説明

シルセスキオキサン樹脂

本発明は、反射防止コーティングに有用なシルセスキオキサン樹脂であって、式:(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは反応性の有機官能基又は硬化性基から選択され、R’はヒドリド基又は炭化水素基であり、xの値は0、1又は2であり、mの値は0.01〜0.97であり、nの値は0.01〜0.97であり、oの値は0.01〜0.97であり、pの値は0.01〜0.97であり、且つm+n+o+p=1)を有するシルセスキオキサン樹脂に関する。この樹脂は高温でベークすると硬化する。代替的に、この組成物は、樹脂の硬化プロファイルを改善するために、遊離基開始剤、又は熱酸若しくは光酸及び熱塩基若しくは光塩基のような他の添加剤を含み得る。さらに、シルセスキオキサン樹脂におけるヒドリド基の存在が、193nmのARC材料としての所望の剥離能に必須である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
なし。
【背景技術】
【0002】
半導体産業におけるより小さな形状に対する継続的な要求のために、100nm未満の特徴を有するデバイスを製造する技術として193mmの光リソグラフィーがごく最近出現している。このような短い波長の光の使用には、フォトレジストを通過した光を吸収することにより、基板上での反射を低減すると共にフォトレジストのスイング硬化(swing cure)を抑えるために、下層反射防止コーティング(bottom antireflective coating)(BARC)が必要である。市販の反射防止コーティング(ARC)は有機材料と無機材料との両方から成る。典型的に、良好なエッチング耐性を示す無機ARCは、CVDに基づいており、極端なトポグラフィーによる完全なる一体化の不利益を被りやすい。有機ARC材料は、スピンオンプロセスで塗布され、優れた充填特性及び平坦化特性を有するが、有機フォトレジストに対するエッチング選択性が低いことが悩みである。結果として、無機ARC材料と有機ARC材料との組み合わされた利点を示す材料が強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、反射防止コーティングに有用なシルセスキオキサン樹脂であって、式:
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは反応性の有機官能基又は硬化性基から選択され、R’はヒドリド基又は1個〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、xの値は0、1又は2であり、mの値は0.01〜0.97であり、nの値は0.01〜0.97であり、oの値は0.01〜0.97であり、pの値は0.01〜0.97であり、且つm+n+o+p≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂に関する。これらの樹脂を反射防止コーティングに使用する場合、除去段階でコーティングを剥離する(stripped)ことができる。さらに、シルセスキオキサン樹脂におけるヒドリド基の存在は、193nmのARC材料としての所望の硬化特性及び剥離能に必須である。
【0004】
本発明は、
(i)式:
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは反応性の有機官能基又は硬化性基から選択され、R’はヒドリド基又は1個〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、xの値は0、1又は2であり、mの値は0.01〜0.97であり、nの値は0.01〜0.97であり、oの値は0.01〜0.97であり、pの値は0.01〜0.97であり、且つm+n+o+p≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)溶媒と
を含む反射防止コーティング(ARC)組成物にも関する。
【0005】
本発明は、
(A)電子デバイスに、
(i)式:
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは反応性の有機官能基又は硬化性基から選択され、R’はヒドリド基又は1個〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、xの値は0、1又は2であり、mの値は0.01〜0.97であり、nの値は0.01〜0.97であり、oの値は0.01〜0.97であり、pの値は0.05〜0.95であり、且つm+n+o+p≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)溶媒と
を含むARC組成物を塗布すること、及び
(B)溶媒を除去すると共にシルセスキオキサン樹脂を硬化させて、電子デバイス上に反射防止コーティングを形成すること
を含む、電子デバイス上に反射防止コーティングを形成する方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
反射防止コーティングを形成するのに有用なシルセスキオキサン樹脂は、式:
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは反応性の有機官能基又は硬化性基から選択され、R’は独立してヒドリド基又は1個〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、xの値は0、1又は2であり、mの値は0.01〜0.97であり、nの値は0.01〜0.97であり、oの値は0.01〜0.97であり、pの値は0.01〜0.97であり、且つm+n+o+p≒1)を有する。典型的には、mの値は0.02〜0.7、代替的には0.10〜0.50である。典型的には、nの値は0.05〜0.90、代替的には0.10〜0.50である。典型的には、oの値は0.05〜0.90、代替的には0.10〜0.60である。典型的には、pの値は0.02〜0.20、代替的には0.05〜0.15である。
【0007】
樹脂において、Rは反応性の有機官能基又は硬化性基である。Rは、ビニル基及びアリル基等のアルケニル基;グリシドキシプロピル基及びエポキシシクロヘキサン基等のエポキシ基;メタクリルオキシプロピル(methacryoxypropyl)基、アクリルオキシプロピル基等のアクリレート基等で例示され得るが、これらに限定されない。
【0008】
R’は独立してヒドリド基又は1個〜4個の炭素原子を有する炭化水素基である。R’は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びtert−ブチルで例示され得る。
【0009】
シルセスキオキサン樹脂を製造する典型的な方法は適当なシランの加水分解及び縮合を伴う。この方法では、不完全な加水分解又は縮合の結果としてシルセスキオキサン樹脂に残存−OH基及び/又は−OR’基が残る可能性がある。シルセスキオキサン樹脂において−OR’基を含有する単位の総量が60モル%を超えると、樹脂のゲル化及び不安定化が起こり得る。典型的には、シルセスキオキサン樹脂は、−OR’基を含有する単位を60モル%未満、代替的には50モル%未満含有する。
【0010】
シルセスキオキサン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、RI検出及びポリスチレン標準液を利用するゲル浸透クロマトグラフィーにより求められるように、500〜400,000の範囲、代替的には500〜100,000の範囲である。
【0011】
シルセスキオキサン樹脂を当該技術分野で既知の方法により製造することができる。例えば、シルセスキオキサン樹脂を、Noll, Academic Press, 1968, chapter 5, p190-245の"Chemistry and Technology of Silicone"に記載のような方法を使用して、トリアルコキシシラン混合物の加水分解及び縮合により製造することができる。代替的に、シルセスキオキサン樹脂を、Beckerらの米国特許第6,281,285号明細書及びBankらの米国特許第5,010,159号明細書に記載のような方法を使用して、トリクロロシランの加水分解及び縮合により製造することができる。
【0012】
シルセスキオキサン樹脂は、通常、溶媒の存在下で製造される。加水分解及び/又は縮合反応に関与し得る官能基を含有しない任意の好適な有機溶媒又はシリコーン溶媒を、シルセスキオキサン樹脂を製造するのに使用してもよい。溶媒は一般的に、溶媒及びシラン反応物の総重量に基づいて40重量%〜98重量%、代替的に70重量%〜90重量%の量で使用される。反応を二相系又は単相系として行い得る。
【0013】
有用な有機溶媒は、n−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン及びイソオクタン等の飽和脂肪族化合物;シクロペンタン及びシクロヘキサン等の脂環式化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチル(dietheyl)エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;メチルイソブチルケトン(MIBK)及びシクロヘキサノン等のケトン;トリクロロエタン等のハロゲン置換アルカン;ブロモベンゼン及びクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、イソブチルイソブチレート及びプロピルプロピオネート(propronate)等のエステルで例示され得るが、これらに限定されない。有用なシリコーン溶媒は、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサンで例示され得るが、これらに限定されない。単一の溶媒を使用してもよく、又は溶媒の混合物を使用してもよい。
【0014】
シルセスキオキサン樹脂を製造するための反応は、シルセスキオキサン樹脂が著しいゲル化又は硬化を引き起こさなければ、任意の温度で行うことができる。典型的に、反応は、5℃〜150℃の温度範囲で行うが、15℃〜100℃が推奨される。
【0015】
シルセスキオキサン樹脂を形成するための時間は、温度、シラン反応物の種類及び量、並びに(存在する場合は)触媒の量等の多くの因子によって決まる。典型的に、反応時間は、数分〜数時間である。当業者は、反応を完了させるのに必要な時間を容易に求めることができる。反応を容易にするために使用され得る触媒としては、硝酸、硫酸、塩酸等の酸、及び水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等の塩基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
反応完了後、任意で触媒を除去してもよい。触媒を除去する方法は、当該技術分野で既知であり、中和、ストリッピング若しくは水洗浄又はそれらの組み合わせが挙げられる。触媒は、溶液中でのこのような除去が推奨される場合、シリコーン樹脂の貯蔵寿命に悪影響を特に与える場合がある。
【0017】
シルセスキオキサン樹脂を製造するプロセスにおいて、反応が完了した後、減圧下で揮発物をシルセスキオキサン樹脂溶液から除去してもよい。このような揮発物としては、アルコール副生成物、過剰の水、触媒、塩酸(クロロシラン経路)及び溶媒が挙げられる。揮発物を除去する方法は当該技術分野で既知であり、例えば蒸留が挙げられる。
【0018】
シルセスキオキサン樹脂を製造するための反応の後に、所望の形態のシルセスキオキサン樹脂を得るために、多くの任意工程を行ってもよい。例えば、溶媒を除去することにより、シルセスキオキサン樹脂を固体形態で回収してもよい。溶媒除去の方法は重要ではなく、多くの方法が当該技術分野で既知である(例えば加熱及び/又は真空下での蒸留)。シルセスキオキサン樹脂を固体形態で回収すると、その樹脂を、特定の用途のために同じ又は別の溶媒中に任意に再溶解することができる。代替的に、反応で使用される溶媒とは異なる溶媒が最終生成物にとって望ましい場合、例えば、第2の溶媒を添加すると共に、蒸留により第1の溶媒を除去することにより、溶媒交換を行ってもよい。さらに、溶媒の一部を除去するか、又はさらなる量の溶媒を添加することにより、溶媒中の樹脂濃度を調整することができる。
【0019】
本発明は、
(i)式:
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは反応性の有機官能基又は硬化性基から選択され、R’はヒドリド基又は1個〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、xの値は0、1又は2であり、mの値は0.01〜0.97であり、nの値は0.01〜0.97であり、oの値は0.01〜0.97であり、pの値は0.01〜0.97であり、且つm+n+o+p≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)溶媒と
を含む反射防止コーティング(ARC)組成物にも関する。
【0020】
有用な溶媒(ii)としては、特に1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート及びシクロヘキサノンが挙げられるが、これらに限定されない。ARC組成物は、典型的に、ARC組成物の総重量に基づいて約10重量%〜約99.9重量%、代替的には80重量%〜95重量%の溶媒を含む。
【0021】
ARC組成物は、高温若しくは照射下で、樹脂の硬化を促進及び改善させる、すなわち硬化する樹脂の架橋密度を増大させるために、遊離基開始剤又は他の添加剤を含み得る。好適な遊離基開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等の過酸化物及び光開始剤等が挙げられる。典型的には、遊離基開始剤は、ARC組成物の総重量に基づいて最大で1000ppmまで、代替的に10ppm〜500ppmの量で存在する。他の添加剤としては、光酸及び熱酸発生剤、光塩基及び熱塩基発生剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0022】
ARC組成物は他の添加剤を含み得る。これらの他の添加剤としては、当該技術分野で既知の、硬化プロセス中に光化学的に又は熱的に生成されるルイス及びブロンステッドの酸及び塩基が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、King Industries(Norwalk, CT)製のブロックドドデシルベンゼンスルホン酸を含有するTAG−2168、及びCiba specialty chemicals製のブロックド第3級アルキルアミンであるIRGACURE 379が挙げられる。光酸発生剤は、当該技術分野で既知であり、スルホニルジアゾメタン酸発生剤、オニウム塩発生剤、オキシムスルホネート発生剤、ホスホニウム塩発生剤、スルホニウム塩発生剤、ヨードニウム塩発生剤、イミノスルホネート発生剤、オキシムスルホネート発生剤、ジスルホン発生剤及びo−ニトロベンジルスルホネート発生剤が挙げられる。熱酸発生剤は、当該技術分野で既知であり、芳香族スルホン酸塩が挙げられる。熱酸発生剤(TAG)又は光酸発生剤(PAG)の例は、それぞれJ. V. CrivelloによるPolym. Eng. Sci 1992, 32, 1462、並びにJ. F. Cameron及びJ. M. J. Frechet.によるJ. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 4303に見ることができ、King industries(Norwalk, NJ 06852)で市販されている。
【0023】
シルセスキオキサン樹脂と共に溶媒、及び任意で遊離基開始剤及び/又は他の添加剤を混合することにより反射防止コーティング組成物を形成する。典型的には、早期硬化を防ぐためにその使用の直前に、遊離基開始剤又は他の添加剤をコーティング組成物に添加する。
【0024】
反射防止コーティング組成物を電子デバイスに塗布し、コーティングされた基板を作製する。溶媒を除去すると共にシルセスキオキサン樹脂を硬化させて、電子デバイス上に反射防止コーティングを作製する。
【0025】
典型的に、電子デバイスは、半導体デバイス、例えば半導体構成部品の製造における使用が意図されたシリコン系デバイス及びガリウムヒ素系デバイスである。典型的に、デバイスは、少なくとも1つの半導体層と、様々な導電性材料、半導体材料又は絶縁材料を含む複数の他の層とを含む。
【0026】
電子デバイスへのARC組成物の塗布のための具体的な方法としては、スピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング(spay-coating)、フローコーティング、スクリーン印刷等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい塗布方法はスピンコーティングである。典型的にはコーティングは、約2000RPMで電子デバイスをスピンさせること(spinning)、及びARC組成物をスピンする電子デバイスの表面に添加することを伴う。
【0027】
溶媒を除去すると共にシルセスキオキサン樹脂を硬化させて、電子デバイス上に反射防止コーティングを形成する。硬化は、一般的に、硬化するのに十分な期間、十分な温度までコーティングを加熱することを含む。シルセスキオキサン樹脂が溶媒(その溶媒から該シルセスキオキサン樹脂が塗布された)に本質的に不溶となるように十分な架橋が生じたときに硬化が起こる。硬化は、例えば、80℃〜450℃で0.1分間〜60分間、代替的に150℃〜275℃で0.5分間〜5分間、代替的に200℃〜250℃で0.5分間〜2分間、コーティングされた電子デバイスを加熱することにより起こり得る。任意の加熱方法を硬化工程中に使用してもよい。例えば、コーティングされた電子デバイスを、石英管炉、対流式オーブンに入れるか、又はホットプレート上に置いてもよい。代替的に、光活性添加剤、例えば光酸発生剤(PAG)又は光塩基発生剤の存在下で、反射防止コーティングを紫外線照射下で硬化させることができる。
【0028】
硬化中、コーティングされた組成物のシルセスキオキサン樹脂を酸素又は炭素との反応から保護するために、硬化工程を不活性雰囲気下で行うことができる。本明細書中で有用な不活性雰囲気としては、窒素及びアルゴンが挙げられるが、これらに限定されない。「不活性」とは、環境が50ppm未満、好ましくは10ppm未満の酸素を含有することを意味する。硬化工程及び除去工程を行う圧力は重要ではない。硬化工程は典型的に大気圧で行うが、大気圧より小さくても、又は大気圧より大きくてもよい。
【0029】
硬化したら、反射防止コーティングを含む電子デバイスは、さらなる基板処理工程、例えばフォトリソグラフィーに使用することができる。フォトリソグラフィーに使用する場合、レジスト画像を反射防止コーティング上に形成する。レジスト画像を形成するプロセスは、(a)反射防止コーティングの上部にレジスト組成物の被膜を形成すること、(b)レジスト被膜を放射線に像様露光して(image-wise exposing)、露光被膜を作製すること、及び(c)露光被膜を現像して、画像を作製することを含む。電子デバイス上の反射防止コーティングは、波長が157nm〜365nmの紫外線、代替的に波長が157nm又は193nmの紫外線に像様露光されるレジスト組成物を用いる場合に特に有用である。レジスト被膜に画像を作製したら、反射防止コーティングでパターンのエッチングが行われる。反射防止コーティングを除去するのに既知のエッチング材料を使用してもよい。レジスト被膜を除去するさらなる工程及び反射防止コーティングを残存させるさらなる工程を、所望の構造(architecture)を有するデバイスを作製するのに利用してもよい。
【0030】
ARCコーティング組成物は、より低い温度で硬化することができ、剥離用溶液により除去することができるコーティングを作製する。本明細書中で作製される反射防止コーティングは、より良好な溶媒(例えばPGMEA及びTMAH)耐性を有することが分かっている。
【0031】
以下の実施例は、本発明の実施形態を示すために挙げられている。続く実施例で開示される技法は、本発明の実施に際して十分に機能することが本発明者により発見された技法を表し、このためその実施に好ましい形態を構成していると見なすことができることが、当業者により理解されるものとする。しかしながら、当業者は、本開示を鑑みて、開示される特定の実施形態において多くの変更を行い、本発明の意図及び範囲を逸脱することなく、同様又は類似の結果を依然として得ることができることを理解しているものとする。
【実施例】
【0032】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために挙げられている。続く実施例で開示される技法は、本発明の実施に際して十分に機能することが本発明者により発見された技法を表し、このためその実施に好ましい形態を構成していると見なすことができることが、当業者により理解されるものとする。しかしながら、当業者は、本開示を鑑みて、開示される特定の実施形態において多くの変更を行い、本発明の意図及び範囲を逸脱することなく、同様又は類似の結果を依然として得ることができることを理解しているものとする。
【0033】
以下の実施例において、MAはメタクリルオキシプロピル基を表し、Viはビニル基を表し、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表す。
【0034】
<実施例1>
PGMEA(300g)、フェニルトリメトキシシラン(4.96g、0.025モル)、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(18.63g、0.075モル)、メチルトリエトキシルシラン(13.37g、0.075モル)、トリエトキシルシラン(12.32g、0.075モル)、エタノール(30g)及びDI水(18g、1モル)を、窒素下で三つ口フラスコに入れた。次に、硝酸(70%、0.11g)を溶液に添加した。混合物を、80℃で4時間、撹拌しながら加熱した後、4時間還流し、その間に約120gの揮発物を除去した。それから溶液を室温まで冷却し、10重量%で透明な淡黄色の溶液を得た(pH約4)。溶液を0.20ミクロンのPTFEフィルターで濾過した。GPC結果:Mw=53,500、Mw/Mn=22.21。得られる樹脂の理論式は、(PhSiO3/20.10(HSiO3/20.3(MeSiO3/20.30(MASiO3/20.3である。
【0035】
<実施例2>
実施例1で作製した樹脂のPGMEA溶液(10重量%、10g)を過酸化ベンゾイル(0.01g、2gのPGMEA中に溶解)と混合した。材料を、4インチのシリコンウェハ上にスピンコーティングし、それからこれを250℃で1分間硬化させる。その後ウェハの物理特性及び光学特性を測定した。被膜厚=1726Å、Si%=27.3%。
【0036】
<実施例3>
PGMEA(300g)、フェニルトリメトキシシラン(4.96g、0.025モル)、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(6.21g、0.025モル)、メチルトリエトキシルシラン(22.29g、0.125モル)、トリエトキシルシラン(12.32g、0.075モル)、エタノール(30g)及びDI水(18g、1モル)を、窒素下で三つ口フラスコに入れた。次に、硝酸(70%、0.11g)を溶液に添加した。混合物を、80℃で4時間、撹拌しながら加熱した後、4時間還流し、その間に約120gの揮発物を除去した。それから溶液を室温まで冷却し、10重量%で透明な淡黄色の溶液を得た(pH約4)。溶液を0.20ミクロンのPTFEフィルターで濾過した。GPC結果:Mw=2080、Mw/Mn=1.74。樹脂の理論式は、(PhSiO3/20.10(HSiO3/20.3(MeSiO3/20.50(MASiO3/20.1であった。
【0037】
<実施例4>
実施例3で作製した樹脂のPGMEA溶液(10重量%、10g)を過酸化ベンゾイル(0.01g、2gのPGMEA中に溶解)と混合した。材料を、4インチのシリコンウェハ上にスピンコーティングし、それからこれを250℃で1分間硬化させる。硬化後のウェット除去率はNE−98により100%であった。
【0038】
<実施例5>
120gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA、120g)、フェニルトリクロロシラン(5.29g、0.025モル)、メチルトリクロロシラン(18.69g、0.125モル)、ビニルトリクロロシラン(4.04g、0.025モル)及びトリクロロシラン(10.16g、0.075モル)を、窒素雰囲気下、20℃で三つ口フラスコに加えた。別のフラスコに、PGMEA(350g)及び水(12.96g、0.72モル)を加え、混合した後、均一な水/PGMEA溶液を90分かけて三つ口フラスコに加えた。加えた後、反応フラスコを2時間静置した(body)。溶液を1L容の分液漏斗に移し、混合せずにDI水で2回(2×100g)洗浄した(2回の洗浄後のpH=1)。水部分が底に溜まるので、各洗浄後に排水する。それから溶液を1L容のナシフラスコに移した。約40gのEtOHを添加した。溶液を、ロータリーエバポレーターにより10重量%溶液となるまでストリッピングした。得られる10%のPGMEA溶液を、0.2mmのTeflon(登録商標)フィルターで濾過した後、試験のために瓶詰めした。GPC結果(PSに対して):Mw=10,400、Mw/Mn=3.97。樹脂の理論式は、(PhSiO3/20.10(HSiO3/20.3(MeSiO3/20.50(ViSiO3/20.1であった。
【0039】
<実施例6>
実施例5で作製した樹脂のPGMEA溶液(10重量%、10g)を過酸化ベンゾイル(0.01g、2gのPGMEA中に溶解)と混合した。材料を、4インチのシリコンウェハ上にスピンコーティングし、それからこれを250℃で1分間硬化させる。硬化後のウェット除去率はNE−98により100%であった。
【0040】
<実施例7>
PGMEA(300g)、フェニルトリメトキシシラン(4.96g、0.025モル)、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(5.90g、0.025モル)、メチルトリエトキシルシラン(22.29g、0.125モル)、トリエトキシルシラン(12.32g、0.075モル)及びDI水(18g、1モル)を、窒素下で三つ口フラスコに入れた。次に、硝酸(70%、0.05g)を溶液に添加した。混合物を、80℃で2時間、撹拌しながら加熱した後、4時間還流し、その間に約120gの揮発物を除去した。それから溶液を室温まで冷却し、10重量%で透明な淡色の溶液を得た。溶液を0.20ミクロンPTFEフィルターで濾過した。GPC結果:Mw=4950、Mw/Mn=2.78。樹脂の理論式は、(PhSiO3/20.10(HSiO3/20.3(MeSiO3/20.50(EpSiO3/20.1であった。
【0041】
<実施例8>
実施例7で作製した樹脂のPGMEA溶液(10重量%、10g)を0.01gのTAG−2168(2gのPGMEA中)と混合した。TAG−2168は、King industries(Norwalk, CT 06852)製であり、熱酸発生剤としてPGMEA中にブロックドドデシルベンゼンスルホン酸を含有する。材料を、4インチのシリコンウェハ上にスピンコーティングし、それからこれを250℃で1分間硬化させた。硬化後のウェット除去率はNE−98により100%であった。
【0042】
<実施例9>
実施例7で作製した樹脂のPGMEA溶液(10重量%、10g)を0.01gのIRGACURE379(2gのPGMEA中)と混合した。IRGACURE379は、Ciba specialty chemicals製のブロックド第3級アルキルアミンである。材料を、4インチのシリコンウェハ上にスピンコーティングし、それからこれを250℃で1分間硬化させる。硬化後のウェット除去率はNE−98により100%であった。
【0043】
<被膜コーティング及び特性決定>
ウェハ上の被膜コーティングをKarl Suss製のCT62スピン塗布機で処理した。初めに、樹脂PGMEA溶液を0.2mmのTEFLON(登録商標)フィルターで濾過した後、4インチの標準的な片面研磨された低抵抗性ウェハ又は両面研磨されたFTIRウェハ上にスピンコーティングした(スピン速度=2000rpm、加速度=5000、時間=20秒)。窒素ガスをパージした急速加熱処理(RTP)オーブンを使用して、表に示されるような温度(200℃〜250℃)で90秒間、被膜を硬化させた。被膜厚、屈折率及びk値を、J. A. Woollamのエリプソメーターを使用して求めた。記録された厚さの値は9つの測定値の平均であった。硬化後のPGMEA耐性を、PGMEAリンスの前及び後で被膜厚の変化を測定することにより求めた。ウェット除去率を、2つの市販のウェット剥離溶液NE89及びCC1を用いて評価した。液体として水及びヨウ化メチレンを使用する接触角測定を、Zismanのアプローチを使用して湿潤時の臨界表面張力を算出するのに使用した。結果を、表1、表2及び表3にまとめる。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは反応性の有機官能基又は硬化性基から選択され、R’はヒドリド基又は1個〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、xの値は0、1又は2であり、mの値は0.01〜0.97であり、nの値は0.01〜0.97であり、oの値は0.01〜0.97であり、pの値は0.01〜0.97であり、且つm+n+o+p≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂。
【請求項2】
mの値が0.02〜0.7であり、nの値が0.05〜0.9であり、oの値が0.05〜0.9であり、且つpの値が0.02〜0.20である請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項3】
mの値が0.10〜0.50であり、nの値が0.10〜0.50であり、oの値が0.10〜0.60であり、且つpの値が0.05〜0.15である請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項4】
Rがアクリレート基である請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項5】
前記アクリレート基がメタクリルオキシプロピル基又はアクリルオキシプロピル基である請求項4に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項6】
Rがアルケニル基である請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項7】
Rがビニル基である請求項6に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項8】
Rがエポキシ基である請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項9】
前記エポキシ基がグリシドキシプロピル基又はエポキシシクロヘキサン基である請求項8に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項10】
(i)式:
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは反応性の有機官能基又は硬化性基から選択され、R’はヒドリド基又は炭化水素基であり、xの値は0、1又は2であり、mの値は0.01〜0.97であり、nの値は0.01〜0.97であり、oの値は0.01〜0.97であり、pの値は0.01〜0.97であり、且つm+n+o+p≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)溶媒と
を含む組成物。
【請求項11】
前記溶媒が1−メトキシ−2−プロパノールである請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記溶媒がグリコールモノメチルエチルアセテートである請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記溶媒がシクロヘキサノンである請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記溶媒が前記組成物の総重量に基づいて10重量%〜99.9重量%の量で存在する請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が遊離基開始剤をさらに含有する請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
前記遊離基開始剤が過酸化物である請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記遊離基開始剤が前記組成物の総重量に基づいて10ppm〜500ppmの量で存在する請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、光酸発生剤、熱酸発生剤、光塩基発生剤又は熱塩基発生剤から選択される添加剤をさらに含有する請求項10に記載の組成物。
【請求項19】
(A)電子デバイスに、
(i)式:
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは反応性の有機官能基又は硬化性基から選択され、R’はヒドリド基又は炭化水素基であり、xの値は0、1又は2であり、mの値は0.01〜0.97であり、nの値は0.01〜0.97であり、oの値は0.01〜0.97であり、pの値は0.05〜0.95であり、且つm+n+o+p≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)溶媒と
を含む反射防止コーティング組成物を塗布すること、及び
(B)前記溶媒を除去すると共に前記シルセスキオキサン樹脂を硬化させて、前記電子デバイス上に反射防止コーティングを形成すること
を含む、電子デバイス上に反射防止コーティングを形成する方法。
【請求項20】
前記反射防止コーティング組成物が遊離基開始剤をさらに含有する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記反射防止コーティング組成物が、光酸発生剤、熱酸発生剤、光塩基発生剤又は熱塩基発生剤から選択される添加剤をさらに含有する請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記反射防止コーティング組成物をスピンコーティングによって塗布する請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記シルセスキオキサン樹脂を、加熱することにより硬化させる請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記シルセスキオキサン樹脂を、80℃〜450℃で0.1分間〜60分間加熱することにより硬化させる請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記シルセスキオキサン樹脂を紫外線により硬化させる請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2011−510133(P2011−510133A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543104(P2010−543104)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/083849
【国際公開番号】WO2009/091440
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】