説明

シロアリ防除剤

【課題】シロアリの防除性能に優れ、しかも、人畜や環境に対する安全性がより高いシロアリ防除剤を提供すること。
【解決手段】シロアリ防除剤の有効成分として、ヒカゲノカズラ属(Licopodium)に属する植物から採取された成分(例えば、ヒカゲノカズラ属に属する植物の根、茎、葉および胞子からなる群より選ばれる少なくとも1種の部位、または前記部位の抽出物、より具体的には、リポコジウムアルカロイドなど)や、ウィタニア属(Withania)に属する植物から採取された成分(例えば、ウィタフェリンAなど)を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロアリ防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シロアリ防除剤としては、例えば、ホキシム、クロルピリホスなどの有機リン系化合物、プロポキサー、バッサなどのカルバメート系化合物、アレスリン、パーメスリンなどのピレスロイド系化合物などの、殺虫性の強い化学合成薬剤が知られている。
上記の化合物は、そのほとんどが、比較的毒性の低い化合物である。しかし、例えば、有機リン系化合物やカルバメート系化合物のなかには、人畜に対してコリンエステラーゼ活性阻害作用を有するものがあり、また、ピレスロイド系化合物には、魚毒性の高いものが多い。それゆえ、上記の化合物については、人畜や環境に対する安全性が十分であるとは言い難く、自然の生態系を破壊するおそれがある。
【0003】
一方、天然物由来のシロアリ防除剤も知られている。例えば、キハダ(Phellodendron amurenseRupr., P. molle Nakai)に含まれるオバクノンや、オウレン(Coptisjaponica Makino)の根およびキハダの樹皮などに含まれるベルベリンは、シロアリに対する防除効果が認められている。
また、特許文献1には、安全性の高いシロアリ防除剤として、ニームの有機溶媒または含水溶媒による抽出物を有効成分として含有する防除剤が開示されており、さらに、特許文献2には、モリンガ属、マラー属などの植物から抽出または滲出された成分を害虫防除剤として用いることが開示されている。
【特許文献1】特開平3−41011号公報
【特許文献2】特開平6−329514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、近年、上記特許文献に記載された成分以外の、植物に由来する成分について、人畜や環境に対する安全性が十分であり、かつ上記特許文献に記載の防除剤と同等またはそれ以上の作用効果を有するシロアリ防除剤を提供することが要望されている。
そこで、本発明の目的は、シロアリの防除性能に優れ、しかも、人畜や環境に対する安全性がより高いシロアリ防除剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するため、新規なシロアリ防除剤の有効成分について、鋭意検討したところ、特定の植物体から採取される成分がシロアリ防除剤として有用であり、これら特定の植物体から採取される成分を用いることにより、上記の課題を解決できるとの知見を見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) ヒカゲノカズラ属(Licopodium)に属する植物、および/またはウィタニア属(Withania)に属する植物から採取された成分を有効成分とすることを特徴とする、シロアリ防除剤、
(2) 前記ヒカゲノカズラ属に属する植物が、ヒカゲノカズラ(Lycopodium clavatum)であることを特徴とする、前記(1)に記載のシロアリ防除剤、
(3) 前記ヒカゲノカズラ属に属する植物から採取された成分が、前記ヒカゲノカズラ属に属する植物の根、茎、葉および胞子からなる群より選ばれる少なくとも1種の部位、または前記部位の抽出物であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載のシロアリ防除剤、
(4) 前記ヒカゲノカズラ属に属する植物から採取された成分が、リポコジウムアルカロイドであることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のシロアリ防除剤、
(5) 前記リポコジウムアルカロイドが、ヒューペリジンA(Huperizine A)であることを特徴とする、前記(4)に記載のシロアリ防除剤、
(6) 前記ウィタニア属に属する植物が、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)であることを特徴とする、前記(1)に記載のシロアリ防除剤、
(7) 前記ウィタニア属に属する植物から採取された成分が、ウィタフェリンA(Withaferin−A)であることを特徴とする、前記(1)または(6)に記載のシロアリ防除剤、
(8) さらに、パフィア属(Pfaffia)に属する植物から採取された成分、センニチコウ属(Gomphrena)に属する植物から採取された成分、イノコズチ属(Achyranthes)に属する植物から採取された成分、カワ種に属する植物から採取された成分、カプリン酸、ヒバ中性油、およびネオニコチノイド系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のシロアリ防除成分を含有することを特徴とする、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のシロアリ防除剤、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、特定の植物体から採取される成分を有効成分としていることから、人畜や環境に対する安全性が高いシロアリ防除剤を提供することができる。
また、本発明のシロアリ防除剤は、シロアリ防除剤が使用されてからシロアリが死亡するまでの間のシロアリの活動を著しく低下させて、食害の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のシロアリ防除剤は、ヒカゲノカズラ属(Licopodium)に属する植物、および/またはウィタニア属(Withania)に属する植物から採取された成分を有効成分としている。
ヒカゲノカズラ属(リポコジウム;Licopodium)は、ヒカゲノカズラ科に属する植物であって、ヒカゲノカズラ属に属する植物としては、例えば、リポコジウム・クラバツム(Licopodium clavatum、和名:ヒカゲノカズラ)、リポコジウム・セラツム(Licopodiumserratum、和名:トウゲシバ)、リポコジウム・セルヌウム(Licopodiumcernuum、和名:ミズスギ)、リポコジウム・オブスクルム(Licopodiumobscurum、和名:マンネンスギ)、リポコジウム・コンプラナツム(Licopodium complanatum、和名:アスヒカズラ)、リポコジウム・クリプトメリヌム(Licopodium cryptomerinum、和名:スギラン)などが挙げられる。なかでも、好ましくは、ヒカゲノカズラが挙げられる。
【0008】
ヒカゲノカズラ属に属する植物から採取された成分としては、例えば、ヒカゲノカズラ属に属する植物の根、茎、葉および胞子からなる群より選ばれる少なくとも1種の部位や、これらの部位から得られる抽出物が挙げられる。
具体的には、例えば、ヒカゲノカズラ属に属する植物から得られる抽出物として、ヒカゲノカズラ抽出エキスが挙げられる。このヒカゲノカズラ抽出エキスには、例えば、リポコジウムアルカロイドが含まれている。また、リポコジウムアルカロイドとしては、これに限定されないが、例えば、ヒューペリジンA(Huperizine A)が挙げられる。
【0009】
また、例えば、ヒカゲノカズラ属に属する植物から採取された成分として、ヒカゲノカズラの胞子である石松子が挙げられる。
リポコジウムアルカロイドや、これに含まれるヒューペリジンAは、ヒカゲノカズラ属に属する植物から、公知、慣用の方法により、抽出し、または滲出させることにより得られる。
【0010】
すなわち、ヒューペリジンAなどのリポコジウムアルカロイドを抽出または滲出により採取するには、一般的に、まず、ヒカゲノカズラ属に属する植物の全体を細断し、または、ヒカゲノカズラ属に属する植物の胞子、葉、茎、花、根などの部分を細断して、乾燥または粉砕する。次いで、有効成分を、適当な溶媒により抽出させ、または圧搾などにより滲出させ、必要に応じ、濃縮、精製などの処理をすればよい。
【0011】
また、ヒューペリジンAなどのリポコジウムアルカロイドを滲出により採取するための他の方法としては、例えば、ヒカゲノカズラ属に属する植物体の一部に傷をつけて、滲出物を採取する方法や、上記植物体またはその一部を、必要に応じて熱水処理などを施した後、圧搾して、滲出物を採取する方法が挙げられる。
ヒューペリジンAなどのリポコジウムアルカロイドは、例えば、エキスとして市販されているものであってもよい。
【0012】
ヒューペリジンAなどのリポコジウムアルカロイドの抽出または滲出処理に用いられる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノールなど)、エーテル類(例えば、エチルエーテル、テトラヒドロフランなど)、ケトン類(例えば、アセトンなど)、その他各種の有機溶媒が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0013】
溶媒の使用量は、ヒューペリジンAなどのリポコジウムアルカロイドの抽出または滲出操作が妨げられたり、抽出効率や滲出効率が損なわれたりすることのない範囲で設定される。具体的には特に限定されないが、溶媒の使用量は、例えば、上記植物100重量部に対し、50〜10000重量部、好ましくは、70〜5000重量部、より好ましくは、100〜2000重量部である。
【0014】
また、抽出または滲出処理の温度は、特に限定されないが、例えば、0〜150℃、好ましくは、室温(25℃程度)〜120℃である。抽出または滲出時間は、抽出または滲出処理の温度に合わせて適宜設定すればよい。例えば、抽出または滲出処理の温度が40℃前後であるときは、2〜4日放置して、抽出または滲出させてもよい。抽出または滲出処理を加熱還流下に行うには、3〜20時間、好ましくは、5〜10時間程度である。
【0015】
具体的に、例えば、ヒカゲノカズラ属に属する植物からヒューペリジンAなどのリポコジウムアルカロイドを抽出または滲出により採取するには、例えば、ヒカゲノカズラ属に属する植物体の全体を細断乾燥し、上記植物体1重量部に対して5重量部のエタノールを加え約8時間還流抽出する。抽出後、ろ過し、エバポレータにより濃縮することにより、ヒューペリジンAなどのリポコジウムアルカロイドを含有したエキスを得る。
【0016】
上記の方法により採取されたヒューペリジンAなどのリポコジウムアルカロイド、またはそれを含有する抽出エキスは、例えば、液状、例えば、粉末状、粒状などの固体状、例えば、ペーストなどの半固形状などの形態で得られる。
ウィタニア属(Withania)は、ナス科に属する植物であって、ウィタニア属に属する植物としては、例えば、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera、和名:インドニンジン、別名:アシュワガンダ)、ウィタニア・コアグランス(Withania coagulans)などが挙げられる。なかでも、好ましくは、インドニンジンが挙げられる。
【0017】
ウィタニア属に属する植物から採取された成分としては、例えば、ウィタニア属に属する植物の根、茎、葉および種子からなる群より選ばれる少なくとも1種の部位や、これらの部位から得られる抽出物が挙げられる。
また、ウィタニア属に属する植物から採取された成分としては、これに限定されないが、例えば、ウィタフェリンA(Withaferin-A)が挙げられる。
【0018】
ウィタフェリンAは、ウィタニア属に属する植物から、公知、慣用の方法により、抽出し、または滲出させることにより得られる。
すなわち、ウィタフェリンAを抽出または滲出により採取するには、一般的に、まず、ウィタニア属に属する植物の全体を細断し、または、ウィタニア属に属する植物の種子、葉、茎、花、根などの部分を細断して、乾燥または粉砕する。次いで、有効成分を、適当な溶媒により抽出させ、または圧搾などにより滲出させ、必要に応じ、濃縮、精製などの処理をすればよい。
【0019】
また、ウィタフェリンAを滲出により採取するための他の方法としては、例えば、ウィタニア属に属する植物体の一部に傷をつけて、滲出物を採取する方法や、上記植物体またはその一部を、必要に応じて熱水処理などを施した後、圧搾して、滲出物を採取する方法が挙げられる。
ウィタフェリンAは、例えば、エキスとして市販されているものであってもよい。
【0020】
ウィタフェリンAの抽出または滲出処理に用いられる溶媒、その使用量、抽出または滲出処理の条件は、ヒューペリジンAなどのリポコジウムアルカロイドの抽出または滲出処理に用いられる溶媒、その使用量、および抽出または滲出処理の条件と同じである。
具体的に、例えば、ウィタニア属に属する植物からウィタフェリンAを抽出または滲出により採取するには、例えば、ウィタニア属に属する植物体の全体を細断乾燥し、上記植物体1重量部に対して5重量部のエタノールを加え約8時間還流抽出する。抽出後、ろ過し、エバポレータにより濃縮することにより、ウィタフェリンAを含有したエキスを得る。
【0021】
上記の方法により採取されたウィタフェリンA、またはそれを含有する抽出エキスは、例えば、液状、例えば、粉末状、粒状などの固体状、例えば、ペーストなどの半固形状などの形態で得られる。
上記シロアリ防除剤は、ヒカゲノカズラ属(Licopodium)に属する植物から採取された成分や、ウィタニア属(Withania)に属する植物から採取された成分を、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
上記シロアリ防除剤は、公知の方法により、適宜製剤化されていてもよい。
製剤形態としては、例えば、溶液剤、水和剤、懸濁剤、分散剤、乳剤、油剤、ローションなどの液剤、例えば、粉末状または粒状の担体の表面に付着、担持させた粉剤、粒剤などの固形剤、例えば、マイクロカプセル剤、例えば、ペースト剤、クリームなどの半固形剤、例えば、噴霧剤、エアゾール剤などが挙げられる。
【0023】
例えば、上記シロアリ防除剤を液剤(溶液剤、水和剤、懸濁剤、分散剤、乳剤、油剤、ローションなど)として調製するには、例えば、上記有効成分を、後述する含有割合となるように、溶媒中に配合し、必要により、液剤の形態に合わせて、分散安定剤、乳化剤などを配合し、さらに必要により、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、防かび剤、比重調節剤などの公知の添加剤を適宜配合すればよい。
【0024】
液剤の調製に用いられる溶媒としては、上記有効成分を溶解、または分散し得るものであればよい。それゆえ、特に限定されないが、シロアリ防除剤を溶液剤、懸濁剤、分散剤、乳剤などに調製する場合の溶媒には、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール類、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類などが挙げられる。これら溶媒は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
また、シロアリ防除剤を乳剤、油剤、ローションなどに調製する場合の溶媒には、例えば、アジピン酸ジアルキルエステル(具体的に、例えば、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジノニル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジドデシル、アジピン酸ジテトラデシル、アジピン酸ジヘキサデシル、アジピン酸ジオクタデシル、アジピン酸デシルイソオクチルなど。)、酢酸アルキルエステル(具体的に、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなど。)などのカルボン酸アルキルエステル類、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのアルキレングリコール系エステル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、例えば、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコールなどのアルコール類、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール類、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物類、例えば、アルキルシクロパラフィン類などの石油系溶媒、なたね油などの油類などが挙げられる。これら溶媒は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
懸濁剤、分散剤、乳剤などの調製に用いられる分散安定剤、乳化剤としては、例えば、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤などの、従来公知の界面活性剤が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、商品名:レオドールTW−O120V、花王(株))、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、商品名:ナロアクティーCL100、三洋化成(株))、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(例えば、商品名:ニューカルゲンCP80、ニューカルゲンCP120、竹本油脂(株)製)、脂肪族多価アルコールエステル、脂肪族多価アルコールポリオキシエチレン、ショ糖脂肪酸エステル、酸化エチレンと酸化プロピレンとのブロック共重合体などが挙げられる。
【0027】
カチオン界面活性剤としては、主として四級アンモニウム塩が挙げられ、具体的には、例えば、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル(C8〜C18)トリメチルアンモニウムハライド類、例えば、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、オクチルドデシルジメチルアンモニウムクロライドなどのジアルキル(C8〜C18)ジメチルアンモニウムハライド類などが挙げられる。また、油脂に由来する混合アルキル基を有する混合物、例えば、アルキル(C8〜C18)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(C8〜C18)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(C8〜C18)ジメチルベンジルアンモニウム塩(例えば、商品名:サニゾールC、花王(株))なども挙げられる。
【0028】
アニオン界面活性剤としては、例えば、金属石鹸類、硫酸アルキルナトリウムなどの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩、2−スルホコハク酸ジアルキルナトリウムなどの2−スルホコハク酸ジアルキル塩、ポリカルボン酸型界面活性剤、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウムなどが挙げられる。
【0029】
上記例示の界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の配合割合は、特に限定されないが、例えば、上記有効成分100重量部に対して、500重量部以下、好ましくは、50〜200重量部である。
増粘剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、キサンタンガムなどが挙げられる。
【0030】
増粘剤の配合割合は、特に限定されないが、例えば、上記有効成分100重量部に対して、500重量部以下、好ましくは、50〜200重量部である。
凍結防止剤、防腐剤、防かび剤、比重調節剤などは、特に限定されず、それぞれの用途に用いられている公知の添加剤が挙げられる。
上記シロアリ防除剤を固形剤(粉剤、粒剤など)として調製するには、例えば、上記有効成分を、後述する含有割合となるように、粉状または粒状の担体と攪拌混合する。または、上記有効成分を、後述する含有割合となるように、溶媒中に配合し、さらに必要により、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、比重調節剤などの公知の添加剤を適宜配合して、懸濁液を調製後、得られた懸濁液を乾燥する。また、上記懸濁液をスプレードライによって粉剤化、粒剤化してもよい。
【0031】
粉末または粒状の担体としては、例えば、樹脂微粒子(例えば、ガンツ化成(株)製の合成樹脂微粒子「ガンツパール」シリーズなど。)、微粉末シリカ、パーライト(黒曜石や真珠岩を高温で熱処理して生成する白色粒状の発泡体)、ゼオライト、珪藻土、クレー、タルク、酸性白土、活性炭、炭酸カルシウム、木粉、粉末セルロース、デンプン、糖類などが挙げられる。
【0032】
また、上記シロアリ防除剤をマイクロカプセル剤として調製するには、上記有効成分を、例えば、界面重合法、in situ重合法(界面反応法)、コアセルベーション法、液中乾燥法、融解分散冷却法、液中硬化皮膜法、コーティング法(気中懸濁法)、スプレードライ法、静電合体法、真空蒸着法などの方法により、マイクロカプセル化すればよい(例えば、特開昭61−249904号公報、特公平6−92282号公報、特公平6−92283号公報、特開平10−114608号公報、特開2000−247821号公報参照)。
【0033】
こうして得られたマイクロカプセルを含む分散液に、必要により、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、比重調節剤などの公知の添加剤を適宜配合することにより、マイクロカプセルを含有する液剤またはペーストとしてのシロアリ防除剤を得ることができる。また、マイクロカプセルを含む分散剤を乾燥させることにより、マイクロカプセルからなる粉剤または粒剤としてのシロアリ防除剤を得ることができる。
【0034】
上記シロアリ防除剤を半固形剤(ペースト剤、クリームなど)として調製するには、上記有効成分を、後述する含有割合となるように、ペーストやクリームを形成するための賦形剤中に配合し、さらに必要により、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、比重調節剤などの公知の添加剤を適宜配合すればよい。
上記シロアリ防除剤を噴霧剤として調製するには、上記有効成分を、後述する含有割合となるように、溶媒中に配合し、さらに必要により、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、比重調節剤などの公知の添加剤を適宜配合して、噴霧器、スプレー容器などの容器に収容すればよい。
【0035】
上記シロアリ防除剤をエアゾール剤として調製するには、上記有効成分と、さらに必要により、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、比重調節剤などの公知の添加剤とを、溶媒中に配合し、噴射剤とともに、エアゾール容器に収容すればよい。
固形剤、マイクロカプセル剤、エアゾール剤などの調製に用いられる溶媒としては、例えば、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類、その他各種の溶媒が挙げられる。これら溶媒の具体例は、上記したのと同様の溶媒が挙げられる。
【0036】
分散安定剤、乳化剤、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、防かび剤、比重調節剤などは、特に限定されず、それぞれの用途に用いられている公知の添加剤が挙げられる。
また、上記シロアリ防除剤を担持剤として調製するには、上記有効成分と、粉末または粒状の担体と、さらに必要により、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、比重調節剤などの公知の添加剤とを、上記有効成分が後述する含有割合となるように配合し、これら配合成分を、攪拌、混合すればよい。
【0037】
上記シロアリ防除剤において、上記有効成分の含有量は、特に限定されないが、シロアリ防除剤全体の0.1重量%以上、好ましくは、0.1〜100重量%、より好ましくは、0.5〜5重量%である。
上記シロアリ防除剤には、上記有効成分とともに、他のシロアリ防除成分が配合されていてもよい。
【0038】
他のシロアリ防除成分としては、これに限定されないが、例えば、パフィア属(Pfaffia)に属する植物から採取された成分、センニチコウ属(Gomphrena)に属する植物から採取された成分、イノコズチ属(Achyranthes)に属する植物から採取された成分、カワ種に属する植物から採取された成分、カプリン酸、ヒバ中性油、およびネオニコチノイド系化合物などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0039】
パフィア属(ヒユ科)に属する植物としては、例えば、パフィア・イレジノイデス(Pfaffia iresinoides、別名:ブラジルニンジン)などが挙げられる。
パフィア属に属する植物から採取された成分としては、例えば、パフィア属に属する植物の根、茎、葉および種子からなる群より選ばれる少なくとも1種の部位より得られるエキスが挙げられ、具体的には、例えば、いわゆるパフィアエキス(パフィア属に属する植物の抽出エキス)などが挙げられる。
【0040】
上記エキスは、パフィア属に属する植物から、公知、慣用の方法により、抽出し、または滲出させることにより得られる。また、上記エキスは、市販されているものであってもよい。
センニチコウ属(ヒユ科)に属する植物としては、例えば、キバナセンニチコウ(ゴムフレナ・ハーゲアナ(Gomphrena haageana))、センニチコウ(ゴムフレナ・グロボサ(Gomphrenaglobosa))、センニチノゲイトウ(ゴムフレナ・セロシオイデス(Gomphrenacelosioides))などが挙げられる。なかでも、好ましくは、キバナセンニチコウが挙げられる。
【0041】
センニチコウ属に属する植物から採取された成分としては、例えば、センニチコウ属に属する植物の根、茎、葉および種子からなる群より選ばれる少なくとも1種の部位より得られるエキスが挙げられる。具体的には、例えば、キバナセンニチコウ、センニチコウ、センニチノゲイトウなどから抽出されるエキスが挙げられ、好ましくは、キバナセンニチコウの抽出エキス(以下、「キバナセンチニコウエキス」という。)が挙げられる。
【0042】
上記エキスは、センニチコウ属に属する植物から、公知、慣用の方法により、抽出し、または滲出させることにより得られる。また、上記エキスは、市販されているものであってもよい。
イノコズチ属(ヒユ科)に属する植物としては、例えば、ヒナタイノコズチ(アキランテス・ファウリエイ(Achyranthes fauriei))、ケイノコズチ(アキランテス・アスペラ(Achyranthes aspera))、ヤナギイノコズチ(アキランテス・ロンギフォリア(Achyranthes longifolia))、中国産のAchyranthes bidentataなどが挙げられる。なかでも、好ましくは、ヒナタイノコズチが挙げられる。
【0043】
イノコズチ属に属する植物から採取された成分としては、例えば、イノコズチ属に属する植物の根、茎、葉および種子からなる群より選ばれる少なくとも1種の部位より得られるエキスが挙げられる。具体的には、例えば、ヒナタイノコズチ、ケイノコズチ、ヤナギイノコズチ、Achyranthes bidentataなどから抽出されるエキスが挙げられ、好ましくは、ヒナタイノコズチの抽出エキス(以下、「ヒナタイノコズチエキス」という。)が挙げられる。
【0044】
上記エキスは、イノコズチ属に属する植物から、公知、慣用の方法により、抽出し、または滲出させることにより得られる。また、上記エキスは、市販されているものであってもよい。
カワ種(コショウ科コショウ属)に属する植物としては、カワ(Piper methysticum、または野生種Piper wichmannii)などが挙げられる。なお、カワには、カヴァ、カワカワ、カヴァカヴァ、ヤンゴナ、シャカオなどの別名がある。
【0045】
カワ種に属する植物から採取された成分としては、例えば、カワ種に属する植物の根、茎、葉および種子からなる群より選ばれる少なくとも1種の部位より得られるエキスが挙げられ、具体的には、例えば、カワの抽出エキス(以下、「カワエキス」という)などが挙げられる。
上記エキスは、カワ種に属する植物から、公知、慣用の方法により、抽出し、または滲出させることにより得られる。また、上記エキスは、市販されているものであってもよい。
【0046】
カプリン酸は、これに限定されないが、例えば、ヤシ、パームなどの植物から得られる。
ヒバ中性油は、ヒノキ科の樹木であるヒバから得られる精油のうち、酸性油を除去したものである。
ネオニコチノイド系化合物としては、具体的には、例えば、(E)−1−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(一般名:クロチアニジン)、N−アセチル−N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N−メトキシカルボニル−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリン−2−イリデンアミン(一般名:イミダクロプリド)、3−(2−クロロ−チアゾール−5−イルメチル)−5−[1,3,5]オキサジアジナン−4−イルインデン−N−ニトロアミン(一般名:チアメトキサム)、(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(一般名:ジノテフラン)などが挙げられ、なかでも、好ましくは、クロチアニジンが挙げられる。これらネオニコチノイド系化合物は、単独で使用してもよく、また2種類以上併用してもよい。
【0047】
さらに他のシロアリ防除成分としては、例えば、ピレスロイド系化合物、有機塩素系化合物、有機リン系化合物、カルバメート系化合物、ピロール系化合物、フェニルピラゾ−ル系化合物、オキサジアジン系化合物、セミカルバゾン系化合物、特開2002−307406号公報、特開2003−252708号公報、特開2005−74776号公報に記載された植物またはその処理物あるいはその誘導体が挙げられる。
【0048】
上記他のシロアリ防除成分は、上記有効成分(ヒカゲノカズラ属に属する植物、および/またはウィタニア属に属する植物から採取された成分)とともに用いることで、本発明のシロアリ防除剤によるシロアリ防除効果を向上させることができる。
上記他のシロアリ防除成分と混合して用いる際の、上記有効成分の剤型については、特に限定されないが、例えば、上記他のシロアリ防除成分と容易に混合し得る剤型であることが好ましい。これに限定されないが、例えば、上記有効成分が、ヒカゲノカズラの胞子である石松子である場合は、上記他のシロアリ防除成分と混合して使用することが好適である。
【0049】
上記有効成分と、上記他のシロアリ防除成分との混合割合は、特に限定されないが、例えば、上記他のシロアリ防除成分がパフィア属に属する植物から採取された成分、センニチコウ属に属する植物から採取された成分、イノコズチ属に属する植物から採取された成分、カワ種に属する植物から採取された成分、カプリン酸、またはヒバ中性油であるときは、上記他のシロアリ防除成分の配合量が、上記有効成分の配合量に対する重量比で、0.1〜10倍であることが好ましく、1〜5倍であることがより好ましい。
【0050】
上記他のシロアリ防除成分がクロチアニジンなどのネオニコチノイド系化合物であるときは、ネオニコチノイド系化合物の配合量が、上記有効成分の配合量に対する重量比で、0.001〜1倍であることが好ましく、0.01〜1倍であることがより好ましい。
上記シロアリ防除剤は、シロアリの駆除およびシロアリによる被害(食害など)の予防などの用途に広く使用できる。
【0051】
シロアリを防除する部位としては、これに限定されないが、例えば、土壌(地盤面など)、例えば、木材、例えば、建物(建築物;すなわち、家屋、倉庫、門扉、塀およびこれらの付属設備など。)における基礎構造部、上部構造部および地下構造部、例えば、建物の付属設備としての地下埋設物、例えば、シロアリの生息・発生域などが挙げられる。
具体的には、例えば、土壌用の処理剤として、または、一般工業用や土木工業用に用いられる各種木材用の処理剤として好適に使用できる。
【0052】
液剤、固形剤、マイクロカプセル剤、半固形剤、噴霧剤、エアゾール剤または担持剤として製剤化されたシロアリ防除剤の使用方法は、特に限定されるものではないが、例えば、公知の散布方法によって、例えば、処理対象である木材などに散布すればよい。
より具体的には、例えば、上記有効成分が0.05〜20重量%の割合で含有され、液剤として調製されたシロアリ防除剤の場合、動力噴霧器または手動噴霧器を用いて、木材の表面に対して50〜500g/mで散布すればよい。
【0053】
上記有効成分が0.05〜20重量%の割合で含有された固形剤、マイクロカプセル剤、半固形剤、噴霧剤、エアゾール剤または担持剤を、木材の表面に散布する場合も、上記した分量で散布すればよい。
シロアリ防除剤を土壌に散布する場合には、散布状況と製剤形態により異なるが、全面散布の場合は、約0.5〜5L/mで、帯状散布の場合は、約3〜10L/mで散布すれば良い。
【0054】
上記シロアリ防除剤による防除対象は、シロアリ(等翅)目に属する昆虫であること以外は特に限定されないが、具体的には、例えば、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、ヤマトシロアリ(Reticulitermessperatus)などのミゾガシラシロアリ科に属するもの、アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリなどのレイビシロアリ科に属するものなどが挙げられる。
【0055】
なお、シロアリに対する防除(シロアリの駆除およびシロアリによる被害の予防)とは、殺蟻(殺シロアリ)のみならず、忌避、摂食阻害をも含めた意味に用いている。
上記のシロアリ防除剤は、有効成分が、天然物由来の成分であることから、人畜や環境に対する安全性が高い。しかも、上記有効成分は、従来の天然物由来のシロアリ防除剤に比べて、優れたシロアリの防除作用を発揮することができる。
【実施例】
【0056】
次に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。
シロアリ防除剤の調製
実施例1
岐阜県内で採取されたヒカゲノカズラの全体を細断後乾燥し、細断物1重量部に対し、エタノール5重量部を加え、約8時間還流した。還流後、ろ過により固形分を除去し、エバポレータで濃縮して、ヒカゲノカズラエキスを抽出した。
【0057】
次に、得られたヒカゲノカズラエキスをアセトンで希釈し、その濃度を10mg/mL(1w/v%)となるように調整して、液剤のシロアリ防除剤(1)を得た。
実施例2
実施例1で得られたヒカゲノカズラエキスを、酢酸エチルと3%酒石酸水溶液とで分液した後、炭酸ナトリウムで水層のpHを9〜10程度に調節し、この水層を取り出して、クロロホルムと分液した。次いで、クロロホルム層をエバポレータで濃縮して、リポコジウムアルカロイドを得た。
【0058】
次に、得られたリポコジウムアルカロイドをアセトンで希釈し、その濃度を10mg/mL(1w/v%)となるように調整して、液剤のシロアリ防除剤(2)を得た。
実施例3
ヒューペリジンA(SIGMA社製の試薬)をアセトンで希釈し、その濃度を10mg/mL(1w/v%)となるように調整して、液剤のシロアリ防除剤(3)を得た。
【0059】
実施例4
インド国内で購入したインドニンジンの全体を細断後乾燥し、細断物1重量部に対し、エタノール5重量部を加え、約8時間還流した。還流後、ろ過により固形分を除去し、エバポレータで濃縮して、インドニンジンエキスを抽出した。
次に、得られたインドニンジンエキスをアセトンで希釈し、その濃度を10mg/mL(1w/v%)となるように調整して、液剤のシロアリ防除剤(4)を得た。
【0060】
実施例5
ウィタフェリンA(CALBIOCHEM社製の試薬)をアセトンで希釈し、その濃度を10mg/mL(1w/v%)となるように調整して、液剤のシロアリ防除剤(5)を得た。
実施例6
実施例1で得られたヒカゲノカズラエキス10重量部と、アジピン酸ジイソノニル60重量部と、プロピレングリコール30重量部とを配合し、均一に混合して、油剤のシロアリ防除剤(6)を得た。
【0061】
実施例7
実施例4で得られたインドニンジンエキス10重量部と、アジピン酸ジイソノニル60重量部と、プロピレングリコール30重量部とを配合し、均一に混合して、油剤のシロアリ防除剤(7)を得た。
実施例8
実施例1で得られたヒカゲノカズラエキス10重量部と、アジピン酸ジイソノニル25重量部と、ナロアクティーCL100(高級アルコール系非イオン界面活性剤、三洋化成(株)の商品名)10.5重量部と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル27重量部と、菜種白紋油((株)J−オイルミルズ製)7.5重量部とを配合し、均一に混合して、乳剤のシロアリ防除剤(8)を得た。
【0062】
実施例9
実施例4で得られたインドニンジンエキス10重量部と、アジピン酸ジイソノニル25重量部と、ナロアクティーCL100(高級アルコール系非イオン界面活性剤、三洋化成(株)の商品名)10.5重量部と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル27重量部と、菜種白紋油((株)J−オイルミルズ製)7.5重量部とを配合し、均一に混合して、乳剤のシロアリ防除剤(9)を得た。
【0063】
シロアリ防除試験
実施例1のシロアリ防除剤(1)を、直径約12mmのろ紙(2種、JIS P 3801−1995)に対して40μL滴下し、60℃で24時間乾燥後、ろ紙の重量(W)を測定した。
次に、含水率12%のケイ砂5号が50g充填されたガラス瓶に、イエシロアリ50頭と、上記シロアリ防除剤(1)が染み込んだろ紙とを投入して、シロアリ防除試験を開始した。その際、イエシロアリが外部に抜け出さないように、ガラス瓶の開口部を蓋(通気孔を有するもの)で閉じた。
【0064】
シロアリ防除試験の開始(上記ガラス瓶内へのイエシロアリと上記ろ紙との投入)から21日経過後に、ガラス瓶内のイエシロアリの挙動を観察し、死亡したシロアリ割合(死虫率)を計測した。
また、試験終了後に、ガラス瓶内に投入したろ紙を取り出し、60℃で24時間乾燥後、シロアリ防除試験終了後のろ紙の重量W(g)を測定した。この測定値と、試験開始前のろ紙の重量W(g)とから、下記式により、ろ紙の食害率を測定した。
【0065】
食害率(%)=(W−W)/W×100
また、シロアリ防除剤(1)に代えて、実施例2〜9の各シロアリ防除剤についても、上記と同様にして、シロアリ防除試験をした。
また、対照として、シロアリ防除剤が染み込んだろ紙に代えて、シロアリ防除剤を染み込ませていないろ紙(直径12mm、2種、JIS P 3801−1995)を用いたこと以外は、上記と同様にして、シロアリ防除試験をした。
【0066】
上記シロアリ防除試験の結果を表1に示す。なお、死虫率および食害率の評価基準は、下記のとおりである。
・死虫率
I:100%のシロアリが死亡した。
II:66.6%(全体の3分の2)以上、100%未満のシロアリが死亡した。
III:33.3%(全体の3分の1)以上、66.6%(全体の3分の2)未満のシロアリが死亡した。
IV:2%(1頭)以上、33.3%(全体の3分の1)未満のシロアリが死亡した。
V:死虫率が2%未満であった(死亡が確認されたシロアリが0頭であった)。
【0067】
・食害率
A:シロアリに食害されたろ紙の面積は、20%未満であった。
B:シロアリに食害されたろ紙の面積は、20%以上、40%未満であった。
C:シロアリに食害されたろ紙の面積は、40%以上、60%未満であった。
D:シロアリに食害されたろ紙の面積は、60%以上、80%未満であった。
E:シロアリに食害されたろ紙の面積は、80%以上、100%未満であった。
F:シロアリに食害されたろ紙の面積は、100%であった。
【0068】
【表1】

【0069】
シロアリ防除剤の調製およびシロアリ防除試験
実施例10
岐阜県内で採取されたヒカゲノカズラの全体を細断し、粉剤のシロアリ防除剤(10)を得た。
次いで、含水率12%のケイ砂5号が50g充填されたガラス瓶に、イエシロアリ50頭と、上記シロアリ防除剤(10)0.1gとを投入して、シロアリ防除試験を開始した。その際、イエシロアリが外部に抜け出さないように、ガラス瓶の開口部を蓋(通気孔を有するもの)で閉じた。
【0070】
シロアリ防除試験の開始(上記ガラス瓶内へのイエシロアリとシロアリ防除剤(10)との投入)から21日経過後に、ガラス瓶内のイエシロアリの挙動を観察し、死亡したシロアリ割合(死虫率)を計測した。
上記シロアリ防除試験の結果を表2に示す。なお、死虫率の評価基準は、上記と同じである。
【0071】
【表2】

【0072】
シロアリ防除剤の調製およびシロアリ防除試験
実施例11
粉剤のシロアリ防除剤(11)として、石松子((株)栃本天海堂製)を使用した。
実施例12
石松子((株)栃本天海堂製)75重量部と、パフィアエキスパウダー(松浦薬業(株)製)25重量部とを配合し、攪拌、混合して、粉剤のシロアリ防除剤(12)を得た。
【0073】
実施例13
石松子((株)栃本天海堂製)75重量部と、キバナセンニチコウエキス25重量部とを配合し、攪拌、混合して、粉剤のシロアリ防除剤(13)を得た。
キバナセンニチコウエキスは、兵庫県内の園芸店で購入したキバナセンニチコウの全体を細断し、乾燥後、細断物1重量部に対し、エタノール5重量部を加えて、約8時間還流し、次いで、ろ過により固形分を除去し、エバポレータで濃縮することにより抽出した。
【0074】
実施例14
石松子((株)栃本天海堂製)75重量部と、ヒナタイノコヅチエキス25重量部とを配合し、攪拌、混合して、粉剤のシロアリ防除剤(14)を得た。
ヒナタイノコヅチエキスは、岐阜県内で採取されたヒナタイノコヅチの全体を細断し、乾燥後、細断物1重量部に対し、エタノール5重量部を加えて、約8時間還流し、次いで、ろ過により固形分を除去し、エバポレータで濃縮することにより抽出した。
【0075】
実施例15
石松子((株)栃本天海堂製)75重量部と、実施例1で得られたヒカゲノカズラエキス25重量部とを配合し、攪拌、混合して、粉剤のシロアリ防除剤(15)を得た。
実施例16
石松子((株)栃本天海堂製)75重量部と、実施例4で得られたインドニンジンエキス25重量部とを配合し、攪拌、混合して、粉剤のシロアリ防除剤(16)を得た。
【0076】
実施例17
石松子((株)栃本天海堂製)75重量部と、カワエキス25重量部とを配合し、攪拌、混合して、粉剤のシロアリ防除剤(17)を得た。
カワエキスは、フィジーで購入したコショウ属のカバ(別名:カワ)の全体を細断し、乾燥後、細断物1重量部に対し、エタノール5重量部を加えて、約8時間還流し、次いで、ろ過により固形分を除去し、エバポレータで濃縮することにより抽出した。
【0077】
実施例18
石松子((株)栃本天海堂製)75重量部と、カプリン酸(商品名「ルナック10−98」、花王(株)製))25重量部とを配合し、攪拌、混合して、粉剤のシロアリ防除剤(18)を得た。
実施例19
石松子((株)栃本天海堂製)90重量部と、ヒバ中性油(大阪有機化学工業(株)製)10重量部とを配合し、攪拌、混合して、粉剤のシロアリ防除剤(19)を得た。
【0078】
実施例20
石松子((株)栃本天海堂製)99.9重量部と、クロチアニジン((E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン)0.1重量部とを配合し、攪拌、混合して、粉剤のシロアリ防除剤(20)を得た。
シロアリ防除試験
実施例11で得られたシロアリ防除剤(粉剤)を用いて、下記の防除試験を行い、シロアリに対する防除効力を確認した。
【0079】
図1を参照して、長さLが約13cm、幅Wが約6cm、高さHが約3cmで、上方に開口を有する直方体のプラスチック容器10の底面11に、上記プラスチック容器10の幅W方向に伸びる一方側側壁12に沿って、含水率が12%に調整されたケイ砂5号を敷き詰め、長さL方向が5cm、高さH方向(厚み)が2cmの含水ケイ砂層13を形成した。次いで、プラスチック容器10の底面11上で、含水ケイ砂層13と長さL方向に隣接し、長さL方向が約cmの領域において、実施例11で得られたシロアリ防除剤(粉剤)0.5gを散布し、シロアリ防除剤層14を形成した。さらに、プラスチック容器10の底面11上で、上記一方側側壁12と長さL方向に対向する他方側側壁15に沿って、その幅W方向の中央部に、木口1cm×1cm、長さ2cmのマツの餌木16を設置した。
【0080】
次に、含水ケイ砂層13上に、イエシロアリ100頭を放し、さらに、プラスチック容器10の開口を閉鎖するために、プラスチックの蓋(通気孔を有するもの)18を配置した。
こうして、プラスチック容器10内でのイエシロアリ17の状態を、2週間観察し、死亡したシロアリ割合(死虫率)を計測した。
【0081】
また、実施例12〜20で得られたシロアリ防除剤を、それぞれ、実施例11で得られたシロアリ防除剤に代えて用いたこと以外は、上記と同様にして、シロアリ防除試験をした。
上記シロアリ防除試験の結果を表3に示す。なお、死虫率の評価基準は、上記と同じである。
【0082】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】シロアリ防除試験に用いた試験装置を示す概略説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒカゲノカズラ属(Licopodium)に属する植物、および/またはウィタニア属(Withania)に属する植物から採取された成分を有効成分とすることを特徴とする、シロアリ防除剤。
【請求項2】
前記ヒカゲノカズラ属に属する植物が、ヒカゲノカズラ(Lycopodium clavatum)であることを特徴とする、請求項1に記載のシロアリ防除剤。
【請求項3】
前記ヒカゲノカズラ属に属する植物から採取された成分が、前記ヒカゲノカズラ属に属する植物の根、茎、葉および胞子からなる群より選ばれる少なくとも1種の部位、または前記部位の抽出物であることを特徴とする、請求項1または2に記載のシロアリ防除剤。
【請求項4】
前記ヒカゲノカズラ属に属する植物から採取された成分が、リポコジウムアルカロイドであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のシロアリ防除剤。
【請求項5】
前記リポコジウムアルカロイドが、ヒューペリジンA(Huperizine A)であることを特徴とする、請求項4に記載のシロアリ防除剤。
【請求項6】
前記ウィタニア属に属する植物が、ウィタニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)であることを特徴とする、請求項1に記載のシロアリ防除剤。
【請求項7】
前記ウィタニア属に属する植物から採取された成分が、ウィタフェリンA(Withaferin−A)であることを特徴とする、請求項1または6に記載のシロアリ防除剤。
【請求項8】
さらに、パフィア属(Pfaffia)に属する植物から採取された成分、センニチコウ属(Gomphrena)に属する植物から採取された成分、イノコズチ属(Achyranthes)に属する植物から採取された成分、カワ種に属する植物から採取された成分、カプリン酸、ヒバ中性油、およびネオニコチノイド系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のシロアリ防除成分を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のシロアリ防除剤。

【図1】
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【公開番号】特開2008−195620(P2008−195620A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29639(P2007−29639)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(503140056)日本エンバイロケミカルズ株式会社 (95)
【Fターム(参考)】