説明

シート材の治具

【課題】剥離した細胞シートが内部張力でカールすることを利用し、把持用フックに絡みつかせて細胞シートを把持するようにしたことにより、容易、迅速かつ確実に細胞シートを把持する治具を提供する。
【解決手段】シート材の端部を保持する一対の治具であって、先端部が点状の接触子と、前記接触子を支持して、前記接触子の先端をシート端に沿って所定間隔を空けて並置し、前記接触子の先端部を前記シート材に当接させ、前記シート材を前記接触子間に架け渡して保持する支持部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材をハンドリングする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞を生体から取り出し、これらを生体外で生育し、再生医療等に用いることが試みられている。例えば皮膚や角膜、歯根膜等の細胞を培養容器内で静置培養し、培養容器の壁面上で細胞同士がシート状に結合してシート状の形態を呈したものを細胞シートとして取り出し、単層の細胞シートを移植することや、細胞シートを積層して組織を構築することが提案されている。
【0003】
なお、作成した細胞シートを移植等に利用する場合には、利用に適した強度や弾性といった力学的特性を備えていることを測定する必要がある。
【0004】
細胞シートの力学特性に関しては、細胞シートに空気噴流を用いて力を加え、この時のシートの変形量をレーザー変位計により測定する事で、機械特性の観察を行っている研究が存在する(非特許文献1)。
【0005】
また、単一細胞の力学特性測定であるが、微細な流路内に細胞を設置し、ここに流れを与ることで細胞にせん断応力を加える。そして、このときの細胞の変形量から細胞の力学特性を測定するという方法が存在する(特許文献1)。
【0006】
さらに、単一細胞の力学特性測定の方法として、AFM(原子間力顕微鏡)を用いた方法(非特許文献2)や、マイクロピペットを用いて細胞を固定して力を加え、加えた力とピペットの変形量の関係から力学的特性を導き出す方法(非特許文献3)や、マイクロピペット内に細胞を吸い込み、その変形挙動から力学特性を導き出す方法(非特許文献4)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−25852号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】内田亮平.田中信行.東森充.金子真.近藤誠.大和雅之,"細胞シート定量評価に向けたマイクロ硬さセンシング", JSME,10-4, 2010, 1P1-B18.
【非特許文献2】G.S.Shroff, R.D.Saner, R.Lal,"Dynamic micromechanical properties of cultured rat arterial myocytes measured by atomic force microscopy",American Journal of Physiology, 269, pp.286-292,1995.
【非特許文献3】K.Nagayama, N.Yujiro, M.Sato, T.Matsumoto,"Effect of filament distribution on tensile properties of smooth muscle cells obtained from rat thoracic aortas",Biomech, 39, pp.293-301,2006.
【非特許文献4】M.Sato, M.J.Leveszue, R.M.Nerem,"Micropipette aspiration of cultured bovine aortic endothelial cells exposed to shear stress", Arteriosclerosis, 7(3),pp.276-286,1987.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
空気噴流を用いた測定方法は、細胞シートの力学特性を測定することが可能であるが、
一定期間細胞シートに直接空気を噴射するため、細胞シートが乾燥しダメージを負わせてしまうという問題点がある。なお、空気噴流を用いて細胞シートに力を加える構成に代えて、培養容器中で培養液に流れを生じさせて細胞シートに力を加えることも考えられるが、直接的な力測定ではないため確実な方法とは言えない。
【0010】
また、非特許文献2〜4は、何れも単一細胞の力学特性しか測定できず、細胞シートの力学特性の測定に適用できるものではなかった。
【0011】
そもそも培養した細胞シートをシートの状態で取り出せるようになってから日が浅く、現在、細胞シートを工業的にハンドリングするツールや細胞シートのチャッキング方法が存在しない。例えば細胞シートの引張試験を行うことを考えた場合、細胞シートの周縁部をチャッキング手段で挟持して引っ張ることになるが、細胞シートは非常に薄く、またカールする性質もあるため、皺や破れを生じさせること無くチャッキング手段にセットするだけでも非常に困難な作業となる。また、セットできたとしても引張試験を行った際、チャッキング手段で挟まれた部分に応力が集中して、このチャッキング部分から破断してしまうので、正確な測定が行えないという問題点があった。
【0012】
また、測定に限らず、細胞シートを医療や産業に用いるためには、簡単な構成で、容易、迅速かつ確実に把持することができるハンドリングツールが必要であった。
【0013】
そこで、本発明は、シート材を容易にハンドリングする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明の治具は、シート材の端部を保持する一対の治具であって、先端部が点状の接触子と、前記接触子を支持して、前記接触子の先端をシート端に沿って所定間隔を空けて並置し、前記接触子の先端部を前記シート材に当接させ、前記シート材を前記接触子間に架け渡して保持する支持部とを備える。
【0015】
前記接触子は、先端が前記シート材の内方から外方へ向けて曲がる鉤状部を有し、前記シート材のカールした端部と前記鉤状部とが係合して前記シート材を保持しても良い。
【0016】
前記指示部材は、シート材の面と直交する方向へ移動可能に前記接触子を支持しても良い。
【0017】
また、本発明の細胞シートの保持方法は、
前記治具を培養容器に着床している細胞シートに近接又は当接させて当該シート材の端部に位置決めする手順と、
前記培養容器から前記細胞シートを剥離する手順と、
前記培養容器から剥離されたことによりカールした前記細胞シートの端部を前記治具で保持する手順と、
を実行する。
【0018】
また、本発明の測定装置は、
前記一対の治具と、
対をなす前記治具の間隔を広げて当該治具に架け渡したシート材を引張する駆動部と、
前記シート材にかかる引張力を測定する測定部と、
を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、シート材を容易にハンドリングする技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】測定システムの概略構成図
【図2】張力測定装置の正面図
【図3】張力測定装置の平面図
【図4】治具間に細胞シートを架け渡した状態を示す図
【図5】治具の一例を示す図
【図6】治具の一例を示す図
【図7】治具の他の例を示す図
【図8】治具の他の例を示す図
【図9】治具を細胞シート上に位置決めした例を示す図
【図10】接触子の保持機構の説明図
【図11】接触子の保持機構の説明図
【図12】治具で細胞シートを把持する際の説明図
【図13】治具で細胞シートを把持する際の説明図
【図14】動作範囲制限用仕切り板の機能の説明図
【図15】伸縮領域制限用ニードルの機能の説明図
【図16】把持用フックの形状の説明図
【図17】把持用フックの形状の説明図
【図18】伸縮領域制限用ニードルの機能の説明図
【図19】のこぎり状の伸縮領域制限部の例を示す図
【図20】試験片の形状を示す図
【図21】隅部の応力集中を説明する図
【図22】隅部の応力集中を説明する図
【図23】試験片の形状を示す図
【図24】試験片の作成方法を示す図
【図25】試験片の作成方法を示す図
【図26】測定システムにおける試験方法(ハンドリング方法)の手順を示す図
【図27】張力測定装置1による引張試験の測定結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
《システム構成》
図1は、本実施形態に係る測定システムの概略構成図である。本実施形態の測定システムは、細胞シートを一軸方向に引っ張り、この時の引っ張り張力を測定することでシートの力学特性測定を行うものである。
【0022】
図1において、張力測定装置1は、細胞シートを治具間に架け渡して引っ張り、この時の張力に応じた電気信号を得ることで細胞シートの力学特性を測定する。張力測定装置1の測定結果である電気信号は、入力インタフェイス(データーロガー)7を介してコンピュータ8に入力され、記録される。入力インタフェイス7には、張力測定装置1からの張力信号の他、温度計2によって測定した温度信号や、LED9のON/OFFを示す信号も入力される。入力インタフェイス7は、入力信号の増幅やA/D変換、エンコード等の処理を行い、入力信号を所定の仕様に沿った信号に変換してコンピュータ8に入力する。なお、温度計2は、張力測定装置1によって測定される細胞シートの状態を管理するためのものであり、本例では細胞シートを収容したディッシュの温度を測定する。また、これに限らず、ディッシュ内の液温を測定するものであっても、細胞シート部分の放射熱を非接触で測定するものであっても良い。この温度によって後述の如く細胞シートの剥離をコントロールする。また、温度によって、細胞の接着力や硬さ等、細胞の状態が変化することがあるので、測定条件を一定に保つためにも温度管理を行う。
【0023】
モータードライバ3は、細胞シートを収容したディッシュを載置するステージの駆動や、細胞シートを引張するアームの駆動を行うためのモーターの駆動回路である。モータードライバ3は、モーターコントローラ4によって制御される。例えば、コンピュータ8から細胞シートを引張する命令が発せられると、モーターコントローラ4は、アームの駆動部と接続されたモータードライバ3を制御し、モータードライバ3から駆動部のモーターへ供給する電力を調整して所定速度でアームを移動させる。
【0024】
また、空調機5は、室内の空気と熱媒体との間で熱交換を行うことで室内の空気の温度を上げる或いは下げる機能を有する。空調機5は、コンピュータ8に制御されて、室温を調整する。なお、空調機5の制御は、コンピュータ8に限らず、オペレータが所定の温度を設定し、この設定温度に室温を保つようにしても良い。なお、空調機5が室温を調整するため、熱交換した空気を吹き出す際に、この空気の流れや急激な温度変化の影響を受けないように張力測定装置1を風防6で被っている。
カメラ20は、張力測定装置1の測定時の状況を撮影する。これにより数値データと共に、測定時の画像を記録することができ、例えば、数値と画像とをつき合わせて測定結果を検証することができる。ここで、測定開始時や測定中の所定時間毎にLED9をON/OFFし、このON/OFFを示すLED信号を入力インタフェイス7を介してコンピュータ8に記録すると共に、ON/OFFによる点灯又は消灯の状態をマーカーとして撮影画像中に記録(マーキング)することで、数値データと撮影画像との同期をとることができる。カメラ20による録画の開始や停止、及びLED9のON/OFF等は、オペレータが操作しても良いし、コンピュータ8が制御しても良い。また、カメラ20は、撮影画像をコンピュータ8で画像処理して、細胞シートが張力測定装置1にセットされたことや、細胞シートがディッシュ底面から剥離したか否か、細胞シートが治具に把持されたか、といった状態の判定に用いることもできる。
【0025】
《張力測定装置》
図2は、張力測定装置1の正面図、図3は、張力測定装置1の平面図である。
【0026】
図2,図3に示すように、張力測定装置1の基盤11上の一端部には、支柱12が立設され、支柱12の上端に力センサユニット13の支持体131が固設されている。この支持体131の支柱12と固設された端部と反対側の端部にセンサ部132が設けられている。センサ部132の先端側下端には、センサプローブとしてのアーム133が垂設される。そしてアーム133の下端に治具134が設けられている。
【0027】
一方、基盤11の支柱12が設けられた端部と反対側の端部には、支柱14が立設され、支柱14の上端に細胞シートを引張するためのアクチュエータ(駆動部)15を設けている。アクチュエータ15は、モーター152による回転力をボールねじ等の要素(不図示)を介して可動片151に伝え、可動片151を一軸方向、本例では水平方向(X方向)に移動させる。可動片151には、支持体153の一端が固定され、当該支持体153の自由端にアーム154が垂設される。そしてアーム154の下端に治具155が設けられている。
【0028】
治具134と治具155は、対向配置され、細胞シートをこれら治具134−155間に架け渡して保持する。なお、治具155が設けられたアーム154を指示する支持体153が、アクチュエータ15の可動片151に固定されており、可動片151の移動に伴って治具155が水平移動する。即ち、アクチュエータ15により可動片151を水平移動させ、治具155を治具134から離間させることで、移動によって治具134−155間に架け渡された細胞シートを引張する。
【0029】
この治具134,155の下方に細胞シートを収容したディッシュ19を載置するステ
ージ16を設け、当該ステージ16を上下動可能に昇降部(駆動部)17が保持している。昇降部17は、モーター171による回転力をボールねじ等の要素(不図示)を介してステージ16に伝え、ステージ16を垂直方向(Y方向)に移動させる。
【0030】
図4は、治具134−155間に細胞シート18を架け渡した状態を示す図である。
【0031】
先ず、アクチュエータ15により治具155を移動させて治具134−155間を狭め、治具155を引張前の位置(以下、初期位置とも称す)に配す。そして、細胞シート18を培養したディッシュ19をステージ16に載置し、ステージを上昇させて細胞シート18を治具134,155の直下に位置させ、細胞シート18をディッシュ19の底面から剥離して治具134−155間に架け渡す。
【0032】
この状態から治具155をアクチュエータ15によって移動させ、細胞シートを引張して張力を測定する。
【0033】
《治具》
図5,図6は、治具の一例を示す図である。図5,図6において、治具134,155は、細胞シート18と接する先端部が点状の接触子21、本例では繊維状の接触子21と、複数の接触子21をシート端に沿って所定間隔を空けて並置した支持部22を備える。
【0034】
そして図6に示したように、支持部22に密植した接触子21上に細胞シート18の端部を載せて治具134−155間に架け渡す。
【0035】
このように立設した接触子21に細胞シート18を懸架することで、接触子21の先端部と細胞シート表面とが係合し、治具155を水平方向(X方向)に移動させることで細胞シート18を引張することができる。
【0036】
そして図5,図6の例では、多数の接触子21で細胞シート18を支えているので、細胞シート18に係る力が分散され、引張した際に治具134,155で保持した部分から破断してしまうことを防止できる。
【0037】
図7,図8は、治具の他の例を示す図である。図7,図8において、治具134,155は、細胞シート18と接する先端部が点状の接触子31と、複数の接触子31をシート端に沿って所定間隔を空けて並置した支持部32を備える。
【0038】
支持部32には、接触子31を通して保持する上下方向の貫通穴321を複数設けている。接触子31は、針金の両端を折り曲げてコの字状とし、この両端を支持部32の上側から貫通穴321を通して垂下する。
【0039】
なお、接触子31は、対向する治具134,155間の内側に位置する伸縮領域制限部(伸縮領域制限用ニードル)31cと、治具134,155の両サイドに位置する把持用フック31bと、対向する治具134,155間の外側、即ち引張方向下流側に位置する把持用フック31aとに分類できる。伸縮領域制限用ニードル31cは、支持部32から垂下した両端部が曲がりなく、下向きであるのに対し、把持用フック31a,31bは支持部32から垂下した両端部の先端が外側へ向けて曲がる鉤状部311を有している。
【0040】
これらの接触子31は、支持部32の貫通穴321に挿入されて保持されるが、貫通穴の直径を接触子31の径よりも僅かに大きくして、遊びを持たせたことにより接触子31が上下動可能となっている。これは、図9に示すように、治具134,155と細胞シート18とを近づけ、接触子31の先端が細胞シート18と接した場合に、接触子31が細
胞シート18の面と直交する方向、即ち垂直方向へ退動し、接触子31が細胞シート18を傷つけないようにするものである。
【0041】
更に、図10(a)に示すように培養底面上に形成された細胞シート18に対して治具が斜めに設置された場合でも、接触子31の先端が細胞シート18の面に倣い、片あたりすることが無いので、細胞シート18を傷つけることが無い。
【0042】
また、図10(b)に示すように細胞シート18の表面が均一な平面でなく突出した部分があったとしても接触子31が退動するので、細胞シート18を傷つけることがない。
【0043】
図11は、説明のため接触子31の一つを示した模式図である。このように接触子31をコの字形といった簡単な加工を施して、両端部を支持部32の貫通穴321に挿入し、中央部が支持部32の上面に乗り、両端部を吊り下げるといった簡単な構成で、接触子31を上下動可能に保持している。このため昇降部17(図2)によってステージ16を駆動して細胞シート18を治具134,155に当接させた場合でも、この駆動力が接触子31に伝わることがなく、接触子31は自重によって細胞シート18に接触するだけであるので、細胞シート18を傷つけることなく細胞シート18を把持することができる。なお、把持用フック31a,31bの鉤状部は水平方向よりも僅かに下向きの角度βで曲げられているので、把持用フック31a,31bの先端が細胞シート18に接するようになっている。
【0044】
図12,図13は、治具134,155で細胞シート18を把持する際の説明図である。
【0045】
図13(a)に示すように治具134,155の接触子31の先端を細胞シート面に当接させた状態で細胞シート18を培養面(図2のディッシュ19の底面)から剥離する。なお、本実施形態では、細胞シート18の培養に温度応答性ポリマー(PIPAAm)を塗布したディッシュ19を用いており、温度を32度以下に制御することにより細胞シートを培養面から剥離させることができる(図13(b))。
【0046】
培養面から剥離した細胞シート18は、内部張力により収縮して周縁部が内向きにカールすることになる。ここで細胞シートの面上には把持用フック31a,31bの先端、即ち鉤状部311が接しており、図12及び図13(c)に示すように、この鉤状部311を包み込むように細胞シート18の周縁部がカールし、鉤状部311と細胞シート周縁部が係合する。これにより治具134,155で細胞シート18を把持し、細胞シート18の引張を可能にしている。
【0047】
次に図14を用いて動作範囲制限用仕切り板の機能を説明する。引張試験に際し、治具155を引張方向に移動させることで接触子31には張力がかかることになる。そこで各接触子31にかかる張力の上流側に動作範囲制限用仕切り板33を配置し、張力によって倒れこむ接触子31が動作範囲制限用仕切り板33に突き当たって移動量が制限されるようにしている。接触子31は上下動可能に保持され、貫通穴321に遊びが設けられているため、もし動作範囲制限用仕切り板33が無いと図14(b)のように各接触子31が倒れこみ、接触子自体の弾性が測定結果に影響を及ぼすことが考えられ、精度良く測定を行うことができなくなってしまう。また、接触子の位置が定まらないと、初期位置が変化してしまい、細胞シートの伸び率に影響を与えてしまうので、動作範囲制限用仕切り板33によって、これを防止する。
【0048】
図16,図17は、把持用フック31aの形状の説明図である。図16(a)に示すように、本実施形態の治具134の把持用フック31aの先端が円弧状に並ぶように構成し
ている。これは試験片としての細胞シート18の形状を図16(b)の如くH字型とした場合、培養面から剥離した際、細胞シート18は内部張力によって周縁部が内側へ向かって収縮し、図16(c)の形状を経て、図16(d)のように末端の形状が曲面となる。
【0049】
このように末端が曲面に収縮する細胞シート18を例えば図17に示すように、把持用フック31a先端が円弧状に並ぶ曲線タイプの治具134,155と、把持用フック31a先端が直線状に並ぶ直線タイプの治具200とで把持して比較する。この場合、曲線タイプの治具134,155では、接触子31aの先端部が細胞シートの末端の形状に沿って端部までしっかりと引っかかるのに対し、直線タイプの治具200では、把持用フック31a先端の形状と一致しない端部が引っかかりきらない。このため曲線タイプの治具の方が、細胞シート18をより確実に把持できる。
【0050】
なお、上述の如く曲線タイプの治具134,155のほうが望ましいが、試験の条件、例えば最大の引張力などに応じ、直線タイプでも充分である場合には、直線タイプを選択しても良い。
【0051】
また、図15,図18を用いて伸縮領域制限用ニードル31cの機能を説明する。図15(b)に示すように伸縮領域制限用ニードル31cを設けない構成であると、細胞シート18の幅方向端部を把持する把持用フック31bの位置と、幅方向中央を把持する把持用フック31aの位置とが引張方向で異なるため、細胞シート18にかかる張力の方向が揃わず、不均一になってしまう。このため治具134,155の内側で細胞シートと接する接触子(伸縮領域制限用ニードル31c)を横一列に揃え、細胞シート18にかかる張力を均一にしている。
【0052】
そして、伸縮領域制限用ニードル31cは、図18に示すように垂直断面において、その下端が把持用フック31a,31bと比べて下方向に突出させても良い。このように伸縮領域制限用ニードル31cの先端が突出して細胞シート18と接触することで、伸縮領域制限用ニードル31cが細胞シート18に与える影響が大きくなり、上述した細胞シート18にかかる張力の均一化を確実にしている。
【0053】
また、伸縮領域制限用ニードル31cと把持用フック31a,31bの先端の高さが同じ治具(フラットタイプの治具)200と、把持用フック31a,31bよりも伸縮領域制限用ニードル31cの先端が下に突出した治具(突出タイプの治具)134,155とで、細胞シート18を把持した場合について比較する。
【0054】
このフラットタイプの治具200では、細胞シート18を引張した際、細胞シート18に働く張力に抗して細胞シート18を把持する力が、引張方向先端の把持用フック31aに集中することになる。一方、突出タイプの治具134,155では、この細胞シート18を把持する力が、引張方向先端の把持用フック31aと伸縮領域制限用ニードル31cとに分散することになり、より確実に細胞シート18を把持することができる。
【0055】
なお、上記伸縮領域制限用ニードル31cは、ニードルを列設して構成したが、これに限らず、他の構成としても良い。図19は、のこぎり状の伸縮領域制限部の例を示す図である。
【0056】
のこぎり状伸縮領域制限部31dは、下に向けて凸の山形部が連続してなる鋸刃部315と、鋸刃部の両端から上方へ延びるアーム部316と、アーム部の上端から内向きに突出した爪部317を備えている。のこぎり状伸縮領域制限部31dは、アーム部316が支持部322の溝に嵌り、爪部317が支持部上面に当たって係止されることで垂下される。
【0057】
この鋸刃部315の連続した山形部の先端が細胞シート18と接触する。従って、のこぎり状伸縮領域制限部31dにおいても細胞シート18との接触箇所は、横一列に並設された点状となり、前述と同様に、細胞シート18を傷つけることなく、細胞シート18にかかる張力を均一にできる。
【0058】
また、のこぎり状伸縮領域制限部31dのアーム部316が支持部32の溝部322に上下動可能に支持されているので、細胞シート18と、のこぎり状伸縮領域制限部31dとが接する際に、大きな力がかかったとしても、のこぎり状伸縮領域制限部31dが細胞シート18面と直交する方向に退動するので、細胞シート18を傷つけることがない。
【0059】
なお、前述の伸縮領域制限用ニードル31cで細胞シート18との接触箇所を増やすためには、ニードルの本数を増やすことになり、部品点数が増加してしまう。また、ニードルを支持するための穴321も増やすことになり、加工が難しくなる。
【0060】
一方、のこぎり状伸縮領域制限部31dでは、鋸刃部315の山の間隔αを狭めるだけで接触箇所を増やすことができるので、試験に際してかかる張力や、細胞の種類、鋸刃部315の厚みなどによって任意に設定可能である。なお、伸縮領域制限部は、上述のように点状に細胞シート18と接触することが望ましいが、必ずしもこれに限らず、上記のこぎり状伸縮領域制限部31dの鋸刃部315を平板に代えて、細胞シート18と線状に接触するものでも良い。
【0061】
《試験片》
上記測定システムによる測定に際しては、培養した細胞シート18を所定形状に成形し、試験片とする。
【0062】
図20は試験片の形状を示す図である。
【0063】
試験片(細胞シート18)は、試験のために所定の幅とした帯状部18aと、帯状部18aの両端側で把持のために幅を広くとった把持部18bとからなる、概ねH字状である。試験片の長軸方向の両端部、即ち把持部18bの端部は、外向きに凸の曲線となっている。この曲線の曲率は特に限定されるものではないが、本例では細胞シート18を培養したディッシュの外形と同じにしている。
【0064】
また、本例の試験片では、その角が90°以上の鈍角となるように形成している。たとえば、帯状部18aと把持部18bの接続部分(隅部)18cでは、その角度が90°とならないように肉付けを行い、隅部18cが鈍角で構成されるようにしている。
【0065】
なお、試験片の角を90°以下とすると、この部分の剥離が悪くなることがある。このため、このため、90°以下の角を有する試験片を用いると、十分に把持できないことや、把持するまでに時間がかかることが考えられる。このため試験片の角が90°以上の鈍角となるように形成することが望ましい。
【0066】
特に隅部18cは、試験時の応力集中を避けるためにも鈍角で構成することが望ましい。例えば図21は隅部を90°で形成した場合を示す。
【0067】
試験片18を引張した際、隅部18cより内側の帯状部18aの幅で張力が働くのに対し、隅部18cより外側の把持部18bでは、治具134,155に把持された広い幅で張力が働くことになるので、この境界である隅部18cには応力が集中しやすい。特に90°以下の角は、切れ込みと同様に応力が集中しやすい傾向にあるので、図21のように
隅部18cを90°で形成した場合、隅部18cの頂点に応力が集中し、ここを起点に細胞シート18が裂け、破断してしまう可能性がある。
【0068】
これに対し、図22は隅部を肉付けした例を示す。
【0069】
図22の例では、帯状部18aの長軸方向(引張方向)に対して45°となる肉付けを隅部18cに行った。このため帯状部18aと隅部18cの肉付け部分とのなす角が135°、隅部18cの肉付け部分と把持部18bとのなす角が135°となる。このように肉付けを行うことで隅部18cが、鈍角で構成され、且つ、その頂点が2つになるので、応力の集中が緩和され、隅部18cから破断してしまうことを防止できる。
【0070】
なお、隅部18cにおける肉付けの角度や肉付けする量(面積)は、細胞の種類や試験時にかかる張力、帯状部18aの幅などに応じて任意に設定して良い。
【0071】
また、図23(a)は隅部18cに直線的に肉付けした例を示したが、これに限らず図18(b)に示すように帯状部18aの長軸方向の辺と把持部18bの辺とを曲線(円弧)でつないで肉付けを行っても良い。なお、隅部18cにおける肉付け部の曲率半径や肉付けする量(面積)は、細胞の種類や試験時にかかる張力、帯状部18aの幅などに応じて任意に設定して良い。
【0072】
なお、試験片は、図20に示すように、全ての角が90°以上で構成されることが望ましいが、これに限らず図23に示すように隅部18cを90°以上或いは曲線として他の角を90°としても良い。
【0073】
《試験片の作成方法》
次に図24,図25を用いて試験片の作成方法を説明する。
【0074】
図24は、モールド法で試験片を作成する例を示す。
【0075】
先ず、ディッシュ19内にモールド191を設置する(図24(a))。ディッシュ19は、ポリスチレン製で、その内壁面に温度応答性ポリマー(PIPAAm)を塗布し固定したものであり、温度に応じて内壁面上のポリマーの性状を変化させることで細胞の付着或いは剥離をコントロールできるようにしたものである。温度応答性ポリマーとしては、N−イソプロピルアクリルアミドの高分子(PIPAAm)を用いた。PIPAAmは、ポリマー直鎖に側鎖としてアミドとイソプロピル基がついており、32℃以下の温度ではアミド結合部分が水を抱え込もうとして水和し、32℃を超えた温度ではイソプロピル基による結合の方が強くなり、水を弾き出して脱水和する。このため、PIPAAmを固定した内壁面は、細胞の培養に適した37℃では疎水性となり細胞が付着・増殖するのに対し、32℃以下では親水性となって剥離する。
【0076】
また、モールド191の材料には、生体適合性が高く、細胞が付着しにくいPDMS(
ポリジメチルシロキサン)を用いた。モールド191は、平面形状が図20,図23に示
すような試験片と同じとなる空洞を有した型であり、ディッシュ19内に収まることで、この空洞内に培養液もしくは細胞懸濁液を貯留し、それ以外にこの培養液もしくは細胞懸濁液が貯まらないように、即ち細胞の培養が行われないようにする。
【0077】
このモールド191の空洞内に培養液と、培養する細胞、例えばマウス筋芽細胞(C2
C12)を導入し(図24(b))、インキュベータ内で所定の温度(例えば37℃)及び所定の雰囲気(CO5%等)に維持して細胞を増殖させる(図24(c))。
【0078】
そして、細胞が目的の状態、例えばコンフルエントになった場合、本例では5日間培養して細胞シートを形成した状態となった場合に、モールド191を取り除いて完了する(図24(d))。
【0079】
図25は、スタンプ法で試験片を作成する例を示す。
【0080】
先ず、ディッシュ19に培養液と、培養する細胞、例えばマウス筋芽細胞(C2C12)
を導入する(図25(a))。なお、ディッシュ19は、上述のとおり内壁面に温度応答性ポリマーを固定したものである。
【0081】
この培養液及び細胞を導入したディッシュ19をインキュベータ内で所定の温度(例えば37℃)及び所定の雰囲気(CO5%等)に維持して細胞を増殖させる(図25(b))。
【0082】
そして、細胞が目的の状態となった場合に、細胞シート上にスタンプ192を配置し(図25(c))、加圧する(図25(d))。スタンプ192は、ゴム若しくはシリコン等の弾力性のある材料で作成した歯を持つ抜き型である。なお、スタンプ192の歯を金属で形成すると、培養面の微小な凹凸の変化や、スタンプ192の微小な傾きなどに追従できす、シート全体を打ち抜くことが難しくなるため、スタンプ192の歯を弾性材料で形成することが望ましい。また、スタンプ192の歯は、例えば図20,図23に示すような試験片の輪郭を象っている。
【0083】
スタンプ192の加圧により、細胞シートがスタンプ192の歯の形に打ち抜かれ、スタンプ192を取り除くと(図25(e))、試験片の成形が完了する(図24(a))。
【0084】
なお、上記例に限らず、図25(b)のように形成した細胞シートをレーザ加工機によって試験片の形に切り出しても良い。
【0085】
《試験方法(ハンドリング方法)》
図26は、本実施形態の測定システムにおける試験方法(ハンドリング方法)の手順を示す図である。
【0086】
先ず、試験片である細胞シート18を収容したディッシュ(培養容器)19を張力測定装置1のステージ16上に載置する(ステップS10)。また、カメラ20による撮影を開始して、LED9をON/OFFし、以降定期的にLED9をON/OFFしてマーキングを繰り返す。なお、本例ではハンドリングの開始と共に撮影を開始したが、これに限らず例えば引張試験の測定中等、任意の期間に撮影を行ってよい。
【0087】
次にステージ16を移動させて細胞シート18の直上に治具134,155が位置するように位置合わせする(ステップS20)。なお、本実施形態では、ステップS10においてステージ16を下降させた状態でディッシュ19をステージ上に載置し、ステージ16を上昇させることで、細胞シート18が治具134,155の下端に接するように位置合わせしたが、これに限らず、治具134,155側を移動させて位置合わせを行う構成としても良い。即ち、ステージ16(細胞シート18)と治具134,155とを相対的に移動させて位置合わせを行えば良い。また、この位置合わせにより、水平面内(X−Z面内)において、治具134,155が細胞シート18の把持部18b上に位置するようにしている。
【0088】
そして、ディッシュ19の温度を32℃以下に制御して細胞シート18をディッシュ1
9から剥離させる(ステップS30)。ここで温度の制御は、張力測定装置1を設置した室温を32℃以下に保ち、インキュベータからディッシュ19を取り出して張力測定装置1にセットすることで、ディッシュ19が自然冷却されて32℃以下となるようにしても良い。
【0089】
また、ステージ16にペルチェ素子を設けてディッシュ19を加熱又は冷却することにより積極的に温度制御しても良い。例えばステップS20まではディッシュ19を32℃より高い温度に保温し、ステップS30でディッシュ19を冷却して32℃以下、例えば20℃とする。
【0090】
図13に示したように、細胞シート18がディッシュ19の底面から剥離すると、内部張力により治具134,155の把持用フック31a,31bに絡みつくので、細胞シート18が、充分に剥離し、治具134,155に絡みついたら、治具134,155とディッシュ19とを相対的に移動させて細胞シート18をディッシュ19の底面と離間させる(ステップS40)。本例では、ステージ16を下降させることで細胞シート18とディッシュ19の底面とを離間させたが、これに限らず、治具134,155を引き上げて細胞シート18を移動させる構成としても良い。この離間距離は、試験時に細胞シートがディッシュ底面に当たらない程度に僅かでも離間すれば良く、移動後に細胞シート18が培養液から出ない距離とする。なお、細胞シート18が、充分に剥離し、治具134,155に絡みついたか否かの判定は、オペレータが判断してステップS30を行うタイミングを入力しても良いし、コンピュータ8がカメラで撮影した画像を処理して判定しても良い。また、絡みつくのに十分な時間を予め求めておき、温度が32℃以下となってから所定の時間経過したときにステップS30を行うようにしても良い。
【0091】
そしてハンドリング(治具の移動)を実施する、即ち治具155を引張方向に移動させて引張試験を行う(ステップS50)。即ち、アクチュエータ15がアーム154を介して治具155を引張方向へ所定の速度で移動させ、この時に治具134にかかる張力をアーム133を介して力センサユニット13のセンサ部132が測定する。
【0092】
図27は、張力測定装置1による引張試験の測定結果を示す図である。図27では、横軸に試験片を伸ばした(引っ張った)割合をとり、縦軸に試験片にかかった張力をとって示した。このように細胞シート18の引張試験を行うことにより、細胞シート18の弾性(比例限度、弾性限度)や、スティフネス、引張強さ等の力学的特性を測定することができる。
【0093】
なお、本実施形態では、ステップS50において、把持した細胞シートを引っ張って引張試験を行ったが、これに限らず、把持した細胞シートを他のステージに移動させて、移植等のために加工する工程に供すことや、把持した細胞シートを他の細胞シート上に移動させて積層し、組織を形成すること等を行うハンドリングツールとしても利用可能である。
【0094】
以上のように、本実施形態によれば、多数の接触子が点接触で細胞シートを把持する構成としたことで、応力の集中を防ぎ、細胞シートを傷つけることなく把持する治具を提供できる。
【0095】
また、本実施形態の治具は、剥離した細胞シートが内部張力でカールすることを利用し、把持用フックに絡みつかせて細胞シートを把持するようにしたことにより、容易、迅速かつ確実に細胞シートを把持することができる。
【0096】
従って、本実施形態の治具を用いた試験装置は、容易、迅速かつ確実に細胞シートの試
験を行うことができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、細胞シートを培養液中に保持した状態で試験を行うことができ、乾燥等によるダメージを細胞シートに与えることなく試験を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
(1)医療への応用
医療においては、細胞シート工学をはじめとする再生医療分野への貢献が期待できる。均一な細胞シートを大量に生産・管理し生体に移植する細胞シート工学の分野において、シートの評価は最重要事項である。特に細胞シートの力学特性の評価は手付かずに近い状況であり、本発明によって、細胞シート移植技術の発展を促すことが可能となる。さらに、測定のために開発した細胞シートハンドリングツールも、シート移植への応用が可能であり細胞シート工学において重要な位置を占める。
【0099】
(2)生物学への応用
細胞シートの力学特性が実現することで、生物学の分野の発展への貢献も期待できる。細胞シートは、細胞同士、または細胞と支持体が結合してシート状の形態を呈したものであり、これに引張応力を加え、力学的挙動を観察することで、細胞の接着構造などの解明が可能となる。また、同様の方法で力学的ストレスに対する細胞、組織の振る舞いや影響の解明が可能となる。
【0100】
(3)工学分野への応用
筋細胞を利用したアクチュエータ機構は自己修復、自己組織化、化学エネルギのみでの動作が可能、小型で柔軟などといった特徴を有する。細胞同士、または細胞と支持体が結合してシート状の形態を呈した細胞シートは、2次元パターニングや3次元構築が容易であり、生体アクチュエータ構築方法として有望視されている。アクチュエータのような機械部品として組み込むためには、応力特性や破壊強度、スティフネスなどの機械特性の測定が不可欠である。本発明により細胞シートの機械特性を測定することが可能となり、筋細胞を駆動源としたバイオアクチュエータの実用化に向けて大きな前進となり、研究活動が活性化する。
【符号の説明】
【0101】
1 張力測定装置
2 温度計
3 モータードライバ
4 モーターコントローラ
5 空調機
6 風防
7 入力インタフェイス
8 コンピュータ
11 基盤
12 支柱
13 力センサユニット
14 支柱
15 アクチュエータ
16 ステージ
17 昇降部
18 細胞シート
18a 帯状部
18b 把持部
18c 隅部
19 ディッシュ
21 接触子
22 支持部
31 接触子
31a,31b 把持用フック
31c 伸縮領域制限用ニードル
31d のこぎり状伸縮領域制限部
32 支持部
33 板
134,155 治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材の端部を保持する一対の治具であって、
先端部が点状の接触子と、
前記接触子を支持して、前記接触子の先端をシート端に沿って所定間隔を空けて並置し、前記接触子の先端部を前記シート材に当接させ、前記シート材を前記接触子間に架け渡して保持する支持部と、を備える治具。
【請求項2】
前記接触子は、先端が前記シート材の内方から外方へ向けて曲がる鉤状部を有し、前記シート材のカールした端部と前記鉤状部とが係合して前記シート材を保持する請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記指示部材は、シート材の面と直交する方向へ移動可能に前記接触子を支持する請求項1又は2に記載の治具。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の治具を培養容器に着床している細胞シートに近接又は当接させて当該シート材の端部に位置決めする手順と、
前記培養容器から前記細胞シートを剥離する手順と、
前記培養容器から剥離されたことによりカールした前記細胞シートの端部を前記治具で保持する手順と、
を実行する細胞シートの保持方法。
【請求項5】
請求項1から3の何れか一項に記載した少なくとも一対の治具と、
対をなす前記治具の間隔を広げて当該治具に架け渡したシート材を引張する駆動部と、
前記シート材にかかる引張力を測定する測定部と、
を備えた測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−74867(P2013−74867A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218310(P2011−218310)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【Fターム(参考)】