説明

シリル化樹脂の連続的調製方法

【課題】シラン修飾されたポリウレタン樹脂を調製し、更に直接合成工程に導入して、シーラント/接着剤/コーティングなどの様々な生成物を1つの合成ラインにおいて製造することを可能にする、連続的調製方法の提供。
【解決手段】(a)所定量のポリオールを少なくとも1つの反応ゾーンに連続的に導入する工程と、(b)シリル化剤を当該少なくとも1つの反応ゾーンに連続的に導入する工程と、(c)シリル化されたプレポリマー樹脂を生産するのに十分な温度及び時間を特徴とする反応条件下で、ポリオールを連続的に反応させる工程と、(d)当該少なくとも1つの反応ゾーンからシリル化されたプレポリマー樹脂を連続的に取り出す工程を含んでなる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシラン修飾されたポリウレタン樹脂を調製し、更に必要であれば、シーラント/接着剤/コーティングを調製する一本の合成ラインに直接供給することを特徴とする、連続的調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコキシシラン修飾されたポリウレタンプレポリマーを調製する従来の方法では、ポリオールとイソシアネート材を高温でバッチ式に反応させる。但しこの公知の方法の欠点として、長いケトル時間が挙げられる。また他の欠点として、粘度の上昇につながる不必要な副反応を制御することが困難なことが挙げられる。更に他の欠点として、小ユニットからより大規模な生産ユニットへのスケールアップが困難なことが挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ゆえに、シラン修飾されたポリウレタン樹脂を調製し、更に直接合成工程に導入して、シーラント/接着剤/コーティングなどの様々な生成物を1つの合成ラインにおいて製造することを可能にする、連続的調製方法に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、シリル化されたプレポリマーの連続的調製方法の提供に関する。当該方法は、
(a)所定量のポリオールを少なくとも1つの反応ゾーンに連続的に導入する工程と、
(b)シリル化剤を当該少なくとも1つの反応ゾーンに連続的に導入する工程と、
(c)シリル化されたプレポリマー樹脂を生産するのに十分な温度及び時間を特徴とする反応条件下で、ポリオールを連続的に反応させる工程と、
(d)当該少なくとも1つの反応ゾーンからシリル化されたプレポリマー樹脂を連続的に取り出す工程を含んでなる。本発明の様々な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明に記載の方法及びユニットは、シラン修飾剤を用いたポリオール(鎖伸長されていてもされていなくてもよい)からのプレポリマーの調製に有用である。当該ポリオールは約1000超の平均分子量(Mn)を有する。本発明で選択されるシラン修飾剤は、イソシアネート基又はヒドロキシ基のいずれとも反応できる官能基を含む。使用する鎖伸長剤は、脂肪族若しくは芳香族ジイソシアネートであってもよい。任意に触媒を添加してもよい。全ての組成物のパーセンテージ又は比率は、特に明記しない限り重量ベースである。
【0006】
調製されたプレポリマーを次のユニットに連続的に導入し、シーラント、接着剤又はコーティングを調製することが可能である。
【0007】
本発明に記載されているユニットは、成分を連続リアクターに供給する定量ポンプ及び配管からなる連続工程用のユニットであり、当該成分を混合し、加熱し、所定の時間混合して反応させ、更に冷却して生成物貯蔵部に貯蔵するか、又は他のユニットに供給し、シーラント、接着剤又はコーティングなどの合成物を調製することを特徴とする。本発明の一実施形態では、多くのフィード流を用いて、連続的に配置された1つ以上のリアクターチューブに対して、適切な反応段階において適切な反応物質を供給する。
【0008】
本発明の一実施形態では、ポリオールをポリイソシアネートと反応させ、その反応のポリウレタン生成物を、その後でアミノシラン又はイソシアナトシランなどのシリル化剤で末端のキャッピングを行う。一実施形態では、過剰量のポリオールを使用し、ポリウレタンが水酸基末端を有する状態にする。この場合、末端キャッピングに用いるシリル化剤はイソシアナトシランである。他の実施形態では、過剰のポリイソシアネートを使用して、得られるポリウレタンがイソシアネート反応性基の末端を有する状態にする。この場合、アミノシランの使用が好適である。これらの各実施形態では、ポリオールとポリイソシアネートのエントリーポイントの下流に位置する、それぞれの供給流中の反応ゾーンに対してシリル化剤を添加することにより、重合反応を適当な時間行わせた後でエンドキャッピングを行わせることが可能となる。
【0009】
しかしながら、ポリイソシアネートの使用は任意である。本発明の他の実施形態では、当該ポリオールをイソシアナトシランと反応させて、2つのウレタン基を含む樹脂生成物を調製する(すなわち当該ポリオール自体がシリル化されたウレタン基によってエンドキャッピングされる)。
【0010】
より詳細には、本発明の実施形態において、プレポリマーの調製の際に使用するポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、アルアリファチック(araliphatic)又は芳香族のポリイソシアネートであってもよい。適切なポリイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート及び1,5−ナフチレンジイソシアネートが挙げられる。ポリイソシアネートの混合物を使用でき、更にウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン又はイソシアヌレート残基の導入により修飾されたポリイソシアネートであってもよい。好ましいイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート重合体、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びフェニレンジイソシアネートが挙げられる。
【0011】
ポリオール重合体は、ポリウレタン製剤において使用する、又は使用が提唱されている、いかなる種類のポリオール重合体のいかなるメンバーであってもよい。特にポリエステル、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィン又はポリシロキサンが好適である。必要に応じて、当該ポリオールは、フリーの第3級アミノ基を含んでもよい。好ましい分子量は約1000超である。
【0012】
使用できるポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、フランジメタノール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン若しくはペンタエリトリトールなどのポリオール類、又はそれらの混合物と、ポリカルボン酸(特にジカルボン酸又はそれらのエステル形成誘導体、例えばコハク酸、グルタル酸及びアジピン酸又はそれらのジメチルエステル、フタル酸無水物又はジメチルテレフタレート)との反応により得られる、水酸基末端を有するものが挙げられる。ポリオールとラクトンとの重合によって得られるポリエステル類(例えばカプロラクトン)を用いてもよい。アミノアルコール(例えばエタノールアミン)をポリエステル化反応混合物中に添加し、ポリエステルアミドを調製してもよい。フリーの第3級アミノ基を含むポリエステルは、第3級アミノポリオール(例えばトリエタノールアミン又はN−メチルジエタノールアミン)をポリエステル化反応系中に添加して調製してもよい。
【0013】
使用できるポリエーテルポリオールとしては、環状オキシド(例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はテトラヒドロフラン)の重合によって得られる生成物、又は多官能性のイニシエータ(例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール又はビスフェノールA)に対する1つ以上のかかる酸化物の添加によって得られる生成物が挙げられる。特に有用なポリエーテルとしては、ポリオキシプロピレンジオール及びトリオール、適当なイニシエータへの、エチレン及び酸化プロピレンの同時若しくは経時的な添加により得られたポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ジオール及びトリオール、並びに、テトラヒドロフランの重合によって得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。フリーの第3級アミノ基を含むポリエーテルは、アンモニア、第1級若しくは第2級アミン及びアミノアルコールのオキシアルキル化(例えばオキシプロピル化)によって調製してもよい。好適なアミンの例としては、エチレンジアミン、アニリン、ベンジルアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン及びポリメチレンポリフェニルポリアミンが挙げられる。好適なアミノアルコールとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン及びビス(2−ヒドロキシエチル)ベンジルアミンが挙げられる。オキシアルキル化工程において、アミノ基含有若しくはアミノ基フリーのイニシエータを、必要に応じて使用してもよい。
【0014】
使用できるポリチオエーテルポリオールとしては、チオジグリコールのみを縮合させるか、又は他のグリコール、ジカルボン酸、ホルムアルデヒド、アミノアルコール又はアミノカルボン酸と共に縮合させることにより調製した生成物が挙げられる。
【0015】
使用できるポリカーボネートポリオールとしては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール又はテトラエチレングリコールなどのジオールと、ジアリールカーボネート(例えばジフェニルカーボネート)又はホスゲンとの反応によって得られた生成物が挙げられる。
【0016】
使用できるポリアセタールポリオールとしては、グリコール(例えばジエチレングリコール、メチレングリコール及びヘキサンジオール)とホルムアルデヒドとの反応により調製されるものが挙げられる。適切なポリアセタールは、環状のアセタールの重合により調製してもよい。
【0017】
好適なポリオレフィンポリオールとしては、ヒドロキシ基の末端を有するブタジエンのホモ重合体及び共重合体が挙げられる。
【0018】
当該プレポリマーの調製に使用できるペンダントのポリオキシエチレン鎖を有するジオールとしては、例えば米国特許第3905929号などの従来技術に記載されているものが挙げられる。
【0019】
本発明において有用なシランとしては、イソシアナトシラン及びアミノシランが挙げられる。例えば、イソシアナトシランは3−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン及び3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランからなる群から選択することができる。適切なイソシアナトシランは、商品名「A Link−35」としてGE Silicones社から市販されているものである。アミノシランは、例えば4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、N−メチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、アミノイソプロポキシエチルトリメトキシシラン、アミノイソプロポキシプロピルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジエトキシメチルシラン、N−メチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン及びアミノイソプロポキシエチルトリエトキシシランからなる群から選択することができる。
【0020】
本発明の一実施形態では、本発明に係る処理において有用なシランエンドキャッピング剤は以下の式で表される。
Y−R−Si(Me)(OR3−n
式中、Yは−NCO、−NHR、−NH又は−HSであり、
Rは1〜10の炭素原子数のアルキル基であり、
は1〜10の炭素原子数の二価の炭化水素基であり、
Meはメチル基であり、
ORはアルコキシ基であって、式中Rが1〜5の炭素原子数であり(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などであり)、
n=0〜3である。
【0021】
フィード中には、任意に触媒、可塑剤、着色剤、安定化剤、チキソトロピー剤、充填材などを含有させてもよい。
【0022】
典型的な可塑剤としては、フタレート、ジプロピレングリコール及びジエチレングリコールのジベンゾエート、並びにそれらの混合物、エポキシ化した大豆油などが挙げられる。ジオクチルフタル酸及びジイソデシルフタル酸の有用な供給源としては、Exxon Chemical社製の商品名「Jayflex DOP」及び「Jayflex DIDP」として市販されているものが挙げられる。当該ジベンゾエートは、Velsicol Chemical社製の「Benzoflex 9−88」「Benzoflex 50」及び「Benzoflex 400」として市販されている。当該可塑剤は通常、ポリマー100重量部に対して最高100重量部含有させてもよいが、好ましくは100重量部に対して40〜80重量部で含有させる。
【0023】
典型的な充填材としては、補強用充填剤(例えばフュームドシリカ、沈殿シリカ及び炭酸カルシウム)が挙げられる。更に製剤の物理的強度を高めるために、補強用カーボンブラックを主充填材として使用してブラックシステムを構成してもよい。本発明では、「Corax」製品(Degussa社製)などの有用な商用グレードのカーボンブラックを利用することができる。半透明の調製物を得るためには、カーボンブラックを用いずに、フュームドシリカ又は沈殿シリカなどを高濃度で主充填材として使用する必要がある。
【0024】
0.07μ〜4μの粒径を有する処置済みの炭酸カルシウムもまた好ましい充填材であり、例えば、”Ultra Pflex”、”Hi Pflex”(Specialty Minerals社製)、”Winnofil SPM”及び”Winnofil SPT”(Zeneca Resins社製)、”Hubercarb IQt”、”Hubercarb 3Qt”及び”Hubercarb W”(Huber社製)、並びに”Kotomite”(ECC社製)などの商品名の市販品を使用してもよい。これらの充填材は単独で用いてもよく、又は組み合わせで用いてもよい。当該充填材は通常、シリル化されたポリマー100重量部に対して最高300重量部含有させてもよいが、80〜150重量部がより好適な含有量である。
【0025】
UV安定化剤及び/又は酸化防止剤を本発明のシーラント調製物に添加してもよく、シリル化されたポリマー100重量部に対して0〜5重量部で含有させてもよいが、0.5〜2重量部で含有させるのがより好適である。これらの材料は、Great Lakes社及びCiba Specialty Chemicals社などから市販されている(例えば商品名”Anox 20”及び”Uvasil 299 HM/LM”(Great Lakes社製)、並びに”Irganox 1010”、”Irganox 1076”、”Tinuvin 770”、”Tinuvin 327”、”Tinuvin 213”及び”Tinuvin 622 LD”(Ciba社製))。
【0026】
当該フィードには、様々なチキソトロピー剤若しくは垂れ防止剤を含有させてもよい。かかる添加剤としては、様々なカスターワックス、フュームドシリカ、処理済クレー及びポリアミドが典型例として挙げられる。これらの添加剤は通常、シリル化されたポリマー成分100重量部に対して1〜10重量部で含有させてもよいが、1〜6重量部で含有させるのが好適である。有用なチキソロピー剤としては、市販品の”Aerosil”(Degussa社製)、”Cab−O−Sil”(Cabot社製)、”Castorwax”(CasChem社製)、”Thixatrol”及び”Thixcin”(Rheox社製)、並びに”Disparlon”(King Industries社製)などが挙げられる。
【0027】
適切な触媒としては、例えばジブチルスズジラウレート及びジブチルスズアセテートなどのジアルキルスズジカルボキシレート、第3級アミン、オクタン酸スズ及び酢酸スズなどのカルボン酸スズ塩などが挙げられる。
【0028】
当該方法には、反応物質をメーターで測定し、反応物質を混合(例えばチューブリアクター中でスタティックミキサーで成分を混合)し、加熱し、乾燥させ、脱揮発し、粉砕する工程が含まれる。それにより得られる生成物にはシラン末端を有するポリウレタン(SPUR)が含まれ、本発明の一実施形態では、それをその後でシーラント/接着剤中に添加することができる。本発明の他の実施形態では、上記の適当な添加物をフィード流中に添加し、本願明細書に記載されている連続工程により処理し、上記のシーラント/接着剤を調製することができる。
【0029】
当該リアクターは、内部にスタティックミキサーを有する円筒形のリアクターである。その長さ:直径の比率(L/D)は通常、10:1〜50:1とすることができるが、必要に応じてこの範囲外の比率を採用してもよい。本発明の一実施形態では、通常約200℃までの温度で反応を実施する。別の実施形態では、反応温度は約80℃〜約170℃の範囲であってもよい。更に別の実施形態では、反応温度は約120℃〜約150℃の範囲であってもよい。反応物質を、1つ以上のリアクター中を直線的に移動させる。円筒状のリアクター中における反応物質の滞留時間は通常、最高約30分が好適であるが、その他のいかなる適切な滞留時間を適宜採用してもよい。
【0030】
複数の円筒状リアクターを使用する場合、当該リアクターは直列に配置し、またそれらは異なる直径及び長さを有してもよい。フィード流は、工程中の異なる時点で導入してもよい。
【0031】
図1を参照する。一実施形態に係る工程の略図を示すが、F1はポリオールを含有するフィード流であり、それは例えば上記の様々なシーラント/接着剤/コーティング添加物を任意に含有してもよい。F2はシリル化剤(例えばイソシアナトシラン)を含有するフィード流であり、それはポリオールフィード流F1の円筒状リアクターRへのエントリー前に添加する。F3は触媒を含有するフィード流であり、それはF1とF2の混合物が導入される円筒状リアクターRの入口の下流に導入される。リアクターRは内部にスタティックミキサーを有し、また外部の熱供給源を用いて加熱することにより、リアクター内の含有物を適当な反応温度に上昇させることができる。リアクターRの長さ及びスループット速度を適宜調整することにより、リアクター中の含有物がそこを直線的に移動するときに、所望の滞留時間が提供される。末端のキャッピング反応がリアクターRにおいて行われる。リアクターRからの流出物をクーラーCに供給し、そこで約20℃に当該抽出物を冷却する。以上により、シリル化されたポリウレタン(SPUR)生成物を得る。
【0032】
図2を参照する。他の実施形態に係る方法であって、各々異なる直径及び長さを有する3つのリアクター(R−1、R−2、及びR−3)が直列に配置された態様を示す。ジイソシアネートのフィードF5を、リアクターR−1への導入前に、ポリオールのフィードF4と混合する。鎖伸長反応がリアクターR−1で生じる。またジイソシアネートのフィードF5は任意にポリオールを含有してもよい。ポリオールのフィードF4は、例えば上記のシーラント/接着剤/コーティングなどの添加剤を任意に含有してもよい。シリル化剤のフィードF6を、リアクターR−1とR−2との間において導入する。末端のキャッピング反応はリアクターR−2で生じる。あるいは、シリル化剤のフィードF6を、必要となる鎖伸長の程度に応じて、工程中の他の位置において導入してもよい。フィードF7は触媒を含有し、リアクターR−2及びR−3との間において導入する。リアクターR−3からの抽出物をクーラーCに供給する。以上により、シリル化されたポリウレタン(SPUR)生成物を得る。
【実施例】
【0033】
本発明の様々な特徴は、以下に示す実施例において例示する。
【0034】
<実施例1及び比較例>
Acclaim12,200(Bayer社製のポリオール)を、毎分約80cm(cc/分)の速度で、Zenith定量ギアポンプを使用して、サイズ=10cm回転(cc/rev)で、毎分8回転(rpm)で操作してリアクターに連続的にポンプ注入した。A−Link 35(GE社製のイソシアナトシラン)を、Milton Roy定量ギアポンプを使用して、約3cc/分の速度でリアクターに連続的にポンプ注入した。SUL−4(Crompton社製のジブチルスズジラウレート触媒)を、0.1%の濃度でAcclaim12,200と事前に混合した。この事前調製物を、Zenith定量ポンプ(サイズ0.584cc/回転)を使用し、約8.3回転/分で操作し、約5cc/分で連続的にリアクターへポンプ注入した。
【0035】
円筒状のリアクターとして、混合の際に使用するスタティックミキサー(Koch−Sulzer SMX)を内部に装着した円筒部材を使用した。図1に例示するのと同様の工程に設計した。パイプ上に装着した電熱テープを使用して、リアクターを約100〜180℃の温度に加熱した。熱電対を用いて温度を測定した。リアクターの出口部分において、冷却水ジャケットを装着した円筒部材を設け、そこにおいて生成物を約20〜80℃に冷却した。
【0036】
連続工程から調製したプレポリマー生成物を、サンプル1〜3として取り出し、試験した。FTIR及び滴定による試験を行い、反応の完了(0.05重量%未満のイソシアネート(NCO)含量)を確認した。粘度の測定を行った結果、20℃における1秒−1の剪断速度で20,000cp未満の数値を示した。一晩硬化させて試験した結果、タックフリーのフィルムの状態を示した。比較例として、バッチ法により調製したサンプルを同様に試験した。当該プレポリマーの機械的特性の試験結果は、バッチ式に調製した場合の結果と同様であった。
【0037】
試験結果を下記の表1に示す。
【0038】
(表1:SPURプレポリマーの物理的特性)
【0039】
【表1】

【0040】
2つのシーラント組成物をサンプル3から調製し、物理的性質を試験した。結果を以下の表2に示す。
【0041】
(表2:SPURシーラントの物理的特性)
【0042】
【表2】

【0043】
<実施例2>
図2に示すのと同様の工程を設計した。Acclaim12,200ポリオールを、SUL−4触媒の存在下でDemodur I(Bayer社製のイソホロンジイソシアネート、IPDI)と反応させ、更にA−Link 35シランでキャッピングした。本実施例では鎖伸長剤(IPDI)及びキャッピング剤(A−Link35)を別々に添加したが、それらは一緒に添加してもよい。以下の組成で調製した:
ポリオール 72.62重量部、
ポリオール中の20%PDI 3.73重量部、
ポリオール中の0.1%触媒 7重量部、及び
キャッピング剤 1.44重量部。
温度及び触媒組成を変化させて調製し、サンプリングし、試験した。結果を以下の表3に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
上記の説明中には多くの詳細な実施例が含まれるが、それらは単にその好ましい実施態様を例示するものに過ぎず、これらの詳細な実施例に本発明が限定されるものと解釈すべきでない。当業者であれば、本願明細書に添付する特許請求の範囲に記載の本発明の技術的範囲内及び技術思想の範囲内で、多くの他の実施態様を想起するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施態様に係る処理を示す略図。
【図2】本発明の他の実施態様に係る処理を示す略図。
【符号の説明】
【0047】
F1〜7:フィード
R:リアクター、R−1〜3:リアクター1〜3
C:クーラー
SPUR:シラン末端を有するポリウレタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリル化されたプレポリマーの連続的調製方法であって、
(a)所定量のポリオールを少なくとも1つの反応ゾーンに連続的に導入する工程と、
(b)シリル化剤を前記少なくとも1つの反応ゾーンに連続的に導入する工程と、
(c)反応物質が前記少なくとも1つの反応ゾーンを通過するときに、シリル化されたプレポリマー樹脂が調製されるために十分な温度条件及び時間条件で、前記ポリオールを連続的に反応させる工程と、
(d)前記少なくとも1つの反応ゾーンから前記シリル化されたプレポリマー樹脂を連続的に取り出す工程を含んでなる方法。
【請求項2】
前記ポリオールがポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリオレフィンポリオール及びポリシロキサンポリオールからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記シリル化剤がイソシアナトシランである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記イソシアナトシランが、3−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン及び3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記シリル化剤の添加前に前記ポリオールをポリイソシアネートと反応させ、ウレタン基の繰り返し単位を有するポリマーを調製する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ポリイソシアネートが、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート及び1,5−ナフチレンジイソシアネートからなる群から選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
過剰量のポリオールをポリイソシアネートと反応させ、水酸基末端を有するポリウレタンを調製する、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記シリル化剤がイソシアナトシランである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記イソシアナトシランが、3−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン及び3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
過剰量のポリイソシアネートを前記ポリオールと反応させ、イソシアネート反応性基末端を有するポリウレタンを調製する、請求項5記載の方法。
【請求項11】
前記シリル化剤がアミノシランである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記アミノシランが、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、N−メチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、アミノイソプロポキシエチルトリメトキシシラン、アミノイソプロポキシプロピルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジエトキシメチルシラン、N−メチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン及びアミノイソプロポキシエチルトリエトキシシランからなる群から選択される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記シリル化剤が以下の式で表される、請求項1記載の方法。
Y−R−Si、(Me)(OR3−n
(式中、Yは−NCO、−NHR、−NH又は−HSであり、
Rは1〜10の炭素原子数のアルキル基であり、
は1〜10の炭素原子数の二価の炭化水素基であり、
Meはメチル基であり、
ORはアルコキシ基であって、式中Rが1〜5の炭素原子数であり、
n=0〜3である。)
【請求項14】
前記少なくとも1つの反応ゾーンが、スタティックミキサーを有する少なくとも1つの円筒状リアクターを含んでなり、熱供給源が前記反応ゾーンに熱を供給する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの反応ゾーンが、直列に配列された2つ以上の円筒状リアクターを含んでなり、前記円筒状リアクターが、同じ若しくは異なるサイズの直径及び長さを有する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
フィードインレットが複数の円筒状リアクターの間に設けられる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記シリル化されたプレポリマーを連続的に1つ以上の添加剤と混合して最終生成物を調製する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記最終生成物がシーラント及び/又は接着剤及び/又はコーティング組成物である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記添加剤が可塑剤、着色剤、安定化剤、チキソトロピー剤及び充填材からなる群から選択される1つ以上の化合物を含んでなる、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記添加剤がフィード成分と共に少なくとも1つの反応ゾーンに導入される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
シリル化されたプレポリマーの連続的調製方法であって、
(a)所定量のポリオールを少なくとも1つの反応ゾーンに導入する工程と、
(b)シリル化剤を前記少なくとも1つの反応ゾーンに導入する工程と、
(c)反応物質が前記少なくとも1つの反応ゾーンを直線的に通過するときに、シリル化されたプレポリマー樹脂が調製されるために十分な温度条件及び時間条件で、前記ポリオールを連続的に反応させる工程と、
(d)前記少なくとも1つの反応ゾーンから前記シリル化されたプレポリマー樹脂を連続的に取り出す工程を含んでなる方法。
【請求項22】
シリル化されたプレポリマーの連続的調製方法であって、
(a)所定量のポリオールを少なくとも1つの反応ゾーンに連続的に導入する工程と、
(b)シリル化剤を反応ゾーンの第1の部分に連続的に導入してポリウレタン樹脂を調製する工程と、
(c)シリル化剤を反応ゾーンの第2の部分に連続的に導入する工程と、
(c)反応物質が前記少なくとも1つの反応ゾーンを直線的に通過するときに、シリル化されたプレポリマー樹脂が調製されるために十分な温度条件及び時間条件で、前記ポリオールを連続的に反応させる工程と、
(d)前記少なくとも1つの反応ゾーンから前記シリル化されたプレポリマー樹脂を連続的に取り出す工程を含んでなる方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−507984(P2009−507984A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531115(P2008−531115)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/032104
【国際公開番号】WO2007/037824
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】