説明

シロキサンを含むマイクロコーティング

本発明は、水性で、薄膜を形成する、重合シロキサンを含む結合剤に関する。また、本発明は、前述の結合剤を使用して生成される塗膜組成物に関し、又、この塗膜組成物で塗装された製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に金属表面向けの、結合剤と塗膜組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
結合剤は、塗膜組成物に不可欠な成分である。結合剤は、塗膜組成物の様々な成分を緊密に結合させ、塗膜の形成に寄与する。塗膜組成物の製造には、結合剤と添加剤の併用が必要となる。本発明の文脈で用いられる場合、「添加剤」という表現は、その添加量に関係なく、結合剤に添加されて、塗膜組成物の特性に影響を与えるすべての添加剤を指す。
【0003】
結合剤と添加剤としての粒子状金属とを含む塗膜組成物が知られている。これらの組成はベースコートとも呼ばれ、下塗りとなって、その後、ラッカー、いわゆるトップコートで塗装されることができる。ベースコートについて最新技術部分を形成する重要文献を以下に引用する。
【0004】
US6,287,372(テーメック カンパニー インコーポレイティッド2000)
当該明細書には、防食用の亜鉛塗膜が記載されている。記載されているシロキサン重合体樹脂は、結合剤として機能し、より正確には、シルボンドXHT33のような、(予め加水分解された)事前加水分解の無機アルキルシリケート化合物である。この明細書には、アルキルシリケートが望ましいと述べられているが、その他のシロキサン重合体樹脂も、同様に十分使用できると考えられている。記載の組成には溶剤が含まれ、その結果として、処理中、特に塗膜の乾燥中に、揮発性化合物が遊離する。
【0005】
US5,477,918(ユナイテッド テクノロジーズ コーポレーション)
水性防食剤の配合が記載されている。該配合に使用される結合剤は、非水溶性シリコン樹脂乳剤である。水性防食剤を生成するためには、該結合剤を乳剤と混ぜ合わせなければならない。該防食剤は、水溶液の中でも、200グラム/Lまでの揮発性物質を遊離する。従って、これは純粋な水性配合ではない。揮発性物質の遊離は、十分な程度までは防げない。
【0006】
US4,218,354(シュタウファー ケミカル カンパニー)
事前加水分解された有機シロキサン化合物をベースとする防食剤を含む溶剤を、金属粒子と混ぜ合わせることが提案される。この件は、亜化学量論的にシロキサン縮合物を形成する量の水を用いて通例生成されるが、酸性pH範囲でのみ、かつ(請求項1に従って)有機溶剤の存在下でのみ可溶である防食剤に関連する。このやり方では、単量体の縮合中の揮発性化合物の遊離は防止されるが、提案されている防食剤の処理は、必要とされる有機溶剤のために問題を含んだままであり、今日の要求事項にはもはや適合しない。
【0007】
WO94/09075(ワッカーケミー)
WO94/09075では、水性防食剤が提案されている。事前加水分解の、ただし、これもまたその後は非水溶性のシランを、乳化剤の助けを借りて水中に導入する。これらの防食剤の難点は、該防食剤に基づく塗膜の耐熱性が特に高くないことである。塗膜は120度以上で軟化し、塗膜に含まれる乳化剤は、テンシデ(tensides)であることが多いが、これが可塑剤として働き、層間に水を挿入する。この結果として、この防食剤の使用分野は、かなり制限される。
【0008】
DE198 18 923(デグッサヒュルズAG)
水溶性アミノ官能基・アルケニル官能基有機シロキサンについて記載されているが、これらは、加水分解後の硬化時に、もはやアルコールを遊離しない。これらの有機シロキサンは、顔料の塗装に使用される。その後、塗装顔料は乾燥され、様々な分野に利用される。この文書に記載された有機シロキサンは、架橋構造を形成しない。それらは親水性で、顔料の塗装には適しているが、良好な薄膜形成または防食が重要な用途には適さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、様々な用途に関して硬化条件との関連で可能な限り調整可能であるべき水性結合剤と、該結合剤の使用に基づく塗膜組成物、特に防食組成の提案であり、該塗膜組成物は実質上、有機溶剤を含まず、硬化時に有機反応生成物を発生させない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の結合剤によって達成される。本発明に係る結合剤は、水性であり、そのため、簡単な設備で環境に優しい処理が可能となる。さらに、該結合剤は薄膜を形成し、そのため、塗装に適している。本発明に係る結合剤を用いて、様々な膜厚の塗膜を簡単なやり方で形成することができる。以下でさらに説明される通り、該結合剤は単層として使用できるのみでなく、多層塗膜構造でもまた使用できる。重合シロキサンによれば、塗膜の安定性、処理の容易さ、塗膜組成物の製造中に結合剤に添加される添加剤との融和性が保証される。
【0011】
本発明に係る結合剤として用いられる重合シロキサンには、低含有率のアルコキシ基が含まれるだけである。アルコキシ基が含まれないことが望ましく、換言すれば、アルコキシ基の含有率は、重合シロキサンに基づく各場合に、10重量%未満であり、望ましくは5重量%未満、特に望ましくは2重量%未満である。
【0012】
重合シロキサンの製造には、エポキシ基、メルカプタン基またはヒドロキシアルキル基を含むシランを使用することが望ましい。メルカプタン基を含むシランは、臭気の問題のために適用分野が制限される。しかしながら、アルキルシラン、特にアルケニルシランも使用できる。特に、紫外線下で結合剤を硬化する場合には、メタクリルシランも同様に適している。
【0013】
本発明に係る結合剤は、ホモまたはヘテロの重合体として構築できる。最新技術とは対照的に、結合剤として単量体を使用しないことが望ましい。むしろ、結合剤は、主としてすでに縮合済みの分子からなる。単量体含有率は、結合剤の全固体含有率に基づき10重量%未満であり、望ましくは5重量%未満、特に望ましくは3重量%未満、有利には1重量%未満であって、その各場合に、結合剤の全固体含有率に基づく。
【0014】
前記特性の重要な利点は、結合剤の硬化中に、アルコールがほとんど分離しない点である。分離するアルコールの割合は、結合剤の量に基づき10重量%未満であり、有利には5重量%未満、特に有利には2重量%未満になって、その各場合に、結合剤の量に基づく。事前加水分解または事前縮合の結合剤を使用するにもかかわらず、重合シロキサンの反応性は十分であり、例えば結合剤として利用した場合、金属性基材上にベースコートを安定させて定着させることができる。本発明に係る重合シロキサンは、ゲル化点に達するほどには縮合していないにもかかわらず、もはや、単量体の形では存在しない。その状態において、製品(ワークピース)の塗装に非常に適している。さらに、本発明に係る重合シロキサンは、乳化剤を添加しなくても水溶性であることが望ましい。
【0015】
同様に望ましいことは、触媒作用のために添加される酸が、結合剤に含まれないことである。酸、例えば塩酸は、最新技術に従えば、単量体から結合剤を生成するための触媒として通常必要とされる。酸を添加しない結合剤の生成は、結合剤を防食組成中で使用する場合、特に有利な効果を持つ。なぜならば、硬化塗膜中になお存在する可能性のある酸は、親水的に作用し、そのことは、防食のために決定的に不利であるためである。
【0016】
本発明の有利な実施形態によれば、シランには、100μm未満の寸法の粒子が含まれる。50μm以下の粒径が望ましく、有利には20μm以下、特に有利には10μm以下、望ましくはナノメートル範囲、換言すれば1μm未満の粒径である。結合剤を極めて薄い塗膜厚で、直接または塗膜組成物の成分として使用する場合に、有利であることが立証できる使用粒子の寸法は、1μm未満であり、望ましくは55nm未満、特に望ましくは10nm未満、できれば5nm未満である。粒子と単量シランを混合する。シランは、加水分解して重合シロキサンになり、粒子を包み込み、その結果、充填結合剤が形成される。その内部では、縮合して重合シロキサンを形成したシランが、粒子を包み込んでいる。
【0017】
珪素からなる粒子、または、珪素を含む粒子が使用でき、特に二酸化珪素が使用されるが、これは、例えば、シリカゾル、シロキサンまたはポリシリケートの形で提供され使用される。コロイド状二酸化珪素または粒子状珪酸、別名シリカゾルが特に適している。ポリシリケートとして使用できるのは、例えば、水素−、リチウム−、カリウム−またはナトリウム−ポリシリケートである。特に、酸性pHの範囲で安定する改良シリカゾルは、本発明に係る結合剤中での使用に適している。表面の改良は、シリカゾルに対する金属または金属塩のキレート化によって、達成される場合が多い。
【0018】
しかしながら、その他の有機又は無機粒子も使用できる。例えば、金属塩、金属酸化物又は金属アルコキシドの使用が望ましく、特に、これらに適した粒度で利用可能な場合には使用が望ましい。前記の金属塩、金属酸化物又は金属アルコキシドを、担体基材と混合するという点で、本発明に従った使用に適した粒度も得ることができる。有利に使用できるのは、アルミニウム、チタン、モリブデン、ジルコニウム、イットリウム、ニオブ、セリウムまたはランタンの化合物か、該化合物の混合物で、任意に担体基材と混合したものである。従来の防食顔料も任意に前記粒子と混合して使用できるが、この粒子は、例えば、燐酸塩、ホスホン酸塩、燐化物、特に燐化鉄又はモリブデン酸鉄もしくはその両方である。導電顔料、特に無機導電顔料、例えば、珪素、望ましくはウエハ品質のもの、ナノチューブ、カーボンブラック、ICP(真性導電ポリマー)も、任意に前記粒子と混合して使用できる。粒子は、本発明によれば、(結合剤の特定の製造のために、いかなる単量シランが現場で使用されるかに基づき)次のような数量比率で使用できる。すなわち、シラン:粒子のモル比は、50:1〜1:50の範囲、有利には20:1〜1:20、望ましくは10:1〜1:10、特に望ましくは5:1〜1:5の範囲で調整され得る。特に適した実施形態によれば、シラン:粒子の範囲は、2:1〜1:2である。
【0019】
結合剤を防食剤として使用するために望ましい適用の決定要因は、粒子が、次のような種類のものでなければならないということである。すなわち、塗膜組成物中に該結合剤を使用した場合、硬化後、親水的に作用することが可能な限り少ないような種類のものである。この意味において、特に前記ポリシリケートが非常に適していることが判明した。
【0020】
本発明の望ましい実施形態によれば、100μm未満の寸法の粒子をシラン中に混合または包含することによって、水溶液中で安定し、特に高密度に充填されて薄膜を形成する結合剤が得られる。様々な適用分野の要求事項に応じて、有機溶剤を、結合剤の水溶液に混ぜることができる。溶剤又は溶剤混合物をそれぞれ除去する際に、該結合剤のみならず、該結合剤に含まれる物質も塗装予定の基材の表面に付着する。該結合剤の完全な硬化には、特に該溶剤の全面的除去、通常水の除去が、必要となる。このことは、本発明に係る結合剤とともに、化学反応、特に縮合反応も、完全硬化達成に寄与しているという事実にもかかわらず必要である。しかしながら、その寄与の程度は、例えば、支配的に又は排他的に単量体の使用に依存する既知の結合剤を使用した場合よりも、はるかに少ない。この点において特に、該結合剤の明確な発明的品質が証明される。すなわち、最新技術に従えば、完全硬化中に大量のアルコールが遊離するのに対して、本発明に係る結合剤は、本質的に、縮合反応に由来する水を遊離するだけである。そのやり方では、一部において有毒で、特にまた可燃性でもある物質の硬化中における遊離が回避される。水と該当する場合のその他の溶剤との含有率は、該結合剤の全配合に基づき、10重量%〜99.5重量%であり得る。水と該当する場合のその他の溶剤との含有率は、有利には90重量%以下であり、特に有利には75重量%以下、望ましくは50重量%以下、特に望ましくは30重量%以下である。
【0021】
本発明に係る結合剤は、室温よりも明らかに高い温度でのみ、硬化し始めることが望ましい。ここで測定されるのは物体温度であり、換言すれば、塗装される物体上で測定される温度が求められ示される。一方では、硬化温度の上昇により、次のようなリスク、すなわち、本発明に係る結合剤を開放した浸漬容器中で使用した場合に、製品に塗布する前に、該結合剤の硬化がすでに始まるというリスク、又は、ねじ等のような山盛りに積み上げられる小物の場合に、硬化が早すぎるため塗装済みの小物の製品がくっつき合ってしまい、満足な塗膜が形成されないというリスクが回避される。他方では、結合剤の塗布・硬化の連続的工程が、より良好に整合されかつ管理されるようになる。本発明に係る結合剤が硬化する際の物体温度は、40度より高いことが好ましく、望ましくは80度より高く、特に望ましくは150度より高く、有利には300度まで、特に有利には500度までである。150度より高い最後に言及された硬化温度が特に重要になるのは、結合剤の有機成分の少なくとも一部の分解が許容される適用に関してである。前記硬化温度は、添加剤を添加しない結合剤の使用に適用されるが、結合剤を使用して製造される塗膜組成物にもまた適用できる。
【0022】
結合剤は、非常に素早く約1秒で、又は、非常にゆっくりと約90分掛かって、完全に硬化することができる。該結合剤の利点と考えられるのは、幅広い時間枠内で完全硬化を調整できる点である。完全硬化のための時間の調整は、例えば、完全硬化のために必要なエネルギーを、従来の対流式オーブン、紫外線または誘導を用いて適用するやり方によって、処理装置の硬化要求事項に適合させることができる。あるいは、結合剤の完全硬化のための時間は、該結合剤の製造に使用されるシランの選択によって、また、概して高沸点物質(溶剤)である添加剤の添加によってさえも、影響を受け得る。完全硬化のための時間は、2〜60分、できれば3〜30分であることが望ましい。
【0023】
結合剤の有利な実施形態によれば、水性重合シロキサンの分子量は、200グラム/モル以上であり、有利には400グラム/モル以上、特に有利には800グラム/モル以上、望ましくは1000グラム/モルである。この大きい分子量によって、次のことが保証される。すなわち、一方では、加水分解と縮合が十分に進行して、有機成分の揮発の余地がなくなるか、または、少なくとも、その揮発が非常に広い範囲に及ぶことが抑えられる。他方では、1000グラム/モル以上の分子量により、十分な反応性と水溶性がなお保証され、それは、該結合剤の使用特性のために決定的なものとなる。
【0024】
これが望ましいのは、該結合剤の固体含有率が0.5重量%以上の場合、望ましくは10重量%以上、特に望ましくは25重量%以上、有利には50重量%以上、特に有利には70重量%まで、望ましい実施形態によれば90重量%までの場合である。固体含有率が0.5重量%以上の場合、該結合剤は、製造、輸送、保管、使用できるだけでなく、処理もまたできる。
【0025】
本発明に係る結合剤は、酸性または中性反応向けに調整されるが、アルカリ性pH値にも達することができる。そのpH範囲中では水溶液中で安定する。望ましいpH範囲は、pH2〜pH13であり、有利にはpH3〜pH8である。pH値は、まず、出発物質としてシランが使用されるか、該当する場合には重合シロキサンの製造用にシランの混合物が使用されるかによって決まり、それらには、任意に、前述の粒子、特にシリカゾルを混ぜることができる。しかしながら、pH値はまた、該当する適用の関数としても決まる。
【0026】
本発明の概念の有利なさらなる展開によれば、結合剤は、該結合剤の製造用の出発物質として、シランの他に、有機結合補助剤を含むことができる。これに関連して挙げることができるのは、例えば、アルキド樹脂、水性又は水希釈エポキシ樹脂エステル、アクリレート分散、フェノキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂である。様々な理由で補助結合剤を添加して、特定の適用分野に適した特性を準備することができる。例えば、接着の改善のため、さらなる処理中に塗膜組成物に添加されるさらなる物質の混和の改善のため、処理条件及び硬化条件の調整のため、並びに、重合薄膜の薄膜形成特性の管理のため等である。使用される補助結合剤の量は、該結合剤の各固体含有率に基づき、0.01重量%〜50重量%である。
【0027】
本発明に係る結合剤は、適用される使用目的に基づいて改変でき、従って、0.5〜90重量%の固体含有率をいつでも供給できる状態で、利用に供されることができる。この結合剤は、製品の塗装用、例えば表面シーリング用に、添加剤の追加なしに単独で使用できる。トップコートとして、すなわち透明カバーコートとしてはそのまま使用が可能である。結合剤のもう1つの代表的な使用形態は、表面の塗膜組成物中での使用であり、特に、防食組成向け、および、無色または色付塗膜組成物向けの使用である。結合剤又は前記結合剤を用いて製造された塗膜組成物は、様々な製品の塗装に使用できる。大型の製品又は表面のみならず小型の構成部品、特に、ねじ、ばね、クランプ、クリップのような大量に生産される小型の構成部品にも塗装できる。代表的な使用分野は、例えば、製品(製造工程にある製品、ワークピース)に加えて商品の塗装、換言すれば、個別に塗装される大型の製品に加えて大量生産の小物の部品の塗装である。塗膜組成物が鋳造によって通常塗布されるコイル塗装処理によるこの塗装の他に、ドクターブレード塗装又は噴霧の手法が、重要な適用分野を構成する。
【0028】
結合剤又は結合剤を用いて生成された塗膜組成物は、今日では従来式の単層又は多層表面塗装、例えば、未処理の又は前処理された金属の塗装に使用できる。前処理金属は、例えばショットブラストによって、機械的に前処理しておくことができるが、化学的に前処理された金属表面、例えば、燐化金属表面も塗装できる。前処理された金属表面も、接着下塗り剤で前処理できる。亜鉛又は亜鉛合金で選鉱された不動態化金属表面も、同様に塗装できる。このような基材上の塗膜は、従来、トップコートまたはシーリングと呼ばれている。
【0029】
明確な利点と考えられるのは、標準化結合剤を用いた場合に、一連の塗膜組成物を適切に合致するように提供できる、という点である。このようにして、例えば、第1の塗膜組成物、いわゆるベースコートは、防食に寄与する添加剤を含むことができる。それから、第2の塗膜組成物は、着色顔料を含むことができ、第3の塗膜組成物は、さらなる添加物は含まないが、第1及び第2の塗膜組成物上に、トップコートの要領で、又は表面シーリングとして塗布される。前記塗膜組成物のすべては、本発明に係る結合剤を含む。第3の塗膜組成物は、本質的に、任意に処理条件に適合させられた本発明に係る結合剤からなる。
【0030】
また、ベースコートは、亜鉛又は亜鉛合金で選鉱された金属性不動態化基材上に、単層または多層で塗布される場合が多い。その後、ベースコートに、トップコートを塗布する。ベースコートとトップコートには、同じ結合剤が含まれる。
【0031】
本発明に係る塗膜組成物は、同一配合を用いて多層で、または、配合は異なるが同一結合剤を様々なやり方で用いて使用できる。これに関連する利点は、同一結合剤の使用により、全く同一か又は少なくとも類似の処理条件を採用でき、該コートの一方が他方に十分に付着する、という点である。
【0032】
塗膜組成物の固体含有率は、最低0.5%、最高95%であり、望ましくは1%以上、より望ましくは20%以上であり、有利には50%を上回る。
【0033】
塗膜組成物は、結合剤の他に、1つ以上の添加剤を含む。これらの添加剤は、以下に説明されるように、幅広い選択範囲の物質の中から選択できる。それらは、固体、液体又はペースト状の添加剤であることができる。単一添加剤を使用することができ、又、添加剤の混合物も使用できる。様々な特性を準備するための添加剤と、塗膜組成物と全く同一の特性を準備するための添加剤の両方の混合物が使用できる。
【0034】
簡単な実施形態では、結合剤の他には添加剤だけが塗膜組成物に添加され、それによって、実際の条件下での該結合剤の処理が保証され、又、任意に、さらなる塗膜組成物に合わせられる。これらは、基材の湿潤,粘度の調整用又は硬化温度(又は時間)の調整用、もしくはそれらの複合的な調整用の添加剤であることができる。添加剤の例としては、水、アルコール、ケトン、グリコール、ポリグリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、特にジプロピレングリコール、テキサノール、メトキシプロパノール、ブチルグリコール、芳香族および脂肪族炭化水素である。それらの添加剤が塗膜組成物に添加される各量は、塗膜組成物の全配合形成に基づき、0.01重量%〜25重量%であり、望ましくは0.1重量%〜15重量%である。
【0035】
添加剤として、固体又は液体ワックスが、乳剤又は分散剤と同じように、本発明に係る塗膜組成物に添加されて、例えば、塗膜の滑り特性を調整できる。従来の既知のワックスが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフッ化物をベースとするワックス、カルナウバろう(ワックス)のような天然ろう、又は、前記物質の混合物を使用できる。ワックスを(単体で、又は組み合わせて)使用できる量は、供給形状での塗膜組成物の全配合に基づき、0.01〜40重量%である。
【0036】
本発明に係る結合剤の他に、塗膜組成物は、流動学、消泡、流動性、脱気又は顔料湿潤に影響を与える添加剤をさらに含むことができるだけでなく、軟化剤又は触媒のみならず水捕捉剤も含むことができる。これらの添加剤は、各々、塗膜組成物の全配合に基づき、0.01〜20重量%の割合で添加できる。添加されるのは、有利には2重量%〜8重量%であり、望ましくは2重量%未満、特に望ましくは1重量%未満である。特に、水捕捉剤として働く単量又は低重合のシランは、頻用される添加剤である。
【0037】
有利な実施形態によれば、塗膜組成物には、結合剤の他に、さらなる添加剤として着色を施す顔料又は顔料ペーストが含まれる。これらは、従来の有機顔料又は無機顔料あるいは顔料ペーストであることができ、染料、すなわち、染色性のある可溶性固体であってもよい。特に金属の塗装のためには、例えばアルミニウム粒子のような金属粒子も使用でき、例えば金属性効果を得るための顔料として用いられる。顔料、顔料ペースト又は染料の他に、添加剤として充填剤を使用することができる。この充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、特に珪酸アルミニウム又は珪酸マグネシウムであるか、硫酸バリウム、又は充填剤の混合物である。着色顔料、顔料ペースト、染料又は充填剤もしくはそれらの組み合わせは、通常、塗膜組成物の全配合に基づき、0.01重量%〜60重量%の割合で添加される。
【0038】
特に望ましいのは、防食組成物として用いられる塗膜組成物中での結合剤の使用である。その際、塗膜組成物には、本発明に係る結合剤と同様に、前処理金属の耐食性を改善する固体添加剤又は液体添加剤もしくはその両方も含まれる。本発明の範囲内では、水溶性、分散性又は混合可能な腐食抑制剤又は腐食防止/抑制顔料、もしくはそれら腐食防止剤と顔料の両方が添加されて、良好な効果を上げるが、それらは、望ましくは窒素ニトロ化合物、特に有機窒素化合物である。特に望ましくはジニトロサリチル酸である。塗膜組成物への追加が望ましいのは、ホウ素化合物、特に、ホウ酸または酸化ホウ素の群から選択された化合物であるが、同様に、モリブデン化合物、特にモリブデン酸塩、又は燐含有化合物もそうである。これらの腐食抑制剤が添加される量は、全配合に基づき0.01重量%〜30重量%であり、下限は、希望効果の達成によって決定されるのに対して、上限は、費用を考慮して決定される。
【0039】
効果の高い防食が達成されるのは、本発明に係る結合剤を含む塗膜組成物に対して、陰極防食を提供するさらなる添加剤が添加された場合である。複数の金属、金属化合物又は金属合金もしくはそれらの組み合わせが、金属表面を選鉱又は塗装して防食するために適している。それらは、粒子状金属として使用される。本発明の範囲内では、粒子状金属としては、特に、亜鉛、アルミニウム、鉄、マンガン及び錫が使用され、粒子状金属合金としては、亜鉛アルミニウム粒子、亜鉛マンガン粒子、亜鉛ニッケル粒子又はクロムニッケル鋼鉄粒子が使用されて、本発明に係る結合剤とともに、金属表面の塗装用の防食剤として働く。この場合には、特に、亜鉛アルミニウム化合物と同様に、亜鉛及び亜鉛化合物も効果の高い陰極防食を提供する。これらの粒子状金属は、特に、いわゆるフレークの形状で、効果的な防食を提供する。フレークは、球状ではなく、良好な塗膜形成が促進される血小板状の粒子である。前記の金属及び金属化合物は、金属表面を腐食から保護するために特に適している。金属、金属化合物及び金属合金は、純粋な形に加え、2つ以上の物質の混合物の形でも、塗装用の本発明に係る組成物中で使用できる。本発明の望ましい実施形態によれば、塗装用の組成物に導電添加剤が添加されるが、それらは望ましくは、珪素、燐化鉄、カーボンブラック、ナノチューブ又はICPを含めた有機又は無機導電物質である。
【0040】
本発明のさらに有利な実施形態によれば、粒子状金属は、粉末、ビーズ、球状粒子、薄層又はフレーク、もしくはそれらを組み合わせた形状で使用される。金属粒子を塗布すると結果的に粒子が層化することによって、金属表面は、腐食作用から特によく保護される。金属粒子を混ぜることによって、防食組成を特定の適用形態に特によく適合させることができる。
【0041】
陰極防食をさらに最適化するためには、粒子状金属の次のような含有率が適していることが判明した。すなわち、塗膜組成物の全配合に基づき、約10重量%〜約95重量%であり、望ましくは約20重量%〜約80重量%、特に望ましくは約20重量%〜約60重量%である。塗膜組成物に亜鉛粉末を用いる場合、10重量%〜約95重量%が有利であることが判明しており、特に有利なのは、該塗膜組成物の全形成に基づき、60重量%〜80重量%の亜鉛粉末の形状の亜鉛である。フレークの形状の粒子状金属が、例えば、亜鉛、亜鉛アルミニウム又はアルミニウムのフレークとして使用される場合、塗膜組成物の全配合に対する粒子状金属の割合は、有利には20重量%〜50重量%である。
【0042】
金属表面の塗装用の本発明に係る塗膜組成物は、単一成分系、もしくは2成分系または多成分系の両方として設計され得る。特に防食剤として使用する場合に、まず成分1と成分2を別個に保管しておき、塗布時にのみ両者を組み合わせることが有利であると立証できる。塗膜組成物の配合に応じて必要とされる様々な成分の混合物が保管中に安定しない場合、これらの成分を、別個に、製造、保管、供給して、使用のためにのみ混合するというやり方が通常行われる。
【0043】
例えば、防食剤は、成分1と共に、少なくとも1つの粒子状金属のみならず、水捕捉剤も任意に含むことができる。これに対応する成分2は、結合剤として請求項1に従った乳化剤を含まない水性重合シロキサンを含む。必要な場合には、無機又は有機の抑制剤を成分2に添加する。望ましい実施形態によれば、成分1および2は、組成物が使用されるまで互いに別々に、例えば浸漬槽中で保管される。これによって、例えば浸漬槽中で、この組成物の使用までの保管寿命が伸びる。望ましい実施形態によれば、粒子状金属がその広い表面積のために分解反応を受け易く、有機溶剤によってその分解反応が抑えられる場合に、粒子状金属が有機溶剤と混合される。
【0044】
重合シロキサンは、通常、水溶液中で使用される。しかしながら、純粋水溶液は、望ましいにもかかわらず、いかなる場合も使用できない。成分1および2の組成物に応じて、有機溶剤との混合が必要になる場合がある。単独の形または相互に混合した形で、水とともに用いられる望ましい有機溶剤は、アルコール、芳香族又は脂肪族炭化水素もしくはその両方、ケトン、グリコール、ポリグリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエステル、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、特にジプロピレングリコール、テキサノール、メトキシプロパノール、ブチルグリコールであって、その各場合に、単一溶剤として、または前記溶剤の混合物として、用いられる。前記溶液が添加される各量は、塗膜組成物の全配合に基づき、0.01重量%〜35重量%である。
【実施例】
【0045】
本発明の詳細を以下の実施例でさらに説明する。
結合剤:
【0046】
結合剤1
以下、シラン:粒子のモル比が1:2の結合剤の合成について説明する。
デグッサ社のダイナシラン(登録商標)GLYMO、50グラム(0.21モル)を、シリケート粒子(本事例では、HCスタルク社のレヴァシル(登録商標)200E)127.3グラム(0.42モル)と混合し、室温で1時間撹拌する。1時間後、真空下でメタノールと水を遠心分離して、固体含有率を50%にする。このSiO充填重合結合剤のpH値は、約3.0である。
【0047】
結合剤2
デグッサ社のダイナシラン(登録商標)GLYEOとHCスタルク社のレヴァシル(登録商標)200E、モル比1:6(シラン:SiO)から、次の通りに結合剤2を生成する。
デグッサ社のダイナシラン(登録商標)GLYEO、50グラム(0.18モル)を、HCスタルク社のレヴァシル(登録商標)200E、324.1グラム(1.08モル)と、撹拌しながら混合し、さらに室温で24時間撹拌する。24時間後、固体含有率が50%になるまで真空下でエタノールと水を遠心分離する。
この粒子充填重合シロキサンのpH値は、約3である。
【0048】
結合剤3
ダイナシラン(登録商標)GLYEOとグレースダビッドソン社のルドックス(登録商標)SK、モル比1:6(シラン:SiO)から、次の通りに結合剤3を生成する。
ダイナシラン(登録商標)GLYEO、50グラム(0.18モル)を、ルドックス(登録商標)SK、259.3グラム(1.08モル)と、撹拌しながら混合し、引き続き、室温で24時間撹拌し続ける。24時間後、真空下でエタノールと水を遠心分離して、固体含有率を50%にする。このpH値は、約4.5である。
【0049】
結合剤4
ダイナシラン(登録商標)GLYEOと日産化学工業社のスノーテックス(登録商標)ST−O−40、モル比1:10(シラン:SiO)から、次の通りに結合剤4を生成する。
ダイナシラン(登録商標)GLYEO、50グラム(0.18モル)を、スノーテックス(登録商標)ST−O−40、270.1グラム(1.8モル)と、撹拌しながら混合し、引き続き、室温で24時間撹拌し続ける。24時間後、真空下でエタノールと水を遠心分離して、固体含有率を50%にする。このpH値は、約5である。
【0050】
結合剤5
ダイナシラン(登録商標)GLYEOとスノーテックス(登録商標)ST−O−40、モル比1:6(シラン:SiO)から、次の通りに、高温で結合剤5を生成する。
ダイナシランGLYEO、50グラム(0.18モル)を、スノーテックスST−O−40、162.1グラムと、撹拌しながら混合し、60度でさらに2時間揺り動かす。24時間後、60度で、減圧下でエタノールと水を遠心分離して、固体含有率を50%にする。このpH値は、約5である。
【0051】
前述の結合剤は、すべて、水性で薄膜を形成する重合シロキサンである。それらは、特に表面が金属性の製品(ワークピース)に対し、塗膜として塗布できる。これらの結合剤を完全に硬化させても、遊離するのは、縮合反応による水だけである。これらの重合シロキサンの硬化によって、アルコールその他の揮発性物質が遊離することはない。
【0052】
塗膜組成物:
本発明に係る結合剤の塗膜組成物中での使用について以下に説明する。本実施例に係る塗膜組成物は、2つの成分1および2からなる。これらの成分は、生成後、使用されるまで別個に保管される。この分離保管によって、使用準備が整った状態で、塗膜組成物のより長い保管寿命が保証される。
【0053】
DPG(ジプロピレングリコール)30グラムを溶解機に掛け、HLB−V(親水性・親油性バランス値)約12を含む湿潤剤(本事例では、カルディックドイツ社のネオドール(登録商標)91−5)3グラムと、単量シランの形状の水捕捉剤(本事例では、ダイナシラン(登録商標)GLYMO)2.6グラムを混合する。均質化後、粒子状金属88.3グラムを添加する。ここでは、粒子状金属は、次のようにペーストとして用いられる。すなわち、亜鉛アルミニウム粉末であって、その固体含有率が、使用された粒子状金属100%に基づき亜鉛90±3%、アルミニウム7±3%で、平均粒度が約14μmの粉末を、脂肪族炭化水素と潤滑剤で処理し、ペースト状にして、固体含有率を90±2%に調整する。穏やかな剪断力を掛けながらこのペーストを混ぜ込み、60分間分散させて、高粘度のペーストにする(成分1)。
【0054】
成分2の製造に関しては、1%のジニトロサリチル酸溶液(DNSS溶液)30グラムを、粘度調整のための剪断条件下で、増粘剤4.5グラム(本事例では、デグッサ社のアレロシル(登録商標)200)と混合する(アレロシル(登録商標)200を用いる理由は、これが、ゆっくりと振りまかれてDNSS溶液中に入るためである)。この混合物を60分間分散させる。その後、濃縮されたDNSS/A200溶液を、溶解機により撹拌しながら、結合剤1として上記の通りに生成済みのSiO充填重合結合剤66グラムに添加し、この混合物を60分間均質化する。
【0055】
浸漬槽での生成に関しては、穏やかな剪断条件下で、成分1に成分2をゆっくりと添加する。その後、成分1と2の混合物を溶解機に入れ、約1〜2m/秒の剪断速度で60分間均質化する。60分後、均質化された組成を、さらに1晩(16時間)揺り動かし、翌朝処理できるように準備する。
【0056】
塗膜組成物は、30〜40秒の粘度(フォード4ディスチャージビーカー)と、約5.2のpH値を示す。塗装目的のために、塗膜組成物を、脱イオン水で希釈して、25秒の粘度(フォード4ディスチャージビーカー)にする。調整済み材料は、従来の塗装方法で、様々な基材に塗布できる。
【0057】
従来、塗膜組成物は、ディップスピン工程により、ねじやナットのような大量生産の小物の構成部品に塗布されてきた。しかしながら、塗膜組成物は、塗装される製品に応じて、鋳造、ドクターブレード塗装、噴霧、ローラー塗装又は浸漬によっても、製品、例えば商品に、すなわち、個々に塗装される主要構成部品に、又はコイルに塗布でき、その後、80度で10分間事前乾燥される。その後、塗装済み製品が搬送できる程度になるまで、塗膜は硬化される。最初の塗装後又は塗膜組成物の追加層の塗布後、事前乾燥済み材料を、300度で30分間重合し、すなわち最終硬化させて、該塗膜の最終的な使用特性を得る。
【0058】
この塗装手法が用いられるのは、例えば、ディップスピン工程で、従来的には2回、ねじを塗装する場合である。第1コートの塗布後、第1コートを硬化させ、さらに冷ます。塗膜組成物の第2コートの塗布後、該塗膜を、上記の通りに事前乾燥し、焼成する。
【0059】
塗装されたねじ(DIN931に従ったねじブランクM10×80)が塗装後に示す、例えばDIN931に従った塗膜重量は、1ねじ当たり0.08〜0.120グラムであり、望ましくは0.09〜0.11グラムで、DIN50021に従った塩水噴霧試験での赤錆耐食性は、480時間より大であり、望ましくは600時間より大である。完成塗膜組成物は、22度/55度相対空気湿度で揺り動かし(攪拌し)続けた場合、最小7日間、最大14日間のポットライフ(容器内寿命)を示す。そのような保管中には、揺動(攪拌)し続けながら冷ますだけでなく、粘度とpH値を管理することもまた必要である。塗装前には、脱イオン水を添加して粘度を調整し、25秒(フォード4)にしなければならない。
【0060】
塗膜組成物 トップコート
単独コート又は重複塗装の最終コートとして、製品の表面に塗布される透明トップコートの製造に関しては、塗膜組成物の全配合に基づき、上記結合剤「結合剤1」5重量%と水95重量%とを各々用いて、透明塗膜組成物を生成する。塗膜組成物は任意の塗布手法で塗布できる。例えば、噴霧、ローラー、ドクターブレード又は浸漬によって塗布できる。このトップコートの最終硬化は、150度で20分間に亘って進行する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性で、薄膜を形成する、重合シロキサンを含む結合剤。
【請求項2】
前記重合シロキサンは、アルコキシ基を有し、その含有率は、前記重合シロキサンに基づき、10重量%未満であり、望ましくは5重量%未満、特に望ましくは2重量%未満である、
ことを特徴とする請求項1に記載の結合剤。
【請求項3】
前記結合剤は、アルキルシラン、アルケニルシラン、メタクリルシランおよび、エポキシ基、メルカプタン基、ヒドロキシアルキル基を含むシランの群から選択された単体又は混合物から生成される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の結合剤。
【請求項4】
前記結合剤の各単量体の含有率は、前記結合剤の全固体含有量に基づき、10重量%未満であり、望ましくは5重量%未満、特に望ましくは3重量%未満、有利には1重量%未満である、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つに記載の結合剤。
【請求項5】
前記結合剤から遊離する各アルコールは、前記結合剤の総量に基づき、10重量%未満であり、望ましくは5重量%未満、特に望ましくは2重量%未満である、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つに記載の結合剤。
【請求項6】
前記結合剤には、酸が含まれない、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つに記載の結合剤。
【請求項7】
前記結合剤は、粒子を充填したシロキサンである、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか1つに記載の結合剤。
【請求項8】
前記粒子の寸法は、100μm未満であり、望ましくは50μm以下、特に望ましくは20μm以下、有利には10μm以下、特に有利には1μm未満である、
ことを特徴とする請求項7に記載の結合剤。
【請求項9】
前記粒子の寸法は、1μm未満であり、特に有利には5nm〜100nm、望ましくは10〜55nmである、
ことを特徴とする請求項8に記載の結合剤。
【請求項10】
前記結合剤には、無機粒子、特に二酸化珪素が使用されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の結合剤。
【請求項11】
コロイド状の二酸化珪素又は粒子状の珪酸が使用されている、
ことを特徴とする請求項10に記載の結合剤。
【請求項12】
前記二酸化珪素は、水素−、リチウム−、カリウム−又はナトリウム−ポリシリケートであるか、又は、前記ポリシリケートの混合物の形で、前記結合剤に添加されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の結合剤。
【請求項13】
水溶液中で酸性pH値を示す粒子が使用されている、
ことを特徴とする請求項7ないし12いずれか1つに記載の結合剤。
【請求項14】
前記結合剤には、有機粒子が使用されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の結合剤。
【請求項15】
前記結合剤の製造に用いられる単量シランと前記粒子とを使用する際のモル比は、50:1〜1:50であり、望ましくは20:1〜1:20、有利には10:1〜1:10、特に有利には5:1〜1:5、特に望ましくは2:1〜1:2である、
ことを特徴とする請求項7に記載の結合剤。
【請求項16】
前記結合剤の最終硬化の物体温度は、室温より高く、望ましくは40度より高く、特に望ましくは80度より高く、有利には150度より高く、非常に有利には300度まで、特に有利には500度までである、ことを特徴とする請求項1ないし15いずれか1つに記載の結合剤。
【請求項17】
前記結合剤の最終硬化の時間は、1秒〜90分であり、有利には2分〜60分であり、特に望ましくは3分〜30分である、
ことを特徴とする請求項1ないし16いずれか1つに記載の結合剤。
【請求項18】
前記重合シロキサンの分子量は、200グラム/モル以上であり、望ましくは400グラム/モル以上、特に望ましくは800グラム/モル以上、有利には1000グラム/モル以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の手段。
【請求項19】
前記固体含有率は、0.5%〜90%であり、有利には10%より高く、25%より高く、特に望ましくは50%より高く、有利には70%より高い、
ことを特徴とする請求項1ないし18いずれか1つに記載の結合剤。
【請求項20】
前記pH値は、2〜13であり、望ましくは3〜8である、
ことを特徴とする請求項1ないし19いずれか1つに記載の結合剤。
【請求項21】
前記塗膜組成物の全配合に基づき、0.01重量%〜50重量%の量の補助結合剤が添加されており、前記補助結合剤は、望ましくはアルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル分散剤、フェノキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選択されたものである、
ことを特徴とする請求項1ないし20いずれか1つに記載の結合剤。
【請求項22】
前記水性の重合シロキサンに添加された有機溶剤の割合は、各々、前記結合剤の全配合に基づき、20重量%以下であり、望ましくは10重量%以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の結合剤。
【請求項23】
請求項1ないし20に記載の少なくとも1つに係る結合剤と、さらに、少なくとも1つの添加剤とを含む、金属表面の塗装用の塗膜組成物。
【請求項24】
前記塗膜組成物の固体含有率は、0.5%〜95%であり、望ましくは1%より高く、望ましくは20%より高く、有利には50%より高い、
ことを特徴とする請求項23に記載の塗膜組成物。
【請求項25】
前記結合剤の最終硬化の物体温度は、室温より高く、望ましくは40度より高く、特に望ましくは80度より高く、有利には150度より高く、非常に有利には300度まで、特に有利には500度までである、
ことを特徴とする請求項1ないし24いずれか1つに記載の塗膜組成物。
【請求項26】
前記結合剤の最終硬化の時間は、1秒〜90分であり、有利には2分〜60分、特に望ましくは3分〜30分である、
ことを特徴とする請求項1ないし25いずれか1つに記載の塗膜組成物。
【請求項27】
前記塗膜組成物には、前記結合剤の他に少なくとも1つの添加剤が添加されており、前記添加剤は、硬化期間、基材湿潤の調整用又は硬化温度の調整用又は塗装される金属表面の粘度調整用、もしくはそれらの複合的な調整用であり、前記添加剤の各量は、前記塗膜組成物の全配合に基づき、0.01重量%〜25重量%であり、望ましくは0.1重量%〜10重量である、
ことを特徴とする請求項23に記載の塗膜組成物。
【請求項28】
添加剤として1つ以上の物質が使用されており、前記1つ以上の物質は、水、アルコール、ケトン、グリコール、ポリグリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、ジプロピレングリコール、メトキシプロパノール、ブチルグリコール、テキサノール、芳香族および脂肪族炭化水素を含む群から選択され、さらに、前記添加剤の各使用量は、前記塗膜組成物の全配合に基づき、0.01重量%〜25重量%であり、望ましくは0.1重量%〜15重量%である、
ことを特徴とする請求項23に記載の塗膜組成物。
【請求項29】
添加剤として、ワックス又は潤滑剤もしくはその両方が添加されており、前記添加剤の量は、前記塗膜組成物の全配合に基づき、0.01%〜40%である、
ことを特徴とする請求項23ないし28いずれか1つに記載の塗膜組成物。
【請求項30】
前記ワックスとして使用されているものは、望ましくは、固体又は液体の乳剤又は分散剤であり、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフッ化物、カルナウバろう、又は、異なるワックスの混合物である、
ことを特徴とする請求項29に記載の塗膜組成物。
【請求項31】
添加剤としての触媒又は少なくとも1つの添加剤が、流動学、基材湿潤、消泡、流動性、脱気、顔料湿潤、軟化性を改善するために、又は水捕捉剤として、単独でまたは混合して添加されており、その各添加量は、各々、前記塗膜組成物の全配合に基づき、0.01重量%〜20重量%であり、望ましくは2重量%〜8重量%、特に望ましくは2重量%未満、有利には1重量%未満である、
ことを特徴とする請求項23ないし30いずれか1つに記載の塗膜組成物。
【請求項32】
水捕捉用の添加剤として、単量シラン又は低重合シランか、単量および/または低重合シランの混合物が、使用されており、その使用量は、前記塗膜組成物の全配合に基づき、2.8重量%以下であり、望ましくは2重量%以下、特に望ましくは1重量%以下ある、
ことを特徴とする請求項31に記載の塗膜組成物。
【請求項33】
添加剤として、顔料、顔料ペースト、染料又は充填剤もしくはそれらの組み合わせが使用され、その使用量は、前記塗膜組成物の全配合に基づき、0.01%〜60%である、
ことを特徴とする請求項23ないし32いずれか1つに記載の塗膜組成物。
【請求項34】
前記顔料として、金属粒子、特にアルミニウム粒子が使用されている、
ことを特徴とする請求項33に記載の塗膜組成物。
【請求項35】
前記結合剤には、添加剤として、腐食抑制剤又は腐食防止/抑制顔料もしくはその両方か、該添加剤の固体又は液体形状の混合物が添加されており、前記添加剤は、特に有機腐食抑制剤であり、望ましくは有機ニトロ化合物、特にジニトロサリチル酸であり、その添加量は、前記塗装剤の全配合に基づき、0.01重量%〜30重量%である、
ことを特徴とする請求項23ないし34いずれか1つに記載の塗膜組成物。
【請求項36】
前記結合剤には、添加剤として、特にホウ酸又は酸化ホウ素の群から選択されたホウ素化合物であるか、モリブデン化合物又は燐化合物であって、各々、単体又は混合物として添加されている、
ことを特徴とする請求項23ないし35いずれか1つに記載の塗膜組成物。
【請求項37】
塗装される金属表面の腐食性の改善のために、添加剤として少なくとも1つの粒子状金属が添加され、その添加量は、前記塗膜組成物の全配合に基づき、10重量%〜95重量%であり、望ましくは20重量%〜80重量%、望ましくは20重量%〜60重量%、有利には20重量%〜50重量%である、
ことを特徴とする請求項23ないし36いずれか1つに記載の塗膜組成物。
【請求項38】
亜鉛、アルミニウム、鉄、マンガン、錫を含む群の粒子状金属として、該粒子状金属が、各々、単体、混合物又は合金として使用され、該混合物又は合金が、亜鉛とアルミニウム、鉄、マンガンおよび錫とからなる群の少なくとも2つの金属か、又はクロムニッケル鋼鉄粒子である、
ことを特徴とする請求項37に記載の塗膜組成物。
【請求項39】
前記粒子状の金属は、ビーズ、球状粒子、薄層又はフレークの形で使用される、
ことを特徴とする請求項37に記載の塗膜組成物。
【請求項40】
前記塗膜組成物には、前記粒子状の金属向けの溶剤が添加され、前記溶剤は、特に有機溶剤であり、望ましくは、ケトン、メトキシプロパノール、ブチルグリコール、グリコール、ポリグリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、グリコールエーテルエステル、ジプロピレングリコール、テキサノール、芳香族および脂肪族炭化水素、並びにアルコール、又は前記有機溶剤の混合物であり、その添加量は、前記塗膜組成物の全配合に基づき、0.01〜35重量%である、
ことを特徴とする請求項37に記載の塗膜組成物。
【請求項41】
金属表面の塗装用の塗膜組成物であって、成分1を含み、
前記成分1は、
− 少なくとも1つの粒子状金属、
− 該粒子状金属向けの有機溶剤、
− 任意に、前記粒子状金属向けの腐食抑制剤、および、1つの成分2を含み、
前記成分2は、
− 結合剤として請求項1ないし23に記載の少なくとも1つに係る水性で薄膜を形成する重合シロキサンを含む、
ことを特徴とする塗膜組成物。
【請求項42】
前記成分1又は成分2もしくはその両方には、さらなる添加剤が添加されている、
ことを特徴とする請求項41に記載の塗膜組成物。
【請求項43】
前記塗膜組成物の少なくとも2つの成分1および2は、使用されるまで別個に保管される、
ことを特徴とする請求項23ないし40いずれか1つに記載の塗膜組成物。
【請求項44】
請求項23ないし43に記載の少なくとも1つに係る完全硬化塗装剤から形成された塗膜を含む、製品。

【公表番号】特表2007−529588(P2007−529588A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503304(P2007−503304)
【出願日】平成17年3月21日(2005.3.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002984
【国際公開番号】WO2005/090502
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(501241173)エーヴァルト デルケン アーゲー (7)
【Fターム(参考)】