説明

シート搬送装置

【課題】シートの空送および重送を抑制することができ、シートをトレイ上にセットするときにユーザに与える感覚を改善できる、シート搬送装置を提供する。
【解決手段】シートの先端部は、シート状ガイド52に案内されて、供給ローラ51の周面上に導かれる。供給ローラ51によって供給トレイ3上から送り出されるシートは、供給ローラ51の周面と分離片57との間に挟み込まれて、1枚ずつに分離される。シート状ガイド52は、シート状ガイド52の遊端部における左右方向の中央部75がその左右方向の両端部76に対してシートの搬送方向の上流側に位置する形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するためのシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージスキャナやプリンタには、シートを搬送するシート搬送装置が備えられている。たとえば、イメージスキャナでは、シートが積層状態でセットされるトレイが備えられており、シート搬送装置により、そのトレイ上にセットされたシートが1枚ずつ搬送される。
【0003】
シート搬送装置には、供給ローラと、供給ローラの周面に接触する分離部材とが備えられている。供給ローラの回転に伴って、トレイ上からシートが送り出されて、シートが供給ローラの周面と分離部材とのニップ部分(接触部分)に進入し、供給ローラの周面に接触している1枚のシートのみが供給ローラの周面と分離部材との間を通過する。
【0004】
供給ローラによってシートがトレイ上から送り出されるためには、トレイ上の最下位置のシートの先端部(シートの搬送方向の下流側の端部)が供給ローラの周面と接触していなければならない。そこで、トレイと供給ローラとの間には、通常、供給ローラの軸線方向に長い長方形状のフィルム部材が設けられている。トレイ上にシートがセットされると、最下位置のシートの先端部は、フィルム部材上を滑り、供給ローラの周面上に導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−115744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、トレイ上にセットされるシートに、その先端が上方に向いた上方向カールまたは先端が下方に向いた下方向カールが生じていることがある。
【0007】
シートに上方向カールが生じている場合、シートの先端部が供給ローラの周面から逃げる。そのため、供給ローラの周面および分離部材のニップ部分とフィルム部材との間隔が短いと、最下位置のシートの先端部と供給ローラの周面との接触面積が小さく、シートの空送を生じるおそれがある。
【0008】
この空送を抑制するためには、供給ローラの周面および分離部材のニップ部分とフィルム部材との間隔を大きくすればよい。ところが、ニップ部分からフィルム部材が離れていると、シートに下方向カールが生じている場合に、最下位置のシートの先端部がニップ部分から離れた位置で止まって、その上側のシートが搬送方向の下流側(奥側)になだれ込み、シートの重送を生じるおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、シートの空送および重送を抑制することができる、シート搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明に係るシート搬送装置は、シートが載置されるトレイと、前記トレイに載置された前記シートの一端部が周面に接触し、前記シートを前記トレイ上から前記一端部が先頭となる搬送方向に送り出すための供給ローラと、前記供給ローラの前記周面に接触し、前記供給ローラによって送り出される前記シートを前記周面との間に挟み込んで、前記シートを1枚ずつに分離するための分離部材と、前記供給ローラと前記分離部材との接触部分に対して前記搬送方向の上流側に設けられ、前記シートの前記一端部を前記供給ローラの前記周面上に案内するためのシート状ガイドとを含む。そして、前記シート状ガイドは、前記搬送方向と直交する幅方向の中央側に位置する部分が前記幅方向の端側に位置する部分に対して前記搬送方向の上流側に位置する形状に形成されている。
【0011】
供給ローラの周面と分離部材との接触部分のトレイ側には、シート状ガイドが設けられている。トレイにセットされたシートの一端部は、シート状ガイドに案内されて、供給ローラの周面上に導かれる。供給ローラによってトレイ上から送り出されるシートは、供給ローラの周面と分離部材との間に挟み込まれて、1枚ずつに分離される。
【0012】
上方向カールが生じているシートは、幅方向の両端が上方に向くようにカールしている。また、下方向カールが生じているシートは、幅方向の両端が下方に向くようにカールしている。
【0013】
シート状ガイドは、供給ローラによるシートの搬送方向と直交する幅方向の中央側に位置する部分(中央側部分)が幅方向の端側に位置する部分(端側部分)に対して搬送方向の上流側に位置する形状に形成されている。そのため、シート状ガイドの中央側部分は、供給ローラと分離部材との接触部分に対して相対的に離れ、端側部分は、供給ローラと分離部材との接触部分に対して相対的に近い。
【0014】
これにより、シートに上方向カールが生じている場合には、シート状ガイドの中央側部分と供給ローラおよび分離部材の接触部分との間において、トレイ上の最下位置のシートの一端部と供給ローラの周面との接触面積を稼ぐことができる。よって、シートの空送を抑制することができる。
【0015】
また、シートに下方向カールが生じている場合には、トレイ上の最下位置のシートの一端部がシート状ガイドの端側部分上を滑ることにより、最下位置のシートが搬送方向の下流側(奥側)に深く入り込む。よって、上側のシートが搬送方向の下流側になだれ込むことを抑制でき、ひいては、シートの重送を抑制することができる。
【0016】
供給ローラは、シートの一端部における幅方向の中央部に接触するように配置されていてもよい。この場合、シート状ガイドは、幅方向において、その中央が供給ローラの幅方向の中央と一致するように配置されていることが好ましい。
【0017】
これにより、シートの幅方向の中央部をシート状ガイドで案内することができるので、シートが搬送方向に対して斜めとなる姿勢にセットされることを抑制できる。
【0018】
シート状ガイドにおける搬送方向の下流側の端縁は、少なくとも幅方向の中央部が搬送方向の上流側に向かって凹む凹湾曲状をなしていることが好ましい。
【0019】
これにより、その凹湾曲状をなす端縁を供給ローラの周面に沿わせることができる。その結果、凹湾曲状をなす端縁の幅方向の中央部と供給ローラの周面との間の隙間を小さくすることができ、上方向カールが生じているシートの一端部と供給ローラの周面との接触面積をより大きく確保することができる。
【0020】
また、シート状ガイドは、幅方向において供給ローラよりも幅広に形成されていることが好ましい。
【0021】
これにより、供給ローラの幅方向の端部にシートが突き当たることが抑制され、シート状ガイドによってシートを供給ローラの周面上に円滑に案内することができる。
【0022】
供給ローラと分離部材との接触部分に対して搬送方向の上流側かつシート状ガイドに対して搬送方向の下流側に、トレイ上の上側のシートが搬送方向の下流側に進入することを規制する規制部材が設けられていることが好ましい。
【0023】
これにより、上側のシートのなだれ込みに起因するシートの重送を一層抑制することができる。
【0024】
供給ローラの周面に対向して、シートの一端部を供給ローラに押しつけるためのシート押さえ部材が設けられていることが好ましい。そして、シート押さえ部材におけるシートと接触する押圧作用部は、シート状ガイドに対して搬送方向の下流側に配置されていることが好ましい。
【0025】
シート押さえ部材の押圧作用部により、供給ローラおよび分離部材の接触部分とシート状ガイドとの間において、シートの一端部を供給ローラの周面に押しつけることができる。よって、シートの空送を一層抑制することができる。
【0026】
シート押さえ部材は、幅方向に互いに離れた2つの位置にそれぞれ押圧作用部を有していてもよい。この場合、2個の押圧作用部は、幅方向において、シート状ガイドの両端部と同じ位置に配置されていることが好ましい。
【0027】
2個の押圧作用部がシートの一端部をシート状ガイドの両端部と幅方向に同じ位置で押圧することにより、シートに上方向カールが生じていても、そのシートの幅方向の両端部の上方向カールを矯正することができる。その結果、シートを供給ローラに当接させることができる。よって、シートの空送を一層抑制することができる。
【0028】
トレイは、シートがその一端部側ほど下方に位置する傾斜姿勢をなすように設けられていることが好ましい。
【0029】
トレイ上にセットされたシートが自重により搬送方向下流側に入り込むので、ユーザがシートを搬送方向の下流側に押し込まなくても、シートを円滑に搬送することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、シートに上方向カールが生じている場合に、トレイ上の最下位置のシートの一端部と供給ローラの周面との接触面積を稼ぐことができるので、シートの空送を抑制することができる。また、シートに下方向カールが生じている場合に、最下位置のシートを搬送方向の下流側(奥側)に深く入り込ませることができるので、上側のシートが搬送方向の下流側になだれ込むことを抑制できる。その結果、シートの重送を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るイメージスキャナ1の外観斜視図であり、前記イメージスキャナ1の非使用時の状態を示す。
【図2】図2は、前記イメージスキャナ1の外観斜視図であり、前記イメージスキャナ1の使用時の状態を示す。
【図3】図3は、前記イメージスキャナ1の断面図である。
【図4】図4は、前記イメージスキャナ1の供給ローラ51およびシート状ガイド52の近傍の断面図である。
【図5】図5は、前記イメージスキャナ1の外嵌斜視図であり、メンテナンス時の状態、すなわち上ユニット5がメンテナンス姿勢をなす状態を示す。
【図6】図6は、前記供給ローラ51、前記シート状ガイド52およびシート押さえ部材54の相対位置関係を図解的に示す図である。
【図7】図7は、第1変形例に係る前記供給ローラ51、シート状ガイドおよびシート押さえ部材の相対位置関係を図解的に示す図である。
【図8】図8は、第2変形例に係る前記供給ローラ51、シート状ガイドおよびシート押さえ部材の相対位置関係を図解的に示す図である。
【図9】図9は、第3変形例に係る前記供給ローラ51、シート状ガイドおよびシート押さえ部材の相対位置関係を図解的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<イメージスキャナの外観構成>
【0033】
図1に示されるように、イメージスキャナ1は、スキャナ本体2、供給トレイ3および排出トレイ4を備えている。
【0034】
スキャナ本体2には、上ユニット5および下ユニット6が含まれる。スキャナ本体2の正面には、シート排出口7が上ユニット5および下ユニット6に跨がって形成されている。
【0035】
なお、イメージスキャナ1を平面上に載置した状態で、そのイメージスキャナ1を正面側から見て、前後、左右および上下を規定する。そして、図1以降の各図では、図面の理解を助けるために、必要に応じて、その規定された方向を矢印で示す。
【0036】
上ユニット5は、下ユニット6に対して、下ユニット6の前上端縁に沿って左右方向に延びる軸線を中心に揺動可能に結合されている。そして、上ユニット5は、揺動により、前方に下り傾斜した通常姿勢、すなわち図2に示される姿勢と、その通常姿勢から後端部が上方に持ち上がった非図示のメンテナンス姿勢とに変位可能である。上ユニット5がメンテナンス姿勢をなす状態では、上ユニット5と下ユニット6との間が開放され、図4に示されるシートSのジャム処理やメンテナンスを行うことができる。
【0037】
上ユニット5の上面には、図2に示されるように、操作表示部8が設けられている。操作表示部8には、複数の操作ボタン9およびパイロットランプ10などが配置されている。
【0038】
下ユニット6は、左端部および右端部に、それぞれ側面視台形状のサイドパネル11を備えている。この1対のサイドパネル11により、イメージスキャナ1の左右の側面が形成されている。上ユニット5が通常姿勢をなす状態で、1対のサイドパネル11により、上ユニット5が左右から挟まれて、上ユニット5の左右の側面が覆われる。また、その状態で、上ユニット5の上面は、各サイドパネル11の上端縁とほぼ同一の面内に配置される。
【0039】
下ユニット6の後上端部において、左右方向の中央部12Cの上面は、前下がりに傾斜している。中央部12C上には、左右方向の中央に、略矩形板状の本体側案内部材13が固定的に配置されている。
【0040】
中央部12Cの左方の左端部12Lおよび右方の右端部12Rは、中央部12Cよりも上方に突出し、略直方体形状をなしている。上ユニット5が通常姿勢をなす状態で、左端部12Lおよび右端部12Rの上面は、上ユニット5の上面とほぼ面一をなす。左端部12Lの右側面および右端部12Rの左端面には、それぞれ左右方向に延びる同一直線上を左右方向の内側に向けて延びる非図示のトレイ支持軸が形成されている。
【0041】
トレイの一例としての供給トレイ3は、2本のトレイ支持軸により、トレイ支持軸を支点に揺動可能に支持されている。供給トレイ3は、揺動により、スキャナ本体2の上面に上方から対向する収納姿勢、すなわち図1に示される姿勢と、下ユニット6の後上端部の中央部12Cの傾斜角度とほぼ同じ傾斜角度でスキャナ本体2の後上端部から後上方に延びる使用姿勢、すなわち図2に示される姿勢とに変位可能である。また、供給トレイ3は、スキャナ本体2の平面形状とほぼ同形状の板状に形成されている。そのため、供給トレイ3が収納姿勢をなす状態で、スキャナ本体2の上面は、供給トレイ3によって覆い隠される。
【0042】
供給トレイ3の内面、すなわち使用姿勢をなす状態で前上方に向く面には、略矩形板状のトレイ側案内部材14が設けられている。トレイ側案内部材14は、供給トレイ3が使用姿勢をなす状態で、供給トレイ3の前端部であって、本体側案内部材13の後方に固定的に配置されている。
【0043】
供給トレイ3が使用姿勢をなす状態で、下ユニット6の後上端部の中央部12Cの前方に、左右方向に延びる略矩形状のシート供給口15が開放される。
【0044】
供給トレイ3が使用姿勢をなす状態で、下ユニット6の後上端部の中央部12Cおよび供給トレイ3上に跨がって、左右1対のシート幅ガイド部材16が形成される。
【0045】
各シート幅ガイド部材16は、本体側ガイド部材17とトレイ側ガイド部材18とに分割されている。
【0046】
本体側ガイド部材17は、載置部19および幅規制部20を一体的に有している。載置部19は、中央部12Cの上面に沿って配置される。載置部19は、略矩形板状である。載置部19は、本体側案内部材13とほぼ同一形状に形成されている。幅規制部20は、載置部19の左右方向の外側端縁から載置部19に直交して起立する。
【0047】
なお、「直交」の概念には、90°での交差はもちろん、90°に多少の誤差を含む角度で交差する場合も含まれる。
【0048】
トレイ側ガイド部材18は、載置部21および幅規制部22を一体的に有している。載置部21は、中央部12Cの上面に沿って配置される。載置部21は、略矩形板状である。載置部21は、トレイ側案内部材14とほぼ同一形状に形成されている。幅規制部22は、載置部21の左右方向の外側端縁から載置部21に直交して起立する。
【0049】
本体側ガイド部材17の幅規制部20の後端部には、左右方向に延びる連結軸23が突出して設けられている。連結軸23の軸線は、供給トレイ3の揺動支点であるトレイ支持軸の軸線と一致している。トレイ側ガイド部材18の幅規制部22には、本体側ガイド部材17の幅規制部20の後端部と左右方向に重なる部分が形成されている。この重なる部分に、連結軸23の先端部が挿通されている。これにより、供給トレイ3の揺動に伴って、トレイ側ガイド部材18は、連結軸23を中心に揺動する。そして、供給トレイ3が使用姿勢をなす状態で、本体側ガイド部材17およびトレイ側ガイド部材18が前後に並び、幅規制部20,22は、前後方向に延びるリブ状をなす。
【0050】
1対のシート幅ガイド部材16は、それらの間の中央をセンタ基準として、互いに同じ移動量で近接/離間可能に設けられている。
【0051】
1対のシート幅ガイド部材16が互いに最も近接した状態では、左右の幅規制部20,22の間の間隔が欧米名刺サイズの短辺の長さとほぼ同じ最小幅となる。そして、1対のシート幅ガイド部材16の間において、本体側案内部材13、トレイ側案内部材14およびシート幅ガイド部材16の載置部19,21上に跨がって、欧米名刺サイズのシートSを載置することができる。
【0052】
また、1対のシート幅ガイド部材16が互いに最も離間した状態で、左右の幅規制部20,22の間の間隔がリーガルサイズの紙の短辺の長さとほぼ同じ最大幅となる。そして、1対のシート幅ガイド部材16の間において、本体側案内部材13、トレイ側案内部材14およびシート幅ガイド部材16の載置部19,21上に跨がって、リーガルサイズのシートSの先端部、すなわち前端部を載置することができる。
【0053】
欧米名刺サイズよりも大きく、リーガルサイズよりも小さいサイズのシートSについては、1対のシート幅ガイド部材16を移動させて、左右の幅規制部20,22の間の間隔をシートSの左右方向の幅に一致させることにより、本体側案内部材13、トレイ側案内部材14およびシート幅ガイド部材16の載置部19,21上に載置することができる。
【0054】
こうして、シートSは、スキャナ本体2の下ユニット6の後上端部および供給トレイ3上に、左右方向の中央が1対のシート幅ガイド部材16の間の中央、すなわちシート供給口15の左右方向の中央と一致した状態にセットされる。
【0055】
排出トレイ4は、略矩形板状に形成されている。排出トレイ4は、スキャナ本体2(下ユニット6)の最下部に収納された状態、すなわち図1に示される状態と、シート排出口7からスキャナ本体2の前方に引き出された状態、すなわち図2に示される状態とに変位可能に設けられている。排出トレイ4がスキャナ本体2の最下部に収納された状態では、図1に示されるように、排出トレイ4の前面24がスキャナ本体2の前面25とほぼ面一をなす。一方、排出トレイ4がスキャナ本体2の前方に引き出された状態では、図2に示されるように、排出トレイ4の上面26がシート受け面として上方に開放される。
【0056】
また、排出トレイ4の上面26には、補助板27が排出トレイ4の前端縁に沿った軸線まわりに揺動可能に設けられている。補助板27は、揺動により、上面26に対して倒伏した姿勢と、排出トレイ4がスキャナ本体2の前方に引き出された状態で、上面26の前端部から前上方に延びる姿勢とに変位可能である。
<イメージスキャナの内部構成>
【0057】
上ユニット5および下ユニット6は、図3に示されるように、それぞれ上フレーム31および下フレーム32を備えている。上フレーム31の後端縁および下フレーム32の後端縁により、シート供給口15が形成されている。
【0058】
上フレーム31には、第1上ガイド部33、上CIS保持部34および最終ガイド部35が後側からこの順に連続して形成されている。
【0059】
第1上ガイド部33の下フレーム32に対向する面、すなわち下面は、シートSの搬送をガイドするガイド面36である。ガイド面36は、前下方に相対的に急な勾配で傾斜して延び、途中部で後下方に凸となるように湾曲し、前下方に相対的に緩やかな勾配で傾斜して延びている。
【0060】
上CIS保持部34は、前上方に向かって凹む略長方形状の凹部として形成されている。上CIS保持部34には、上CISユニット37が嵌合されている。上CISユニット37は、コンタクトガラス38を備えている。上CISユニット37は、コンタクトガラス38を下フレーム32側に向けた状態に設けられている。上CIS保持部34の底面と上CISユニット37との間には、コイルばね39が介在されている。これにより、シートSの厚さが大きい場合に、その厚さに応じて上CISユニット37が移動し、シートSがコンタクトガラス38と良好に接触しつつ搬送される。
【0061】
最終ガイド部35は、ガイド面36の前端部とほぼ同じ傾斜角度で前下方に延びている。
【0062】
下フレーム32には、案内部40、第1下ガイド部41および下CIS保持部42が後側からこの順に連続して形成されている。
【0063】
案内部40の上面は、シートSが載置される載置面である本体側案内部材13、トレイ側案内部材14およびシート幅ガイド部材16の載置部19,21の各上面とほぼ同じ傾斜角度で前下方に傾斜する略平面に形成されている。
【0064】
第1下ガイド部41の上フレーム31に対向する面、すなわち上面は、シートSの搬送をガイドするガイド面43である。ガイド面43と第1上ガイド部33のガイド面36との間には、間隔が空けられている。ガイド面43は、ガイド面36の湾曲に対応して、後下方に凸となるように湾曲し、ガイド面36の前端部と平行をなして、前下方に延びている。
【0065】
なお、「平行」の概念には、一方が他方に対して僅かに傾斜する場合や一方がごく緩やかに湾曲する場合も含まれる。
【0066】
下CIS保持部42は、後下方に向かって凹む略長方形状の凹部として形成されている。下CIS保持部42には、下CISユニット44が嵌合されている。下CISユニット44は、コンタクトガラス45を備えている。下CISユニット44は、コンタクトガラス45を上フレーム31側に向けた状態に設けられている。
【0067】
また、下フレーム32には、案内部40および第1下ガイド部41の左右方向の各中央部に跨がって、供給ローラ収容部46が後下方に凹む凹部として形成されている。
【0068】
供給ローラ収容部46には、ローラの一例としての供給ローラ51が回転可能に収容されている。供給ローラ51の周面の一部は、案内部40および第1下ガイド部41の各上面から前上方に突出している。供給ローラ51は、シートSの搬送時に、右側から見て反時計回りに回転する。
【0069】
案内部40の上面とその上面から突出した供給ローラ51の周面とに跨がるように、シート状ガイド52が設けられている。シート状ガイド52は、左右方向において、その中央が供給ローラ51の左右方向の中央と一致するように配置されている。シート状ガイド52は、フィルムからなる。シート状ガイド52は、基端部が案内部40の上面に固定され、遊端部が供給ローラ51の周面に接触している。
【0070】
供給ローラ51の前上方には、規制部材53、シート押さえ部材54および分離片ユニット55が設けられている。規制部材53、シート押さえ部材54および分離片ユニット55は、上フレーム31に取り付けられている。
【0071】
規制部材53は、シート状ガイド52に対してシートSの搬送方向の下流側に配置されている。規制部材53は、供給ローラ51側に尖った側面視略三角形状に形成されている。そして、規制部材53は、図3に示される断面において、案内部40の上面に沿って延びる直線と直交する供給ローラ51の半径とほぼ同一直線上を延びる規制面56を有している。
【0072】
シート押さえ部材54は、板ばねからなる。シート押さえ部材54の基端部は、上フレーム31の後端部に取り付けられる。シート押さえ部材54の遊端部は、供給ローラ51の周面に前上方から当接している。
【0073】
分離片ユニット55は、ゴムからなる分離部材の一例としての分離片57を備えている。分離片57は、規制部材53に対して供給ローラ51の回転方向の下流側に配置されている。分離片57の表面は、押圧部材58の付勢力により、供給ローラ51の周面に弾性的に接触している。
【0074】
第1上ガイド部33および第1下ガイド部41の各前端部には、それぞれLFローラ61,62が左右方向に延びる軸線を中心に回転可能に設けられている。LFローラ61の周面の一部は、第1上ガイド部33の前端部の下面から後下方に突出している。また、LFローラ62の周面の一部は、第1下ガイド部41の前端部の上面から前上方に突出している。そして、ばね63の付勢力により、LFローラ61の周面は、LFローラ62の周面に前上方から弾性的に接触している。
【0075】
上フレーム31の最終ガイド部35および下フレーム32の前端部には、それぞれ排出ローラ64,65が左右方向に延びる軸線を中心に回転可能に設けられている。排出ローラ64の周面の一部は、最終ガイド部35の下面から後下方に突出している。また、排出ローラ65の周面の一部は、下フレーム32の前端部の上面から前上方に突出している。そして、ばね66の付勢力により、排出ローラ64の周面は、排出ローラ65の周面に前上方から弾性的に接触している。
<イメージスキャナにおける画像の読取り>
【0076】
イメージスキャナ1では、シートSの上面および下面に形成されている画像を選択的に読み取ることができる。また、イメージスキャナ1では、シートSの両面に形成されている画像を並行して読み取ることができる。以下、シートの搬送および画像の読取りについて時系列的に説明する。
【0077】
1対のシート幅ガイド部材16の間の間隔が読取対象のシートSの幅に合わされる。その後、その読取対象のシートSが1対のシート幅ガイド部材16の間に後上方から差し込まれる。これにより、シートSが本体側案内部材13、トレイ側案内部材14およびシート幅ガイド部材16の載置部19,21上に載置される。このとき、シートSの前端部は、本体側案内部材13、トレイ側案内部材14およびシート幅ガイド部材16の載置部19,21上を滑る。シートの前端部は、シート供給口15を通って、下フレーム32の案内部40上に移動する。さらに、シートSの前端部は、案内部40上を供給ローラ51に向けて滑る。
【0078】
複数枚のシートSがセットされた場合、最下位置のシートSの先端部における左右方向の中央部は、案内部40からシート状ガイド52上に移動する。シートの先端部における中央部は、シート状ガイド52上を滑って、供給ローラ51の周面上に導かれる。そして、図4に示されるように、最下位置のシートSは、その先端部が分離片ユニット55に接触すると、分離片ユニット55との摩擦抵抗によって停止する。また、上側のシートSは、その先端縁が規制部材53の規制面56に当接することによって停止する。これにより、シートSのセットが完了する。
【0079】
また、シートSの進入により、シート押さえ部材54の遊端部が持ち上げられ、シートSの上面にシート押さえ部材54が当接する。シート押さえ部材54の付勢力により、最下位置のシートSが供給ローラ51の周面に押しつけられる。
【0080】
供給ローラ51が右側から見て反時計回りに回転すると、最下位置のシートSと供給ローラ51の周面との摩擦力により、最下位置のシートSが供給ローラ51の周面とともに移動する。また、最下位置のシートSとその直上のシートSとの摩擦力により、最下位置のシートSにその上方のシートSがつられて移動する。そして、それらのシートSの先端が分離片57の表面に当接すると、分離片57により、上方のシートSの移動が規制されて、最下位置のシートSのみが分離片57と供給ローラ51の周面とのニップ部分を通過する。
【0081】
分離片57と供給ローラ51の周面とのニップ部分を通過したシートSは、第1上ガイド部33のガイド面36と第1下ガイド部41のガイド面43とに挟まれる搬送路をガイド面36,42にガイドされつつ搬送される。
【0082】
シートSの先端がLFローラ61,62のニップ部分に当接すると、LFローラ61,62の回転により、シートSの先端部がそのニップ部分に引き込まれる。そして、シートSの上面および下面にそれぞれLFローラ61,62の周面が接触し、LFローラ61,62の周面からシートSに搬送力が付与される。これにより、シートSの搬送が続けられる。
【0083】
その後、シートSの搬送が進むと、シートSの上面および下面がそれぞれ上CISユニット37のコンタクトガラス38および下CISユニット44のコンタクトガラス45と対向する。そして、コンタクトガラス38,45の光出射位置において、シートSの上面および下面に光が照射される。シートSの上面および下面での反射光がそれぞれ上CISユニット37および下CISユニット44に内蔵されたイメージセンサに受けられることにより、シートSの上面および下面に形成されている画像の読取りが達成される。
【0084】
シートSの先端が排出ローラ64,65のニップ部分に当接すると、排出ローラ64,65の回転により、シートSの先端部がそのニップ部分に引き込まれる。そして、シートSの上面および下面にそれぞれ排出ローラ64,65の周面が接触し、排出ローラ64,65の周面からシートSに搬送力が付与される。これにより、シートSの搬送が続けられる。そして、シートSの後端が排出ローラ64,65から離れると、シートSは、排出トレイ4の上面26に排出される。
<シート状ガイド>
【0085】
シート状ガイド52の基端縁71は、図5,6に示されるように、供給ローラ収容部46の後方、厳密には後上方で左右方向に延びている。シート状ガイド52の左端縁72は、基端縁71と直交して、供給ローラ51の左端縁よりも左側に位置している。また、シート状ガイド52の右端縁73は、基端縁71から離れにつれて右方に傾斜して延びている。そして、シート状ガイド52の右端縁73は、正面から見たときに、その途中で供給ローラ51の右端縁と交差している。シート状ガイド52におけるシートSの搬送方向の下流側の端縁である遊端縁74は、左端縁72から右方に少し延び、基端縁71側に凹むように緩やかに湾曲している。遊端縁74は、右方にさらに少し延びて、右端縁73に接続されている。
【0086】
これにより、シート状ガイド52の遊端部における左右方向の中央部75は、その左右方向の両端部76に対してシートSの搬送方向の上流側に位置している。
<シート押さえ部材>
【0087】
シート押さえ部材54は、図3,6に示されるように、左右方向に沿って、上ユニット5の後上端部から前下方に延びるように設けられている。シート押さえ部材54は、図6に示されるように、本体部81および2個の押圧作用部82を備えている。
【0088】
本体部81の後側部分83は、左右方向に相対的に狭い矩形板状をなしている。本体部81の途中部84は、前側ほど左右方向に広がる台形板状をなしている。本体部81の前側部分85は、左右方向に相対的に広い矩形板状をなしている。
【0089】
2個の押圧作用部82は、本体部81の前側部分85の前端縁の左右両端部から前方,厳密には前下方に延びる細長い矩形板状をなしている。各押圧作用部82の先端部は、供給ローラ51から離れる方向に屈曲している。シートSのセットが完了すると、そのシートSの上面に2個の押圧作用部82が接触する。
【0090】
そして、各押圧作用部82は、シート状ガイド52に対して、シートSの搬送方向の下流側である前方に配置されている。また、左右の押圧作用部82は、左右方向、言い換えれば幅方向において、それぞれシート状ガイド52の両端部76と同じ位置に配置されている。具体的には、左右の押圧作用部82は、左右方向において、それぞれシート状ガイド52の遊端縁74における凹湾曲した部分の両端部と同じ位置に配置されている。
<作用効果>
【0091】
以上のように、供給ローラ51の周面と分離片57とのニップ部分の供給トレイ3側には、シート状ガイド52が設けられている。供給トレイ3にセットされたシートSの先端部は、シート状ガイド52に案内されて、供給ローラ51の周面上に導かれる。供給ローラ51によって供給トレイ3上から送り出されるシートSは、供給ローラ51の周面と分離片57との間に挟み込まれて、1枚ずつに分離される。
【0092】
上方向カールが生じているシートSは、その幅方向(左右方向)の両端が上方に向くようにカールしている。また、下方向カールが生じているシートSは、幅方向の両端が下方に向くようにカールしている。
【0093】
シート状ガイド52は、シート状ガイド52の遊端部における左右方向の中央部75がその左右方向の両端部76に対してシートSの搬送方向の上流側に位置する形状に形成されている。そのため、シート状ガイド52の中央部75は、供給ローラ51と分離片57との接触部分に対して相対的に離れ、両端部76は、供給ローラ51と分離片57との接触部分に対して相対的に近い。
【0094】
これにより、シートSに上方向カールが生じている場合には、シート状ガイド52の中央部75と供給ローラ51および分離片57の接触部分との間において、供給トレイ3上の最下位置のシートSの一端部と供給ローラ51の周面との接触面積を稼ぐことができる。よって、シートSの空送を抑制することができる。
【0095】
また、シートSに下方向カールが生じている場合には、供給トレイ3上の最下位置のシートSの先端部がシート状ガイド52の両端部76上を滑ることにより、最下位置のシートSが搬送方向の下流側(奥側)に深く入り込む。よって、上側のシートSが搬送方向の下流側になだれ込むことを抑制でき、ひいては、シートSの重送を抑制することができる。
【0096】
供給ローラ51は、シートSの先端部における幅方向(左右方向)の中央部に接触するように配置されている。そして、シート状ガイド52は、左右方向において、その中央が供給ローラ51の左右方向の中央と一致するように配置されている。
【0097】
これにより、シートSの幅方向の中央部をシート状ガイド52で案内することができるので、シートSが搬送方向に対して斜めとなる姿勢にセットされることを抑制できる。
【0098】
シート状ガイド52の遊端縁74は、左右方向の中央部が搬送方向の上流側に向かって凹む凹湾曲状をなしている。
【0099】
これにより、遊端縁74を供給ローラ51の周面に沿わせることができる。その結果、遊端縁74の左右方向の中央部と供給ローラ51の周面との間の隙間を小さくすることができ、上方向カールが生じているシートSの先端部と供給ローラ51の周面との接触面積をより大きく確保することができる。
【0100】
また、図6に示されるように、シート状ガイド52における少なくとも供給ローラ51と接触する部分は、左右方向において供給ローラ51よりも幅広に形成されている。
【0101】
これにより、供給ローラ51の左右方向の端部にシートSが突き当たることが抑制され、シート状ガイド52によってシートSを供給ローラ51の周面上に円滑に案内することができる。
【0102】
供給ローラ51と分離片57との接触部分に対して搬送方向の上流側かつシート状ガイド52に対して搬送方向の下流側に、供給トレイ3上の上側のシートSが搬送方向の下流側に進入することを規制する規制部材53が設けられている。
【0103】
これにより、上側のシートSのなだれ込みに起因するシートSの重送を一層抑制することができる。
【0104】
供給ローラ51の周面に対向して、シートSの先端部を供給ローラ51に押しつけるためのシート押さえ部材54が設けられている。そして、シート押さえ部材54におけるシートSと接触する押圧作用部82は、シート状ガイド52に対して搬送方向の下流側に配置されている。
【0105】
シート押さえ部材54の押圧作用部82により、供給ローラ51および分離片57の接触部分とシート状ガイド52との間において、シートSの先端部を供給ローラ51の周面に押しつけることができる。よって、シートSの空送を一層抑制することができる。
【0106】
シート押さえ部材54は、幅方向に互いに離れた2つの位置にそれぞれ押圧作用部82を有している。そして、2個の押圧作用部82は、幅方向において、シート状ガイド52の両端部76と同じ位置に配置されている。
【0107】
2個の押圧作用部82がシートSの先端部をシート状ガイド52の両端部76と幅方向に同じ位置で押圧することにより、シートSに上方向カールが生じていても、そのシートSの幅方向の両端部の上方向カールを矯正することができる。その結果、シートSを供給ローラ51に当接させることができる。よって、シートSの空送を一層抑制することができる。
【0108】
供給トレイ3は、シートSがその先端部側ほど下方に位置する傾斜姿勢をなすように設けられている。
【0109】
供給トレイ3上にセットされたシートSが自重により搬送方向下流側に入り込むので、シートSを供給トレイ3上にセットするときにユーザに与える感覚をより改善することができる。
<変形例>
【0110】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0111】
たとえば、シート状ガイド52は、遊端部における左右方向の中央側に位置する部分が左右方向の端側に位置する部分に対してシートSの搬送方向の上流側に位置する形状であれば、遊端縁74の左右方向の中央部が搬送方向の上流側に凹む凹湾曲状をなす形状(図6に示される形状)に限らない。
【0112】
図7に示されるシート状ガイド152では、基端縁171が左右方向に延びている。左端縁172は、基端縁171と直交して、供給ローラ51の左端縁よりも左側に位置している。右端縁173は、基端縁171から離れにつれて右方に傾斜して延びている。そして、右端縁173は、正面から見たときに、その途中で供給ローラ51の右端縁と交差している。遊端縁174における左右方向の両端の小幅の部分は、左右方向に延びている。遊端縁174における左右方向の中央部分は、シートSの搬送方向の上流側に凹む台形状に形成されている。これにより、シート状ガイド152の遊端部における左右方向の中央部175は、その左右方向の両端部176に対してシートの搬送方向の上流側に位置している。
【0113】
図8に示されるシート状ガイド252では、基端縁271が左右方向に延びている。左端縁272は、基端縁271と直交して、供給ローラ51の左端縁よりも左側に位置している。右端縁273は、基端縁271から離れにつれて右方に傾斜して延びている。そして、右端縁273は、正面から見たときに、その途中で供給ローラ51の右端縁と交差している。遊端縁274における左右方向の両端の小幅の部分は、左右方向に延びている。遊端縁174における左右方向の中央部分は、シートSの搬送方向の上流側に凹む矩形状に形成されている。これにより、シート状ガイド252の遊端部における左右方向の中央部175は、その左右方向の両端部176に対してシートの搬送方向の上流側に位置している。
【0114】
図9に示されるように、供給ローラ51が左右方向に間隔を空けて2個設けられて、各供給ローラ51に対応して、シート状ガイド352,353およびシート押さえ部材354が設けられていてもよい。シート押さえ部材354は、シート押さえ部材54と同様の構成であるので、図9では、シート押さえ部材354の各部について、シート押さえ部材54の各部に相当する部分には、それらと同一の参照符号が付されている。
【0115】
この場合、各シート状ガイド352,353は、遊端部における左右方向の中央側に位置する部分が左右方向の端側に位置する形状に形成される。
【0116】
具体的には、左側のシート状ガイド352では、基端縁371が左右方向に延びている。左端縁372は、基端縁371と直交して、供給ローラ51の左端縁よりも左側に位置している。右端縁373は、基端縁371から離れにつれて右方に傾斜して延びている。そして、右端縁373は、正面から見たときに、その途中で供給ローラ51の右端縁と交差している。そして、遊端縁374は、右側ほどシートSの搬送方向の上流側に位置するように直線状に傾斜または湾曲する形状に形成されている。
【0117】
一方、右側のシート状ガイド353では、基端縁471が左右方向に延びている。左端縁472は、基端縁471から離れにつれて左方に傾斜して延びている。そして、左端縁472は、正面から見たときに、その途中で供給ローラ51の左端縁と交差している。右端縁473は、基端縁471と直交して、供給ローラ51の左端縁よりも左側に位置している。遊端縁474は、左側ほどシートSの搬送方向の上流側に位置するように直線状に傾斜または湾曲する形状に形成される。
【0118】
また、前述の実施形態では、イメージスキャナ1を取り上げたが、本発明に係るシート搬送装置は、イメージスキャナ1以外に、プリンタや複写機に代表される画像形成装置など、シートを搬送する機構を必要とする装置に広く適用することができる。
【0119】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0120】
3 供給トレイ
51 供給ローラ
52 シート状ガイド
53 規制部材
54 シート押さえ部材
57 分離片
74 遊端縁
82 押圧作用部
152 シート状ガイド
252 シート状ガイド
352 シート状ガイド
353 シート状ガイド
354 シート押さえ部材
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが載置されるトレイと、
前記トレイに載置された前記シートの一端部が周面に接触し、前記シートを前記トレイ上から前記一端部が先頭となる搬送方向に送り出すための供給ローラと、
前記供給ローラの前記周面に接触し、前記供給ローラによって送り出される前記シートを前記周面との間に挟み込んで、前記シートを1枚ずつに分離するための分離部材と、
前記供給ローラと前記分離部材との接触部分に対して前記搬送方向の上流側に設けられ、前記シートの前記一端部を前記供給ローラの前記周面上に案内するためのシート状ガイドとを含み、
前記シート状ガイドは、前記搬送方向と直交する幅方向の中央側に位置する部分が前記幅方向の端側に位置する部分に対して前記搬送方向の上流側に位置する形状に形成されている、シート搬送装置。
【請求項2】
前記供給ローラは、前記シートの前記一端部における前記幅方向の中央部に接触するように配置され、
前記シート状ガイドは、前記幅方向において、その中央が前記供給ローラの前記幅方向の中央と一致するように配置されている、請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記シート状ガイドにおける前記搬送方向の下流側の端縁は、少なくとも前記幅方向の中央部が前記搬送方向の上流側に向かって凹む凹湾曲状をなしている、請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記シート状ガイドは、前記幅方向において前記供給ローラよりも幅広に形成されている、請求項2または3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記接触部分に対して前記搬送方向の上流側かつ前記シート状ガイドに対して前記搬送方向の下流側に設けられ、前記供給ローラの前記周面に対向し、前記トレイに複数枚のシートが載置されたときに、上側の前記シートが前記搬送方向の下流側に進入することを規制する規制部材をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記供給ローラの前記周面に対向して設けられ、前記シートの前記一端部を前記供給ローラに押しつけるためのシート押さえ部材をさらに含み、
前記シート押さえ部材における前記シートと接触する押圧作用部は、前記シート状ガイドに対して前記搬送方向の下流側に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記シート押さえ部材は、前記幅方向に互いに離れた2つの位置にそれぞれ前記押圧作用部を有しており、
2個の前記押圧作用部は、前記幅方向において、前記シート状ガイドの両端部と同じ位置に配置されている、請求項6に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記トレイは、前記シートがその前記一端部側ほど下方に位置する傾斜姿勢をなすように設けられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシート搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−112513(P2013−112513A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262883(P2011−262883)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】