説明

シリコーンポリマーを含む2段コート式化粧用製品

【課題】一方を他方の上に連続的に塗布する2種の組成物を含む化粧用製品、具体的にはメークアップ製品を提供する。
【解決手段】本発明は、第1および第2の組成物を含む化粧用製品であって、第1の組成物が特定のシリコーンポリマーを含みかつ、第2の組成物が化粧品として許容できる媒体を含む化粧用製品に関する。本発明はまた、前記製品を含むメークアップ方法およびメークアップキットにも関する。この製品は、具体的にはリップスティック、マスカラまたはネイルエナメルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔または身体の皮膚、下および上まぶた、唇および外皮、例えば爪、眉毛、睫毛または毛髪、に連続的に塗布することができる少なくとも2種の組成物を含む化粧用製品に関する。本発明はまた、これら2種の組成物を用いる身体または顔のメークアップ方法にも関する。
【0002】
各組成物は、ファンデーション、メークアップルージュ、アイシャドウ、コンシーラー製品紅、ルースまたはコンパクトパウダー、リップスティック、リップバーム、リップグロス、リップペンシル、アイペンシル、マスカラ、アイライナー、ネイルエナメル、身体メークアップ製品または皮膚着色製品であってもよい。
【0003】
本発明の目的は、良好な保持力を有し、かつ光沢のある組成物を提案することである。
【背景技術】
【0004】
良好な保持力は、具体的にはa)良好な色堅牢度、具体的には組成物が水、唾液、汗、皮脂または脂肪物質に接触する状態になるとき、b)組成物が接触する状態になる物体上への組成物の色移りがないこと、c)初期境界線を越えてのメークアップのにじみがないこと、d)長時間にわたる光沢保持力により反映される。
【0005】
保持力の悪さは、一般に、ファンデーションおよびメークアップルージュの場合、皮膚から分泌される皮脂および/または汗との相互作用に続いての、リップスティックの場合、唾液との相互作用に続いての色の変化(色変化または退色)によって特徴付けられる。このことは使用者に非常に頻繁にメークアップを直すことを余儀なくさせ、時間を浪費することになることがある。
【0006】
ほとんどまたは全く色移りしない唇および皮膚メークアップ組成物は、接触する状態になる保持体(グラス、衣類、タバコまたは織物)上に、少なくとも部分的に、付着することがない付着を形成するという利点を有する組成物である。
【0007】
既知の移り耐性組成物は、一般にシリコーン樹脂および揮発性シリコーン油ベースであり、かつ、改善された耐久特性を有するにもかかわらず、揮発性シリコーン油が蒸発した後に、時間経過に伴い不快となる(カサカサ感およびつっぱり感)皮膜を皮膚および唇上に残すという欠点を有し、このことが一定数の女性にこの種のリップスティックを敬遠させる。
【0008】
さらに、揮発性シリコーン油およびシリコーン樹脂ベースのこれらの組成物は、マットな色の皮膜をもたらす。しかし、女性は昨今、良好な保持力を有し移り耐性であると同時に、光沢のある製品、具体的には唇またはまぶたの着色製品を求めている。
【0009】
言及はまた、保持力および移り耐性を増大するための方法で、2種の組成物を、一方を他方に重ねて塗布することを本質とする方法を記載しているWO 97/17057号に、なされてよい。塗布される組成物は、8.5(cal/cm3)1/2未満のHildebrand全溶解度パラメータを有し、かつトップコートとして塗布される組成物は、少なくとも13の分配係数ClogPを有する油を含まなければならない。
【0010】
米国特許出願第6001374号は、ベースコートまたはトップコートとして塗布され、かつメークアップに接触する物体に痕跡をつけず、水および摩擦に対する耐性があると同時に一定レベルの光沢を有するという利点を有するアルコール可溶性かつ水不溶性の樹脂を含む組成物を用いることを本質とする多重コートメークアップ系を提案している。しかし、この組成物は、刺激性を有し、皮膚および/または具体的には唇に対する乾燥作用を有し、かつ皮膚または唇が損傷されたとき、具体的には不快な化合物である水溶性アルコール、具体的にはエタノールを含む。
【0011】
WO 02/067877号は、移り耐性の組成物の皮膜上に第2の組成物を塗布することを本質とする移り耐性の組成物の美的特性を改善する方法を記載している。第2の組成物は、移り耐性の組成物の美容特性を損なうことがないよう、移り耐性組成物と化学的に相互作用してはならない。前記文書に記載された特定の製品は、好ましくないにおいを有しかつべたつきがある。他の製品は、十分な光沢がない。
【特許文献1】WO 97/17057号
【特許文献2】米国特許出願第6001374号
【特許文献3】WO 02/067877号
【特許文献4】欧州特許出願第1213316号
【特許文献5】フランス特許出願第0450540号
【特許文献6】米国特許第5874069号
【特許文献7】米国特許第5919441号
【特許文献8】米国特許第6051216号
【特許文献9】米国特許第5981680号
【特許文献10】米国特許出願第5061481号
【特許文献11】米国特許出願第5219560号
【特許文献12】フランス特許出願第03/02809号
【特許文献13】米国特許第6238678号
【特許文献14】WO 00/10523号
【特許文献15】WO 2004/28486号
【特許文献16】米国特許第4152416号
【特許文献17】フランス特許出願第2834452号
【特許文献18】欧州特許出願0667146号
【特許文献19】欧州特許出願749746号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、具体的には一方を他方の上に連続的に塗布する2種の組成物を含む化粧用製品、具体的にはメークアップ製品を調合する新規の経路を提案することである。この化粧用製品は、有利には良好な光沢、保持力および/または快適性を有してよい。
【0013】
本発明の目的はまた、有利には色堅牢性、長時間にわたる光沢保持力、移り耐性、にじみ耐性、快適性および光沢を併せもつ化粧用製品、具体的にはメークアップ製品を提案することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
出願者は、これらの目的は、特定のシリコーンポリマーを含む第1の組成物および化粧品として許容できる媒体を含む第2の組成物を組み合わせることにより達成できることを見出した。第2の組成物は具体的には少なくとも1種の油を含む。
【0015】
したがって、本発明の側面の1つに基づき、本発明の組成物は、塗布時および長時間にわたり非常に光沢のある化粧結果であって、にじみせず、色移りせず、かつ良好な保持力を示し、同時に塗布時および長時間にわたり快適である化粧結果を得ることを可能にする。
【0016】
光沢のある外観と結びついた色堅牢性、移り耐性、にじみ耐性は、本発明の組成物をリップスティックおよびリップグロスなどのリップメークアップ製品、マスカラ、アイライナーおよびアイシャドウなどのアイメークアップ製品、ならびにネイルまたはヘアメークアップ製品の作製に具体的には適した製品にする。
【0017】
したがって、本発明の一課題は、皮膚、具体的には顔または首の皮膚、唇およびまぶたに塗布するための、第1および第2の組成物を含む化粧用製品であって、第1の組成物が、一般式(I)の少なくとも1種のシリコーンポリマーを含み、第1の組成物とは異なる第2の組成物が化粧品として許容できる媒体を含む化粧用製品。
R1aR2bR3cSiO(4-a-b-c)/2 (I)
(式中、
a、bおよびcは、aが1から2.5の範囲であり、bおよびcが互いに独立して0.001から1.5の範囲であり、
R1は、同一でも異なっていてもよく、
1個または複数のフッ素原子ならびにアミノおよび/またはカルボキシル基で適切に置換されたC1〜C30アルキル基、
アリールおよびアラルキル基、および
一般式(II)の基:
-CdH2d-O-(C2H4O)e(C3H6O)fR4 (II)
(式中、
R4は、C1〜C30炭化水素系基、またはR5がC1〜C30炭化水素系基である基R5-(CO)-であり、
d、eおよびfは、dが0から15の範囲であり、eおよびfが互いに独立して0から50の範囲であるような整数である)、
ならびにこれらの組み合わせから選択され、
R2は、一般式(III)で表される基から選択され、
-Q-O-X (III)
(式中、
Qは、少なくとも1個のエーテル結合および/または少なくとも1個のエステル結合を含んでいてもよい2価のC2〜C20炭化水素系基であり、
Xは、ポリヒドロキシル化炭化水素系基である)
R3は、
1個または複数のフッ素原子ならびにアミノおよび/またはカルボキシル基で適切に置換されたC1〜C30アルキル基、
アリールおよびアラルキル基、
一般式(IV)のオルガノシロキサン基:
【0018】
【化1】

【0019】
式中、
R基は、それぞれ1個または複数のフッ素原子ならびにアリールおよびアラルキル基で適切に置換されたC1〜C30アルキル基から選択される基を表し、
gおよびhは、gが1から5の範囲であり、hが0から500の範囲であるような整数である、
から選択される基である)
【0020】
本発明のもう1つの課題は、外皮、具体的には爪、毛髪または眉毛に塗布するための、第1および第2の組成物を含む化粧用製品であって、第1の組成物が、化粧品として許容できる有機液体媒体、少なくとも1種の前述のようなシリコーンポリマー、および第1の組成物とは異なる第2の組成物が化粧品として許容できる媒体を含む、化粧用製品である。
【0021】
本発明の製品は、具体的には皮膚、爪および毛髪メークアップ製品である。
【0022】
用語「メークアップ製品」は、リップスティック、メークアップパウダー、アイライナー、ファンデーションまたはセルフタンニング製品などの製品または半永久メークアップ製品(タトゥー)をケラチン物質に適用することによる、ヒトケラチン物質(皮膚または外皮)上への色の付着を可能にする着色剤を含む製品を意味する。
【0023】
本発明の製品は、別個にまたは一緒に同一の包装容器または2つの別個の包装容器に包装された、少なくとも2種の化粧品として許容できる組成物を含む。
【0024】
好ましくは、これらの組成物は別個に、有利には、別個の包装容器に包装される。
【0025】
したがって本発明の課題は、具体的にはファンデーション、メークアップルージュ、アイシャドウ、リップスティック、ネイルエナメル、具体的にはケア特性を有する製品、マスカラ、アイライナー、コンシーラー製品、(タトゥータイプの)ボディメークアップ製品またはヘアメークアップ製品の形態である化粧用メークアップ製品である。
【0026】
したがって本発明の課題はまた、種々の組成物が別個に、有利には、適切な適用手段を伴って包装されている、前述のような化粧用メークアップ製品を含むメークアップキットでもある。これらの手段は、おそらくは細かいブラシ、粗いブラシ、ペン、ペンシル、フェルト、クイル、スポンジ、チューブおよび/またはフォームチップを意味する。
【0027】
本発明の製品の第1の組成物は、ケラチン物質に塗布されるベースコートを、かつ第2の組成物はトップコートを構成してよい。しかし、第1コートの下に、第2コートの組成を有しても有さなくても良いアンダーコートを塗布することが可能である。
【0028】
第1コートと同一の組成を有しても有さなくても良い第2コートの上にトップコートを付着させることも、また可能である。
【0029】
第2の組成物は、またケラチン物質に塗布されるベースコートを、かつ第1の組成物はトップコートを構成してもよい。
【0030】
具体的には、ベースコートはリップスティック、ファンデーション、マスカラ、リップグロス、アイライナー、ネイルエナメル、ネイルケア製品またはボディメークアップ製品であり、トップコートは、ケアまたは保護製品である。
【0031】
本発明はまた、皮膚および/または唇および/または外皮に前述のような化粧用製品を塗布することを本質とする皮膚および/または唇および/または外皮をメークアップするための方法にも関する。
【0032】
本発明の課題はまた、皮膚、唇および/または外皮に前述のようなシリコーンポリマーを含む第1の組成物の第1コートを塗布し、次いで第1コートの全部または一部の上に化粧品として許容できる媒体を含む第2の組成物の第2コートを塗布することを本質とする、ヒト皮膚および/または唇および/または外皮をケアまたはメークアップするための美容的方法でもある。
【0033】
本発明の課題はまた、皮膚、唇および/または外皮に化粧品として許容できる媒体を含む第1の組成物の第1コートを塗布し、次いで第1コートの全部または一部の上に前述のようなシリコーンポリマーを含む第2の組成物の第2コートを塗布することを本質とする、ヒト皮膚および/または唇および/または外皮をケアまたはメークアップするための美容的方法でもある。
【0034】
本発明の製品は、顔、頭皮または身体のいずれかの皮膚、唇、下まぶたの内側縁部、および外皮、例えば爪、睫毛、毛髪、眉毛または他の体毛に塗布されてよい。第2の組成物は、パターンを形成してよくかつ、ペン、ペンシルまたは他の全ての道具(スポンジ、指、細かいブラシ、粗いブラシまたはクイル)により塗付されてよい。メークアップはまた、メークアップアクセサリ、例えば付け爪、付け睫毛またはウイッグ、または別法として、皮膚または唇に付着するドットまたはパッチ(付けぼくろなど)に塗布されてもよい。
【0035】
本発明はまた、皮膚および/または唇および/または外皮に対するメークアップの快適さおよび/または光沢および/または移り耐性および/またはにじみ耐性および/または色堅牢度を改善するための、上に定義したような化粧用製品の美容的使用にも関する。
【0036】
最終的に、本発明の課題は、第1および第2の組成物を含む化粧用製品の使用であって、皮膚および/または唇および/または外皮に、快適で、光沢があり、移り耐性があり、にじみ耐性のある、良好な色堅牢性を示す化粧結果を与えるために、第1の組成物は前述のようなシリコーンポリマーを含み、第2の組成物は化粧品として許容できる媒体を含む化粧用製品の使用である。
【0037】
第1の組成物
本発明の第1の組成物は、少なくとも1個のポリヒドロキシル化されたユニットを含む特定のシリコーンポリマーを含む。
【0038】
十分な量で導入されたとき、シリコーンポリマーは、保持力を改善すると同時に光沢を維持するという利点を有する。
【0039】
第1の組成物に使用されてよいシリコーンポリマーは、欧州特許出願第1213316号に詳細に記載されており、参照により本特許申請に組み込まれている。
【0040】
具体的には、第1の組成物に使用されてよいシリコーンポリマーは、下記の一般式(I)で表される。
R1aR2bR3cSiO(4-a-b-c)/2 (I)
(式中、
a) a、bおよびcは、aが1から2.5の範囲であり、bおよびcが互いに独立して0.001から1.5の範囲であり、
b) R1は、同一でも異なっていてもよく、
1個または複数のフッ素原子ならびにアミノおよび/またはカルボキシル基で適切に置換されたC1〜C30アルキル基、
アリールおよびアラルキル基、および
一般式(II)の基:
-CdH2d-O-(C2H4O)e(C3H6O)fR4 (II)
(式中、
R4は、C1〜C30炭化水素系基、またはR5がC1〜C30炭化水素系基である基R5-(CO)-であり、かつ
d、eおよびfは、dが0から15の範囲であり、eおよびfが互いに独立して0から50の範囲であるような整数である)、
ならびにこれらの組み合わせから選択され、
c) R2は、下記の一般式(III)で表され、
-Q-O-X (III)
(式中、
Qは、少なくとも1個のエーテル結合および/または少なくとも1個のエステル結合を含んでいてもよい2価のC2〜C20炭化水素系基であり、
Xは、ポリヒドロキシル化炭化水素系基である)、
d) R3は、
一般式(IV)のオルガノシロキサン基である
【0041】
【化2】

【0042】
(式中、
R基はそれぞれ、互いに独立して、1個または複数のフッ素原子ならびにアリールおよびアラルキル基で適切に置換されたC1〜C30アルキル基から選択される基を表し、
gおよびhは、gが1から5の範囲であり、hが0から500の範囲であるような整数である)
である)
【0043】
基Rが、1つまたは複数のフッ素原子、アリールおよびアラルキル基で適切に置換されたC1〜C30アルキル基から選択される基を表すとき、基Rは、上に定義した基R1と同一の意味を有する。
【0044】
一般式(I)のシリコーンポリマーの基R1、R2およびR3は、上に定義したように、無作為に割り当てられる、すなわちこれらは、ポリマーの構造中に、確定された順序なく現れることに留意すべきである。同様に、R1、R2およびR3は、一般式(I)の化合物において、それぞれ、異なる性質の基を特徴付けることがある。
【0045】
特定の実施形態によれば、
a)において:
aは、より具体的には1.2から2.3の範囲でありかつ、具体的には、bおよびcは、互いに独立して、0.05から1の範囲であり、
b)において:
R1が、アルキル基であるとき、C1〜C30アルキル基、具体的にはC1〜C25アルキル基、より具体的にはC1〜C20アルキル基、具体的にはC1〜C10アルキル基具体的にはC1〜C6アルキル基、具体的にはC1〜C4アルキル基であってもよい。より具体的には、R1は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはラウリル基であってもよい。R1はまた、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどのシクロアルキル基であってもよい。R1はまた、直鎖または分岐状のモノ不飽和またはポリ不飽和アルキル基であってもよい。R1はまた、1つまたは複数のフッ素原子、例えばトリフルオロプロピルまたはヘプタデカフルオロデシルなどで置換されたアルキル基であってもよい。R1はまた、1つまたは複数のアミノ基、例えば2-アミノエチル,3-アミノプロピルまたは3-(2-アミノエチル)アミノプロピルなど、で置換されたアルキル基であってもよい。R1はまた、1つまたは複数のカルボキシル基、例えば3-カルボキシプロピルなど、で置換されたアルキル基であってもよい。
R1はまた、フェニル基、トリル基、ベンジル基またはフェネチル基などのアリールまたはアラルキル基であってもよい。
R1はまた、一般式(II):
-CdH2d-O-(C2H4O)e(C3H6O)fR4 (II)
によって表される有機基であってもよい。
【0046】
特定の実施形態によれば、R1は、ヒドロキシル化された基または、d=0かつ次の式:
-O-(C2H4O)e(C3H6O)fR4
のような、飽和または不飽和の、直鎖または分枝状アルケニルエーテルの付加反応から誘導される基であってもよい。
【0047】
この場合、eおよびfが0に等しいとき、R1は、4から30個の炭素原子を含むアルコキシ基、例えば、ブトキシまたはペントキシなどのC4〜C10低級アルコキシ基、あるいはオレオキシまたはステアロキシなどのC11〜C30高級アルコキシ基、すなわち、例えばセチルアルコール、オレイルアルコールおよびステアリルアルコール、あるいは、酢酸、乳酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸またはベヘン酸などの酸または脂肪酸から誘導された基である。
【0048】
eおよびfが1より大きいとき、R1は、酸化アルキレンの付加反応から誘導されたヒドロキシル基である。
【0049】
eおよびfが0に等しいとき、dは、3、5または11に等しいことが特に有利である。この場合、R1は、置換基R4の性質に応じて、アリルエーテル、ペンテニルエーテルまたはウンデセニルエーテル基、あるいはアリルステアリルエーテル、ペンテニルベヘニルエーテルまたはウンデセニルオレイルエーテル基である。
【0050】
eおよびfが0以外であるとき、アルコキシ基およびエステル基は、ポリオキシアルキレン基を介して存在する。
【0051】
eおよびfの性質とは無関係に、dは3から5の範囲内であることは、特に有利である。
【0052】
一実施形態に基づき、基R1は、上に定義の基のいずれか1つ、またはこれらの基の2つ以上の組合せであってもよい。
【0053】
有利には、R1は、メチル基およびラウリル基、ならびにこれらの組合せから選択されるアルキル基である。
【0054】
さらに、R1が、同一の一般式(I)において2つ以上の基、例えばメチル基およびラウリル基、を表すとき、これらの基は、無作為に、かつそれに固有の頻度で、構造中に現れる。
【0055】
具体的には、基R1の少なくとも50%、具体的には基R1の少なくとも70%、より具体的には基R1の100%は、メチル基である。
c)において、
Qは、具体的には
-(CH2)2-、-(CH2)3-、-CH2CH(CH3)-CH2-、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-、-(CH2)7-、-(CH2)8-、-(CH2)9-、-(CH2)10-、-(CH2)11-、-(CH2)2-CH(CH2CH2CH3)-、-CH2-CH(CH2CH3)-、-(CH2)3-O-(CH2)2-、-(CH2)3-O-(CH2)2-O-(CH2)2-、-(CH2)3-O-CH2CH(CH3)-および-CH2-CH(CH3)-COO(CH2)2-、
から選択される2価の炭化水素系基であってもよい。
【0056】
有利には、Qは、-(CH2)2-および-(CH2)3-から選択される2価の基である。
Xは、具体的には少なくとも2個のヒドロキシル残基を含むポリヒドロキシル化炭化水素系基および具体的にはグリセリル誘導体および糖誘導体から選択される炭化水素系基であってもよい。
【0057】
グリセロール残基は以下の式を有する化合物であってよく、式中、Qは一般式(III)と同一の意味を有し、sおよびtは1から20、具体的には1から15、具体的には1から10、より具体的には1から5の範囲内の整数である。
【0058】
【化3】

【0059】
上の式において、1個または複数のヒドロキシル基が、アルコキシ基またはエステル基で置換されてよい。
【0060】
一般式(III)に使用されてよい糖基は、グリコシル、マンノシル、ガラクトシル、リボシル、アラビノシル、キシロシルまたはフルクトシル基などの単糖タイプ、マルトシル、セロビオシル、ラクトシルまたはマルトトリシルなどのオリゴ糖タイプ、あるいはセルロースまたはデンプンなどの多糖タイプであってもよい。
【0061】
具体的には、糖基は、単糖またはオリゴ糖タイプである。
d)において、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、1つまたは複数のフッ素原子で適切に置換された、C1〜C20、より具体的にはC1〜C10、具体的にはC1〜C6アルキル基から選択される基を具体的には表してよい。基Rが、上に定義したような、1つまたは複数のフッ素原子で適切に置換されたアルキル基から選択される基を表すとき、上に定義したR1基と同一の意味を有する。
gは、特定の一実施形態によれば、2に等しい。
hは、特定の一実施形態によれば、1から50の範囲内である。
【0062】
しかし、上に定義した本発明の特定の側面の中で、かつ具体的には第7の側面において、一般式(I)のシリコーンポリマーは、基R2が一般式(IIIA)で表されるとき、R1基はC12アルキル基以外である
ようなシリコーンポリマーである。
-C3H6O[CH2CH(OH)CH2O]nH (IIIA)
(式中、nは1から5の範囲である)
【0063】
特定の一実施形態によれば、本発明における使用に適した一般式(I)のシリコーンポリマーは、
aが1から1.4の範囲でありbおよびcが互いに独立して0.02から0.03の範囲であり、
R1が、C1〜C10、具体的にはC1〜C6、より具体的にはC1〜C4アルキル基であり、
R2が、一般式(IIIA)で表され、
-C3H6O[CH2CH(OH)CH2O]nH (IIIA)
(式中、nは1から5の範囲である)
R3は、式(IVA)で表される
-C2H4(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]mSi(CH3)3 (IVA)
(式中、mは3から9である)
ようなシリコーンポリマーである。
【0064】
もう1つの特定の実施形態によれば、第1の組成物に使用してよい、一般式(I)のシリコーンポリマーは、
aが1から1.4の範囲であり、bおよびcは、互いに独立して、0.02から0.04の範囲であり、
R1がメチル基であり、
R2が一般式(IIIA)で表され、式中、nは1から5の範囲であり、
R3が式(IVA)で表され、式中、mは3から9である
ようなシリコーンポリマーである。
【0065】
第1の組成物に使用される一般式(I)のシリコーンポリマーは、ポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコンおよびポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコンから選択されることが有利であり、それぞれの式は、
ポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコン(式(V))、
【0066】
【化4】

【0067】
(式中、
Sx: -C2H4[(CH3)2SiO]mSi(CH3)3
Gly: -C3H6O[CH2CH(OH)CH2O]nH
かつa=1〜1.4、b=0.02〜0.04、c=0.02〜0.04、m=3〜9、n=1〜5である)
ポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコン(式(VI))、
【0068】
【化5】

【0069】
(式中、Sx、Gly、a、b、c、mおよびnは、上と同一の意味を有し、R1は、メチル基またはラウリル基である、)
ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン(式(VII))、
【0070】
【化6】

【0071】
式中、Gly、a、b、c、mおよびnは、上と同一の意味を有する)
Sx: -O(CH3)2SiO-Si(CH3)3
である。
【0072】
一般式(I)のシリコーンポリマーは、第1の組成物中に、組成物の全重量に対して、0.1重量%から40重量%、具体的には0.5重量%から30重量%、より具体的には1重量%から25重量%、具体的には5重量%から20重量%、具体的には7重量%から15重量%の比率で存在してよい。
【0073】
特定の一実施形態によれば、一般式(I)のシリコーンポリマーは、有利には、参照記号KF6100(登録商標)、KF6104(登録商標)およびKF6105(登録商標)の下に信越化学工業社により販売されているポリマーから選択される。
【0074】
もう1つの実施形態によれば、信越化学工業社により販売される参照記号KF6104(登録商標)により設計された化合物は、改善された保持力および、場合によっては改善された平均光沢を有する本発明の化粧用製品を調製するのに、具体的には適している。
【0075】
用語「保持力」は、接触する状態になる可能性のある物体への色移りの程度がより少ない本発明の化粧用製品の特性、および/または液体、例えば涙または汗、との相互作用、あるいはリップスティックの場合、食事の間の食品との接触に耐える特性、および/または、例えば具体的にはリップスティックの場合、唇の周囲のしわおよび小じわの中での、メークアップの初期境界線を越えてのにじみがないという特性、を意味する。
【0076】
したがって、本発明の製品の保持力の改善は、これら特性のうちの少なくとも1つにおける改善により誘導されてよい。例えば、保持力の改善は、製品の移り耐性の改善および/または色堅牢性の改善により誘導されてよい。
【0077】
本発明の製品は、少なくとも部分的に、色移りしない、すなわち接触する状態になる可能性のあるある種の保持体、具体的にはグラス、カップ、タバコ、ハンカチーフ、衣類または皮膚、上にごくわずかな痕跡を残すのみである、という利点を有する。化粧用組成物の色移りは、塗付した皮膜の保持力を乏しくし、組成物の塗付を頻繁に行なうことを必要とさせる原因となる。
【0078】
本発明の化粧用製品はまた、良好な色堅牢度をも有する。皮膚、唇および/または外皮に塗布された製品の皮膜は、一般に液体、具体的には、例えば食事の間に飲まれる水または飲料、あるいは油、例えば食用油、あるいは皮脂または唾液、と接触する間に損なわれることがある。
【0079】
したがって、本発明の化粧用製品の保持力の評価は、以下の3つのパラメータ:移り耐性、水に対する色堅牢度および油に対する色堅牢度、のうちの少なくとも1つを測定することにより特徴付けられてよい。
【0080】
前記3つのパラメータは、いかに記載するプロトコールに基づき、順次測定できる。
【0081】
例えば、測定は、洗浄し、かつ室温で5分間、自然乾燥させた前腕内側面において行なわれる。試験する第1の化粧用組成物、例えばリップスティック、を前腕内側面の3箇所に塗付する。第1の組成物を、存在する可能性のある揮発性溶媒が蒸発するのに必要な時間乾燥させ、次いで第2の組成物を第1の組成物の上に塗付する。測定を行なう皮膚の表面領域は、少なくとも1cm2よりも大きくなければならない。これらの測定は、一般に直径約3cmの円形領域において行なわれる。
【0082】
3つの領域それぞれに塗付する化粧用製品の量は、はぼ同一である必要がある。このことは、それぞれの塗付後に、第1および第2の化粧用組成物の重量を測定することにより、または予め試験のために等しい量の資料を準備することにより、確かめることができる。一般に、1cm2の表面積に対して,約2mgに等しい量が必要である(表面領域が,3cmの直径を有する場合、約28mgの量が必要とされる)。
【0083】
化粧用製品を塗付した後、色、L1*a1*b1*を3つの領域それぞれにおいて測定し、製品の初期の色に相当する平均値を得る。色測定は、Minolta色彩計CR200、CR300、CM500、CM1000またはCM2000シリーズを用いて行なってよい。具体的には、Minolta色彩計CR200シリーズが使用される。
【0084】
試験する3領域のそれぞれに、20mg/cm2の水を加え(直系約3cmの表面領域に対して、約280mgの水を適用すべきである)。次いで、試験する領域それぞれを、手により数秒間、具体的には2から5秒間、より具体的には2秒間、マッサージする。
【0085】
色L0*a0*b0*を予め測定したKleenexなどの市販の白色ペーパーハンカチーフ1枚を、それぞれのメークアップした領域に約5秒間、約100g/fの力で押し付ける。この力は、Imada Co. Ltd.製造のデジタル圧力計DPZ-5Nを用いて加えてよい。
【0086】
移り値Tは、試験領域に適用する前に測定した白色生地の色、L0*a0*b0*および試験する製品により被覆された前腕の各領域に適用後の各ハンカチーフについて得られた平均値に相当する平均色L2*a2*b2*を差し引きすることにより得られる。
【0087】
製品を適用した前腕の領域への適用前と後のハンカチーフの色の間での色差ΔE(T)を、次いで決定する:
【0088】
【数1】

【0089】
得られたΔE(T)値が低ければ低いほど、化粧用製品は、より良好なレベルの移り耐性を有すると考えられる。
【0090】
有利には、本発明の化粧用製品は、45以下、具体的には少なくとも40以下、具体的には少なくとも35以下、具体的には0と45の間の移り値ΔE(T)を有する。
【0091】
ハンカチーフ適用後の製品の平均色L3*a3*b3*を、次いで測定する。
【0092】
水に対する色堅牢度は、移り試験の実施後に得ることができる。例えば、色堅牢度は、前腕に塗付した製品の平均初期色L1*a1*b1*と製品を適用した前腕領域の水およびハンカチーフ適用後の平均色L3*a3*b3*との色差に等しい。
【0093】
【数2】

【0094】
得られた値が低ければ低いほど、化粧用製品は、より良好な水に対する色堅牢度を有すると考えられる。
【0095】
有利には、本発明の化粧用製品は、少なくとも15以下、具体的には少なくとも10以下、より具体的には少なくとも6以下の、水に対する色堅牢度を有する。有利には、色堅牢度は、0から15の範囲である。
【0096】
油に対する色堅牢度の試験は、試験する領域に約20mg/cm2の食用タイプの油を前腕の各領域に(ナタネ油、ダイズ油またはヒマワリ油)塗布し、続いて数秒間、具体的には2から5秒間、より具体的には2秒間、手によりマッサージすることにより行なわれる。次いで、Kleenexハンカチーフなどの市販の白色ペーパーハンカチーフ1枚を、領域に約100g/fの力で約5秒間押し付ける。この力は、製造業者Imada Co. Ltd.によるデジタル圧力計DPZ-5Nを用いて加えてよい。
【0097】
油に対する色堅牢度の値、Hもまた、油でマッサージした後に前腕に残存している製品の平均色L4*a4*b4*と、最初に測定した平均色L1*a1*b1*との差である。
【0098】
【数3】

【0099】
油に対する色堅牢度の試験は、具体的にはリップスティックなどの化粧用組成物の食事中の保持性の評価を可能にする試験である。
【0100】
有利には、本発明の化粧用製品は、少なくとも25以下、好ましくは少なくとも10以下、具体的には少なくとも8以下の、油に対する色堅牢度を有する。具体的には、油に対する色堅牢度は、0から25の範囲である。
【0101】
さらにより有利には、本発明の製品は、少なくとも35以下の移り値、少なくとも6未満の水に対する色堅牢度および少なくとも8未満の油に対する色堅牢度を有する。
【0102】
有利には、一般式(I)のシリコーンポリマーは、第1の組成物中に十分な量で存在するとき、保持体上に塗り広げた際の、本発明の製品の付着の60°における平均光沢が、100分の30より大きいようなシリコーンポリマーである。
【0103】
用語「平均光沢」は、以下の方法により光沢計を用いて慣例的に測定できるような光沢を示す。
【0104】
Minolta GM268光沢計を使用してよい。測定は、1cm2よりも大きい表面積を有する試験領域について行なう。慣例的な方法では、試験製品を塗り広げる表面領域の大きさは、約2.5cm×4cmである。
【0105】
評価する第1の組成物をBioskinタイプの人工表面に塗付する。塗付する化粧用組成物の量は、約1mg/cm2である。第1の組成物を乾燥させ、次いで約1mg/cm2の第2の組成物を塗付する。
【0106】
光沢値は、約60°の角度での反射率を測定することにより得られる。
【0107】
1試料あたり5個の測定値が必要であり、最も高い値の2個の測定値および最も低い値の測定値を棄て、かつ残りの3個の値の平均を取る。
【0108】
本発明の化粧用組成物の平均光沢は、有利には、30以上、具体的には40以上およびより具体的には45以上である。
【0109】
本発明の製品の快適性は、以下に記載する試験にしたがって評価される。このテストにおいて、快適性は、ラテックスストリップを牽引する試験により測定される。この試験は、形成された付着が、皮膚の動きに続いて起きやすいフレーキングおよびピーリングに耐える能力を予測する。
【0110】
第1の化粧用組成物の試料を、例えばAnsell Edmond Industrial Techniciansタイプ、参照#390、サイズ9の手袋の手首部分から切り取ることにより、得られた2.54cm幅のラテックスストリップの、例えば2.54×2.54cmの表面に塗付する。
【0111】
付着させる第1の化粧用組成物の量は、組成物の固体重量が約20mgであるべきような量である。
【0112】
第1の組成物を乾燥させ、次いで第2の組成物を上と同一の条件下で塗付する。
【0113】
第1および第2の組成物は、使い捨てのリップブラシ、例えばFemme Cosmetics, Inc., LA社により製造されているタイプのリップブラシ、を用いて連続的に塗付する。
【0114】
塗付する第2の化粧用組成物の量は、組成物の固体重量が約20mgであるべきような量である。
【0115】
このように準備した試料を、室温で24時間放置する。
【0116】
次いで、化粧用製品の付着を含むラテックスストリップの重量を測定する(B)。化粧用組成物のないラテックスストリップを重量値(A)をこのように測定した(B)から差し引いたものは乾燥した皮膜の重量に相当することになり、したがって約40±2mgとなる。
【0117】
試験する化粧用組成物の試料を適用したラテックスストリップを、次いで、試料を保持している領域が4.445cm(1.75インチ)に到達するように、牽引する。
【0118】
ラテックスストリップから剥離した化粧用組成物の皮膜の断片が観察され、次いで断片を、リップブラシを用いて払うことにより取り除く。
【0119】
次いで、残存する化粧用組成物を含むラテックスストリップの重量を測定する(D)。
【0120】
次いで、化粧用組成物の皮膜のパーセンテージで示す重量損失を以下の等式を用いて算出する:
快適指数=[(D-A)/(B-A)]×100
【0121】
試験する化粧用組成物それぞれについて、測定を3回繰り返す。本発明の組成物の快適指数は、これら3回の測定の平均に等しい。
【0122】
有利には、一般式(I)のシリコーンポリマーは、化粧用組成物中に十分な量で存在するとき、保持体上に塗り広げた際の製品の付着の快適指数が、100分の80、好ましくは100分の90、好ましくは100分の95以上であるようなシリコーンポリマーである。
【0123】
有利には、第1の組成物は、少なくとも1種の皮膜形成助剤と組み合わされても組み合わされなくてもよい少なくとも1種の皮膜形成剤を含んでよい。
【0124】
追加的な皮膜形成ポリマーは、2004年3月18日付け提出のフランス特許出願第0450540号に記載されているポリマーの1つであり、特許出願の内容は、参照により本特許出願に含まれている。
【0125】
追加的な皮膜形成ポリマーは、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して、0.1重量%から60重量%の範囲、好ましくは2重量%から40重量%、さらによりよくは5重量%から25重量%の範囲の濃度で存在する。
【0126】
用語「皮膜形成ポリマー」は、それ自体でまたは皮膜形成補助剤の存在下で、保持体、具体的にはケラチン物質に接着する分離可能なかつ具体的には連続性の皮膜、好ましくは粘着性の皮膜、より好ましくは、粘着性および力学的特性が、前記皮膜が前記保持体から分離できるようなものである皮膜を形成する能力があるポリマーを意味する。
【0127】
有利には、皮膜形成剤は、本発明の化粧用組成物中に、一般式(I)のシリコーンポリマーの重量に対する重量比で、5:1未満、具体的には1:1未満、より具体的には1:2以下で存在する。
【0128】
本発明に具体的には適している皮膜形成ポリマーとして、アクリルポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、セルロースベースのポリマー、例えばニトロセルロース、ならびにシリコーンポリマーが言及される。
【0129】
一般にシリコーン油に可溶または膨潤可能な架橋ポリオルガノシロキサンポリマーである、シリコーン樹脂を使用することもまた、有利である。
【0130】
言及されてよいこれらのシリコーン樹脂の例は、シロキシシリケート、ポリシルセスキオキサンおよびポリメチルセスキオキサンを含む。
【0131】
言及されてよい市販のポリメチルセスキオキサンの例は、Belsil PMS MKなど、参照記号Resin MKの下にWacker社により販売されているもの、例えば参照記号KR-220Lの下に信越化学工業社により販売されているものを含む。
【0132】
言及されてよいシロキシシリケート樹脂は、参照記号SR1000の下にGeneral Electric社により販売されている、または参照記号TMS803の下にWacker社により販売されているトリメチルシロキシシリケート樹脂を含む。言及はまた、KF-7312Jの名称で信越化学工業社により販売されているトリメチルシロキシシリケート樹脂およびDow Corning社により販売されている樹脂DC749およびDC593になされてもよい。
【0133】
同様に言及されてよい脂溶性シリコーンポリマーは、米国特許第5874069号、米国特許第5919441号、米国特許第6051216号および米国特許第5981680号に記載されているものなどの、ポリオルガノシロキサンタイプのシリコーンポリアミドを含む。
【0134】
特定の一実施形態によれば、本発明における使用に具体的には適した皮膜形成シリコーンポリマーは、カルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマーであってもよい。
【0135】
本特許出願において、表現「カルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマー」は、(a)1つまたは複数のカルボキシル(酸またはエステル)モノマー、および(b)1つまたは複数のポリジメチルシロキサン(PDMS)鎖から得られるコポリマーを意味する。
【0136】
本特許出願において、用語「カルボキシルモノマー」は、カルボン酸モノマーおよびカルボン酸エステルモノマーの両方を意味する。したがって、モノマーは、(a)例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、これらのエステルおよびこれらのモノマーの混合物から選択されてよい。言及されてよいエステルは、以下のモノマーを含む:アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、イタコネートおよび/またはクロトネート。エステル型のモノマーは、直鎖または分枝状の、好ましくはC1〜C24さらによりよくは、C1〜C22アルキルアクリレートおよびメタクリレートからより具体的には選択され、アルキル基は好ましくはメチル、エチル、ステアリル、ブチルおよび2-エチルヘキシル基、およびこれらの混合物から選択される。
【0137】
コポリマーは、カルボキシレート基として、アクリル酸およびメタクリル酸、ならびにメチル、エチル、ステアリル、ブチルまたは2-エチルヘキシルアクリレートまたはメタクリレート、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1個の基を含んでよい。
【0138】
用語「ポリジメチルシロキサン」(オルガノポリシロキサンとしても知られ、かつPDMSと短縮される)は、一般に容認されていることに基づき、適切に官能基化されたシランの重合および/または重縮合によって得られ、かつケイ素原子が酸素原子を介して一緒に連結されている(シロキサン結合≡Si-O-Si≡)主単位の繰り返しであって、炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接連結するトリメチル基を含む主単位の繰り返しで本質的に構成されている、不定の分子量で直鎖構造のあらゆるオリガノシリコンポリマーまたはオリゴマーを意味する。コポリマーを得るために使用されてよいPDMS鎖は、好ましくは少なくとも鎖末端の一方に位置する少なくとも1個の重合可能な基を含み、すなわちPDMSは、例えば、鎖の2つの末端に重合可能な基をまたは鎖の一方の末端に1個の重合可能な基をかつ鎖の他の末端にトリメチルシリル末端基を含んでよい。重合可能な基は具体的には、アクリルまたはメタクリル基、具体的には基CH2=CR1-CO-O-R2、式中、R1は水素またはメチル基を表し、R2は、-CH2-、-(CH2)n-n=3、5、8または10、-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2 CH2-O-CH2-CH2-CH2-を表す、であってもよい。
【0139】
使用されるコポリマーは一般に、重合およびグラフティングの通常の方法に基づいて、例えば、(A)少なくとも1個の重合可能な基を(例えば鎖の末端の一方にまたは両末端に)含むPDMSの、および(B)例えば、米国特許出願第5061481号および米国特許出願第5219560号に記載されているような、少なくとも1個のカルボキシルモノマーのフリーラジカル重合により得られる。
【0140】
得られるコポリマーは、一般に、約3,000から200,000、好ましくは約5,000から100,000の範囲の分子量を有する。
【0141】
コポリマーは、本来の形態であっても、2から8個の炭素原子を含む低級アルコール例えばイソプロピルアルコール、または油、例えば揮発性シリコーン油(例えばシクロペンタシロキサン)中に分散した形態であってもよい。
【0142】
使用されてよいコポリマーとして、例えばアクリル酸およびポリジメチルシロキサングラフトを含むステアリルアクリレートのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを含むステアリルメタクリレートのコポリマー、アクリル酸およびポリジメチルシロキサングラフトを含むステアリルメタクリレートのコポリマー、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートおよびポリジメチルシロキサングラフトを含むステアリルメタクリレートのコポリマーが言及される。使用されてよいコポリマーとして、具体的には、KP-561(CTFA名:acrylates/dimethicone)、コポリマーが60重量%でイソプロピルアルコール中に分散しているKP-541(CTFA名: acrylates/dimethicone and isopropyl alcohol)、コポリマーが30重量%でシクロペンタシロキサン中に分散しているKP-545(CTFA名: acrylates/dimethicone and cyclopentasiloxane)の名称で信越化学工業社により販売されているコポリマーが言及される。本発明の好ましい一実施形態によれば、KP561を使用することは好ましい。このコポリマーは溶媒中に分散してはいないが、ワックス形態であり、融点は約30℃である。
【0143】
第2の組成物
本発明の化粧用製品は、化粧品として許容できる媒体を含む第2の組成物を含む。
【0144】
用語「化粧品として許容できる媒体」は、ヒトの皮膚および唇に適用してよい無毒性媒体を意味する。生理的に許容できる媒体は、一般に、組成物が適用される保持体の性質に適しておりかつ、組成物が包装されることを意図されている外観にも適している。
【0145】
生理的に許容できる媒体は水相および/または脂肪相であってもよい。
【0146】
特定の一実施形態によれば、水相または脂肪相は、組成物の連続相を形成してよい。
【0147】
第2の組成物は、有利には、第1の組成物の少なくとも1つの美容特性を改善し、しかし前記ケラチン物質に単独で適用されるとき、前記化粧用組成物の他の美容特性の1つを低減させることがないような組成物である。
【0148】
一実施形態によれば、第1の組成物は、第1の組成物の光沢および同様に光沢保持力をも改善することができる。
【0149】
第1の実施形態によれば、第1の組成物は重量で優勢に炭化水素系化合物を含むか、またはさらに炭素系化合物からなり、かつ第2の組成物は重量で優勢にシリコーン化合物を含むかまたはさらにシリコーン化合物からなる。用語「シリコーン」および「炭化水素系」は、前述と同様の意味を有する。用語「優勢に含む」は、少なくとも50重量%、さらによりよくは少なくとも60重量%、さらによりよくは少なくとも70重量%、さらによりよくは少なくとも80重量%、さらによりよくは少なくとも90重量%、さらによりよくは少なくとも95重量%含むことを意味する。
【0150】
第2の実施形態によれば、第1の組成物は重量で優勢にシリコーン化合物を含むかまたはさらにシリコーン化合物からなり、第2の組成物は重量で優勢に炭化水素系化合物を含むか、またはさらに炭素系化合物からなる。
【0151】
一実施形態によれば、第2の組成物は透明である。
【0152】
用語「透明な組成物」は、透明から半透明の、すなわち波長750nmで少なくとも40%の光を、好ましくは少なくとも50%の光を透過する組成物を意味する。透過率測定は、Varian社のCary 300 Scan紫外-可視分光光度計を用いて、以下のプロトコールにしたがって、行なう:
組成物を融点以上で、辺長10mmの正方形断面の分光光度計キュベットに注ぎ込む。次いで、組成物の試料を35℃で24時間冷却し、次いで恒温に調節したチェンバー内で、20℃で24時間維持する。次いで、組成物の試料を透過する光を、700nmから800nmの範囲の波長でスキャンすることにより測定する。測定は、透過モードで行なう。
次いで、波長750nmで組成物の試料を透過する光のパーセンテージを決定する。
【0153】
第2の組成物が透明であるとき、5%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満の顔料を含むことは有利である。
【0154】
有利には、第1および/または第2の組成物は、互いに独立して、少なくとも1種の皮膜形成助剤と組み合わせても組み合わせなくてもよい、少なくとも1種の皮膜形成剤を含んでよい。
【0155】
追加的な皮膜形成ポリマーは、2004年3月18日付け提出のフランス特許出願第0450540号に記載のポリマーの1つであってよく、特許出願の内容は、参照により本特許出願に含まれている。
【0156】
追加的な皮膜形成ポリマーは、本発明の第1または第2の組成物中に、組成物の全重量に対して、0.1重量%から60重量%の範囲、好ましくは2重量%から40重量%の範囲、さらによりよくは5重量%から25重量%の範囲の濃度で存在する。
【0157】
用語「皮膜形成ポリマー」は、それ自体でまたは皮膜形成補助剤の存在下で、保持体、具体的にはケラチン物質に接着する分離可能なかつ具体的には連続性の皮膜、好ましくは粘着性の皮膜、より好ましくは、粘着性および力学的特性が、前記皮膜が前記保持体から分離できるようなものである皮膜を形成する能力があるポリマーを意味する。
【0158】
有利には、皮膜形成剤は、第1または第2の組成物中に、一般式(I)のシリコーンポリマーの重量に対する重量比で、5:1未満、具体的には1:1未満、より具体的には1:2以下で存在する。
【0159】
本発明に具体的には適している皮膜形成ポリマーとして、アクリルポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、セルロースベースのポリマー、例えばニトロセルロース、ならびにシリコーンポリマーに言及する。
【0160】
一般にシリコーン油に可溶または膨潤可能な架橋ポリオルガノシロキサンポリマーである、シリコーン樹脂を使用することもまた、有利である。
【0161】
言及されてよいこれらのシリコーン樹脂の例は、シロキシシリケート、ポリシルセスキオキサンおよびポリメチルセスキオキサンを含む。
【0162】
言及されてよい市販のポリメチルセスキオキサンの例は、Belsil PMS MKなど、参照記号Resin MKの下にWacker社により販売されているもの、例えば参照記号KR-220Lの下に信越化学工業社により販売されているものを含む。
【0163】
言及されてよいシロキシシリケート樹脂は、参照記号SR1000の下にGeneral Electric社により販売されている、または参照記号TMS803の下にWacker社により販売されているトリメチルシロキシシリケート樹脂を含む。言及はまた、KF-7312Jの名称で信越化学工業社により販売されているトリメチルシロキシシリケート樹脂およびDow Corning社により販売されている樹脂DC749およびDC593になされてもよい。
【0164】
同様に言及されてよい脂溶性シリコーンポリマーは、米国特許第5874069号、米国特許第5919441号、米国特許第6051216号および米国特許第5981680号に記載されているものなどの、ポリオルガノシロキサンタイプのシリコーンポリアミドを含む。
【0165】
特定の一実施形態によれば、本発明における使用に具体的には適した皮膜形成シリコーンポリマーは、カルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマーであってもよい。
【0166】
本特許出願において、表現「カルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマー」は、(a)1つまたは複数のカルボキシル(酸またはエステル)モノマー、および(b)1つまたは複数のポリジメチルシロキサン(PDMS)鎖から得られるコポリマーを意味する。
【0167】
本特許出願において、用語「カルボキシルモノマー」は、カルボン酸モノマーおよびカルボン酸エステルモノマーの両方を意味する。したがって、モノマーは、(a)例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、これらのエステルおよびこれらのモノマーの混合物から選択されてよい。言及されてよいエステルは、以下のモノマーを含む:アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、イタコネートおよび/またはクロトネート。エステル型のモノマーは、直鎖または分枝状の、好ましくはC1〜C24さらによりよくは、C1〜C22アルキルアクリレートおよびメタクリレートからより具体的には選択され、アルキル基は好ましくはメチル、エチル、ステアリル、ブチルおよび2-エチルヘキシル基、およびこれらの混合物から選択される。
【0168】
コポリマーは、カルボキシレート基として、アクリル酸およびメタクリル酸、ならびにメチル、エチル、ステアリル、ブチルまたは2-エチルヘキシルアクリレートまたはメタクリレート、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1個の基を含んでよい。
【0169】
用語「ポリジメチルシロキサン」(オルガノポリシロキサンとしても知られ、かつPDMSと短縮される)は、一般に容認されていることに基づき、適切に官能基化されたシランの重合および/または重縮合によって得られ、かつケイ素原子が酸素原子を介して一緒に連結されている(シロキサン結合≡Si-O-Si≡)主単位の繰り返しであって、炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接連結するトリメチル基を含む主単位の繰り返しで本質的に構成されている、不定の分子量で直鎖構造のあらゆるオリガノシリコンポリマーまたはオリゴマーを意味する。コポリマーを得るために使用されてよいPDMS鎖は、好ましくは少なくとも鎖末端の一方に位置する少なくとも1個の重合可能な基を含み、すなわちPDMSは、例えば、鎖の2つの末端に重合可能な基をまたは鎖の一方の末端に1個の重合可能な基をかつ鎖の他の末端にトリメチルシリル末端基を含んでよい。重合可能な基は具体的には、アクリルまたはメタクリル基、具体的には基CH2=CR1-CO-O-R2、式中、R1は水素またはメチル基を表し、R2は、-CH2-、-(CH2)n-n=3、5、8または10、-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2 CH2-O-CH2-CH2-CH2-を表す、であってもよい。
【0170】
使用されるコポリマーは一般に、重合およびグラフティングの通常の方法に基づいて、例えば、(A)少なくとも1個の重合可能な基を(例えば鎖の末端の一方にまたは両末端に)含むPDMSの、および(B)例えば、米国特許出願第5061481号および米国特許出願第5219560号に記載されているような、少なくとも1個のカルボキシルモノマーのフリーラジカル重合により得られる。
【0171】
得られるコポリマーは、一般に、約3,000から200,000、好ましくは約5,000から100,000の範囲の分子量を有する。
【0172】
コポリマーは、本来の形態であっても、2から8個の炭素原子を含む低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、または油、例えば揮発性シリコーン油(例えばシクロペンタシロキサン)中に分散した形態であってもよい。
【0173】
使用されてよいコポリマーとして、例えばアクリル酸およびポリジメチルシロキサングラフトを含むステアリルアクリレートのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを含むステアリルメタクリレートのコポリマー、アクリル酸およびポリジメチルシロキサングラフトを含むステアリルメタクリレートのコポリマー、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートおよびポリジメチルシロキサングラフトを含むステアリルメタクリレートのコポリマーが言及される。使用されてよいコポリマーとして、具体的には、KP-561(CTFA名:acrylates/dimethicone)、コポリマーが60重量%でイソプロピルアルコール中に分散しているKP-541(CTFA名: acrylates/dimethicone and isopropyl alcohol)、コポリマーが30重量%でシクロペンタシロキサン中に分散しているKP-545(CTFA名: acrylates/dimethicone and cyclopentasiloxane)の名称で信越化学工業社により販売されているコポリマーが言及される。本発明の好ましい一実施形態によれば,KP561を使用することは好ましい。このコポリマーは溶媒中に分散してはいないが、ワックス形態であり、融点は約30℃である。
【0174】
第1および第2の組成物は、互いに独立して、具体的には室温(20〜25℃)および大気圧で液体である脂肪物質(油)および/またはワックスまたはペースト状脂肪物質からなる脂肪相を含んでよい。
【0175】
油は、第1および第2の化粧用組成物の全重量に対して、0.1重量%から99重量%、具体的には少なくとも1重量%から90重量%、より具体的には5重量%から70重量%、具体的には10重量%から60重量%またはさらに20重量%から50重量%の比率で存在してよい。
【0176】
第1または第2の化粧用組成物を調製するのに適した油は、揮発性または不揮発性の、シリコーンまたは非シリコーン油であってもよい。
【0177】
揮発性または不揮発性油は炭化水素系油、具体的には植物または動物由来の炭化水素系油、合成油、シリコーン油、フッ素油またはこれらの混合物であってもよい。用語「炭化水素系油」は、主として水素および炭素原子ならびに場合により酸素、窒素、イオウおよび/またはリン原子を含む油を意味する。
【0178】
揮発性炭化水素系油は、8〜16個の炭素原子を含む炭化水素系油、具体的には分枝状C8〜C16アルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン、イソヘキサデカン、および例えば、Isopar(登録商標)またはPermethyl(登録商標)の商品名で販売されている油から選択されてよい。
【0179】
同様に使用されてよい揮発性油は、揮発性シリコーン、例えば揮発性の直鎖または環状シリコーン油、具体的には、8センチストークス(8×10-6m2/s)以下の粘度を有し、具体的には2〜10個のケイ素原子、具体的には2〜7個のケイ素原子を含むシリコーン油であって、これらのシリコーンは任意選択で、1〜10個の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基を含むシリコーン油を含む。本発明において使用されてよい揮発性シリコーン油として、具体的には、5および6cStの粘度を有するジメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロヘキサシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンおよびドデカメチルペンタシロキサン、ならびにこれらの混合物が言及される。
【0180】
ノナフルオロメトキシブタンまたはパーフルオロメチルシクロペンタンおよびこれらの混合物などの、揮発性のフッ素化溶媒を使用することも可能である。
【0181】
本発明の第1または第2の化粧用組成物はまた、互いに独立して、少なくとも1種の揮発性油を含んでもよい。
【0182】
特定の一実施形態によれば、本発明の第1または第2の化粧用組成物は、組成物の全重量に対して、30重量%未満、具体的には15重量%未満、具体的には10重量%未満、より具体的には5重量%未満の揮発性油を含む。
【0183】
もう1つの実施形態によれば、第1または第2の化粧用組成物は、揮発性油を含まない。
【0184】
第1または第2の化粧用組成物はまた、少なくとも1種の不揮発性油を含んでよい。
【0185】
不揮発性油は、フッ素化されていてよい不揮発性炭化水素系油、および/または不揮発性シリコーン油から具体的には選択されてよい。
【0186】
具体的には言及されてよい不揮発性炭化水素系油は、
動物由来の炭化水素系油、
植物由来の炭化水素系油、例えば、フィトステアリルオレエート、フィトステアリルイソステアレートおよびグルタミン酸ラウロイル/オクチルドデシル/フィトステアリル(Ajinomoto、Eldew PS203)などのフィトステアリルエステル、脂肪酸エステルおよびグリセロールからなるトリグリセリド、C4〜C24の種々の鎖長を有する脂肪酸であって、これらの鎖は場合によっては直鎖または分枝状、かつ飽和または不飽和である脂肪酸;これらの油は、具体的にはヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリドである、コムギ胚芽油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、トウモロコシ油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、ダイズ油、スイートアーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、ホホバ油、アルファルファ油、ポピーシード油、パンプキン油、マロウ油、ブラックカラント油、イブニングプリムローズ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、サフラワー油、キャンドルナッツ油、パッションフラワー油またはムスクローズ油;シアバター;またはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社により販売されているもの、またはMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)および818(登録商標)の名称でDynamit Nobel社により販売されているもの、
10から40個の炭素原子を含む合成エステル、
鉱物または合成由来の直鎖または分枝状炭化水素、例えばワセリン、ポリデセン、Parleamなどの水添ポリイソブテン、およびスクワラン、およびこれらの混合物、具体的には水添ポリイソブテン、
短鎖炭化水素系エステル、
である。
【0187】
本発明において、用語「短鎖炭化水素系エステル」は、40個未満の炭素原子を含む炭化水素系エステルを意味する。
【0188】
第1および第2の化粧用組成物は、互いに独立して、少なくとも1つの短鎖炭化水素系エステルを含んでよい。
【0189】
本発明のエステルは、モノエステル、ジエステルまたはポリエステルであってよく、より具体的には、モノエステル、すなわち、エステル官能基を1つだけ有しているエステルである。これらのエステルは、直鎖、分枝状または環状で、かつ飽和または不飽和であってもよい。具体的には、これらエステルは、分枝状で飽和である。これらエステルは、また、揮発性でも不揮発性でもよい。
【0190】
具体的には、炭化水素系エステルは、式RCOOR'に相当し、式中、RCOOは、2から28個の炭素原子を含む脂肪酸残基を表し、R'は1から28個の炭素原子を含む炭化水素系鎖を表す。より具体的には、基RおよびR'は、相当するエステルが不揮発性であるような基である。
【0191】
有利には、第1または第2の化粧用組成物に使用してよいモノエステル、ジエステルまたはポリエステル炭化水素系エステルは、40個未満の炭素原子かつ10個超の炭素原子を含む。
【0192】
これらの不揮発性エステルは、具体的にはC10〜C25、具体的にはC14〜C22のエステルであってもよい。これらは、C2〜C18酸のエステルおよび、具体的にはC2〜C20アルコールのエステルまたはC2〜C8ポリオールのエステル、またはこれらの混合物から選択されてよい。
【0193】
不揮発性エステルは、有利には22個未満の炭素原子を含む。
【0194】
特定の一実施形態によれば、炭化水素系エステルは22個未満の炭素原子を含むとき、揮発油ではない。
【0195】
したがって、エステルは、ネオペンタン酸エステル、例えばネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシルなど、イソノナン酸エステル、例えばイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシルまたはイソノナン酸イソステアリルなど、しかしまたミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピルまたはイソステアリン酸イソプロピルなどのイソプロピルアルコールエステル、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、4-ジヘプタン酸2-エチルヘキシルおよびパルミチン酸2-エチルヘキシル、アルキル安息香酸、ジヘプタン酸ポリエチレングリコール、2-ジエチルへキサン酸プロピレングリコール、およびこれらの混合物を含む非限定的リストから選択されてよい。前記エステルはまた、合成エステル、具体的には脂肪酸の合成エステル、例えばパーセリンオイル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルまたはステアリン酸オクチル;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチルまたはアジピン酸ジイソプロピル、およびヘプタン酸、オクタン酸またはデカン酸脂肪アルキル、およびこれらの混合物から選択されてもよい。
【0196】
イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルおよびヘプタン酸ステアリルおよびこれらの混合物は、最も具体的には本発明を行なうのに適している。
【0197】
特定の一実施形態によれば、本発明の第1の化粧用組成物に使用される短鎖炭化水素系エステルは、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルおよびヘプタン酸ステアリルの混合物である。このまたはこれらの炭化水素系エステルは、第1または第2の組成物に、組成物の全重量に対して、5重量%から90重量%、具体的には10重量%から60重量%、具体的には20重量%から50重量%の比率で使用されてよい。
ポリオールエステルおよびペンタエリスリトールエステル、例えばジペンタエリスリチルテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレート、
ジオールダイマーのエステルおよび二酸ダイマーのエステル、例えば2003年3月6日付で提出のフランス特許出願第03/02809号に記載の製品Luspan DD-DA5およびDD-DA7などであり、特許出願の内容は、参照により本特許出願に組み込まれている。
12から26個の炭素原子の分枝状および/または不飽和炭素系鎖を含む、室温で液体である脂肪アルコール、例えば2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノールおよび2-ウンデシルペンタデカノール、
オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸、ならびにこれらの混合物などの高級脂肪酸、
ならびに
2つのアルキル鎖が場合により、同一または異なっている炭酸ジアルキル、例えばCetiol CC(登録商標)の名称でCognisにより販売されている炭酸ジアルキル。
【0198】
第1または第2の組成物に使用してよい不揮発性シリコーン油は、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、例えばシメチコン、ペンダントとしておよび/またはシリコーン鎖の末端に存在しそれぞれ2から24個の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、および100cSt以下の粘度を有するジメチコンまたはフェニルトリメチコン、ならびにこれらの混合物であってもよい。
【0199】
有利には、第1の化粧用組成物中に存在する不揮発性炭化水素系油は、具体的には、水添ポリイソブテン、ヘプタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジペンタエリスリチルテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレートおよび2-オクチルドデカノール、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0200】
特定の一実施形態によれば、第1の組成物中に存在する不揮発性油は、水添ポリイソブテン、ヘプタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジペンタエリスリチルテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレートおよび2-オクチルドデカノールの混合物である。
【0201】
不揮発性油は、第1または第2の組成物中に、組成物の全重量に対して、20重量%から99重量%、具体的には30重量%から80重量%、具体的には40重量%から80重量%の範囲の含有量で存在してよい。
【0202】
特定の一実施形態によれば、第1または第2の組成物は、組成物の全重量に対して、0から90重量%、具体的には0.1重量%から80重量%、具体的には2重量%から80重量%の範囲の含有量で存在する少なくとも1種のシリコーン油を含む。
【0203】
もう1つの実施形態によれば、第1の組成物中に存在するシリコーン油は、一般式(I)のシリコーンポリマーの重量に対して、80:1から、具体的には60:1、より具体的には40:1の範囲の重量比で存在する。
【0204】
第1または第2の化粧用組成物はまた少なくとも1種の糖およびカルボン酸のエステルをも含んでよい、例えば:
ショ糖のC8〜C22脂肪酸エステル、例えば米国特許第6238678号およびWO 00/10523号に記載されているものなどで、その内容は、参照により本特許出願に組み込まれている、
ショ糖のC1〜C6酸エステル、例えば参照記号SAIBの下にEastman SAIBにより販売されているイソ酪酸酢酸スクロース。
【0205】
第1または第2の組成物の液体脂肪相は、適切な場合には、そこに脂肪相ゲル化剤、具体的には公開されたWO 2004/28486号に記載されているゲル化剤、を加えることにより、増粘、ゲル化または構築されてよく、特許出願の内容は、参照により本特許出願に含まれている。
【0206】
本発明の第1または第2の組成物は、組成物の連続相を形成してよい水相に相当する少なくとも1種の水性媒体を含んでいる。
【0207】
水相は、実質的に水からなってよい。
【0208】
水相はまた、水と水混和性の有機溶媒(25℃で50重量%超の水との混和性)、例えば、エタノールまたはイソプロパノールなど1から5個の炭素原子を含む低級モノアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコールまたはジプロピレングリコールなど2から8個の炭素原子を含むグリコール、C3〜C4ケトンおよびC2〜C4アルデヒド、との混合物であってもよい。
【0209】
水相(水および任意選択で水混和性の有機溶媒)は、組成物の全重量に対して、0.1重量%から40重量%、具体的には0.1重量%から20重量%、具体的には0.1重量%から10重量%の範囲の含有量で存在してよい。
【0210】
この水相は、適切な場合には、そこに慣例的な水性ゲル化剤、具体的には鉱物由来の水性ゲル化剤、例えばクレー、および/または有機由来の水性ゲル化剤、例えば水性ゲル化ポリマー、を同様に加えることにより、増粘、ゲル化または構築されてよい。
【0211】
第1および第2の組成物が爪に塗付することを意図されているとき、組成物は好ましくは、
室温で液体のケトン、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンまたはアセトンなど、
室温で液体のアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、2-ブトキシエタノールまたはシクロヘキサノールなど、
室温で液体のグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ペンチレングリコールまたはグリセロールなど、
室温で液体のグリセロールエステル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル酢酸またはジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテルなど、
γ-ブチロラクトンなどの環状エーテル
(合計3から8個の炭素原子を含む)短鎖エステル、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸メトキシプロピルまたは酪酸ブチルなど、
室温で液体のエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテルまたはジクロロジエチルエーテルなど、
室温で液体のアルカン、例えばデカン、ヘプタン、ドデカンまたはシクロヘキサン、
ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシド
室温で液体のアルデヒド、例えばベンズアルデヒドまたはアセトアルデヒドなど、
テトラヒドロフランなどのヘテロ環化合物、
炭酸プロピレンまたは3-エトキシプロピオン酸エチル、
これらの混合物
から選択される溶媒を含む。
【0212】
酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸メトキシプロピル、酪酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、γ-ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、炭酸プロピレン、3-エトキシプロピオン酸エチルおよびジメチルスルホキシド、ならびにこれらの混合物が具体的には好ましい。
【0213】
一変形例によれば、本発明の第1および第2の化粧用組成物は、エマルジョンの形態であってよく、エマルジョン中で、上に定義した一般式(I)のシリコーンポリマーは、界面活性剤として働いてよい。
【0214】
本発明において、用語「エマルジョン」は、2つの非混和性の液体のシステムで、液体の一方が、他方の中に小滴として細かく分散しているシステムを意味する。分散相はまた、「内相または不連続相」としても知られている。分散媒はまた、「外相または連続相」としても知られている。
【0215】
分散相が親油性、例えば植物油または鉱油、であり、かつ分散媒が親水性、例えば水、であるエマルジョンは水性タイプ(O/W:水中油)であると言われる。分散相が親水性であり、かつ分散媒が親油性であるエマルジョンは油性タイプ(W/O:油中水)であると言われる。
【0216】
多層エマルジョンとして知られるエマルジョン、例えばW/O/W:水中油中水、も存在する。
【0217】
本発明において、エマルジョンは、親油相および親水相を含み、親水相は体系的に水ではない。
【0218】
したがって、第1および第2の組成物は、無水エマルジョン形態であってもよい。
【0219】
具体的には、第1および第2の組成物は、例えば、組成物の全重量に対して、10重量%未満、具体的には5重量%未満の水、さらに1重量%未満の水を含んでよい連続脂肪相を有してよい。
【0220】
第1および第2の組成物は、有利には、無水であり、すなわち、組成物の全重量に対して、5重量%未満、具体的には3重量%未満、具体的には2重量%未満、より具体的には1重量%未満の水を含んでよい。その場合組成物は具体的には、油性ゲル、油性液体、ペーストまたはスティックの形態、あるいは別法としてイオン性および/または非イオン性液体を含むベシクル分散液の形態であってもよい。
【0221】
第1および/または第2の組成物はまた、少なくとも1種のワックスまたはペースト状脂肪物質を含んでよい。これらの脂肪物質は、動物、植物、鉱物または合成由来であってもよい。
【0222】
用語「ペースト状脂肪物質」は、少なくとも23℃の温度で液体フラクションおよび固体フラクションを含む親油性化合物を意味する。用語「ペースト状脂肪物質」はまた、ラウリン酸ポリビニルを含むことを意図される。
【0223】
本発明において、用語「ワックス」は、室温(25℃)で固体であって、状態の可逆的な固体/液体変化を有し、30℃以上、120℃までであってもよい融点を有する親油性化合物を意味する。
【0224】
ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、DSC30の名称でMettler社により販売されている熱量計、を用いて測定されてよい。
【0225】
ワックスは、炭化水素系ワックス、フッ素ワックスおよび/またはシリコーンワックスであってよくかつ、植物、鉱物、動物および/または合成由来であってもよい。具体的には、ワックスは25℃超さらによりよくは45℃超の融点を有する。
【0226】
第1または第2の組成物に使用されてよいワックスとして、直鎖炭化水素系ワックスからなってよい。これらの融点は、有利には、35℃超、例えば、55℃超、好ましくは80℃超である。
【0227】
直鎖炭化水素系ワックスは有利には、置換された直鎖アルカン、不飽和直鎖アルカンおよび非置換直鎖アルケンおよび置換直鎖アルケン、炭素または水素のみからなる非置換化合物から選択される。前記の置換基は、いかなる炭素原子をも含まない。
【0228】
直鎖炭化水素系ワックスは、エチレンポリマーおよび400と800の間の分子量を有するコポリマー、例えばNew Phase Technologiesにより販売されているPolywax 500またはPolywax 400、を含む。
【0229】
直鎖炭化水素系ワックスは、直鎖パラフィンワックス、例えば、Strahl & PitchのパラフィンS&P 206、S&P 173およびS&P 434、を含む。
【0230】
直鎖炭化水素系ワックスは、直鎖長鎖アルコール、例えば、20から50個の炭素原子を含むポリエチレンとアルコールの混合物を含む製品、具体的にはNew Phase Technologiesにより販売されているPerformacol 425またはPerformacol 550(20/80の比率の混合物)、を含む。
【0231】
シリコーンワックスの例は、
C20〜C24アルキルメチコン、C24〜C28アルキルジメチコン、C20〜C24アルキルジメチコンおよびSilCare 41M40、SilCare 41M50、 SilCare 41M70およびSilCare 41M80の参照記号の下にArchimica Fine Chemicalsにより販売されているC24〜C28アルキルジメチコン、
Archimicaにより販売されている参照記号SilCare 41M65のステアリルジメチコンまたはDow Corningにより販売されている参照番号DC-2503のステアリルジメチコン、
参照記号SilCare 1M71またはDC-580の下で販売されているステアロキシトリメチルシラン、
Wacker-Chemie GmbHの製品Abil Wax 9810、9800または2440、
AMS-C30 Waxの参照記号の下にDow Corningにより販売されているC30〜C45アルキルメチコン、およびまた、SF1642またはSF1632の参照記号の下にGeneral Electricにより販売されているC30〜C45アルキルジメチコンである。
【0232】
これらの脂肪物質の性質および量は、所望の力学的特性および感触に依存する。指針として、第1または第2の組成物は、組成物の全重量に対して、0.1重量%から50重量%、さらによりよくは1重量%から30重量%のワックスを含んでよい。
【0233】
第1および第2の組成物はまた、前述のシリコーンポリマー以外の、200,000g/mol以上、好ましくは200,000と2,500,000の間、好ましくは200,000と2,000,000g/molの間の分子量を有するシリコーンポリマーを含んでよい。
【0234】
このシリコーンポリマーの粘度は、ASTM標準D-445に基づいて測定して、100,000と5,000,000cStの間、好ましくは100,000と1,000,000cStの間、より好ましくは300,000と700,000cStの間であってもよい。
【0235】
シリコーンポリマーは、好ましくはジメチコノール、フルオロシリコーンおよびジメチコンならびにこれらの混合物から選択される。
【0236】
高分子シリコーンポリマーは、参照記号D2-9085の下にポリジメチルシロキサン(5cSt)中で、Dow Corningにより販売されている、混合物の粘度が1550cStであるジメチコノール、または参照記号DC 1503の下にオクタメチルシクロテトラシロキサン中で、Dow Corningにより販売されているジメチコノールあってもよい。参照記号Q2-1403またはQ2-1401の下にDow Corningにより販売されている、(分子量が1,770,000に等しい)ジメチコノールもまた、好ましく、混合物の粘度は4,000cStに等しい。
【0237】
本発明の高分子ジメチコンは、米国特許第4152416号に記載されたジメチコンを含む。これらは、例えば参照記号SE30、SE33、SE 54およびSE 76の下に販売されている。
【0238】
本発明の第1および/または第2の組成物はまた、水溶性染料、および粉状染料、例えば当業者にはよく知られている顔料、真珠光沢顔料およびフレーク、から選択される1つまたは複数の染料をも含んでよい。染料は、第1または第2の組成物中に、組成物の全重量に対して、0.01重量%から50重量%、好ましくは0.01重量%から30重量%の範囲の含有量で存在してよい。
【0239】
用語「顔料」は、液体有機相に不溶で、かつ組成物を着色および/または不透明にすることを意図された、白色または有色の、鉱物または有機粒子を意味すると理解されるべきである。
【0240】
用語「真珠光沢顔料」は、虹色粒子、具体的にはある種の軟体動物により貝殻の中で産生されたかまたは他に合成された、組成物の媒体に不溶である虹色粒子を意味すると理解されるべきである。
【0241】
用語「染料」は、一般に脂肪物質に可溶である有機化合物、例えば油、または水性アルコール系相に可溶な有機化合物を意味すると理解されるべきである。
【0242】
第1および/または第2の組成物は、顔料分散物を含んでよい。
【0243】
分散物は、分散した粒子の凝集またはフロキュレーションを防止するのに役立つ。この分散物は、分散される粒子表面に対する強力な親和性を有する1つまたは複数の官能基を有する界面活性剤、オリゴマー、ポリマーまたはこれらのいくつかの混合物であってもよい。これらの分散物はまた、連続媒体に相容するかまたは可溶である少なくとも1つの官能基を有する。具体的には、12-ヒドロキシステアリン酸エステル、およびグリセロールまたはジグリセロールなどのC8〜C20脂肪酸エステルが使用され、例えば、Solsperse 21 000の名称でAvecia社により販売されている製品などの分子量約750g/molのステアリン酸ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)、Dehymyls PGPHの参照記号でHenkel社により販売されているpolyglyceryl-2 dipolyhydroxystearate(CTFA名):ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、またはArlacel P100の参照記号でUniqema社により販売されているポリヒドロキシステアリン酸、およびこれらの混合物である。
【0244】
第1または第2の組成物に使用されてよいもう1つの分散物としては、重縮合された脂肪酸の四級アンモニウム誘導体、例えばAvecia社により販売されているSolsperse 17 000、および参照記号DC2-5185およびDC2-5525 CでDow Corning社により販売されているものなどのポリジメチルシロキサン/オキシプロピレン混合物が言及される。
【0245】
ポリジヒドロキシステアリン酸および12-ヒドロキシステアリン酸エステルは、好ましくは、炭化水素系またはフッ素化媒体を対象とし、一方オキシエチレン/オキシプロピレンジメチルシロキサンの混合物は、好ましくはシリコーン媒体を対象とする。
【0246】
顔料は、白色または有色で、鉱物および/または有機あってもよい。言及されてよい鉱物顔料は、任意選択で表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、およびまた酸化亜鉛、酸化鉄(黒、黄または赤)または酸化クロム、マンガンバイオレット、グンジョウ、クロム水和物およびコンジョウ、ならびに金属パウダー、例えばアルミニウムパウダーまたは銅パウダーである。
【0247】
言及されてよい有機顔料には、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、およびコチニールカルミンまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはアルミニウムベースのレーキがある。
【0248】
また、効果を有する顔料、例えば天然または合成の、有機または鉱物基質、例えばガラス、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、セラミックスまたはアルミナ、を含む粒子であって、前記基質は場合により金属物質、例えばアルミニウム、金、銀、プラチナ、銅、青銅または金属酸化物、例えば二酸化チタン、酸化鉄または酸化クロム、およびこれらの混合物で被覆されている基質を含む粒子なども言及される。
【0249】
真珠光沢顔料は、チタンまたはオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、具体的にはコンジョウまたは酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、前述のタイプの有機顔料で被覆されたチタンマイカおよびまたオキシ塩化ビスマスベースの真珠光沢顔料から選択されてよい。具体的には液晶または多層を含む干渉顔料もまた使用されてよい。
【0250】
水溶性染料は、例えば、ビート根液汁またはメチレンブルーである。
【0251】
有利には、本発明の第1および/または第2の組成物はまた、具体的には滲出物に関して改善された安定性の付与を可能にする有機または鉱物性のフィラーを含んでよい。
【0252】
用語「フィラー」は、組成物の媒体に不溶かつ分散しておりかつ、組成物に濃度または剛性、および/または柔らかさ、マット効果およびメークアップの均一性を与えることを意図された、有色または白色の、あらゆる形態の鉱物または有機固体粒子を意味すると理解されるべきである。
【0253】
第1および第2の組成物に使用されるフィラーは、ラメラ、球状、球形または繊維の形状あるいはこれら定義された形態間のあらゆる他の中間的形態からなってよい。
【0254】
本発明のフィラーは、表面被覆、具体的にはシリコーン、アミノ酸、フッ素誘導体または組成物中でのフィラーの分散および相容性を向上させる他のあらゆる物質により表面処理されていてもいなくてもよい。
【0255】
本発明において、用語「鉱物フィラー」および「無機フィラー」は、同義的に使用される。
【0256】
使用されてよいフィラーの中で、タルク、マイカ、シリカ、トリメチルシロキシシリケート、カオリン、ベントン、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、中空シリカマイクロスフィア(MaprecosのSilica Beads)、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、シリカベースのフィラー、例えばAerosil 200およびAerosil 300;Asahi Glassにより販売されているSunsphere L-31およびSunsphere H-31;Asahi Chemicalにより販売されているChemicelen;およびシリカおよびに酸化チタンの複合体、例えばNippon Sheet Glassにより販売されているTSGシリーズ、ならびにこれらの混合物が言及される。
【0257】
フィラーの中で、ポリアミドパウダー(AtochemのNylon(登録商標)Orgasol)、ポリ-b-アラニンパウダーおよびポリエチレンパウダー、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))パウダー、ラウロイルリジン、デンプン、テトラフルオロエチレンポリマーのパウダー、Expancel(Nobel Industrie)などの中空ポリマーマイクロスフィア、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、8から22個の炭素原子、好ましくは12から18個の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導された金属石ケン、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウム、ならびにPolypore(登録商標) L 200(Chemdal Corporation)、
シリコーン樹脂マイクロビーズ(ToshibaのTospearl(登録商標))、
ポリウレタンパウダー、具体的にはコポリマーを含む架橋ポリウレタンのパウダーであって、前記コポリマーがトリメチロールヘキシルラクトンを含むパウダー、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアナート/トリメチロールヘキシルラクトンポリマーであってよく、このような粒子は具体的には、例えば、Plastic Powder D-400(登録商標)またはPlastic Powder D-800(登録商標)の名称でToshiki社により市販されている、
およびこれらの混合物
にも言及される。
【0258】
フィラーは、組成物の全重量に対して、0.001重量%から35重量%、好ましくは具体的には0.5重量%から15重量%の比率で存在してよい。
【0259】
フィラーは、例えば、100μm未満、具体的には1と50μmとの間、例えば4と20μmとの間の平均粒子サイズを有するフィラーであってもよい。
【0260】
特定の一実施形態によれば、本発明の第1または第2の組成物は、組成物の全重量に対して0.001重量%から60重量%、具体的には組成物の全重量に対して0.5重量%から20重量%、より具体的には1重量%から10重量%の比率で存在する少なくとも1種のフィラーを含む。
【0261】
本発明の第1および/または第2の組成物はまた、慣例的に使用されるような1つまたは複数の美容的または皮膚科学的活性成分を含んでもよい。
【0262】
本発明の組成物に使用されてよい美容的、皮膚科学的、衛生的または薬学的活性成分としては、保湿剤、ビタミンB3およびEなどのビタミン、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質および日焼け止めが言及される。これらの活性成分は当業者にとっては通常の量で、具体的には第1および第2の組成物の全重量に対して、0から20重量%、具体的には0.001重量%から15重量%の濃度で使用される。
【0263】
組成物はまた、このような組成物に通常使用される他のあらゆる添加剤、例えば水、その内容が参照により本特許出願に組み込まれている2003年7月11日付け公開のフランス特許出願第2834452号に記載されているような界面活性剤、抗酸化剤、香料、防腐剤および精油をも含んでよい。
【0264】
言うまでもなく、当業者であれば、予想される添加により、組成物の有利な特性が全くまたはほとんど悪影響を受けないように、このまたはこれらの任意選択の追加的化合物、および/またはその量を、選択するよう注意するであろう。
【0265】
製品の組成物は、流し込み製品、例えばスティックまたは棒状形態、あるいは直接接触またはスポンジにより使用してよいディッシュの形態であってもよい。具体的には、組成物には、流し込みファンデーション、流し込みメークアップルージュ、流し込みアイシャドウ、リップスティック、リップケアベースまたはバーム、コンシーラー製品およびネイルエナメルとしての用途がある。組成物はまた、ソフトペーストまたは、別法としてゲル、程度の差はあれ液状のクリーム、またはチューブに充填した液体の形態であってもよい。
【0266】
本発明の製品の組成物は具体的には、顔、首、手または身体のための化粧用ケア組成物(例えばケアクリーム、日光防御オイルまたはボディゲル)、メークアップ組成物(例えばメークアップゲル、クリームまたはスティック)または人工タンニングまたは皮膚保護のための組成物を構成してよい。
【0267】
本発明の製品の組成物は、皮膚および/または外皮のためのケア組成物の形態または日光防御組成物または身体衛星組成物の形態、具体的にはデオドラントの形態であってもよい。組成物はこの場合、具体的には無着色の形態である。組成物はこの場合、皮膚、外皮または唇のためのケアベース(唇を寒さおよび/または太陽光線および/または風から保護するためのリップバーム、または皮膚、爪または毛髪のためのケアクリーム)として使用されてよい。
【0268】
本発明において、用語「化粧品として許容できる」は、好ましい外観、においまたは感触の組成物を意味する。
【0269】
本発明の製品の組成物はそれぞれ、局所適用に通常使用されるあらゆる製剤形態、具体的には油性または水性ゲル、水中油または油中水エマルジョン、多層エマルジョン、ベシクルが油/水界面に位置するベシクルによる水中油分散液、またはパウダーであってもよい。組成物はそれぞれ、液体または固体であってもよい。
【0270】
一実施形態によれば、第1または第2の組成物、あるいはその両方は、連続性脂肪相を有し、かつ好ましくは無水形態であり、かつ第1または第2の組成物の全重量に対して、5%未満の水、さらによりよくは1%未満の水を含んでよい。
【0271】
第1および第2の組成物はそれぞれ、ローション、クリーム、ポマード、ソフトペースト、軟膏、流し込みまたは成型固体、具体的にはスティックまたはディッシュ形態、別法として加圧成型固体の外観を有してよい。
【0272】
組成物はそれぞれ別個に、同一の包装容器、例えば、2-コンパートメントペンに包装されてよく、ベース組成物はペンの一端から放出され、トップ組成物はペンの他の一端から放出され、各末端は具体的にはキャップにより耐漏出性に密閉されている。
【0273】
別法として、組成物はそれぞれ異なる包装容器に包装されてよい。
【0274】
好ましくは、第1コートとして塗付される組成物は、液体またはペースト形態であり、このことはリップスティックまたはアイライナーの場合に非常に望ましい。
【0275】
本発明の製品は、有利には、使用される成分の性質に応じて、皮膚および/または唇および/または外皮のメークアップのために使用されてよい。具体的には、本発明の製品は、固体ファンデーション、棒状リップスティックまたはペースト状リップスティック、コンシーラー製品、アイコントアリング製品、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、身体メークアップ製品または皮膚着色製品の形態であってもよい。
【0276】
有利には、第2の組成物は、ケア、光沢または透明特性を有する。
【0277】
本発明の課題はまた、前述の第1および第2の組成物を含むリップ製品、エナメル、マスカラ、ファンデーション、タトゥー、メークアップルージュまたはアイシャドウである。
【0278】
本発明の製品の組成物は、種々の構成成分を最高融点のワックスの融点まで加熱し、続いて溶融した混合物を型(ディッシュまたはフィンガーストール)に注入することにより得られてよい。組成物はまた、欧州特許出願0667146号に記載されているような押し出し成型により得られてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0279】
本発明は、続いての実施例において極めて詳細に例証される。パーセンテージは、重量パーセントである。
【実施例1】
【0280】
第1の組成物:リップスティック
ポリエチレンワックス(重量平均分子量500) 10.5%
直鎖脂肪アルコール(New Phase Technolgiesにより販売されている
Performacol 550 Alcohol) 2.5%
メチルアクリレート/アクリル酸コポリマーの分散物 68%
イソ酪酸酢酸スクロース
(Eastman Chemicalにより販売されている Eastman SAIB) 5%
顔料ペースト 13.5%
香料 0.5%
【0281】
コポリマー分散物の調製
メチルアクリレートとアクリル酸の95/5の比率の非架橋コポリマーのイソドデカンへの分散物を欧州特許出願749746号の実施例1の方法に基づき、ヘプタンをイソドデカンに置き換えて、調製する。Kraton G1701の名称で販売されているポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマーによりイソドデカン中で表面安定化された、25重量%の固体含有量を有するポリ(メチルアクリレート/アクリル酸)粒子の分散物、がこのように、得られる。
【0282】
リップスティックの調製
ポリエチレンワックス、C30〜C50アルコールおよび顔料ペーストを加熱容器に導入し磁気攪拌しながら100℃まで加熱し、均一な混合物を得る。顔料ペーストは70%の顔料、1%のステアリン酸ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)、および29%の水添ポリイソブテンからなる。次いで、温度および攪拌を維持しながら、イソ酪酸酢酸スクロースおよび実施例1に基づく分散物を加える。組成物を40℃で型に注入し、型を-20℃で30分間放置する。次いでスティックを型から外す。得られたスティックは均一なシェードを有し、塗布時には滑らかである。スティックは、唇に保持力が良好で、にじまず、色移りせずかつ、べたつきのない付着を与える。
【0283】
第2の組成物:リップバーム
重量パーセント
フェニルトリメチコン(Dow CorningのDC556) 25
ポリメチルシロキサン(Belsil 1000) 25%
ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 12%
(信越化学工業のKF6104(登録商標))
ポリジメチルシロキサン(DC200、10 cSt) 15%
ネオペンタン酸オクチルドデシル 15%
疎水性シリカ(Aerosil R972) 8%
【実施例2】
【0284】
第1の組成物:リップスティック
KF6104(登録商標)の参照記号で信越化学工業により販売されているポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンを含むリップスティックで、組成が表Iに詳述されているリップスティックを調製する。
【0285】
【表1】

【0286】
手順
イソノナン酸イソノニル、2-オクチルドデカノールおよびリンゴ酸ジイソステアリルを(約95℃に)加熱しながらポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンおよびジメチコンオイルと混合することにより油相を調製する。このように調製した油相を約95℃で攪拌し、フィラー(N-ラウロイル-L-リジンおよびヒュームドシリカ)を混合物に加える。
【0287】
次いで、ワックス、顔料ペーストの形態の顔料、水添ポリイソブテンおよびシメチコンを混合物に加える。
【0288】
第2の組成物:無色棒状リップスティック
重量%
シリコーン油(PDMS) 25
Dow CorningのDC200(5 cSt)
ジメチコン(および)ジメチコノール 61
Dow CorningのD2-9085(1550 cSt) トリフルオロプロピルジメチコン(100 cSt) 1
信越化学工業のX22-819
C30-45アルキルジメチコン 5
(GE Bayer SiliconeのSF 1642)
ポリエチレンワックス(重量平均分子量500) 8
【0289】
シリコーン油、ジメチコノールおよびフルオロジメチコンを、均一な混合物が形成されるまで、加熱しながら混合する。次いで、110℃にした前記混合物に、C30-45アルキルジメチコンを加える。次いで、ポリエチレンワックスを、均一な混合物が得られるまで、少量ずつ加える。混合物を90から95℃に冷却し、次いで型に注入し、型を-20℃で30分間放置する。最後にスティックを型から外す。
【実施例3】
【0290】
【表2】

【0291】
メチルアクリレートとメタクリレート末端基を含むポリエチレン/ポリブチレンコポリマーに相当するマクロモノマー(Kraton L-1253)の重合により得られるポリマーの調製
2kgのヘプタン、2kgのイソドデカン、2.8kgのメチルアクリレートおよび1.2kgのマクロモノマー、例えばメタクリレート末端基を含むポリエチレン/ポリブチレンタイプのコポリマー(Kraton L-1253)など、および320gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサン酸(Trigonox 21S)を反応器に入れる。
【0292】
反応混合物を攪拌し室温から90℃の温度まで1時間加熱する。90℃で15分間経過後に、反応媒体の外観に、透明な外観から乳状の外観に変化するという変化が観察される。攪拌しながら、加熱をさらに15分間継続し、次いで16kgのメチルアクリレートと200gのTrigonox 21Sとからなる混合物を1時間かけて滴下しながら加える。
【0293】
混合物を4時間90℃に加熱し、その際ヘプタンを反応媒体から留去する。この蒸留操作の後に、かくしてイソドデカン中に調製されたポリマー粒子の安定な分散物が得られる。
【0294】
グラフト化ポリマーは、ポリマーの重量に対して、6重量%のマクロモノマーを含む。
【0295】
ポリマーおよび前記ポリマーにより形成される粒子の特性は以下の通りである:
重量平均分子量 Mw=119,900
数平均分子量 Mn=16,300
多分散指数(Mw/Mn)=7.37
ガラス転移点:Mettler DSCで10℃
乾燥抽出物:イソドデカン中52.4%、熱天秤により実施
粒子サイズ:0.05の多分散性で46nm、Malvern Lo-C Autosizerにより25℃で実施
【0296】
リップスティックの調製
ワックス、顔料ペーストおよびスクロースエステルを加熱容器に入れ、Rayneriブレンダーを用いて攪拌しながら系を105℃まで加熱し、30分間攪拌しておき、次いで真珠光沢顔料を加え、続いてポリマー分散物および香料を加える。混合物を10分間攪拌し、次いで42℃で型に注入する。型を冷凍庫に入れ、型が約4℃になったら、リップスティックを型から外す。
【0297】
第2の組成物:リップバーム
重量%
ポリエチレンワックス 2
オゾケライトワックス 3
ミツロウ 3
マイクロクリスタリンワックス 2
パラフィンワックス(Nippon SeiroのEMW-3) 8
ポリ綿実脂肪酸スクロース(Sucrose polycottonseedate)
5
水添ポリイソブテン 10
リンゴ酸ジイソステアリル 10
ネオペンチルグリコールジカプレート 10
イソノナン酸イソトリデシル 10
アクリレート/ステアリルアクリレート/ジメチコンメタクリレートの
コポリマー(信越化学工業のKP 561 P(登録商標)) 2
ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン
(信越化学工業のKF6104(登録商標)) 10
トリメチルシロキシシリケート(SR 1000(登録商標)) 2
ジメチコン 6 cSt 5
チタン被覆マイカ 5
反射顔料(Nippon Sheet GlassのMetashine(登録商標)) 2
二酸化チタン 1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の組成物を含む化粧用製品であって、第1の組成物が、一般式(I):
R1aR2bR3cSiO(4-a-b-c)/2 (I)
[式中、
a、bおよびcは、aが1から2.5の範囲であり、bおよびcが互いに独立して0.001から1.5の範囲であり、
R1は、同一でも異なっていてもよく、
1個または複数のフッ素原子ならびにアミノおよび/またはカルボキシル基で適切に置換されたC1〜C30アルキル基、
アリールおよびアラルキル基、および
一般式(II)の基:
-CdH2d-O-(C2H4O)e(C3H6O)fR4 (II)
(式中、
R4は、C1〜C30炭化水素系基、またはR5がC1〜C30炭化水素系基である基R5-(CO)-であり、
d、eおよびfは、dが0から15の範囲であり、eおよびfが互いに独立して0から50の範囲であるような整数である)、
ならびにこれらの組み合わせから選択され、
R2は、一般式(III)で表される基であり、
-Q-O-X (III)
(式中、
Qは、少なくとも1個のエーテル結合および/または少なくとも1個のエステル結合を含んでいてもよい2価のC2〜C20炭化水素系基であり、
Xは、ポリヒドロキシル化炭化水素系基である)
R3は、
1個または複数のフッ素原子ならびにアミノおよび/またはカルボキシル基で適切に置換されたC1〜C30アルキル基、
アリールおよびアラルキル基、および
一般式(IV)のオルガノシロキサン基:
【化1】

(式中、
R基は、それぞれ1個または複数のフッ素原子ならびにアリールおよびアラルキル基で適切に置換されたC1〜C30アルキル基を表し、
gおよびhは、gが1から5の範囲であり、hが0から500の範囲であるような整数である)
から選択される基である]
の少なくとも1種のシリコーンポリマーを含み、第1の組成物とは異なる第2の組成物が化粧品として許容できる媒体を含む化粧用製品。
【請求項2】
シリコーンポリマーが、R1がC1からC10、具体的にはC1からC6、より具体的にはC1からC4アルキル基である、一般式(I)の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
シリコーンポリマーが、一般式(I)であって、
式中、aは1から1.4の範囲であり、bおよびcは、互いに独立して、0.02から0.04の範囲であり、
R1は、C1からC10、具体的にはC1からC6、より具体的にはC1からC4アルキル基であり、
R2は、一般式(IIIA)で表され、
-C3H6O[CH2CH(OH)CH2O]nH (IIIA)
(式中、nは1から5である)
R3は、式(IVA)で表される
-C2H4(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]mSi(CH3)2 (IVA)
(式中、mは3から9である)
の化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の製品。
【請求項4】
シリコーンポリマーが、一般式(I):
R1aR2bR3cSiO(4-a-b-c)/2 (I)
(式中、
aは1から1.4の範囲であり、bおよびcは、互いに独立して、0.02から0.04の範囲であり、
R1は、メチル基であり、
R2は、式中、nが1から5である式(IIIA)で表され、
R3は、式中、mが3から9である式(IVA)で表される)
の化合物であることを特徴とする、請求項3に記載の製品。
【請求項5】
-Q-O-Xが、-(CH2)2-および-(CH2)3-から選択される2価の基であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の製品。
【請求項6】
Xが、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むポリヒドロキシル化炭化水素系基、特にグリセロール誘導体および糖類誘導体から選択される炭化水素系基であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の製品。
【請求項7】
-Q-O-Xが、以下の式の1つ
【化2】

(式中、Qは、請求項1から6のいずれか一項に記載の一般式(III)と同一の意味を有し、sおよびtは、1から20、具体的には1から15、具体的には1から10、より具体的には1から5の範囲内の整数である)
に相当する基であることを特徴とする、請求項6に記載の製品。
【請求項7】
シリコーンポリマーが、式(V):
【化3】

(式中、
Sx: -C2H4[(CH3)2SiO]mSi(CH3)3
Gly: -C3H6O[CH2CH(OH)CH2O]nH
a=1〜1.4、b=0.02〜0.04、c=0.02〜0.04、m=3〜9、n=1〜5である)
のポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコンであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項8】
シリコーンポリマーが、式(VI):
【化4】

(式中、
Sx、Gly、a、b、c、mおよびnは、請求項7と同一の意味を有し、R1は、メチル基またはラウリル基である)
のラウリルポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコンであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項9】
シリコーンポリマーが、式(VII):
【化5】

(式中、
Gly、a、b、c、mおよびnは、請求項7と同一の意味を有し、Sxは-O(CH3)2SiO-Si(CH3)3である)
のポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコンであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項10】
一般式(I)のシリコーンポリマーが、第1の組成物中に、組成物の全重量に対して、0.1重量%から40重量%、具体的には0.5重量%から30重量%、より具体的には1重量%から25重量%、具体的には5重量%から20重量%、具体的には7重量%から15重量%の比率で存在することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の製品。
【請求項11】
シリコーンポリマーが、第1の組成物中に十分な量で存在するとき、製品が少なくとも45以下、具体的には40以下、具体的には35以下、具体的には0と45の間の移り値ΔE(T)を有する付着を形成することができるようなシリコーンポリマーであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の製品。
【請求項12】
シリコーンポリマーが、前記組成物中に十分な量で存在するとき、この組成物が少なくとも15以下、具体的には少なくとも10以下、より具体的には少なくとも6以下の、水に対する色堅牢度ΔE(E)を有する付着を形成することができるようなシリコーンポリマーであることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の製品。
【請求項13】
シリコーンポリマーが、前記組成物中に十分な量で存在するとき、この組成物が少なくとも25以下、具体的には少なくとも10以下、より具体的には少なくとも8以下の、油に対する色堅牢度を有する付着を形成することができるようなシリコーンポリマーであることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の製品。
【請求項14】
シリコーンポリマーが、前記組成物中に十分な量で存在するとき、この組成物が30以上または40以上、または45以上の平均光沢を有する付着を形成することができるようなシリコーンポリマーであることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の製品。
【請求項15】
一般式(I)のシリコーンポリマーが、化粧用組成物中に十分な量で存在するとき、保持体上に塗り広げた際の、製品の付着の快適指数が100分の80以上、好ましくは100分の90超、より好ましくは100分の95超であるようなシリコーンポリマーであることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の製品。
【請求項16】
第1および第2の組成物が、互いに独立して、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、例えばペンダントであり、かつ/またはシリコーン鎖の末端に存在するアルキルまたはアルコキシ基を含み、これらの基がそれぞれ2から24個の炭素原子を含むポリジメチルシロキサン、およびフェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、ならびにこれらの混合物から選択される不揮発性シリコーン油を含むことを特徴とする、請求項15に記載の製品。
【請求項17】
第1または第2の組成物が、互いに独立して、RCOOが2から28個の炭素原子を含む脂肪酸残基を表し、R'が1から28個の炭素原子を含む炭化水素系鎖を表す、式RCOOR'の、40個未満の炭素原子を含む炭化水素系エステルから選択される炭化水素系油を含むことを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の製品。
【請求項18】
第1の組成物が、水添ポリイソブテン、ヘプタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、テトラヒドロキシステアリン酸/テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチルおよび2-オクチルドデカノールならびにこれらの混合物から選択される炭化水素系油を含むことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の製品。
【請求項19】
第1の組成物が皮膜形成シリコーンポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の製品。
【請求項20】
皮膜形成ポリマーがシロキシケイ酸、ポリシルセスキオキサンおよびポリメチルセスキオキサンから選択されることを特徴とする、請求項19に記載の製品。
【請求項21】
皮膜形成ポリマーが、カルボキシレート基およびポリジメチルシロキサン基を含むコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項19に記載の製品。
【請求項22】
皮膜形成ポリマーが、ポリジメチルシロキサングラフトを含むアクリル酸とアクリル酸ステアリルの共重合体、ポリジメチルシロキサングラフトを含むメタクリル酸ステアリルの共重合体、ポリジメチルシロキサングラフトを含むアクリル酸とメタクリル酸ステアリルの共重合体、およびポリジメチルシロキサングラフトを含むメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルとメタクリル酸ステアリルの共重合体から選択されることを特徴とする、請求項21に記載の製品。
【請求項23】
第1および/または第2の組成物が少なくとも1種のワックスおよび少なくとも1種のペースト状化合物を含むことを特徴とする、請求項1から22のいずれか一項に記載の製品。
【請求項24】
第2の組成物が透明であることを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の製品。
【請求項25】
第2の組成物が5%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満の顔料を含むことを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の製品。
【請求項26】
第2の組成物が、第1の組成物の少なくとも1つの美容特性を改善するように選択されることを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載の製品。
【請求項27】
第1の組成物が、脂溶性染料、水溶性染料、顔料および真珠光沢顔料ならびにこれらの混合物から選択される着色剤を含むことを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の製品。
【請求項28】
第1および/または第2の組成物が、無水の液体、無水のスティックまたはエマルジョンの形態であることを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載の製品。
【請求項29】
ファンデーション、メークアップルージュ、アイシャドウ、リップスティック、ケア特性を有する製品、マスカラ、アイライナー、ネイルエナメル、コンシーラー製品または身体メークアップ製品の形態であることを特徴とする、請求項1から28のいずれか一項に記載の製品。
【請求項30】
請求項1から9のいずれか一項に記載のシリコーンポリマーおよび着色剤を含む第1の組成物の第1コートを皮膚、唇および/または外皮に塗布すること、次いで、前記第1コートの全部または一部に化粧品として許容できる媒体を含む第2の組成物の第2コートを塗布することからなる、皮膚および/または唇および/または外皮をメークアップするための方法。
【請求項31】
第1および第2の組成物がそれぞれ別個に、第1および第2のコンパートメントに包装される、請求項1から30のいずれか一項に記載の製品を含むメークアップキット。
【請求項32】
第1および第2のコンパートメントが同一の容器内に形成されることを特徴とする、請求項31に記載のメークアップキット。
【請求項33】
第1および第2のコンパートメントが2個の別個の容器内に形成されることを特徴とする、請求項32に記載のメークアップキット。
【請求項34】
第1の組成物が請求項1から9のいずれか一項に記載のシリコーンポリマーを含み、第2の組成物が化粧品として許容できる媒体を含み、前記組成物の少なくとも1つが着色剤を含む、第1および第2の組成物を含む化粧用製品の使用であって、皮膚および/または唇および/または外皮に、快適で、光沢があり、移り耐性および/またはにじみ耐性を有し、良好な色堅牢度および/または光沢保持力を有するメークアップを与えるための使用。

【公開番号】特開2006−28181(P2006−28181A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−207853(P2005−207853)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】