説明

シリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物及びその製造方法

【解決手段】 下記一般式(1)
【化1】


(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜10の1価炭化水素基、R5は水素原子又はメチル基であり、nは0、1又は2である。)
で示されるシリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物。
【効果】 本発明によれば、シリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物を用いることにより、高分子変性剤として用いた場合、フィラーとの相互作用をより強くさせることができ、接着剤の添加剤として用いた場合、接着性、補強性をより向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子変性剤、塗料添加剤、接着剤、シランカップリング剤、表面処理剤等として有用な、シリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミノ基が保護されたオルガノキシシラン化合物は、高分子変性剤、塗料添加剤、接着剤、シランカップリング剤、表面処理剤等として有用であり、特にアミノ基がシリル基で保護されたオルガノキシシラン化合物は、保護、脱保護が容易なため、上記用途に用いるのに適している。
【0003】
このようなアミノ基がシリル基で保護されたオルガノキシシラン化合物としては、例えば特許第3414134号公報(特許文献1)記載のN,N−(ビストリメチルシリル)アミノプロピルシラン化合物が例示され、アミノ変性シリコーンオイルの変性剤として有用であることが開示されている。
【0004】
また、特開2003−171418号公報(特許文献2)には、保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物、即ちN,N−(ビストリメチルシリル)アミノプロピルシラン化合物が、スチレン−ブタジエンアニオン重合のリビング重合末端鎖にアミノ基を導入することのできる化合物であり、この化合物をアニオン重合末端変性剤として用いて製造されたアミノ基含有スチレン−ブタジエンゴムは、シリカ、カーボンブラックを配合したタイヤ用ベースポリマーとして有用であることが開示されている。
【0005】
更に、このようなアミノ基がシリル基で保護されたオルガノキシシラン化合物は、塗料や接着剤の添加剤としても有用であり、例えばエポキシ樹脂に添加することにより、アミノ系シランカップリング剤添加の効果(接着性、補強性向上)を有する一液型硬化性組成物、即ち水分を遮断した系では反応性を示さず安定な組成物であるが、水分と接触することにより加水分解による脱保護が起こり、アミノ基が再生しアミノ系シランカップリング剤を添加したのと同等の効果を示す組成物とすることができる。
【0006】
上記のようにアミノ基がシリル基で保護されたオルガノキシシラン化合物は、高分子変性時、塗料や接着剤添加時に、官能基の保護により官能基自身が反応してしまうのを防ぐことができ、その後脱保護することにより、定量的、効率的に官能基を再生、導入可能であるため有用である。しかしながら、既知のアミノ基がシリル基で保護されたオルガノキシシラン化合物では、オルガノキシシリル基を1分子あたり1つしか有していないため、例えば高分子変性剤として用いた場合、高分子のフィラー、特にシリカとの相互作用が弱く、また塗料、接着剤添加剤として用いた場合は、充分な接着性、補強性が得られないという問題点があった。
【0007】
【特許文献1】特許第3414134号公報
【特許文献2】特開2003−171418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、フィラーとの相互作用が強くなる高分子変性剤、充分な接着性、補強性が得られる塗料、接着剤添加剤として有用なアミノ基がシリル基で保護されたビスオルガノキシシラン化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記方法によって得ることができる下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜10の1価炭化水素基、R5は水素原子又はメチル基であり、nは0、1又は2である。)
で示されるシリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物が、高分子変性剤として用いた場合、フィラーとの相互作用がより強くなり、接着剤添加剤として用いた場合、接着性、補強性がより向上することを知見し、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
従って、本発明は下記シラン化合物及びその製造方法を提供する。
(I)下記一般式(1)
【化2】

(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜10の1価炭化水素基、R5は水素原子又はメチル基であり、nは0、1又は2である。)
で示されるシリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物。
(II)下記一般式(2)
【化3】

(式中、R、R1、R2、R3、R5は(I)に記載された通りの意味を有する。)
で示される化合物と、下記一般式(3)
HSi(CH3n(OR43-n (3)
(式中、R4、nは(I)に記載された通りの意味を有する。)
で示されるハイドロジェンシラン化合物とを白金触媒下で反応させることを特徴とする(I)記載のシリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物を用いることにより、高分子変性剤として用いた場合、フィラーとの相互作用をより強くさせることができ、接着剤の添加剤として用いた場合、接着性、補強性をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の化合物は、下記一般式(1)
【化4】

(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜10の1価炭化水素基、R5は水素原子又はメチル基であり、nは0、1又は2である。)
で示されるシリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物である。
【0013】
ここで、Rは、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基であり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、アラルキレン基等が挙げられる。R1、R2、R3、R4は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の1価炭化水素基であり、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、ブテニル基、フェニル基等が例示される。
【0014】
本発明のシリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物を具体的に例示すると、下記の通りである。
ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルメトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルメトキシシリル)プロピル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルエトキシシリル)プロピル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルメトキシシリル)プロピル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルエトキシシリル)プロピル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルメトキシシリル)プロピル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルエトキシシリル)プロピル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)ブチル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)ブチル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルメトキシシリル)ブチル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)ブチル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)ブチル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルエトキシシリル)ブチル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)ブチル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)ブチル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルメトキシシリル)ブチル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)ブチル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)ブチル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルエトキシシリル)ブチル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)ブチル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)ブチル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルメトキシシリル)ブチル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)ブチル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)ブチル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルエトキシシリル)ブチル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)ブチル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)ブチル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルメトキシシリル)ブチル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)ブチル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)ブチル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルエトキシシリル)ブチル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルメトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルエトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルメトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルエトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリエチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)−2−メチルプロピル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)−2−メチルプロピル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルメトキシシリル)−2−メチルプロピル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)−2−メチルプロピル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)−2−メチルプロピル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルエトキシシリル)−2−メチルプロピル]t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルメトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリイソプロピルシリルアミン、ビス[3−(ジメチルエトキシシリル)−2−メチルプロピル]トリイソプロピルシリルアミン。
【0015】
一般式(1)で示されるシリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物の製造方法は、例えば下記一般式(2)
【化5】

(式中、R、R1、R2、R3、R5は上記と同様である。)
で示される化合物と、下記一般式(3)
HSi(CH3n(OR43-n (3)
(式中、R4、nは上記と同様である。)
で示されるハイドロジェンシラン化合物とを白金触媒下で反応させる方法が例示される。
【0016】
上記一般式(2)で示される化合物としては、具体的には、ジアリルトリメチルシリルアミン、ジアリルトリエチルシリルアミン、ジアリルt−ブチルジメチルシリルアミン、ジアリルトリイソプロピルシリルアミン、ビス(1−ブテニル)トリメチルシリルアミン、ビス(1−ブテニル)トリエチルシリルアミン、ビス(1−ブテニル)t−ブチルジメチルシリルアミン、ビス(1−ブテニル)トリイソプロピルシリルアミン、ジメタリルトリメチルシリルアミン、ジメタリルトリエチルシリルアミン、ジメタリルt−ブチルジメチルシリルアミン、ジメタリルトリイソプロピルシリルアミンが例示される。これらの化合物は公知の物質であり、ジアルケニルアミンをトリオルガノキシシランで保護する公知の方法によって製造し得る。
【0017】
上記反応で用いられる一般式(3)で示されるハイドロジェンシラン化合物としては、具体的には、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン等が例示される。
【0018】
一般式(2)で示される化合物と、一般式(3)で示されるハイドロジェンシラン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(2)で示される化合物1モルに対し、一般式(3)で表されるハイドロジェンシラン化合物を1〜4モル、特に1.5〜2.5モルの範囲が好ましい。
【0019】
上記反応で用いられる白金触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン又はキシレン溶液、テトラキストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、ジクロロシクロオクタジエン白金等が例示される。
【0020】
白金触媒の使用量は特に限定されないが、反応性、生産性の点から一般式(2)で示される化合物1モルに対し、0.000001〜0.01モル、特に0.00001〜0.001モルの範囲が好ましい。
【0021】
上記反応の反応温度は特に限定されないが、0〜120℃、特に20〜100℃が好ましく、反応時間は1〜20時間、特に1〜10時間が好ましい。
【0022】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0024】
[合成例1] ジアリルトリメチルシリルアミンの合成
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジアリルアミン48.6g(0.5モル)、トリエチルアミン55.7g(10.55モル)、ヘキサン250mlを仕込み、トリメチルクロロシラン57.0g(0.52モル)を20〜40℃で2時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去し、濾液を蒸留した。ジアリルトリメチルシリルアミンを沸点72℃/5kPaの留分として67.1g得た(収率79%)。
【0025】
[実施例1] ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミンの合成
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジアリルトリメチルシリルアミン33.9g(0.2モル)、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金含量3質量%)0.26gを仕込み、70℃に加熱した。内温が安定した後、トリエトキシシラン65.7g(0.4モル)を4時間かけて滴下し、その温度で3時間撹拌した。反応液を蒸留し、沸点132−133℃/0.05kPaの留分を50.0g得た。
【0026】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図1には1H−NMRスペクトルのチャート、図2にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 497,482,306,163,73
以上の結果より、得られた化合物はビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミンであることが確認された。
【0027】
[実施例2] ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミンの合成
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジアリルトリメチルシリルアミン33.9g(0.2モル)、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金含量3質量%)0.26gを仕込み、70℃に加熱した。内温が安定した後、メチルジエトキシシラン53.7g(0.4モル)を4時間かけて滴下し、その温度で1時間撹拌した。反応液を蒸留し、沸点117−119℃/0.04kPaの留分を58.1g得た。
【0028】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図3には1H−NMRスペクトルのチャート、図4にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 437,422,276,133,73
以上の結果より、得られた化合物はビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミンであることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1で得られたシラン化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図2】実施例1で得られたシラン化合物のIRスペクトルである。
【図3】実施例2で得られたシラン化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図4】実施例2で得られたシラン化合物のIRスペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜10の1価炭化水素基、R5は水素原子又はメチル基であり、nは0、1又は2である。)
で示されるシリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物。
【請求項2】
下記一般式(2)
【化2】

(式中、R、R1、R2、R3、R5は請求項1に記載された通りの意味を有する。)
で示される化合物と、下記一般式(3)
HSi(CH3n(OR43-n (3)
(式中、R4、nは請求項1に記載された通りの意味を有する。)
で示されるハイドロジェンシラン化合物とを白金触媒下で反応させることを特徴とする請求項1記載のシリル基で保護されたアミノ基を有するビスオルガノキシシラン化合物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−55950(P2007−55950A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244231(P2005−244231)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】