説明

シリル末端ポリアルキレングリコールを潤滑剤として含む冷媒組成物およびその製造方法

冷却または保冷を与える装置のためのシリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤、シリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤を含む冷媒組成物、およびその製造方法である。潤滑剤はヒドロフルオロカーボン冷媒,例えばヒドロフルオロオレフィン(HFO)、R−134(a)、R−152(a)および二酸化炭素と相溶性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件は、米国仮出願第61/081,301号(2008年7月16日出願)(その内容の全部を参照により本明細書に組入れる)の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は、冷却または保冷(refrigeration)を与える装置において使用するために特に好適な改善された潤滑剤組成物、改善された潤滑剤を含む冷媒、および冷却または保冷を与える装置において使用するための改善された潤滑剤組成物の製造方法に関する。
【0003】
冷却または保冷を与える装置における潤滑剤として使用するための耐吸水性の新規なシリル末端ポリアルキレングリコール、新規なシリル末端ポリアルキレングリコールを潤滑剤として含む冷媒、および、冷却または保冷を与える装置における潤滑剤として使用するためのシリル末端ポリアルキレングリコールの製造方法を更に開示する。
【0004】
より古い冷媒,例えばR−134(a)、ならびにより新しい冷媒,例えばR−152(a)およびヒドロフルオロオレフィンの両者と混和可能な冷媒潤滑剤についての継続した要求がある。
【背景技術】
【0005】
背景
保冷およびエアコンディショニング産業において使用される冷媒組成物についての環境問題および新たな規制に対応して、新たな冷媒組成物が開発されている。冷媒の環境への優しさは、しばしば、「地球温暖化係数」(GWP)として知られる基準、または「オゾン層破壊係数」(ODP)として知られる基準の一方または両者によって特徴付けられる。
【0006】
GWP値は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって確立される数であり、物質に起因する地球温暖化の量を指す。ODP値は、米国環境保護庁によって規定される数であり、クロロフルオロカーボン−11(CFC0911、化学的にはトリクロロフルオロメタンとして知られる)と比較しての物質によるオゾン層破壊の量を指す(42 U.S.C.7671,”(10) Ozone−Depletion Potential”(参照により組入れる)にて与えられる通り)。
【0007】
これまでになされた進展の例として、より環境に優しい冷媒の探求が、1980年代初頭に進められた。これは、冷媒,例えばR−12(ジクロロジフルオロメタン)(これは、GWP約1600およびODP1を有する)が原因の1つである大気中のオゾンの破壊についての理論に対するものであった。1990年代、より低いオゾン層破壊係数を有する冷媒,例えばR−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン、テトラフルオロエタン、またはHFC−134(a)ともいう)が紹介された。R−134aは、ODPがゼロであるが、なおGWP約1200を有する。1980年代後期から1990年代初期において、保冷およびエアコンディショニングの産業は、冷媒をR−12(CFC−12)からR−134(a)に切り替えた。これは、後者のオゾン層破壊係数がゼロであることに起因する。R−12を採用したミネラルオイル潤滑剤は、R−134(a)中で可溶性ではなかった。ジフルオロエタンまたはR−152(a)は別の代替の冷媒である。これはオゾン層破壊係数ゼロを有し、そしてそのGWPは、R−134(a)のものよりも大幅に低く、このことはこれを魅力あるものにする。より最近では、不飽和フルオロカーボン冷媒,例えばヒドロフルオロオレフィン(HFO)が、その優れたGWP(これは多くの場合で150以下より小さい)に起因して提案されている。
【0008】
上記の新たな冷媒の導入は、より極性の潤滑剤の開発を必要とした。例えば、Singh,米国特許第7,279,451号およびThomas,米国特許出願公開第2008/0111100号は、HFO冷媒をポリアルキレングリコール(PAG)潤滑剤とともに使用することを開示する。しかし、より新しい冷媒の多くは、少量の水(これはPAG潤滑剤中に存在することがある)の存在に対しても耐性が低い。これは環境水に対するその親和性に起因する。この問題に対処するために、多くの現在のPAG製造工程は、水除去加工ステップ,例えば減圧乾燥および/または吸収材(例えばシリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト等)との接触を用いる。このような工程は時間がかかり、および/またはコスト高である。加えて保冷システムまたはエアコンディショニングシステムの中へのPAGの導入の前に該PAGから除去されていない水は、部品(例えばコンプレッサ、エバポレータ、コンデンサ等)を腐食させる可能性がある。また、多くの公知のPAG潤滑剤は、より新しい低GWP冷媒中で乏しい混和性を被る。
【0009】
低GWP冷媒(例えばR−134(a)、R−152(a)、およびHFO)とともに使用するために好適なPAG潤滑剤のための継続した要求が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
要約
一側面に従い、耐吸水性のシリル末端ポリアルキレングリコール化合物を提供する。シリル末端ポリアルキレングリコールは、数平均分子量約500〜約4000を有する。該化合物は、好ましくは、コンプレッサ潤滑剤を使用するのに好適であり、そしてヒドロフルオロカーボン冷媒(R−134(a)、R−152(a)およびヒドロフルオロオレフィンからなる群から選択される)中で混和可能である。特定の例示の態様において、ポリアルキレングリコールを末端封止するシリル末端基としては、多くのヒドロカルビル基が挙げられる。他の例示の態様において、ヒドロカルビル基の少なくとも1つが置換基を含み、これは冷媒中の潤滑剤の混和性を改善する。
【0011】
別の側面に従い、シリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤の製造方法を提供し、該方法は、好適なポリアルキレングリコールをシリルヒドロカルビルアミンと好適な溶媒中で十分な時間反応させてシリル末端ポリアルキレングリコールを生成することを含む。
【0012】
更なる側面に従い、冷媒およびシリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤を含む冷媒組成物を開示する。特定の例示の態様において、冷媒は、GWP約150未満を有する。他の例示の態様において、潤滑剤は、好ましくは、冷媒中、温度約−60℃超、より好ましくは約−50℃超、そして最も好ましくは約−40℃超で混和可能である。潤滑剤は、好ましくは、冷媒中、温度約60℃未満、より好ましくは約50℃未満、そして最も好ましくは約40℃未満で混和可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい態様の詳細な説明
本開示は、改善された潤滑剤および潤滑剤の製造方法であって、冷却および/または保冷のシステムにおいて使用するために特に好適なものに関する。以下でより詳細に説明するように、本明細書で記載する潤滑剤は、1つ以上のシリル末端基を有するポリアルキレングリコールを含む。
【0014】
潤滑剤組成物は、種々の潤滑用途に使用でき、限定しないが、エンジンおよび固定式または移動式の保冷/冷却システムが挙げられる。ここで、潤滑剤が、好適な冷媒とともに、乗用物のエアコンディショニング、商業用、工業用または居住用の建築物(エアコンディショニングを有するもの)において有用であることが意図される。更に、保冷庫および冷凍庫(固定式または移動式のいずれも)が、潤滑剤とともに用いるのに好適であることができることが意図される。好ましい態様において、潤滑剤は、乗用物エアコンディショニングシステムまたは他の携帯式冷却システムにおいて用いる冷媒と組合せる。潤滑剤は、冷媒/潤滑剤混合物に潤滑特性を与えて保冷/冷却装置におけるコンプレッサ部品が使用中に潤滑されるようにするのに十分な濃度で、好適な冷媒と混和可能である。
【0015】
好適な冷媒としては、1種以上のヒドロフルオロカーボン,例えばCH3CHF2、C2HF5、CH22F2、C233、CHF3およびC224が挙げられ、これらは一般にそれぞれR−152(a)、R−125、R−32、R−143(a)、R−23およびR−134(a)として公知である。二酸化炭素もまた好適な冷媒である。ヒドロカーボン,例えばプロパンおよびブタンは、ヒドロフルオロカーボン冷媒との組合せで使用する第2の冷媒として使用できる。
【0016】
追加の好適な冷媒としては、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)が挙げられる。熱転写用途,例えば自動車エアコンディショニングシステムのためには、C2−C5HFOが好ましく、C2−C4HFOがより好ましく、そしてC3−C4が最も好ましい。C3−C4HFOであって少なくとも2つおよび好ましくは少なくとも3つのフッ素置換基を有するものは特に好ましい。好適なHFOとしては、限定するものではないが以下が挙げられる:1,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロペン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロペン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−1−プロペン、1,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,1,2,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,1,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、2,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,1,2−トリフルオロ−1−プロペン、1,1,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,2,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,1,1,2,3,4,4,4−オクタフルオロ−2−ブテン、1,1,2,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−1−ブテン、1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテン、1,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン、1,1,1,2,3,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテン、1,3,3,3−テトラフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−プロペン、1,1,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン、1,1,2,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン、1,1,2,3,3,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブテン、2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、1,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン、1,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン、1,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン、1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、1,1,1,2,3,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−2−ブテン、1,1,1,3,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、1,1,2,3,3,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン、1,1,2,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテン、3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−プロペン、1,1,1,2,4−ペンタフルオロ−2−ブテン、1,1,1,3,4−ペンタフルオロ−2−ブテン、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,1,1,4,4−ペンタフルオロ−2−ブテン、1,1,1,2,3−ペンタフルオロ−2−ブテン、2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,1,2,4,4−ペンタフルオロ−2−ブテン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,1,2,3,4−ペンタフルオロ−2−ブテン、1,2,3,3,4−ペンタフルオロ−1−ブテン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−メチル−1−プロペン、2−(ジフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、1,1,3,3−テトラフルオロ−2−メチル−1−プロペン、1,3,3,3−テトラフルオロ−2−メチル−1−プロペン、2−(ジフルオロメチル)−3,3−ジフルオロ−1−プロペン、1,1,1,2−テトラフルオロ−2−ブテン、1,1,1,3−テトラフルオロ−2−ブテン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−2−ペンテン、1,1,2,3,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−1−ペンテン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ブテン、1,1,1,2,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン、1,1,1,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン、1,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−1−ペンテン、1,1,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−1−ペンテン、1,1,2,3,3,4,4,5,5−ノナフルオロ−1−ペンテン、1,1,2,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン、1,1,1,12,3,4,4,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン、1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−2−ペンテン、1,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン、1,1,2,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−2−ブテン、1,1,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン、2,3,3,4,4,5,5,5−オクタフルオロ−1−ペンテン、1,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンテン、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−ブテン、1,1,4,4,4−ペンタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン、1,3,4,4,4−ペンタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン、1,1,4,4,4−ペンタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−ブテン、1,1,1,4,4,5,5,5−オクタフルオロ−2−ペンテン、3,4,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン、1,1,3,3,5,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン、1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−3−メチル−2−ブテン、2,4,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン、1,4,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテン、1,4,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−2−ブテン、2,4,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−2−ブテン、3−(トリフルオロメチル)−4,4,4−トリフルオロ−2−ブテン、3,4,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−2−ペンテン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−ブテン、3,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−1−ペンテン、4,4,4−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−ブテン、1,1,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ドデカフルオロ−1−ヘキセン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,6−ドデカフルオロ−3−ヘキセン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)−2−ブテン、1,1,1,4,4,5,5,5−オクタフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ペンテン、1,1,1,3,4,5,5,5−オクタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン、1,1,1,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン、1,1,1,4,4,5,5,6,6,6−デカフルオロ−2−ヘキセン、1,1,1,2,2,5,5,6,6,6−デカフルオロ−3−ヘキセン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセン、4,4,4−トリフルオロ−3,3−ビス(トリフルオロメチル)−1−ブテン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−メチル−2−(トリフルオロメチル)−2−ブテン、2,3,3,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−1−ペンテン、1,1,1,2,4,4,5,5,5−ノナフルオロ−3−メチル−2−ペンテン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン、3,4,4,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2−ヘキセン、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロ−2−ヘキセン、1,1,1,4,4−ペンタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン、4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−1−ペンテン、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−メチル−1−ペンテン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−テトラデカフルオロ−2−ヘプテン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7−テトラデカフルオロ−2−ヘプテン、1,1,1,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロ−2−ヘプテン、1,1,1,2,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロ−2−ヘプテン、1,1,1,2,2,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロ−3−ヘプテン、1,1,1,2,2,3,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロ−3−ヘプテン、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−ヘキセン、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−1−ヘキセン、1,1,1,2,2,3,4−ヘプタフルオロ−3−ヘキセン、4,5,5,5−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−1−ペンテン、1,1,1,2,5,5,5−ヘプタフルオロ−4−メチル−2−ペンテン、1,1,1,3−テトラフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン、1,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロシクロブテン、3,3,4,4−テトラフルオロシクロブテン、3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、1,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロシクロペンテン、1,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロシクロヘキセン、1,1,1,2,3,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−2−ペンテン、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、トリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル;またはこれらの任意の組合せ。
【0017】
潤滑剤は、1種以上の極性含酸素化合物であることができ、ポリアルキレンオキサイド(ポリアルキレングリコール(PAG)としても知られる)であって1つ以上のシリル基末端封鎖部をその1つ以上の末端に有するものが挙げられる。シリル末端基としては、好ましくは複数のヒドロカルビル基が挙げられ、そして最も好ましくは3つのヒドロカルビル基が挙げられる。特定の好ましい態様において、シリル末端封鎖部は、潤滑剤の水に対する親和性を低下させ、これにより水除去プロセス(例えば減圧乾燥、または潤滑剤を吸水材(例えばシリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト等)と接触させること)の必要性を最小化もしくは排除する。シリル末端封鎖部はまた、幾らかかの酸による分解に対してPAGを保護し、そしてPAGの粘度指数を改善する。自動車コンプレッサ用途のために、好ましいPAG潤滑剤としては、モノオールであって少なくとも単一の水酸基を有するものが挙げられる。しかし、多価PAG(例えばジオールおよびトリオール)もまた好適である。更に、このような用途のために、プロピレンオキサイドPAGホモポリマーは好ましく、そしてプロピレンオキサイドホモポリマーであって1価および多価のアルコールで開始されたもの、例えばメタノール、ブタノールおよびグリセリンで開始されたもの、はより好ましい。
【0018】
一態様において、式:
(1)R5−(O−(PO)m(EO)nSiR123X
(式中、
POは、プロピレンオキサイド単位(−CH2−(CH3)CH2−O−)であり;
EOは、エチレンオキサイド単位(−CH2−CH2−O−)であり;
1、R2およびR3は、同じでも異なってもよく、そしてアルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、官能化アルキル、官能化アリール、およびこれらの組合せからなる群から選択され;
xは、少なくとも1であり;
5は、x価のヒドロカルビル基であり;
mは、少なくとも0の数であり;
nは、少なくとも0の数であり;そして
m+nは0超である)
を有するシリル末端ポリアルキレングリコール冷媒潤滑剤化合物を開示する。
【0019】
用語「x価」は、R5が、潤滑剤化合物中のxPAG鎖の各々を結合させることができるx価電子を有することを意味する。xの数値は好ましくは1超、より好ましくは1〜6、更により好ましくは1〜4、および最も好ましくは1〜2である。商業的なコンプレッサ潤滑剤のために、xは好ましくは1または2であり、そして最も好ましくは2である。
【0020】
上記のように、R1、R2およびR3は、同じまたは異なり、そしてアルキル、アリール、置換アルキルおよびこれらの組合せからなる群から選択される。R1、R2およびR3は、好ましくは1〜30個の炭素、より好ましくは1〜25個の炭素、および最も好ましくは1〜20個の炭素を含む。R1、R2およびR3は、直鎖または分岐鎖であることができる。例示の置換されたアルキルおよびアリールとしては、ハロゲン化または部分ハロゲン化されたものが挙げられる。例示のアリールとしては、限定しないが、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、およびこれらの組合せが挙げられる。例示のヒドロカルビルとしては、限定しないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、tert−ブチル、ベンジル、およびこれらの組合せが挙げられる。例示の置換アルキルとしては、フッ化アルキル、塩化アルキル、エーテル、チオエーテル、3級アミン、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0021】
1、R2およびR3のいずれかまたは全ては、冷媒中での末端封鎖PAG潤滑剤の溶解性を促進するような様式で置換または官能化されていることができる。例えば、フッ化冷媒を用いる場合、PAG潤滑剤は、1つ以上のフッ素置換ヒドロカルビル基を有するシリル末端封鎖部を含むことができる。ヒドロフルオロカーボン冷媒組成物の特に好ましい態様においては、R1、R2およびR3の少なくとも1つがフルオロヒドロカルビルであり、これはフルオロカーボン冷媒中の潤滑剤の混和性を改善する。冷媒組成物の一態様においては、好適な潤滑剤のR1、R2およびR3基の少なくとも1つが、フッ化アルキルであることができる。好適なフッ化アルキルは、3,3,3−トリフルオロプロピル、トリデカフルオロプロピル−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、ノナフルオロヘキシル、およびこれらの組合せからなる群から選択できる。1つの例示のフッ化アルキル基は、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8,−トリデカフルオロオクチル基である。1つの例において、R1およびR2はメチル基であり、そしてR3は3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル基である。
【0022】
5は、x価ヒドロカルビル基であり、そして好ましくはx個の活性水酸基を有する化合物の残基である。これは好ましくは1〜30個の炭素を有し、そして水素、アルキル、アリール、および全部または一部がハロゲン化されたアルキルまたはアリールからなる群から選択される。R5は、より好ましくは1〜25個の炭素および最も好ましくは1〜20個の炭素を有する。
【0023】
1、R2またはR3が置換アルキルである場合、好ましくは、シリル末端ポリアルキレングリコール冷媒潤滑剤のR1、R2およびR3の少なくとも1つがフッ化アルキルであり、そしてR5がアルキルまたは水素である。
【0024】
n=0およびm>0の場合、式(1)の化合物はプロピレンオキサイドのホモポリマーであり、そしてn>0およびm=0の場合、該化合物はエチレンオキサイドのホモポリマーである。PAGホモポリマーの場合、プロピレンオキサイドホモポリマーが好ましい。例示のプロピレンオキサイドホモポリマー前駆体(すなわち、末端封鎖の前)としては、UCON(登録商標)材料(Dow Chemical Companyにより、商品名LB−65,LB−165,LB−285,LB−385,およびLB−525で供給される)が挙げられる。
【0025】
n>0およびm>0の場合、式(1)の化合物は、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのランダムまたはブロックのコポリマーである。好ましいランダムコポリマーは、エチレンオキサイドEOおよびPOのポリマーをEO 対 EO+PO(すなわち、n/(m+n))約0.01〜約0.75の比で含み、1価および多価のアルコール(例えばメタノール、ブタノールおよびグリセリン)で開始されている。より好ましい比としては、約0.05の増分で、約0.1〜0.7が挙げられ、最も好ましい比としては、約0.1の増分で、約0.1〜約0.7(例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6および0.7)が挙げられる。これに代えて記載すると、質量基準で、PAGは、好ましくは約5%超のEO(および対応して約95%未満のPO)を含有する。より好ましくは、PAGは、約25%超のEO(および対応して約75%未満のPO)を含有する。更により好ましくは、PAGは、約40%超のEOおよび約60%未満のPOを含有する。PAGは、好ましくは約95%未満のEO(および対応して約5%超のPO)を含有し、より好ましくは約75%未満のEOおよび約25%超のPO、そして最も好ましくは約60%未満のEO(および対応して約40%超のPO)を含有する。最も好ましくは、PAGは、約50%のEOおよび約50%のPOを含有する。EOおよびPOの1つの好適なランダムコポリマーは、UCON(登録商標)RL−488であり、これはエチレンオキサイド単位のプロピレンオキサイド単位に対する比(例えば、式(1)におけるn/m)約1を有する。RL−488は、粘度約135cStを40℃で、そして粘度約125cStを100℃で有する。
【0026】
シリル末端封鎖ポリアルキレングリコール潤滑剤の数平均分子量は、好ましくは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)または飛行時間質量分析(TOF−MS)(ASTM D−3233 Extreme Pressure procedureによって測定される摩耗試験結果が不合格になるFalex摩耗負荷を与えるもの)によって測定したときに、好ましくは少なくとも約1000lb、より好ましくは少なくとも約1500lb、更により好ましくは少なくとも約2000lb、そして最も好ましくは少なくとも約3000lbである。数平均分子量少なくとも約500が好ましく、分子量少なくとも約700がより好ましく、そして分子量少なくとも約800が更により好ましい。数平均分子量少なくとも約1000は最も好ましい。数平均分子量約4000以下が好ましく、分子量約3000以下がより好ましく、そして約2000以下が更により好ましい。数平均分子量1100以下が最も好ましい。
【0027】
潤滑剤は、エネルギー消費(すなわち、保冷システムを通じて潤滑剤の流れにおいて消費される液圧エネルギー)と潤滑性との間のバランスを与える粘度を有するように選択する。より粘稠な潤滑剤は、より大きい潤滑性を与えるがより多くの液圧エネルギーを必要とする傾向がある。本明細書で記載する潤滑剤が有する粘度は、40℃で、好ましくは約10cSt超、より好ましくは約22cSt超、および最も好ましくは約40cSt超である。潤滑剤粘度(40℃にて)約460cSt未満が好ましく、粘度約220cSt未満がより好ましく、そして粘度約150cSt未満が最も好ましい。
【0028】
当該分野で公知であるように、「粘度指数」は、物質の粘度の温度感受性の指標である。本明細書で記載する潤滑剤は、粘度指数(ASTM D2270で測定したとき)が好ましくは少なくとも約190、より好ましくは少なくとも約200、そして最も好ましくは少なくとも約210である。
【0029】
熱安定性を評価するために工業的に用いる標準試験は、Sealed Tube Stability Test(元のASHRAE 97−83、今の97−99)である。この試験において、冷媒および潤滑剤を、評価するガラス管(選択した金属−通常は銅、スチール、およびアルミニウムの合金−のサンプルを収容する)内に封入し、液体中に浸漬する。管を次いで、175℃で14日間維持し、冷却し、そして分析のために内容物を取出す。冷媒は、ガスクロマトグラフィによって分解について分析し、潤滑油は、酸価の変化および金属の存在について分析し、そして金属サンプルを腐食について評価する。この加速試験は、構造の混合金属の存在下での潤滑剤と冷媒との間の相互作用をシミュレートする。良好な冷媒潤滑剤は、冷媒の分解または金属の腐食の原因とならない。ASHRAE 97−99に供する場合、本明細書で記載する潤滑剤は、好ましくは、ASHRAE 97−99試験に供し、本明細書で記載する潤滑剤は、好ましくは、総酸価の変化約3.5未満、より好ましくは約3.3未満、更により好ましくは約2.0未満、そして最も好ましくは約1.0未満を示す。
【0030】
特定の例示の態様、例えば自動車エアコンディショニング用途において冷媒組成物を提供し、これはシリル末端封鎖ポリアルキレングリコール潤滑剤および冷媒,例えば上述のヒドロフルオロカーボン冷媒を含む。このような態様において、潤滑剤は、冷媒中で十分な溶解性を有して潤滑剤がコンプレッサにエバポレータから確実に戻れるのがよい。更に、冷媒および潤滑剤の組成物は、潤滑剤が低温のエバポレータを通過できるような低温粘度を有するのがよい。1つの好ましい態様において、冷媒および潤滑剤は幅広い範囲の温度で混和可能である。潤滑剤は、冷媒中に、好ましくは約−60℃超、より好ましくは約−50℃超、そして最も好ましくは約−40℃超の温度で可溶である。潤滑剤は、冷媒中に、好ましくは約60℃未満、より好ましくは約50℃未満、そして最も好ましくは約40℃未満の温度で可溶である。
【0031】
上記の例示の態様に従い、一般的に、冷媒組成物中の潤滑剤の量は、コンプレッサを潤滑するのに十分である。好ましくは、組成物をシステム内に充填する時点で冷媒組成物の約1質量%超の潤滑剤組成物を本発明において用いる。潤滑剤量が冷媒組成物の約2質量%超であることがより好ましく、そして潤滑剤量が約3質量%超であることが最も好ましい。潤滑剤量が冷媒組成物の約50質量%未満であることは好ましく、そして潤滑剤量が冷媒組成物の約40質量%未満であることはより好ましい。潤滑剤量が約30質量%未満であることは最も好ましい。潤滑剤の量は、典型的には、冷媒と潤滑剤との相互の溶解性、よって保冷装置に対する可能な操作温度に作用する。
【0032】
本開示の別の側面において、冷媒中の潤滑剤の溶解性は温度依存性である。コンプレッサ内の温度は通常、エバポレータ内の温度よりも顕著に高いからである。好ましくは、コンプレッサ内で、潤滑剤および冷媒は互いに分離しており、そして可溶性ではなく;潤滑剤が液体で冷媒が気体(圧縮される)である。これに対し、エバポレータ内では、好ましくは潤滑剤および冷媒が相互に可溶性である。この理想的な状況により、コンプレッサ内の潤滑剤にもたらされる粘度の低下が最低限である(冷媒による希釈が最低限であることに起因して)。これは転じて、より良好な潤滑性およびコンプレッサからの潤滑剤放出の低減をもたらす。同時に、低温溶解性は、低温の潤滑剤を希釈してその粘度を低く維持することによってコンプレッサから放出される任意の潤滑剤を確実に戻す助けとなる。よって、一態様において、低温溶解性(すなわちエバポレータ操作温度での溶解性)および高温不溶性(すなわち、コンプレッサ操作温度での不溶性)を示す潤滑剤は望ましい。
【0033】
本明細書で記載する潤滑剤化合物はまた、潤滑剤化合物および添加剤パッケージ(以下の、極圧添加剤、耐摩耗添加剤、酸化防止剤、高温安定剤、腐食防止剤、洗剤および泡止剤の幾つかまたは全てを有する)を含む潤滑剤組成物を調製するために使用できる。極圧添加剤は、冷媒組成物の潤滑性および耐力特性を改善する。好ましい添加剤としては、米国特許第5,152,926号;第4,755,316号(参照により本明細書に組入れる)に記載されるものが挙げられる。特に、好ましい極圧添加剤としては、(A)トリルトリアゾールまたはその置換誘導体、(B)アミン(例えばJeffamine M−600)および(C)第3成分であって(i)エトキシル化ホスフェートエステル(例えばAntara LP−700型)、または(ii)ホスフェートアルコール(例えばZELEC 3337型)、または(iii)ジンクジアルキルジチオホスフェート(例えば、Lubrizol 5139,5604,5178,もしくは5186型)、または(iv)メルカプトベンゾチアゾール、または(v)2,5−ジメルカプト−1,3,4−トリアジアゾール誘導体(例えば、Curvan 826)またはこれらの混合物であるもの、の混合物が挙げられる。
【0034】
添加剤パッケージは、好ましくは、潤滑剤が火炎に対する燃料となる可能性を低減または排除する難燃剤を含む。難燃剤は組成物の蒸気圧を増大させることができ、組成物の引火点を増大させることができ、またはそうでなければ火災の危険性を低減する。一態様において、難燃剤は気相難燃剤であり(全ての場合がこれである必要はない)、炎が気体状(冷媒もまた気体状である場合)であるようなものである。好適な難燃剤としては、トリフルオロクロロメタン、トリフルオロヨードメタン、リン化合物(例えばリン酸エステル)および炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、またはフッ化炭素であってヨウ素および/または臭素も含有するもの、が挙げられる。
【0035】
別の態様において、本開示は、シリル末端ポリアルキレングリコール冷媒潤滑剤の製造方法に関する。該方法は、好適なポリアルキレングリコールを、好適なシリルヒドロカルビルアミン末端封鎖前駆体と、好適な溶媒の存在下で、シリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤を生成するのに十分な時間、反応させることを含む。シリルヒドロカルビルアミンは、好適なPAGと反応して、数平均分子量が好ましくは少なくとも約500、より好ましくは少なくとも約700、更により好ましくは少なくとも約800、そして最も好ましくは少なくとも約1000であるシリル末端PAGを生成できる。数平均分子量は、好ましくは約4000以下、より好ましくは約3000以下、更により好ましくは約2000以下、そして最も好ましくは約1100以下である。
【0036】
好ましいシリルヒドロカルビルアミン末端封鎖前駆体は、下記式(2):
(2)R123SiN(R42
(式中、R1、R2,R3は、アルキル、アリール、置換アルキル、官能化アルキル、官能化アリール、およびこれらの組合せからなる群から選択され(式(1)に関して上記した通り)であり;そして
4は、アルキルまたはアリールである)
を有するものである。
【0037】
反応溶媒は、ヒドロカルビルシリルアミンおよびPAGの両者を溶解させる液体媒体であり、これを容易にシリル末端PAG反応生成物から分離できるような沸点を有する。溶媒の沸点は、好ましくは少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約50℃、更により好ましくは少なくとも約60℃、そして最も好ましくは少なくとも約70℃である。溶媒沸点は、好ましくは、約130℃以下、より好ましくは約110℃以下、更により好ましくは約100℃以下、そして最も好ましくは約90℃以下である。溶媒は、好ましくは、エーテル、脂肪族または芳香族の炭化水素、およびこれらの組合せからなる群から選択される。例としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、ペンタン、ジエチルエーテル、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0038】
例示の態様において、ヒドロカルビルシリルアミンとPAGとの反応は以下の通り記載できる:
【0039】
【化1】

【0040】
(式中、
POは、プロピレンオキサイド単位(−CH2−(CH3)CH2−O−)であり;
EOは、エチレンオキサイド単位(−CH2−CH2−O−)であり;
1、R2、R3は、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、官能化アルキル、官能化アリール、およびこれらの組合せからなる群から選択され(式(1)に関して上記した通り);
xは、少なくとも1の数であり;
4は、アルキルまたはアリールであり;
5は、x価のヒドロカルビル基であり;
mは、少なくとも0の数であり;
nは、少なくとも0の数であり;そして
m+nは0超である)
【0041】
該方法の好ましい態様において、PAGは、プロピレンオキサイド単位を有する(すなわち、m>0)。R4は、好ましくは、1〜20個の炭素、より好ましくは1〜15個の炭素、そして最も好ましくは1〜10個の炭素を有するヒドロカルビル基である。特に好ましいヒドロカルビル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、アリル、およびベンジルからなる群から選択されるものである。好適なヒドロカルビルシリルアミン末端封鎖前駆体としては、N,N−ジアルキル(トリアルキルシリル)アミン,例えばN,N−ジエチルトリメチルシリルアミン、N,N−ジメチルトリメチルシリルアミン、ジメチル(ジメチルアミノ)ビニルシラン、n−オクチルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、n−ブチルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、(ジイソプロピルアミノ)トリメチルシラン、およびこれらの組合せが挙げられる。溶媒と同様の沸点を有するジアルキルアミン末端封鎖前駆体を用いることが好ましく、そして沸点は好ましくは少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約50℃、更により好ましくは少なくとも約60℃、および最も好ましくは少なくとも約70℃である。好ましくは、前駆体の沸点は、約130℃以下、より好ましくは約110℃以下、更により好ましくは約100℃以下、そして最も好ましくは約90℃以下である。
【0042】
上記反応において、反応時間の範囲は、約6〜約16時間、そしてより好ましくは約12〜約16時間である。反応の温度は、一般的には、用いる溶媒の沸点とほぼ同じであるかこれよりも高い任意の温度である。一般的には、溶媒は、任意のエーテル、脂肪族または芳香族の炭化水素であることができる。使用する溶媒により、温度は、好ましくは約30℃超であることができ、温度約50℃超がより好ましく、そして温度約60℃超が更により好ましい。温度約70℃超が最も好ましい。好ましくは、反応温度は約130℃未満であり、より好ましくは約110℃未満、そして更により好ましくは約100℃未満であり、反応温度約90℃未満が最も好ましい。得られるシリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤は、好ましくは溶媒を液化させることによって、精製できる。N,N−ジアルキル(トリアルキルシリル)アミンとポリアルキレングリコール潤滑剤との、上記条件下での反応が、高収量、高純度のシリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤をもたらすことを見出した。末端封鎖PAG潤滑剤の収率は、好ましくは約80%超、より好ましくは約85%超、更により好ましくは約95%超、そして最も好ましくは約98%超である。液化後に、末端封鎖PAGの純度は、好ましくは約90%超、より好ましくは約95%超、更により好ましくは約98%超、そして最も好ましくは約99%超である。
【0043】
シリル末端封鎖ポリアルキレングリコール潤滑剤の別の製造方法をここで説明する。該方法に従い、前駆体組成物を与え、これは、少なくとも1つの末端水酸基を有する少なくとも1種のポリアルキレングリコールを含む。該方法に従い、ヒドロカルビルシリルハライド末端封鎖前駆体を提供する。ヒドロカルビルシリルハライド末端封鎖前駆体は、好ましくは、トリ置換であり、そして式R123SiX(式中、Xはハロゲン原子であり、そしてR1、R2およびR3は、同じまたは異なり、そしてアルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、官能化アルキル、官能化アリール、およびこれらの組合せからなる群から選択される(式(1)および(2)に関して上記した通り))を有する。
【0044】
好ましい態様において、トリ置換シリルハライドは、トリアルキルシリルハライドである。より好ましい態様において、トリ置換シリルハライドは、トリアルキルシリルクロリド,例えばトリメチルシリルクロリド((CH33SiCl)である。トリアルキルシリルハライドは、前駆体組成物と組合せて反応混合物を形成する。反応混合物において、ハロゲン化トリアルキルシリルクロリドは、1つまたは複数のPAG水酸基と、塩化水素(HCl)および末端封鎖生成物を形成するのに十分な時間および温度で反応する。HClの存在は、末端封鎖反応を引き起こして可逆的にすることができる。よって、特定の好ましい方法において、トリアルキルシリルハライドを添加する前に、酸捕捉剤をポリアルキレングリコールと組合せる。酸捕捉剤は、好ましくは、3級アミンまたは複素環アミン(例えば、ピリジン、イミダゾール、トリエチルアミン)であるが、好ましくは2級アミンではない。1つの好ましい態様において、酸捕捉剤はピリジンである。酸捕捉剤の添加は、HCl生成物と組合せる場合、塩の形成をもたらす。ピリジンの場合、ピリジニウムクロリドが得られる。トリ置換されたシリルハライドのモル数は、好ましくは、PAG上の活性水酸基の数と同じかまたはこれより多く、より好ましくは、PAGに対してモル過剰で添加して所望量の末端封鎖部が確実に得られるようにする。特定の好ましい態様において、3倍過剰のトリアルキルシリルハライドを添加する。酸捕捉剤は、好ましくは、トリアルキルシリルハライドの量に対してモル過剰で添加する。酸捕捉剤は、好ましくは、トリアルキルシリルハライドのモル数の少なくとも約1%、より好ましくは少なくとも約2%、そして最も好ましくは少なくとも約5%、過剰である量で与える。過剰の酸捕捉剤は、液化または抽出等の技術によって除去できる。
【0045】
特定の例示の例において、トリアルキルシリルハライドとPAGとの反応は、反応媒体(例えば有機溶媒)中で行う。反応溶媒は、ヒドロカルビルシリルハライドとPAGとの両者を溶解させる液体媒体であり、そしてシリル末端PAG反応生成物から容易に分離できる沸点を有する。
【0046】
溶媒の沸点は、好ましくは、約30℃超、より好ましくは約50℃超、そして最も好ましくは約60℃超であり、溶媒の沸点は約70℃超が特に好ましい。好ましくは、溶媒の沸点は約130℃未満、より好ましくは約110℃未満、そして最も好ましくは約100℃未満であり、溶媒の沸点は約90℃未満が特に好ましい。溶媒は、好ましくは、エーテル、脂肪族または芳香族の炭化水素、およびこれらの組合せからなる群から選択される。例としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、ペンタン、ジエチルエーテル、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0047】
1つの例において、PAGは、好ましくは、ヒドロカルビルシリルハライドの添加前に、有機溶媒の約30質量%超の濃度まで希釈する。より好ましくは、希釈されたPAG濃度は、約40%超、そして最も好ましくは希釈されたPAG濃度は約45%超である。希釈されたPAG濃度は、好ましくは約70%未満、より好ましくは約60%未満、そして最も好ましくは約55%未満である。
【0048】
ヒドロカルビルシリルハライドおよびPAGの組合せは、発熱性の反応混合物を形成する。ヒドロカルビルシリルハライドは低沸点であることができる(例えば、トリメチルシリルクロリドは沸点57℃〜59℃である)。反応が進行するにつれてこれが蒸発するのを防ぐために、好ましくは、反応混合物を冷却して温度が40℃、そしてより好ましくは30℃を超えて上昇するのを防ぐことによって発熱を制御する。ヒドロカルビルシリルハライドの添加後、反応生成物は、好ましくは水で洗浄してHClを除去する。生成物を次いで加熱して、いずれの残存水も取出す。1つの好ましい態様において、水の残存量は潤滑剤化合物および水の総量の100ppm未満である。他の技術もまた、残存水を除去するために用いることができ、例えば、潤滑組成物を無水硫酸マグネシウムに接触させ、および/またはロータリーエバポレーションする。
【0049】
上記のように、ヒドロカルビルシリルハライドの量は、好ましくは、PAGにおいて所望量の末端封鎖を得るために選択する。好ましい態様において、末端封鎖パーセントは、少なくとも約80パーセントである。より好ましい態様において、末端封鎖パーセントは、少なくとも約90パーセント、そして特に好ましい態様において、末端封鎖パーセントは、少なくとも約98パーセントであり、ここで末端封鎖パーセントは、O−Si基のモル数をO−Si基プラス−OH基のモル数で除することによって評価し、そして13C NMR分析を用いて評価できる。
【0050】
以下の例は、本件で意図される好ましいシリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤の製造の種々の側面を示す。
【0051】

以下の例の各々において、UCON LB−285(Dow Chemical Companyから入手可能)は、ブタノール開始POホモポリマーであって、MW1020g/molを有する。UCONLB−285は、OH官能基を1つ(モノオール)および粘度61cStを40℃で、そして10.8cStを100℃で有する。
【0052】
例1
乾燥UCON LB−285(100.g,98.0mmol)をオーブン乾燥した500mL丸底フラスコ(磁気撹拌棒を備える)に計り入れる。乾燥トルエン(100mL)を窒素パージ下で添加し、そして反応は125mL滴下漏斗に、トリメチルシリルジエチルアミン(19.5mL,103mmol)の溶液(乾燥トルエン(50mL)中)を入れたものを有する。トリメチルシリルジエチルアミン溶液を滴下添加し、そして反応は、続いて還流濃縮器に合わせ、そして80℃に15.5時間加熱する。反応を室温まで冷却させた後、全揮発分(トルエン、ジエチルアミン、および過剰のトリメチルシリルジエチルアミン)をロータリーエバポレーションにより高減圧下で高温にて除去する。得られる生成物を前計量した気密容器に移し、そして窒素を詰める。収量は103.7gのトリメチルシリル末端UCON LB−285であり、パーセント基準では96.8%である。
【0053】
例1は、市販で入手可能な反応物質を使用して、比較的高い純度および収量のシリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤を生成する1つの方法を示す。
【0054】
例2
トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルジメチルクロロシラン(30.0g、68.1mmol)および乾燥ジエチルエーテル(150mL)を、250mLの丸底フラスコ(磁気撹拌棒を備える)に添加する。ジエチルアミン(17.6mL、170mmol)をシリンジで滴下添加する。反応は、室温で1晩撹拌する。白色沈殿物をろ過で除去し、そして全揮発分を、得られる溶液から高減圧下で除去する。得られる生成物を、0.45ミクロンシリンジを介して2回目のろ過をし、そして前計量した気密容器に移して窒素を詰める。収量は32.3gのN,N−ジエチル−1,1−ジメチル−1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)シリルアミンであり、これはパーセント基準で99.3%である。
【0055】
例2は、ポリアルキレングリコール潤滑剤を末端封鎖するための、高収量、高純度のフッ化シリルアミン末端封鎖前駆体を生成する方法を示す。
【0056】
例3
乾燥UCON LB−285(68.5g、67.2mmol)を、オーブン乾燥した500mLの丸底フラスコ(磁気撹拌棒を備える)に計り入れる。乾燥トルエン(100mL)を窒素パージ下で添加し、そして反応は125mL滴下漏斗に、N,N−ジエチル−1,1−ジメチル−1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)シリルアミン(32.1g、67.2mmol)の溶液(乾燥トルエン(50mL)中)を入れたものを有する。N,N−ジエチル−1,1−ジメチル−1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)シリルアミンの溶液を滴下添加し、そして反応は、続いて還流濃縮器に合わせ、そして80℃に15.5時間加熱する。反応を室温まで冷却させた後、全揮発分をロータリーエバポレーションにより高減圧下で高温にて除去する。得られる生成物を前計量した気密容器に移し、そして窒素を詰める。収量は95.0gの1,1−ジメチル−1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)シリル末端UCON LB−285である。パーセント基準で、末端封鎖PAGの収率は約99.3%である。生成物は粘度46cStを40℃、そして粘度指数199を有する。
【0057】
例3は、例1のプロセスおよび反応物質よりも高い収量および純度のシリル末端ポリアルキレングリコール冷媒潤滑剤を生成する方法を示す。
【0058】
例4
UCON RL 897流体を準備し、そしてクロロホルム中に、総溶液の濃度50質量%で溶解させる。溶液を次いでモレキュラーシーブスで乾燥させ、そして機械撹拌器および還流濃縮器を取付けた丸底フラスコ内にデカンテーションする。フラスコを氷浴中でチル冷却して、末端封鎖反応による発熱の制御のための冷却源を与えて、温度が30℃を超えて上昇しないようにする。
【0059】
酸捕捉剤、ピリジンを溶液に、後続で添加するトリメチルシリルクロリドのモル数よりも5%多い量で添加する。トリメチルシリルクロリドは、滴下式で添加して、反応の速度および熱の発生を更に制御する。トリメチルシリルクロリドの添加後、有機層を等体積の水で3回洗浄して過剰のピリジンおよびピリジニウムクロリドを除去する。有機層を次いで、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、そしてロータリーエバポレーションで濃縮する。UCON RL-897出発物質および得られる生成物の1H−NMRでの分析は、RL−897材料のアルコール末端に関連するプロトンの不存在を示す。
【0060】
例4は、ヒドロカルビルシリルハライドを用いてPAG潤滑剤を末端封鎖する方法を示す。
【0061】
例5
この例で、SYNALOX 100−D95(Dow Chemical Companyから入手可能)は、プロピレンオキサイドホモポリマーであり、分子量2000g/mol、OH官能基2つ(ジオール)および動粘度143cStを40℃で、そして23cStを100℃で有する。乾燥SYNALOX 100−D95(250g,125.0mmol)を、オーブン乾燥した1000mL丸底フラスコ(磁気撹拌棒を備える)に計り入れる。乾燥トルエン(300mL)を窒素パージ下で添加し、そして反応は250mL滴下漏斗に、トリメチルシリルジエチルアミン(48.5mL、256mmol)の溶液(乾燥トルエン(100mL)中)を入れたものを有する。トリメチルシリルジエチルアミン溶液を滴下添加し、そして反応は、続いて還流濃縮器に合わせ、そして80℃に17.5時間加熱する。反応を室温まで冷却させた後、全揮発分(トルエン、ジエチルアミン、および過剰のトリメチルシリルジエチルアミン)をロータリーエバポレーションにより高減圧下で高温にて除去する。得られる生成物を前計量した気密容器に移し、そして窒素を詰める。収量は252gのトリメチルシリル末端SYNALOX 100−D95である。パーセント基準で、収率は94%である。
【0062】
複数の構成要素もしくはステップの機能もしくは構造は単独の構成要素もしくはステップに組合せることができ、または1つのステップもしくは構成要素の機能もしくは構造は、複数のステップもしくは構成要素に分けることができることが更に理解されよう。本開示は、これらの組合せの全てを意図する。特記がない限り、本明細書で記載される種々の構造物の寸法および幾何学形状は、開示の限定を意図せず、そして他の寸法または幾何学形状が可能である。複数の構造の構成要素またはステップは、単独の一体化された構造またはステップによって得ることができる。代替として、単独の一体化された構造またはステップは、別個の複数の構成要素またはステップに分割できる。加えて、本開示の特徴は、例示した態様の1つのみの文脈において説明でき、このような特徴は、任意の与えられる用途のために、他の態様の1つ以上の他の特徴と組合せることができる。上記から、本明細書における特異な構造物の製造およびその操作もまた本開示に従った方法を構成することも理解されよう。
【0063】
本明細書で与える説明および例示は、他の当業者に開示、その原理、およびその実施用途を知らせることを意図する。当業者は開示を、特定用途の要求に最も適するように、その多くの形で適合させおよび適用することができる。従って、記載される本開示の特定の態様は排他的または限定的であることを意図しない。従って開示の範囲は上記の記載を参照して決定すべきでなく、特許請求の範囲を該特許請求の範囲が与える均等の全範囲とともに参照して決定すべきである。全ての論文および文献,例えば特許出願および公報の開示は参照により本明細書に組入れるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量約500〜約4000を有する、耐吸水性のシリル末端ポリアルキレングリコール化合物。
【請求項2】
式:
123Si−
(式中、R1、R2およびR3は、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、官能化アルキル、官能化アリール、およびこれらの組合せからなる群から選択される)
を有するシリル末端基を含む、請求項1に記載のシリル末端ポリアルキレングリコール化合物。
【請求項3】
式:
5−(O−(PO)m(EO)nSiR123X
(式中、
POは、プロピレンオキサイド単位であり;
EOは、エチレンオキサイド単位であり;
1、R2およびR3は、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、官能化アルキル、官能化アリール、およびこれらの組合せからなる群から選択され;
mは、少なくとも0の数であり;
nは、少なくとも0の数であり;
xは、少なくとも1の数であり;
5は、x価のヒドロカルビル基であり;そして
m+nは、0超の数である)
を有する、請求項1〜2のいずれか1項に記載のシリル末端ポリアルキレングリコール化合物。
【請求項4】
1、R2およびR3の少なくとも1つがフッ化アルキルである、請求項2〜3のいずれか1項に記載のシリル末端ポリアルキレングリコール化合物。
【請求項5】
数平均分子量約800〜約2000を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリル末端ポリアルキレングリコール化合物。
【請求項6】
約−40℃〜約40℃の温度で、R−134(a)、R−152(a)、ヒドロフルオロオレフィンおよびこれらの混合物からなる群から選択される冷媒中で混和性である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリル末端ポリアルキレングリコール化合物。
【請求項7】
粘度が約40℃で約22cSt〜約220cStである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリル末端ポリアルキレングリコール化合物。
【請求項8】
シリル末端ポリアルキレングリコール化合物の製造方法であって、プロピレンオキサイド単位を有する好適なポリアルキレングリコールを、シリルヒドロカルビルアミンと、好適な溶媒中で十分な時間反応させてシリル末端ポリアルキレングリコールを生成することを含む、方法。
【請求項9】
シリルヒドロカルビルアミンが、式:
123SiN(R42
(式中、R1、R2、R3は、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、官能化アルキル、官能化アリール、およびこれらの組合せからなる群から選択され;そして
4は、アルキルまたはアリールである)
を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
シリル末端ポリアルキレングリコール化合物が、式:
5−(O−(PO)m(EO)nSiR123X
(式中、
POは、プロピレンオキサイド単位であり;
EOは、エチレンオキサイド単位であり;
1、R2およびR3は、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、官能化アルキル、官能化アリール、およびこれらの組合せからなる群から選択され;
xは、少なくとも1の数であり;
5は、x価のヒドロカルビル基であり;
mは、0超の数であり;そして
nは、少なくとも0の数である)
を有する、請求項8〜9のいずれか1項に記載のシリル末端ポリアルキレングリコール化合物の製造方法。
【請求項11】
1、R2およびR3の少なくとも1つがフッ化アルキルである、請求項10に記載のシリル末端ポリアルキレングリコール化合物の製造方法。
【請求項12】
シリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤を、反応:
【化1】

(式中、
POは、プロピレンオキサイド単位であり;
EOは、エチレンオキサイド単位であり;
1、R2、R3は、アルキル、アリール、置換アルキル、置換アリール、官能化アルキル、官能化アリール、およびこれらの組合せからなる群から選択され;
4は、アルキルまたはアリールであり;
xは、少なくとも1の数であり;
5は、x価のヒドロカルビル基であり;
mは、少なくとも0の数であり;
nは、少なくとも0の数であり;
m+nは、0超であり;
十分な時間が12〜16時間であり;そして
温度が約80℃である)
に従って形成する、請求項8〜11のいずれか1項に記載のシリル末端ポリアルキレングリコール化合物の製造方法。
【請求項13】
シリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤が、数平均分子量約1000〜約4000を有する、請求項8〜12のいずれか1項に記載のシリル末端ポリアルキレングリコール化合物の製造方法。
【請求項14】
冷媒、およびシリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤、を含む、冷媒組成物。
【請求項15】
シリル末端ポリアルキレングリコール潤滑剤が、式:
5−(O−(PO)m(EO)nSiR123X
(式中、
POは、プロピレンオキサイド単位であり;
EOは、エチレンオキサイド単位であり;
1、R2およびR3は、アルキル、アリール、置換アルキル、官能化アルキル、官能化アリール、およびこれらの組合せからなる群から選択され;
xは、少なくとも1の数であり;
5は、x価のヒドロカルビル基であり;
mは、少なくとも0の数であり;
nは、少なくとも0の数であり;そして
m+nは、0超である)
を有し、組成物が粘度約10〜約460cStを40℃で有し、そして潤滑剤が冷媒と温度約−40℃〜約40℃の範囲で混和可能である、請求項14に記載の冷媒組成物。
【請求項16】
1、R2およびR3のうち少なくとも1つがフッ化アルキルである、請求項15に記載の冷媒組成物。
【請求項17】
シリル末端ポリアルキレングリコール冷媒潤滑剤が、粘度約22〜約220cStを40℃で有する、請求項14〜16のいずれか1項に記載の保冷組成物。
【請求項18】
シリル末端ポリアルキレングリコール冷媒潤滑剤が、数平均分子量約1000〜約4000を有する、請求項14〜17のいずれか1項に記載の保冷組成物。
【請求項19】
冷媒が、ヒドロフルオロカーボンである、請求項14〜18のいずれか1項に記載の保冷組成物。
【請求項20】
冷媒がGWP約150未満を有する、請求項14〜19のいずれか1項に記載の保冷組成物。

【公表番号】特表2011−528394(P2011−528394A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518744(P2011−518744)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/040097
【国際公開番号】WO2010/008640
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】