説明

シリル試薬を用いたピペリドンからの不飽和ピペリジンの合成

シリルピペリジン試薬を介して、シャピロ反応および有機ハライドを用いたパラジウム触媒型交差カップリング反応を経由するピペリドンから不飽和ピペリジンの合成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との関係
本出願は引用により本明細書に全部編入する2006年12月20日に出願された特許文献1の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、シリル試薬を介したピペリドンからの不飽和ピペリジンの新規調製法を対象とする。シャピロおよび有機ハライドを用いたパラジウム触媒型交差カップリング反応が使用される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本発明は、3,4−不飽和4−アリールピペリジンのような不飽和ピペリジンの、シリル試薬を介したシャピロ反応およびアリールヨージドおよびブロミドのような有機ハライドを用いたパラジウム触媒型交差カップリング反応を経由するピペリドンからの新規調製法を提供する。本発明の態様は、ベンジルジメチルアルケニルシラン部分のようなアリールジアルキルアルケニルシラン部分を含むベンジル保護化3,4−不飽和ピペリジンを、シャピロ反応を経由して1−ベンジル−4−ピペリドンから作成するための合成法を提供する。このシリルピペリジンは、アリールヨージドおよびブロミドのような種々の有機ハライドとのパラジウム触媒型交差カップリング反応を容易に受けて、3,4−不飽和4−アリールピペリジンのような3,4−不飽和ピペリジンを生成する。本発明によるこれらカップリング反応の多くが周囲温度で進行する。これらの反応は3,4−不飽和ピペリジンおよび4−アリールピペリジン合成に有用な方法を与える。
【0004】
4−アリールピペリジン部分は膨大な薬剤探索プログラムで構造単位として一般に使用されており、そのようなプログラムには喘息(非特許文献1)、高血圧(非特許文献2)、鬱(非特許文献3)、片頭痛(非特許文献4)、細菌感染(非特許文献5)、前立腺肥大(非特許文献6)、エストロゲン関連障害(非特許文献7)、神経変性障害(例えばアルツハイマー病)(非特許文献8)、神経興奮毒性(例えば癲癇、パーキンソン病)(非特許文献9)、コカイン乱用(非特許文献10)、およびアレルギー性鼻炎(非特許文献11)の処置への潜在的応用を含む。4−アリール基およびN−置換基の両方がそのようなプログラムを用いた構造的多様化の点として頻繁に使用されている(非特許文献1、3c、4a、5、9、11)。
【0005】
市販されている4−アリールピペリジンは数少ないので、そのような化合物を得るための新規合成経路が望まれている。現在応用されている最も多い方法には、4−ピペリドン誘導体とアニオン性アリール種との縮合(スキーム1、Eq.(1))(非特許文献3〜4、8〜12)、完全に飽和のピペリジン試薬の交差カップリング(Eq.(2))(非特許文献13)、および3,4−不飽和ピペリジン試薬の交差カップリング(Eq.(3))(非特許文献1〜2、5〜7、14)がある。これら3つのうち最初の方法はその苛酷な反応条件(すなわち強い求核剤および酸)からしばしば望ましくない。したがって後者の2つの方法が、それらは一般により緩和な反応条件が関与するので有利である。
【0006】
【化1】

【0007】
しかし式(2)および(3)に表される交差カップリング法に存在する1つの欠点は、一般に必要なピペリジン試薬が合成の多段階を通して持ちこたえられない点にある。代わりにそれらは合成の直後に交差カップリング反応を受ける。このように4−アリールピペリジン単位が薬剤探索プログラムで多様化され得る様式には限界がある。錫試薬が毒性および副産物除去の難しさという問題を持ち込むと同時に、トリフラート、亜鉛およびホウ素試薬は試薬の不安定さおよび不適合性といった問題を持ち込むので、この状況は最初に生ずる。
【0008】
有機シランは低い毒性および高い安定性といった利点を有する代替的な交差カップリング試薬として最近出現した(非特許文献15)。特にベンジルジメチルシリル試薬は酸および塩基に対して顕著な安定性を現し(非特許文献16)、そしてそれらは合成の多段階を通じて持ちこたえ得る(非特許文献17)。本発明の内容においてはベンジルジメチルシリル部分を含む3,4−不飽和ピペリジン試薬が容易に合成でき、そして式(3)で表される交差カップリング反応で成功裏に使用されるかどうかが確認された。本発明の幾つかの態様は、シャピロ反応を1−ベンジル−4−ピペリドンのベンジルジメチルシリル試薬への効率的変換へ応用することを提供する。本発明の他の態様は、引き続きこの試薬を種々の3,4−不飽和4−アリールピペリジンへ変換するためにパラジウム触媒型交差カップリング化学の使用を提供する。さらに本発明の別の態様は、1−ベンジル−4−ピペリドンのベンジルジメチルシリル試薬への効率的転換へのシャピロ反応の応用、および引き続きこの試薬を種々の3,4−不飽和4−アリールピペリジンへ変換するためにパラジウム触媒型交差カップリング化学の使用を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/875,926号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Levell,J.;Astles,P.;Eastwood,P.;Cairns,J.;Houille,O.;Aldous,S.;Merriman,G.;Whiteley,B.;Pribish,J.;Czekaj,M.;Liang,G.;Maignan,S.;Guilloteau,J−.P.;Dupuy,A.;Davidson,J.;Harrison,T.;Morley,A.;Watson,S.;Fenton,G.;McCarthy,C.;Romano,J.;Mathew,R.;Engers,D.;Gardyan,M.;Sides,K.;Kwong,J.;Tsay,J.;Rebello,S.;Shen,L.;Wang,J.;Luo,Y.;Giardino,O.;Lim,H−.K.;Smith,K.;Pauls,H.Bioorg.Med.Chem.2005,13,2859−2872.
【非特許文献2】Cody,W.L.;Holsworth,D.D.;Powell,N.A.;Jalaie,M.;Zhang,E.;Wang,W.; Samas,B.;Bryant,J.;Ostroski,R.;Ryan,M.J.;Edmunds,J.J.Bioorg.Med.Chem.2005,13,59−68.
【非特許文献3】(a)Mewshaw,R.E.;Meagher,K.L.;Zhou,P.;Zhou,D.;Shi,X.;Scerni,R.;Smith,D.;Schechter,L.E.;Andree,T.H.Bioorg.Med.Chem.Lett.2002,12,307−310. (b)Saari,W.S.;Halczenko,W.;Huff,J.R.;Guare,Jr.,J.P.;Hunt,C.A.;Randall,W.C.;Lotti,V.J.;Yarbrough,G.G.J.Med.Chem.1984,27,1182−1185. (c)Martin,L.L.;Klioze,S.S.;Worm,M.;Crichlow,C.A.J.Med.Chem.1979,22,1347−1354.
【非特許文献4】(a)Filla,S.A.;Mathes,B.M.;Johnson,K.W.;Phebus,L.A.;Cohen,M.L.;Nelson,D.L.;Zgombick,J.M.;Erickson,J.A.;Schenck,K.W.;Wainscott,D.B.;Brancheck,T.A.;Schaus,J.M.J.Med.Chem.2003,46,3060−3071. (b)Isaac,M.;Slassi,M.;Xin,T.;Arora,J.;O’Brien,A.;Edwards,L.;MacLean,N.;Wilson,J.;Demschyshyn,L.;Labrie,P.;Naismith,A.;Maddaford,S.;Papac,D.;Harrison,S.;Wang,H.;Draper,S.;Tehim,A.Bioorg.Med.Chem.Lett.2003,13,4409−4413.
【非特許文献5】(a)Quesnelle,C.A.;Gill,P.;Roy,S.;Dodier,M.;Marinier,A.;Martel,A.;Snyder,L.B.;D’Andrea,S.V.;Bronson,J.J.;Frosco,M.;Beaulieu,D.;Warr,G.A.;DenBleyker,K.L.;Stickle,T.M.;Yang,H.;Chaniewski,S.E.;Ferraro,C.A.;Taylor,D.;Russell,J.W.;Santone,K.S.;Clarke,J.;Drain,R.L.;Knipe,J.O.;Mosure,K.;Barrett,J.F.Bioorg.Med.Chem.Lett.2005,15,2728−2733. (b)Barbachyn,M.R.;Cleek,G.J.;Dolak,L.A.;Garmon,S.A.;Morris,J.;Seest,E.P.;Thomas,R.C.;Toops,D.S.;Watt,W.;Wishka,D.G.;Ford,C.W.;Zurenko,G.E.;Hamel,J.C.;Schaadt,R.D.;Stapert,D.;Yagi,B.H.;Adams,W.J.;Friis,J.M.;Slatter,J.G.;Sams,J.P.;Oien,N.L.;Zaya,M.J.;Wienkers,L.C.;Wynalda,M.A.J.Med.Chem.2003,46,284−302.
【非特許文献6】Barrow,J.C.;Nantermet,P.G.;Selnick,H.G.;Glass,K.L.;Rittle,K.E.;Gilbert,K.F.;Steele,T.G.;Homnick,C.F.;Freidinger,R.M.;Ransom,R.W.;Kling,P.;Reiss,D.;Broten,T.P.;Schorn,T.W.;Chang,R.S.L.;O’Malley,S.S.;Olah,T.V.;Ellis,J.D.;Barrish,A.;Kassahun,K.;Leppert,P.;Nagarathnam,D.;Forray,C.J.Med.Chem.2000,43,2703−2718.
【非特許文献7】Tan,Q.;Birzin,E.T.;Chan,W.;Yang,Y.T.;Pai,L−.Y.;Hayes,E.C.;DaSilva,C.A.;DiNinno,F.;Rohrer,S.P.;Schaeffer,J.M.;Hammond,M.L.Bioorg.Med.Chem.Lett.2004,14,3747−3751.
【非特許文献8】Wenzel,B.;Sorger,D.;Heinitz,K.;Scheunemann,M.;Schliebs,R.;Steinbach,J.;Sabri,O.Eur.J.Med.Chem.2005,40,1197−1205.
【非特許文献9】Guzikowski,A.P.;Tamiz,A.P.;Acosta−Burruel,M.;Hong−Bae,S.;Cai,S.X.;Hawkinson,J.E.;Keana,J.F.W.;Kesten,S.R.;Shipp,C.T.;Tran,M.;Whittemore,E.R.;Woodward,R.M.;Wright,J.L.;Zhou,Z−.L.J.Med.Chem.2000,43,984−994.
【非特許文献10】Sakamuri,S.;Enyedy,I.J.;Kozikowski,A.P.;Zaman,W.A.;Johnson,K.M.;Wang,S.Bioorg.Med.Chem.Lett.2001,11,495−500.
【非特許文献11】Fonquerna,S.;Miralpeix,M.;Pages,L.;Puig,C.;Cardus,A.;Anton,F.;Vilella,D.;Aparici,M.;Prieto,J.;Warrellow,G.;Beleta,J.;Ryder,H.Bioorg.Med.Chem.Lett.2005,15,1165−1167.
【非特許文献12】Shkavrov,S;Popov,S.;Kravchenko,D.;Krasavin,M.Synth.Commun.2005,35,725−730. (b)Peterson,B.R.;Wallimann,P.;Carcanague,D.R.;Diederich,F.Tetrahedron 1995,51,401−421. (c)Barnett,C.J.;Copley−Merriman,C.R.;Maki,J.J.Org.Chem.1989,54,4795−4800.(d)Zimmerman,D.M.;Cantrell,B.E.;Reel,J.K.;Hemrick−Luecke,S.K.;Fuller,R.W.J.Med.Chem.1986,29,1517−1520.
【非特許文献13】(a)Bica,K.;Gaertner,P.Org.Lett.2006,8,733−735.(b)Nakamura,M.;Ito,S.;Matsuo,K.;Nakamura,E.Synlett 2005,11,1794−1798. (c)Corley,E.G.;Conrad,K.;Murry,J.A.;Savarin,C.;Holko,J.;Boice,G.J.Org.Chem.2004,69,5120−5123. (d)Powell,D.A.;Fu,G.C.J.Am.Chem.Soc.2004,126,7788−7789.(e)Billotte,S.Synlett 1998,4,379−380.
【非特許文献14】(a)Larsen,U.S.;Martiny,L.;Begtrup,M.Tetrahedron Lett.2005,46,4261−4263. (b)Scheiper,B.;Bonnekessel,M.;Krause,H.;Furstner,A.J.Org.Chem.2004,69,3943−3949. (c)Boice,G.N.;Savarin,C.G.;Murry,J.A.;Conrad,K.;Matty,L.;Corley,E.G.;Smitrovich,J.H.;Hughes,D.Tetrahedron 2004,60,11367−11374. (d)Dantale,S.W.;Soderberg,B.C.G.Tetrahedron 2003,59,5507−5514. (e)Bursavich,M.G.;West,C.W.;Rich,D.H.Org.Lett.2001,3,2317−2320. (f)Eastwood,P.R.Tetrahedron Lett.2000,41,3705−3708. (g)Kiely,J.S.;Laborde,E.;Lesheski,L.E.;Bucsh,R.A.J.Heterocycl.Chem.1991,28,1581−1585.(h)Wustrow,D.J.;Wise,L.D.Synthesis 1991,11,993−995.
【非特許文献15】(a)Denmark,S.E.;Sweis,R.F.Organosilicon Compounds in Cross−Coupling Reactions.In Metal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions,2nd ed.;de Meijere,A.;Diederich,F.,Eds.;Wiley−VCH:Weinheim,2004;pp 163−216. (b)Denmark,S.E.;Sweis,R.F.Acc.Chem.Res.2002,35,835−846. (c)Denmark,S.E.;Sweis,R.F.Chem.Pharm.Bull.2002,50,1531−1541.
【非特許文献16】Trost,B.M.;Machacek,M.R.;Ball,Z.T.Org.Lett.2003,5,1895−1898.
【非特許文献17】(a)Denmark,S.E.;Fujimori,S.J.Am.Chem.Soc.2005,127,8971−8973.(b)Trost,B.M.;Frederiksen,M.U.;Papillon,J.P.N.;Harrington,P.E.;Shin,S.;Shireman,B.T.J.Am.Chem.Soc.2005,127,3666−3667.
【発明の概要】
【0011】
発明の要約
本発明は式(I)
【0012】
【化2】

【0013】
[式中、
およびRは、アルキル、およびハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、−COOHおよび−COOアルキルの少なくとも1つで置換されたアルキルの群から独立して選択され;
はH、Ar、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシル、−ORおよび−O−Rの群から選択され;

【0014】
【化3】

【0015】
であり;そして
はAr、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの群から選択され、ここでRおよびRは場合によりハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、−COOHおよび−COOアルキルの少なくとも1つで独立して置換されてもよい]、
のシリル化合物およびその塩を対象とする。
【0016】
さらに本発明は式(I)の化合物の調製法を対象とする。
【0017】
さらに本発明は式(I)のシリル試薬を用いた3,4−不飽和ピペリジンの調製法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
用語「アルキル(alkyl)」または「アルキル(Alkyl)」は、鎖中に1〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を指す。アルキル基の例にはメチル(Me、これはまた/により構造的に表すこともできる)、エチル(Et)、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル(tBu)、ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、および当該技術分野での通常の知識および本明細書に提供される教示に照らして、前記の例の任意の1つと等価と考えられる基を含む。
【0019】
「アリール(Aryl)」また「Ar」または「アリール(aryl)」には、フェニル、また「Ph」、ナフチル、ビフェニリルおよびテトラヒドロナフチルを含み、そのいずれも場合により置換されることができる。またアリールは、ベンジル、フェネチルおよびフェニルプロピルのようなアリールアルキルも含む。
【0020】
用語「シクロアルキル」は、炭素環あたり3〜12個の環原子を有する飽和もしくは部分的に飽和の単環式、縮合多環式、またはスピロ多環式炭素環を指す。シクロアルキル基の具体的例には、正しく結合した部分の状態の以下の物質(entities)を含む:
【0021】
【化4】

【0022】
「ヘテロシクロアルキル」は、飽和もしくは部分的に飽和であり、そして炭素原子、および窒素、酸素および硫黄から選択される最高3個のヘテロ原子から選択される環構造あたり3〜12個の環原子を有する単環式または縮合、架橋もしくはスピロ多環式環構造を指す。環構造は場合により最高2個のオキソ基を炭素もしくは硫黄の環メンバー上に含むことができる。正しく結合した部分の状態の具体的な物質の例には:
【0023】
【化5】

【0024】
含む。
【0025】
用語「ヘテロアリール」は、複素環あたり3〜12個の環原子を有する単環式、縮合二環式もしくは縮合多環式芳香族複素環(炭素原子、および窒素、酸素および硫黄から選択される最高4個のヘテロ原子から選択される環原子を有する環構造)を指す。正しく結合した部分の状態のヘテロアリール基の具体的例には以下の物質を含む:
【0026】
【化6】

【0027】
当業者は上に列挙または具体的に説明したヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキル基の種類が網羅的でないこと、そしてこれら定義した用語の範囲内にあるさらなる種も選択できることも認識している。
【0028】
用語「置換された」とは、特定の基もしくは部分が1もしくは複数の置換基を持つことを意味する。用語「非置換」とは、特定の基が置換基を持たないことを意味する。用語「場合により置換されてもよい」とは、特定の基が非置換であるか、または1もしくは複数の置換基で置換されていることを意味する。用語「置換された」が構造系を説明するために使用される場合、置換が系上の原子価が許容する位置に生じることを意味する。
【0029】
本明細書で与える式は、構造式ならびに特定の変形(variation)もしくは形態により表される構造を有する化合物を表すことを意図している。特に本明細書で与える式の化合物は不斉中心を有することができ、したがって種々のエナンチオマー形で存在することができる。一般式の化合物のすべての光学的異性体および立体異性体、およびそれらの混合物はこの式の範囲内にあると考えられる。すなわち本明細書で与える任意の式は、ラセミ体、1もしくは複数のエナンチオマー形、1もしくは複数のジアステレオマー形、1もしくは複数のアトロプ異性体およびそれらの混合物を表すことを意図している。さらに特定の構造が幾何異性体(すなわちシスおよびトランス異性体)として、互変異性体として、またはアトロプ異性体として存在できる。さらに本明細書で与える任意の式は、そのような化合物の水和物、溶媒和物および多形、およびそれらの混合物を表すことを意図している。
【0030】
さらに簡略な記載を提供するために、本明細書で与える定量的表現の幾つかは、用語「約」または略号「ca」で限定されない。用語「約」または略号「ca」が明確に使用されていてもいなくても、本明細書で与える各々の量は実際に与える値を指すことを意味し、そしてそのような所定の値についての実験的および/または測定条件による均等値または近似値を含め、当該技術分野での通常の知識に基づき合理的に推定されるそのような所定の値の近似を指すことも意味すると理解される。収量がパーセントとして与えられる場合はいつも、そのような収量は収量が特定の化学量論的条件の下で得られる同物質の最大量に関して与えられる物質の質量を指す。パーセントで表される濃度は、別に示さない限り質量比を指す。
【0031】
より簡略な記載を提供するために、溶媒、反応媒質および結晶化媒質のような媒質の例は、そのような媒質の態様のリストにより提供され、さらなる態様が明示される態様の化
学的に適合性がある混合物により例示されることを明示することはない。用語「および化学的適合性があるその混合物」または「およびその混合物」が明示されていてもいなくても、そのような例もリスト中の具体的例と考えられると理解される。
【0032】
本明細書の化学物質(chemical entities)の1つの形態を指名することにより指すことは:(a)実際に引用するそのような化学物質の形、および(b)指名された時に化合物が存在すると考えられる媒質中のそのような化学物質の任意の形の任意の1つを指すことを表す。例えば本明細書でR−COOHのような化合物を指すことは、例えばR−COOH(S)、R−COOH(Sol)およびR−COO(Sol)の任意の1つを指すことを包含する。この例では、例えばR−COOH(S)は錠剤または幾つかの他の固体の製薬学的組成物もしくは調製物になり得るので、固体化合物を指し;R−COOH(Sol)は溶媒中で化合物の非解離状態を指し;そしてR−COO(Sol)は、そのような解離形がR−COOHから、その塩から、または考えている媒質中で解離してR−COOを生じる任意の他の物質のいずれから派生するにしても、水性環境中での化合物の解離状態のような溶媒中での化合物の解離形を指す。別の例では、「物質を式R−COOHの化合物に暴露する」というような表現は、そのような物質をそのような暴露が生じる媒質中に存在する式R−COOHの化合物の形(1もしくは複数)に暴露することを指す。これに関して、そのような物質が例えば水性環境中にある場合、化合物R−COOHはそのような同じ媒質中に存在し、したがって物質はR−COOH(aq)および/またはR−COO(aq)のような種に暴露されており、ここで下付文字「aq」は、化学および生化学におけるその通常の意味に従い「水性」を表す。カルボン酸官能基をこれらの命名例で選択してきたが、この選択は限定を意図せず、単に具体的説明である。類似の例は、限定するわけではないがヒドロキシル、アミン中におけるような塩基性窒素メンバー、および化合物を含有する媒質中で既知の様式に従い相互作用または変換する任意の他の基を含む他の官能基という意味で提供することができると理解される。そのような相互作用および変換には限定するわけではないが、解離、会合、互変異性化、加水分解を含むソルボリシス、水和を含む溶媒和化、プロトン化および脱プロトン化を含む。別の例では本明細書でたとえ明確に両性イオン形であると名指しされなくても、両性イオンを形成することが知られている化合物を指すことにより両性イオン化合物が包含される。両性イオン(1もしくは複数)およびそれらの同義語である両性イオン性化合物(1もしくは複数)のような用語は、周知かつ明確な科学名の標準的な組の一部である標準IUPACで確認される名前である。これに関して、両性イオンという名前は、分子物質のChemical Entities of Biological Interest(ChEBI)辞典によりCHEBI:27369の名称分類に割り当てられている。(例えばhttp://www.ebi.ac.uk/chebi/init.do)でそのオンラインバーションを参照されたい)。一般的に周知であるように、両性イオンまたは両性イオン性化合物は、反対の記号の形式的な単位電荷を有する中性化合物である。時折、これら化合物は用語「内部塩」により示される。他の情報源はこれら化合物を「双極性イオン」と称するが、後者の用語は誤った名称として今でも他の情報源により参照されている。具体的例として、アミノエタン酸(アミノ酸グリシン)は式HNCHCOOHを有し、そして数種の媒質中で(この場合、中性媒質中)、両性イオン「NCHCOO」の状態で存在する。当業者により認識されている任意の場合のように、既知のおよび十分に確立された用語の意味の両性イオン、両性イオン性化合物、内部塩および双極性イオンは本発明の範囲内にある。当業者により認識されているありとあらゆる態様を挙げる必要はないので、本発明の化合物と会合する両性イオン性化合物の構造を本明細書では明示しない。しかしそれらは本発明の態様の一部である。所定の種々の化合物の形態を導く所定の媒質中での相互作用および変換は当業者には知られているので、これに関するさらなる例を本明細書では提供しない。
【0033】
本明細書に与える任意の式は、標識していない状態の化合物ならびに同位体で標識した
状態の化合物を表すことも意図している。同位体で標識した化合物は、1もしくは複数の原子が選択した原子の質量または質量数を有する原子に置き換えられることを除いて、本明細書で与える式により表される構造を有する。本発明の化合物に取り込むことができる同位体の例には、それぞれH,H,11C,13C,14C,15N,18O,17O,31P,32P,35S,18F,36Cl,125Iのような水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素およびヨウ素がある。そのような同位体で標識された化合物は代謝実験(好ましくは14Cを用いる)、反応速度論の実験(例えばHまたはHを用いる)、薬剤もしくは基質の組織分布アッセイを含む検出または撮影技法(陽電子断層撮影法(PET)またはシングルフォトンエミッションコンピューター断層撮影法(SPECT))、または患者の放射線処置に有用である。特に18Fまたは11C標識化合物はPETまたはSPECT実験に好適となり得る。さらに重水素(i.e.,H)のような重い同位体との置換により、より大きい代謝安定性から生じる特定の治療的利益、例えば生体内半減期の上昇もしくは投薬必要量の減少を提供することが可能となる。本発明の同位体で標識した化合物およびそのプロドラッグは、一般に以下のスキームまたは実施例に開示する手順、および以下に記載する調製を、容易に入手できる同位体標識試薬に非同位体標識試薬を変えて行うことにより調製することができる。
【0034】
本明細書で与える任意の式を指す場合、特定の変数に関して可能な種のリストからの特定部分の選択は、至るところに現れる変数に関して同じ種を選択することを規定するものではない。換言すると、変数が1回以上現れる場合、特定のリストからの種の選択は、特に言及しない限り式の至るところにある同じ変数に関する種の選択から独立している。
【0035】
例えば置換基の用語に関する第1の例として、置換基SexampleはSおよびSの1つであり、そして置換基SexampleはSおよびSの1つであるならば、これらの割り当てはSexampleがSであり、そしてSexampleがSである態様;SexampleがSであり、そしてSexampleがSである態様;SexampleがSであり、そしてSexampleがSである態様;SexampleがSであり、そしてSexampleがSである態様;およびそのような選択のそれぞれ1つの等価態様の選択に従い与えられる本発明の態様を指す。したがってより短い用語「SexampleはSおよびSの1つであり、そしてSexampleはSおよびSの1つである」は簡潔にするために本明細書で使用されるが、限定するものではない。置換基の用語に関する前記第1例は、一般的用語で述べたが、本明細書に記載するさまざまな置換基の割り当てを具体的に説明することを意味する。本明細書に与える置換基に関する前記慣例は、適用する場合、R1−5のようなメンバーおよび本明細書で使用する任意の他の包括的置換基記号にも拡大する。
【0036】
さらに1より多くの割り当てが任意のメンバーまたは置換基に与えられる場合、本発明の態様は独立して取られる列挙された割り当て、およびその等価物から作ることができる様々な群を含んでなる。置換基の用語に関する第2の例として、置換基SexampleはS、SおよびSの1つであると本明細書に記載されている場合、このリストはSexampleがSである態様:SexampleがSである態様;SexampleがSである態様;SexampleがSおよびSの1つである態様;SexampleがSおよびSの1つである態様;SexampleがSおよびSの1つである態様;SexampleがS,SおよびSの1つである態様;およびSexampleがそのような選択のそれぞれ1つの等価態様である本発明の態様を指す。したがってより短い用語「SexampleはS、SおよびSの1つである」とは簡潔にするために本明細書で使用されるが、限定するものではない。置換基の用語に関する前記第2例は、一般的用語で述べたが、本明細書に記載するさまざまな置換基の割り当てを具体的に説明することを意味する。本明細書に与える置換基に関する前記慣例は、適用する場合、R1−5のようなメンバーおよび本明細書で使用する任意の他の包括的置換基記号
にも拡大する。
【0037】
j>iである「Ci−j」という命名法は、本明細書で置換基のクラスに対して適用する場合、iおよびjを含むiからjのありとあらゆる炭素メンバーの数の1つが独立して具現化される本発明の態様を指すことを意味する。例として、用語C1−3とは、1個の炭素メンバー(C)を有する態様、2個の炭素メンバー(C)を有する態様、および3個の炭素メンバー(C)を有する態様を独立して称する。
【0038】
n−mアルキルという用語は、直鎖もしくは分枝鎖の、鎖中にnm、m>nを満たす総数Nの炭素メンバーを持つ脂肪族鎖、およびその等価物を指す。
【0039】
本明細書で言う任意の二置換基は、1より多くの可能性がある場合に、そのような様々な結合の可能性を包含することを意味する。例えばA≠Bである二置換基−A−B−について、本明細書では第1の置換されるメンバーに結合するA,および第2の置換するメンバーに結合するBを持つそのような二置換基を指し、そしてまた第2の置換されるメンバーに結合するA、および第1の置換するメンバーに結合するBを持つそのような二置換基も指す。
【0040】
割り当ておよび命名法に関する前記の解釈的考察に従い、本明細書である組の明確な引用は、化学的に意味があり、そして他に示さない限り、そのような組の態様に関する独立した引用、および明示したその組のサブセットのありとあらゆる可能な態様の引用を意味すると理解される。
【0041】
「製薬学的に許容され得る塩」とは、非毒性の、生物学的に耐容され得る、またはそうではなく個体への投与に生物学的に適切な本明細書で引用する化合物の遊離酸もしくは塩基の塩を意味することを意図している。一般にS.M.Berge,et al.,“製薬学用の塩(Pharmaceutical Salts)”,J.Pharm.Sci.,1977,66:1−19、および「製薬学用の塩、性質、選択および用途のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection,and Use)」、Stahl and Wermuth,Eds.,Wiley−VCHおよびVHCA,Zurich,2002を参照されたい。好適な製薬学的に許容され得る塩は、薬理学的に有効であり、そして過度な毒性、炎症もしくはアレルギー反応なしで患者の組織との接触に適するものである。この文脈で本明細書で引用する化合物は、十分に酸性の基、十分に塩基性の基、または両型の官能基を保有し、したがって多くの無機もしくは有機塩基および無機および有機酸と反応して製薬学的に許容され得る塩を形成する。製薬学的に許容され得る塩の例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、クロライド、ブロミドおよびヨージドのようなハライド、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、蓚酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1.4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタン−スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩およびマンデル酸塩を含む。用語ヒドロハライドはハライドの代わりに使用されることがある。
【0042】
本明細書で言及する化合物が塩基性窒素を含む場合、望ましい製薬学的に許容され得る
塩は当該技術分野で利用できる任意の適切な方法、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、硼酸、リン酸等のような無機酸、あるいは酢酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、乳酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、イセチオン酸、コハク酸、吉草酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、蓚酸、グリコール酸、サリチル酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、グルクロン酸もしくはガラクツロン酸のようなピラノシジル酸、マンデル酸、クエン酸もしくは酒石酸のようなアルファ−ヒドロキシ酸、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸のようなアミノ酸、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、ナフトエ酸もしくは桂皮酸のような芳香族酸、ラウリルスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸のようなスルホン酸のような有機酸、本明細書で例として与えるような酸の適合性のある混合物、およびこの技法における通常レベルの技術を考慮して等価もしくは許容できる代替物と見なされる他の酸およびその混合物を用いた遊離塩基の処理により調製することができる。
【0043】
本明細書で引用する化合物がカルボン酸またはスルホン酸のような酸である場合、望ましい製薬学的に許容され得る塩は任意の適切な方法、例えばアミン(1級、2級もしくは3級)、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物のような無機もしくは有機塩基、本明細書で例として与えるような塩基の適合性のある混合物、およびこの技法における通常レベルの技術を考慮して等価もしくは許容できる代替物と見なされる他の塩基およびその混合物を用いた遊離酸の処理により調製することができる。適切な塩の具体例には、グリシンおよびアルギニンのようなアミノ酸、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩、1級、2級および3級アミンおよびベンジルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンおよびピペラジンのような環式アミンから誘導される有機塩、およびナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウムから誘導される無機塩がある。
【0044】
本発明の態様は以下の少なくとも1つが満たされる式(I)の化合物により提供される:
はPh−CH−である;
はアルキルであり、そしてRはアルキルである;
はメチルであり、そしてRはメチルである;
はArである;
はPh−CH−である;
は−O−Rである;
はアルキルであり、Rはアルキルであり、RはPh−CH−であり、そしてRはPh−CH−である;
この塩は塩酸塩である;および
この塩は塩酸塩である。
【0045】
本発明のさらなる態様は、3,4−不飽和ピペリジンの調製法により提供され、この方法は式(I)の化合物およびその塩を作成することを含んでなる。
【0046】
さらに本発明の態様は以下の少なくとも1つが満たされるそのような方法により提供される:
式(I)の化合物はヒドラゾンを有機金属試薬と反応させてアルケニル金属種を生成し、そして該アルケニルリチウム種をRジアルキルシリルハライドと反応させることにより得られる;
有機金属試薬がブチルリチウムである;
アルケニル金属種がアルケニルリチウムである;
ジアルキルシリルハライドがBnMeSiClである;
式(I)において、Rはアルキルであり、Rはアルキルであり、RはPh−CH
−であり、そしてRはPh−CH−である;
式(I)において、Rはアルキルであり、Rはアルキルであり、RはPh−CH−であり、RはPh−CH−であり、そして該RジアルキルシリルハライドはBnMeSiClであり;および
該アルケニルリチウム種をRジアルキルシリルハライドと反応させることは、約1.5〜約2.0当量のBnMeSiClと反応させることを含んでなる。
【0047】
本発明のさらなる態様は、以下の少なくとも1つをさらに含んでなる方法により提供される:
該式(I)の化合物を塩に変換し;そして
該式(I)の化合物を塩酸塩に変換する。
【0048】
本発明のさらなる態様は、以下の少なくとも1つをさらに含んでなる方法により提供される:
塩と有機ハライドとを交差カップリングする;
塩とアリールヨージドである有機ハライドとを交差カップリングする;および
塩とアリールブロミドである有機ハライドとを交差カップリングする。
【0049】
本発明のさらなる態様は本明細書に記載する方法およびその等価物の任意の1態様により作成される化合物により提供される。
【0050】
アルケニルシラン合成
アルケニルシラン試薬はシャピロ反応を使用することにより合成した18。この方法の具体的態様では、N−保護4−ピペリドンの対応するトシルヒドラゾンへの転換、アルケニル金属種を生成するための転位が関与し(ここで金属は例えばLi、Na、K,またはMgであり、そして最終的にこのアニオン性中間体を、アリールジアルキルシリルハライド、例えばベンジルジメチルシリルクロライド(BnMeSiCl)のようなRジアルキルシリルハライドでトラッピングする。アルケニル金属種中の金属がMgである態様は、アルケニルマグネシウムハライドにより具体的に説明される。本発明の幾つかの態様では、アルケニル金属種はアルケニルリチウム種である。Rジアルキルシリルハライドの別の例はハライドがブロモもしくはヨードであるRジアルキルシリルハライドにより提供される。本発明の態様は、最も直接的であると思われるのでこの合成経路を含んだ。他の態様は、アルキンまたはアルケニルハライドのような三置換アルケンに共通する前駆体の使用が考えられる。しかしこれらの代替的となる前駆体の使用は、さらなる合成段階ならびに潜在的な位置選択性(regioselectivity)の可能性の問題が含まれると考える。
【0051】
本発明の幾つかの態様では、1−ベンジル−4−ピペリドン(1)をトシルヒドラゾン(2)へ転換するための第1の転換工程を含んでなる。さらに本発明の態様は、n−ブチルリチウムのような有機金属試薬に対しての比較的高い安定性から、ベンジル保護基を使用した19。アルキルリチウムおよびアルキルマグネシウムハライドは、有機金属試薬の別の例である。幾つかの態様では、トシルヒドラゾン形成が(1)をエタノール中のp−トルエンスルホンヒドラジドに周囲温度で加えることにより成され、これが(2)の沈殿を導いた(スキーム2)。トシルヒドラゾン(2)は濾過により結晶の白色固体として単離され、これは少なくとも6カ月間、作業台上で安定であった。この物質をさらに精製せずに使用した。
【0052】
【化7】

【0053】
本発明の態様は、(2)のシャピロ反応が関与する第2工程を含んでなった。以前の報告で、炭素環式トシルヒドラゾンがシャピロ反応を受け、続いてトリメチルシリルクロライド(TMSCl)をトラッピングして、環式アルケニルトリメチルランを生じることが示された20。これらの参照反応にはTMEDA/ヘキサン溶媒系を採用し、そして大過剰のn−ブチルリチウム(4.0−4.3当量)およびTMSCl(3.4−4.0当量)の両方を使用した。トシルヒドラゾンの脱プロトン化は、−40℃で行なわれ、引き続いてアルケニルリチウム中間体への転位が周囲温度で1〜3時間にわたり起こった。本発明の幾つかの態様では、複素環式トシルヒドラゾン(2)およびBnMeSiClのシャピロ反応が関与する実験の開始点として、これらの確立された反応条件を使用した。
【0054】
本発明の文脈で行った実験では、文献の条件の使用により所望するアルケニルシラン(4)の60%の単離収率が得られるだけであることが分かった(スキーム3)。
【0055】
【化8】

【0056】
原理的に、この低い収率を生じる態様はトシルヒドラゾン(2)の不完全な消費またはアルケニルリチウム中間体(3)の未熟なプロトン化のいずれかが影響していると仮定することができた。これに関して、以前の実験は望ましくないプロトン化が溶媒、別のヒドラゾン分子、またはトシル基からのプロトン抽出を介して起こり得る恐れがあることを示唆した18。形成された(2)の転換および(5)および(6)の量の比率(簡潔に“5:6”)は、重水素化したメタノールを用いた反応アリコートをクエンチし、そしてそれらをそれぞれHPLCおよびH NMRにより分析することにより監視された(表1)。
【0057】
【表1】

【0058】
本発明の文脈で、この方法により上記の収量損失の原因となる両方の可能性について試験した。本発明の文脈で得られた結果は、反応が約1.5時間以内に(2)のほぼ定量的な転換が成され、(6)の形成は無視できることを示した(番号1)。時間中、(3)によるプロトン抽出は重要にならないようであった。このように参考の教示を考慮して仮定されるいずれの説明の可能性も、スキーム3で示された低い収率の原因であるとは思われなかった。
【0059】
この反応で、エーテル、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、トルエンおよびTHFを含む代替となる溶媒の使用も、本発明の文脈で調査した。これら各溶媒の使用を含んでなる態様は、(2)の完全な消費の前に(6)の有意な形成を導いた(番号2〜6)。THFでは、(3)の望ましくないプロトン化は周囲温度よりも0℃で遅かったが(番号6および7を比較)、それでも(2)の高い転換が達成できる前に0℃で有意なプロトン化が起こった。本発明の幾つかの態様では、たとえ強塩基によっても脱プロトン化にかけられないように、非プロトン性溶媒を使用する。
【0060】
さらに他の態様は、各試薬の当量を変動させることによる反応の至適化を含んでなった(表2)。最初の反応条件は、5当量のn−ブチルリチウム、33当量のTMEDAおよび4当量のBnMeSiClを含んでなった(番号1)。
【0061】
【表2】

【0062】
化合物(4)は、Rがベンジル(Bn)である式(I)の化合物の態様の具体的説明である。当業者に認識されているように、本発明の態様には他のRの割り当てを含む。そのような態様は既知の化学的反応を使用することにより化合物(4)から、あるいはベンジルの代わりに別のSi置換基を有し、そして本明細書に記載するシャピロ反応の具体的説明態様で使用されるBnRSiClと同様に使用することができるアリールジアルキルシリルハライドを使用することのいずれかにより得ることができる。そのようなR置換基の例には、式(I)の化合物の定義で提供されるものを含む。
【0063】
試薬BnRSiClの態様には、RおよびRが独立して選択されてC1−4アルキルになる試薬を含む。表2でのZ当量は、各RおよびRがCHである時のこの試薬の具体的説明態様の参考に与える。文献18,20−21に示唆されるように、本発明の態様は(3)のプロトン化を防ぐために少なくとも5当量のn−ブチルリチウムを使用した(番号1〜3を比較)。本発明の文脈において、TMEDAが共溶媒として使用される必要はないことが見いだされた。また本発明の文脈で、代わりに反応はわずか5当量のTMEDAを含むヘキサン中で行うことができ、(4)の同様な単離収率を生じることが分かった(番号1および4を比較)。また本発明の文脈で、4当量に代えてわずか1.5〜2当量のBnRSiCl(例えばBnMeSiCl)が(4)の単離収率を有意に増加させることも分かった(番号4〜7を比較)。この知見は、大ざっぱに等量の求電子剤およびn−ブチルリチウムを使用を必要とすることを示唆した参照文献の教示とは明らかに対照的であった18,20−21。本発明の態様は、この本発明の内容で見いだされたこれらの至適化条件を使用することにより、52ミリモルの規模まで上げて成功裏に行われるこの反応を含んでなった。本発明の態様にトシルヒドラゾン(2)を使用することは、約0℃以上の温度でn−ブチルリチウムに対するBoc−基の既知の不安定性を考慮すると、トシルヒドラゾン(2)のBoc−保護類似体の使用よりも好適である19
【0064】
より少ない当量のBnMeSiClの使用を含んでなる本発明の態様は、本発明が(4)の収率を上昇させることを示す。加えてBnMeSiClのような、より少ない当量のアリールジメチルシリルハライドの使用を含んでなる本発明の態様は、本発明の文脈
で開発された方法が(4)の単離を大いに容易とすることを示す。表2の番号1〜4で示される反応の水性処理は、直ちに形成されるエマルジョンおよび精製を妨害する大量の副産物を含んでなった。対照的に、本発明に従い番号5〜7で示す反応の処理は、エマルジョンを生成せず、そして有意に少ない量の副産物を形成し、本発明による態様の有利な特徴であった。本発明の文脈で開発された方法は特定の理論または仮定により限定されないが、番号1〜4で採用された過剰のBnMeSiClが扱いにくいエマルジョンおよび副産物の源であると考えられる。
【0065】
当業者は本明細書に提供する開示を基に、本発明の態様がアルケニルシラン(4)の合成を提供すると考えるだろう。この合成の特徴により、本発明の文脈で開発された最適な特性が提供される。さらに本発明の態様はアルケニルシラン(4)の精製法を提供する。シリカゲルクロマトグラフィーを使用して大部分の不純物を除去したが、幾らかわずかなシリル副産物が残った。(4)は油で存在するので、精製にシリカゲルのみの使用を含んでなる態様でさらに直接的精製を達成することは困難であった。他の態様では、アルケニルシラン(4)は塩に変換された。幾つかの態様ではこの塩は製薬学的に許容され得る塩である。さらに他の態様では、この塩はヒドロハライド塩であった。さらなる態様では、この塩がHCl塩(7)であった(スキーム4)。塩は適当な酸での適切な反応により得られた。幾つかの態様では、これは5N HClを用いた反応を介して達成された。別の態様では、これはHCl/エーテル溶液、HCl/ジオキサン溶液、および化学的に適合性があるそれらの混合物のような非水性環境で達成される。塩(7)は濾過により85%の収率で不定形のオレンジ色の固体として単離された。分析的に純粋な(7)が、アセトニトリルからの再結晶を介して得られ、これは結晶の白色固体を生じた。他の態様では、イソプロパノール、ヘキサン、THF、MTBE、ジエチルエーテルおよびそれらの化学的に適合性がある混合物のような他の媒質から再結晶を行う。化合物(7)は実験台上で少なくとも6カ月間、安定であった。
【0066】
【化9】

【0067】
パラジウム−触媒型交差カップリング反応
アルケニルシラン試薬(7)のパラジウム−触媒型交差カップリング化学への応用性も本発明の文脈で調査した。ベンジルジメチルシラン16の交差カップリングに関してこれまでに報告された幾つかの反応条件を使用した。表3に示すように、化合物(7)はアリールヨージドのような種々の有機ハライドと効率的にカップリングした。そのような有機ハライドの他の例は、ハライドがCl、BrおよびIの1つである有機ハライドにより提供される。そのような有機ハライドの他の例は、有機部分がヘテロアリールのような不飽和部分である、アルキノおよびアルキルの有機ハライドにより提供される。本発明の態様は参考文献の手順で提供される条件とは異なる条件を含んでなった。これに関して、本発明の態様は4当量のTBAFを2当量の代わりに使用することを含んでなった。この量のTBAFを用いた態様は、(7)の中和するための条件に提供されると想定される。さらに本発明の態様は12時間より長い反応時間の使用を含んでなった。本発明の態様で約12時間の反応時間は、(7)に塩基性アミンが存在し(中和後)、そしてそれがパラジウムに配位する可能性があったことによると考えられる。
【0068】
アリールヨージドのような有機ハライドを用いた本発明の他の態様では、遊離塩基(4)も類似条件下(わずか2当量のTBAFを除いて)で効率的に交差カップリング反応を受けた。例えば(4)とヨードベンゼンとの反応は、89%の単離収率で交差カップリングした生成物を生じた。しかし化合物(7)はより容易に純粋な状態で得られたので、本発明の完全な基質範囲を評価するために使用した。
【0069】
【表3】

【0070】
反応収率については、我々が観察した傾向はアルケニルシラン交差カップリング反応で以前に観察された傾向に合っていた15−16。すなわち電子が豊富な基質(表3、番号5−10)は一般に電子に欠損している基質(番号11−15)より低い収率を表し、そしてオルト−置換基質(番号3および6)はパラ置換されたもの(番号2および5)よりも低い収率を現した。幾つかの態様では、80%未満の単離収率を与える反応を約50℃のさらに高い温度で行った。上げた温度では幾つかの態様で有意に高い収率が導かれたが(番号4および7)、他では顕著な効果がなかった(番号9および17)。また本発明の
内容のこれらの条件下で、ヨード置換基を用いた反応がブロモ置換基を用いた反応よりも完全に選択的であったことが見いだされた(番号16−17)。
【0071】
【表4】

【0072】
化合物(7)とアリールブロミドのような有機ハライドとの交差カップリングも調査した(表4)。アリールヨージドカップリングに適用した反応条件を含んでなるアリールブロミド反応の態様は、低い単離収率を導いた(番号1および5)。幾つかの態様では、温度を上げることが幾らかの収率改善を導き(番号2−3)、そしてパラトリフルオロメチル基をもつ高い電子欠損基質のような他の態様では(番号6−7)、温度を上げることにより収率が有意に増加した。PdBr/2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル触媒/リガンド系(以前にビニルポリシロキサン試薬とアリールブロミドとの交差カップリング反応を促進することが報告された22)の適用を含む態様は、一般にこれら交差カップリングについて改善された収率をもたらした(番号4および8)。これらの反応条件は、種々のアリールブロミドと化合物(7)との効率的な交差カップリングを促進した(番号9−15)。電子が豊富な基質(番号9−11)および電子が欠損した基質(番号8および12−15)の両方が、チオフェン基質(番号11)を除き、対応するアリールヨージドで観察される収率に匹敵した。本発明の他の態様は、ケトン、エステルおよびニトリルのような他の官能基をもつハライドを含んでなった。
【0073】
本発明の文脈で、アリールジアルキルアルケニルシラン部分を含むピペリジン化合物(7)が、1−アリール−4−ピペリドンからシャピロ反応を介して容易に合成されることが示された。この合成法の具体的説明態様を本明細書に提供した。アリールジアルキルシランは多段階合成で容易に持ちこたえることができるので、化合物(7)のようなピペリジニルシランは交差カップリングを受ける反応前にさらに操作されることができる。例えば当業者は、いったんシャピロ反応が本発明に従い行われれば、N−ベンジル部分は標準的な化学反応法に従い修飾もしくは置き換えられることができ、そしてベンジル部分を修飾もしくは置き換えるためのそのような既知の方法を含んでなる変法が本発明の範囲内で構想される。これに関して、例えば化合物(7)のN−ベンジル基は((4)からの遊離塩基の状態で)、アルケニルシラン部分に影響を及ぼさずに1−クロロエチルクロロホルメートを用いた反応を介して選択的に除去され23、そして生じた2級アミンは引き続き、新規C−N結合の形成を介して交差カップリング反応前に別の分子に連結される。この変換を具体的に説明するために、本発明の態様は(4)から出発するBoc保護アルケニルシラン(8)の形成および交差カップリング反応を含んでなった(スキーム5)。
【0074】
【化10】

【0075】
対照的に、そのような変換は参照方法に従いホウ酸またはピナコールホウ酸エステル試薬を用いると困難になるだろう。このように本明細書に示す化学は、ピペリジン部分の特異的なN−置換基の性質に限定されない3,4−不飽和ピペリジン合成に有用な方法を示す。3,4−不飽和ピペリジンは薬剤候補のための基本的な複素環式構造ブロックの1つであるので、本発明の合成化学法は薬剤探索プログラムに新たな好機を提供する。
【0076】
さらに本発明の文脈では、ピペリジン化合物(7)がヨージドおよびブロミドのような種々のアリールハライドを用いたパラジウム触媒型交差カップリング反応を容易に受けて3,4−不飽和−4−アリールピペリジンを生成することが示された。当業者は、本明細書に与えるハライドの特異的な具体例が、本発明の方法に限定されず、それらの実施の例であること、そして他の化学的に適合性のある部分を提供する他のハライドでの交差カップリング反応が本発明の範囲内で構想されると考えるだろう。
【0077】
また本発明の態様は、化合物(7)のような塩基性の3級アミンが効率的な交差カップリングを受けることを具体的に説明する。対照的に参照する方法は、ピペリジン誘導化カップリング試薬が通常は非塩基性のカルバメート−またはアミド−保護アミンを有すると教示する1−2,5−7,13b−e,14。さらに本発明の幾つかの態様の有利な特徴には、周囲反応温度の条件を含む。
【0078】
本発明の幾つかの態様の他の有利な特徴には、シリル化合物(7)の低毒性および高い安定性がある。これは錫および/またはホウ素試薬に基づく方法を教示する参照方法とは対照的である。
【0079】
当業者は、本発明の方法に従い合成された3,4−不飽和ピペリジンがさらに既知の化学法に従い変換され得ると考えるだろう。これらのさらなる変換には、ピペリジン環中で化学的に適合性がある置換基の置換、および3,4−不飽和ピペリジン環の飽和を含む。本明細書に提供する合成法につながるこれらのさらなる変換は、本発明の範囲内であると考えられる。
【実施例】
【0080】
化合物(2):N−(1−ベンジル−ピペリジン−4−イリデン)−N’−トシル−ヒドラジン
【0081】
【化11】

【0082】
この化合物は市販されていても、本発明の態様で合成した。2リットルの丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、86g(462ミリモル)のp−トルエンスルホンヒドラジド(1)および1リットルのエタノールを加えた。機械的に撹拌しながら、75mL(420ミリモル)の1−ベンジル−4−ピペリドンを加えた。室温で全3.5時間撹拌させ、次いで濾過により沈殿を集め、フィルターケーキを冷エタノールですすいだ。フィルターケーキを数時間、真空下で乾燥させ(室温、約0.2トル)、次いで固体を細かい粉末に挽き、そして真空下に一晩置いた(室温、約200ミリバール)。111gの2を結晶の白色固体(H NMRによる>95%純度)として得た。この物質を続く反応に使用した。H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.82(2H,d,J=8.3Hz),7.27(5H,m),3.49(2H,s),2.51(2H,t,J=5.9Hz),2.46(2H,t,J=6.0Hz),2.42(3H,s),2.34(4H,m). 13C NMR(MHz,CDCl):δ=159.61,143.93,138.04,135.37,129.50,128.89,128.28,128.06,127.19,62.26,53.25,51.84,34.47,26.83,21.58.HRMS:C1923SのM+H 理論値=358.1584;測定値 m/z=358.1595(−3.1ppm).
【0083】
化合物(4):1−ベンジル−4−(ベンジルジメチルシラニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【0084】
【化12】

【0085】
1リットルの丸底フラスコに、18.6g(52ミリモル)の2および260mLのヘキサンを加えた。窒素雰囲気下に置き、40mL(267ミリモル)のTMEDAを加え、ドライアイス/アセトン浴に置き、そして約25分間撹拌しておいた。添加漏斗を介して160mL(256ミリモル)のn−ブチルリチウム溶液(ヘキサン中の1.6M)を約20分間にわたり滴下した。−78℃で15分間撹拌させ、すべてのn−ブチルリチウム溶液を加えた後、ドライアイス浴からフラスコを取り外し、そしてさらに1.5時間撹拌させた。次いで反応物を氷浴に置き、約10分間撹拌させ、次いで14mL(77ミリ
モル)のベンジルジメチルシリルクロライド(そのまま)をシリンジを介して約1分間にわたり加えた。反応物は氷浴で維持せずに一晩撹拌させた(約16時間)。翌日、反応物を氷浴に置き、約15分間撹拌させ、次いでゆっくりと400mLの水を最初に数部に分けて加えた。分離漏斗に移し、水性および有機層が分離し、そして水性層を300mLのヘキサンで2回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、真空下で濃縮し、そして粗物質をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した(自動化カラム、330g
SiO,ヘキサン中0%から20% EtOAc勾配)。12.19gの(4)をオレンジ色の油として得た(73%)。H NMR(500MHz,CDCl): δ=7.32(5H,m),7.21(2H,t,J=7.6Hz),7.08(1H,t,J=7.4Hz),7.00(2H,d,J=7.0Hz),5.93(1H,m),3.59(2H,s),3.03(2H,m),2.53(2H,t,J=5.6Hz),2.15(2H,m),2.15(2H,s),0.036(6H,s). 13C NMR(100MHz,CDCl): δ=140.09,138.24,135.16,134.83,129.16,128.18,128.17,128.04,126.97,123.90,62.98,54.26,49.72,28.01,25.05,−4.47.HRMS:C2127NSiについてのM+H 理論値=322.1986;測定値 m/z=322.2000(−4.5ppm).
【0086】
およびRがMeである化合物(7):1−ベンジル−4−(ベンジルジメチルシラニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン塩酸塩
【0087】
【化13】

【0088】
250−mLの丸底フラスコに、12.19g(37.9ミリモル)の4および76mLのヘキサンを加えた。室温で約5分間撹拌させ、次いで11mL(55ミリモル)の5N HClを加えた。室温で約15分間撹拌させ、次いで濾過により沈殿を集め、フィルターケーキを約50mLの冷ヘキサンですすいだ。フィルターケーキを一晩、真空下で乾燥させて(50℃、約76トル)、4.25gの7をオレンジ色の固体として得た。さらに3.29gの7が室温で一晩、静置した母液から沈殿した。この物質を集め、そして類似様式で乾燥させた。残る母液にさらに11mL(55ミリモル)の5N HClを加えた。室温で15分間撹拌した後、沈殿を集め、そして前のように乾燥させてさらに4.05gの7を得た。7のすべてのバッチを合わせて全部で11.59gの7をオレンジ色の不定形固体として得た。7の全単離収率は85%であった。分析的に純粋な7は、5g(14ミリモル)の粗7を30mLのアセトニトリルに加え、すべての7が溶解するまで90℃の油浴中で加熱し(撹拌しながら)、そして最後に溶液をゆっくりと冷却<30℃(撹拌しながら)することによる再結晶から得た。冷却期間中に沈殿が生じ、これを濾過により集め、フィルターケーキを約40mLの冷アセトニトリルですすいだ。フィルターケーキを真空オーブン中で一晩乾燥させて(50℃、約127トル)、2.63gの7を結晶の白色固体として得た(53%)。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=12.61(1H,s),7.63(2H,m),7.40(3H,m),7.18(2H,t,J=7.6Hz),7.05(1H,t,J=7.4Hz),6.96(2H,d,J=7.1Hz),5.75(1H,m),4.18(1H,dd,J=13.0,5.4Hz),4.08(1H,dd,J=13.0,5.8Hz),3.74(1H,d,J=17.0Hz),3.32(
2H,m),2.84(1H,m),2.68(1H,m),2.14(2H,s),2.12(1H,m),0.085(3H,s),0.080(3H,s). 13C NMR(125MHz,CDCl): δ=138.98,137.38,131.16,129.96,129.21,128.37,128.29,128.00,126.83,124.36,58.24,49.23,47.25,24.77,23.19,−4.50,−4.54. HRMS:C2128NSiの理論値M+H=323.2064;測定値 m/z=323.2079(−4.7ppm).元素分析:理論値:C:70.46%,H:7.88%,N:3.91%;測定値:C:70.71%(−0.25%),H:8.17%(−0.29%),N:4.01%(−0.10%).融点=173−175℃.
【0089】
およびRがMeである化合物(8):4−(ベンジルジメチルシラニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−t−ブトキシカルボニル
【0090】
【化14】

【0091】
250−mLの丸底フラスコに、7.2g(16.8ミリモル)の(4)および170mLのCHClを加えた。氷浴中で窒素雰囲気下に置いた。内部温度が4℃未満に落ちた時、2.8mL(25.7ミリモル)の1−クロロエチルクロロホルメートを加えた。温度を約2時間にわたり徐々に18℃に上げ、次いで加熱マントルを介して加熱還流した。還流で2時間撹拌させた。次いで室温に冷却し、真空下で溶媒を除去し、170mLのMeOHを加え、そして1時間、還流で撹拌させた。室温に冷却した後、85mLの1,4−ジオキサン、85mLの1N水性KOH溶液、および5.5g(25.2ミリモル)のジ−t−ブチルジカルボネートを加えた。室温で一晩、撹拌させた。250mLのメチルt−ブチルエーテルで3回抽出し、NaSOで乾燥させ、そしてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した(自動化カラム、120g SiO、ヘキサン中0%から10%のEtOA勾配)。カラム画分を2部に分配した:第1部は3.0gの黄色い油を含み、これは(8)となることが示され(H NMRにより約90%純度);第2部は冷蔵で固体になる1.8gの黄色い油を含み、これは8となることが示された(H NMRにより>95%純度)。全収率は約80%であった。
H NMR(600MHz,DMSO−d,80℃): δ=7.18(2H,t,J=7.5Hz),7.04(1H,t,J=7.3Hz),6.99(2H,d,J=7.6Hz),5.92(1H,s),3.83(2H,m),3.34(2H,t,J=5.6Hz),2.15(2H,s),2.05(2H,br),1.43(9H,s),0.030(6H,s). 13C NMR(150MHz,DMSO−d,80℃): δ=153.48,139.08,134.94,133.21,127.43,127.35,123.33,78.07,43.86,39.53,27.63,26.05,23.79,−4.96. HRMS:C1929NOSiのM+H理論値=332.2040;測定値 m/z=332.2036(−1.3ppm)。より多くの純粋な(8)部分を交差カップリング反応にかけて、化合物(9)を生じた。14b
【0092】
交差カップリング手順の具体的説明
4−mLのバイアルに、100mg(0.28ミリモル)の(7)および6mg(0.0058ミリモル)のPddba−CHClを加えた。次いで0.3mLのTHF
、48μL(0.43ミリモル)のヨードベンゼン、そして最後に1.1mL(1.1ミリモル)のTBAF溶液(THF中の1M)を加えた。室温で18時間撹拌させた。反応の終わりに、200μLのトリエチルアミンを加え、簡単に撹拌させ、真空下で濃縮し、そして粗物質をシリカゲルクロマトグラフィーにより直接精製した(自動化カラム、12g SiO、ヘキサン中0%から20%のEtOAc勾配)。63mg(90%)の1−ベンジル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジンを黄色い油として得た。
【0093】
1−ベンジル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【0094】
【化15】

【0095】
H NMR(400MHz,CDCl): δ=7.30(10H,m),6.05(1H,m),3.63(2H,s),3.17(2H,m),2.71(2H,t,J=5.7Hz),2.56(2H,m). 13C NMR(125MHz,CDCl): δ=140.87,138.20,134.93,129.20,128.23,128.21,127.07,126.89,124.86,121.87,62.70,53.28,49.93,27.99.HRMS: C1819NついてのM+H理論値=250.1590;測定値 m/z=250.1602(−4.7ppm).
【0096】
1−ベンジル−4−p−トリル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【0097】
【化16】

【0098】
H NMR(500MHz,CDCl): δ=7.33(7H,m),7.11(2H,d,J=7.9Hz),6.02(1H,m),3.63(2H,s),3.16(2H,m),2.70(2H,t,J=5.7Hz),2.54(2H,m),2.32(3H,s). 13C NMR(125MHz,CDCl): δ=138.26,138.04,136.52,134.73,129.19,128.90,128.21,127.04,124.73,121.01,62.73,53.31,49.96,28.02,21.01. HRMS :C1921NについてのM+H理論値=264.1747;測定値 m/z=264.1741(2.2ppm).
【0099】
1−ベンジル−4−o−トリル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【0100】
【化17】

【0101】
H NMR(500MHz,CDCl): δ=7.37(2H,d,J=8.3Hz),7.32(2H,t,J=7.4Hz),7.25(1H,t,J=7.2Hz),7.11(4H,m),5.51(1H,m),3.64(2H,s),3.13(2H,m),2.67(2H,t,J=5.6Hz),2.35(2H,m),2.28(3H,s). 13C NMR(125MHz,CDCl): δ=142.90,138.18,137.03,134.95,130.03,129.18,128.19,127.02,126.67,125.51,123.63,62.69,52.86,49.83,30.74,19.88. HRMS:C1921NについてのM+H理論値=264.1747;測定値 m/z=264.1746(0.3ppm).
【0102】
1−ベンジル−4−(4−メトキシ−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【0103】
【化18】

【0104】
H NMR(500MHz,CDCl): δ=7.30(7H,m),6.83(2H,d,J=8.9Hz),5.96(1H,m),3.78(3H,s),3.62(2H,s),3.15(2H,m),2.69(2H,t,J=5.7Hz),2.52(2H,m). 13C NMR(125MHz,CDCl): δ=158.65,138.27,134.24,133.49,129.17,128.20,127.02,125.88,120.18,113.56,62.72,55.18,53.30,49.97,28.06. HRMS:C1921NOについてのM+H理論値=280.1696;測定値 m/z=280.1702(−2.2ppm).
【0105】
1−ベンジル−4−(2−メトキシ−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【0106】
【化19】

【0107】
H NMR(500MHz,CDCl): δ=7.40(2H,d,J=7.1Hz),7.34(2H,t,J=7.5Hz),7.22(3H,m),6.91(1H,td,J=7.5,0.77Hz), 6.86(1H,d,J=8.2Hz),5.79(1H,m),3.80(3H,s),3.66(2H,s),3.18(2H,
m),2.69(2H,t,J=5.7Hz),2.56(2H,m). 13C NMR(125MHz,CDCl): δ=156.78,138.25,135.50,131.85,129.35,129.25,128.16,128.01,126.98,123.92,120.50,110.72,62.78,55.29,53.21,49.87,29.45. HRMS:C1921NOについてのM+H理論値=280.1696;測定値 m/z=280.1697(−0.4ppm).
【0108】
1−ベンジル−4−チオフェン−2−イル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【0109】
【化20】

【0110】
H NMR(400MHz,CDCl): δ=7.32(5H,m),7.10(1H,dd,J=4.8,1.6Hz),6.94(2H,m),6.07(1H,m),3.62(2H,s),3.14(2H,m),2.69(2H,t,J=5.7Hz),2.56(2H,m). 13C NMR(125MHz,CDCl): δ=145.42,138.20,129.65,129.10,128.24,127.12,127.08,123.13,121.67,120.99,62.53,52.87,49.59,28.30. HRMS:C1617NSについてのM+H理論値=256.1154;測定値 m/z=256.1160(−2.2ppm).
【0111】
1−ベンジル−4−チオフェン−3−イル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【0112】
【化21】

【0113】
H NMR(500MHz,CDCl): δ=7.28(7H,m),7.06(1H,m),6.04(1H,m),3.61(2H,s),3.13(2H,m),2.68(2H,t,J=5.7Hz),2.52(2H,m). 13C NMR(125MHz,CDCl): δ=142.6,138.29,130.44,129.13,128.22,127.05,125.33,124.62,121.01,118.56,62.65,52.96,49.75,28.05. HRMS:C1617NSについてのM+H理論値=256.1154;測定値 m/z=256.1163(−3.3ppm).
【0114】
1−ベンジル−4−(4−フルオロ−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【0115】
【化22】

【0116】
H NMR(400MHz,CDCl): δ=7.32(7H,m),6.98(2H,t,J=8.8Hz),5.99(1H,m),3.63(2H,s),3.15(2H,m),2.70(2H,t,J=5.7Hz),2.52(2H,m).13C NMR(125MHz,CDCl): δ=161.96(d,J=246Hz),138.15,136.95(d,J=3.2Hz),134.01,129.18,128.25,127.11,126.37(d,J=7.8Hz),121.77,114.99(J=21Hz). HRMS:C1818NFについてのM+H理論値=268.1496;測定値 m/z=268.1506(−3.7ppm).
【0117】
1−ベンジル−4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【0118】
【化23】

【0119】
H NMR(400MHz,CDCl): δ=7.50(2H,d,J=8.3Hz),7.40(2H,d,J=8.2Hz),7.29(5H,m),6.09(1H,m),3.59(2H,s),3.13(2H,m),2.66(2H,t,J=5.7Hz),2.49(2H,m). 13C NMR(100MHz,CDCl):
δ=144.17,138.02,133.83,129.07,128.71(q,J=32Hz),128.21,127.08,125.10(q,J=3.8Hz),124.95,124.25(q,J=272Hz),124.14,62.56,53.13,49.63,27.83. HRMS:C1918NFについてのM+H理論値=318.1464;測定値 m/z=318.1468(−1.2ppm).
【0120】
1−[4−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェニル]−エタノン
【0121】
【化24】

【0122】
H NMR(400MHz,CDCl): δ=7.88(2H,d,J=8.6Hz),7.44(2H,d,J=8.5Hz),7.30(5H,m),6.19(1H,m),3.62(2H,s),3.17(2H,m),2.71(2H,t,J=5
.7Hz),2.56(2H,m),2.55(3H.s). 13C NMR(125MHz,CDCl): δ=197.50,145.28,138.03,135.50,134.10,129.08,128.41,128.22,127.08,124.76,124.46,62.58,53.25,49.70,27.78,26.44. HRMS: C2021NOのM+H理論値=292.1696;測定値 m/z=292.1707(−3.8ppm).
【0123】
4−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ヒケリジン−4−イル)−安息香酸メチルエステル
【0124】
【化25】

【0125】
H NMR(500MHz,CDCl): δ=7.97(2H,d,J=8.5Hz),7.43(2H,d,J=8.5Hz),7.34(5H,m),6.19(1H,m),3.89(3H,s),3.63(2H,s),3.18(2H,m),2.71(2H,t,J=5.7Hz),2.56(2H,m). 13C NMR(125MHz,CDCl): δ=166.89,145.14,138.08,134.17,129.58,129.09,128.41,128.23,127.09,124.61,124.24,62.60,53.25,51.91,49.74,27.81. HRMS:C2021NOについてのM+H理論値=308.1645;測定値
m/z=308.1647(−0.6ppm).
【0126】
4−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−ベンゾニトリル
【0127】
【化26】

【0128】
H NMR(500MHz,CDCl): δ=7.58(2H,d,J=8.6Hz),7.45(2H,d,J=8.5Hz),7.32(5H,m),6.20(1H,m),3.64(2H,s),3.19(2H,m),2.72(2H,t,J=5.7Hz),2.53(2H,m). 13C NMR(125MHz,CDCl):
δ=145.08,137.92,133.62,132.06,129.07,128.25,127.13,125.40,125.28,118.95,110.21,62.53,53.17,49.58,27.66. HRMS:C1918についてのM+H理論値=275.1543;測定値 m/z=275.1554(−4.1ppm).
【0129】
1−ベンジル−4−(4−ブロモ−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【0130】
【化27】

【0131】
H NMR(400MHz,CDCl): δ=7.32(9H,m),6.05(1H,m),3.63(2H,s),3.14(2H,m),2.70(2H,t,J=5.7Hz),2.50(2H,m). 13C NMR(125MHz,CDCl): δ=139.73,138.14,133.96,131.29,129.16,128.26,127.11,126.48,122.59,120.72,62.67,53.24,49.80,27.91. HRMS:C1818NBrについてのM+H理論値=328.0695;測定値 m/z=328.0702(−2.0ppm).
【0132】
参考文献
1.Levell,J.;Astles,P.;Eastwood,P.;Cairns,J.;Houille,O.;Aldous,S.;Merriman,G.;Whiteley,B.;Pribish,J.;Czekaj,M.;Liang,G.;Maignan,S.;Guilloteau,J−.P.;Dupuy,A.;Davidson,J.;Harrison,T.;Morley,A.;Watson,S.;Fenton,G.;McCarthy,C.;Romano,J.;Mathew,R.;Engers,D.;Gardyan,M.;Sides,K.;Kwong,J.;Tsay,J.;Rebello,S.;Shen,L.;Wang,J.;Luo,Y.;Giardino,O.;Lim,H−.K.;Smith,K.;Pauls,H.Bioorg.Med.Chem.2005,13,2859−2872.
2.Cody,W.L.;Holsworth,D.D.;Powell,N.A.;Jalaie,M.;Zhang,E.;Wang,W.;Samas,B.;Bryant,J.;Ostroski,R.;Ryan,M.J.;Edmunds,J.J.Bioorg.Med.Chem.2005,13,59−68.
3.(a)Mewshaw,R.E.;Meagher,K.L.;Zhou,P.;Zhou,D.;Shi,X.;Scerni,R.;Smith,D.;Schechter,L.E.;Andree,T.H.Bioorg.Med.Chem.Lett.2002,12,307−310.(b)Saari,W.S.;Halczenko,W.;Huff,J.R.;Guare,Jr.,J.P.;Hunt,C.A.;Randall,W.C.;Lotti,V.J.;Yarbrough,G.G.J.Med.Chem.1984,27,1182−1185.(c)Martin,L.L.;Klioze,S.S.;Worm,M.;Crichlow,C.A.J.Med.Chem.1979,22,1347−1354.
4.(a)Filla,S.A.;Mathes,B.M.;Johnson,K.W.;Phebus,L.A.;Cohen,M.L.;Nelson,D.L.;Zgombick,J.M.;Erickson,J.A.;Schenck,K.W.;Wainscott,D.B.;Brancheck,T.A.;Schaus,J.M.J.Med.Chem.2003,46,3060−3071.(b)Isaac,M.;Slassi,M.;Xin,T.;Arora,J.;O’Brien,A.;Edwards,L.;MacLean,N.;Wilson,J.;Demschyshyn,L.;Labrie,P.;Naismith,A.;Maddaford,S.;Papac,D.;Harrison,S.;Wang,H.;Draper,S.;Teh
im,A.Bioorg.Med.Chem.Lett.2003,13,4409−4413.
5.(a)Quesnelle,C.A.;Gill,P.;Roy,S.;Dodier,M.;Marinier,A.;Martel,A.;Snyder,L.B.;D’Andrea,S.V.;Bronson,J.J.;Frosco,M.;Beaulieu,D.;Warr,G.A.;DenBleyker,K.L.;Stickle,T.M.;Yang,H.;Chaniewski,S.E.;Ferraro,C.A.;Taylor,D.;Russell,J.W.;Santone,K.S.;Clarke,J.;Drain,R.L.;Knipe,J.O.;Mosure,K.;Barrett,J.F.Bioorg.Med.Chem.Lett.2005,15,2728−2733.(b)Barbachyn,M.R.;Cleek,G.J.;Dolak,L.A.;Garmon,S.A.;Morris,J.;Seest,E.P.;Thomas,R.C.;Toops,D.S.;Watt,W.;Wishka,D.G.;Ford,C.W.;Zurenko,G.E.;Hamel,J.C.;Schaadt,R.D.;Stapert,D.;Yagi,B.H.;Adams,W.J.;Friis,J.M.;Slatter,J.G.;Sams,J.P.;Oien,N.L.;Zaya,M.J.;Wienkers,L.C.;Wynalda,M.A.J.Med.Chem.2003,46,284−302.
6.Barrow,J.C.;Nantermet,P.G.;Selnick,H.G.;Glass,K.L.;Rittle,K.E.;Gilbert,K.F.;Steele,T.G.;Homnick,C.F.;Freidinger,R.M.;Ransom,R.W.;Kling,P.;Reiss,D.;Broten,T.P.;Schorn,T.W.;Chang,R.S.L.;O’Malley,S.S.;Olah,T.V.;Ellis,J.D.;Barrish,A.;Kassahun,K.;Leppert,P.;Nagarathnam,D.;Forray,C.J.Med.Chem.2000,43,2703−2718.
7.Tan,Q.;Birzin,E.T.;Chan,W.;Yang,Y.T.;Pai,L−.Y.;Hayes,E.C.;DaSilva,C.A.;DiNinno,F.;Rohrer,S.P.;Schaeffer,J.M.;Hammond,M.L.Bioorg.Med.Chem.Lett.2004,14,3747−3751.
8.Wenzel,B.;Sorger,D.;Heinitz,K.;Scheunemann,M.;Schliebs,R.;Steinbach,J.;Sabri,O.Eur.J.Med.Chem.2005,40,1197−1205.
9.Guzikowski,A.P.;Tamiz,A.P.;Acosta−Burruel,M.;Hong−Bae,S.;Cai,S.X.;Hawkinson,J.E.;Keana,J.F.W.;Kesten,S.R.;Shipp,C.T.;Tran,M.;Whittemore,E.R.;Woodward,R.M.;Wright,J.L.;Zhou,Z−.L.J.Med.Chem.2000,43,984−994.
10.Sakamuri,S.;Enyedy,I.J.;Kozikowski,A.P.;Zaman,W.A.;Johnson,K.M.;Wang,S.Bioorg.Med.Chem.Lett.2001,11,495−500.
11.Fonquerna,S.;Miralpeix,M.;Pages,L.;Puig,C.;Cardus,A.;Anton,F.;Vilella,D.;Aparici,M.;Prieto,J.;Warrellow,G.;Beleta,J.;Ryder,H.Bioorg.Med.Chem.Lett.2005,15,1165−1167.
12.(a)Shkavrov,S;Popov,S.;Kravchenko,D.;Krasavin,M.Synth.Commun.2005,35,725−730.
(b)Peterson,B.R.;Wallimann,P.;Carcanague,D.R.;Diederich,F.Tetrahedron 1995,51,401−421.(c)Barnett,C.J.;Copley−Merriman,C.R.;Maki,J.J.Org.Chem.1989,54,4795−4800.(d)Zimmerman,D.M.;Cantrell,B.E.;Reel,J.K.;Hemrick−Luecke,S.K.;Fuller,R.W.J.Med.Chem.1986,29,1517−1520.
13.(a)Bica,K.;Gaertner,P.Org.Lett.2006,8,733−735.(b)Nakamura,M.;Ito,S.;Matsuo,K.;Nakamura,E.Synlett 2005,11,1794−1798.(c)Corley,E.G.;Conrad,K.;Murry,J.A.;Savarin,C.;Holko,J.;Boice,G.J.Org.Chem.2004,69,5120−5123.(d)Powell,D.A.;Fu,G.C.J.Am.Chem.Soc.2004,126,7788−7789.(e)Billotte,S.Synlett 1998,4,379−380.
14.(a)Larsen,U.S.;Martiny,L.;Begtrup,M.Tetrahedron Lett.2005,46,4261−4263.(b)Scheiper,B.;Bonnekessel,M.;Krause,H.;Furstner,A.J.Org.Chem.2004,69,3943−3949.(c)Boice,G.N.;Savarin,C.G.;Murry,J.A.;Conrad,K.;Matty,L.;Corley,E.G.;Smitrovich,J.H.;Hughes,D.Tetrahedron 2004,60,11367−11374.(d)Dantale,S.W.;Soderberg,B.C.G.Tetrahedron 2003,59,5507−5514.(e)Bursavich,M.G.;West,C.W.;Rich,D.H.Org.Lett.2001,3,2317−2320.(f)Eastwood,P.R.Tetrahedron Lett.2000,41,3705−3708.(g)Kiely,J.S.;Laborde,E.;Lesheski,L.E.;Bucsh,R.A.J.Heterocycl.Chem.1991,28,1581−1585.(h)Wustrow,D.J.;Wise,L.D.Synthesis 1991,11,993−995.
15.(a)Denmark,S.E.;Sweis,R.F.Organosilicon Compounds in Cross−Coupling Reactions.In Metal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions,2nd ed.;de Meijere,A.;Diederich,F.,Eds.;Wiley−VCH: Weinheim,2004;pp 163−216.(b)Denmark,S.E.;Sweis,R.F.Acc.Chem.Res.2002,35,835−846.(c)Denmark,S.E.;Sweis,R.F.Chem.Pharm.Bull.2002,50,1531−1541.
16.Trost,B.M.;Machacek,M.R.;Ball,Z.T.Org.Lett.2003,5,1895−1898.
17.(a)Denmark,S.E.;Fujimori,S.J.Am.Chem.Soc.2005,127,8971−8973.(b)Trost,B.M.;Frederiksen,M.U.;Papillon,J.P.N.;Harrington,P.E.;Shin,S.;Shireman,B.T.J.Am.Chem.Soc.2005,127,3666−3667.
18.(a)Adlington,R.M.;Barrett,A.G.M.Acc.Chem.Res.1983,16,55−59.(b)Chamberlin,A.R.;Bloom,S.H.Lithioalkenes from Arenesulfonylhydrazones.In Organic Reactions;Paquette,L.A.,Ed.;John Wiley & Sons,Inc.,1990
;Vol.39,pp 1−83.(c)Shapiro,R.H.Alkenes from Tosylhydrazones.In Organic Reactions;Dauben,W.G.,Ed.;John Wiley & Sons,Inc.,1976;Vol.23,pp 405−507.
19.Greene,T.W.;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,2nd ed.;John Wiley & Sons,Inc.,1991;pp 441−452.
20.(a)Barth,W.;Paquette,L.A.J.Org.Chem.1985,50,2438−2443.(b)Paquette,L.A.;Fristad,W.E.;Dime,D.S.;Bailey,T.R.J.Org.Chem.1980,45,3017−3028.
21.Chamberlin,A.R.;Stemke,J.E.;Bond,F.T.J.Org.Chem.1978,43,147−154.
22.Denmark,S.E.;Butler,C.R.Org.Lett.2006,8,63−66.
23.Huttenloch,O.;Laxman,E.;Waldmann,H.Chem.Eur.J.2002,8,4767−4780.
【0133】
前記明細書は具体的説明を目的とする実施例を用いて本発明の原理を教示するものであるが、本発明の実施には以下の請求の範囲およびそれらの等価物の範囲に入るようなすべての通常の変更、適合および/または修飾を包含すると理解されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
およびRは、アルキル、およびハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、−COOHおよび−COOアルキルの少なくとも1つで置換されたアルキルの群から独立して選択され;
はH、Ar、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシル、−ORおよび−O−Rの群から選択され;

【化2】

であり;そして
はAr、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの群から選択され、ここでRおよびRは場合によりハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、−COOH
および−COOアルキルの少なくとも1つで独立して置換されてもよい]、
の化合物またはその塩。
【請求項2】
がPh−CH−である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がアルキルであり、そしてRがアルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がメチルであり、そしてRがメチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がArである請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がPh−CH−である請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が−O−Rである請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
がアルキルであり、Rがアルキルであり、RがPh−CH−であり、そしてRがPh−CH−である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
上記塩が塩酸塩である請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
上記塩が塩酸塩である請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
不飽和ピペリジンの調製法であって、ヒドラゾンから式(I)の化合物を作成することを含んでなり、そして該式(I)の化合物が
【化3】

[式中、
およびRは、アルキル、およびハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、−COOHおよび−COOアルキルの少なくとも1つで置換されたアルキルの群から独立して選択され;
はH、Ar、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシル、−ORおよび−O−Rの群から選択され;

【化4】

であり;そして
はAr、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの群から選択され、ここでRおよびRは場合によりハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、−COOHおよび−COOアルキルの少なくとも1つで独立して置換されてもよい]、
およびその塩である上記調製法。
【請求項12】
上記式(I)の化合物が、ヒドラゾンを有機金属試薬と反応させてアルケニル金属種を生成し、そして該アルケニルリチウム種をRジアルキルシリルハライドと反応させることにより得られる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記有機金属試薬がブチルリチウムである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記アルケニル金属種がアルケニルリチウムである請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上記RジアルキルシリルハライドがBnMeSiClである請求項12に記載の方法。
【請求項16】
がアルキルであり、Rがアルキルであり、RがPh−CH−であり、そして
がPh−CH−である請求項12に記載の方法。
【請求項17】
がアルキルであり、Rがアルキルであり、RがPh−CH−であり、RがPh−CH−であり、そして該RジアルキルシリルハライドがBnMeSiClである請求項12に記載の方法。
【請求項18】
上記アルケニルリチウム種をRジアルキルシリルハライドと反応させることが、約1.5〜約2.0当量のBnMeSiClと反応させることを含んでなる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
さらに上記式(I)の化合物を塩に変換させることを含んでなる請求項12に記載の方法。
【請求項20】
さらに上記式(I)の化合物を塩酸塩に変換させることを含んでなる請求項12に記載の方法。
【請求項21】
さらに上記式(I)の化合物を塩に変換させることを含んでなる請求項18に記載の方法。
【請求項22】
さらに上記塩と有機ハライドとの交差カップリングを含んでなる請求項20に記載の方法。
【請求項23】
上記有機ハライドがアリールヨージドである請求項20に記載の方法。
【請求項24】
上記有機ハライドがアリールブロミドである請求項20に記載の方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法により得られる化合物。
【請求項26】
請求項23に記載の方法により得られる化合物。
【請求項27】
請求項24に記載の方法により得られる化合物。
【請求項28】
請求項16に記載の方法により得られる化合物。
【請求項29】
請求項18に記載の方法により得られる化合物。

【公表番号】特表2010−513515(P2010−513515A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542907(P2009−542907)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/025991
【国際公開番号】WO2008/079255
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】