説明

シート定着装置

【課題】 多数のアーチ状のパイプなどで骨組みが構成され、この骨組み上にシートを展張させてなる温室において、シートを定着すると共に、シートの下面に結露した結露水を回収して外部に排出するシート定着装置に関する。
【解決手段】 水平片3と、この水平片3上に起立する垂直片4と、この垂直片4の上部に連結した上側のシート定着フレーム1と、上記水平片3の一方の端部の下部に結合した下側のシート定着フレーム2と、上記垂直片4に左右方向に貫通させた孔5または切欠とからなり、上記各シート定着フレーム1、2に係止部材K1、K2を介して上下のシートS1、S2の端部をそれぞれ定着させ、上記上側のシートS1の下面から上記水平片3に流下した結露水を上記孔5または切欠を介して下側のシートS2の上面側に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のアーチ状のパイプなどで骨組みが構成され、この骨組み上にシートを展張させてなる温室において、シートを定着すると共に、シートの下面に結露した結露水を回収して外部に排出するシート定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、上記温室は、植物を育成するために利用され、地上に起立して列をなす複数のアーチ状のパイプからなる骨組と、上記パイプに直交して設けられる複数のシート定着装置と、上記シート定着装置に定着されて上記温室の屋根面、側面、妻面を構成する透明の合成樹脂からなる複数のシートとで構成される。
【0003】
上記温室においては、上記シートの内側に温室内外の温度差により結露が生じる。
【0004】
特に、温室の屋根面のシートに生じる結露が凝集すると、その結露水が温室内の土壌上に落下して、植物の根腐され、病気の原因、生育不良、温室不良を起こすため、結露水が土壌上に落下する前に回収して、温室外に排出することが要求されている。
【0005】
そこで、特許文献1に開示されているように、屋根面のシート(以下「上側のシート」という)と当該シートの下側に位置するシート(以下「下側のシート」という)とを定着するシート定着装置に、結露水回収具を取り付けて結露水を回収し、上記結露水回収具に取り付けた排水ドレンを通じて上記結露水を上記温室の外側に設けた樋に排出する方法が開発されている。
【0006】
特許文献1にあって、上記結露水回収具は、シート定着装置の下方に配置されシート定着装置から落下する結露水を受けて回収する塵取状の本体と、この本体の底部から起立して上記シート定着装置を抱持する抱持部と、上記本体の底部を結露水が通過するための通路を有してなり、この通路は、温室の外側に設けた樋へとつながる排水ドレンと通じている。
【0007】
上記構成を備えることにより、上記結露水回収装置で結露水を回収し、結露水が温室内の土壌上に落下する前に結露水を回収して、温室外に排出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−134944(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1に開示の方法にあっては、結露水回収具で結露水を回収し、この回収した結露水を排水ドレンによって温室外の樋に排出していることから、結露水が温室内の土壌上に落下する前に結露水を回収して、温室外に排出することことが可能である点で有用であるが、以下の改善が求められている。
【0010】
即ち、上記従来の方法にあっては、排水ドレンは、その上端部を結露水回収具に取り付けられ、下端部を下側のシートの下端から温室外に延ばし、樋の側壁に沿わせて配置される。
【0011】
これにより、温室内の結露水回収具によって回収された結露水を排水ドレンを介して温室外に設置された樋に排出させている。
【0012】
しかしながら、上記方法にあっては、排水ドレンにより下側のシートの下端が捲り上げられるため、排水ドレンの周りに隙間を生じ、この隙間から害虫が温室内に侵入したり、温室内に放った益虫が逃げ出したりする虞がある。
【0013】
更に、上記結露水回収具は、シート定着装置に一定間隔をもって複数設けることが一般的であるため、上記隙間が複数生じることとなる。
【0014】
特に、下側のシートの下端を巻上パイプに巻きつけて設け、上記下側のシートの巻きつけ量を変更することにより、換気を可能にした温室において、結露水回収具が複数設けられる場合には、複数の排水ドレンに対して巻上パイプが直交して支えられるため、各排水ドレンの間に樋の側壁に沿って排水ドレンの外径に相当する幅の隙間が生じ、隙間量が大きくなる不具合がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための手段は、水平片と、この水平片上に起立する垂直片と、この垂直片の上部に連結した上側のシート定着フレームと、上記水平片の一方の端部に沿って結合した下側のシート定着フレームと、上記垂直片に左右方向に貫通させた孔または切欠とからなり、上記各シート定着フレームに係止線条を介して上下のシートの端部をそれぞれ定着させ、上記上側のシートの下面から上記水平片に流下した結露水を上記孔または切欠を介して下側のシートの上面側に回収することを特徴とする。
【0016】
この場合において、上記下側のシート定着フレームが、水平長板状に形成される底部と、この底部の両側辺から長手方向に沿って斜めに起立して開口巾峡の蟻溝を形成する左右一対の側部とからなり、上記蟻溝内に係止線条からなる係止部材を介して下側のシートを定着すると共に、一方の側部上端が上記水平片の一方の端部に結合されてなることが好ましい。
【0017】
そして、上記下側のシート定着フレームの上記蟻溝に上記下側のシートを定着させた状態で、上記蟻溝の開口を塞ぐカバーを設けることが好ましい。
【0018】
また、上記カバーが、上記下側のシート定着フレームの蟻溝の開口の幅よりもやや幅広でその中央部が上方に向けてやや湾曲したカバー本体と、当該カバー本体の下側に設けられて上記下側のシート定着フレームの各側部の上部内側にそれぞれ引っ掛かる一対の脚部とからなり、この各脚部がそれぞれ外方に向けて湾曲するフック状に形成されることが好ましい。
【0019】
更に、上記下側のシート定着フレームの一方の側部と上記水平片との境界部に、上記水平片の端部下面に沿って水平に形成された横溝を有し、この横溝に上記カバー本体の一端側の側部が挿入されることが好ましい。
【0020】
また、上記上側のシート定着フレームが、水平長板状に形成される底部と、この底部の両側辺から長手方向に沿って斜めに起立して開口巾峡の蟻溝を形成する左右一対の側部とからなり、上記蟻溝内に係止線条からなる係止部材を介して上側のシートを定着すると共に、上記底部に上記垂直片が結合されてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、垂直片に左右に貫通させた孔または切欠を設けることにより、上側のシートの下面に生じた結露水を下側のシートの上面側に回収することが可能であることから、排水ドレンを設ける必要がなく、排水ドレンの周りに隙間が発生する不具合を防止することが可能となる。
【0022】
また、結露水回収具や排水ドレンを取り付ける必要がないことから、結露水を回収して温室外に排出することが簡便かつ安価に可能となる。
【0023】
請求項2に係る発明によれば、下側のシート定着フレームに下側のシートを係止線条からなる係止部材を介して容易に定着させることが可能となる。
【0024】
請求項3に係る発明によれは、カバーを設けることにより、下側のシート定着フレームの蟻溝内に結露水が蓄積せず、結露水を速やかに下側のシートの下方に流下させることが可能となり、これにより、下側のシートの劣化やカビ等の発生を防ぐことが可能となる。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、カバーが外方に向けて湾曲するフック状の一対の脚部を有することにより、下側のシート定着フレームへの着脱が容易となると共に、カバーの構成が簡単で安価に製造可能となる。
【0026】
請求項5に係る発明によれば、カバー本体の一端側の側部が横溝に挿入されることから、結露水が下側のシート定着フレームの蟻溝内に浸入することを容易かつ確実に防ぐことが可能となる。
【0027】
請求項6に係る発明によれば、上側のシート定着フレームに上側のシートを係止線条からなる係止部材を介して容易に定着させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施の形態におけるシート定着装置を温室に設けた状態を示す部分斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるシート定着装置の使用状態を示す部分斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態におけるシート定着装置の使用状態を示す横断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態におけるシート定着装置の部分斜視図である。
【図5】本発明の他の実施の形態におけるシート定着装置の使用状態を示す横断面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態におけるシート定着装置の使用状態を示す横断面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態におけるシート定着装置の使用状態を示す横断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態におけるシート定着装置の使用状態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本実施の形態を示すシート定着装置について、図面を参照して説明する。
【0030】
図1に示すように、本発明に係るシート定着装置Aは、植物等を育成するために利用される温室の骨組を構成するアーチ状のパイプPに直交して架設され、ジョイント等の取付部材Gを介して上記パイプPに結合されている。
【0031】
そして、温室の屋根面を構成する上側のシートS1と、この上側のシートS1の下方に設けられる下側のシートS2とをアーチ状のパイプPに沿って展張させている。
【0032】
上記下側のシートS2の下端側は、巻上パイプ24に巻き付けられており、この巻上パイプ24を回転して下側のシートS2を巻き上げると、温室に開口Oを生じ、温室の換気を行うことが可能となる。
【0033】
上記巻上パイプ24は、この巻上パイプ24に直交する弾性素材からなるバンド8によって上方からパイプPに押し付けられ、これにより、下側のシートS2のバタツキを防止している。
【0034】
上記温室の側面には、本発明に係るシート定着装置Aと並列に樋9が備えられており、図示しないが、温室を密閉したとき、即ち、下側のシートS2が巻き下げられて巻上パイプ24が樋9の温室側の側壁9aに当接した状態にあるときに、シートS1、S2の下面に生じる結露水Wを回収し所定の場所に排出する。
【0035】
本実施の形態を示すシート定着装置Aは、図4に示すように、水平片3と、この水平片3上に起立する垂直片4と、この垂直片4の上部に連結した上側のシート定着フレーム1と、上記水平片3の一方の端部に沿って結合した下側のシート定着フレーム2と、上記垂直片4に左右方向に貫通させた孔5とからなる。
【0036】
そして、図2、図3に示すように、上記各シート定着フレーム1、2に係止部材K1、K2を介して上下のシートS1、S2の端部をそれぞれ定着させ、上記上側のシートS1の下面から上記水平片3に流下した結露水Wを上記孔5を介して下側のシートS2の上面側に回収する。
【0037】
この回収された結露水Wは、下側のシートS2の上面を流下して樋9(図1)に排出される。
【0038】
つまり、上記垂直片4に左右に貫通させた孔5を設けることにより、上側のシートS1の下面に生じた結露水Wを下側のシートS2の上面側に回収することが可能となる。
【0039】
従って、この結露水Wの回収方法にあっては、従来のように排水ドレンを設ける必要がなく、排水ドレンの周りに隙間が発生する等、排水ドレンの使用に起因する不具合を防止することが可能となり、結露水Wを回収して温室外に排出することが簡便かつ安価に可能となる。
【0040】
特に、図示しないが、下側のシートS2の下側にネットを重ねて展張し、このネットの上端を下側のシート定着フレーム2に、下端を樋9の側壁9aの上方に設けた蟻溝9bに定着することが可能となり、この方法にあっては、温室に開口Oを設けて換気をする際にあっても確実に害虫等の侵入を防止し、益虫が温室から逃げ出すことを防止することが可能となる。
【0041】
尚、本発明に係る上記シート定着装置Aは、鉄、アルミ、合成樹脂等、適宜材質を選択して形成することが可能である。
【0042】
以下に、本発明に係るシート定着装置の各構成部材の詳細な構成について説明する。
【0043】
温室の屋根面を構成する上側のシートS1の端部を定着する上側のシート定着フレーム1は、図4に示すように、水平長板状に形成される底部11と、この底部11の両側辺から長手方向に沿って斜めに起立して開口巾峡の蟻溝10を形成する左右一対の側部12、13とからなる。
【0044】
そして、図2、図3に示すように、上記蟻溝10内に係止線条からなる係止部材K1を介して上側のシートS1を定着する。
【0045】
上記蟻溝10を有することにより、係止線条からなる係止部材K1を使用することが可能となり、上側のシートS1を容易に展張することが可能となる。
【0046】
また、上記蟻溝10を有することにより、図1から図3に示すように、上記蟻溝10内に嵌挿される折れ線状の弾性ばね部8aと、このばね部8aに延設されて蟻溝10外に延びるフック8bとからなる結合部材を上側のシート定着フレーム1に取り付けて、上記フック8bに下側のシートS2のバタツキを防止するバンド8の上端部を結び付けることにより、上記バンド8を上側のシート定着フレーム1の任意の位置に容易に取り付けることが可能となる。
【0047】
上記上側のシート定着フレーム1の底部11の略中央下部に位置し、上側のシート定着フレーム1を支える垂直片4は、図4に示すように、水平片3の略中央部から起立する板状部材からなり、左右に貫通する孔5を有してなる。
【0048】
上記孔5の大きさ、形状、及び数量は、適宜選択することが可能であり、温室内への侵入を防止したい害虫の大きさや、温室内に放った益虫の大きさ等に応じて設けるとすれば良く、図示しないが上記孔5に替えて切欠を設けるとしても良い。
【0049】
また、上記垂直片4の形状を板状とすることで、孔5または切欠を設ける際の加工が容易となるが、他の形状を採用するとしてもよい。
【0050】
例えば、上記垂直片4を、水平片3上に列をなす複数のスペーサで構成し、各スペーサの間に隙間を設け、当該隙間が上記孔5の役割を担うとしても良い。
【0051】
また、図示しないが、水平片3と上側のシート定着フレーム1との間に結露水の通過を許容するスポンジや発砲ウレタン等からなる多孔質部材や不織布等を挿入し、これによって害虫の侵入等を防止するとしても良い。
【0052】
当該方法によれば、害虫の侵入等を防止することが確実に可能となると共に、上記多孔質部材や不織布等に結露水Wが吸水されるため、垂直片4よりも上方に位置する水平片3上から結露水Wが温室内に落下することをより確実に防止することが可能となる。
【0053】
更には、孔5を大きく形成したとしても害虫の侵入等を防止することが可能となり、垂直片4を断続的に設けることも可能となる。
【0054】
上記垂直片4が起立する水平片3は、図4に示すように、平板状に形成され、一方の端部に沿って下側のシート定着フレーム2が結合されている。
【0055】
上記水平片3は、他方の端部に沿って上方に突出する突出部3aを有し、これにより、上側のシートS1の下面を流下して水平片3a上に溜まった結露水Wが、他方の端部から温室内に落下することを防ぐことが可能となる。
【0056】
尚、上記突出部3aの形状は上記の限りではなく、リブや折り曲げ部を設けることにより、上記効果を奏するものとしても良い。
【0057】
上記水平片3の一方の端部に沿って結合された下側のシート定着フレーム2は、図4に示すように、上記上方のシート定着フレーム1と同様に、水平長板状に形成される底部21と、この底部21の両側辺から長手方向に沿って斜めに起立して開口巾峡の蟻溝20を形成する左右一対の側部22、23とからなる。
【0058】
そして、上記下側のシート定着フレーム2は、図2、図3に示すように、上記蟻溝20内に係止線条からなる係止部材K2を介して下側のシートS2を定着すると共に、一方の側部22の上端が上記水平片3の一方の端部に結合されている。
【0059】
上記蟻溝20を備えることにより、上記上側のシート定着フレーム1と同様に、下側のシート定着フレーム2に下側のシートS2を係止線条からなる係止部材K2を介して容易に定着させることが可能となる。
【0060】
また、上記下側のシート定着フレーム2を、シングルタイプのビニペット(登録商標)とすることにより、下側のシート定着フレーム2の外郭を利用して上記ビニペット(登録商標)に使用可能なジョイント等の市販品を使用してパイプと結合することが可能となり、汎用性を向上することが可能となる。
【0061】
上記下側のシート定着フレーム2の上記蟻溝20には、上記下側のシートS2を定着させた状態で、上記蟻溝20の開口を塞ぐカバー6が設けられており、これにより、下側のシート定着フレーム2の蟻溝20内に結露水Wが蓄積せず、結露水Wが速やかに下側のシートS2の上面を伝って下方に流下することが可能となり、これにより、下側のシートS2の劣化やカビ等の発生を防ぐことが可能となる。
【0062】
更に、上記カバー6は、図2、図3に示すように、上記下側のシート定着フレーム2の蟻溝20の開口の幅よりもやや幅広でその中央部が上方に向けてやや湾曲したカバー本体61と、当該カバー本体61の下側に設けられて上記下側のシート定着フレーム2の各側部22、23の内側にそれぞれ引っ掛かる一対の脚部62、62とからなり、この各脚部62、62がそれぞれ外方に向けて湾曲するフック状に形成されている。
【0063】
上記カバー6が外方に向けて湾曲するフック状の一対の脚部62、62を有することにより、カバー6を下側のシート定着フレーム2に着脱させる作業が容易となると共に、カバー6の構成が簡単で安価に製造可能となる。
【0064】
尚、上記カバー6を備えることにより、上記効果を得ることが可能となるがこの限りではなく、カバー6の形状は適宜選択することが可能であり、例えば、図5から図8に示すように、カバー6の脚部63、63を断面く字状に折り曲げて形成し、各脚部63、63の先端部が相対向するよう設けるとしても良く、その他の形状を採用するとしても良い。
【0065】
上記カバー本体61の一端側は、上記下側のシート定着フレーム2の一方の側部22と上記水平片3との境界部に、上記水平片3の一方の端部の下面に沿って水平に形成された横溝7に挿入され、これにより、結露水Wが下側のシート定着フレーム2の蟻溝20内に浸入することを容易かつ確実に防ぐことが可能となる。
【0066】
上記横溝7は、図4に示すように、下側のシート定着フレーム2の一方の側部22の上端に沿って外方側に延設されてなる水平板状の底部7aと、この底部7aの端部から垂直に起立して水平片3の一方の端部下面に結合する側壁7bと、水平片3の一方の端部下面とで形成される。
【0067】
上記横溝7の形状は、この限りではなく、蟻溝20内に結露水Wが浸入することを防止することが可能な範囲において、適宜形状を選択することが可能となる。
【0068】
以上、本発明の一実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【0069】
例えば、図5に示すように、垂直片4と上側のシート定着フレーム1とを一体的に設けるとしても良い。
【0070】
この場合にあっては、水平片3上に起立する左右一対の垂直片4a、4bと、各垂直片4a、4bに設けられ左右に貫通する孔5または切欠と、上記各垂直片4a、4bの上端部にそれぞれ延設されて外方側に張り出して湾曲する湾曲部1aと、この湾曲部1aにそれぞれ延設されて相対向して斜め上方に起立する傾斜部1b、1bとからなる上側のシート定着フレーム1とを有してなる。
【0071】
これにより、シート定着装置を形成するための材料を減らして安価に製造可能となると共に、上側のシート定着フレーム1に上記湾曲部1aと傾斜部1bとで蟻溝状の溝10aが形成されるため、当該溝10aに係止線条からなる係止部材K1を介して上側のシートS1を容易に定着することが可能となる。
【0072】
また、図6に示すように、水平片3上に孔5または切欠を有する複数の垂直片4cを設け、この垂直片4c上に上側のシート定着フレーム1を連結するとしても良く、この場合にあっては、複数の垂直片4cで上側のシート定着フレーム1を支えることとなり、上側のシート定着フレーム1にシートS1を展張する際にかかる垂直片4cへの負荷を分散させることが可能となる。
【0073】
尚、図6には、水平片3上に左右一対の垂直片4c、4cを設けた状態を示すが、この限りではなく、垂直片4cを三本以上設けるとしても良い。
【0074】
また、上側のシート定着フレーム1を、図7、図8に示すように、係止線条以外の係止部材によって定着するものとしても良い。
【0075】
図7には、上側のシート定着フレーム1が、孔5または切欠を有する垂直片4によって支えられる底部11aと、この底部11aの両側辺から斜め外方に向けてそれぞれ起立して先端部が内側に湾曲する一対の抱持片12a、13aとからなり、当該抱持片12a、13aの間に係止部材たるコイルスプリングK3を介して上側のシートS1を定着した状態を示す。
【0076】
図8には、上側のシート定着フレーム1が、孔5または切欠を有する垂直片4によって支えられる底部11bと、この底部11bの両側辺からそれぞれ垂直に起立して先端部が外側に湾曲する一対の挟持片12b、13bとからなり、上側のシートS1を上記挟持片12b、13bの上に乗せ、次いで上記挟持片12b、13bの間に係止部材たるボルトK4を挿通することにより、上側のシートS1を定着した状態を示す。
【符号の説明】
【0077】
A シート定着装置
G 取付部材
K 係止部材
S1 上側のシート
S2 下側のシート
P パイプ
W 結露水
1 上側のシート定着フレーム
2 下側のシート定着フレーム
3 水平片
4 垂直片
5 孔
6 カバー
7 横溝
8 バンド
9 樋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平片(3)と、この水平片(3)上に起立する垂直片(4)と、この垂直片(4)の上部に連結した上側のシート定着フレーム(1)と、上記水平片(3)の一方の端部に沿って結合した下側のシート定着フレーム(2)と、上記垂直片(4)に左右方向に貫通させた孔(5)または切欠とからなり、上記各シート定着フレーム(1)、(2)に係止部材(K1)、(K2)を介して上下のシート(S1)、(S2)の端部をそれぞれ定着させ、上記上側のシート(S1)の下面から上記水平片(3)に流下した結露水を上記孔(5)または切欠を介して下側のシート(S2)の上面側に回収することを特徴とするシート定着装置。
【請求項2】
上記下側のシート定着フレーム(2)が、水平長板状に形成される底部(21)と、この底部(21)の両側辺から長手方向に沿って斜めに起立して開口巾峡の蟻溝(20)を形成する左右一対の側部(22)、(23)とからなり、上記蟻溝(20)内に係止線条からなる係止部材(K2)を介して下側のシート(S2)を定着すると共に、一方の側部(22)上端が上記水平片(3)の一方の端部に結合されてなることを特徴とする請求項1に記載のシート定着装置。
【請求項3】
上記下側のシート定着フレーム(2)の上記蟻溝(20)に上記下側のシート(S2)を定着させた状態で、上記蟻溝(20)の開口を塞ぐカバー(6)を設けることを特徴とする請求項2に記載のシート定着装置。
【請求項4】
上記カバー(6)が、上記下側のシート定着フレーム(2)の蟻溝(20)の開口の幅よりもやや幅広でその中央部が上方に向けてやや湾曲したカバー本体(61)と、当該カバー本体(61)の下側に設けられて上記下側のシート定着フレーム(2)の各側部(22)、(23)の上部内側にそれぞれ引っ掛かる一対の脚部(62)、(62)とからなり、この各脚部(62)、(62)がそれぞれ外方に向けて湾曲するフック状に形成されることを特徴とする請求項3に記載のシート定着装置。
【請求項5】
上記下側のシート定着フレーム(2)の一方の側部(22)と上記水平片(3)との境界部に、上記水平片(3)の端部の下面に沿って水平に形成された横溝(7)を有し、この横溝(7)に上記カバー本体(61)の一端側の側部が挿入されることを特徴とする請求項4に記載のシート定着装置。
【請求項6】
上記上側のシート定着フレーム(1)が、水平長板状に形成される底部(11)と、この底部(11)の両側辺から長手方向に沿って斜めに起立して開口巾峡の蟻溝(10)を形成する左右一対の側部(12)、(13)とからなり、上記蟻溝(10)内に係止線条からなる係止部材(K1)を介して上側のシート(S1)を定着すると共に、上記底部(10)に上記垂直片(4)が結合されてなることことを特徴とする請求項1から請求項5に記載のシート定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−30462(P2011−30462A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177789(P2009−177789)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000221568)東都興業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】