説明

シリコーン含有組成物及びその使用

【課題】塗料剤中の気泡や泡は、望ましくないクレーター、ピンホールなどの表面欠点を形成して残すことがあるので、塗料の仕上がりに対して有害である。大きい泡又は微小な泡それぞれを防止するために、脱泡剤又は脱気剤としての塗料に添加するシリコーン含有組成物を提供する。
【解決手段】水素、メチル基、アセチル基又はブチル基でキャップされたポリエーテル改質シリコーン(PES)を含有する組成物を開示する。このPES含有組成物は、塗料組成物、特にエアレススプレーされる組成物において脱泡剤又は脱気剤として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2011年9月9日付けで出願された米国仮特許願第61/532,606号の利益を主張するものである。米国仮特許願第61/532,606号の開示事項は本願に援用するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、少なくとも1つのブチル又はアセチルの末端キャップ(end cap)を有するポリエーテル改質シリコーンを含有する組成物に関する。本発明の組成物は、エアレススプレー法及びエアアシストスプレー法で塗布される塗料中の気泡を、排除するまでには至らないが減少させるために脱気剤として使用する組成物を含む広範囲の組成物に使用できる。
【0003】
塗料剤中の気泡や泡は、望ましくないクレーター、ピンホールなどの表面欠点を形成して残すことがあるので、塗料の仕上がりに対して有害である。大きい泡又は微小な泡それぞれを防止するために、脱泡剤又は脱気剤を塗料に添加して気泡が生成するのを防ぐことができる。
【0004】
泡は、一般に、界面活性剤又は乳化剤のような塗料系中への添加物によって及び塗料の塗布法によっても生成する。例えば、エアレススプレー塗布法及びエアアシストスプレー塗布法は、これらの塗料の粘度及び粘性が、通常のスプレー法で使用される塗料より通常大きいので、塗料中に空気を閉じ込める傾向がある。
【0005】
幾つかの常用組成物が米国特許第3402192号、同第3746653号及び同第4711714号に記載されている。米国特許第3402192号の場合、この特許の第1の目的は、界面活性剤及び乳化剤として有用なポリオキシアルキレンシロキサンコポリマーを提供することである。別の目的は、フォームに空気の影響がないように、ポリウレタンフォーム用の安定な非加水分解性界面活性剤を提供することである。さらなる目的は、水溶性に優れ、かつポリグリコール類、アミン類及びフルオロカーボン類との混合物において優れた安定性を示す、ポリウレタンフォーム製造用の優れた界面活性剤を提供することである。塗料組成物又は塗料組成物の脱泡又は脱気については全く開示されていない。
【0006】
米国特許第3746653号は、布地を液流染色するのに特に有用な泡防徐剤の組成物に関する。シロキサングリコールコポリマーのグリコール単位又はポリオキシアルキレン単位は、A基を末端基としているか又はA基でキャップされている。塗料組成物中でのこの基の特性若しくは実用性又は塗料組成物の脱泡若しくは脱気については全く開示されていない。
【0007】
米国特許第4711714号は、原油/ガスセパレーターにおける発砲を減少させる消泡剤としての水に不溶性のポリオキシアルキレングラフトコポリマーに関する。塗料組成物又は塗料組成物における実用性又は塗料組成物の脱泡若しくは脱気については全く開示されていない。
【0008】
上記の特許文献の開示事項は本明細書に援用するものである。
【0009】
当技術分野では、塗料組成物に使用する脱泡剤又は脱気剤についてニーズがある。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、本発明のポリエーテル改質シリコーン(PES)を提供することにより、塗料配合物、とりわけエアレススプレー塗装法及びエアアシストスプレー塗装法における泡生成の問題を解決することができる。本発明のシリコーンは、塗料塗布時に、微細な泡を排除するほどではないが減少させるのに有効な脱気剤であり、エアレススプレー塗装法とエアアシストスプレー塗装法において脱気剤として作用する。
【0011】
任意の適切なPESを使用できるが、適切なPESの例としては、水素、メチル、アセチル又はブチルでキャップされたPESがある。幾つかの塗装法ではアセチル及びブチルでキャップされたPESが望ましく、幾つかの塗装法ではアセチルが好ましい。
【0012】
本発明の1つの態様は、コポリマーが以下の式
M’DmM’
であり、式中、M’=[(CH32(G)SiO−]、D=[−(CH32SiO−]、及びG=−(CH2n−O−(CH2−CH2−O)x−(CH2−CH(CH3)−O)yZであり、m=3〜50、n=1〜6、x=0〜20、y=2〜50であり、Zが水素又はメチル基、ブチル基若しくはアセチル基を含む線状ポリエーテル改質シリコーンを含む組成物を含んでなる。
【0013】
本発明の別の態様は、少なくとも1種の溶媒と少なくとも1種の触媒の存在下において、ヒドロシリル化条件のもとで、少なくとも1種のシリコーン主鎖をキャップされたポリエーテルと接触させることを含むポリエーテルシリコーンを製造するための方法を含む。
【0014】
本発明のさらなる態様は、上に記載したものを含む少なくとも1種のPESを含む塗料組成物に関する。この塗料は、例えば、アクリル結合剤、スチレンアクリレート結合剤、改質アクリレート結合剤、2成分ポリウレタン(2K PU)又は1成分ポリウレタン(1K PU)の結合剤システム、2成分エポキシ結合剤システム、及びポリエステル結合剤のうち少なくとも1種を含むことができる。
【0015】
本明細書に開示される本発明の種々の態様又は実施態様は、単独で又は本発明の他の態様と組み合わせて使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、コポリマーが以下の式
M’DmM’
であり、式中、M’=[(CH32(G)SiO−]、D=[−(CH32SiO−]、及びG=−(CH2n−O−(CH2−CH2−O)x−(CH2−CH(CH3)−O)yZであり、
式中、m=3〜50、n=1〜6、x=0〜20、y=2〜50であり、
好ましくはm=5〜30、n=1〜6、x=0〜10、y=4〜30であり、
最も好ましくはm=10〜30、n=2〜4、x=0〜5、y=4〜20である、広範囲の線状型のポリエーテル改質シリコーンに関する。
【0017】
このポリエーテルは、水素、又は好ましくはメチル基若しくはブチル基、又は最も好ましくはアセチル基であり得るZでキャップすることができる。
【0018】
本発明のPESは、少なくとも1種のシリコーン主鎖(例えばMHxH、式中、x=3〜5)をキャップされたポリエーテル(例えばCH2=CH−CH2−O−(CH2−CH2−O)x−(CH2−CH(CH3)−O)yZ、式中、x及びyは0〜60であることができ、Zは水素、メチル基、アセチル基又はブチル基であることができる)と接触又は反応させることによって製造することができ、なお、MHは[−(CH32SiH]−(式中、Hは水素である)であり、ケイ素原子と結合し及びDは[−(CH32Si−]である。その主鎖とキャップされたポリエーテルは、少なくとも1種の溶媒と少なくとも1種の触媒の存在下、ヒドロシリル化条件下で反応させる。適切な溶媒の例は、キシレン、トルエン及びイソプロパノールのうちの少なくとも1種であり、及び触媒は、白金触媒(例えば、クロロ白金酸)又はカールシュテット(Karstedts)触媒でよい。
【0019】
前記シリコーン主鎖は、主鎖を、少なくとも1種の酸触媒、例えば酸性白土、アンバーリスト、トリフリック酸(triflic acid)又は硫酸と接触させるような適切な方法で製造できる。シリコーン主鎖対酸触媒の比率は、約20:1から約1000:1までの範囲内でよい。温度は約70℃から約180℃までの範囲内である。
【0020】
ポリエーテルは、無水酢酸、ナトリウムメチラート又はカリウムメチラートからなる群より選択される少なくとも1種の化学物質と接触させることによってキャップされる。ポリエーテル:無水酢酸又はアルカリ金属メチラートの比率は、約1.0:1.0から約1.0:1.1までの比率である。このステップ中の温度は約70℃から約80℃までの範囲内である。
【0021】
シコーン主鎖とキャップされたポリエーテルとのヒドロシリル化反応は、少なくとも1種の溶媒と少なくとも1種の触媒の存在下で発生する。シリコーン主鎖:キャップされたポリエーテルの比率は、約1.0:1.0から約1.0:1.3までの範囲内である。適切な溶媒の例としては、キシレン、トルエン及びイソプロパノールのうちの少なくとも1種がある。適切な触媒の例としては、白金触媒(例えばクロロ白金酸)、スパイエル触媒又はカールシュテット触媒がある。ヒドロシリル化反応中の温度は約70℃から約200℃までの範囲内である。
【0022】
本発明の1つの態様では、上記キャップされたPESはABA型又は線状型である。望ましい場合には、本発明のPESは、グラフト型のPESを実質的に含まない。「実質的に含まない」という語は、PESがグラフト型のPESを約2wt%未満含有し、典型的には約0wt%含有することを意味する。
【0023】
本発明の1つの態様は、本発明のPESと、任意選択で1種以上の他の脱泡剤又は脱気剤とを含むPES含有組成物に関する。他の任意の適切な脱泡剤又は脱気剤の化合物を利用できるが、適切な化合物の例としては、本発明のPES以外の脱泡剤、例えば鉱油ベースの、有機ポリマーベースの、分子ベースの、アセチレンジオール又はアセチレンジオール誘導体ベースの、アルカンジオール及びアルカンジオール誘導体ベースの、及びシリコーンベースの脱泡剤がある。このような化合物の量は約0wt%から約99wt%までの範囲内でよい。
【0024】
本発明の1つの態様は、本発明のPESと、任意選択で1種以上の界面活性剤とを含むPES含有組成物に関する。界面活性剤を使用するということは、その界面活性剤の機能が、界面活性剤、デタージェント、乳化剤又は相溶化剤の機能を含んでいることを意味する。その界面活性剤としてはアニオン、カチオン、非イオン又は両性イオンの界面活性剤がある。適切なアニオン界面活性剤の例としては、直鎖脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩類、ヤシ油脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩類、トール油脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩類、直鎖脂肪酸のアミン塩類、ヤシ油脂肪酸のアミン塩類、トール油脂肪酸のアミン塩類、N−ラウロイルサクロシド(sacroside)、アシル化ポリペプチド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、リグニンスルホン酸類、石油スルホン酸塩類、N−アシル−n−アルキルタウレート(taurate)類、パラフィンスルホン酸類、第二級n−アルカンスルホン酸類、n−オレフィンスルホン酸類、スルホコハク酸エステル類、アルキルナフタレンスルホン酸類、イソチオネート類、硫酸化線状第一級アルコール類、硫酸化ポリオキシエチレン化直鎖アルコール類、硫酸化トリグリセリドオイル類、リン酸エステル類、ポリリン酸エステル類、リン酸ポリオキシエチレン化アルコール類、アルキルリン酸ナトリウム類、ペルフルオロカルボン酸類、ペルフルオロアルキルスルホン酸類がある。適切なカチオン界面活性剤の例としては、長鎖アミン類とその塩類、動物と植物の脂肪酸とトール油から誘導される第一級アミン類、合成のC12−C18第一級、第二級又は第三級アミン類、ジアミンとポリジアミン類とその塩類、R2+(CH32Cl型のテトラアルキルアンモニウム塩類、及びイミダゾリウム塩類、N−ベンジル−N−アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物類、ポリオキシエチレン化(POE)長鎖アミン類、四級化ポリオキシエチレン化(POE)長鎖アミン類、N−アルキルジメチルアミンオキシド類がある。適切な非イオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン化ノニルフェノール、ポリオキシエチレン化オクチルフェノール、ポリオキシエチレン化ドデシルフェノール、ポリオキシエチレン化ジノニルフェノール、ポリオキシエチレン化線状アルコール、ポリオキシエチレン化第二級アルコール、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール類、ポリオキシエチレン化メルカプタン類、長鎖カルボン酸エステル類、天然脂肪酸のグリセリルエステル類とポリグリセリルエステル類、プロピレングリコール、ソルビタールとポリオキシエチレン化ソルビタールエステル類、ポリオキシエチレングリコールエステル類とポリオキシエチレン化脂肪酸類、ポリオキシエチレン化トール油脂肪酸類、アルカノールアミン−脂肪酸縮合物類、ジエタノールアミド類、第三級アセチレングリコール類、N−アルキルピロリドン類、アルキルポリグリコシド類、及びアセチレン超湿潤剤、例えばアルコキシル化アセチレングリコール類並びに有機超湿潤剤例えばヒドロキシチオエーテル類がある。適切な両性イオン界面活性剤の例としては、β−N−アルキルアミノプロピオン酸類、β−N−アルキルイミノプロピオン酸類、イミダゾリンカルボキシレート類、N−アルキルベタイン類、アミンオキシド類、スルホベタイン類及びスルタイン類がある。このような化合物の量は、約0wt%から約99wt%までの範囲内でよい。
【0025】
本発明の1つの態様は、本発明のPESと、任意選択で1種以上の殺生物剤とを含むPES含有組成物に関する。殺生物剤の例としては、合成殺生物剤;ブラシカ・オレラシア(brassica oleracea)、ブラシカ・オレラシア・ゲンミフェラ(brassica oleracea gemmifera)及びクロストリジウム・ボツリナム(clostridium botulinum)細菌類由来の天然殺虫剤;農業用殺虫剤;殺真菌剤類;除草剤類;殺虫剤類;殺藻剤類;軟体動物駆除剤類;ダニ駆除剤類;殺鼠剤類;抗微生物薬類;殺菌剤類;抗生物質類;抗菌剤類;抗ウイルス剤類;抗真菌剤類;抗原虫剤類と抗寄生虫剤類;トリクロサン(triclosan);塩化シクロペンチル;シアノ酢酸メチル;ジメチルジチオカルバミン酸カリウム;ジブロモニトリロプロピオンアミド;ヒダントイン;3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート;ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム;二環式オキサゾリジン;ベンゾイソチアゾリノン;トリクロロイソシアヌル酸;ジアゾリジニル尿素及びパラベン;メチルパラベン;エチルパラベン;プロピルパラベン;ペルオキシ酢酸;2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド;DMDMヒダントイン;ヘキサヒドロトリアジン;アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ジ−ヨードメチル−p−トリルスルホン;1,2−ペンタジオール;フェノキシエタノール;ウンデシレン酸;1,1,3,3−テトラメトキシプロパン;デヒドロ酢酸;ジアゾリジニル尿素及びパラベン類;ジアゾリジニル尿素;イミダゾリジニル尿素;デヒドロ酢酸ナトリウム;シリカヒドロゲル;アニス酸;イソチアゾリノン;ベンゾイソチアゾリノンのリチウム塩;ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウムがある。このような化合物の量は、約0wt%から約50wt%までの範囲内でよい。
【0026】
本発明の1つの態様は、本発明のPESと、任意選択で1種以上の分散剤とを含むPES含有組成物に関する。適切な分散剤の例としては、リシノレイン酸;アクリル酸マレイン酸コポリマー;アクリルコポリマー;アクリルターポリマー;アクリル/スルホネートコポリマー;高分子カルボン酸のナトリウム塩;硫酸化ひまし油;ポリアクリル酸;ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム;ポリアクリル酸ナトリウム;イソプロピルナフタレンスルホン酸二ナトリウム;スルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステル;アルカノールアミド;カリウムセチルホスフェート;セチルホスフェート;オクチルドデシルミリステート;ソルビタンイソステアレート;イソセチルステアロイルステアレート;グリセリルモノ/ジオレエート;カプリル/カプリントリグリセリド;イソステアリルネオペンタノエート;PEG−20アーモンドグリセリド類;アルコキシル化線状アルコール;ジグリセリルジイソステアレート;デシルオレエート;ヒドロキシル−エチリデンジホスホン酸;スルホン化クラフトリグニン;エトキシル化フェノキシ縮合物;セチルリシノレエートベンゾエート;アセトアミドMEA;PEG−6カプリル/カプリングリセリド類;高分子カルボン酸塩;PEG−15ジトーレート(ditallate);PEG−8ステアレート;PEG−20ステアレート;グリセロールモノオレエートがある。分散剤の量は約0wt%から約99wt%までの範囲内でよい。
【0027】
本発明の1つの態様は、本発明のPESと、任意選択で1種以上の可溶化剤とを含むPES含有組成物に関する。適切な可溶化剤の例としては、安息香酸フェネチル;リン酸アルコール;イソノナン酸イソトリデシル;ジエチルエキシルアジピン酸;分枝エステル混合物;エチルヘキシルヒドロキシステアレート;プロポキシル化セチルアルコール;アラキジルプロピオネートエステル;ポリソルベート20;ポリソルベート40;ポリソルベート60;ポリソルベート80;ポリソルベート85;PEG−7グリセリルココエート(cocoate);EPG−3ミリスチルエーテル;ヒマシ油のエチレンオキシド誘導体;オレイルオレエート;ネオペンチルグリコールジカペート(dicapate);オレイン酸イソデシル;セバシン酸ジイソプロピル;アジピン酸ジイソプリル;PEG−5ceteth−20;ポリエチレングリコール類;ポリプロピレングリコール類;硫酸アミド−エーテル;プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート;カプラミドDEA;コカミドDEA;PEG−4ステアレート;PEG−4ジラウレート;PEG−4ラウレート;PEG−8ジラウレート;PEG−8ジオレエート;PEG−8ジステアレート;PEG−8ラウレート;PEG−15ジトーレート;PEG−12トーレート;PEG−8ステアレート;PEG−20ステアレート;PEG−40ステアレート;PEG−100ステアレート;ソルビタンラウレート;ソルビタンパルメート;ソルビタンステアレート;Oleth−2;Oleth−3;Oleth−5;Oleth−10;Oleth−20;ステアリルアルコール;steareth−2;steareth−10;steareth−20;steareth−21;POE(12)ラウリルエーテル;PEG−40水素化ヒマシ油;アルキルベンゾエート;PEG−10オリーブグリセリド類;カプリル/カプリントリグリセリド;オクチルデカノール;2−オクチル−1−ドデカノール;2−ブチル−1−オクタノール;皮膚軟化剤エステル類の混合物;ポロキサマー105ベンゾエート;ジメチコンコポリオールベンゾエート;メチルgluceth−20ベンゾエート;ポリオール脂肪酸;ヒマシ油;リシノレイン酸;セチルジメチコン;ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル;プロピレングリコールジカプレート(dicaprate)及びヒマシ油PEG−35がある。可溶化剤の量は約0wt%から約50wt%までの範囲内でよい。
【0028】
本発明の1つの態様は、本発明のPESと、任意選択で1種以上の増粘剤とを含むPES含有組成物に関する。適切な増粘剤の例としては、アクリル酸コポリマー類;アクリレートビニルネオデカノエートクロスポリマー類;PEG−150/デシルアルコール/SMDIコポリマー;アクリレート/steareth−20メチルアクリレートコポリマー類;アクリレート/C10-30アルキルアクリレートコポリマー類;ポリアクリル酸ナトリウム類;水素化ヒマシ油;コカミドDEA;ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン);laureth−2;1−アミノドデカン;アニオン性会合アクリル酸コポリマー;非会合アニオン性アクリル酸コポリマー;オレイックジエタノールアミド;ラウリック/ミリスチックジエタノールアミド;ヒュームドシリカ;ヤシジエタノールアミド;白土;有機的に改質されたモンモリロナイト白土;微結晶性セルロース;ラウリルヂエチルアミンオキシド;メチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ベントナイト;天然ヘクトライトクレー;ヘキサグリセロールジオレエート;グリセリルトリカプレート;架橋ポリアクリル酸ポリマー;カーボマー(carbomer);セルロースガム;CMC;ヒドロキシエチルセルロース;ポリアニオンセルロース;PEG−20ステアレート;ステアルアミドMEAステアレート;セチルアルコール;グリセリルステアレート;エトキシル化混合アルコール類;ヒドロキシプロピルグアー;ポリクオターニウム−32(及び)鉱油(及び)PEG−1trideceth−6がある。増粘剤の量は約0wt%から約30wt%までの範囲内でよい。
【0029】
本発明の1つの態様は、本発明のPESと、任意選択でPESに不溶性の1種以上の粒子とを含むPES含有組成物に関する。適切な粒子はいずれも利用できるが、適切な粒子の例としては、疎水性に処理された沈降シリカ類、疎水性に処理されたヒュームドシリカ類;ワックス類;エチレンビスステアルアミド;二酸化チタンがある。このような粒子の量は約0wt%から約30wt%までの範囲内でよい。
【0030】
本発明の別の態様では、PES含有組成物は少なくとも1種の希釈剤を含有している。適切な希釈剤の例としては、水、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ポリアルキレングリコールモノブチルエーテル類、n−パラフィン類の混合物、ポリエチレングリコール類、メチルエーテルケトン、n−ブタノール、ポリグリコールイソステアレート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、イソノナン酸セテアリル(cetearyl)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、C12−C15アルキルベンゾエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソ酪酸、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールモノオレエート、エチレングリコールジオレエート、エチレングリコールモノトーレート、エチレングリコールジトーレート、プロピレングリコールモノオレエート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノトーレート、プロピレングリコールジオレエート、プロピレングリコールジステアレート、プロピレングリコールジトーレート、ポリプロピレングリコールジエステル、ポリプロピレングリコールジオレエート、ポリプロピレングリコールジトーレート、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリプロピレングリコールモノトーレート、ポリエチレングリコールジエステル、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコールジトーレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノトーレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリメチロールプロパンオレエート、ネオペンチルグリコールオレエート、ペンタエリトリトールテトラオレエート、ペンタエリトリトールテトラステアレートメチルオレエート、メチルラウレート、ブチルオレエート、ブチルステアレート、ブチルラウレート、エチルオキシジグリコール、ポリグリコール類、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、sec−ブチルアルコール、ジエチルエーテル、エチル−アミルケトン、アセトン、n−プロパノール、メチル−イソ−ブチルケトン、エチレングリコールブチルエーテル、イソプロピルアルコール、ブチルジグリコールエーテルアセテート、ブチルグリコールエーテルアセテート、ブチルトリグリコールエーテル、ブチルジグリコールエーテル、ブチルグリコールエーテル、ジエチルエーテル、エタノールの内の少なくとも1種がある。このような希釈剤の量は約0wt%から葯99wt%までの範囲内でよい。本発明のさらなる態様は、本発明のPES又はPES含有組成物を含有する塗料組成物に関する。この塗料組成物は、アクリル塗料類、アクリル結合剤、スチレンアクリレート結合剤、改質アクリレート結合剤、2成分ポリウレタン又は1成分ポリウレタンの結合剤システム、2成分エポキシ結合剤システム、ポリエステル結合剤、ハイブリッドアクリレートポリウレタン結合剤、Versatic酸ビニルエステルの結合剤、ポリビニルアルコール結合剤、酢酸ビニルエチレン結合剤及びアルキドベースの結合剤からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤を含有していてもよい。その本発明のPES又はPES含有組成物の量は、塗料組成物の約0.01wt%から約20wt%までの範囲内でよい。
【0031】
本発明のPESは、PES含有組成物を得るため他の化合物と混合してもよい。PES又はPES含有組成物は、組成物を脱泡又は脱気するために塗料配合物と混合してもよい。これらの混合は、通常の装置及び混合方法を利用することによって達成できる。
【0032】
本発明のPES又はPES含有組成物を含有する塗料組成物は、広範囲の支持体に塗布することができる。このような支持体の例としては、木材、紙、プラスチック、金属、鋼鉄、コンクリート、複合材料、ハイブリッド材料、繊維及びゴムの内の少なくとも1種があり、またポリマーなどの物質で予めコートされた支持体も含まれる。
【0033】
本発明のPES又はPES含有組成物を含有する塗料組成物は、適切な方法で塗布することができる。特に、塗料組成物は、当技術分野で公知の通常のエアレススプレー法又はエアアシストスプレー法で塗布できる。本発明のPESは、塗料組成物を脱泡/脱気する働きがあるので、その塗料から得られる仕上りの外観又は品質を向上させる。いかなる理論又は説明にもしばられずに、本発明のPESは、塗料組成物中の成分の相溶性を促進して仕上りの欠点又はクレーターの数を減少させると考えられる。
【0034】
本発明の幾つかの態様を以下の例によって例示する。これら例は特許請求の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0035】
例1と2は、シリコーン主鎖:MHxH(式中、x=3〜50)の平衡状態を示す。本発明の幾つかの態様において、デカメチルシクロペンタシロキサンは、オクタメチルシクロテトラシロキサンの代わりに使用できる。使用する酸触媒は、酸性白土、アンバーリスト、トリフリック酸(triflic acid)又は硫酸から選択できる。デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びテトラメチルジシロキサン類は市販されている。
【0036】
[例1]
オクタメチルシクロテトラシロキサン1000gとテトラメチルジシロキサン120.6gを投入して混合し次いで酸性白土1.12gを添加する。80℃まで加熱し、粘度が安定するまで8〜12時間混合する。室温まで放冷し次いで濾過して透明にする。こうしてMH15Hシリコーン主鎖が製造される。
【0037】
[例2]
オクタメチルシクロテトラシロキサン1000gとテトラメチルジシロキサン36.2gを投入して混合し次いで酸性白土1.04gを添加する。80℃まで加熱し、粘度が安定するまで8〜12時間混合する。室温まで放冷し次いで濾過して透明にする。こうしてMH50Hシリコーン主鎖が製造される。
【0038】
例3、4及び5はポリエーテルのキャッピング法を示す。例3と4におけるポリエーテルは、CH2=CH−CH2−O−(CH2−CH2−O)x−(CH2−CH(CH3)−O)yZ(式中、xとyは0〜60の範囲内でよい)でよい。このポリエーテルは、水素、メチル基、アセチル基又はブチル基でよいZでキャップできる。
【0039】
[例3]
x=2及びy=7であるポリエーテル(AAEO2PO7)1000gと無水酢酸192.4gを投入する。115〜120℃に加熱して8〜12時間保持する。減圧し軽く窒素ガスを散布して、酸価が1未満になるまで、過剰の無水酢酸のみならず生成した酢酸を除去する。その結果、アセチルでキャップされたAAEO2PO7が生成する。
【0040】
[例4]
x=2及びy=7であるポリエーテル(AAEO2PO7)1000gとナトリウムメチラート(ナトリウムメトキシドの25%メタノール溶液)411gを投入する。減圧し軽く窒素ガスを散布し次いで60〜100℃までゆっくり加熱してメタノールを除去する。メタノールを除去したのち室温まで放冷し、次いで1−クロロブタン105gを添加する。80℃まで加熱し、アルカリ価が2未満になるまでこの温度に保持する。こうして、ブチルでキャップされたAAEO2PO7が製造される。
【0041】
[例5]
y=15であるポリエーテル(AAP15)1000gとナトリウムメチラート(ナトリウムメトキシドの25%メタノール溶液)244.5gを投入する。減圧し軽く窒素ガスを散布し次い60〜100℃までゆっくり加熱してメタノールを除去する。メタノールを除去したのち室温まで放冷し、次いで1−クロロブタン105gを添加する。80℃まで加熱し、アルカリ価が2未満になるまでこの温度に保持する。こうして、ブチルでキャップされたAAEPO15が製造される。
【0042】
例6、7及び8は、MHxHのようなシリコーン主鎖とCH2=CH−CH2−O−(CH2CH2−O)x−(CH2−CH(CH3)−O)yZのようなポリエーテルで実行されるヒドロシリル化反応を示す。キシレン、トルエン及びイソプロパノールから選択できる適切な溶媒を使用する。この反応を開始させるためにクロロ白金酸のような白金酸触媒又はカールシュテット触媒を使用する。
【0043】
[例6(キャッピングなし)]
例1のM111511シリコーン主鎖448g、AAEO2PO7 513g及びイソプロパノール200gを投入する。80℃まで加熱してカールシュテット触媒0.1gを添加する。SiHのピークの消失を赤外分析法で監視しながら8時間反応させる。減圧して窒素ガスをかるく散布することによってイソプロパノールを除去する。
【0044】
[例7(ブチルキャップ)]
例1のMH15Hシリコーン主鎖448g、例4のブチルでキャップされたAAEO2PO7 558g及びイソプロパノール200gを投入する。80℃まで加熱してカールシュテット触媒0.1gを添加する。SiHのピークの消失を赤外分析法で監視しながら8時間反応させる。減圧して窒素ガスをかるく散布することによってイソプロパノールを除去する。
【0045】
[例8(アセチルキャップ)]
例1のMH15Hシリコーン主鎖448g、例3のアセチルでキャップされたAAEO2PO7 552g及びイソプロパノール200gを投入する。80℃まで加熱してカラステッド触媒0.1gを添加する。SiHのピークの消失を赤外分析法で監視しながら8時間反応させる。減圧して窒素ガスをかるく散布することによってイソプロパノールを除去する。
【0046】
[例9]
H50Hシリコーン主鎖566g、例5のブチルでキャップされたAAPO15 434g及びキシレン200gを投入する。80℃まで加熱して、2gのキシレンに溶解したクロロ白金酸触媒0.04gを添加する。SiHのピークの消失を赤外分析法で監視しながら8時間反応させる。80〜120℃で、減圧し窒素ガスをかるく散布することによってキシレンを除去する。
【0047】
[例10]
この例は、エアアシストエアレススプレー塗装法で使用される塗料組成物に利用されるときの、本発明のPESの性能を例示する。
【0048】
この試験で使用される配合物は、家具の塗装に使われる木材用の水性アクリレートの透明塗料である。この塗料の組成を下表に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
[試料の調製]
この配合物の粘度はDIN cup4で60秒に調節した。
【0051】
被検脱泡剤は、使用時に1wt%になるように透明塗料にあとから添加し、500rpmで20分間混合した。この混合物は、翌日試験する前に一夜放置する。
【0052】
[試料の塗布法]
試料は、Wagner−AirCoat(登録商標)gun model AC 4600Professionalからスプレーガンを使って、Lenetaにエアアシストエアレススプレー法で塗布し、次いで室温で5分間蒸発させ、次に60℃のオーブン中で20分間乾燥する。湿潤被膜の厚さは約100g/m2である。
【0053】
[パネルの評価]
次いで、スプレーされたパネルの泡の除去状態を顕微鏡で観察する。
【0054】
塗料の表面に存在する泡の量を、画像分析ソフトウェアを使用して定量した。泡の百分率(下表の泡の%)は、選択された全面積の一部として空気の泡が占めた累積面積として計算する。
【0055】
泡の百分率が小さければ小さいほど泡の除去は良好である。
【0056】
またこれらパネルは、脱泡剤の相溶性を査定するためにも評価した。すなわちパネル(パネルの面積=22cm×29cm)当たりのクレーターの数を計数して、1から10までのランキングを付けた。等級「1」は多数のクレーターを有するため不良外観を示し、等級「10」はクレーターが皆無の最良の外観を示す。
【0057】
評価の結果を下表に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
本発明を、幾つかの態様を参照して説明してきたが、当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく各種の変更を実施することができかつ本発明の要素を均等物で置換できることは分かるであろう。さらに、多くの変更を行って、本発明の不可欠の範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させることができる。本明細書に開示されている態様は、単独でもよく及び互いに組み合わせてもよいことに留意することが重要である。したがって、本発明は、本発明を実行するために考えられる最良の形態として開示されている特定の実施態様に限定されることなく、本発明は、特許請求の範囲の範囲内に入る個々の態様及びそれらの組み合わせのすべてを含むことを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コポリマーが以下の式
M’DmM’
であり、式中、M’=[(CH32(G)SiO−]、D=[−(CH32SiO−]、及びG=−(CH2n−O−(CH2−CH2−O)x−(CH2−CH(CH3)−O)yZであり、m=3〜50、n=1〜6、x=0〜20、y=2〜50であり、Zが水素又はメチル基、ブチル基若しくはアセチル基を含む線状ポリエーテル改質シリコーンを含む、組成物。
【請求項2】
Zがアセチル基を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
グラフト型のポリエーテル改質シリコーンを実質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の溶媒と少なくとも1種の触媒の存在下において、ヒドロシリル化条件のもとで、少なくとも1種のシリコーン主鎖をキャップされたポリエーテルと接触させることを含む、ポリエーテルシリコーンを製造するための方法。
【請求項5】
前記シリコーン主鎖がMHxH(式中、x=3〜50)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記キャップされたポリエーテルが、CH2=CH−CH2−O−(CH2−CH2−O)x−(CH2−CH(CH3)−O)yZ(式中、x及びyは0〜60であり、Zは水素、メチル基、アセチル基又はブチル基を含む)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒が、キシレン、トルエン及びイソプロパノールからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒が白金触媒及びカールシュテット触媒のうち少なくとも1種を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載のポリエーテルシリコーンを含む塗料。
【請求項10】
前記塗料が、アクリル結合剤、スチレンアクリレート結合剤、改質アクリレート結合剤、シリコーンアクリレート結合剤、2成分ポリウレタン又は1成分ポリウレタンの結合剤システム、2成分エポキシ結合剤システム、ポリエステル結合剤、ハイブリッドアクリレートポリウレタン結合剤、Versatic酸ビニルエステルの結合剤、ポリビニルアルコール結合剤、酢酸ビニルエチレン結合剤、及びアルキドベースの結合剤のうち少なくとも1種を含む、請求項9に記載の塗料組成物。

【公開番号】特開2013−60594(P2013−60594A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−196824(P2012−196824)
【出願日】平成24年9月7日(2012.9.7)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】