説明

シリコーン含有粒子

【課題】水中でシリコーン化合物を速やかに放出するシリコーン含有粒子を提供する。
【解決手段】(A)ジメチルポリシロキサン及び/又はHLB値が6以下であるジメチルポリシロキサン誘導体100質量部に対して、(B)HLB値が6より大きいポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン変性シリコーン0.1〜10質量部及び(C)界面活性剤5〜100質量部を含むシリコーン混合物と、(D)吸油性担体とを含有してなるシリコーン含有粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン含有粒子及びその製造方法に関する。また、本発明は、該シリコーン含有粒子を含有する粉末洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン化合物は、高い潤滑性を持つため繊維製品の風合い向上の目的に広く使用されている。一般に、シリコーン化合物は、重合度、すなわち粘度が高くなるほど、風合い改善効果が高くなることが知られている。また、水溶性が低いシリコーン化合物ほど繊維への吸着性及びすすぎ時の脱落防止の点から好ましいことが知られている。そのような風合い改善効果の高いシリコーン化合物は高粘度の液体であるため、液体洗剤等、液体組成物への適用は広く行われているが、粉末洗剤等、粉末組成物への適用は一般的には行われていない。
【0003】
粉末洗剤へのシリコーン化合物への適用が可能になれば、粉末洗剤の機能向上の上でも望ましいが、高粘度で水溶性の低いシリコーン化合物を粉末洗剤に配合する場合、製造時の取り扱い性向上のためにシリコーン化合物を適度に減粘すること、さらに減粘した混合物が分離しにくいこと、及びシリコーン化合物が水中で素早く放出されること、が要求される。また、繊維製品の風合いをより向上するには、放出されたシリコーン化合物が、界面活性剤が共存する洗濯水溶液中でも衣類により吸着することが要求される。
【0004】
シリコーン化合物を粉末化する技術として、消泡剤としてのシリコーン化合物を対象とした特許文献1〜3の技術が知られている。また、シリコーン化合物を自己乳化性の組成物として配合し、水中での分散性を向上させる技術も知られている(特許文献4〜5)。
【特許文献1】特開平3−186307号公報
【特許文献2】特開平7−70594号公報
【特許文献3】特開2001−158900号公報
【特許文献4】特開昭53−34854号公報
【特許文献5】特開昭56−129013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のシリコーン化合物の粉末化技術は、殆どが粘度のそれほど高くない消泡剤としてのシリコーン化合物を対象としており、繊維製品の風合い向上に適した、より高粘度のシリコーン化合物を粉末化するのに適切な手法は特許文献1〜3からは見いだせない。また、特許文献4〜5は、具体的にシリコーン化合物を粉末化することについて言及しておらず、高粘度のシリコーン化合物を粉末洗剤等に配合できるように粉末化することや、粉末からシリコーン化合物を水中で速やかに放出することについて、何ら知見を得ることはできない。特に、現在では、洗濯時間は短縮化を目指す傾向にあり、そのような短時間の処理でも迅速にシリコーン化合物が分散できる粒子が望まれるが、特許文献1〜5からこのような課題に対する解決手段が見いだされるとは言い難い。更に、界面活性剤の共存する洗濯水溶液中でもシリコーン化合物が繊維製品により吸着することが、繊維製品の風合い向上にとって望ましいが、特許文献1〜5からこのような課題に対する解決手段は見出せない。
【0006】
本発明の課題は、水中でシリコーン化合物を速やかに放出するシリコーン含有粒子を提供することである。特に、繊維製品の風合い向上に適した高粘度で水溶性の低いシリコーン化合物を含有し、かつ該シリコーン化合物を水中で速やかに放出するシリコーン含有粒子を提供することである。更に、界面活性剤の共存する洗濯水溶液中においても、該シリコーン化合物が繊維製品により吸着するシリコーン含有粒子を提供することである。更に、そのようなシリコーン含有粒子を簡易に製造できる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(A)ジメチルポリシロキサン及びHLB値が6以下であるジメチルポリシロキサン誘導体の1種または2種以上100質量部に対して、(B)HLB値が6より大きいポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン変性シリコーン0.1〜10質量部及び(C)界面活性剤5〜100質量部を含むシリコーン混合物と、(D)吸油性担体とを含有してなるシリコーン含有粒子に関する。
【0008】
また、本発明は、上記本発明のシリコーン含有粒子を0.2〜20質量%含有する粉末洗剤組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、上記本発明のシリコーン含有粒子を0.2〜20質量%含有し、且つ(E)少なくとも側鎖に下記式(1)で表される基を有する高分子化合物の含有量が0.001〜10質量%である粉末洗剤組成物に関する。
−(OX)−E−R (1)
(式中、n個のXは同一又は異なる炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基、nは5〜300の数、Eはエーテル結合又はオキシカルボニル基、Rはヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数4〜30のアルキル基を示す。)
【0010】
また、本発明は、(A)ジメチルポリシロキサン及びHLB値が6以下であるジメチルポリシロキサン誘導体の1種または2種以上100質量部に対して、(B)HLB値が6より大きいポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン変性シリコーン0.1〜10質量部及び(C)界面活性剤5〜100質量部を混合して得た液状混合物を、(D)吸油性担体と混合する、シリコーン含有粒子の製造方法に関する。
【0011】
また、本発明は、(A)ジメチルポリシロキサン及びHLB値が6以下であるジメチルポリシロキサン誘導体の1種または2種以上100質量部に対して、(B)HLB値が6より大きいポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン変性シリコーン0.1〜10質量部及び(C)界面活性剤5〜100質量部を混合して得た液状混合物を、(D)吸油性担体及び(E)少なくとも側鎖に下記式(1)で表される基を有する高分子化合物と混合する、シリコーン含有粒子の製造方法に関する。
−(OX)−E−R (1)
(式中、n個のXは同一又は異なる炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基、nは5〜300の数、Eはエーテル結合又はオキシカルボニル基、Rはヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数4〜30のアルキル基を示す。)
【0012】
また、本発明は、(A)ジメチルポリシロキサン及びHLB値が6以下であるジメチルポリシロキサン誘導体の1種または2種以上〔以下、(A)成分という〕100質量部に対して、(B)HLB値が6より大きいポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン変性シリコーン〔以下、(B)成分という〕0.1〜10質量部及び(C)界面活性剤〔以下、(C)成分という〕5〜100質量部を混合して得た液状混合物を、(D)吸油性担体〔以下、(D)成分という〕、(E)少なくとも側鎖に下記式(1)で表される基を有する高分子化合物〔以下、(E)成分という〕、及び(F)(C)と同じ又は異なる界面活性剤〔以下、(F)成分という〕と混合する、シリコーン含有粒子の製造方法に関する。
−(OX)−E−R (1)
(式中、n個のXは同一又は異なる炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基、nは5〜300の数、Eはエーテル結合又はオキシカルボニル基、Rはヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数4〜30のアルキル基を示す。)
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水中でシリコーン化合物を速やかに放出するシリコーン含有粒子が得られる。特に、本発明では、繊維製品の風合い向上に適した高粘度で水溶性の低いシリコーン化合物を含有し、かつ該シリコーン化合物を水中で速やかに放出するシリコーン含有粒子が提供される。また、界面活性剤の共存する洗濯水溶液中においても、該シリコーン化合物が繊維製品により吸着するシリコーン含有粒子が提供される。また、本発明の製造方法により、そのような本発明のシリコーン含有粒子を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[シリコーン含有粒子]
<(A)成分>
【0015】
(A)成分は、ジメチルポリシロキサン及びHLB値が6以下であるジメチルポリシロキサン誘導体の1種または2種以上から選ばれる。HLB値の測定方法を下記に示す。
【0016】
*HLB値の測定方法
HLB値は界面活性剤便覧(西一郎ら編集、産業図書株式会社、昭和35年発行)の324ページに記載されている下記の方法により測定した曇数Aから下記の式より算出する。
HLB値=0.89×A+1.11
<曇数Aの測定方法>
評価試料(ジメチルポリシロキサン誘導体)0.5gを98%エチルアルコール5mlに溶解し、25℃に保ちながらかき混ぜながら2%フェノール水溶液で滴定し、液が混濁を呈する時を終点とする。この滴定に要した2%のフェノール水溶液のml数を曇数Aとする。
【0017】
ジメチルポリシロキサン誘導体のHLB値は、繊維への吸着性及びすすぎ時の脱落防止の点から、6以下、好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下である。
【0018】
(A)成分のうち、ジメチルポリシロキサン誘導体としては、アルキル変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン〔(B)成分以外のもの〕、脂肪酸エステル変性シリコーン、フルオロアルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、ビニル変性シリコーン等の変性シリコーンが挙げられ、このうち、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン〔(B)成分以外のもの〕、脂肪酸エステル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンが好ましい。
【0019】
(A)成分は、粘度(25℃)が2000mPa・s以上、更に5000mPa・s以上、特に10000mPa・s以上であることが、繊維製品に対する風合い向上の点で好ましい。
【0020】
粘度はB型粘度計(例えばTOKYO KEIKI社製 DVM−B型)を用い、適宜ローター及び回転数を選択して測定することができる。例えば、No.4ローターを用い、ローター回転数6rpm、測定時間1分間、サンプル温度25℃、ローターとサンプル容器内壁面との間隙10mm以上、の条件で測定することができる。
【0021】
<(B)成分>
(B)成分としては、下記一般式(B−1)で表される化合物が好ましい。
【0022】
【化2】

【0023】
〔式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、R’は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアシル基、n/(m+n)は0.04以上、a/bは0.7〜1.3である。〕
【0024】
式中、n/(m+n)は好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.06以上、a/bは好ましくは0.8〜1.2、更に好ましくは0.9〜1.1である。また、C24OとC36Oの配列はブロックでもランダムでも何れでもよい。
【0025】
(B)成分は、粘度(25℃)が10000mPa・s未満、更に8000mPa・s以下、特に5000mPa・s以下であることが、ハンドリング性の点で好ましい。また、(B)成分のHLB値(測定方法:(A)成分の欄に記載)は6より大きく、更に7以上が好ましい。一般式(B−1)で表される化合物は、この粘度やHLB値となるように構造を選択することが好ましい。
【0026】
(B)成分のm,n,a,bの値は、例えば下記装置及び条件で1H−NMR測定により算出することができる。
溶媒:重クロロホルム
サンプル濃度:2質量%
NMR装置:Varian社製 Mercury400(400MHz)
NMR測定条件:観測幅 6419.5Hz
データポイント 42052
パルス幅 4.5μs(45°パルス)
パルス遅延時間 30秒
測定温度 室温
【0027】
(B)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜8質量部、より好ましくは0.5〜5質量部の割合で用いられる。
【0028】
<(C)成分>
(C)成分としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0029】
陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、α−オレフィンスルホン酸又はその塩、アルキル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩、α−スルホ脂肪酸エステル又はその塩、脂肪酸又はその塩等が挙げられる。
【0030】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシアルキレナルキロール(脂肪酸)アミド等が挙げられる。
【0031】
非イオン界面活性剤のうち、特に、炭素数10〜16のアルコールに、アルキレンオキシドを平均で2〜20モル、更に3〜16モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。アルキレンオキシドはエチレンオキシド、プロピレンオキサイドが挙げられる。
【0032】
陽イオン界面活性剤としては、ジ長鎖アルキル型第4級アンモニウム塩、モノ長鎖アルキル型第4級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキルイミダゾリンアミド4級塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩、N−アルキル−ポリオキシアルキレントリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0033】
両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシベタイン、アミドプロピルベタイン、ヒドロキシスルホベタイン、アミドアミノ酸塩、アルキルアミノジカルボン酸、アルキルジアミノエチルグリシン、アミンオキシド等が挙げられる。
【0034】
本発明では、(A)成分、(B)成分、(C)成分を含むシリコーン混合物を(D)吸油性担体に担持させる際の温度は、40〜160℃、更に50〜120℃、更に55〜100℃が好ましく、(C)成分はこの温度において液状であるものが好ましい。(C)成分としては、非イオン界面活性剤が好ましい。
【0035】
(C)成分は、(A)成分100質量部に対して、5〜100質量部、好ましくは10〜80質量部、より好ましくは15〜50質量部の割合で用いられる。
【0036】
また、(B)成分と(C)成分の質量比は、(B)/(C)で、1/2〜1/100、更に1/5〜1/50であることが、減粘効果の点で好ましい。
【0037】
更に、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の質量比は、〔(B)+(C)〕/(A)で、10/1〜1/10、更に5/1〜1/5であることが、減粘効果と繊維の仕上がり性のバランスの点で好ましい。
【0038】
<(D)成分>
(D)成分の吸油性担体は、例えば、珪酸塩、アルミノ珪酸塩、糖、多糖類などが挙げられる。珪酸塩、アルミノ珪酸塩の具体例としては、非晶質シリケート((株)トクヤマ製「トクシールNR」)、ベントナイト(ズードケミー製「Laundrosil EX0242」)、珪酸カルシウム((株)トクヤマ製「フローライト」)、アルミシリコレート(正友化学製「TIXOLEX 25」)が挙げられ、このうち非晶質シリケート、珪酸カルシウムがより好ましい。なお、商品名はかぎ括弧で示す。
【0039】
また、糖、多糖類の具体例としては、セルロースや澱粉、およびそれらの誘導体があげられる。セルロースの具体例としては、カルボキシメチルセルロース(日本製紙ケミカル(株)製「サンローズ」)、メチルセルロース(信越化学工業(株)製「メトローズ」)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(松本油脂製薬(株)製「マーポローズ」)、カチオン化セルロース(花王(株)「ポイズ60H」、ダウケミカル製「JR30M」、「LR400」)、澱粉の具体例としては、デキストリン(松谷化学工業(株)製「パインフローKH」)、デキストリン(松谷化学工業(株)製「パインデックス」)、カチオン化澱粉(松谷化学工業(株)製「ポジパリン」)が挙げられる。このうちデキストリンがより好ましく、吸油能の観点から、比容積が5〜10ml/gであるものがさらに好ましく、高温での安定性の観点から、このガラス転移温度が200℃以上であるものが特に好ましい。
【0040】
また、硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、リン酸塩を吸油性担体として用いることもできる。更に、界面活性剤やビルダー成分を噴霧乾燥した粒子や複数の洗剤成分を混合造粒して得られる粒子などを吸油性担体として用いても良い。
【0041】
これらの吸油性担体は単体で用いてもよいが、複数組み合わせてもよい。
【0042】
(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の質量比は、〔(A)+(B)+(C)〕/(D)で5/1〜1/5、さらに5/1.5〜1/4、更に5/2〜1/3であることが、造粒適性の点で好ましい。
【0043】
<(E)成分>
本発明のシリコーン含有粒子は、更に、(E)成分として少なくとも側鎖に下記式(1)で表される基を有する高分子化合物を含有することが、繊維製品へのシリコーン化合物の吸着の観点から好ましい。
−(OX)−E−R (1)
【0044】
式(1)において、n個のXは同一又は異なる炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基を示す。Xは、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。Xの具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種シクロペンチレン基、各種シクロヘキシレン基等が挙げられるが、これらの中で、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
【0045】
nは5〜300の数を示し、5〜200が好ましく、8〜120がより好ましい。
【0046】
はエーテル結合又はオキシカルボニル基(−OCO−又は−COO−)を示す。オキシカルボニル基は、Rに結合する原子が炭素原子であってもよく、酸素原子であってもよい。
【0047】
Rは、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数4〜30のアルキル基を示す。Rは、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよいが、炭素数6〜25のアルキル基が好ましい。Rの具体例としては、各種のヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、さらには環上にアルキル基が導入されていてもよいシクロヘキシル基やシクロオクチル基等、及びこれらの基の水素原子の少なくとも1つがヒドロキシル基で置換された基が挙げられる。
【0048】
(E)成分の好適例としては、前記式(1)で表される基を有する多糖誘導体(e−1)及び/又は前記式(1)で表される基を、主鎖構成モノマー単位当たり、平均で0.0001〜0.1個有する重量平均分子量1万〜200万の水溶性合成高分子化合物(e−2)を挙げることができる。
【0049】
<多糖誘導体(e−1)>
多糖誘導体としては、多糖類又はその誘導体のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全てが、下記基(α)で置換された多糖誘導体(以下多糖誘導体(e−1−a)という)が好ましい。
(α)一般式(2)で表される基
−E−(OX)n1−E−R (2)
(式中、Eはヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状又は環状の2価の飽和炭化水素基を示し、n1は8〜300の数を示し、X、E及びRは前記と同じ意味を示し、n1個のXは同一でも異なっていてもよい。)
【0050】
前記の多糖類又はその誘導体としては、セルロース、グアーガム、スターチ、プルラン、デキストラン、フルクタン、マンナン、寒天、カラギーナン、キチン、キトサン、ペクチン、アルギン酸、ヒアルロン酸等の多糖類;これらにメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が置換した誘導体が挙げられる。これらの置換基は、構成単糖残基中に単独で又は複数の組合せで置換することができる。
【0051】
多糖類誘導体の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルメチルスターチ等が挙げられる。
【0052】
これら多糖類又はその誘導体の中では、セルロース、スターチ、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、特にヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0053】
これら多糖類又はその誘導体の重量平均分子量は、1万〜1000万が好ましく、より好ましくは10万〜500万、さらに好ましくは20万〜200万である。
【0054】
前記の基(α)において、Eとしては、ヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていてもよい炭素数2又は3の直鎖状又は分岐鎖状の2価の飽和炭化水素基が好ましい。その好適例としては、エチレン、プロピレン、トリメチレン、2−ヒドロキシトリメチレン、1−ヒドロキシメチルエチレン、1−オキソエチレン、1−オキソトリメチレン、1−メチル−2−オキソエチレン等が挙げられる。
【0055】
Xとしては、炭素数2又は3の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の飽和炭化水素基が好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン及びトリメチレンが好ましい。
【0056】
n1で表される(−OX−)の平均付加モル数としては、増粘効果及び乳化安定性の点から、8〜120が好ましく、10〜60がより好ましい。n1個のXは同一でも異なってもよい。Eはエーテル結合又はオキシカルボニル基であるが、エーテル結合が好ましい。Rとしては、好ましくは炭素数5〜25、より好ましくは6〜20の、ヒドロキシ基で置換されていてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、また、安定性の観点から、非置換のアルキル基、特に非置換の直鎖状アルキル基が好ましい。具体的にはオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イソステアリル基等が好ましい。
【0057】
多糖誘導体(e−1−a)における前記の基(α)による置換度は、構成単糖残基当たり0.0001〜1.0が好ましく、より好ましくは0.0005〜0.5、さらに好ましくは0.001〜0.1である。
本発明における多糖誘導体(e−1)は、基(α)に加え、更に下記の基(β)、(γ)及び(δ)から選ばれる1以上の基で置換されていてもよい。また、基(α)〜(δ)のヒドロキシ基の水素原子は、更に基(α)〜(δ)で置換されていてもよい。
(β)ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩
(γ)ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数2〜6のカルボキシアルキル基又はその塩
(δ)一般式(3)で表される基
【0058】
【化3】

【0059】
(式中、Dはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の飽和炭化水素基を示し、R、R及びRは同一又は異なる、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し、Y-はヒドロキシイオン、ハロゲンイオン又は有機酸イオンを示す。)
【0060】
基(β)としては、2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホ−1−(ヒドロキシメチル)エチル基等が挙げられ、なかでも安定面や製造面の観点から、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基が好ましい。これら基(B)は、その全てあるいは一部がNa、K、Ca、Mg等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属、アミン類、アンモニウム等の有機カチオン等との塩となっていてもよい。
【0061】
基(β)による置換度は、構成単糖残基当たり0〜1.0が好ましく、より好ましくは0〜0.8、さらに好ましくは0〜0.5である。
【0062】
基(γ)としては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、安定面や製造面の観点から、カルボキシメチル基が好ましい。基(γ)は、その全てあるいは一部がNa、K、Ca、Mg等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属、アミン類、アンモニウム等の有機カチオン等との塩となっていてもよい。
【0063】
基(γ)による置換度は、構成単糖残基当たり0〜1.0、更に0〜0.8、特に0〜0.5が好ましい。
【0064】
基(δ)におけるDとしては、炭素数2又は3のヒドロキシ基で置換されていてもよい直鎖状又は分岐鎖状の2価の飽和炭化水素基が好ましい。具体的には、エチレン、プロピレン、トリメチレン、2−ヒドロキシトリメチレン、1−ヒドロキシメチルエチレン等が好ましい。
【0065】
、R及びRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−ヒドロキシエチル基等が挙げられ、中でもメチル基及びエチル基が好ましい。
【0066】
のうち、ハロゲンイオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が、有機酸イオンとしては、CHCOO、CHCHCOO、CH(CH)COO等が挙げられる。Yとしては、ヒドロキシイオン、塩素イオン及び臭素イオンが好ましい。
【0067】
基(δ)による置換度は、構成単糖残基当たり0〜0.5、特に0〜0.3が好ましい。
【0068】
多糖類又はその誘導体の基(α)〜(δ)による置換、即ちポリオキシアルキレン化、スルホアルキル化、カルボキシアルキル化又はカチオン化は、WO00/73351に記載の方法により行うことができる。
【0069】
本発明で用いられる多糖誘導体(e−1)は、多糖類又はその誘導体としてセルロース類を用いた場合を例に挙げれば、その繰り返し単位は次の一般式(4)で例示される。
【0070】
【化4】

【0071】
(式中、Rは水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、上記基(α)、基(β)、基(γ)及び基(δ)から選ばれる基を示し、Qは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、a、b及びcは、同一又は異なって、それぞれ0〜10の数を示し、QO基、R基、a、b及びcは、繰り返し単位内で又は繰り返し単位間で同一でも異なってもよく、また基(α)〜(δ)のヒドロキシ基は更に他の基(α)〜(δ)で置換されていてもよい。ただし、分子中のRのうち少なくとも1つは基(α)である。)
【0072】
<水溶性合成高分子化合物(e−2)>
水溶性合成高分子化合物は、式(1)の基を主鎖構成モノマー単位当たり、平均で0.0001〜0.1個有する分子量1万〜200万の化合物である。
【0073】
式(1)の基としては、Xがエチレン基、nが5〜200の数、Rが炭素数4〜30の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が好ましい。また、式(1)の基の平均数は、主鎖構成モノマー単位当たり、平均で0.001〜0.05が更に好ましく、重量平均分子量は3万〜150万が更に好ましい。
【0074】
当該水溶性合成高分子化合物としては、ポリビニルアルコール及びポリグリシドール等の水酸基を有する水溶性合成高分子化合物に、一般式(5)で表される化合物を反応させることによって得ることができる。
−(OX)−E−R (5)
(式中、Eは炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のハロゲン化アルキル基、又はカルボキシ基若しくは炭素数2〜6のカルボキシアルキル基若しくはそれらの誘導体を示し、X、n、R及びEは前記と同様の意味を示す。)
【0075】
また、水溶性モノマーと5〜200個のオキシエチレン(EO)連結鎖を介し炭素数4〜30の疎水基を有するモノマーを共重合させることによっても得ることができる。
【0076】
上記水溶性モノマーとしては、一般式(6)で表される化合物、又は一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
【0077】
【化5】

【0078】
(式中、R、R及びRは同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、xは平均で2〜100の数を示す。)
【0079】
【化6】

【0080】
(式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R10及びR11はメチル基又はエチル基を示し、yは0又は2〜5の整数を示し、Zは−N(R12)−基(R12は水素原子又はメチル基)、酸素原子又は直接結合手を示す。)
【0081】
これらの具体例としては、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等があり、これらの化合物は公知の方法で合成できる。
【0082】
5〜200個のEO連結鎖を介し炭素数4〜30の疎水基を有するモノマーとしては、一般式(8)で表される化合物が挙げられる。
【0083】
【化7】

【0084】
(式中、R13及びR14は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、zは5〜200の数を示し、R15はヒドロキシ基で置換されていても良い炭素数4〜30、好ましくは8〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。)
【0085】
具体例としては、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート等があり、これらの化合物は公知の方法で合成できる。
【0086】
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、1〜50質量部、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部の割合で用いられる。
【0087】
<(F)成分>
本発明のシリコーン含有粒子は、更に、(C)成分以外に、(F)成分としてシリコーン含有粒子の水中での溶解を補助し、水に素早く分散させるための界面活性剤を含有することが好ましい。(F)成分としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、陰イオン界面活性剤が好ましい。(F)成分としては具体的には、ラウリン酸ナトリウム、直鎖アルキル(炭素数8〜14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル(炭素数12〜18)硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(平均EO付加モル数0.2〜3)、α−オレフィン(炭素数12〜18)スルホン酸ナトリウム粉末、脂肪酸(炭素数14〜18)ジエタノールアミド粉末等が挙げられ、このうちアルキル硫酸ナトリウムがより好ましい。
【0088】
(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、5〜80質量部、好ましくは20〜60質量部、より好ましくは30〜50質量部の割合で用いられる。
【0089】
(F)成分は、常温(20℃)で液体でも固体でもよい。また、(F)成分は(C)成分と同じであってもよい。
【0090】
<(G)バインダー〔以下(G)成分という〕>
本発明のシリコーン含有粒子は、更に、(G)成分としてバインダーを含有することが好ましい。バインダーを用いて押し出し造粒により本発明のシリコーン含有粒子を得ることが好ましい。(G)成分のバインダーとしては、熱可塑性の水溶性バインダー等が挙げられ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンフェニルエーテル等からなる群より選択される1種以上が好ましい。また、本発明において水溶性バインダーは、その融点又は軟化点が35〜80℃のものが好適に用いられるが、45〜70℃のものが好ましく、50〜65℃のものが特に好ましい。
【0091】
バインダーの重量平均分子量は、ポリスチレンを標準としたGPC法で4000〜20000、更に6000〜13000、特に7000〜9000のものが、造粒する際の粘度の点で好ましい。
【0092】
(G)成分は、(A)100質量部に対して10〜300質量部、更に30〜200質量部、特に50〜150質量部の割合で用いられることが好ましい。
【0093】
本発明のシリコーン含有粒子は、上記成分以外に、色素(染料、顔料)、香料、ソイルリリース剤、再汚染防止剤、漂白剤、漂白活性化剤、抗菌剤、酵素等を含有することができる。
【0094】
これらの成分は予めシリコーン混合物に配合した後、吸油担体と混合してもよいし、予め吸油担体と混合した後にシリコーン混合物と混合してもよいし、シリコーン混合物と吸油担体を混合した後に添加してもよい。
【0095】
最終的な本発明のシリコーン含有粒子における各成分の好ましい含有量は、(A)成分が15〜60質量%、更に20〜50質量%、(B)成分が0.05〜10質量%、更に0.1〜5質量%、(C)成分が1〜30質量%、更に5〜20質量%、(D)成分が1〜60質量%、更に10〜40質量%、(E)成分が0.01〜20質量%、更に0.1〜10質量%、(F)成分が1〜30質量%、更に5〜20質量%、(G)成分が15〜50質量%、更に20〜40質量%である。
【0096】
[シリコーン含有粒子の製造方法]
本発明のシリコーン含有粒子は、(A)成分100質量部に対して、(B)成分0.1〜10質量部及び(C)界面活性剤5〜100質量部を混合して得た混合物を、(D)成分と混合することで製造できる。また、本発明のシリコーン含有粒子は、(A)成分100質量部に対して、(B)成分0.1〜10質量部及び(C)界面活性剤5〜100質量部を混合して得た混合物を、(D)成分及び(E)成分と混合することで製造できる。また、本発明のシリコーン含有粒子は、(A)成分100質量部に対して、(B)成分0.1〜10質量部及び(C)界面活性剤5〜100質量部を混合して得た混合物を、(D)成分と(E)成分及び(F)成分と混合することで製造できる。その際、該混合物は液状混合物であることが(D)成分への吸油の点で好ましく、(A)成分、(B)成分、(C)成分が液状を維持できるような温度条件を採用することが好ましい。上記の通り、(A)成分、(B)成分、(C)成分を含むシリコーン混合物を(D)成分に担持させる際の温度は、40〜160℃、更に50〜120℃、更に55〜100℃が好ましい。本発明では、更に、(A)〜(C)成分を担持した(D)成分に、(G)成分を添加して適宜混合し、造粒を行う。また、本発明では、更に、(A)〜(C)成分を担持した(D)成分及び(E)成分に、(G)成分を添加して適宜混合し、造粒を行う。また、本発明では、更に、(A)〜(C)成分を担持した(D)成分と(E)成分及び(F)成分に、(G)成分を添加して適宜混合し、造粒を行う。造粒方法については、特に限定されず、従来知られた造粒装置を用いて一般的な造粒方法を利用することができる。例えば攪拌転動造粒法、押出し造粒法、噴霧冷却法等によって製造できる。造粒に用いられる装置としては、攪拌転動造粒法では、例えば、深江工業(株)製ハイスピードミキサー、太平洋機工(株)製プロシェアミキサー等を、押出し造粒法では、例えば、不二パウダル(株)製のペレッターダブル、ツインドームグラン等が挙げられる。また、その他の造粒法としてはブリケット機による錠剤形状にすることも好ましい造粒法として挙げることができる。この内、押し出し造粒により圧密化することで本発明のシリコーン含有粒子を製造することが好ましい。押し出し造粒して圧密化する製造方法を用いることで、輸送及び保存時の安定性が高まるという利点がある。すなわち、本発明のシリコーン含有粒子としては、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分及び(G)成分を含有し、押し出し造粒により圧密化されてなる粒子が好ましい。
【0097】
押し出し造粒する場合、例えば、ヘンシェルミキサー、ハイスピードミキサー、ナウターミキサー等の周知の混合機を用いて予め各成分を充分に前混合し、次いで、得られた混合物をペレッターダブル(不二パウダル(株)製)、ツインドームグラン(不二パウダル(株)製)等の周知の押出し機によって押し出し造粒して圧密化することで得ることができる。また、エクストルードオーミックス(ホソカワミクロン(株)製)のような混練押出装置も使用でき、この場合には前述の前混合が省略できる。
【0098】
押し出し造粒を経て得られるシリコーン含有粒子の短軸粒子径としては、好ましくは0.3〜2.5mm、より好ましくは0.5〜2.0mm、更に好ましくは0.7〜1.0mm程度であり、円筒形もしくはヌードル状造粒物等の形状にて押出すことができる。
【0099】
前記のようにして得られるシリコーン含有粒子は、既知の方法及び装置で粉砕又は整粒を行なってもよい。粉砕又は整粒する際に使用される機器は、特に限定されず、公知の粉砕機(あるいは破砕機)を用いることができる。例えば、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、マルメライザー、フィッツミル((株)ダルトン製)、パワーミル(パウレック(株)製)、コーミル(Quadro社製)等が挙げられるが、保存安定性に影響する微粉発生量と生産性の観点から、ナイフカッターによるパワーミルやインペラー及びスクリーンに粒子を押し付けて粉砕するコーミルといった粉砕機を用いるのが好ましい。
【0100】
パワーミルとしては、例えば特開平5−96195号公報等に開示されている装置が挙げられる。この装置は、カッター羽根と円筒形のスクリーンを持つ機器であり、パワーミル入口に投入された粒子はパワーミル内を自由落下し、この自然落下中にカッター羽根に配設された粉砕刃により粉砕及び整粒される。
【0101】
コーミルとしては、例えば、米国特許第4759507号明細書に開示されている装置が挙げられる。この装置は、インペラーとスクリーンを持つ機器であり、コーミル入口に投入された粒子は回転するインペラーによっておこされた遠心力でスクリーンに押し付けられる。小さな粒子は、瞬時にまた円錐型のために生じた渦巻流に乗って上昇した粒子はインペラーで粉砕及び整粒される。
【0102】
粉砕の程度は、得られたシリコーン含有粒子について、例えば、特開2003−130785号公報に記載されている様な画像解析法等によって、その長軸粒子径及び短軸粒子径を評価しつつ決定する。粉砕条件が決定すれば、同一の押出造粒物については、再現よく所望の形状のシリコーン含有粒子を製造することができる。
【0103】
[粉末洗剤組成物]
本発明のシリコーン含有粒子は、繊維製品の処理を目的とした種々の製品に適用できる。中でも粉末洗剤組成物に好適に配合される。粉末洗剤組成物は、本発明のシリコーン含有粒子を0.2〜20質量%、更に0.5〜10質量%、1〜5質量%含有することが好ましい。本発明のシリコーン含有粒子以外の成分は、繊維製品用の粉末洗剤組成物の成分として公知のものが使用できる。かかる粉末洗剤組成物は、(E)成分の含有量が、シリコーン含有粒子に由来するものやその他に配合される分の総量で、0.001〜10質量%、更に0.001〜1質量%であることが好ましい。
【実施例】
【0104】
〔1〕シリコーン混合物の調製
(1−1)配合成分
(A)成分としてジメチルシリコーン(信越化学工業(株)製、「KF96−3万cs」、粘度(25℃)29200mPa・s)、(C)成分として非イオン界面活性剤(花王(株)製、「エマルゲン106」)を用いた。(B)成分及び他のポリエーテル変性シリコーンとしては下記のもの(いずれも東レダウコーニング社製)を用いた。
・ポリエーテル変性シリコーン(I):「L−7001」(粘度(25℃)2440mPa・s、HLB値=7.8、一般式(B−1)中のRはプロピレン((CH)、R’はメチル基(CH)、n/(m+n)=0.0653、a/b=0.94)
・ポリエーテル変性シリコーン(II):「SH−3749」(粘度(25℃)1440mPa・s、HLB値=7.8、一般式(B−1)中のRはプロピレン((CH)、R’はアセチル基(CHCO)、n/(m+n)=0.0765、a/b=1.04)
・ポリエーテル変性シリコーン(III):「FZ−2166」(粘度(25℃)1180mPa・s、HLB値=5.4、一般式(B−1)中のa/b=0.34)
・ポリエーテル変性シリコーン(IV):「FZ−2130」(粘度(25℃)440mPa・s、HLB値=6.9、一般式(B−1)中のb=0)
【0105】
(1−2)シリコーン混合物の粘度の測定
表1の配合割合(表1中の比率は最終シリコーン含有粒子中の比率である)にてシリコーン混合物〔(A)成分+(B)成分+(C)成分〕を調製し、シリコーン混合物を撹拌しながら60℃まで加温した後、B型粘度計(TOKYO KEIKI社製 DVM−B型)、ローターNo.4、60r/minにて粘度を測定した。なお、比較例3と4は粘度が高いため60r/minでは測定不能だったため30r/minにて測定を行なった。その結果を表1に示す。
【0106】
(1−3)シリコーン混合物の安定性の評価
シリコーン混合物を撹拌しながら60℃まで加温した後、60℃の恒温槽において24時間静置した後、液の状態を観察した。以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
○:液の分離が見られない
×:液の分離が見られる
【0107】
〔2〕シリコーン含有粒子の調製及び評価
(2−1)シリコーン含有粒子の調製
表1の割合にて、シリコーン混合物、デキストリン(「パインフローKH」、松谷化学工業(株)製)、二酸化ケイ素(「トクシールNR」、(株)トクヤマ製)、ケイ酸カルシウム(「フローライトR」、(株)トクヤマ製)、疎水化ヒドロキシエチルセルロース(「ソフケアSA-ED」、花王(株)製)、陰イオン界面活性剤(「E-10P-HD」、花王(株)インドネシア化学製)、をナウターミキサー(ホソカワミクロン(株))製)に仕込み、ジャケット温度を75℃にして混合して昇温した。次に、粉体の温度が60℃になった時点で予め溶融させたポリエチレングリコール(「KPEG6000LA」花王(株)製)を添加し、さらに混合してから混合物を抜き出した。次に得られた混合物を押出し造粒機(「ペレッターダブルEDX−60型」、不二パウダル(株)製)により孔径0.7mmのスクリーンを通して押出し、圧密化した。さらに押出し造粒物を冷却した後、整粒機(パワーミルで1回粉砕)で粉砕し、篩にかけて粒径が355μm以下の粒子を除くことでシリコーン含有粒子を得た。
【0108】
(2−2)シリコーン含有粒子からのシリコーン溶出性の測定法
1Lビーカーに20℃の蒸留水1Lと撹拌子を入れ、スターラーにて撹拌しながら、シリコーン含有粒子約0.1gを投入し7分間後、すぐに濾紙(グレード:5C、ADVANTEC製)を用い、減圧濾過した。濾紙が乾燥した後、濾紙をクロロホルムに浸し10分間超音波をかけてシリコーンをクロロホルムに溶出させた。濾紙を取り出した後、クロロホルムを除去し、内標としてジニトロベンゼンを0.1質量%加えた重クロロホルムを1mL加えH−NMR測定のサンプルとした。H−NMR測定はVarian社製のMercury400BB(400MHz)を用いて下記条件で行い、内標のピークとシリコーンのピークの面積比によりシリコーンを定量した。
NMR測定条件:観測幅 6419.5Hz
データポイント 42052
パルス幅 4.5μs(45°パルス)
パルス遅延時間 30秒
測定温度 室温
【0109】
下記の式にてシリコーン溶出率を測定した。結果を表1に示す。
シリコーン溶出率(%)=〔1−C/(A×B/100)〕×100
A:投入したシリコーン含有粒子の質量(g)
B:試験に供したシリコーン含有粒子中に含まれるシリコーンの割合(%)
C:NMR測定により算出した濾紙に残留したシリコーン質量(g)
【0110】
(2−3)シリコーンの吸着量の評価法
(評価用布の調製)
市販の綿メリヤス(綿100%)を、全自動洗濯機(National製「NA−F70AP」)を用い、市販の衣料用洗剤(アタック)を標準使用量にて、水温20℃、水量40L、浴比20の条件下で標準コースで5回処理を繰り返し洗浄し、布に付着している処理剤を除去したものを30cm×40cmの大きさに切り取り、評価用布として使用した。
【0111】
(評価用布の処理)
20℃の水7Lに、特許第3123757号の実施例3記載の粉末洗剤組成物5.71gと表1のシリコーン含有粒子0.12g、評価用布0.3kg(40cm×30cmで8枚)を投入し、7分間洗った。脱水後、水5Lで3分ためすすぎ、脱水、3分ためすすぎ、脱水して風乾した。
【0112】
(処理布からのシリコーン抽出および定量)
DIONEX社製のASEを用いて溶媒はクロロホルムにて、温度120℃、圧力1500psi、FLUSH20%、3サイクルの条件下にてシリコーンを抽出した。抽出後はクロロホルムを湯浴で蒸発させ、内標としてジニトロベンゼンを0.1質量%加えた重クロロホルムを1mL加えH−NMR測定のサンプルとした。H−NMR測定はVarian社製のMercury400BB(400MHz)を用いて下記条件で行い、内標のピークとシリコーンのピークの面積比により、シリコーンを定量し、評価用布の単位量あたりの吸着量に換算した。結果を表1に示す。
NMR測定条件:観測幅 6419.5Hz
データポイント 42052
パルス幅 4.5μs(45°パルス)
パルス遅延時間 30秒
測定温度 室温
【0113】
【表1】

【0114】
なお、実施例1〜4のシリコーン含有粒子を、特許登録第3123757号の実施例3記載の粉末洗剤組成物に4質量%加え、全自動洗濯機(松下電器産業(株)製、NA−F60E)の標準コースにて洗濯を行ったところ、シリコーン含有粒子を添加しない場合に比べ良好な仕上がり性を示し、中でも実施例4のシリコーン含有粒子を用いて洗濯したものが最も良好な仕上がり性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ジメチルポリシロキサン及びHLB値が6以下であるジメチルポリシロキサン誘導体の1種または2種以上100質量部に対して、(B)HLB値が6より大きいポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン変性シリコーン0.1〜10質量部及び(C)界面活性剤5〜100質量部を含むシリコーン混合物と、(D)吸油性担体とを含有してなるシリコーン含有粒子。
【請求項2】
更に、(E)少なくとも側鎖に下記式(1)で表される基を有する高分子化合物を含有する請求項1記載のシリコーン含有粒子。
−(OX)−E−R (1)
(式中、n個のXは同一又は異なる炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基、nは5〜300の数、Eはエーテル結合又はオキシカルボニル基、Rはヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数4〜30のアルキル基を示す。)
【請求項3】
更に、前記シリコーン混合物に配合した(C)界面活性剤以外に、更に、(F)(C)と同じ又は異なる界面活性剤を含有する請求項1又は2記載のシリコーン含有粒子。
【請求項4】
更に、(G)バインダーを含有する請求項1〜3の何れか1項記載のシリコーン含有粒子。
【請求項5】
(A)の粘度(25℃)が2000mPa・s以上である請求項1〜4の何れか1項記載のシリコーン含有粒子。
【請求項6】
(B)が、下記一般式(B−1)で表される化合物である請求項1〜5の何れか1項記載のシリコーン含有粒子。
【化1】


〔式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、R’は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアシル基、n/(m+n)は0.04以上、a/bは0.7〜1.3である。〕
【請求項7】
(C)が、非イオン界面活性剤である請求項1〜6の何れか1項記載のシリコーン含有粒子。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項記載のシリコーン含有粒子を0.2〜20質量%含有する粉末洗剤組成物。
【請求項9】
請求項1〜7何れか1項記載のシリコーン含有粒子を0.2〜20質量%含有し、且つ(E)少なくとも側鎖に下記式(1)で表される基を有する高分子化合物の含有量が0.001〜10質量%である粉末洗剤組成物。
−(OX)−E−R (1)
(式中、n個のXは同一又は異なる炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基、nは5〜300の数、Eはエーテル結合又はオキシカルボニル基、Rはヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数4〜30のアルキル基を示す。)
【請求項10】
(A)ジメチルポリシロキサン及びHLB値が6以下であるジメチルポリシロキサン誘導体の1種または2種以上100質量部に対して、(B)HLB値が6より大きいポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン変性シリコーン0.1〜10質量部及び(C)界面活性剤5〜100質量部を混合して得た液状混合物を、(D)吸油性担体と混合する、シリコーン含有粒子の製造方法。
【請求項11】
(A)ジメチルポリシロキサン及びHLB値が6以下であるジメチルポリシロキサン誘導体の1種または2種以上100質量部に対して、(B)HLB値が6より大きいポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン変性シリコーン0.1〜10質量部及び(C)界面活性剤5〜100質量部を混合して得た液状混合物を、(D)吸油性担体及び(E)少なくとも側鎖に下記式(1)で表される基を有する高分子化合物と混合する、シリコーン含有粒子の製造方法。
−(OX)−E−R (1)
(式中、n個のXは同一又は異なる炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基、nは5〜300の数、Eはエーテル結合又はオキシカルボニル基、Rはヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数4〜30のアルキル基を示す。)
【請求項12】
(A)ジメチルポリシロキサン及びHLB値が6以下であるジメチルポリシロキサン誘導体の1種または2種以上100質量部に対して、(B)HLB値が6より大きいポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン変性シリコーン0.1〜10質量部及び(C)界面活性剤5〜100質量部を混合して得た液状混合物を、(D)吸油性担体、(E)少なくとも側鎖に下記式(1)で表される基を有する高分子化合物、及び(F)(C)と同じ又は異なる界面活性剤と混合する、シリコーン含有粒子の製造方法。
−(OX)−E−R (1)
(式中、n個のXは同一又は異なる炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基、nは5〜300の数、Eはエーテル結合又はオキシカルボニル基、Rはヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数4〜30のアルキル基を示す。)
【請求項13】
前記液状混合物と、(D)吸油性担体との混合物に、(G)バインダーを添加し押し出し造粒する、請求項10記載のシリコーン含有粒子の製造方法。
【請求項14】
前記液状混合物と、(D)吸油性担体及び(E)高分子化合物との混合物に、(G)バインダーを添加し押し出し造粒する、請求項11記載のシリコーン含有粒子の製造方法。
【請求項15】
前記液状混合物と、(D)吸油性担体、(E)高分子化合物及び(F)界面活性剤との混合物に、(G)バインダーを添加し押し出し造粒する、請求項12記載のシリコーン含有粒子の製造方法。

【公開番号】特開2008−24917(P2008−24917A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147811(P2007−147811)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】