説明

シリコーンラバー組成物

硬化中に接触することになる有機樹脂に関してより優れた接着性を呈し、同時にその成型に使用される金型に関してより優れた金型解離性を保有するシリコーンラバー組成物が:
(A)1分子につき少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を持つポリ有機シロキサン;
(B)1分子につき少なくとも2つのシリコン結合水素原子を持つポリ有機シロキサン;
(C)式(I)(式中、Rは水素もしくはメチル基であり、Rはアルキレン基を表し、nは1〜10の値を持つ)を持つ、アルキレングリコールジアクリル酸エステルもしくはアルキレングリコールジメタクリル酸エステル;ならびに
(D)白金触媒
を含有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化中に接触することになる有機樹脂に関してより優れた接着性を呈し、同時にその成型に使用される金型に関してより優れた金型解離性を保有するシリコーンラバー組成物に関する。本シリコーンラバー組成物の特徴は、これが、アルキレングリコールジアクリル酸エステルもしくはアルキレングリコールジメタクリル酸エステルからなる接着/金型解離剤を含有することである。
【背景技術】
【0002】
成型前の有機樹脂の1片を下塗りし、その下塗り表面をシリコーンラバーと接触させ、次いでそれらを一緒に硬化させることにより、有機樹脂にシリコーンラバーを接着させることが知られている。しかしながら、このような方法は、下塗りを行い、次いで結果得られる2片からなる組成物を乾燥させることを包含する別個のステップを必要とする。加えて、この手順によっては、多くの例において充分な接着性が得られないことが見出されており、これは、該下塗り処理がしばしば不適切であるからである。
【0003】
これらの不利を克服するために、特に該下塗りステップをなくすために、シリコーンラバー組成物が開発され、これは一方で、硬化中に接触する有機樹脂に関してより優れた接着性を呈し、一方で、該シリコーンラバー組成物が成型される時に使用される金型に関してより優れた金型解離性を保有するものであった。このようなシリコーンラバー組成物の1例は、米国特許第5,405,896号明細書(1995年4月11日)において詳細に記載されるものである。しかしながら、該’896号特許の該シリコーンラバー組成物は接着/金型解離剤を含有し、これはその分子中にシリコン結合水素原子を包含し、2カラー成型への適用に、または、射出成型における有機樹脂の射出成型に該シリコーンラバー組成物が使用される場合、成型において使用される金型に関するその金型解離性は、減少する。
【0004】
メタクリル酸エステル化合物および/またはアクリル酸エステル化合物を含有するシリコーンラバー組成物が知られており、米国特許第6,274,658号明細書(2001年8月14日)において記載されている。しかしながら、それらの高い融点により、これらの化合物はその系中において非均一性を惹起する傾向にあり、結果的に、より劣った接着性を与える。加えて、該’658号特許の焦点は、硬化中に接触する有機樹脂に関してのより優れた接着性を開発し、同時にそれらが成型される場合に使用される金型に関してのより優れた金型解離性を保有するよりもむしろ:
(i)シリコーンラバー組成物の硬化速度を向上させること
そして
(ii)それらの保管安定性を向上させること
である。
【0005】
アクリレート化合物および/またはメタクリレート化合物を含有するシリコーンラバー組成物も知られており、米国特許第5,248,715号明細書(1993年9月28日)において記載されている。しかしながら、該’715号特許中の化合物は、本発明によるアルキレングリコールジアクリル酸エステルおよび/またはアルキレングリコールジメタクリル酸エステルよりもむしろ、(i)アルキル、アルケニル、もしくはアリール基含有アクリル酸エステル、および/または、アルキル、アルケニル、もしくはアリール基含有メタクリル酸エステルである。加えて、該’715号特許中のシリコーンラバー組成物は、金属に対して強い接着を呈するよう開発されたものであり、これは、本明細書における目的、つまり、有機樹脂に対してより優れた接着を呈すること、そして、金型に関する金型解離を呈すること、とは反対の目的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、硬化プロセス中に接触される有機樹脂に関してより優れた接着性を持ち、成型される時に使用される金型に対してより優れた金型解離性を保有するシリコーンラバー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特に、本発明はシリコーンラバー組成物に関し、これは:
1分子につき少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を持つポリ有機シロキサン(A)を、100重量部;
1分子につき少なくとも2つのシリコン結合水素原子を持つポリ有機シロキサン(B)を、(A)中のシリコン結合アルケニル基のモル数とアルキレングリコールエステル(C)中の不飽和基のモル数との合計に対する(B)中のシリコン結合水素原子のモル数の比が0.5〜20である量;
25℃において液体であり、式:
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、Rが水素もしくはメチル基であり、Rがアルキレン基であり、nが1〜10の値を持つ]
により表されるアルキレングリコールジアクリル酸エステルもしくはアルキレングリコールジメタクリル酸エステル(C)を、(A)100重量部につき0.01〜20重量部;ならびに
白金主体の触媒(D)を、(A)1,000,000重量部につき0.01〜500重量部
含む。
【0010】
本発明のこれらおよび他の特徴が、詳細な説明の考慮から、明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上述の通り、本発明のシリコーンラバー組成物は:
(A)1分子につき少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を持つポリ有機シロキサン;
(B)1分子につき少なくとも2つのシリコン結合水素原子を持つポリ有機シロキサン;
(C)式:
【0012】
【化2】

【0013】
[式中、Rが水素もしくはメチル基であり、Rがアルキレン基を表し、nが1〜10の値を持つ]を持つ、アルキレングリコールジアクリル酸エステルもしくはアルキレングリコールジメタクリル酸エステル化合物;ならびに
(D)白金触媒
を含有する。
【0014】
ポリ有機シロキサン(A)は、本シリコーンラバー組成物の主要成分であり、1分子につき少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を持っていることにより、特徴付けられる。(A)の分子構造は、好ましくは直鎖であるが、部分的な分岐構造を有する直鎖であってもよい。(A)のシリコン結合アルケニル基は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、およびヘプテニル基により例示され、ビニル基もしくはヘキセニル基が好ましい。これらのアルケニル基の(2重)結合の位置についての制限はなく、その分子鎖の末端において、その分子鎖の側鎖中において、もしくは両者において位置されてよい。
【0015】
ポリ有機シロキサン(A)は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、およびオクチルのようなアルキル基;フェニルおよびトリルのようなアリール基;3−クロロプロピルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルのようなハロゲン化アルキル基;ならびに、脂肪族不飽和炭素−炭素結合を持たない他の1価の置換もしくは非置換炭化水素基を包含する、アルケニル基以外のシリコン結合基を含有してもよく、メチル基が最も好ましい。好ましくは25℃において10〜1,000,000mPa・s(センチストーク)の範囲中であること以外、(A)の粘度についての制限はない。
【0016】
ポリ有機シロキサン(A)は、(i)1分子につき少なくとも2つのシリコン結合ビニル基を持つポリ有機シロキサン(A−1)と、(ii)1分子につきビニル以外の少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を持つポリ有機シロキサン(A−2)との混合物を含んでもよい。このような混合物が、成型時に使用される金型に関しての金型解離性を損なうことなく、硬化中に接触する有機樹脂に関しての本シリコーンラバー組成物の接着性を向上させることが、見出された。ヘキセニル基が、(A−2)中の他のアルケニル基として最も好ましい。
【0017】
この点において、ポリ有機シロキサン(A)は、好ましくは(A−1):(A−2)の重量比が1:99〜99:1の範囲中である(A−1)と(A−2)とのポリ有機シロキサンの混合物であり、より好ましくは重量比が10:90〜99:1であるポリ有機シロキサンの混合物であり、特に重量比が50:50〜99:1であるポリ有機シロキサンの混合物である。もし(A−2)に対する(A−1)の重量比が上記範囲の上限を超えると、本シリコーンラバー組成物の機械強度が減少する傾向にある。
【0018】
ポリ有機シロキサン(A−1)の粘度に関して制限はないが、25℃におけるその粘度は、好ましくは10〜1,000,000mPa・s(センチストーク)の範囲中にあるべきである。(A−1)の幾つかの好ましい例は、ジメチルビニルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つポリジメチルシロキサン;トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチルビニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;ジメチルビニルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチルビニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;ジメチルビニルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチルフェニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;ならびに、ジメチルビニルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマーを包含する。
【0019】
同様に、ポリ有機シロキサン(A−2)の粘度に関して制限はないが、25℃におけるその粘度は、好ましくは10〜1,000,000mPa・s(センチストーク)の範囲中にあるべきである。(A−2)の幾つかの好ましい例は、ジメチルヘキセニルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つポリジメチルシロキサン;トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチルヘキセニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;ジメチルヘキセニルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチルヘキセニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;ジメチルビニルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチルヘキセニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;ジメチルヘキセニルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチルフェニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;ならびに、ジメチルヘキセニルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマーを包含する。
【0020】
ポリ有機シロキサン(B)は、ポリ有機シロキサン(A)との架橋に使用される架橋剤である。ポリ有機シロキサン(B)は、1分子につき少なくとも2つのシリコン結合水素原子を持っているべきである。(A)中に、1分子につき2つのアルケニル基がある場合、その時は、ポリ有機シロキサン(B)は、1分子につき少なくとも3つのシリコン結合水素原子を持っているべきであり、あるいは、ポリ有機シロキサンの混合物が、1分子につき少なくとも3つのシリコン結合水素原子を持っているべきであり、ポリ有機シロキサンは、1分子につき2つのシリコン結合水素原子を含有する。ポリ有機シロキサン(B)の分子構造に関して制限はなく、(B)は、直鎖状、部分的に分岐している直鎖状、分岐状、環状、または樹木状(デンドリマー状)であり得る。加えて、該シリコン結合水素原子の結合位置に関して制限はなく、その分子鎖の末端に、その分子鎖の側鎖中に、または両方にあり得る。
【0021】
ポリ有機シロキサン(B)は、メチル、エチル、およびプロピルのようなアルキル基;フェニルおよびトリルのようなアリール基;クロロメチル、3−クロロプロピル、および3,3,3−トリフルオロプロピルのようなハロゲン化アルキル基;ならびに、脂肪族不飽和炭素−炭素結合を持たない置換もしくは無置換の1価の他の炭化水素基を包含する、シリコン結合水素原子以外のシリコン結合基を含有してもよい。一方、ポリ有機シロキサン(B)の粘度に関して制限はなく、それは25℃において1〜10,000mPa・s(センチストーク)の範囲中にあるべきである。
【0022】
本シリコーンラバー組成物において使用されるポリ有機シロキサン(B)の量は、ポリ有機シロキサン(A)中のシリコン結合アルケニル基のモル数と、アルキレングリコールエステル(C)中の不飽和基のモル数との合計に対する、(B)中のシリコン結合水素原子のモル数の比が、0.5〜20の範囲中にある量である。好ましくは、その量は、該比が0.5〜5であるような量である。(B)の量が該範囲の下限未満である場合、その結果のシリコーンラバー組成物は、上手く充分硬化しない傾向にある。(B)の量が該範囲の上限を超える場合、その結果のシリコーンラバー組成物の機械強度が減少する傾向にある。
【0023】
ポリ有機シロキサン(B)は、1分子につき少なくとも3つのシリコン結合水素原子を持つポリ有機シロキサン(B−1)と、その鎖の2つの末端においてのみ残存するシリコン結合水素原子を持つポリ有機シロキサン(B−2)との混合物からなり得る。このような混合物の使用が、成型時に使用される金型に関しての金型解離性を損なうことなく、硬化中に接触する有機樹脂に関しての本シリコーンラバー組成物の接着性を向上させることが、見出された。このような混合物の使用が、必要とされるアルキレングリコールエステル(C)量の抑制にもなる。
【0024】
混合物が使用される場合、ポリ有機シロキサン(B−1)は、ポリ有機シロキサン(A)中のシリコン結合アルケニル基のモル数と、アルキレングリコールエステル(C)中の不飽和基のモル数との合計に対する、(B−1)中のシリコン結合水素原子のモル数の比が、0.5〜20の範囲中にある量で存在し、より好ましくは、該比が0.5〜5である量で存在する。(B−1)の量が該範囲の下限未満である場合、その結果のシリコーンラバー組成物は、上手く充分硬化しない傾向にある。(B−1)の量が該範囲の上限を超える場合、その結果のシリコーンラバー組成物の機械強度が減少する傾向にある。
【0025】
該混合物中のポリ有機シロキサン(B−2)の量は、好ましくは、ポリ有機シロキサン(A)中のシリコン結合アルケニル基のモル数と、アルキレングリコールエステル(C)中の不飽和基のモル数との合計に対する、(B−2)中のシリコン結合水素原子のモル数の比が0.01〜10、より好ましくは0.01〜5の比である量である。(B−2)の量が該範囲の下限未満である場合、その結果のシリコーンラバー組成物は、硬化中に接触する有機樹脂に関しての接着性を、上手く充分呈さない傾向にある。(B−2)の量が該範囲の上限を超える場合、その結果のシリコーンラバー組成物の機械強度が減少する傾向にある。
【0026】
ポリ有機シロキサン(B−1)の粘度に関して制限はないが、それは25℃において1〜10,000mPa・s(センチストーク)であるべきである。ポリ有機シロキサン(B−1)は、トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つポリメチル水素シロキサン;トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチル水素シロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;ジメチル水素シロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチル水素シロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;環状ジメチルシロキサンとメチル水素シロキサンとのコポリマー;環状ポリメチル水素シロキサン;(CHSiO1/2により表されるシロキサン単位、(CHHSiO1/2により表されるシロキサン単位、およびSiO4/2により表されるシロキサン単位を含有するポリ有機シロキサン;(CHHSiO1/2により表されるシロキサン単位およびCHSiO3/2により表されるシロキサン単位を含有するポリ有機シロキサン;(CHHSiO1/2により表されるシロキサン単位、(CHSiO2/2により表されるシロキサン単位、およびCHSiO3/2により表されるシロキサン単位を含有するポリ有機シロキサン;ならびに、このようなポリ有機シロキサンの混合物により、例示される。
【0027】
同様に、ポリ有機シロキサン(B−2)の粘度に関しても制限はないが、25℃において1〜10,000mPa・s(センチストーク)であるべきである。ポリ有機シロキサン(B−2)は、ジメチル水素シロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つポリジメチルシロキサン;ジメチル水素シロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つジメチルシロキサンとメチルフェニルシロキサンとのコポリマー;ジメチル水素シロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つジメチルシロキサンとメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサンとのコポリマー;ならびに、このようなポリ有機シロキサンの混合物により、例示される。
【0028】
アルキレングリコールエステル(C)は、アルキレングリコールジアクリル酸エステルまたはアルキレングリコールジメタクリル酸エステルであり、本シリコーンラバー組成物の成分であり、成型時に使用される金型に関しての金型解離性の劣化を引き起こすことなく同時に、硬化中に接触する有機樹脂に関しての本シリコーンラバー組成物の接着性を向上させるのに必要なものである。このアルキレングリコールエステルは、式:
【0029】
【化3】

【0030】
に一般的に対応する構造を持っており、式中、Rは水素もしくはメチル基である。Rは、メチレン、エチレン、プロピレン、もしくはブチレンのようなC〜C10アルキレン基であり、好ましくはC〜Cアルキレン基である。nは1〜10、好ましくは1〜6の値を持っている。25℃において液体であるアルキレングリコールエステルが、本シリコーンラバー組成物の調製中におけるアルキレングリコールエステル(C)の取り扱い、および、本シリコーンラバー組成物中でのその分散性を確かなものにするために好ましい。
【0031】
アルキレングリコールエステル(C)は、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート;ならびに、これらの混合物により、例示される。
【0032】
アルキレングリコールエステル(C)の幾つかの好ましい例は:
【0033】
【化4】

【0034】
【化5】

【0035】
本シリコーンラバー組成物において使用されるアルキレングリコールエステル(C)の量は、ポリ有機シロキサン(A)100重量部に基づき、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5.0重量部である。アルキレングリコールエステル(C)の量が、この範囲の下限未満である場合、本シリコーンラバー組成物は、それが硬化中に接触する有機樹脂に上手く完全に接着しない傾向にある。本シリコーンラバー組成物におけるアルキレングリコールエステル(C)の量が、この範囲の上限を超える場合、本シリコーンラバー組成物は、上手く完全に硬化しない傾向にあり、硬化生成物の機械強度が減少する傾向にある。
【0036】
白金触媒(D)は、ヒドロシリル化反応を経由して、ポリ有機シロキサン(A)およびポリ有機シロキサン(B)を架橋させるために使用される。触媒(D)は、白金微粉末、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール修飾誘導体、白金のキレート化合物、白金ジケトン錯体、塩化白金酸およびオレフィン配位化合物、塩化白金酸アルケニルシロキサン錯体、ならびに、このような組成物が、アルミナ、シリカ、もしくはカーボンブラック(黒鉛)上に担持されている白金触媒により、例示される。ヒドロシリル化反応におけるそれらの高い活性のために、塩化白金酸アルケニルシロキサン錯体が好ましい。最も好ましいのは、米国特許第3,419,593号明細書(1968年12月31日)記載のような白金アルケニルシロキサン錯体である。白金金属原子0.01重量%以上を含有する熱可塑性樹脂の球状微粉末も、用いられ得る。
【0037】
触媒(D)は、白金金属量が、ポリ有機シロキサン(A)1,000,000重量部につき、0.01〜500重量部、好ましくは0.1〜100重量部の範囲中にあるような量において、本シリコーンラバー組成物中に存在する。
【0038】
ポリ有機シロキサン(A)および(B)、アルキレングリコールエステル(C)、ならびに白金触媒(D)に加えて、本シリコーンラバー組成物は、微粉末シリカである強化充填剤(E)を含有してもよい。充填剤(E)は有益であり、これは、本シリコーンラバー組成物でできている成型品に、より優れた機械的強度を付与することができるからであり、結果的に、このようなシリコーンラバー成型品は容易に、金型から離れ得る。充填剤(E)は、発煙シリカ、乾式プロセスによるシリカ、沈降シリカ、および湿式プロセスによるシリカにより、例示される。充填剤(E)は、有機クロロシラン、有機アルコキシシラン、ヘキサ有機ジシラザン、ジメチルヒドロキシシロキシ末端化ポリジ有機シロキサン、もしくはシクロポリジ有機シロキサンのような疎水化剤を用いて処理された表面を持ち得る。充填剤(E)の疎水的処理は、未処理充填剤(E)と1種以上の該疎水化剤とを一緒に混練することにより、実施され得る。単一の充填剤もしくはこのような充填剤の組み合わせが、使用され得る。
【0039】
充填剤(E)のBrunauer−Emmett−Teller窒素吸着特異的表面積は、好ましくは50m/g未満であるべきでなく、より好ましくは100m/g未満であるべきでない。本シリコーンラバー組成物中に存在する充填剤(E)の量は、ポリ有機シロキサン(A)100重量部につき、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部の範囲中にある。充填剤(E)の量が該範囲の下限未満である場合、本シリコーンラバー組成物を硬化させることにより得られるシリコーン成型品の機械的強度が、不充分となる。充填剤(E)の量が該範囲の上限を超える場合、そのポリ有機シロキサン(A)との混合が難しくなり、本シリコーンラバー組成物の粘度が過度に高くなり、その取り扱い性が損なわれる。
【0040】
本シリコーンラバー組成物は、微粉末シリカ充填剤(E)以外の無機充填剤のような任意成分を含有してもよく、これらの幾つかの例は、焼成シリカ、炭酸マンガン、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、石英粉末、珪藻土、アルミノ珪酸、炭酸カルシウム、および黒鉛;酸化鉄および二酸化チタンのような色素;ならびに、酸化セリウムおよび水酸化セリウムのような耐熱性添加剤である。該任意無機充填剤は、その純粋もしくは未処理状態において使用され得、あるいは、それを、有機アルコキシシラン、有機クロロシラン、もしくはヘキサ有機シラザンを用いて処理することにより、その表面は疎水性とされ得る。該任意無機充填剤は、それを、このような疎水性化剤の1種以上と一緒に混練することにより、調製され得る。
【0041】
本シリコーンラバー組成物は、その取り扱い性および保管安定性を向上させるために、硬化阻害剤をも含有してもよい。適切な硬化阻害剤の幾つかの例は、2−メチル−3−ブチン−2−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、1,5−ヘキサジイン、および1,6−ヘプタジインのようなアセチレン化合物;3,5−ジメチル−1−ヘキセン−1−イン、3−エチル−3−ブテン−1−イン、および3−フェニル−3−ブテン−1−インのようなエン−イン化合物;1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、および1,3−ジビニル−1,3−ジフェニルジメチルジシロキサンのようなアルケニルシロキサンオリゴマー;メチル−トリス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シランのようなエチニル含有シリコン化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、およびベンゾトリアゾールのような窒素含有化合物;トリフェニルホスフィンのような燐含有化合物;硫黄含有化合物;過酸化水素化合物;マレイン酸誘導体;ならびにこれらの混合物を包含する。
【0042】
本シリコーンラバー組成物に包含される場合、該硬化阻害剤は、ポリ有機シロキサン(A)100重量部につき、0.001〜3重量部、好ましくは0.01〜1重量部の量において、存在すべきである。好ましい硬化阻害剤は、上記したアセチレン化合物およびベンゾトリアゾールを包含する。白金触媒(D)と組み合わせた該硬化阻害剤は、本シリコーンラバー組成物の急速な硬化速度と、適切な保管性とのバランスをとることを可能にする。
【0043】
本シリコーンラバー組成物に包含されてもよい他の任意成分の幾つかの例は:
(i)トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つジメチルポリシロキサン、ジメチルヒドロキシシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つジメチルポリシロキサン、トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチルフェニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー、トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つジフェニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー、ジメチルヒドロキシシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチルフェニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー、トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持つメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー、および、シリコン結合アルケニル基および/またはシリコン結合水素原子を含有しない他のこのようなポリ有機シロキサン;
(ii)シリコーンラバー粉末;
(iii)シリコーン樹脂粉末;ならびに
(iv)ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、およびステアリン酸亜鉛のようなカルボン酸およびカルボン酸金属塩
を包含する。
【0044】
本シリコーンラバー組成物は、ポリ有機シロキサン(A)、ポリ有機シロキサン(B)、アルキレングリコールエステル(C)、および白金触媒(D)、ならびに如何なる任意成分をも均一に混合することにより、調製される。充填剤(E)が包含される場合、ポリ有機シロキサン(A)と充填剤(E)とをまず混練するのが好ましい。充填剤(E)用の疎水性表面処理剤が、該混練プロセス中に包含されてもよい。
【0045】
好ましくは、本シリコーンラバー組成物は、ポリ有機シロキサン(B)ではなくポリ有機シロキサン(A)と白金触媒(D)とを含有する第1部;ならびに、白金触媒(D)ではなくポリ有機シロキサン(A)とポリ有機シロキサン(B)とを含有する第2部からなる、2部シリコーンラバー組成物として、保管される。この2部系は、室温における本シリコーンラバー組成物の保管安定性を向上させ、2カラー成型プロセスにおいて本シリコーンラバー組成物を使用する場合、その優れた硬化性を保持させる。
【0046】
本2部シリコーンラバー組成物が調製される場合、アルキレングリコールエステル(C)は、これら2部の両方もしくはいずれか一方に含有されてよい。しかしながら、ポリ有機シロキサン(B)を含有する方にアルキレングリコールエステル(C)を包含しないのが最も好ましく、これは、幾つかの環境下では、使用される特定の化合物およびそれらが保管される条件に依って、ポリ有機シロキサン(B)とアルキレングリコールエステル(C)との間に反応が起き、それらの特徴を変えてしまうことがあるからである。
【0047】
本発明によるアルキレングリコールエステル(C)を含有するシリコーンラバー組成物は:
(i)ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)のような飽和ポリエステル樹脂;
(ii)ABS樹脂、AS樹脂、修飾ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフタルアミド樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、およびポリウレタン(PU)樹脂のような有機樹脂;
(iii)樹脂(i)および樹脂(ii)の2種以上の混合物(mixtures and alloys);ならびに
(iv)ガラス繊維、炭素繊維、およびポリアミド繊維を用いて強化された樹脂(i)および樹脂(ii)からなる複合材料
に関して、より優れた接着性を呈する。
【0048】
アルキレングリコールエステル(C)を含有する本シリコーンラバー組成物は、シリコーンラバー成型金型に通常使用される鋼鉄およびステンレス鋼に関して、ならびに、クロムメッキもしくはニッケルメッキ鋼鉄材料に関して、または、小スケール(規模)生産においてもしくは試作品にしばしば使用されるアルミニウム合金のような金型材料に関して、より優れた金型解離性も持っている。
【0049】
これらの理由により、本明細書における本シリコーンラバー組成物は、しばしば共成型と言われる2カラー成型プロセスにおけるような有機樹脂を用いるシリコーンラバーの適合金型用シリコーンラバー組成物としての使用、あるいは、射出成型プロセスにおける有機樹脂を用いる射出成型に適している。
【0050】
以下の実施例は、本発明をより詳しく例示するものである。以下の実施例において使用される粘度は、25℃において得られた値のことを言う。
【実施例】
【0051】
適用例1
(i)ジメチルビニルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持ち、粘度26,000mPa・sを持つポリジメチルシロキサン71重量部;
(ii)特定の表面積380m/gを有する発煙シリカ24重量部;
(iii)該発煙シリカ用の表面処理剤として、ヘキサメチルジシラザン4重量部;ならびに
(iv)水1重量部
を混合することにより、ベース組成物が調製された。成分(i)〜(iv)は均一になるまで混合され、次いで、真空下170℃において2時間更に混合され、結果得られた混合物を冷却した。エチレングリコールジメタクリレート2.2重量部が、該ベース組成物100重量部に加えられた。
【0052】
硬化可能なシリコーンラバー組成物が:
(v)トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持ち、粘度5mPa・sを持つメチル水素シロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー6.9重量部;
(vi)1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.04重量部;ならびに
(vii)ポリ有機シロキサン(i)1,000,000重量部につき、白金金属10重量部を与えるのに充分な量の、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体
を、該ベース組成物に加えることにより、調製された。使用されるコポリマー(v)の量は、ポリ有機シロキサン(i)中のシリコン結合ビニル基のモル数と、エチレングリコールジメタクリレート中のメタクリル基のモル数との合計に対する、コポリマー(v)中のシリコン結合水素原子のモル数の比が、1.8である量であった。
【0053】
表1に示される有機樹脂が、成型用金型の内側に置かれ、本シリコーンラバー組成物が、該成型用金型中の該樹脂の上に射出され、該成型用金型が、20分間105℃において加熱され、本シリコーンラバー組成物を硬化させた。硬化中の該成型用金型中の該有機樹脂に関しての、この成型されたシリコーンラバー物品の接着性が、鋼鉄、つまり該金型の構成金属に関しての金型解離性と同様に観察され、表1に示される。
【0054】
該有機樹脂に関しての、本シリコーンラバー物品の接着性を評価するのに使用された基準は、粘着に失敗(○)、界面において剥離(×)、および、界面において重篤な剥離(△)であった。鋼鉄に関しての本シリコーンラバー物品の金型解離性を評価するのに使用された基準は、すばらしい金型解離性(○)、および、より劣った金型解離性(×)であった。これらの基準を使用した評価が、表1に示される。
【0055】
【表1】

【0056】
適用例2
(i)ジメチルビニルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持ち、粘度40,000mPa・sを持つポリジメチルシロキサン90重量部;
(ii)特定の表面積200m/gを有する発煙シリカ35重量部;
(iii)該シリカ用の表面処理剤として、ヘキサメチルジシラザン7重量部;ならびに
(iv)水2重量部
を混合することにより、ベース組成物が調製された。成分(i)〜(iv)が均一になるまで混合され、次いで、真空下170℃において2時間、更に混合された。結果得られた混合物を冷却後、(v)トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持ち、粘度350mPa・sを持ち、0.04モル%のヘキセニル基を含有する、メチルヘキセニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー8重量部;および(vi)ジエチレングリコールジアクリレート1重量部が、該ベース組成物100重量部に加えられた。
【0057】
硬化可能なシリコーンラバー組成物が:
(vii)トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持ち、粘度5mPa・sを持つメチル水素シロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー2.2重量部;
(viii)ジメチル水素シロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持ち、粘度10mPa・sを持つポリジメチルシロキサン3.4重量部;
(ix)3−メチル−1−ヘキシン−3−オール0.05重量部;
(x)ステアリン酸カルシウム0.2重量部;ならびに
(xi)ポリ有機シロキサン(i)および(v)1,000,000重量部につき、白金金属7重量部を与えるのに充分な量の、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体
を、該ベース組成物に加えることにより、調製された。使用されたコポリマー(vii)の量は、ポリ有機シロキサン(i)および(v)中のシリコン結合アルケニル基のモル数と、ジエチレングリコールジアクリレート中のアクリル基のモル数との合計に対する、コポリマー(vii)中のシリコン結合水素原子のモル数の比が、1.5である量であった。使用されたポリ有機シロキサン(viii)量は、ポリ有機シロキサン(i)および(v)中のシリコン結合アルケニル基のモル数と、ジエチレングリコールジアクリレート中のアクリル基のモル数との合計に対する、コポリマー(viii)中のシリコン結合水素原子のモル数の比が、0.3である量であった。
【0058】
金型が3分間120℃において加熱されたこと以外、適用例1中の成型手順が、この実施例においても繰り返された。適用例1中と同一の評価および基準が、この実施例においても使用され、表2に示される。
【0059】
比較例1
ジエチレングリコールジアクリレートが省かれたこと以外、適用例2が繰り返された。適用例1中の成型手順、評価、および基準が、この実施例においても使用され、表2に示される。
【0060】
【表2】

【0061】
適用例3
成分(v)が、メチルヘキセニルシロキサン単位の代わりに、メチルビニルシロキサン単位を含有し、成分(vi)が、1,4−ブタンジオールジアクリレートであったこと以外、この実施例のベース組成物は、適用例2のベース組成物と同じであった。
【0062】
硬化可能なシリコーンラバー組成物が:
(vii)トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持ち、粘度70mPa・sを持つ、メチル水素シロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー1.7重量部;
(viii)ジメチル水素シロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持ち、粘度10mPa・sを持つポリジメチルシロキサン4.2重量部;
(ix)トリメチルシロキシ基により封鎖された分子鎖の両末端を持ち、粘度130mPa・sを持ち、25%のジメチルシロキサン単位と75%のメチルフェニルシロキサン単位とを含有する、メチルフェニルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー5重量部;
(x)ベンゾトリアゾール0.02重量部;ならびに
(xi)ポリ有機シロキサン(i)および(v)1,000,000重量部につき、白金金属20重量部を与えるのに充分な量の、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体
を、該ベース組成物に加えることにより、調製された。使用されたコポリマー(vii)量は、ポリ有機シロキサン(i)および(v)中のシリコン結合アルケニル基のモル数と、1,4−ブタンジオールジアクリレート中のアクリル基のモル数との合計に対する、コポリマー(vii)中のシリコン結合水素原子のモル数の比が、0.8である量であった。使用されたポリ有機シロキサン(viii)量は、ポリ有機シロキサン(i)および(v)中のシリコン結合アルケニル基のモル数と、1,4−ブタンジオールジアクリレート中のアクリル基のモル数との合計に対する、コポリマー(viii)中のシリコン結合水素原子のモル数の比が、0.4である量であった。
【0063】
適用例1中の成型手順、評価、および基準が、この実施例においても使用され、表3に示される。
【0064】
【表3】

【0065】
適用例4
8重量部ではなく、成分(v)30重量部が使用され;ジエチレングリコールジアクリレート1重量部ではなく、成分(vi)が1,4−ブタンジオールジアクリレート1.5重量部からなり;2.2重量部ではなく、6重量部の成分(vii)が使用され;0.05重量部ではなく、0.06重量部の成分(ix)が使用され;成分(viii)と成分(x)とが省略され;100重量部ではなく、本ベース組成物110重量部が使用されたこと以外、適用例2が繰り返された。
【0066】
適用例1中の成型手順、評価、および基準が、この実施例においても使用され、表4に示される。
【0067】
【表4】

【0068】
本発明のシリコーンラバー組成物は、硬化中に接触される有機樹脂に関してのより優れた接着性、および、成型に使用される金型に関してのより優れた金型解離性を持っていることにより特徴付けられ、本組成物は、2カラー成型プロセス、および、射出タイプの金型を使用する射出成型プロセスにおける使用に、最もふさわしく適合される。
【0069】
本発明の必須の特徴から逸脱することなく、本明細書において記載される化合物、組成物、および方法における他の変更も、なされてよい。本明細書において特に例示される本発明の実施形態は例示的であるのみであり、添付の請求項において定義されるようなもの以外の範囲に関しての限定として意図されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子につき少なくとも2つのシリコン結合アルケニル基を持つポリ有機シロキサンを、100重量部;
(B)1分子につき少なくとも2つのシリコン結合水素原子を持つポリ有機シロキサンを、(A)中のシリコン結合アルケニル基のモル数とアルキレングリコールエステル(C)中の不飽和基のモル数との合計に対する(B)中のシリコン結合水素原子のモル数の比が、0.5〜20である量;
(C)式:
【化1】

(式中、Rは水素原子もしくはメチル基であり、Rはアルキレン基を表し、nは1〜10の値を持つ)により表され、25℃において液体である、ジアクリル酸アルキレングリコールエステルもしくはジメタクリル酸アルキレングリコールエステルを、(A)100重量部につき0.01〜20重量部;ならびに
(D)白金主体の触媒を、(A)1,000,000重量部につき0.01〜500重量部
含む、シリコーンラバー組成物。
【請求項2】
更に、強化微粉末シリカ充填剤(E)を、ポリ有機シロキサン(A)100重量部につき1〜100重量部含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリ有機シロキサン(A)が、1分子につき少なくとも2つのシリコン結合ビニル基を持つポリ有機シロキサン(A−1)と、1分子につき少なくとも2つのビニル基以外のシリコン結合アルケニル基を持つポリ有機シロキサン(A−2)とを含み、ここで、(A−1):(A−2)の重量比が1:99〜99:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
(A−2)が、1分子につき少なくとも2つのシリコン結合ヘキセニル基を持つポリ有機シロキサンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ポリ有機シロキサン(B)が:
ポリ有機シロキサン(A)中のシリコン結合アルケニル基のモル数とアルキレングリコールエステル(C)中の不飽和基のモル数との合計に対するシリコン結合水素原子のモル数の比が0.5〜20である量において存在する、1分子につき少なくとも3つのシリコン結合水素原子を持つポリ有機シロキサン(B−1);ならびに
ポリ有機シロキサン(A)中のシリコン結合アルケニル基のモル数とアルキレングリコールエステル(C)中の不飽和基のモル数との合計に対するシリコン結合水素原子のモル数の比が0.01〜10である量において存在する、分子鎖末端のみにおいてシリコン結合水素原子を持つポリ有機シロキサン(B−2)
の混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物を含む材料を成型することを含む、改良共成型プロセスもしくは射出成型プロセス。

【公表番号】特表2007−500266(P2007−500266A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521895(P2006−521895)
【出願日】平成16年7月19日(2004.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/023266
【国際公開番号】WO2005/012432
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】