説明

シンナモイル−ピペラジン誘導体およびPAR−1拮抗薬としてのそれらの使用

本発明は、一般式(I)〔式中:Rはハロゲン、CNまたはNOを表し、Rは水素またはハロゲンを表し、nは1または2を表し、Rは、1つ以上のハロゲンもしくはC−Cアルキルによって置換されたフェニル;またはシクロヘキシルを表す〕の化合物ならびにその治療上許容される塩もしくは溶媒和物に関する。これらの化合物は、特に血栓症の治療において、プロテアーゼ活性化受容体−1(par−1)拮抗薬として有用である。


【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、シンナモイル−ピペラジン誘導体、それを製造する方法、それからなる医薬組成物ならびに動脈および/または静脈血栓症、急性冠症候群、再狭窄、安定狭心症、心拍障害、心筋梗塞、高血圧症、心不全、卒中、炎症性障害、肺疾患、胃腸疾患、慢性肝疾患患者における繊維症の発症、癌および皮膚疾患の治療および/または予防のための薬物としてのその使用に関する。本発明はまた、本発明の化合物と他の心血管薬との組合せにも関する。
【0002】
血栓症は、血管閉塞の主な要因と考えられており、数多くの病態生理学的合併症の原因である。このことから、抗血栓薬療法は心血管死亡率および冠動脈イベントの危険性を低下させることができるため、極めて重要である。いくつかの種類の分子はヒトにおいて効果的な抗血栓作用を示すが、新規分子の必要性が残っている。実際には、既存の化合物に改良を行うことはできるが、既存の化合物の一部のものは出血時間に悪影響を及ぼすか、または他の望ましくない副作用(例えば、アスピリンによる潰瘍の危険性など)を伴う。
【0003】
最近、プロテアーゼ活性化受容体−1(PAR−1)がクローニングされ(Vu et al., Cell, 1991, 64: 1057-1068)、その作用機序が解明された(Coughlin et al., J. Clin. Invest. 1992, 89(2): 351-355)。この受容体は、血小板の表面上だけでなく、内皮細胞(O'Brien et al., J. Biol. Chem. 2000, 275: 13502-13509)、平滑筋細胞(Hamilton et al., Br. J. Pharmacol. 2000, 130: 181-188)および繊維芽細胞(Hung et al., J. Cell. Biol. 1992, 116(3): 827-832)の表面上にも著しく存在し、この受容体はトロンビンによって活性化されることからトロンビン受容体とも呼ばれている。このタンパク質のN末端はトロンビンによってアルギニン41とセリン42との間で切断されて、新しい末端を遊離し、この新しい末端は、活性部位でのホールディング後に、受容体作動薬として働く(Vu et al., Nature, 1991, 353, 674-677)。血小板に関して、この特異的なPAR−1受容体活性化機構がトロンビンを介した血小板凝集をもたらす。
【0004】
この活性化を、例えばPAR−1受容体拮抗薬により遮断することで、トロンビンを介した血小板凝集を阻害することができる(Ahn et al., Drug of the Future, 2001, 26: 1065-1085)。そのため、これらの受容体を遮断することによって、血栓症(Derian et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 2003, 855-861)、急性冠症候群(Ossovskaya et al., Physiol. Rev., 2004, 84: 579-621)および再狭窄(Maryanoff et al., Curr. Med. Chem. Cardiovasc. Hematol. Agents., 2003, 13-36)の治療または予防につなげることができ、梗塞または再潅流時の心筋壊死を減少させることができる(Steinberg et al., Mol. Pharmacol. 2005, 67: 2-11)。肺系統(Moffatt et al., Curr. Op. Pharmacol., 2004, 221-229)および胃腸系統(Vergnolle et al., J. Clin. Invest., 2004, 1444-1456)では、PAR−1拮抗薬活性によりある特定の炎症性疾患を予防することができる。PAR−1拮抗薬は、慢性肝疾患を有する患者における繊維症の治療にも有用であり得る(Fiorucci et al., Hepatology, 2004, 39: 365-375)。PAR−1拮抗薬が細胞増殖および転移を制御するように作用する場合には、そのPAR−1拮抗薬は抗癌剤としても有用であり得る(Evan-Ram et al., Nat. Med., 1998, 909-914; Boire et al., Cell., 2005, 120: 303-313)。最後に、PAR−1拮抗薬は、ある特定の皮膚疾患を治療する皮膚病学において重要であり得る(Schechter et al., J. Cell. Physiol., 1998, 176:365-373; Algermissen et al., Arch. Dermatol. Res., 2000, 292:488-495; Meyer-Hoffert et al., Exp. Dermatol., 2004, 13: 234-241)。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、異なる化学構造と顕著な生物学的特性によって先行技術と区別される新規クラスのPAR−1拮抗薬に関する。
【0006】
本発明の化合物は、一般式(I):
【化1】

〔式中:
はハロゲン、CNまたはNOを表し、
は水素またはハロゲンを表し、
nは1または2を表し、
は、1つ以上のハロゲンもしくはC−Cアルキルによって置換されたフェニル;またはシクロヘキシルを表す〕
の化合物またはその治療上許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0007】
上記定義において:
置換基または変数の総ての組合せが可能であるが、それらの組合せが安定な化合物をもたらす限りにおいてである。
【0008】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。
【0009】
用語「アルキル」は、指定数の炭素原子を含む、直鎖または分岐の、飽和または不飽和脂肪族炭化水素鎖を表す。
【0010】
本発明の化合物の治療上許容される塩には、本発明の化合物の従来の無毒の塩、例えば有機または無機酸から生成されるものが含まれる。例として、次のものを挙げることができる:塩酸、臭化水素酸、リン酸および硫酸などの無機酸の塩、ならびに酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ステアリン酸および乳酸などの有機酸の塩。
【0011】
これらの塩は、塩基部分を含む本発明の化合物と対応する酸から、従来の化学的方法に従って合成することができる。
【0012】
本発明の化合物の治療上許容される溶媒和物には、従来の溶媒和物、例えば、本発明の化合物の最終製造工程中に溶媒が存在する結果として生成されるものが含まれる。水またはエタノールが存在することによる溶媒和物を例として挙げることができる。
【0013】
本発明による一般式(I)の化合物のうち、特に有利な一クラスの化合物は、Rがハロゲンであり、Rが水素であり、nが1であり、Rが1つ以上のハロゲンもしくはC−Cアルキルによって置換されたフェニルである一般式(I)の化合物である。
【0014】
もう1つの特に有利なクラスの本発明による化合物は、Rがシアノであり、Rが水素であり、nが1であり、Rが1つ以上のハロゲンもしくはC−Cアルキルによって置換されたフェニルである一般式(I)の化合物である。
【0015】
もう1つの特に有利なクラスの本発明による化合物は、Rがハロゲンであり、Rが水素であり、nが1であり、Rがシクロヘキシルである一般式(I)の化合物である。
【0016】
もう1つの特に有利なクラスの本発明による化合物は、Rがシアノであり、Rが水素であり、nが1であり、Rがシクロヘキシルである一般式(I)の化合物である。
【0017】
本発明はまた、次の合成ダイヤグラムに記載される一般的な方法による一般式(I)の化合物の製造にも関し、この一般的な方法は、場合によっては、文献に記載されているか、当業者に公知であるか、または実験の節に提示されている任意の標準的な技術によって補われる。
【化2】

【0018】
ダイヤグラム1は、一般式(I)の化合物の製造に用いることができる第一の一般的な方法を例示している。上記一般式では、R、R、Rおよびnは、一般式(I)の上記説明のとおりに定義される。Pは保護基を表す。Xは、塩素などの脱離基を表すことができる。この場合、第一の工程は酸塩化物とアミンとの反応からなる。この反応は、当業者に公知の方法および技術によって行うことができる。特に有利な方法は、これらの2つの存在物を、例えば、EtN、iPrNEt、ピリジン、NaH、CsCOまたはKCOなどの有機または無機塩基の存在下で、THF、ジクロロメタン、DMFまたはDMSOなどの溶媒中において−20°〜100℃の温度で反応させることからなる。Xはヒドロキシルを表すこともできる。この場合、第一の工程はカルボン酸(II)とアミン(III)との縮合反応である。この反応は、当業者に公知の方法および技術によって行うことができる。特に有利な方法は、これらの2つの存在物を、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド(EDC)、3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン、およびジイソプロピルエチルアミンなどの第3級アミンの存在下で、ジクロロメタンまたはDMFなどの極性非プロトン性溶媒中において−15℃〜40℃の温度で反応させることからなる。
【0019】
当業者に公知の方法および技術("Protective Groups in Organic Synthesis, "T. W. Greene, John Wiley & Sons, 1981および"Protecting Groups, "P.J. Kocienski, Thieme Verlag, 1994)による中間体(IV)の脱保護の後、得られた中間体を式R(CHY(式中、Yは、例えば、Cl、Br、I、OSOCH、OSOCFまたはO−トシルなどの脱離基を表す)の試薬と反応させることができる。この場合、前記反応は、PS−DIEAまたはMP−カーボネートなどの樹脂上に担持させることができる、例えば、EtN、iPrNEt、NaH、CsCOまたはKCOなどの有機または無機塩基の存在下で、ジクロロメタン、THF、DMFまたはDMSOなどの極性無水溶媒中において−20°〜100℃の温度で行われる。もう1つの製造方法は、還元アミノ化反応を、式R−(CHn−1−CHO(式中、Rおよびnは上記に定義されるとおりである)のアルデヒドとともに、一般式(IV)の脱保護されたアミン、およびMP−BHCNなどの樹脂上に担持させることができる、NaBH、NaBHCNまたはNaBH(OAc)などの還元剤を用いて、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、THF、DMFまたはMeOHなどの極性溶媒中において、酢酸などの酸を加えることにより制御することができるpHで−20℃〜100℃の温度で行うことからなる。
【化3】

【0020】
ダイヤグラム2は、一般式(I)の化合物の調製に用いることができる第二の一般的な方法を例示している。上記一般式では、R、R、Rおよびnは、一般式(I)の説明のとおりに定義される。Xは、塩素などの脱離基を表すことができる。この場合、合成は酸塩化物とアミンとの反応からなる。この反応は、当業者に公知の方法および技術によって行うことができる。特に有利な方法は、これらの2つの存在物を、例えば、EtN、iPrNEt、ピリジン、NaH、CsCOまたはKCOなどの有機または無機塩基の存在下で、THF、ジクロロメタン、DMFまたはDMSOなどの溶媒中において、−20°〜100℃の温度で反応させることからなる。
【0021】
Xはヒドロキシルを表すこともできる。この場合、合成はカルボン酸(II)とアミン(V)との縮合からなる。この反応は、当業者に公知の方法および技術によって行うことができる。特に有利な方法は、一般式(II)のカルボン酸と一般式(V)のアミンとを、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド(EDC)、3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン、およびジイソプロピルエチルアミンなどの第3級アミンの存在下で、ジクロロメタンなどの極性非プロトン性溶媒中において、−15℃〜40℃の温度で縮合することからなる。
【0022】
少なくとも1つの塩基官能基を含む一般式(I)の化合物を、酸を加えることにより塩状態で単離することが望ましいときには、そのような結果を、(少なくとも1つの塩基官能基が存在する)一般式(I)の遊離塩基を、好ましくは等量の、好適な酸で処理することにより得ることができる。
【実施例】
【0023】
次の実施例は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0024】
実施例1
3−(2−クロロ−フェニル)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン
【化4】

【0025】
実施例1A −4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(5.59ml,40.2mmol)の存在下、ピペラジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(5.0g,26.8mmol)のジクロロメタン(100ml)溶液を、臭化4−フルオロベンジル(3.68ml,29.5mmol)で室温で処理する。16時間の攪拌の後、この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄する。この有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固する。得られたシロップをシリカカラムクロマトグラフィーにより精製し、98/2〜95/5 CHCl/MeOH混合物で溶出する。白色の固体(7.03g,88%)として生成物1Aを単離する。
1H NMR, DMSO-d6 (ppm) : 1.38( s , 9H) ; 2 . 2 9 ( t , 4H) ; 3 . 30 (ブロード s , 4H) ; 3 . 45 ( s , 2H) ; 7 . 14 ( t , 2H) ; 7 . 32 ( dd, 2H) .
【0026】
実施例1B:−4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン
4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(7.03g,23.8mmol)のトルエン(300ml)溶液を、トリフルオロ酢酸(53.2ml,716mmol)で室温で処理する。2時間の攪拌の後、この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、1Nソーダ、続いて水で洗浄する。この有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固する。次の反応のために粗生成物を単離する(4.2g,90%)。
【0027】
実施例1:−3−(2−クロロ−フェニル)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン
2−クロロ−桂皮酸(2.43g,13.3mmol)と4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン(2.16g,11.1mmol)の混合物のジクロロメタン(70ml)溶液を、DIEA(3.86ml,22.2mmol)の存在下、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)塩酸塩(2.55g,13.3mmol)および3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン(HOOBT)(2.17g,13.3mmol)で室温で処理する。48時間の攪拌の後、この反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1Nソーダ、続いて水で洗浄する。この有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固する。得られたシロップをシリカカラムクロマトグラフィーにより精製し、97.75/2/0.25 CHCl/MeOH/NHOH混合物で溶出する。黄色の油(3.77g,95%)として生成物1を単離する。この生成物を酢酸エチルで溶かし、HClのエーテル溶液を加えることにより塩化して、黄色の固体(4.14g)として対応する塩酸塩を得る。
【0028】
1H NMR, DMSO-d6 (ppm) : 3.02 (m, 2H); 3.21 (t, 1H); 3.63 (t, 1H); 4.05 (ブロード s, 2H); 4.34 (s, 2H); 4.52 (t, 2H); 7.32 (m, 3H); 7.43 (m, 2H); 7.53 (m, 1H); 7.66 (m, 2H); 7.92 (d, 1H); 8.00 (m, 1H); 11.49 (s, 1H).
質量スペクトル(ESI+):m/z 359(M+H
元素分析:C2020・HClおよび0.5H
理論値%:C 59.41;H 5.48;N 6.93
測定値%:C 59.39;H 5.56;N 6.92.
【0029】
実施例2〜4
化合物1の調製について記載された条件に従って、桂皮酸と対応するアミンから化合物2〜4を合成した。
【化5】

【0030】
【表1】

【0031】
実施例5
3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン
【化6】

【0032】
実施例5A:4−[3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アクリロイル]−ピペラジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
PS−DIEA(4.07g,13.5mmol,3.33mmol/g)の存在下、塩化3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アクリロイル(3.0g,14.8mmol)のジクロロメタン(70ml)溶液を、ピペラジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(2.3g,12.3mmol)で室温で処理する。6時間の攪拌の後、この反応混合物を濾過し、ジクロロメタンで溶かし、1Nソーダ、そして水で洗浄する。この有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固する。得られたシロップをシリカカラムクロマトグラフィーにより精製し、95/4.5/0.5〜90/9.5/0.5 CHCl/MeOH/NHOH混合物で溶出する。灰白色の固体(3.87g,89%)として生成物5Aを単離する。
【0033】
1H NMR, DMSO-d6 (ppm) : 1.42 (s, 9H); 3.37 (ブロード s, 4H); 3.58 (ブロード s, 4H); 7.22 (m, 2H); 7.50 (m, 1H).
【0034】
実施例5B:−3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−1−ピペラジン−1−イル−プロペノン
4−[3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アクリロイル]−ピペラジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(3.87g,10.97mmol)のトルエン(50ml)溶液を、トリフルオロ酢酸(30ml,395mmol)で室温で処理する。2時間の攪拌の後、この反応混合物を蒸発乾固し、ジクロロメタンで溶かし、1Nソーダ、続いて水で洗浄する。この有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固する。次の反応のために粗生成物を単離する(2.3g,88%)。
【0035】
実施例5:−3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン
トリエチルアミン(EtN)(0.088ml,0.63mmol)の存在下、化合物5B(100mg,0.42mmol)のジクロロメタン(5ml)溶液を、臭化4−フルオロベンジル(0.078ml,0.63mmol)で室温で処理する。15時間の攪拌の後、この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄する。この有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固する。得られたシロップをシリカカラムクロマトグラフィーにより精製し、100/0〜90/10 CHCl/MeOH混合物で溶出する。ライトベージュ色の固体(72mg,48%)として生成物を単離する。
質量スペクトル(ESI+):m/z 361(M+H).
【0036】
実施例6〜12
化合物5の調製について記載された条件に従って、中間体5Bと対応する塩化ベンジルまたは臭化ベンジルから化合物6〜12を合成した。
【化7】

【0037】
【表2】

【0038】
実施例13〜21
実施例13A:−3−(2−クロロ−フェニル)−1−ピペラジン−1−イル−プロペノン
化合物5Bの調製について記載された条件に従って、塩化3−(2−クロロ−フェニル)−アクリロイルから2段階で化合物13Aを調製した。
【0039】
実施例13〜21:化合物5の調製について記載された条件に従って、中間体13Aから化合物13〜21を合成した。
【化8】

【0040】
【表3】

【0041】
実施例22
3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−1−[4−(2−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン
【化9】

【0042】
酢酸(0.057ml,1.0mmol)の存在下、中間体5B(60mg,0.25mmol)と2−フルオロ−ベンズアルデヒド(0.031ml,0.3mmol)の混合物のジクロロメタン(3ml)溶液を、MP−BHCN(117mg,0.275mmol,2.35mmol/g)で室温で処理する。24時間の攪拌の後、この反応混合物を、予め1N NaOHを含浸させたChemElutカートリッジで濾過した後、蒸発乾固する。得られたシロップをシリカカラムクロマトグラフィーにより精製し、100/0〜95/5 CHCl/MeOH混合物で溶出する。黄色のシロップ(23mg,25%)として生成物22を単離する。
質量スペクトル(ESI+):m/z 361(M+H).
【0043】
実施例23
1−[4−(2−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−ニトロ−フェニル)−プロペノン
【化10】

【0044】
実施例23A:3−(2−ニトロ−フェニル)−1−ピペラジン−1−イル−プロペノン
化合物5Bの調製について記載された条件に従って、塩化3−(2−ニトロ−フェニル)−アクリロイルから2段階で化合物23Aを調製した。
【0045】
実施例23:1−[4−(2−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3 (2−ニトロ−フェニル)−プロペノン
化合物22の調製について記載された条件に従って、化合物23Aから化合物23を合成した。
質量スペクトル(ESI+):m/z 370(M+H).
【0046】
実施例24
1−(4−シクロヘキシルメチル−ピペラジン−1−イル)−3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−プロペノン
【化11】

【0047】
化合物22の調製について記載された条件に従って、化合物5Bから化合物24を合成した。
質量スペクトル(ESI+):m/z 349(M+H).
【0048】
実施例25〜28
化合物1の調製について記載された条件に従って、1−シクロヘキシルメチル−ピペラジンと対応する桂皮酸から化合物25〜28を合成した。
【化12】

【0049】
【表4】

【0050】
実施例29〜33
化合物5の調製について記載された条件に従って、化合物23Aと対応する塩化ベンジルまたは臭化ベンジルから化合物29〜33を合成した。
【化13】

【0051】
【表5】

【0052】
実施例34
1−[4−(2,6−ジメチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−ニトロ−フェニル)−プロペノン
【化14】

【0053】
酢酸(0.092ml,1.6mmol)の存在下、化合物23A(70mg,0.27mmol)と2,5−ジメチル−ベンズアルデヒド(40mg,0.32mmol)の混合物のジクロロエタン(3ml)溶液を、NaBH(OAc)(63mg,0.297mmol)で室温で処理する。24時間の攪拌の後、この反応混合物を飽和NaHCO(2ml)で処理し、ChemElutカートリッジで濾過し、蒸発乾固する。得られたシロップをシリカカラムクロマトグラフィーにより精製し、100/0〜90/10 CHCl/MeOH(+10%NHOH)混合物で溶出する。生成物34を単離した後、エーテル中のHClを加えることにより塩化して、白色の固体(40mg,40%)を得る。
質量スペクトル(ESI+):m/z 380(M+H).
【0054】
実施例35〜38
化合物5の調製について記載された条件に従って、化合物5B、化合物13Aおよび化合物23Aと、対応する塩化フェネチルまたは臭化フェネチルから、化合物35〜38を合成した。
【化15】

【0055】
【表6】

【0056】
本発明の誘導体は、下記モデルの結果より示されるようにPAR−1受容体拮抗薬である:
種々の細胞種において、SFLLRペプチド(選択的PAR−1作動薬)によるPAR−1受容体の活性化は、細胞内シグナルカスケードを誘発し、小胞体によるカルシウムの放出をもたらす。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞はPAR−1受容体を構成的に発現する。この細胞系統では、SFLLRによる受容体の活性化の結果のカルシウムの放出は、蛍光測定技術(蛍光イメージングプレートリーダー、すなわちFLIPR)によりカルシウムに対する選択的プローブ(Fluo−3AM)を用いて測定される。蛍光発光はPAR−1作動薬の能力やその濃度に薬理学的に比例する。本発明に記載される化合物は、PAR−1受容体に拮抗することができることから、前記作動薬によって誘発されるカルシウムの放出を減少させることができることが証明されている。
【0057】
材料:
培養培地:10%ウシ胎児血清および抗生物質(プロベネシド、2.5mM)を補給したハムF−12(Ham, R. G., Proc. Nat. Acad. Sci. 1965, 53: 288)。
蛍光プローブ:Fluo−3AM(4μM;Teflabs, Austin, Texas, USA)
作動薬:SFLLR−NH(セリン、フェニルアラニン、ロイシン、ロイシン、アルギニン)。
【0058】
方法:
CHO細胞を96ウェルプレートに、200μlの培養培地の存在下で24時間接種する(1ウェル当たり60,000細胞)。これらの細胞をカルシウム蛍光プローブとともに37℃で1時間インキュベートする。次いで、これらの細胞を、シグナルを測定する10分前に洗浄する。その後、PAR−1拮抗薬を注入する(0.01μM〜10μM)。これらのプレートをFLIPR(Molecular Devices, UK)に入れて、カルシウム蛍光を2波長で測定する(488nmおよび540nm:Sullivan et al., Calcium Calcium Signaling Protocols 1999, 125-136)。拮抗薬を加える前に5分間、その投与の後に10分間測定する。4つの異なるウェルにおいてベースライン蛍光を引いた最大蛍光を測定する。試験は二連で行う。これらの条件下において、本発明の誘導体はPAR−1受容体拮抗薬であると確認された(拮抗作用>10μMにおけるカルシウムシグナルの60%)。SFLLR作動薬で得られた用量応答曲線(0.01μM〜32μM)により最大効果の50%をもたらす効果的な濃度(EC50)の決定を可能にした。本発明に記載されるPAR−1拮抗薬のいくつかの強度(pA2)は、Arunlakshana and Schild (Brit. J. Pharmacol., 1959, 14: 48-58)の方法を用いて、3つの濃度において認められたEC50のシフトから算出した。
【0059】
結果:
本発明の化合物の中から選択された、次のいくつかの実施例は、これらの化合物の、PAR−1受容体に拮抗する全く予期せぬ能力を示している。
【0060】
【表7】

【0061】
PAR−1拮抗薬のin vivoでの抗血小板作用および抗血栓作用は、血行力学的剪断応力が非常に高い動脈血栓症のモルモットモデルにおいて示されている。血管床では、内皮病変により多血小板血栓が血管内に形成し、この血栓が血管腔の総てを徐々に閉塞する。血小板凝集過程はPAR−1受容体を介してトロンビンにより強く活性化される。本発明に記載される化合物は、PAR−1受容体に拮抗することができることから、血栓形成を遅らせることができることが証明されている。
【0062】
材料:
研究はモルモット(ヒトに類似したPAR−1受容体)を使用して行う。感光剤(静脈内に投与されるローズベンガル)の存在下での緑色レーザー光による照射により頸動脈内皮に損傷を与える。遷音速流プローブを使用して頸動脈の流速を定量する。頸動脈を完全に閉塞するのに要する時間(流速0)を測定する。
【0063】
方法:
動物に麻酔をかけた後(60mg/kg ペントバルビタール)、頚動脈5mmを切除し、動脈から4mm上にレーザーの場所を定める。上流に配置した流れプローブにより閉塞時間を測定する。ローズベンガル(20mg/kg)は、静脈内経路により投与し、514nmの波長で血管に照射する(3分間)。PAR−1拮抗薬は、(ローズベンガルの投与直前に2分かけて)ボーラスを用いて静脈内経路により投与し、続いて、15分の灌流を行う。この灌流は、レーザーを作動させたときに開始する。
【0064】
結果:
本発明に記載されるある特定の化合物は、静脈内経路による0.16mg/kg〜2.5mg/kgの用量での投与後に、ビヒクル単独を受けた動物と比べて血栓の形成までの時間を5%〜135%遅らせることができることを示した。
【0065】
本発明による誘導体は心房細動の治療にも有用である。
【0066】
梗塞後心腔容量過負荷の場合、右心耳および左心耳は拡張し、そのため、心房細動発生の基質となる。心房細動に罹患した患者の拡張した心耳の腔における止血障害は、異常濃度のトロンビンにつながる。本発明者らは、このトロンビンの蓄積が繊維芽細胞の増殖だけでなく血小板血栓の形成も誘発し得るPAR−1のアップレギュレーションに関与することを証明した。
【0067】
このように、上記作用機序によって、PAR−1拮抗薬は、心房細動に罹患した患者の心房拡張、繊維芽細胞増殖および心耳内での血栓形成を防止することができる。
【0068】
結果として、PAR−1拮抗薬は、心房細動に効果的な予防的および/または治療的処置薬となる。本発明に記載される化合物は、PAR−1受容体に拮抗することができ、心耳拡張を防止することができることが証明されている。
【0069】
材料:
研究は雄ラットを使用して行う。手術に最もよく耐えることから、試験には到着時に体重範囲180〜200gのラットを選択した。麻酔をかけた動物において心エコー検査法により様々な心筋腔の測定を行った。
【0070】
方法:
酸素中イソフランの3.5%混合物(Aerrane, Baxter Laboratories)により動物に麻酔をかける。第4肋間において左前足方向に、胸骨に垂直におよそ2cmの開胸を行う。その開始点から1mmの左冠動脈周囲に結紮糸(4−0 絹、CC1針、Ethicon)をかける。左冠動脈周囲に、血管を完全に閉塞するのに十分にきつい外科結びを結ぶ。連続記録心電図により結紮の位置決めが申し分ないことを確認することができる。処置の2ヵ月後、心腔の心エコー測定とパルスドプラーを用いた心筋内血流速度測定のために動物に再度麻酔をかける。最後に、様々な組織学的測定のためにペントバルビタールナトリウム過量(160mg/kg、IP)により動物を安楽死させる。梗塞の24時間後から動物を犠牲にするまで毎日動物にPAR−1拮抗製剤を無理やり与える。
【0071】
結果:
本発明に記載されるある特定の化合物は、経口経路による10〜100mg/kg/日の用量で60日間の投与後に、未処置の動物と比べて心耳表面を20%〜90%減少させることができる(心エコー検査法による測定)ことを示した。
【0072】
本発明はまた、有効成分としての一般式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩を、好適な賦形剤と混合または組み合わせて含む医薬組成物にも関する。かかる組成物は、例えば、固体もしくは液体組成物、エマルジョン、ローションまたはクリームの形をとることができる。
【0073】
経口投与用の固体組成物としては、錠剤、丸剤、散剤(ゼラチンカプセルに入れるかもしくは小包に入れる)または顆粒剤を使用することができる。かかる組成物では、本発明による有効成分は、1種以上の不活性希釈剤(デンプン、セルロース、スクロース、ラクトースまたはシリカなど)とアルゴン流下で混合される。かかる組成物には、希釈剤以外の物質、例えば1種以上の滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムもしくはタルクなど)、着色剤、コーティング剤(糖衣丸剤用)またはワニスも含めてよい。
【0074】
経口投与用の液体組成物としては、次のものを使用することができる:不活性希釈剤(水、エタノール、グリセロール、植物油または流動パラフィンなど)を含む薬学上許容される液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤。かかる組成物には、希釈剤以外の物質、例えば湿潤剤、甘味剤、増粘剤、香味剤または安定剤を含めることができる。
【0075】
非経口投与用の滅菌組成物は、好ましくは、水性もしくは非水性液剤、懸濁剤または乳剤であり得る。溶媒またはビヒクルとしては、次のものを使用することができる:水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、特にオリーブ油、注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルまたは他の好適な有機溶媒。かかる組成物には、添加剤、特に湿潤剤、等張剤、乳化剤、分散剤および安定剤も含めることができる。滅菌はいくつかの方法により、例えば滅菌濾過により、組成物に滅菌剤を組み込むことにより、照射によりまたは加熱により、行うことができる。かかる組成物は、使用直前に滅菌水または任意の他の注射可能な滅菌媒質に溶かすことができる滅菌固体組成物の形で調製することもできる。
【0076】
直腸投与用の組成物は、活性産物の他に、賦形剤(ココア脂、半合成グリセリドまたはポリエチレングリコールなど)を含む坐剤または直腸カプセル剤である。
【0077】
局所投与用の組成物は、例えば、クリーム剤、ローション剤、点眼剤、口内洗浄剤、点鼻剤またはエアゾール剤であり得る。
【0078】
用量は望ましい効果、治療期間および投与経路によって決まり、成人の場合、好ましくは経口経路により、一般には1日当たり0.001g〜1g(好ましくは0.005g〜0.75g)であり、単位用量は活性物質0.1mg〜500mgの範囲である。
【0079】
一般には、医師は、その症例の患者の年齢、体重および他の特異的因子に従って好適な投与量を確立するであろう。
【0080】
特定の実施形態によれば、本発明はまた、一般式(I)の化合物と、心血管療法において同時に、別個にまたは徐放的に用いる併用製品としてのもう1つの心血管薬とを含む製品にも関し、もう1つの心血管薬は、抗血小板薬、例えばアスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、アブシキマブ、チロフィバンまたはエプチフィバチドであり得る。
【0081】
本発明のさらなる特徴によれば、一般式(I)の化合物は、平滑筋細胞の増殖(再狭窄)を抑制するための、ならびに/または内皮細胞、繊維芽細胞、心臓繊維芽細胞、グリア細胞、平滑筋細胞もしくは癌細胞の増殖の治療的および/もしくは予防的処置のための薬物の製造において有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物ならびにその治療上許容される塩もしくは溶媒和物:
【化1】

〔式中:
はハロゲン、CNまたはNOを表し、
は水素またはハロゲンを表し、
nは1または2を表し、
は、1つ以上のハロゲンもしくはC−Cアルキルによって置換されたフェニル;またはシクロヘキシルを表す〕。
【請求項2】
がハロゲンであり、Rが水素であり、nが1であり、Rが1つ以上のハロゲンもしくはC−Cアルキルによって置換されたフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がシアノであり、Rが水素であり、nが1であり、Rが1つ以上のハロゲンもしくはC−Cアルキルによって置換されたフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がハロゲンであり、Rが水素であり、nが1であり、Rがシクロヘキシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がシアノであり、Rが水素であり、nが1であり、Rがシクロヘキシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
3−(2−クロロ−フェニル)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
1−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−フルオロ−フェニル)−プロペノン;
3−(2−ブロモ−フェニル)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
3−(2−クロロ−フェニル)−1−[4−(4−メチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−1−[4−(4−メチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−1−[4−(3,4−ジメチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
1−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−プロペノン;
1−[4−(4−クロロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−プロペノン;
3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−1−[4−(3−メチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
1−[4−(3−クロロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−プロペノン;
3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−1−[4−(2−メチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
3−(2−クロロ−フェニル)−1−[4−(3−メチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
1−[4−(4−クロロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−クロロ−フェニル)−プロペノン;
3−(2−クロロ−フェニル)−1−[4−(2−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
3−(2−クロロ−フェニル)−1−[4−(2−メチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
1−[4−(2−クロロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−クロロ−フェニル)−プロペノン;
3−(2−クロロ−フェニル)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
1−[4−(3−クロロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−クロロ−フェニル)−プロペノン;
3−(2−クロロ−フェニル)−1−[4−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
3−(2−クロロ−フェニル)−1−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−1−[4−(2−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−プロペノン;
1−[4−(2−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−ニトロ−フェニル)−プロペノン;
1−(4−シクロヘキシルメチル−ピペラジン−1−イル)−3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−プロペノン;
2−[3−(4−シクロヘキシルメチル−ピペラジン−1−イル)−3−オキソ−プロペニル]−ベンゾニトリル;
1−(4−シクロヘキシルメチル−ピペラジン−1−イル)−3−(2−ニトロ−フェニル)−プロペノン;
1−(4−シクロヘキシルメチル−ピペラジン−1−イル)−3−(2−フルオロ−フェニル)−プロペノン;
3−(2−クロロ−フェニル)−1−(4−シクロヘキシルメチル−ピペラジン−1−イル)−プロペノン;
1−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−ニトロ−フェニル)−プロペノン;
1−[4−(4−メチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−ニトロ−フェニル)−プロペノン;
1−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−ニトロ−フェニル)−プロペノン;
1−[4−(4−クロロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−ニトロ−フェニル)−プロペノン;
1−[4−(3−メチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−ニトロ−フェニル)−プロペノン;
1−[4−(2,6−ジメチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−3−(2−ニトロ−フェニル)−プロペノン;
3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−1−(4−フェネチル−ピペラジン−1−イル)−プロペノン;
3−(2−クロロ−フェニル)−1−(4−フェネチル−ピペラジン−1−イル)−プロペノン;
3−(2−クロロ−フェニル)−1−{4−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−プロペノン;
ならびにその治療上許容される塩および溶媒和物
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
薬物として用いるための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物を製造する方法であって、一般式(II):
【化2】

〔式中、RおよびRは、請求項1に記載の一般式(I)の説明のとおりに定義され、Xは、塩素などの脱離基を表すことができ、あるいはXはヒドロキシルを表すことができる〕
の中間体と、一般式(III):
【化3】

〔式中、Pは保護基を表す〕
のアミンとを縮合することを含んでなり、得られた一般式(IV):
【化4】

〔式中、R、RおよびPは上記のとおりに定義される〕
の中間体から、一般式R(CHY〔式中、Rは、上記の説明のとおりに定義され、Yは、例えば、Cl、Br、I、OSOCH、OSOCFまたはO−トシルなどの脱離基を表す〕の試薬を用いた、あるいは式R−(CHn−1−CHO〔式中、Rおよびnは上記のとおりに定義される〕のアルデヒドを用いた、アミンの脱保護および反応の後に一般式(I)の化合物が得られる、方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物を製造する方法であって、一般式(II):
【化5】

〔式中、R、RおよびXは上記のとおりに定義される〕
の中間体と、一般式(V):
【化6】

〔式中、nおよびRは上記のとおりに定義される〕
のアミンを縮合させて一般式(I)の化合物を得ることを含んでなる、方法。
【請求項10】
活性成分として請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物を、薬学上許容されるビヒクルと組み合わせて含んでなる、医薬組成物。
【請求項11】
トロンビン−受容体拮抗薬の製造のための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項12】
PAR−1(プロテアーゼ活性化受容体−1)の活性化に関連する障害の治療的および/または予防的処置用の薬物の製造のための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
血小板凝集抑制薬の製造のための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
動脈および/または静脈血栓症の治療的および/または予防的処置用の薬物の製造のための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
安定狭心症、心拍障害、脳血管障害、心不全、高血圧症または心筋梗塞の治療的および/または予防的処置用の薬物の製造のための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項16】
心房細動および心筋リモデリングの治療的および/または予防的処置用の薬物の製造のための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項17】
急性冠症候群の治療的および/または予防的処置用の薬物の製造のための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項18】
平滑筋細胞の増殖(再狭窄)を抑制するための薬物の製造のための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
炎症性障害、肺疾患、胃腸疾患、慢性肝疾患患者における繊維症の発症または皮膚疾患の治療的および/または予防的処置用の薬物の製造のための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
内皮細胞、繊維芽細胞、心臓繊維芽細胞、グリア細胞、平滑筋細胞または癌細胞の増殖の治療的および/または予防的処置のための薬物の製造のための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項21】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物と、心血管療法において同時に、別個にまたは徐放的に用いる併用製品としてのもう1つの心血管薬とを含む、製品。
【請求項22】
もう1つの心血管薬が、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、アブシキマブ、チロフィバンまたはエプチフィバチドなどの血小板凝集抑制薬である、請求項20に記載の製品。
【請求項23】
心房細動の治療的および/または予防的処置用の薬物の製造のための、PAR1拮抗薬の使用。

【公表番号】特表2009−541260(P2009−541260A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515860(P2009−515860)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056086
【国際公開番号】WO2007/147824
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(500033483)ピエール、ファーブル、メディカマン (73)
【Fターム(参考)】