため、皮膚および唇の保湿のため、紫外線からの皮膚、唇および身体表面成長部分の保護のため、にきびの治療のためおよび/またはセルフタンニング剤として作用するための少なくとも1つの活性化合物を含む組成物である。
【0003】
本発明は、より詳細には、塗布が容易であり、豊富な付着をもたらし、保持力だけでなく色移りしないおよび安定性等の性質も示すメーキャップ製品等の化粧用および皮膚科用の組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
化粧品製品において、構造化すなわちゲル化および/または硬化した液体脂肪相を見出すのは普通である。組成物は、成型された、香油および口紅、アイシャドウ、コンシーラー製品およびファンデーション等の固体組成物の場合に特に硬化する。この構造化は、ワックスまたは充填剤を用いて達成される。残念ながらこのワックスおよび充填剤は、組成物をマットにする傾向があり、それは、特に口紅またはアイシャドウにとっては必ずしも望ましいとは限らない。
【0005】
液体脂肪相という表現は、オイルとも呼ばれ、互いに相容性である室温で液体である1つまたは複数の脂肪物質から構成される室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体である塗布するための脂肪相を意味するものと理解されたい。
【0006】
構造化された液相という表現は、硬化またはゲル化した液体脂肪相を意味するものと理解されたい。
【0007】
硬化した液体脂肪相という表現は、塗布するために、この硬化相がシリコーンポリアミドをそこに添加したときそれ自身の重量を受けて流れないことを意味するものと理解されたい。
【0008】
塗布するためにゲル化した液相という表現は、シリコーンポリアミドのこの脂肪相への添加のために、この相の粘度が増大することを意味するものと理解されたい。
【0009】
液体脂肪相の構造化により、特にその固体組成物からの滲出を抑制し、かつ、さらに皮膚または唇に付着した後、特に口紅またはアイシャドウで要求されるしわおよび細い線へのこの相のにじみを抑制することが可能となる。にじみという表現は、皮膚または唇に付着した組成物がその最初の輪郭からはみ出ることを意味するものと理解されたい。
【0010】
光沢は、主として、液体脂肪相の性質と関連する。したがって、口紅の光沢を増すためにはその組成物中のワックスおよび充填剤の量を減少することが可能であるが、その場合液体脂肪相のにじみは増大する。言い換えると、適当な硬さのスティックを製造するために必要なワックスおよび充填剤の量は、付着の光沢に対する障害である。
【0011】
文献EP-A-1068856[1]は、脂肪相が主として非シリコーンオイルである、ポリマーで構造化した液体脂肪相を含有するワックスを含まない固体の化粧品組成物について記載している。
【0012】
文献WO-A-01/97758 [2]は、N-アシルアミノ酸のエステルおよびアミドならびにそれらの混合物から選択される構造化剤を含むポリアミド樹脂系の化粧品組成物について記載している。その組成物は、また、不飽和および飽和脂肪アルコール、脂肪および/または芳香族カルボン酸エステル、エトキシ化および/またはプロポキシ化アルコールおよび酸、シリコーン、鉱物油および分鎖炭化水素; 好ましくは脂肪酸エステル、脂肪アルコール、鉱物油、分枝状炭化水素およびそれらの混合物から選択され得るそのポリアミド樹脂用の溶媒を含む。
【0013】
シリコーンオイル系の脂肪相を使用することによって、オイルがわずかに揮発性であるか不揮発性である場合は、長期の保持力、すなわち、特に色の良好な経時の保持力(不変、色がさめない)を有する化粧品組成物と、シリコーンオイルが揮発性の場合は、メーキャップの被膜と接触して置かれた、ガラス、カップ、繊維またはタバコ等の支持材に付着を形成しない色移りしない組成物を得ることが現在は可能である。
【0014】
現在のところ、化粧品におけるシリコーンオイルの使用は、これらの媒体をゲル化させ、それに伴って、例えば口紅または成型したファンデーション等固体の形で存在する組成物を生じることができる分子は数が少ないことによって制限されている。脂肪相が大部分シリコーン処理されている化粧品組成物の使用は、ほとんどの場合、化粧品に通常使用されている材料との相容性で問題を引き起こす。
【0015】
文献US-A-5874 069 [3]、US-A-5919441 [4]、US-A-6051216 [5]、WO-A-02/17870 [6]、およびWO-A-02/17871 [7]、WO-A-99/06473 [12]、US-A-6353076 [13]において、ポリシロキサン系およびポリアミド系ワックスによるか、またはシロキサン基および水素の相互作用が可能な基を含有するポリマーによりゲル化したシリコーンオイル相を含むデオドラントスティックまたはゲル等の化粧品組成物が調製されている。
【0016】
WO-A-02/17870 [6]には、組成物中に別の構造化剤を添加することが考えられているが、添加する量は、ヒドロキシステアリン酸の場合、製品の透明度を失わないようにするために、例えば0.5%未満の少量にしなければならない。
【0017】
WO-A-02/17871 [7]には、組成物の0.5から2重量%に相当する量のシリコーンポリマーによる第2の構造化剤と、非シリコーン有機化合物、揮発性シリコーンおよび場合によって別のシリコーンを含む溶媒系とを使用することが同様に考えられている。
【0018】
文献EP-A-1177784 [8]は、例えば、アミド基を有する有機化合物により構造化し、場合によって小さい割合の1つまたは複数のポリマー状または非ポリマー状の第2の構造化剤により構造化した、揮発性シリコーンおよび場合によって不揮発性のシリコーンおよび/または非シリコーンの疎水性有機液体を含有する液相を含むデオドラント組成物を例で説明している。この文献は、第2の構造化剤の中に、シロキサン基および水素の相互作用を示す基を有するポリマーを、例またはこれらのポリマーを使用する組成物についての結果を示すことなく挙げている。
【0019】
液体脂肪相を単に1つまたは複数のゲル化シリコーンポリマーだけで構造化することによって得たスティックは、特にそのスティックを唇および/または皮膚に塗布する途中のせん断に対する十分な力学的抵抗を示さず、スティックの破壊を引き起こす。
【0020】
相容性のある脂肪媒体中にシリコーンポリアミド(PASi)等のポリマーを配合することにより、ワックスの使用を必要としない固体のメーキャップ系、特に、ワックスタイプの従来の構造化剤で得るのは通常は困難である高度にまたは完全にでさえあるシリコーン化した系を得ることが可能となることは上記から明らかである。
【0021】
しかしながら、かくして得られた配合物の塗布は困難であり得ることおよびメーキャップを可能にする十分な量の付着が得られないことが明らかとなる可能性があった。
【0022】
塗布および付着は、十分な硬さの固体系を得るために要する凝縮度が高いためになおさら満足に至らない。
【特許文献1】EP-A-1068856
【特許文献2】WO-A-01/97758
【特許文献3】US-A-5874 069
【特許文献4】US-A-5919441
【特許文献5】US-A-6051216
【特許文献6】WO-A-02/17870
【特許文献7】WO-A-02/17871
【特許文献8】WO-A-99/06473
【特許文献9】US-A-6353076
【特許文献10】EP-A-1177784
【特許文献11】US-A-5981680
【特許文献12】US-A-5969172
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、まさに、不都合を克服し、上で述べた問題点を解決することを可能にする皮膚および/または唇のためのケアまたはメーキャップの組成物を提供することである。とりわけ、本発明の目的は、塗布が容易であり、ともかく従来技術の組成物によるよりも大きい豊富な付着、すなわち豊富な質量をもたらす組成物を提供することである。その材料のより豊富な付着は、より多くの「メーキャップ効果」を与え、特に顔料着色した有色の組成物の場合、より濃い色を有する付着により、例えば唇のメーキャップが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
意外なことに、本出願人は、特定のポリマーを、これらのポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な1つまたは複数の組成物と組み合わせて使用することにより、ワックスの不在または少量が存在する中で、例えばシリコーンオイル系の、特にその塗布中の卓越した滑り性によりその塗布が容易なメーキャップまたはケア用製品の形態の液体脂肪相を構造化することを可能にすること、およびこの使用により、ともかく従来技術の組成物によるよりも大きい豊富な付着、すなわち豊富な質量がもたらされることを見出した。その組成物のより豊富な付着は、より多くの「メーキャップ効果」を与え、特に顔料着色した有色の組成物の場合、より濃い色を有する付着により、例えば唇のメーキャップ、従来技術の組成物では満足に可能ではないか全く不可能でさえあったメーキャップが可能となる。
【0025】
同様に意外にも、上で言及した組合せを含む本発明の組成物は、光沢が望まれる場合は塗布前の製品および付着についての両方で改良されたこの特性を示すことにさらに気づいた。その上、上で言及した組合せを含む本発明の組成物は、にじまない被膜または付着を与え、それは、保持力および場合により非色移り性が高められた特性を有しており、接触してもべとつかない。
【0026】
これらの溶融のエンタルピーΔHおよび場合によりこれらの融解温度m.p.を低下させることが可能な1つまたは複数の化合物によるそれら特定の化合物の組合せにより、メーキャップを可能にするのに十分で、さらに改良された光沢を有する豊富な質量の付着を可能にするための、優れた力学的強度および許容範囲のレオロジーを有するゲル、特に固体のゲルを得ることが可能となる。
【0027】
本発明による特定のポリマーと、そのポリマーのエンタルピーΔHおよび場合により融解温度m.p.を低下、減少することが可能な化合物である特定の化合物との組合せを含むメーキャップまたはケア用の化粧品組成物は、従来技術には記載されていない。
【0028】
特定のポリマーと、そのポリマーの溶融のエンタルピーを低下し、場合により融点を低下することが可能な特定の化合物とのこの組合せのお陰で得られる効果、特に、塗布の容易さ、付着した質量、ならびに付着および製品の光沢の驚くべき改良は、従来技術の文献には出現しない。
【0029】
本発明は、口紅、リップペンシルおよびリップグロス等の唇用のメーキャップ製品のみでなく、頭皮、および唇を含む皮膚用のケア用製品の、皮膚、顔または唇のためのスティックの形の陽射し避け製品、あるいはリップクリーム等に、顔および身体両方の皮膚のためのメーキャップ製品の、スティックとしてのまたは皿中のファンデーション成型品、コンシーラー製品および一時的な入れ墨製品等に、特にスティックの形態のクレンジング製品に、および目のためのメーキャップ製品の、特にペンシル形のアイライナー、およびマスカラ、特にケラチン繊維(まつ毛、まゆ毛、毛髪)のためのケーキ等にも適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
より正確には、本発明の主題は、
500から500000の範囲の重量平均分子量を有する少なくとも1つの構造化ポリマーにより構造化されている液体連続脂肪相を含む、メーキャップ用化粧品組成物であって、
前記ポリマーが少なくとも1つの部分を含み、前記部分が、
・前記部分の鎖中にまたはグラフトの形態で、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基、
を含み、
・該ポリマーが、室温で固体であり、該液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であり、 前記液体脂肪相が、該構造化ポリマーの溶融のエンタルピーを低下させることが可能な少なくとも1つの化合物を含み、
前記組成物が、少なくとも1つの顔料を含み、さらに、
前記液体脂肪相、前記構造化ポリマーおよび前記構造化ポリマーの溶融のエンタルピーを低下させることが可能な該化合物が、生理的に許容できる媒体を成す、組成物である。
【0031】
本発明によれば、「構造化ポリマー」という表現は、一般に該組成物を、水素結合を形成することによって堅くするかまたはゲル化させることを可能にするポリマーを意味するものと理解されたい。
【0032】
本発明の組成物は、ペースト、固体または多かれ少なかれ粘性のあるクリームの形で提供することができる。それは、単純または多重の、特に水中油滴または油中水滴、水中油滴中水滴または油中水滴中油滴エマルション、あるいは油状連続相を有する硬質もしくは軟質のゲルであり得る。単純または多重のエマルションは、場合によって分散した脂質ベシクルを含有している水性または油性の連続相を含むことができる。特に、それは、スティックとしてまたは皿中の成型品の形で、さらに特定すれば、油状の、特に無水の硬質ゲルであり特に無水のスティックの形で提供される。さらに特定すれば、それは、半透明または不透明の硬質ゲル(それが顔料を含有しているかいないかによる)の形で提供され、液体脂肪相は、連続相を形成している。無水組成物が含む水は、10重量%未満の水、例えば5重量%未満、好ましくは2重量%未満である。
【0033】
液体脂質相の構造化は、使用した構造化ポリマーおよびエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な化合物の性質に応じて調節することができ、堅い構造が、優れた力学的強度を有しており、既に光沢のある外観を有している、バトン、スティックまたはドームの形で得られるということであり得る。特にそれらが着色している場合、これらのバトンは、たやすい塗布の後、豊富な質量で特に着色しており、にじまず、特に色の優れた経時の保持力を有する光沢のある付着を得ることを可能にする。その組成物は、1つまたは複数の構造化ポリマーおよびそれらのポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合によって融解温度を低下する1つまたは複数の化合物を含むことができる。
【0034】
有利には、本発明の組成物は、唇のための組成物であり、さらに好ましくは、特にスティックの形態をした口紅組成物である。
【0035】
液体脂肪相
本発明による液体脂肪相は、一般に、炭化水素、シリコーンおよびフッ素化オイルから選択される少なくとも1つのオイルを含む。
【0036】
オイルとは、水と不混和性である非水性化合物である。
【0037】
液体脂肪相は、少なくとも1つの揮発性オイルを含むことができる。
【0038】
本発明の目的に対して、揮発性オイルは、有利には、好ましくは35から135℃の引火点(その方法により測定)を有するかまたは引火点を持たない。引火点とは、燃料により発生する蒸気が、火炎、火花または熱源と接触して着火する温度である。
【0039】
揮発性オイルは、有利には、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)において、0.01mmから300mmHg(1.33Paから40000Pa)の範囲、さらに良いのは0.05から190mmHg(6.65Paから25330Pa)の範囲の蒸気圧を有する。
【0040】
本発明によれば、揮発性オイルは、40℃以上の、有利にはゲル化系の軟化点を越える引火点、および/または8cSt未満の粘度を有している直鎖状、分枝状または環状のシリコーンオイル、例えば3から7個のケイ素原子を有している直鎖状、分枝状または環状のポリジメチルシロキサン(PDMS)から選択することができる。
【0041】
揮発性オイルの例としては、以下の表1に示す化合物を挙げることができる。
【0042】
該組成物は、不揮発性シリコーンオイルを含有することができる。
【0043】
本発明のシリコーンオイルは、有利には、25℃で5から800000cSt、好ましくは10から500000cSt、さらに良いのは10から5000cStに及ぶ範囲から選択される粘度を有する。
【0044】
不揮発性シリコーンオイルは、ポリジメチルシロキサン、ポリアルキルメチルシロキサン、ジメチコンコポリオール、アルキルメチコンコポリオール、セチルジメチコン、アルキルグリセリルエーテル基を有するシリコーン、側鎖のアミン基を有するシリコーンおよびジラウロイルトリメチロールプロパンシロキシシリカートであり得る。これらオイルのアルキル基は、特に2から24個の炭素原子を有する。
【0045】
本発明で使用することができる不揮発性シリコーンオイルは、特に、室温で液体である不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS);それぞれ2から24個の炭素原子を有しているペンダントのおよび/またはシリコーン鎖末端の基である、アルキル基、アルコキシ基またはフェニル基を含有するポリジメチルシロキサン;フェニル化シリコーンで、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリカート;ペンダントであるかまたは鎖の末端にあって1から12個の炭素原子を有しており、水素原子のすべてまたはいくつかがフッ素原子により置換されている1つまたは複数の基を有するフッ素化シリコーン、ジメチコノールおよびそれらの混合物であり得る。
【0046】
【表1】

【0047】
すなわち、揮発性シリコーンオイルは、例えば、表1の化合物、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンおよびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0048】
揮発性シリコーンオイルは、また、アルキルおよびペルフルオロアルキル基を有するシリコーン等のフッ素化シリコーンオイル、オキシエチレン化/オキシプロピレン化(EO/PP)側基およびペルフルオロ化された基を有するシリコーン、ペルフルオロ化された側基およびグリセロール化された側基を有するシリコーン、ペルフルオロアルキルメチルフェニルシリコーンを含む群から選択することができ、これらのオイルは、0.02mmHg以上の蒸気圧を有している。
【0049】
揮発性非シリコーンオイルは、炭化水素オイルならびにイソドデカンおよびイソヘキサデカン等の炭化水素、C8〜C16イソパラフィン、ネオペンタン酸イソヘキシルまたはイソデシル等の揮発性エステルおよびエーテルを含む群から選択することができる。
【0050】
揮発性オイルは、また、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロダマンタン等のペルフルオロアルカン、ペルフルオロアルキルホスファートのエステル(モノエステル、ジエステルおよびトリエステル)およびフッ素化エステルオイル等のフッ素化オイルから選択することができる。
【0051】
本発明で使用することができる揮発性非シリコーンオイルの例としては、次の表2の化合物を挙げることができる。
【0052】
【表2】

【0053】
液体脂肪相は、本発明で使用するシリコーンポリマーが、低粘度のシリコーンオイルにより可溶性であるので、有利には1000cSt未満、さらに良いのは100cSt未満の粘度を有する少なくとも30重量%、さらに良いのは少なくとも40重量%のシリコーンオイルを含有するのが有利である。それはまた、その他の非シリコーンオイルまたは非シリコーンオイルの混合物を含有することもできる。
【0054】
脂肪相が、揮発性オイルを含む場合、それは、組成物の全体重量の3から89.4%、より良いのは5から60%、例えば5から10%に相当するのが有利である。
【0055】
液体脂肪相は、また、その他の非シリコーンオイル、例えば:
・脂肪酸が様々な鎖長を有していてよく、後者が直鎖状または分枝状、飽和または不飽和であることが可能である脂肪酸とグリセロールとのエステルからなる炭化水素の性質を有する高含量トリグリセリドの植物油;これらのオイルは、特に、小麦胚種、トウモロコシ、ヒマワリ、カリテ、ヒマシ、スイートアーモンド、マカダミア、アンズ、大豆、菜種、綿実、ムラサキウマゴヤシ(lucerne)、ケシの実、パンプキンシード、ゴマ、ウリの実、アボカド、ヘーゼルナッツ、ブドウ種子もしくはクロフサスグリの種子、オオマツヨイグサ、キビ、オオムギ、キノア、オリーブ、ライ麦、紅花、ククイノキ、パッションフラワーおよびジャコウバラのオイル; またはStearineries Dubois社により販売されているものもしくはDynamit Nobel社によりMiglyol 810、812および818の品名で販売されているもの等のカプリル/カプリン酸のトリグリセリドである;
・式RaCOORb(式中、Ra+Rbが≧10である条件で、Raは、1から40、さらに良いのは7から19個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状の高級脂肪酸の残基を示し、Rbは、1から40、さらに良いのは7から19個の炭素原子を含有する分枝状炭化水素鎖を示す)の合成オイルまたはエステル、例えば、パーセリン(Purcellin)オイル(オクタン酸ケトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、安息香酸C12〜C15アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、アルコールまたはポリアルコールのオクタン酸エステル、デカン酸エステルもしくはリシノール酸エステル、乳酸イソステアリルまたはリンゴ酸ジイソステアリル等のヒドロキシル化エステルおよびペンタエリトリトールのエステルなど;
・ 10から40個の炭素原子を有する合成エーテル;
・ リノール酸またはリノレン酸等の脂肪酸;および
・ それらの混合物
等の極性オイルを含有することができる。
【0056】
液体脂肪相は、また、パラフィンの揮発性オイル(イソパラフィン、イソドデカン等)もしくはパラフィンの不揮発性オイルおよびその誘導体、ワセリン、ポリデセン、パールリーム(parleam)、スクアラン(squalane)等の水素化ポリイソブテンおよびそれらの混合物等、揮発性もしくは不揮発性である合成または鉱物を起源とする直鎖状もしくは分枝状炭化水素またはフルオロカーボン等の無極性オイルを含有することができる。
【0057】
したがって、本発明は、例えば次のさまざまな脂肪相により実施することができる:
1) 少なくとも1つの不揮発性シリコーンオイルおよび少なくとも1つの揮発性シリコーンオイルを含むオイルの混合物からなる脂肪相;
2) 少なくとも1つの不揮発性シリコーンオイルおよび少なくとも1つの非シリコーンの揮発性オイルを含むオイルの混合物からなる脂肪相;
3) 少なくとも1つの不揮発性シリコーンオイル、少なくとも1つの揮発性シリコーンオイルおよび少なくとも1つの揮発性非シリコーンオイルを含むオイルの混合物からなる脂肪相;
4) 少なくとも1つの揮発性シリコーンオイル、1つの不揮発性非シリコーンオイルおよび場合によって少なくとも1つの揮発性非シリコーンオイルを含むオイルの混合物からなる脂肪相;および、
5) もっぱら揮発性シリコーンオイルからなる脂肪相。
【0058】
1)、2)および3)の場合、その混合物は、また、不揮発性の非シリコーンオイルを含むこともできる。勿論、すべての場合に、本発明により、その脂肪相は、構造化ポリマーの溶融のエンタルピーを低下することが可能な化合物を含むことを理解されたい。
【0059】
一般に、該液体脂肪相は、組成物の全体重量の5から99%に相当し、さらに良好なのは20から75%である。
【0060】
構造化シリコーンポリマー
組成物の構造化ポリマーは、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で固体であり、25から250℃の温度で液体脂肪相に可溶性である。
【0061】
ポリマーという表現は、本発明の目的に対して、少なくとも2つの繰り返し部分、好ましくは少なくとも3つの繰り返し部分、さらに良好なのは10個の繰り返し部分を有する化合物を意味するものと理解されたい。
【0062】
本発明の組成物中、構造化シリコーンポリマーは、組成物全体重量の、一般に、0.5から80%、好ましくは2から60%に相当し、さらに良好なのは5から40%である。
【0063】
その上、構造化ポリマーのポリマー/例えばシリコーンオイルおよびその他のオイルであるオイルの質量の割合は、好ましくは0.1から50%である。
【0064】
本発明の組成物中で構造化剤として使用されるポリマーは、文献US-A-5874069 [3]、US-A-5919441 [4]、US-A-6051216 [5]およびUS-A-5981680 [11]に記載されているもの等のポリオルガノシロキサンタイプのポリマーである。
【0065】
本発明によれば、構造化剤として使用されるポリマーは、次の2つの群に属し得る:
1) 水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基(これらの2つの基は、ポリマー鎖の中に場所を占める);および/または
2) 水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基を含むポリオルガノシロキサン(これらの2つの基は、グラフトまたは分枝状の状態で場所を占める)。
【0066】
ポリマー鎖中に水素の相互作用を確立することが可能な2つの基を含むポリマーは、式:
【0067】
【化1】

【0068】
に対応する少なくとも1つの部分を含み、
上式中、
1) R1、R2、R3およびR4は、同じかまたは異なることができ、
・直鎖状、分枝状または環状、飽和または不飽和のC1からC40の炭化水素系の基であって、それらの鎖中に1つまたは複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を含有していてもよく、かつ部分的または全体的にフッ素原子により置換されていてもよい基、
・1つまたは複数のC1からC4のアルキル基により場合によって置換されているC6からC10のアリール基、
・1つまたは複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を含有していてもよいポリオルガノシロキサン鎖、
から選択される基を表し;
2) 基Xは、同じかまたは異なることができ、その鎖中に1つまたは複数の酸素および/または窒素原子を含有していてもよい直鎖状または分枝状のC1からC30のアルキレンジイル基を表し;
3) Yは、飽和または不飽和のC1からC50の直鎖状または分枝状の二価の、アルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、アルキルアリーレン基またはアリールアルキレン基であり、1つまたは複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を含有しており、かつ/または置換基として次の原子または原子の群(フッ素、ヒドロキシル、C3からC8のシクロアルキル、C1からC40のアルキル、C5からC10のアリール、1から3個のC1からC3のアルキル基により場合によって置換されているフェニル、C1からC3のヒドロキシアルキルおよびC1からC6のアミノアルキル)の1つを有していてもよい基であるか、または
4) Yは、式:
【0069】
【化2】

【0070】
に対応する基を表し、
上式中、
・Tは、ポリオルガノシロキサン鎖により場合によって置換されており、O、NおよびSから選択される1つまたは複数の原子を含有していてもよい直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC3からC24の三価または四価の炭化水素系の基を表すか、またはTは、N、PおよびAlから選択される三価の原子を表し、
・R5は、ポリマーの他の鎖に結合していてもよい1つまたは複数の、エステル基、アミド基、ウレタン基、チオカルバマート基、尿素基、チオ尿素基および/またはスルホンアミド基を含んでいてもよい直鎖状または分枝状のC1からC50のアルキル基またはポリオルガノシロキサン鎖を表し、
5) 基Gは、同じかまたは異なることができ、
【0071】
【化3】

【0072】
から選択される二価の基(R6は、ポリマーの基R6の少なくとも50%が水素原子を表し、ポリマーの基Gの少なくとも2つが:
【0073】
【化4】

【0074】
以外の基であるという条件で、水素原子または直鎖状または分枝状のC1からC20のアルキル基を表す)を表し;
6) nは、2から500まで、好ましくは2から200までの範囲の整数であり、mは、1から1000まで、好ましくは1から700まで、さらに良いのは6から200までの範囲の整数である。
【0075】
本発明によれば、ポリマーの基R1、R2、R3およびR4の80%は、メチル、エチル、フェニルおよび3,3,3-トリフルオロプロピル基から選択するのが好ましい。
【0076】
本発明によれば、Yは、様々な二価の基を表すことができ、さらに場合によってはポリマーまたはコポリマーの他の部分との結合を確立する1つまたは2つの自由原子価を含む。
好ましくは、Yは、
a) 直鎖状のC1からC20および好ましくはC1からC10のアルキレン基、
b) 環および非共役の不飽和を含んでいてもよいC30からC56の分枝状アルキレン基、
c) C5〜C6シクロアルキレン基、
d) 1つまたは複数のC1からC40のアルキレン基によって場合によって置換されているフェニレン基、
e) 1から5個のアミド基を含むC1からC20のアルキレン基、
f) ヒドロキシル基、C3からC8のシクロアルカン基、C1からC3のヒドロキシアルキル基およびC1からC6のアルキルアミン基から選択される1つまたは複数の置換基を含むC1からC20のアルキレン基、ならびに
g) 式:
【0077】
【化5】

【0078】
(式中、R1、R2、R3、R4、Tおよびmは、上で定義したものと同じである)
のポリオルガノシロキサン鎖、および
h) 式:
【0079】
【化6】

【0080】
のポリオルガノシロキサン鎖
から選択される基を表す。
【0081】
第2の群のポリオルガノシロキサンは、式(II):
【0082】
【化7】

【0083】
に相当する少なくとも1つの部分を含み、
上式中、
・R1およびR3は、同じかまたは異なることができ、式(I)に対して上で定義したものと同じであり、
・R7は、R1およびR3に対して上で定義したものと同じ基を表すか、または式-X-G-R9であって、式中XおよびGが、式(I)に対して上で定義したものと同じである基を表し、R9が、水素原子、または1つまたは複数のフッ素原子および/または1つまたは複数のヒドロキシル基によって場合によって置換されているO、SおよびNから選択される1つまたは複数の原子をその鎖中に場合によって含む、直鎖状、分枝状または環状、飽和または不飽和のC1からC50の炭化水素系の基、または1つまたは複数のC1からC4のアルキル基によって場合によって置換されているフェニル基を表し、
・R8は、式-X-G-R9であって、X、GおよびR9が上で定義したものと同じである基を表し、
・m1は、1から998の範囲の整数であり、
・m2は、2から500の範囲の整数である。
【0084】
本発明によれば、ゲル化剤として使用されるポリマーは、ホモポリマー、すなわち、いくつかの同一部分、特に式(I)または式(II)の部分を含むポリマーであり得る。
【0085】
本発明によれば、式(I)のいくつかの異なる部分を含むコポリマーからなるポリマー、すなわち基R1、R2、R3、R4、X、G、Y、mおよびnの少なくとも1つが、部分の1つの中で異なるポリマーを使用することもまた可能である。そのコポリマーは、また、基R1、R3、R7、R8、m1およびm2の少なくとも1つが、部分の少なくとも1つの中で異なる、式(II)のいくつかの部分から形成されていてもよい。
【0086】
式(I)の少なくとも1つの部分および式(II)の少なくとも1つの部分を含み、その式(I)の部分とその式(II)の部分とが場合により互いに同一であるかまたは異なるコポリマーを使用することもまた可能である。
【0087】
本発明の1つの変形によれば、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な2つの基を含む少なくとも1つの炭化水素系の部分をさらに含むコポリマーを使用することもまた可能である。
【0088】
これらのコポリマーは、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーである。
【0089】
本発明の第1の実施形態によれば、水素の相互作用を確立することが可能な基は、式-C(O)NH-および-HN-C(O)-のアミド基である。
【0090】
この場合、ゲル化剤は、式(III)または(IV):
【0091】
【化8】

【0092】
の少なくとも1つの部分含むポリマーであり、
上式中、R1、R2、R3、R4、X、Y、mおよびnは、上で定義したものと同じである。
【0093】
上記部分は、
・ 次の反応機構:
【0094】
【化9】

【0095】
による、α,ω-カルボン酸末端および1つまたは複数のジアミンを含有するシリコーンの間の縮合反応によるか、
・ または次の反応機構:
CH2=CH-X1-COOH+H2N-Y-NH2 → CH2=CH-X1-CO-NH-Y-NH-CO-X1-CH=CH2
によるα-不飽和カルボン酸の2つの分子のジアミンとの反応と、続く次の機構:
【0096】
【化10】

【0097】
(式中、X1-(CH2)2-は、上で定義したXに相当し、Y、R1、R2、R3、R4、およびmは、上で定義したものと同じである)によるシロキサンのエチレン性不飽和への付加によるか、
・ またはα,ω-NH2末端および式HOOC-Y-COOHの二酸を含有するシリコーンの次の反応機構:
【0098】
【化11】

【0099】
による反応によるかのいずれかにより
得ることができる。
【0100】
式(III)または(IV)のこれらのポリアミドにおいて、mは、好ましくは1から700、より好ましくは15から500、さらに良いのは10から100の範囲であり、nは、特に1から500、好ましくは1から100、さらに良いのは4から25の範囲であり、
Xは、好ましくは1から30個の炭素原子、特に1から20個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状のアルキレン鎖であり、
・ Yは、1から40個の炭素原子、特に1から20個の炭素原子、さらに良いのは2から6個の炭素原子、特に6個の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状であるかまたは場合により環および/または不飽和を含む好ましくはアルキレンである。
【0101】
式(III)および(IV)において、XまたはYに相当するアルキレン基は、場合によりそのアルキレン部分に少なくとも1つの次の要素:
1) 1から5個のアミド基、尿素基またはカルバマート基、
2) C5またはC6のシクロアルキル基、および
3) 1から3個の同じかまたは異なるC1からC3のアルキル基により場合により置換されているフェニレン基、
を含有することができる。
【0102】
式(III)および(IV)において、アルキレン基は、また、
・ヒドロキシル基、
・C3からC8のシクロアルキル基、
・1から3個のC1からC40のアルキル基、
・1から3個のC1からC3のアルキル基により場合によって置換されているフェニル基、
・C1からC3のヒドロキシアルキル基、および
・C1からC6のアミノアルキル基
からなる群から選択される少なくとも1つの部分により置換されていてもよい。
【0103】
これらの式(III)および(IV)において、Yは、また、
【0104】
【化12】

【0105】
を表し、式中R5は、ポリオルガノシロキサン鎖を表し、Tは、式:
【0106】
【化13】

【0107】
の基を表し、
上式中、a、bおよびcは、独立して1から10までの範囲の整数であり、R10は、水素原子またはR1、R2、R3およびR4に対して定義したものと同じ基である。
【0108】
式(III)および(IV)において、R1、R2、R3およびR4は、独立して、直鎖状または分枝状のC1からC40のアルキル基(好ましくは、CH3基、C2H5基、n-C3H7基またはイソプロピル基)、ポリオルガノシロキサン鎖または1から3個のメチル基またはエチル基により場合によって置換されているフェニル基を好ましくは表す。
【0109】
既に見てきたように、ポリマーは、式(III)または(IV)の同一または異なる部分を含むことができる。
【0110】
したがって、ポリマーは、異なる長さの式(III)または(IV)のいくつかの部分を含有するポリアミド、すなわち、式:
【0111】
【化14】

【0112】
に相当するポリアミドであることができ、上式中、X、Y、nおよびR1からR4は、上で示した意味を有しており、m1およびm2は異なっていて1から1000の範囲内で選択され、pは、2から300の範囲の整数である。
【0113】
この式において、該部分は、ブロックコポリマー、またはランダムコポリマーまたは交互コポリマーの構造になっていることができる。このコポリマーにおいて、該部分は、長さが異なるだけでなく、化学構造が異なっていてもよく、例えば異なる基Yを含有することができる。この場合、そのコポリマーは、式:
【0114】
【化15】

【0115】
に対応することができ、式中、R1からR4、X、Y、m1、m2、nおよびpは、上で示した意味を有しており、Y1は、Yとは異なるもののYに対して定義した基から選択される。前と同様に、様々な部分は、ブロックコポリマー、またはランダムコポリマーまたは交互コポリマーのいずれかを形成する構造になっていることができる。
【0116】
本発明のこの第1の実施形態において、構造化剤は、また、グラフトコポリマーからなっていることもできる。例えば、シリコーン単位を含有しているポリアミドは、グラフトされており、場合によってアミド基を含有するシリコーン鎖により橋かけされていてもよい。該ポリマーは三官能性アミンにより合成することができる。
【0117】
この場合、そのコポリマーは、少なくとも1つの式:
【0118】
【化16】

【0119】
の部分を含み、
上式中、X1およびX2は、同じかまたは異なり、式(I)でXに対して与えられた意味を有しており、nは、式(I)で定義したものと同じであり、YおよびTは、式(I)で定義したものと同じであり、R11からR18は、R1からR4と同じ基から選択される基であり、m1およびm2は、1から1000の範囲の数であり、pは、2から500の範囲の整数である。
【0120】
式(VII)において、
・pは、1から25、さらに良いのは1から7の範囲であり、
・R11からR18は、メチル基であり、
・Tは、次式:
【0121】
【化17】

【0122】
の1つに対応し、式中、R19は、水素原子またはR1からR4に対して定義した基から選択される基であり、R20、R21およびR22は、独立して、直鎖状または分枝状アルキレン基であり、より好ましくは、特に-CH2-CH2-を表すR20、R21およびR22を有する式:
【0123】
【化18】

【0124】
に対応し、
・m1およびm2は、15から500、さらに良いのは15から45の範囲内であり、
・X1およびX2は、-(CH2)10-を表し、
・Yは、-CH2-を表す
ことが好ましい。
【0125】
グラフトした式(VII)のシリコーン部分を含有するこれらのポリアミドは、式(II)のポリアミド-シリコーンと共重合してブロックコポリマー、交互コポリマーまたはランダムコポリマーを形成することができる。そのコポリマー中のグラフトしたシリコーン部分(VII)の重量百分率は、0.5重量%から30重量%の範囲であり得る。
【0126】
本発明によれば、既に見てきたように、シロキサン単位は、ポリマーの主鎖またはバックボーン中にあるが、それらはまた、グラフト鎖またはペンダント鎖中にも存在し得る。主鎖中では、シロキサン単位は、上で記したようにセグメントの形態をしている。ペンダント鎖またはグラフト鎖中では、シロキサン単位は、個々に、またはセグメントで現れ得る。
【0127】
本発明によれば、好ましいシロキサン系ポリアミドは:
・ mが、15から50である式(III)のポリアミド、
・ mが、30から500である式(III)のポリアミド、
・ 少なくとも1つのポリアミドが15から50の範囲のmの値を持ち、少なくとも1つのポリアミドが30から50の範囲のmの値を持つ2つ以上のポリアミドの混合物、
・ 15から50の範囲内で選択されるm1と30から500の範囲内で選択されるm2とが、m1に対応する割合がポリアミドの全体重量の1重量%から99重量%、およびm2に対応する割合がポリアミドの全体重量の1重量%から99重量%である式(V)のポリマー、
・ 1) nが、2から10、特に3から6に等しいポリアミドの80重量%から99重量%と、
2) nが、30から500、特に30から100の範囲内であるポリアミドの1重量%から20重量%
とを組み合わせた式(III)のポリアミドの混合物、
・ 1) nが、2から10、特に3から6に等しいポリアミドの1重量%から20重量%と、
2) nが、30から500、特に30から100の範囲内であるポリアミドの80重量%から99重量%
とを組み合わせた式(III)のポリアミドの混合物、
・ 基YおよびY1の少なくとも1つが、少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含有する式(VI)に対応するポリアミド、
・ 二酸の代わりに少なくとも一部分の活性化した二酸(二酸クロリド、二酸無水物またはジエステル)により合成した式(III)のポリアミド、
・ Xが、-(CH2)3-または-(CH2)10-を表す式(III)のポリアミド、
・ ポリアミドが、脂肪酸、脂肪アルコールおよび脂肪アミン、例えば、オクチルアミン、オクタノール、ステアリン酸およびステアリルアルコール等を含む、一官能性アミン、一官能性酸、一官能性アルコールからなる群から選択される一官能性鎖の末端を持つ式(III)のポリアミド
である。
【0128】
本発明によれば、ポリマー鎖の末端は、
・ 合成の途中でC1からC50モノアルコールを導入することによるC1からC50アルキルエステル基、
・ 停止基として、シリコーンがα,ω-ジアミン化されている場合は一酸を、またはシリコーンがα,ω-ジカルボン酸である場合はモノアミンを使用することによるC1からC50アルキルアミド基
で終了する。
【0129】
本発明の一実施形態の変形によれば、シリコーンポリアミドと炭化水素系ポリアミドとのコポリマー、すなわち、式(III)または(IV)の部分と炭化水素系ポリアミド部分とを含むコポリマーを使用することが可能である。この場合、ポリアミド-シリコーン部分は、炭化水素系ポリアミドの末端に配列することができる。
【0130】
シリコーンを含有するポリアミド系構造化剤は、脂肪酸二量体に基づくポリアミドのシリルアミド化により製造することができる。このやり方は、ポリアミドに末端部位として存在する遊離酸部位のオリゴシロキサン-モノアミンおよび/またはオリゴシロキサン-ジアミンとの反応(アミド化反応)、あるいは別法では、オリゴシロキサンアルコールまたはオリゴシロキサンジオールとの反応(エステル化反応)を含む。そのエステル化反応は、技術的に知られているように酸触媒の存在が必要である。そのアミド化またはエステル化反応のために使用する遊離の酸部位を含有するポリアミドは、比較的高い酸末端基の数(例えば、高酸価、例えば15から20を有するポリアミド)を有することが望ましい。
【0131】
炭化水素系ポリアミドの遊離酸部位のアミド化のために、1から300個、より特定すれば、2から50個、さらに良いのは、2、6、9.5、12、13.5、23または31個のシロキサン基を有するシロキサンジアミンを、脂肪酸二量体に基づく炭化水素系ポリアミドとの反応用として使用することができる。13.5個のシロキサン基を含有するシロキサンジアミンが好ましく、最良の結果は、13.5個のシロキサン基を含有するシロキサンジアミンと高い数のカルボン酸末端基を含有するポリアミドとによって得られる。
【0132】
その反応は、生成した水を共沸蒸留によって溶液から抽出するためにキシレン中で行うか、または溶媒なしのさらに高温(約180から200℃)で行うことができる。一般的には、アミド化の効果および反応速度は、シロキサンジアミンが長いほど、すなわち、シロキサン基の数が大きい場合は減少する。遊離アミン部位は、ジアミノシロキサンの最初のアミド化反応の後それらをシロキサン酸または安息香酸等の有機酸のいずれかと反応させることによりブロックすることができる。
【0133】
ポリアミドの遊離酸部位のエステル化については、これは、反応物の全体重量に対して約1重量%の触媒としてのパラトルエンスルホン酸を含む沸騰しているキシレン中で、実施することができる。
【0134】
ポリアミドのカルボン酸末端基で行われるこれらの反応は、ポリマー鎖の末端のみのシリコーン部分の組込みを引き起こす。
【0135】
遊離のアミン基を含有するポリアミドを使用し、酸基を含有するシロキサンとのアミド化反応によってポリアミド-シリコーンのコポリマーを調製することもまた可能である。
【0136】
炭化水素系ポリアミドとシリコーンポリアミドの間のコポリマーに基づく構造化剤を調整することは、元のポリアミドのエチレンジアミン成分がオリゴシロキサンジアミンにより置き換わるようにアミド基転移を行う、高温(例えば200から300℃)での、例えばエチレンジアミン部分を有するポリアミドのオリゴシロキサン-α,ω-ジアミンとのアミド基転移によることもまた可能である。
【0137】
炭化水素系ポリアミドとポリアミド-シリコーンとのコポリマーは、また、ペンダントオリゴシロキサン基を備えた炭化水素系ポリアミドバックボーンを含むグラフトコポリマーでもあり得る。
【0138】
これは、例えば:
・ 脂肪酸二量体に基づくポリアミド中の不飽和結合のヒドロシリル化により、
・ ポリアミドのアミド基のシリル化により、または
・ 酸化を用いた不飽和ポリアミドのシリル化、すなわち、不飽和基を酸化してアルコールまたはジオールにすることによりシロキサンカルボン酸またはシロキサンアルコールと反応するヒドロキシル基を形成することにより
得ることができる。不飽和ポリアミドのオレフィン部位は、また。エポキシ化することができ、そのエポキシ基は次いでシロキサンアミンまたはシロキサンアルコールと反応させることができる。
【0139】
本発明の第2の実施形態によれば、該構造化剤は、ウレタン基または尿素基を含むホモポリマーまたはコポリマーからなる。
【0140】
前と同様に、該ポリマーは、2つ以上のウレタン基および/または尿素基を、そのポリマーのバックボーン中かまたは側鎖にまたはペンダント基として含有するポリオルガノシロキサン部分を含むことができる。
【0141】
少なくとも2つのウレタン基および/または尿素基をバックボーン中に含むそのポリマーは、次の式:
【0142】
【化19】

【0143】
に対応する少なくとも1つの部分を含み、
上式中、R1、R2、R3、R4、X、Y、mおよびnは、式(I)に対して上で与えられた意味を有しており、Uは、
【0144】
【化20】

【0145】
が、ウレタン基または尿素基に対応するように、-O-もしくは-NH-を表す。
【0146】
この式(VIII)において、Yは、場合によってC1からC15のアルキル基またはC5からC10のアリール基によって置換されている直鎖状または分枝状のC1からC40のアルキレン基であり得る。好ましくは、-(CH2)6-の基が使用される。
【0147】
Yは、また、C1からC15のアルキル基またはC5からC10のアリール基により置換されていてもよいC5からC12の脂環式または芳香族基、例えば、イソホロンジイソシアナートに由来する基であるメチレン-4,4-ビスシクロヘキシル基、2,4-および2,6-トリレン、1,5-ナフチレン、p-フェニレンおよび4,4'-ビフェニレンメタンから選択される基を表すことができる。一般に、Yは、直鎖状または分枝状のC1からC40アルキレン基またはC4からC12シクロアルキレン基を表すのが好ましい。
【0148】
Yは、また、いくつかのジイソシアナート分子の、1つまたは複数のジオールまたはジアミンタイプの結合剤の分子との縮合に対応するポリウレタンブロックまたはポリ尿素ブロックを表すことができる。この場合、Yは、いくつかのウレタン基または尿素基をアルキレン鎖中に含む。
【0149】
それは、式:
【0150】
【化21】

【0151】
に対応し、式中、B1は、上でYに対して与えられた基から選択される基であり、Uは、-O-または-NH-であり、B2は、
・ 直鎖状または分枝状のC1からC40のアルキレン基、
・ アルキル置換基、例えば1から3個のメチルもしくはエチル基、またはアルキレン置換基、例えばジオール基のシクロヘキサンジメタノールを場合によって有するC5からC12のシクロアルキレン基、
・ C1からC3のアルキル置換基を場合によって有することができるフェニレン基、および
・ 式:
【0152】
【化22】

【0153】
(式中、Tは、1つまたは複数の、酸素、硫黄および窒素等のへテロ原子を場合により含有する炭化水素系の三価の基であり、R5は、ポリオルガノシロキサン鎖または直鎖状または分枝状のC1からC50のアルキル鎖である)の基
から選択される。
【0154】
Tは、例えば:
【0155】
【化23】

【0156】
(wは、1から10の範囲の整数であり、R5は、ポリオルガノシロキサン鎖である)を表すことができる。
【0157】
Yが直鎖状または分枝状のC1からC40のアルキレン基であるときは、-(CH2)2-および-(CH2)6-が好ましい。
【0158】
上でYに対して与えられた式中、dは、0から5、好ましくは0から3の整数であり、より好ましくは1または2に等しい。
【0159】
好ましくは、B2は、直鎖状または分枝状C1からC40のアルキレン基、特に-(CH2)2-または-(CH2)6-または基:
【0160】
【化24】

【0161】
(R5は、ポリオルガノシロキサン鎖である)である。
【0162】
前と同様に、構造化剤を構成している該ポリマーは、異なる長さおよび/または構成のシリコーンウレタンおよび/またはシリコーン尿素部分から形成されていてもよく、ブロックまたはランダムコポリマーであり得る。
【0163】
本発明によれば、該シリコーンは、また、ウレタン基および/または尿素基を、バックボーン中ではなく側枝として含むこともできる。
【0164】
この場合、該ポリマーは、少なくとも1つの式:
【0165】
【化25】

【0166】
の部分を含み、上式中、R1、R2、R3、m1およびm2は、式(I)に対して上で与えられた意味を有しており、
・ Uは、OまたはNHを表し、
・ R23は、OおよびNから選択される1つまたは複数のへテロ原子を場合によって含むC1からC40のアルキレン基、あるいはフェニレン基を表し、
・ R24は、直鎖状、分枝状または環状、飽和または不飽和のC1からC50のアルキル基、および1から3個のC1からC3のアルキル基により場合によって置換されているフェニル基から選択される。
【0167】
少なくとも1つの式(X)の部分を含むポリマーは、シロキサン単位および尿素基またはウレタン基を含有し、それらは本発明の組成物中の構造化剤として使用することができる。
【0168】
シロキサンポリマーは、分枝毎に単一の尿素基またはウレタン基を有してもよいしまたは2つの尿素基またはウレタン基を含有する分枝を含有していてもよく、あるいは別法では、それらは1つの尿素基またはウレタン基を含有する分枝と2つの尿素基またはウレタン基を含有する分枝との混合物を含有することができる。
【0169】
それらは、分枝毎に1つまたは2つのアミノ基を含む分枝状のポリシロキサンから、これらのポリシロキサンをモノイソシアナートと反応させることにより得ることができる。
【0170】
アミノおよびジアミノ分枝を含有するこのタイプの出発ポリマーの例としては、次の式:
【0171】
【化26】

【0172】
に対応するポリマーを挙げることができる。
【0173】
これらの式中、記号「/」は、セグメントが異なる長さのものおよび無作為の順序であり得ることを示し、Rは、好ましくは1から6個の炭素原子を含有し、さらに良いのは1から3個の炭素原子である直鎖状脂肪族基を表す。
【0174】
分枝を含有する該ポリマーは、ポリマー1分子当たり少なくとも3つのアミノ基を含有するシロキサンポリマーを、1つだけの一官能性基(例えば、酸、イソシアナートまたはイソチオシアナート)を含有し、この一官能性基が、アミノ基の1つと反応して水素の相互作用を確立することが可能な基を形成する化合物と反応させることにより形成することができる。そのアミノ基は、水素の相互作用を確立することが可能な基が側鎖上に形成されるように、シロキサンポリマーの主鎖から伸びるこれらの側鎖上にあることができ、または別法では、そのアミノ基は、水素の相互作用が可能な基がポリマーの末端基であるように、主鎖の末端にあることができる。
【0175】
シロキサン部分および水素の相互作用を確立することが可能な基を含有するポリマーを形成する方法としては、ゲルを直接提供するために、シロキサンジアミンとジイソシアナートとのシリコーン溶媒中での反応を挙げることができる。その反応は、シリコーン流体中で行うことができ、得られる生成物は、高温でシリコーン流体中に溶解しており、その系の温度をそのとき低下し、ゲルを形成する。
【0176】
本発明による組成物中に組み込むために好ましいポリマーは、直鎖状であり、水素の相互作用を確立することが可能な基として尿素基をポリマーのバックボーン中に含有するシロキサン-尿素コポリマーである。
【0177】
4つの尿素基で終了するポリシロキサンの実例としては、式:
【0178】
【化27】

【0179】
のを挙げることができ、上式中、Phは、フェニル基であり、nは、0から300、特に0から100の数、例えば50である。
【0180】
このポリマーは、アミノ基を含有する次のポリシロキサン:
【0181】
【化28】

【0182】
を、フェニルイソシアナートと反応させることによって得られる。
【0183】
シリコーンポリマーの鎖中に尿素基またはウレタン基を含む式(VIII)のポリマーは、式:
【0184】
【化29】

【0185】
(式中、m、R1、R2、R3、R4およびXは、式(I)に対して定義したものと同じである)の、α,ω-NH2または-OH末端基を含有するシリコーンと、ジイソシアナートOCN-Y-NCO(Yは、式(I)で与えられた意味を有する)と、場合により式H2N-B2-NH2またはHO-B2-OHであって、B2が式(IX)で定義したものと同じであるジオールまたはジアミンの結合剤との間の反応により得ることができる。
【0186】
2つの反応物、ジイソシアナートおよび結合剤、の間の化学量論的割合によれば、Yは、dが0に等しいか、またはdが1から5に等しい式(IX)を有することができる。
【0187】
式(II)または(III)のポリアミドシリコーンの場合と同様に、本発明においては異なる長さおよび構造の部分、特にシリコーン部分の数によってその長さが異なる部分を含有するポリウレタンまたはポリ尿素シリコーンを使用することが可能である。この場合、そのコポリマーは、例えば式:
【0188】
【化30】

【0189】
に対応することができ、上式中、R1、R2、R3、R4、X、YおよびUは、式(VIII)に対して定義したものと同じであり、m1、m2、nおよびpは、式(V)に対して定義したものと同じである。
【0190】
分枝状ポリウレタンまたはポリ尿素シリコーンは、また、ジイソシアナートOCN-Y-NCOの代わりに、式:
【0191】
【化31】

【0192】
のトリイソシアナートを使用して得ることができる。
【0193】
水素の相互作用を確立することが可能な基を有するオルガノシロキサン鎖を含む分枝を含有するポリウレタンまたはポリ尿素シリコーンは、このようにして得られる。上記ポリマーは、例えば、式:
【0194】
【化32】

【0195】
に対応する部分を含み、上式中、X1およびX2は、同一かまたは異なっており、式(I)でXに対して与えられた意味を有しており、nは、式(I)で定義したものと同じであり、YおよびTは、式(I)で定義したものと同じであり、R11からR18は、R1からR4と同じ基から選択される基であり、m1およびm2は、1から1000の範囲の数であり、pは、2から500の範囲の整数である。
【0196】
ポリアミドの場合と同様に、このコポリマーもまた分枝のないポリウレタンシリコーン部分を含むことができる。
【0197】
本発明のこの第2の実施形態において、好ましいシリコーン系ポリ尿素およびポリウレタンは:
・ 式(VIII)であって、mが、15から50であるポリマー、
・ 式(VIII)であって、mが、30から500であるポリマー、
・ 少なくとも1つのポリマーが、15から50の範囲のmの値を有しており、少なくとも1つのポリマーが、30から50の範囲のmの値を有している2つ以上のポリマーの混合物、
・ 15から50の範囲内で選択されるm1と30から500の範囲内で選択されるm2とが、m1に対応する割合がポリマーの全体重量の1重量%から99重量%、およびm2に対応する割合がポリマーの全体重量の1重量%から99重量%である式(XII)のポリマー、
・ 1) nが、2から10、特に3から6に等しいポリマーの1重量%から20重量%と、
2) nが、30から500、特に30から100の範囲内であるポリマーの80%から99%
とを組み合わせた式(VIII)のポリマーの混合物、
・ 基Yの少なくとも1つが、少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含有する式(VIII)の2つの部分を含むコポリマー、
・ 二酸の代わりに少なくとも一部分の活性化した二酸(二酸クロリド、二酸無水物またはジエステル)により合成した式(VIII)のポリマー、
・ Xが、-(CH2)3-または-(CH2)10-を表す式(VIII)のポリマー、および
・ ポリマーが、脂肪酸、脂肪アルコールおよび脂肪アミン、例えば、オクチルアミン、オクタノール、ステアリン酸およびステアリルアルコール等を含む、一官能性アミン、一官能性酸、一官能性アルコールからなる群から選択される一官能性鎖の末端を持つ式(VIII)のポリマー
である。
【0198】
ポリアミドの場合と同様に、ポリウレタンまたはポリ尿素シリコーンと炭化水素系ポリウレタンまたはポリ尿素とのコポリマーを、そのポリマーを合成するための反応を非シリコーン性のα,ω-二官能ブロック、例えば、ポリエステル、ポリエーテルまたはポリオレフィンの存在下で実施することにより、本発明で使用することができる。
【0199】
既に見てきたように、本発明のホモポリマーまたはコポリマーからなるゲル化剤は、ポリマーの主鎖中にシロキサン部分と、ポリマーの主鎖中またはその末端、あるいは主鎖の側鎖もしくは分枝のいずれかに水素の相互作用を確立することが可能な基とを含有することができる。これは、次の5つの配列:
【0200】
【化33】

【0201】
に対応することができ、上式中、実線は、シロキサンポリマーの主鎖であり、正方形は、水素の相互作用を確立することが可能な基を表す。
【0202】
(1)の場合、水素の相互作用を確立することが可能な基は、主鎖の末端に配置されている。(2)の場合、水素の相互作用を確立することが可能な2つの基が、主鎖の各末端に配置されている。
【0203】
(3)の場合、水素の相互作用を確立することが可能な基は、主鎖内で繰り返し部分中に配置されている。
【0204】
(4)および(5)の場合、これらは、水素の相互作用を確立することが可能な基が、水素の相互作用を確立することが可能な基を含まない部分と共重合する部分の最初の1組の主鎖の分枝に配置されている。n、xおよびyの値は、これらにより、ポリマーが、シリコーンオイルに基づく脂肪相をゲル化させるための作用物質の点から見た望ましい特性を有することを示す。
【0205】
本発明によれば、少なくとも1つのシリコーンオイルを含有する液体脂肪相の構造化は、上で述べたポリマーの1つまたは複数と、このまたはこれらのポリマーの融解温度および溶融のエンタルピーを低下することが可能な1つまたは複数の化合物との組合せの助けにより得られる。
【0206】
使用することができるポリマーの例としては、文献US-A-5981680の実施例1から3により得られるシリコーンポリアミドを挙げることができる。
【0207】
本発明の組成物に使用されるポリマーおよびコポリマーは、有利には、65℃から190℃の軟化点を有する。好ましくは、それらは70から130℃の範囲、さらに良いのは80℃から105℃の軟化点を有する。この軟化点は既知の構造化ポリマーのそれよりも低く、それにより、ポリマーの使用を容易にし、揮発性オイルの使用を可能にし、液体脂肪相の劣化を抑制する。
【0208】
それらは、シリコーンオイル中で良好な溶解性を有しており、肉眼的に均一な組成物を生成する。好ましくは、それらは、500から200000、例えば1000から100000、好ましくは2000から200000の平均分子量を有する。
【0209】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下することが可能な化合物
本発明による化合物は、構造化ポリマーの溶融のエンタルピー(ΔH)および場合により融解温度(m.p.)を下げ、引き下げまたは低下させることが可能な、好ましくは溶融のエンタルピー(ΔH)および融解温度(m.p.)を下げることが可能な1つまたは複数の化合物を含有する。このまたはこれらの化合物は、組成物の塗布を容易にし、これらの組成物により得られる付着を改良することが可能である。すなわち、この付着は、これらの化合物を含有していない組成物により同じ条件下で得られるものより質量が豊富である。前記の化合物は、脂肪相の構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を下げ、引き下げまたは低下させることが可能である。
【0210】
溶融のエンタルピーを下げるという表現は、ポリマーが、それが一旦このまたはこれらの化合物と接触すると、存在するポリマーの質量との関連で表して、純粋な状態でそれが示すものより低いエンタルピーを有することを意味するものと理解されたい。
【0211】
溶融のエンタルピーは、示差走査熱量測定法、例えば、TA Inst.社によりMDSC2920の名称で販売されている熱量計を用いて、1分当たり2℃の温度上昇を適用するいわゆる出力補償熱量分析技術(示差走査熱量測定法)により測定する。
【0212】
溶融のエンタルピーは、得られた温度記録曲線の下の面に相当する。
【0213】
その温度記録は、出力補償の示差熱測定エンタルピー曲線であり、この曲線は、x軸上の温度の関数としてy軸上にプロットした時間の単位により与えられる熱量を表す。
【0214】
溶融のエンタルピーの低下(ΔH)は、組成物中の上記の化合物の量に依存する。この量は、溶融のエンタルピーの減少(ΔH)を引き起こすのに十分なものであり、この減少は、一般に少なくとも3J/純粋なポリマーのg、好ましくは少なくとも4J/純粋なポリマーのg、さらに好ましくは5〜10J/gである。
【0215】
化合物が、そのような量で含まれる場合に、上で記載したすべての効果が観察される。言い換えると、溶融のエンタルピーの減少を引き起こすことが潜在的に可能であるこれら化合物の十分な量の組込みによって、この最初は単に潜在的な効果をそれらに発揮させることが事実上可能となる。
【0216】
加えて、前記の化合物は、一般に構造化ポリマーの融解温度(m.p.)を下げることもまた可能である。
【0217】
融解温度、融点を下げるという表現は、ポリマーが、それが一旦このまたはこれらの化合物と接触すると、純粋な状態でそれが示すものより低い融解温度を有することを意味するものと理解されたい。
【0218】
融解温度、融点は、本発明によれば、示差走査熱量測定法、例えば、TA Inst.社によりMDSC2920の名称で販売されている熱量計を用いて、1分当たり2℃の温度上昇を適用するいわゆる出力補償熱量分析技術(示差走査熱量測定法)により測定される融点に相当する。融点とみなされるのは、得られた温度記録の最も吸熱的なピークの温度に相当する点である。温度記録は上で定義した。
【0219】
本発明の組成物中に含まれる融点を低下することが可能な化合物により引き起こされる融解温度の低下の値を求めるには、純粋なポリマーの融解温度を最初に上の方法により測定し、次にそのポリマーを先に確定したそのm.p.より上で、融解温度を下げるか減少することが可能な1つまたは複数の化合物と共に可溶化し、そのポリマーと化合物との混合物について、同じ方法により同じ条件下で融点を測定する。
【0220】
融解温度の低下は、組成物中の上記の化合物の量に依存する。この量は、ポリマーの融解温度の真の減少または低下を引き起こすのに十分なものでなければならない。この減少またはこの低下は、一般に少なくとも3℃、好ましくは少なくとも4℃、さらに好ましくは5〜20℃である。
【0221】
加えて、融解温度および溶融のエンタルピーを低下することが可能な化合物は、有利には、肉眼的に均一であり、かつ/または組成物の脂肪相に可溶性もしくは分散性である組成物をもたらす化合物である。
【0222】
肉眼的に均一な組成物とは、室温(20℃と25℃の間)で、裸眼で単一の相として観察される組成物である。
【0223】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーを低下することが可能な化合物は、好ましくは組成物の脂肪相に可溶性である。すなわち、その化合物は、個々の分子の形でその脂肪相に分布している。
【0224】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーを低下することが可能な化合物は、有利には組成物の脂肪相に分散性である。すなわち、その化合物は、裸眼では感知できない大きさを有する分子の塊の形で、その脂肪相に均一に分布している。
【0225】
これらの特性は、これらの化合物が構造化ポリマーと、および場合により組成物のその他の化合物と「相容性」であるという事実によって説明することができる。
【0226】
好ましくは、ポリマーの溶融のエンタルピーを低下することが可能な化合物は、また、融解温度も低下する。
【0227】
さらに好ましくは、これらの化合物は、融解温度を低下し、肉眼的に均一な組成物をもたらす。
【0228】
言い換えると、好ましくは、本発明の組成物で使用する特定の化合物は、上記の融解温度の低下、溶融のエンタルピーの低下および肉眼的に均一な組成物の形成と関係する3つの条件を同時に満足しなければならない。
【0229】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合によって融解温度の低減を引き起こすことが可能な化合物は、ポリマーの水素結合との相互作用が可能な自由電子二重項を含む少なくとも1つの官能基を含む炭化水素および/またはシリコーン化合物から選択される。この官能基は、例えば、ヒドロキシル(アルコール)、カルボキシル、アミノ、第一級、第二級および第三級アミン、尿素およびウレタン、エーテルならびにエステルから選択される。
【0230】
好ましい官能基は、アルコールの官能基であり、その結果構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合によって融解温度の減少を引き起こすことが可能な化合物は、好ましくは、モノアルコール、ジオールおよびトリオールなどのポリオール、ならびにポリオールエーテルから選択する。
【0231】
特に、溶融のエンタルピーおよび場合によって融解温度の減少を引き起こすことが可能なその化合物は、シリコーンジオールから選択することができる。
【0232】
適当なシリコーンジオールは、その記載に対して参照文献とすることができる文献US-A-5969172に特に記載されており、GENERAL ELECTRIC社により販売されている。
【0233】
この文献の化合物は、次の式:
MaM'bDcD'dTeT'fQg
に対応し、
下付き文字a、c、d、e、fおよびgは、下付き文字b、dおよびfの合計が1以上であるという条件で、ゼロまたは正の整数であり、
Mは、式:
RI3SiO1/2
を有しており、
各R'は、独立して、1から40個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を表し、
M'は、式:
RII3-hRIIIhSiO1/2
を有しており、
各RIIは、独立して、1から40個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、RIIIは、H2(OH)CCH(OH)CH2OCH2CH2CH2-および(HOCH2)2C(CH2CH3)CH2OCH2CH2CH2-、(下付き文字hは、1、2または3である)からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、
Dは、式:
RIV2SiO2/2
を有しており、
各RIVは、独立して、1から40個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
D'は、式:
RV2-iRVIiSiO2/2
を有しており、
各RIVは、独立して、1から40個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、RVは、H2(OH)CCH(OH)CH2OCH2CH2CH2-および(HOCH2)2C(CH2CH3)CH2OCH2CH2CH2-、(下付き文字iは、1、または2である)からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、
Tは、式:
RVIISiO3/2
を有しており、
各RVIIは、独立して、1から40個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
T'は、式:
RVIIISiO3/2
を有しており、
RVIIIは、H2(OH)CCH(OH)CH2OCH2CH2CH2-および(HOCH2)2C(CH2CH3)CH2OCH2CH2CH2-からなる群から選択される一価の炭化水素基であり、Qは、式SiO4/2を有する。
【0234】
好ましい化合物は、次の表3に示す化合物である。
【0235】
【表3】

【0236】
表3において、1,3-ジオールは、官能基すなわちRIII、RVまたはRVIIIが、基(HOCH2)2C(CH2CH3)CH2OCH2CH2CH2-、すなわちトリメチロールプロパン(TMPMAE)のモノアリルエーテルであることを意味し、1,2-ジオールは、官能基がH2(OH)CCH(OH)CH2OCH2CH2CH2-、すなわちモノアリルグリセリンから誘導される基でることを意味する。
【0237】
表3において、さらに好ましい化合物は、M'D3M'、M'D7,5M'、M'D10M'およびM'D25M'である。
【0238】
溶融のエンタルピー、および場合により融解温度の減少を引き起こすことが可能な化合物は、また、シロキサンのアルキル基が1から4個の炭素原子を有しており、アルキレン基が1から4個の炭素原子を有しているオキシアルキレン化ポリジ(アルキル)シロキサンタイプであり、好ましくは、ポリジ(アルキル)シロキサンアルキル基が、メチル基であり、オキシアルキレン基がオキシプロピレン基および/またはオキシエチレン基であり、その化合物がPDMSオキシプロピレンおよび/またはPDMSオキシエチレンである化合物から選択することもできる。
【0239】
このタイプの化合物は、ジメチコンポリオールまたはコポリオール(PDMS-EO-PO)の名前で知られており、その中で、表示ABIL B 8873の下で販売されているDEGUSSA製のポリジメチルシロキサンオキシエチレン(7/9EO)オキシプロピレン(10/14PO)、またはINCI名称PEG/PPG-17/18ジメチコンの下で知られており、「Q2-5220樹脂変性剤」の品名の下でDOW CORNINGにより販売されているポリジメチルシロキサンオキシエチレン(200E)オキシプロピレン(200P)を挙げることができる。
【0240】
ポリマーの溶融のエンタルピー、および場合により融点の低下を引き起こすことが可能な他の化合物は、ポリアルキレン(1〜4個の炭素原子)グリコールのモノアルキルエーテル、例えばポリプロピレングリコールの、または式:
H-[OCH(CH3)CH2]nO-(CH2)13-CH3
であって、nが2から200であるポリプロピレングリコールのモノミリスチルエーテル等のポリアルキレングリコールのモノアルキルエーテルである。
【0241】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度の低下を引き起こすことが可能な化合物の他の群は、8個を超える炭素原子を有する直鎖状または分枝状脂肪族モノアルコール、例えば12から26個の炭素原子の、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール等であり、好ましいアルコールはオクチルドデカノールである。
【0242】
1つまたは複数のポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度の低下を引き起こすことが可能な化合物は、単一の化合物、または別法では、それぞれを、上で定義した化合物のいずれかのグループまたは群から選択できるこれらの化合物のいくつかを包含することが可能である。
【0243】
ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度の低下を引き起こすことが可能な1つまたは複数の化合物の含量は、一般に、5から25重量%、好ましくは10から20重量%である。
【0244】
この量は、上で定義した十分な量であり、ポリマーの溶融のエンタルピーとあるいはポリマーの融解温度の、一般にそれぞれ少なくとも3J/gおよび少なくとも3℃の減少を得ることを可能とする。
【0245】
化粧品組成物中に、PASi等のポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を減ずる化合物を使用することは、技術的に知られていない。そのような化合物の本発明による特定のポリマーとの組合せは、従来技術には記載されていないし、示唆されてもいない。従来技術に照らして、上記の組合せが、特性、特にこの組合せを含む化粧品組成物の塗布の容易さおよび場合による光沢の驚くべき改良、ならびにこの組合せを含む化粧品組成物から得られる付着の特に質量および場合により光沢の改良にもつながることを思いつかせるものは何も無かった。
【0246】
ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下する化合物、ならびに構造化ポリマーの量は、組成物の所望の硬さおよび所望の安定性によるのと予想される特定の用途とにより選択することができる。(少なくとも1つの)構造化ポリマーと溶融のエンタルピーおよび場合により融点を低下させる化合物のそれぞれの量は、それ自身の重量の影響下で流れることがない崩壊可能な固体であるようにすることができる。
【0247】
スティックに対応する本発明の1つの実施形態によれば、該組成物は、好ましくは20から2000gf、さらに良いのは20から900gf、特に20から600gf、例えば150から450gfの範囲の硬さを有する。この硬さは、特に高さが25mm、直径が8mmのエボナイトのシリンダーを装着したテクスチャアナライザ(例えば、Rheo製のTA-TXT2i)の助けにより前記組成物中にプローブを侵入させる方法により測定することができる。硬さの測定は、前記組成物の5個の試料の中心で、20℃で行う。シリンダーを、組成物の各試料中に2mm/秒の前段速度で、続いて0.5mm/秒の速度で、最後に2mm/秒の後段速度で、全体の変位が1mmとなるように導入する。記録される硬さの値は、最大ピークの値である。測定誤差は±50gfである。
【0248】
硬さは、また、直径が12.7mmの口紅の管を切断することおよび100mm/分の速度で移動するIndelco-Chatillon社製のDFGHS 2引っ張り試験機を使用して20℃での硬さを測定することに本質がある「チーズワイヤ」法により測定することもできる。それは、スティックをこれらの条件下で切断するために要するせん断力(グラム-力で表される)として表現される。この方法によれば、本発明によるスティックの形の組成物の硬さは、スティックの直径が12.7mmに等しいとき、30から300gf、好ましくは30から250gf、例えば30から200gf、さらに良いのは30から120gfの範囲である。
【0249】
組成物の硬さは、その組成物が自立性であり、皮膚および唇に満足な付着を形成するために容易に崩壊することができる限り、それ以上に低くてもよい。本発明の組成物中にはポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により温度を低下することが可能な化合物が存在するお陰で、いかなる場合でも容易な塗布および十分な量の満足な付着が得られる。
【0250】
加えて、これらの硬さの値で、本発明の組成物は優れた衝撃強さを示す。
【0251】
一般に、シリコーンポリマー/該ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な化合物の質量比は、一般に0.1から50の範囲、好ましくは0.5から25、さらに良いのは1から15である。
【0252】
該構造化シリコーンポリマーは、好ましくは組成物の5から30重量%に相当する。
【0253】
他の添加剤
本発明の組成物は、また、考慮中の分野で通常使用される任意の材料、特に充填剤、ポリオールまたは脂肪相に可溶性の染料、酸化防止剤、エッセンシャルオイル、保存剤、香料、脂溶性ポリマー、特にポリアルキレンまたはポリラウリン酸ビニル等の炭化水素系脂溶性ポリマー、液体脂肪相構造化剤、ワックス、ガム、樹脂、界面活性剤例えばリン酸トリオレイル、例えば、水、皮膚軟化剤、保湿剤、ビタミン、液体ラノリン、必須脂肪酸、脂肪親和性日焼け止め剤またはポリオールに可溶性の日焼け止め剤等のさらなる化粧用または皮膚科用活性物質、およびそれらの混合物も含むことができる。本発明による組成物は、また、イオン性および/または非イオン性タイプの脂質ベシクルを含有することもできる。水以外のこれらの材料は、常法により組成物中に組成物の全体重量の0%から20%、好ましくは0.01%から20%、さらに良いのは0.1%から10%の範囲で存在させることができる。
【0254】
組成物が水相を含有する場合、それは、単層または多層乳剤の場合であり、この水相は、組成物の全体重量の0.1%から70%に相当することができ、特に0.5%から40%、さらに良いのは1%から20%である。この水相は、ポリオール等の任意の水混和性化合物を含有することができ、場合によって適当なゲル化剤によりゲル化していてもよい。
【0255】
言うまで無く、当該技術に熟達した者であれば、本発明による組成物の有利な特性が、考えている添加によって悪影響を受けないか実質的に受けないように、最適な追加材料および/またはその量を選択するように注意を払うであろう。
【0256】
本発明の組成物は、1つまたは複数のワックス、例えばポリエチレンワックスを特に含有することができるが、光沢がありまたは透明でさえある製品を得ることが望まれる場合は、ワックスの使用は避ける。一般に、ワックスの量は、組成物の全体重量の20%および好ましくは10%を超えることはなく、それは、例えば、3%から5%に相当する。ワックスが不在であるか少量のワックスの存在でも、本発明による組成物は、いずれも上記の有利な性質を示す。
【0257】
本発明による組成物は、スティックもしくはドームの形、または成型品の形の、皮膚、唇および/または身体表面成長部分等ケラチン物質のための場合によって着色されたケア用組成物の形態、陽射し避けまたはケア用組成物の形態、特にメーキャップ除去製品の形態であり得る。それは、特に、皮膚、身体表面成長部分または唇のためのケアベース(唇を寒冷および/または日光および/または風から保護するためのリップクリーム、または皮膚、爪または毛髪のためのケアクリーム)として使用することができる。
【0258】
本発明の組成物は、特に軟らかい透明なゲルまたは透明なスティックの形で提供することができる。
【0259】
本発明の組成物は、また、場合によってケアまたはトリートメントの特性を有するファンデーション、ほお紅、フェースパウダー、アイシャドウ、コンシーラー製品、アイライナーまたはボディ用のメーキャップ製品;場合によってケアまたはトリートメントの特性を有する例えば、口紅、リップグロスまたはペンシル等唇のメーキャップ;身体表面成長部分例えば爪または特にマスカラケーキの形のまつ毛のため、あるいはまゆ毛および毛髪のための特にペンシルの形のメーキャップの形であることができる。
【0260】
特に、本発明の組成物は、化粧品活性物質、例えば、エッセンシャルオイル、ビタミン、保湿剤、日焼け止め剤、およびセラミドを含有する化粧品製品であり得る。
【0261】
メーキャップ組成物の場合、疎水性または親水性固体粒子が、皮膚、唇および/または身体表面成長部分をメーキャップするための顔料を構成することができる。
【0262】
言うまでもなく、本発明の組成物は、化粧品的にまたは皮膚科的に許容できなければならない。すなわち、それは、ヒトの皮膚、身体表面成長部分または唇に塗布することができる無毒の生理的に許容できる媒体でなければならない。本発明の目的のため、「化粧品的に許容される」という表現は、心地よい外観、匂いおよび感触の組成物を意味する。
【0263】
さらに、本発明によるメーキャップまたはケア組成物は、快適であり、緊張を引き起こさない製品を得るために、質量で少なくとも10%の不揮発性オイル(シリコーンオイルまたは非シリコーンオイル)および/またはペースト状または粘稠な生成物質を含まなければならない。
【0264】
ペースト状生成物質という表現は、液体部分と固体部分とを含有する粘稠な脂肪物質を意味するものと理解されたい。本発明の目的のため、「ペースト状脂肪物質」という表現は、20から55℃、好ましくは25から45℃の範囲の融点、および/または60Hzの電力供給に対して240回転/分、または50Hzの電力供給に対して200回転/分で回転するスピンドルを備えたContraves TVまたはRheomat 180粘度計を用いて測定するか、または、別法では、Haake Rs75レオメータ上40℃のフラットコーンスピンドルにおいて観察されるニュートン領域の流動で測定した40℃で0.1から40Pa(1から400ポアズ)、好ましくは0.5から25Paの範囲の粘度を有する脂肪物質を意味する。
【0265】
当該技術に熟達した者であれば、その人の一般知識に基づいて、試験したペースト状配合物の粘度を測定することができるように、その粘度測定のためのスピンドルを選択することができる。
【0266】
融点の値は、本発明により、そして既に上で示したように、20℃/分の温度上昇による「示差走査熱量測定」法により測定される最大の吸熱性融解ピークと一致する。
【0267】
本発明で使用することができるペースト状生成物質の例として、18から21Pa、好ましくは19から20.5Paの粘度、および/または30から55℃、好ましくは30から40℃の融点を有するラノリンおよびラノリン誘導体、例えば、アセチル化ラノリンまたはオキシプロピレン化ラノリンまたはイソプロピルラノラート、およびそれらの混合物を挙げることができる。脂肪酸または脂肪アルコールのエステル類、特に20から65個の炭素原子を含有するもの(約20から35℃の融点および/または40℃における0.1から40Paの範囲の粘度)、例えば、クエン酸トリイソステアリルまたはクエン酸セチル、プロピオン酸アラキジル、ポリラウリン酸ビニル、コレステロールエステル類、例えば、水素化植物油等の植物起源のトリグリセリド、粘性のあるポリエステル、例えばポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)およびそれらの混合物もまた使用することができる。使用することができる植物起源のトリグリセリドとしては、Rheox製の「THIXINR」等の水添ヒマシ油誘導体が含まれる。
【0268】
8から24個の炭素原子を含有するアルキルまたはアルコキシタイプのペンダント鎖を含有し、20〜55℃、例えば20から40℃の融点を有する例えばステアリルジメチコンを含有するポリジメチルシロキサン(PDMS)、特にDow Corning社によりDC2503およびDC25514の商標名で販売されているものおよびそれらの混合物等のシリコーン系ペースト状脂肪物質も挙げることができる。
【0269】
そのペースト状脂肪物質は、組成物の全体重量に対して、0から60重量%の割合、好ましくは0.1〜45重量%の割合、さらにより好ましくは2〜30重量%の割合で存在させることができる。
【0270】
本発明によれば、該組成物は、一般に、さらに充填剤および顔料(真珠光沢顔料を含む)およびそれらの混合物から選択される固体粒子を含む。
【0271】
顔料という表現は、組成物中に不溶性で色および/または虹色の外観を与えかつ/または修正するために寄与する任意の固体粒子を意味するものと理解されたい。
【0272】
その顔料は白色または有色の、無機および/または有機であり、被覆されていてもいなくてもよい。無機顔料は、例えば、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタンおよびそれらの混合物から選択することができる。無機顔料の中では、例えば、場合により表面処理されている酸化チタンまたは酸化亜鉛、および酸化鉄または酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、クロム水和物および鉄青が挙げられる。有機顔料の中では、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、カルミン、バリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはアルミニウムに基づくラッカーを挙げることができる。顔料は、組成物の全体重量の0.1から50%、好ましくは0.5から40%、さらに良いのは2から30%に相当することができる。
【0273】
本発明によれば、該組成物は、さらに、脂肪親和性染料、親水性染料およびそれらの混合物から選択される着色料を含有することができる。
【0274】
この着色料は、一般に、それが存在する場合、組成物の全体重量の0.01から50%、好ましくは5から30%の量で存在する。着色の効果は、既に固体粒子との関連で上で記した顔料(および真珠光沢顔料)によっても提供され得ることに注意すべきである。
【0275】
脂溶性染料は、例えば、スーダンレッド、DC Red 17、DC Green 6、β-カロテン、大豆油、スーダンブラウン、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5、キノリンイエロウおよびアンナットである。
【0276】
疎水性染料は、特に、ビートジュースおよびメチレンブルーである。可溶性染料は、組成物重量の0%から20%に相当することができ、さらに良いのは0.1%から6%である(存在する場合)。
【0277】
本発明による組成物は、化粧品または皮膚科分野で一般に使用されている既知の方法により製造することができる。それは、ポリマーを少なくともその軟化点まで加熱し、そこに任意のワックスおよび/またはペースト状配合物、オイル、ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を下げる化合物を添加し、次いで全体を透明な溶液が得られるまで混合することからなる方法により製造することができる。着色料および/または固体粒子ならびに添加剤を、次に攪拌しながら加える。得られた均一な混合物は、次に口紅の型等の適当な型か、または直接包装用物品特にケースまたは皿の中に注型することができる。
【0278】
本発明の主題は、また、皮膚、唇および/または身体表面成長部分用の構造化されたメーキャップ固体組成物であって、それは、皮膚、唇および/または身体表面成長部分に塗布するために十分な量の少なくとも1つの顔料と、
・部分の鎖中またはグラフトの形態の中に、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基
を含む少なくとも1つの前記部分を含有する500から500000の範囲の重量平均分子量を有する少なくとも1つのポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)により構造化されている液体連続脂肪相とを含み、
該ポリマーは、室温で固体であり、該液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であり、
前記液体脂肪相は、該構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な少なくとも1つの化合物を含み、
前記組成物は、場合によって固体の形で提供され、該顔料、該液体脂肪相、構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な該化合物、および該構造化ポリマーが、生理的に許容できる媒体を形成している。
【0279】
このメーキャップ組成物は、好ましくは自立性である。
【0280】
本発明の主題は、また、構造化された口紅組成物であって、それは、唇に塗布するために十分な量の少なくとも1つの顔料と、
・部分の鎖中またはグラフトの形態の中に、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基
を含む少なくとも1つの前記部分を含有する500から500000の範囲の重量平均分子量を有する少なくとも1つのポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)により構造化されている液体連続脂肪相とを含み、
該ポリマーは、室温で固体であり、該液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であり、
該液体脂肪相は、該構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な少なくとも1つの化合物を含み、該顔料、該脂肪相、該ポリマーおよび構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な該化合物が、生理的に許容できる媒体を形成している。
【0281】
本発明は、ヒトのケラチン物質に対する本発明による化粧品組成物をそのケラチン物質に塗布することを含む美容のケア、メーキャップまたはトリートメントの方法に関する。
【0282】
本発明の主題は、また、連続液体脂肪相を含有する化粧品組成物中または生理的に許容される組成物を製造するための、十分な量の500から500000の範囲の重量平均分子量を有している少なくとも1つのポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)の使用であって、(該ポリマーは、)
・部分の鎖中またはグラフトの形態の中に、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基
を含む少なくとも1つの該部分を含有しており、
該ポリマーは、室温で固体であり、該液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であり、
該液体脂肪相は、場合により、部分的または完全に40℃以上の引火点を有するシリコーンオイルからなり、該構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な1つの化合物を含み、
前記組成物は、20から2000gf、好ましくは20から900gf、さらに良いのは20から600gfの範囲の硬さの自立性固体の形で提供される。
【0283】
本発明の主題は、また、500から500000の範囲の重量平均分子量を有する十分な量の少なくとも1つのポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)により基本的に構造化されている連続液体脂肪相の使用であって、(該ポリマーは、)
・部分の鎖中またはグラフトの形態の中に、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基
を含む少なくとも1つの該部分を含有しており、
該ポリマーは、室温で固体であり、該液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であり、
該液体脂肪相は、場合により、部分的もしくは完全に40℃以上の引火点を有するシリコーンオイルからなり、該ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な1つの化合物を化粧品組成物中に、または塗布が容易でありかつ/または豊富な質量の付着を与える生理的に許容される組成物を製造するために含む。
【0284】
本発明の主題は、また、500から500000の範囲の重量平均分子量を有しており、
・部分の鎖中またはグラフトの形態の中に、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基から選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基
を含む少なくとも1つの前記部分を含有している十分な量の少なくとも1つのポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)の使用であって、
該ポリマーは、室温で固体であり、液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であり、
化粧品組成物中の、または液体連続脂肪相および該ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な少なくとも1つの化合物を含有する塗布が容易でありかつ/または豊富な質量の付着を与える生理的に許容される組成物を製造するための、前記組成物を自立性固体の形に構造化するための使用である。
【0285】
本発明の主題は、また、基本的に構造化されている連続脂肪相の、500から500000の範囲の重量平均分子量を有しており、
・部分の鎖中またはグラフトの形態の中に、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基
を含む少なくとも1つの前記部分を含有している十分な量の少なくとも1つのポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)との組合せの使用であって、
該ポリマーは、室温で固体であり、液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であり、
該液体脂肪相は、場合により部分的または完全に40℃以上の引火点を有する揮発性オイルからなり、化粧品組成物中に、または生理的に許容される組成物を製造するために、該ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な少なくとも1つの化合物を、前記組成物の塗布を容易にするため、および/または場合によりその光沢および前記組成物の付着の光沢を増すための作用物質として含んでいる。
【0286】
本発明は、さらに、500から500000の範囲の重量平均分子量を有しており、
・部分の鎖中またはグラフトの形態の中に、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基
を含む少なくとも1つの前記部分を含有している十分な量の少なくとも1つの構造化ポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)により場合により構造化されている連続液体脂肪相の使用に関するものであり、
該ポリマーは、室温で固体であり、液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であり、
該液体脂肪相は、場合により部分的または完全に揮発性オイルからなり、化粧品組成物中に、または生理的に許容される組成物を製造するために、該ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な少なくとも1つの化合物を、前記組成物の付着の質量を増すための作用物質として含んでいる。
【0287】
これら使用の有利な特長により、該組成物は、20から2000gf、好ましくは20から900gfさらに良いのは20から600gfの硬さを有する。
【0288】
本発明は、また、液体脂肪相を含有する化粧品組成物の塗布を容易にするための化粧方法に関するものであって、前記脂肪相を、500から500000の範囲の重量平均分子量を有しており、
・部分の鎖中またはグラフトの形態の中に、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基
を含む少なくとも1つの前記部分を含有している十分な量の少なくとも1つのポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)であって、
室温で固体であり、液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であるポリマー
により前記脂肪相を構造化すること、
および該組成物中に該ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な少なくとも1つの化合物を添加することよりなる。
【0289】
本発明は、また、液体脂肪相を含有する化粧品組成物の付着の質量を増すための化粧方法に関するものであって、前記脂肪相を、500から500000の範囲の重量平均分子量を有しており、
・部分の鎖中またはグラフトの形態の中に、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基
を含む少なくとも1つの前記部分を含有している十分な量の少なくとも1つのポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)であって、
室温で固体であり、液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であるポリマー
により前記脂肪相を構造化すること、
および該組成物中に該ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な少なくとも1つの化合物を添加することよりなる。
【0290】
本発明は、最後に、500から500000の範囲の重量平均分子量を有しており、
・部分の鎖中またはグラフトの形態の中に、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基
を含む少なくとも1つの前記部分を含有している少なくとも1つのポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)であって、
室温で固体であり、液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であるポリマー
により構造化されている連続液体脂肪族相を含む化粧品組成物または生理的に許容される組成物における
前記組成物の塗布を容易にし、前記組成物の付着の質量を増すように、該ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な化合物の十分な量の使用に関する。
【0291】
本発明を、実例として非限定で示すメーキャップの処方を次の実施例でより詳細に説明する。量は質量%として示す。化合物は、主としてCTFA("International Cosmetic Ingredient Dictionary")名で示す。
【実施例】
【0292】
(実施例1:比較)
本発明に合致しないこの例においては、唇および顔のメーキャップの配合は、構造化剤としてはシリコーンポリアミドのシリコーンと、オイルとしてはフェニル化シリコーンとによりもっぱら調製した。
【0293】
その配合物を次いで顔料着色し、ポット中に注型した。
【0294】
調製した配合物の組成を下に示す。
【0295】
【表4】

【0296】
シリコーンポリマーを、110℃で融解し、オイルの一部と混合して液状混合物を得る。並行して顔料を残りのオイル中で磨砕する。最後に、顔料着色した磨砕製品をオイルとゲル化剤を合わせた混合物と110℃で混合する。
【0297】
スティックにより手の上に得られた付着は、細かくて不均一である。
【0298】
要するに、この比較例で調製した配合物は、塗布が硬くて困難であり、その間に非常にわずかの色しか付着しない。
【0299】
(実施例2)
この本発明による実施例では、その組成が20質量%のポリマーの融解温度を低下させる本発明による化合物、すなわちオクタドデカノールを配合に加えること以外は請求項1のそれと同じである。
【0300】
その配合物の組成を下に示す。
【0301】
【表5】

【0302】
シリコーンポリマーを、110℃で融解し、シリコーンオイルの一部およびオクタドデカノールと混合して液状混合物を得る。並行して顔料を残りのオイル中で磨砕する。最後に、顔料着色した磨砕製品をオイルとゲル化剤を合わせた混合物と110℃で混合する。
【0303】
型からはずした後得られた12.7mmのスティックの室温における外観は、平滑で均一であり光沢がある。
【0304】
実施例1と同様の条件下で調製して得られた付着は、実施例1のそれより豊富である。
【0305】
その付着は光沢がある。
【0306】
結論として、オクタドデカノールの存在のお陰で、本発明による配合物は、塗布が容易であり、付着は一層濃い色を有しており、例えば唇のメーキャップを可能にする。その上、製品および付着の光沢の改良が顕著である。
【0307】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
500から500000の範囲の重量平均分子量を有する少なくとも1つの構造化ポリマーにより構造化されている液体連続脂肪相を含む、メーキャップ用化粧品組成物であって、
前記ポリマーが少なくとも1つの部分を含み、前記部分が、
・前記部分の鎖中にまたはグラフトの形態で、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基、
を含み、
・該ポリマーが、室温で固体であり、該液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であり、 前記液体脂肪相が、該構造化ポリマーの溶融のエンタルピーを低下させることが可能な少なくとも1つの化合物を含み、
前記組成物が、少なくとも1つの顔料を含み、さらに、
前記液体脂肪相、前記構造化ポリマーおよび前記構造化ポリマーの溶融のエンタルピーを低下させることが可能な該化合物が、生理的に許容できる媒体を成す、組成物。
【請求項2】
液体脂肪相が、少なくとも1つの炭化水素オイルを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
液体脂肪相が、少なくとも1つのシリコーンオイルを含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
液体脂肪相が、35から135℃の範囲の引火点を有する少なくとも1つの揮発性オイルを含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
液体脂肪相が、25℃で0.01から300mmHgの範囲の蒸気圧を有する少なくとも1つの揮発性オイルを含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
揮発性オイルが、イソドデカン、イソヘキサデカン、C8〜C16イソパラフィン類、ネオペンタン酸イソヘキシルおよびネオペンタン酸イソデシルから選択される請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
揮発性オイルが、次の化合物:イソドデカン、オクチルトリメチコン、ヘキシルトリメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサンD5、オクタメチルシクロテトラシロキサンD4、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンD6、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、1.5cSt(25℃)のポリジメチルシロキサン、2cSt(25℃)のポリジメチル-シロキサン、3cSt(25℃)のポリジメチルシロキサン、5cSt(25℃)のポリジメチルシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項4または5に記載の組成物。
【請求項8】
揮発性オイルが、ペルフルオロポリエーテル類、ペルフルオロアルカン類、ペルフルオロアダマンタン類、ペルフルオロアルキルホスファート類のエステル類およびフッ素化エステルオイル類から選択される請求項4または5に記載の組成物。
【請求項9】
液体脂肪相が、不揮発性シリコーンオイルを含む請求項1乃至8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
液体脂肪相が、少なくとも30重量%、さらに好ましくは少なくとも40重量%のシリコーンオイルを含む請求項2から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
揮発性オイルが、組成物の全体重量の3から89.4%、好ましくは5から60%、例えば5から10%に相当する請求項4または5に記載の組成物。
【請求項12】
構造化ポリマーが、式:
【化1】

に対応する少なくとも1つの部分を含み、
上式中、
1) R1、R2、R3およびR4は、同じかまたは異なることができ、
直鎖状、分枝状または環状、飽和または不飽和のC1からC40の炭化水素系の基であって、それらの鎖中に1つまたは複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を含有していてもよく、かつ部分的または全体的にフッ素原子により置換されていてもよい基、
1つまたは複数のC1からC4のアルキル基により場合によって置換されているC6からC10のアリール基、
1つまたは複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を含有していてもよいポリオルガノシロキサン鎖
から選択される基を表し;
2) 基Xは、同じかまたは異なることができ、その鎖中に1つまたは複数の酸素および/または窒素原子を含有していてもよい直鎖状または分枝状のC1からC30のアルキレンジイル基を表し;
3) Yは、飽和または不飽和のC1からC50の直鎖状または分枝状の二価のアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、アルキルアリーレン基またはアリールアルキレン基であり、1つまたは複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を含有していてもよく、かつ/または置換基として次の原子または原子の群(フッ素、ヒドロキシル、C3からC8のシクロアルキル、C1からC40のアルキル、C5からC10のアリール、1から3個のC1からC3のアルキル基により場合によって置換されているフェニル、C1からC3のヒドロキシアルキルおよびC1からC6のアミノアルキル)の1つを有していてもよい基であるか、または
4) Yは、式:
【化2】

に対応する基を表し、
上式中、
Tは、ポリオルガノシロキサン鎖により場合によって置換されており、O、NおよびSから選択される1つまたは複数の原子を含有していてもよい直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のC3からC24の三価または四価の炭化水素系の基を表すか、またはTは、N、PおよびAlから選択される三価の原子を表し、
R5は、ポリマーの他の鎖に結合していてもよい1つまたは複数の、エステル基、アミド基、ウレタン基、チオカルバマート基、尿素基、チオ尿素基および/またはスルホンアミド基を含んでいてもよい直鎖状または分枝状のC1からC50のアルキル基またはポリオルガノシロキサン鎖を表し、
5) 基Gは、同じかまたは異なることができ、
【化3】

から選択される二価の基(R6は、ポリマーの基R6の少なくとも50%が水素原子を表し、ポリマーの基Gの少なくとも2つが:
【化4】

以外の基であるという条件で、水素原子または直鎖状または分枝状のC1からC20のアルキル基を表す)を表し;
6) nは、2から500まで、好ましくは2から200までの範囲の整数であり、mは、1から1000まで、好ましくは1から700まで、さらに良いのは6から200までの範囲の整数である
請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
Yが、
a) 直鎖状のC1からC20および好ましくはC1からC10のアルキレン基、
b) 環および非共役の不飽和を含んでいてもよいC30からC56の分枝状アルキレン基、
c) C5〜C6シクロアルキレン基、
d) 1つまたは複数のC1からC40のアルキレン基によって場合によって置換されているフェニレン基、
e) 1から5個のアミド基を含むC1からC20のアルキレン基、
f) ヒドロキシル基、C3からC8のシクロアルカン基、C1からC3のヒドロキシアルキル基およびC1からC6のアルキルアミン基から選択される1つまたは複数の置換基を含むC1からC20のアルキレン基、ならびに
g) 式:
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4、Tおよびmは、上で定義したものと同じである)
のポリオルガノシロキサン鎖
から選択される基を表す請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
構造化ポリマーが、式(II):
【化6】

に相当する少なくとも1つの部分を含み、
上式中、
R1およびR3は、同じかまたは異なることができ、請求項12の式(I)に対して上で定義したものと同じであり、
R7は、R1およびR3に対して上で定義したものと同じ基を表すか、または式-X-G-R9であって、式中XおよびGが、請求項12の式(I)に対して上で定義したものと同じである基を表し、R9が、水素原子、または1つまたは複数のフッ素原子および/または1つまたは複数のヒドロキシル基によって場合によって置換されているO、SおよびNから選択される1つまたは複数の原子をその鎖中に場合によって含む、直鎖状、分枝状または環状、飽和または不飽和のC1からC50の炭化水素系の基、または1つまたは複数のC1からC4のアルキル基によって場合によって置換されているフェニル基を表し、
R8は、式-X-G-R9であって、X、GおよびR9が上で定義したものと同じである基を表し、
m1は、1から998の範囲の整数であり、
m2は、2から500の範囲の整数である
請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ポリマーが、式(III)または(IV):
【化7】

の少なくとも1つの部分含み、
上式中、R1、R2、R3、R4、X、Y、mおよびnは、請求項12で定義したものと同じである
請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
Xおよび/またはYが、アルキレン基を表し、そのアルキレン部分に少なくとも1つの次の要素:
1) 1から5個のアミド基、尿素基またはカルバマート基、
2) C5またはC6のシクロアルキル基、および
3) 1から3個の同じかまたは異なるC1からC3のアルキル基により場合により置換されているフェニレン基、
を含有し、および/または
ヒドロキシル基、
C3からC8のシクロアルキル基、
1から3個のC1からC40のアルキル基、
1から3個のC1からC3のアルキル基により場合によって置換されているフェニル基、
C1からC3のヒドロキシアルキル基、および
C1からC6のアミノアルキル基
からなる群から選択される少なくとも1つの要素が置換されている請求項12から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
Yが、
【化8】

を表し、式中R5は、ポリオルガノシロキサン鎖を表し、Tは、式:
【化9】

の基を表し、
上式中、a、bおよびcは、独立して1から10までの範囲の整数であり、R10は、水素原子または請求項12でR1、R2、R3およびR4に対して定義したものと同じ基である請求項12から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
R1、R2、R3およびR4が、独立して、直鎖状または分枝状のC1からC40のアルキル基(好ましくは、CH3基、C2H5基、n-C3H7基またはイソプロピル基)、ポリオルガノシロキサン鎖または1から3個のメチル基またはエチル基により場合によって置換されているフェニル基を表す請求項12から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
構造化ポリマーが、少なくとも1つの式:
【化10】

の部分を含み、
上式中、X1およびX2は、同じかまたは異なり、請求項12でXに対して与えられた意味を有しており、n、YおよびTは、請求項12で定義したものと同じであり、R11からR18は、請求項12におけるR1からR4と同じ基から選択される基であり、m1およびm2は、1から1000の範囲の数であり、pは、2から500の範囲の整数である請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
pが、1から25、さらに良いのは1から7の範囲であり、
R11からR18が、メチル基であり、
Tが、次式:
【化11】

の1つに対応し、式中、R19は、水素原子またはR1からR4に対して定義した基から選択される基であり、R20、R21およびR22は、独立して、直鎖状または分枝状アルキレン基であり、より好ましくは、特に-CH2-CH2-を表すR20、R21およびR22を有する式:
【化12】

に対応し、
m1およびm2が、15から500、さらに良いのは15から45の範囲内であり、
X1およびX2が、-(CH2)10-を表し、
Yが、-CH2-を表す
請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
構造化ポリマーが、次の式:
【化13】

に対応する少なくとも1つの部分を含み、
上式中、R1、R2、R3、R4、X、Y、mおよびnは、請求項12で式(I)に対して上で与えられた意味を有しており、Uは、-O-もしくは-NH-を表し、または
Yは、C1からC15のアルキル基またはC5からC10のアリール基により置換されていてもよいC5からC12の脂環式または芳香族基、例えば、イソホロンジイソシアナートに由来する基であるメチレン-4,4-ビスシクロヘキシル基、2,4-および2,6-トリレン、1,5-ナフチレン、p-フェニレンおよび4,4'-ビフェニレンメタンから選択される基を表し、またはYは、直鎖状または分枝状のC1からC40のアルキレン基またはC4からC12のシクロアルキレン基を表し、または
Yは、いくつかのジイソシアナート分子の、1つまたは複数のジオールまたはジアミンタイプの結合剤分子との縮合に対応するポリウレタンブロックまたはポリ尿素ブロックを表し、
式:
【化14】

に対応し、式中、dは、0から5の整数であり、B1は、上でYに対して与えられた基から選択される基であり、Uは、-O-または-NH-であり、B2は、
直鎖状または分枝状のC1からC40のアルキレン基、
アルキル置換基、例えば1から3個のメチルもしくはエチル基、またはアルキレン置換基、例えばジオール基のシクロヘキサンジメタノールを場合によって有するC5からC12のシクロアルキレン基、
C1からC3のアルキル置換基を場合によって有することができるフェニレン基、および
式:
【化15】

(式中、Tは、1つまたは複数の、酸素、硫黄および窒素等のへテロ原子を場合により含有する炭化水素系の三価の基であり、R5は、ポリオルガノシロキサン鎖または直鎖状または分枝状のC1からC50のアルキル鎖である)の基
から選択される
請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
構造化ポリマーが、少なくとも1つの式:
【化16】

の部分を含み、上式中、R1、R2、R3、m1およびm2は、請求項12で式(I)に対して与えられた意味を有しており、
Uは、OまたはNHを表し、
R23は、OおよびNから選択される1つまたは複数のへテロ原子を場合によって含むC1からC40のアルキレン基、あるいはフェニレン基を表し、
R24は、直鎖状、分枝状または環状、飽和または不飽和のC1からC50のアルキル基、および1から3個のC1からC3のアルキル基により場合によって置換されているフェニル基から選択される
請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
構造化の系で使用されるポリマーが、少なくとも1つの式:
【化17】

の部分を含み、上式中、X1およびX2は、同じか異なっており、請求項12でXに対して与えられた意味を有しており、n、YおよびTは、請求項12で定義したものと同じであり、R11からR18は、請求項12におけるR1からR4と同じ基から選択される基であり、m1およびm2は、1から1000の範囲内の数であり、pは、2から500の範囲の整数である請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
構造化の系が、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから選択される水素の相互作用を確立することが可能な2つの基を含む炭化水素系の部分をさらに含む請求項12から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
コポリマーが、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーである請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
ポリマーが、組成物の全体重量の0.5から80%、好ましくは組成物の全体重量の2から60%に相当する請求項1乃至25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
ポリマーが、組成物の全体重量の5から40%に相当する請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
液体脂肪相が、組成物の全体重量の5から99%であり、さらに良いのは組成物の全体重量の20から75%に相当する請求項1乃至27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
溶融のエンタルピーを低下させることが可能な化合物が、構造化ポリマーの溶融のエンタルピーの低下を引き起こす十分な量で存在する請求項1乃至28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
溶融のエンタルピーの低下が、純粋ポリマー1g当たり少なくとも3J、好ましくは純粋ポリマー1g当たり少なくとも4J、さらに好ましくは5から10J/gである請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピー(ΔH)を低下させることが可能な前記化合物が、構造化ポリマーの融解温度を低下させることがさらに可能である請求項29から30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
化合物が、構造化ポリマーの融解温度の低下を引き起こす十分な量で存在する請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
構造化ポリマーの融解温度の低下が、少なくとも3℃、好ましくは少なくとも4℃、さらに好ましくは5から20℃である請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な化合物が、肉眼的に均一であって、かつ/または組成物の脂肪相に可溶性または分散性である組成物をもたらす化合物である請求項29から33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーを低下させる前記化合物が、さらに構造化ポリマーの融解温度も低下させ、かつ肉眼的に均一な組成物をもたらす請求項29から34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度の低下を引き起こすことが可能な化合物が、ポリマーの水素結合との相互作用が可能な少なくとも1つの遊離の電子対を含む少なくとも1つの官能基を含む炭化水素および/またはシリコーン化合物から選択される請求項1乃至35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記炭化水素および/またはシリコーン化合物が、ヒドロキシル官能基、カルボキシル官能基、アミノ官能基、第一級、第二級および第三級アミン官能基、尿素およびウレタン官能基、エーテル官能基ならびにエステル官能基から選択される少なくとも1つの官能基を含む請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度の低下を引き起こすことが可能な化合物が、モノアルコール、ジオールおよびトリオール等のポリオール、ならびにポリオールエーテルから選択される請求項36または請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度の低下を引き起こすことが可能な化合物が、シリコーンジオールから選択される請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度の低下を引き起こすことが可能な化合物が、シロキサンのアルキル基が1から4個の炭素原子を有しており、アルキレン基が1から4個の炭素原子を有しているオキシアルキレン化ポリジ(アルキル)シロキサンタイプの化合物から選択される請求項38に記載の組成物。
【請求項41】
ポリジ(アルキル)シロキサンのアルキル基が、メチル基であり、オキシアルキレン基が、オキシプロピレン基および/またはオキシエチレン基であり、化合物がPDMSオキシプロピレンおよび/またはPDMSオキシエチレンである請求項38に記載の組成物。
【請求項42】
溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度の低下を引き起こすことが可能な化合物が、ポリアルキレン(1〜4個の炭素原子)グリコールのモノアルキルエーテル、例えばポリプロピレングリコールの、または式:
H-[OCH(CH3)CH2]nO-(CH2)13-CH3
であって、nが2から200であるグリコールポリマーのモノミリスチルエーテル等のポリアルキレングリコールのモノアルキルエーテルから選択される請求項38に記載の組成物。
【請求項43】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度の低下を引き起こすことが可能な化合物が、8個を超える炭素原子を有する直鎖状または分枝状の脂肪族モノアルコールから選択される請求項38に記載の組成物。
【請求項44】
前記化合物が、オクチルドデカノールである請求項40に記載の組成物。
【請求項45】
構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下することが可能な1つまたは複数の化合物の含量が、一般に5から25重量%、好ましくは10から20重量%である請求項1から44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
構造化ポリマー/構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下することが可能な化合物の質量比が、0.1から50、好ましくは0.5から25、さらに良いのは1から15の範囲内である請求項1乃至45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
さらに、少なくとも1つの化粧品用活性剤または皮膚科用活性剤を含むことを特徴とする請求項1乃至46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
活性剤が、エッセンシャルオイル、ビタミン、保湿剤、日焼け止め剤、瘢痕形成剤およびセラミドから選択されることを特徴とする請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
充填剤、酸化防止剤、保存剤および香料から選択される少なくとも1つの添加剤を含むことを特徴とする請求項1乃至48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
顔料が、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタンおよびそれらの混合物から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項51】
さらに染料を含むことを特徴とする請求項1乃至50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
透明なゲルまたは透明なスティックの形態で提供されることを特徴とする請求項1乃至57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
皮膚、唇および/または身体表面成長部分用のメーキャップ用の構造化された固体組成物であって、皮膚、唇および/または身体表面成長部分にメーキャップを塗布するのに十分な量の少なくとも1つの顔料と、
部分の鎖中またはグラフトの形態の中に、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから、少なくとも1つの基がエステル基とは異なるという条件で選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基
を含む少なくとも1つの前記部分を含有する500から500000の範囲の重量平均分子量を有する少なくとも1つのポリマーにより構造化されている液体連続脂肪相とを含み、
該ポリマーが、室温で固体であり、該液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性であり、
前記液体脂肪相が、該構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な少なくとも1つの化合物を含み、
該顔料、該液体脂肪相、該構造化ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な化合物、および該構造化ポリマーが、生理的に許容できる媒体を形成している組成物。
【請求項54】
マスカラ、アイライナー、ファンデーション、口紅、ほお紅、ボディ用メーキャップ製品、アイシャドウもしくはフェースパウダー、またはコンシーラー製品の形で提供されることを特徴とする請求項1から53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
ヒトのケラチン物質に対する化粧用メーキャップの方法であって、請求項1乃至54の一項に記載の化粧品組成物をケラチン物質に塗布することを含む方法。
【請求項56】
顔料と、500から500000の範囲の重量平均分子量を有する少なくとも1つのポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)により構造化されている液体連続脂肪相とを含む化粧品組成物における、前記組成物の塗布を容易にし、前記組成物の付着の質量および/または光沢を増すための、該ポリマーの溶融のエンタルピーおよび場合により融解温度を低下させることが可能な十分量の化合物の使用であって、
前記ポリマーが少なくとも1つの部分を含み、前記部分が、
・前記部分の鎖中にまたはグラフトの形態で、1から1000個のオルガノシロキサン単位からなる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、および
・エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバマート基、チオカルバマート基、尿素基、ウレタン基、チオ尿素基、オキサミド基、グアニジノ基およびビグアニジノ基、ならびにそれらの組合せから、少なくとも1つの基がエステル基とは異なるという条件で選択される水素の相互作用を確立することが可能な少なくとも2つの基、
を含み、
・該ポリマーが、室温で固体であり、該液体脂肪相に25から250℃の温度で可溶性である、前記化合物の使用。

【公表番号】特表2006−511601(P2006−511601A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502445(P2005−502445)
【出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2003/015006
【国際公開番号】WO2004/054523
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】