説明

シリコーン樹脂層を含む太陽電池

【課題】アモルファスシリコン光電池の製造プロセスに耐えることができる、ポリマーフィルム基板およびポリマーフィルム基板の製造方法を提供する。
【解決手段】基材105、剥離層110、シリコーン樹脂からなる硬化性ケイ素含有組成物層115を順に積層したポリマーフィルム基板100であり、ポリマーフィルム基板100の上にアモルファスシリコン光電池が形成され、アモルファスシリコン光電池が形成された後、剥離層110から基材105が分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して太陽電池に、より詳細にはシリコーンポリマー層に隣接した太陽電池を形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽からの放射で運ばれるエネルギーを、直ちに使用し得る、又は後に使用するために蓄電池に貯蔵し得る電気エネルギーに変換するために多様な状況で使用される。小型で軽量なエネルギー源を必要とする状況で使用できるように、太陽電池の重量及び/又は大きさを低減しようとする傾向が常に存在する。したがって、軽量で可撓性の薄膜太陽電池が多年にわたり開発中である。薄膜太陽電池は、一般に、ガラス基材又はスーパーストレート上に形成される。また、薄膜太陽電池がポリマー基材又はスーパーストレート上に製作されたいくつかの研究が報告されている。しかし、太陽電池を形成するのに使用される製作プロセスには、通常の有機ポリマーフィルムの能力を超える恐れのある高温を伴う場合が多い。例えば、アモルファスシリコン光電池は、有機ポリマーフィルムを350℃もの高い温度に曝露する恐れのあるプロセスを使用して形成される。このような高温に曝露した場合、大部分の有機ポリマーは破壊し、また他の望ましくない影響を被る。
【0003】
Kapton(登録商標)などのポリイミドを含む組成物は、アモルファスシリコン光電池を形成するのに必要な高温に耐え得る場合がある。しかし、ポリイミドは、他の望ましくない特徴を有する。例えば、Kapton(登録商標)は、着色しており、その透明性が大きく限定されるので、スーパーストレートとして使用することができない。紫外光及び原子状酸素などの放射に曝露した場合、ポリイミドはまた、容易に劣化する傾向がある。ポリイミドはまた、周囲の水分を容易に吸収し、真空下でデバイスを製作する際に高速度でガスを放出する傾向がある。ガスの放出は、ポリイミドから形成された構造体及び/又は層の寸法変化を引き起こす恐れがあり、次いで、放出されたガス材料は、太陽電池の形成層を汚染する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の1つ又は複数の課題が及ぼす影響の解消策を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下において、本発明のいくつかの態様を基本的に理解する目的で、本発明の簡単な概要を提供する。本概要は、本発明の包括的な概観ではない。本発明の鍵になる又は重要な要素を特定するものでなく、また本発明の範囲の輪郭を描くものでもない。その唯一の目的は、以下で議論されるより詳細な説明への準備としての概略の形のいくつかの概念を提供することである。
【0006】
本発明の一実施形態では、シリコーン樹脂層を有する太陽電池が提供される。この太陽電池は、少なくとも部分的に硬化したシリコーン樹脂フィルムと、そのシリコーン樹脂フィルムに隣接して形成された光電池素子とを含む。
本発明は、添付の図面と連携して行われる以下の説明を参照することによって理解することができる。この図面において、類似の参照番号は、類似の要素を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】本発明の一実施形態による、太陽電池を形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図1B】本発明の一実施形態による、太陽電池を形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図1C】本発明の一実施形態による、太陽電池を形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図1D】本発明の一実施形態による、太陽電池を形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図1E】本発明の一実施形態による、太陽電池を形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図1F】本発明の一実施形態による、太陽電池を形成する方法の第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図2A】本発明による、太陽電池を形成する方法の第2の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図2B】本発明による、太陽電池を形成する方法の第2の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図2C】本発明による、太陽電池を形成する方法の第2の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図3A】本発明による、太陽電池を形成する方法の第3の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図3B】本発明による、太陽電池を形成する方法の第3の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【図3C】本発明による、太陽電池を形成する方法の第3の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、多様な改変形態及び代替形態を許容することが可能であるが、その特定の実施形態を図面中の実施例を介して示し、本明細書で詳細に説明する。しかし、特定の実施形態の本明細書中の説明は、本発明を開示の特別な形態に限定するものではなく、反対に、その意図は、添付の特許請求の範囲によって規定されたのと同様の本発明の趣旨及び範囲内に入る改変形態、均等形態、及び代替形態の全てを対象とすることである。
【0009】
本発明の例示的な実施形態を以下に説明する。明確性を旨とするので、必ずしも実際の実施の特徴の全てを本明細書で説明するものではない。かかる実際の実施形態の全ての開発において、それぞれの実施で変動することになるシステム関連の遵守事項及びビジネス関連の制約事項など多数の実施特異的な決定を行うことによって開発者の特定の目標を実現すべきであることは当然理解されよう。さらには、こうした開発努力は、複雑で、且つ時間を要するものとなる恐れがあるが、それにも拘らず、本開示の利益を享受する当業者にとっては日常的な取組みであろうことも理解されよう。
【0010】
これから添付の図を参照して本発明を説明することにする。説明の目的のみのために、及び当業者に周知の詳細事項で本発明を曖昧にしないように、多様な構造体、システム、及びデバイスを概略の図面で図示する。いずれにせよ、本発明の例示的な実施例を記述し、説明するために、添付の図面が含まれている。本明細書で使用される単語及び句は、それらの単語及び句についての当該業者の理解と矛盾しない意味を有するものと理解し、且つ解釈すべきである。用語又は句の特別な定義、即ち、当業者によって理解されているのと同様の通常で、且つ慣用的な意味と異なる定義は、本明細書の用語又は句と矛盾しない用法における意味を有するものではない。用語又は句が、特別の意味、即ち、当業者によって理解されているもの以外の意味を有する場合、かかる特別の定義は、用語又は句に対するこの特別の定義を直接に、且つ明白に規定する定義様式で本明細書中に明確に記載されるであろう。
【0011】
図1A、1B、1C、1D、1E、及び1Fは、太陽電池を形成する方法200の第1の例示的実施形態を概念的に例示する。例示的実施形態では、基材105を処理することによって、次に基材105に対して形成される層の粘着性を減少させ、次いで形成される層の基材105からの剥離を可能にするように意図された剥離層110を形成する。剥離層110は、下記のように、シリコーン樹脂が硬化した後、層間剥離によって損傷なしでそれから強化シリコーン樹脂フィルムを除去し得る表面を有する任意の剛性又は可撓性材料であってよい。剥離ライナーの例として、限定されないが、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、PTFE、シリコーン、及びゾルゲルコーティングが挙げられる。例えば、基材105は、Nanofilm、Inc of Valley View、オハイオからのRelisse(登録商標)2520を用いて処理することによって剥離層110が形成される寸法6インチ×6インチを有するガラスプレートであってよい。しかし、本開示の利益を享受する当業者なら、任意の材料を使用することによって基材105及び/又は剥離層110を形成し得ることが理解されよう。さらに、剥離層105は、任意選択であり、本発明を実施するために必須ではない。
【0012】
次いで、図1Aに示すように、硬化性ケイ素含有組成物層115を基材105及び(存在する場合)剥離層110上に堆積する。この硬化性ケイ素含有組成物層115は、スピンコーティング、ディッピング、スプレーイング、ブラッシング、又はスクリーン印刷など従来のコーティング技法を使用して堆積させてよい。一実施形態では、この硬化性ケイ素含有組成物層115は、トルエンで希釈された、樹脂と、1つ又は複数の架橋剤と、触媒とを含む。例えば、この硬化性ケイ素含有組成物層115は、シリコーン樹脂[(PhSiO3/20.75(ViMeSiO1/20.25]10g、1つ又は複数の架橋剤9.3g、及びDow Corning Corporation、Midland、ミシガンから入手可能であるPt/(ViMeSi)O錯体からトルエンでPt1000ppmまで希釈されたPt触媒0.1gを使用して形成された無溶媒硬化性シリコーン樹脂であってよい。この樹脂を以下の本文中で0−3015樹脂と呼ぶことにする。
【0013】
硬化性ケイ素含有組成物フィルム115で使用されるシリコーン樹脂は、平均組成(MeSiO3/20.4(ViMeSiO1/20.6を有するシリコーン樹脂であってよく、このシリコーン樹脂は、温度計、コンデンサ、Dean Starkトラップ、及び撹拌器を備えた500ml三口フラスコにMeSi(OMe)100g及び(ViMeSi)O100.4gを加えることによって形成することができる。次いで、トリフルオロメタンスルホン酸約0.2gを加え、この混合物を加熱なしで30分間撹拌することができる。この段階の後、脱イオン水約40gを加え、この混合物を40分間で60℃まで加熱することができる。40℃未満までこの混合物を冷却した後、CaCO約0.2gを加え、この混合物を2時間撹拌することができる。次いで、トルエン約16gを加え、この混合物を還流するまで加熱することができる。温度が85℃に到達するまでにメタノールを除去することができる。この混合物を40℃未満まで冷却した後、KOH水溶液約0.1gを加えることができる。この混合物を還流するまで加熱することができ、実質的に全く水が出なくなるまで、コンデンサの底部から水を連続的に除去することができる。次いで、混合物を40℃未満まで冷却することができ、ビニルジメチルクロロシラン約0.11gを加えることができる。30分間撹拌した後、生成物をろ過することによって沈殿物を除去することができる。回転式蒸発器を用いて80℃、5mmHgで残留トルエンを除去することができる。
【0014】
架橋剤は、MeSiO(HMeSiO)SiMeを含む組成物を含むことができる。粗製架橋剤の供給は、Dow Corning Corporationから受けることができる。しかし、架橋剤の市販供給物は、通常、関連する成分MeSiO(HMeSiO)SiMeの混合物を含有し、nは1から10の範囲である。したがって、一実施形態では、真空部及び分留カラムを備えた実験室蒸留ユニットを使用することによって成分を分離することができる。例えば、主たる有用な成分MeSiO(HMeSiO)SiMeは、蒸留プロセスの主要生成物であってよい。一部の実施形態では、重合度がより大きい成分MeSiO(HMeSiO)SiMeはまた、架橋剤として使用することができる。
【0015】
上記の硬化性ケイ素含有組成物は、層115を形成するために使用できる組成物の一例にすぎない。代替の実施形態では、硬化性ケイ素含有組成物は、シリコーン樹脂を含む任意のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物であってよいヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物であってよい。こうした組成物は、通常、ケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子を有するシリコーン樹脂と、樹脂中でケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子と反応することが可能である、ケイ素結合水素原子又はケイ素結合アルケニル基を有する架橋剤と、ヒドロシリル化触媒とを含有する。シリコーン樹脂は、通常、M及び/又はDシロキサン単位と組み合わせたT及び/又はQシロキサン単位を含有するコポリマーである。さらに、シリコーン樹脂は、シリコーン組成物の第5及び第6の実施形態に対して以下で記述するゴム修飾シリコーン樹脂であってよい。
【0016】
第1の実施形態によれば、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(I)[式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和がなく、RはR又はアルケニルであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である]を有するシリコーン樹脂であって、但し、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有するシリコーン樹脂(A)と、シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量において分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物(B)と、触媒量のヒドロシリル化触媒(C)とを含む。
【0017】
成分(A)は、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(I)[式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、RはR又はアルケニルであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である]を有する少なくとも1種のシリコーン樹脂であり、但し、シリコーン樹脂は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有する。
【0018】
によって表されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、脂肪族不飽和を含まず、通常、1〜10個の炭素原子、或いは1〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式ヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、分枝又は非分枝構造を有することができる。Rによって表されるヒドロカルビルの例として、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシルなどのアルキル;シクロペンチル、シクロヘキシル、及びメチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル;フェニル及びナフチルなどのアリール;トリル及びキシリルなどのアルカリール;並びにベンジル及びフェネチルなどのアラルキルが挙げられる。Rによって表されるハロゲン置換ヒドロカルビル基の例として、限定されないが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、及び2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルが挙げられる。
【0019】
同じでも異なっていてもよいRによって表されるアルケニル基は、通常、2〜約10個の炭素原子、或いは2〜6個の炭素原子を有し、その例として、限定されないがビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、及びオクテニルが挙げられる。
【0020】
シリコーン樹脂の式(I)では、下付き文字w、x、y、及びzは、モル分率である。下付き文字wは、通常、0〜0.8、或いは0.02〜0.75、或いは0.05〜0.3の値を有し;下付き文字xは、通常、0〜0.6、或いは0〜0.45、或いは0〜0.25の値を有し;下付き文字yは、通常、0〜0.99、或いは0.25〜0.8、或いは0.5〜0.8の値を有し;下付き文字zは、通常、0〜0.75、或いは0〜0.55、或いは0〜0.25の値を有する。また、比y+z/(w+x+y+z)は、通常、0.2〜0.99、或いは0.5〜0.95、或いは0.65〜0.9である。さらには、比w+x/(w+x+y+z)は、通常、0.01〜0.80、或いは0.05〜0.5、或いは0.1〜0.35である。
【0021】
通常、シリコーン樹脂の基Rの少なくとも50モル%、或いは少なくとも65モル%、或いは少なくとも80モル%はアルケニルである。
【0022】
シリコーン樹脂は、通常、数平均分子量(Mn)が、500〜50,000、或いは500〜10,000、或いは1,000〜3,000であり、分子量は、低角レーザー光散乱検出器又は屈折率検出器、及びシリコーン樹脂(MQ)標準を用いるゲル透過クロマトグラフィーによって求められる。
【0023】
シリコーン樹脂の25℃における粘度は、通常、0.01〜100,000Pa・s、或いは0.1〜10,000Pa・s、或いは1〜100Pa・sである。
【0024】
29SiNMRによって測定した場合、シリコーン樹脂は、通常、10%(w/w)未満、或いは5%(w/w)未満、或いは2%(w/w)未満のケイ素結合ヒドロキシ基を含有する。
【0025】
シリコーン樹脂は、RSiO1/2単位(即ち、M単位)及び/又はRSiO2/2単位(即ち、D単位)と組み合わせてRSiO3/2単位(即ち、T単位)及び/又はSiO4/2単位(即ち、Q単位)を含有し、R及びRは、上記で説明し、例示されているのと同様である。例えば、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、及びMTQ樹脂、並びにMDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であってよい。
【0026】
シリコーン樹脂の例として、限定されないが、以下の式:(ViMeSiO1/20.25(PhSiO3/20.75、(ViMeSiO1/20.25(PhSiO3/20.75、(ViMeSiOl/20.25(MeSiO3/20.25(PhSiO3/20.50、(ViMeSiO1/20.15(PhSiO3/20.75(SiO4/20.1、及び(ViMeSiO1/20.15(ViMeSiO1/20.1(PhSiO3/20.75が挙げられ、Meはメチルであり、Viはビニルであり、Phはフェニルであり、カッコの外側の下付き数字は、モル分率を表す。また、これまでの式では、単位の順序は指定されていない。
【0027】
成分(A)は、それぞれが上記と同様である、単一のシリコーン樹脂でも2種以上の異なるシリコーン樹脂を含む混合物でもよい。
【0028】
シリコーン樹脂を調製する方法は、当技術分野で周知であり、この樹脂の多くは市販されている。シリコーン樹脂は、通常、トルエンなどの有機溶媒中でクロロシラン前駆体の適切な混合物を共加水分解することによって調製される。例えば、基本的にRSiO1/2単位及びRSiO3/2単位からなるシリコーン樹脂は、式RSiClを有する化合物と式RSiClを有する化合物をトルエン中で共加水分解することによって調製することができ、R及びRは、上記で定義され、例示されたのと同様である。塩酸水溶液とシリコーン加水分解物を分離し、この加水分解物を水で洗浄することによって残留の酸を除去し、穏やかな縮合触媒の存在下で加熱することによって樹脂に必要な粘度を「与える」。所望であれば、樹脂を有機溶媒中で縮合触媒を用いてさらに処理することによってケイ素結合ヒドロキシ基の含量を低減することができる。或いは、−Br、−I、−OCH、−OC(O)CH、−N(CH、NHCOCH、及び−SCHなど、クロロ以外の加水分解性基を含有するシランを、共加水分解反応の出発物質として利用することもできる。樹脂生成物の特性は、シランの型、シランのモル比、縮合度、及びプロセス条件によって決まる。
【0029】
成分(B)は、成分(A)のシリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量で分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する少なくとも1種の有機ケイ素化合物である。
【0030】
有機ケイ素化合物は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子、或いは分子当り平均少なくとも3個のケイ素結合水素原子を有する。成分(A)の分子当りのアルケニル基の平均数と、成分(B)の分子当りのケイ素結合水素原子の平均数の和が4を超える場合、架橋が行われることは一般に理解されている。
【0031】
有機ケイ素化合物は、オルガノ水素シランであってもオルガノ水素シロキサンであってもよい。オルガノ水素シランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであってよい。同様に、オルガノ水素シロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はポリシロキサンであってよい。有機ケイ素化合物の構造は、線状、分枝状、環式、又は樹脂状であってよい。シクロシラン及びシクロシロキサンは、通常、3〜12個のケイ素原子、或いは3〜10個のケイ素原子、或いは3〜4個のケイ素原子を有する。非環式ポリシラン及びポリシロキサンでは、ケイ素結合水素原子は、末端、懸垂、又は末端と懸垂の両方の位置に位置することができる。
【0032】
オルガノ水素シランの例として、限定されないが、ジフェニルシラン、2−クロロエチルシラン、ビス[(p−ジメチルシリル)フェニル]エーテル、1,4−ジメチルジシリルエタン、1,3,5−トリス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシラン、ポリ(メチルシリレン)フェニレン、及びポリ(メチルシリレン)メチレンが挙げられる。
【0033】
オルガノ水素シランはまた、式HRSi−R−SiRHを有することができ、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、Rは、
【化1】


から選択される式を有する、脂肪族不飽和を含まないヒドロカルビレン基であり、gは1〜6である。Rによって表されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、成分(A)のシリコーン樹脂に対して上記で定義され、例示されたのと同様である。
【0034】
及びRが上記で定義され、例示されたのと同様である式HRSi−R−SiRHを有するオルガノ水素シランの例として、限定されないが、以下の式を有するシランが挙げられる。
【化2】

【0035】
オルガノ水素シロキサンの例として、限定されないが、1,1,3,3−テトラルンメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、トリメチルシロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン)、トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、ジメチル水素シロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン)、並びにMeがメチルである、HMeSiO1/2単位、MeSiO1/2単位、及びSiO4/2単位から本質的になる樹脂が挙げられる。
【0036】
オルガノ水素シロキサンはまた、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(II)[式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、RはR、又は少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有するオルガノシリルアルキル基であり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は、0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は、0.01〜0.8であり、但し、基Rの少なくとも50モル%がオルガノシリルアルキルである]を有するオルガノ水素ポリシロキサン樹脂であることができる。
【0037】
によって表されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、成分(A)のシリコーン樹脂に対して上記で定義され、例示されたのと同様である。Rによって表されるオルガノシリルアルキル基の例として、限定されないが、以下の式:
【化3】


−CHCHSiMeH、
−CHCHSiMe2nSiMeH、
−CHCHSiMe2nSiMePhH、
−CHCHSiMePhH、
−CHCHSiPhH、
−CHCHSiMePhC2nSiPhH、
−CHCHSiMePhC2nSiMeH、
−CHCHSiMePhOSiMePhH、及び
−CHCHSiMePhOSiPh(OSiMePhH)
を有する基が挙げられ、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、下付き文字nは2〜10の値を有する。
【0038】
オルガノ水素ポリシロキサン樹脂の式(II)では、下付き文字w、x、y、及びzは、モル分率である。下付き文字wは、通常、0〜0.8、或いは0.02〜0.75、或いは0.05〜0.3の値を有し;下付き文字xは、通常、0〜0.6、或いは0〜0.45、或いは0〜0.25の値を有し;下付き文字yは、通常、0〜0.99、或いは0.25〜0.8、或いは0.5〜0.8の値を有し;下付き文字zは、通常、0〜0.75、或いは0〜0.55、或いは0〜0.25の値を有する。また、比y+z/(w+x+y+z)は、通常、0.2〜0.99、或いは0.5〜0.95、或いは0.65〜0.9である。さらに、比w+x/(w+x+y+z)は、通常、0.01〜0.80、或いは0.05〜0.5、或いは0.1〜0.35である。
【0039】
通常、オルガノ水素ポリシロキサン樹脂の基Rの少なくとも50モル%、或いは少なくとも65モル%、或いは少なくとも80モル%は、少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有するオルガノシリルアルキル基である。
【0040】
オルガノ水素ポリシロキサン樹脂は、通常、数平均分子量(Mn)が、500〜50,000、或いは500〜10,000、或いは1,000〜3,000であり、分子量は、低角レーザー光散乱検出器又は屈折率検出器、及びシリコーン樹脂(MQ)標準を用いるゲル透過クロマトグラフィーによって求められる。
【0041】
29SiNMRによって測定した場合、オルガノ水素ポリシロキサン樹脂は、通常、10%(w/w)未満、或いは5%(w/w)未満、或いは2%(w/w)未満のケイ素結合ヒドロキシ基を含有する。
【0042】
オルガノ水素ポリシロキサン樹脂は、RSiO1/2単位(即ち、M単位)及び/又はRSiO2/2単位(即ち、D単位)と組み合わせてRSiO3/2単位(即ち、T単位)及び/又はSiO4/2単位(即ち、Q単位)を含有し、R及びRは、上記で説明し、例示されているのと同様である。例えば、オルガノ水素ポリシロキサン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、及びMTQ樹脂、並びにMDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であってよい。
【0043】
オルガノ水素ポリシロキサン樹脂の例として、限定されないが、以下の式:
((HMeSiCSiMeCHCHMeSiO1/20.12(PhSiO3/20.88
((HMeSiCSiMeCHCHMeSiO1/20.17(PhSiO3/20.83
((HMeSiCSiMeCHCHMeSiO1/20.17(MeSiO3/20.17(PhSiO3/20.66
((HMeSiCSiMeCHCHMeSiO1/20.15(PhSiO3/20.75(SiO4/20.10、及び
((HMeSiCSiMeCHCHMeSiO1/20.08((HMeSiCSiMeCHCH)MeSiO1/20.06(PhSiO3/20.86を有する樹脂が挙げられ、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Cはp−フェニレン基を表し、カッコの外側の下付き数字は、モル分率を表す。また、前記の式では、単位の順序は指定されていない。
【0044】
成分(B)は、それぞれが上記と同様である、単一の有機ケイ素化合物でも2種以上の異なる有機ケイ素化合物を含む混合物でもよい。例えば、成分(B)は、単一のオルガノ水素シラン、2種の異なるオルガノ水素シランの混合物、単一のオルガノ水素シロキサン、2種の異なるオルガノ水素シロキサンの混合物、又は1種のオルガノ水素シランと1種のオルガノ水素シロキサンの混合物であってよい。特に、成分(B)は、成分(B)の全重量に対して、少なくとも0.5%(w/w)、或いは少なくとも50%(w/w)、或いは少なくとも75%(w/w)の式(II)を有するオルガノ水素ポリシロキサン樹脂と、オルガノ水素シラン及び/又はオルガノ水素ポリシロキサン樹脂と異なるオルガノ水素シロキサンとを含む混合物であってよい。
【0045】
成分(B)の濃度は、成分(A)のシリコーン樹脂を硬化(架橋)させるのに十分なものである。成分(B)の正確な量は、所望の硬化度で決まり、この硬化度は、一般に、成分(B)のケイ素結合水素原子のモル数と成分(A)のアルケニル基のモル数の比の増加とともに増加する。成分(B)の濃度は、通常、成分(A)のアルケニル基のモル当り0.4〜2モルのケイ素結合水素原子、或いは0.8〜1.5モルのケイ素結合水素原子、或いは0.9〜1.1モルのケイ素結合水素原子をもたらすのに十分なものである。
【0046】
ケイ素結合水素原子を含有する有機ケイ素化合物を調製する方法は、当技術分野で周知である。例えば、オルガノ水素シランは、グリニャール試薬をハロゲン化アルキル又はアリールと反応させることによって調製することができる。特に、式HRSi−R−SiRHを有するオルガノ水素シランは、エーテル中で式Rを有する二ハロゲン化アリールをマグネシウムで処理することによって対応するグリニャール試薬を生成し、次いでR及びRが上記で説明し、例示したのと同様である式HRSiClを有するクロロシランでこのグリニャール試薬を処理することによって調製することができる。
【0047】
オルガノハロシランの加水分解及び縮合などオルガノ水素シロキサンを調製する方法も、当技術分野で周知である。
【0048】
加えて、式(II)を有するオルガノ水素ポリシロキサン樹脂は、ヒドロシリル化触媒(c)及び任意選択で有機溶媒(d)の存在下で、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(I)[式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、RはR又はアルケニルであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である]を有するシリコーン樹脂(a)を分子当り平均2〜4個のケイ素結合水素原子を有し、1,000未満の分子量を有する有機ケイ素化合物(b)と反応させることによって調製することができ、但し、シリコーン樹脂(a)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有し、(b)のケイ素結合水素原子と(a)のアルケニル基のモル比は1.5〜5である。
【0049】
シリコーン樹脂(a)は、シリコーン組成物の成分(A)に対して上記で説明し、例示したのと同様である。シリコーン樹脂(a)は、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の成分(A)として使用されるシリコーン樹脂と同じでも、異なっていてもよい。
【0050】
有機ケイ素化合物(b)は、分子当り平均2〜4個のケイ素結合水素原子を有する少なくとも1種の有機ケイ素化合物である。或いは、有機ケイ素化合物は、分子当り平均2〜3個のケイ素結合水素原子を有する。有機ケイ素化合物は、通常、1,000未満、或いは750未満、或いは500未満の分子量を有する。有機ケイ素化合物のケイ素結合有機基は、成分(A)のシリコーン樹脂の式中のRに対して上記で説明し、例示したのと同様である、双方が脂肪族不飽和基を含まないヒドロカルビル又はハロゲン置換ヒドロカルビル基から選択される。
【0051】
有機ケイ素化合物(b)は、オルガノ水素シランであっても、オルガノ水素シロキサンであってもよい。オルガノ水素シランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであってよい。同様に、オルガノ水素シロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はポリシロキサンであってよい。有機ケイ素化合物の構造は、線状、分枝状、又は環式であってよい。シクロシラン及びシクロシロキサンは、通常、3〜12個のケイ素原子、或いは3〜10個のケイ素原子、或いは3〜4個のケイ素原子を有する。非環式ポリシラン及びポリシロキサンでは、ケイ素結合水素原子は、末端、懸垂、又は末端と懸垂の両方の位置に位置することができる。
【0052】
オルガノ水素シランの例として、限定されないが、ジフェニルシラン、2−クロロエチルシラン、ビス[(p−ジメチルシリル)フェニル]エーテル、1,4−ジメチルジシリルエタン、1,3,5−トリス(ジメチルシリル)ベンゼン、及び1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシランが挙げられる。オルガノ水素シランはまた、式HRSi−R−SiRHを有することができ、R及びRは、上記で説明し、例示したのと同様である。
【0053】
オルガノ水素シロキサンの例として、限定されないが、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、及び1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサンが挙げられる。
【0054】
有機ケイ素化合物(b)は、それぞれが上記と同様である、単一の有機ケイ素化合物であっても2種以上の異なる有機ケイ素化合物を含む混合物であってもよい。例えば、成分(B)は、単一のオルガノ水素シラン、2種の異なるオルガノ水素シランの混合物、単一のオルガノ水素シロキサン、2種の異なるオルガノ水素シロキサンの混合物、又は1種のオルガノ水素シランと1種のオルガノ水素シロキサンの混合物であってよい。
【0055】
上記の、グリニャール試薬とハロゲン化アルキル又はアリールの反応など、オルガノ水素シランを調製する方法は、当技術分野で周知である。同様に、オルガノハロシランの加水分解及び縮合などオルガノ水素シロキサンを調製する方法も、当技術分野で周知である。
【0056】
ヒドロシリル化触媒(c)は、白金族金属(即ち、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウム)、又は白金族金属を含有する化合物を含む周知のヒドロシリル化触媒の任意のものであってよい。白金族金属は、ヒドロシリル化反応でのその高い活性に基づき、白金であることが好ましい。
【0057】
ヒドロシリル化触媒として、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第3419593号でWillingにより開示された塩化白金酸とある種のビニル含有オルガノシロキサンの錯体が挙げられる。この種の触媒は、塩化白金酸と1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応生成物である。
【0058】
ヒドロシリル化触媒はまた、その表面上に白金族金属を有する固体担体を含む担持ヒドロシリル化触媒であってよい。好都合には、担持触媒は、例えば反応混合物をろ過することによってオルガノ水素ポリシロキサン樹脂生成物から分離することができる。担持触媒の例として、限定されないが、炭素上の白金、炭素上のパラジウム、炭素上のルテニウム、炭素上のロジウム、シリカ上の白金、シリカ上のパラジウム、アルミナ上の白金、アルミナ上のパラジウム、及びアルミナ上のルテニウムが挙げられる。
【0059】
有機溶媒(d)は、少なくとも1種の有機溶媒である。有機溶媒は、本方法の条件下で、シリコーン樹脂(a)、有機ケイ素化合物(b)、又はオルガノ水素ポリシロキサン樹脂と反応せず、成分(a)、(b)、及びオルガノ水素ポリシロキサン樹脂と混合可能である非プロトン性又は双極性で非プロトン性の任意の有機溶媒であってよい。
【0060】
有機溶媒の例として、限定されないが、n−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、及びドデカンなどの飽和脂肪族炭化水素;シクロペンタン及びシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、及びメシチレンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン(THF)及びジオキサンなどの環式エーテル;メチルイソブチルケトン(MIBK)などのケトン;トリクロロエタンなどのハロゲン化アルカン;並びにブロモベンゼン及びクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素が挙げられる。有機溶媒(d)は、それぞれが上記と同様である、単一の有機溶媒であっても、2種以上の異なる有機溶媒を含む混合物であってもよい。
【0061】
反応は、ヒドロシリル化反応に適した任意の標準反応器で行うことができる。適切な反応器として、ガラス反応器及びテフロン(登録商標)ライニングガラス反応器が挙げられる。反応器は、撹拌などの撹拌手段を備えるのが好ましい。また、反応は、水分なしで、窒素又はアルゴンなど不活性雰囲気で行うのが好ましい。
【0062】
シリコーン樹脂、有機ケイ素化合物、ヒドロシリル化触媒、及び任意選択で、有機溶媒は、任意の順序で合わせてもよい。通常は、シリコーン樹脂(a)及び、任意選択で、有機溶媒(d)を導入する前に有機ケイ素化合物(b)及びヒドロシリル化触媒(c)を合わせる。
【0063】
反応は、通常、0〜150℃、或いは室温(約23±2℃)〜115℃の温度で行われる。温度が0℃未満である場合、反応速度は通常非常に遅い。
【0064】
反応時間は、シリコーン樹脂及び有機ケイ素化合物の構造、並びに温度など数種の因子で決まる。反応時間は、通常、室温(約23±2℃)〜150℃の温度で1〜24時間である。最適の反応時間は、日常の実験によって決めることができる。
【0065】
有機ケイ素化合物(b)のケイ素結合水素原子とシリコーン樹脂(a)のアルケニル基のモル比は、通常、1.5〜5、或いは1.75〜3、或いは2〜2.5である。
【0066】
ヒドロシリル化触媒(c)の濃度は、シリコーン樹脂(a)と有機ケイ素化合物(b)の付加反応を触媒するのに十分なものである。通常、ヒドロシリル化触媒(c)の濃度は、シリコーン樹脂(a)と有機ケイ素化合物(b)を合わせた重量に対して、白金族金属0.1〜1000ppm、或いは白金族金属1〜500ppm、或いは白金族金属5〜150ppmをもたらすのに十分なものである。反応速度は、白金族金属0.1ppm未満で非常に遅い。1000ppmを超える白金族金属を使用しても反応速度はほとんど増加しないので、不経済である。
【0067】
有機溶媒(d)の濃度は、反応混合物の全重量に対して、通常、0〜99%(w/w)、或いは30〜80%(w/w)、或いは45〜60%(w/w)である。
【0068】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の第1の実施形態では、単離又は精製なしでオルガノ水素ポリシロキサン樹脂を使用することができ、またその樹脂は、蒸発という従来の方法によって大部分の溶媒から分離することもできる。例えば、反応混合物は、減圧下で加熱することができる。さらには、オルガノ水素ポリシロキサン樹脂を調製するために使用されるヒドロシリル化触媒が上記の担持触媒である場合、この樹脂は、反応混合物をろ過することによってヒドロシリル化触媒から容易に分離することができる。しかし、オルガノ水素ポリシロキサン樹脂が、その樹脂を調製するのに使用されたヒドロシリル化触媒から分離されない場合、その触媒を、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の第1の実施形態の成分(C)として使用してもよい。
【0069】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の成分(C)は、成分(A)と成分(B)の付加反応を促進する少なくとも1種のヒドロシリル化触媒である。ヒドロシリル化触媒は、白金族金属、白金族金属を含有する化合物、又はマイクロカプセル化白金族金属含有触媒を含む周知のヒドロシリル化触媒の任意のものであってよい。白金族金属として、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムが挙げられる。白金族金属は、ヒドロシリル化反応でのその高い活性に基づき、白金であることが好ましい。
【0070】
好ましいヒドロシリル化触媒として、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第3419593号でWillingにより開示された塩化白金酸とある種のビニル含有オルガノシロキサンの錯体が挙げられる。この種の好ましい触媒は、塩化白金酸と1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応生成物である。
【0071】
ヒドロシリル化触媒はまた、熱可塑性樹脂中にカプセル化された白金族金属を含むマイクロカプセル化白金族金属含有触媒であってもよい。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒を含有する組成物は、周囲条件下で長期間、通常数ヶ月以上安定であるにも拘らず、熱可塑性樹脂(複数可)の融点又は軟化点を超える温度で比較的速やかに硬化する。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒及びその調製法は、当技術分野で周知であり、それは、米国特許第4766176号とそこに引用の参考文献、及び米国特許第5017654号で例示されている。
【0072】
成分(C)は、単一のヒドロシリル化触媒であっても、構造、形態、白金族金属、錯体化配位子、及び熱可塑性樹脂など少なくとも1つの特性において異なる2種以上の異なる触媒を含む混合物であってもよい。
【0073】
成分(C)の濃度は、成分(A)と成分(B)の付加反応を触媒するのに十分なものである。通常、成分(C)の濃度は、成分(A)と成分(B)を合わせた重量に対して、白金族金属0.1〜1000ppm、好ましくは白金族金属1〜500ppm、より好ましくは白金族金属5〜150ppmをもたらすのに十分なものである。硬化速度は、白金族金属0.1ppm未満で非常に遅い。1000ppmを超える白金族金属を使用しても硬化速度は顕著に増加しないので、不経済である。
【0074】
第2の実施形態によれば、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(III)[式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、RはR又は−Hであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である]を有するシリコーン樹脂であって、但し、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するシリコーン樹脂(A’)と、シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量において分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物(B’)と、触媒量のヒドロシリル化触媒(C)とを含む。
【0075】
成分(A’)は、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(III)[式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、RはR又は−Hであり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は0.01〜0.8である]を有する少なくとも1種のシリコーン樹脂であり、但し、シリコーン樹脂は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する。式(III)では、R、w、x、y、z、y+z/(w+x+y+z)、及びw+x/(w+x+y+z)は、式(I)を有するシリコーン樹脂に対して上記で説明し、例示したのと同様である。
【0076】
通常、シリコーン樹脂の基Rの少なくとも50モル%、或いは少なくとも65モル%、或いは少なくとも80モル%は水素である。
【0077】
シリコーン樹脂は、通常、数平均分子量(Mn)が、500〜50,000、或いは500〜10,000、或いは1,000〜3,000であり、分子量は、低角レーザー光散乱検出器又は屈折率検出器、及びシリコーン樹脂(MQ)標準を用いるゲル透過クロマトグラフィーによって求められる。
【0078】
シリコーン樹脂の25℃における粘度は、通常、0.01〜100,000Pa・s、或いは0.1〜10,000Pa・s、或いは1〜100Pa・sである。
【0079】
29SiNMRによって測定した場合、シリコーン樹脂は、通常、10%(w/w)未満、或いは5%(w/w)未満、或いは2%(w/w)未満のケイ素結合ヒドロキシ基を含有する。
【0080】
シリコーン樹脂は、RSiO1/2単位(即ち、M単位)及び/又はRSiO2/2単位(即ち、D単位)と組み合わせてRSiO3/2単位(即ち、T単位)及び/又はSiO4/2単位(即ち、Q単位)を含有する。例えば、シリコーン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、及びMTQ樹脂、並びにMDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であってよい。
【0081】
成分(A’)として使用するのに適したシリコーン樹脂の例として、限定されないが、以下の式:(HMeSiO1/20.25(PhSiO3/20.75、(HMeSiO2/20.3(PhSiO3/20.6(MeSiO3/20.1、及び(MeSiO1/20.1(HSiO2/20.1(MeSiO3/20.4(PhSiO3/20.4を有する樹脂が挙げられ、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、カッコの外側下付き数字は、モル分率を表す。また、前記の式では、単位の順序は指定されていない。
【0082】
成分(A’)は、それぞれが上記と同様である、単一のシリコーン樹脂であっても、それぞれが上記と同様である2種以上の異なるシリコーン樹脂を含む混合物であってもよい。
【0083】
ケイ素結合水素原子を含有するシリコーン樹脂を調製する方法は、当技術分野で周知であり、この樹脂の多くは市販されている。シリコーン樹脂は、通常、トルエンなどの有機溶媒中でクロロシラン前駆体の適切な混合物を共加水分解することによって調製される。例えば、基本的にRSiO1/2単位及びRSiO3/2単位からなるシリコーン樹脂は、式RSiClを有する化合物と式RSiClを有する化合物をトルエン中で共加水分解することによって調製することができ、R及びRは、上記で定義され、例示されたのと同様である。塩酸水溶液とシリコーン加水分解物を分離し、この加水分解物を水で洗浄することによって残留の酸を除去し、穏やかな非塩基性縮合触媒の存在下で加熱することによって樹脂に必要な粘度を「与える」。所望であれば、樹脂を有機溶媒中で非塩基性縮合触媒を用いてさらに処理することによってケイ素結合ヒドロキシ基の含量を低減することができる。或いは、−Br、−I、−OCH、−OC(O)CH、−N(CH、NHCOCH、及び−SCHなど、クロロ以外の加水分解性基を含有するシランを、共加水分解反応の出発物質として利用することもできる。樹脂生成物の特性は、シランの型、シランのモル比、縮合度、及びプロセス条件によって決まる。
【0084】
成分(B’)は、成分(A’)のシリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量で分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有する少なくとも1種の有機ケイ素化合物である。
【0085】
有機ケイ素化合物は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基、或いは分子当り平均少なくとも3個のケイ素結合アルケニル基を有する。成分(A’)の分子当りのケイ素結合水素原子の平均数と、成分(B’)の分子当りのケイ素結合アルケニル基の平均数の和が4を超える場合、架橋が行われることは一般に理解されている。
【0086】
有機ケイ素化合物は、オルガノシランであってもオルガノシロキサンであってもよい。オルガノシランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであってよい。同様に、オルガノシロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はポリシロキサンであってよい。有機ケイ素化合物の構造は、線状、分枝状、環式、又は樹脂状であってよい。シクロシラン及びシクロシロキサンは、通常、3〜12個のケイ素原子、或いは3〜10個のケイ素原子、或いは3〜4個のケイ素原子を有する。非環式ポリシラン及びポリシロキサンでは、ケイ素結合アルケニル基は、末端、懸垂、又は末端と懸垂の両方の位置に位置することができる。
【0087】
成分(B’)として使用するのに適したオルガノシランの例として、限定されないが、以下の式:ViSi、PhSiVi、MeSiVi、PhMeSiVi、PhSiVi、及びPhSi(CHCH=CHを有するシランが挙げられ、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルである。
【0088】
成分(B’)として使用するのに適したオルガノシロキサンの例として、限定されないが、以下の式:
PhSi(OSiMeVi)、Si(OSiMeVi)、MeSi(OSiMeVi)、及びPhSi(OSiMeVi)を有するシロキサンが挙げられ、Meはメチルであり、Phはフェニルである。
【0089】
成分(B’)は、それぞれが上記と同様である、単一の有機ケイ素化合物であっても、2種以上の異なる有機ケイ素化合物を含む混合物であってもよい。例えば、成分(B’)は、単一のオルガノシラン、2つの異なるオルガノシランの混合物、単一のオルガノシロキサン、2つの異なるオルガノシロキサンの混合物、又は1つのオルガノシランと1つのオルガノシロキサンの混合物であってよい。
【0090】
成分(B’)の濃度は、成分(A’)のシリコーン樹脂を硬化(架橋)させるのに十分なものである。成分(B’)の正確な量は、所望の硬化度で決まり、この硬化度は、一般に、成分(B’)のケイ素結合アルケニル基のモル数と成分(A’)のケイ素結合水素原子のモル数の比の増加とともに増加する。成分(B’)の濃度は、通常、成分(A’)のケイ素結合水素原子のモル当り0.4〜2モルのケイ素結合アルケニル基、或いは0.8〜1.5モルのケイ素結合アルケニル基、或いは0.9〜1.1モルのケイ素結合アルケニル基をもたらすのに十分なものである。
【0091】
ケイ素結合アルケニル基を含有するオルガノシラン及びオルガノシロキサンを調製する方法は、当技術分野で周知であり、この化合物の多くは市販されている。
【0092】
シリコーン組成物の第2の実施形態の成分(C)は、第1の実施形態の成分(C)に対して上記で説明され、例示されたのと同様である。
【0093】
第3の実施形態によれば、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、(A)式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(I)を有するシリコーン樹脂(A)と、シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量において分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物と(B)、触媒量のヒドロシリル化触媒(C)と、(i)RSiO(RSiO)SiR(IV)及び(ii)RSiO(RSiO)SiR(V)から選択される式を有するシリコーンゴム(D)とを含み;式中、Rは、ClからC10ヒドロカルビル又はClからC10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、RはR又はアルケニルであり、Rは、R又は−Hであり、下付き文字a及びbは、1〜4の値であり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は、0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は、0.01〜0.8であり、但し、シリコーン樹脂及びシリコーンゴム(D)(i)はそれぞれ、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(D)(ii)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有し、シリコーンゴム(D)のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子とシリコーン樹脂(A)のケイ素結合アルケニル基のモル比は0.01〜0.5である。
【0094】
シリコーン組成物の第3の実施形態の成分(A)、(B)、及び(C)は、第1の実施形態に対して上記で説明され、例示されたのと同様である。
【0095】
成分(B)の濃度は、成分(A)のシリコーン樹脂を硬化(架橋)させるのに十分なものである。成分(D)が(D)(i)である場合、成分(B)の濃度は、成分(B)のケイ素結合水素原子のモル数と、成分(A)及び成分(D)(i)のケイ素結合アルケニル基のモル数の和の比が通常0.4〜2、或いは0.8〜1.5、或いは0.9〜1.1になるようなものである。さらには、成分(D)が(D)(ii)である場合、成分(B)の濃度は、成分(B)及び成分(D)(ii)のケイ素結合水素原子のモル数の和と成分(A)のケイ素結合アルケニル基のモル数の比が通常0.4〜2、或いは0.8〜1.5、或いは0.9〜1.1になるようなものである。
【0096】
成分(D)は、(i)RSiO(RSiO)SiR(IV)及び(ii)RSiO(RSiO)SiR(V)から選択される式を有するシリコーンゴムであり、式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、RはR又はアルケニルであり、Rは、R又は−Hであり、下付き文字a及びbはそれぞれ、1〜4の値であり、但し、シリコーンゴム(D)(i)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(D)(ii)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する。
【0097】
成分(D)(i)は、式RSiO(RSiO)SiR(IV)を有する少なくとも1種のシリコーンゴムであり、式中、R及びRは、上記で説明され、例示されたのと同様であり、下付き文字aは、1〜4の値であり、但し、シリコーンゴム(D)(i)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有する。或いは、下付き文字aは、2〜4の値、又は2〜3の値を有する。
【0098】
成分(D)(i)として使用するのに適したシリコーンゴムの例として、限定されないが、以下の式:ViMeSiO(MeSiO)SiMeVi、ViMeSiO(PhSiO)SiMeVi、及びViMeSiO(PhMeSiO)SiMeViを有するシリコーンゴムが挙げられ、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルであり、下付き文字aは、1〜4の値である。
【0099】
成分(D)(i)は、それぞれが式(IV)を有する、単一のシリコーンゴムであっても、2種以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物であってもよい。
【0100】
成分(D)(ii)は、式RSiO(RSiO)SiR(V)を有する少なくとも1種のシリコーンゴムであり、式中、R及びRは、上記で説明され、例示されたのと同様であり、下付き文字bは、1〜4の値であり、但し、シリコーンゴム(D)(ii)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する。或いは、下付き文字bは、2〜4の値、又は2〜3の値を有する。
【0101】
成分(D)(ii)として使用するのに適したシリコーンゴムの例として、限定されないが、以下の式:HMeSiO(MeSiO)SiMeH、HMeSiO(PhSiO)SiMeH、HMeSiO(PhMeSiO)SiMeH、及びHMeSiO(PhSiO)(MeSiO)SiMeHを有するシリコーンゴムが挙げられ、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、下付き文字bは、1〜4の値である。
【0102】
成分(D)(ii)は、それぞれが式(V)を有する、単一のシリコーンゴムであっても、2種以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物であってもよい。
【0103】
シリコーンゴム(D)のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子とシリコーン樹脂(A)のケイ素結合アルケニル基のモル比は、通常0.01〜0.5、或いは0.05〜0.4、或いは0.1〜0.3である。
【0104】
ケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子を含有するシリコーンゴムを調製する方法は、当技術分野で周知であり、この化合物の多くは市販されている。
【0105】
第4の実施形態によれば、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(III)を有するシリコーン樹脂(A’)と、シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量において分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物(B’)と、触媒量のヒドロシリル化触媒(C)と、(i)RSiO(RSiO)SiR(IV)及び(ii)RSiO(RSiO)SiR(V)から選択される式を有するシリコーンゴム(D)とを含み;式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、Rは、R又はアルケニルであり、Rは、R又は−Hであり、下付き文字a及びbは、1〜4の値であり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は、0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は、0.01〜0.8であり、但し、シリコーン樹脂及びシリコーンゴム(D)(ii)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有し、シリコーンゴム(D)(i)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(D)のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子とシリコーン樹脂(A’)のケイ素結合水素原子のモル比は0.01〜0.5である。
【0106】
シリコーン組成物の第4の実施形態の成分(A’)、(B’)、及び(C)は、第2の実施形態に対して説明され、例示されたのと同様であり、第4の実施形態の成分(D)は、第3の実施形態に対して説明され、例示されたのと同様である。
【0107】
成分(B’)の濃度は、成分(A’)のシリコーン樹脂を硬化(架橋)させるのに十分なものである。成分(D)が(D)(i)である場合、成分(B’)の濃度は、成分(B’)及び成分(D)(i)のケイ素結合アルケニル基のモル数の和と、成分(A’)のケイ素結合水素原子のモル数の比が通常0.4〜2、或いは0.8〜1.5、或いは0.9〜1.1になるようなものである。さらには、成分(D)が(D)(ii)である場合、成分(B’)の濃度は、成分(B’)のケイ素結合アルケニル基のモル数と、成分(A’)及び成分(D)(ii)のケイ素結合水素原子のモル数の和の比が通常0.4〜2、或いは0.8〜1.5、或いは0.9〜1.1になるようなものである。
【0108】
シリコーンゴム(D)のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子とシリコーン樹脂(A’)のケイ素結合水素原子のモル比は、通常0.01〜0.5、或いは0.05〜0.4、或いは0.1〜0.3である。
【0109】
第5の実施形態によれば、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、ヒドロシリル化触媒及び任意選択で可溶性反応生成物を形成するための有機溶媒の存在下で、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(I)を有するシリコーン樹脂と、式RSiO(RSiO)SiR(VI)を有するシリコーンゴムを反応させることによって調製されるゴム修飾シリコーン樹脂(A’’)であって、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、RはR又はアルケニルであり、Rは、R又は−Hであり、cは、4〜1,000を超える値であり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は、0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は、0.01〜0.8であり、但し、シリコーン樹脂(I)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(VI)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有し、シリコーンゴム(VI)のケイ素結合水素原子とシリコーン樹脂(I)のケイ素結合アルケニル基のモル比は、0.01〜0.5であるゴム修飾シリコーン樹脂(A’’)と;ゴム修飾シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量において分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物(B)と;触媒量のヒドロシリル化触媒(C)とを含む。
【0110】
シリコーン組成物の第5の実施形態の成分(B)及び(C)は、第1の実施形態に対して上記で説明され、例示されたのと同様である。
【0111】
成分(B)の濃度は、ゴム修飾シリコーン樹脂を硬化(架橋)させるのに十分なものである。成分(B)の濃度は、成分(B)及びシリコーンゴム(VI)のケイ素結合水素原子のモル数の和と、シリコーン樹脂(I)のケイ素結合アルケニル基のモル数の比が通常0.4〜2、或いは0.8〜1.5、或いは0.9〜1.1になるようなものである。
【0112】
成分(A’’)は、ヒドロシリル化触媒及び任意選択で可溶性反応生成物を形成するための有機溶媒の存在下で、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(I)を有する少なくとも1種のシリコーン樹脂と、式RSiO(RSiO)SiR(VI)を有する少なくとも1種のシリコーンゴムを反応させることによって調製されるゴム修飾シリコーン樹脂(A’’)であり、式中、R、R、R、w、x、y、z、y+z/(w+x+y+z)、及びw+x/(w+x+y+z)は、上記で説明され、例示されたのと同様であり、下付き文字cは、4〜1,000の値を有する。
【0113】
式(I)を有するシリコーン樹脂は、シリコーン組成物の第1の実施形態に対して上記で説明され、例示されたのと同様である。また、ヒドロシリル化触媒及び有機溶媒は、式(II)を有するオルガノ水素ポリシロキサンを調製する方法において上記で説明され、例示されたのと同様である。本明細書で使用される「可溶性反応生成物」という用語は、有機溶媒が存在する場合、成分(A’’)を調製するための反応の生成物が、有機溶媒中に混和可能であり、沈殿又は懸濁液を形成しないことを意味する。
【0114】
シリコーンゴムの式(VI)では、R及びRは、上記で説明され、例示されたのと同様であり、下付き文字cは、通常、4超〜1,000、或いは10〜500、或いは10〜50の値を有する。
【0115】
式(IV)を有するシリコーンゴムの例として、限定されないが、以下の式:HMeSiO(MeSiO)50SiMeH、HMeSiO(MeSiO)10SiMeH、HMeSiO(PhMeSiO)25SiMeH、及びMeSiO(MeHSiO)10SiMeを有するシリコーンゴムが挙げられ、式中、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、下付き数字は、それぞれの型のシロキサン単位数を表す。
【0116】
式(VI)を有するシリコーンゴムは、単一のシリコーンゴムであっても、それぞれが式(VI)を有する、2種以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物であってもよい。
【0117】
ケイ素結合水素原子を含有するシリコーンゴムを調製する方法は、当技術分野で周知であり、この化合物の多くは市販されている。
【0118】
シリコーン樹脂(I)、シリコーンゴム(VI)、ヒドロシリル化触媒、及び有機溶媒は、任意の順序で合わせてもよい。通常、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、及び有機溶媒を合わせた後、ヒドロシリル化触媒を導入する。
【0119】
反応は、通常、室温(約23±2℃)〜150℃、或いは室温〜100℃の温度で行われる。
【0120】
反応時間は、シリコーン樹脂及びシリコーンゴムの構造、並びに温度など数種の因子で決まる。成分は、通常、ヒドロシリル化反応を完了させるのに十分な時間反応することが可能である。これは、FTIR分光分析法で測定した場合ヒドロシリル化反応において、当初シリコーンゴム中に存在したケイ素結合水素原子の少なくとも95モル%、或いは少なくとも98モル%、或いは少なくとも99モル%が消費されるまで成分を反応させることが可能であることを意味する。反応時間は、通常、室温(約23±2℃)〜100℃の温度で0.5〜24時間である。最適の反応時間は、以下の実施例の項に記載の方法を使用して、日常の実験によって決めることができる。
【0121】
シリコーンゴム(VI)のケイ素結合水素原子とシリコーン樹脂(I)のケイ素結合アルケニル基のモル比は、通常、0.01〜0.5、或いは0.05〜0.4、或いは0.1〜0.3である。
【0122】
ヒドロシリル化触媒の濃度は、シリコーン樹脂(I)とシリコーンゴム(VI)の付加反応を触媒するのに十分なものである。通常、ヒドロシリル化触媒の濃度は、樹脂とゴムを合わせた重量に対して、白金族金属0.1〜1000ppmをもたらすのに十分なものである。
【0123】
有機溶媒の濃度は、反応混合物の全重量に対して、通常、0〜95%(w/w)、或いは10〜75%(w/w)、或いは40〜60%(w/w)である。
【0124】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の第5の実施形態では、単離又は精製なしでゴム修飾シリコーン樹脂を使用することができ、またその樹脂は、蒸発という従来の方法によって大部分の溶媒から分離することもできる。例えば、反応混合物は、減圧下で加熱することができる。さらには、ヒドロシリル化触媒が上記の担持触媒である場合、ゴム修飾シリコーン樹脂は、反応混合物をろ過することによってヒドロシリル化触媒から容易に分離することができる。しかし、ゴム修飾シリコーン樹脂が、その樹脂を調製するのに使用されたヒドロシリル化触媒から分離されない場合、触媒を、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の第5の実施形態の成分(C)として使用してもよい。
【0125】
第6の実施形態によれば、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、ヒドロシリル化触媒及び任意選択で可溶性反応生成物を形成するための有機溶媒の存在下で、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(III)を有するシリコーン樹脂と、式RSiO(RSiO)SiR(VII)を有するシリコーンゴムを反応させることによって調製されるゴム修飾シリコーン樹脂(A’’’)であって、式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、RはR又はアルケニルであり、Rは、R又は−Hであり、下付き文字dは、4超〜1,000の値であり、wは0〜0.8であり、xは0〜0.6であり、yは0〜0.99であり、zは0〜0.75であり、w+x+y+z=1、y+z/(w+x+y+z)は、0.2〜0.99であり、w+x/(w+x+y+z)は、0.01〜0.8であり、但し、シリコーン樹脂(III)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有し、シリコーンゴム(VII)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有し、シリコーンゴム(VII)のケイ素結合アルケニル基とシリコーン樹脂(III)のケイ素結合水素原子のモル比は、0.01〜 0.5であるゴム修飾シリコーン樹脂(A’’’)と;ゴム修飾シリコーン樹脂を硬化させるのに十分な量において分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物(B’)と;触媒量のヒドロシリル化触媒(C)とを含む。
【0126】
シリコーン組成物の第6の実施形態の成分(B’)及び(C)は、第2の実施形態に対して上記で説明され、例示されたのと同様である。
【0127】
成分(B’)の濃度は、ゴム修飾シリコーン樹脂を硬化(架橋)させるのに十分なものである。成分(B’)の濃度は、成分(B’)のケイ素結合アルケニル基及びシリコーンゴム(VII)のモル数の和と、シリコーン樹脂(III)のケイ素結合水素原子のモル数の比が通常0.4〜2、或いは0.8〜1.5、或いは0.9〜1.1になるようなものである。
【0128】
成分(A’’’)は、ヒドロシリル化触媒及び可溶性反応生成物を形成するための有機溶媒の存在下で、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(III)を有する少なくとも1種のシリコーン樹脂と、式RSiO(RSiO)SiR(VII)を有する少なくとも1種のシリコーンゴムを反応させることによって調製されるゴム修飾シリコーン樹脂(A’’’)であり、式中、R、R、R、w、x、y、z、y+z/(w+x+y+z)、及びw+x/(w+x+y+z)は、上記で説明され、例示されたのと同様であり、下付き文字dは、4超〜1,000の値を有する。
【0129】
式(III)を有するシリコーン樹脂は、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の第2の実施形態に対して上記で説明され、例示されたのと同様である。また、ヒドロシリル化触媒及び有機溶媒は、式(II)を有するオルガノ水素ポリシロキサンを調製する方法において上記で説明され、例示されたのと同様である。シリコーン組成物の前記実施形態におけるものと同様に、「可溶性反応生成物」という用語は、有機溶媒が存在する場合、成分(A’’’)を調製するための反応の生成物が、有機溶媒に混和可能であり、沈殿又は懸濁液を形成しないことを意味する。
【0130】
シリコーンゴムの式(VII)では、R及びRは、上記で説明され、例示されたのと同様であり、下付き文字dは、通常、4超〜1,000、或いは10〜500、或いは10〜50の値を有する。
【0131】
式(VII)を有するシリコーンゴムの例として、限定されないが、以下の式:ViMeSiO(MeSiO)50SiMeVi、ViMeSiO(MeSiO)l0SiMeVi、ViMeSiO(PhMeSiO)25SiMeVi、及びViMeSiO(PhMeSiO)25SiMeViを有するシリコーンゴムが挙げられ、式中、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルであり、下付き数字は、それぞれの型のシロキサン単位数を示す。
【0132】
式(VII)を有するシリコーンゴムは、それぞれが式(VII)を有する、単一のシリコーンゴムであっても、2種以上の異なるシリコーンゴムを含む混合物であってもよい。
【0133】
ケイ素結合アルケニル基を含有するシリコーンゴムを調製する方法は、当技術分野で周知であり、この化合物の多くは市販されている。
【0134】
成分(A’’’)を調製するための反応は、式(I)を有するシリコーン樹脂、及び式(VI)を有するシリコーンゴムをそれぞれ式(III)を有する樹脂、及び式(VII)を有するゴムで置換することを除けば、シリコーン組成物の第5の実施形態の成分(A’’)を調製するために上記で説明した方式で行うことができる。シリコーンゴム(VII)のケイ素結合アルケニル基とシリコーン樹脂(III)のケイ素結合水素原子のモル比は、0.01〜0.5、或いは0.05〜0.4、或いは0.1〜0.3である。さらには、シリコーン樹脂及びシリコーンゴムは、通常、ヒドロシリル化反応を完了させるのに十分な時間反応することが可能である。これは、FTIR分光分析法で測定した場合、ヒドロシリル化反応において、当初ゴム中に存在したケイ素結合アルケニル基の少なくとも95モル%、或いは少なくとも98モル%、或いは少なくとも99モル%が消費されるまで成分を反応させることが可能であることを意味する。
【0135】
本方法のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、シリコーン組成物が硬化することによって以下に記載のものと同様の、低い熱膨張係数、大きい引張り強度、及び大きいモジュラスを有する硬化シリコーン樹脂を形成することをそのシリコーン成分が妨害しない限り、追加の成分を含むことができる。追加の成分の例として、限定されないが、3−メチル−3−ペンテン−l−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、ビニルシクロシロキサン、及びトリフェニルホスフィンなどのヒドロシリル化触媒阻害剤;米国特許第4087585号及び同第5194649号で教示の接着促進剤などの接着促進剤;染料;顔料;酸化防止剤;熱安定剤;UV安定剤;難燃剤;流動調節剤;並びに有機溶媒及び反応性希釈剤などの希釈剤が挙げられる。
【0136】
例えば、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有し、25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有するオルガノシロキサン(i)であって、(E)(i)の粘度は、シリコーン組成物のシリコーン樹脂、例えば上記の成分(A)、(A’)、(A’’)、又は(A’’’)の粘度の20%以下であり、オルガノシロキサンは、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2を有し、式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、RはR又はアルケニルであり、mは0〜0.8であり、n=0〜1、p=0〜0.25、q=0〜0.2、m+n+p+q=1、m+nは0に等しくなく、但し、p+q=0の場合、nは0に等しくなく、アルケニル基は必ずしも全てが末端基でないオルガノシロキサン(i)と、(E)(i)のアルケニル基モル当り0.5〜3モルのケイ素結合水素原子が(E)(ii)において提供されるのに十分な量で分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有し、25℃での粘度0.001〜2Pa・sを有するオルガノ水素シロキサン(ii)であって、式(HRSiO1/2(RSiO3/2(SiO4/2を有し、式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、sは0.25〜0.8であり、tは0〜0.5であり、vは0〜0.3であり、s+t+v=1、t+vは0に等しくないオルガノ水素シロキサン(ii)とを含む反応性希釈剤(E)を含有することができる。
【0137】
成分(E)(i)は、分子当り平均少なくとも2個のアルケニル基を有し、25℃での粘度0.001〜2Pa・sを有する少なくとも1種のオルガノシロキサンであり、(E)(i)の粘度は、シリコーン組成物のシリコーン樹脂の粘度の20%以下であり、オルガノシロキサンは、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2を有し、式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、RはR又はアルケニルであり、mは0〜0.8であり、n=0〜1、p=0〜0.25、q=0〜0.2、m+n+p+q=1、m+nは0に等しくなく、但し、p+q=0の場合、nは0に等しくなく、アルケニル基は必ずしも全てが末端基ではない(即ち、オルガノシロキサンのアルケニル基は必ずしも全てがRSiO1/2単位中に存在しない)。さらには、オルガノシロキサン(E)(i)は、直鎖、分枝、又は環式構造を有することができる。例えば、オルガノシロキサン(E)(i)の式中の下付き文字m、p、及びqはそれぞれ0に等しく、そのオルガノシロキサンはオルガノシクロシロキサンである。
【0138】
オルガノシロキサン(E)(i)の25℃における粘度は、通常、0.001〜2Pa・s、或いは0.001〜0.1Pa・s、或いは0.001〜0.05Pa・sである。さらには、オルガノシロキサン(E)(i)の25℃における粘度は、通常、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物のシリコーン樹脂の粘度の20%以下、或いは10%以下、或いは1%以下である。
【0139】
オルガノシロキサン(E)(i)として使用するのに適したオルガノシロキサンの例として、限定されないが、以下の式:(ViMeSiO)、(ViMeSiO)、(ViMeSiO)、(ViMeSiO)、(ViPhSiO)、(ViPhSiO)、(ViPhSiO)、(ViPhSiO)、ViMeSiO(ViMeSiO)SiMeVi、MeSiO(ViMeSiO)SiMe、及び(ViMeSiO)Siを有するオルガノシロキサンが挙げられ、式中、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルであり、下付き数字nは、オルガノシロキサンが25℃で粘度0.001〜2Pa・sを有するような値である。
【0140】
成分(E)(i)は、それぞれが上記のような、単一のオルガノシロキサンであっても、2種以上の異なるオルガノシロキサンを含む混合物であってもよい。アルケニル官能性オルガノシロキサンを作製する方法は、当技術分野で周知である。
【0141】
成分(E)(ii)は、(E)(i)のアルケニル基モル当り0.5〜3モルのケイ素結合水素原子が(E)(ii)に提供されるのに十分な量で、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有し、25℃での粘度0.001〜2Pa・sを有する少なくとも1種のオルガノ水素シロキサンであり、そのオルガノ水素シロキサンは、式(HRSiO1/2(RSiO3/2(SiO4/2を有し、式中、Rは、Cl〜C10ヒドロカルビル又はCl〜C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、いずれも脂肪族不飽和を含まず、sは0.25〜0.8であり、tは0〜0.5であり、vは0〜0.3であり、s+t+v=1、t+vは0に等しくない。
【0142】
オルガノシロキサン(E)(ii)の25℃における粘度は、通常、0.001〜2Pa・s、或いは0.001〜0.1Pa・s、或いは0.001〜0.05Pa・sである。
【0143】
オルガノ水素シロキサン(E)(ii)として使用するのに適したオルガノ水素シロキサンの例として、限定されないが、以下の式:PhSi(OSiMeH)、Si(OSiMeH)、MeSi(OSiMeH)、(HMeSiO)SiOSi(OSiMeH)、及び(HMeSiO)SiOSi(Ph)(OSiMeH)を有するオルガノ水素シロキサンが挙げられ、式中、Meはメチルであり、Phはフェニルである。
【0144】
成分(E)(ii)は、それぞれが上記のような、単一のオルガノ水素シロキサンであっても、2種以上の異なるオルガノ水素シロキサンを含む混合物であってもよい。オルガノ水素シロキサンを作製する方法は、当技術分野で周知である。
【0145】
成分(E)(ii)の濃度は、成分(E)(i)のアルケニル基のモル当り、0.5〜3モルのケイ素結合水素原子、或いは0.6〜2モルのケイ素結合水素原子、或いは0.9〜1.5モルのケイ素結合水素原子を提供するのに十分なものである。
【0146】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物中の、反応性希釈剤(E)、成分(E)(i)、及び成分(E)(ii)を合わせた濃度は、上記の実施形態における、シリコーン樹脂の成分(A)、(A’)、(A’’)、又は(A’’’)、及び有機ケイ素化合物の成分(B)又は(B’)を合わせた重量に対して、通常、0〜90%(w/w)、或いは0〜50%(w/w)、或いは0〜20%(w/w)、或いは0〜10%(w/w)である。
【0147】
シリコーン組成物は、単一部分中にシリコーン樹脂と、有機ケイ素化合物と、ヒドロシリル化触媒とを含む一部型組成物であっても、或いは2つ以上の部分中にこれらの成分を含む複数部型組成物であってもよい。例えば、複数部型シリコーン組成物は、シリコーン樹脂の一部分とヒドロシリル化触媒の全部とを含有する第1部分と、残りの部分のシリコーン樹脂と、有機ケイ素化合物の全部とを含有する第2部分とを含んでもよい。
【0148】
一部型シリコーン組成物は、有機溶媒の補助有り又は無しで、指定の割合の主成分と任意選択である任意の成分とを周囲温度で合わせることによって、通常調製される。種々の成分の添加順序は、シリコーン組成物が直ちに使用される場合、重要ではないが、ヒドロシリル化触媒を約30℃未満で最後に添加することによって組成物が早期に硬化することを防止するのが好ましい。また、複数部型シリコーン組成物は、それぞれの部分の成分を合わせることによって調製することもできる。
【0149】
混合は、回分式又は連続法いずれかで、粉砕、ブレンディング、及び撹拌など当技術分野で公知の任意の技法によって実施することができる。成分の粘度及び最終のシリコーン組成物の粘度によって特定の装置を決定する。
【0150】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の代替として、縮合硬化性シリコーン組成物もまた、本発明のシリコーン組成物に適している。
【0151】
縮合硬化性シリコーン組成物は、通常、ケイ素結合ヒドロキシ又は加水分解性基を有するシリコーン樹脂(A’’’’)と、任意選択で、ケイ素結合加水分解性基及び/又は縮合触媒(C’)を有する架橋剤(B’’)とを含む。シリコーン樹脂(A’’’’)は、通常、M及び/又はDシロキサン単位と組み合わせたT及び/又はQシロキサン単位を含有するコポリマーである。
【0152】
一実施形態によれば、シリコーン樹脂(A’’’’)は、式:
(RSiO1/2w’(RSiO2/2x’(RSiO3/2y’(SiO4/2z’(VIII)
を有し、式中、Rは、上記で説明され、例示されたのと同様であり、RはR、−H、−OH、又は加水分解性基であり、w’は0〜0.8、好ましくは0.02〜0.75、より好ましくは0.05〜0.3であり、x’は0〜0.95、好ましくは0.05〜0.8、より好ましくは0.1〜0.3であり、y’は0〜1、好ましくは0.25〜0.8、より好ましくは0.5〜0.8であり、z’は0〜0.99、好ましくは0.2〜0.8、より好ましくは0.4〜0.6であり、シリコーン樹脂(A’’’’)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合水素原子、ヒドロキシ基、又は加水分解性基を有する。本明細書で使用される「加水分解性基」という用語は、ケイ素結合基が、触媒なしで室温(約23±2℃)〜100℃の任意の温度で数分間以内、例えば30分間水と反応することによってシラノール(Si−OH)基を形成することを意味する。Rによって表される加水分解性基の例として、限定されないが、−CI、−Br、−OR、−OCHCHOR、CHC(=O)O−、Et(Me)C=N−O−、CHC(=O)N(CH)−、及び−ONHが挙げられ、RはCl〜C8ヒドロカルビル又はCl〜C8ハロゲン置換ヒドロカルビルである。
【0153】
によって表されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、通常、1〜8個の炭素原子、或いは3〜6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式ヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、分枝又は非分枝構造を有することができる。Rによって表されるヒドロカルビル基の例として、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチルなどの非分枝及び分枝アルキル;シクロペンチル、シクロヘキシル、及びメチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル;フェニル;トリル及びキシリルなどのアルカリール;ベンジル及びフェネチルなどのアラルキル;ビニル、アリル、及びプロペニルなどのアルケニル;スチリルなどのアリールアルケニル;並びにエチニル及びプロピニルなどのアルキニルが挙げられる。Rによって表されるハロゲン置換ヒドロカルビル基の例として、限定されないが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、及びジクロロフェニルが挙げられる。
【0154】
通常、シリコーン樹脂の基Rの少なくとも5モル%、或いは少なくとも15モル%、或いは少なくとも30モル%は、水素、ヒドロキシ、又は加水分解性基である。本明細書では、R中の基のモル%は、シリコーン樹脂(A’’’’)のケイ素結合基モル数とシリコーン樹脂(A’’’’)の基Rの全モル数の比に100を乗じたものとして定義される。
【0155】
シリコーン樹脂(A’’’’)の特定の例として、限定されないが、以下の式:
(MeSiO3/2、(PhSiO3/2、(MeSiO1/20.8(SiO4/20.2、(MeSiO3/20.67(PhSiO3/20.33、(MeSiO3/20.45(PhSiO3/20.40(PhSiO2/20.1(PhMeSiO2/20.05、(PhSiO3/20.4(MeSiO3/20.45(PhSiO3/20.1(PhMeSiO2/20.05、及び(PhSiO3/20.4(MeSiO3/20.1(PhMeSiO2/20.5を含むシリコーン樹脂が挙げられ、式中、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、カッコの外側の下付き数字はモル分率を表し、下付き文字nは、シリコーン樹脂が500〜50,000の数平均分子量を有するような値である。前記式中の単位順序は、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものと見なすべきでない。これらの式は、樹脂の完全縮合形態を表す。硬化する前、樹脂は、上記で指定した量の−H、−OH及び/又は他の加水分解性基を含むことになる。
【0156】
上記のように、式(VIII)で表されるシリコーン樹脂(A’’’’)は、通常、数平均分子量(Mn)が、500〜50,000である。或いは、シリコーン樹脂(A’’’’)は、300〜測定不能、或いは1,000〜3,000のMnを有してもよく、分子量は、低角レーザー光散乱検出器又は屈折率検出器、及びシリコーン樹脂(MQ)標準を用いるゲル透過クロマトグラフィーによって求められる。
【0157】
シリコーン樹脂(A’’’’)の25℃における粘度は、通常、0.01Pa・sから固体、或いは0.1〜100,000Pa・s、或いは1〜1,000Pa・sである。
【0158】
式(VIII)で表されるシリコーン樹脂(A’’’’)を調製する方法は、当技術分野で周知であり、この樹脂の多くは市販されている。式(VIII)で表されるシリコーン樹脂(A’’’’)は、通常、トルエンなどの有機溶媒中でクロロシラン前駆体の適切な混合物を共加水分解することによって調製される。例えば、RSiO1/2単位及びRSiO3/2単位を含むシリコーン樹脂は、式RSiClを有する第1化合物と式RSiClを有する第2化合物をトルエン中で共加水分解することによって調製することができ、R及びRは、上記で定義され、例示されたのと同様である。共加水分解法は、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を用いて上述されている。共加水分解反応物質は、所望の程度までさらに「加える」ことによって架橋性基の量及び粘度を調節することができる。
【0159】
式(VIII)のQ単位、及びそれとM単位との任意の比の組合せはまた、樹脂(A’’’’)中で明確な粒子の形態で存在することができる。粒径は、通常、1nm〜20μmである。この粒子の例として、限定されないが、直径15nmのシリカ(SiO4/2)粒子が挙げられる。縮合硬化性シリコーン樹脂は、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、及び雲母などの無機充填剤をさらに含有することができる。
【0160】
別の実施形態では、縮合硬化性シリコーン樹脂は、式(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2を有するシリコーン樹脂(i)及び加水分解性前駆体(ii)から選択される有機ケイ素化合物と式RSiO(RSiO)SiRを有するシリコーンゴムを水の存在下で反応させることによって調製されるゴム修飾シリコーン樹脂(A’’’’)と、縮合触媒(iv)と、有機溶媒(v)とを含み、式中、R及びRは上記で定義され、例示されたのと同様であり、RはR又は加水分解性基であり、mは2〜1,000、或いは4〜500、或いは8〜400であり、w、x、y、及びzは上記で定義され、例示されたのと同様であり、シリコーン樹脂(i)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合ヒドロキシ又は加水分解性基を有し、シリコーンゴム(iii)は、分子当り平均少なくとも2個のケイ素結合加水分解性基を有し、シリコーンゴム(iii)のケイ素結合加水分解性基とシリコーン樹脂(i)のケイ素結合ヒドロキシ又は加水分解性基のモル比は、0.01〜1.5、或いは0.05〜0.8、或いは0.2〜0.5である。
【0161】
通常、シリコーン樹脂(i)の基Rの少なくとも5モル%、或いは少なくとも15モル%、或いは少なくとも30モル%は、ヒドロキシ又は加水分解性基である。
【0162】
シリコーン樹脂(i)は、通常、数平均分子量(Mn)が、300〜測定不能、或いは500〜10,000、或いは1,000〜3,000であり、分子量は、低角レーザー光散乱検出器又は屈折率検出器、及びシリコーン樹脂(MQ)標準を用いるゲル透過クロマトグラフィーによって求められる。
【0163】
シリコーン樹脂(i)として使用するのに適したシリコーン樹脂の特定の例として、限定されないが、以下の式:
(MeSiO3/2、(PhSiO3/2、(PhSiO3/20.4(MeSiO3/20.45(PhSiO3/20.1(PhMeSiO2/20.05、及び(PhSiO3/20.3(SiO4/20.1(MeSiO2/20.2(PhSiO2/20.4を含む樹脂が挙げられ、式中、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、カッコの外側の下付き数字はモル分率を表し、下付き文字nは、シリコーン樹脂が500〜50,000の数平均分子量を有するような値である。前記式中の単位の順序は、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものと見なすべきでない。シリコーン樹脂(i)は、それぞれが指定の式を有する、単一のシリコーン樹脂であっても、2種以上の異なるシリコーン樹脂を含む混合物であってもよい。
【0164】
これらの式は、樹脂の完全縮合形態を表す。硬化する前、樹脂は、上記で指定した量の−H、−OH及び/又は他の加水分解性基を含むことになる。
【0165】
本明細書で使用される「加水分解性前駆体」という用語は、シリコーン樹脂(i)を調製するための出発材料(前駆体)として使用するのに適した加水分解性基を有するシランを指す。加水分解性前駆体(ii)は、式RSiX、RSiX、RSiX、及びSiXによって表すことができ、式中、R、R及びXは、上記で定義され、例示されたのと同様である。
【0166】
加水分解性前駆体(ii)の特定の例として、限定されないが、以下の式:
MeViSiCl、MeSiCl、MeSi(OEt)、PhSiCl、MeSiCl、MeSiCl、PhMeSiCl、SiCl、PhSiCl、PhSi(OMe)、MeSi(OMe)、PhMeSi(OMe)、及びSi(OEt)を含むシランが挙げられ、式中、Meはメチルであり、Etはエチルであり、Phはフェニルである。
【0167】
シリコーンゴム(iii)の特定の例として、限定されないが、以下の式:(EtO)SiO(MeSiO)55Si(OEt)、(EtO)SiO(MeSiO)16Si(OEt)、(EtO)SiO(MeSiO)386Si(OEt)、及び(EtO)MeSiO(PhMeSiO)10SiMe(OEt)を含むシリコーンゴムが挙げられ、式中、Meはメチルであり、Etはエチルである。
【0168】
反応は、通常、室温(約23±2℃)〜180℃、或いは室温〜100℃の温度で行われる。
【0169】
反応時間は、シリコーン樹脂(i)及びシリコーンゴム(iii)の構造、並びに温度を含めての数種の因子で決まる。成分は、通常、縮合反応を完了させるのに十分な時間反応することが可能である。これは、29Si NMR分光分析法で測定した場合、縮合反応で、当初シリコーンゴム(iii)中に存在したケイ素結合加水分解性基の少なくとも95モル%、或いは少なくとも98モル%、或いは少なくとも99モル%が消費されるまで成分を反応させることが可能であることを意味する。反応時間は、通常、室温(約23±2℃)〜100℃の温度で1〜30時間である。最適の反応時間は、日常の実験によって決めることができる。
【0170】
適切な縮合触媒(iv)は、以下でさらに詳細に説明され、適切な有機溶媒(v)は、上記のゴム修飾シリコーン樹脂(A’)の文脈で上述されている。縮合触媒(iv)の濃度は、シリコーン樹脂(i)とシリコーンゴム(iii)の縮合反応を触媒するのに十分なものである。通常、縮合触媒(iv)の濃度は、シリコーン樹脂(i)の重量に対して0.01〜2%(w/w)、或いは0.01〜1%(w/w)、或いは0.05〜0.2%(w/w)である。有機溶媒(v)の濃度は、反応混合物の全重量に対して通常10〜95%(w/w)、或いは20〜85%(w/w)、或いは50〜80%(w/w)である。
【0171】
反応混合物の水の濃度は、有機ケイ素化合物の基Rの性質、及びシリコーンゴムのケイ素結合加水分解性基の性質によって決まる。シリコーン樹脂(i)が加水分解性基を含有する場合、水の濃度は、シリコーン樹脂(i)及びシリコーンゴム(iii)の加水分解性基を加水分解させるのに十分なものである。例えば、水の濃度は、通常、シリコーン樹脂(i)とシリコーンゴム(iii)を合わせたものの加水分解性基モル当り、通常0.01〜3モル、或いは0.05〜1モルである。シリコーン樹脂(i)が加水分解性基を含有しない場合、痕跡量、例えば100ppmの水しか反応混合物に必要としない。痕跡量の水は、通常、反応物質及び/又は溶媒中に存在する。
【0172】
上記のように、縮合硬化性シリコーン組成物は、架橋剤(B’’)をさらに含むことができる。架橋剤(B’’)は、式RSiX4−qを有することができ、式中、Rは、Cl〜C8ヒドロカルビル又はCl〜C8ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、Xは加水分解性基であり、qは0又は1である。Rによって表されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基、及びXによって表される加水分解性基は、上記で説明され、例示されたのと同様である。
【0173】
架橋剤(B’’)の特定の例として、限定されないが、MeSi(OCH、CHSi(OCHCH、CHSi(OCHCHCH、CHSi[O(CHCH、CHCHSi(OCHCH、CSi(OCH、CCHSi(OCH、CSi(OCHCH、CH=CHSi(OCH、CH=CHCHSi(OCH、CFCHCHSi(OCH、CHSi(OCHCHOCH、CFCHCHSi(OCHCHOCH、CH=CHSi(OCHCHOCH、CH=CHCHSi(OCHCHOCH、CSi(OCHCHOCH、Si(OCH、Si(OC、及びSi(OCなどのアルコキシシラン;CHSi(OCOCH、CHCHSi(OCOCH、及びCH=CHSi(OCOCHなどのオルガノアセトキシシラン;CHSi[O−N=C(CH)CHCH、Si[O−N=C(CH)CHCH、及びCH=CHSi[O−N=C(CH)CHCHなどのオルガノイミノオキシシラン;CHSi[NHC(=O)CH及びCSi[NHC(=O)CHなどのオルガノアセタミドシラン;CHSi[NH(s−C)]及びCHSi(NHC11などのアミノシラン;並びにオルガノアミノオキシシランが挙げられる。
【0174】
架橋剤(B’’)は、それぞれが上記と同様である、単一のシランであっても、2種以上の異なるシランを含む混合物であってもよい。三及び四官能性シランを調製する方法は、当技術分野で周知であり、この化合物の多くは市販されている。
【0175】
存在する場合、縮合硬化性シリコーン組成物の架橋剤(B’’)の濃度は、縮合硬化性シリコーン樹脂を硬化(架橋)させるのに十分なものである。架橋剤(B’’)の厳密な濃度は、所望の硬化度によって決まり、この硬化度は、架橋剤(B’’)のケイ素結合加水分解性基のモル数とシリコーン樹脂(A’’’’)のケイ素結合水素原子、ヒドロキシ基、又は加水分解性基のモル数の比の増加とともに一般に増加する。通常、架橋剤(B’’)の濃度は、シリコーン樹脂(A’’’’)のケイ素結合水素原子、ヒドロキシ基、又は加水分解性基のモル当り0.2〜4モルのケイ素結合加水分解性基をもたらすのに十分なものである。架橋剤(B’’)の最適濃度は、日常の実験によって容易に決定することができる。
【0176】
縮合触媒(C’)は、ケイ素結合ヒドロキシ(シラノール)基の縮合を促進することによってSi−O−Si結合を形成するのに通常使用される任意の縮合触媒であってよい。縮合触媒の例として、限定されないが、アミン;鉛、スズ、亜鉛、及び鉄とカルボン酸の錯体が挙げられる。特に、縮合触媒(C’)は、ジラウリン酸スズ、ジオクタン酸スズ、及びテトラブチルスズなどのスズ(II)及びスズ(IV)化合物;チタンテトラブトキシドなどのチタン化合物から選択することができる。
【0177】
存在する場合、縮合触媒(C’)の濃度は、シリコーン樹脂(A’’’’)の全重量に対して通常0.1〜10%(w/w)、或いは0.5〜5%(w/w)、或いは1〜3%(w/w)である。
【0178】
縮合硬化性シリコーン組成物が縮合触媒(C’)を含む場合、縮合硬化性シリコーン組成物は、通常、2部分組成物であり、シリコーン樹脂(A’’’’)及び縮合触媒(C’)は別個の部分中に存在する。
【0179】
本発明の縮合硬化性シリコーン組成物は、当技術分野で公知であるものと同様であり、且つヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物に対して上記で説明したのと同様である追加の成分を含んでもよい。
【0180】
ここで図1Bを参照すると、繊維材料120を硬化性ケイ素含有組成物層115の中又は上に配置することができる。挿入図125に示すように、繊維材料120は、開口部135で隔てられた個別の繊維130を含むことができる。したがって、繊維130は、硬化性ケイ素含有組成物層115の中、上、又は上方に存在することができ、開口部135は、硬化性ケイ素含有組成物フィルム115の一部が満たしていてもいなくてもよい。一実施形態では、繊維材料120は、ガラス布である。例えば、BGF Industriesの供給による寸法8インチ×8インチのStyle 106ガラス布片を硬化性ケイ素含有組成物フィルム115の中又は上に配置することができる。しかし、本発明はガラス布に限定されないことが当業者には理解されよう。
【0181】
代替の実施形態では、繊維材料120は、その材料が高モジュラス及び高引張り強度を有するのであれば、繊維125を含む任意の材料であってよい。例えば、繊維材料120は、25℃で少なくとも3GPaのヤング率を有することができる。例えば、繊維材料120は、25℃で3〜1,000GPa、或いは3〜200GPa、或いは10〜100GPaのヤング率を有することができる。さらには、繊維材料120は、25℃で少なくとも50MPaの引張り強度を有することができる。例えば、繊維材料120は、25℃で50〜10,000MPa、或いは50〜1,000MPa、或いは50〜500MPaの引張り強度を有することができる。
【0182】
繊維材料120は、織布、例えば生地;非織布、例えばマット又はロービング;或いはゆるい(個別の)繊維であってよい。繊維材料120中の繊維は、通常、円筒形状で、直径が1〜100μm、或いは1〜20μm、或いは1〜10μmである。ゆるい繊維は、連続していてよく、これは、繊維が、全体として破断されないままで、又はチョップされて、強化シリコーン樹脂フィルム全体に広がることを意味する。繊維材料120は、使用前に熱処理することによって有機汚染物質を除去することができる。例えば、繊維材料120は、空気中で高めの温度、例えば575℃で、適切な時間、例えば2時間加熱することができる。繊維材料120の例として、限定されないが、グラスファイバー;石英ファイバー;黒鉛ファイバー;ナイロンファイバー;ポリエステルファイバー;Kevlar(登録商標)及びNomex(登録商標)などのアラミドファイバー;ポリエチレンファイバー;ポリプロピレンファイバー;並びに炭化ケイ素ファイバーを含む強化材が挙げられる。
【0183】
繊維材料120は、硬化性ケイ素含有組成物層115上に繊維材料120を単に配置し、硬化性ケイ素含有組成物層115のシリコーン組成物が繊維材料120を飽和することが可能になることによって硬化性ケイ素含有組成物層115内に埋め込むことができる。一実施形態では、埋め込まれた繊維材料120は脱気される。埋め込まれた繊維材料120は、室温(約23℃±2℃)〜60℃で埋め込み強化材料中の封入空気を除去するのに十分な時間、それを真空にかけることによって脱気することができる。例えば、埋め込み繊維材料120は、通常、室温で5〜60分間、それを圧力1,000〜20,000Paにかけることによって脱気することができる。
【0184】
ここで図1Cを参照すると、次いで、硬化性ケイ素含有組成物層145を層115及び含浸繊維材料120に施用することができる。層145は、上記の従来技法を使用して施用することができる。層115、含浸繊維材料120、及び層145は、集合的に強化シリコーン樹脂フィルム150と呼ぶことができる。一実施形態では、強化シリコーン樹脂フィルム150は、圧縮することによって過剰のシリコーン組成物及び/又は封入空気を除去し、強化シリコーン樹脂フィルム150の厚さを低減することができる。強化シリコーン樹脂フィルム150は、ステンレス鋼ローラ、液圧プレス、ゴムローラ、又は積層ロールセットなどの従来技法を使用して圧縮することができる。強化シリコーン樹脂フィルム150は、通常、1,000Pa〜10MPaの圧力及び室温(約23℃±2℃)〜50℃の温度で圧縮される。一実施形態では、次いで、強化シリコーン樹脂フィルム150は、任意の上記技法を使用して硬化又は部分硬化させることができる。
【0185】
例示の実施形態では、強化シリコーン樹脂フィルム150は、耐スクラッチ性コーティング155を用いてコートされる。例えば、強化シリコーン樹脂フィルム150は、式(MeSiO3/2)(SiO)を有する樹脂のイソプロパノール溶液を用いてコートすることができる。しかし、本開示の利益を享受する当業者には、特定の耐スクラッチ性コーティング155は、デザインの好みの問題であり、本発明にとって重要ではないことが理解されよう。代替の実施形態では、他の耐スクラッチ性コーティング155、又は複数コーティングの組合せを使用して強化シリコーン樹脂フィルム150をコードすることができる。当業者には、耐スクラッチ性コーティング155は、任意選択であり、本発明の実施に必要ではないことも理解されよう。したがって、一部の実施形態では、いかなる耐スクラッチ性コーティング155も、シリコーン樹脂フィルム150に施用しなくてもよい。
【0186】
双方がDow Corning 0−3015樹脂及びガラス布から調製され、一方は耐スクラッチ性コーティング155でコートされ、他方はコートされていない、上記のシリコーン樹脂フィルム150など2つの強化シリコーン樹脂フィルムを真空室で毎分約5〜10℃の速度で徐々に加熱した。試験の出発時の圧力は、約10−6トールであった。試験中、圧力を基材温度の関数として記録した。耐スクラッチ性コーティングを備えた強化シリコーン樹脂フィルムでは、280℃で最大圧力5.2×10−6トールに到達した。さらに温度が上昇するにつれて、圧力は低下した。非コート強化シリコーン樹脂フィルムでは、150℃で最大圧力13×10−6トールに到達した。この場合も、さらに温度が上昇するにつれて、圧力は低下した。これらのことによって、強化シリコーン樹脂フィルムからの脱気は、有機ポリマーベースの多数のフィルムより少なく、アモルファスシリコンベースの光電池に適していることが分かる。例えば、従来の有機ポリマーベースフィルムは、上記の強化シリコーン樹脂フィルムが到達する最大圧力と同等である、又はそれよりも2桁超大きい恐れのある最大圧力を示す。
【0187】
光電池素子160は、強化シリコーン樹脂フィルム150、又は存在すれば、耐スクラッチ性コーティング155に隣接して形成することができる。当技術分野での普通の用法に従って、「隣接した」という用語は、第1の層を第2の層に直接隣接して形成してよいことを意味すると理解されよう。さらに、「隣接した」という用語はまた、第1の層が第2の層の近くに形成されることも示し、第1の層と第2の層の間に1つ又は複数の介在層が存在する場合もある。例示の実施形態では、光電池素子160は、強化シリコーン樹脂フィルム150、又は存在すれば、耐スクラッチ性コーティング155の上方に形成される。したがって、強化シリコーン樹脂フィルム150は、光電池素子160の基材として働くことができる。しかし、本開示の利益を享受する当業者には、強化シリコーン樹脂フィルム150は、基材としての働きに限定されないことが理解されよう。代替の実施形態では、強化シリコーン樹脂フィルム150は、光電池素子160に対するスーパーストレートであってもよい。
【0188】
光電池素子160は、図1Eに示すような1つ又は複数の層を含むことができる。例示の実施形態では、モリブデン層165を耐スクラッチ性コーティング155に隣接して形成し、反射層170をモリブデン層165に隣接して形成する。例えば、反射層170を酸化亜鉛及び/又はアルミニウムから形成してよい。層165、170は、当業者に公知の従来法を使用して形成することができる。例えば、太陽電池は、耐スクラッチ性コーティング155をコートした強化シリコーン樹脂フィルム150上にモリブデン(Mo)層をスパッタリングすることによって製作することができる。次いで、ZnO/Alからなる反射層170をMo上にRFスパッタリングすることができる。一実施形態では、Alは、250℃、出力100W、Ar流速30sccm、及び圧力4.5mトールでスパッタリングされる。本実施形態では、ZnOに対するスパッタリングの設定は、250℃、出力100W、Ar流速4sccm、及び圧力4.5mトールである。生成フィルムの厚さは、Alで約100nm、ZnOで約500nmである。
【0189】
次いで、光反応層175を反射層170の上方に形成することができ、接触層180を光反応層175の上方に形成することができる。光反応層175及び接触層180は、当業者に公知の技法を使用して形成することができる。例えば、光反応層175は、ラジオ周波数プラズマ強化化学蒸着法(RF−PECVD)によって堆積できる中間バンドギャップn−i−p a−SiGe:H太陽電池を含むことができる。例示の実施形態では、セルスタック175は厚さ約3ミクロンである。次いで、インジウムスズ酸化物(ITO)トップコンタクト180は、ラジオ周波数(RF)スパッタリングによって施用することができ、光補助電気化学シャント不導態化を行うことができる。一実施形態では、ITOコンタクト180は、エッチングすることによって測定用及び収率評価用のより小型の電池を製造することができる。
【0190】
次いで、光電池素子160と強化シリコーン樹脂フィルム150とを含む完成太陽電池185は、図1Fに示すように、基材、及び存在すれば剥離層から取り外すことができる。基材層105は、太陽電池製作プロセス中に必ずしも存在しなければならないものではないことも当業者に理解されよう。強化シリコーン樹脂フィルムは、105から剥離させることができ、自立型になる。次いで、太陽電池スタックは、自立性強化シリコーン樹脂フィルム上に製作することができる。この場合、105から剥離するステップは全く必要でない。太陽電池185の特性は、多様な測定を使用して求めることができる。例えば、一実施形態では、小面積電池のI−Vパラメータを測定した。結果は:
OC=0.49V、JSC=15.6mA/cm(量子効率測定から)、FF=0.49、及びAM1.5G照射下での効率=3.7%であった。別の実施形態では、既に説明したガラス布強化0−3015樹脂の連続ロール上に形成されたアモルファスシリコン太陽電池は、約1%の効率をもたらした。同じ基材上に形成された他のアモルファスシリコン太陽電池は、効率3.7%を実現した。
【0191】
図2A、2B、及び2Cは、太陽電池を形成する方法200の第2の例示的実施形態を概念的に例示する。例示の実施形態では、基材205を処理することによって、続いて形成される層の基材205への粘着性を減少させ、且つ続いて形成される層の基材205からの剥離が可能になるよう意図されている剥離層210を形成する。剥離層210は、以下に説明するように、シリコーン樹脂が硬化した後、強化シリコーン樹脂フィルムが、それからの剥離の際に損傷することなく除去できる表面を有する任意の剛性又は可撓性材料であってよい。剥離ライナーの例として、限定されないが、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、PTFE、シリコーン、及びゾルゲルコーティングが挙げられる。例えば、基材205は、Nanofilm、Inc of Valley View、オハイオのからのRelisse(登録商標)2520で処理することによって剥離層210を形成する、寸法6インチ×6インチのガラスプレートであってよい。しかし、本開示の利益を享受する当業者には、基材205及び/又は剥離層210を形成するのに任意の材料を使用することができることが理解されよう。さらには、剥離層210は任意選択であり、本発明を実施するために必須ではない。
【0192】
図2Aに示すように、繊維材料215を基材205、又は存在すれば、剥離層210の中又は上に配置することができる。挿入図220に示すように、繊維材料215は、開口部230で隔てられた個別の繊維225を含むことができる。したがって、繊維225は、基材205、又は存在すれば、剥離層210の中、上、又は上方に存在することができる。一実施形態では、繊維材料215は、ガラス布である。例えば、BGF Industriesの供給による寸法8インチ×8インチのStyle 106ガラス布片を基材205、又は存在すれば、剥離層210の中又は上に配置することができる。しかし、本発明はガラス布に限定されないことが当業者には理解されよう。代替の実施形態では、繊維材料215は、繊維225を含む任意の材料であってよい。代替の繊維材料215の例は、上記で詳細に議論されている。
【0193】
ここで図2Bを参照すると、次いで、硬化性ケイ素含有組成物層235を、基材205、剥離層210(存在すれば)、及び繊維材料215の中、上、又は上方に施用することができる。層235は、上記の従来技法を使用して施用することができる。一実施形態では、強化シリコーン樹脂フィルム240は、圧縮することによって過剰のシリコーン組成物及び/又は封入空気を除去し、強化シリコーン樹脂フィルム240の厚さを低減することができる。強化シリコーン樹脂フィルム240は、ステンレス鋼ローラ、液圧プレス、ゴムローラ、又は積層ロールセットなどの従来技法を使用して圧縮することができる。強化シリコーン樹脂フィルム240は、通常、1,000Pa〜10MPaの圧力及び室温(約23℃±2℃)〜50℃の温度で圧縮される。一実施形態では、次いで、強化シリコーン樹脂フィルム240は、任意の上記技法を使用して硬化又は部分硬化させることができる。例示の実施形態に示されていないが、強化シリコーン樹脂フィルム240は、上記で議論したように、耐スクラッチ性コーティングを用いてコートすることができる。層235、繊維材料215、及び耐スクラッチ性コーティング(存在すれば)は、集合的に強化シリコーン樹脂フィルム240と呼ぶことができる。
【0194】
図2Cに示すように、光電池素子245は、強化シリコーン樹脂フィルム240に隣接して形成することができる。例示の実施形態では、光電池素子245は、強化シリコーン樹脂フィルム240の上方に形成され、光電池素子245のための基材として働くことができる。しかし、上記で議論したように、或いは、強化シリコーン樹脂フィルム240は、光電池素子245のためのスーパーストレートであってもよい。光電池素子245は、1つ又は複数の層を含むことができる。例示の実施形態では、光電池素子245は、モリブデン層250、反射層260、光反応層265、及び接触層270を含む。上記で議論したように、反射層260は、酸化亜鉛及び/又はアルミニウムから形成することができ、光反応層265は、中間バンドギャップn−i−p a−SiGe:H太陽電池を含むことができ、接触層270は、インジウムスズ酸化物(ITO)であってよい。次いで、光電池素子245と強化シリコーン樹脂フィルム240とを含む完成太陽電池275は、基材、及び存在すれば剥離層から取り外すことができる。或いは、強化シリコーン樹脂フィルム240は、基材105から最初に剥離させることができる。次いで、類似の太陽電池製作プロセスに従うことによって直接、自立性強化シリコーン樹脂フィルム上に太陽電池を製造することができる。
【0195】
図3A、3B、及び3Cは、太陽電池を形成する方法300の第3の例示的実施形態を概念的に例示する。例示の実施形態では、基材305を処理することによって、続いて形成される層の基材305への粘着性を減少させ、且つ続いて形成される層の基材305からの剥離が可能になるよう意図されている剥離層310を形成する。上記で議論したように、剥離層310は、シリコーン樹脂が硬化した後、強化シリコーン樹脂フィルムが、それからの剥離の際に損傷することなく除去できる表面を有する任意の剛性又は可撓性材料であってよい。剥離ライナーの例として、限定されないが、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、PTFE、シリコーン、及びゾルゲルコーティングが挙げられる。さらには、剥離層310は任意選択であり、本発明を実施するために必須ではない。
【0196】
次いで、硬化性無溶媒樹脂層315を基材305、又は存在すれば剥離層310上に堆積させる。層315を形成するために使用できる樹脂の例は、上記されており、層315は、本明細書に記載の任意の技法を使用して堆積させることができる。多様な実施形態では、硬化性無溶媒樹脂は、金型又は剥離性基材中に流延することができ、また表面上コートすることができる。次いで、層315は、少なくとも部分的に硬化させることができる。例えば、層315は、以下のプロセスを介して空気循環式オーブンで加熱することができる:5℃/分で100℃まで、100℃で1時間滞留、5℃/分で160℃まで、160℃で1時間滞留、5℃/分で200℃まで、200℃で2時間滞留。樹脂層315はまた、基材305、又は存在すれば剥離コーティング層310上に配置された予備硬化樹脂フィルムであってもよい。
【0197】
図3Cに示した実施形態では、次いで、光電池素子320は、硬化又は部分硬化した層315に隣接して形成することができる。しかし、本開示の利益を享受する当業者には、本発明は、硬化又は部分硬化した層315が、基材305、又は存在すれば剥離層310に隣接して留まる間に、光電池素子320を形成する実施形態に限定されないことが理解されよう。代替の実施形態では、硬化又は部分硬化層315は、光電池素子320を硬化又は部分硬化層315に隣接して形成する前に基材305、又は存在すれば剥離層310から取り外すことができる。上記で議論したように、光電池素子320は、モリブデン層325、反射層330、光反応層335、及び接触層340を含むことができる。次いで、光電池素子320と強化シリコーン樹脂フィルム315とを含む完成太陽電池345は、図3Cに示すように、基材305、及び存在すれば剥離層310から取り外すことができる。或いは、シリコーン樹脂フィルム240は、基材105から最初に剥離させることができる。次いで、類似の太陽電池製作プロセスに従うことによって、自立性強化シリコーン樹脂フィルム上に太陽電池を直接製造することができる。
【0198】
本発明は、本発明の教示の利益を享受する当業者に自明の異なるが等価である方式で改変し実施することができるので、上記で開示の特定の実施形態は、例示するためのみのものである。例えば、シリコーン樹脂フィルムは、ステンレス鋼ホイルなどの金属箔上にコートすることができ、コートした金属箔を前記太陽電池用の基材として使用することができる。さらには、以下の特許請求の範囲以外の、本明細書に示された構築又は設計の詳細に対する制約は全く存在しない。したがって、上記開示の特定の実施形態は、変更又は改変することができ、そうした変形形態は全て、本発明の範囲及び趣旨内であると見なされることは明らかである。したがって、本明細書で求めた保護事項は、以下の特許請求の範囲に記載のものと同様である。
【0199】
以下に記載されるものも、本発明の更なる実施態様である。
1.
少なくとも部分的に硬化したシリコーン樹脂フィルムと、
そのシリコーン樹脂フィルムに隣接して形成された光電池素子と
を含む装置。
2.
シリコーン樹脂フィルムが、脱気ポリマー及び少なくとも1種の脱気架橋剤を使用して形成された硬化性エラストマーシリコーン組成物を含む、1に記載の装置。
3.
脱気ポリマーが、真空及び熱の少なくとも一方に曝露させることによってポリマーから揮発分を除去した脱気ビニル官能性シロキサンポリマーを含む、2に記載の装置。
4.
前記少なくとも1種の脱気架橋剤が、真空及び熱の少なくとも一方に曝露させることによって架橋剤から揮発分を除去した、SiH官能基を有する脱気メチル水素シロキサンポリマーを含む、3に記載の装置。
5.
シリコーン樹脂フィルムが、少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを含む、1に記載の装置。
6.
前記少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムが、繊維材料を含浸した少なくとも1種のシリコーン樹脂フィルムを含む、5に記載の装置。
7.
前記少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムが、ケイ素含有組成物の第1の層と、第1の層に隣接した第1の面を有する繊維材料と、繊維材料の第2の面に隣接したケイ素含有組成物の第2の層とを含み、第2の面が第1の面と対向する、5に記載の装置。
8.
ケイ素含有組成物が、脱気ポリマー及び少なくとも1種の脱気架橋剤を使用して形成された硬化性エラストマーシリコーン組成物を含み、繊維材料が、複数のグラスファイバーとその間にある複数の開口部とを含むガラス布を含む、7に記載の装置。
9.
シリコーン樹脂フィルムが、光電池素子用の基材及びスーパーストレートの少なくとも1つである、1に記載の装置。
10.
光電池素子が、中間バンドギャップ太陽電池を含む、1に記載の装置。
11.
中間バンドギャップ太陽電池が、SiGe:Hを含む太陽電池を含む、10に記載の装置。
12.
シリコーン樹脂フィルムに隣接したモリブデン層と、モリブデン層に隣接した酸化亜鉛/アルミニウム層とを含み、モリブデン層が中間バンドギャップ太陽電池に隣接する、10に記載の装置。
13.
中間バンドギャップ太陽電池に隣接するインジウムスズ酸化物を含む、12に記載の装置。
14.
光電池素子が、シリコーン樹脂フィルムに直接隣接して形成される、1に記載の装置。
15.
シリコーン樹脂フィルムが、金属箔上のコーティング層である、1に記載の装置。
16.
金属箔がステンレス鋼ホイルである、15に記載の装置。
17.
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップと、
シリコーン樹脂フィルムに隣接して光電池素子を形成するステップと
を含む方法。
18.
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、
硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積させるステップと、
シリコーン樹脂組成物を少なくとも部分的に硬化させることによってシリコーン樹脂フィルムを形成するステップと
を含む、17に記載の方法。
19.
硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積させるステップが、脱気ポリマー及び少なくとも1種の脱気架橋剤を含む硬化性エラストマーシリコーン組成物を堆積させるステップを含む、18に記載の方法。
20.
硬化性エラストマーシリコーン組成物を堆積させるステップが、真空及び熱の少なくとも一方に曝露させることによってポリマーから揮発分を除去した脱気ビニル官能性シロキサンポリマーを堆積させるステップを含む、19に記載の方法。
21.
硬化性エラストマーシリコーン組成物を堆積させるステップが、真空及び熱の少なくとも一方に曝露することによって架橋剤から揮発分を除去した、SiH官能基を有する脱気メチル水素シロキサンポリマーを堆積させるステップを含む、19に記載の方法。
22.
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを形成するステップを含む、17に記載の方法。
23.
前記少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、前記少なくとも1種のシリコーン樹脂フィルムに繊維材料を含浸させるステップを含む、22に記載の方法。
24.
前記少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、ケイ素含有組成物の第1の層を形成するステップと、第1の層に隣接した第1の面を有する繊維材料を配置するステップと、繊維材料の第2の面に隣接したケイ素含有組成物の第2の層を形成するステップとを含み、第2の面が第1の面に対向する、22に記載の方法。
25.
ケイ素含有組成物の第1の層又は第2の層を形成するステップが、脱気ポリマー及び少なくとも1種の脱気架橋剤を使用して形成された硬化性エラストマーシリコーン組成物の第1の層又は第2の層を形成するステップを含む、24に記載の方法。
26.
繊維材料を配置するステップが、複数のグラスファイバーとその間にある複数の開口部とを含むガラス布を第1の層に隣接して配置するステップを含む、24に記載の方法。
27.
シリコーン樹脂フィルムが、光電池素子用の基材及びスーパーストレートの少なくとも1つであるようにシリコーン樹脂フィルム及び光電池素子を形成するステップを含む、17に記載の方法。
28.
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、金属箔上にシリコーン樹脂又はシリコーン樹脂の混合物を堆積させるステップと、シリコーン樹脂を少なくとも部分的に硬化させるステップとを含む、27に記載の方法。
29.
光電池素子を形成するステップが、中間バンドギャップ太陽電池を形成するステップを含む、28に記載の方法。
30.
中間バンドギャップ太陽電池を形成するステップが、SiGe:Hを含む太陽電池を形成するステップを含む、29に記載の方法。
31.
シリコーン樹脂フィルムに隣接したモリブデン層を形成するステップと、モリブデン層に隣接した酸化亜鉛/アルミニウム層を形成するステップとを含み、モリブデン層が中間バンドギャップ太陽電池に隣接する、29に記載の方法。
32.
中間バンドギャップ太陽電池に隣接したインジウムスズ酸化物を形成するステップを含む、29に記載の方法。
33.
シリコーン樹脂フィルムに隣接した光電池素子を形成するステップが、シリコーン樹脂フィルムに直接隣接した光電池素子を形成するステップを含む、17に記載の方法。
34.
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップと、
シリコーン樹脂フィルムに隣接した光電池素子を形成するステップとを含む方法によって形成される太陽電池。
35.
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、
硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積させるステップと、
シリコーン樹脂組成物を少なくとも部分的に硬化させることによってシリコーン樹脂フィルムを形成するステップとを含む、34に記載の方法によって形成される太陽電池。
36.
硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積させるステップが、脱気ポリマー及び少なくとも1種の脱気架橋剤を含む硬化性エラストマーシリコーン組成物を堆積させるステップを含む、35に記載の方法によって形成される太陽電池。
37.
硬化性エラストマーシリコーン組成物を堆積させるステップが、真空及び熱の少なくとも一方に曝露させることによってポリマーから揮発分を除去した脱気ビニル官能性シロキサンポリマーを堆積させるステップを含む、36に記載の方法によって形成される太陽電池。
38.
硬化性エラストマーシリコーン組成物を堆積させるステップが、真空及び熱の少なくとも一方に曝露させることによって架橋剤から揮発分を除去した、SiH官能基を有する脱気メチル水素シロキサンポリマーを堆積させるステップを含む、36に記載の方法によって形成される太陽電池。
39.
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを形成するステップを含む、34に記載の方法によって形成される太陽電池。
40.
前記少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、前記少なくとも1種のシリコーン樹脂フィルムに繊維材料を含浸するステップを含む、39に記載の方法によって形成される太陽電池。
41.
前記少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、ケイ素含有組成物の第1の層を形成するステップと、第1の層に隣接した第1の面を有する繊維材料を配置するステップと、繊維材料の第2の面に隣接したケイ素含有組成物の第2の層を形成するステップとを含み、第2の面が第1の面に対向する、39に記載の方法によって形成される太陽電池。
42.
ケイ素含有組成物の第1の層又は第2の層を形成するステップが、脱気ポリマー及び少なくとも1種の脱気架橋剤を使用して形成された硬化性エラストマーシリコーン組成物の第1の層又は第2の層を形成するステップを含む、41に記載の方法によって形成される太陽電池。
43.
繊維材料を配置するステップが、複数のグラスファイバーとその間にある複数の開口部とを含むガラス布を第1の層に隣接して配置するステップを含む、41に記載の方法によって形成される太陽電池。
44.
シリコーン樹脂フィルムが、光電池素子用の基材及びスーパーストレートの少なくとも1つであるようにシリコーン樹脂フィルム及び光電池素子を形成するステップを含む、34に記載の方法によって形成される太陽電池。
45.
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、金属箔上にシリコーン樹脂又はシリコーン樹脂の混合物を堆積させるステップと、シリコーン樹脂を少なくとも部分的に硬化させるステップとを含む、34に記載の方法によって形成される太陽電池。
46.
光電池素子を形成するステップが、中間バンドギャップ太陽電池を形成するステップを含む、34に記載の方法によって形成される太陽電池。
47.
中間バンドギャップ太陽電池を形成するステップが、SiGe:Hを含む太陽電池を形成するステップを含む、46に記載の方法によって形成される太陽電池。
48.
シリコーン樹脂フィルムに隣接したモリブデン層を形成するステップと、モリブデン層に隣接した酸化亜鉛/アルミニウム層を形成するステップとを含み、モリブデン層が中間バンドギャップ太陽電池に隣接する、46に記載の方法によって形成される太陽電池。
49.
中間バンドギャップ太陽電池に隣接したインジウムスズ酸化物層を形成するステップを含む、48に記載の方法によって形成される太陽電池。
50.
シリコーン樹脂フィルムに隣接した光電池素子を形成するステップが、シリコーン樹脂フィルムに直接隣接した光電池素子を形成するステップを含む、34に記載の方法によって形成される太陽電池。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に硬化した自立性シリコーン樹脂フィルムと、
その自立性シリコーン樹脂フィルムに隣接して形成された光電池素子と
を含む装置であって、
該シリコーン樹脂フィルムが、基材上に形成され、その後、該自立性シリコーン樹脂フィルムが該光電池素子用の基材又はスーパーストレートとして機能するように、該基材から剥離されるものである、上記装置。
【請求項2】
シリコーン樹脂フィルムが、脱気ポリマー及び少なくとも1種の脱気架橋剤を使用して形成された硬化性エラストマーシリコーン組成物を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
脱気ポリマーが、真空及び熱の少なくとも一方に曝露させることによってポリマーから揮発分を除去した脱気ビニル官能性シロキサンポリマーを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1種の脱気架橋剤が、真空及び熱の少なくとも一方に曝露させることによって架橋剤から揮発分を除去した、SiH官能基を有する脱気メチル水素シロキサンポリマーを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
シリコーン樹脂フィルムが、少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムが、繊維材料を含浸した少なくとも1種のシリコーン樹脂フィルムを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムが、ケイ素含有組成物の第1の層と、第1の層に隣接した第1の面を有する繊維材料と、繊維材料の第2の面に隣接したケイ素含有組成物の第2の層とを含み、第2の面が第1の面と対向する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
ケイ素含有組成物が、脱気ポリマー及び少なくとも1種の脱気架橋剤を使用して形成された硬化性エラストマーシリコーン組成物を含み、繊維材料が、複数のグラスファイバーとその間にある複数の開口部とを含むガラス布を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
光電池素子が、中間バンドギャップ太陽電池を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
中間バンドギャップ太陽電池が、SiGe:Hを含む太陽電池を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
シリコーン樹脂フィルムに隣接したモリブデン層と、モリブデン層に隣接した酸化亜鉛/アルミニウム層とを含み、モリブデン層が中間バンドギャップ太陽電池に隣接する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
中間バンドギャップ太陽電池に隣接するインジウムスズ酸化物を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
光電池素子が、シリコーン樹脂フィルムに直接隣接して形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
シリコーン樹脂フィルムが、金属箔上のコーティング層である、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
金属箔がステンレス鋼ホイルである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
シリコーン樹脂フィルムを基材上に形成するステップと、
シリコーン樹脂フィルムに隣接して光電池素子を形成するステップと、
該シリコーン樹脂フィルムが該光電池素子用の自立性基材又は自立性スーパーストレートとして機能するように、該シリコーン樹脂フィルムを該基材から剥離するステップと
を含む方法。
【請求項17】
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、
硬化性シリコーン樹脂組成物を前記基材上に堆積させるステップと、
シリコーン樹脂組成物を少なくとも部分的に硬化させることによってシリコーン樹脂フィルムを形成するステップと
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積させるステップが、脱気ポリマー及び少なくとも1種の脱気架橋剤を含む硬化性エラストマーシリコーン組成物を堆積させるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
硬化性エラストマーシリコーン組成物を堆積させるステップが、真空及び熱の少なくとも一方に曝露させることによってポリマーから揮発分を除去した脱気ビニル官能性シロキサンポリマーを堆積させるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
硬化性エラストマーシリコーン組成物を堆積させるステップが、真空及び熱の少なくとも一方に曝露することによって架橋剤から揮発分を除去した、SiH官能基を有する脱気メチル水素シロキサンポリマーを堆積させるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを形成するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、前記少なくとも1種のシリコーン樹脂フィルムに繊維材料を含浸させるステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、ケイ素含有組成物の第1の層を形成するステップと、第1の層に隣接した第1の面を有する繊維材料を配置するステップと、繊維材料の第2の面に隣接したケイ素含有組成物の第2の層を形成するステップとを含み、第2の面が第1の面に対向する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
ケイ素含有組成物の第1の層又は第2の層を形成するステップが、脱気ポリマー及び少なくとも1種の脱気架橋剤を使用して形成された硬化性エラストマーシリコーン組成物の第1の層又は第2の層を形成するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
繊維材料を配置するステップが、複数のグラスファイバーとその間にある複数の開口部とを含むガラス布を第1の層に隣接して配置するステップを含む、請求項23に記載の方法。

【請求項26】
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、金属箔上にシリコーン樹脂又はシリコーン樹脂の混合物を堆積させるステップと、シリコーン樹脂を少なくとも部分的に硬化させるステップとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
光電池素子を形成するステップが、中間バンドギャップ太陽電池を形成するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
中間バンドギャップ太陽電池を形成するステップが、SiGe:Hを含む太陽電池を形成するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
シリコーン樹脂フィルムに隣接したモリブデン層を形成するステップと、モリブデン層に隣接した酸化亜鉛/アルミニウム層を形成するステップとを含み、モリブデン層が中間バンドギャップ太陽電池に隣接する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
中間バンドギャップ太陽電池に隣接したインジウムスズ酸化物を形成するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
シリコーン樹脂フィルムに隣接した光電池素子を形成するステップが、シリコーン樹脂フィルムに直接隣接した光電池素子を形成するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項32】
基材上にシリコーン樹脂フィルムを形成するステップと、
シリコーン樹脂フィルムに隣接した光電池素子を形成するステップと、
該シリコーン樹脂フィルムが該光電池素子用の自立性基材又は自立性スーパーストレートとして機能するように、該シリコーン樹脂フィルムを該基材から剥離するステップと
を含む方法によって形成される太陽電池。
【請求項33】
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、
硬化性シリコーン樹脂組成物を前記基材上に堆積させるステップと、
シリコーン樹脂組成物を少なくとも部分的に硬化させることによってシリコーン樹脂フィルムを形成するステップとを含む、請求項32に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項34】
硬化性シリコーン樹脂組成物を堆積させるステップが、脱気ポリマー及び少なくとも1種の脱気架橋剤を含む硬化性エラストマーシリコーン組成物を堆積させるステップを含む、請求項33に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項35】
硬化性エラストマーシリコーン組成物を堆積させるステップが、真空及び熱の少なくとも一方に曝露させることによってポリマーから揮発分を除去した脱気ビニル官能性シロキサンポリマーを堆積させるステップを含む、請求項34に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項36】
硬化性エラストマーシリコーン組成物を堆積させるステップが、真空及び熱の少なくとも一方に曝露させることによって架橋剤から揮発分を除去した、SiH官能基を有する脱気メチル水素シロキサンポリマーを堆積させるステップを含む、請求項34に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項37】
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを形成するステップを含む、請求項32に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項38】
前記少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、前記少なくとも1種のシリコーン樹脂フィルムに繊維材料を含浸するステップを含む、請求項37に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項39】
前記少なくとも1種の繊維強化シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、ケイ素含有組成物の第1の層を形成するステップと、第1の層に隣接した第1の面を有する繊維材料を配置するステップと、繊維材料の第2の面に隣接したケイ素含有組成物の第2の層を形成するステップとを含み、第2の面が第1の面に対向する、請求項37に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項40】
ケイ素含有組成物の第1の層又は第2の層を形成するステップが、脱気ポリマー及び少なくとも1種の脱気架橋剤を使用して形成された硬化性エラストマーシリコーン組成物の第1の層又は第2の層を形成するステップを含む、請求項39に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項41】
繊維材料を配置するステップが、複数のグラスファイバーとその間にある複数の開口部とを含むガラス布を第1の層に隣接して配置するステップを含む、請求項39に記載の方法によって形成される太陽電池。

【請求項42】
シリコーン樹脂フィルムを形成するステップが、金属箔上にシリコーン樹脂又はシリコーン樹脂の混合物を堆積させるステップと、シリコーン樹脂を少なくとも部分的に硬化させるステップとを含む、請求項32に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項43】
光電池素子を形成するステップが、中間バンドギャップ太陽電池を形成するステップを含む、請求項32に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項44】
中間バンドギャップ太陽電池を形成するステップが、SiGe:Hを含む太陽電池を形成するステップを含む、請求項43に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項45】
シリコーン樹脂フィルムに隣接したモリブデン層を形成するステップと、モリブデン層に隣接した酸化亜鉛/アルミニウム層を形成するステップとを含み、モリブデン層が中間バンドギャップ太陽電池に隣接する、請求項43に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項46】
中間バンドギャップ太陽電池に隣接したインジウムスズ酸化物層を形成するステップを含む、請求項45に記載の方法によって形成される太陽電池。
【請求項47】
シリコーン樹脂フィルムに隣接した光電池素子を形成するステップが、シリコーン樹脂フィルムに直接隣接した光電池素子を形成するステップを含む、請求項32に記載の方法によって形成される太陽電池。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公開番号】特開2013−30779(P2013−30779A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−178033(P2012−178033)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【分割の表示】特願2009−522371(P2009−522371)の分割
【原出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】