シリンダー形状部を成型するための複合ツール
本発明は、複合材料でなるシリンダー部を作るための複合材料でなるツールに関するものである。ツールは、シリンダー形状部が形成されるマンドレルを作ることを意図した複合材料でなり、部材(1)がセットになっていて、それぞれの部材(1)がツールのシリンダー形状部をなし、前記部材(1)のそれぞれが繊維複合材料でなる支え構造(2)を有し、前記支え構造(2)の上にはスキン(3)がモールドされ、さらにツールの部材(1)間の連結部にシーリング手段(11、12)を有していることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料でなるシリンダー部を作るための複合材料でなるツールに関するものである。本発明は、また、そのようなツールを作る方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
適用する一つの業界のみを挙げると、航空機業界においては、硬さやその他の必要な特性を損なうことなくより軽量の構造にすることができ、また、耐火性をもちつつ金属部品より受入れ易い部材を得るのにカーボン繊維複合部品が益々使用されている。
【0003】
そのような複合部品を作るには、高精度のツーリングが要求される。このモールドと呼ばれるツーリングは、どのツーリングにもある通常の機能と同時に、最終製品の形状での許容度を満たし、例えばオートクレーブを通すときのような特別の熱および圧力サイクルに耐えなければならない。
【0004】
通常、この目的には、インバール鋼を熱と加工して作られた金属モールド、あるいは、カーボン繊維をエポキシ樹脂で含浸して《マスター》と呼ばれるモールドに入れて作られた複合モールドが使用される。
インバール技術は、大量生産で広く使用されるが、モールドの装置コストが高くつくということがある。反面、カーボン繊維で作られたツーリングは、それほど高価にならないが、脆く、修理の後に起きる漏れの問題があり実用的に修理できないものである。
【0005】
シリンダー形状部、特に大きい寸法のシリンダー形状部を作ることになると、その寸法やモールドの取扱い上の困難さから来る問題より、最終形状の許容度を守る難しさが問題となる。これは、最終形状は、重合サイクル中のモールドの挙動、さらに作られる部分の構造、ツーリング時の挙動に大きく依存するからである。実際、樹脂の熱的膨張や収縮に起因する問題は、無視できないことが多い。
そのような状況で、機械加工でのみ、その部分の最終的な許容度を満すことになる。
【0006】
オートクレーブ中の高温、高圧下でモールドされ重合された複合材料は、最終部分を作るに要求されるシール性を保持しつつ所望の形状に加工される。しかしながら、そのような材料は、オートクレーブ中での重合の温度条件と圧力件に耐えることができる《マスター》から作ることが要求される。
そのような《マスター》は、作られる構造が大きな寸法であり、形状に伴う要求が厳しいことから、コストがかかり、複雑である。例えば、製品の径が4mで許容度+/−0.6mmは稀な条件ではない。さらに、モールドから外せるようにツーリングを幾つかの分板に分けるのは、使用するに際してより問題を大きくする。
【0007】
この記述の最初に述べたように、カーボン繊維をエポキシ樹脂で含浸して複合材料部品を製造するには、精密ツーリングの通常機能を満たした超高精密ツーリングが要求される。この関連分野では、ツーリングは、繊維を配置することでΩ形の硬いスキンで覆わせることが可能になる。ツーリングは、また重合後にその覆った構造を引き伸ばすことができなければならない。さらに、ツーリングは、要求される許容度を満たし、硬さと核を作らなければならない。
【0008】
繊維を配置した表面は、重合するとき減圧バッグを置くことができるように、室温およびオートクレーブ中の高温で漏れ防止性がなくてはならない。ツーリングはまた、重合相の覆いまたは反モールド(カウルプレート)を取付けできなければならない。最後に、ツーリングは、その部分を作る環境条件に耐えなければならない。
【0009】
さらに、複合材料シリンダー形状部を作る複合材料ツーリングは、熱電対をもち、またRa=0.8の最大粗さの接触表面をもち、必要部をトリミングできるように余分に大きくしなくてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、前記した種々の条件を満たし、とりわけ重合した後で成型した構造からツーリングを取出し時での操作が容易であるツーリングを提供することにある。
本発明の目的は、複合材料でなるシリンダー部を作るための複合材料でなるツールを提供することにある。ここで、ツールは、シリンダー形状部が形成されるマンドレルを作ることを意図したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、ツールは、部材がセットになっていて、それぞれは、ツールのシリンダー形状部をなし、部材のそれぞれは、繊維複合材料でなる支え構造を有して、その支え構造の上にはスキンがモールドされる。ツールはさらに、ツールの部材間の連結部にシーリング手段を有している。
【0012】
本発明のツーリングは、機械的に並べた部材のセットでなり、部材毎に外され、特定順序でモールドから最終製品を外すことができる。ツールの部材それぞれは、《タイル》と呼ばれ、次のようにして作られるのがよい。
― カーボン繊維複合材料でなる標準的支え構造が作られる。これは、次の標準的な方法により達成できる。
● 標準的な押出し成型可能なフォームとペーストでなる《マスター》を使用して加工する。このマスターは、高精度を必要としないのでさほど高価にならない;
● 減圧にした容器(それ故、オートクレーブ中でない)中で支え構造を40℃/45℃の低い温度で焼成、次いで後焼成を行って高温での耐久性を作る;
● 支え構造は、ツーリングを行うときの機械的応力に耐えられるように自己硬化する;
これらの機械的応力の中に、オートクレーブ中の重合時に、取り扱い時に、およびツールを外す時および再取付け時に、覆いが介在していることを念頭におく必要がある。
【0013】
― 予めエポキシ樹脂で含浸させたカーボン繊維でなるスキンあるいは予めポリイミド樹脂、特にビスマレイミド、で含浸させたカーボン繊維でなるスキンを、薄く支え構造の上にモールドし、オートクレーブ中減圧および高温で焼成し、機械的強度と材料の均一性を得る。支え構造は、この作業を行うことができる。
― このようにしてしたスキンを再加工して、所望の形状および境界面でシールできる部材の集合が可能となる。
【0014】
上記した方法で作られたツーリングは、正しい順序でタイル毎に取り外し、タイルの大きさに拘わらずに最終製品をモールドから取り出すことができる。
【0015】
本発明のツーリングを満たす部材の数は、作られる部品の寸法、部材それぞれの取り扱い上の制約に依って決められるものである。以下に記載する実施の形態の例では、7つのタイルでなるツーリングを示しているが、その数は任意に選ばれるものであり、それ故、制限するものでも、優先するものでもない。
【0016】
本発明の解決方法は、開発品のツーリングに特にふさわしいが、大量生産用のツーリングにも応用できるものである。事実、スキンを作るに使用された材料は、例えば、加圧により、あらゆるタイプの損傷または疲労などによるツーリングの寿命の中での必要な再加工や修理ができるようにするものである。
【0017】
本発明のツーリングの選ばれた実施の形態によれば、このツーリングは、別々にあるいは全ての技術的に可能な組合せを考慮して、以下のような追加的な特徴を有している:
― 部材のそれぞれは、カーボン繊維複合材料でなる支え構造を有している;
― 部材のそれぞれは、エポキシ樹脂で予め含浸したカーボン繊維でなるスキンを有している;
― 部材のそれぞれは、ポリイミド構造の樹脂で予め含浸したカーボン繊維でなるスキンを有している;
― 部材のそれぞれは、ビスマレイミドで予め含浸したカーボン繊維でなるスキンを有している;
― 部材のそれぞれは、モールドと焼成の後に、部材を所望の寸法となるようにおよびスキンを所望の表面状態となるように加工している;
― シーリング手段は、O−リングガスケットを有している;
― シーリング手段は、シリコーンでなる膨張するO−リングガスケットを有している;
― ツールは、スキンのある側の部材の連結部に設けられた漏れ防止挿入部位を有している。
【0018】
本発明の目的は、複合材料のシリンダー形状部を作る複合材料ツールを作る方法で達成され、ツールは、ツールのシリンダー形状をした部材を組み合わせている。
【0019】
本発明によると、この方法は少なくとも次の段階でなっている:
― ファイバー複合材料でなる支え構造をもつ部材を、予め定めた数作る、
― 支え構造上にスキンをモールドする、
― 部材を焼成する、
― それぞれの部材を所望の寸法となるように、およびスキンを所望の表面状態となるように加工する、
【0020】
ツーリングのスキン部分は、樹脂を予め含浸したカーボン繊維のウェブを、ほぼ均等な被覆面で覆った複合材料でなっている。
【0021】
ツーリング樹脂での予めの含侵が終わったとき、スキンはモールドによって所望の形状許容度を満たすことができないばかりか、表面粗さやシールなど満足できる表面状態とするために機械による加工もできない。この理由により、スキンは、表面粗さやシールに対して優れた性状を有するヘキセル(Hexcel)社のヘキシトール(Hextool;商品名)タイプ複合材料の(擬イソ)層で覆う。
【0022】
スキンは1〜2mm余分に厚くして、製作し、その最初の製品を検査した後にリブを再加工できるようにするのが有利である。推奨されるスキンの厚さは、10mm程度である。
【0023】
添付した図面において、一連の図は、本発明のツーリングの異なる部材あるいはタイルを、このツールにより作られる部分から外す動作を示している。
特に、本発明の考え方は、部材を一枚一枚外し、取出すことができるのがわかる。この一連の操作の如何なる時も、異なる部材のスキン表面は、作られる部品の表面を傷つけない。マンドレル取外し操作を行うに使用される手段は、ツーリングの使用と作られる速度に合わせるように適用するのはいうまでもない。
【0024】
ツーリングのシールは、作られる部品の品質に対して不可欠であり、このシールは、マンドレルを取り出せるシリンダー部分の概念ととともに、その部品を作る方法に合致したものである。
【0025】
本発明で提案された解決方法は、部材それぞれのスキンから離れ、また互いに異なる高さの位置に2つのO−リングガスケットを使用することにある。2重O−リングガスケットによる解決策で、シール障壁の有効性を連続的にチェックすることが可能である。さらに、この解決で、複合材料部を作る方法を行う際に減圧の変化を正すことが可能である。
【0026】
さらに、ヴィトン(Viton)またはシリコーンで充填したO−リングガスケットを使用することができる。特に、シリコーンは、オートクレーブ中での高温でも使用できる。しかしながら、予想されるように、シリンダー形状複合材料部を作る全ての操作を満足させることができないことがある。この理由で、膨張するシリコーンO−リングガスケットを用いるのが好ましい。
【0027】
この部品を作るときに最も応力がかかるO−リングガスケットは、インナーガスケットであり、一方で8バール(bars)程度のオートクレーブの圧力を受け、他方で50ミリバール(mbars)程度の減圧を受ける。この条件下では、例えば外径が16mmである2つの管状で膨張するタイプのガスケットが使用される。このガスケットを受けるための溝は、添付した図に示すように、スキンを弱めないために向い合って製作される。インナーガスケットは、10バール(bars)程度の圧力で膨張することができなければならない。
【0028】
膨張するガスケットの使用で、本発明のツーリングに必要なシールをすることができる。しかしながら、この使用は、部材それぞれのスキンおよび支え構造の寸法に少なからず影響を与える。実際、膨張するガスケットは、スキンの長さ方向壁に非常に大きい応力を発生させている。ガスケットにかかる圧力は、溝にかかる圧力の約50%であることを考えると、6,000mmの長さのスキンの端にかかる力は、約50,000Nの大きさである。スキンの形状にもよるが、この力は、支え構造のねじれと曲げモーメントとなる。
【0029】
その部品をオートクレーブに入れる前に、オートクレーブ中の圧力に対してシールの強さが充分かどうか、ガスケットの内部スペースを8バール(bars)の圧力にしてチェックするのがよい。
【0030】
2つの隣り合った部材の境界面、膨張するガスケットおよび減圧カバーを管理することは、重合中に減圧が維持されるために非常に重要である。この目的で、可能な解決法は、2つの隣り合う部材の連結部でスキン端部に、減圧カバーで覆われる膨張ガスケットが入り込めるようにした洩れ防止挿入部位を設けることである。
【発明の効果】
【0031】
本発明のツーリングは、次の長所を持っている:
− 本発明のツールは、非常に大きな寸法の複合材料構造部品を、非常に高い形状精度で作る大型ツーリングに利用できる経済的解決である;
― 本発明のツールは、予めエポキシ樹脂で含侵したカーボン繊維構造を有し、低温度での重合、およびそれに引き続く後焼成を可能にしている;
― 本発明のツールは、予めエポキシ樹脂あるいはポリイミドタイプ樹脂、特にビスマレイミドで含侵したカーボン繊維でなる複合材料をコーティングし、ツールの表面は、それを損傷することなく、材料の均一性とシール性を保持したまま加工できる;
― ツールは、ツールのそれぞれの部材個々に適用される簡単な方法で修理することができる;
― ツール表面材料は耐久性があり、数百サイクルの使用が可能である;
― 本発明のツールの構造は、ツールの中央部分が完全にフリーになっていて、ツール部材を取り扱うに機械化ができ、マンデルの取外し作業とマンデルの再取付け作業を簡単にし、これにより大量生産するときのこれらの作業を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の他の特性および利点は、以下に示す本発明のツールの実施形態の記載から明らかとなるであろう。図面を参照して記載していく。
図1〜8は、本発明の好ましい実施の形態によるツールと、その解体動作を示している。
【図1】第1部材が取出されるために外された状態にあるツールを示している。
【図2】本発明のツールの第1部材が取出される状態を示している。
【図3】第2部材が取出されるために外された状態にあるツールを示している。
【図4】本発明のツールの第2部材が取出される状態を示している。
【図5】最後の3つの部材があり、このうち最後の2つを除く1つの部材が取出されるために外された状態にあるツールを示している。
【図6】本発明のツールの最後の2つを除く1つの部材が取出される状態を示している。
【図7】最後の2つの部材があり、このうち最後の1つを除く1つの部材が取出されるために外された状態にあるツールを示している。
【図8】最後の1つを除く1つの部材が取出される状態にあるツールを示している。
【図9】本発明のツールの1つの部材を、部材のスキン面を上にして示している。
【図10】図9の部材の断面図を示している。
【図11】本発明のツールの隣り合う2つの部材間の連結を示している。
【図12】本発明のツールにおける漏れ防止挿入部位の配置を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、複合材料でシリンダー形状部、例えば航空機の胴体部材、を作るための複合材料でなるツールを示している。このツールは、それ自身回転軸をもつシリンダー形状であり、マンドレル上にシリンダー形状となる部分がくるようにする。
【0034】
本発明によると、ツールは7つの部材でなり、それぞれはツールのシリンダー部分となる。部材1は、作られる部品の周囲で漏れのないように接するように形成される。
【0035】
本発明のツールの部材1は、回転軸をもつシリンダー形状、または回転軸をもつシリンダー形状に近い形状とし、互いに全て同じとするのは好ましい。しかしながら、本発明は、シリンダー形状でない管状部分のある複合材料のツールにも応用できる。このため、部材の数、必要であればそれらの形は、ツール個々に決定される。
【0036】
図1−8に連続して示すように、部材1は、シリンダー形状モールドを形成できるばかりでなく、内側に向かって次々と外し、形成された部品に邪魔されることなく取出しできるようにすることができる。
【0037】
図1−8では、本発明のツールにおける4つ部材1について、部材1がどのようにしてツールの内側から外され、ツールおよび形成された部分の内側から取出されるかを示している。
部材のそれぞれの取り扱い、モールドを解体および再組立するに、油圧機械あるいは他の機械を使用することができる。さらに、ツールが完成する迄部材を互いに保持するに機械的手段を使用することもできる。
【0038】
本発明の完成されたツールの形は、図1から容易に推測されるので、別途に完成されたツールを図で説明しない。図1は、第1部材1が形成された部品(図示してない)の内側から取出されるために、ツールの周囲から外される状態の本発明のツールを示している。図2は、部材が取出される状態を示している。
【0039】
図3と4は、それぞれ第2部材1が外され、形成された部品の内側から取出される状態を示している。
【0040】
図5と6はそれぞれ、本発明のツールの最後の3つの部材を、7つの部材のうちの5番目の部材が外される位置、および取出される位置にあり状態で示している。
【0041】
図7と8は、その次の段階を示しており、ここでは、本発明のツールの最後の2つの部材だけが残っている。図7は、最後の1つを除く1つの部材が外された状態にあり、図8は、最後の1つを除く1つの部材が取出される状態にあることを示している。
【0042】
図9は、個々の部材1を、凸面、すなわち形成される部品に向かう面を上にした斜視図で示している。特に、この図からわかるように、形成される部品の内面に肋材や強化材となるように部材1の表面に溝または必要により突出部を設けることができる。
【0043】
図10は、本発明のツールの対称軸に対しての断面図である。特に、部材1は、繊維強化でなる支え構造2と、支え構造2の上にモールドされたスキン部3でなっていることがわかる。図に示した実施形態による支え構造2は、部品の最終形状から推察される形状にあるスキン部3、長方形断面をしたU形梁21、U形梁21の下部分にある少なくとも1つの仕切り板22、U形梁21の開放端部にある長さ方向骨組23、部材1の全幅、そしてスキン部3の湾曲により決まる高さに延びた横方向骨組24を有している。
【0044】
図11は、隣り合う2つの部材1間の連結を示している。支え構造2と成型されたスキン3の側面突出部には、2つの膨張するOリング11、12が、相対し、放射状に互いにずれて位置する溝13、14の中に置かれている。本発明のこの配置によって、2つのガスケット11、12の各々は、隣りの部材の支え構造2に支持されている。例えば、外径が16mmの膨張するガスケットが使用され、2つの溝13、14は、構造を弱めないように互いに隣り合うタイル上に交互に分ける。
【0045】
それぞれの部材のスキンの部分にできる隣り合う2つの部材1間のスペース15は、エポキシ樹脂を充填するのがよい。しかしながら、形成された部品が焼成されるときの圧力を考えると、スペース15を《充填》するのは、シール機能を果たさないかもしれない。それ故、シール機能は、膨張するO−リングガスケット11、12を使用することにより達成される。
【0046】
例として、作られる部品がオートクレーブを通るとき、部材1の内部に及ぶ圧力は8バール(bars)の大きさであり、一方スキン3の側では形成される部品には、モールドを抑えるシートが被せられて、僅かに50ミリバール(mbars)の大きさの減圧である。このような圧力環境の故に、インナーガスケット12はオートクレーブの圧力とカバー上の減圧との間の圧力差、つまり約10バール(bars)により125%まで膨張する。
【0047】
膨張するOリングガスケット11、12は、隣り合う2つの部材の連結の長さ方向伸びにのみシールをすることになるので、スキン端部でのシールには、別の追加手段を持たなければならない。そのような追加的の手段の解決に、ここでは、隣合う2つの部材がスキン端部で漏れ防止挿入部位を設けることを提案している。
【0048】
図12は、本発明のツールにおける漏れ防止挿入部位31の配置を模式的に示している。
挿入部位31は、例えばシリコーンでなる直角に曲がった部分であり、2つの隣り合う部材1にある2つの翼のうちのスキン上の一方の翼31Aと、相対的スキンを横切る他方の翼31Bに位置している。挿入31のある翼31Aは、減圧カバーによって覆われ、カバーを保持するプレート32によって位置を維持し、翼31Bは、プレート33によって挿入を維持している。
【0049】
挿入部位31は、さらに、2つの穴34、35が設けられて、隣り合う2つの部材1、1の溝13、14に面している。これらの穴は、O−リングガスケット11、12が外へ出ることができるようにして、高圧空気源に接続して、2つのガスケットのそれぞれを予め定めた圧力で膨張させることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料でなるシリンダー部を作るための複合材料でなるツールに関するものである。本発明は、また、そのようなツールを作る方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
適用する一つの業界のみを挙げると、航空機業界においては、硬さやその他の必要な特性を損なうことなくより軽量の構造にすることができ、また、耐火性をもちつつ金属部品より受入れ易い部材を得るのにカーボン繊維複合部品が益々使用されている。
【0003】
そのような複合部品を作るには、高精度のツーリングが要求される。このモールドと呼ばれるツーリングは、どのツーリングにもある通常の機能と同時に、最終製品の形状での許容度を満たし、例えばオートクレーブを通すときのような特別の熱および圧力サイクルに耐えなければならない。
【0004】
通常、この目的には、インバール鋼を熱と加工して作られた金属モールド、あるいは、カーボン繊維をエポキシ樹脂で含浸して《マスター》と呼ばれるモールドに入れて作られた複合モールドが使用される。
インバール技術は、大量生産で広く使用されるが、モールドの装置コストが高くつくということがある。反面、カーボン繊維で作られたツーリングは、それほど高価にならないが、脆く、修理の後に起きる漏れの問題があり実用的に修理できないものである。
【0005】
シリンダー形状部、特に大きい寸法のシリンダー形状部を作ることになると、その寸法やモールドの取扱い上の困難さから来る問題より、最終形状の許容度を守る難しさが問題となる。これは、最終形状は、重合サイクル中のモールドの挙動、さらに作られる部分の構造、ツーリング時の挙動に大きく依存するからである。実際、樹脂の熱的膨張や収縮に起因する問題は、無視できないことが多い。
そのような状況で、機械加工でのみ、その部分の最終的な許容度を満すことになる。
【0006】
オートクレーブ中の高温、高圧下でモールドされ重合された複合材料は、最終部分を作るに要求されるシール性を保持しつつ所望の形状に加工される。しかしながら、そのような材料は、オートクレーブ中での重合の温度条件と圧力件に耐えることができる《マスター》から作ることが要求される。
そのような《マスター》は、作られる構造が大きな寸法であり、形状に伴う要求が厳しいことから、コストがかかり、複雑である。例えば、製品の径が4mで許容度+/−0.6mmは稀な条件ではない。さらに、モールドから外せるようにツーリングを幾つかの分板に分けるのは、使用するに際してより問題を大きくする。
【0007】
この記述の最初に述べたように、カーボン繊維をエポキシ樹脂で含浸して複合材料部品を製造するには、精密ツーリングの通常機能を満たした超高精密ツーリングが要求される。この関連分野では、ツーリングは、繊維を配置することでΩ形の硬いスキンで覆わせることが可能になる。ツーリングは、また重合後にその覆った構造を引き伸ばすことができなければならない。さらに、ツーリングは、要求される許容度を満たし、硬さと核を作らなければならない。
【0008】
繊維を配置した表面は、重合するとき減圧バッグを置くことができるように、室温およびオートクレーブ中の高温で漏れ防止性がなくてはならない。ツーリングはまた、重合相の覆いまたは反モールド(カウルプレート)を取付けできなければならない。最後に、ツーリングは、その部分を作る環境条件に耐えなければならない。
【0009】
さらに、複合材料シリンダー形状部を作る複合材料ツーリングは、熱電対をもち、またRa=0.8の最大粗さの接触表面をもち、必要部をトリミングできるように余分に大きくしなくてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、前記した種々の条件を満たし、とりわけ重合した後で成型した構造からツーリングを取出し時での操作が容易であるツーリングを提供することにある。
本発明の目的は、複合材料でなるシリンダー部を作るための複合材料でなるツールを提供することにある。ここで、ツールは、シリンダー形状部が形成されるマンドレルを作ることを意図したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、ツールは、部材がセットになっていて、それぞれは、ツールのシリンダー形状部をなし、部材のそれぞれは、繊維複合材料でなる支え構造を有して、その支え構造の上にはスキンがモールドされる。ツールはさらに、ツールの部材間の連結部にシーリング手段を有している。
【0012】
本発明のツーリングは、機械的に並べた部材のセットでなり、部材毎に外され、特定順序でモールドから最終製品を外すことができる。ツールの部材それぞれは、《タイル》と呼ばれ、次のようにして作られるのがよい。
― カーボン繊維複合材料でなる標準的支え構造が作られる。これは、次の標準的な方法により達成できる。
● 標準的な押出し成型可能なフォームとペーストでなる《マスター》を使用して加工する。このマスターは、高精度を必要としないのでさほど高価にならない;
● 減圧にした容器(それ故、オートクレーブ中でない)中で支え構造を40℃/45℃の低い温度で焼成、次いで後焼成を行って高温での耐久性を作る;
● 支え構造は、ツーリングを行うときの機械的応力に耐えられるように自己硬化する;
これらの機械的応力の中に、オートクレーブ中の重合時に、取り扱い時に、およびツールを外す時および再取付け時に、覆いが介在していることを念頭におく必要がある。
【0013】
― 予めエポキシ樹脂で含浸させたカーボン繊維でなるスキンあるいは予めポリイミド樹脂、特にビスマレイミド、で含浸させたカーボン繊維でなるスキンを、薄く支え構造の上にモールドし、オートクレーブ中減圧および高温で焼成し、機械的強度と材料の均一性を得る。支え構造は、この作業を行うことができる。
― このようにしてしたスキンを再加工して、所望の形状および境界面でシールできる部材の集合が可能となる。
【0014】
上記した方法で作られたツーリングは、正しい順序でタイル毎に取り外し、タイルの大きさに拘わらずに最終製品をモールドから取り出すことができる。
【0015】
本発明のツーリングを満たす部材の数は、作られる部品の寸法、部材それぞれの取り扱い上の制約に依って決められるものである。以下に記載する実施の形態の例では、7つのタイルでなるツーリングを示しているが、その数は任意に選ばれるものであり、それ故、制限するものでも、優先するものでもない。
【0016】
本発明の解決方法は、開発品のツーリングに特にふさわしいが、大量生産用のツーリングにも応用できるものである。事実、スキンを作るに使用された材料は、例えば、加圧により、あらゆるタイプの損傷または疲労などによるツーリングの寿命の中での必要な再加工や修理ができるようにするものである。
【0017】
本発明のツーリングの選ばれた実施の形態によれば、このツーリングは、別々にあるいは全ての技術的に可能な組合せを考慮して、以下のような追加的な特徴を有している:
― 部材のそれぞれは、カーボン繊維複合材料でなる支え構造を有している;
― 部材のそれぞれは、エポキシ樹脂で予め含浸したカーボン繊維でなるスキンを有している;
― 部材のそれぞれは、ポリイミド構造の樹脂で予め含浸したカーボン繊維でなるスキンを有している;
― 部材のそれぞれは、ビスマレイミドで予め含浸したカーボン繊維でなるスキンを有している;
― 部材のそれぞれは、モールドと焼成の後に、部材を所望の寸法となるようにおよびスキンを所望の表面状態となるように加工している;
― シーリング手段は、O−リングガスケットを有している;
― シーリング手段は、シリコーンでなる膨張するO−リングガスケットを有している;
― ツールは、スキンのある側の部材の連結部に設けられた漏れ防止挿入部位を有している。
【0018】
本発明の目的は、複合材料のシリンダー形状部を作る複合材料ツールを作る方法で達成され、ツールは、ツールのシリンダー形状をした部材を組み合わせている。
【0019】
本発明によると、この方法は少なくとも次の段階でなっている:
― ファイバー複合材料でなる支え構造をもつ部材を、予め定めた数作る、
― 支え構造上にスキンをモールドする、
― 部材を焼成する、
― それぞれの部材を所望の寸法となるように、およびスキンを所望の表面状態となるように加工する、
【0020】
ツーリングのスキン部分は、樹脂を予め含浸したカーボン繊維のウェブを、ほぼ均等な被覆面で覆った複合材料でなっている。
【0021】
ツーリング樹脂での予めの含侵が終わったとき、スキンはモールドによって所望の形状許容度を満たすことができないばかりか、表面粗さやシールなど満足できる表面状態とするために機械による加工もできない。この理由により、スキンは、表面粗さやシールに対して優れた性状を有するヘキセル(Hexcel)社のヘキシトール(Hextool;商品名)タイプ複合材料の(擬イソ)層で覆う。
【0022】
スキンは1〜2mm余分に厚くして、製作し、その最初の製品を検査した後にリブを再加工できるようにするのが有利である。推奨されるスキンの厚さは、10mm程度である。
【0023】
添付した図面において、一連の図は、本発明のツーリングの異なる部材あるいはタイルを、このツールにより作られる部分から外す動作を示している。
特に、本発明の考え方は、部材を一枚一枚外し、取出すことができるのがわかる。この一連の操作の如何なる時も、異なる部材のスキン表面は、作られる部品の表面を傷つけない。マンドレル取外し操作を行うに使用される手段は、ツーリングの使用と作られる速度に合わせるように適用するのはいうまでもない。
【0024】
ツーリングのシールは、作られる部品の品質に対して不可欠であり、このシールは、マンドレルを取り出せるシリンダー部分の概念ととともに、その部品を作る方法に合致したものである。
【0025】
本発明で提案された解決方法は、部材それぞれのスキンから離れ、また互いに異なる高さの位置に2つのO−リングガスケットを使用することにある。2重O−リングガスケットによる解決策で、シール障壁の有効性を連続的にチェックすることが可能である。さらに、この解決で、複合材料部を作る方法を行う際に減圧の変化を正すことが可能である。
【0026】
さらに、ヴィトン(Viton)またはシリコーンで充填したO−リングガスケットを使用することができる。特に、シリコーンは、オートクレーブ中での高温でも使用できる。しかしながら、予想されるように、シリンダー形状複合材料部を作る全ての操作を満足させることができないことがある。この理由で、膨張するシリコーンO−リングガスケットを用いるのが好ましい。
【0027】
この部品を作るときに最も応力がかかるO−リングガスケットは、インナーガスケットであり、一方で8バール(bars)程度のオートクレーブの圧力を受け、他方で50ミリバール(mbars)程度の減圧を受ける。この条件下では、例えば外径が16mmである2つの管状で膨張するタイプのガスケットが使用される。このガスケットを受けるための溝は、添付した図に示すように、スキンを弱めないために向い合って製作される。インナーガスケットは、10バール(bars)程度の圧力で膨張することができなければならない。
【0028】
膨張するガスケットの使用で、本発明のツーリングに必要なシールをすることができる。しかしながら、この使用は、部材それぞれのスキンおよび支え構造の寸法に少なからず影響を与える。実際、膨張するガスケットは、スキンの長さ方向壁に非常に大きい応力を発生させている。ガスケットにかかる圧力は、溝にかかる圧力の約50%であることを考えると、6,000mmの長さのスキンの端にかかる力は、約50,000Nの大きさである。スキンの形状にもよるが、この力は、支え構造のねじれと曲げモーメントとなる。
【0029】
その部品をオートクレーブに入れる前に、オートクレーブ中の圧力に対してシールの強さが充分かどうか、ガスケットの内部スペースを8バール(bars)の圧力にしてチェックするのがよい。
【0030】
2つの隣り合った部材の境界面、膨張するガスケットおよび減圧カバーを管理することは、重合中に減圧が維持されるために非常に重要である。この目的で、可能な解決法は、2つの隣り合う部材の連結部でスキン端部に、減圧カバーで覆われる膨張ガスケットが入り込めるようにした洩れ防止挿入部位を設けることである。
【発明の効果】
【0031】
本発明のツーリングは、次の長所を持っている:
− 本発明のツールは、非常に大きな寸法の複合材料構造部品を、非常に高い形状精度で作る大型ツーリングに利用できる経済的解決である;
― 本発明のツールは、予めエポキシ樹脂で含侵したカーボン繊維構造を有し、低温度での重合、およびそれに引き続く後焼成を可能にしている;
― 本発明のツールは、予めエポキシ樹脂あるいはポリイミドタイプ樹脂、特にビスマレイミドで含侵したカーボン繊維でなる複合材料をコーティングし、ツールの表面は、それを損傷することなく、材料の均一性とシール性を保持したまま加工できる;
― ツールは、ツールのそれぞれの部材個々に適用される簡単な方法で修理することができる;
― ツール表面材料は耐久性があり、数百サイクルの使用が可能である;
― 本発明のツールの構造は、ツールの中央部分が完全にフリーになっていて、ツール部材を取り扱うに機械化ができ、マンデルの取外し作業とマンデルの再取付け作業を簡単にし、これにより大量生産するときのこれらの作業を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の他の特性および利点は、以下に示す本発明のツールの実施形態の記載から明らかとなるであろう。図面を参照して記載していく。
図1〜8は、本発明の好ましい実施の形態によるツールと、その解体動作を示している。
【図1】第1部材が取出されるために外された状態にあるツールを示している。
【図2】本発明のツールの第1部材が取出される状態を示している。
【図3】第2部材が取出されるために外された状態にあるツールを示している。
【図4】本発明のツールの第2部材が取出される状態を示している。
【図5】最後の3つの部材があり、このうち最後の2つを除く1つの部材が取出されるために外された状態にあるツールを示している。
【図6】本発明のツールの最後の2つを除く1つの部材が取出される状態を示している。
【図7】最後の2つの部材があり、このうち最後の1つを除く1つの部材が取出されるために外された状態にあるツールを示している。
【図8】最後の1つを除く1つの部材が取出される状態にあるツールを示している。
【図9】本発明のツールの1つの部材を、部材のスキン面を上にして示している。
【図10】図9の部材の断面図を示している。
【図11】本発明のツールの隣り合う2つの部材間の連結を示している。
【図12】本発明のツールにおける漏れ防止挿入部位の配置を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、複合材料でシリンダー形状部、例えば航空機の胴体部材、を作るための複合材料でなるツールを示している。このツールは、それ自身回転軸をもつシリンダー形状であり、マンドレル上にシリンダー形状となる部分がくるようにする。
【0034】
本発明によると、ツールは7つの部材でなり、それぞれはツールのシリンダー部分となる。部材1は、作られる部品の周囲で漏れのないように接するように形成される。
【0035】
本発明のツールの部材1は、回転軸をもつシリンダー形状、または回転軸をもつシリンダー形状に近い形状とし、互いに全て同じとするのは好ましい。しかしながら、本発明は、シリンダー形状でない管状部分のある複合材料のツールにも応用できる。このため、部材の数、必要であればそれらの形は、ツール個々に決定される。
【0036】
図1−8に連続して示すように、部材1は、シリンダー形状モールドを形成できるばかりでなく、内側に向かって次々と外し、形成された部品に邪魔されることなく取出しできるようにすることができる。
【0037】
図1−8では、本発明のツールにおける4つ部材1について、部材1がどのようにしてツールの内側から外され、ツールおよび形成された部分の内側から取出されるかを示している。
部材のそれぞれの取り扱い、モールドを解体および再組立するに、油圧機械あるいは他の機械を使用することができる。さらに、ツールが完成する迄部材を互いに保持するに機械的手段を使用することもできる。
【0038】
本発明の完成されたツールの形は、図1から容易に推測されるので、別途に完成されたツールを図で説明しない。図1は、第1部材1が形成された部品(図示してない)の内側から取出されるために、ツールの周囲から外される状態の本発明のツールを示している。図2は、部材が取出される状態を示している。
【0039】
図3と4は、それぞれ第2部材1が外され、形成された部品の内側から取出される状態を示している。
【0040】
図5と6はそれぞれ、本発明のツールの最後の3つの部材を、7つの部材のうちの5番目の部材が外される位置、および取出される位置にあり状態で示している。
【0041】
図7と8は、その次の段階を示しており、ここでは、本発明のツールの最後の2つの部材だけが残っている。図7は、最後の1つを除く1つの部材が外された状態にあり、図8は、最後の1つを除く1つの部材が取出される状態にあることを示している。
【0042】
図9は、個々の部材1を、凸面、すなわち形成される部品に向かう面を上にした斜視図で示している。特に、この図からわかるように、形成される部品の内面に肋材や強化材となるように部材1の表面に溝または必要により突出部を設けることができる。
【0043】
図10は、本発明のツールの対称軸に対しての断面図である。特に、部材1は、繊維強化でなる支え構造2と、支え構造2の上にモールドされたスキン部3でなっていることがわかる。図に示した実施形態による支え構造2は、部品の最終形状から推察される形状にあるスキン部3、長方形断面をしたU形梁21、U形梁21の下部分にある少なくとも1つの仕切り板22、U形梁21の開放端部にある長さ方向骨組23、部材1の全幅、そしてスキン部3の湾曲により決まる高さに延びた横方向骨組24を有している。
【0044】
図11は、隣り合う2つの部材1間の連結を示している。支え構造2と成型されたスキン3の側面突出部には、2つの膨張するOリング11、12が、相対し、放射状に互いにずれて位置する溝13、14の中に置かれている。本発明のこの配置によって、2つのガスケット11、12の各々は、隣りの部材の支え構造2に支持されている。例えば、外径が16mmの膨張するガスケットが使用され、2つの溝13、14は、構造を弱めないように互いに隣り合うタイル上に交互に分ける。
【0045】
それぞれの部材のスキンの部分にできる隣り合う2つの部材1間のスペース15は、エポキシ樹脂を充填するのがよい。しかしながら、形成された部品が焼成されるときの圧力を考えると、スペース15を《充填》するのは、シール機能を果たさないかもしれない。それ故、シール機能は、膨張するO−リングガスケット11、12を使用することにより達成される。
【0046】
例として、作られる部品がオートクレーブを通るとき、部材1の内部に及ぶ圧力は8バール(bars)の大きさであり、一方スキン3の側では形成される部品には、モールドを抑えるシートが被せられて、僅かに50ミリバール(mbars)の大きさの減圧である。このような圧力環境の故に、インナーガスケット12はオートクレーブの圧力とカバー上の減圧との間の圧力差、つまり約10バール(bars)により125%まで膨張する。
【0047】
膨張するOリングガスケット11、12は、隣り合う2つの部材の連結の長さ方向伸びにのみシールをすることになるので、スキン端部でのシールには、別の追加手段を持たなければならない。そのような追加的の手段の解決に、ここでは、隣合う2つの部材がスキン端部で漏れ防止挿入部位を設けることを提案している。
【0048】
図12は、本発明のツールにおける漏れ防止挿入部位31の配置を模式的に示している。
挿入部位31は、例えばシリコーンでなる直角に曲がった部分であり、2つの隣り合う部材1にある2つの翼のうちのスキン上の一方の翼31Aと、相対的スキンを横切る他方の翼31Bに位置している。挿入31のある翼31Aは、減圧カバーによって覆われ、カバーを保持するプレート32によって位置を維持し、翼31Bは、プレート33によって挿入を維持している。
【0049】
挿入部位31は、さらに、2つの穴34、35が設けられて、隣り合う2つの部材1、1の溝13、14に面している。これらの穴は、O−リングガスケット11、12が外へ出ることができるようにして、高圧空気源に接続して、2つのガスケットのそれぞれを予め定めた圧力で膨張させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料でなるシリンダー部を作るために、シリンダー形状部が形成されるマンドレルを作ることを意図した複合材料でなるツールであって、
部材(1)がセットになっていて、前記部材(1)のそれぞれがツールのシリンダー形状部をなし、前記部材(1)のそれぞれが繊維複合材料でなる支え構造(2)を有し、前記支え構造(2)の上にはスキン(3)がモールドされ、さらにツールの部材(1)間の連結部にシーリング手段(11、12)を有していることを特徴とするツール。
【請求項2】
前記部材(1)のそれぞれは、カーボン繊維複合材料でなる支え構造(2)を有していることを特徴とする請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記部材(1)のそれぞれは、エポキシ樹脂で予め含浸したカーボン繊維でなるスキン(3)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のツール。
【請求項4】
前記部材(1)のそれぞれは、ポリイミド構造の樹脂で予め含浸したカーボン繊維でなるスキン(3)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のツール。
【請求項5】
前記部材(1)のそれぞれは、ビスマレイミドで予め含浸したカーボン繊維でなるスキン(3)を有していることを特徴とする請求項4に記載のツール。
【請求項6】
前記部材(1)のそれぞれは、モールドと焼成の後に、前記部材(1)を所望の寸法となるようにおよび前記スキン(3)を所望の表面状態となるように加工したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のツール。
【請求項7】
前記シーリング手段は、O−リングガスケット(11、12)を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のツール。
【請求項8】
前記シーリング手段は、シリコーンでなる膨張するO−リングガスケット(11、12)を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のツール。
【請求項9】
前記ツールは、スキン(3)のある側の部材の連結部に設けられた漏れ防止挿入部位を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のツール。
【請求項10】
シリンダー形状をした部材(1)を組み合わせて、複合材料のシリンダー形状部を作る複合材料でなるツールを作る方法であり、少なくとも、
― ファイバー複合材料でなる支え構造をもつ部材を、予め定めた数作る、
― 支え構造(2)上にスキン(3)をモールドする、
― 部材(1)を焼成する、
― それぞれの部材(1)を所望の寸法となるようにおよびスキン(3)を所望の表面状態となるように加工する、
ことを特徴とするツールを作る方法。
【請求項1】
複合材料でなるシリンダー部を作るために、シリンダー形状部が形成されるマンドレルを作ることを意図した複合材料でなるツールであって、
部材(1)がセットになっていて、前記部材(1)のそれぞれがツールのシリンダー形状部をなし、前記部材(1)のそれぞれが繊維複合材料でなる支え構造(2)を有し、前記支え構造(2)の上にはスキン(3)がモールドされ、さらにツールの部材(1)間の連結部にシーリング手段(11、12)を有していることを特徴とするツール。
【請求項2】
前記部材(1)のそれぞれは、カーボン繊維複合材料でなる支え構造(2)を有していることを特徴とする請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記部材(1)のそれぞれは、エポキシ樹脂で予め含浸したカーボン繊維でなるスキン(3)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のツール。
【請求項4】
前記部材(1)のそれぞれは、ポリイミド構造の樹脂で予め含浸したカーボン繊維でなるスキン(3)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のツール。
【請求項5】
前記部材(1)のそれぞれは、ビスマレイミドで予め含浸したカーボン繊維でなるスキン(3)を有していることを特徴とする請求項4に記載のツール。
【請求項6】
前記部材(1)のそれぞれは、モールドと焼成の後に、前記部材(1)を所望の寸法となるようにおよび前記スキン(3)を所望の表面状態となるように加工したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のツール。
【請求項7】
前記シーリング手段は、O−リングガスケット(11、12)を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のツール。
【請求項8】
前記シーリング手段は、シリコーンでなる膨張するO−リングガスケット(11、12)を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のツール。
【請求項9】
前記ツールは、スキン(3)のある側の部材の連結部に設けられた漏れ防止挿入部位を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のツール。
【請求項10】
シリンダー形状をした部材(1)を組み合わせて、複合材料のシリンダー形状部を作る複合材料でなるツールを作る方法であり、少なくとも、
― ファイバー複合材料でなる支え構造をもつ部材を、予め定めた数作る、
― 支え構造(2)上にスキン(3)をモールドする、
― 部材(1)を焼成する、
― それぞれの部材(1)を所望の寸法となるようにおよびスキン(3)を所望の表面状態となるように加工する、
ことを特徴とするツールを作る方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−507504(P2010−507504A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533892(P2009−533892)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002375
【国際公開番号】WO2008/049975
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(596138103)
【氏名又は名称原語表記】CONSTRUCTIONS INDUSTRIELLES DE LA MEDITERRANEE−CNIM
【住所又は居所原語表記】35 RUE DE BASSANO, 75008 PARIS, FRANCE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002375
【国際公開番号】WO2008/049975
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(596138103)
【氏名又は名称原語表記】CONSTRUCTIONS INDUSTRIELLES DE LA MEDITERRANEE−CNIM
【住所又は居所原語表記】35 RUE DE BASSANO, 75008 PARIS, FRANCE
【Fターム(参考)】
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