説明

シリル化されたジオールを有するコーティング組成物

硬化性のクリヤーコートコーティング組成物の光沢は、約1質量%〜約10質量%のシリル化された二量体脂肪アルコールジオールの添加によって高められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性のコーティング組成物、熱硬化性のコーティング組成物のための材料及び係るコーティング組成物の製造方法並びにその使用方法に関する。特に、本発明は、光沢のある熱硬化性のクリヤーコート組成物に関する。
【0002】
発明の背景
硬化性のもしくは熱硬化性のコーティング組成物は、コーティングの分野で、特に自動車におけるトップコートのために、かつ工業コーティング産業において広く使用されている。カラープラスクリヤー複合コーティングは、卓越した光沢と、色の深さと、像の明瞭性と、特殊なメタリック効果とを有するトップコートを提供する。自動車産業は、これらのコーティングを自動車のボディパネルのために大規模に使用している。トップコートコーティングは、魅力的な外観のために光沢を有することが望ましく、かつその外観を維持するために耐久性であり、かつ被覆された物品の耐用年数の間の過酷な条件下で保護を提供することが望ましい。例えば自動車用のトップコートコーティングは、一般に、あらゆる種類の気候、太陽からの紫外線、運転中に投じられる砂利からの摩耗もしくは駐車した際に車に設置される物品からの摩耗並びに該コーティングを分解しうる他の条件に晒される。
【0003】
長期にわたり、研究者の労力は、環境腐食に対して優れた抵抗性を有するコーティングの提供に向けられていた。"環境腐食"は、しばしば消すことができない仕上げ塗装の上にもしくは中にある斑点もしくは傷跡によって特徴付けられる一種の暴露分解に適用される用語である。カルバメート官能性樹脂を利用する硬化性のコーティング組成物は、例えば米国特許第5,693,724、同第5,693,723、同第5,639,828、同第5,512,639、同第5,508,379、同第5,451,656、同第5,356,669、同第5,336,566及び同第5,532,061に記載されており、そのそれぞれの内容は参照をもって開示されたものとする。これらのコーティング組成物は、ヒドロキシ官能性のアクリル/メラミン系のコーティング組成物などの他のコーティング組成物上で環境腐食に対して大きな抵抗性の改善をもたらしうる。
【0004】
クリヤーコートコーティングは、耐引掻性及び耐損傷性などの環境腐食に加えて、他の要求を満たさねばならない。また、上述のように、高い光沢と優れた平滑性を有することにより仕上げ塗装の満足な外観に寄与することはクリヤーコート層には重要である。このように、引掻きに対する抵抗性を改善し、そしてクリヤーコートの光沢を増大させることが望ましい。
【0005】
米国特許出願第20050054767号は、高架橋された皮膜を生ずるシリル架橋基を含むコーティングにおける高分枝鎖状のアクリルポリマーを記載している。VOC、耐損傷性及び環境腐食の改善のためにシラン官能性と補助架橋剤とを導入しているアクリル系のクリヤーコートは、Proceedings of the Waterborne,High solids and Powder Coatings Symposium(1995),第492〜501頁に開示された。Barsotti他のWO9940140号は、ケイ素反応性オリゴマー並びに自動車用途のハイソリッド型の吹き付け用のコーティング組成物を記載している。US5985463号及びWO2000055229号などの他の刊行物は、低いVOC、高い硬度及び良好な光沢のためにシラン架橋基を有するアクリルポリマーを記載している一方で、米国特許出願第2001046301号及びJP97−323483号は、ポリカーボネートもしくはガラスの被覆に有用となりうるシリル化されたオリゴマーの使用を開示している。
【0006】
本明細書で使用される場合に単数形は、項目の"少なくとも1つ"が存在することを指し、係る項目の複数は、可能であれば存在してよい。"約"は、数値に適用される場合には、計算もしくは測定がこの数値中のわずかな不正確性を認めることを指す(この数値中の正確性に対する幾つかのアプローチ;概算で又はこの値にかなり近い;ほぼ)。幾つかの理由から、"約"により提供される正確性が、この通常の意味合いを有した様式で理解されない限りは、本明細書において使用される"約"は、この数値の5%までの可能性のある偏差を指す。
【0007】
発明の要旨
本発明は、約1質量%〜約10質量%のシリル化された二量体脂肪アルコールジオールと、活性水素を含む官能基を有するアクリルポリマーと、該アクリルポリマーと反応性の架橋剤とを含有する硬化性のクリヤーコートコーティング組成物を提供する。
【0008】
本発明は、また、基材の被覆方法において、本発明のクリヤーコートコーティング組成物を適用する工程と、適用されたコーティング組成物の層を硬化させる工程とを含む方法を提供する。特に、クリヤーコートコーティング組成物は、ベースコートコーティング層上に一層で適用することができる。ベースコートコーティング層は、その上に適用されたクリヤーコートコーティング層と一緒に硬化させることができる。
【0009】
本発明は、更に、基材上に本発明のクリヤーコートコーティング組成物の硬化された層を有する被覆された基材を提供する。
【0010】
本明細書で使用される場合に単数形は、項目の"少なくとも1つ"が存在することを指し、係る項目の複数は、可能であれば存在してよい。"約"は、数値に適用される場合には、計算もしくは測定がこの数値中のわずかな不正確性を認めることを指す(この数値中の正確性に対する幾つかのアプローチ;概算で又はこの値にかなり近い;ほぼ)。幾つかの理由から、"約"により提供される正確性が、この通常の意味合いを有した様式で理解されない限りは、本明細書において使用される"約"は、この数値の5%までの可能性のある偏差を指す。
【0011】
有利な実施態様の詳細な説明
有利な実施態様の以下の説明は、本来は単なる例示であって、本発明、その適用、又は使用を限定することを意図するものではない。
【0012】
硬化性のクリヤーコートコーティング組成物の光沢は、約1質量%〜約10質量%のシリル化された二量体脂肪アルコールジオールの添加によって高められる。
【0013】
二量体脂肪アルコールジオールは、米国イリノイ州シカゴのUnichema North AmericaからPRIPOL 2033として市販されている36炭素ジオールである。この長鎖アルコールもしくは脂肪アルコールは、相応の二量体脂肪酸の水素化(還元)によって簡単に製造することができる。例えば、Karlheinz Hill著の"Fats and Oils as Oleochemical Raw Materials",Pure Appl.Chem.,Vol.72,No.7,pp.1255−1264(2000)の第1261頁を参照のこと。
【0014】
その二量体脂肪アルコールジオールは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランとの反応によってシリル化されていてよい。イソシアナトアルキルトリアルコキシシラン化合物の好適な例は、制限されないが、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジイソプロポキシシラン;イソシアナトネオヘキシルトリメトキシシラン、イソシアナトネオヘキシルジメトキシシラン、イソシアナトネオヘキシジエトキシシラン、イソシアナトネオヘキシルトリエトキシシラン、イソシアナトネオヘキシトリイソプロポキシシラン、イソシアナトネオヘキシルジイソプロポキシシラン、イソシアナトイソアミルトリメトキシシラン、イソシアナトイソアミルジメトキシシラン、イソシアナトイソアミルメチルジエトキシシラン、イソシアナトイソアミルトリエトキシシラン、イソシアナトイソアミルトリイソプロポキシシラン及びイソシアナトイソアミルメチルジイソプロポキシシランを含む。多くのイソシアナトアルキルトリアルコキシシラン化合物は、商標名SILQUESTとして、Witco Corp.社の子会社であるOSi Specialties,Inc.社によって販売されている。
【0015】
イソシアナトプロピルアルコキシシランは、有利には高い純度、すなわち約95%より高い純度を有し、かつ有利には二次反応を促進しうるエステル交換触媒などの不純物及び/又は添加剤を含まない。不所望なエステル交換触媒の例は、酸、塩基及び有機金属化合物である。イソシアナトプロピルトリメトキシシランについては、少なくとも98%の純度が好ましい。この純度は、Witco社からSILQUEST.RTM.Y−5187型のシランとして入手できる市販のイソシアナトプロピルトリメトキシシランを蒸留して、(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルカルバメートなどのような不純物並びに抑制剤、触媒及び他の添加剤を除去することによって達成することができる。
【0016】
イソシアナトアルキルトリアルコキシシラン化合物と二量体脂肪アルコールとの反応は、スズ触媒、例えばジブチルスズジラウレート(DBTDL);ジブチルスズオキシド;ジブチルスズジクロリド;ジブチルスズジアセテート;ジブチルスズジマレエート;ジブチルスズジオクトエート;ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート);酢酸スズ;オクタン酸スズ;エチルヘキサン酸スズ;ラウリン酸スズなど並びにスズ触媒の組み合わせを用いて実施することができる。他の好適な触媒は、商標名K−KAT(登録商標)として販売される触媒(ジルコニウム、アルミニウムもしくはビスマスの化合物);ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO);N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCA);1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU);及び1,5−ジアザビシクロ[2.3.0]ノネ−5−エン(DBN)を含む。反応は、約150℃までの温度で、より有利には約100℃までの温度で実施してよい。該反応に引き続き、反応混合物の赤外スペクトルをモニタリングし、そして2240cm-1でのイソシアネートピークの消失に着目する。
【0017】
SiOR基は、コーティングにおいて交換反応でポリオールと反応しうる。該コーティングがアミノ化合物を有する化合物を有する場合に、SiOR基は、これらの化合物と反応すると思われる。湿分がある場合には、シラノール基は、容易に水を減らして、−Si−O−Si架橋を形成する。
【0018】
約1質量%〜約10質量%のシリル化された二量体脂肪アルコールジオールを含有する硬化性のクリヤーコートコーティング組成物は、有利には更に、アクリルポリマーを含む。アクリルポリマーは、クリヤーコート組成物中の架橋剤と反応性である活性水素を含む官能基を有している。好適な活性水素を含む官能基は、制限されないが、ヒドロキシル官能、酸官能、カルバメート官能、末端尿素官能及びこれらの組み合わせを含む。好ましい一実施態様においては、アクリルポリマーは、カルバメート基、ヒドロキシル基又はカルバメート基とヒドロキシル基の両者を有する。カルバメート基は、構造
【化1】

[式中、Rは、Hもしくはアルキルである]を有する。有利には、Rは、H又は1個ないし約4個の炭素原子を有するアルキルであり、より有利にはRは、Hである。
【0019】
ヒドロキシル官能性のアクリルポリマーは、一般に、ヒドロキシル含有モノマー、例えば制限されないが、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート及びそのヒドロキシ官能性の付加物、例えばこれらのモノマーとε−カプロラクタムとの反応生成物の共重合によって製造される。酸官能性のアクリルポリマーは、重合可能な不飽和酸、例えば制限されないが、アクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸のモノエステルとの共重合によって製造することができる。
【0020】
カルバメート官能性は、カルバメート官能性のモノマーを共重合させるか、又は形成されたポリマー上の官能基を更なる反応で反応させてその位置にカルバメート基を生成することによってポリマーに導入することができる。モノマーのエステル部にカルバメート官能性を有するアクリルモノマーは、当該技術分野においてよく知られており、かつ例えば米国特許第3,479,328、同第3,674,838、同第4,126,747、同第4,279,833及び同第4,340,497、同第5,356,669及びWO94/10211号に記載されており、それらの内容は、ここでの参照をもって開示されたものとする。係るモノマーの一合成法は、ヒドロキシ官能性モノマーとシアン酸(それは尿素の熱分解によって形成できる)との反応により、カルバミルオキシカルボキシレート(すなわちカルバメート変性(メタ)アクリレート)を形成させることを伴う。もう一つの合成法は、α,β−不飽和酸エステルとヒドロキシカルバメートエステルとを反応させることで、カルバミルオキシカルボキシレートを形成する。更にもう一つの技術は、第一級もしくは第二級のアミンもしくはジアミンと、エチレンカーボネートなどの環状カーボネートとを反応させることによってヒドロキシアルキルカルバメートを形成させることを伴う。次いで、ヒドロキシアルキルカルバメート上のヒドロキシル基を、アクリル酸もしくはメタクリル酸との反応によってエステル化させて、モノマーが形成される。カルバメート変性アクリルモノマーの他の製造方法は、当該技術分野で記載されており、かつ同様に利用することができる。次いで、アクリルモノマーは、他のエチレン性不飽和モノマーと一緒に、所望であれば、当該技術分野でよく知られた技術によって重合させることができる。
【0021】
カルバメート官能性は、また、他の官能基をカルバメートに変換することによってアクリルポリマーに導入することもでき、それは、米国特許第4,758,632に記載されており、該特許の内容は、ここでの参照をもって開示されたものとする。一技術は、ヒドロキシ官能性アクリルポリマーの存在下での尿素を熱分解(アンモニアとHNCOを発生させる)させて、カルバメート官能性アクリルポリマーを形成させることを伴う。もう一つの技術は、ヒドロキシアルキルカルバメートのヒドロキシル基と、イソシアネート官能性のアクリルモノマーもしくはビニルモノマーのイソシアネート基とを反応させて、カルバメート官能性のアクリル樹脂を形成させることを伴う。イソシアネート官能性のアクリル樹脂は、当該技術分野で知られており、例えば米国特許第4,301,257に記載されており、その内容は、ここでの参照をもって開示されたものとする。イソシアネートビニルモノマーは、当該技術分野でよく知られており、不飽和のm−テトラメチルキシレンイソシアネート及びイソシアナトエチルメタクリレートを含む。有利には、イソシアネート官能性のアクリルポリマーは、ヒドロキシエチルカルバメート、ヒドロキシプロピルカルバメート、ヒドロキシブチルカルバメート又はその混合物と反応される。更にもう一つの技術は、環状カーボネート官能性のアクリル樹脂上の環状カーボネート基とアンモニアとを反応させて、カルバメート官能性のアクリル樹脂を形成させることである。環状カーボネート官能性のアクリルポリマーは、当該技術分野で知られており、例えば米国特許第2,979,514に記載されており、その内容は、ここでの参照をもって開示されたものとする。もう一つの技術は、ヒドロキシ官能性のアクリルポリマーをアルキルカルバメートを用いてカルバミル酸交換をすることである。これは、ジブチルジオキシド又はブタンスズ酸などのスズ触媒を使用し、副生成物のアルコールを除去し、その平衡を右側にシフトさせることによって達成される(例えば米国特許第5552497を参照のこと)。より困難であるが、実行可能なポリマーの製造方法は、アクリレートポリマーとヒドロキシアルキルカルバメートとでエステル交換することであろう。
【0022】
また、カルバメート官能は、該ポリマーと、カルバメートに変換できる基を有する化合物とを反応させ、次いで該基をカルバメートに変換することによってアクリルポリマーに導入することもできる。カルバメートに変換できる基を有する好適な化合物の例は、制限されないが、アンモニアとの反応によりカルバメートに変換可能な活性水素を含む環状カーボネート化合物(例えばグリシドールとCO2との反応生成物)、CO2との反応に引き続きアンモニアとの反応によってカルバメートに変換可能なモノグリシジルエーテル及びエステル、アルコール基がイソシアネート官能と反応性でありかつ二重結合がペルオキシドとの反応によりカルバメートに変換されうるアリルアルコール、並びにエステル基がイソシアネート官能と反応性でありかつビニル基がペルオキシドとの反応、そしてCO2との反応、次いでアンモニアとの反応によりカルバメートに変換されうるビニルエステルを含む。前記の化合物のいずれかは、ポリマーとの反応の前に基をカルバメートに変換することによってカルバメートに変換可能な基よりもむしろカルバメート基を有する化合物として利用できる。
【0023】
アクリルポリマーは、1種以上のエチレン性不飽和コモノマーと重合させることができる。共重合のための係るモノマーは、当該技術分野で公知である。該モノマーは、アクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステル、例えばエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートなど;並びにビニルモノマー、例えば不飽和のm−テトラメチルキシレンイソシアネート、スチレン、ビニルトルエンなどを含む。また、好適なコモノマーは、ヒドロキシル官能、酸官能及びエポキシ官能を含む他の官能基を有するモノマーをも含む。
【0024】
アクリルポリマーは、1種以上の他のコモノマーを使用して重合させることができる。係るコモノマーの例は、制限されないが、α,β−エチレン性不飽和の3〜5個の炭素原子を有するモノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸及びクロトン酸並びにα,β−エチレン性不飽和の4〜6個の炭素原子を有するジカルボン酸のエステル;ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン及び芳香族もしくは複素環式の脂肪族のビニル化合物を含む。アクリル酸、メタクリル酸及びクロトン酸の好適なエステルの代表的な例は、制限されないが、1〜20個の炭素原子を有する飽和の脂肪族の及び脂環式のアルコールとの反応からの前記酸のエステル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、テトラヒドロフルフリル、ステアリル、スルホエチル及びイソボルニルのアクリレート、メタクリレート及びクロトネートを含む。他のエチレン性不飽和の重合可能なモノマーの代表的な例は、制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール及びt−ブタノールなどのアルコールと製造される、フマル酸、マレイン酸及びイタコン酸のジアルキルエステルのような化合物を含む。重合ビニルモノマーの代表的な例は、制限されないが、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルエーテル、例えばビニルエチルエーテル、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン並びにビニルエチルケトンのような化合物を含む。芳香族もしくは複素環式の脂肪族のビニル化合物の代表的な例は、制限されないが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン及び2−ビニルピロリドンのような化合物を含む。それらのコモノマーは、任意の組み合わせで使用することができる。
【0025】
アクリルポリマーは、慣用の技術を用いて、例えば重合開始剤と、場合により連鎖移動剤の存在下で該モノマーを加熱することによって製造することができる。重合は、有利には、溶液中で実施されるが、またアクリルポリマーを塊状で重合させることも可能である。好適な重合溶剤は、制限されないが、エステル類、ケトン類、エチレングリコールモノアルキルエーテル類及びプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、アルコール類及び芳香族炭化水素類を含む。
【0026】
典型的な開始剤は、有機ペルオキシド、例えばジアルキルペルオキシド、例えばジ−t−ブチルペルオキシド、ペルオキシエステル、例えばt−ブチルペルオクトエート及びt−ブチルペルアセテート、ペルオキシジカーボネート、ジアシルペルオキシド、ヒドロキシペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド並びにペルオキシケタール;アゾ化合物、例えば2,2′−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)及び1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル);並びにこれらの組み合わせである。典型的な連鎖移動剤は、メルカプタン、例えばオクチルメルカプタン、n−もしくはt−ドデシルメルカプタン;ハロゲン化化合物、チオサリチル酸、メルカプト酢酸、メルカプトエタノール及び二量体のα−メチルスチレンである。
【0027】
溶剤もしくは溶剤混合物を、一般に反応温度にまで加熱し、そして複数のモノマーと、1種以上の開始剤と、場合により1種以上の連鎖移動剤を、制御された速度で、ある期間にわたって、一般には、約2時間ないし約6時間にわたって添加する。重合反応は、通常は、約20℃〜約200℃の温度で実施される。該反応は、適宜、溶剤もしくは溶剤混合物が還流する温度で行ってよいが、好適な制御をもって還流未満の温度を維持してよい。開始剤は、反応が行われる温度に適合するように選択することが望ましいので、その温度での開始剤の半減期は、わずかに約30分であることが望ましく、より有利にはわずかに約5分であることが望ましい。付加的な溶剤を同時に添加してよい。該混合物は、通常、添加が完了した後に、重合が完了するまでの時間にわたり反応温度で保持される。場合により、付加的な開始剤を添加して、モノマーからポリマーへの完全な変換を保証することができる。
【0028】
アクリルポリマーは、少なくとも約2000、有利には少なくとも約3000、より有利には少なくとも約3500、特に有利には少なくとも約4000の質量平均分子量を有することが望ましい。質量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィーによって測定することができる。更に、質量平均分子量、架橋に使用される官能基の当量及び該ポリマーのガラス転移温度は、特定のコーティング用途に合うように仕立てられる。
【0029】
クリヤーコートコーティング組成物は、有利には、ビヒクル質量に対して約20質量%〜約80質量%の、より有利には約35質量%〜約60質量%の、カルバメート官能を有するアクリルポリマーを含む。"ビヒクル質量"は、該コーティング組成物中の熱硬化性の被膜形成成分の全質量である。
【0030】
該コーティング組成物は、また、アクリルポリマーと反応性の架橋剤を含む。好適な架橋剤の例は、制限されないが、アミノプラスト類を含む。本発明の目的のためのアミノプラストは、活性化された窒素と低分子量のアルデヒドとの反応によって得られる材料であって、場合により更にアルコール(有利には、1〜4個の炭素原子を有するモノアルコール)と反応させて、エーテル基が形成された材料である。活性化された窒素の好ましい例は、活性化アミン類、例えばメラミン、ベンゾグアナミン、シクロヘキシルカルボグアナミン及びアセトグアナミン;尿素、例えば尿素自体、チオ尿素、エチレン尿素、ジヒドロキシエチレン尿素及びグアニル尿素;グリコールウリル;アミド類、例えばジシアンジアミド並びに少なくとも1つの第一級カルバメート基もしくは少なくとも2つの第二級カルバメート基を有するカルバメート官能性化合物である。他の有用な架橋剤は、イソシアネート基を有する硬化剤、特にブロック化イソシアネート硬化剤、エポキシ基、アミン基、酸基、シロキサン基、環状カーボネート基及び無水物基を有する硬化剤並びにそれらの混合物を含む。好ましい硬化剤化合物の例は、制限されないが、メラミンホルムアルデヒド樹脂(モノマー型もしくはポリマー型のメラミン樹脂及び部分的もしくは完全にアルキル化されたメラミン樹脂を含む)、ブロック化されたもしくはブロック化されていないポリイソシアネート(例えばTDI、MDI、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びこれらのイソシアヌレート類であって、それらは、例えばアルコールもしくはオキシム類でブロック化されていてよい)、尿素樹脂(例えばメチロール尿素類、例えば尿素ホルムアルデヒド樹脂、アルコキシ尿素類、例えばブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂)、ポリ無水物類(例えばポリコハク酸無水物)並びにポリシロキサン類(例えばトリメトキシシロキサン)を含む。もう一つの好適な架橋剤は、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン(Cytec Industries社からTACTの名称で入手できる)である。硬化剤は、これらの組み合わせであってよく、特にアミノプラスト架橋剤を含む組み合わせであってよい。アミノプラスト樹脂、例えばメラミンホルムアルデヒド樹脂又は尿素ホルムアルデヒド樹脂は特に有利である。
【0031】
顔料及び充填剤は、典型的には、前記コーティング組成物の全質量に対して約40質量%までの量で使用してよい。使用される顔料は、無機顔料であってよく、これは金属酸化物、クロメート、モリブデート、ホスフェート、及びシリケートを含む。使用されてよい無機顔料及び充填剤の例は、二酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック、オーカー、シェンナ、アンバー、ヘマタイト、褐鉄鉱、赤色酸化鉄、透明赤色酸化鉄(transparent red iron oxide)、黒色酸化鉄、褐色酸化鉄、酸化クロムグリーン、クロム酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、シリカ、例えば煙霧シリカ、炭酸カルシウム、タルク、バライト、フェロシアン化第二鉄アンモニウム(プルシアンブルー)、ウルトラマリン、クロム酸鉛、モリブデン酸鉛、及びマイカフレーク顔料である。有機顔料も使用されてよい。使用可能である有機顔料の例は、金属化及び非金属化アゾレッド、キナクリドンレッド及びバイオレット、ペリレンレッド、銅フタロシアニンブルー及びグリーン、カルバゾールバイオレット、モノアリーリド及びジアリーリドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、トリルオレンジ(tolyl orange)、ナフトールオレンジ、及びこの類似物である。
【0032】
前記コーティング組成物は、硬化反応を促進すべく触媒を含有してよい。係る触媒は当該技術分野でよく知られており、かつ制限されないが、亜鉛塩、スズ塩、ブロック化されたもしくは遊離のパラトルエンスルホン酸、ブロック化されたもしくは遊離のジノニルナフタレンスルホン酸又はリン酸フェニル酸を含む。
【0033】
1種以上の溶剤が、コーティング組成物中に含まれていてよい。一般的に、溶剤は、任意の有機溶剤及び/又は水であってよい。有利な一実施態様において、前記溶剤は極性有機溶剤を含む。より有利には、前記溶剤は、極性脂肪族溶剤又は極性芳香族溶剤から選択される1つ又は複数の有機溶剤を含む。なおもより好ましくは、溶剤は、ケトン、エステル、アセテート又はこれら任意の組み合わせを含む。使用可能である溶剤の例は、制限されないが、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセテート、エチレングリコールブチルエーテル−アセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、N−メチルピロリドン、芳香族炭化水素のブレンド、及びこれらの混合物を含む。別の有利な実施態様において、前記溶剤は、水又は水と少量の共溶媒との混合物である。一般に、プロトン性溶剤、例えばアルコール及びグリコールエーテルは、コーティング組成物が任意のポリイソシアネート架橋剤を含む場合には避けられるが、イソシアネート基とのある程度の反応がコーティングの硬化の間に起こりうることが予想できるものの少量のプロトン性溶剤は使用することができる。
【0034】
付加的な剤は、例えば立体障害アミン光安定剤、紫外光吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、安定剤、湿潤剤、レオロジー制御剤、分散剤、付着促進剤等が、前記コーティング組成物中に組み込まれていてよい。係る添加剤は公知であり、かつコーティング組成物のために使用される典型的な量で含有されていてよい。
【0035】
クリヤーコートコーティング組成物は、自動車の複合カラープラスクリアーコーティングの他の層として適用される。前記組成物上に設けられる着色したベースコート組成物は、当該技術分野で公知である任意の数々の種類であってよく、かつ本明細書においては詳細な説明を必要としない。ベースコート組成物中で有用であると当該技術分野で知られるポリマーは、アクリル類、ビニル類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリエステル類、アルキド類、及びポリシロキサン類を含む。有利なポリマーは、アクリル類及びポリウレタン類を含む。本発明の有利な一実施態様において、前記ベースコート組成物はまた、カルバメート官能性アクリルポリマーを使用してもよい。ベースコートポリマーは、熱可塑性であってよく、しかしながら有利には、架橋可能であり、かつ1つ以上の種類の架橋可能な官能基を有する。係る基は、例えばヒドロキシ、イソシアネート、アミン、エポキシ、アクリレート、酸、無水物、ビニル、シラン、及びアセトアセテート基を含む。係る基は、ブロック解除され、かつ架橋反応のために所望の硬化条件下で、一般的には高温で使用可能であるようにマスク又はブロック化されていてよい。有利な架橋可能である官能基は、ヒドロキシ官能基及びアミノ官能基を含む。
【0036】
ベースコートポリマーは、自体で架橋可能であるか、又は別個の架橋剤を必要とし、これは前記ポリマーの官能基と反応性である。前記ポリマーが、ヒドロキシ官能基を含む場合には、例えば前記架橋剤は、アミノプラスト樹脂、イソシアネート及びブロック化イソシアネート(イソシアヌレートを含む)、及び酸もしくは無水物官能性架橋剤であってよい。
【0037】
本発明のクリアーコートコーティング組成物は、一般に、ベースコートコーティング組成物上にウェット−オン−ウェット式に設けられ、これはこの産業において幅広くなされている。前記クリヤーコートコーティング組成物は、基材上に吹き付けコーティングによって被覆することができる。静電吹付けは有利な方法である。前記コーティング組成物は、典型的には約20〜約100ミクロンの硬化後の被膜厚さを提供すべく、1つ又は複数の段階で適用されてよい。
【0038】
前記コーティング組成物の基材への適用後に、前記コーティングを硬化させ、有利にはこの反応体に非溶解性のポリマー網目を形成させるために十分な温度かつ期間加熱することにより硬化させる。硬化温度は通常は、約105℃〜約175℃であり、この硬化期間は通常は、約15分間〜約60分間である。
【0039】
有利には前記コーティングを約120℃〜約150℃、約20分間〜約30分間硬化させる。加熱を赤外線加熱炉及び/又は対流炉中で実施してよい。
【0040】
前記コーティング組成物は、多くの異なる種類の基材上に設けられてよく、前記基材は金属基材、例えば裸鋼、リン酸処理鋼、亜鉛メッキ鋼、又はアルミニウムを含み、かつ非金属基材、例えばプラスチック及び複合材料を含む。ベースコートコーティング層以外に、該基材は、プライマー層、例えば電着されたプライマー及び/又はプライマーサーフェイサー層であって、未硬化もしくは有利には硬化された層を有してもよい。
【0041】
本発明を以下の実施例により更に説明する。実施例は単に例証するものであって、記載し請求した本発明の範囲を限定するものではない。全ての部は特に記載がない限りは質量部である。
【0042】
実施例
実施例1. カルバメートアクリルポリマー1A、1B及び1Cの合成
メタクリル酸620.1g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1648g、シクロヘキシルメタクリレート451g及びAromatic 100溶剤182gの混合物を、4時間にわたって、アゾビス(2−メチルブタンニトリル)436.3gをAromatic 100溶剤748.6g中に溶かした溶液と同時に、CARDURA E(Resolution Performance Products社によって供給されるグリシジルネオデカノエート)1874.4g、メチルカルバメート951g及びAromatic 100溶剤844gの混合物に、140℃に保持された反応器中で添加した。その添加後に、アゾビス(2−メチルブタンニトリル)32gをトルエン66g中に入れた混合物を、30分かけて添加した。次いで、トルエン95gを、添加導管のリンスとして添加し、そして生成物を更に1時間にわたり140℃で保持して、生成物への変換を完了させた。1時間の保持が完了したら、反応器を120℃に冷却した。該生成物は、当量ヒドロキシル当たりに238gの不揮発性成分(NV)の測定されたヒドロキシ当量、あるいはヒドロキシル価236mgKOH/g/NVを有していた。
【0043】
次いで、モノブチルスズ酸(BSA)16gとトルエン560gを投入し、そして反応器を125〜130℃に加熱しその温度で保持した。副生成物のメタノールを、トルエンを用いて共沸的に除去し、そしてカルバメート交換(ポリマーへのメチルカルバメートの付加)の程度を、ヒドロキシル価の測定によって理解した。それぞれ1700gの反応部を、生成物のヒドロキシル価が、150mgKOH/g/NV(実施例1A)、136mgKOH/g/NV(実施例1B)及び96mgKOH/g/NV(実施例1C)で測定されたときに取り出した。これらのヒドロキシル価で、全てのヒドロキシル基の約36%(実施例1A)、42%(実施例1B)及び66%(実施例1C)がカルバメート交換されている。取り出された生成物を真空に接続し、そして溶剤と過剰のメチルカルバメートを除去した。真空ストリップが完了したら、プロピレングリコールモノメチルエーテル700gを添加することで、約70%の不揮発性成分でカルバメートアクリル樹脂生成物(それぞれ実施例1A、1B及び1C)が得られた。
【0044】
実施例2. ヒドロキシアクリルポリマーの合成
アクリル酸12.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート48.2g、2−エチルヘキシルアクリレート16.6g、スチレン8g、n−ブチルメタクリレート42g及びメチルメタクリレート7.4gの混合物を、4時間にわたって、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート12.4g及びt−ブチルペルオキシアセテート6gをプロピレングリコールモノプロピルエーテル2g中に溶かした溶液と同時に、プロピレングリコールモノプロピルエーテル25gへと、150℃の反応器中で添加した。その添加後に、生成物を更に1時間にわたり140℃に保持して、モノマーのポリマーへの変換を完了させた。メチルプロピルケトン30gを添加して、該樹脂を65%の不揮発性溶液にした。理論上のTgは、23.4℃であると算出され、測定された当量は、当量ヒドロキシル当たりに330gであり、そして測定されたGPC分子量は、Mn3300、Mw5850及び多分散性1.8であった。
【0045】
実施例3. 星状ポリエステルカルバメートの製造
ヘキサヒドロフタル酸無水物628g、キシレン257g及びペンタエリスリトール173gの混合物を、酸価が220mgKOH/g/NVとなるまで125〜135℃で反応させた。次いで、グリシジルネオデカノエート1020gを、該反応混合物に添加し、発熱量を135℃未満に保った。温度を135℃で、測定される酸価が3mgKOH/g/NV未満になるまで保持した。該反応混合物に、メチルカルバメート430g、トルエン310g及びジブチルスズジオキシド4.6gを添加し、そして全混合物を、124〜128℃に加熱した。メタノールを、トルエンとの共沸物として、測定されるヒドロキシル価が20mgKOH/g/NV未満になるまで除去した。次いで反応器を真空に接続して、溶剤と残留するメチルカルバメートを生成物から除去した。Aromatic 100溶剤700gを生成物に添加するが、その際、最終固体含分は、74質量%未満であった。
【0046】
実施例4. 二量体脂肪アルコールシランの製造
Uniquema社製のC36二量体脂肪アルコール(商品名Pripol 2030として販売される)270gを、Silquest(登録商標)A−link 35シラン(3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン)205g、ジブチルスズアセテート0.2g及びAromatic 100溶剤100gと混合した。該混合物を、赤外分光分析並びに湿式滴定によって、イソシアネート官能が全てなくなったことが示されるまで80℃に加熱した(約2時間)。生成物は、当量メトキシ基当たりに158gの当量を有する82.6質量%の不揮発性溶液であった。
【0047】
実施例5. コーティング組成物の製造
コーティング組成物を、以下の表中の材料を合することによって製造した。量は、質量部で示される。
【0048】
【表1】

【0049】
1. CYMEL 327は、Cytec Industries社から入手できる。
【0050】
2. 該添加剤は、流動調節剤及びレオロジー調節剤、触媒、レベリング材及び溶剤を含んでいた。
【0051】
コーティング組成物5Aないし5Eを、以下のようにして試験した。不揮発性含分を測定した。コーティング組成物例を、電着されたプライマー、1mi(25.4mm)の吹き付けプライマー(BASF社によって供給されるU28プライマー)及び0.6milの黒色の水系ベースコートE54KW225(BASFにより供給)で被覆された鋼板上に吹き付け、そして285゜F(140℃)で20分間焼き付けた。硬化されたコーティング被膜の厚さは、約1.8mil(45.7mm)であった。硬化の程度は、ASTM法D5402によるメチルエチルケトン二重摩耗によって測定した。硬化されたコーティングの硬度は、DIN50359によるフィッシャー硬度として、HM100V型のフィッシャースコープ硬度計を使用して、1秒間の連続した50回のステップで勾配をなす100mNの最大力に設定して測定した。硬度は、N/mmで記録した。クロックメーターを用いて、硬化されたコーティングの耐引掻性と耐損傷性を10サイクルの試験の前及び後に試験し、そして光沢は、HunterPro光沢計を用いて、ASTM法D523に従って測定した。
【0052】
【表2】

【0053】
本発明の詳細な説明は、単に例示的性質を有するため、本発明の主旨から逸脱しない変更は、本発明の範囲内であると解釈される。係る変更は、本発明の主旨及び範囲からの逸脱と見なされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性のクリヤーコートコーティング組成物であって、
(a)活性水素を含む官能基を有するアクリルポリマーと、
(b)シリル化された二量体脂肪アルコールジオールと、
(c)前記アクリルポリマーと反応性の架橋剤と
を含有する、硬化性のクリヤーコートコーティング組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の硬化性のクリヤーコートコーティング組成物であって、シリル化された二量体脂肪アルコールジオールが、二量体脂肪アルコールジオールとイソシアナトアルキルトリアルコキシシランとの反応生成物である、硬化性のクリヤーコートコーティング組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の硬化性のクリヤーコートコーティング組成物であって、活性水素を含む官能基が、ヒドロキシル基、酸基、カルバメート基、末端尿素基及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、硬化性のクリヤーコートコーティング組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の硬化性のクリヤーコートコーティング組成物であって、活性水素を含む官能基が、ヒドロキシル基、カルバメート基及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、硬化性のクリヤーコートコーティング組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の硬化性のクリヤーコートコーティング組成物であって、架橋剤がアミノプラストを含む、硬化性のクリヤーコートコーティング組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の硬化性のクリヤーコートコーティング組成物であって、架橋剤がヘキサメトキシメチル化されたメラミン樹脂を含む、硬化性のクリヤーコートコーティング組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の硬化性のクリヤーコートコーティング組成物であって、架橋剤がイソシアネート架橋剤を含む、硬化性のクリヤーコートコーティング組成物。
【請求項8】
基材の被覆方法において、
(a)基材に、請求項1に記載の硬化性のクリヤーコートコーティング組成物の層を適用する工程と、
(b)適用されたクリヤーコートコーティング組成物の層を硬化させる工程と
を含む、基材の被覆方法。
【請求項9】
請求項8に記載の基材の被覆方法において、硬化性のクリヤーコートコーティング組成物を、ベースコートコーティング層上に適用する、基材の被覆方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法により製造される被覆された基材。
【請求項11】
請求項9に記載の方法により製造される被覆された基材。
【請求項12】
クリヤーコート組成物の硬化により得られる硬化されたクリヤーコート層の光沢を向上させる方法において、該クリヤーコート組成物に、約1質量%〜約10質量%のシリル化された二量体脂肪アルコールジオールを添加する工程を含む、硬化されたクリヤーコート層の光沢を向上させる方法。

【公表番号】特表2009−508981(P2009−508981A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531133(P2008−531133)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/033036
【国際公開番号】WO2007/037857
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【住所又は居所原語表記】100 Campus Drive, Florham Park, New Jersey 07932, USA
【Fターム(参考)】