シート搬送装置
【課題】重送検知の精度の低下を抑制できるシート搬送装置を提供する。
【解決手段】シート搬送装置1は、搬送されるシート9に当接しつつ回転し、シート9を搬送方向D1に送り出す第1ローラ71と、第1ローラ71に対向し、第1ローラ71とシート9を挟んで一枚ずつ分離する分離部79と、搬送方向D1における分離部79より下流側に設けられ、一枚ずつ分離されたシート9を搬送する第2ローラ72と、搬送方向D1における第1ローラ71より下流側に設けられ、送信部101と受信部102とを有し、シート9が分離部79により一枚ずつ分離されているか否かを検知する重送センサ100とを備える。送信部101及び受信部102の少なくとも一方である特定配置物102は、分離部79に対してシート9の搬送方向D1に直交する幅方向の外側に位置し、かつ、その少なくとも一部が第2ローラ72に対して幅方向の内側に位置する。
【解決手段】シート搬送装置1は、搬送されるシート9に当接しつつ回転し、シート9を搬送方向D1に送り出す第1ローラ71と、第1ローラ71に対向し、第1ローラ71とシート9を挟んで一枚ずつ分離する分離部79と、搬送方向D1における分離部79より下流側に設けられ、一枚ずつ分離されたシート9を搬送する第2ローラ72と、搬送方向D1における第1ローラ71より下流側に設けられ、送信部101と受信部102とを有し、シート9が分離部79により一枚ずつ分離されているか否かを検知する重送センサ100とを備える。送信部101及び受信部102の少なくとも一方である特定配置物102は、分離部79に対してシート9の搬送方向D1に直交する幅方向の外側に位置し、かつ、その少なくとも一部が第2ローラ72に対して幅方向の内側に位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にシート搬送装置が開示されている。このシート搬送装置は、シートを搬送路において搬送するものであって、第1ローラと、第1ローラと対向する分離部と、搬送方向における第1ローラより下流側に設けられた重送センサとを備える。重送センサは、送信部と受信部とを有する。特許文献1の図2等において、搬送路は、符号6として図示されている。第1ローラは、符号7として図示されている。分離部は、符号8として図示されている。重送センサは、符号10として図示されている。
【0003】
このシート搬送装置において、第1ローラは、搬送されるシートに当接しつつ回転し、シートを搬送方向に送り出す。この際、分離部は、第1ローラとシートを挟んで一枚ずつ分離する。そして、重送センサは、第1ローラより下流側に搬送されるシートが分離部により一枚ずつ分離されているか否かを検知するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−159393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記シート搬送装置では、シートとシートとの摩擦、及び分離部とシートとの摩擦等により紙粉が発生し易い。そして、その紙粉が搬送方向における第1ローラより下流側に移動し、重送センサを構成する送信部や受信部に付着することにより、重送検知の精度が低下し易いという問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、重送検知の精度の低下を抑制できるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシート搬送装置は、シートを搬送路において搬送するシート搬送装置であって、
搬送される前記シートに当接しつつ回転し、前記シートを搬送方向に送り出す第1ローラと、
前記第1ローラに対向し、前記第1ローラと前記シートを挟んで一枚ずつ分離する分離部と、
前記搬送方向における前記第1ローラより下流側に設けられ、送信部と受信部とを有し、前記シートが前記分離部により一枚ずつ分離されているか否かを検知する重送センサと、
前記搬送方向における前記重送センサより下流側に設けられ、一枚ずつ分離された前記シートを搬送する第2ローラとを備え、
前記送信部及び前記受信部の少なくとも一方である特定配置物は、前記分離部に対して前記シートの前記搬送方向に直交する幅方向の外側に位置し、かつ、その少なくとも一部が前記第2ローラに対して前記幅方向の内側に位置していることを特徴とする。
【0008】
本発明のシート搬送装置では、送信部及び受信部の少なくとも一方である特定配置物は、分離部に対して幅方向の外側に位置している。これにより、分離部とシートとの摩擦等により発生する紙粉が搬送方向における第1ローラより下流側に運ばれても、特定配置物に紙粉が付着することを抑制できる。また、特定配置物は、その少なくとも一部が第2ローラに対して幅方向の内側に位置している。これにより、搬送方向における重送センサより上流側に位置する第1ローラと、搬送方向における重送センサより下流側に位置する第2ローラとの間で、シートを張った状態にしながら重送センサに通過させ易くなるので、重送検知を安定的に実行できる。
【0009】
したがって、本発明のシート搬送装置は、重送検知の精度の低下を抑制できる。
【0010】
本発明のシート搬送装置において、特定配置物は、搬送路のうち下側に位置する下側ガイドに配置されていることが望ましい。紙粉は、分離部とシートとの摩擦等により発生した後、下方の下側ガイドに向かって移動し易い。このような場合であっても、本発明のシート搬送装置によれば、上記構成を備えることにより、特定配置物に紙粉が付着することを抑制できる。
【0011】
本発明のシート搬送装置において、特定配置物は、その少なくとも一部が第1ローラに対して幅方向の内側に位置していることが望ましい。この構成によれば、シートを確実に張った状態で重送センサに通過させることができるので、重送検知をより安定的に実行できる。
【0012】
本発明のシート搬送装置において、特定配置物は、搬送路から幅方向に対して傾斜しつつ下方に凹むように設けられたセンサ収容穴に収容されていることが望ましい。そして、センサ収容穴における搬送路に臨む開口縁は、その少なくとも一部が分離部に対して幅方向の外側に位置していることが望ましい。この構成によれば、センサ収容穴の開口縁のその少なくとも一部が分離部に対して幅方向の外側に位置していることにより、センサ収容穴の開口縁を介して特定配置物に紙粉が付着することを抑制できる。
【0013】
本発明のシート搬送装置において、センサ収容穴には、特定配置物に隣接して下方に凹む窪みが形成されていることが望ましい。この構成によれば、センサ収容穴に入った紙粉が窪みに溜まるので、特定配置物に紙粉が付着し難い。
【0014】
本発明のシート搬送装置において、送信部と受信部とは、搬送路を挟んで対向していることが望ましい。この構成によれば、重送センサが透過式となるので、反射式である場合と比較して、重送検知の精度を向上させ易い。
【0015】
本発明のシート搬送装置において、送信部及び受信部の一方は、送信部及び受信部の他方に対して幅方向の外側に位置していることが望ましい。この構成によれば、送信部及び受信部の他方を分離部にできる限り接近させつつ、重送センサ周辺の空間利用の自由度を向上させることができる。
【0016】
本発明のシート搬送装置は、シートの幅方向の位置を規制する幅ガイドを備えることが望ましい。この幅ガイドは、幅方向において対向する一対のガイド部を有することが望ましい。そして、一対のガイド部は、第1規制部に当接する場合に、幅方向において互いに最小の距離で離れた最小位置に位置するように構成されていることが望ましい。また、一対のガイド部は、幅方向において第1規制部よりも外側に配置された第2規制部に当接する場合に、幅方向において互いに最大の距離で離れた最大位置に位置するように構成されていることが望ましい。さらに、一対のガイド部は、最小位置と最大位置との間で変位可能に構成されていることが望ましい。そして、送信部から受信部に向けて発信される超音波と搬送路とが交差する点である測定点は、幅方向において、一対のガイド部が最小位置に位置する場合の一対のガイド部の間に位置していることが望ましい。この構成によれば、最小幅サイズのシートの重送検知が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のシート搬送装置を具体化した一実施例の画像読取装置1の主に前方を示す斜視図である。
【図2】上記実施例の供給トレイ50及び上部カバー93が開かれた状態において、画像読取装置1の主に前方を示す斜視図である。
【図3】上記実施例の供給トレイ50、上部カバー93及び排出トレイ6が開かれた状態において、画像読取装置1の主に後方を示す斜視図である。
【図4】上記画像読取装置1の側面図である。
【図5】上記画像読取装置1の要部拡大断面図である。
【図6】上記実施例の供給トレイ50が開かれた状態、かつ上部カバー93が取り除かれた状態において、画像読取装置1の主に前方を示す斜視図である。
【図7】上記画像読取装置1に係り、幅ガイド57、供給ローラ71、重送センサ100及び搬送ローラ72等の相対位置関係を説明する模式図である。
【図8】上記画像読取装置1に係り、図5のA−A断面を示す要部拡大断面図である。
【図9】上記画像読取装置1に係り、図7の矢視B方向から見た重送センサ100の受信部102及びセンサ収容穴62を示す要部拡大上面図である。
【図10】上記画像読取装置1の変形例を示す模式図である。
【図11】上記画像読取装置1の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施例を、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
(実施例)
図1に示すように、本実施例の画像読取装置1は、本発明のシート搬送装置の具体的態様の一例である。図1では、排出トレイ6側を装置の前側と規定し、排出トレイ6に対向した場合に左手に来る側を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0020】
<構成>
画像読取装置1は、図1〜図4に示すように、筐体8と、供給トレイ50と、排出トレイ6とを備える。図4に示すように、筐体8内には、供給トレイ50から排出トレイ6にまでシート9が搬送される搬送路P1が設けられている。
【0021】
筐体8は、上部カバー93、背面部カバー90及び左右のサイドカバー95L、95Rと、それらに覆われた内部フレーム等とを有する箱状体である。内部フレームは、図3及び図5等に示すロアシュート60や、図示しないフレーム部材等が組み合わされてなる。
【0022】
図5等に示すように、通常、上部カバー93は、後方に向かって上り傾斜している。上部カバー93は、ロアシュート60に対して上方から対向する上側ガイド94を有する。上部カバー93の上側ガイド94の下面は、搬送路P1の上面を構成する上側案内面94Aとされている。図2及び図3に示すように、シート詰まりやメンテナンスの際には、上部カバー93は、後端縁側が上方に持ち上がるように揺動し、ロアシュート60に対して上方に離間する。これにより、後述するロアシュート60の下側ガイド61、供給ローラ71及び搬送ローラ72等が筐体8の外部に露出する。
【0023】
供給トレイ50は、一方の面が載置面51とされた平板形状である。供給トレイ50の左右の角部には、一対のヒンジ部50L、50Rが一体に形成されている。供給トレイ50は、両ヒンジ部50L、50Rを介して、筐体8の後方かつ上方に位置して左右方向に延びる揺動軸心X1周りに揺動可能に筐体8に支持されている。
【0024】
図1に示すように、供給トレイ50が閉じられている場合、供給トレイ50は、載置面51を下方に向けて、筐体8の上部カバー93に対して上方から覆いかぶさっている。図1に示す供給トレイ50の位置を「収容位置」とする。
【0025】
そして、供給トレイ50は、図1に示す状態から揺動軸心X1周りに揺動して開かれることにより、図2〜図6に示すように、筐体8の後ろ側で載置面51を上方に向ける位置に変位する。図2等に示す供給トレイ50の位置を「使用位置」とする。
【0026】
図4に示すように、供給トレイ50が使用位置にある場合、載置面51にシート9が載置される。載置面51に載置されたシート9は、供給トレイ50から排出トレイ6に向かう方向である搬送方向D1に搬送されるようになっている。
【0027】
本実施例では、搬送方向D1に沿って搬送されるシート9の幅方向とは、左右方向である。また、本実施例では、搬送方向D1に沿って搬送されるシート9の幅方向の内側とは、搬送されるシート9の左右方向の中央に近い側である。さらに、本実施例では、搬送方向D1に沿って搬送されるシート9の幅方向の外側とは、搬送されるシート9の左右方向の中央から離れる側である。
【0028】
図6に示すように、ロアシュート60は、平板形状の下側ガイド61と、下側ガイド61を左右から挟む側壁部60L、60Rとを有する。下側ガイド61は、左右方向に延び、かつ筐体8の背面側から排出トレイ6まで下り傾斜で延びている。図5に示すように、下側ガイド61の上面は、上部カバー93の上側案内面94Aに対して下方から対向している。下側ガイド61の上面は、搬送路P1の下面を構成する下側案内面61Aとされている。図6等に示すように、供給トレイ50が使用位置にある場合、下側案内面61Aは、載置面51に連続する傾斜面を構成する。
【0029】
図6等に示すように、画像読取装置1は、シート9の左右方向の位置を規制する幅ガイド57を備える。幅ガイド57は、左右方向において対向する一対のガイド部57L、57Rを有する。両ガイド部57L、57Rは、載置面51上から下側案内面61A上まで、搬送方向D1と平行にリブ状に延びている。両ガイド部57L、57Rの搬送方向D1の中間部には、連結部56L、56Rが設けられている。連結部56L、56Rは、供給トレイ50が収容位置又は使用位置に変位する場合、両ガイド部57L、57Rが揺動軸心X1周りに折れ曲がり、又は展開することを許容する。
【0030】
載置面51及び下側案内面61Aのそれぞれには、左右方向に溝状に延びるガイドレール51G、61Gが形成されている。両ガイド部57L、57Rは、ガイドレール51G、61Gに係合し、センター基準で左右方向に互いに接近又は離反可能となっている。ガイドレール51G、61Gにおける左右方向の中央には、搬送方向D1に延びる凸部である第1規制部571が形成されている。ガイドレール51G、61Gにおける左右方向の外側には、ヒンジ部50L、50Gの互いに対向する側壁面である第2規制部572が形成されている。
【0031】
図7に二点鎖線で示すように、両ガイド部57L、57Rは、第1規制部571に対して左右から挟むように当接する場合に、左右方向において互いに最小の距離で離れた最小位置に位置する。両ガイド部57L、57Rは最小位置において、例えば、名刺サイズ、及びカードサイズ等である小さいシート9が載置面51に載置される場合に、そのシート9の左右方向の位置決めをセンター基準で行うことができる。
【0032】
その一方、図7に実線で示すように、両ガイド部57L、57Rは、左右方向に互いに離反して第2規制部572に当接する場合に、左右方向において互いに最大の距離で離れた最大位置に位置する。両ガイド部57L、57Rは最大位置において、例えば、A4サイズ等である大きいシート9が載置面51に載置される場合に、そのシート9の左右方向の位置決めをセンター基準で行うことができる。
【0033】
排出トレイ6は、図1、図3及び図4に示すように、筐体8に対して引き出し及び収容可能に設けられている。図1に示すように、排出トレイ6が筐体8に収容されている場合、排出トレイ6の前端面のみが外部に露出した状態となっている。そして、排出トレイ6が筐体8から引き出されると、図3及び図4に示すように、排出トレイ6は、筐体8の前方で排出面6Aを、上方に向けた状態となる。
【0034】
また、画像読取装置1は、図4及び図5に示すように、筐体8の内部に、電源ユニット3と、基板5と、読取部7とを備える。
【0035】
図4に示すように、電源ユニット3は、筐体8内の背面側に設けられている。電源ユニット3は、家庭用コンセントの高圧の交流電圧を低圧の直流電圧に変換して、読取部7に給電するACアダプタである。電源ユニット3は、背面部カバー90により後方から覆われている。図3に示すように、背面部カバー90には、家庭用コンセントと電源ユニット3とを電気的に接続する電源ケーブル99の一端側が嵌入される接続穴90Eが設けられている。
【0036】
図4に示すように、基板5は、筐体8内において、電源ユニット3の下方に設けられている。基板5は、図示しない電気配線により、電源ユニット3と読取部7とに電気的に接続されて、読取部7を制御するものである。
【0037】
読取部7は、図4及び図5等に示すように、読取部7は、搬送路P1における搬送方向D1の上流側から下流側に向けて順番に、供給ローラ71、分離パッド79、重送センサ100、搬送ローラ72、画像読取センサ70A、70B及び排出ローラ73を有する。供給ローラ71は、本発明の「第1ローラ」の一例である。分離パッド79は、本発明の「分離部」の一例である。搬送ローラ72は、本発明の「第2ローラ」の一例である。重送センサ100は、送信部101と受信部102とを有する。受信部102は、本発明の「特定配置物」の一例である。
【0038】
図7に、搬送路P1において、搬送方向D1に沿って並ぶ供給ローラ71、分離パッド79、送信部101、受信部102、搬送ローラ72及び排出ローラ73の相対位置関係を模式的に示す。また、図7に、供給ローラ71等と幅ガイド57との相対位置関係を模式的に示す。
【0039】
図5〜図7に示すように、供給ローラ71は、幅ガイド57の両ガイド部57L、57Rに対して、搬送方向D1の下流側に位置している。また、供給ローラ71は、ロアシュート60に組み付けられており、搬送路P1の下側ガイド61に位置している。図7に示すように、供給ローラ71の左右方向の長さL1は、最小位置にある両ガイド部57L、57Rの間隔G1より小さい。また、供給ローラ71の左右方向の長さL1は、最小位置にある両ガイド部57L、57Rにより左右方向の位置決めがなされる小さいシート9を確実に搬送できる程度に長くされている。供給ローラ71は、図示しない駆動部に駆動されて、載置面51に載置されたシート9に当接しつつ回転することにより、そのシート9を搬送方向D1に送り出すようになっている。
【0040】
図3及び図5〜図7に示すように、分離パッド79は、上部カバー93に組み付けられており、搬送路P1の上側ガイド94に位置している。分離パッド79は、ゴムやエラストマー等の摩擦部材からなる板状体である。図7に示すように、分離パッド79の左右方向の長さL2は、供給ローラ71の左右方向の長さL1より小さい。また、分離パッド79の左右方向の長さL2は、供給ローラ71が搬送するシート9を確実に分離できる程度に長くされている。図5等に示すように、分離パッド79は、供給ローラ71に対向し、図示しない付勢部材に付勢されて、供給ローラ71に押し付けられている。これにより、分離パッド79は、搬送路P1において搬送されるシート9を供給ローラ71と挟んで一枚ずつ分離するようになっている。
【0041】
図5及び図7等に示すように、重送センサ100の送信部101及び受信部102は、搬送方向D1における供給ローラ71、及び分離パッド79より下流側に位置している。図5及び図8に示すように、送信部101と受信部102とは、搬送路P1を上下方向から挟んで対向している。なお、図8に示すA−A断面では、上部カバー93の上側ガイド94に対して、供給ローラ71及び分離パッド79が紙面奥側に位置している。このため、上側ガイド94の一部を仮想線により図示して、A−A断面において実際には上側ガイド94に隠される供給ローラ71及び分離パッド79を図示している。
【0042】
図8に示すように、送信部101は、上側ガイド94の上側案内面94Aから上方かつ右方に上り傾斜するように凹む送信部収容穴94Bに収容されている。図7及び図8に示すように、送信部101は、供給ローラ71及び分離パッド79に対して左右方向の外側に位置している。より詳しくは、送信部101は、供給ローラ71の右端面71R及び分離パッド79の右端面79Rに対して右方に離れている。
【0043】
図8に示すように、受信部102は、下側ガイド61の下側案内面61Aから下方かつ左方に下り傾斜するように凹むセンサ収容穴62に収容されている。受信部102において送信部101に対向して超音波を受信する受信面102Aは、送信部101に対して左斜め下方に位置し、かつ右向きに傾斜している。
【0044】
図7及び図8に示すように、受信部102は、分離パッド79に対して左右方向の外側に位置している。より詳しくは、受信部102の受信面102Aの左端部は、分離パッド79の右端面79Rに対して右方に距離L3だけ離れている。また、受信部102は、その少なくとも一部が供給ローラ71に対して左右方向の内側に位置している。より詳しくは、受信部102の受信面102Aの左端部は、供給ローラ71の右端面71Rに対して左方に距離L4だけ離れている。
【0045】
ここで、受信部102における受信面102A以外の部位は、紙粉が付着しても超音波の受信に影響を及ぼすことが殆ど無い。このため、本実施例では、受信部102と、分離パッド79、供給ローラ71及び搬送ローラ72との相対位置関係を規定する場合、受信面102Aに基づいている。
【0046】
図7及び図8に示すように、センサ収容穴62における搬送路P1に臨む開口縁62Aは、分離パッド79に対して左右方向の外側に位置している。より詳しくは、開口縁62Aの左端部は、図7に示すように、分離パッド79の右端面79Rに対して右方に距離L5だけ離れている。
【0047】
図8及び図9に示すように、センサ収容穴62における右側の内壁面には、左方にリブ状に突出し、かつ上下方向に延びる支持部62Bが形成されている。図8に示すように、支持部62Bは、前後方向から見た場合に三角形状とされており、その斜辺によって、受信部102センサを収容穴62内で支持している。図9に示すように、支持部62Bは、センサ収容穴62において、受信部102の右方の空間を前後に仕切っている。この支持部62Bに仕切られた空間は、開口縁62Aから受信部102に隣接して下方に凹む窪み63とされている。
【0048】
重送センサ100は、周知の超音波式のものであるので説明は簡略するが、基板5の制御により、送信部101から超音波を発信し、受信部102によりその超音波を受信する。この際、搬送路P1にシート9があれば、送信部101から発信された超音波がシート9を透過すると、受信部102が受信する超音波が減衰する。そして、搬送路P1にあるシート9が一枚か複数枚かによって、受信部102が受信する超音波の減衰率が変化する。重送センサ100は、そのような超音波の減衰率の大小に基づいて、重送を検知することができる。
【0049】
図8に最小位置に位置する一対のガイド部57L、57Rを二点鎖線で示す。また、図8に送信部101から受信部102に向けて発信される超音波と搬送路P1とが交差する点である測定点M1を示す。送信部101から受信部102に向けて発信される超音波は、搬送路P1を通過するシート9を測定点M1において透過する。測定点M1は、図8において、補助線H1L、H1Rにより示すように、左右方向において、一対のガイド部57L、57Rが最小位置に位置する場合の一対のガイド部57L、57Rの間に位置している。
【0050】
図5〜図7に示すように、搬送ローラ72は、搬送方向D1における重送センサ100より下流側に位置している。搬送ローラ72は、左右方向に2個並んでいる。また、搬送ローラ72は、ロアシュート60に組み付けられており、搬送路P1の下側ガイド61に位置している。搬送ローラ72は、図示しない駆動部に駆動されて、供給ローラ71と同期回転する。図5に示すように、搬送ローラ72の上方には、従動ローラ72Aが搬送ローラ72と対向するように設けられている。従動ローラ72Aは、上部カバー93に組み付けられており、搬送路P1の上側ガイド94に位置している。従動ローラ72Aは、図示しない付勢部材に付勢されて、搬送ローラ72に押し付けられている。これにより、搬送ローラ72は、搬送路P1において搬送されるシート9を従動ローラ72Aと挟んで回転し、搬送方向D1の下流側に搬送するようになっている。
【0051】
図7に示すように、受信部102は、その少なくとも一部が搬送ローラ72に対して左右方向の内側に位置している。より詳しくは、受信部102の受信面102Aの右端部は、搬送ローラ72の右端面72Rに対して左方に距離L6だけ離れている。
【0052】
図5等に示すように、画像読取センサ70A、70Bは、搬送方向D1における搬送ローラ72より下流側に位置している。画像読取センサ70Aは、ロアシュート60に組み付けられており、搬送路P1の下側ガイド61に位置している。画像読取センサ70Bは、上部カバー93に組み付けられており、搬送路P1の上側ガイド94に位置している。すなわち、画像読取センサ70A、70Bは、搬送路P1を上下方向から挟むように対向している。画像読取センサ70A、70Bとしては、例えば、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等が採用される。
【0053】
図5〜図7に示すように、排出ローラ73は、搬送方向D1における画像読取センサ70A、70Bより下流側に位置している。排出ローラ73は、左右方向に2個並んでいる。また、排出ローラ73は、ロアシュート60に組み付けられており、搬送路P1の下側ガイド61に位置している。排出ローラ73は、図示しない駆動部に駆動されて、供給ローラ71及び搬送ローラ72と同期回転する。図5に示すように、排出ローラ73の上方には、従動ローラ73Aが排出ローラ73と対向するように設けられている。従動ローラ73Aは、上部カバー93に組み付けられており、搬送路P1の上側ガイド94に位置している。従動ローラ73Aは、図示しない付勢部材に付勢されて、排出ローラ73に押し付けられている。これにより、排出ローラ73は、搬送路P1において搬送されるシート9を従動ローラ73Aと挟んで回転し、搬送方向D1の下流側の排出トレイ6に排出するようになっている。
【0054】
<画像読取動作>
上記構成である画像読取装置1では、以下のようにして、シート9の画像を読み取ることができる。すなわち、基板5に制御されて、読取部7が動作を開始すると、まず、供給ローラ71が分離パッド79とシート9を挟みながら回転して載置面51上のシート9を搬送方向D1に搬送する。この際、複数枚のシート9が重なった状態で搬送されようとしている場合、分離パッド79とシート9との間に摩擦力が作用することにより、シート9が一枚ずつ分離される。
【0055】
次に、一枚ずつ分離されたシート9が搬送路P1において搬送方向D1に搬送される途中において、重送センサ100が重送、すなわち、シート9が分離パッド79により一枚ずつ分離されているか否かを検知する。重送センサ100により、シート9の重送が検知された場合には、基板5がエラー処理として、画像読取処理の中止やユーザに対する報知等を行う。
【0056】
次に、搬送ローラ72が一枚ずつ分離されたシート9を搬送し、画像読取センサ70A、70Bがそのシート9の両面の画像を読み取る。そして、排出ローラ73が画像を読み取られたシート9を排出トレイ6に排出する。
【0057】
<作用効果>
実施例の画像読取装置1では、送信部101及び受信部102のうち、受信部102が本発明の「特定配置物」とされている。そして、図7及び図8に示すように、受信部102は、分離パッド79に対して左右方向の外側に位置している。より詳しくは、図7に示すように、受信部102の受信面102Aの左端部は、分離パッド79の右端面79Rに対して右方に距離L3だけ離れている。これにより、分離パッド79とシート9との摩擦等により発生する紙粉が搬送方向D1における供給ローラ71より下流側に運ばれても、分離パッド79に対して右方に離れた受信部102の受信面102Aに紙粉が付着することを抑制できる。
【0058】
また、受信部102は、その少なくとも一部が搬送ローラ72に対して左右方向の内側に位置している。より詳しくは、受信部102の受信面102Aの右端部は、搬送ローラ72の右端面72Rに対して左方に距離L6だけ離れている。これにより、搬送方向D1における重送センサ100より上流側に位置する供給ローラ71と、搬送方向D1における重送センサ100より下流側に位置する搬送ローラ72との間で、シート9を張った状態にしながら重送センサ100に通過させ易くなる。よって、重送検知を安定的に実行できる。
【0059】
したがって、実施例の画像読取装置1は、重送検知の精度の低下を抑制できる。
【0060】
また、この画像読取装置1において、受信部102は、搬送路P1のうち下側に位置する下側ガイド61に配置されている。紙粉は、分離パッド79とシート9との摩擦等により発生した後、下方の下側ガイド61に向かって移動し易い。この点、この画像読取装置1によれば、上記構成を備えることにより、受信部102に紙粉が付着することを抑制できる。
【0061】
さらに、この画像読取装置1において、受信部102は、その少なくとも一部が供給ローラ71に対して左右方向の内側に位置している。より詳しくは、受信部102の受信面102Aの左端部は、供給ローラ71の右端面71Rに対して左方に距離L4だけ離れている。この構成によれば、シート9を確実に張った状態で重送センサ100に通過させることができるので、重送検知をより安定的に実行できる。
【0062】
また、この画像読取装置1において、受信部102が収容されているセンサ収容穴62は、下側案内面61Aから左右方向に対して傾斜しつつ下方に凹んでいる。そして、センサ収容穴62における搬送路P1に臨む開口縁62Aは、その少なくとも一部が分離パッド79に対して左右方向の外側に位置している。より詳しくは、開口縁62Aの左端部は、分離パッド79の右端面79Rに対して右方に距離L5だけ離れている。この構成によれば、開口縁62Aが分離パッド79に対して右方にずれていることにより、センサ収容穴62の開口縁62Aを介して受信部102に紙粉が付着することを抑制できる。
【0063】
さらに、この画像読取装置1において、センサ収容穴62には、図9に示すように、受信部102に隣接して下方に凹む窪み63が形成されている。この構成によれば、センサ収容穴62に入った紙粉が窪み63に溜まるので、受信部102に紙粉が付着し難い。
【0064】
また、この画像読取装置1において、送信部101と受信部102とは、図8等に示すように、搬送路P1を挟んで対向している。この構成によれば、重送センサ100が透過式となるので、反射式である場合と比較して、重送検知の精度を向上させ易い。
【0065】
さらに、この画像読取装置1において、送信部101は、受信部102に対して左右方向の外側に位置している。この構成によれば、受信部102を分離パッド79にできる限り接近させることができる。また、送信部101は分離パッド79及び供給ローラ71に対して左右方向の外側に離間できるので、送信部101と、分離パッド79及び供給ローラ71との間にスペースを確保し易い。その結果、重送センサ100周辺の空間利用の自由度を向上させることができる。
【0066】
また、この画像読取装置1において、送信部101及び受信部102の測定点M1は、図8に補助線H1L、H1Rにより示すように、左右方向において、一対のガイド部57L、57Rが最小位置に位置する場合の一対のガイド部57L、57Rの間に位置している。この構成によれば、最小幅サイズのシート9の重送検知が可能である。
【0067】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0068】
例えば、実施例では分離部が分離パッド79であるが、この構成に限定されない。例えば、分離部は、リタードローラ等であってもよい。
【0069】
また、図10に示すように、受信面102Aの左端部と分離パッド79の右端面79Rとの左右方向の距離がゼロとなっている構成、言い換えれば、分離パッド79の右端面79Rから搬送方向D1と平行に引いた延長線H2に受信面102Aの左端部が接している構成も本発明に含まれる。
【0070】
さらに、図11に示すように、受信部102の左側の一部が搬送ローラ72に対して左右方向の内側に位置する構成、より詳しくは、受信面102Aの右端部が搬送ローラ72の右端面72Rに対して右方に距離L7だけ離れ、かつ受信面102Aの左端部が搬送ローラ72の右端面72Rに対して左方に距離L8だけ離れている構成も本発明に含まれる。
【0071】
また、実施例では、供給ローラ71が下側ガイド61側にあり、分離パッド79が下側ガイド61に上方から対向する構成を採用しているが、その逆の構成を採用してもよい。
【0072】
さらに、実施例では受信部102を特定配置物としたが、この構成に限定されない。例えば、送信部を特定配置物としてもよく、送信部及び受信部を特定配置物としてもよい。
【0073】
また、実施例では、図8に示すように、測定点M1が左右方向において、一対のガイド部57L、57Rが最小位置に位置する場合の一対のガイド部57L、57Rの間に位置する一方、送信部101が右側のガイド部57Rよりも右側に位置しているが、この構成には限定されない。例えば、送信部及び受信部は、幅方向において、一対のガイド部が最小位置に位置する場合の一対のガイド部の間に位置していてもよい。この場合、測定点は、一対のガイド部が最小位置に位置する場合の一対のガイド部の間に確実に入ることになる。
【0074】
また、実施例では、重送センサ100は、送信部101と受信部102とが搬送路P1を挟んで対向する透過式の超音波センサであったが、この構成に限定されない。例えば、重送センサは、送信部から発信された超音波が搬送路にあるシートによって反射し、その反射した超音波を受信部が受信する反射式の超音波センサであってもよい。また、重送センサは、送信部から光を照射し、受信部がシートを透過する光又はシートによって反射する光を受信する光学式センサであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は例えば、画像読取装置、画像形成装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…シート搬送装置(画像読取装置)、9…シート
P1…搬送路、D1…搬送方向、71…第1ローラ(供給ローラ)
79…分離部(分離パッド)、72…第2ローラ(搬送ローラ)
100…重送センサ、101…送信部、102…受信部(特定配置物)
61…下側ガイド、62…センサ収容穴、62A…開口縁、63…窪み
57…幅ガイド、57L、57R…一対のガイド部
571…第1規制部、572…第2規制部、M1…測定点
【技術分野】
【0001】
本発明はシート搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にシート搬送装置が開示されている。このシート搬送装置は、シートを搬送路において搬送するものであって、第1ローラと、第1ローラと対向する分離部と、搬送方向における第1ローラより下流側に設けられた重送センサとを備える。重送センサは、送信部と受信部とを有する。特許文献1の図2等において、搬送路は、符号6として図示されている。第1ローラは、符号7として図示されている。分離部は、符号8として図示されている。重送センサは、符号10として図示されている。
【0003】
このシート搬送装置において、第1ローラは、搬送されるシートに当接しつつ回転し、シートを搬送方向に送り出す。この際、分離部は、第1ローラとシートを挟んで一枚ずつ分離する。そして、重送センサは、第1ローラより下流側に搬送されるシートが分離部により一枚ずつ分離されているか否かを検知するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−159393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記シート搬送装置では、シートとシートとの摩擦、及び分離部とシートとの摩擦等により紙粉が発生し易い。そして、その紙粉が搬送方向における第1ローラより下流側に移動し、重送センサを構成する送信部や受信部に付着することにより、重送検知の精度が低下し易いという問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、重送検知の精度の低下を抑制できるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシート搬送装置は、シートを搬送路において搬送するシート搬送装置であって、
搬送される前記シートに当接しつつ回転し、前記シートを搬送方向に送り出す第1ローラと、
前記第1ローラに対向し、前記第1ローラと前記シートを挟んで一枚ずつ分離する分離部と、
前記搬送方向における前記第1ローラより下流側に設けられ、送信部と受信部とを有し、前記シートが前記分離部により一枚ずつ分離されているか否かを検知する重送センサと、
前記搬送方向における前記重送センサより下流側に設けられ、一枚ずつ分離された前記シートを搬送する第2ローラとを備え、
前記送信部及び前記受信部の少なくとも一方である特定配置物は、前記分離部に対して前記シートの前記搬送方向に直交する幅方向の外側に位置し、かつ、その少なくとも一部が前記第2ローラに対して前記幅方向の内側に位置していることを特徴とする。
【0008】
本発明のシート搬送装置では、送信部及び受信部の少なくとも一方である特定配置物は、分離部に対して幅方向の外側に位置している。これにより、分離部とシートとの摩擦等により発生する紙粉が搬送方向における第1ローラより下流側に運ばれても、特定配置物に紙粉が付着することを抑制できる。また、特定配置物は、その少なくとも一部が第2ローラに対して幅方向の内側に位置している。これにより、搬送方向における重送センサより上流側に位置する第1ローラと、搬送方向における重送センサより下流側に位置する第2ローラとの間で、シートを張った状態にしながら重送センサに通過させ易くなるので、重送検知を安定的に実行できる。
【0009】
したがって、本発明のシート搬送装置は、重送検知の精度の低下を抑制できる。
【0010】
本発明のシート搬送装置において、特定配置物は、搬送路のうち下側に位置する下側ガイドに配置されていることが望ましい。紙粉は、分離部とシートとの摩擦等により発生した後、下方の下側ガイドに向かって移動し易い。このような場合であっても、本発明のシート搬送装置によれば、上記構成を備えることにより、特定配置物に紙粉が付着することを抑制できる。
【0011】
本発明のシート搬送装置において、特定配置物は、その少なくとも一部が第1ローラに対して幅方向の内側に位置していることが望ましい。この構成によれば、シートを確実に張った状態で重送センサに通過させることができるので、重送検知をより安定的に実行できる。
【0012】
本発明のシート搬送装置において、特定配置物は、搬送路から幅方向に対して傾斜しつつ下方に凹むように設けられたセンサ収容穴に収容されていることが望ましい。そして、センサ収容穴における搬送路に臨む開口縁は、その少なくとも一部が分離部に対して幅方向の外側に位置していることが望ましい。この構成によれば、センサ収容穴の開口縁のその少なくとも一部が分離部に対して幅方向の外側に位置していることにより、センサ収容穴の開口縁を介して特定配置物に紙粉が付着することを抑制できる。
【0013】
本発明のシート搬送装置において、センサ収容穴には、特定配置物に隣接して下方に凹む窪みが形成されていることが望ましい。この構成によれば、センサ収容穴に入った紙粉が窪みに溜まるので、特定配置物に紙粉が付着し難い。
【0014】
本発明のシート搬送装置において、送信部と受信部とは、搬送路を挟んで対向していることが望ましい。この構成によれば、重送センサが透過式となるので、反射式である場合と比較して、重送検知の精度を向上させ易い。
【0015】
本発明のシート搬送装置において、送信部及び受信部の一方は、送信部及び受信部の他方に対して幅方向の外側に位置していることが望ましい。この構成によれば、送信部及び受信部の他方を分離部にできる限り接近させつつ、重送センサ周辺の空間利用の自由度を向上させることができる。
【0016】
本発明のシート搬送装置は、シートの幅方向の位置を規制する幅ガイドを備えることが望ましい。この幅ガイドは、幅方向において対向する一対のガイド部を有することが望ましい。そして、一対のガイド部は、第1規制部に当接する場合に、幅方向において互いに最小の距離で離れた最小位置に位置するように構成されていることが望ましい。また、一対のガイド部は、幅方向において第1規制部よりも外側に配置された第2規制部に当接する場合に、幅方向において互いに最大の距離で離れた最大位置に位置するように構成されていることが望ましい。さらに、一対のガイド部は、最小位置と最大位置との間で変位可能に構成されていることが望ましい。そして、送信部から受信部に向けて発信される超音波と搬送路とが交差する点である測定点は、幅方向において、一対のガイド部が最小位置に位置する場合の一対のガイド部の間に位置していることが望ましい。この構成によれば、最小幅サイズのシートの重送検知が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のシート搬送装置を具体化した一実施例の画像読取装置1の主に前方を示す斜視図である。
【図2】上記実施例の供給トレイ50及び上部カバー93が開かれた状態において、画像読取装置1の主に前方を示す斜視図である。
【図3】上記実施例の供給トレイ50、上部カバー93及び排出トレイ6が開かれた状態において、画像読取装置1の主に後方を示す斜視図である。
【図4】上記画像読取装置1の側面図である。
【図5】上記画像読取装置1の要部拡大断面図である。
【図6】上記実施例の供給トレイ50が開かれた状態、かつ上部カバー93が取り除かれた状態において、画像読取装置1の主に前方を示す斜視図である。
【図7】上記画像読取装置1に係り、幅ガイド57、供給ローラ71、重送センサ100及び搬送ローラ72等の相対位置関係を説明する模式図である。
【図8】上記画像読取装置1に係り、図5のA−A断面を示す要部拡大断面図である。
【図9】上記画像読取装置1に係り、図7の矢視B方向から見た重送センサ100の受信部102及びセンサ収容穴62を示す要部拡大上面図である。
【図10】上記画像読取装置1の変形例を示す模式図である。
【図11】上記画像読取装置1の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施例を、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
(実施例)
図1に示すように、本実施例の画像読取装置1は、本発明のシート搬送装置の具体的態様の一例である。図1では、排出トレイ6側を装置の前側と規定し、排出トレイ6に対向した場合に左手に来る側を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0020】
<構成>
画像読取装置1は、図1〜図4に示すように、筐体8と、供給トレイ50と、排出トレイ6とを備える。図4に示すように、筐体8内には、供給トレイ50から排出トレイ6にまでシート9が搬送される搬送路P1が設けられている。
【0021】
筐体8は、上部カバー93、背面部カバー90及び左右のサイドカバー95L、95Rと、それらに覆われた内部フレーム等とを有する箱状体である。内部フレームは、図3及び図5等に示すロアシュート60や、図示しないフレーム部材等が組み合わされてなる。
【0022】
図5等に示すように、通常、上部カバー93は、後方に向かって上り傾斜している。上部カバー93は、ロアシュート60に対して上方から対向する上側ガイド94を有する。上部カバー93の上側ガイド94の下面は、搬送路P1の上面を構成する上側案内面94Aとされている。図2及び図3に示すように、シート詰まりやメンテナンスの際には、上部カバー93は、後端縁側が上方に持ち上がるように揺動し、ロアシュート60に対して上方に離間する。これにより、後述するロアシュート60の下側ガイド61、供給ローラ71及び搬送ローラ72等が筐体8の外部に露出する。
【0023】
供給トレイ50は、一方の面が載置面51とされた平板形状である。供給トレイ50の左右の角部には、一対のヒンジ部50L、50Rが一体に形成されている。供給トレイ50は、両ヒンジ部50L、50Rを介して、筐体8の後方かつ上方に位置して左右方向に延びる揺動軸心X1周りに揺動可能に筐体8に支持されている。
【0024】
図1に示すように、供給トレイ50が閉じられている場合、供給トレイ50は、載置面51を下方に向けて、筐体8の上部カバー93に対して上方から覆いかぶさっている。図1に示す供給トレイ50の位置を「収容位置」とする。
【0025】
そして、供給トレイ50は、図1に示す状態から揺動軸心X1周りに揺動して開かれることにより、図2〜図6に示すように、筐体8の後ろ側で載置面51を上方に向ける位置に変位する。図2等に示す供給トレイ50の位置を「使用位置」とする。
【0026】
図4に示すように、供給トレイ50が使用位置にある場合、載置面51にシート9が載置される。載置面51に載置されたシート9は、供給トレイ50から排出トレイ6に向かう方向である搬送方向D1に搬送されるようになっている。
【0027】
本実施例では、搬送方向D1に沿って搬送されるシート9の幅方向とは、左右方向である。また、本実施例では、搬送方向D1に沿って搬送されるシート9の幅方向の内側とは、搬送されるシート9の左右方向の中央に近い側である。さらに、本実施例では、搬送方向D1に沿って搬送されるシート9の幅方向の外側とは、搬送されるシート9の左右方向の中央から離れる側である。
【0028】
図6に示すように、ロアシュート60は、平板形状の下側ガイド61と、下側ガイド61を左右から挟む側壁部60L、60Rとを有する。下側ガイド61は、左右方向に延び、かつ筐体8の背面側から排出トレイ6まで下り傾斜で延びている。図5に示すように、下側ガイド61の上面は、上部カバー93の上側案内面94Aに対して下方から対向している。下側ガイド61の上面は、搬送路P1の下面を構成する下側案内面61Aとされている。図6等に示すように、供給トレイ50が使用位置にある場合、下側案内面61Aは、載置面51に連続する傾斜面を構成する。
【0029】
図6等に示すように、画像読取装置1は、シート9の左右方向の位置を規制する幅ガイド57を備える。幅ガイド57は、左右方向において対向する一対のガイド部57L、57Rを有する。両ガイド部57L、57Rは、載置面51上から下側案内面61A上まで、搬送方向D1と平行にリブ状に延びている。両ガイド部57L、57Rの搬送方向D1の中間部には、連結部56L、56Rが設けられている。連結部56L、56Rは、供給トレイ50が収容位置又は使用位置に変位する場合、両ガイド部57L、57Rが揺動軸心X1周りに折れ曲がり、又は展開することを許容する。
【0030】
載置面51及び下側案内面61Aのそれぞれには、左右方向に溝状に延びるガイドレール51G、61Gが形成されている。両ガイド部57L、57Rは、ガイドレール51G、61Gに係合し、センター基準で左右方向に互いに接近又は離反可能となっている。ガイドレール51G、61Gにおける左右方向の中央には、搬送方向D1に延びる凸部である第1規制部571が形成されている。ガイドレール51G、61Gにおける左右方向の外側には、ヒンジ部50L、50Gの互いに対向する側壁面である第2規制部572が形成されている。
【0031】
図7に二点鎖線で示すように、両ガイド部57L、57Rは、第1規制部571に対して左右から挟むように当接する場合に、左右方向において互いに最小の距離で離れた最小位置に位置する。両ガイド部57L、57Rは最小位置において、例えば、名刺サイズ、及びカードサイズ等である小さいシート9が載置面51に載置される場合に、そのシート9の左右方向の位置決めをセンター基準で行うことができる。
【0032】
その一方、図7に実線で示すように、両ガイド部57L、57Rは、左右方向に互いに離反して第2規制部572に当接する場合に、左右方向において互いに最大の距離で離れた最大位置に位置する。両ガイド部57L、57Rは最大位置において、例えば、A4サイズ等である大きいシート9が載置面51に載置される場合に、そのシート9の左右方向の位置決めをセンター基準で行うことができる。
【0033】
排出トレイ6は、図1、図3及び図4に示すように、筐体8に対して引き出し及び収容可能に設けられている。図1に示すように、排出トレイ6が筐体8に収容されている場合、排出トレイ6の前端面のみが外部に露出した状態となっている。そして、排出トレイ6が筐体8から引き出されると、図3及び図4に示すように、排出トレイ6は、筐体8の前方で排出面6Aを、上方に向けた状態となる。
【0034】
また、画像読取装置1は、図4及び図5に示すように、筐体8の内部に、電源ユニット3と、基板5と、読取部7とを備える。
【0035】
図4に示すように、電源ユニット3は、筐体8内の背面側に設けられている。電源ユニット3は、家庭用コンセントの高圧の交流電圧を低圧の直流電圧に変換して、読取部7に給電するACアダプタである。電源ユニット3は、背面部カバー90により後方から覆われている。図3に示すように、背面部カバー90には、家庭用コンセントと電源ユニット3とを電気的に接続する電源ケーブル99の一端側が嵌入される接続穴90Eが設けられている。
【0036】
図4に示すように、基板5は、筐体8内において、電源ユニット3の下方に設けられている。基板5は、図示しない電気配線により、電源ユニット3と読取部7とに電気的に接続されて、読取部7を制御するものである。
【0037】
読取部7は、図4及び図5等に示すように、読取部7は、搬送路P1における搬送方向D1の上流側から下流側に向けて順番に、供給ローラ71、分離パッド79、重送センサ100、搬送ローラ72、画像読取センサ70A、70B及び排出ローラ73を有する。供給ローラ71は、本発明の「第1ローラ」の一例である。分離パッド79は、本発明の「分離部」の一例である。搬送ローラ72は、本発明の「第2ローラ」の一例である。重送センサ100は、送信部101と受信部102とを有する。受信部102は、本発明の「特定配置物」の一例である。
【0038】
図7に、搬送路P1において、搬送方向D1に沿って並ぶ供給ローラ71、分離パッド79、送信部101、受信部102、搬送ローラ72及び排出ローラ73の相対位置関係を模式的に示す。また、図7に、供給ローラ71等と幅ガイド57との相対位置関係を模式的に示す。
【0039】
図5〜図7に示すように、供給ローラ71は、幅ガイド57の両ガイド部57L、57Rに対して、搬送方向D1の下流側に位置している。また、供給ローラ71は、ロアシュート60に組み付けられており、搬送路P1の下側ガイド61に位置している。図7に示すように、供給ローラ71の左右方向の長さL1は、最小位置にある両ガイド部57L、57Rの間隔G1より小さい。また、供給ローラ71の左右方向の長さL1は、最小位置にある両ガイド部57L、57Rにより左右方向の位置決めがなされる小さいシート9を確実に搬送できる程度に長くされている。供給ローラ71は、図示しない駆動部に駆動されて、載置面51に載置されたシート9に当接しつつ回転することにより、そのシート9を搬送方向D1に送り出すようになっている。
【0040】
図3及び図5〜図7に示すように、分離パッド79は、上部カバー93に組み付けられており、搬送路P1の上側ガイド94に位置している。分離パッド79は、ゴムやエラストマー等の摩擦部材からなる板状体である。図7に示すように、分離パッド79の左右方向の長さL2は、供給ローラ71の左右方向の長さL1より小さい。また、分離パッド79の左右方向の長さL2は、供給ローラ71が搬送するシート9を確実に分離できる程度に長くされている。図5等に示すように、分離パッド79は、供給ローラ71に対向し、図示しない付勢部材に付勢されて、供給ローラ71に押し付けられている。これにより、分離パッド79は、搬送路P1において搬送されるシート9を供給ローラ71と挟んで一枚ずつ分離するようになっている。
【0041】
図5及び図7等に示すように、重送センサ100の送信部101及び受信部102は、搬送方向D1における供給ローラ71、及び分離パッド79より下流側に位置している。図5及び図8に示すように、送信部101と受信部102とは、搬送路P1を上下方向から挟んで対向している。なお、図8に示すA−A断面では、上部カバー93の上側ガイド94に対して、供給ローラ71及び分離パッド79が紙面奥側に位置している。このため、上側ガイド94の一部を仮想線により図示して、A−A断面において実際には上側ガイド94に隠される供給ローラ71及び分離パッド79を図示している。
【0042】
図8に示すように、送信部101は、上側ガイド94の上側案内面94Aから上方かつ右方に上り傾斜するように凹む送信部収容穴94Bに収容されている。図7及び図8に示すように、送信部101は、供給ローラ71及び分離パッド79に対して左右方向の外側に位置している。より詳しくは、送信部101は、供給ローラ71の右端面71R及び分離パッド79の右端面79Rに対して右方に離れている。
【0043】
図8に示すように、受信部102は、下側ガイド61の下側案内面61Aから下方かつ左方に下り傾斜するように凹むセンサ収容穴62に収容されている。受信部102において送信部101に対向して超音波を受信する受信面102Aは、送信部101に対して左斜め下方に位置し、かつ右向きに傾斜している。
【0044】
図7及び図8に示すように、受信部102は、分離パッド79に対して左右方向の外側に位置している。より詳しくは、受信部102の受信面102Aの左端部は、分離パッド79の右端面79Rに対して右方に距離L3だけ離れている。また、受信部102は、その少なくとも一部が供給ローラ71に対して左右方向の内側に位置している。より詳しくは、受信部102の受信面102Aの左端部は、供給ローラ71の右端面71Rに対して左方に距離L4だけ離れている。
【0045】
ここで、受信部102における受信面102A以外の部位は、紙粉が付着しても超音波の受信に影響を及ぼすことが殆ど無い。このため、本実施例では、受信部102と、分離パッド79、供給ローラ71及び搬送ローラ72との相対位置関係を規定する場合、受信面102Aに基づいている。
【0046】
図7及び図8に示すように、センサ収容穴62における搬送路P1に臨む開口縁62Aは、分離パッド79に対して左右方向の外側に位置している。より詳しくは、開口縁62Aの左端部は、図7に示すように、分離パッド79の右端面79Rに対して右方に距離L5だけ離れている。
【0047】
図8及び図9に示すように、センサ収容穴62における右側の内壁面には、左方にリブ状に突出し、かつ上下方向に延びる支持部62Bが形成されている。図8に示すように、支持部62Bは、前後方向から見た場合に三角形状とされており、その斜辺によって、受信部102センサを収容穴62内で支持している。図9に示すように、支持部62Bは、センサ収容穴62において、受信部102の右方の空間を前後に仕切っている。この支持部62Bに仕切られた空間は、開口縁62Aから受信部102に隣接して下方に凹む窪み63とされている。
【0048】
重送センサ100は、周知の超音波式のものであるので説明は簡略するが、基板5の制御により、送信部101から超音波を発信し、受信部102によりその超音波を受信する。この際、搬送路P1にシート9があれば、送信部101から発信された超音波がシート9を透過すると、受信部102が受信する超音波が減衰する。そして、搬送路P1にあるシート9が一枚か複数枚かによって、受信部102が受信する超音波の減衰率が変化する。重送センサ100は、そのような超音波の減衰率の大小に基づいて、重送を検知することができる。
【0049】
図8に最小位置に位置する一対のガイド部57L、57Rを二点鎖線で示す。また、図8に送信部101から受信部102に向けて発信される超音波と搬送路P1とが交差する点である測定点M1を示す。送信部101から受信部102に向けて発信される超音波は、搬送路P1を通過するシート9を測定点M1において透過する。測定点M1は、図8において、補助線H1L、H1Rにより示すように、左右方向において、一対のガイド部57L、57Rが最小位置に位置する場合の一対のガイド部57L、57Rの間に位置している。
【0050】
図5〜図7に示すように、搬送ローラ72は、搬送方向D1における重送センサ100より下流側に位置している。搬送ローラ72は、左右方向に2個並んでいる。また、搬送ローラ72は、ロアシュート60に組み付けられており、搬送路P1の下側ガイド61に位置している。搬送ローラ72は、図示しない駆動部に駆動されて、供給ローラ71と同期回転する。図5に示すように、搬送ローラ72の上方には、従動ローラ72Aが搬送ローラ72と対向するように設けられている。従動ローラ72Aは、上部カバー93に組み付けられており、搬送路P1の上側ガイド94に位置している。従動ローラ72Aは、図示しない付勢部材に付勢されて、搬送ローラ72に押し付けられている。これにより、搬送ローラ72は、搬送路P1において搬送されるシート9を従動ローラ72Aと挟んで回転し、搬送方向D1の下流側に搬送するようになっている。
【0051】
図7に示すように、受信部102は、その少なくとも一部が搬送ローラ72に対して左右方向の内側に位置している。より詳しくは、受信部102の受信面102Aの右端部は、搬送ローラ72の右端面72Rに対して左方に距離L6だけ離れている。
【0052】
図5等に示すように、画像読取センサ70A、70Bは、搬送方向D1における搬送ローラ72より下流側に位置している。画像読取センサ70Aは、ロアシュート60に組み付けられており、搬送路P1の下側ガイド61に位置している。画像読取センサ70Bは、上部カバー93に組み付けられており、搬送路P1の上側ガイド94に位置している。すなわち、画像読取センサ70A、70Bは、搬送路P1を上下方向から挟むように対向している。画像読取センサ70A、70Bとしては、例えば、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等が採用される。
【0053】
図5〜図7に示すように、排出ローラ73は、搬送方向D1における画像読取センサ70A、70Bより下流側に位置している。排出ローラ73は、左右方向に2個並んでいる。また、排出ローラ73は、ロアシュート60に組み付けられており、搬送路P1の下側ガイド61に位置している。排出ローラ73は、図示しない駆動部に駆動されて、供給ローラ71及び搬送ローラ72と同期回転する。図5に示すように、排出ローラ73の上方には、従動ローラ73Aが排出ローラ73と対向するように設けられている。従動ローラ73Aは、上部カバー93に組み付けられており、搬送路P1の上側ガイド94に位置している。従動ローラ73Aは、図示しない付勢部材に付勢されて、排出ローラ73に押し付けられている。これにより、排出ローラ73は、搬送路P1において搬送されるシート9を従動ローラ73Aと挟んで回転し、搬送方向D1の下流側の排出トレイ6に排出するようになっている。
【0054】
<画像読取動作>
上記構成である画像読取装置1では、以下のようにして、シート9の画像を読み取ることができる。すなわち、基板5に制御されて、読取部7が動作を開始すると、まず、供給ローラ71が分離パッド79とシート9を挟みながら回転して載置面51上のシート9を搬送方向D1に搬送する。この際、複数枚のシート9が重なった状態で搬送されようとしている場合、分離パッド79とシート9との間に摩擦力が作用することにより、シート9が一枚ずつ分離される。
【0055】
次に、一枚ずつ分離されたシート9が搬送路P1において搬送方向D1に搬送される途中において、重送センサ100が重送、すなわち、シート9が分離パッド79により一枚ずつ分離されているか否かを検知する。重送センサ100により、シート9の重送が検知された場合には、基板5がエラー処理として、画像読取処理の中止やユーザに対する報知等を行う。
【0056】
次に、搬送ローラ72が一枚ずつ分離されたシート9を搬送し、画像読取センサ70A、70Bがそのシート9の両面の画像を読み取る。そして、排出ローラ73が画像を読み取られたシート9を排出トレイ6に排出する。
【0057】
<作用効果>
実施例の画像読取装置1では、送信部101及び受信部102のうち、受信部102が本発明の「特定配置物」とされている。そして、図7及び図8に示すように、受信部102は、分離パッド79に対して左右方向の外側に位置している。より詳しくは、図7に示すように、受信部102の受信面102Aの左端部は、分離パッド79の右端面79Rに対して右方に距離L3だけ離れている。これにより、分離パッド79とシート9との摩擦等により発生する紙粉が搬送方向D1における供給ローラ71より下流側に運ばれても、分離パッド79に対して右方に離れた受信部102の受信面102Aに紙粉が付着することを抑制できる。
【0058】
また、受信部102は、その少なくとも一部が搬送ローラ72に対して左右方向の内側に位置している。より詳しくは、受信部102の受信面102Aの右端部は、搬送ローラ72の右端面72Rに対して左方に距離L6だけ離れている。これにより、搬送方向D1における重送センサ100より上流側に位置する供給ローラ71と、搬送方向D1における重送センサ100より下流側に位置する搬送ローラ72との間で、シート9を張った状態にしながら重送センサ100に通過させ易くなる。よって、重送検知を安定的に実行できる。
【0059】
したがって、実施例の画像読取装置1は、重送検知の精度の低下を抑制できる。
【0060】
また、この画像読取装置1において、受信部102は、搬送路P1のうち下側に位置する下側ガイド61に配置されている。紙粉は、分離パッド79とシート9との摩擦等により発生した後、下方の下側ガイド61に向かって移動し易い。この点、この画像読取装置1によれば、上記構成を備えることにより、受信部102に紙粉が付着することを抑制できる。
【0061】
さらに、この画像読取装置1において、受信部102は、その少なくとも一部が供給ローラ71に対して左右方向の内側に位置している。より詳しくは、受信部102の受信面102Aの左端部は、供給ローラ71の右端面71Rに対して左方に距離L4だけ離れている。この構成によれば、シート9を確実に張った状態で重送センサ100に通過させることができるので、重送検知をより安定的に実行できる。
【0062】
また、この画像読取装置1において、受信部102が収容されているセンサ収容穴62は、下側案内面61Aから左右方向に対して傾斜しつつ下方に凹んでいる。そして、センサ収容穴62における搬送路P1に臨む開口縁62Aは、その少なくとも一部が分離パッド79に対して左右方向の外側に位置している。より詳しくは、開口縁62Aの左端部は、分離パッド79の右端面79Rに対して右方に距離L5だけ離れている。この構成によれば、開口縁62Aが分離パッド79に対して右方にずれていることにより、センサ収容穴62の開口縁62Aを介して受信部102に紙粉が付着することを抑制できる。
【0063】
さらに、この画像読取装置1において、センサ収容穴62には、図9に示すように、受信部102に隣接して下方に凹む窪み63が形成されている。この構成によれば、センサ収容穴62に入った紙粉が窪み63に溜まるので、受信部102に紙粉が付着し難い。
【0064】
また、この画像読取装置1において、送信部101と受信部102とは、図8等に示すように、搬送路P1を挟んで対向している。この構成によれば、重送センサ100が透過式となるので、反射式である場合と比較して、重送検知の精度を向上させ易い。
【0065】
さらに、この画像読取装置1において、送信部101は、受信部102に対して左右方向の外側に位置している。この構成によれば、受信部102を分離パッド79にできる限り接近させることができる。また、送信部101は分離パッド79及び供給ローラ71に対して左右方向の外側に離間できるので、送信部101と、分離パッド79及び供給ローラ71との間にスペースを確保し易い。その結果、重送センサ100周辺の空間利用の自由度を向上させることができる。
【0066】
また、この画像読取装置1において、送信部101及び受信部102の測定点M1は、図8に補助線H1L、H1Rにより示すように、左右方向において、一対のガイド部57L、57Rが最小位置に位置する場合の一対のガイド部57L、57Rの間に位置している。この構成によれば、最小幅サイズのシート9の重送検知が可能である。
【0067】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0068】
例えば、実施例では分離部が分離パッド79であるが、この構成に限定されない。例えば、分離部は、リタードローラ等であってもよい。
【0069】
また、図10に示すように、受信面102Aの左端部と分離パッド79の右端面79Rとの左右方向の距離がゼロとなっている構成、言い換えれば、分離パッド79の右端面79Rから搬送方向D1と平行に引いた延長線H2に受信面102Aの左端部が接している構成も本発明に含まれる。
【0070】
さらに、図11に示すように、受信部102の左側の一部が搬送ローラ72に対して左右方向の内側に位置する構成、より詳しくは、受信面102Aの右端部が搬送ローラ72の右端面72Rに対して右方に距離L7だけ離れ、かつ受信面102Aの左端部が搬送ローラ72の右端面72Rに対して左方に距離L8だけ離れている構成も本発明に含まれる。
【0071】
また、実施例では、供給ローラ71が下側ガイド61側にあり、分離パッド79が下側ガイド61に上方から対向する構成を採用しているが、その逆の構成を採用してもよい。
【0072】
さらに、実施例では受信部102を特定配置物としたが、この構成に限定されない。例えば、送信部を特定配置物としてもよく、送信部及び受信部を特定配置物としてもよい。
【0073】
また、実施例では、図8に示すように、測定点M1が左右方向において、一対のガイド部57L、57Rが最小位置に位置する場合の一対のガイド部57L、57Rの間に位置する一方、送信部101が右側のガイド部57Rよりも右側に位置しているが、この構成には限定されない。例えば、送信部及び受信部は、幅方向において、一対のガイド部が最小位置に位置する場合の一対のガイド部の間に位置していてもよい。この場合、測定点は、一対のガイド部が最小位置に位置する場合の一対のガイド部の間に確実に入ることになる。
【0074】
また、実施例では、重送センサ100は、送信部101と受信部102とが搬送路P1を挟んで対向する透過式の超音波センサであったが、この構成に限定されない。例えば、重送センサは、送信部から発信された超音波が搬送路にあるシートによって反射し、その反射した超音波を受信部が受信する反射式の超音波センサであってもよい。また、重送センサは、送信部から光を照射し、受信部がシートを透過する光又はシートによって反射する光を受信する光学式センサであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は例えば、画像読取装置、画像形成装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…シート搬送装置(画像読取装置)、9…シート
P1…搬送路、D1…搬送方向、71…第1ローラ(供給ローラ)
79…分離部(分離パッド)、72…第2ローラ(搬送ローラ)
100…重送センサ、101…送信部、102…受信部(特定配置物)
61…下側ガイド、62…センサ収容穴、62A…開口縁、63…窪み
57…幅ガイド、57L、57R…一対のガイド部
571…第1規制部、572…第2規制部、M1…測定点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送路において搬送するシート搬送装置であって、
搬送される前記シートに当接しつつ回転し、前記シートを搬送方向に送り出す第1ローラと、
前記第1ローラに対向し、前記第1ローラと前記シートを挟んで一枚ずつ分離する分離部と、
前記搬送方向における前記第1ローラより下流側に設けられ、送信部と受信部とを有し、前記シートが前記分離部により一枚ずつ分離されているか否かを検知する重送センサと、
前記搬送方向における前記重送センサより下流側に設けられ、一枚ずつ分離された前記シートを搬送する第2ローラとを備え、
前記送信部及び前記受信部の少なくとも一方である特定配置物は、前記分離部に対して前記シートの前記搬送方向に直交する幅方向の外側に位置し、かつ、その少なくとも一部が前記第2ローラに対して前記幅方向の内側に位置していることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記特定配置物は、前記搬送路のうち下側に位置する下側ガイドに配置されている請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記特定配置物は、その少なくとも一部が前記第1ローラに対して前記幅方向の内側に位置している請求項1又は2記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記特定配置物は、前記搬送路から前記幅方向に対して傾斜しつつ下方に凹むように設けられたセンサ収容穴に収容され、
前記センサ収容穴における前記搬送路に臨む開口縁は、その少なくとも一部が前記分離部に対して前記幅方向の外側に位置している請求項1乃至3のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記センサ収容穴には、前記特定配置物に隣接して下方に凹む窪みが形成されている請求項4記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記送信部と前記受信部とは、前記搬送路を挟んで対向している請求項1乃至5のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記送信部及び前記受信部の一方は、前記送信部及び前記受信部の他方に対して前記幅方向の外側に位置している請求項6記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記シートの前記幅方向の位置を規制する幅ガイドを備え、
前記幅ガイドは、前記幅方向において対向する一対のガイド部を有し、
前記一対のガイド部は、第1規制部に当接する場合に、前記幅方向において互いに最小の距離で離れた最小位置に位置するように構成され、
前記一対のガイド部は、前記幅方向において前記第1規制部よりも外側に配置された第2規制部に当接する場合に、前記幅方向において互いに最大の距離で離れた最大位置に位置するように構成され、
前記一対のガイド部は、前記最小位置と前記最大位置との間で変位可能に構成され、
前記送信部から前記受信部に向けて発信される超音波と前記搬送路とが交差する点である測定点は、前記幅方向において、前記一対のガイド部が前記最小位置に位置する場合の前記一対のガイド部の間に位置している請求項1乃至7のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【請求項1】
シートを搬送路において搬送するシート搬送装置であって、
搬送される前記シートに当接しつつ回転し、前記シートを搬送方向に送り出す第1ローラと、
前記第1ローラに対向し、前記第1ローラと前記シートを挟んで一枚ずつ分離する分離部と、
前記搬送方向における前記第1ローラより下流側に設けられ、送信部と受信部とを有し、前記シートが前記分離部により一枚ずつ分離されているか否かを検知する重送センサと、
前記搬送方向における前記重送センサより下流側に設けられ、一枚ずつ分離された前記シートを搬送する第2ローラとを備え、
前記送信部及び前記受信部の少なくとも一方である特定配置物は、前記分離部に対して前記シートの前記搬送方向に直交する幅方向の外側に位置し、かつ、その少なくとも一部が前記第2ローラに対して前記幅方向の内側に位置していることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記特定配置物は、前記搬送路のうち下側に位置する下側ガイドに配置されている請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記特定配置物は、その少なくとも一部が前記第1ローラに対して前記幅方向の内側に位置している請求項1又は2記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記特定配置物は、前記搬送路から前記幅方向に対して傾斜しつつ下方に凹むように設けられたセンサ収容穴に収容され、
前記センサ収容穴における前記搬送路に臨む開口縁は、その少なくとも一部が前記分離部に対して前記幅方向の外側に位置している請求項1乃至3のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記センサ収容穴には、前記特定配置物に隣接して下方に凹む窪みが形成されている請求項4記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記送信部と前記受信部とは、前記搬送路を挟んで対向している請求項1乃至5のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記送信部及び前記受信部の一方は、前記送信部及び前記受信部の他方に対して前記幅方向の外側に位置している請求項6記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記シートの前記幅方向の位置を規制する幅ガイドを備え、
前記幅ガイドは、前記幅方向において対向する一対のガイド部を有し、
前記一対のガイド部は、第1規制部に当接する場合に、前記幅方向において互いに最小の距離で離れた最小位置に位置するように構成され、
前記一対のガイド部は、前記幅方向において前記第1規制部よりも外側に配置された第2規制部に当接する場合に、前記幅方向において互いに最大の距離で離れた最大位置に位置するように構成され、
前記一対のガイド部は、前記最小位置と前記最大位置との間で変位可能に構成され、
前記送信部から前記受信部に向けて発信される超音波と前記搬送路とが交差する点である測定点は、前記幅方向において、前記一対のガイド部が前記最小位置に位置する場合の前記一対のガイド部の間に位置している請求項1乃至7のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−112486(P2013−112486A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261470(P2011−261470)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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