説明

シリコーン樹脂およびシリコーン組成物

本発明は、ホウ素、アルミニウムおよび/またはチタニウム、およびケイ素結合分岐状アルコキシ基を含有するシリコーン樹脂;同シリコーン樹脂を含有するシリコーン組成物;シリコーン組成物を基板に塗布して膜を形成し、膜のシリコーン樹脂を熱分解することからなる被覆基板の製造方法に関する。前記シリコーン樹脂は、(EOs/2(HSiO3/2((RO)SiO1/2((RO)SiO2/2(ROSiO3/2(SiO4/2(各Eは独立してホウ素、アルミニウム、およびチタニウムから選択される原子であり;RはCからC10の分岐状アルキルであり;Eがホウ素またはアルミニウムであるときは、s=3で、Eがチタニウムであるときは、s=4であり;tは0.01から0.8であり;vは0から0.99であり;wは0から0.99であり;xは0から0.99であり;yは0から0.99であり;zは0から0.8であり;w+x+y=0.01から0.99;かつ、t+v+w+x+y+z=1)で表される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国法典第35巻米国特許法第119条(e)のもとで、2006年8月4日出願米国仮特許出願番号60/835656の利益を請求する。米国仮特許出願番号60/835656は、参照のためにここに援用する。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、シリコーン樹脂に関し、さらにホウ素、アルミニウムおよび/またはチタニウムを含有し、およびケイ素結合分岐状アルコキシ基を有するシリコーン樹脂に関する。本発明は、また、シリコーン樹脂を有するシリコーン組成物およびシリコーン組成物を基板に塗布して被膜を形成し、被膜のシリコーン樹脂を熱分解することからなる被覆基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ホウ素含有シリコーン高分子は当技術では公知である。例えば、カスゴッツ他(J.Non-Cryst.Solids 1999,243(2,3),168−174)は、ケイ酸とホウ酸トリ−n−ブチルとを反応させ、1−ブタノールでアルコキシ化することによる、ホウケイ酸塩ゲル板および繊維の前駆物質としてのポリボロシロキサンの合成を報告する。
【0004】
カスゴッツ他(J.Mater.Sci. 1999,34(24),6137−6141)は、テトラヒドロフラン中でテトラアセトキシシランとホウ酸トリ−n−ブチルとの反応により形成されたボロシロキサンポリマー経由のゲルの製法および特性を記述する。
【0005】
カスゴッツ他(J.Polym.Sci.,Part A:Polym.Chem. 1994,32(6),1049−1056)は、(AcO)Siと(BuO)Bを用いてゾル・ゲル法によるSiO−Bゲル繊維および酸化物の形成を報告する。
【0006】
カスゴッツ他(日本セラミック協会学術論文誌1989,97(11)、1432−1434)は、ホウケイ酸塩繊維用前駆物質としてのポリボロシロキサンの製造を報告する。
【0007】
ソラル他(Chem.Mater.1999,11(4)、910−919)は、変性シリコーンアルコキシド(RSi(OEt)、R=Me、ViまたはEt)とB(OEt)3との共加水分解による混成SiO−Bゲルの合成を報告する。
【0008】
小林他への日本公開特許特開平04−359056号は、式(SiO4/2(PO5/2(BO3/2(ここで、l、mおよびnは(99−40)/(0.5−30)/(0.5−30)であり、高分子は500から30,000の分子量を有する)で表わされる有機ケイ素高分子の樹脂溶液にシリカゾルを添加することによって得られる樹脂組成物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平04−359056号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】カスゴッツ他(J.Non-Cryst.Solids 1999,243(2,3),168−174)
【非特許文献2】カスゴッツ他(J.Mater.Sci. 1999,34(24),6137−6141)
【非特許文献3】J.Polym.Sci.,Part A:Polym.Chem. 1994,32(6),1049−1056
【非特許文献4】日本セラミック協会学術論文誌1989,97(11)、1432−1434
【非特許文献5】ソラル他(Chem.Mater.1999,11(4)、910−919
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の参考文献はホウ素含有シリコーンポリマーを開示しているが、本発明のホウ素、アルミニウムおよび/またはチタニウムを有し、ケイ素結合分岐状アルコキシ基を含有するシリコーン樹脂を開示していない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の概要
本発明は、次の式を有するシリコーン樹脂:

(EOs/2(HSiO3/2((RO)SiO1/2((RO)SiO2/2(ROSiO3/2(SiO4/2 (I)

(ここで、各Eは独立してホウ素、アルミニウム、およびチタニウムから選択される原子であり;RはCからC10の分岐状アルキルであり;Eがホウ素またはアルミニウムであるときは、s=3で、Eがチタニウムであるときは、s=4であり;tは0.01から0.8であり;vは0から0.99であり;wは0から0.99であり;xは0から0.99であり;yは0から0.99であり;zは0から0.8であり;w+x+y=0.01から0.99;かつ、t+v+w+x+y+z=1)を対象にする。
【0013】
本発明はまた上述のシリコーン樹脂と有機溶剤からなるシリコーン組成物も対象にする。
【0014】
本発明はさらに被覆基板の製造方法、(i)式(I)を有するシリコーン樹脂と有機溶剤からなるシリコーン組成物を基板に塗布して被膜を形成し、そして(ii)被膜のシリコーン樹脂を熱分解することからなる方法をも対象にする。
【0015】
本発明のシリコーン樹脂は各種有機溶剤に可溶であり、かつ実質的にゲルを含んでいない。加えて、シリコーン樹脂は熱分解されて、各種基板への良好な密着性を示すシリケート被覆を製造する。
【0016】
本発明のシリコーン組成物は、都合のよいことには、良好な貯蔵安定性を有する一液型組成物に処方することができる。その上、組成物は通常の高速法、例えばスピンコート法、浸漬コート法、印刷法、およびスプレー法などで基板に塗布することができる。
【0017】
被覆基板の製造方法は通常の装置及び技術を用いて行うことができる。また、当該方法は商業生産プロセスに拡大することができる。
【0018】
本発明のシリコーン樹脂は、半導体部品、液晶、発光ダイオード、有機発光ダイオード、光電子部品、光学部品、光電池、薄フィルム電池や太陽電池などの各種消費者向部品で有用である保護用または誘電体コーティングを製造するために使うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
ここで使われている用語「分岐状アルキル」は、自由原子価を有する炭素原子が二個または三個の他の炭素原子と結合しているアルキル基をいう。また、用語「分岐状アルコキシ基」は、自由原子価を有する酸素原子が分岐状アルキル基に結合しているアルコキシ基をいう。さらに、表記EOs/2(ここで、Eはホウ素またはアルミニウムであり、かつs=3)は、下記の式を有する単位を示す:
【化1】

さらに、表記EOs/2(ここで、Eがチタニウムであり、かつs=4)は、次の式を有する単位を示す:
【化2】

【0020】
本発明のシリコーン樹脂は式:

(EOs/2(HSiO3/2((RO)SiO1/2((RO)SiO2/2(ROSiO3/2(SiO4/2 (I)

(ここで、各Eは独立してホウ素、アルミニウム、およびチタニウムから選択される原子であり;RはCからC10の分岐状アルキルであり;Eがホウ素またはアルミニウムであるときは、s=3で、Eがチタニウムであるときは、s=4であり;tは0.01から0.8であり;vは0から0.99であり;wは0から0.99であり;xは0から0.99であり;yは0から0.99であり;zは0から0.8であり;w+x+y=0.01から0.99;かつ、t+v+w+x+y+z=1)を有する。
【0021】
で表わされる分岐状アルキル基は、通常1個から10個の炭素原子、あるいは1個から6個の炭素原子、あるいは1個から4個の炭素原子を有する。分岐状アルキル基の例として、以下に限定されないが、1−メチルエチル(イソプロピル)、1−メチルプロピル(第二級ブチル)、1,1−ジメチルエチル(第三級ブチル)、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、1−メチルヘキシル、1−メチルヘプチル、1−メチルオクチル、そして1−メチルノニルなどが挙げられる。
【0022】
シリコーン樹脂の式(I)中、下付き文字t、v、w、x、y、およびzはモル分率である。下付き文字tは通常0.01から0.8まで、あるいは0.02から0.6まで、あるいは0.05から0.4までの値を有し;下付き文字vは通常0から0.99まで、あるいは0.005から0.8まで、あるいは0.01から0.7までの値を有し;下付き文字wは通常0から0.99まで、あるいは0.02から0.5まで、あるいは0.05から0.2までの値を有し;下付き文字xは通常0から0.99まで、あるいは0.005から0.8まで、あるいは0.01から0.7までの値を有し;下付き文字yは通常0から0.99まで、あるいは0.02から0.8まで、あるいは0.05から0.7までの値を有し;下付き文字zは通常0から0.8まで、あるいは0.02から0.7まで、あるいは0.05から0.6までの値を有し;そして、w+x+yの合計は通常0.01から0.99まで、あるいは0.15から0.90まで、あるいは0.3から0.8までの値を有する。
【0023】
シリコーン樹脂は通常500から150,000、あるいは1000から50,000、あるいは3000から25,000の重量平均分子量を有する。ここでの分子量は屈折率検出器および標準ポリスチレンを用いてゲル透過クロマトグラフィーにより測定される。
【0024】
シリコーン樹脂は、通常樹脂中のケイ素原子の合計モル数に基づいて、10から110モル%、あるいは20から105モル%、あるいは40から100モル%のケイ素結合ヒドロキシ基を有する。29SiNMRにて測定される。
【0025】
シリコーン樹脂の例として、以下に限定されないが、次の式を有する樹脂がある:(BO3/20.3(iso−PrOSiO3/20.7、(BO3/20.3(sec−BuOSiO3/20.7、(BO3/20.3(tert−BuOSiO3/20.7、(BO3/20.1(HSiO3/20.3(iso−PrOSiO3/20.6、(BO3/20.1(HSiO3/20.3((iso−PrO)SiO2/20.6、(BO3/20.1(HSiO3/20.3(tert−BuOSiO3/20.6、(BO3/20.1(HSiO3/20.3((sec−BuO)SiO2/20.6、(AlO3/20.3(iso−PrOSiO3/20.7、(AlO3/20.3(sec−BuOSiO3/20.7、(AlO3/ 20.3(tert−BuOSiO3/20.7、(AlO3/20.1(HSiO3/20.3(iso−PrOSiO3/20.6、(AlO3/20.1(HSiO3/20.3((iso−PrO)SiO2/20.6、(AlO3/20.1(HSiO3/20.3(tert−BuOSiO3/20.6、(AlO3/20.1(HSiO3/20.3((sec−BuO)SiO2/20.6、(TiO4/20.3(iso−PrOSiO3/20.7、(TiO4/20.3(sec−BuOSiO3/20.7、(TiO4/20.3(tert−BuOSiO3/20.7、(TiO4/20.1(HSiO3/20.3(iso−PrOSiO3/20.6、(TiO4/20.1(HSiO3/20.3((iso−PrO)SiO2/20.6、(TiO4/20.1(HSiO3/20.3(sec−BuOSiO3/20.6、(TiO4/20.1(HSiO3/20.3((tert−BuO)SiO2/20.6、(BO3/20.15(AlO3/20.15(iso−PrOSiO3/20.7、(BO3/20.15(AlO3/20.15(sec−BuOSiO3/20.7、(BO3/20.15(AlO3/20.15(tert−BuOSiO3/20.7、(BO3/20.05(AlO3/20.05(HSiO3/20.3(iso−PrOSiO3/20.6、(BO3/20.05(AlO3/20.05(HSiO3/20.3(sec−BuOSiO3/20.6、(BO3/20.05(AlO3/20.05(HSiO3/20.3((tert−BuO)SiO2/20.6、(BO3/20.05(AlO3/20.05(HSiO3/20.3((iso−PrO)SiO2/20.6、(BO3/20.15(TiO4/20.15(iso−PrOSiO3/20.7、(BO3/20.15(TiO4/20.15(sec−BuOSiO3/20.7、(BO3/20.15(TiO4/20.15(tert−BuOSiO3/20.7、(BO3/20.05(TiO4/20.05(HSiO3/20.3(iso−PrOSiO3/20.6、(BO3/20.05(TiO4/20.05(HSiO3/20.3(sec−BuOSiO3/20.6、(BO3/20.05(TiO4/20.05(HSiO3/20.3((tert−BuO)SiO2/20.6、(BO3/20.05(TiO4/20.05(HSiO3/20.3((iso−PrO)SiO2/20.6、(AlO3/20.15(TiO4/20.15(iso−PrOSiO3/20.7、(AlO3/20.15(TiO4/20.15(sec−BuOSiO3/20.7、(AlO3/20.15(TiO4/20.15(tert−BuOSiO3/20.7、(AlO3/20.05(TiO4/20.05(HSiO3/20.3(iso−PrOSiO3/20.6、(AlO3/20.05(TiO4/20.05(HSiO3/20.3(tert−BuOSiO3/20.6、(AlO3/20.05(TiO4/20.05(HSiO3/20.3((sec−BuO)SiO2/20.6、(AlO3/20.05(TiO4/20.05(HSiO3/20.3((iso−PrO)SiO2/20.6、(BO3/20.1(AlO3/20.1(TiO4/20.1(iso−PrOSiO3/20.7、(BO3/20.1(AlO3/20.1(TiO4/20.1(sec−BuOSiO3/20.7、(BO3/20.1(AlO3/20.1(TiO4/20.1(tert−BuOSiO3/20.7、(BO3/20.05(AlO3/20.05(TiO4/20.05(HSiO3/20.25(iso−PrOSiO3/20.6、(BO3/20.05(AlO3/20.05(TiO4/20.05(HSiO3/20.25(tert−BuOSiO3/20.6、(BO3/20.05(AlO3/20.05(TiO4/20.05(HSiO3/20.25((sec−BuO)SiO2/20.6、と(BO3/20.05(AlO3/20.05(TiO4/20.05(HSiO3/20.25((iso−PrO)SiO2/20.6、ここで、iso−Prはイソプロピルであり、sec−Buは第二級ブチルであり、tert−Buは第三級ブチルであり、そして括弧外の下付け数字はモル分率を示す。また、先の式は単位の配列順を特定するものではない。
【0026】
本発明のシリコーン樹脂は(i)(a)式E(OR)を有するアルコキシ化合物の少なくとも1個と、(b)式HSiXを有するシランの少なくとも1個と、(c)式(RO)SiX4−nを有するシランの少なくとも1個とを(ここで、RはCからCのヒロドカルビルであり、Eはホウ素、アルミニウムおよびチタニウムから選択される原子であり、Eがホウ素またはアルミニウムのときはm=3、またはEがチタニウムのときはm=4であり、Xは−OHまたは加水分解性基であり、RはCからC10の分岐状アルキルであり、かつnは0、1、2または3であり、ただし両シラン(b)および(c)中の−Xはシラン(a)中の−ORよりも水との反応性が高いものである)、有機溶剤の存在下で水と反応させて加水分解物を形成し、そして(ii)加水分解物を蒸留して水を除去することにより製造される。
【0027】
シリコーン樹脂の製造法の工程(i)で、(a)式E(OR)を有するアルコキシ化合物の少なくとも1個と、(b)式HSiXを有するシランの少なくとも1個と、(c)式(RO)SiX4−nを有するシランの少なくとも1個とが、有機溶剤の存在下で水と反応させて加水分解物を形成する。ここで、RはCからCのヒロドカルビルであり、Eはホウ素、アルミニウムおよびチタニウムから選択される原子であり、Eがホウ素またはアルミニウムのときはm=3、またはEがチタニウムのときはm=4であり、Xは−OHまたは加水分解性基であり、RはCからC10の分岐状アルキルであり、かつnは0、1、2または3であり、ただし両シラン(b)および(c)中の−Xはシラン(a)中の−ORよりも水との反応性が高いものである。
【0028】
アルコキシ化合物(a)は式E(OR)を有するアルコキシ化合物の少なくとも1個である。ここで、RはCからCのヒロドカルビルであり、Eはホウ素、アルミニウムおよびチタニウムから選択される原子であり、Eがホウ素またはアルミニウムのときはm=3、またはEがチタニウムのときはm=4である。
【0029】
Rで表わされるヒドロカルビル基は通常1から8個の炭素原子、あるいは3から6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を有する非環式ヒドロカルビル基は分岐状または非分岐状構造を有する。Rで表わされるヒドロカルビル基の例として、以下に限定されないが、非分岐状または分岐状アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチルやオクチルなど;シクロアルキル、例えばシクロペンチル、シクロヘキシルやメチルシクロヘキシルなど;フェニル;アルカリール、例えばトリルやキシリルなど;アラルキル、例えばベンジルやフェネチルなど;アルケニル、例えばビニル、アリルやプロペニルなど;アリールアルケニル、例えばスチリルなど;そしてアルキニル、例えばエチニルやプロピニルなどが挙げられる。
【0030】
アルコキシ化合物(a)として使用に適するアルコキシ化合物の例としては、以下に限定されないが、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリ第三級ブチル、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリ第二級ブトキシド、アルミニウムトリ第三級ブトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)プロポキシド、チタン(IV)イソプロポキシドやチタン(IV)第三級ブトキシドが挙げられる。
【0031】
アルコキシ化合物(a)は、単一のアルコキシ化合物または2個以上の異なるアルコキシ化合物からなる混合物であってもよい、各々は式E(OR)(ここで、R,Eおよびmは上述され例示されているとおりである)を有している。
【0032】
アルコキシホウ素、アルコキシアルミニウムおよびアルコキシチタン化合物の製造法は当技術では周知であり、これら化合物の多くは市販されている。
【0033】
シラン(b)は式HSiXを有するシランの少なくとも1個である。ここで、Xは−OHまたは加水分解性基であり、ただし−Xはシラン(c)中の−ORよりも水との反応性がより高い。ここで使われている用語「加水分解性基」は、触媒の非存在下室温(およそ23±2℃)から100℃の温度で数分、例えば30分間、ケイ素結合基が水と反応してシラノール(Si−OH)基を形成することを意味する。Xで表わされる加水分解性基の例として、以下に限定されないが、−Cl、−Br、−OR、−OCHCHOR、CHC(=O)O−、Et(Me)C=N−O−、CHC(=O)N(CH)−、や−ONH(ここで、RはCからCのヒドロカルビルである)が挙げられる。
【0034】
シラン(b)として使用に適するシランの例は、以下に限定されないが、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシランやトリ−i−プロポキシシランがある。
【0035】
シラン(b)は単一シランまたは2個以上の異なるシランからなる混合物でもよい。各々は式HSiX(ここで、Xは上記に定義され、例示されているとおりである)を有している。また、加水分解性基を含有するシランの製造方法は当技術で周知であり、それら化合物の多くが市販されている。
【0036】
シラン(c)は式(RO)SiX4−nを有するシランの少なくとも1個である。ここで、RはCからC10の分岐状アルキル基であり、Xは−OHまたは加水分解性基であり、かつnは0、1、2、または3であり、ただし−Xはシラン中のORよりも水との反応性が高い。
【0037】
シラン(c)として使用に適するシランの例として、以下に限定されないが、イソプロポキシトリメトキシシラン、イソプロポキシトリエトキシシラン、イソプロポキシトリアセトキシシラン、第二級ブトキシトリエトキシシラン、第二級ブトキシトリアミノシラン、第二級ブトキシトリアセトキシシラン、第三級ブトキシトリヒドロキシシラン、第三級ブトキシトリメトキシシラン、第三級ブトキシトリエトキシシラン、第三級ブトキシトリアセトキシシラン、ジイソプロポキシジメトキシシラン、ジイソプロポキシジエトキシシラン、ジイソプロポキシジアセトキシシラン、ジ第二級ブトキシジメトキシシラン、ジ第二級ブトキシジエトキシシラン、ジ第二級ブトキシジアセトキシシラン、ジ第三級ブトキシジヒドロキシシラン、ジ第三級ブトキシジメトキシシラン、ジ第三級ブトキシジエトキシシラン、ジ第三級ブトキシジアセトキシシラン、トリイソプロポキシメトキシシラン、トリイソプロポキシエトキシシラン、トリイソプロポキシアセトキシシラン、トリ第二級ブトキシメトキシシラン、トリ第二級ブトキシエトキシシラン、トリ第二級ブトキシアセトキシシラン、トリ第三級ブトキシヒドロキシシラン、トリ第三級ブトキシメトキシシラン、トリ第三級ブトキシエトキシシランやトリ第三級ブトキシアセトキシシランが挙げられる。
【0038】
シラン(c)は単一シランまたは2個以上の異なるシランからなる混合物でもよく、各々は式(RO)SiX4−n(ここで、R、Xおよびnは上述され、例示されているとおりである)を有している。さらに、加水分解性基を含有するシランの製造法は当技術では周知であり、これら化合物の多くは市販されている。
【0039】
有機溶剤は少なくとも1個の有機溶剤である。有機溶剤は、水とある程度の混和性または非混和性であり、現法の条件下でアルコキシ化合物(a)、シラン(b)、シラン(c)またはシリコーン樹脂と反応することなく、かつアルコキシ化合物(a)、シラン(b)、シラン(c)またはシリコーン樹脂と混和性である非プロトン性または極性非プロトン性有機溶剤である。ここで使われている用語「ある程度の混和性」は、水の溶剤への溶解度が25℃で約0.1g/溶剤100g未満であることをいう。好ましくは、有機溶剤は水と最小の共沸を形成する。もし有機溶剤が水と共沸を形成しなければ、有機溶剤は好ましくは水の沸点よりも高い沸点を有している。でないと、前記方法の蒸留工程(ii)の間に有機溶剤は水より前に完全に除去されてしまうことになる。
【0040】
有機溶剤の例として、以下に限定されないが、飽和脂肪族炭化水素、例えばn−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタンやドデカンなど;環状脂肪族炭化水素、例えばシクロペンタンやシクロヘキサンなど;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレンやメシチレンなど;環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)やジオキサンなど;ケトン、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)など;ハロゲン化アルカン、例えばトリクロロエタンなど;およびハロゲン化芳香族炭化水素、例えばブロモベンゼンやクロロベンゼンなどが挙げられる。有機溶剤は単一有機溶剤または二つ以上の異なる有機溶剤からなる混合物でもよく、各々上記に定義されたとおりである。
【0041】
シリコーン樹脂の製造はオルガノハロシランを水と接触させるに適する標準反応器で行われる。適する反応器はガラスおよびテフロン(登録商標)ライニングガラス反応器を含む。好ましくは、反応器には撹拌器などの攪拌手段が備え付けられている。
【0042】
アルコキシ化合物(a)、シラン(b)、シラン(c)、有機溶剤そして水は、通常水を成分(a)、(b)、(c)および有機溶剤の混合物に添加することによって、混合する。逆の添加、すなわちアルコキシ化合物(a)、シラン(b)およびシラン(c)を水に添加することも可能である。しかし、逆の添加はゲルの形成をもたらすことがあり得る。
【0043】
水のアルコキシ化合物(a)、シラン(b)およびシラン(c)への添加速度は、効率の良い撹拌器を備えた1000mL反応槽で通常1から100mL/分である。添加速度があまりにも遅いと、反応時間が不必要に長くなる。添加速度があまりにも早いと、反応混合物はゲルを形成し得る。
【0044】
アルコキシ化合物(a)、シラン(b)およびシラン(c)と水との反応は通常20から150℃、あるいは20から100℃の温度で行われる。シラン(b)および/またはシラン(c)中のケイ素結合加水分解性基−Xがアシルオキシ基、例えばアセトキシなどであれば、反応は50℃以下の温度で行われる。
【0045】
反応時間は、アルコキシ化合物(a)、シラン(b)およびシラン(c)の構造ならびに温度などを含むいくつかの要因による。反応は通常アルコキシ化合物(a)、シラン(b)およびシラン(c)の加水分解が完了するに十分な時間で行われる。ここで使われる用語「加水分解の完了する」は、当初アルコキシ化合物(a)、シラン(b)およびシラン(c)に存在するケイ素結合基−ORおよび−Xの少なくとも85モル%がケイ素結合ヒドロキシ基に変換されることを意味する。例えば、反応時間は、20から60℃の温度で通常5から180分、あるいは10から60分、あるいは15から25分である。最適な反応時間は下記の実施例の欄で説明される方法を用いて日常実験で決めることができる。
【0046】
アルコキシ化合物の濃度は、成分(a)、(b)および(c)の合計量に基づいて、通常1から80モル%、あるいは10から40モル%、あるいは5から15モル%である。
【0047】
有機溶剤の濃度は、反応混合物合計量に基づいて、通常30から99%(w/w)、あるいは45から90%(w/w)、あるいは40から80%(w/w)である。
【0048】
反応混合物中の水の濃度は通常アルコキシ化合物(a)、シラン(b)およびシラン(c)の加水分解を生じさせるに十分は量である。例えば、水の濃度は通常、アルコキシ化合物(a)、シラン(b)およびシラン(c)中のケイ素結合−ORおよび−Xのモル数の合計に対する水のモル数の比が0.5から2、あるいは0.8から1.2となるほどである。
【0049】
シリコーン樹脂の製造法の工程(ii)で、加水分解物は蒸留して水を除去する。蒸留は大気圧または大気圧以下で行うことができる。溶剤が水と極小沸点共沸混合物を形成するときは、蒸留は都合よく水を回収し、溶剤を蒸留槽に戻すディーン・スターク・トラップを用いて行うことができる。蒸留は通常100kPaで80から110℃、あるいは90から110℃の温度で行われる。蒸留は500から150,000の重量平均分子量を有するシリコーン樹脂を製造するに十分な時間行われる。
【0050】
シラン(b)および/またはシラン(c)中のケイ素結合加水分解性基−Xがアセトキシなどのアシルオキシ基であるときは、シリコーン樹脂製品の安定性に悪影響を与える酸(例、酢酸)が工程(i)の加水分解反応中に副生成物として製造される。この場合、加水分解物中の酸は通常、工程(ii)で水を除去するための蒸留前に、中和または除去される。酸は中和剤で加水分解物を処理することにより中和することができる。適する中和剤の例として、以下に限定されないが、無機塩基、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、アンモニア、酸化カルシウム、そして水酸化カルシウムなどが挙げられる。あるいは、酸は加水分解物を蒸留して、溶剤との共沸混合物として除去することがよくある。
【0051】
シリコーン樹脂は、さらなる単離または精製することなく使用される。または樹脂は蒸留の標準的な方法にてほとんどの溶剤から分離される。例えば、蒸留した加水分解物は減圧下で加熱される。
【0052】
本発明によるシリコーン組成物は:
(A)式

(EOs/2(HSiO3/2((RO)SiO1/2((RO)SiO2/2(ROSiO3/2(SiO4/2 (I)

(ここで、各Eは独立してホウ素、アルミニウム、およびチタニウムから選択される原子であり;RはCからC10の分岐状アルキルであり;Eがホウ素またはアルミニウムであるときは、s=3で、Eがチタニウムであるときは、s=4であり;tは0.01から0.8であり;vは0から0.99であり;wは0から0.99であり;xは0から0.99であり;yは0から0.99であり;zは0から0.8であり;w+x+y=0.01から0.99;かつ、t+v+w+x+y+z=1)を有するシリコーン樹脂;および
(B)有機溶剤
からなる。
【0053】
成分(A)は、上述され例示された、式(I)を有するシリコーン樹脂である。成分(A)は単一のシリコーン樹脂または二つ以上の異なるシリコーン樹脂からなる混合物であり、各々式(I)を有する。
【0054】
成分(B)は有機溶剤の少なくとも一つである。有機溶剤は任意のプロトン性、非プロトン性または極性非プロトン性有機溶剤で、シリコーン樹脂と反応することなく、シリコーン樹脂と混和性のものである。
【0055】
有機溶剤の例として、以下に限定されないが、アルコール、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、そしてシクロヘキサノールなど;飽和脂肪族炭化水素、例えばn−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、そしてドデカンなど;環状脂肪族炭化水素、例えばシクロペンタンそしてシクロヘキサンなど;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレンそしてメシチレンなど;環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)そしてジオキサンなど;ケトン、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)など;ハロゲン化アルカン、例えばトリクロロエタンなど;ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばブロモベンゼンそしてクロロベンゼンなどが挙げられる。有機溶剤は単一有機溶剤または二つ以上の異なる有機溶剤からなる混合物であり、各々上記に定義されたとおりである。
【0056】
有機溶剤の濃度は、シリコーン組成物の合計重量に基づいて、通常20から95%(w/w)、あるいは50から90%(w/w)、あるいは70から80%(w/w)である。
【0057】
シリコーン組成物はさらに水素シルセスキオキサン樹脂を含むことができる。水素シルセスキオキサン樹脂(H−レジン)は一般式 HSi(OH)(OR’)c/2(ここで、R’は独立してヒドロカルビル基で酸素原子を介してケイ素に結合すると加水分解性置換基となり、a=0から2で、b=0から2で、c=1から3で、かつa+b+c=3)で表わされる。ヒドロカルビル基の例は、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル;例えばフェニルなどのアリール;例えばアリル、ビニルなどのアルケニルである。これら樹脂は、十分に縮合され(HSiO3/2、または部分的に加水分解され(すなわち、多少のSi−OR’基を有する)および/または部分的に縮合され(すなわち、多少のSi−OH基を有する)ている。上記の式で示されていないが、樹脂は0個または2個の水素原子が結合したケイ素原子の少量(例として、約10%以下)を含有してもよい。
【0058】
水素シルセスキオキサン樹脂は単一水素シルセスキオキサン樹脂または二つ以上の異なる水素シルセスキオキサン樹脂からなる混合物でもよい、なお、各々水素シルセスキオキサン樹脂は上述されたとおりである。
【0059】
水素シルセスキオキサン樹脂が存在するとき、シリコーン組成物中での水素シルセスキオキサン樹脂の濃度は、シリコーン組成物の合計重量に基づいて、通常1から99%(w/w)、あるいは2から60%(w/w)、あるいは5から40%(w/w)である。
【0060】
H−レジンの製造法は、コリンズ他への米国特許第3,615,272号:バンク他への米国特許第5,010,159号;フライ他への米国特許第4,999,397号;ハンネマン他への米国特許第5,063,267号;特開昭59−178749号;特開昭60−86017号;および特開昭63−107122号で例示されているとおり、当技術では周知である。
【0061】
本発明による被覆基板は:
基板;および
基板上の被覆からなり、ここで被覆は式

(EOs/2(HSiO3/2((RO)SiO1/2((RO)SiO2/2(ROSiO3/2(SiO4/2 (I)

(ここで、各Eは独立してホウ素、アルミニウム、およびチタニウムから選択される原子であり;RはCからC10の分岐状アルキルであり;Eがホウ素またはアルミニウムであるときは、s=3で、Eがチタニウムであるときは、s=4であり;tは0.01から0.8であり;vは0から0.99であり;wは0から0.99であり;xは0から0.99であり;yは0から0.99であり;zは0から0.8であり;w+x+y=0.01から0.99;かつ、t+v+w+x+y+z=1)を有するシリコーン樹脂の熱分解生成物である。
【0062】
基板は、平面的、複合またはでこぼこな外形を有する硬いまたは柔軟な任意の物質でよい。基板は、電磁スペクトルの可視光域(約400から約700nm)で透明または不透明でもよい。また、基板は、導電体、半導体または絶縁体でもよい。さらに、基板は電子部品、例えば個別素子や集積回路などである。
【0063】
基板の例としては、以下に限定されないが、半導体、例えばシリコン、酸化ケイ素表面層を有するシリコン、炭化ケイ素、リン化インジウムやヒ化ガリウムなど;石英;溶融石英;酸化アルミニウム;セラミックス;ガラス;金属箔;ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレートなど;フルオロカーボンポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニルなど;ポリアミド、例えばナイロンなど;ポリイミド;ポリエステル、例えばポリメタクリル酸メチルなど;エポキシ樹脂;ポリエーテル;ポリカーボネート;ポリスルホン;そしてポリエーテルスルホンが挙げられる。
【0064】
個別素子の例としては、以下に限定されないが、ダイオード、例えばPINダイオード、電圧基準ダイオード、バラクターダイオード、アバランシェダイオード、ダイアック(DIACs)、ガンダイオード、スナップダイオード、IMPATTダイオード、トンネルダイオード、ツェナーダイオード、典型的な(p−n)ダイオード、そしてショットキーダイオードなど;トランジスタ、例えばバイポーラトランジスタで絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBTs)およびダーリントントランジスタを含み、電界効果トランジスタ(FETs)で金属酸化膜半導体FETs(MOSFETs)、ジャンクションFETs(JFETs)、金属−半導体FETs(MESFETs)、有機FETsを含み、高電子移動度トランジスタ(HEMTs)、そして薄膜トランジスタ(TFTs)で有機電界効果トランジスタを含むなど;サイリスタ、例えばダイアック(DIACs)、トライアック(TRIACs)、シリコン制御整流器(SCRs)、分散バッファーゲートターンオフ(distributed buffer−gate turn−off)(DB−GTO)サイリスタ、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタ、MOFSET制御サイリスタ(MCTs)、修正アノードゲートターンオフ(modified anode−gate turn−off)(MA−GTO)サイリスタ、静電誘導サイリスタ(SIThs)、および電界制御サイリスタ(FCThs);バリスタ;レジスタ;コンデンサ(condenser);コンデンサ(capacitor);サーミスタ;そして、光電子部品、例えば光ダイオード、太陽電池(例、CIGS太陽電池や有機光電池)、光トランジスタ、光電子増倍管、光集積回路(IOC)素子、光依存性抵抗、レーザーダイオード、発光ダイオード(LEDs)、そして有機発光ダイオード(OLEDs)で低分子OLEDs(SM−OLEDs)やポリマー発光ダイオード(PLEDs)を含む、が挙げられる。
【0065】
集積回路の例としては、以下に限定されないが、モノリシック集積回路、例えばメモリ集積回路で、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセル・メモリ)やSRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ)を含むRAM(ランダム・アクセス・メモリ)とROM(読み出し専用メモリ)を含み、;論理回路;アナログ集積回路;ハイブリッド集積回路で薄膜ハイブリッドICや厚膜ハイブリッドICを含む;薄膜電池;そして燃料電池が挙げられる。
【0066】
基板上の被覆は、式

(EOs/2(HSiO3/2((RO)SiO1/2((RO)SiO2/2(ROSiO3/2(SiO4/2 (I)

(ここで、E、R、s、t、v、w、x、y、z、w+x+y、およびt+v+w+x+y+zは上記定義され、例示されているとおりである)を有するシリコーン樹脂の熱分解生成物である。
ここで使われている用語「シリコーン樹脂の熱分解生成物」は、ホウ素、アルミニウムおよびチタニウムの少なくとも一つを含有するケイ酸塩ガラスのことをいう。
【0067】
被覆基板の被覆は通常0.1から5μm、あるいは0.2から3μm、あるいは0.25から2μmの厚さを有する。
【0068】
被覆は通常2.5から3.4、あるいは2.6から3の比誘電率を有する。また、被覆は通常7から20GPa、あるいは7から15GPaのヤング率を有する。さらに、被覆は、波長632.8nmの光について、通常1.30から1.50、あるいは1.35から1.47の屈折率を有する。
【0069】
被覆基板は、本発明のシリコーン樹脂および有機溶剤からなる、上述したシリコーン組成物を基板に塗布して、被膜を形成し被膜の樹脂を熱分解することによって製造する。
【0070】
上述したシリコーン組成物は、従来方法、例えばスピンコート法、浸漬コート法、スプレーコート法、フローコート法、スクリーン印刷法、そしてロールコート法などを用いて、基板に塗布される。溶剤が含まれているときは、溶剤は通常被膜が加熱される前に被覆基板から蒸発させることもできる。蒸発に適する任意の手段、例えば単なる空気乾燥、真空下または加熱(約50℃までに)などが用いられる。
【0071】
シリコーン樹脂は、空気または例えば窒素、ヘリウム若しくはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中350から1000℃、あるいは350から800℃、あるいは400から700℃の温度で被膜を加熱することにより熱分解する。被膜は大気圧、大気圧より低いまたは大気圧より高い圧力下で加熱される。被膜は従来装置、例えば石英管炉、対流式オーブンや放射エネルギーシステム(例、電子レンジ)を用いて加熱される。被膜は通常、熱分解生成物が25℃で少なくとも5GPaのヤング率を有することになる時間加熱される。例えば、被膜は通常0.1から3時間、あるいは0.5から1.5時間の間加熱される。
【0072】
あるいは、被膜のシリコーン樹脂は、最初に被膜のシリコーン樹脂を硬化(すなわち、架橋)して、その後硬化シリコーン樹脂を350から800℃に加熱することによって熱分解することができる。シリコーン樹脂は被膜を50から260℃、あるいは50から250℃、あるいは100から200℃の温度に加熱することにより硬化する。
【0073】
本発明の方法は、さらにシリコーン樹脂の熱分解生成物からなる被覆の少なくとも一部上に被覆を形成することも含む。被覆の例として、以下に限定されないが、無機酸化物、例えばインジウムスズ酸化物、二酸化ケイ素や二酸化チタンなど;無機窒化物、例えば窒化ケイ素や窒化ガリウムなど;無機炭化物、例えば炭化ケイ素や水素化オキシ炭化ケイ素など;金属、例えば銅、銀、金、ニッケルやクロムなど;シリコン、例えばアモルファスシリコン、微結晶シリコンや多結晶シリコンなどが挙げられる。無機被膜、の形成法、例えば物理蒸着や化学蒸着は当技術で周知である。
【0074】
本発明のシリコーン樹脂は各種有機溶剤に可溶性であり、実質的にゲルを含んでいない。その上、シリコーン樹脂は熱分解して各種の基板に対し良好な接着性を示すシリケート被膜を生産する。
【0075】
本発明のシリコーン組成物は、都合のよいことに、良好な貯蔵安定性を有する一液型組成物として処方することができる。さらに、組成物は従来からの高速法、例えばスピンコート法、浸漬コート法、印刷法やスプレー法などによって基板に塗布される。
【0076】
被覆基板の製造法は、従来装置や技術を用いて行うことができる。また、その方法は商業生産プロセスに拡大することができる。
【0077】
本発明のシリコーン樹脂は、各種の消費者向部品に有用な保護また誘電体被覆を製造するために使われる。消費者向部品には、半導体部品、液晶、発光ダイオード、有機発光ダイオード、光電子部品、光学部品、電池、薄膜電池や太陽電池が含まれる。
【実施例】
【0078】
実施例
下記の実施例は、本発明のシリコーン樹脂、シリコーン組成物および方法をよりよく説明するために示すものであり、付属する特許請求項で叙述される発明を制限するものと考えてはならない。特に言及されていない限り、実施例で報告されている部およびパーセントのすべては重量当たりである。実施例において、次の方法および材料が使われた。
【0079】
分子量
シリコーン樹脂の数平均および重量平均分子量(MおよびM)は、PLgel(ポリマー・ラボラトリーInc.製)5−μmカラム、室温(約23℃)、1mL/分のTHF移動相、および屈折率検出器を用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定した。ポリスチレン標準液が線形回帰検定に用いられた。
【0080】
赤外線スペクトル
被覆シリコンウェハーの赤外線スペクトルをパーキン・エルマー装置I600FT−IR分光光度計に記録した。
【0081】
屈折率および膜厚
シリコンウェハー上の被膜の屈折率および膜厚を、データ分析用WVASE32ソフトを備え付けられたウォーラムM−88分光楕円偏光計で測定した。屈折率は20℃で波長632.8nmの光で測定した。報告された屈折率および膜厚それぞれは、同じ被覆ウェハーの異なる場所で行われた三つの測定の平均を示している。
【0082】
比誘電率
被膜の比誘電率は、HP4194Aインピーダンス/ゲイン−フェーズ分析器を用いて金属絶縁半導体(MIS)コンデンサでの電気容量測定から決定される。円形アルミニウム電極が被覆上に蒸着された。直列容量が同じ直径を有する一対の電極を用いてウェハーを通して測定された。電気容量測定は異なる三つの直径(0.12インチ、0.191インチおよび0.252インチ)の電極三対を用い、10−10Hzの周波数範囲でなされた。報告されている比誘電率は10Hzで行われた測定から算出された。比誘電率Dの報告された値は異なる直径の電極を用いた三回の測定の平均で示す。
【0083】
複合弾性率および硬さ
シリコンウェハー上の被膜の複合弾性率および硬さは、バーコビッチ・ダイヤモンド圧子を備え付けたハイシトロン(Hysitron)トリボスコープ( Triboscope、商標登録)ナノ材料試験装置を用いて室温(約23±2℃)で測定した。硬さおよび複合弾性率値はおよそ15%の侵入深さで測定された。複合弾性率は次式を用いて計算される:
=E/(1−ν
ここで、Eは複合弾性率、GPaであり、
Eはヤング率、GPaであり、そして
νはポアソン比である。
【0084】
ヤング率は荷重−変位曲線の勾配から求めた。複合弾性率および硬さそれぞれに報告された数値は同じ被覆ウェハーの異なる場所で三回行われた測定の平均を示す。
【0085】
トリエトキシシランは、ジェレスト社(Gelest Inc.、米国ペンシルベニア州モリスビル)から入手した。
【0086】
ホウ酸トリメチル(≧90%)は、アルドリッチ社(Aldrich Co.、米国ミズーリ州セントルイス)から入手した。
【0087】
テトラ−t−ブトキシシランは、ダウ コーニング コーポレーション(米国ミシガン州ミッドランド)から入手した。
【0088】
ジ−t−ブトキシジアセトキシシランは、ジェレスト社(Gelest Inc.、米国ペンシルベニア州モリスビル)から入手した。
【0089】
ダウ コーニング コーポレーションが市販するフォックス(Fox、登録商標)−17フロアブルオキシドは、メチルイソブチルケトン中の水素シルセスキオキサンの26%(w/w)溶液である。
【0090】
実施例1
トリエトキシシラン(45.0g)、14.2gのホウ酸トリメチル、280.0gのジ−t−ブトキシジアセトキシシランおよび440.6gのテトラヒドロフランを2リットルフラスコ中アルゴン下で混合した。その混合物に水(53.4g)を14分間かけて添加した。混合物は室温で1時間撹拌され、400.3gのトルエンで希釈された。混合物を、ロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮した。残渣を500.6gのトルエンで処理して、ふたたびロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮された。最後に残渣を720.7gのトルエンで処理し、混合物はディーン・スターク・トラップおよび温度計が備え付けられたフラスコに移した。混合物は蒸留され、剰余の酢酸をトルエンとの共沸混合物として除去した。揮発性物質214gを除去したのち、加水分解物は1時間蒸留され水を除去した。この間、溶剤は蒸留フラスコに戻されていた。冷却された溶液は濾過され、ロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮された。残渣はさらに25℃高真空(1mmHg)下で濃縮され、148gのシリコーン樹脂を得た。
【0091】
実施例2
トリエトキシシラン(33.7g)、7.3gのホウ酸トリメチル、120.6gのジ−t−ブトキシジアセトキシシランおよび220.6gのテトラヒドロフランを2リットルフラスコ中アルゴン下で混合した。その混合物に水(26.6g)を14分間で添加した。混合物は室温で1時間撹拌され、400.3gのトルエンで希釈された。混合物をロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮した。残渣を250.4gのトルエンで処理して、ふたたびロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮した。最後に残渣を360gのトルエンで処理し、混合物はディーン・スターク・トラップおよび温度計が備え付けられたフラスコに移した。混合物は蒸留され、剰余の酢酸をトルエンとの共沸混合物として除去した。揮発性物質214gを除去したのち、加水分解物は1時間蒸留され水を除去した。この間、溶剤は蒸留フラスコに戻されていた。冷却された溶液は濾過され、ロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮された。残渣はさらに25℃高真空(1mmHg)下で濃縮され、72.3gのシリコーン樹脂を得た。
【0092】
実施例3
ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン(40.0g)は1リットルフラスコ中で120.0gのテトラヒドロフランと混合された。水(4.9g)を徐々に溶液に滴下した。混合物は室温で30分撹拌された。テトラ−t−ブトキシチタン(20.0g)が徐々に混合物に添加された。反応混合物は室温で1時間撹拌され、その後100gのトルエンで希釈された。混合物はロータリエバポレーターを用いて25−35℃減圧下で濃縮された。残渣を200.6gのトルエンで処理し、混合物はふたたびロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮された。最後に残渣は140gのトルエンで処理され、混合物はディーン・スターク・トラップおよび温度計が備え付けられたフラスコに移された。混合物を蒸留し、剰余の酢酸をトルエンとの共沸混合物として除去した。揮発性物質22gを除去したのち、加水分解物は1時間蒸留され水を除去した。この間、溶剤は蒸留フラスコに戻されていた。冷却された溶液は濾過され、ロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮された。残渣はさらに25℃高真空(1mmHg)下で濃縮され、1550の重量平均分子量および979の数平均分子量を有するシリコーン樹脂30gを得た。
【0093】
実施例4
ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン(40.0g)は1リットルフラスコ中で120.0gのテトラヒドロフランと混合された。水(7.7g)を徐々に溶液に滴下した。混合物は室温で20分撹拌された。テトラ−t−ブトキシチタン(46.7g)が10分の間で混合物に添加された。反応混合物は室温で1時間撹拌され、その後100gのトルエンで希釈された。混合物はロータリエバポレーターを用いて25−35℃減圧下で濃縮された。残渣を200gのトルエンで処理し、混合物はふたたびロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮された。最後に残渣は140gのトルエンで処理され、混合物はディーン・スターク・トラップおよび温度計が備え付けられたフラスコに移された。揮発性物質22gを除去したのち、加水分解物は1時間蒸留され水を除去した。この間、溶剤は蒸留フラスコに戻されていた。冷却された溶液は濾過され、ロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮された。残渣はさらに25℃高真空(1mmHg)下で濃縮され、1500の重量平均分子量および1120の数平均分子量を有するシリコーン樹脂51gを得た。
【0094】
実施例5
ホウ酸トリメチル(6.0g)と150.2gのジ−t−ブトキシジアセトキシシランと260.4gのテトラヒドロフランとを、2リットルフラスコ中アルゴン下で混合した。水(20.2g)を混合物に滴下した。混合物は室温で1時間撹拌され、その後200.3gのトルエンで希釈された。混合物はロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮された。残渣を250.1gのトルエンで処理し、ふたたびロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮した。最後に残渣は209.9gのトルエンで処理され、混合物はディーン・スターク・トラップおよび温度計が備え付けられたフラスコに移された。加水分解物は1時間蒸留され、水を除去した。この間、溶剤は蒸留フラスコに戻されていた。冷却された溶液は濾過され、ロータリエバポレーターを用いて33℃減圧下で濃縮された。残渣はさらに25℃高真空(1mmHg)下で濃縮され、12100の重量平均分子量および5140の数平均分子量を有するシリコーン樹脂67.7gを得た。
【0095】
実施例6
実施例2のシリコーン樹脂を25%(w/w)含有するメチルイソブチルケトン溶液を、1.0μmおよび0.2μmのシリンジ型メンブレンフィルターの組合せにて濾過した。溶液が150mm単結晶シリコンウェハーにスピンコート(2000rpm、20秒)された。被覆シリコンウェハーは窒素雰囲気(流速=20L/分)中の石英管炉に置かれた。炉は25℃/分の速度で700℃まで加熱され、700℃に30分間保持され、その後窒素流量を維持し室温まで冷やされた。被膜は3982Åの厚さ、1.3788の屈折率、12.9GPaの弾性率、および1MHzで4.46の比誘電率(D)を有した。被膜のFT−IRスペクトルは、微量のSi−Hおよび被膜中のSi−O結合のモル数の合計に基づいて、4.43モル%のSiOHを含むSiOを示した。
【0096】
実施例7
実施例2のシリコーン樹脂を25%(w/w)含有するメチルイソブチルケトン溶液を、1.0μmおよび0.2μmのシリンジ型メンブレンフィルターの組合せにて濾過した。溶液が150mm単結晶シリコンウェハーにスピンコート(1000rpm、20秒)された。被覆シリコンウェハーは石英管炉に置かれ、オーブンは窒素(流速=20L/分)で浄化された。窒素は流速10L/分の酸素ガスで置き換えられた。炉は25℃/分の速度で680℃まで加熱された。680℃に到達したら、加熱速度を4℃/分に下げ、そして10L/分の流速を有する水蒸気が炉内に導入された。炉は700℃に30分間保持され、その間酸素と水蒸気の流量を維持した。その後酸素および水蒸気は止められ、窒素が20L/分の流速でオーブン内に導入された。オーブンは25℃/分の速度で室温まで冷やされた。被膜は3180Åの厚さ、1.390の屈折率、36.6GPaの弾性率、および2.67GPaの硬さを有した。被膜のFT−IRスペクトルは、Si−H残渣のないおよび被膜中のSi−O結合のモル数の合計に基づいて、1.6モル%のSiOHを含むことを示した。
【0097】
実施例8
実施例2のシリコーン樹脂を25%(w/w)含有するメチルイソブチルケトン溶液15.5gを、フォックス−17フロアブルオキシド84.5gと混合した。得られた溶液を150mm単結晶シリコンウェハーにスピンコートして、加熱後膜厚1μmを得た。被覆ウェハーは、三つの加熱板、150℃、200℃および350℃のそれぞれの上で1分間加熱された。その後、被覆シリコンウェハーは窒素雰囲気(流速=20L/分)中の石英管炉に置かれた。炉は400℃60分間加熱され、その後室温に冷やされた。その間窒素流量が維持された。被覆ウェハーの機械的特性を表1に示す。
【0098】
実施例9
最後の加熱工程を400℃でよりも425℃で行ったことを除いて、実施例8に記載されたとおりに、被覆ウェハーを製造した。被覆ウェハーの機械的特性を表1に示す。
【0099】
実施例10
実施例2のシリコーン樹脂を25%(w/w)含有するメチルイソブチルケトン溶液5gを、フォックス−17フロアブルオキシド95gと混合した。被覆ウェハーを、実施例8に記載されたとおりに製造した。被覆ウェハーの機械的特性を表1に示す。
【0100】
実施例11
最後の加熱工程を400℃でよりも425℃で行ったことを除いて、実施例10に記載されたとおりに、被覆ウェハーを製造した。被覆ウェハーの機械的特性を表1に示す。
【0101】
実施例12
実施例1のシリコーン樹脂を25%(w/w)含有するメチルイソブチルケトン溶液5gを、フォックス−17フロアブルオキシド95gと混合した。被覆ウェハーを、実施例8に記載されたとおりに製造した。被覆ウェハーの機械的特性を表1に示す。
【0102】
比較例1
実施例2のシリコーン樹脂とフォックス−17フロアブルオキシドを含有する溶液がフォックス−17フロアブルオキシドに置き換えられたことを除いて、実施例8に記載されたとおりに、被覆ウェハーを製造した。被覆ウェハーの機械的特性を表1に示す。
【0103】
比較例2
最後の加熱工程を400℃でよりも425℃で行ったことを除いて、比較例1に記載されたとおりに、被覆ウェハーを製造した。被覆ウェハーの機械的特性を表1に示す。
【0104】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式を有するシリコーン樹脂:
(EOs/2(HSiO3/2((RO)SiO1/2((RO)SiO2/2(ROSiO3/2(SiO4/2 (I)
ここで、各Eは独立してホウ素、アルミニウム、およびチタニウムから選択される原子であり;RはCからC10の分岐状アルキルであり;Eがホウ素またはアルミニウムであるときは、s=3で、Eがチタニウムであるときは、s=4であり;tは0.01から0.8であり;vは0から0.99であり;wは0から0.99であり;xは0から0.99であり;yは0から0.99であり;zは0から0.8であり;w+x+y=0.01から0.99;かつ、t+v+w+x+y+z=1。
【請求項2】
前記Eがホウ素である、請求項1のシリコーン樹脂。
【請求項3】
前記シリコーン樹脂が20から105モル%のケイ素結合ヒドロキシ基を有する、請求項1のシリコーン樹脂。
【請求項4】
(A)式(EOs/2(HSiO3/2((RO)SiO1/2((RO)SiO2/2(ROSiO3/2(SiO4/2 (I)、(ここで、各Eは独立してホウ素、アルミニウム、およびチタニウムから選択される原子であり;RはCからC10の分岐状アルキルであり;Eがホウ素またはアルミニウムであるときは、s=3で、Eがチタニウムであるときは、s=4であり;tは0.01から0.8であり;vは0から0.99であり;wは0から0.99であり;xは0から0.99であり;yは0から0.99であり;zは0から0.8であり;w+x+y=0.01から0.99;かつ、t+v+w+x+y+z=1)を有するシリコーン樹脂;および
(B)有機溶剤
からなるシリコーン組成物。
【請求項5】
前記Eがホウ素である、請求項4のシリコーン組成物。
【請求項6】
さらに水素シルセスキオキサン樹脂を含む請求項4のシリコーン組成物。
【請求項7】
被覆基板の製造方法であって、
(A)式(EOs/2(HSiO3/2((RO)SiO1/2((RO)SiO2/2(ROSiO3/2(SiO4/2 (I)、(ここで、各Eは独立してホウ素、アルミニウム、およびチタニウムから選択される原子であり;RはCからC10の分岐状アルキルであり;Eがホウ素またはアルミニウムであるときは、s=3で、Eがチタニウムであるときは、s=4であり;tは0.01から0.8であり;vは0から0.99であり;wは0から0.99であり;xは0から0.99であり;yは0から0.99であり;zは0から0.8であり;w+x+y=0.01から0.99;かつ、t+v+w+x+y+z=1)を有するシリコーン樹脂、および
(B)有機溶剤
からなるシリコーン組成物を基板に塗布して被膜を形成し、および
被膜のシリコーン樹脂を熱分解することからなる方法。
【請求項8】
前記Eがホウ素である、請求項7の方法。
【請求項9】
前記熱分解工程が不活性ガスの雰囲気中で行われる、請求項7の方法。
【請求項10】
前記熱分解工程が350から800℃の温度で行われる、請求項7の方法。

【公表番号】特表2009−545649(P2009−545649A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522781(P2009−522781)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/016522
【国際公開番号】WO2008/018981
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】