説明

シリコーン組成物のコンパウンディング方法及びシステム

【課題】高レベルの無機充填材と加工流体とシリコーンポリマーを商業的速度で効率的にコンパウンディングして均一な充填材配合脱揮シリコーン組成物とする方法及びシステムの提供。
【解決手段】第一コンパウンディング装置12で充填材と加工流体とシリコーンポリマーをコンパウンディングして第一分散組成物を製造し、同時に、第一コンパウンディング装置と同じ押出機シャフト16を共有する第二コンパウンディング装置14で充填材と加工流体とシリコーンポリマーをコンパウンディングして第二分散組成物を製造する。本システムの押出機移行部18は、第一仕切壁26、第二仕切壁28及び吐出口24に向かって移行する適当な輪郭下方壁で画成される密閉式吐出室20を備え、シャフト16は第一仕切壁26を貫通し、吐出室20を横切り、第二仕切壁28を貫通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱加硫型シリコーン組成物の逐次コンパウンディング法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱加硫型シリコーン組成物は、高粘度シリコーンポリマー、補強用無機充填材及び加工助剤や最終組成物に所望の特性を付与するための各種添加剤を含んでいる。加硫剤を添加して組成物を熱硬化すれば、ガスケット、医療用チューブ、コンピュータキーパッドなどのシリコーンゴム成形品を製造することができる。
【0003】
熱加硫型シリコーン組成物は、通例、高粘度ポリジオルガノシロキサン、無機充填材及び添加剤を高強度バンバリーミキサーや低強度双腕型ドウミキサーなどのバッチ式混練機で混練することによって製造される。この方法では、ポリジオルガノシロキサン、無機充填材及び処理剤を所望の特性が得られるまでバッチ式に混合する。このプロセスは長い滞留時間と大量のエネルギーを必要とする。商業規模のバッチ間にみられる不均一な剪断及び伸び応力の結果、充填材の粒度分布が不均一となって特性にばらつきが生じることがある。製造時期の異なるバッチは物理的性質が異なることがある。バッチプロセスは多大な労力、エネルギー及び投資を要し、一貫性に乏しい。
【0004】
笠原らの米国特許第5198171号では、第一段階において、25℃における粘度が1×105cP以上のポリジオルガノシロキサンと無機充填材と処理剤を高速機械的剪断機で混合してプレミックスを形成する。この段階で、各成分が実質的に均一な微細分散状態で存在する流動性粒状混合物が得られる。プレミックスを次いで長さ/直径比(L/D)が25〜50の同方向回転二軸押出機に一定の供給速度で供給する。
【0005】
浜田らの米国特許第5409978号では、L/D約25〜50の同方向回転連続二軸押出機においてポリオルガノシロキサンと無機充填材と処理剤のプレミックスを約200〜300℃の温度で形成する。プレミックスを次いで異方向回転二軸押出機でコンパウンディングし、150〜300℃で熱処理する。第二押出機の有用なL/D比は約5〜15の範囲である。
【特許文献1】米国特許第5198171号
【特許文献2】米国特許第5409978号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリコーンポリマーと充填材と処理剤のプレミックスを形成するための非常に激しい第一段階プロセスは、揮発分の多い生成物を生じる。有用な生成物を製造するには、プレミックスを第二段階で追加のポリマーと混合して脱揮しなければならない。プレミックスを敬遠及び/又は未処理充填材原料を用いる最近の方法は処理量に限界がある。押出機の口径を大きくすれば処理量は増える。しかし、大口径押出機は特注機である。そのため、大口径押出機は高価で、単位生産能力当たりのコストが高い。充填材を配合した脱揮高粘度シリコーンポリマー組成物を高い処理量で連続的にばらつきなく製造するための方法に対するニーズが存在する。さらに、工業的規模での生産が可能で、コンパウンディング装置を効率的に利用した改良連続コンパウンディング法に対するニーズも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、高レベルの無機充填材と加工流体とシリコーンポリマーを、充填材が均一に配合された脱揮シリコーン組成物へと商業的速度で効率的にコンパウンディングする方法を提供する。この方法では、充填材配合シリコーン組成物のコンパウンディングは次の通り行われる。第一コンパウンディング装置において充填材と加工流体とシリコーンポリマーをコンパウンディングして第一分散組成物を生成する。同時に、第一コンパウンディング装置と同じ押出機シャフトを共有する第二コンパウンディング装置において充填材と加工流体とシリコーンポリマーをコンパウンディングして第二分散組成物を生成する。
【0008】
このシステムは、第一コンパウンディング装置、及び第一コンパウンディング装置と同じシャフトを共有する第二コンパウンディング装置を備えてなる。
【0009】
別の実施形態では、本発明は押出機移行部に関する。移行部は、第一仕切壁、第二仕切壁及び吐出口に向かって推移する輪郭をもつ下方壁で画成される密閉式吐出室を備える。シャフトは、第一仕切壁を貫通し、吐出室を横切って第二仕切壁を貫通する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明では、高分子量ポリ(ジメチルシロキサン)のようなシリコーンポリマーに、処理又は未処理ヒュームドシリカ及び加工流体のような高レベルの成分をコンパウンディングするための方法及びシステムが提供される。この方法及びシステムは、所要の補強特性及び残留揮発分レベルを有する均質混合物を十分な工業的処理量で生産する。この方法は、充填材とシリコーンポリマーを混合・コンパウンディングする2以上の逐次コンパウンディング段階を含む。
【0011】
加工流体は、充填材と混合・コンパウンディングして、後段での加工処理のため充填材を高密度化することができる流体である。加工流体は加工処理機能も提供できる。例えば、加工流体は、液状処理剤、可塑剤、流動性改良剤、架橋剤、水又は不活性ブランケットガスであってもよい。分子量が7000を超えるシリコーンポリマーは加工流体ではない。好ましくは、加工流体はシラノール反応性処理剤のような液状処理剤であり、充填材の添加の前、同時又は後に添加して充填材を濡らし、処理剤の官能基と充填材表面のシラノール基との反応のための合計処理時間を短縮する。
【0012】
一実施形態では、加工流体は、1.21重量部のシラノール停止ポリジメチルシロキサン、1.82重量部のビニル停止ジメチル−メチルビニルシロキサン及び0.12重量部のヒドロキシ末端ポリジメチル−メチルビニルシロキサンを混合して調製した溶液である。シラノール停止ポリジメチルシロキサン/ビニル停止ジメチル−メチルビニルシロキサン/ヒドロキシ末端ポリジメチル−メチルビニルシロキサンの重量比は広義には0.49/0.73/0.05〜1.93/2.91/0.19の範囲であり、望ましい範囲は0.85/1.27/0.08〜1.57/2.37/0.16であり、好ましい範囲は1.09/1.64/0.11〜1.32/2.0/0.13である。
【0013】
別の実施形態では、加工流体は処理剤(好ましくはヘキサメチルジシラザン(HMDZ))と水との組合せであってもよい。この組合せは、約0.05〜約50、好ましくは約0.1〜約20、さらに好ましくは約1〜約6の重量比の処理剤/水からなる。HMDZは、押出機の同じ位置又は異なる位置で水と一緒又は別々に添加できる。
【0014】
加工流体は、充填材100部に対し加工流体約0.1〜約100部、望ましくは充填材100部に対し加工流体約0.5〜約75部、好ましくは充填材100部に対し加工流体約1.0〜約50部の重量比で充填材と組合せることができる。加工流体は、コンパウンディング装置の1カ所の位置で添加してもよいし、充填材の段階的処理のためコンパウンディング装置の複数の位置で添加してもよい。
【0015】
無機充填材は、シリコーンポリマーとのブレンドに用いられる無機充填材であればどんなものでもよい。無機充填材の例には、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、又はオルガノポリシロキサン、オルガノアルコキシシラン、オルガノクロロシランもしくはヘキサオルガノジシラザンなどの有機ケイ素化合物で表面処理したシリカのような補強用シリカがある。充填材はケイ藻土、微粉砕石英、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、カーボンブラック、群青であってもよい。シリコーンポリマーの補強には、1種類の充填材単独又は複数の充填材の組合せを用いることができる。
【0016】
充填材の量は、シリコーンポリマー100重量部当たり、約5〜約200重量部、望ましくは約10〜約100重量部、好ましくは約20〜約60重量部とし得る。
【0017】
充填材表面の残留シラノール基の濃度は、シリカとシリコーンポリマー鎖のヒドロキシル基又は酸素基との水素結合の強度を左右することがある。充填材に高濃度の残留シラノールが存在すると貯蔵時に最終製品の「ストラクチャ形成」又は「クレープ硬化」を引き起こす。この効果は、長期保存後の材料の加工を困難にする。充填材のシラノール官能基の濃度が高すぎるときは、処理剤を添加してシラノール基を所要濃度まで下げればよい。シラノール反応体処理剤は有効基と反応して濃度を充填材単位面積(平方ナノメートル)当たりヒドロキシル基約8〜約2、好ましくは約7〜約3に下げることができる。未処理シリカが本発明において好ましい充填材であり、その量はシリコーンポリマー100重量部当たり約10〜約100重量部、好ましくは約20〜約60重量部である。
【0018】
クレープ硬化の防止及び/又は可塑性の調節のため充填材シラノール基を低減及び/又は充填材の分散性を改善するため、処理剤を加工流体と共に充填材に混合してもよいし、処理剤が加工流体であってもよい。処理剤はシラノール反応性試薬その他の充填材処理剤とし得る。充填材がシリカその他のシラノール含有充填材であるときは、処理剤は好ましくはシラノール反応体処理剤である。処理剤は、シラノール基及び/又は炭素原子数1〜6のアルコキシ基を有するオルガノシラン、低粘度ポリオルガノシロキサン又はシリコーン樹脂とし得る。具体例には、ジフェニルシランジオール、ジメチルシランジオール、メチルトリエトキシシラン及びフェニルトリメトキシシランがある。低粘度ポリシロキサンは、メチル基、フェニル基、ビニル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基から選択される1種類以上の有機基を有していてもよい。25℃で測定した低粘度ポリシロキサンの粘度は約1〜約300cP、好ましくは約5〜約100cPである。好ましいシラノール反応体処理剤には、シラノール停止ポリジメチルシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)及びヘキサメチルジシラザン(HMDZ)の1種類以上がある。上述の通り充填材を処理してもよいが、格段の利点として本発明の方法では未処理充填材原料を使用できる。
【0019】
本発明の組成物に用いられるシリコーンポリマーは次の式Iの繰返し単位で表される。
【0020】
【化1】

【0021】
式中、各R1は独立にC1-4アルキル又はC2-4アルキレンを表し、各R2は独立にC1-4アルキル、C1−C4ハロアルキル又はC2-4アルキレンを表し、各R3は独立にH、C1-10アルキル、C2-4アルキレン、C4-6シクロアルキル、OH又はC1−C4ハロアルキルを表し、nは約100〜約20000の整数を表す。
【0022】
さらに好ましい組成物は、各R1が独立にCH3又はCH=CH2を表し、各R2が独立にCH3、CH=CH2又はCH2CH2CF3を表し、各R3が独立にCH3、CH=CH2、OH又はCH2CH2CF3を表し、nが約4000〜約10000の整数を表すシリコーンポリマーを含む。
【0023】
一実施形態では、シリコーンポリマーのビニル含量は該シリコーンポリマーの約0.05〜約0.5重量%の範囲にある。
【0024】
シリコーン組成物はその他の添加剤、例えば、金属の酸化物、水酸化物及び脂肪酸塩のような耐熱性向上剤、加硫戻り防止剤、白金化合物のような難燃剤、変色防止剤、シリコーンオイルのような可塑剤、金属石鹸のような内部離型剤、顔料、染料などを含んでいてもよい。
【0025】
加工中、HMDZのような可燃性加工流体と空気との酸化反応を抑制するため、コンパウンディング環境に不活性ブランケットガスを加えてもよい。不活性ガスの量は、充填材100重量部当たり約20〜約800重量部、望ましくは約50〜約600重量部、好ましくは約100〜約400重量部である。
【0026】
本発明の一実施形態では、未処理ヒュームドシリカ充填材を、シリコーンポリマーの添加前の第一の位置で、HMDZと水からなる加工流体と混合できる。HMDZの量は、ヒュームドシリカ100重量部当たり約0.1〜約100重量部、望ましくは約0.5〜約50重量部、好ましくは約1.0〜約20重量部である。水の量は、ヒュームドシリカ100重量部当たり約0.1〜約100重量部、望ましくは約0.5〜約20重量部、好ましくは約1〜約10重量部の範囲である。
【0027】
本発明の方法で製造される組成物は、熱加硫型シリコーン組成物の物性基準を満足する。例えば、組成物は、100を上回るウィリアムス可塑度、20を上回るショアA硬度、750psiを上回る引張強さ、100%以上の破断点伸び、10ppi以上の引裂B、1.05以上の比重、1重量%未満の残留揮発分によって特徴付けることができる。
【0028】
本発明の特徴は添付の図面及び以下の詳細な説明から明らかとなろう。以下の説明は、本発明の好ましい実施形態を例示したもので、本発明を限定するものではない。
【0029】
添付図面において、図1はシリコーン組成物のコンパウンディング方法及びシステムの概略図であり、図2は図1の方法及びシステムに用いられる移行部の概略図である。これら図面において、類似の要素は同一符号で示した。
【0030】
図1では、第一上流コンパウンディング装置12及び直列した第二下流コンパウンディング装置14を備えてなる充填材配合シリコーン組成物のコンパウンディングシステム10を示す。上流装置12と下流装置14は互いに隣接しているものとして示してある。コンパウンディング装置12及び14は同一のシャフト16を共有ており、このシャフトが後述の通り押出機要素を駆動する。
【0031】
各コンパウンディング装置12及び14は、噛合型同方向回転二軸装置、非噛合型異方向回転二軸装置、往復型単軸装置、又は非往復型単軸装置とすることができる。本発明の方法には、充填材の分散、化学反応及び脱揮のための適度な混合強度及び表面積更新をもたらす能力をもつことから、噛合型同方向回転二軸装置が特に適している。
【0032】
さらに図1及び図2を参照すると、システム10は移行部18を含んでおり、移行部18には、吐出口24に向かって推移する輪郭をもつ下部壁22を有する密閉式吐出室20が含まれている。シャフト16は上流装置12の内部から第一仕切壁26を貫通し、移行部18を横断し、第二仕切壁28を貫通して下流装置14の内部に入る。同様にシャフト30は第一仕切壁26を貫通し、移行部18を横断し、第二仕切壁28を貫通して下流装置14に入る。シャフト16及び30は同一水平面にあるが、説明のため図1では上下に示してある。
【0033】
本発明では、図1及び図2に示す通り、シャフト16及び30は上流装置12と下流装置14とで共通である。シャフト16及び30は同じモータドライブ32で駆動されるように示してあるが、他の実施形態では、シャフト16及び30は別々に駆動される。シャフト16及び30は、搬送段34、分配・分散混合用の混練段36、脱気・脱揮用のチャーン段38及び吐出搬送段40を構成する各種コンパウンディングエレメントを有するものとして示した。
【0034】
上流コンパウンディング装置12及び下流コンパウンディング装置14は、未処理又は処理ヒュームドシリカ原料を仕込む供給口42、HMDZのようなシラノール処理剤を仕込む供給口44、脱イオン水を仕込む供給口46、加工流体を仕込む供給口48及び高分子量シリコーンポリマーを仕込む供給口50を各々有する。上流コンパウンディング装置12及び下流コンパウンディング装置14は、大気ベント52、真空吸引口54及び不活性ガスを真空吸引口に供給するライン56を有する。
【0035】
下流コンパウンディング装置14は、高度充填材配合エラストマー生成物を吐出する吐出端58を有する。上流コンパウンディング装置12からの生成物は装置12から移行部18へと搬送される。図2を参照すると、移行部18には、前述の通り吐出口24に向かって傾斜した下部壁22を有する吐出室20が含まれる。移行部18内部で、シャフト16及び30は、特殊なスクリュー先端エレメント60、スペーサエレメント62、シャフト支持軸受け64、シャフト封止パッキング66及び異形ストランド押出ダイ68を含んでいる。移行部18は着脱自在で、第一コンパウンディング装置12を第二コンパウンディング装置14から切り離すことができる。
【0036】
図1及び図2の方法では、充填材、処理剤、脱イオン水、加工流体及びシリコーンポリマーをそれぞれの貯蔵タンク70,72,74,76及び78からそれぞれの装置12及び14に連続的に供給する。装置12及び14において、充填材と処理剤と水と加工流体とシリコーンポリマーを連続的にコンパウンディングし、吐出口24及び58で押出物として吐出する。装置12及び14双方の材料は、モータ32で駆動される共通シャフト16及び30上のエレメントによってコンパウンディングされる。
【0037】
処理量及びスクリュー速度は上記装置で効率的なコンパウンディング及び脱揮がなされるように調節できる。低い処理量は、製造装置の処理能力を十分に利用していない。一方、処理量は、どの程度の速度でヒュームドシリカを押出機に添加できるかによって制限される。シリコーンマトリックス中への充填材の添加・分散及び添加剤の分散、並びに脱揮のための表面積の発生のため、高いスクリュー速度が必要とされる。ただし、粘度及びスクリュー速度のため温度が上昇する。激しいスクリュー速度を用いるとシリコーンポリマーの熱分解を起こすおそれがある。本発明では、計量可能な処理量とバランスの取れた混合強度によって、適度なプロセス脱揮及び放熱でシリコーン組成物成分の効果的なコンパウンディング及び反応がなされる。直列・隣接配置によって標準的スクリュー条件での操作が可能となるが、処理量は2倍となる。
【0038】
装置12及び14の押出機スクリュー速度を約100rpm〜約1000rpmとすれば摩擦による発熱と混合とを適切に調和させることができる。スクリュー速度は望ましくは約200rpm〜約800rpmであり、好ましくは約280rpm〜約450rpmである。処理量対スクリュー速度比(lb/h/rpm)は約0.01〜100、望ましくは約0.1〜70、好ましくは約0.5〜50lb/h/rpmである。装置12及び14共に外バレル温度は約100℃〜200℃、望ましくは約130℃〜190℃、好ましくは約160℃〜180℃である。
【0039】
上記その他の特徴は、本発明の好ましい実施形態を例示する以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【0040】
本発明の方法で製造される組成物は、熱加硫型シリコーン組成物の物性基準を満足する。例えば、組成物は、100を上回るウィリアムス可塑度、20を上回るショアA硬度、750psiを上回る引張強さ、100%以上の破断点伸び、10ppi以上の引裂B、1.05以上の比重、1重量%未満の残留揮発分によって特徴付けることができる。
【実施例】
【0041】
図1の二連式装置10で以下の実施例を行った。図1で、上流コンパウンディング装置12(装置Aと呼ぶ)及び下流コンパウンディング装置14(装置Bと呼ぶ)は共に、モータドライブ32で駆動されるシャフト16及び30で駆動される。上流コンパウンディング装置12及び下流コンパウンディング装置14は共に噛合型同方向回転二軸式である(L/D=30、スクリュー直径=30mm)。装置12及び14は移行部18で連結している。装置12と14の合計長さ/直径比(L/D比)は約60であるが、他の実施形態では合計L/D比は約40を超えていればよく、60を超えてもよい。
【0042】
ヒュームドシリカを42で上流装置12と下流装置14に同時に計量供給するとともに、処理剤を44で、脱イオン水を46で供給する。加工流体を48で、シリコーンポリマーを50で両装置に添加する。加工流体はシラノール停止ポリジメチルシロキサンとビニル停止ジメチル−メチルビニルシロキサンとヒドロキシ末端ポリジメチル−メチルビニルシロキサンの組合せである。ヒュームドシリカの随伴空気及び余剰揮発分を両装置12及び14のベント52及び54から除去する。
【0043】
ヒュームドシリカ配合シリコーン組成物は、1装置当たり約9lb/hのシリコーンポリマー処理量で、1装置当たり約0.6lb/hのHMDZ、0.1lb/hの水、1.0lb/hの加工流体及び4.7lb/hの未処理充填材と共にバレル温度約170℃及びトルク33%でコンパウンディングする。
【0044】
表1に、本発明に係る共通シャフトを有する装置A及び装置B双方の生成物の材料特性を示す。
【0045】
【表1】

【0046】
表1の結果は、本発明の方法で、充填材配合熱加硫型シリコーン組成物の物性基準を満たす材料を製造できることを示している。
【0047】
本発明の好ましい実施形態を参照して本発明を詳しく説明してきたが、本発明の技術的範囲内で様々な変更及び修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】シリコーン組成物のコンパウンディング方法及びシステムを示す概略図である。
【図2】図1の方法及びシステムに用いる移行部の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一仕切壁、第二仕切壁及び吐出口に向かって推移する輪郭をもつ下部壁で画成される密閉式吐出室と、第一仕切壁を貫通し、吐出室を横断し、第二仕切壁を貫通するシャフトとを備える、押出機移行部。
【請求項2】
移行部が第一コンパウンディング装置を第二コンパウンディング装置に連結する、請求項1記載の押出機移行部。
【請求項3】
シャフトが第一コンパウンディング装置及び第二コンパウンディング装置に共通である、請求項2記載の押出機移行部。
【請求項4】
さらに、第一コンパウンディング装置を第二コンパウンディング装置と切り離すことができる着脱自在な連結部を備える、請求項3記載の押出機移行部。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−247034(P2008−247034A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106149(P2008−106149)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【分割の表示】特願2001−337236(P2001−337236)の分割
【原出願日】平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】