説明

シリコーン微粒子及びその製造方法

【解決手段】水にオルガノトリアルコキシシランを添加して加水分解反応させ、次いで体積平均粒径が0.5〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子、アニオン性界面活性剤及びアルカリ性物質を添加し、静置状態で加水分解したオルガノトリアルコキシシランを縮合させることにより、前記シリコーンエラストマー球状微粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサンを付着することを特徴とする、シリコーンエラストマー球状微粒子の表面に大きさが200〜2,000nmでかつシリコーンエラストマー球状微粒子より小さい粒状のポリオルガノシルセスキオキサンが付着したシリコーン微粒子の製造方法。
【効果】本発明のシリコーン微粒子は、ファンデーション等のメークアップ化粧料に配合することにより、柔らかな感触、さらさら感、なめらかさ等の使用感及び伸展性を付与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンエラストマー球状微粒子に200〜2,000nmの大きさのポリオルガノシルセスキオキサンを付着したシリコーン微粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン微粒子については、ゴム弾性を有する微粒子(シリコーンエラストマー微粒子)やポリオルガノシルセスキオキサン樹脂の微粒子が挙げられ、従来より、化粧料にさらさら感、なめらかさ等の使用感及び伸展性を付与する目的で用いられている。特に、本発明者らが提案した特開平07−196815号公報(特許文献1)におけるシリコーンゴム球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサンを被覆してなるシリコーン微粒子は、柔らかい感触を有し、かつ凝集性がなく分散性に優れることから、多くの化粧料に使用されている。
【0003】
前記の特開平07−196815号公報には、シリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液に、アルカリ性物質又はアルカリ性水溶液とオルガノトリアルコキシシランを添加し、加水分解・縮合反応させる方法を提案している。この方法によって得られるシリコーンエラストマー球状微粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した微粒子は、シリコーンエラストマー球状微粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサンが粒状に付着しており、その粒の大きさはおよそ100nmとなる。被覆している粒状のポリオルガノシルセスキオキサンが光を散乱させるため、ファンデーション等のメークアップ化粧料においては、不自然な光沢(つや)がない自然な仕上がりとなる効果も付与することができる。近年、この人工的でない自然な仕上り感(素肌感)が重視されてきており、より高い光散乱性が求められている。
【0004】
特許第3452562号公報(特許文献2)には、粒子表面に突起物を持つコンペイ糖状の球状ポリオルガノシルセスキオキサン微粒子の製造方法が提案されており、更に特開2004−359592号公報(特許文献3)には、それを配合した化粧料が提案されており、粒子表面の突起物が、光学特性を飛躍的に向上させ、肌の毛穴、しわ等を見え難くする効果に優れるとしている。具体的に、粒子表面の突起物の直径が400nm、600nm、800nmの粒子が記載されており、その直径が光の波長(可視光線でおおよそ400〜800nm)より小さくないため光散乱性が高いと推測される。しかしながら、ポリオルガノシルセスキオキサン微粒子は、レジン質の硬い材質であり、柔らかな感触を付与することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−196815号公報
【特許文献2】特許第3452562号公報
【特許文献3】特開2004−359592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、化粧料において、高い光散乱性の付与が期待できる、柔らかな感触を持つシリコーン微粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、下記のシリコーン微粒子及びその製造方法により上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明は第一に、体積平均粒径が0.5〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子100質量部と、その表面に付着したポリオルガノシルセスキオキサン1〜100質量部とを有してなり、前記ポリオルガノシルセスキオキサンは粒状でその粒の大きさが200〜2,000nmでかつシリコーンエラストマー球状微粒子より小さい、シリコーン微粒子を提供する。
本発明は第二に、水にオルガノトリアルコキシシランを添加して加水分解反応させ、次いで体積平均粒径が0.5〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子、アニオン性界面活性剤及びアルカリ性物質を添加し、静置状態で加水分解したオルガノトリアルコキシシランを縮合させることにより、前記シリコーンエラストマー球状微粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサンを付着することを特徴とするシリコーンエラストマー球状微粒子の表面に大きさが200〜2,000nmでかつシリコーンエラストマー球状微粒子より小さい粒状のポリオルガノシルセスキオキサンが付着したシリコーン微粒子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシリコーン微粒子は、ファンデーション等のメークアップ化粧料に配合することにより、柔らかな感触、さらさら感、なめらかさ等の使用感及び伸展性を付与することができる。それに加えて、シリコーンエラストマー球状微粒子の表面に付着している粒状のポリオルガノシルセスキオキサンの粒径が大きいため、高い光散乱性能が期待でき、肌のシワ、毛穴、キメの荒さ等の形態トラブルや肌のシミ、ソバカス等の色調トラブルを隠し、また、自然な仕上り感となることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1のシリコーン微粒子の顕微鏡写真である。
【図2】実施例2のシリコーン微粒子の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明について更に詳しく説明する。
[シリコーン微粒子]
本発明のシリコーン微粒子は、シリコーンエラストマー球状微粒子と、その表面に付着した、粒状で大きさが200〜2,000nmであり、かつ前記シリコーンエラストマー球状微粒子より小さいポリオルガノシルセスキオキサンとを有してなるものであり、ポリオルガノシルセスキオキサンの量はシリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し1〜100質量部、好ましくは5〜70質量部である。ポリオルガノシルセスキオキサンが1質量部未満であると、光散乱性能が低下し、またさらさら感が乏しくなり、100質量部より多いと柔らかな感触が乏しくなる。
【0012】
(シリコーンエラストマー球状微粒子)
本発明のシリコーン微粒子においてポリオルガノシルセスキオキサンが表面に付着しているシリコーンエラストマー球状微粒子は、体積平均粒径が0.5〜100μm、好ましくは1〜40μmである。該体積平均粒径が0.5μm未満であると、得られるシリコーン微粒子は、凝集性が高く、一次粒子にまで容易に分散しないし、また、さらさら感が低下する。該体積平均粒径が100μmより大きいと、得られるシリコーン微粒子は、さらさら感、なめらかさが低下し、またざらつき感が出る場合がある。なお、平均粒径は、粒径に合わせ、1μm以上は電気抵抗法にて、1μm未満はレーザー回折/散乱法にて測定される。また、本明細書において、「球状」とは、微粒子の形状が、真球であるだけでなく、最長軸の長さ/最短軸の長さ(アスペクト比)が平均して、通常、1〜4、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.6、更により好ましくは1〜1.4の範囲にある変形した球でもあることを意味する。微粒子の形状は該微粒子を光学顕微鏡や電子顕微鏡にて観察することにより確認することができる。
【0013】
シリコーンエラストマー球状微粒子を構成するシリコーンエラストマーは、べたつきがないことが好ましく、そのゴム硬度は、JIS K 6253に規定されているタイプAデュロメータによる測定で、5〜90の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜80の範囲である。ゴム硬度が5未満であると、得られるシリコーン微粒子は、凝集性が高く一次粒子にまで容易に分散しなくなるし、また、さらさら感が低下し、90を超えると、柔らかな感触が乏しくなる。
【0014】
前記シリコーンエラストマーは、式−(R12SiO2/2n−で示される線状オルガノシロキサンブロックを有する硬化物である。ここで、式中のR1は、非置換もしくは置換の炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、nは、5〜5,000の正数である。
【0015】
1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘニコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラシル基、トリアコチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。
【0016】
前記シリコーンエラストマーは、硬化性液状シリコーン組成物から得られるものであるが、その硬化は、メトキシシリル基(≡SiOCH3)とヒドロキシシリル基(≡SiOH)などとの縮合反応、メルカプトプロピルシリル基(≡Si−C36SH)とビニルシリル基(≡SiCH=CH2)とのラジカル反応、ビニルシリル基(≡SiCH=CH2)とヒドロシリル基(≡SiH)との付加反応によるものなどが例示されるが、反応性の点から、付加反応によるものとすることが好ましい。
【0017】
付加反応による硬化でシリコーンエラストマーとする場合、平均式R2a3bSiO(4-a-b)/2で示される一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと平均式R4cdSiO(4-c-d)/2で示される一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとからなる組み合わせ、又は、平均式R2a3bSiO(4-a-b)/2で示される一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも3個有するオルガノポリシロキサンと平均式R4cdSiO(4-c-d)/2で示される一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとからなる組み合わせのいずれか一方において、1価オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンが、1価オレフィン性不飽和基1個に対しヒドロシリル基が0.5〜2個となるような比率で配合された液状シリコーン組成物を白金族金属系触媒の存在下において付加反応させればよい。
【0018】
ここで、式中のR2は、脂肪族不飽和基を除く、非置換もしくは置換の炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、R3は炭素数2〜6のアルケニル基等の1価オレフィン性不飽和基である。a、bは、0<a<3、0<b≦3、0.1≦a+b≦3で示される正数であり、好ましくは0<a≦2.295、0.005≦b≦2.3、0.5≦a+b≦2.3である。R4は脂肪族不飽和基を除く非置換又は置換の炭素数1〜30の1価の炭化水素基である。c、dは0<c<3、0<d≦3、0.1≦c+d≦3で示される正数であり、好ましくは0<c≦2.295、0.005≦d≦2.3、0.5≦c+d≦2.3である。
【0019】
2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘニコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラシル基、トリアコチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられるが、工業的には全R2基中の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0020】
3としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられるが、工業的にはビニル基であることが好ましい。
4としては、R2と同じものが例示される。
【0021】
このオレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度は、100,000mm2/sを超えると、後記の製造方法において、分布の狭い粒子を得ることができなくなることから、100,000mm2/s以下が好ましく、より好ましくは10,000mm2/s以下である。また、オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの構造としては、直鎖状、環状、分岐状のいずれであってもよいが、特に直鎖状が好ましい。なお、この粘度は、オストワルド粘度計による測定値である。
【0022】
前記したように、オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンは一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも2個有し、オルガノハイドロジェンポリシロキサンはケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有する組み合わせとするか、又は、オレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンは一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも3個有し、オルガノハイドロジェンポリシロキサンはケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する組み合わせとすることが必要である。ポリシロキサンの構造及び組み合わせをそのようにしないと、得られるエラストマー硬化物はべたつきのあるものとなる。
【0023】
前記の白金族金属系触媒としては、ヒドロシリル化反応に用いられる周知の触媒が挙げられ、その具体例としては、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・kH2O、H2PtCl6・kH2O、NaHPtCl6・kH2O、KHPtCl6・kH2O、Na2PtCl6・kH2O、K2PtCl4・kH2O、PtCl4・kH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・kH2O(但し、式中、kは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックスなどが挙げられる。
【0024】
白金族金属系触媒の配合量はヒドロシリル化反応触媒としての有効量でよく、液状シリコーン組成物の合計量に対する触媒中の白金族金属の量が質量換算で、通常、0.1〜500ppm程度、好ましくは0.5〜200ppm程度、更に好ましくは1〜100ppm程度となる量である。
【0025】
本発明のシリコーンエラストマー球状微粒子は、その粒子中に、シリコーンオイル、オルガノシラン、無機系粉末、有機系粉末などを含有していてもよい。
【0026】
本発明のシリコーンエラストマー球状微粒子は、公知の方法によって水分散液の形で製造することができる。例えば、付加反応による硬化でシリコーンエラストマーとする場合、前記したオレフィン性不飽和基を有するオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなる液状シリコーン組成物に界面活性剤と水を添加し、乳化を行い、エマルジョンとした後に白金族金属系触媒を添加して付加反応を行う方法が挙げられる。
【0027】
ここでの界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又は両イオン性界面活性剤である。カチオン界面活性剤では、後記するポリオルガノシルセスキオキサンを被覆する工程で使用するアニオン性界面活性剤の作用を抑制し、またアニオン性界面活性剤が混合された際にシリコーンエラストマー球状微粒子の分散性が損なわれ凝集を起こしてしまう場合もある。
【0028】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、N−アシルタウリン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、アルケニルコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。両イオン性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルジメチルカルボキシベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルカルボキシベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0029】
これらの界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができるが、少量で前記の液状シリコーン組成物を乳化することができ、微細な粒子とすることができるノニオン性界面活性剤が好ましい。界面活性剤が多いと、後記の製造方法によってシリコーンエラストマー球状微粒子表面にポリオルガノシルセスキオキサンを付着することが困難となる。界面活性剤の使用量は、液状シリコーン組成物100質量部に対して20質量部以下であることが好ましい。また、0.01質量部未満では微細な粒子とすることが困難となるので、0.01〜20質量部の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜5質量部である。
【0030】
乳化を行うには、一般的な乳化分散機を用いればよく、ホモディスパー等の高速回転遠心放射型撹拌機、ホモミキサー等の高速回転剪断型撹拌機、ホモジナイザー等の高圧噴射式乳化分散機、コロイドミル、超音波乳化機等が挙げられる。
【0031】
白金族金属系触媒が水に対する分散性が悪い場合には、界面活性剤に溶解した状態でエマルジョンに添加することが好ましい。界面活性剤としては、前記のものが挙げられ、特にノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0032】
付加反応は、室温で行ってもよいが、反応が完結しない場合には、100℃未満の加熱下で行ってもよい。
【0033】
(ポリオルガノシルセスキオキサン)
本発明のシリコーン微粒子において、シリコーンエラストマー球状微粒子表面に付着しているポリオルガノシルセスキオキサンは、粒状の形状であり、その粒の径は200〜2,000nm以上であり、かつ、シリコーンエラストマー球状微粒子より小さいことが必要である。好ましくは300〜1,000nmである。ポリオルガノシルセスキオキサンの粒が200nmより小さかったり、2,000nmより大きかったりすると光散乱性が低下し、シリコーンエラストマー球状微粒子より大きいと柔らかな感触が乏しくなる。ポリオルガノシルセスキオキサンは、シリコーンエラストマー球状微粒子表面にまばらに付着していてもよいし、表面を隙間なく付着していてもよい。その形状は、特に限定されないが、ほぼ球状もしくは半球状が好ましい。ポリオルガノシルセスキオキサンの径や形及び付着量は該微粒子を電子顕微鏡にて観察することにより確認することができる。
【0034】
ポリオルガノシルセスキオキサンは、式R5SiO3/2で示される単位が三次元網目状に架橋したレジン状固体物である。本発明においては、式中のR5は、非置換もしくは置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。R5としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアミノ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、メルカプト基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。後記の方法によってポリオルガノシルセスキオキサンを被覆するには、このR5は50モル%以上がメチル基、ビニル基、又はフェニル基であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上である。
【0035】
ポリオルガノシルセスキオキサンは、得られるシリコーン微粒子の非凝集性、分散性等の特性やさらさら感、なめらかさ等の使用感、柔らかい感触を損なわない範囲で、R5SiO3/2単位の他に、R52SiO2/2単位、R53SiO1/2単位及びSiO4/2単位の少なくとも1種を含んでいてもよい。このようなポリオルガノシルセスキオキサンにおいて、R5SiO3/2単位の含有率は、全シロキサン単位中、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%である。
【0036】
[製造方法]
本発明のシリコーン微粒子は、水にオルガノトリアルコキシシランを添加して加水分解反応させ、次いで体積平均粒径が0.5〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子、アニオン性界面活性剤及びアルカリ性物質を添加し、静置状態で加水分解したオルガノトリアルコキシシランを縮合させて、前記シリコーンエラストマー球状微粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサンに付着することによって得られる。
【0037】
特開平07−196815号公報のように、水、シリコーンエラストマー球状微粒子及びアルカリ性物質に、撹拌下、オルガノトリアルコキシシランを添加して加水分解・縮合反応させるという手順では、アニオン性界面活性剤を使用しても、本発明の大きさが200〜2,000nmのポリオルガノシルセスキオキサン粒子がシリコーンエラストマー球状微粒子が付着したシリコーン微粒子を得ることは困難である。
【0038】
(オルガノトリアルコキシシラン)
オルガノトリアルコキシシランとしては、例えば、式:R5Si(OR63で表されるものが挙げられる。式中、R5は前記のとおりであり、R6は非置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。R6としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられるが、反応性の点からメチル基であることが好ましい。ポリオルガノシルセスキオキサン中にR52SiO2/2単位、R53SiO1/2単位及びSiO4/2単位の少なくとも1種を更に導入したい場合には、それぞれに対応するR52Si(OR62、R53SiOR6及びSi(OR64の少なくとも1種を添加すればよい(これらの式で、R5及びR6は前記のとおりである)。ポリオルガノシルセスキオキサンの原料としてR5Si(OR63とR52Si(OR62、R53SiOR6及びSi(OR64の少なくとも1種とを用いる場合、R5Si(OR63の含有率は、全原料中、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%である。
【0039】
オルガノトリアルコキシシランの添加量は、前記したシリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対しポリオルガノシルセスキオキサンの量が1〜100質量部、好ましくは5〜70質量部の範囲になるような量とする。
【0040】
まず、水にオルガノトリアルコキシシランを添加し、オルガノトリアルコキシシランの加水分解反応を、プロペラ翼、平板翼などの通常の撹拌機を用いて撹拌下で行う。水の量は、少なくとも、オルガノアルコキシシラン中のアルコキシ基と同モル以上必要である。その上限は特に制限されないが、10,000倍質量である。オルガノトリアルコキシシランは、一度に添加してもよいが、時間をかけて徐々に添加してもよい。また、逆にオルガノトリアルコキシシランに水を添加してもよいし、槽に同時に添加混合してもよい。このときの温度は限定されず、0〜100℃の範囲で行えばよい。加水分解反応を促進させるために、少量の酸を添加してもよい。
【0041】
(シリコーンエラストマー球状微粒子)
シリコーンエラストマー球状微粒子は、体積平均粒径が0.5〜100μmのものとし、前記の水分散液の形で製造されたものを使用することが好ましい。
【0042】
シリコーンエラストマー球状微粒子は、前記のオルガノトリアルコキシシランの加水分解反応後にその水溶液と混合する。加水分解反応前に配合しておくと、オルガノトリアルコキシシランがシリコーンエラストマー球状微粒子中に吸収され、ポリオルガノシルセスキオキサンがシリコーンエラストマー球状微粒子表面に付着できなくなる。
【0043】
なお、シリコーンエラストマー球状微粒子は、後記のアルカリ添加時においての水100質量部に対し1〜40質量部となる量が好ましく、より好ましくは3〜20質量部の範囲である。1質量部未満では目的とするシリコーン微粒子の生成効率が低くなるし、40質量部より多くするとシリコーンエラストマー球状微粒子表面にポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を付着させることが困難となる。ここで、水に対するシリコーンエラストマー球状微粒子が多い場合には、水を追加添加すればよい。
【0044】
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤は、シリコーンエラストマー球状微粒子表面にポリオルガノシルセスキオキサンを付着させ、また、その径を大きくする作用がある。アニオン性界面活性剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。アニオン性界面活性剤の添加量は、後記のアルカリ添加時においての水100質量部に対し、0.001〜1質量部が好ましく、より好ましくは、0.01〜0.5質量部の範囲である。0.001質量部未満ではポリオルガノシルセスキオキサンの径が大きくならず、1質量部より多いとシリコーンエラストマー球状微粒子表面にポリオルガノシルセスキオキサンが付着されなくなる。
【0045】
アニオン性界面活性剤は、特に限定されず前記と同じものが例示されるが、好ましくは、N−アシルタウリン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩である。
【0046】
アニオン性界面活性剤は、後記のアルカリ性物質を添加する前に配合し、水に溶解させておく。すなわち、前記のオルガノトリアルコキシシランと混合する水に溶解させておいてもよいし、前記のシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液に溶解させておいてもよいし、オルガノトリアルコキシシランの加水分解反応後の水溶液にシリコーンエラストマー球状微粒子を配合した後に添加、溶解させてもよい。
【0047】
(アルカリ性物質)
アルカリ性物質は加水分解したオルガノトリアルコキシシランの縮合反応触媒として作用し、それによりポリオルガノシルセスキオキサンが生成する。アルカリ性物質は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。アルカリ性物質はそのまま添加してもよいが、後記のようにすばやく水に均一に溶解させる必要があるので、水溶液として添加することが好ましい。アルカリ性物質の添加量は、アルカリ性物質添加時に配合されている水(水溶液として添加する場合には、その水も含む)のpHが好ましくは9.0〜12.0、より好ましくは9.5〜11.5の範囲となる量である。該pHが9.0より低いアルカリ量ではオルガノトリアルコキシシランの縮合反応の進行が極めて遅くなり、12.0より高いアルカリ量ではシリコーンエラストマー球状微粒子表面にポリオルガノシルセスキオキサンが付着しなくなったり、ポリオルガノシルセスキオキサンの径を大きくすることが困難となる。
【0048】
アルカリ性物質は特に限定されず、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;アンモニア;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド;又はモノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンなどのアミン類等を使用することができる。なかでも、揮発させることにより、得られるシリコーン微粒子の粉末から容易に除去できることから、アンモニアが最も適している。アンモニアとしては、市販されているアンモニア水溶液を用いることができる。
【0049】
アルカリ性物質は、水、オルガノトリアルコキシシランの加水分解物、シリコーンエラストマー球状微粒子及びアニオン性界面活性剤を含んだ液に、プロペラ翼、平板翼などの通常の撹拌機を用いて撹拌下に添加する。アルカリ性物質添加後、オルガノトリアルコキシシランの加水分解物の縮合反応が進行し、ポリオルガノシルセスキオキサンが生成するが、ポリオルガノシルセスキオキサンが生成する前に撹拌を停止する必要がある。ポリオルガノシルセスキオキサン生成時に液が高速で流動していると、ポリオルガノシルセスキオキサンがシリコーンエラストマー球状微粒子表面にうまく付着しない。アルカリ性物質添加後の撹拌は、水にアルカリ性物質が均一に溶解する時間行えればよい。ポリオルガノシルセスキオキサンがシリコーンエラストマー球状微粒子表面に十分付着する非常にゆっくりな撹拌であれば、撹拌を継続しても構わない。また、このときの温度は0〜60℃であることが好ましく、より好ましくは0〜40℃の範囲である。該温度が60℃以上であると、シリコーンエラストマー球状微粒子表面に付着する粒状のポリオルガノシルセスキオキサンの径を大きくすることが困難となる。
【0050】
ポリオルガノシルセスキオキサンが生成(ポリオルガノシルセスキオキサンがシリコーンエラストマー球状微粒子表面に付着)するまで静置しておく。なお、静置時間は10分〜24時間の範囲が好ましい。その後、縮合反応を完結させるために、アルカリ性物質を追加したり、40〜100℃で加熱してもよく、更に撹拌することもできる。
【0051】
(粉末化)
縮合反応後、得られた水分散液から水分を除去することによって本発明のシリコーン微粒子を得ることができる。水分の除去は、例えば、反応後の水分散液を常圧下又は減圧下に加熱することにより行うことができ、具体的には、分散液を加熱下で静置して水分を除去する方法、分散液を加熱下で撹拌流動させながら水分を除去する方法、スプレードライヤーのように熱風気流中に分散液を噴霧、分散させる方法、流動熱媒体を利用する方法等が挙げられる。なお、この操作の前処理として、加熱脱水、濾過分離、遠心分離、デカンテーション等の方法で分散液を濃縮してもよいし、必要ならば分散液を水やアルコールで洗浄してもよい。
【0052】
反応後の水分散液から水分を除去することにより得られた生成物が凝集している場合には、ジェットミル、ボールミル、ハンマーミル等の粉砕機で解砕すればよい。
【実施例】
【0053】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中、粘度は25℃においてオストワルド粘度計により測定した動粘度の値であり、濃度及び含有率を表す「%」は「質量%」を示す。
【0054】
〔実施例1〕
下記式(1)で示される、粘度が600mm2/sのメチルビニルポリシロキサン500gと下記式(2)で示される、粘度が30mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン20g(オレフィン性不飽和基1個に対しヒドロシリル基が1.11個となる配合量)を容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解させた。次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)3gと水60gを加え、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型となり、増粘が認められ、更に、15分間撹拌を継続した。次いで、2,000rpmで撹拌しながら、水415gを加えたところ、均一な白色エマルジョンが得られた。このエマルジョンを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量1リットルのガラスフラスコに移し、15〜20℃に温調した後、撹拌下に塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5%)1gとポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)1gの混合溶解物を添加し、同温度で12時間撹拌し、シリコーンエラストマー微粒子の水分散液を得た。
【0055】
得られた水分散液中のシリコーンエラストマー微粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状であり、体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、5μmであった。
【0056】
また、シリコーンエラストマー微粒子を構成するシリコーンエラストマーの硬度を以下のように測定した。下記式(1)で示されるメチルビニルポリシロキサン、下記式(2)で示されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、及び塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5%)を前記の配合割合で混合し、厚みが10mmになるようアルミシャーレに流し込んだ。25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、べたつきのないシリコーンエラストマーを得た。シリコーンエラストマーの硬度を、デュロメータA硬度計で測定したところ、29であった。
【0057】
pH=5.8のイオン交換水2,599gを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量3リットルのガラスフラスコに仕込み、8〜12℃に温調した後、撹拌下、メチルトリメトキシシラン104g(後記のシリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し、加水分解・縮合反応後のポリメチルシルセスキオキサンが43質量部となる量)を投入した。投入後は液が濁っていたが、約10分で液は透明になり加水分解反応が進行していることが確認された。更に1時間撹拌を行った後、上記で得られたシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液231gとアニオン性界面活性剤N−ミリストイルサルコシン酸ナトリウム2.7g(後記のアルカリ添加した時点においての水100質量部に対し、0.1質量部となる量)を投入し、8〜12℃に温調した。次いで、28%アンモニア水3.3gを投入し、1分間撹拌した後、撹拌を停止した。3時間後撹拌を開始し、28%アンモニア水60gを投入し、55〜60℃まで加熱し、その温度を保ったまま1時間撹拌を行い、縮合反応を完結させた。なお、上記28%アンモニア水60gを投入した際の配合されている水のpHは、前記の配合した水2,599g及びシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液中の水[水の合計2,709g]に28%アンモニア水60gを混合した混合水のpHをpHメーターで測定することによって行った結果、pHは10.8であった。
【0058】
得られたシリコーン微粒子の水分散液を加圧ろ過器を用いて水分約30%に脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3,000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を再度錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3,000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量3リットルのガラスフラスコに移し、窒素通気をしながら120℃のオイルバスで加熱し、水分を除去し、シリコーン微粒子を得た。
【0059】
得られたシリコーン微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は5μmであった。
また、得られたシリコーン微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、シリコーンエラストマー球状微粒子表面に800nmの半球形状のポリメチルシルセスキオキサンがまばらに付着した微粒子となっていることが確認された。電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0060】
【化1】

【0061】
〔実施例2〕
実施例1において、アニオン性界面活性剤N−ミリストイルサルコシン酸ナトリウム2.7gの代わりに、アニオン性界面活性剤N−ミリストイルサルコシン酸ナトリウム0.6gとアニオン性界面活性剤ラウリルリン酸ナトリウム2.1g(後記のアルカリ添加した時点においての水100質量部に対し、N−ミリストイルサルコシン酸ナトリウムとラウリルリン酸ナトリウムの合計が0.1質量部となる量)を用いた他は、実施例1と同様にしてシリコーン微粒子を得た。
【0062】
得られたシリコーン微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は6μmであった。
また、得られたシリコーン微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、シリコーンエラストマー球状微粒子表面に400〜500nmの球状形状のポリメチルシルセスキオキサンと900nmの半球形状のポリメチルシルセスキオキサンが高密度に付着した微粒子となっていることが確認された。電子顕微鏡写真を図2に示す。
【0063】
〔実施例3〕
実施例1において、アニオン性界面活性剤N−ミリストイルサルコシン酸ナトリウム2.7gの代わりに、30%アニオン性界面活性剤N−ラウロイルメチルアラニンナトリウム水溶液9g(後記のアルカリ添加した時点においての水100質量部に対し、N−ラウロイルメチルアラニンナトリウムが0.1質量部となる量)を用いた他は、実施例1と同様にしてシリコーン微粒子を得た。
【0064】
得られたシリコーン微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は5μmであった。
また、得られたシリコーン微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、シリコーンエラストマー球状微粒子表面に700nmの半球形状のポリメチルシルセスキオキサンがまばらに付着した微粒子となっていることが確認された。
【0065】
〔実施例4〕
実施例1において、アニオン性界面活性剤N−ミリストイルサルコシン酸ナトリウム2.7gの代わりに、アニオン性界面活性剤N−ラウロイルメチルタウリンナトリウム2.7g(後記のアルカリ添加した時点においての水100質量部に対し、0.1質量部となる量)を用いた他は、実施例1と同様にしてシリコーン微粒子を得た。
【0066】
得られたシリコーン微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は5μmであった。
また、得られたシリコーン微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、シリコーンエラストマー球状微粒子表面に700nmの半球形状のポリメチルシルセスキオキサンがまばらに付着した微粒子となっていることが確認された。
【0067】
〔実施例5〕
pH=5.8のイオン交換水2,164gを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量3リットルのガラスフラスコに仕込み、8〜12℃に温調した後、撹拌下、メチルトリメトキシシラン81g(後記のシリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し、加水分解・縮合反応後のポリメチルシルセスキオキサンが11質量部となる量)を投入した。投入後は液が濁っていたが、約10分で液は透明になり加水分解反応が進行していることが確認された。更に1時間撹拌を行った後、実施例1と同様にして得られたシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液693gとアニオン性界面活性剤ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム5.1g(後記のアルカリ添加した時点においての水100質量部に対し、0.2質量部となる量)を投入し、8〜12℃に温調した。次いで、28%アンモニア水3.0gを投入し、1分間撹拌した後、撹拌を停止した。3時間後撹拌を開始し、28%アンモニア水54gを投入し、55〜60℃まで加熱し、その温度を保ったまま1時間撹拌を行い、縮合反応を完結させた。なお、上記28%アンモニア水54gを投入した際の配合されている水のpHは、前記の配合した水2,164g及びシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液中の水[水の合計2,493g]に28%アンモニア水54gを混合した混合水のpHをpHメーターで測定することによって行った結果、pHは10.8であった。
【0068】
得られたシリコーン微粒子の水分散液を加圧ろ過器を用いて水分約30%に脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3,000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を再度錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3,000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量3リットルのガラスフラスコに移し、窒素通気をしながら120℃のオイルバスで加熱し、水分を除去し、シリコーン微粒子を得た。
【0069】
得られたシリコーン微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は5μmであった。
また、得られたシリコーン微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、シリコーンエラストマー球状微粒子表面に400nmと800nmの半球形状のポリメチルシルセスキオキサンがまばらに付着した微粒子となっていることが確認された。
【0070】
〔比較例1〕
実施例1において、アニオン性界面活性剤N−ミリストイルサルコシン酸ナトリウム2.7gを使用しない以外は、実施例1と同様にしてシリコーン微粒子を得た。
得られたシリコーン微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、平均粒径を測定しようとしたが、微粒子の凝集性が高く、分散できなかった。
また、得られたシリコーン微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、シリコーンエラストマー球状微粒子表面に300nmの球状形状のポリメチルシルセスキオキサンが少し付着した微粒子とシリコーンエラストマー球状微粒子表面に付着していない300nmの球状形状のポリメチルシルセスキオキサンが混在しているものになっていることが確認された。
【0071】
〔比較例2〕
実施例1と同様にして得られたシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液864gを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量3リットルのガラスフラスコに仕込み、水1,993g、及び28%アンモニア水63gを添加した。8〜12℃に温調した後、メチルトリメトキシシラン80g(シリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し、加水分解・縮合反応後のポリメチルシルセスキオキサンが8.8質量部となる量)を20分かけて滴下し、この間の液温を8〜12℃に保ち、更に1時間撹拌を行った。次いで、55〜60℃まで加熱し、その温度を保ったまま1時間撹拌を行い、メチルトリメトキシシランの加水分解、縮合反応を完結させた。
【0072】
得られたシリコーン微粒子の水分散液を加圧ろ過器を用いて水分約30%に脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3,000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を再度錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3,000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量3リットルのガラスフラスコに移し、窒素通気をしながら120℃のオイルバスで加熱し、水分を除去し、シリコーン微粒子を得た。
【0073】
得られたシリコーン微粒子を、界面活性剤を用いて水に分散させて、電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は5μmであった。
また、得られたシリコーン微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、シリコーンエラストマー球状微粒子表面に80nm〜100nmの球状形状のポリメチルシルセスキオキサンが高密度に付着した微粒子となっていることが確認された。
【0074】
〔比較例3〕
実施例1と同様にして得られたシリコーンエラストマー球状微粒子の水分散液864gを錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量3リットルのガラスフラスコに仕込み、水1991g、28%アンモニア水63g、及びアニオン性界面活性剤N−ミリストイルサルコシン酸ナトリウム2.4g(水100質量部に対し、0.1質量部となる量)を添加した。8〜12℃に温調した後、メチルトリメトキシシラン80g(シリコーンエラストマー球状微粒子100質量部に対し、加水分解・縮合反応後のポリメチルシルセスキオキサンが8.8質量部となる量)を20分かけて滴下し、この間の液温を8〜12℃に保ち、更に1時間撹拌を行った。次いで、55〜60℃まで加熱し、その温度を保ったまま1時間撹拌を行い、メチルトリメトキシシランの加水分解、縮合反応を完結させた。
【0075】
得られたシリコーン微粒子の水分散液を加圧ろ過器を用いて水分約30%に脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3,000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を再度錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量5リットルのガラスフラスコに移し、水3,000gを添加し、30分間撹拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱水した。脱水物を錨型撹拌翼による撹拌装置の付いた容量3リットルのガラスフラスコに移し、窒素通気をしながら120℃のオイルバスで加熱し、水分を除去し、シリコーン微粒子を得た。
【0076】
得られたシリコーン微粒子を界面活性剤を用いて水に分散させて、平均粒径を測定しようとしたが、微粒子の凝集性が高く、分散できなかった。
また、得られたシリコーン微粒子を電子顕微鏡で観察したところ、シリコーンエラストマー球状微粒子表面には粒状のポリメチルシルセスキオキサンの付着は認められなかった。
【0077】
比較例1〜3のシリコーン微粒子が粒子表面に付着しているポリメチルシルセスキオキサンが粒状でないか、粒状でもその径は80〜100nmと小さく、300nmと大きい場合でも全量付着しておらず付着量が少ないものであるのに対して、実施例1〜5のシリコーン微粒子は、付着している粒状のポリメチルシルセスキオキサンの粒径は400〜900nmであり、付着量も多くなっているため、化粧料に配合した際、高い光散乱性の付与が期待できる。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水にオルガノトリアルコキシシランを添加して加水分解反応させ、次いで体積平均粒径が0.5〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子、アニオン性界面活性剤及びアルカリ性物質を添加し、静置状態で加水分解したオルガノトリアルコキシシランを縮合させることにより、前記シリコーンエラストマー球状微粒子の表面にポリオルガノシルセスキオキサンを付着することを特徴とする、シリコーンエラストマー球状微粒子の表面に大きさが200〜2,000nmでかつシリコーンエラストマー球状微粒子より小さい粒状のポリオルガノシルセスキオキサンが付着したシリコーン微粒子の製造方法。
【請求項2】
オルガノトリアルコキシシランの加水分解反応時における水量が、オルガノトリアルコキシシランのアルコキシ基と同モル以上である請求項1記載のシリコーン微粒子の製造方法。
【請求項3】
アニオン性界面活性剤の配合量を、前記水100質量部に対し、0.001〜1質量部とすることを特徴とする請求項1又は2記載のシリコーン微粒子の製造方法。
【請求項4】
アニオン性界面活性剤として、N−アシルタウリン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩から選択される1種以上を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のシリコーン微粒子の製造方法。
【請求項5】
シリコーンエラストマー球状微粒子の投与量が、アルカリ性物質添加時において、水100質量部に対し1〜40質量部である請求項1〜4のいずれか1項記載のシリコーン微粒子の製造方法。
【請求項6】
アルカリ性物質の添加による水のpHが9〜12である請求項1〜5のいずれか1項記載のシリコーン微粒子の製造方法。
【請求項7】
アルカリ性物質の添加後の静置工程における温度が0〜60℃であり、静置時間が10分〜24時間である請求項1〜6のいずれか1項記載のシリコーン微粒子の製造方法。
【請求項8】
体積平均粒径が0.5〜100μmのシリコーンエラストマー球状微粒子100質量部と、その表面に付着したポリオルガノシルセスキオキサン1〜100質量部とを有してなり、前記ポリオルガノシルセスキオキサンは粒状で大きさが200〜2,000nmでかつ前記シリコーンエラストマー球状微粒子より小さいことを特徴とするシリコーン微粒子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−87141(P2013−87141A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226664(P2011−226664)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】