説明

シートカバー及びカバー取付具

【課題】純正カバー掛止具を被掛止部から取り外すことなく、純正カバーを覆う態様で自動車用シートの座部に装着できるシートカバーを提供する。
【解決手段】自動車用シートのフレーム501と純正カバー301とを備えた座部200において、互いに対向する第1対向側面部340と第2対向側面部350を有するフック状の純正カバー掛止具320を、フレーム501に設けられた被掛止部520に掛け止めて装着している純正カバー301を覆う態様で装着するシートカバー1であって、座部200を覆うカバー本体10と、カバー本体10の下端縁12に備えたカバー取付具20とで構成し、カバー取付具20を、互いに対向する第1対向側面部40と第2対向側面部50を有するフック状に構成し、被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320に対する掛け止めを許容する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、純正カバーを覆う態様で自動車用シートの座部に装着するシートカバー及びカバー取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用シートの座部は、例えば図10に示すように、座部200の底面側に位置する金属製のフレーム501と、該フレーム501の上に載置したウレタン製のクッション材401と、該クッション材401を覆う布製の純正カバー301とで構成している。
【0003】
上述の純正カバー301は、下端縁312に沿って備えた純正カバー掛止具320を、座部200を構成するフレーム501の被掛止部520に掛け止めることによりクッション材401を覆う態様で装着している(特許文献1乃至4参照)。
【0004】
詳しくは、フレーム501の被掛止部520は、底面視逆U字状で下方に向かって略板状に延出する形状に形成している。一方で、純正カバー301の純正カバー掛止具320は、上述のフレーム501の被掛止部520の形状に対応する底面視逆U字状に備えている。純正カバー301の純正カバー掛止具320は、互いに対向すると共に高さの異なる一対の対向部を有する横断面フック状に形成した合成樹脂部材であり、高さの高い側を純正カバー301の下端縁312に沿って縫着して備えている。
【0005】
さらに、横断面フック状の純正カバー掛止具320は、適宜の係止突片353を対向面352に設けていると共に、被掛止部520は、該係止突片353が係止する係止部521を設けるなどしている。
【0006】
上述のように純正カバー掛止具320及び被掛止部520を、底面視逆U字状に形成すると共に、夫々に係止突片353、係止部521等を備えた構成とすることにより、純正カバー301がフレーム501から簡単に外れないように、純正カバー掛止具320を被掛止部520に対して強固に固定して掛け止めている。
【0007】
ところで、純正カバー301と同様の形状の高級感のあるシートカバーを純正カバー301を覆う態様で座部200に装着することが従来から行われている。
上述のシートカバーは、例えば図11に示すように、純正カバー掛止具320と同様の構成のカバー取付具920をシートカバー901の下端縁912に沿って備え、純正カバー掛止具320をフレーム501の被掛止部520から取り外して、代わりに、カバー取付具920を被掛止部520に掛け止めることにより装着していた。
【0008】
しかしながら、狭い車内において被掛止部520に強固に固定して掛け止めている純正カバー掛止具320を取り外し、カバー取付具920を座部200の底面側に位置する略板状の被掛止部520に掛け止めなければならず、シートカバー901の装着が困難で手間がかかる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−112698号公報
【特許文献2】特開平11−342278号公報
【特許文献3】実開平3−87397号公報
【特許文献4】実開平1−119597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明は、純正カバー掛止具を被掛止部から取り外すことなく、純正カバーを覆う態様で自動車用シートの座部に装着できるシートカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、自動車用シートのフレームと純正カバーとを備えた座部において、互いに対向する一対の対向部を有するフック状の純正カバー掛止具を、前記フレームに設けられた被掛止部に掛け止めて装着している前記純正カバーを覆う態様で装着するシートカバーであって、前記座部を覆うカバー本体と、前記カバー本体の縁部に備えたカバー取付具とで構成し、前記カバー取付具を、互いに対向する一対の対向部を有するフック状に構成し、前記被掛止部に掛け止められている前記純正カバー掛止具に対する掛け止めを許容する構成としたことを特徴とする。
【0012】
この発明により、前記シートカバーは、前記純正カバー掛止具を前記被掛止部から取り外すことなく、前記純正カバーを覆う態様で前記自動車用シートの前記座部に装着することができる。
【0013】
詳しくは、前記シートカバーは、前記純正カバー掛止具に対する掛け止めを許容する前記カバー取付具を、前記カバー本体の前記縁部に備えている。これにより、前記シートカバーは、前記カバー本体で前記座部を覆い、前記カバー取付具を下方に引き込んで、前記被掛止部に掛け止められている前記純正カバー掛止具に対して前記カバー取付具を掛け止めて前記座部に装着することができる。
したがって、前記シートカバーは、前記純正カバー掛止具を前記被掛止部から取り外すことなく、前記純正カバーを覆う態様で前記自動車用シートの前記座部に装着することができる。
【0014】
この発明の態様として、一対の前記対向部の一端部分で構成する開口部における開口間隔を、前記被掛止部に掛け止められている前記純正カバー掛止具の位置における前記純正カバーの厚さに比べて広く形成することができる。
【0015】
この発明により、前記カバー取付具を、前記座部の死角となっている底面側に位置する前記被掛止部に掛け止められている前記純正カバー掛止具に対して、厳密な位置合わせを要さずに掛け止めることができる。したがって、前記自動車用シートの前記座部に容易に装着することができる。
【0016】
また、この発明の態様として、一対の前記対向部の少なくとも一方に、他方の前記対向部に向かって突出し、前記純正カバー掛止具に対して係止する、或いは、
前記他方の前記対向部との間で前記純正カバー掛止具を挟持する突出部分を設けることができる。
【0017】
この発明により、前記突出部分のたわみ量を調整することで、前記被掛止部に掛け止められている様々な厚みの前記純正カバー掛止具に対して前記カバー取付具を掛け止めることができる。
【0018】
また、この発明の態様として、前記突出部分を、一対の前記対向部の他端部分同士を接続している接続部に向かって突出する構成とすることができる。
この発明により、前記カバー取付具を、前記純正カバー掛止具に対して前記突出部分で挟持又は係止する態様で容易に掛け止めることができると共に、前記カバー取付具が前記純正カバー掛止具から外れることを確実に防止することができる。
【0019】
また、この発明の態様として、前記突出部分を、前記カバー取付具の開口深さ方向に複数箇所設けることができる。
この発明により、前記カバー取付具を、前記被掛止部に掛け止められている前記純正カバー掛止具に対して強固に固定することができる。したがって、カバー取付具の開口深さ方向の掛け止め位置を調整することにより、カバー本体の張り具合を調整することができる。
【0020】
また、この発明の態様として、一対の前記対向部の最も狭い最小間隔を、前記被掛止部に掛け止められている前記純正カバー掛止具の位置における前記純正カバーの厚さに比べて狭く形成することができる。
【0021】
この発明により、前記カバー取付具を前記純正カバー掛止具に対して厳密な位置合わせを要さずに掛け止めることができると共に、前記カバー取付具を前記純正カバー掛止具に対して位置を固定して掛け止めることができる。
【0022】
また、この発明は、自動車用シートのフレームと純正カバーとを備えた座部において、互いに対向する一対の対向部を有するフック状の純正カバー掛止具を、前記フレームに設けられた被掛止部に掛け止めて装着している前記純正カバーを覆う態様で装着するシートカバーを構成するカバー取付具であって、互いに対向する一対の対向部を有するフック状に構成し、前記被掛止部に掛け止められている前記純正カバー掛止具に対する掛け止めを許容するカバー取付具である。
【発明の効果】
【0023】
この発明により、純正カバー掛止具を被掛止部から取り外すことなく、純正カバーを覆う態様で自動車用シートの座部に装着できるシートカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】カバー取付具を備えたシートカバーと自動車用シートの斜視図。
【図2】カバー取付具を備えたシートカバーの底面図。
【図3】カバー取付具の説明図。
【図4】カバー取付具をカバー本体に縫着して備えた様子の説明図。
【図5】自動車用シートの座部にシートカバーを装着する途中の状態の端面図。
【図6】自動車用シートの座部にシートカバーを装着する途中の状態の端面図。
【図7】自動車用シートの座部にシートカバーを装着した状態の端面図。
【図8】第2実施形態のシートカバーを装着した状態の端面図。
【図9】第2実施形態のシートカバーの別の装着態様の端面図。
【図10】図1のC−C線端面における左側端部分を拡大した端面図。
【図11】従来のシートカバーの装着状態の端面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
この発明の第1実施形態のシートカバー1について、以下図1乃至図7、及び、図10と共に説明する。
図1は、カバー取付具20を備えたシートカバー1と自動車用シート100の斜視図を示し、図2は、カバー取付具20を備えたシートカバー1の底面図を示している。
【0026】
また、図3は、カバー取付具20の説明図を示している。詳しくは、図3(a)は、カバー取付具20の斜視図を示し、図3(b)は、図3(a)におけるB−B線拡大端面図を示している。
【0027】
また、図4は、カバー取付具20をシートカバー1のカバー本体10に縫着して備えた様子の説明図を示している。詳しくは、図4(a)は、カバー本体10の裏面11の側から右側面部14を見た斜視図を示し、図4(b)は、図4(a)におけるC−C線拡大端面図を示している。
【0028】
また、図5及び図6は、図1のA−A線端面における左側端部分の拡大図に対応する自動車用シート100の座部200にシートカバー1を装着する途中の状態の一部拡大端面図を示し、図7は、自動車用シート100の座部200にシートカバー1を装着した状態の一部拡大端面図を示している。
さらに、図10は、図1におけるA−A線端面の左側端部分の拡大図を示している。
【0029】
自動車用シート100は、図1に示すように、座部200、背もたれ部700及びヘッドレスト800等で構成している。
シートカバー1を装着する自動車用シート100の座部200は、図10に示すように、底面側に位置し、座部200の骨格を形成する金属製のフレーム501と、フレーム501に載置したウレタン製のクッション材401と、クッション材401及びフレーム501を覆う布製の純正カバー301とで構成している。
【0030】
ここで、フレーム501は、平面視略正方形の平面部510と、平面部510の前端及び両側端から下方に向かって板状に延びる底面視逆U字状の被掛止部520とで構成している。さらに、被掛止部520は、下端部分に被掛止部520の他の部分に比べて横断面における横幅を広く形成した係止部521を備えている。
【0031】
純正カバー301は、純正カバー本体310と、純正カバー本体310の裏面311に下端縁312に沿って備えた純正カバー掛止具320とで構成している。
さらに、純正カバー本体310は、布製部材を縫製することにより、乗員が着座する平面視略正方形の着座面部316と、着座面部316の前端及び両方の側端から下方に向かって底面視逆U字状に延びる正面部313、右側面部及び左側面部315を有する形状に形成している。なお、全ての図面において純正カバー本体310の縫製による布製部材同士の繋ぎ目を省略する。
【0032】
純正カバー掛止具320は、純正カバー本体310の底面視逆U字状の下端縁312に沿った長さを有する長尺状に形成した樹脂製部材である。純正カバー掛止具320は、長手方向をU字状に変形可能な柔軟性を有している。
【0033】
また、純正カバー掛止具320は、互いに対向する第1対向側面部340及び第2対向側面部350と、これらの下端部分同士を接続する接続部330とで横断面フック状に形成している。
【0034】
また、純正カバー掛止具320は、第1対向側面部340と第2対向側面部350を被掛止部520の係止部521の横断面における横幅と同じ間隔だけ隔てて形成している。純正カバー掛止具320は、第1対向側面部340の横断面における高さを第1対向側面部350に比べて高く形成している。
【0035】
さらに、純正カバー掛止具320は、第2対向側面部350の自由端部分351に第1対向側面部340に向かって突出する係止突片353を備えている。純正カバー掛止具320は、長手方向に一様な形状に形成している。
【0036】
純正カバー掛止具320は、純正カバー本体310の裏面311に第1対向側面部340の外側面345が接触する態様で、第1対向側面部340の自由端部分341と純正カバー本体310の下端縁312を揃えて、自由端部分341と下端縁312を縫製糸380で縫着することで備えている。純正カバー掛止具320は、純正カバー本体310の下端縁312に沿って底面視逆U字状に備えている。
【0037】
純正カバー301は、純正カバー本体310の下端縁320を被掛止部520の内側に巻き込んだ態様で、純正カバー掛止具320を第1対向側面部340が被掛止部520の内側となるように掛け止めて装着されている。
【0038】
また、純正カバー掛止具320は、被掛止部520に隙間無く嵌る態様で掛け止められている。さらに、純正カバー掛止具320は、係止突片353を被掛止部520の係止部521に係止する態様で掛け止められている。
【0039】
上述の自動車用シート100の座部200に装着するシートカバー1は、図1乃至図4に示すように、座部200を覆うカバー本体10と、カバー本体10の裏面11の下端縁12に沿って備えたカバー取付具20とで構成している。
【0040】
カバー本体10は、縫製により座部200を隙間なく覆う形状に形成した合成皮革製部材である。なお、全ての図面においてカバー本体10の縫製による合成皮革同士の繋ぎ目を省略する。
【0041】
詳しくは、カバー本体10は、座部200の着座面部316を覆う着座面部16と、着座面部16の前端及び両方の側端から下方に向かって底面視逆U字状に延出し、座部200の正面部313、右側面部及び左側面部315を夫々覆う正面部13、右側面部14及び左側面部15を有する形状に形成している。
【0042】
また、カバー取付具20は、長尺状かつ横断面フック状に成形した合成樹脂製部材である。
詳しくは、カバー取付具20は、夫々、カバー本体10の正面部13、右側面部14及び左側面部15における下端縁12に沿った長さと略同一の長さを有する長尺状に形成している。
【0043】
また、カバー取付具20は、互いに対向する第1対向側面部40及び第2対向側面部50と、第1対向側面部40と第2対向側面部50の各下端部分同士を接続する底面部30とで横断面フック状に形成している。
【0044】
また、カバー取付具20は、第1対向側面部40の横断面における高さを第2対向側面部50に比べて高く形成している。なお、カバー取付具20は、第2対向側面部50の自由端部分51において開口する開口部Sを有する。
【0045】
また、カバー取付具20は、第1対向側面部40と第2対向側面部50を長手方向Lに長尺な略平板状に形成している。カバー取付具20は、第1対向側面部40と第2対向側面部50との開口部Sにおける開口間隔Dを、被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320の位置における純正カバー301の厚さWに比べて広く形成している。
【0046】
また、カバー取付具20は、第1対向側面部40と接続部30、及び、第2対向側面部50と接続部30が曲線的に接続する横断面の形状に形成している。
また、カバー取付具20は、第2対向側面部50の自由端部分51から第1対向側面部40及び接続部30に向かって突出する第2突片53を備えている。同様に、カバー取付具20は、第2対向側面部50における第2突片53と同じ高さ位置に、第2対向側面部50及び接続部30に向かって突出する第1突片43を備えている。
【0047】
さらに、カバー取付具20は、第1対向側面部40と第2対向側面部50との間において最も狭い第1突片43と第2突片53との間の最小間隔mを、被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320の位置における純正カバー301の厚さWに比べて狭く形成している。
第1突片43と第2突片53は、被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320を挟持又は係止する。カバー取付具20は、長手方向Lに一様に形成している。
【0048】
シートカバー1は、カバー取付具20を、カバー本体10の裏面11に第1対向側面部40の外側面45が接触する態様で、第1対向側面部40の自由端部分41と純正カバー本体10の下端縁12を揃えた倒立姿勢で備えている。シートカバー1は、自由端部分41と下端縁12とを下端縁12に沿って縫製糸80で縫着することで備えている。
【0049】
なお、第1対向側面部40の横断面における高さを第2対向側面部50に比べて高く形成していることにより、容易に縫製することができる。
また、シートカバー1は、カバー本体10の正面部13、右側面部14及び左側面部15における夫々の下端縁12に3つの別体構成したカバー取付具20を備えている。シートカバー1は、純正カバー掛止具20を純正カバー本体10の下端縁12における正面部13と右側面部14との間の角部及び正面部13と左側面部15との間の角部以外の部分に底面視略逆U字状に備えている。
【0050】
なお、カバー取付具20は、第1対向側面部40と第2対向側面部50を、後述のように、被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320に対して第2対向側面部50の自由端部分51を支点として倒立姿勢から反転させて掛け止める際に広げることを要する開口間隔Dを隔てて形成している。
【0051】
上述のシートカバー1は、図5乃至図7に示すように、自動車用シート100の座部200に装着する。
先ず、シートカバー1のカバー本体10を、自動車用シート100の座部200に純正カバー301を覆う態様で被覆する。次に、例えば座部200の正面部においてカバー本体10の正面部13における下端縁12に沿って備えているカバー取付具20を下方に引き込みながら倒立姿勢から反転させる。
【0052】
続いて、カバー取付具20の第2突片53を、純正カバー301を介して被掛止部520に当接させる。そして、第2対向側面部50の自由端部分51を支点として、開口間隔Dを押し広げながらカバー取付具20をさらに反転させて、被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320に対して掛け止める。このようにして、カバー本体10を被掛止部520の内側へ巻き込み、下方に引き込んで座部200に密着させた状態で装着することができる。
なお、第1対向側面部40の横断面における高さを第2対向側面部50に比べて高く形成していることにより、カバー本体10の引き込み量を増大させることができる。
【0053】
同様に、座部200の右側面部及び左側面部315において、夫々カバー本体10の右側面部14及び左側面部15における下端縁12に備えているカバー取付具20を被掛止部520に掛け止めて、シートカバー1を座部200に装着する。
【0054】
シートカバー1を座部200に装着した状態において、カバー取付具20の第1対向側面部40と第2対向側面部50との開口間隔Dが掛け止める前の状態の開口間隔Dと略一致する形状を保持する。さらに、カバー取付具20の接続部30が、図7に示すように、純正カバー掛止具320の接続部330と当接する。
【0055】
また、カバー取付具20の第2突片53が、被掛止部520の係止部521に係止している係止突片353に対して係止する。さらに、カバー取付具20の第1突片43と第2突片53が樹脂の弾性力により被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320を挟持する。
【0056】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態のシートカバー1’を、以下図8及び図9と共に説明する。なお、上述の第1実施形態のシートカバー1と同じ構成については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0057】
図8は、図1におけるA−A線端面の左側端部分の拡大図に対応する自動車用シート100の座部200にシートカバー1’を装着した状態の拡大一部端面図を示している。また、図9は、シートカバー1’の別の装着態様の拡大一部端面図を示している。
【0058】
シートカバー1’のカバー取付具20’は、第1対向側面部40’に第1上側突片43’と第1下側突片44’を備えていると共に、第2対向側面部50’に第2上側突片53’と第2下側突片54’を備えている。
【0059】
詳しくは、カバー取付具20’は、第2対向側面部50’の自由端部分51’から第1対向側面部40’及び接続部30に向かって突出する第2上側突片53’に加え、第2対向側面部50’の開口深さ方向dの中間位置から第1対向側面部40’及び接続部30に向かって突出する第2下側突片54’を備えている。
【0060】
また、カバー取付具20’は、第1対向側面部40’における第2上側突片53’及び第2下側突片54’と略同一の開口深さ方向dの位置に、第2対向側面部50’及び接続部30に向かって突出する第1上側突片43’及び第1下側突片44’を備えている。
【0061】
さらに、カバー取付具20’は、第1対向側面部40’と第2対向側面部50’との間において最も狭い第1上側突片43’と第2上側突片53’との間及び第1下側突片44’と第2下側突片54’との間の最小間隔mを、被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320の位置における純正カバー301の厚さWに比べて狭く形成している。
【0062】
第1上側突片43’と第2上側突片53’及び第1下側突片44’と第2下側突片54’は、被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320を挟持又は係止する。カバー取付具20は、長手方向Lに一様に形成している。
【0063】
第1上側突片43’と第2上側突片53’及び第1下側突片44’と第2下側突片54’は、被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320を挟持又は係止する。カバー取付具20’は、長手方向Lに一様に形成している。
シートカバー1’を座部200に装着した状態において、カバー取付具20’の接続部30が、図8に示すように、純正カバー掛止具320の接続部330と当接する。
【0064】
また、カバー取付具20’の第2下側突片54’が被掛止部520の係止部521に係止している係止突片353に対して係止する。さらに、カバー取付具20’の第1下側突片44’と第1下側突片54’が樹脂の弾性力により被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320を挟持する。
カバー取付具20’は、純正カバー掛止具320を挟持又は係止する突片を開口深さ方向dに複数箇所備えていることにより、被掛止部520に強固に固定することができる。
【0065】
これにより、カバー取付具20’は、図9に示すように、接続部30と純正カバー掛止具320の接続部330との間に隙間を生じる態様で、被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320に対して掛け止めることもできる。したがって、カバー取付具20’の開口深さ方向dの掛け止め位置を調整することにより、カバー本体10の張り具合を調整することができる。
【0066】
上述のシートカバー1,1’の構成により、以下に述べる作用効果を奏する。
シートカバー1,1’は、純正カバー掛止具320に対する掛け止めを許容するカバー取付具20,20’を、カバー本体10の下端縁12に備えている。これにより、シートカバー1,1’は、カバー本体10で座部200を覆い、カバー取付具20,20’を下方に引き込んで、被掛止部520に掛け止められている純正カバー掛止具320に対してカバー取付具20,20’を掛け止めて座部200に装着することができる。
【0067】
したがって、シートカバー1,1’は、純正カバー掛止具320を被掛止部520から取り外すことなく、純正カバー301を覆う態様で自動車用シート100の座部200に装着することができる。
【0068】
また、シートカバー1,1’は、開口間隔Dを厚さWに比べて広く形成したことにより、カバー取付具20,20’を、座部200の死角となっている底面側に位置する被掛止部520に掛け止めている純正カバー掛止具320に対して、厳密な位置合わせを要さずに掛け止めることができる。したがって、シートカバー1,1’は、自動車用シート100の座部200に容易に装着することができる。
【0069】
さらに、一般にフレーム501の被掛止部520は、バリを除去するなどの表面処理が施されておらず、従来のシートカバーでは純正カバー掛止具320を被掛止部520から取り外してカバー取付具920を掛け止める際にバリ等から指を保護する必要があった。
【0070】
上述のシートカバー1,1’は、被掛止部520に掛け止めている純正カバー掛止具320に対してカバー取付具20,20’を掛け止めることができるため、上述のように指を保護する必要がない。
【0071】
また、シートカバー1,1’は、第1突片43、第2突片53等を接続部30に向かって突出する構成としたことにより、カバー取付具20,20’を、純正カバー掛止具320に対して第1突片43、第2突片53等で挟持又は係止する態様で容易に掛け止めることができると共に、カバー取付具20,20’が純正カバー掛止具320から外れることを確実に防止することができる。
【0072】
また、シートカバー1,1’は、最小間隔mを厚さWに比べて狭く形成したことにより、カバー取付具20,20’を純正カバー掛止具320に対して厳密な位置合わせを要さずに掛け止めることができると共に、カバー取付具20,20’を純正カバー掛止具320に対して位置を固定して掛け止めることができる。
【0073】
さらに、カバー取付具20,20’は、第1対向側面部40,40’と接続部30及び第2対向側面部50,50’と接続部30が、夫々曲線的に接続する形状に形成している。これにより、接続部分に応力が集中し難く、破壊や塑性変形し難い。
【0074】
また、カバー取付具20,20’は、第1対向側面部40の横断面における高さを第2対向側面部50に比べて高く形成すると共に、第2対向側面部50の自由端部分51を支点として倒立姿勢から反転させて純正カバー掛止具320に掛け止める際に、広げることを要する開口間隔Dで第1対向側面部40,40’と第2対向側面部50,50’とを形成している。これにより、カバー本体10の上向きに引っ張る力により純正カバー掛止具320から外れることを防止できる。
【0075】
この発明の構成と上述の実施形態の対応において、
縁部は、下端縁12に対応し、
以下同様に、
カバー取付具の対向部は、第1対向側面部40,40’及び第2対向側面部50,50’に対応し、
一端部分は、自由端部分51,51’に対応し、
突出部分は、第1突片43、第2突片53、第1上側突片43’、第1下側突片44’、第2上側突片53’及び第2下側突片54’に対応し、
純正カバー掛止具の対向部は、第1対向側面部340及び第2対向側面部350に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく多くの実施形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0076】
1,1’…シートカバー
10…カバー本体
12…下端縁
20,20’…カバー取付具
30…接続部
40,40’…第1対向側面部
43…第1突片
43’…第1上側突片
44’…第1下側突片
50,50’…第2対向側面部
51,51’…自由端部分
53…第2突片
53’…第2上側突片
54’…第2下側突片
100…自動車用シート
200…座部
301…純正カバー
320…純正カバー掛止具
340…第1対向側面部
350…第2対向側面部
501…フレーム
520…被掛止部
D…開口間隔
m…最小間隔
S…開口部
W…厚さ
d…開口深さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用シートのフレームと純正カバーとを備えた座部において、互いに対向する一対の対向部を有するフック状の純正カバー掛止具を、前記フレームに設けられた被掛止部に掛け止めて装着している前記純正カバーを覆う態様で装着するシートカバーであって、
前記座部を覆うカバー本体と、
前記カバー本体の縁部に備えたカバー取付具とで構成し、
前記カバー取付具を、
互いに対向する一対の対向部を有するフック状に構成し、
前記被掛止部に掛け止められている前記純正カバー掛止具に対する掛け止めを許容する構成とした
シートカバー。
【請求項2】
一対の前記対向部の一端部分で構成する開口部における開口間隔を、
前記被掛止部に掛け止められている前記純正カバー掛止具の位置における前記純正カバーの厚さに比べて広く形成した
請求項1に記載のシートカバー。
【請求項3】
一対の前記対向部の少なくとも一方に、
他方の前記対向部に向かって突出し、
前記純正カバー掛止具に対して係止する、或いは、
前記他方の前記対向部との間で前記純正カバー掛止具を挟持する
突出部分を設けた
請求項2に記載のシートカバー。
【請求項4】
前記突出部分を、一対の前記対向部の他端部分同士を接続している接続部に向かって突出する構成とした
請求項3に記載のシートカバー。
【請求項5】
前記突出部分を、前記カバー取付具の開口深さ方向に複数箇所設けた
請求項3又は4に記載のシートカバー。
【請求項6】
一対の前記対向部の最も狭い最小間隔を、
前記被掛止部に掛け止められている前記純正カバー掛止具の位置における前記純正カバーの厚さに比べて狭く形成した
請求項3乃至5に記載のシートカバー。
【請求項7】
自動車用シートのフレームと純正カバーとを備えた座部において、互いに対向する一対の対向部を有するフック状の純正カバー掛止具を、前記フレームに設けられた被掛止部に掛け止めて装着している前記純正カバーを覆う態様で装着するシートカバーを構成するカバー取付具であって、
互いに対向する一対の対向部を有するフック状に構成し、
前記被掛止部に掛け止められている前記純正カバー掛止具に対する掛け止めを許容する構成とした
カバー取付具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−56026(P2013−56026A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195851(P2011−195851)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(500564493)株式会社イレブンインターナショナル (8)