説明

シートの製造方法、製造装置、厚み制御方法および厚み制御装置

【課題】厚み調整手段の延伸後の対応を正確に取得し、厚みを精密に制御するシートの製造方法を提供する。
【解決手段】厚み調整手段を備えたダイ4を用いて溶融材料を押出し、延伸を含む所定の加工によりシートを得るとともに、加工の完了後の厚み分布から算出した操作量に基づき厚み調整手段を操作してシート厚みを制御するシートの製造方法において、所定の加工の完了前に印付与手段12によりシートの複数の所定の幅方向位置に光または熱により印を付与し、加工完了後に検査器8bによりその印の跡を検出することにより、前記所定の加工の完了前後でのシートの幅方向位置の対応関係を決定し、決定した対応関係に基づいて厚み制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムなどのシートの製造方法、製造装置、厚み制御方法および厚み制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
延伸フィルムの製造を例として、図9および図10を参照しながら本発明の背景を説明する。図9は一般的なシートの製造装置の全体概略構成図であり、図10は図9に示すダイ104の要部拡大斜視図である。
【0003】
図9のシートの製造装置は、押出機103により押し出された重合体などの溶融材料を、シートの厚み調整手段110を幅方向に多数配置したダイ104の間隙111から吐出してシート状に成形し、成形されたシート101を延伸機102でシート幅方向に延伸するなどの加工を更に施し、シート厚みを厚み測定器108にてシート幅方向の分布として測定し(以下、測定したシート幅方向の厚み分布値を厚みプロファイルという)、シート101を巻き取るものである。
【0004】
このようなシートの製造装置では、測定した厚みプロファイルを予め設定した目標の厚みプロファイルに近付けるように、厚み制御を実施する。そのために、ダイ104のシート幅方向に多数配置したシートの各厚み調整手段110に対応するシート厚み測定位置での厚み測定値が、予め設定された目標値に近付くように、制御手段109を介して各厚み調整手段110を制御する。
【0005】
図11は、ダイ104の各厚み調整手段110と、厚み測定器108によるシート厚み測定位置との対応関係の説明図である。図11の上部横線123はダイ104の位置でのシートを表しており、下部横線124は厚み測定器108の位置でのシートを表している。また、矢印125は、シート幅方向を示している。ダイ104での各厚み調整手段110の位置121a〜121dを通過した重合体は、シート幅方向の延伸等の加工をうけ、厚み測定器108によるシート厚み測定位置122a〜122dを通過する。したがって、たとえば、122aでの厚み測定値が目標値に近付くように、121aにある厚み調整手段110を制御する必要がある。
【0006】
このようなシートの製造方法においては、各厚み調整手段110と、シート厚み測定位置との対応関係を精度良く決定する必要がある。たとえば、図11で122aのシート厚みを調整するために121bの厚み調整手段を操作すると、122bのシート厚みが変わるなど、本来調整すべき位置とは異なった位置のシート厚みを変更することになり、シート厚みを精度良く制御することができず、シートの品質が低下する。
【0007】
上記の問題は主に、延伸や発泡などのシートの寸法変化を伴う加工において、シート幅方向に均一性が実現できていないことに起因している。以下、この問題が顕著になる加工として、シート幅方向の延伸を行う場合を例にとって説明する。
【0008】
ダイ104よりシート状に成形したのみの、未延伸のシートの製造においては、溶融材料の押し出し時にネッキングのあるシート幅方向の端部を除いて、各厚み調整手段110とシート厚み測定位置との対応関係は幾何学的な位置関係により、おおむね対応させることができる。これに対して、シート幅方向の延伸を行う場合には、延伸工程中の温度ムラ等に起因して、延伸倍率がシート幅方向の位置に関して均一でないため、幾何学的な位置関係だけでは対応させることが困難になる。
【0009】
そのため、各厚み調整手段110とシート厚み測定位置との対応関係を決定する方法が、いくつか提案されている。
【0010】
特許文献1に記載の方法は、特定の厚み調整手段110を大きく操作し、それに伴って厚みプロファイルが大きく変化した箇所を検出するものである。まず、厚み測定器108により、厚みプロファイルを測定する。次に、特定の厚み調整手段110に製品製造時とは大きく異なる操作量を与え、シート厚みを顕著に変化させる。そして、シート厚みの変化が完了して定常状態になったところで、再度厚み測定器108により厚みプロファイルを測定する。この特定の厚み調整手段110への操作量を与える前後の厚みプロファイルを比較し、特定の厚み調整手段110を操作することによって生じた厚みプロファイルの変化を求め、求めた厚みプロファイルの変化のピーク位置を検出する。このピーク位置に相当するシート厚み測定位置を、上記操作をした特定の厚み調整手段110のシート幅方向の対応位置として、厚み制御を行う。
【0011】
また、特許文献2に記載の方法は、ダイ104の直後でけがきを実施し、そのけがき溝の延伸後の跡を検出するものである。まず、ダイ104の直後に、シート幅方向に特定の間隔を設けた複数のけがき用ブレードを設置し、そのブレードにより、シートにけがき溝を付与する。このとき、各けがき溝のシート幅方向の位置が、どの厚み調整手段110のシート幅方向の位置に相当するかを把握しておく。そして、厚み測定器108でけがき溝の延伸後の跡を検出し、その検出位置に相当するシート厚み測定位置を、上記けがき溝を付与したシート幅方向の対応位置とする。各けがき溝と厚み調整手段110とは対応がとれているため、これを用いて、各厚み調整手段110とシート厚み測定位置との対応関係を決定し、厚み制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−323351号公報
【特許文献2】特開平9−57815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、本発明者らの知見によると、特許文献1および特許文献2には、以下のような問題点がある。
【0014】
特許文献1に記載の方法は、特定の厚み調整手段110を操作することにより生じる厚みプロファイルの変化を求め、求めた厚みプロファイルの変化のピーク位置を検出する。即ちピーク位置を精度良く検出することが求められるが、それには、特定の厚み調整手段110を操作する前の厚みプロファイルがほぼ一定の形状をしていることが必要になる。
【0015】
しかし、シート101には、シート幅方向のみならず、シート流れ方向にも、厚み変動が存在する。これを図12、図13、図14を用いて説明する。図12は厚みプロファイルをシート流れ方向に並べた一例で、実際の厚みプロファイルから平均厚みを減算したものである。図13は、製造したシートを切り出し、特定のシート幅方向位置において、接触式厚み計で測定したシート流れ方向の厚み変動の一例である(平均厚みは減算している)。図14は、製造したシートを切り出し、特定のシート流れ方向位置において、接触式厚み計で測定したシート幅方向の厚み変動の一例である(平均厚みは減算している)。図12から、シート幅方向の厚み変動、シート流れ方向の厚み変動が存在していることが分かる。また、図13および図14を比較することで、シート幅方向よりも、シート流れ方向の方が、5倍程度の厚み変動の幅を持つことが分かる。
【0016】
こうした厚み変動を持つシートにおいて、厚み測定器108は、シート幅方向にスキャンしながら厚みを測定している。したがって、得られる厚みプロファイルには、シート幅方向の厚み変動だけでなく、シート流れ方向の厚み変動の影響が加算される。特許文献1の方法はシート幅方向のみの厚みプロファイルの変化を想定したものであるため、シート流れ方向の厚み変動も含んでしまう厚みプロファイルから上記ピーク位置の検出を高精度に行うことは困難であり、厚み制御の精度に影響を及ぼしてしまう。
【0017】
更に、特定の厚み調整手段110を操作して厚みプロファイルが変化するまで対応関係を決定できず、時間がかかる。また、製品製造時とは大きく異なる操作量を加えるため、対応関係を決定後、厚みプロファイルを元に戻すための時間が更にかかる。この時間帯は製品ロスとなるため、生産性が著しく低下する。
【0018】
また、特許文献2に記載の方法は、シートにけがき溝を付与するため、薄いシートの製造時には、延伸時にフィルム破れが生じる可能性がある。また、フィルム破れを生じないように、けがき用ブレードのシートへの押し付け圧を小さくして浅いけがき溝にすると、特許文献1と同様に、けがき溝の延伸後の跡の検出精度が低下してしまい、厚み制御の精度に影響を及ぼす。
【0019】
こうした状況を鑑み、本発明の目的は、上記の従来方法の欠点を解消した方法、すなわち、各厚み調整手段と、延伸後のシート厚み測定位置との対応関係を正確に決定し、厚みを精密に制御するシートの製造方法、製造装置、厚み制御方法および厚み制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明は、複数個の厚み調整手段を備えたダイを用いて溶融材料をシート状に押出し、延伸を含む所定の加工を実施することで所望のシートとなすとともに、前記所定の加工の完了後の該シート幅方向の厚み分布を測定し、測定値に基づいて各シート厚み測定位置に対応する前記厚み調整手段に加える操作量を計算し、該操作量によって前記厚み調整手段を操作してシート厚みを制御するシートの製造方法であって、
前記所定の加工の完了前に、前記シートの複数の所定の幅方向位置に光を照射し、または熱を放射して印を付与し、
前記所定の加工の完了後に前記印の跡を検出し、前記印の跡を検出した前記シートの複数の幅方向位置に基づき、前記所定の加工の完了前の前記シートと完了後のシートとの幅方向位置の各部の対応関係を決定し、
決定した該対応関係に基づいて、前記厚み調整手段に対する前記所定の加工の完了後のシート幅方向の対応位置を決定し、決定した前記対応位置に基づいて厚み制御を行うことを特徴とするシートの製造方法を提供する。
【0021】
また、本発明の好ましい様態によれば、前記所定の加工の完了後のシートに光を照射し、前記シートからの透過光または反射光を受光し、前記透過光または反射光に基づいて前記印の跡を検出することを特徴とするシートの製造方法を提供する。
【0022】
また、本発明の別の態様によれば、複数個の厚み調整手段を備えたダイを用いて溶融材料をシート状に押出す押出手段と、延伸を含む所定の加工を実施することで所望のシートとなす加工手段と、前記所定の加工の完了後の該シート幅方向の厚み分布を測定する測定手段と、測定値に基づいて各シート厚み測定位置に対応する前記厚み調整手段に加える操作量を計算し、該操作量によって前記厚み調整手段を操作してシート厚みを制御する制御手段とを有するシートの製造装置であって、
前記所定の加工の完了前に、前記シートの複数の所定の幅方向位置に光を照射し、または熱を放射して印を付与する印付与手段と、
前記所定の加工の完了後に前記印の跡を検出する検出手段と、
前記印の跡を検出した前記シートの複数の幅方向位置に基づき、前記所定の加工の完了前の前記シートと完了後のシートとの幅方向位置の各部の対応関係を決定し、
決定した該対応関係に基づいて、前記厚み調整手段に対する前記所定の加工の完了後のシート幅方向の対応位置を決定し、決定した前記対応位置に基づいて厚み制御を行う前記制御手段とを有することを特徴とするシートの製造装置を提供する。
【0023】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記検出手段が、前記所定の加工の完了後のシートに光を照射する光照射手段と、前記シートからの透過光または反射光を受光する受光手段と、前記透過光または反射光に基づいて前記印の跡を検出する跡検出手段とを有することを特徴とするシートの製造装置を提供する。
【0024】
また、本発明の別の態様によれば、複数個の厚み調整手段を備えたダイを用いて溶融材料をシート状に押出し、延伸を含む所定の加工を実施することで所望のシートとなすとともに、前記所定の加工の完了後の該シート幅方向の厚み分布を測定し、測定値に基づいて各シート厚み測定位置に対応する前記厚み調整手段に加える操作量を計算し、該操作量によって前記厚み調整手段を操作してシート厚みを制御するシートの厚み制御方法であって、
前記所定の加工の完了前に、前記シートの複数の所定の幅方向位置に光を照射し、または熱を放射して印を付与し、
前記所定の加工の完了後に前記印の跡を検出し、前記印の跡を検出した前記シートの複数の幅方向位置に基づき、前記所定の加工の完了前の前記シートと完了後のシートとの幅方向位置の各部の対応関係を決定し、
決定した該対応関係に基づいて、前記厚み調整手段に対する前記所定の加工の完了後のシート幅方向の対応位置を決定し、決定した前記対応位置に基づいて厚み制御を行うことを特徴とするシートの厚み制御方法を提供する。
【0025】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記所定の加工の完了後のシートに光を照射し、前記シートからの透過光または反射光を受光し、前記透過光または反射光に基づいて前記印の跡を検出することを特徴とするシートの厚み制御方法を提供する。
【0026】
また、本発明の別の態様によれば、複数個の厚み調整手段を備えたダイを用いて溶融材料をシート状に押出す押出手段と、延伸を含む所定の加工を実施することで所望のシートとなす加工手段と、前記所定の加工の完了後の該シート幅方向の厚み分布を測定する測定手段と、測定値に基づいて各シート厚み測定位置に対応する前記厚み調整手段に加える操作量を計算し、該操作量によって前記厚み調整手段を操作してシート厚みを制御する制御手段とを有するシートの厚み制御装置であって、
前記所定の加工の完了前に、前記シートの複数の所定の幅方向位置に光を照射し、または熱を放射して印を付与する印付与手段と、
前記所定の加工の完了後に前記印の跡を検出する検出手段と、
前記印の跡を検出した前記シートの複数の幅方向位置に基づき、前記所定の加工の完了前の前記シートと完了後のシートとの幅方向位置の各部の対応関係を決定し、
決定した該対応関係に基づいて、前記厚み調整手段に対する前記所定の加工の完了後のシート幅方向の対応位置を決定し、決定した前記対応位置に基づいて厚み制御を行う前記制御手段とを有することを特徴とするシートの厚み制御装置を提供する。
【0027】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記検出手段が、前記所定の加工の完了後のシートに光を照射する光照射手段と、前記シートからの透過光または反射光を受光する受光手段と、前記透過光または反射光に基づいて前記印の跡を検出する跡検出手段とを有することを特徴とするシートの厚み制御装置を提供する。
【0028】
本発明において、厚み調整手段とは、機械的または熱的にダイの間隙を変えることにより溶融材料の吐出量を変える方式のダイに配置したボルトや、発生熱を変えることにより、その箇所の溶融材料の粘性を変えて流速を変えることにより吐出量を変えるヒータ方式のダイに配置したヒータをいう。たとえば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造工程においては、調整可能な吐出の範囲が相対的に大きいことからボルト方式が好ましく用いられる。
【0029】
また、本発明において、溶融材料とは、シートを構成する原料であって、溶融状態にあるものをいう。たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、あるいは製紙材料のパルプスラリー等、任意の材料が考えられる。
【0030】
また、本発明において、所定の加工の完了前とは、シートの製造における加工工程がシート幅方向への延伸を含む際に、各厚み調整手段とシート幅方向位置との対応関係が幾何学的に推定できる段階をいう。たとえば、ダイから溶融材料が押し出された直後は、この段階に相当する。
【0031】
また、本発明において、所定の加工の完了後とは、シートの製造における、シート幅方向への延伸を含む加工工程が完了した後の段階をいう。たとえば、図9における厚み測定器108の位置は、この段階に相当する。
【0032】
また、本発明において、操作量とは、厚み調整手段において溶融材料の吐出量を変更するために、各厚み調整手段に印加されるエネルギー量や、これに対応する数値をいう。たとえば、ヒータ等を使う場合は、パワーユニットを介して入力される電力量や、これに対応する制御手段中の変数が相当する。たとえば、ボルトを熱的に伸縮させるヒートボルト方式では、ボルトに付設したヒータに電力が供給されてボルトが加熱され、それに応じてボルトが伸縮してダイの間隙を調整する。他の方式でも、電力が供給されて厚み調整手段が動作するのが普通である。
【0033】
また、本発明における、印とは、光学的特徴を有する局所的箇所をいう。波長400〜760nmに亘る光透過率または光反射率の平均が、印を付与していない箇所と比較して1%以上異なる箇所であり、シート幅方向の幅は25mm以下である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、以下に説明するとおり、厚み調整手段とシート厚み測定位置との対応関係を正確に得ることができる。したがって、シート厚みを精密に制御することが可能となり、歩留まりが改善し、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態における、シートの製造装置の全体概略構成図の一例である。
【図2】図1に示すダイの要部拡大斜視図である。
【図3】図1に示す検査器の概略構成図である。
【図4】線形補間の説明図の一例である。
【図5】本発明の一実施形態における、検査器により印の跡を検出した概略図の一例である。
【図6】本発明の一実施形態における、厚み制御を開始してからの厚みプロファイルの最大値と最小値の差の推移図の一例である。
【図7】本発明の一実施形態における、検査器により印の跡を検出した概略図の一例である。
【図8】本発明の一実施形態における、厚み制御を開始してからの厚みプロファイルの最大値と最小値の差の推移図の一例である。
【図9】一般的なシートの製造装置の全体概略構成図である。
【図10】図9に示すダイの要部拡大斜視図である。
【図11】ダイの厚み調整手段と厚み測定器によるシート厚み測定位置との対応関係の説明図である。
【図12】厚みプロファイルをシート流れ方向に並べた概略図の一例である。
【図13】シート流れ方向の厚み変動の概略図の一例である。
【図14】シート幅方向の厚み変動の概略図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の第1の実施形態の例を、ポリエチレンテレフタレートを溶融材料とし、これをシートに成形して透明なプラスチックフィルムを製造する工程に適用した場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。
【0037】
実施形態のシートの製造装置を、図1、図2、図3を用いて説明する。図1は実施形態の全体概略構成図で、図2はダイ4の要部拡大斜視図で、図3は検査器8bの概略構成図である。
【0038】
1はシートであり、ここではポリエチレンテレフタレートを溶融材料としている。2は延伸機であり、シート幅方向への延伸を含んでいる。また、シート流れ方向への延伸を含んでも良いし、シート幅方向とシート流れ方向への延伸を同時に実施しても良いし、シート幅方向やシート流れ方向への延伸を複数回含んでも良い。3は押出機であり、ここでは溶融したポリエチレンテレフタレートを押し出している。4はダイであり、押出機3が押し出した溶融状態のポリエチレンテレフタレートを、間隙11からシート状に吐出する。また、複数個の厚み調整手段10を幅方向に有しており、各厚み調整手段10を操作することで間隙11を幅方向で調整する。厚み調整手段10は、ボルトでも良いし、ヒータでも良い。5は冷却ロールであり、ダイ4から吐出されたシート1を冷却するものである。6は巻き取り機であり、ここではシート1を延伸機2で延伸したプラスチックフィルムを巻き取る。7は搬送ロールであり、シート1の搬送に用いられる。
【0039】
8aは厚み測定器であり、シート1の厚みプロファイルを得る。β線、X線、赤外線などの吸収を利用した厚み計、可視光、赤外光などの干渉を利用した厚み計、接触式の厚み計など、任意の厚み計で良い。また、シート幅方向に、機械的にスキャンしても良いし、光学的にスキャンしても良い。シート幅方向に、複数台設置されていても良い。
【0040】
8bは光学方式の検査器であり、シート1の光学的特異点を検出する。具体的には、シート1に光を照射し、シート1を介した透過光または反射光を受光し、その受光量に基づいて光学的特異点を検出する。光を照射する装置としては、蛍光灯でも良いし、LED光源でも良いし、ハロゲン光源でも良いし、メタルハライド光源でも良いし、キセノン光源でも良い。光ファイバを介したスポット照射でも良いし、ロッド状の照射でも良いし、面状の照射でも良い。透過光または反射光を受光する装置としては、ラインセンサカメラでも良いし、エリアセンサカメラでも良い。一般的には光電変換素子を複数備えた装置を用いるが、受光量に応じた信号を出力可能な任意の装置で良い。また、光照射装置および受光装置は、シート幅方向にスキャンしても良いし、シート幅方向に複数並べても良い。シート幅方向に複数並べ、シート全長全幅に亘り光学的特異点を同時に検出できることが好ましい。また、光学的特異点は、シート1の正常箇所と比較して、光透過率が異なっている箇所、光反射率が異なっている箇所、光散乱現象が異なっている箇所、光屈折現象が異なっている箇所、光干渉現象が異なっている箇所のいずれでも良い。ここではラインセンサカメラとLED光源を、シート幅方向に複数並べ、シート1の全長全幅に亘り、光透過率の差を検出できるものとする。
【0041】
光透過率の差を検出することを、図3を用いて説明する。13はラインセンサカメラであり、シート1の上方に配置している。14はLED光源であり、シート1の下方に配置している。このとき、ラインセンサカメラ13の光電変換素子の並び方向は、LED光源14の長手方向に略一致させる。15は比較器であり、ラインセンサカメラ13に接続している。16はシート流れ方向である。まずLED光源14から、シート1に対して光が照射される。そして、シート1において光を照射された箇所の光透過率に応じた光量が、シート1の上方に透過する。このシート1の上方に透過した光を、ラインセンサカメラ13で受光する。そして、ラインセンサカメラ13の受光量に基づいた信号値が比較器15に送信され、比較器15では信号値の変化を検出する。すなわち、まず初めにシート1の正常箇所における光透過率に基づいた信号値が存在し、これに対して、シート1の光を照射された箇所の光透過率が大きければ信号値は大きく、光透過率が小さければ信号値は小さくなる。この変化が、予め定めた設定値よりも大きくなれば、例えば欠点として検出する。図3においては、ラインセンサカメラ13をシート1の上方に、LED光源14をシート1の下方に設置したが、逆の配置になっても良い。また、シート流れ方向16に複数台並べても良い。また、LED光源14の長手方向をシート幅方向に対して傾けても良いし、LED光源14の光照射軸をシート上面法線方向から傾けても良い。いずれの場合にも、ラインセンサカメラによる検出位置と、シート幅方向の位置との対応関係は予め求めておく。
【0042】
9は制御手段であり、厚み測定器8aが取得した厚みプロファイルと、予め設定した目標とする厚みプロファイルとの差異に基づいて操作量を演算し、厚み調整手段10に加える。
【0043】
12は印付与手段であり、シート1に光(エネルギー)を照射、または熱(エネルギー)を放射して印を付与する。印付与手段12は、固体レーザでも良いし、半導体レーザでも良いし、液体レーザでも良いし、気体レーザでも良いし、ハロゲンなどの近赤外線ヒータでも良いし、遠赤外線ヒータでも良い。出力を調整でき、狭幅で放射できるものが、より好ましい。付与する印のシート幅方向の幅は5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。これは、細ければ細いほど、シート1への影響を局所的なものにできるからである。ただし、シート幅方向への延伸後の、印の跡の幅は、1mm以上となることが好ましい。また、幅方向に所定の間隔を持って複数台並んでいても良いし、幅方向に所定の距離をスキャンして決められた複数の幅方向位置で印付与を実施しても良い。複数台並べた際には、それぞれの印付与を逐次実施しても良いし、同時に実施しても良い。好ましくは、隣り合う印が区別できるように実施することである。また、印を付与する数は3つ以上が好ましく、5つ以上が更に好ましい。印を付与する箇所は、シート幅方向に該均一に指定することが好ましい。シート幅方向の端部は延伸倍率が変化しやすいため、シートの端部には、間隔を狭めて指定することが更に好ましい。また、印付与を実施するタイミングは、巻き取り機6での巻き取りが一旦終了し、再度、新たな巻き取りを開始するときが好ましい。一般的に、巻き取り機6の巻き始め直後、巻き終わり直前のシートは製品としないため、製品ロスを減じることができる。このタイミングに合わせて手動で実施しても良いし、自動で実施しても良い。また、延伸機2のシート幅方向への延伸前に設置すれば良く、好ましくは、ダイ4の直後への設置である。ここでは出力調整できる気体レーザであり、延伸機2の直前に設置しているとする。
【0044】
ここで、印付与手段12を用いることで印を付与し、検査器8bで印の跡を検出することを説明する。
【0045】
延伸機2前の状態でシート1にレーザを照射すると、これに伴う熱エネルギーにより、照射箇所における結晶破壊、配向変化、溶融状態への遷移などが生じる。この状態で延伸機2による所定の加工(延伸)を実施すると、照射箇所の延伸が他箇所と異なり、結果として光透過率や光反射率に変化が生じる。これは照射するレーザの強さによって変化量も変わるが、検査器8bで検出するのに必要十分な強さで照射すれば良い。これにより、延伸機2の後の、印の跡の、シート1の幅方向位置が分かる。これに基づいて、延伸機2の前後(所定の加工の完了前と所定の加工の完了後)における印と印の跡とのシート1の幅方向位置の対応関係を決定する。
【0046】
また、延伸機2の前(所定の加工の完了前)では各厚み調整手段10とシート1の幅方向位置との対応関係が幾何学的に求まるため、これらの情報を統合することで、各厚み調整手段10とシート厚み測定位置との対応関係を決定することができ、厚みを精密に制御するシートを製造することができる。
【0047】
本発明は、特許文献1のように特定の厚み調整手段10を操作して、それに伴う厚み変化を待つという方法ではなく、検査器8bによる検出という時間のかからない方法であり、生産性の向上にも繋がる。
更に、本発明は、特許文献2に示すような接触式ではないため再現性も良く、シート1の厚みや溶融材料の種類に応じた一定条件で良い。また、厚み測定器8aによって検出できるほどの差異ある印の跡を形成するには、かなりのレーザの強さが必要であり、シート1が破れる可能性もある。しかし、厚み測定器8aよりも、検査器8bによって印の跡を検出する方が、弱いレーザ照射で済むため、延伸機2の後におけるシート1の厚みが10数μmになっても、破れは生じない。
【0048】
更に、本発明は、特許文献1、特許文献2にあるように厚み測定器を用いていないため、シートの厚み変動に依存することもない。したがって、延伸機2の後における印の跡を検出する精度が高く、より高精度な厚み制御を実施可能となる。
【実施例】
【0049】
[実施例1]
以下に、上述の第1の実施形態をシートの製造方法に適用した実施例を示す。
【0050】
図1、図2、図3に示すシートの製造装置を用いて、厚み20μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを製造した。厚み調整手段10としては、カートリッジヒータを内蔵したボルトを熱的に膨張収縮させてダイ4の間隙11を調整するヒートボルト方式を用いた。厚み測定器8aとしてはβ線の吸収現象を用いたβ線厚み測定器を用いて、シート1の幅方向にスキャンしながら厚みプロファイルを測定した。また、厚み測定器8aがシート1の幅方向に1回スキャンするごとに、PID制御を用いて厚み制御を行った。 厚み制御をするにあたり、当初必要となる各厚み調整手段10とシート1の厚み測定位置との対応関係は、5つの厚み調整手段10を大きく操作し、延伸後のシートで最も厚み変化が大きい位置を求め、操作したそれぞれの厚み調整手段10に対応させた。このとき、5つの厚み調整手段10は、シート幅方向に等間隔となるように指定した。そして、線形補間を実施することで、ダイ4にある全ての厚み調整手段10の対応関係を求めた。
【0051】
ここで、線形補間の例を、図4を用いて説明する。図4は、線形補間の概略説明図である。17a〜17dは厚み調整手段10に対応する位置を、18a〜18dはシート厚み測定位置を示す。上部横線19はダイ4の位置でのシート1を、下部横線20は厚み測定器8aの位置でのシート1を示す。矢印21は、シート幅方向を示す。今、17a、17dに相当する厚み調整手段10をそれぞれ大きく操作したとき、シート厚み測定位置18a、18dでの厚みがそれぞれ変化したとする。このとき位置17a、17dの間に、位置17b、17cそれぞれに対応する厚み調整手段10があるならば、シート厚み測定位置18aから18dまでの距離を3等分し、それぞれの区切りを18b、18cとする。また、補間できないシート1の端部については、補間に用いた情報に基づいて補外する。ここでは、線形に補間および補外をするが、多項式による補間および補外を実施しても良い。
【0052】
上記状態での制御後、印付与手段12としてCO2レーザを用いて、延伸機2の直前において、シート1の幅方向に間隔を空けながら5箇所の印を付与した。印付与手段12からのレーザは波長10.6μmで、シート1からレーザ照射部位までの距離は100mmである。付与した印は、シート1の幅方向に1mm、シート1の流れ方向に5mmの細線である。このとき、5つの印は、シート幅方向に等間隔となるように付与した。検査器8bとして、ラインセンサカメラとLED光源を用い、光透過率の変化を感知することで印の跡を検出した。このとき、シート1の正常箇所におけるラインセンサカメラ13の受光量に基づいた信号値に対し、5%の変化がある信号値となったシート1の箇所を欠点(印の跡)として検出した。これに基づき、各厚み調整手段10とシート厚み測定位置との対応関係を決定した(図4に記載の線形補間および補外を実施)。
【0053】
図5に検査器8bにより印の跡を検出した概略図を、図6に厚み制御を開始してからの厚みプロファイルの最大値と最小値の差の推移図を示す。
【0054】
図5において、矢印23はシート流れ方向を、矢印24はシート幅方向を示す。図5において丸印が検査器8bによる検出欠点を示しており、22にある検出欠点群が印の跡に相当する。このとき、先にシート幅方向の異なる2箇所への印付与を実施し、時間経過してからシート幅方向の異なる3箇所への印付与を実施した。図5に示すように、印の跡22を検査器8bで検出できている。
【0055】
これらの各厚み調整手段10とシート厚み測定位置との対応位関係の決定方法に基づいた厚み調整手段の結果、図6に示すように、厚みプロファイルの最大値と最小値の差に変化が生じた。初めの特許文献1に記載と同様の方法では厚みプロファイルの最大値と最小値との差は0.78μm程度だったが、本発明の方法では0.65μmまで改善した。
[実施例2]
実施例1において、印付与手段12をハロゲンのスポット・ヒータに変更し、それ以外は同様に実施した。スポット・ヒータの熱放射部位はφ10mmで、シート1から熱放射部位までの距離は15mmである。また、シート1に付与した印は、約φ5mmの円形である。
【0056】
図7に検査器8bにより印の跡を検出した概略図を、図8に厚み制御を開始してからの厚みプロファイルの最大値と最小値の差の推移図を示す。
【0057】
図7において、矢印26はシート流れ方向を、矢印27はシート幅方向を示す。図7において丸印が検査器8bによる検出欠点を示しており、25にある検出欠点群が印の跡に相当する。このとき、先にシート幅方向の異なる2箇所への印付与を実施し、時間経過してからシート幅方向の異なる3箇所への印付与を実施した。図7に示すように、印の跡25を検査器8bで検出できている。
【0058】
これらの各厚み調整手段10とシート厚み測定位置との対応位関係の決定方法に基づいた厚み調整手段の結果、図8に示すように、厚みプロファイルの最大値と最小値の差に変化が生じた。初めの特許文献1に記載と同様の方法では厚みプロファイルの最大値と最小値との差は0.77μm程度だったが、本発明の方法では0.55μmまで改善した。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、プラスチックフィルムの製造方法に限らず、紙の製造方法や金属箔の製造などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1 シート
2 延伸機
3 押出機
4 ダイ
5 冷却ロール
6 巻き取り機
7 搬送ロール
8a 厚み測定器
8b 検査器
9 制御手段
10 厚み調整手段
11 間隙
12 印付与手段
13 ラインセンサカメラ(受光手段)
14 LED光源(光照射手段)
15 比較器(跡検出手段)
16 シート流れ方向
17a 厚み調整手段の位置
17b 厚み調整手段の位置
17c 厚み調整手段の位置
17d 厚み調整手段の位置
18a シート厚み測定位置
18b シート厚み測定位置
18c シート厚み測定位置
18d シート厚み測定位置
19 上部横線
20 下部横線
21 シート幅方向
22 印の跡
23 シート流れ方向
24 シート幅方向
25 印の跡
26 シート流れ方向
27 シート幅方向
101 シート
102 延伸機
103 押出機
104 ダイ
105 冷却ロール
106 巻き取り機
107 搬送ロール
108 厚み測定器
109 制御手段
110 厚み調整手段
111 間隙
121a 厚み調整手段の位置
121b 厚み調整手段の位置
121c 厚み調整手段の位置
121d 厚み調整手段の位置
122a シート厚み測定位置
122b シート厚み測定位置
122c シート厚み測定位置
122d シート厚み測定位置
123 上部横線
124 下部横線
125 シート幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の厚み調整手段を備えたダイを用いて溶融材料をシート状に押出し、延伸を含む所定の加工を実施することで所望のシートとなすとともに、前記所定の加工の完了後の該シート幅方向の厚み分布を測定し、測定値に基づいて各シート厚み測定位置に対応する前記厚み調整手段に加える操作量を計算し、該操作量によって前記厚み調整手段を操作してシート厚みを制御するシートの製造方法であって、
前記所定の加工の完了前に、前記シートの複数の所定の幅方向位置に光を照射し、または熱を放射して印を付与し、
前記所定の加工の完了後に前記印の跡を検出し、前記印の跡を検出した前記シートの複数の幅方向位置に基づき、前記所定の加工の完了前の前記シートと完了後のシートとの幅方向位置の各部の対応関係を決定し、
決定した該対応関係に基づいて、前記厚み調整手段に対する前記所定の加工の完了後のシート幅方向の対応位置を決定し、決定した前記対応位置に基づいて厚み制御を行うことを特徴とするシートの製造方法。
【請求項2】
前記所定の加工の完了後のシートに光を照射し、前記シートからの透過光または反射光を受光し、前記透過光または反射光に基づいて前記印の跡を検出することを特徴とする請求項1に記載のシートの製造方法。
【請求項3】
複数個の厚み調整手段を備えたダイを用いて溶融材料をシート状に押出す押出手段と、延伸を含む所定の加工を実施することで所望のシートとなす加工手段と、前記所定の加工の完了後の該シート幅方向の厚み分布を測定する測定手段と、測定値に基づいて各シート厚み測定位置に対応する前記厚み調整手段に加える操作量を計算し、該操作量によって前記厚み調整手段を操作してシート厚みを制御する制御手段とを有するシートの製造装置であって、
前記所定の加工の完了前に、前記シートの複数の所定の幅方向位置に光を照射し、または熱を放射して印を付与する印付与手段と、
前記所定の加工の完了後に前記印の跡を検出する検出手段と、
前記印の跡を検出した前記シートの複数の幅方向位置に基づき、前記所定の加工の完了前の前記シートと完了後のシートとの幅方向位置の各部の対応関係を決定し、
決定した該対応関係に基づいて、前記厚み調整手段に対する前記所定の加工の完了後のシート幅方向の対応位置を決定し、決定した前記対応位置に基づいて厚み制御を行う前記制御手段とを有することを特徴とするシートの製造装置。
【請求項4】
前記検出手段が、前記所定の加工の完了後のシートに光を照射する光照射手段と、前記シートからの透過光または反射光を受光する受光手段と、前記透過光または反射光に基づいて前記印の跡を検出する跡検出手段とを有することを特徴とする請求項3に記載のシートの製造装置。
【請求項5】
複数個の厚み調整手段を備えたダイを用いて溶融材料をシート状に押出し、延伸を含む所定の加工を実施することで所望のシートとなすとともに、前記所定の加工の完了後の該シート幅方向の厚み分布を測定し、測定値に基づいて各シート厚み測定位置に対応する前記厚み調整手段に加える操作量を計算し、該操作量によって前記厚み調整手段を操作してシート厚みを制御するシートの厚み制御方法であって、
前記所定の加工の完了前に、前記シートの複数の所定の幅方向位置に光を照射し、または熱を放射して印を付与し、
前記所定の加工の完了後に前記印の跡を検出し、前記印の跡を検出した前記シートの複数の幅方向位置に基づき、前記所定の加工の完了前の前記シートと完了後のシートとの幅方向位置の各部の対応関係を決定し、
決定した該対応関係に基づいて、前記厚み調整手段に対する前記所定の加工の完了後のシート幅方向の対応位置を決定し、決定した前記対応位置に基づいて厚み制御を行うことを特徴とするシートの厚み制御方法。
【請求項6】
前記所定の加工の完了後のシートに光を照射し、前記シートからの透過光または反射光を受光し、前記透過光または反射光に基づいて前記印の跡を検出することを特徴とする請求項5に記載のシートの厚み制御方法。
【請求項7】
複数個の厚み調整手段を備えたダイを用いて溶融材料をシート状に押出す押出手段と、延伸を含む所定の加工を実施することで所望のシートとなす加工手段と、前記所定の加工の完了後の該シート幅方向の厚み分布を測定する測定手段と、測定値に基づいて各シート厚み測定位置に対応する前記厚み調整手段に加える操作量を計算し、該操作量によって前記厚み調整手段を操作してシート厚みを制御する制御手段とを有するシートの厚み制御装置であって、
前記所定の加工の完了前に、前記シートの複数の所定の幅方向位置に光を照射し、または熱を放射して印を付与する印付与手段と、
前記所定の加工の完了後に前記印の跡を検出する検出手段と、
前記印の跡を検出した前記シートの複数の幅方向位置に基づき、前記所定の加工の完了前の前記シートと完了後のシートとの幅方向位置の各部の対応関係を決定し、
決定した該対応関係に基づいて、前記厚み調整手段に対する前記所定の加工の完了後のシート幅方向の対応位置を決定し、決定した前記対応位置に基づいて厚み制御を行う前記制御手段とを有することを特徴とするシートの厚み制御装置。
【請求項8】
前記検出手段が、前記所定の加工の完了後のシートに光を照射する光照射手段と、前記シートからの透過光または反射光を受光する受光手段と、前記透過光または反射光に基づいて前記印の跡を検出する跡検出手段とを有することを特徴とする請求項7に記載のシートの厚み制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−171222(P2012−171222A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35713(P2011−35713)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】