説明

シリコーン変性ビニル系樹脂、その製造方法およびそれを含有するコーティング剤

【課題】 耐汚染性、はっ水性、非粘着性のよいコーティング膜が得られ、かつ透明な樹脂溶液を得ることのできるシリコーン変性ビニル系樹脂、その製造方法およびそれを含有するコーティング剤を提供する。
【解決手段】 ビニル系共重合体からなるシリコーン変性ビニル系樹脂において、一般式(A)
【化1】


(R1、R2、R3、R4およびR5はC1〜20のアルキル、C4〜10のシクロアルキルおよびC6〜10のアリール;R6はC1〜5のアルキル、C6〜10のアリールまたはH;nは1以上の整数;mは0もしくは1以上の整数;XはC2〜20のアルキレン;Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−または−OCH2CH(CH3)−;pは3以上の整数である)で示される構造単位を0.0001〜5モル%含有し、かつ重量平均分子量が5000〜200000であるビニル系共重合体からなるシリコーン変性ビニル系樹脂。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオルガノシロキサン基を側鎖に有するシリコーン変性ビニル系樹脂、その製造方法およびそれを用いたコーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、側鎖にポリオルガノシロキサン基を有するビニル系重合体からなるシリコーン変性ビニル系樹脂が知られている。この樹脂は片末端に重合性基を有するポリオルガノシロキサンをビニル系化合物と共重合することにより得られる(特開昭61−78806号公報)。かかるシリコーン変性ビニル系樹脂は側鎖のポリオルガノシロキサン基の効果により、耐汚染性、はっ水性、非粘着性に優れている。たとえばかかるシリコーン変性ビニル系樹脂を配合したコーティング剤を所望の物品に塗布することにより、その物に上記の優れた性能を付与することができる。
【0003】しかしながら、片末端に重合性基を有するポリオルガノシロキサン((以下、重合性ポリオルガノシロキサンと略す)とビニル系化合物を溶液共重合すると、用いる重合性ポリオルガノシロキサンの分子量が高くなると重合後の樹脂溶液が白濁するため、透明性が求められる用途には不適であり、また、白濁状態のまま放置すると白濁物質が沈降して、不均一な樹脂溶液になるために使用上、性能面から望ましくない。一方、用いる重合性ポリオルガノシロキサンの分子量が低い場合に、該単量体の量を多くすると、高分子量の重合性ポリオルガノシロキサンの場合と同様に樹脂溶液が白濁してしまい望ましくない。更に分子量の低いものを共重合すると、重合後の樹脂溶液は透明になるものの、かかる樹脂溶液を用いたコーティング剤はそのコーティング膜の耐汚染性、はっ水性、非粘着性が不充分になるという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐汚染性、はっ水性、非粘着性などの性能を損なうことのないコーティング膜が得られ、かつ透明な樹脂溶液を得ることのできるシリコーン変性ビニル系樹脂、その製造方法およびそれを含有するコーティング剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するためにビニル系化合物と共重合性を有するマクロモノマーである重合性ポリオルガノシロキサンについて鋭意検討した。その結果、重合性ポリオルガノシロキサンの分子鎖にポリオキシアルキレン基を導入することにより、得られるシリコーン変性ビニル系樹脂溶液の白濁が極めて低くなることを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0006】本発明のシリコーン変性ビニル系樹脂は、つぎの(1)項で示される。
(1) ビニル系共重合体からなるシリコーン変性ビニル系樹脂において、一般式(A)
【化3】


(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基および炭素数6〜10のアリール基であり;R6は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または水素原子であり;nは1以上の整数であり;mは0もしくは1以上の整数であり;Xは炭素数が2〜20のアルキレン基であり;Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−または−OCH2CH(CH3)−であり;pは3以上の整数である)で示される構造単位を0.0001〜5モル%含有し、かつ重量平均分子量が5000〜200000であるビニル系共重合体からなることを特徴とするシリコーン変性ビニル系樹脂。
【0007】本発明のシリコーン変性ビニル系樹脂の製造方法は、つぎの(2)および(3)項で示される。
(2) 一般式(1)
【化4】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、n、m、X、Yおよびpは前記と同じ。)で示されるポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体0.1〜20重量%およびビニル系化合物単量体(以下、ビニル系単量体と略すことがある)80〜99.9重量%(合計100重量%)を溶媒中で重合することにより重量平均分子量5000〜200000のビニル系共重合体を得ることを特徴とするシリコーン変性ビニル系樹脂の製造方法。
(3) 前記一般式(1)に示されるポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体を0.1〜20重量%、加水分解性シリル基を有するビニル系化合物単量体を1〜30重量%、水酸基を有するビニル系化合物単量体を5〜45重量%およびそれ以外のビニル系化合物単量体を5〜93.9重量%(合計100重量%)を、アルコールを含む溶媒中でラジカル共重合することにより重量平均分子量5000〜200000のビニル系共重合体を得ることを特徴とするシリコーン変性ビニル系樹脂の製造方法。
【0008】本発明のコーティング剤は、つぎの(4)、(5)および(6)項で示される。
(4) 前記(1)項に記載のシリコーン変性ビニル系樹脂および硬化剤を含有するコーティング剤。
(5) 前記(2)項もしくは(3)項のいずれか1項に記載の製造方法で得られたシリコーン変性ビニル系樹脂および硬化剤を含有するコーティング剤。
(6) 硬化剤がイソシアネート化合物およびメラミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である前記(4)項もしくは(5)項のいずれか1項に記載のコーティング剤。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のシリコーン変性ビニル系樹脂は、その共重合成分として従来使用していた重合性ポリオルガノシロキサンの分子鎖に、ポリオキシアルキレン基が導入されているのが特徴である。
【0010】本発明のシリコ−ン変性ビニル系樹脂は、一般式(A)
【化5】


(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基および炭素数6〜10のアリール基であり;R6は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または水素原子であり;nは1以上の整数であり;mは0もしくは1以上の整数であり;Xは炭素数が2〜20のアルキレン基であり;Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−または−OCH2CH(CH3)−であり;pは3以上の整数である)で示される構造単位を0.0001〜5モル%含有して5000〜200000の重量平均分子量をもつビニル系共重合体からなることを特徴とする。すなわち、このビニル系共重合体はポリオキシアルキレンをもつポリオルガノシロキサン基を側鎖に有するものであり、前記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体(詳しくは、片末端に重合性基をもち分子鎖にポリアルキレンセグメントとポリオキシアルキレンセグメントを有するポリオルガノシロキサン単量体)とビニル系単量体との共重合により得られる。
【0011】本発明のシリコーン変性ビニル系樹脂の製造方法に用いるポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体は、片末端に重合性基もちかつポリオキシアルキレン基を分子鎖に有する下記一般式(1)
【化6】


(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基および炭素数6〜10のアリール基であり;R6は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または水素原子であり;nは1以上の整数であり;mは0もしくは1以上の整数であり;Xは炭素数が2〜20のアルキレン基であり;Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−または−OCH2CH(CH3)−であり;pは3以上の整数である)。で示される。
【0012】前記一般式(A)および(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、n、m、X、Yおよびpについて、さらに具体的に説明する。R1、R2、R3、R4およびR5で示される炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどがあげられる。シクロアルキル基としてはシクロペンチル、シクロヘキシルなどをあげることができる。また、炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ベンジル、フェネチルなどを挙げることができる。好ましいR1、R3、R4およびR5は、メチル、R2はメチルもしくはブチルである。
【0013】R6で示される炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ネオペンチルなどが挙げられる。また、炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル、トルイル、キシリル、エチルフェニル基などが挙げられる。好ましいR6は、水素原子もしくはメチルである。
【0014】Xで示される炭素数が2〜20のアルキレン基(炭素数が2〜20のポリメチレン基とも言える)としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、テトラデカメチレン、2−メチルエチレン、2−メチルトリメチレン、2−メチルテトラメチレン、2−メチルペンタメチレン、2−メチルヘキサメチレン、2−メチルヘプタメチレン、2−メチルオクタメチレン、2−メチルノナメチレン、2−メチルデカメチレン、2−メチルウンデカメチレンなどを挙げることができる。好ましいXは、トリメチレン、2−メチルエチレンなど炭素数が3のアルキレンである。
【0015】YPは、ポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体のポリオキシアルキレン部分(セグメント)を表わし、pは、ポリオキシアルキレンセグメントの重合度を示し、3以上あれば特に限定されるものではないが、3から460が好ましい。Yは、前述のとおりであるが、 好ましいYとしては、−OCH2CH2−が示される。
【0016】nおよびmは、それぞれポリジ置換シロキサンセグメントおよびポリジメチルシロキサンセグメントの重合度を示し、nは1以上、mは0もしくは1以上であれば特に限定されるものではないが、好ましくはn+mが4〜1100である。
【0017】前記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体の分子量は、特に限定されるものではないが、重量平均分子量で500〜100000であることが好ましい。
【0018】本発明のシリコ−ン変性ビニル系樹脂の製造方法に用いる一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体は、例えば、つぎの方法で製造することができる。下記の反応式(a)により、片末端に水素官能基をもつポリオルガノシロキサン(4)に、両末端の一方に水酸基を他方にビニル基を有するポリオキシアルキレン(6)をヒドロシリル化反応により反応させて、末端に水酸基をもち分子鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン(2)を得る。その後、反応式(b)に示すように、上記ポリオルガノシロキサン(2)と重合性官能基を持つカルボン酸(3)との脱水縮合反応よりポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体(1)を製造することができる。
【0019】反応式(a)
【化7】


【0020】反応式(b)
【化8】


反応式(a)および(b)におけるR1、R2、R3、R4、R6、Y、X、p、nおよびmは前記と同じであり、X’は、炭素数2〜20のアルケニル基を示す。
【0021】反応式(a)で示される反応は、触媒の存在下に行われるヒドロシリル化反応である。該触媒としては一般にヒドロシリル化反応に使用される遷移金属触媒を使用することができ、具体的には、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、モリブデン、マンガンなどの金属化合物を例示することができる。
【0022】これら触媒は、溶媒に溶解するいわゆる均一系触媒や、カーボン、シリカなどに担持させた担持触媒、ホスフィンやアミン、酢酸カリウムなどを助触媒とした触媒のいずれ形態でも使用することができる。
【0023】上記式(a)の反応において反応溶媒は必ずしも必要ではないが、必要に応じて反応を阻害するものでなければ適当な溶媒を使用してもよい。具体的にはヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエ−テル系溶媒、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒、水などを例示することができる。これらの溶媒は単独またはいくつかを組み合わせて使用することもできる。
【0024】ヒドロシリル化反応の反応温度は特に限定されないが、通常は反応溶媒の沸点以下で行われる。反応溶媒を使用しない場合は0〜250℃で反応することができるが、経済性などを考慮すると20〜120℃で行なうことが好ましい。
【0025】両末端の一方に水酸基を他方にビニル基を有するポリオキシアルキレン(6)は、市販のポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテルなどを使用することができる。例えば、日本油脂(株)製のつぎのようなものが示される。”ユニオックスPKA−5001”(X’がアリル基で、Yが−OCH2CH2−である平均分子量200のポリエチレングリコールモノアリルエーテル);”ユニオックスPKA−5002”(X’がアリル基で、Yが−OCH2CH2−である平均分子量400のポリエチレングリコールモノアリルエーテル);”ユニオックスPKA−5003”(X’がアリル基で、Yが−OCH2CH2−である平均分子量450のポリエチレングリコールモノアリルエーテル);”ユニオックスPKA−5004”(X’がアリル基で、Yが−OCH2CH2−である平均分子量750のポリエチレングリコールモノアリルエーテル);”ユニオックスPKA−5005”(X’がアリル基で、Yが−OCH2CH2−である平均分子量1500のポリエチレングリコールモノアリルエーテル);”ユニセーフPKA−5014”{X’がアリル基で、Yが−OCH(CH3)CH2−、または−OCH2CH(CH3)−である平均分子量1500のポリプロピレングリコールモノアリルエーテル}。
【0026】上記反応式(b)は、末端が水酸基でポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン(2)と重合性官能基を持つカルボン酸(3)の脱水縮合反応である。脱水縮合反応においては、生成する水をとるために脱水剤を使用することが好ましく、更に、副生物の生成を抑えるために3級アミンを使用することが好ましい。
【0027】重合性官能基を持つカルボン酸(3)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
【0028】脱水剤としては、公知のものを使用することができる。例えば、トリフルオロ酢酸無水物、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、クロロスルホニルイソシアナート、カルボニルジイミダゾールなど、またトリフェニルホスフィンと四塩化炭素もしくはブロモトリクロロエタンの混合物などを挙げることができる。これらの脱水剤のうち、操作の容易性、経済性などを考慮するとカルボジイミド系の脱水剤が好ましく、このカルボジイミド系の脱水剤の中でもN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)が最も好ましい。
【0029】3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン(DBU)などを挙げることができるが、DMAPまたはDBUが特に好ましい。
【0030】反応式(b)において反応溶媒は必ずしも必要ではないが、必要に応じて反応を阻害しない適当な溶媒を使用してもよい。このような溶媒としては、へキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエ−テル溶媒、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素溶媒などを例示することができる。これらの溶媒は単独で使用しても、その複数を組み合わせて使用してもよい。
【0031】脱水縮合反応(b)の温度は特に限定されないが、該脱水縮合反応に溶媒を用いる場合には、該溶媒の沸点以下であることが好ましく、溶媒を使用しない場合には、−10〜250℃で反応させることが好ましい。経済性などを考慮すると0〜50℃で行なうことが好ましい。
【0032】本発明の製造方法の共重合における式(1)で示されるポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体とビニル系単量体との使用量は、式(1)のポリオルガノシロキサン単量体0.1〜20重量%、ビニル系単量体99.9〜80重量%が好ましい。式(1)のポリオルガノシロキサン単量体の使用量が0.1重量%未満では、得られるシリコーン変性ビニル系樹脂の溶液をコーティング剤に用いた場合、コーティング膜の耐汚染性、はっ水性、非粘着性の点で劣る傾向にあり、使用量が20重量%を越える場合は、重合後の樹脂溶液が白濁し易くなる。
【0033】本発明の製造方法におけるポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体は、ポリオキシアルキレン部分の重合度の異なるもしくはポリオルガノシロキサン部分の式(1)のm、nが異なるものを2種以上併用しても良い。ポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン鎖を側鎖としてビニル重合体に組み込むことにより、コーティング膜に耐汚染性、はっ水性、非粘着性、離型性、柔軟性などを付与することができる。
【0034】本発明の製造方法に使用されるビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類;メチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルトリフルオロエチレンなどのフルオロオレフィン類;エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどが挙げられる。本発明の製造方法の共重合に使用されるビニル系単量体の使用量は、全単量体に対して80〜99.9重量%である。
【0035】本発明のシリコーン変性ビニル樹脂を架橋可能なものとする場合には、ビニル系単量体として加水分解性シリル基、水酸基、カルボキシ基などの官能基を有するビニル系単量体を使用する。
【0036】加水分解性シリル基をを有するビニル系単量体は、ビニル基以外にケイ素原子に直結した加水分解性の官能基を1個、2個もしくは3個有するものである。このビニル基としては、メタクリル、アクリル、ビニル、スチリル、アリルなどの基を挙げることができる。その中でもメタクリルが他のメタクリルを持つ単量体と共重合し易く好ましい。加水分解性基としては、イソプロペニルオキシ、イソプロポキシ、イソプロペノキシなどのアルコキシ基、アセトキシなどのアルキリルオキシ基、塩素原子、アミノオキシ基、ケトオキシム基、アミド基などが挙げられ、その中でも炭素数1〜4のアルコキシ基および炭素数1〜4のアルキリルオキシ基が使用し易く好ましい。
【0037】このような加水分解性シリル基を有するビニル系単量体の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチルビニルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアセトキシシランおよびスチリルエチルトリメトキシシランなどが挙げられる。この中でも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。
【0038】本発明の樹脂に係る共重合体の加水分解性シリル基は、空気中の水分により加水分解を受け、活性なシラノール基となり、そのシラノール基がシラノール基同士および/またはアルコキシシリル基と縮合反応することにより樹脂を架橋させることができる。上記の加水分解性シリル基を有するビニル系単量体は、少なくとも1種以上が使用され、使用量は、全単量体の1〜30重量%が好ましい。1重量%未満では、金属材料および無機材料に対してシリコーン変性ビニル系樹脂を用いたコーティング剤の密着性が充分とは言えず、使用量が、30重量%を越えると樹脂の保存安定性が不良になる傾向にある。
【0039】水酸基を有するビニル系単量体の具体例としては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸グリセロールなどの水酸基含有のメタクリル酸エステル類;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸ポリプロピレングリコール、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピルなどのアクリル酸エステル類;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル類などが挙げられる。この中でも、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
【0040】本発明のシリコーン変性ビニル系樹脂の側鎖としての水酸基は、イソシアネート化合物またはメラミン化合物との反応により樹脂を架橋させることができる。これらの水酸基を有するビニル系単量体の使用量は、全単量体の5〜45重量%が好ましい。使用量が5重量%未満では、得られるシリコーン変性ビニル系樹脂を用いたコーティング剤が硬化不良の傾向があり、かつ得られるコーティング膜の耐汚染性、はっ水性、非粘着性が充分とは言えず、使用量が45重量%を越えると樹脂溶液が白濁し易くなる。
【0041】カルボキシ基を有するビニル系単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などを挙げることができる。カルボキシ基を有するビニル系単量体を添加して共重合することにより、得られるシリコーン変性ビニル系樹脂の付着性、他の樹脂をブレンドする際の相溶性、および顔料など無機フィラーの分散性の向上を図ることができる。また、エポキシ基を含有するビニル系単量体と共に使用した場合には、このカルボキシ基と加熱により架橋させることもできる。このカルボキシ基を有するビニル系単量体の使用量は、全単量体の0.1〜5重量%が好ましい。このカルボキシ基を有するビニル系単量体は、単独で使用することもできるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0042】本発明のシリコーン変性ビニル系樹脂の製造方法における重合方法としては、溶液重合法が好ましい。すなわち、撹拌装置、還流冷却器、温度計を備えた反応容器に、反応溶媒を仕込み、50〜150℃の任意の温度に加熱したところに、上記単量体各種を混合したものと重合開始剤をそれぞれの滴下槽から撹拌状態にある反応溶媒中に徐々に滴下し反応させる。滴下時間は2〜6時間程度が実用上好ましい。滴下終了後、未反応の単量体を重合させるために、滴下時と同温度もしくはそれ以上の温度で数時間加熱を続けてもよく、さらに重合開始剤を追加補充してもよい。重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、およびt−ブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が好適に使用できる。これらの重合開始剤は、上記単量体を混合したもの、または適当な溶媒に溶かして使用することができる。
【0043】本発明の製造方法においては、共重合時に使用する反応溶媒として、炭素数1〜6のアルコールを少なくとも1種以上使用することが好ましい。特に加水分解性シリル基を有する単量体と同時に水酸基および/またはカルボキシ基を有する単量体を併用して共重合反応する場合においては、共重合時に高重合物が発生し易く、重合のコントロールがしにくくなると共に、生成する樹脂の保存安定性も不良となる傾向があるので、かかるアルコール溶媒を使用することが好ましい。
【0044】このような炭素数1〜6のアルコール溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、3−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘキサノールなどのアルキルアルコール;シクロヘキサノールなどのシクロアルキルアルコール;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテルアルコールなどが挙げられる。この中でもイソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
【0045】炭素数1〜6のアルコール溶媒以外で使用可能な溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;セロソルブアセテート、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエーテルアセテート類;アセトン、メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類が挙げられ、これらを1種または2種以上組み合わせて使用することができる。また、炭素数1〜6のアルコール溶媒と組み合わせて使用することもできる。さらに、重合反応終了後に塗装に適する粘度にするために上記溶媒を使用して適正粘度まで希釈することもできるし、後述のシリコーン変性ビニル系樹脂を含有するコーティング剤に添加してコーティング膜の塗装外観を向上させることもできる。
【0046】本発明のシリコ−ン変性ビニル系樹脂の製造方法における共重合体の重合度の調節は、用いる重合開始剤の種類および使用量、重合温度および連鎖移動剤の使用によって調節することができる。連鎖移動剤としては、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンおよびγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが好適に使用できる。重量平均分子量としては、5000〜200000であるが、5000未満では未重合の単量体が残存し易く、一方、重量平均分子量が200000を越えると該樹脂を含むコーティング剤塗布時に糸引きなどの欠陥を生じることが多い。
【0047】本発明のコーティング剤は、該シリコーン変性ビニル系樹脂を主成分とし、以下の硬化剤とから構成され、必要に応じて硬化触媒および添加剤を添加してもよい。該シリコーン変性ビニル系樹脂および硬化剤はそれぞれ2種類以上を併用してもよい。
【0048】硬化剤としては、イソシアネート化合物およびメラミン化合物を挙げることができる。イソシアネート化合物の具体例としては、脂肪族系のキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはこれらの多価アルコール付加タイプ、ビュレットタイプ、トリマータイプ、芳香族系のトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物、およびブロックイソシアネート化合物が挙げられる。イソシアネート化合物の市販品としては、例えば、武田薬品工業(株)製の”タケネート(商標)”、日本ポリウレタン工業(株)製の”コロネート(商標)”、旭化成工業(株)製の”デュラネート(商標)”などが挙げられる。イソシアネート化合物は、1種のみ単独で使用することができるし、2種以上を併用して使用することもできる。
【0049】該イソシアネート化合物と該シリコーン変性ビニル系樹脂との使用割合は、OH基/NCO基の比率で表すことができ、それぞれの使用量はシリコーン変性ビニル系樹脂の水酸基価とイソシアネート化合物のNCO含量とから公知慣用の方法で計算できる。使用割合は、OH/NCO(モル比)=1/0.1〜1/2とすることが好ましい。OH基1モルに対してNCO基が0.1モル未満では、得られるコーティング膜の耐汚染性、はっ水性、非粘着性が充分とは言えず、NCOが2モルを越える場合は、コーティング膜の加工性が不良となる傾向がある。
【0050】また、メラミン化合物の具体例としては、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、イソブチルエーテル型メラミン、n−ブチルエーテル型メラミンなどが挙げられる。これらのメラミン化合物は、1種のみ単独または2種以上の併用で使用することができる。該メラミン化合物の使用量は、シリコーン変性ビニル系樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。1重量部未満では得られるコーティング膜の耐汚染性、はっ水性、非粘着性が充分とは言えず、30重量部を越える場合はコーティング膜の加工性が不良となる傾向がある。
【0051】硬化触媒としては、有機金属化合物、アミン化合物および酸性化合物などが挙げられる。有機金属化合物の具体例としては、オクチル酸錫、ジ−n−ブチル錫ジオクテート、ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n−オクチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジ−n−ブチル錫サルファイド、ジ−n−オクチル錫オキサイドなどの有機錫化合物;テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネートなどの有機チタニウム化合物;アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)などの有機アルミニウム化合物;オクチル酸亜鉛、ナフテン酸マグネシウムなどが挙げられる。アミン化合物としては、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルアミノエタノール、イソホロンジアミンなどが挙げられる。酸性化合物としては、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フタル酸、無水フタル酸、燐酸、モノアルキル燐酸、ジアルキル燐酸、これらの有機アミンブロック化合物などが挙げられる。これらの硬化触媒は必要に応じて1種または2種以上併用して使用することができる。該硬化触媒の使用量は、シリコーン変性ビニル系樹脂100重量部に対して、0.001〜5重量部とすることが好ましい。
【0052】添加剤としては、脱水剤、顔料、分散剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、たれ防止剤、レベリング剤、艶消し剤、擦り傷防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、抗菌剤などが挙げられ、これらは1種以上を用いることができる。
【0053】脱水剤としては、ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、1,1−ジメトキシプロパン、1,1−ジメトキシブタン、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルシリケート、エチルシリケートなどの加水分解性のエステルが挙げられる。これを添加することで、系中の水分を除去でき、保存安定性を一層向上させることができる。該脱水剤の使用量は、シリコーン変性ビニル系樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部とすることが好ましい。
【0054】脱水剤以外の添加剤の使用量は特に制限はなく、用途に応じてシリコーン変性ビニル系樹脂に対して公知慣用の使用量を添加して使用することができる。
【0055】本発明のコーティング剤を塗布する方法としては、ロールコーター法、ブレードコーター法、グラビアコーター法、ビートコーター法、カーテンフローコーター法、浸漬塗布法およびスプレー塗布法のいずれを用いてもよく、基材の片面または両面に塗布することができる。塗布後、常温〜300℃の任意の温度で硬化させることができるが、溶剤の揮散促進、架橋反応の促進のためには60〜250℃の温度で5秒〜60分間加熱乾燥することが好ましい。硬化温度が高い程、硬化時間は短くでき、硬化触媒を併用することでさらに硬化時間を短縮できる。また、架橋反応を促進させるためには塗布乾燥後のコーティング物を30〜120℃の温度で1〜7日間養生処理することもできる。
【0056】本発明のコーティング剤を塗布する際の塗膜の厚みとしては、0.5〜50μmが好ましい。たとえば、コーティング剤を金属基材に塗布した場合に、0.5μm未満では塗板に干渉縞が発生することが多く、外観上好ましくない。逆に50μmを越える場合は、塗布された基材を加工する際に、塗膜に割れおよび剥がれが発生し易くなり好ましくない。
【0057】本発明のコーティング剤を塗布する材料として、金属、無機材料、プラスチックおよび複合材料が挙げられる。金属としては、ステンレス、アルミニウム、ブリキ、トタン、軟鋼板、銅、真鍮、各種メッキ鋼板、チタンなどが挙げられる。化成処理、アルマイト処理などの表面処理を施した金属基材でも好適に使用できる。無機材料としては、ガラス、モルタル、スレート、コンクリート、瓦などが挙げられる。プラスチックとしては、表面処理を施したポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエステル、ゴム、エラストマーなどの成形品およびこれらをフィルム状に加工した製品などが挙げられる。複合材料としては、繊維強化熱硬化性プラスチック(FRP)、繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)、積層板、金属と有機物を圧着したサンドイッチ材、金属蒸着膜したプラスチックなどが挙げられる。
【0058】本発明のコーティング剤は、耐汚染性、はっ水性、非粘着性、滑り性などに優れており、、たとえば、油汚れ、空気中の埃や塵、排ガス、雨水に混入した汚れ、インキやトナーの付着汚れ、落書き、貼り紙などの各種汚染物質の防止;着雪、着氷、水中生物の付着防止に効果がある。具体的な用途としては、台所用レンジ周辺、収納扉、換気扇、照明カバーなどの油汚れ防止;コンクリート、タイルなどの外壁の汚れ防止;道路トンネルや高速道路防音壁などの排ガスによる汚れ防止;印刷機ロール、電子写真ロール、感光ドラムなどのインキやトナーの付着による汚れ防止;外壁、公衆電話ボックス、電柱、公衆トイレなどの落書き、貼り紙などの付着防止;屋根、電線などの着雪、着氷防止;一般船舶の船底に付着するフジツボなどの付着防止;などが挙げられる。
【0059】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的且つ詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0060】実施例1a)ポリオルガノシロキサンの調製{ 反応式(a)参照}:磁気攪拌子、冷却管、温度計を取り付けた500ミリリットルの三ツ口フラスコに、片末端SiH基をもつ数平均分子量10000のポリジメチルシロキサンを100g、片末端にアリル基をもつ数平均分子量400のポリオキシエチレン(日本油脂(株) 製”ユニオックス PKA−5002”)を6g、およびトルエン160gを仕込み、80℃に昇温した後、白金触媒のキシレン溶液65μlをいれ、80℃の温度を保持した状態で20時間反応させた。20時間経過後、反応液を冷却し、該反応液にメタノール140gを入れ、未反応のポリオキシエチレンを抽出した。なお、この抽出は2回繰りかえし行った。エバポレーターを用いて抽出後のトルエン層から溶媒と揮発分を減圧留去し、98gの褐色透明の液体生成物を得た。この生成物の数平均分子量(Mn)は9500、重量平均分子量(Mw)は11100であり、分散度(Mw/Mn)は1.17であった。該生成物は、IRおよび1H−NMRの分析によって、分子量10000のポリジメチルシロキサンセグメント、と分子量400のポリオキシエチレンセグメント、とから構成されるポリオルガノシロキサンであることが確認された。
【0061】b)ポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体の調製{反応式(b)参照}:磁気攪拌子、冷却管、温度計を取り付けた内容量300ミリリットルの四ツ口フラスコに、上記a)の方法で調製したポリオルガノシロキサン120g、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド7.4g、4−ジメチルアミノピリジン0.33g、2,6-ジ-tert-ブチル4-メチルフェノール0.24g、およびトルエン75gを入れた。該フラスコ内容物を撹拌しながら、メタクリル酸3.8gを該フラスコ中に滴下し、そのまま室温にて3時間撹拌した。3時間経過後、撹拌を停止し、メタノール10gをフラスコに投入した。該フラスコの内容物を再び撹拌し、酸無水物および未反応のN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドを酸エステルおよびジシクロヘキシル尿素に変換させることにより、固液混合物を得た。減圧濾過により、該混合物中の固形物を除去した後、得られたろ液からメタノール抽出(2回)で副生物および未反応物を除き、抽出残さのトルエン層をエバポレーターにより溶媒と揮発分を減圧留去した後ろ過することにより、111gの無色透明液体のポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体を得た。この無色透明液体の粘度は233cSt(25℃)、水分は140ppm、比重は0.978(d254)、 不飽和度は15900g/mol、数平均分子量(Mn)は12200、重量平均分子量(Mw)は13200であり、分散度(Mw/Mn)は1.08であった。得られた無色透明液体は、IRおよび1H−NMRから、分子量10000のポリジメチルシロキサンセグメント、と分子量400のポリオキシエチレンセグメント、を有し片末端がメタクリロキシ基で変性されたポリジメチルシロキサンであることが確認された。
【0062】c)シリコーン変性ビニル系樹脂の製造撹拌装置、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管を取り付けた500ミリリットルの四つ口フラスコに、イソプロパノール100gを仕込み、窒素雰囲気下で70℃に加熱、撹拌した。このイソプロパノールに、メタクリル酸メチル40g、メタクリル酸n−ブチル30g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル18g、アクリル酸n−ブチル5g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5g、メタクリル酸1gおよび上記(b)で得られたポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体1gの単量体混合物およびアゾビスイソブチロニトリル1gとを滴下槽から3時間かけて滴下した。さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを酢酸エチル20gに溶かした溶液を添加して同温度で3時間反応を続けた。得られた樹脂溶液にイソプロピルアルコール74gと酢酸エチル38gを加えて固形分濃度30重量%、OH価:24KOHmg/g、重量平均分子量68000のシリコーン変性ビニル系樹脂の溶液を得た。得られたシリコーン変性ビニル系樹脂の物性および該樹脂を用いたコーティング剤の評価を表1に示す。
【0063】実施例2a)ポリオルガノシロキサンの調製 {反応式(a)参照}:片末端にアリル基をもつ数平均分子量750のポリオキシエチレン(日本油脂(株) 製”ユニオックス PKA−5004”)を3.8g用いる以外は実施例1のa)に準じて行ない、分子量10000のポリジメチルシロキサンセグメント、と分子量750のポリオキシエチレンセグメント、とからなるポリオルガノシロキサンを得た。
b)ポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体の調製{反応式(b)参照}:上記実施例2のa)で得られたポリオルガノシロキサンを用いる以外は、実施例1のb)に準じて行い、重量平均分子量13200のポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体を得た。
c)シリコーン変性ビニル系樹脂の製造撹拌装置、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管を取り付けた500ミリリットルの四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール100gを仕込み、窒素雰囲気下で70℃に加熱、撹拌した。このイソプロパノールに、窒素雰囲気下でメタクリル酸メチル40g、メタクリル酸n−ブチル30g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル18g、アクリル酸n−ブチル5g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5g、メタクリル酸1gおよび上記b2)で得られたポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体1gの単量体混合物とアゾビスイソブチロニトリル1gとを滴下槽から3時間かけて滴下した。さらに、アゾビスイソブチロニトリル0.5gを酢酸エチル20gに溶かした溶液を添加して同温度で3時間反応を続けた。得られた樹脂溶液にイソプロピルアルコール74gと酢酸エチル38gを加えて固形分濃度30重量%、OH価:24KOHmg/g、重量平均分子量71000のシリコーン変性ビニル系樹脂の溶液を得た。得られたシリコーン変性ビニル系樹脂の物性および該樹脂を用いたコーティング剤の評価を表1に示す。
【0064】実施例3a)ポリオルガノシロキサンの調製{反応式(a)参照}:実施例1のa)に準じて行った。
b)ポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体の調製{反応式(b)参照}:メタクリル酸3.8gに代えてアクリル酸 gとする以外は、実施例1のb)に準じて行ない、重量平均分子量13300のポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体を得た。
c)シリコーン変性ビニル系樹脂の製造撹拌装置、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管を取り付けた500ミリリットルの四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール100gを仕込み、窒素雰囲気下で70℃に加熱、撹拌した。このイソプロパノールに、メタクリル酸メチル40g、メタクリル酸n−ブチル30g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル18g、アクリル酸n−ブチル5g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5g、メタクリル酸1gおよび上記実施例3のb)で得られたポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体1gの単量体混合物とアゾビスイソブチロニトリル1gとを滴下槽から3時間かけて滴下した。さらに、アゾビスイソブチロニトリル0.5gを酢酸エチル20gに溶かした溶液を添加して同温度で3時間反応を続けた。得られた樹脂溶液にイソプロピルアルコール74gと酢酸エチル38gを加えて固形分濃度30重量%、OH価:24KOHmg/g、重量平均分子量71000のシリコーン変性ビニル系樹脂の溶液を得た。得られたシリコーン変性ビニル系樹脂の物性および該樹脂を用いたコーティング剤の評価を表1に示す。
【0065】実施例4a)ポリオルガノシロキサンの調製{反応式(a)参照}:分子量5000のポリジメチルシロキサン gを用いる以外は実施のa)に準じて行ない、分子量5000のポリジメチルシロキサンセグメント、と分子量400のポリオキシエチレンセグメント、とからなるポリオルガノシロキサンを得た。
b)ポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体の調製{反応式(b)参照}::上記実施例4のa)で得られたポリオルガノシロキサン120g、メタクリル酸7.6g、ジシクロヘキシルカルボジイミド14.7g、4−ジメチルアモノピリジン0.65gを用いる以外は、実施例1のb)に準じて行い、重量平均分子量5400のポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体を得た。
c)シリコーン変性ビニル系樹脂の製造撹拌装置、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管を取り付けた500ミリリットルの四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール100gを仕込み、窒素雰囲気下で70℃に加熱、撹拌した。このイソプロパノールに、メタクリル酸メチル40g、メタクリル酸n−ブチル25g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル18g、アクリル酸n−ブチル5g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5g、、メタクリル酸1gおよび上記実施例4のb)で得られたポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体5gの単量体混合物とアゾビスイソブチロニトリル1gとを滴下槽から3時間かけて滴下した。さらに、アゾビスイソブチロニトリル0.5gを酢酸エチル20gに溶かした溶液を添加して同温度で3時間反応を続けた。得られた樹脂溶液にイソプロピルアルコール74gと酢酸エチル38gを加えて固形分濃度30重量%、OH価:24KOHmg/g、重量平均分子量115000のシリコーン変性ビニル系樹脂の溶液を得た。得られたシリコーン変性ビニル系樹脂の物性および該樹脂を用いたコーティング剤の評価を表1に示す。
【0066】比較例1b)重合性ポリオルガノシロキサンの調製:市販の重合性平均分子量:11000の片末端メタクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン{チッソ(株)製”FM−0725”}を用いた。
c)シリコーン変性ビニル系樹脂の製造撹拌装置、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管を取り付けた500ミリリットルの四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール100gを仕込み、窒素雰囲気下で70℃に加熱、撹拌した。このイソプロパノールに、メタクリル酸メチル40g、メタクリル酸n−ブチル30g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル18g、アクリル酸n−ブチル5g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5g、メタクリル酸1gおよび上記比較例1のb)の重合性リオルガノシロキサンで得られた片末端メタクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン1gの単量体混合物とアゾビスイソブチロニトリル1gとを滴下槽から3時間かけて滴下した。さらに、アゾビスイソブチロニトリル0.5gを酢酸エチル20gに溶かした溶液を添加して同温度で3時間反応を続けた。得られた樹脂溶液にイソプロピルアルコール74gと酢酸エチル38gを加えて固形分濃度30重量%、OH価:24KOHmg/g、重量平均分子量69000のシリコーン変性ビニル系樹脂の溶液を得た。得られたシリコーン変性ビニル系樹脂の物性および該樹脂を用いたコーティング剤の評価を表1に示す。
【0067】比較例2b)重合性ポリオルガノシロキサンの調製:市販の重量平均分子量:6000の片末端メタクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン{チッソ(株)製FN−0721}を用いた。。
c)シリコーン変性ビニル系樹脂の製造撹拌装置、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管を取り付けた500ミリリットルの四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール100gを仕込み、窒素雰囲気下で70℃に加熱、撹拌した。このイソプロパノールに、メタクリル酸メチル40g、メタクリル酸n−ブチル25g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル18g、アクリル酸n−ブチル5g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5g、メタクリル酸1g、比較例示2のb)の重合性ポリオルガノシロキサン(重量平均分子量:6000)5gの単量体混合物とアゾビスイソブチロニトリル1gとを滴下槽から3時間かけて滴下した。さらに、アゾビスイソブチロニトリル0.5gを酢酸エチル20gに溶かした溶液を添加して同温度で3時間反応を続けた。得られた樹脂溶液にイソプロピルアルコール74gと酢酸エチル38gを加えて固形分濃度30重量%、OH価:24KOHmg/g、重量平均分子量66000のシリコーン変性ビニル系樹脂の溶液を得た。得られたシリコーン変性ビニル系樹脂の物性および該樹脂を用いたコーティング剤の評価を表1に示す。
【0068】実施例および比較例で得られたシリコーン変性ビニル系樹脂の溶液の物性はつぎの方法で測定した。
(1)樹脂溶液の濁度の測定内径35×10×43mmの石英製セルにシリコーン変性ビニル系樹脂の溶液を下記のように濃度、溶媒を変えて(測定1〜3)日本電色工業(株)製の濁度計NDH−300Aにセットして濁度を測定した。濁度の数値が小さい程、透明性が高い。
測定1固形分濃度30重量%のシリコーン変性ビニル系樹脂の溶液をそのまま測定した。
測定2固形分濃度30重量%のシリコーン変性ビニル系樹脂の溶液100gに対してイソプロピルアルコール37.5gと酢酸エチル12.5gの混合溶媒を添加してよく攪拌した溶液を用いて測定した。(固形分濃度20重量%)測定3固形分濃度30重量%のシリコーン変性ビニル系樹脂の溶液100gに対してトルエン50gを添加してよく攪拌した溶液を用いて測定した。(固形分濃度20重量%)
【0069】(2)シリコーン変性ビニル系樹脂を含有したコーティング剤の評価実施例1〜4、および比較例1〜2のシリコーン変性ビニル系樹脂(固形分濃度30重量%)の溶液100gに対してポリイソシアネート化合物{武田薬品工業(株)製の”タケネート(商標)D−140N”(NCO含有量11%)}の16.3g、希釈溶媒として酢酸エチルの44.4gを攪拌混合して、シリコーン変性ビニル系樹脂を含有するコーティング剤(NCO/OH=1/1)を得た。このコーティング剤をバーコータによりアルミニウム板(JIS H 40000.5×70×150mm)に塗布し、熱風乾燥炉の120℃で30分間、加熱、硬化させ、乾燥膜厚10μmの塗装アルミ板を得た。このようにして得られた塗装アルミ板を下記の特性を測定した。
【0070】耐汚染性塗装アルミ板に事務用の赤色、青色、黒色の3種の油性マジックペンで文字を書き、10分間放置した後に、ティシュペーパーで拭き取った。印字の際のマジックインキのはじき方およびマジックインキの拭き取れ方を目視にて観察しつぎの基準で評価した。
○:マジックインキがはじかれ、印字部を容易に拭き取ることができ、表面にマジックインキの跡が残らない。
×:マジックインキのはじきがなく、印字部を拭き取ることができず、表面にマジックインキの跡が残る。
接触角塗装アルミ板に水滴を接触させて接触角計(協和界面化学(株)製CA−DT型)により水の接触角を測定した。
非粘着性塗装アルミ板の塗膜に貼り付けたセロハンテープの剥がし易さをつぎの基準で判定した。
○:セロハンテープを剥がす時に抵抗がなく、容易に剥がす事ができる。
×:セロハンテープを剥がす時に抵抗があり、剥がしにくい。
耐衝撃性デュポン式衝撃試験機(テスター産業(株)製)を用いて1/4Rの打ち型と受け型の間に塗装アルミ板を挟み込み、高さを変えて300gの重りを落下させた後に変形部の塗膜をセロハンテープを用いて剥離した。塗膜に剥がれが生じない高さの最高値で評価した。
【0071】
【表1】


*1 実施例はポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体比較例は 市販重合性ポリオルガノシロキサン*2 シリコーン変性ビニル系樹脂
【0072】
【発明の効果】本発明のシリコーン変性ビニル系樹脂および本発明の製造方法で得られる樹脂は、側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン鎖を有する新規なビニル共重合体からなり、透明な樹脂溶液とすることができるのが特徴である。本発明のコーティング剤は、このシリコーン変性ビニル系樹脂を主成分とするものであり、この樹脂を構成するビニル共重合体の特徴ある側鎖の効果により、コーティング膜に耐汚染性、はっ水性、非粘着性、離型性、柔軟性などが付与される。たとえば、本発明のコーティング剤は、各種物品に塗布することにより、油汚れ、空気中の埃や塵、排ガス、雨水に混入した汚れ、インキやトナーの付着汚れ、落書き、貼り紙などの各種汚染に対する防止;着雪、着氷、水中生物の付着防止などの幅広い用途に対応することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ビニル系共重合体からなるシリコーン変性ビニル系樹脂において、一般式(A)
【化1】


(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基および炭素数6〜10のアリール基であり;R6は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または水素原子であり;nは1以上の整数であり;mは0もしくは1以上の整数であり;Xは炭素数が2〜20のアルキレン基であり;Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−または−OCH2CH(CH3)−であり;pは3以上の整数である)で示される構造単位を0.0001〜5モル%含有し、かつ重量平均分子量が5000〜200000であるビニル系共重合体からなることを特徴とするシリコーン変性ビニル系樹脂。
【請求項2】 一般式(1)
【化2】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、n、m、X、Yおよびpは前記と同じ。)で示されるポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体0.1〜20重量%およびビニル系化合物単量体80〜99.9重量%(合計100重量%)を溶媒中で重合することにより重量平均分子量5000〜200000のビニル系共重合体を得ることを特徴とするシリコーン変性ビニル系樹脂の製造方法。
【請求項3】 前記一般式(1)に示されるポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサン単量体を0.1〜20重量%、加水分解性シリル基を有するビニル系化合物単量体を1〜30重量%、水酸基を有するビニル系化合物単量体を5〜45重量%およびそれ以外のビニル系化合物単量体を5〜93.9重量%(合計100重量%)を、アルコールを含む溶媒中でラジカル共重合することにより重量平均分子量5000〜200000のビニル系共重合体を得ることを特徴とするシリコーン変性ビニル系樹脂の製造方法。
【請求項4】 請求項1に記載のシリコーン変性ビニル系樹脂および硬化剤を含有するコーティング剤。
【請求項5】 請求項2もしくは請求項3のいずれか1項に記載の製造方法で得られたシリコーン変性ビニル系樹脂および硬化剤を含有するコーティング剤。
【請求項6】 硬化剤がイソシアネート化合物およびメラミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項4もしくは請求項5のいずれか1項に記載のコーティング剤。

【公開番号】特開2001−98040(P2001−98040A)
【公開日】平成13年4月10日(2001.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−280371
【出願日】平成11年9月30日(1999.9.30)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】