説明

シリル化アミノプラスト樹脂

本発明は、シリル化アミノプラスト樹脂、その製造方法、その使用及び前記樹脂を含有するコーティング材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、シリル化アミノプラスト樹脂、その製造方法、その使用及び前記樹脂を含有するコーティング材料に関する。
【0002】
アミノプラスト樹脂からなるか又はこれをベースとする顔料付与した塗料及びクリアー塗料は、数十年来知られている。
【0003】
Roempps Chemielexikonには、アミノプラスト樹脂は、「大抵は比較的低分子量の重縮合生成物であって、カルボニル化合物(特にホルムアルデヒド、最近では高級アルデヒド及びケトンも)、求核性成分(結合していない電子対を縮合部位に有する全てのH酸性化合物)及びNH基含有化合物、例えば尿素(尿素樹脂)、メラミン(メラミン樹脂、例えばメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂)、ウレタン(ウレタン樹脂)、シアナミド又はジシアナミド(シアナミド樹脂又はジシアナミド樹脂)、芳香族アミン(アニリン樹脂)及びスルホンアミド(スルホンアミド樹脂)(これらは縮合反応において相互に連結される)から構成されるもの」と記載されている。
【0004】
アミノプラスト樹脂のうち、特にメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂が、コーティング材料におけるその好ましい特性のために広く普及している。
【0005】
非可塑化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、単独でか又は更なる化学的に異なる架橋剤、例えばブロックトポリイソシアナート、トリスアルキルカルバモイルトリアジン(TACT)又はエポキシドと組み合わせて、架橋性成分として結合剤混合物中で用いられる。この塗料成分の硬化後に、化学的影響、機械的影響及び天候が原因の影響に対して抵抗性であるコーティングが得られる。可塑化したメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、カルバマート構造での改質、ポリエステル又はアルキド樹脂とのブレンド、或いは、これらとの予備縮合を示すことができる。非可塑化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、形状安定性でない、柔軟なコーティング基材に対する使用の場合に、コーティングが裂けないように、外側弾性化を必要とする。単一の処方物成分としての架橋剤は、脆い網目を形成するに過ぎない。
【0006】
メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、適用領域(成形材料、グルー、含浸樹脂、塗料)、アルキル化物質(ブタノール、メタノールとのエーテル化、混合エーテル化)に応じて、又はここで挙げるようにトリアジン:ホルムアルデヒド:エーテル化アルコールからの比に応じて、特徴付けされる:
1. 完全〜高メチロール化及び完全〜高アルキル化樹脂(HMMMタイプ)、
2.1 部分メチロール化及び高アルキル化樹脂(高イミノタイプ)、
2.2 部分メチロール化及び部分アルキル化樹脂(メチロールタイプ)、
3. 低メチロール化樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド−縮合物)。
【0007】
完全エーテル化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂の第1の大きな群は、いわゆる組込モル比(Einbaumolverhaeltnis)メラミン:ホルムアルデヒド:アルコールが理論的に1:6:6のものであり、実地では通常1:>5.5:>5.0、大抵は1:>5.5:>4.5のものであり、明らかに良好なHigh solids挙動(高固形含有量で比較的低粘度)により優れている。この架橋剤群では、遊離ホルムアルデヒドは、アミノ樹脂の低粘度のために容易に減少される。現在では、遊離ホルムアルデヒド含有量<0.3質量%が達成可能である。この場合に、市販製品はアルコールとして大抵メタノールを含有するが、しかし、これは混合エーテル化又は完全ブチル化タイプとしても知られている。
【0008】
完全エーテル化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、実地では好ましくは集束物(Can−Coating)及び金属テープ(Coil−Coatings)のコーティングにおいて世界的に使用され、かつ、NAFTAにおいては自動車塗装の全ての層についても使用される。
【0009】
焼き付け条件(例えば20分で140℃)での低い熱反応性は、この完全エーテル化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂のために強酸を用いた触媒作用を必要とする。これによって、極めて迅速な硬化が、結合剤とのエーテル交換によってエーテル化アルコールの放出下で均質な共網目(Conetzwerk)が、得られる。強酸を用いたこの触媒作用によって、極めて短期の硬化時間が、例えば部分メチロール化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂で可能である。架橋の間に、遊離ホルムアルデヒドを顕著に上回り、かつ、メチロール基の再開裂を理由とする、ホルムアルデヒド放出が可能である。
【0010】
部分エーテル化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂の第2の大きな群は、実地では大抵はメラミン:ホルムアルデヒド:アルコールの組込モル比1:3〜5.4:2〜4.3であり、酸触媒作用なしで、第1の群に比較して顕著に高められた熱反応性により優れている。この架橋剤の製造の間には、より高粘度(より低いHigh solids挙動)を導き、これによって、蒸留の際の遊離ホルムアルデヒドの除去を困難にする、自己縮合が行われる。この生成物のためには、遊離ホルムアルデヒド含有量0.5〜1.5%が標準であるが、遊離ホルムアルデヒド含有量0.3〜3質量%を有する生成物も存在する。ここでも、市販製品としてメチル化、ブチル化並びに混合エーテル化タイプが広く普及している。更なるアルキル化物質とのエーテル化は、文献において記載されているか又は特殊な生成物として入手できる。
【0011】
高イミノタイプ及びメチロールタイプは、それぞれの下位群として、両者が不完全メチロール化、すなわち、ホルムアルデヒド−組込モル比1:5.5未満を有する。しかし、高イミノタイプは、メチロールタイプとは、高アルキル化度、すなわち、組込まれたホルムアルデヒド当量に対するエーテル化メチロール基の割合が、大抵80%までであることによって異なり、これに対して、メチロールタイプは通常<70%を有する。
【0012】
部分メチロール化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂のための使用領域は、反応性適合のためのHMMMタイプとの組み合わせにおいても、全ての適用領域にまで及び、ここでは硬化温度100〜150℃が要求される。弱酸を用いた追加的な触媒作用が可能であり、かつ実地で慣用されている。
【0013】
前記アミノ樹脂と結合剤との反応の他に、顕著に高められた割合の、架橋剤の自己架橋が自発的に行われる。この結果は、全体的な系の減少した弾性であり、これは組み合わせパートナーの適した選択によってバランスをとらなくてはならない。これに対して、好ましくは、ここから製造されるコーティングからの減少した全ホルムアルデヒド放出である。
【0014】
エーテル化アルコールのみを有するアミノ樹脂、特にメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂の他に、混合エーテル化生成物がますます重要性を獲得している。
【0015】
EP 1784466は、ヒドロキシ官能性シランを有するメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂からのコーティング材料を記載する。
【0016】
この欠点は、ヒドロキシ官能性シランが手間をかけて重合において製造されなくてはならないことである。
【0017】
US 2004/214017は、メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂とエポキシ−又はイソシアナート官能化シランとの反応生成物を記載する。
【0018】
この化合物の欠点は、この官能化シランがメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂との反応の際に付加的な官能性、例えばヒドロキシ基又は尿素基を生じることであり、これは再度メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂と反応するか(ヒドロキシ基)又はこの生成物の溶解性を低下させる(尿素基)。
【0019】
アルコキシシラン変性したメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂は既に、出願番号09172660.4及び出願日2009年10月9日を有する、前もって公開されていないヨーロッパ特許出願に記載されている。この化合物の欠点は、硬化の促進に使用される酸と結合し、したがってその触媒作用を妨げる、アミン性窒素である。
【0020】
構造及び特性においてメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂に極めて類似して挙動するアミノプラスト樹脂の更なる一群は、ベンゾグアナミン樹脂(ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂)である。遊離OH基は、少なくとも部分的に低級アルコール、特にC1〜C4−アルコール、特に好ましくはメタノール又はn−ブタノールとエーテル化していることもできる。
【0021】
更なるアミノプラスト樹脂として挙げることができるのは、例えば尿素樹脂、すなわち、尿素とホルムアルデヒド(略称UF、DIN EN ISO 1043−1:2002−6による)との重縮合生成物である。遊離OH基は、少なくとも部分的に低級アルコール、特にC1〜C4−アルコール、特に好ましくはメタノール又はn−ブタノールとエーテル化していることもできる。
【0022】
本発明の課題は、結合されたシリル基を介して更なる硬化機構を有し、かつ、改善された特性を有するコーティングを生じる、アミノプラスト樹脂のための新規変性手段を提供することであった。
【0023】
前記課題は、シリル基を有するアミノプラスト樹脂の製造方法であって、
−第1の工程において、少なくとも1の任意にエーテル化したアミノプラスト樹脂(A)を、少なくとも1のC=C二重結合及び少なくとも1のヒドロキシ基を有する、少なくとも1の不飽和アルコール(B)でエーテル化又はエーテル交換し、そして
−引き続き、このようにしてアミノプラスト樹脂に結合したC=C二重結合の少なくとも一部に、ヒドロシリル化によって、少なくとも1のSi−H結合を有する少なくとも1のシラン化合物(C)を付加させる
方法により解決された。
【0024】
この化合物の特殊な2段階合成によって、本発明により得られるアミノプラスト樹脂は、先に挙げた障害となるアミン構造を含まない。
【0025】
アミノプラスト樹脂(A)は好ましくは、メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂、ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド−樹脂及び尿素/ホルムアルデヒド−樹脂であってよく、これらはそれぞれ任意に少なくとも部分的にエーテル化されていることができ、好ましくは少なくとも部分的にエーテル化されている。
【0026】
特に好ましくは、少なくとも部分的にエーテル化されたメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂又はベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂であり、特にとりわけ好ましくは、少なくとも部分的にエーテル化されたメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂である。
【0027】
本発明により、アミノプラスト樹脂(A)として使用可能なメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、例えば次のように構成されている:
冒頭部で挙げたように、メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂は頻繁に、メラミン:ホルムアルデヒド:アルコールの組込モル比により特徴付けられる。この場合に、アルコールは好ましくは、メタノール、エタノール、イソブタノール及びn−ブタノール又はその混合物からなる群から選択されており、好ましくはメタノール及びn−ブタノールからなる群から選択されている。
【0028】
本発明により使用可能なメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、組込モル比1:2〜6:1〜6を有してよく、その際、個々のケースでは、オリゴホルマール鎖の形成によって、8までのホルムアルデヒド−組込比も考慮できる。
【0029】
組込モル比1:3〜6:1.5〜6が好ましい。
【0030】
メチルエーテル化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂にとっては、組込モル比1:3.6〜5.7:2.1〜4.7が特に好ましく、組込モル比1:5〜6:3.5〜6、とりわけ1:5〜6:4.0〜5.0が特にとりわけ好ましい。
【0031】
n−ブチルエーテル化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂にとっては、組込モル比1:3.2〜5.7:1.3〜4が特に好ましく、組込モル比1:5〜6:3.5〜6、とりわけ1:5〜6:3.5〜4.5が特にとりわけ好ましい。
【0032】
使用可能なメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、1つの重縮合物あたり1のみのメラミン基を有することができるだけでなく、さらに複数の、好ましくは6つまでの、特に好ましくは4つまでの、特にとりわけ好ましくは3つまでの、とりわけ2つまでを有することができる。
【0033】
本発明によりアミノプラスト樹脂として使用可能なベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂は、例えば次のように構成されている。
【0034】
ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド−樹脂もまた頻繁に、ベンゾグアナミン:ホルムアルデヒド:アルコールの組込モル比により特徴付けされる。この場合に、アルコールは好ましくは、メタノール、エタノール、イソブタノール及びn−ブタノール又はその混合物からなる群から選択されており、好ましくはメタノール及びn−ブタノールからなる群から選択されている。
【0035】
本発明により使用可能なベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、組込モル比1:1.5〜4:1〜4を有してよく、その際、個々のケースでは、オリゴホルマール鎖の形成によって、6までのホルムアルデヒド−組込比も考慮できる。
【0036】
組込モル比1:2〜4:1.5〜4が好ましい。
【0037】
メチルエーテル化ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド−樹脂にとっては、組込モル比1:2.2〜3.7:2.1〜3.0が特に好ましく、組込モル比1:3〜4:1.5〜4、とりわけ1:3〜4:2.0〜3.0が特にとりわけ好ましい。
【0038】
n−ブチルエーテル化ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド−樹脂にとっては、組込モル比1:2.2〜3.7:1.3〜2が特に好ましく、組込モル比1:3〜4:1.5〜4、とりわけ1:3〜4:1.5〜2.5が特にとりわけ好ましい。
【0039】
使用可能なベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、1つの重縮合物あたり1のみのベンゾグアナミン基を有することができるだけでなく、さらに複数の、好ましくは5つまでの、特に好ましくは4つまでの、特にとりわけ好ましくは3つまでの、とりわけ2つまでを有することができる。
【0040】
本発明によりアミノプラスト樹脂として使用可能な尿素/ホルムアルデヒド樹脂は、例えば次のように構成されている:
本発明により使用可能な尿素−ホルムアルデヒド−樹脂は、尿素/ホルムアルデヒド/アルコールの組込モル比1:1〜4:0.3〜3、好ましくは1:1〜3:0.4〜2、特に好ましくは1:1.5〜2.5:0.5〜1.5、特にとりわけ好ましくは1:1.6〜2.1:0.6〜1.3を有することができる。
【0041】
この場合に、アルコールは好ましくは、メタノール、エタノール、イソブタノール及びn−ブタノール又はその混合物からなる群から選択されており、好ましくはメタノール及びn−ブタノールからなる群から選択されている。
【0042】
尿素/ホルムアルデヒド−樹脂には、いわゆるグリコウリル樹脂も属し、これはグリコウリル(グリオキサールと2当量の尿素との反応生成物)と、ホルムアルデヒドとの反応により発生し、1又は複数のアルコールで任意にエーテル化されていることができる。
【0043】
本発明の更なる主題は、式(I)
【化1】

[式中、
基R1〜R6はそれぞれ相互に独立して次のものを意味することができる:
a)基として水素原子(−H)、
b)−[CH2−O−]m−H
(式中、mは少なくとも1の正の整数を意味する)、
c)−[CH2−O−]n−R7
(式中、nは少なくとも1の正の整数を意味する、かつ
7はアルキル基を意味する)、
d)式(II)
【化2】

(式中、
pは少なくとも1の正の整数、
9〜R11は相互に独立して次のものを意味することができる:
−アルキル基、又は
−基−O−R12(ここで、R12は、アルキル基又はアリール基)、
−式(IIIa)
【化3】

の基、
又は
−式(IIIb)
【化4】

の基、
ここで、R14〜R18は相互に独立してアルキル、アリール、アルキルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキル及びシクロアルキルオキシを意味することができる、かつ
qは、少なくとも1の正の整数を意味する)の基、
e)式(IV)
【化5】

(式中、rはゼロ又は少なくとも1の正の整数を意味することができる、かつ
基R1′〜R5′はそれぞれ相互に独立して、前記基a)〜d)から選択されていることができる)の基、
但し、少なくとも1の基R1〜R6並びに基R1′〜R5′は、存在する場合には、式(II)の基であり、かつ、多くとも2つの基R1〜R6はそれぞれ式(IV)の基である
]のシリル化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂である。
【0044】
本発明によるシリル化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、変性されていないメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂に対して、より高い光沢及び/又は改善された耐引掻性を示す。
【0045】
上述の式(I)中、可変部は以下の意味合いを有する:
7は、アルキル、好ましくはC1〜C4−アルキル、特に好ましくはメチル、エチル、イソブチル又はn−ブチル、特にとりわけ好ましくはメチル又はn−ブチル、とりわけメチルを意味する。
【0046】
アルキルとは、本刊行物の範囲では、直鎖状又は分枝状のアルキル基であって20個までの炭素原子を有するものが理解され、好ましくはC1〜C8−アルキル基、すなわち、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基又は2−エチルヘキシル基である。
【0047】
1〜C4−アルキルとは、本刊行物において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基が理解される。
【0048】
9〜R11は、相互に独立してアルキル、式−O−R12の基、又は、式(IIIa)又は(IIIb)の基であり、好ましくは式−O−R12の基であり、特に好ましくはR12はアルキル、特にとりわけ好ましくはメチル又はエチル、とりわけエチルである。
【0049】
基R1′〜R5′は、それぞれ相互に独立して、群a)〜d)から選択されていることができる。無論、基R1′〜R5′は、少なくとも1の基R1〜R6が式(IV)の基を意味する場合に、本発明のシリル化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂中に存在していることが理解される。
【0050】
mは、1〜4、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2の正の整数、特にとりわけ好ましくは1を意味する。
【0051】
nは、1〜4、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2の正の整数、特にとりわけ好ましくは1を意味する。
【0052】
pは、0又は1〜4、好ましくは0〜3、特に好ましくは0〜2の正の整数、特にとりわけ好ましくは0又は1、特に1を意味する。
【0053】
qは、1〜4、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2の正の整数、特にとりわけ好ましくは1を意味する。
【0054】
rは、0又は1〜4、好ましくは0〜3、特に好ましくは0〜2の正の整数、特にとりわけ好ましくは0又は1、特に1を意味する。
【0055】
好ましくは、基R1〜R6の多くとも1、特に好ましくは1以下だけが、式(IV)の基である。
【0056】
本発明の更なる主題は、式(Ia)
【化6】

[式中、
基R3〜R6はそれぞれ相互に独立して次のものを意味することができる:
a)基として水素原子(−H)、
b)−[CH2−O−]m−H
(式中、mは少なくとも1の正の整数を意味する)、
c)−[CH2−O−]n−R7
(式中、nは少なくとも1の正の整数を意味する、かつ
7はアルキル基を意味する)、
d)式(II)
【化7】

(式中、
pは少なくとも1の正の整数、
9〜R11は相互に独立して次のものを意味することができる:
−アルキル基、又は
−基−O−R12(ここで、R12は、アルキル基又はアリール基)、
−式(IIIa)
【化8】

の基、
又は
−式(IIIb)
【化9】

の基、
ここで、R14〜R18は相互に独立してアルキル、アリール、アルキルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキル及びシクロアルキルオキシを意味することができる、かつ
qは、少なくとも1の正の整数を意味する)の基、
e)式(IVa)
【化10】

(式中、rはゼロ又は少なくとも1の正の整数を意味することができる、かつ
基R3′〜R5′はそれぞれ相互に独立して、前記基a)〜d)から選択されていることができる)の基、
但し、少なくとも1の基R3〜R6並びに基R3′〜R5′は、存在する場合には、式(II)の基であり、かつ、多くとも2つの基R3〜R6はそれぞれ式(IVa)の基である]のシリル化ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド−樹脂である。
【0057】
本発明によるシリル化ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、変性されていないベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド−樹脂に対してより高い光沢及び/又は改善された耐引掻性を示す。
【0058】
上述の式(Ia)中、可変部は以下の意味合いを有する:
7は、アルキル、好ましくはC1〜C4−アルキル、特に好ましくはメチル、エチル、イソブチル又はn−ブチル、特にとりわけ好ましくはメチル又はn−ブチル、とりわけメチルを意味する。
【0059】
アルキルとは、本刊行物の範囲では、直鎖状又は分枝状のアルキル基であって20個までの炭素原子を有するものが理解され、好ましくはC1〜C8−アルキル基、すなわち、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基又は2−エチルヘキシル基である。
【0060】
1〜C4−アルキルとは、本刊行物において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基が理解される。
【0061】
9〜R11は、相互に独立してアルキル、式−O−R12の基、又は、式(IIIa)又は(IIIb)の基であり、好ましくは式−OR12の基であり、特に好ましくはR12はアルキル、特にとりわけ好ましくはメチル又はエチル、とりわけエチルである。
【0062】
基R3′〜R5′はそれぞれ相互に独立して、前記基a)〜d)から選択されていることができる。無論、基R3′〜R5′は、少なくとも1の基R3〜R6が式(IVa)の基を意味する場合に、本発明のシリル化ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド−樹脂中に存在していることが理解される。
【0063】
mは、1〜4、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2の正の整数、特にとりわけ好ましくは1を意味する。
【0064】
nは、1〜4、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2の正の整数、特にとりわけ好ましくは1を意味する。
【0065】
pは、0又は1〜4、好ましくは0〜3、特に好ましくは0〜2の正の整数、特にとりわけ好ましくは0又は1、特に1を意味する。
【0066】
qは、1〜4、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2の正の整数、特にとりわけ好ましくは1を意味する。
【0067】
rは、0又は1〜4、好ましくは0〜3、特に好ましくは0〜2の正の整数、特にとりわけ好ましくは0又は1、特に1を意味する。
【0068】
好ましくは、基R3〜R6の多くとも1は、特に好ましくは1以下だけは、式(IVa)の基である。
【0069】
本発明のシリル化アミノプラスト樹脂は、例えば、相応するアミノプラスト、例えば式(I)の化合物に相応するメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂、すなわち、式(I)のメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂(式中、式(II)の基は、基−[−CH2−O−]p−Hにより置換されている)の2工程反応により入手される。第1の工程において、この化合物を不飽和モノアルコール(B)、好ましくはアリルアルコールと反応させ、その二重結合に対して次工程において遷移金属触媒作用した、好ましくは白金触媒作用したヒドロシリル化によって、式(V)の化合物(C)を付加する。
【化11】

[式中、R9〜R11は前述の意味を有する]。
【0070】
この白金触媒作用したヒドロシリル化は、頻繁に以下のように実施される:使用されるアミノプラスト樹脂(A)と不飽和モノアルコール(B)との反応生成物を、周囲温度で反応容器(不活性ガスシール、好ましくは窒素又はアルゴンの維持のための装置を装備している)中で不活性ガスシール下で、水不含不活性溶媒中に溶解させたケイ素水素化物(V)と混合する。撹拌下で、触媒、例えば遷移金属、好ましくは第VIII副族の貴金属、特に好ましくはニッケル、ニッケル塩、イリジウム塩、特にとりわけ好ましくはクロロ白金酸を次に添加する。この温度を不活性ガスシール下で約60℃に高める。この反応をNMR分光法によってアリル基のビニル性メチン−プロトン(−CH=5.9ppm、CDCl3中)の多重線の消失について観察した。
【0071】
使用されるアミノプラスト樹脂は、少なくとも1の溶媒、例えば水、C1〜C4−アルキルアルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール又はtert−ブタノール、又は芳香族炭化水素、例えばトルエン又はキシレン−異性体混合物を含有できる。
【0072】
使用されるアミノプラスト樹脂の遊離ホルムアルデヒドの含有量は、通常は1.5質量%を超えず、例えば1.0質量%を超えず、好ましくは0、を超えず、特に好ましくは0.3質量%を超えず、特にとりわけ好ましくは0.1質量%を超えない。
【0073】
化合物(B)は、少なくとも1の、好ましくは正確に1の不飽和アルコール(B)であり、これは少なくとも1の、好ましくは正確に1のC=C二重結合及び少なくとも1の、好ましくは正確に1のヒドロキシ基を有する。
【0074】
C=C二重結合は、本発明では、活性化してない二重結合であり、これは水素原子及びsp3混成炭素原子以外の他の基と一緒に直接的に結合していない、すなわち、直接的な近傍にある、C=C二重結合又は共役二重結合系のことである。この種のsp3混成炭素原子は、例えば、アルキル基、非置換メチル基、1回置換した(1,1−アルキレン基)又は2回置換したアルキレン基(n,n−アルキレン基)であることができる。
【0075】
共役した二重結合系の場合には、C=C二重結合は1又は複数の更なるC=C二重結合及び/又は芳香族系と共役し、その際、好ましくは、1〜3つの、特に好ましくは1〜2つの、特にとりわけ好ましくは正確に1つの更なるC=C二重結合、又は好ましくは正確に1の炭素環式芳香族環系である。本発明で重要であるのは、この場合に、共役した二重結合系が水素原子及びsp3混成炭素原子以外の別の基と直接的に結合しないことである。芳香族環系とは、炭素環式環系であり、複素芳香族系は本発明により除外されている。
【0076】
好ましくは、C=C二重結合は隔離された二重結合であり、共役した二重結合系を有するアルコール(B)はあまり好ましくない。
【0077】
これに対して、電子的に活性化されているC=C二重結合、例えばビニルエーテル基、アクリラート基又はメタクリラート基は除外されている。
【0078】
C=C二重結合とヒドロキシ基の間には、少なくとも1つの、好ましくは1〜10つの,特に好ましくは1〜5つの、特にとりわけ好ましくは1〜3つの、とりわけ1〜2つの、特には1つのsp3混成炭素原子が存在する。
【0079】
この種の化合物(B)の例は、アリルアルコール(2−プロペン−1−オール)、メタリルアルコール(2−メチル−2−プロペン−1−オール)、ホモアリルアルコール(3−ブテン−1−オール)、1−ブテン−3−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、1−オクテン−3−オール、2−ヘキセン−1−オール、1−ペンテン−3−オール並びにさらにフィトール、ファルネソール及びリナロールである。
【0080】
複数のC=C二重結合を有する化合物(B)の例は、1,4−ペンタジエン−3−オール、1,4−ヘキサジエン−3−オール及び5−メチル−1,4−ヘキサジエン−3−オールである。しかし、複数のC=C二重結合を有する化合物は、あまり好ましくない。
【0081】
炭素環芳香族環系に対して共役している、C=C二重結合を有する化合物(B)の一例は、ケイ皮アルコールである。芳香族に対して共役したC=C二重結合を有する化合物は、しかし、あまり好ましくない。
【0082】
好ましくは、アリルアルコール、メタリルアルコール及びホモアリルアルコール、特に好ましくはアリルアルコールである。
【0083】
化合物(C)は、式(V)
【化12】

[式中、R9〜R11は、上述の意味合いを有する]
の化合物である。
【0084】
このうち、R9〜R11は相互に独立して好ましくは
−C1〜C4−アルキル基、又は
−基−O−R12(式中、R12はC1〜C4−アルキル基又はフェニル基)
を意味する。
【0085】
特に好ましくは、R9〜R11は、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、メトキシ、エトキシ、tert−ブチルオキシ及びフェノキシからなる群から選択され、特にとりわけ好ましくはメチル、エチル、メトキシ及びエトキシからなる群から選択されている。
【0086】
使用されるシラン(C)は、好ましくは、トリス(アルキルオキシ)シラン又はアルキルビス(アルキルオキシ)シラン、特に好ましくはトリス(C1〜C4−アルキルオキシ)シラン又はC1〜C4−アルキルビス(C1〜C4−アルキルオキシ)シランである。
【0087】
使用されるシラン(C)は、特にとりわけ好ましくは、トリエチルシラン、トリエチルシラン、トリイソプロピルシラン、ジメチルフェニルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、エトキシジメチルシラン、フェノキシジメチルシラン、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン、ビストリメチルシロキシメチルシラン又はこの混合物である。
【0088】
シラン(C)の混合物として、5:1〜1:5、好ましくは4:2〜2:4、特に好ましくは約3;3の比にある、トリス(アルキルオキシ)シランとアルキルビス(アルキルオキシ)シランの混合物を使用することは、本発明の好ましい一実施態様である。
【0089】
不飽和アルコール(B)対使用すべきアミノプラスト樹脂中のエーテル基の化学量論は、通常は0.2:1〜1:0.2である。
【0090】
式(V)に応じたシラン(C)対エーテル化又はエーテル交換されたアミノプラスト樹脂(不飽和アルコールとの反応により得られる)中の二重結合の化学量論は、通常は0.1:1〜1.0:1、好ましくは0.5:1〜1.0:1、特に好ましくは0.6:1〜1.0:1、特にとりわけ好ましくは0.8:1〜1.0:1である。
【0091】
1より多い、例えば少なくとも2つ、好ましくは2〜4つ、特に好ましくは2又は3つ、特にとりわけ好ましくは2つのSi−H結合を有する化合物(C)の使用も考慮できる。
【0092】
このための例は、式
【化13】

[式中、R9及びR10は上述の意味合いを有することができる]
のシロキサン架橋した化合物(C1)である。
【0093】
このための例は、テトラメチルシロキサン、テトラエチルシロキサン及びテトラフェニルシロキサンである。
【0094】
本発明によるシリル化アミノプラスト樹脂への反応は、第1の工程において、好ましくは40℃と120℃の間で、特に好ましくは60℃と110℃の間で、特にとりわけ好ましくは80℃と100℃の間で行われ、第2の工程において、好ましくは40℃と80℃の間で、特に好ましくは50℃と70℃の間で、特にとりわけ好ましく60℃で行われることができる。
【0095】
この反応は物質中で、しかし好ましくは、不活性の、水不含溶媒中で実施されることができる。
【0096】
使用されるアミノプラスト樹脂と不飽和アルコールとの反応は、触媒作用されて又は触媒作用されないで、共留剤、例えばトルエンの添加あり又はなしで行われることができる。触媒が使用される場合には、これは好ましくは酸である。酸の例は以下に挙げられている。不飽和アルコールは所望の置換度に応じてアミノプラスト樹脂に関して1:1〜20:1(molar)の比で使用され、好ましくは6:6〜15:6の比で、特に好ましくは約10:6の比で使用される。過剰アルコールは、反応終了後に、減圧下で最高50℃でこの反応混合物から除去される。反応混合物の更なる加熱は、アミノプラスト樹脂の重合を導くことができる。
【0097】
発生する樹脂がメラミン核ごとにアルコール(B)に関する置換度好ましくは少なくとも3、特に好ましくは4〜6、特にとりわけ好ましくは5〜6を有するように、アルコール(B)対アミノプラスト樹脂(A)の比を選択することは、本発明の好ましい一実施態様である。必要な場合には、数個のアルコール基(B)のみを有する生成物は、更なるアルコール(B)の添加により更に反応させられることができる。
【0098】
不飽和アルコール(B)とアミノプラスト樹脂(A)との反応は、エーテル交換の意味合いにおいて行われることができ、この場合に、アミノプラスト樹脂中に含有されているアルキル基は脱離され、かつ、不飽和アルコール(B)によって置換され、又は、エーテル化の意味合いにおいて行われることができ、この場合に、アミノプラスト樹脂中に含有されている遊離ヒドロキシ基は不飽和アルコール(B)によって置換される。通常は、エーテル化及びエーテル交換は、遊離ヒドロキシル基が存在する限り、同時に進行する。
【0099】
不飽和アルコール(B)の二重結合へのシラン(C)の付加は、遷移金属触媒作用されて行われる。遷移金属として、好ましくは第8亜族のものが考慮され、特に好ましくは、金属状であるか又は錯体の形の、白金、ロジウム、パラジウム、コバルト及びニッケルである。好ましい触媒は、例えば、いわゆるカールシュテット(Karstedt)触媒(白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン)又はヘキサクロロ白金酸水和物であり、例えばシュパイヤー(Speier)触媒の形、すなわち、イソプロパノール中の溶液の形にもあることもあり、並びに、活性炭上の白金である。
【0100】
通常は、この反応は第1の工程において、使用される不飽和アルコールが場合によって前記触媒と一緒に装入され、この所望の温度にもたらされ、そして、場合によって適した溶媒中に溶解されたアミノプラスト樹脂がゆっくりとそこに添加されるように、実施される。
【0101】
遊離されるメタノールは連続的に水分離器中で集められ、理論量のメタノールが分離された後に、反応は中断される。水が反応混合物中に含有されている場合には、好ましくは、短いビグリューカラムが、形成されたメタノールを、不飽和アルコール及び水からの共沸物から効率的に分離するために使用される。但し、この反応は好ましくは、水の排除下で実施される。この目的のために、使用される不飽和アルコールは、使用前に、炭酸カリウム又は他の適した乾燥剤を介して蒸留される。
【0102】
この得られる反応生成物は、シリカゲル(Silicagel Si 60、40−63μm、Merck)に対するカラムクロマトグラフィにより、1:2の比にある酢酸エチル及びペンタンからの溶離剤混合物を用いて精製されることができる。但し、この粗製生成物は、通常は、わずかな汚染物質のみを含有し、かつ、更なる精製なしに後続の合成において使用されることができる。
【0103】
通常は、第2の反応工程は、第1の反応工程からの予備生成物が好ましくは不活性雰囲気下で相応するシランと一緒に水不含の不活性溶媒と一緒に装入され、強力な撹拌下で同じ溶媒中の遷移金属触媒の溶液と混合される、ように実施される。この反応混合物は上述の温度で30分間〜3時間、好ましくは1〜2時間撹拌され、場合によって、引き続き減圧下で溶媒が除去される。この生成物の後処理は必要でない。
【0104】
適した酸性触媒は、硫酸、硝酸、リン酸、塩酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸又はその混合物であり、酸性イオン交換体も考慮できる。好ましくはスルホン酸、特に好ましくはパラトルエンスルホン酸である。
【0105】
酸性触媒は、通常は0.1〜1質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%の量で添加される。触媒を複数の位置で導入することが有用であることができる。
【0106】
この得られるシリル化アミノプラスト樹脂は、23℃でISO 3219/Bに応じた粘度好ましくは100〜20000mPas、特に好ましくは500〜10000mPasを有する。
【0107】
この剪断率はこの場合に好ましくは250s-1であることが望ましい。
【0108】
この得られるシリル化アミノプラスト樹脂、特にメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂の数平均モル質量Mnは、通常は、3500g/mol未満、好ましくは3000g/mol未満、特に好ましくは2500g/mol未満である(標準としてテトラヒドロフラン及びポリスチレンを用いたゲル透過クロマトグラフィにより測定、DIN 55672、第1部)。
【0109】
好ましい一実施態様において、この得られるアミノプラスト樹脂、特にメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂の酸価は、3mg KOH/g未満、特に好ましくは2mg KOH/g未満(ISO 3682により測定)である。
【0110】
本発明のシリル化アミノプラスト樹脂中の遊離ホルムアルデヒド含有量は、通常は、多くとも0.2質量%、好ましくは多くとも0.15質量%、特に好ましくは多くとも0.1質量%である。
【0111】
遊離ホルムアルデヒドに関する含有量を、EN ISO 9020に応じて測定する。
【0112】
本発明により得られるシリル化アミノプラスト樹脂、特にメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂は、引き続き、慣用の溶媒と混合されることができる。
【0113】
この種の溶媒のための例は、芳香族及び/又は(環式)脂肪族炭化水素及びその混合物、ハロゲン化炭化水素、エステル、エーテル及びアルコールである。
【0114】
好ましいのは、芳香族炭化水素、(環式)脂肪族炭化水素、アルカン酸アルキルエステル、アルコキシル化アルカン酸アルキルエステル及びその混合物である。
【0115】
特に好ましいのは、1回又は複数回アルキル化されたベンゼン及びナフタリン、アルカン酸アルキルエステル及びアルコキシル化アルカン酸アルキルエステル並びにその混合物である。
【0116】
芳香族炭化水素混合物として、主に芳香族C7〜C14−炭化水素を含み、かつ110〜300℃の沸点範囲を有することができるようなものが好ましく、特に好ましくはトルエン、o−、m−又はp−キシレン、トリメチルベンゼン異性体、テトラメチルベンゼン異性体、エチルベンゼン、クメン、テトラヒドロナフタレン及びこれらを有する混合物である。
【0117】
このための例は、ExxonMobil Chemical社の商標Solvesso(R)、特にSolvesso(R) 100(CAS−No. 64742−95−6、主にC9〜C10芳香族化合物、沸点範囲約154〜178℃)、150(沸点範囲約182〜207℃)及び200(CAS−No. 64742−94−5)並びにShell社の商標Shellsol(R)である。パラフィン、シクロパラフィン及び芳香族化合物からなる炭化水素混合物は、商品名Kristalloel(例えばKristalloel 30,沸点範囲約158〜198℃又はKristalloel 60: CAS−No. 64742−82−1)、ホワイトスピリット(例えば同様にCAS−No. 64742−82−1)又はソルベントナフサ(軽質:沸点範囲約155〜180℃、重質:沸点範囲約225〜300℃)で市販されている。この種の炭化水素混合物の芳香族化合物含有量は、通常、90質量%より高く、好ましくは95質量%より高く、特に好ましくは98質量%より高く、さらに特に好ましくは99質量%より高い。特に低減されたナフタレン含有量を有する炭化水素混合物を使用することが有用であり得る。
【0118】
DIN 51757による20℃での前記炭化水素の密度は1g/cm3未満、好ましくは0.95g/cm3未満、特に好ましくは0.9g/cm3未満を有することができる。
【0119】
脂肪族炭化水素の含有率は、通常は、5質量%未満であり、好ましくは2.5質量%未満であり、特に好ましくは1質量%未満である。
【0120】
ハロゲン化炭化水素は、例えばクロロベンゼン及びジクロロベンゼン又はそれらの異性体混合物である。
【0121】
エステルは、例えばn−ブチルアセタート、エチルアセタート、1−メトキシプロピルアセタート−2、及び2−メトキシエチルアセタート、並びにエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はトリプロピレングリコールのモノアセチルエステル及びジアセチルエステル、例えばブチルグリコールアセタートである。その他の例は、カーボナート、例えば好ましくは1,2−エチレンカーボナート、1,2−プロピレンカーボナート又は1,3−プロピレンカーボナートでもある。
【0122】
エーテルは、例えばテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、並びにエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール若しくはトリプロピレングリコールのジメチルエーテル、ジエチルエーテル又はジn−ブチルエーテルである。
【0123】
(環式)脂肪族の炭化水素は、例えばデカリン、アルキル化デカリン及び直鎖状もしくは分枝状のアルカン及び/又はシクロアルカンの異性体混合物である。
【0124】
さらに好ましいのは、n−ブチルアセタート、エチルアセタート、1−メトキシプロピルアセタート−2、2−メトキシエチルアセタート、並びにそれらの混合物、特に上述の芳香族炭化水素混合物との混合物である。
【0125】
この種の混合物は体積比10:1〜1:10、好ましくは体積比5:1〜1:5、特に好ましくは体積比1:1で作成することができる。
【0126】
好ましい例は、ブチルアセタート/キシレン、メトキシプロピルアセタート/キシレン1:1、ブチルアセタート/ソルベントナフサ100 1:1、ブチルアセタートSolvesso(R)100 1:2、及びKristalloel 30/Shellsol(R)A 3:1である。
【0127】
アルコールは例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、イソブタノール、ペンタノール−異性体混合物、ヘキサノール−異性体混合物、2−エチルヘキサノール又はオクタノールである。
【0128】
本発明のシリル化アミノプラスト樹脂の利点は、これが塗料においてシリル化してないアミノプラスト樹脂に比較可能な又はそれどころか改善した特性を光沢及び硬度に関して示すことである。さらに、前記樹脂は、含有されるシリル基を介した更なる架橋機構を有する。
【0129】
この硬化を、通常は、本発明のアミノプラスト樹脂を含有するコーティング材料又は塗料処方物を用いた基材のコーティングの塗布後に、場合によって、更なる塗料典型的な添加剤及び熱硬化可能な樹脂と一緒に混合し、場合によって80℃未満の温度で、好ましくは室温〜60℃で、特に好ましくは室温〜40℃で、72時間まで、好ましくは48時間まで、特に好ましくは24時間まで、特にとりわけ好ましくは12時間まで、とりわけ6時間までの期間にわたって乾燥させ、かつ、酸素含有雰囲気、好ましくは空気下で、或いは、不活性ガス下で、温度80〜270℃、好ましくは100〜240℃、特に好ましくは120〜180℃熱処理する(硬化する)、ように行う。この塗料硬化を、設けられたコーティング材料の量及びエネルギーリッチな照射線を介して、加熱した表面からの熱伝達又はガス状媒体からの対流を介して導入された架橋エネルギーに依存して、数秒間の期間にわたり行い、例えばNIR乾燥と組み合わせたベルト塗装では5時間までで、例えば温度感受性材料に対する厚い層系では大抵少なくとも10min、好ましくは少なくとも15min、特に好ましくは少なくとも30min、特にとりわけ好ましくは少なくとも45minである。乾燥においては、実質的に存在する溶媒が除去され、さらに、既に結合剤との反応も起こることができ、これに対して、硬化は実質的に結合剤との反応を含む。
【0130】
硬化は、この熱硬化に加えて又はその代わりに、IR放射線及びNIR放射線によって実施してもよく、その際、ここでは、波長範囲760nm〜2.5μm、好ましくは900〜1500nmにある電磁放射線をNIR放射線と呼ぶ。
【0131】
この硬化を1秒〜60分、好ましくは1分〜45分の期間に行う。
【0132】
本発明の更なる主題は、少なくとも1の本発明によるシリル化アミノプラスト樹脂を含有するコーティング材料である。
【0133】
結合剤として、この種のコーティング材料は、アミノプラスト樹脂に対して反応性の基を含有する少なくとも1の結合剤を含有する。これは通常は、エポキシ基含有結合剤、ヒドロキシ基含有結合剤、カルボキシ基含有結合剤及びアミノ基含有結合剤からなる群から選択されている。
【0134】
好ましくは、ヒドロキシ基含有結合剤は、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリアクリラートポリオール、ポリカーボナートポリオール、アルキド樹脂又はエポキシ樹脂である。特に好ましくは、ポリエステルオール及びポリアクリラートポリオールであり、特にとりわけ好ましくはポリアクリラートポリオールである。
【0135】
結合剤は一分子あたり統計学的平均において少なくとも2、好ましくは2〜10、特に好ましくは3〜10、特にとりわけ好ましくは3〜8つのヒドロキシ基を有する。
【0136】
DIN 53240−2に応じて測定したOH価は、通常は、10〜200mg KOH/g、好ましくは30〜140mg KOH/gである。
【0137】
付加的に、結合剤は、DIN EN ISO 3682による酸価0〜200mg KOH/g、好ましくは0〜100mg KOH/g、特に好ましくは0〜10mg KOH/gを有することができる。
【0138】
ポリアクリラートポリオールは、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと、少なくとも1の、好ましくは正確に1のヒドロキシ基及び少なくとも1の、好ましくは正確に1の(メタ)アクリラート基を有する少なくとも1の化合物のコポリマーである。
【0139】
後者は、例えば、α,β−不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸(この刊行物では略して「(メタ)アクリル酸」と呼ぶ)と、ジ−又はポリオール(好ましくは2〜20個のC原子及び少なくとも2のヒドロキシ基を有する)、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,1−ジメチル−1,2−エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ヅルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルトール、ポリTHFであってモル質量162〜2000を有するもの、ポリ−1,3−プロパンジオール又はポリプロピレングリコールであってモル質量134〜2000を有するもの又はポリエチレングリコールであってモル質量238〜2000を有するもののモノエステルであってよい。
【0140】
好ましくは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート又は3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレートであり、とりわけ好ましくは、2−ヒドロキシエチルアクリレート及び/又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0141】
ヒドロキシ基を有するモノマーは、共重合において、他の重合可能な、好ましくはラジカル重合可能なモノマーと混合して使用され、好ましくは、該モノマーは、50%質量より多くがC1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までのC原子を有するビニル芳香族化合物、20個までのC原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、ビニルハロゲン化物、4〜8個のC原子及び1又は2個の二重結合を有する非芳香族炭化水素、不飽和ニトリル及びそれらの混合物から成る。とりわけ好ましいのは、60質量%より多くが、C1〜C10−アルキル(メタ)アクリレート、スチレン又はその混合物からなるポリマーである。
【0142】
さらに、前記ポリマーは、上述のヒドロキシ基含有量に相当するヒドロキシ官能性モノマー及び場合によってさらなるモノマー、例えばエチレン性不飽和酸、特にカルボン酸、酸無水物又は酸アミドを含有してよい。
【0143】
更なる結合剤は、ポリエステルオールであり、例えばこれは、ポリカルボン酸、特にジカルボン酸とポリオール、特にジオールとの縮合によって得られる。
【0144】
ポリエステルポリオールは、例えばUllmanns Encyklopaedie der technischen Chemie、第4版、第19巻、62〜65頁から知られている。二価アルコールと二価カルボン酸との反応によって得られたポリエステルポリオールを使用することが好ましい。遊離ポリカルボン酸の代わりに、相応するポリカルボン酸無水物又は低級アルコールの相応するポリカルボン酸エステル又はそれらの混合物を、ポリエステルポリオールの製造に使用することもできる。このポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族又は複素環式であってよく、かつ場合によって、例えばハロゲン原子で置換されており、かつ/又は不飽和であってよい。これに関する例として、以下のものが挙げられる:
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はテトラヒドロフタル酸、コルク酸、アゼライン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、二量体脂肪酸、その異性体及び水素化生成物並びにエステル化可能な誘導体、例えば無水物又はジアルキルエステル、例えば、挙げられた酸のC1〜C4−アルキルエステル、好ましくはメチルエステル、エチルエステル、又はn−ブチルエステルが使用される。好ましいのは、一般式HOOC−(CH2y−COOH[式中、yは1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数である]のジカルボン酸であり、とりわけ好ましいのは、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジカルボン酸である。
【0145】
多価アルコールとしてポリエステルオールの製造のために、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリTHFであってモル質量162〜2000を有するもの、ポリ−1,3−プロパンジオールであってモル質量134〜1178を有するもの、ポリ−1,2−プロパンジオールであってモル質量134〜898を有するもの、ポリエチレングリコールであってモル質量106〜458を有するもの、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサジメタノール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ヅルシトール(ガラクチトール)、マルチトール又はイソマルトールが考慮され、これは場合によって上述のようにアルコキシル化されていることができる。
【0146】
好ましいのは、一般式HO−(CH2x−OH[式中、xは1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数である]のアルコールである。好ましくは、エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール及びドデカン−1,12−ジオールである。さらにネオペンチルグリコールが好ましい。
【0147】
更に、ポリカーボナートジオールも考慮され、これは例えばホスゲンと、ポリエステルポリオールの構成成分として上述した低分子アルコールの過剰量との反応によって得ることができる。
【0148】
ラクトンベースのポリエステルジオールも好適であり、この場合、ラクトンのホモ−又はコポリマー、好ましくは、好適な二官能性開始剤分子に対する、末端ヒドロキシル基を有するラクトンの付加生成物である。ラクトンとして、好ましくは、一般式HO−(CH2z−COOH[式中、zは、1〜20の数であり、かつメチレン単位のH原子は、C1〜C4−アルキル基で置換されていてもよい]の化合物から誘導されたラクトンが考慮される。例は、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、ガンマ−ブチロラクトン及び/又はメチル−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタリン酸又はピバロラクトン並びにその混合物である。好適な開始剤成分は、例えば、ポリエステルポリオールのための構成成分として上述した、低分子二価アルコールである。ε−カプロラクトンの相応するポリマーが特に好ましい。低級のポリエステルジオール又はポリエーテルジオールも、ラクトンポリマーの製造のための開始剤として使用されていてよい。ラクトンのポリマーの代わりに、ラクトンに相応するヒドロキシカルボン酸の、相応する化学的に等価な重縮合物も、使用されることができる。
【0149】
さらに、ポリマーとして、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドのH−活性成分への付加によって製造されるポリエーテルオールも適している。同様に、ブタンジオールからの重縮合物が適している。
【0150】
当然のことながら、このポリマーは、第一級アミノ基又は第二級アミノ基を有する化合物であってもよい。
【0151】
更に、ポリカーボナートポリオールも考慮され、これは例えばホスゲンと、ポリエステルポリオールのための構成成分として上述した低分子アルコールの過剰量との反応によって得ることができる。
【0152】
アルキド樹脂は、ポリオール、多価カルボン酸及び脂肪油又は遊離の天然及び/又は合成脂肪酸からの重縮合樹脂であり、少なくとも1のポリオールは三官能性又はより高官能性でなくてはならない。
【0153】
ポリオール及び多価カルボン酸として、例えば、上でポリエステルオールについて挙げている成分が使用できる。
【0154】
好ましい多価アルコールは、グリセリン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、種々のジオール、例えばエタン−/プロパンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコールである。
【0155】
好ましい多価カルボン酸は、フタル酸(無水物)(PSA)、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸無水物、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸である。
【0156】
油成分又は脂肪酸として、例えば乾燥油、例えば亜麻仁油、オイチシカ油又は木油、半乾燥油、例えば大豆油、ヒマワリ油、サフロール油、脱水ヒマシ油(Ricinenoel)又はタル油、非乾燥油、例えば、ヒマシ油、ヤシ油又は落花生油、又は上述の油の遊離脂肪酸又は合成モノカルボン酸が考慮される。
【0157】
典型的アルキド樹脂のモル質量は1500〜20000、好ましくは3500〜6000である。この酸価は好ましくは2〜30mg KOH/gであり、水希釈可能な樹脂では35〜65mg KOH/gでもある。このOH価は通常は300mg KOH/gまで、好ましくは100mg KOH/gまでである。
【0158】
この種のポリアクリラートポリオール、ポリエステルオール及び/又はポリエーテルポリオールは、好ましくは分子量Mn少なくとも1000g/mol、特に好ましくは少なくとも2000g/mol、特にとりわけ好ましくは少なくとも5000g/molを有する。分子量Mnは、例えば200000g/モルまで、好ましくは100000g/molまで、とりわけ好ましくは80000g/molまで、極めて好ましくは50000g/molまでであってよい。
【0159】
コーティング材料には更に共架橋剤、例えばトリスアルキルカルバモイルトリアジン(TACT)、好ましくはトリスメチルカルバモイルトリアジン、トリス−n−ブチルカルバモイルトリアジン及び混合したメチル化/n−ブチル化トリスアルキルカルバモイルトリアジンが添加されることができる。
【0160】
さらに、本発明のアミノプラスト樹脂、特にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、架橋可能でない結合剤、すなわち、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂に対して反応性の基を有しないものと一緒でも使用できる。この場合には、本発明のアミノプラスト樹脂は、そのシラン基の縮合によって相互に架橋する。
【0161】
架橋は、酸の添加により促進される。
【0162】
弱酸とは、この場合に、本刊行物の範囲において、一価又は多価の、有機又は無機の、好ましくは有機の酸であってpKa値1.6〜5.2、好ましくは1.6〜3.8を有するものが理解される。
【0163】
このための例は、炭酸、リン酸、ギ酸、酢酸及びマレイン酸、グリオキシル酸、ブロム酢酸、クロロ酢酸、チオグリコール酸、グリシン、シアン酢酸、アクリル酸、マロン酸、ヒドロキシプロパン二酸、プロピオン酸、乳酸(Mioechsaeure)、3−ヒドロキシプロピオン酸、グリセリル酸、アラニン、サルコシン、フマル酸、アセト酢酸、コハク酸、イソ酪酸、ペンタン酸、アスコルビン酸、クエン酸、ニトリロ三酢酸、シクロペンタンカルボン酸、3−メチルグルタル酸、アジピン酸、ヘキサン酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸、ヘプタン二酸、ヘプタン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリル酸、フェニル酢酸、フェノキシ酢酸、マンデル酸又はセバシン酸である。
【0164】
好ましくは、有機酸、好ましくは一価又は多価カルボン酸である。特に好ましくはギ酸、酢酸、マレイン酸又はフマル酸である。
【0165】
強酸とは、この場合に、本刊行物の範囲において、一価又は多価の、有機又は無機の、好ましくは有の酸であってpKa値1.6未満、好ましくは1未満を有するものが理解される。
【0166】
このための例は、硫酸、ピロリン酸、亜硫酸及びテトラフルオロホウ酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、シュウ酸、ニトロ酢酸である。
【0167】
好ましくは、有機酸、好ましくは有機スルホン酸である。特に好ましくはメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シクロドデカンスルホン酸及びカンファースルホン酸である。
【0168】
この酸は一般に、使用されるアミノプラスト樹脂に対して10質量%までの、好ましくは0.1〜8質量%、特に好ましくは0.3〜6質量%、特にとりわけ好ましくは0.5〜5質量%、とりわけ1〜3質量%の量で使用される。
【0169】
さらに、この酸は遊離酸として又はブロッキングした状態で使用されることができる。
【0170】
更なる塗料典型的な添加剤としては、例えば、酸化防止剤、安定剤、活性剤(促進剤)、充填剤、顔料、着色剤、静電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調整剤、可塑剤又はキレート形成剤を使用してよい。
【0171】
増粘剤として、ラジカル(共)重合した(共)重合体以外に、慣用の有機及び無機の増粘剤、例えばヒドロキシメチルセルロール又はベントナイトが考慮される。
【0172】
キレート形成剤として、例えば、エチレンジアミン酢酸及びその塩並びにβ−ジケトンを使用してよい。
【0173】
好適な充填剤には、ケイ酸塩、例えば四塩化ケイ素の加水分解によって得られたケイ酸塩、例えばDegussa社製のAerosil(R)、珪土、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が含まれる。
【0174】
好適な安定剤には、典型的なUV吸収剤、例えばオキサニリド、トリアジン及びベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールは、Ciba−Spezialitaetenchemieの商標Tinuvin(R)として入手できる)並びにベンゾフェノンが含まれる。これらは、単独でか又は好適なラジカルスカベンジャー、例えば立体障害アミン、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−t−ブチルピペリジン又はその誘導体、例えばビス−(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)セバシナートと一緒に使用してよい。安定剤は、通常、調製物中に含まれる固形成分に対して、0.1〜5.0質量%の量で使用される。
【0175】
顔料が同様に含まれていてよい。顔料は、CD Roempp Chemie Lexikon Version 1 .0, Stuttgart/New York: Georg Thieme Verlag 1995に従って、DIN 55943を基準として、粒子形状の「適用媒体中で実質的に不溶性の、無機又は有機の、彩色又は無彩色の着色剤」である。
【0176】
その際、実質的に不溶性であるとは、溶解度が25℃で1g/適用媒体1000gを下回っており、好ましくは0.5を下回っており、特に有利には0.25を下回っており、極めて好ましくは0.1を下回っており、特に0.05g/適用媒体1000gを下回っていることを意味する。
【0177】
顔料の例は、吸収顔料及び/又は効果顔料の任意の系を、好ましくは吸収顔料を含む。その際、顔料成分の数及び選択は、いかなる制限も受けない。それらは、そのつどの要求に、例えば所望の色印象に、任意に調整され得る。
【0178】
効果顔料とは、薄板形状の構造を示し、かつ、表面コーティングに特別な装飾的な色効果を付与する全ての顔料と解される。効果顔料は、例えば、自動車塗装及び工業塗装において通常使用可能な効果付与顔料全てである。この種の効果顔料の例は、純粋な金属顔料;例えばアルミニウム顔料、鉄顔料又は銅顔料;干渉顔料、例えば二酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、混合酸化物被覆マイカ(例えば二酸化チタン及びFe23又は二酸化チタン及びCr23を有する)、金属酸化物被覆アルミニウム、又は液晶顔料である。
【0179】
着色付与する吸収顔料は、例えば塗装工業において使用可能な通常の有機又は無機の吸収顔料である。有機吸収顔料の例は、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料及びピロロピロール顔料である。無機吸収顔料の例は、酸化鉄顔料、二酸化チタン及びカーボンブラックである。
【0180】
本発明のコーティング材料は、すなわち、以下のように構成されている:
−少なくとも1の本発明のシリル化アミノプラスト樹脂、好ましくはメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、
−場合によって、少なくとも1つの強酸又は弱酸いずれか、
−場合によって、少なくとも1つの結合剤、
−場合によって、少なくとも1つの塗料典型的な添加剤、
−場合によって、少なくとも1つの溶媒、並びに、
−場合によって、少なくとも1つの顔料。
【0181】
本発明のコーティング材料を用いた基材のコーティングは、通常の、当業者に知られている方法により行われ、その際、少なくとも1つの本発明のコーティング材料又は塗料処方物が、コーティングされるべき基材に所望の厚さで設けられ、かつコーティング材料の揮発性成分が、場合によっては加熱下で、取り除かれる(乾燥)。この過程は、所望であれば、1回又は複数回繰り返して行ってよい。基材上へ設けることは、知られているように、例えば吹付け、こて塗、ナイフ塗布、はけ塗、ロール塗、ローラー又はキャスティングによって実施してよい。このコーティング厚さは、通常は、約3〜1000g/m2、好ましくは10〜200g/m2の範囲内である。
【0182】
引き続き、上記のように硬化されることができる。
【0183】
本発明のコーティング材料のための適した基材は、例えば熱可塑性ポリマー、特にポリメチルメタクリラート、ポリブチルメタクリラート、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリビニリデンフロリド、ポリビニルクロリド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリルニトリルエチレンプロピレンジエンスチレンコポリマー(A−EPDM)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル又はその混合物である。
【0184】
さらに、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカーボナート、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタート、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシド樹脂又はポリウレタン、それらのブロックコポリマー又はグラフトコポリマー及びそのブレンドが挙げられる。
【0185】
好ましくは、ABS、AES、AMMA、ASA、EP、EPS、EVA、EVAL、HDPE、LDPE、MABS、MBS、MF、PA、PA6、PA66、PAN、PB、PBT、PBTP、PC、PE、PEC、PEEK、PEI、PEK、PEP、PES、PET、PETP、PF、PI、PIB、PMMA、POM、PP、PPS、PS、PSU、PUR、PVAC、PVAL、PVC、PVDC、PVP、SAN、SB、SMS、UF、UP−プラスチック(DIN7728に従う略記)及び脂肪族ポリケトンが挙げられる。
【0186】
特に好ましい基材は、ポリオレフィン、例えば、選択的にアイソタクチック、シンジオタクチック又はアタクチックであり、かつ選択的に非配向性、又は一軸或いは二軸延伸によって配向されていてよいPP(ポリプロピレン)、SAN(スチレン−アクリロニトリル−コポリマー)、PC(ポリカーボナート)、PVC(ポリビニルクロリド)、PMMA(ポリメチルメタクリラート)、PBT(ポリ(ブチレンテレフタラート))、PA(ポリアミド)、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリルエステル−コポリマー)及びABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマー)、並びにそれらの物理的混合物(ブレンド)である。特に好ましいのは、PP、SAN、ABS、ASA並びにABS又はASAとPA又はPBT又はPCとのブレンドである。特にとりわけ好ましくはポリオレフィン、PMMA及びPVCである。
【0187】
ASAがとりわけ好ましく、特にDE19651350によるASA及びASA/PCブレンドが特に好ましい。同様に、ポリメチルメタクリラート(PMMA)又は耐衝撃性改良化したPMMAが好ましい。
【0188】
本発明のコーティング材料を用いたコーティングのための更に好ましい基材は、場合によってプライマーで前処理されていることができる金属である。
【0189】
金属の種類は、原則として任意の金属であることができる。しかし特に、通常は金属性建設原料として使用され、かつ、腐食に対して保護されなくてはならない金属又は合金である。
【0190】
これは特に、鉄、鋼、Zn、Zn合金、Al又はAl合金の表面である。この場合に、この表面は、完全に前述の金属又は合金からなる物質の表面であることができる。この物質は、しかし、この金属のみを用いてコーティングされていることも、自体が他の種類の材料から、例えば他の金属、合金、ポリマー又は複合材料からなることもできる。亜鉛メッキ鉄又は鋼からの、注型部品の表面であることもできる。本発明の好ましい一実施態様においては、鋼表面である。
【0191】
Zn合金又はAl合金は当業者に知られている。所望の適用目的に応じて、当業者は合金成分の種類及び量を選択する。亜鉛合金の典型的成分は、特にAl、Pb、Si、Mg、Sn、Cu又はCdを含む。アルミニウム合金の典型的成分は、特にMg、Mn、Si、Zn、Cr、Zr、Cu又はTiを含む。これはAl/Zn合金であることもでき、この場合にAl及びZnはほぼ同じ量で存在する。この種の合金でコーティングされた鋼は、市販されている。鋼は通常の、当業者に知られている合金成分を含むことができる。
【0192】
本発明のコーティング材料の適用がスズメッキされた鉄/鋼(ブリキ)の処理のためであることも考慮できる。
【0193】
本発明のコーティング材料及び塗料処方物は、さらに、基材、例えば木材、紙、テキスタイル、皮革、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物建築材料、例えばセメント成形石材及びファイバーセメントプレート、或いは金属又はコーティングされた金属、好ましくはプラスチック又は金属のコーティングに、特にシートの形にあるもののコーティングに適しており、特に好ましくは金属である。
【0194】
本発明のアミノプラスト樹脂、コーティング材料又は塗料処方物は、外側コーティングとして又はその中で適しており、すなわち、日光に曝露されている適用に適しており、好ましくは、建造物部材、内側コーティング、自動車両及び航空機に対するコーティングに適している。特に本発明のアミノプラスト樹脂及びコーティング材料は、自動車用のクリアコート及びトップコートとして、又は自動車用のクリアコート及びトップコートにおいて使用される。更なる好ましい使用領域は、缶コーティングとコイルコーティングである。
【0195】
これらは特に、工業塗装、木材塗装、自動車塗装、とりわけOEM塗装の分野における、プライマー、サーフェーサー(Fueller)、顔料付与トップコート及びクリアコートとして、又は装飾塗装における使用に適している。特にとりわけ適しているのは、特に高い適用安全性、外部気候曝露抵抗性、外観(Optik)、耐溶媒性及び/又は耐化学薬品性が要求される適用のための塗料である。
【0196】
以下の実施例は、本発明の特性を説明するものであるが、しかし、それによって本発明は制限されない。
【0197】
実施例
「部」とは、この刊行物では、別記しない限り、「質量部」と理解される。
【0198】
実施例1
ガラス反応器中に、アリルアルコール74.4gをパラトルエンスルホン酸一水和物300mgと一緒に装入し、80〜90℃に加熱した。キシレン37ml中のLuwipal(R) 066 LF(BASF SE、Ludwigshafen)50gの溶液をゆっくりと滴加し、放出されるメタノールを連続的に蒸留により反応混合物から除去した。計算された量のメタノールが分離された後に、過剰のアリルアルコールの主たる部分を50℃で減圧(50〜90mbar)下で除去した。残存する痕跡量アリルアルコールの除去は0.2mbarで室温で実施した。得られる生成物は、平均して約5つのアリルエーテル基をメラミン核ごとに有したが、更なる精製なしに以下の合成において使用できた。
【0199】
保護ガスとしての窒素下で、得られる生成物12gをトリエトキシシラン18.9gと一緒にガラス反応器中に装入し、無水トルエン40ml中に溶解した。強力な撹拌下で、キシレン中のPt−ジビニルテトラメチルジシロキサンの溶液(2.1% Pt)(ABCR Gelest社)400μlを添加し、この反応混合物を60℃に加熱した。2時間後に、この溶媒を50℃で減圧下で留去した。
室温で粘度;1.45Pas
色数:241ハーゼン;2.4ヨウ素
の、無色からわずかに黄色の樹脂が得られる。
【0200】
実施例2
ガラス反応器中に、アリルアルコール109gをパラトルエンスルホン酸一水和物1.47gと一緒に装入し、80〜90℃に加熱した。キシレン100ml中のLuwipal(R) 066 LF(BASF SE、Ludwigshafen)245gの溶液をゆっくりと滴加し、放出されるメタノールを連続的に蒸留により反応混合物から除去した。計算された量のメタノールが分離された後に、過剰のアリルアルコールの主たる部分を50℃で減圧(50〜90mbar)下で除去した。残存する痕跡量アリルアルコールの除去は0.2mbarで室温で実施した。得られる生成物を更なる精製無しに以下合成において使用した。
【0201】
保護ガスとしての窒素下で、得られる生成物12gをトリエトキシシラン11.3gと一緒にガラス反応器中に装入し、無水トルエン40ml中に溶解した。強力な撹拌下で、キシレン中のPt−ジビニルテトラメチルジシロキサンの溶液(2.1% Pt)(ABCR Gelest社)400μlを添加し、この反応混合物を60℃に加熱した。2時間後に、この溶媒を50℃で減圧下で留去した。
室温で粘度:9.2Pas
色数:270ハーゼン
の、無色からわずかに黄色の樹脂が得られた。
【0202】
実施例3
ガラス反応器中に、アリルアルコール109gをパラトルエンスルホン酸一水和物1.47gと一緒に装入し、80〜90℃に加熱した。キシレン100ml中のLuwipal(R) 066 LF(BASF SE、Ludwigshafen)245gの溶液をゆっくりと滴加し、放出されるメタノールを連続的に蒸留により反応混合物から除去した。計算された量のメタノールが分離された後に、過剰のアリルアルコールの主たる部分を50℃で減圧(50〜90mbar)下で除去した。残存する痕跡量アリルアルコールの除去は0.2mbarで室温で実施した。得られる生成物を更なる精製無しに以下合成において使用した。
【0203】
保護ガスとしての窒素下で、得られる生成物12gをビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン15.3gと一緒にガラス反応器中に装入し、無水トルエン40ml中に溶解した。強力な撹拌下で、キシレン中のPt−ジビニルテトラメチルジシロキサンの溶液(2.1% Pt)(ABCR Gelest社)400μlを添加し、この反応混合物を60℃に加熱した。2時間後に、この溶媒を50℃で減圧下で留去した。
室温で粘度:0.7Pas
色数:472ハーゼン(DIN EN 1557)
の、無色からわずかに黄色の樹脂が得られた。
【0204】
使用されるBASF SEのLuwipal(R) 066LFは、非揮発性含分(ISO 3251に応じて、試料2gをブタノール2mlと一緒に2時間125℃で加熱)93〜96質量%を有し、0.3質量%を超えない低含有量の遊離ホルムアルデヒドを有する、高〜完全メチルエーテル化されたメラミン−ホルムアルデヒド−樹脂である。この粘度(ISO 3219 B)は、23℃で2.0〜6.0Pasであり、剪断速度Dは41.3s-1である。
【0205】
適用実施例
以下処方物を製造し、ここから得られた塗料を光沢及び光沢維持に関してCrockmeter試験により特性決定した。
【0206】
Crockmeter試験をEN ISO 105−X12:2001に応じて実施した。9μmの3M研磨紙及び9Nの押圧を用いて10回ずつ5cmの長さのダブルストロークを実施し、この光沢をこの負荷前及び後に引掻方向に対して20°斜めで測定した。この残存光沢は、この場合に、初期光沢に対するパーセンテージ割合として記載される。
【0207】
表1に挙げる成分の他に、各処方物は、Solvesso/n−ブタノール(21:9)1mlと、Solvesso/n−ブタノール(21:9)0.3mlに溶解させたp−トルエンスルホン酸一水和物80mgを含有した。
【表1】

【0208】
Joncryl(R)製品945、500及び922は、異なるヒドロキシ価を有するポリアクリラートポリオールである。
【0209】
Joncryl(R) 945はOH価140mg/KOH/g及びガラス転移温度17℃を有し、Joncryl(R) 922はOH価140mg/KOH/g及びガラス転移温度−7℃を有する。
【0210】
試料1〜4では比較可能な初期光沢で本発明の試料では改善された残存光沢が得られるか、又は改善された初期光沢(試料5〜7)では比較可能な残存光沢が得られることが見て取れる。
【0211】
試料9では、比較試料8に対して初期光沢も残存光沢も改善されている。
【0212】
実施例4
ガラス反応器中に、Luwipal 066 LF 3.12g、1,4−ペンタジエン−3−オール6.92g、p−トルエンスルホン酸10mg及びトルエン(無水)10mlを窒素下で110℃に加熱した。計算した量のメタノールが分離された後に、この反応混合物を冷却し、シリカゲルを介して濾過し、アセトン(20ml)で溶出させた。真空中でこの有機溶媒を除去した後に、以下の工程において使用された生成物が得られた。
【0213】
シュレンクフラスコ中に窒素下で、トルエン(無水)20ml中のこの第1の工程から得られた生成物7.45gを装入し、トリエトキシシラン22.64gを、次いでキシレン中のPt−ジビニルテトラメチルジシロキサン(2.1%Pt)(ABCR Gelest社)0.1mlを室温で滴加した。この混合物を3時間60℃に加熱した。冷却後にこの混合物をシリカゲルを介して濾過し、アセトン(20mL)で溶出させた。回転蒸発器(最高50℃)で、この揮発性成分を蒸留を介して除去し、高真空中の乾燥後に、以下において理想的に示されている生成物を得た。
【化14】

【0214】
実施例5
窒素下で、トルエン(無水)15ml中の実施例1において第1の工程から得られた生成物5.0gを装入し、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン516.3mg及びキシレン中のPt−ジビニルテトラメチルジシロキサン(2.1%Pt)(ABCR Gelest社)0.04mlを室温で滴加した。この混合物を3時間60℃に加熱した。冷却後に、この混合物をシリカゲルを介して濾過し、アセトン(10mL)で溶出させた。回転蒸発器(最高50℃)で、この揮発性成分を蒸留を介して除去し、高真空中の乾燥後に、後続工程において使用された生成物を得た。
【0215】
窒素下で、トルエン(無水)10ml中の得られた生成物3.96gを装入し、HSi(OEt)35.54g及びキシレン中のPt−ジビニルテトラメチルジシロキサン(2.1%Pt)(ABCR Gelest社)0.06mlを室温で滴加した。この混合物を3時間60℃に加熱した。冷却後に、この混合物をシリカゲルを介して濾過し、アセトン(10mL)で溶出させた。回転蒸発器(最高50℃)で、この揮発性成分を蒸留により除去し、高真空中の乾燥後に、以下において理想的に示されている生成物を得る。
【化15】

【0216】
実施例6
ガラス反応器中にケイ皮アルコール80.51g、p−トルエンスルホン酸234mgを窒素下で95℃に加熱した。トルエン(無水)250ml中のLuwipal 066 LF39.04gを添加した。6時間後にメタノール21mlを分離した。冷却後に、回転蒸発器でこの溶媒を除去した。この置換度は1H−NMR分析によれば4.2であった。
【0217】
窒素下で、トルエン(無水)200ml中のこのように得られた約4.2回ケイ皮アルコールで置換された生成物10gを装入し、トリエトキシシラン76g及びキシレン中のPt−ジビニルテトラメチルジシロキサン(2.1%Pt)(ABCR Gelest社)6mlを55〜60℃で30分間の間に滴加した。この混合物を3時間64.5℃に加熱した。冷却後にこの混合物を回転蒸発器(40℃)で濃縮した。1H−NMR分析によって約10%がシリル化したシリルケイ皮アルコールで置換した生成物が得られた。
【0218】
実施例7
トルエン(無水)2000ml中に、平均して約4つのアリルエーテル基をメラミン核ごとに有する生成物500gを、実施例2と同様に、アリルアルコール469.7g及びp−トルエンスルホン酸水和物2.50gを装入した。この混合物を90〜96℃に加熱し、この置換度を1H−NMR分析を介して6時間後に5.9と測定した。冷却後にこの混合物を回転蒸発器(40℃)で濃縮した。所望の生成物502gが得られる。
【化16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
−第1の工程において、少なくとも1の任意にエーテル化したアミノプラスト樹脂(A)を、少なくとも1のC=C二重結合及び少なくとも1のヒドロキシ基を有する、少なくとも1の不飽和アルコール(B)でエーテル化又はエーテル交換し、そして
−引き続き、このようにしてアミノプラスト樹脂に結合したC=C二重結合の少なくとも一部に、ヒドロシリル化によって、少なくとも1のSi−H結合を有する少なくとも1のシラン化合物(C)を付加させることを特徴とする、シリル基を有するアミノプラスト樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記アミノプラスト樹脂が、メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂、ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂及び尿素/ホルムアルデヒド樹脂(これらはそれぞれ任意に少なくとも部分的にエーテル化されていることができる)からなる群から選択されていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記化合物(B)が、正確に1のC=C二重結合及び正確に1のヒドロキシ基を有することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記化合物(B)が、2−プロペン−1−オール、2−メチル−2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オール、1−ブテン−3−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、1−オクテン−3−オール、2−ヘキセン−1−オール、1−ペンテン−3−オール、フィトール、ファルネソール及びリナロールからなる群から選択されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記化合物(C)が、式
【化1】

[式中、
9〜R11は相互に独立して次のものを意味することができる:
−アルキル基、又は
−基−O−R12
−式(IIIa)
【化2】

の基、
又は
−式(IIIb)
【化3】

の基、
ここで、
12は、アルキル基又はアリール基を意味することができる、かつ
14〜R18は、相互に独立してアルキル、アリール、アルキルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキル及びシクロアルキルオキシを意味することができる]
を満たすことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ヒドロシリル化を、第VIII亜族の遷移金属により触媒作用することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が、金属状か又は錯体の形にある、白金、ロジウム、パラジウム、コバルト及びニッケルであることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記触媒が、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン又はヘキサクロロ白金酸水和物であることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項9】
式(I)
【化4】

[式中、
基R1〜R6はそれぞれ相互に独立して次のものを意味することができる:
a)基として水素原子(−H)、
b)−[CH2−O−]m−H
(式中、mは少なくとも1の正の整数を意味する)、
c)−[CH2−O−]n−R7
(式中、nは少なくとも1の正の整数を意味する、かつ
7はアルキル基を意味する)、
d)式(II)
【化5】

(式中、
pは少なくとも1の正の整数、
9〜R11は相互に独立して次のものを意味することができる:
−アルキル基、又は
−基−O−R12(ここで、R12は、アルキル基又はアリール基)、
−式(IIIa)
【化6】

の基、
又は
−式(IIIb)
【化7】

の基、
ここで、R14〜R18は相互に独立してアルキル、アリール、アルキルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキル及びシクロアルキルオキシを意味することができる、かつ
qは、少なくとも1の正の整数を意味する)の基、
e)式(IV)
【化8】

(式中、rはゼロ又は少なくとも1の正の整数を意味することができる、かつ
基R1′〜R5′はそれぞれ相互に独立して、前記基a)〜d)から選択されていることができる)の基、
但し、少なくとも1の基R1〜R6並びに基R1′〜R5′は、存在する場合には、式(II)の基であり、かつ、多くとも2つの基R1〜R6はそれぞれ式(IV)の基である]のシリル化メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂。
【請求項10】
式(Ia)
【化9】

[式中、
基R3〜R6はそれぞれ相互に独立して次のものを意味することができる:
a)基として水素原子(−H)、
b)−[CH2−O−]m−H
(式中、mは少なくとも1の正の整数を意味する)、
c)−[CH2−O−]n−R7
(式中、nは少なくとも1の正の整数を意味する、かつ
7はアルキル基を意味する)、
d)式(II)
【化10】

(式中、
pは少なくとも1の正の整数、
9〜R11は相互に独立して次のものを意味することができる:
−アルキル基、又は
−基−O−R12(ここで、R12は、アルキル基又はアリール基)、
−式(IIIa)
【化11】

の基、
又は
−式(IIIb)
【化12】

の基、
ここで、R14〜R18は相互に独立してアルキル、アリール、アルキルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキル及びシクロアルキルオキシを意味することができる、かつ
qは、少なくとも1の正の整数を意味する)の基、
e)式(IVa)
【化13】

(式中、rはゼロ又は少なくとも1の正の整数を意味することができる、かつ
基R3′〜R5′はそれぞれ相互に独立して、前記基a)〜d)から選択されていることができる)の基
但し、少なくとも1の基R3〜R6並びに基R3′〜R5′は、存在する場合には、式(II)の基であり、かつ、多くとも2つの基R3〜R6はそれぞれ式(IVa)の基である]のシリル化ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド−樹脂。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか1項記載の方法により得られる少なくとも1のシリル化アミノプラスト樹脂、
場合によって、少なくとも1つの強酸又は弱酸いずれか、
場合によって、少なくとも1つの結合剤、
場合によって、少なくとも1つの塗料典型的な添加剤、
場合によって、少なくとも1つの溶媒、並びに、
場合によって、少なくとも1つの顔料、
を含有するコーティング材料。
【請求項12】
少なくとも1つの結合剤が存在し、かつ、前記結合剤が、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリアクリラートポリオール、ポリカーボナートポリオール、アルキド樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択されていることを特徴とする請求項12記載のコーティング材料。
【請求項13】
木材、紙、テキスタイル、皮革、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、無機建築材料、金属又はコーティングされた金属をコーティングするための、請求項11又は12記載のコーティング材料の使用。
【請求項14】
プライマー、サーフェーサー、顔料付与したトップコート塗料、クリア塗料、工業塗装、木材塗装、自動車塗装、OEM塗装又は装飾塗装としての、請求項11又は12記載のコーティング材料の使用。

【公表番号】特表2013−519767(P2013−519767A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553274(P2012−553274)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052094
【国際公開番号】WO2011/101301
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】