説明

シンクライアントシステム

【課題】情報セキュリティの管理下において、本社にあるリモートデスクトップサービスを提供するサーバで管理されたデータを遠隔地で印刷できるようにする。
【解決手段】シンクライアントシステムは、サーバ装置30は、PC端末20からリモートデスクトップ機能によって処理されたデータをプリンタ40へ出力するように指示があると、管理手段によって管理されたプリンタ情報に基づいて、前記データを印刷データとしてPC端末20に対して送信し、PC端末20は、サーバ装置30から送信された印刷データをプリンタ40から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモートデスクトップ機能を提供するサーバ装置とシンクライアント装置とがネットワークを介して接続されたシンクライアントシステムに関するものであり、特に、サーバ装置にあるデータをユーザが使用するシンクライアント装置に接続された出力機器に出力することができるようにしたシンクライアントシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小型で軽量なパソコンが普及するにつれて、パソコンを会社から離れた遠隔地に持ち出して利用したいというニーズが高まりつつある。それに伴って、機密情報が社外に漏洩をすることを防止するために、データの保管は専ら本社にあるサーバ上でのみ行い、パソコン内にハードディスクなどの記憶装置を備えず、サーバ上のデータを利用して計算指示および計算結果の表示を行うための画面情報のみを通信によってサーバとの間で送受信するシンクライアントパソコンが知られている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1(特開2005−228227号公報)には、シンクライアント端末上に表示されるGUI(グラフィックユーザインタフェース)での操作をサーバ上で実行されるアプリケーションへ送信し、この操作に基づいてアプリケーションが実行され、実行結果がシンクライアント端末に送信され、シンクライアント端末上に表示されるGUIに反映させる技術が開示されている。
【0004】
この特許文献1に開示されたシンクライアントシステムは、アプリケーションプログラムを実行するコンピュータ装置からなるサーバと、前記サーバとの間で通信を行い、前記サーバ上で実行されるアプリケーションプログラムのGUIを表示すると共に該GUIへユーザによって加えられた変更を前記サーバに送信するコンピュータ装置からなるシンクライアント端末とから構成されるシンクライアントシステムにおいて、前記サーバと前記シンクライアント端末のそれぞれは、前記GUIコンポーネント単位で属性に対応付けて定義されたコマンドを記憶しており、前記サーバは、前記GUIコンポーネントの属性を、前記コンポーネント単位で定義されたコマンドに変換し、前記属性に対応するコマンドを前記シンクライアント端末に送信すると共に、前記シンクライアント端末から受信したコマンドに対応する属性に基づいて前記アプリケーションプログラムを実行し、前記シンクライアント端末は、前記GUIコンポーネントの属性を、各コンポーネント単位で定義されたコマンドに変換し、ユーザの操作によって変更されたGUIコンポーネントの属性に対応するコマンドを前記サーバに送信すると共に、前記サーバから受信したコマンドに対応する属性に基づいてGUIを表示するように構成したものである。
【0005】
【特許文献1】特開2005−228227号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遠隔地においてシンクライアントパソコンを利用しながら印刷も行いたいというニーズがあるが、印刷は情報漏洩の一因となるため従来のシンクライアントパソコンではプリンタとは接続できないように設計されているため、シンクライアントパソコンの使用場所で印刷をすることができないという問題点があった。
【0007】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、TCP/IP通信とVPN(Virtual Private Network)によりインターネット上に仮想閉域通信網を確立して搬送データを暗号化して通信するようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、情報セキュリティの管理下において、本社にあるリモートデスクトップサービスを提供するサーバで管理されたデータを遠隔地で印刷できるようしたシンクライアントシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
シンクライアント装置と、前記シンクライアント装置にリモートデスクトップ機能を提供するサーバ装置とがネットワークを介して接続されたシンクライアントシステムにおいて、
前記シンクライアント装置は出力機器と接続され、
前記サーバ装置は、前記シンクライアント装置が前記ネットワークを介して接続されると取得する前記出力機器の情報を管理する管理手段を備え、
前記サーバ装置は、前記シンクライアント装置から前記リモートデスクトップ機能によって処理されたデータを前記出力機器へ出力するように指示があると、前記管理手段によって管理された出力機器情報に基づいて、前記データを出力データとして前記シンクライアント装置に対して送信し、
前記シンクライアント装置は、前記サーバ装置から送信された出力データを前記出力機器から出力することを特徴とする。
【0010】
また、本願の請求項2にかかる発明は、
複数のシンクライアント装置と、前記複数のシンクライアント装置にリモートデスクトップ機能を提供するサーバ装置とがネットワークを介して接続されたシンクライアントシステムにおいて、
前記複数のシンクライアント装置のうち少なくとも1つのシンクライアント装置は出力機器と接続され、
前記サーバ装置は、前記出力機器と接続されたシンクライアント装置が前記ネットワークを介して接続されると取得する前記出力機器の情報を管理する管理手段を備え、
前記サーバ装置は、前記複数のシンクライアント装置のうち前記出力機器と接続されていないシンクライアント装置から前記リモートデスクトップ機能によって処理されたデータを前記出力機器へ出力するように指示があると、前記管理手段によって管理された出力機器情報に基づいて、前記データを出力データとして前記出力機器と接続されたシンクライアント装置に対して送信し、
前記出力機器と接続されたシンクライアント装置は、前記サーバ装置から送信された出力データを前記出力機器から出力することを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかるシンクライアントシステムにおいて、前記出力機器は、プリンタであることを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項にかかるシンクライアントシステムにおいて、前記ネットワークはVPN通信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1にかかる発明においては、シンクライアントシステムは、サーバ装置は、シンクライアント装置からリモートデスクトップ機能によって処理されたデータを出力機器へ出力するように指示があると、管理手段によって管理された出力機器情報に基づいて、前記データを出力データとして前記シンクライアント装置に対して送信し、前記シンクライアント装置は、前記サーバ装置から送信された出力データを前記出力機器から出力する。
【0014】
このような構成によれば、情報セキュリティの管理下において、本社にあるリモートデスクトップサービスを提供するサーバ装置で管理されたデータを遠隔地にあるシンクライアント装置に接続された出力装置において出力できるようになるので、シンクライアント装置の利便性を向上させることができるようになる。
【0015】
請求項2にかかる発明においては、シンクライアントシステムは、サーバ装置は、複数のシンクライアント装置のうち出力機器と接続されていないシンクライアント装置からリモートデスクトップ機能によって処理されたデータを出力機器へ出力するように指示があると、管理手段によって管理された出力機器情報に基づいて、前記データを出力データとして前記出力機器と接続されたシンクライアント装置に対して送信し、前記出力機器と接続されたシンクライアント装置は、前記サーバ装置から送信された出力データを前記出力機器から出力する。
【0016】
このような構成によれば、情報セキュリティの管理下において、本社にあるリモートデスクトップサービスを提供するサーバ装置で管理されたデータを遠隔地にある出力機器と接続されていないシンクライアント装置からの出力指示によってシンクライアント装置に接続された出力機器において出力できるようになるので、シンクライアント装置の利便性を向上させることができるようになる。
【0017】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかるシンクライアントシステムにおいて、前記出力機器をプリンタとする。
【0018】
このような構成によれば、情報セキュリティの管理下において、本社にあるリモートデスクトップサービスを提供するサーバ装置で管理されたデータを遠隔地にあるプリンタと接続されている、あるいは接続されていないシンクライアント装置からの印刷指示によってシンクライアント装置に接続されたプリンタにおいて印刷できるようになるので、シンクライアント装置の利便性を向上させることができるようになる。
【0019】
請求項4にかかる発明においては、請求項1ないし請求項3の何れか1項にかかるシンクライアントシステムにおいて、前記ネットワークはVPN通信を行う構成とする。
【0020】
このような構成によれば、情報セキュリティの管理下において、本社にあるリモートデスクトップサービスを提供するサーバ装置で管理されたデータを遠隔地にあるプリンタなどの出力機器と接続されている、あるいは接続されていないシンクライアント装置からの出力指示によってシンクライアント装置に接続された出力機器において出力できるようになるので、シンクライアント装置の利便性を向上させることができるようになるとともに、情報漏洩の危険性をさらに低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのシンクライアントシステムを例示するものであって、本発明をこのシンクライアントシステムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のシンクライアントシステムにも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1におけるシンクライアントシステムの構成を示す図である。本実施例にかかるシンクライアントシステムは、遠隔地200にいるユーザが携帯するシンクライアント装置としてのパーソナルコンピュータ(PC)端末20と、このPC端末20と接続されたUSBメモリユニット10と、このPC端末20と接続された出力機器としてのプリンタ40と、本社300に設置されたサーバ装置30と、サーバ装置30とローカルなネットワーク(イントラネット)である本社LAN400を介して接続されたVPN装置50と、PC端末20とVPN装置50を接続するネットワーク(インターネット)100と、を含んで構成されている。
【0023】
図2は、本発明の実施例におけるPC端末20の構成を示すブロック図である。
本実施例にかかるPC端末20は、制御部21、通信インターフェース部22、表示部23、操作部24、電源部25、などを備えているが、通常のコンピュータ装置のようにOS起動プログラムやOSをインストールしたハードディスク装置を備えていない。したがって、PC端末20単体ではコンピュータ装置として動作することができない構成である。
【0024】
制御部21は、CPUや、CPUを動作させるためのプログラムデータが格納されたフラッシュメモリなどから成るマイクロプロセッサを含んで構成されている。制御部21を構成する各ソフトウェアとしてフラッシュメモリに格納されたプログラムデータは、装着された無線LANインターフェースデバイスに対応したデバイスドライバである無線LANインターフェース・デバイスドライバ、IEEE 802.11bおよび802.11g規格の通信に対応し、PPP(Point to Point Protocol)によるTCP/IP通信を確立するための無線LAN通信接続プログラムを含んでいる。
【0025】
また、装着されたモデムに対応したデバイスドライバであるモデム・デバイスドライバ、装着されたモデムの通信に対応し、PPPによるTCP/IP通信を確立するためのPPP通信プログラムを含んでいる。
【0026】
さらに、装着されたUSBポートデバイスに対応したUSB・デバイスドライバ、確立されたTCP/IP通信の上で、PPTP(Point to Point Tunneling Protocol)またはSSL(Secure Socket Layer)またはIPsecによるVPN通信を確立するためのVPN通信プログラムを含んでいる。
【0027】
さらに、無線LAN、モデム、PPP通信、VPN通信のそれぞれのパラメータを操作部24から入力し、表示部23に表示し、各プログラムから読み込みできるようにフラッシュメモリに保存するための通信パラメータ入出力プログラムを含んでいる。ここで、パラメータとして、PC端末20のIPアドレス、サブネットマスク、接続先のIPアドレス、無線LANのSSIDおよびWEPキー、VPN通信の宛先アドレス、ログインIDおよびパスワードを含んでいる。
【0028】
さらに、本発明の実施例のPC端末20においては、フラッシュメモリに格納されたプログラムデータとして、VPN通信プログラムに基づいてサーバ装置30から受信された印刷データをプリンタ40へ出力するプログラムを含んでいる。
【0029】
制御部21は、上記のハードウェアおよびソフトウェアの構成によって、主にPC端末20の各部の制御を行うとともに、サーバ装置20との通信のためのネットワーク上のプロトコル制御を行うことによりネットワーククライアントコンピュータとして動作し、サーバ装置20から伝送された印刷データをプリンタ40へ出力するプリンタサーバコンピュータとして動作する。
【0030】
通信インターフェース部22は、有線LANインターフェース221、無線LANインターフェース222、モデムインターフェース223、USBインターフェース224などの各モジュールを備え、有線LANインターフェースモジュールは、ネットワーク100上のVPN回線を用いてVPN装置50との間で通信路の確立処理を行い、通信路確立後、VPN装置50を介してサーバ装置30へ印刷指示を送信し、また、サーバ装置30から印刷データを受信する。
【0031】
無線LANインターフェースモジュールは、IEEE_802.11bおよび802.11g規格に準拠し、ダイバーシティアンテナを内蔵した無線インターフェースであり、同規格の無線LANインターフェースを備えたプリンタなどの出力機器と無線によってデータの送受信を行うためのものである。
【0032】
モデムインターフェースモジュールは、ITU−T_V.34bis、V.34、V.32、V.22bis、V.22、V.23、V.34bis、Bell_212Aおよび103規格に準拠し、最高通信速度134.4Kbpsまでのスループットでデータ通信が可能なインターフェースであり、同規格のモデムインターフェースを備えた携帯電話端末などと接続可能である。
【0033】
USBインターフェースモジュールは、USBおよびUSB2.0_Hi−Speed規格に準拠し、USBメモリユニット10を接続するためのUSBポートである。また、同規格のUSBインターフェースを備えたプリンタなどの出力装置と接続可能である。
【0034】
表示部23は、液晶ディスプレイ(LCD)により構成されており、サーバ装置20での処理結果など種々のデータを表示する部分である。操作部24は、英文字および数字を入力できるテンキーを備えたキーボード、マウス、タッチパネルなどにより構成されており、各種データの入力を行う部分である。電源部25は、充電池および内部各部へ3.3〜16Vの直流電源を供給するためのDC−DCインバータおよび定電圧機構を備えた電源ユニットである。
【0035】
PC端末20は、内部にOS起動プログラムやOSをインストールしたハードディスク装置を備えていないため、OS起動プログラムやOSをインストールされたリムーバブルなUSBメモリユニット10をPC端末20に接続してOSの起動を行っている。
【0036】
そして、OSの起動によりシステムが立ち上がると、PC端末20は、リモートデスクトップ機能を提供するサーバ装置30とネットワークを介して接続することにより、サーバ装置上においてアプリケーションを実行させてデータの処理などを行わせている。そして、PC端末20は、その処理結果を表示して、データの印刷指示などの各種処理操作をサーバ装置30に対して行っている。さらに、PC端末20は、内部にデータを格納するハードディスク装置を備えていないため、サーバ装置上においてデータの格納を行わせている。
【0037】
図3は、本発明の実施例におけるUSBメモリユニット10の構成を示すブロック図である。本実施例にかかるUSBメモリユニット10は、USBコントローラ11、入出力部12、メモリ部13、制御記憶部14、などを備えている。
【0038】
メモリ部13は、PC端末20からハードディスクドライブとして認識される記憶領域13aを備えたメモリチップで構成されている。制御記憶部14にはメモリ部13のどの論理ブロックがハードディスクドライブとして使用される領域であるかを示す情報が記憶されている。これによりPC端末20のUSBドライバは、USBメモリユニット10が接続された時、メモリ部13の所定の記憶領域13aをハードディスクドライブとして認識する。
【0039】
この記憶領域13aはメモリ部13の先頭アドレスから所定の記憶容量の論理ブロックが割り当てられ、その先頭の512バイトにはMBR131が記憶され、MBR131の記憶位置に対する相対アドレスで特定される記憶場所からOS起動プログラム132が記憶されている。さらに、記憶領域13aにはOS本体133が記憶されている。
【0040】
OS起動プログラム132は、OS本体133を起動するための最小限のプログラムが記憶されたものであり、OS本体133の記憶された領域をサーチするサーチスクリプトが含まれる。また、OS起動プログラム132には、例えばOSのデスクトップ画面を表示するプログラムなど、OS本体133を起動するために最小限必要になるプログラムが記憶されている。
【0041】
OS起動プログラム132の記憶位置の先頭アドレスはMBR131に記憶されるが、MBR131の記憶位置に対して相対アドレスとして記憶される。従ってMBR131を読み出して、そこに記憶された相対アドレス位置を先頭として記憶されているOS起動プログラム132を読み出して実行することができる。OS起動プログラム132にはOS本体133が記憶された領域をサーチするサーチスクリプトが記憶されているから、これを実行することによってOS本体133の記憶位置を特定してOSを起動することができ る。
【0042】
ユーザはPC端末20を使用する場合、USBメモリユニット10をPC端末20のUSBインターフェースに接続し、BIOSによってMBR131を読み出してOS起動プログラム132を作動させてOS本体133を起動すると、入出力部12、USBインターフェースを経由してPC端末20の表示部23、操作部24との間で情報の送受信が可能になり、USBメモリユニット10のメモリ部13がPC端末20の一部として動作するようになる。
【0043】
PC端末20は、OSが起動されるとサーバ装置30との間で通信路の確立処理を行うことができる。通信路確立後には、ユーザは、サーバ装置30のリモートデスクトップ機能を利用してサーバ装置30上にあるデータを文書作成などのアプリケーションで修正したり、新たな文書を作成してサーバ装置30に保存したりすることが可能となる。
【0044】
図4は、本発明の実施例におけるサーバ装置30の構成を示すブロック図である。
本実施例にかかるサーバ装置30は、制御部31、通信インターフェース部32、記憶部33、管理手段としてのプリンタ管理部34、などを備えて構成されている。
【0045】
制御部31は、CPUや、CPUを動作させるためのプログラムデータが格納されたフラッシュメモリなどから成るマイクロプロセッサを含んで構成されている。ここで、制御部31を構成する各ソフトウェアとしてフラッシュメモリに格納されたプログラムデータは、カーネル、TCP/IP通信プログラム、I/Oドライバなどから構成されるオペレーティングシステム(OS)と、PC端末20と同じく、PPP通信プログラム、VPN通信プログラム、通信パラメータ入出力プログラムなどを含めて構成されている。
【0046】
制御部31は、上記のハードウェアおよびソフトウェアの構成によって、主にサーバ装置30の各部の制御を行うとともに、他の外部機器との通信のためのネットワーク上のプロトコル制御を行うことによりネットワーククライアントコンピュータとして動作する。
【0047】
通信インターフェース部32は、有線LANインターフェース321のモジュールを備え、本社LAN400上のVPN回線を用いてVPN装置50との間で通信路の確立処理を行い、通信路確立後、PC端末20から印刷指示を受信することが可能である。
【0048】
記憶部33は、プリンタ40で出力する印刷データを格納したり、途中で出てきた処理データを一時的或いは長期的に蓄積したりするために用いるためのもので、好ましくは大容量の記憶容量を有するハードディスクが用いられる。
【0049】
プリンタ管理部34は、PC端末20が利用するプリンタ40をPC端末20のホスト名でアクセスできるネットワークプリンタとして管理するためのプリンタ情報と、与えられたイメージデータをそれぞれのプリンタに適したページ記述言語(印刷データ)に変換したり、実際にプリンタ機器と通信を行い、プリンタの状態等を調べたりする機能を備えたプリンタ機種に対応するドライバを備えている。新しいドライバは、予め本社LAN400、ネットワーク100等を通してインストールするものとする。
【0050】
また、本実施例のサーバ装置30においては、プリンタ管理部34が、Windows(登録商標) Terminal ServiceなどのリモートデスクトップをPC端末20のユーザに提供するターミナル・サービス機能と、PC端末20がVPN装置50を介して本社LAN400に接続した際にIPアドレスやネットマスクなどのネットワーク設定を自動的に実施するDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サービス機能と、PC端末20に割り振られたIPアドレスに対して、PC端末20からの要求により、このIPアドレスに対するホスト名(接続されたコンピュータを示すユニークな名称)を対応付け、名前の解決を図るダイナミックDNS(Dynamic Domain Name System)サービス機能を備えている。
【0051】
サーバ装置30は、PC端末20が利用を開始してVPN装置50を介して本社LAN400に接続した場合、PC端末20に接続されたプリンタ40をターミナル・サービス(リモートデスクトップ)機能から利用することができるようにするために、PC端末20に対してDHCPサービス機能によってIPアドレスを割り振っている。
【0052】
そして、PC端末20からダイナミックDNSサービス機能に対して、割り振られたIPアドレスと利用するプリンタ40に対応付けられたホスト名とが通知されるので、通知を受けたダイナミックDNSサービス機能は、ホスト名とIPアドレスとの対応付けを行っている。
【0053】
PC端末20がターミナル・サービス(リモートデスクトップ)機能を利用して文書などを作成している際に、作成中の文書をPC端末20に接続されたプリンタ40に対して印刷するように指示すると、リモートデスクトップを実行しているサーバ装置30は、VPN装置50を介して印刷データをPC端末20に送信する。そして、PC端末20は、受信した印刷データを接続されているプリンタ40へ送信し、プリンタ40は印刷処理を実行する。
【0054】
図5は、本発明の実施例におけるプリンタ40の構成を示すブロック図である。本実施例にかかるプリンタ40は、制御部41、印刷駆動部42、印刷制御部43、通信インターフェース部44、表示部45、操作部46、電源部47、などを備えて構成されている。
【0055】
制御部41は、CPUと、主記憶メモリおよびCPUを動作させるためのOSとプログラムが格納されたフラッシュメモリを含んだハードウェア構成をしている。ここで、制御部41を構成する各ソフトウェアとしてフラッシュメモリに格納されたプログラムデータは、OSと、PC端末20と同じく、無線LANインターフェース・デバイスドライバ、無線LAN通信接続プログラム、モデム・デバイスドライバ、PPP通信プログラム、USB・デバイスドライバ、VPN通信プログラム、通信パラメータ入出力プログラムを含んでいる。
【0056】
さらに、本発明の実施例のプリンタ40においては、フラッシュメモリに格納されたプログラムデータとして、USBインターフェースなどを介してPC端末20から出力された印刷データを印刷制御部43へ出力するプログラムを含んでいる。
【0057】
制御部41は、上記のハードウェアおよびソフトウェアの構成によって、主にプリンタ40の各部の制御を行うとともに、PC端末20との通信のためのネットワーク上のプロトコル制御を行うことによりネットワーククライアントコンピュータとして動作し、PC端末20から伝送された印刷データを印刷制御部43へ出力するプリンタサーバコンピュータとして動作する。
【0058】
印刷駆動部42は、用紙に印刷データを印字する機械的作動部分であり、印刷制御部43は、PC端末20からの印刷データの入力を受けて、印刷駆動部42を作動させる制御部分である。
【0059】
通信インターフェース部44は、有線LANインターフェース441、無線LANインターフェース442、モデムインターフェース443、USBインターフェース444などの各モジュールを備え、有線LANインターフェースモジュールは、ネットワーク100上のVPN回線を用いてVPN装置50との間で通信路の確立処理を行い、通信路確立後、サーバ装置30から印刷データを受信することが可能である。
【0060】
無線LANインターフェースモジュールは、IEEE_802.11bおよび802.11g規格に準拠し、ダイバーシティアンテナを内蔵した無線インターフェースであり、同規格の無線LANインターフェースを備えたPC端末20から印刷データを受信することが可能である。
【0061】
モデムインターフェースモジュールは、ITU−T_V.34bis、V.34、V.32、V.22bis、V.22、V.23、V.34bis、Bell_212Aおよび103規格に準拠し、最高通信速度134.4Kbpsまでのスループットでデータ通信が可能なインターフェースであり、同規格のモデムインターフェースを備えた携帯電話端末などと接続可能である。
【0062】
USBインターフェースモジュールは、USBおよびUSB2.0_Hi−Speed規格に準拠し、同規格のUSBインターフェースを備えたPC端末20から印刷データを受信することが可能である。
【0063】
表示部45、液晶ディスプレイ(LCD)により構成されており、プリンタ40での処理状況など種々のデータを表示する部分である。操作部46は、英文字および数字を入力できるテンキーを備え、各種データの入力を行う部分である。電源部47は、充電池および内部各部へ3.3〜16Vの直流電源を供給するためのDC−DCインバータおよび定電圧機構を備えた電源ユニットである。
【0064】
プリンタ40は、PC端末20に接続されると、PC端末20を介してVPN通信により本社のVPN装置50を経て本社LAN400に接続され、サーバ装置30からネットワークプリンタとして認識されるようになる。したがって、同じく本社LAN400に接続されているPC端末20は、サーバ装置30を介してこのプリンタ40が本社LAN400にあるように認識できるので、このプリンタ40への印刷指示をサーバ装置30へ出すことができるようになる。
【0065】
VPN装置50は、公開鍵証明書等を用いて、ネットワーク(インターネット)100に接続されたPC端末20の認証を行い、本社LAN400に接続されたサーバ装置30へアクセス可能な端末であることを確認する。
【0066】
次に、本発明の実施例1におけるシンクライアントシステムの処理手順について説明する。図6は、本発明の実施例1におけるシンクライアントシステムの各部の処理手順を示すシーケンス図である。図6に示す動作手順は、PC端末20の制御部21、サーバ装置30の制御部31、プリンタ40の制御部41がそれぞれ制御プログラムを実行することで実現される。
【0067】
図6のシーケンス図において、まず、PC端末20はステップS−201の処理においてUSBメモリユニット10を接続させてOSの起動を行い、OSの起動によりシステムが立ち上がると、ステップS−202の処理においてリモートデスクトップ機能を提供するサーバ装置30に対してネットワーク100を介して接続要求を行うことによってサーバ装置30との間で通信路の確立処理を行う。
【0068】
サーバ装置30は、ステップS−202の接続要求を受けて、ステップS−301の処理においてDHCPサービス機能によってPC端末20に対して割り振られたIPアドレスを通知する。PC端末20は、ステップS−203の処理において、PC端末20が利用するプリンタ40に対応するホスト名を、ステップS−301にて割り振られたIPアドレスとともにサーバ装置30に通知する。
【0069】
サーバ装置30は、ステップS−203の通知を受けて、ステップS−302の処理においてダイナミックDNSサービス機能によってホスト名とIPアドレスとの対応付けを行うとともに、IPアドレスやネットマスクなどのネットワーク設定を行う。
【0070】
次いで、PC端末20は、サーバ装置30のリモートデスクトップ機能を利用してデータの処理などを行い、ステップS−204の処理において、処理中のデータをプリンタ40に出力するためにサーバ装置30に対して印刷指示を行う。
【0071】
サーバ装置30は、ステップS−204の指示を受けて、ステップS−303の処理においてPC端末20によって出力先として指定されたプリンタ40に適した印刷データを作成し、ステップS−304の処理においてネットワーク100を介して作成された印刷データをPC端末20へ送信する。
【0072】
PC端末20は、ステップS−304にて送信された印刷データを受信すると、ステップS−205の処理においてプリンタ40に対してその印刷データを送信する。プリンタ40は、ステップS−401の処理において受信した印刷データを出力(印刷)する。
【0073】
このように、サーバ装置30上あるアプリケーションソフトウェアにより処理されたデータをユーザが遠隔地のPC端末20から印刷指示すると、サーバ装置30上で処理された結果データは印刷データとして、本社LAN400からVPN装置50を経由して、ネットワーク(インターネット)100上をVPN通信による暗号化データで搬送され、PC端末20に届き、このPC端末20に接続されたプリンタ40にて印刷出力される。
【実施例2】
【0074】
次に、本発明の実地例2の構成について説明する。図7は、本発明の実施例2におけるシンクライアントシステムの構成を示す図である。
【0075】
実施例2にかかるシンクライアントシステムの構成は図1に示す実施例1の構成に加えて、遠隔地200にいる別のユーザが携帯するシンクライアント装置としてのPC端末60がネットワーク(インターネット)100に接続されている。PC端末60の構成は図2に示す構成と同様であり、図7に示すサーバ装置30、プリンタ40などのその他の構成は実施例1と同様である。
【0076】
そして、PC端末60は、サーバ装置30のリモートデスクトップ機能を利用してデータの処理などを行い、処理中のデータについての印刷指示をサーバ装置30に対して行うと、サーバ装置30は、PC端末60の近くにあるPC端末20に接続されたプリンタ40に出力するようにしたものである。
【0077】
本発明の実施例2におけるシンクライアントシステムの処理手順について説明する。
図8は、本発明の実施例2におけるシンクライアントシステムの各部の処理手順を示すシーケンス図である。図8に示す動作手順は、PC端末20の制御部21、サーバ装置30の制御部31、プリンタ40の制御部41がそれぞれ制御プログラムを実行することで実現される。
【0078】
図8のシーケンス図において、まず、PC端末20はステップS−211の処理おいてUSBメモリユニット10を接続させてOSの起動を行い、OSの起動によりシステムが立ち上がると、ステップS−212の処理においてリモートデスクトップ機能を提供するサーバ装置30に対してネットワーク100を介して接続要求を行うことによってサーバ装置30との間で通信路の確立処理を行う。
【0079】
サーバ装置30は、ステップS−212の接続要求を受けて、ステップS−311の処理においてDHCPサービス機能によってPC端末20に対して割り振られたIPアドレスを通知する。PC端末20は、ステップS−203の処理において、PC端末20が利用するプリンタ40に対応するホスト名を、ステップS−311にて割り振られたIPアドレスとともにサーバ装置30に通知する。
【0080】
サーバ装置30は、ステップS−213の通知を受けて、ステップS−312の処理においてダイナミックDNSサービス機能によってホスト名とIPアドレスとの対応付けを行うとともに、IPアドレスやネットマスクなどのネットワーク設定を行う。
【0081】
次いで、PC端末60はステップS−611の処理おいてUSBメモリユニット10を接続させてOSの起動を行い、OSの起動によりシステムが立ち上がると、ステップS−612の処理においてリモートデスクトップ機能を提供するサーバ装置30に対してネットワーク100を介して接続要求を行うことによってサーバ装置30との間で通信路の確立処理を行う。
【0082】
サーバ装置30は、ステップS−612の接続要求を受けて、ステップS−313の処理においてDHCPサービス機能によってPC端末60に対して割り振られたIPアドレスを通知する。PC端末60は、ステップS−613の処理において、PC端末60が利用するプリンタ40に対応するホスト名を、ステップS−313にて割り振られたIPアドレスとともにサーバ装置30に通知する。
【0083】
サーバ装置30は、ステップS−613の通知を受けて、ステップS−314の処理においてダイナミックDNSサービス機能によってホスト名とIPアドレスとの対応付けを行うとともに、IPアドレスやネットマスクなどのネットワーク設定を行う。
【0084】
その後、PC端末60は、サーバ装置30のリモートデスクトップ機能を利用してデータの処理などを行い、ステップS−614の処理において、処理中のデータをプリンタ40に出力するためにサーバ装置30に対して印刷指示を行う。
【0085】
サーバ装置30は、ステップS−614の指示を受けて、ステップS−315の処理においてPC端末60によって出力先として指定されたプリンタ40に適した印刷データを作成し、ステップS−316の処理においてネットワーク100を介して作成された印刷データをPC端末20へ送信する。
【0086】
PC端末20は、ステップS−316にて送信された印刷データを受信すると、ステップS−214の処理においてプリンタ40に対してその印刷データを送信する。プリンタ40は、ステップS−411の処理において受信した印刷データを出力(印刷)する。
【0087】
このように、サーバ装置30上にあるアプリケーションソフトウェアにより処理されたデータをユーザが遠隔地のPC端末60から印刷指示すると、サーバ装置30上で処理された結果データは印刷データとして、本社LAN400からVPN装置50を経由して、ネットワーク(インターネット)100上をVPN通信による暗号化データで搬送され、PC端末20に届き、このPC端末20に接続されたプリンタ40にて印刷出力される。
【0088】
なお、上記実施例では、PC端末20に接続された出力機器として、プリンタを例に示したが、本発明はこれに限らず、例えば、外付けハードディスク装置などのデータを記憶できる形態の出力機器であってもよい。
【0089】
以上、詳細に説明したように本発明によれば、情報セキュリティの管理下において、本社にあるリモートデスクトップサービスを提供するサーバで管理されたデータを遠隔地で印刷できるようにしたシンクライアントシステムを提供することができるようになる。
【0090】
また、本発明によれば、TCP/IP通信とVPN通信によりインターネット上に仮想閉域通信網を確立して搬送データを暗号化して通信することが可能なため、シンクライアントパソコンから情報漏洩をおこさないという機能を損ねることなく、本社のサーバにおいて管理された状態の下でシンクライアントパソコンと同じ遠隔地で印刷を行うことができるようになり、シンクライアントパソコンの利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施例1におけるシンクライアントシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例におけるPC端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例におけるUSBメモリユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例におけるサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例におけるプリンタの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施例1におけるシンクライアントシステムの各部の処理手順を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の実施例2におけるシンクライアントシステムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施例2におけるシンクライアントシステムの各部の処理手順を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0092】
10・・・・USBメモリユニット
20・・・・パーソナルコンピュータ(PC)端末
30・・・・サーバ装置
40・・・・プリンタ
50・・・・VPN装置
100・・・・ネットワーク(インターネット)
200・・・・遠隔地
300・・・・本社

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクライアント装置と、前記シンクライアント装置にリモートデスクトップ機能を提供するサーバ装置とがネットワークを介して接続されたシンクライアントシステムにおいて、
前記シンクライアント装置は出力機器と接続され、
前記サーバ装置は、前記シンクライアント装置が前記ネットワークを介して接続されると取得する前記出力機器の情報を管理する管理手段を備え、
前記サーバ装置は、前記シンクライアント装置から前記リモートデスクトップ機能によって処理されたデータを前記出力機器へ出力するように指示があると、前記管理手段によって管理された出力機器情報に基づいて、前記データを出力データとして前記シンクライアント装置に対して送信し、
前記シンクライアント装置は、前記サーバ装置から送信された出力データを前記出力機器から出力することを特徴とするシンクライアントシステム。
【請求項2】
複数のシンクライアント装置と、前記複数のシンクライアント装置にリモートデスクトップ機能を提供するサーバ装置とがネットワークを介して接続されたシンクライアントシステムにおいて、
前記複数のシンクライアント装置のうち少なくとも1つのシンクライアント装置は出力機器と接続され、
前記サーバ装置は、前記出力機器と接続されたシンクライアント装置が前記ネットワークを介して接続されると取得する前記出力機器の情報を管理する管理手段を備え、
前記サーバ装置は、前記複数のシンクライアント装置のうち前記出力機器と接続されていないシンクライアント装置から前記リモートデスクトップ機能によって処理されたデータを前記出力機器へ出力するように指示があると、前記管理手段によって管理された出力機器情報に基づいて、前記データを出力データとして前記出力機器と接続されたシンクライアント装置に対して送信し、
前記出力機器と接続されたシンクライアント装置は、前記サーバ装置から送信された出力データを前記出力機器から出力することを特徴とするシンクライアントシステム。
【請求項3】
前記出力機器は、プリンタであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシンクライアントシステム。
【請求項4】
前記ネットワークはVPN通信を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のシンクライアントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−128991(P2009−128991A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300436(P2007−300436)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(503172138)株式会社応用電子 (23)
【Fターム(参考)】