説明

シート搬送装置及びこれを用いた画像形成装置

【課題】シートを吸引しつつ搬送する際に吸引ムラが発生するのを抑制する。
【解決手段】搬送ベルト401〜403の内側にシートの搬送方向に沿って配置され、内部がシートの搬送方向に沿って複数の部屋457に仕切られ、かつ前記各部屋457のシートと対向する面に設けられた吸引口452からシートを吸引するための吸引用流路を形成する流路形成部材と、流路形成部材の各部屋457のうち、シートの搬送方向に沿った最も上流側に位置する部屋から吸引する吸引手段と、流路形成部材の隣接する部屋を仕切る仕切壁に開口された連通口458と、通常は各連通口を閉じた状態で設けられ、シートの搬送方向に沿った上流側の吸引口が搬送ベルトによって搬送されるシートにより覆われたとき、吸引口が覆われた部屋に隣接する部屋の吸引口からの吸引力によって連通口を開く複数の弁体460とを備えるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート搬送装置及びこれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置においては、記録用紙等のシートに画像を形成するため、給紙部から転写部へ、あるいは定着部から排紙部等へシートを搬送するシート搬送装置が用いられている。シート搬送装置に関する技術としては、例えば、特開平10−017220号公報、特開2003−248346号公報、特開2010−076871号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
上記特開平10−017220号公報に係る画像形成装置は、両面トレイ内にスタックされた片面に画像が形成された用紙の端部にエアー吹付手段によってエアーを吹き付けて少なくとも最下位の用紙からその上の用紙を浮揚させ、両面トレイ内にスタックされた再下位の用紙を吸引手段の吸引力によって吸着しつつ、両面トレイ内にスタックされた用紙を搬送手段によってその下側から順次再給紙するにあたり、両面トレイ内にスタックされた用紙サイズと濃度検知手段が検知した濃度に応じて、前記エアー吹付手段と前記吸引手段の風速を制御するように構成したものである。
【0004】
また、上記特開2003−248346号公報に係る画像形成装置は、吸引手段によって用紙を搬送部材の表面に吸着させ、搬送部材によって用紙を担持して搬送するとともに、用紙裏面への記録であるか否かによって前記吸引手段の吸引力を制御するように構成したものである。
【0005】
さらに、上記特開2010−076871号公報に係る画像形成システムは、給紙トレイに収納された複数枚の用紙を、エア吸引手段によって吸着しつつ給紙手段によって1枚ずつ送り出し、給紙手段から送り出され搬送手段により搬送された用紙に、画像形成手段によって画像を形成するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−017220号公報
【特許文献2】特開2003−248346号公報
【特許文献3】特開2010−076871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、シートを吸引しつつ搬送する際に吸引ムラが発生するのを抑制することが可能なシート搬送装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1に記載された発明は、シートを搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの内側に前記シートの搬送方向に沿って配置され、内部が前記シートの搬送方向に沿って複数の部屋に仕切られ、かつ前記各部屋の前記シートと対向する面に設けられた吸引口から前記シートを吸引するための吸引用流路を形成する流路形成部材と、
前記流路形成部材の各部屋のうち、前記シートの搬送方向に沿った最も上流側に位置する部屋から吸引する吸引手段と、
前記流路形成部材の隣接する部屋を仕切る仕切壁に開口され、隣接する部屋を連通する連通口と、
通常は前記各連通口を閉じた状態で設けられ、前記シートの搬送方向に沿った上流側の吸引口が前記搬送ベルトによって搬送される前記シートにより覆われたとき、前記吸引口が覆われた部屋に隣接する部屋の吸引口からの吸引力によって前記連通口を開く複数の弁体とを備えたことを特徴とするシート搬送装置である。
【0009】
また、請求項2に記載された発明は、前記流路形成部材は、前記搬送ベルトによって搬送されるサイズの異なる複数のシートの搬送方向と交差する方向に沿った両端部にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置である。
【0010】
さらに、請求項3に記載された発明は、シートにトナー像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって前記シートに形成されたトナー像を定着する定着手段と、
前記定着手段によってトナー像が定着されたシートを、前記定着手段のシート搬送方向に沿った下流側へ搬送するシート搬送手段とを備え、
前記シート搬送手段として、前記請求項1又は2のいずれかに記載のシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された発明によれば、シートを吸引しつつ搬送する際に吸引ムラが発生するのを抑制することができる。
【0012】
また、請求項2に記載された発明によれば、シートを吸引しつつ搬送する際に、シートの搬送方向と交差する方向に沿った両端部に吸引ムラが発生するのを抑制することができる。
【0013】
さらに、請求項3に記載された発明によれば、定着直後のシートを吸引して搬送する際に吸引ムラが発生するのを抑制することができ、画質の低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置の要部を示す一部破断の斜視構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を適用した画像形成装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を示す構成図である。
【図4】従来のシート搬送装置を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を示す斜視構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置の搬送ベルトを取り外した状態を示す斜視構成図である。
【図7】搬送ロールを示す斜視構成図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を示す一部破断の斜視構成図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置の流路形成部材を示す斜視構成図である。
【図10】流路形成部材の要部を示す断面構成図である。
【図11】弁体を示す斜視構成図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を示す断面構成図である。
【図13】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置の動作を示す説明図である。
【図14】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を適用した画像形成装置としてのタンデム方式のフルカラー画像形成装置を示すものである。なお、このタンデム方式のフルカラー画像形成装置は、画像読取装置を備えており、フルカラーの複写機としても機能するように構成されているが、画像読取装置を備えていなくとも勿論良い。また、このフルカラー画像形成装置は、単位時間あたりに画像形成可能な記録用紙の枚数である生産性が高く設定されており、例えば、A4サイズのLEF(Long Edge Feed)の記録用紙に毎分当たり120〜140枚(PPM)程度の画像を形成することが可能となっている。ただし、本発明は、高速のタンデム方式の画像形成装置に限定されるものではないことは勿論であり、感光体ドラムを1つのみ備えた単色の画像形成装置であっても適用可能である。
【0017】
図2において、1は画像形成装置の本体を示すものであり、この画像形成装置本体1の上部の一端(図示例では、左端)には、原稿2の画像を読み取る画像読取装置4が配置されている。この画像読取装置4は、原稿押え部材3によって押圧された状態でプラテンガラス5上に置かれた原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像をフルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光することにより、画像読取素子11によって原稿2の画像を予め定められたドット密度で読み取るように構成されている。
【0018】
上記画像読取装置4によって読み取られた原稿2の画像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(例えば、各8bit)の3色の画像データとして画像処理装置等を備えた制御装置12に送られ、この制御装置12では、原稿2の画像データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理が施される。また、上記の如く制御装置12で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく制御装置12によってシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色の画像データに変換される。なお、制御装置12によって変換される画像データの色数は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色の画像データに限らず、後述するように、高彩度シアン(HC)や高彩度マゼンタ(HM)を含む6色等に変換しても良く、その色数は任意である。また、上記制御装置12に入力される画像データとしては、図示しない通信回線を介してパーソナルコンピュータ等から送られてくるものであっても勿論良い。
【0019】
ところで、この実施の形態では、互いに色の異なるトナーを用いて画像を形成する複数の画像形成手段を備えるように構成されている。
【0020】
すなわち、この実施の形態に係る画像形成装置本体1の内部には、図2に示すように、複数の画像形成手段として、シアン(C)、マゼンタ(M)、高彩度シアン(HC)、高彩度マゼンタ(HM)、イエロー(Y)、黒(K)の各色に対応した6つの画像形成部13C、13M、13HC、13HM、13Y、13Kが、水平方向に沿って一定の間隔を隔てて並列的に配置されている。高彩度シアン(HC)は、シアン色系の色相を有し、シアン(C)色よりも色調が明るく彩度が相対的に高い高彩度のシアン色である。また、高彩度マゼンタ(HM)は、マゼンタ色系の色相を有し、マゼンタ(M)色よりも色調が明るく彩度が相対的に高い高彩度のマゼンタ色である。なお、上記シアン(C)、マゼンタ(M)、高彩度シアン(HC)、高彩度マゼンタ(HM)、イエロー(Y)、黒(K)色の各画像形成部13C、13M、13HC、13HM、13Y、13Kの配列順序は、図示のものに限定されるものではなく、異なる順序で配列しても良い。
【0021】
また、上記シアン(C)、マゼンタ(M)、高彩度シアン(HC)、高彩度マゼンタ(HM)、イエロー(Y)、黒(K)色の各画像形成部13C、13M、13HC、13HM、13Y、13Kは、それぞれが個別に一体的にユニット化されており、各画像形成部13C、13M、13HC、13HM、13Y、13Kが単独で画像形成装置本体1に対して交換可能に装着されている。
【0022】
これらの6つの画像形成部13C、13M、13HC、13HM、13Y、13Kは、図2に示すように、使用するトナーの種類を除いて、基本的にすべて同様に構成されており、大別して、矢印A方向に沿って予め定められた回転速度で駆動される像保持体としての感光体ドラム15と、この感光体ドラム15の表面を一様に帯電する一次帯電手段としてのスコロトロン16と、当該感光体ドラム15の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する潜像形成手段としての画像露光装置14と、感光体ドラム15上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像する現像手段としての現像装置17と、感光体ドラム15上に残留した転写残トナー等を除去するクリーニング装置18とを備えるように構成されている。
【0023】
上記画像露光装置14は、図2に示すように、半導体レーザ19を画像データに応じて変調し、この半導体レーザ19からレーザ光LBを画像データに応じて出射する。この半導体レーザ19から出射されたレーザ光LBは、反射ミラー20、21を介して回転多面鏡22によって偏向走査され、図示しないf−θレンズで走査角度に応じて焦点距離が調整された状態で、複数枚の反射ミラー23、24等を介して像保持体としての感光体ドラム15上に走査露光される。なお、上記画像露光装置14としては、レーザ光LBを偏向走査させて画像露光を行う装置に限らず、例えば、LED発光素子を感光体ドラム15の軸方向に沿って多数配列したLEDアイレ等を用いた装置を使用しても良い。LEDアイレを用いた画像露光装置14の場合には、レーザ光LBを偏向走査させて画像露光を行う画像露光装置14と比較して、画像露光装置14の大幅な小型化が可能となり、画像形成装置全体を小型化することができ望ましい。
【0024】
上記制御装置12からは、シアン(C)、マゼンタ(M)、高彩度シアン(HC)、高彩度マゼンタ(HM)、イエロー(Y)、黒(K)の各色の画像形成部13C、13M、13HC、13HM、13Y、13Kの画像露光装置14C、14M、14HC、14HM、14Y、14Kに対応する各色の画像データが順次出力される。そして、これらの画像露光装置14C、14M、14HC、14HM、14Y、14Kから画像データに応じて出射されたレーザ光LBは、対応する感光体ドラム15C、15M、15HC、15HM、15Y、15Kの表面に主走査方向(感光体ドラム15の軸方向)に沿って走査露光され、感光体ドラム15C、15M、15HC、15HM、15Y、15Kの表面には静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム15C、15M、15HC、15HM、15Y、15Kの表面に形成された静電潜像は、現像装置17C、17M、17HC、17HM、17Y、17Kによって、それぞれシアン(C)、マゼンタ(M)、高彩度シアン(HC)、高彩度マゼンタ(HM)、イエロー(Y)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0025】
上記各画像形成部13C、13M、13HC、13HM、13Y、13Kの感光体ドラム15C、15M、15HC、15HM、15Y、15K上に、順次形成されたシアン(C)、マゼンタ(M)、高彩度シアン(HC)、高彩度マゼンタ(HM)、イエロー(Y)、黒(K)の各色のトナー像は、図2に示すように、各画像形成部13C、13M、13HC、13HM、13Y、13Kの下方に配置された中間転写体としての中間転写ベルト25上に、一次転写ロール26C、26M、26HC、26HM、26Y、26Kによって互いに重ね合わせた状態で一次転写される。
【0026】
上記中間転写ベルト25は、駆動ロール27と、従動ロール28と、張力付与ロール29と、従動ロール30と、二次転写部の背面支持ロール31と、従動ロール32からなる複数のロール間に予め定められた張力で掛け渡されている。そして、中間転写ベルト25は、図示しない定速性に優れた専用の駆動モータによって回転駆動される駆動ロール27により、矢印B方向に沿って感光体ドラム15C、15M、15HC、15HM、15Y、15Kの回転速度(周速)と略等しい予め定められた速度で循環移動するように駆動される。上記中間転写ベルト25としては、例えば、可撓性を有するポリイミドやポリアミドイミド等の合成樹脂フィルムを無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0027】
上記中間転写ベルト25上に多重に転写されたシアン(C)、マゼンタ(M)、高彩度シアン(HC)、高彩度マゼンタ(HM)、イエロー(Y)、黒(K)の各色のトナー像は、背面支持ロール31に中間転写ベルト25を介して圧接する二次転写ロール33に印加される二次転写バイアスによってシートとしての記録用紙34上に一括して二次転写される。これらの各色のトナー像が転写された記録用紙34は、二連の搬送ベルト35、36によって定着手段としての定着装置37へと搬送される。そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙34は、定着装置37の加熱ベルト38及び加圧ロール39によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、本発明の実施の形態に係るシート搬送装置40を介して冷却ユニット41へ搬送されて冷却され、カール矯正ユニット42によってカールが矯正された状態で、片面プリントの場合には、そのまま画像形成装置本体1の外部に設けられた排出トレイ43上に排出される。
【0028】
上記記録用紙34は、図2に示すように、例えば、複数の給紙トレイ44、45のうちの何れかから予め定められたサイズや材質のものが、給紙ロール46及び用紙搬送用のロール対47からなる用紙搬送経路48を介して1枚ずつ分離された状態で、レジストロール49まで一旦搬送される。上記給紙トレイ44、45のうちの何れかから供給された記録用紙34は、所定のタイミングで回転駆動されるレジストロール49によって中間転写ベルト25上のトナー像と同期をとって二次転写位置50へと送り出される。
【0029】
また、上記画像形成装置によって記録用紙34の両面に画像を形成する場合には、定着装置37によって片面に画像が定着された記録用紙34を、そのまま機外に排出せずに、切り替えゲート51によって、記録用紙34の搬送経路を下方に切り替え、反転用の用紙搬送経路52を介して給紙ローラ54によって中間トレイ53に一旦収容される。そして、この中間トレイ53に収容された記録用紙34は、給紙ローラ54によってその搬送方向を反転した状態で、両面用の用紙搬送経路55及び通常の用紙搬送経路48を介して、表裏が反転された状態で、再度、中間転写ベルト25の二次転写位置50まで搬送され、裏面に画像が転写された後、定着装置37の加熱ベルト38及び加圧ロール39によって熱及び圧力で定着処理を受けて、本発明の実施の形態に係るシート搬送装置40を介して冷却ユニット41へ搬送されて冷却され、カール矯正ユニット42によってカールが矯正された状態で、画像形成装置本体1の外部に設けられた排出トレイ43上に排出される。
【0030】
なお、トナー像の一次転写が終了した後の感光体ドラム15は、その表面がクリーニング装置18によって清掃される。また、トナー像の二次転写が終了した後の中間転写ベルト25は、その表面が駆動ロール27の近傍に配置されたベルトクリーニング装置56によって清掃される。
【0031】
図2中、符合57は、ユーザが画像形成条件等を入力するユーザインターフェイスを示している。
【0032】
図3は上記の如く構成される画像形成装置に適用されるシート搬送装置を示す構成図である。
【0033】
このシート搬送装置40は、図3に示すように、定着装置37で加熱・加圧されて未定着トナー像が表面に定着された記録用紙34を、用紙搬送方向の下流側に位置する装置又は部位、本実施の形態では冷却ユニット41へと搬送する装置である。その際、上記記録用紙34には、記録用紙34の吸湿状態や片面プリント・両面プリントの相違等によってカールなどの変形が生じる場合がある。また、記録用紙34に変形が生じていない場合であっても、記録用紙34を安定した状態で冷却ユニット41へ搬送するのが望ましい。そのため、シート搬送装置40は、特に、記録用紙24にカールなどの変形が生じた場合であっても、記録用紙24を用紙搬送方向の下流側に位置する冷却ユニット41へ安定した状態で搬送する必要がある。
【0034】
上記画像形成装置では、図3に示すように、定着装置37の定着ニップ部371の出口とシート搬送装置40との間に、記録用紙34を案内する第1の案内部材としての平板状の第1の搬送ガイド60が配置されているとともに、シート搬送装置40と冷却ユニット41の用紙導入部411との間に、記録用紙34を案内する第2の案内部材としての平板状の第2の搬送ガイド61が配置されている。これらの第1及び第2の搬送ガイド60、61は、例えば、平板状の金属板と、記録用紙34との接触抵抗を低減するために金属板の表面に積層されたガラス繊維で強化された繊維強化合成樹脂などからなるコート層とから構成されている。
【0035】
そのため、従来のシート搬送装置40は、図4に示すように、記録用紙34が定着装置37の定着ニップ部371の出口を通過し、第1の搬送ガイド60を介してシート搬送装置40へと案内される際に、記録用紙34にカール等が発生している場合には、シート搬送装置40の用紙搬送方向及び当該用紙搬送方向と交差する方向に沿って吸引ムラが発生する虞れがあり、記録用紙34の先端部などに浮き上がり等が発生し、記録用紙34の表面に定着された直後のトナー像が他の部材と接触して画像欠陥が発生したり、記録用紙34の紙詰まりが発生する虞れを有していた。
【0036】
また、従来のシート搬送装置40は、図4に示すように、記録用紙34の先端部が用紙搬送方向に沿った下流側に位置する冷却ユニット41に導入された後も、記録用紙34の後端部を吸引したままの状態となっている。そのため、記録用紙34の後端部34aは、シート搬送装置40の吸着力によって第2の搬送ガイド61の後端61aに強く押圧されて摺擦されることになり、第2の搬送ガイド61の表面に設けられたコート層が経時的に摩耗して基材となるガラス繊維等が露出し、両面画像形成時に、記録用紙34の裏面に位置する定着直後のトナー像が損傷した搬送ガイド61の後端61aによって擦られ、記録用紙34の裏面のトナー像に画像欠陥が生じる虞れがあった。
【0037】
そこで、この実施の形態のシート搬送装置40は、図1に示すように、搬送ベルトによって記録用紙34を吸引するための吸引用流路を形成する流路形成部材として、特殊な構造のものを採用することにより、記録用紙34の先端部などに浮き上がり等が発生するのを抑制するとともに、記録用紙34の裏面のトナー像に画像欠陥が生じるのを抑制するように構成されている。
【0038】
上記シート搬送装置40は、図5に示すように、記録用紙34を吸着しつつ搬送するための無端状のベルト部材として複数(図示例では、3つ)の第1〜第3の搬送ベルト401、402、403を備えている。上記画像形成装置は、記録用紙24をその搬送方向と交差する方向の中心を基準にして搬送する、所謂“センターレジ”で搬送する方式を採用している。搬送ベルトは、記録用紙24の搬送方向と交差する方向の左右両側に位置する相対的に幅の広い第1及び第3の搬送ベルト401、403と、これら第1及び第3の搬送ベルト401、403の間に配置された相対的に幅の狭い第2の搬送ベルト402とに分割して構成されている。また、上記第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403は、これらの搬送ベルト間に位置する間隙が狭くなるように互いに近接して配置されている。なお、上記搬送ベルトは、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403の3つの搬送ベルトに限らず、1又は2つの搬送ベルトや、4つ以上の搬送ベルトから構成しても良い。
【0039】
また、上記第2の搬送ベルト402は、記録用紙24の搬送方向に沿った上流側の端部が、他の第1及び第3の搬送ベルト401、403と比較して用紙搬送方向の下流側にずれた位置に配置されており、第2の搬送ベルト402の用紙搬送方向に沿った上流側の位置であって、第1の搬送ベルト401と第3の搬送ベルト403との間には、記録用紙24を検知する用紙検知センサ404が配置されている。
【0040】
上記シート搬送装置40は、例えば、最大でA3サイズ(297×420mm)の記録用紙24を、その長さが相対的に短い辺を先頭にして搬送するSEF(Short Edge Feed)で搬送することが可能に構成されており、第1及び第3の搬送ベルト401、403の用紙搬送方向と交差する方向の両端部は、A3サイズの記録用紙24の端部に対応した位置か、又はA3サイズの記録用紙24の端部よりも若干外側に位置するように配置されている。
【0041】
上記第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403は、例えば、通気性かつ可撓性性を有する薄いシート状の素材からなる無端状のベルトであり、当該第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403によって記録用紙24を吸着した状態で搬送する。
【0042】
上記第1及び第3の搬送ベルト401、403は、図5に示すように、第1の搬送ロール405と、第2の搬送ロール406と、第3の搬送ロール407との間にわたって、予め定められた張力で張り渡されている。また、上記第2の搬送ベルト402は、第2の搬送ロール406と、第3の搬送ロール407との間にわたって、予め定められた張力で張り渡されている。上記第1及び第3の搬送ベルト401、403は、第1の搬送ロール405と第2の搬送ロール406との間に位置する部分が第1のベルト搬送部408を構成しており、第2の搬送ロール406と第3の搬送ロール407との間に位置する部分が第2のベルト搬送部409を構成している。第2の搬送ベルト402は、第2の搬送ロール406と第3の搬送ロール407との間に位置する部分が、第1及び第3の搬送ベルト401、403と共に第2のベルト搬送部409を構成している。
【0043】
上記第1乃至第3の搬送ロール405、406、407のうち、第2の搬送ロール406は、図3に示すように、定着装置37から排出され、第1の案内部材60を介して導入される記録用紙34を、定着装置37の定着ニップ部371と結ぶ直線が、案内部材の用紙搬送方向に沿った後端よりも鉛直方向の上方となる高さまで搬送する位置に配置されている。
【0044】
また、上記第2の搬送ロール406と第3の搬送ロール407との間に掛け渡された第1及び第3の搬送ベルト401、403と、同じく第2の搬送ロール406と第3の搬送ロール407との間に掛け渡された第2の搬送ベルト402によって構成される第2のベルト搬送部409は、図3に示すように、第1のベルト搬送部408によって搬送される記録用紙34を吸着しつつ、定着装置37の定着ニップ部371と第1のベルト搬送部409の上端部とを結んだ直線よりも鉛直方向の下方に向けて記録用紙34を搬送するように配置されている。
【0045】
この実施の形態では、図3に示すように、第1のベルト搬送部408によって吸着されつつ搬送される記録用紙34の搬送方向を水平方向よりも斜め下方に変更するように傾斜した状態で第2のベルト搬送部409が配置されている。この第2のベルト搬送部409によって吸着されつつ搬送される記録用紙34は、用紙搬送方向に沿った下流側に配置された第2の案内部材61を介して、冷却ユニット41の用紙導入位置411へと搬送される。
【0046】
更にこの実施の形態では、図5に示すように、第1のベルト搬送部408が第2のベルト搬送部409よりも記録用紙34の搬送距離が相対的に長さが短くなるように設定されている。このように、第1のベルト搬送部408を第2のベルト搬送部409よりも相対的に短く設定することにより、第1のベルト搬送部408によって搬送された記録用紙34を早期に第2のベルト搬送部409に受け渡すことができ、相対的に長く設定された第2のベルト搬送部409によって記録用紙34の先端部及び中間部を安定して搬送することが可能となる。
【0047】
第2のベルト搬送部409が第1のベルト搬送部408と成す角度θ2は、任意に設定されるが、第1のベルト搬送部408によって搬送された記録用紙34を安定した状態で第2のベルト搬送部409に受け渡すことが可能なように、例えば150〜180°程度の角度に設定されている。
【0048】
上記第2及び第3の搬送ロール406、407は、図6に示すように、軸方向に沿って第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403にそれぞれ対応した3つのロール部411、412、413と、ロール部414、415、416とに分離して構成されている。また、第1の搬送ロール405は、その軸方向に沿って第1及び第3の搬送ベルト401、403にそれぞれ対応した2つのロール部417、418に分離して構成されている。
【0049】
上記第1及び第2の搬送ロール405、406は、図7に示すように、例えば、金属や合成樹脂等からなる回転軸419の外周に、合成ゴムや合成樹脂等の材料からなる搬送部材420を被覆して形成されている。これら第1及び第2の搬送ロール405、406の搬送部材420は、薄いシート状に形成された第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403に、第1及び第2の搬送ロール405、406の軸方向に沿って移動する、所謂ウオーク現象が発生するのを防止するために、比較的厚さの薄い円板状に形成された搬送板421を軸方向に沿って予め定められた間隔を隔てて複数配置するとともに、これらの複数の搬送板421を半径方向に沿って略十字形状などに配置された連結部422によって連結して一体的に形成されている。
【0050】
これに対して、上記第3の搬送ロール407は、図6に示すように、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403を循環移動するように駆動する駆動ロールとして機能するものである。この第3の搬送ロール407は、例えば、金属や合成樹脂等からなる回転軸423の外周に、合成ゴムや合成樹脂等の材料からなり、表面の摩擦係数が第1及び第2の搬送ロール405、406に比較して相対的に高く設定された円柱形状の搬送部424を被覆して形成されている。第3の搬送ロール407は、図8に示すように、シート搬送装置40の裏面側であって、用紙搬送方向と交差する方向の一端部に配置された駆動モータ425の駆動ギア426によって駆動プーリ427及び図示しないタイミングベルトを介して、予め定められた速度で回転駆動される。第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403の移動速度は、定着装置37の記録用紙34の搬送速度と略等しい速度か又は定着装置37の記録用紙34の搬送速度よりも若干速い速度に設定されるが、これに限定されるものではない。
【0051】
上記シート搬送装置40の本体430は、図6に示すように、相対的に高さの低い略直方体状の箱体として形成されている。シート搬送装置本体430の第1のベルト搬送部408に対応した上端面には、当該第1のベルト搬送部408によって搬送される記録用紙34を吸着するために外部の空気を吸引する第1の吸引口451が、記録用紙34のサイズに対応して複数(図示例では、6つ)に分割された状態で開口されている。また、シート搬送装置本体430の第2のベルト搬送部に対応した上端面には、当該第2のベルト搬送部409によって搬送される記録用紙34を吸着するために外部の空気を吸引する第2の吸引口452が、記録用紙34のサイズに対応して複数(図示例では、7つ)に分割された状態で設けられている。
【0052】
なお、上記シート搬送装置本体430の上端面には、図6に示すように、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403との接触抵抗を低減するための複数のリブ453、454が、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403の移動方向に沿って直線状に設けられている。
【0053】
上記第1及び第2の吸引口451、452は、図6に示すように、主として、A4サイズの記録用紙34をその相対的に長さが短い辺を先頭にして給紙した場合に、当該A4サイズの記録用紙34の用紙搬送方向と交差する方向の両端側に位置する第1群の吸引口4511、4521と、A3サイズの記録用紙34をその相対的に長さが短い辺を先頭にして給紙した場合に、当該A3サイズの記録用紙34の用紙搬送方向と交差する方向の両端側に位置する第2群の吸引口4512、4522とから構成されている。
【0054】
また、上記第2の吸引口452は、図6に示すように、用紙搬送方向と交差する方向の中央部であって、第2の搬送ベルト409に対応した位置に第3群の吸引口4523が開口されている。
【0055】
上記第1の吸引口451において、第1群の吸引口4511と第2群の吸引口4512は、常時、すべての吸引口451が記録用紙34を吸引するように開口されているとともに、第2の吸引口452においては、第3群の吸引口4523のみが記録用紙34を常時吸引するように開口されている。
【0056】
上記第2の吸引口452において、第1群の吸引口4511と第2群の吸引口4512は、図1及び図9に示すように、シート搬送装置本体430の第2のベルト搬送部409の上端面を構成する流路形成部材455によって、用紙搬送方向に沿って仕切り壁456によって複数の部屋457に仕切られている。各部屋457の天井面(上端面)には、記録用紙34を吸引するための第1群の吸引口4521と第2群の吸引口4522とが開口されている。また、上記各部屋457を仕切る仕切り壁456には、隣接する部屋457を連通するための連通孔458が開口されている。上記連通孔458は、例えば、矩形状に形成されるが、その形状は任意であり、円形状など他の形状であっても勿論良い。
【0057】
また、上記各部屋457を仕切る仕切り壁456に設けられた連通孔458には、図10及び図11に示すように、当該連通孔458を開閉するための合成樹脂製や合成ゴム等によってフィルム状又はシート状に形成された弁体460が、各仕切り壁456の用紙搬送方向に沿った上流側の側面に取り付けられている。さらに、上記各弁体460は、図11に示すように、その上端縁に設けられた回転軸461を支点として連通孔を開閉する方向に回転自在に取り付けられている。
【0058】
さらに、上記流路形成部材455に設けられた各部屋457のうち、用紙搬送方向に沿った最も上流側に位置する部屋のみが、図9に示すごとく、次に述べるように吸引手段によって直接吸引されるように吸引用の流路を介して吸引手段に接続されている。
【0059】
上記シート搬送装置40の裏面側には、図8及び図11に示すように、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403によって記録用紙34を吸着しつつ搬送するため、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403の表面から外部の空気を吸引する吸引手段として2つの吸引ファン428、429を備えている。これらの2つの吸引ファン428、429は、空気を吸引可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、シロッコファン等の多翼ファンを用いても良く、又は軸流ファン等を用いても良い。2つの吸引ファン428、429は、シート搬送装置40の裏面側に用紙搬送方向と交差する方向に沿って、第1の搬送ベルト401と第3の搬送ベルト403の裏面側であって、中央部の第2の搬送ベルト402側に寄った位置に配置されている。これらの吸引ファン428、429は、基本的に、記録用紙34の搬送時に駆動されるが、画像形成装置の画像形成動作と同期して駆動するように構成しても良い。なお、上記吸引ファン428、429の数は、2つに限定されるものではなく、1つ又は3つ以上配置しても良い。
【0060】
上記吸引用流路431は、図8及び図12に示すように、大別して、吸引ファン411、412側である下方に位置する第1の吸引用流路432と、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403側に位置する第2の吸引用流路433とから構成されている。第1の吸引用流路432は、左右の位置する吸引ファン411、412に対応して、用紙搬送方向と交差する方向の左右両外側に向けて延びており、第1の吸引ファン428は、主として、第1及び第2の搬送ベルト401、402側から空気を吸引するとともに、第2の吸引ファン429は、主として、第3及び第2の搬送ベルト403、402側から空気を吸引するように構成されている。
【0061】
上記第2の吸引用流路433は、図8に示すように、第1及び第3の搬送ベルト401、403の第1のベルト搬送部408に対応して設けられた複数の開口部434から吸引するとともに、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403の第2のベルト搬送部409に対応して設けられた複数の開口部452から吸引するように連通されている。また、第1のベルト搬送部408の開口部451からの吸引力が、第2のベルト搬送部409の開口部452からの吸引力よりも相対的に強くなるように設定されているが、逆に、第2のベルト搬送部409の開口部452からの吸引力が、第1のベルト搬送部408の開口部451からの吸引力よりも相対的に強くなるように設定しても良い。
【0062】
以上の構成において、この実施の形態に係るシート搬送装置を適用した画像形成装置では、次のようにして、シートを吸引しつつ搬送する際に吸引ムラが発生するのを抑制することが可能となっている。
【0063】
すなわち、この実施の形態に係るシート搬送装置40を適用した画像形成装置では、図2に示すように、シアン(C)、マゼンタ(M)、高彩度シアン(HC)、高彩度マゼンタ(H、13M、13HC、13HM、13Y、13Kの感光体ドラム15上に形成された各色M)、イエロー(Y)、黒(K)の各画像形成部13C、13M、13HC、13HM、13Y、13Kにおいて対応する色のトナー像が形成され、これらの各画像形成部13Cのトナー像は、中間転写ベルト25上に多重に一次転写された後、二次転写位置50において中間転写ベルト25上から記録用紙34上に一括して二次転写される。
【0064】
上記シアン(C)、マゼンタ(M)、高彩度シアン(HC)、高彩度マゼンタ(HM)、イエロー(Y)、黒(K)の一部又はすべての色のトナー像が一括して二次転写された記録用紙34は、図2に示すように、定着装置37によって加熱・加圧されて、未定着トナー像が定着された後、シート搬送装置40によって冷却ユニット41へと搬送され冷却され、カール矯正ユニット42によってカールが矯正された状態で、画像形成装置本体1の外部に設けられた排出トレイ43上に排出される。
【0065】
また、記録用紙34の両面に画像を形成する場合には、定着装置37によって片面に画像が定着された記録用紙34を、そのまま機外に排出せずに、切り替えゲート51によって、記録用紙34の搬送経路を下方に切り替え、反転用の用紙搬送路52、中間トレイ53、両面用の用紙搬送路55及び通常の用紙搬送経路48を介して、表裏が反転された状態で、再度、中間転写ベルト25の二次転写位置50まで搬送され、裏面に画像が形成された後、定着装置37の加熱ベルト38及び加圧ロール39によって熱及び圧力で定着処理を受けて、シート搬送装置40を介して冷却ユニット41へ搬送されて冷却され、カール矯正ユニット42によってカールが矯正された状態で、画像形成装置本体1の外部に設けられた排出トレイ43上に排出される。
【0066】
その際、上記画像形成装置では、特に記録用紙34の両面に画像を形成する際に、定着装置37によって記録用紙34の裏面にトナー像が定着された後、第1の搬送ガイド60を介してシート搬送装置40によって冷却ユニット41へと搬送される。
【0067】
上記定着装置37の定着ニップ部371を通過した記録用紙34は、図3に示すように、第1の搬送ガイド60によって案内されつつ、シート搬送装置40へ搬送される。
【0068】
上記シート搬送装置40は、図5に示すように、第1及び第2の吸引ファン428、429を駆動することにより、第1及び第2の吸引用流路432、433を介して第1及び第3の搬送ベルト401、403の第1及び第2のベルト搬送部408に対応して設けられた開口部451、452のうち、開口部452は、図1に示すように、用紙搬送方向に沿った最も上流側に位置する開口部452aのみからの吸引力によって記録用紙34を吸着しつつ、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403によって搬送するように構成されている。
【0069】
上記シート搬送装置40では、図13に示すように、通常は、各連通口458が弁体460によって閉じられている。シート搬送装置40は、図3に示すように、定着装置37から記録用紙34が排出される前に、吸引ファン411、412が駆動され、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403によって記録用紙34の先端部34aが吸着された状態で搬送される。
【0070】
その際、上記シート搬送装置40では、図13に示すように、記録用紙34の先端部34aにカールが発生していたとしても、相対的に吸引力の強い第1の開口部451によって記録用紙34の先端部34aが吸引ムラなく吸着され、第1のベルト搬送部408から第2のベルト搬送部409へと搬送される。
【0071】
上記第2のベルト搬送部409では、図13に示すように、記録用紙34の搬送方向に沿った最も上流側の開口部452aのみから吸引されているため、相対的に吸引力が弱く設定されている第2の開口部452であっても、記録用紙34の先端部34aを確実に吸引して吸着することができる。
【0072】
次に、記録用紙34の先端34a’が記録用紙34の搬送方向に沿った最も上流側の開口部452aの上部に移動すると、最も上流側の開口部452aが記録用紙34の先端34a’によって塞がれるか、又は空気の吸引量が大幅に減少するため、図13(c)に示すように、最も上流側の開口部452aから吸引するための吸引力によって、最も上流側の部屋457と隣接する部屋457との間に位置する仕切り壁456に設けられた弁体460が吸引されて、連通孔458が開口される。
【0073】
そのため、記録用紙34の先端34a’は、第2の開口部452によって吸引されつつ、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403によって搬送される。以下、同様の動作が繰り返される。
【0074】
一方、上記シート搬送装置40では、図14に示すように、記録用紙34の後端34b’が最も上流側の開口部452aを通過すると、記録用紙34の搬送方向に沿った最も上流側に位置する開口部452aから吸引可能となるため、当該開口部452aからの吸引力によって弁体460がすべて閉じる。そのため、記録用紙34の後端部34bは、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403によって吸着されることなく搬送される。
【0075】
このとき、記録用紙34の先端部34aは、図3に示すように、下流側の装置に既に搬送されているため、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403による記録用紙34の搬送に支障がない。
【0076】
そればかりか、記録用紙34の後端部34bは、図14(b)に示すように、第1乃至第3の搬送ベルト401、402、403に吸着されることがないので、記録用紙34の後端部34bが第2の案内部材61bの後端部61aと接触して、裏面の画像が損傷されることが回避できる。
【符号の説明】
【0077】
40:シート搬送装置、401:第1の搬送ベルト、402:第2の搬送ベルト、403:第3の搬送ベルト、428、429:吸引ファン、452:吸引口、455:流路形成部材、457:部屋、458:連通孔、460:弁体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの内側に前記シートの搬送方向に沿って配置され、内部が前記シートの搬送方向に沿って複数の部屋に仕切られ、かつ前記各部屋の前記シートと対向する面に設けられた吸引口から前記シートを吸引するための吸引用流路を形成する流路形成部材と、
前記流路形成部材の各部屋のうち、前記シートの搬送方向に沿った最も上流側に位置する部屋から吸引する吸引手段と、
前記流路形成部材の隣接する部屋を仕切る仕切壁に開口され、隣接する部屋を連通する連通口と、
通常は前記各連通口を閉じた状態で設けられ、前記シートの搬送方向に沿った上流側の吸引口が前記搬送ベルトによって搬送される前記シートにより覆われたとき、前記吸引口が覆われた部屋に隣接する部屋の吸引口からの吸引力によって前記連通口を開く複数の弁体とを備えたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記流路形成部材は、前記搬送ベルトによって搬送されるサイズの異なる複数のシートの搬送方向と交差する方向に沿った両端部にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
シートにトナー像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって前記シートに形成されたトナー像を定着する定着手段と、
前記定着手段によってトナー像が定着されたシートを、前記定着手段のシート搬送方向に沿った下流側へ搬送するシート搬送手段とを備え、
前記シート搬送手段として、前記請求項1又は2のいずれかに記載のシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−82505(P2013−82505A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221517(P2011−221517)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】